説明

液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラム

【課題】複数の検査部を用いて効率的にノズル検査を行う。
【解決手段】第1〜第8検査回路71A〜71Hのうち第1検査回路71Aが検査不能であると判定したとき(a)には、第1検査回路71Aと対向していた第1,第3ヘッド62a,62cの未検査ノズルと、第1検査回路71A以外の検査回路(第2〜第8検査回路71B〜71H)とが対向するように移動ユニットを制御して第1〜第15ヘッド62a〜62oを移動させる(b)。そして、検査不能な第1検査回路71A以外の検査回路(第2検査回路71B)を用いて未検査ノズルについてのノズル検査を行って、すべての未検査ノズルの吐出の良否を判定する。そのため、検査不能な検査回路による吐出の有無の検査ができない場合でも、他の検査回路を用いてすべての未検査ノズルの吐出の良否を判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体吐出装置として、ヘッドに形成された複数のノズルから液体が吐出されたか否かを判定するものが知られている。このようにノズルから液体が吐出されたか否かを判定する処理は、ノズル検査あるいは吐出検査と称される。
【0003】
例えば、特許文献1の液体吐出装置では、ノズルプレートに1000個を超えるノズルが形成されたヘッドのノズル検査として、15個のノズルを1つのブロックとし、ブロックごとにノズル検査を行う。また、1ブロックのノズル検査を行うごとに、1つのノイズ検査期間(非吐出ダミー期間ともいう)を設け、この期間中にノイズが発生したか否かによって、ノズル検査中にノイズが混入したか否かを検査する。すなわち、ノイズ検査期間中にノイズが発生しなければ、その直前のブロックのノズル検査を有効とし、ノイズが発生したならば、その直前のブロックのノズル検査を無効とする。その結果、実際には液体を吐出できないノズルであるにもかかわらず、ノズル検査時に混入したノイズにより液体を吐出したと誤判定された場合でも、ノイズ検査を行うことによりその誤判定を無効にすることができる。そして、ノイズによりノズル検査が無効とされたときには、ノズル検査を再度繰り返すこととしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−64309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ノイズなどの異常が発生したときに単にノズル検査を繰り返すだけでは、ノズル検査がいつまでも完了しない場合や、完了が遅くなってしまう場合があり、非効率であった。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、複数の検査部を用いて効率的にノズル検査を行うことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体吐出装置は、
液体を吐出する複数のノズルからなる第1ノズル群及び第2ノズル群を備えたヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットと対向してノズルからの吐出の有無を検査する第1検査部及び第2検査部を備えた検査ユニットと、
前記ヘッドユニットと前記検査ユニットとを相対的に移動させる移動手段と、
前記第1ノズル群と前記第1検査部とが対向し前記第2ノズル群と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第1検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定し、前記第2ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する吐出判定を行う処理手段と、
を備え、
前記処理手段は、前記吐出判定を行うにあたり、前記第1検査部に異常があるとみなせる異常条件が成立したときには、前記第1ノズル群のうち吐出の良否を判定していない未検査ノズルの少なくとも一部と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のうち該第2検査部と対向する未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する、
ものである。
【0008】
この液体吐出装置では、前記第1ノズル群と前記第1検査部とが対向し前記第2ノズル群と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第1検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定し、前記第2ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する吐出判定を行う。そして、この吐出判定を行うにあたり、前記第1検査部に異常があるとみなせる異常条件が成立したときには、前記第1ノズル群のうち吐出の良否を判定していない未検査ノズルの少なくとも一部と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のうち該第2検査部と対向する未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する。すなわち、第1検査部に異常があるとみなせる異常条件が成立したときに、通常は第1検査部で検査するはずの第1ノズル群の未検査ノズルのうち少なくとも一部のノズルについては第2検査部を用いて吐出の良否を判定する。これにより、異常があるにもかかわらず第1検査部のみで第1ノズル群の検査を行う場合と比較して、複数の検査部を用いて効率的にノズル検査を行うことができる。
【0009】
本発明の液体吐出装置において、前記処理手段は、前記異常条件として前記第1検査部による吐出の有無の検査ができないとみなせる条件が成立したときには、前記第1ノズル群の未検査ノズルと前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、該未検査ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該未検査ノズルの吐出の良否を判定する処理を行い、すべての未検査ノズルの吐出の良否を該第2検査部の検査結果に基づいて判定してもよい。こうすれば、第1検査部による吐出の有無の検査ができない場合でも、第2検査部を用いて第1ノズル群のすべての未検査ノズルの吐出の良否を判定することができる。
【0010】
本発明の液体吐出装置において、前記処理手段は、前記第1ノズル群と前記第1検査部とが対向し前記第2ノズル群と前記第2検査部とが対向した状態において、前記異常条件として第1検査部による吐出の有無の検査は可能だが前記第1ノズル群のすべてのノズルの吐出の良否判定の完了が前記第2ノズル群に比べて遅延するとみなせる条件が成立したときには、前記第2ノズル群の未検査ノズルが前記第2検査部と対向する位置から外れない範囲で、前記第1ノズル群の未検査ノズルのうち少なくとも一部が前記第2検査部と対向し残りが前記第1検査部と対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のうち該第2検査部と対向する未検査ノズル及び前記第2ノズル群の未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定し、前記第1ノズル群のうち該第1検査部と対向する未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第1検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定してもよい。こうすれば、第1検査部による第1ノズル群のすべてのノズルの吐出の良否判定の完了が第2ノズル群に比べて遅延するときには、第1ノズル群の未検査ノズルの一部を第2検査部を用いて検査するため、ノズル検査の総時間を短くできる。
【0011】
本発明の液体吐出装置において、前記ヘッドユニットは、前記液体と接触する第1電極を有し、前記第1検査部及び前記第2検査部は、前記第1電極に対向可能な第2電極をそれぞれ有しており、該第1電極と該第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、対向するノズルから該第2電極に向かって液体を吐出させる吐出検査期間における両電極間の電気的変化を検出すると共に対向するノズルのすべてから液体を吐出させないノイズ検査期間における両電極間の電気的変化を検出する動作を、前記対向する各ノズルごとに行い、各ノズルにつき前記電気的変化に関する信号に基づいて吐出の有無及びノイズの有無を検査し、前記処理手段は、前記検査結果である吐出の有無及びノイズの有無に基づいてノズルの吐出の良否を判定し、前記ノイズ検査期間における両電極間の電気的変化に基づいて前記異常条件の成否を判定してもよい。
【0012】
本発明のノズル検査方法は、
液体を吐出する複数のノズルからなる第1ノズル群及び第2ノズル群を備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットと対向してノズルからの吐出の有無を検査する第1検査部及び第2検査部を備えた検査ユニットと、前記ヘッドユニットと前記検査ユニットとを相対的に移動させる移動手段と、を備えた液体吐出装置のノズル検査方法であって、
前記第1ノズル群と前記第1検査部とが対向し前記第2ノズル群と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第1検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定し、前記第2ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する吐出判定を行うにあたり、前記第1検査部に異常があるとみなせる異常条件が成立したときには、前記第1ノズル群のうち吐出の良否を判定していない未検査ノズルの少なくとも一部と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のうち該第2検査部と対向する未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定するステップ、
を含むものである。
【0013】
このノズル検査方法によれば、第1検査部に異常があるとみなせる異常条件が成立したときに、通常は第1検査部で検査するはずの第1ノズル群の未検査ノズルのうち少なくとも一部のノズルについては第2検査部を用いて吐出の良否を判定するため、異常があるにもかかわらず第1検査部のみで第1ノズル群の検査を行う場合と比較して、複数の検査部を用いて効率的にノズル検査を行うことができる。なお、このノズル検査方法において、上述した液体吐出装置の種々の態様を採用してもよいし、上述した液体吐出装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0014】
本発明のプログラムは、上述したノズル検査方法をコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターに配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述した本発明のノズル検査方法のステップが実現されるため、本発明のノズル検査方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】インクジェット型のプリンター10の構成を表すブロック図。
【図2】プリンター10の概略断面図。
【図3】プリンター10の概略平面図。
【図4】ヘッドユニット60における複数のヘッド62の配置を示す説明図。
【図5】第1ヘッド62aに形成された複数のノズルの配置を示す説明図。
【図6】印刷の様子を示す説明図。
【図7】検査ユニット70の構成を表す説明図。
【図8】検査電極72の平面図。
【図9】駆動信号COMとそれに対応した検出信号とを示す説明図。
【図10】検出信号及び検出制御部での判定結果の一例を示す説明図。
【図11】第1ヘッド62aが有するノズルをブロック分けしたときのテーブル。
【図12】ノズルの統合判定ルーチンのフローチャート。
【図13】検出制御部76のメモリーに格納されたデータの説明図。
【図14】デジタル信号出力ルーチンのフローチャート。
【図15】検出制御部76の送信用レジスターのデータの一例を示す説明図。
【図16】統合判定の結果の一例を示す説明図。
【図17】検査不能時処理ルーチンのフローチャート。
【図18】検査不能時処理ルーチンを行う様子を示す説明図。
【図19】遅延時処理ルーチンのフローチャート。
【図20】ノズル検査を順次行う様子を示す説明図。
【図21】図20の時刻t1,t2,t3における状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1はインクジェット型のプリンター10の構成を表すブロック図、図2はプリンター10の概略断面図、図3はプリンター10の概略平面図である。
【0017】
プリンター10は、パーソナルコンピューターPCと通信可能に接続され、パーソナルコンピューターPCから印刷データを入力し、その印刷データに基づいて紙や布などの印刷媒体Sに画像を印刷する。このプリンター10は、種々の制御を実行したり指令を出力したりするコントローラー20と、コントローラー20と信号のやり取りを行いながら各種処理を実行するユニット群30とを備えている。
【0018】
コントローラー20は、プリンター10の全体の制御を司るCPU22と、ユニット群30の各ユニットを制御するユニット制御回路24とを備えている。CPU22は、ユニット群30に備えられた各種検出器から入力した検出信号やインターフェース部26を介してパーソナルコンピューターPCから受信した印刷データに基づいて、メモリー28に記憶された各種プログラムを実行し、メモリー28にデータを一時記憶しながらユニット制御回路24を介して各ユニットを制御する。ユニット群30には、印刷媒体Sを搬送する搬送ユニット40、ヘッドユニット60を移動する移動ユニット50、ノズルからインクが吐出するようヘッド62を駆動するヘッドユニット60、ヘッド62に形成されたノズルの検査を行う検査ユニット70などが含まれる。搬送ユニット40は、図2及び図3に示すように、モーター駆動される上流側ローラー42及び下流側ローラー44によってロール状の印刷媒体Sを搬送方向(X方向)の上流側から下流側へ搬送し、巻取機構46によって巻き取るものである。印刷媒体Sは、両ローラー42,44の間の印刷領域においてプラテン48の下側からバキューム吸着される。これにより、印刷中の印刷媒体Sの位置が固定される。移動ユニット50は、図2及び図3に示すように、ヘッドユニット60を印刷媒体Sの搬送方向(X方向)と印刷媒体Sの幅方向(Y方向)に自在に移動させるものである。この移動ユニット50は、X軸ステージ52によってヘッドユニット60をX方向に移動させ、Y軸ステージ54によってヘッドユニット60をX軸ステージ52と共にY方向に移動させる。ヘッドユニット60は、図3に示すように、複数のノズルを有するヘッド62を備え、コントローラー20からの駆動信号によってノズルからインクを印刷媒体Sに向かって吐出させるものである。このヘッドユニット60は、後述するように複数のヘッド62を備えている。各ヘッド62は、ピエゾ素子を用いて圧力によりインクを吐出する。検査ユニット70は、ノズルの詰まりの有無を検査するものであり、図3に示すように、ヘッドユニット60のヘッド62と対向可能な位置に検査電極72を備えている。この検査ユニット70の詳細については後述する。
【0019】
ヘッドユニット60について、更に詳しく説明する。図4は、ヘッドユニット60における複数のヘッド62の配置を示す説明図である。なお、図中では、ヘッド62の配置をプリンター10の上面から透視した状態を示した。図4に示すように、ヘッドユニット60は、15個のヘッド62を有する。15個のヘッド62は、Y方向に沿ってジグザグに並んでいる。説明の便宜上、Y方向の上端側から下端側に向かって、第1ヘッド62a,第2ヘッド62b,……、第14ヘッド62n,第15ヘッド62oと称することにする。このため、奇数番目のヘッド62a,62c,62e……はY方向に平行となるように直線状の列をなし、偶数番目のヘッド62b,62d,62f……はその隣でY方向に平行となるように直線状の列をなす。
【0020】
図5は、第1ヘッド62aに形成された複数のノズルの配置を示す説明図である。なお、図中では、ノズルの配置を第1ヘッド62aの上面から透視した状態を示した。また、第2ヘッド62b〜第15ヘッド62oはいずれも第1ヘッド62aと同じ構成である。第1ヘッド62aは、8色のノズル列を有している。具体的には、図5の左側から順に、マットブラックインクを吐出するMk列、グリーンインクを吐出するGr列、オレンジインクを吐出するOr列、クリアインクを吐出するCl列、フォトブラックインクを吐出するPk列、シアンインクを吐出するCy列、マゼンタインクを吐出するMa列、イエローインクを吐出するYe列である。各ノズル列は、180個のノズルを有する。180個のノズルは、Y方向に沿って、一定のノズルピッチ(1/180インチ)で並んでいる。説明の便宜上、Y方向の上端側のノズルから順に#1,#2,……,#180と称することにする。第1ヘッド62bの各ノズル列と第2ヘッド62bの各ノズル列とを見ると、第1ヘッド62aのY方向の下端側の4つのノズルのそれぞれのY座標位置は、第2ヘッド62bのY方向の上端側の4つのノズルのそれぞれのY座標位置と一致している。このようにY座標位置が同じ2つのノズルは、互いに補間し合いながらドットを形成することが可能である。こうした関係は、第αヘッドと第(α+1)ヘッド(αは1〜14までの整数)との間でも同様である。
【0021】
こうしたヘッドユニット60を用いて印刷媒体Sに印刷する手順を以下に概説する。まず、図2及び図3において、コントローラー20は、印刷領域に印刷媒体Sの新しい面が供給されるよう搬送ユニット40を制御すると共に、ヘッドユニット60が初期位置に来るように移動ユニット50を制御する。なお、初期位置とは、印刷領域におけるX方向の最上流の位置で且つY方向の最上端の位置である。初期位置に配置されているヘッドユニット60を、図2及び図3中、実線で示す。そして、コントローラー20は、ヘッドユニット60が印刷領域のX方向の最上流の位置から最下流の位置(図2及び図3中、1点鎖線で示す)まで移動するよう移動ユニット50を制御すると同時に、移動中のヘッド62のノズルからインクが吐出するようヘッドユニット60を制御することにより、X方向に並ぶドット列を形成する。この動作を1パスと称する。こうして1パス分のドット列を形成した後、コントローラー20は、ヘッドユニット60がY方向の下端側に移動するよう移動ユニット50を制御し、再び次の1パスを実行してX方向のドット列を形成する。Y方向の下端側に移動したヘッドユニット60の一例を図3の2点鎖線で示す。そして、印刷媒体Sの幅方向に応じて決まるパス数の動作を終了したとき、印刷媒体Sの印刷領域の画像が完成する。図6は、印刷の様子を示す説明図である。図6では、説明の便宜上、5つのノズルがY方向に平行に1列に並んだノズル列を例示した。この図6では、パス1〜パス4までの合計4パス分のX方向のドット列が順次形成されていく様子を示した。
【0022】
検査ユニット70について、以下に詳しく説明する。検査ユニット70は、検査回路71を備えている。検査回路71は、基本的には2つのヘッド62に1つの割合で形成されており、本実施形態ではヘッド数が15個であるため、それに対応して検査回路71は8個形成されている。説明の便宜上、8個の検査回路71を第1検査回路71A,第2検査回路71B,・・・と称することにする。図7は検査ユニット71の検査回路71のうちの1つの構成を表す説明図である。この検査回路71は、ヘッド62に形成されたノズルから吐出されたインクを受ける金属板状の検査電極72と、この検査電極72とヘッド62のノズルプレート63との間に電圧を印加する高圧電源74と、検査電極72とノズルプレート63との間に電圧を印加した状態でノズルからインクを吐出させたときの電圧信号に基づいてその信号の大小を判定する検出制御部76とを備えている。なお、ノズルプレート63は複数のノズルが形成されたプレートであり、検査ユニット70の一部としても機能するものである。
【0023】
上述したように、検査回路71は基本的には2つのヘッド62に1つの割合で形成されているため、検査電極72も同様に、基本的には2つのヘッド62に1つの割合で形成されている。図8に検査電極72の平面図を示す。本実施形態では、ヘッド数は15個であるため、それに対応して検査電極72は8個形成されている。説明の便宜上、8個の検査電極72を第1検査電極72A,第2検査電極72B,……と称することにする。具体的には、図8に示すように、第1ヘッド62aと第3ヘッド62cに対して第1検査電極72A、第5ヘッド62eと第7ヘッド62gに対して第2検査電極72B、第9ヘッド62iと第11ヘッド62kに対して第3検査電極72C、第13ヘッド62mと第15ヘッド62oに対して第4検査電極72D、第2ヘッド62bと第4ヘッド62dに対して第5検査電極72E、第6ヘッド62fと第8ヘッド62hに対して第6検査電極72F、第10ヘッド62jと第12ヘッド62lに対して第7検査電極72G、第14ヘッド62nに対して第8検査電極72Hが形成されている。つまり、本実施形態ではヘッド62の数が15個であるため、第14ヘッド62nについては、1つのヘッド62に対して1つの検査電極72が対応している。なお、各検査電極72は、いずれもY方向に隣接する他の検査電極72との間隔が等しくなるように配置されており、検査電極72の上端から、Y方向に隣接する他の検査電極72の上端までの距離を距離Lとする。このような検査電極72は、図3に示すように、印刷領域から左側(X方向の上流側)に外れた位置に設けられている。なお、図7には一つの検査電極72についての電気回路の構成を示したが、第1〜第8検査電極72A〜72Hのそれぞれについて、こうした電気回路が組まれている。
【0024】
高圧電源74は、検査電極72を所定電位にするための電源であり、ここでは600〜1000Vの直流電源によって構成される。高圧電源74と検査電極72との間には、第1制限抵抗73と第2制限抵抗75とが配置されている。これらの制限抵抗73,75は、高圧電源74と検査電極72との間に流れる電流を制御するものであり、ここでは両者の抵抗値を共に1.6MΩとした。
【0025】
検出制御部76は、高圧電源74による検査電極72とノズルプレート63との電圧印加を制御する。また、検出制御部76は、増幅器77で増幅された検査電極72の電圧信号(アナログ信号)に基づいて検査対象ノズルがインクを吐出したか否かを判定し、判定結果をデジタル信号としてコントローラー20に送信する。増幅器77と検査電極72との間には、検査電極72のバイアス成分(直流成分)を除去する検査用コンデンサー78が配置されている。また、第1制限抵抗73と第2制限抵抗75との間には、平滑コンデンサー79の一端が接続されている。この平滑コンデンサー79の他端は接地されている。平滑コンデンサー79は、電位の急激な変化を抑制するものである。ここでは、検査用コンデンサー78の容量を4700pF、増幅器77の増幅率を4000倍、平滑コンデンサー79の容量を0.1μFとした。
【0026】
次に、本実施形態のプリンター10の動作、特にノズルを検査するときの動作について説明する。コントローラー20は、検査対象ノズルの検査において、インクを良好に吐出できるか否かを調べる吐出検査と、吐出検査中にその判定結果に影響を与えるノイズが発生したか否かを調べるノイズ検査とを実施する。
【0027】
まず、吐出検査について説明する。図9は駆動信号COMとそれに対応した検出信号とを示す説明図であり、(a)は駆動信号COMの波形、(b)は増幅器77から出力される検出信号の波形を示す。コントローラー20は、ノズルプレート63と検査電極72との間に高圧電源74の電圧を印加した状態で、図9(a)に示すピエゾ素子を駆動する駆動信号COMを各ヘッド62に出力する。駆動信号COMは、20〜30個のインク吐出用パルスを出力するパルス出力区間と一定電位(中間電位)の休止区間との組み合わせとなっている。このような駆動信号COMがピエゾ素子に印加されると、そのピエゾ素子に対応するノズルから20〜30個のインク滴が吐出される。すると、これに対応して、増幅器77から検出信号(アナログ信号、図9(b)参照)が検出制御部76へ出力される。検出制御部76は、駆動信号COMに対応した検出信号の振幅Va(検出信号の最高電位VHと最低電位VLとの差)を検出し、検出された振幅Vaと予め定められた閾値Vth(例えば3V)とを比較する。そして、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、検出制御部76は、「振幅大」(吐出良好)を表すデジタル信号を生成する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、「振幅小」(吐出不良)を表すデジタル信号を生成する。
【0028】
ここで、吐出検査の原理について説明する。図7において、ノズルプレート63と検査電極72との間に電圧を印加した状態で、検査対象ノズルからインクが吐出するようにヘッドユニット60を制御したとき、実際にそのノズルからインクが吐出した場合には検査電極72の電圧信号が大きく変化するが、そのノズルからインクが吐出しなかった場合には検査電極72の電圧信号はほとんど変化しない。このため、その電圧信号の変化に基づいて検査対象ノズルがインクを吐出したか否かを判定することができる。この原理は正確には解明されていないが、次のように考えられる。一般的に、コンデンサーを構成する一対の電極板の間隔が変化すると、コンデンサーに蓄えられる電荷が変化することが知られている。グランド電位のノズルプレート63から高電位の検査電極72に向かってインクが吐出されると、グランド電位のインク滴と検査電極72との間隔d(図6参照)が変化し、コンデンサーの一対の電極板の間隔が変化したときのように、検査電極72に蓄えられる電荷が変化する。この結果、検査電極72に電荷が移動し、これに伴って変化する電圧を検査用コンデンサー78及び増幅器77が検出し、検出信号が検出制御部76に出力されると考えられる。
【0029】
次に、ノイズ検査について説明する。ノイズ検査期間中は、コントローラー20は、ノズルプレート63と検査電極72との間に高圧電源74の電圧を印加した状態で、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを付与しない。つまり、ノイズ検査期間は、インク滴を吐出させない非吐出期間になる。この期間中も、増幅器77から検出信号(アナログ信号)が検出制御部76へ出力される。検出制御部76は、この検出信号の振幅Vaと閾値Vthとを比較し、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、「振幅大」(ノイズあり)を表すデジタル信号をコントローラー20へ送信する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、「振幅小」(ノイズなし)を表すデジタル信号をコントローラー20へ送信する。図7において、ノズルプレート63と検査電極72との間に電圧を印加した状態で、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを付与しない場合、本来であれば検査電極72の電圧信号はほとんど変化しないが、検査電極72にノイズが発生するとそのノイズによって検査電極72の電圧信号が大きく変化する。このため、その電圧信号の変化に基づいてノイズの有無を判定することができる。
【0030】
吐出検査とノイズ検査の具体例について説明する。ここでは、1つのノズルに対して、吐出検査を2回行い、その後ノイズ検査を1回行う場合を例に挙げて説明する。そのときの増幅器77から出力される検出信号及び検出制御部76での判定結果の例を図10に示す。図10(a)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、検出制御部76で共に「振幅大」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判定すると、そのノズルは「正常」と決定される。図10(b)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vth以下のため、検出制御部76で共に「振幅小」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「異常」と決定される。図10(c)の検出信号では、1回目の吐出検査で検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えたため、検出制御部76で「振幅大」のデジタル信号が生成され、2回目の吐出検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「異常」と決定される。つまり、複数の吐出検査のうち1回でも「振幅小」のものがあれば、そのノズルは詰まり等が生じている可能性があることから、「異常」と判定するのである。図10(d)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、検出制御部76で共に「振幅大」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査でも振幅Vaが閾値Vthを超えたため「振幅大」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「不明」と決定される。ノイズ検査で振幅Vaが閾値Vthを超えたということは、その前の吐出検査においてノイズが混入している可能性が高く、ノイズのせいで振幅Vaが閾値Vthを超えた可能性があるため、正常か異常かを判定できず、「不明」と判定するのである。このように、ノイズ検査の結果が「振幅大」の場合には、その直前の吐出検査はノイズの影響を受けている可能性が高いことから、統合判断では吐出検査の結果にかかわらず「不明」と判定する。
【0031】
次に、コントローラー20が実行するノズルの統合判定ルーチンや、検査回路71の異常時の処理である検査不能時処理ルーチン及び遅延時処理ルーチン、検査ユニット70の検出制御部76が実行するデジタル信号出力ルーチンについて、説明する。ここでは、ノズルをブロック単位で処理していく。このため、各ルーチンの説明に先立って、ブロックの分け方について説明する。ブロックは、ヘッド62ごとに、そのヘッド62が有する複数のノズルを15個のノズルが1つのブロックになるように分ける。図11は、第1ヘッド62aが有する1440個(180個×8列)のノズルをブロック分けしたときの様子を示すテーブルである。具体的には、Mk列において、#1〜#15を第1ブロック、#16〜#30を第2ブロック、……という具合にブロック分けを行い、その後、Gr列、Or列、Cl列、Pk列、Cy列、Ma列、Ye列の順に同様にしてブロック分けを行う。なお、第2〜第15ヘッド62b〜62oについても図11と同様にしてブロック分けされる。
【0032】
ノズルの統合判定ルーチンについて、図12のフローチャートを用いて説明する。コントローラー20は、統合判定の実行タイミングが到来するごとに、この統合判定ルーチンを開始する。このルーチンが開始されると、コントローラー20は、まず、移動ユニット50を制御して、ヘッドユニット60の各ヘッド62が各検査電極72に対向するようにヘッドユニット60を移動させる(ステップS100)。これにより、各ヘッド62と各検査電極72とは図8に示した位置関係となる。次いで、各検査電極72と対向するヘッド62のうち各検査電極72についてそれぞれ1つを検査対象ヘッドに設定する(ステップS105)。なお、統合判定ルーチンにおけるステップS105以降の処理は、8つの検査回路71A〜Hのそれぞれについて独立して実行される。また、本実施形態では、各検査電極72と対向するヘッド62が複数あるときには、図8で上側に位置するヘッド62を先に検査対象ヘッドに設定するものとした。したがって、例えば第1検査回路71AについてステップS105以降の処理を行う際には、ステップS105でまず第1ヘッド62aを検査対象ヘッドに設定し、第2検査回路71BについてステップS105以降の処理を行う際には、ステップS105でまず第5ヘッド62eを検査対象ヘッドに設定する。他の検査回路71についても同様である。第8検査回路71Hについては、第14ヘッド62nのみと対向しているため、ステップS105で第14ヘッド62nを検査対象ヘッドに設定する。
【0033】
続いて、ブロックの番号を表す変数pに値1をセット(ステップS110)し、第pブロックを検査対象ブロックに設定して(ステップS120)、検査対象ブロックの検査を実行する(ステップS130)。具体的には、コントローラー20は、検査対象ヘッドの第pブロックに属する15個のノズルを順次、検査対象ノズルに設定し、検査対象ノズルのピエゾ素子に、図9(a)に示す駆動信号COMを2回連続して付与し、その後、駆動信号COMを所定期間付与しないようにする。これにより、検査対象ノズルは、2回の吐出検査と1回のノイズ検査とが実施されることになる。検査ユニット70の検出制御部76は、検査電極72とノズルプレート63との間に電圧を印加した状態で、増幅器77から出力される2回の吐出検査の検出信号と1回のノイズ検査の検出信号を取得し、検出制御部76の図示しない一時記憶領域に記憶する。そして、第pブロックに属する15個のノズルのすべてについて、各3つの検出信号を一時記憶した後、検出制御部76は、デジタル信号出力ルーチンを実行する。このときの検出制御部76の一時記憶領域に記憶されたデータを図13に示す。1〜3番目のデータは、第pブロックに属するノズルのうち番号(#1とか#2)の最小のものについての吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の検出信号であり、4〜6番目のデータは、第pブロックに属するノズルのうち番号が2番目に小さいものについての吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の検出信号である。これ以降のデータについても、意味するところは同じであるため説明を省略する。
【0034】
ここで、検出制御部76が実行するデジタル信号出力ルーチンについて、図14のフローチャートを用いて説明する。このルーチンは、第pブロックに含まれるすべてのノズルの検出信号の検出が終了した時点、つまり、図13に示す一時記憶領域に1〜45個のデータがすべて記憶された時点で開始される。このルーチンが開始されると、検出制御部76は、まず、変数kに値1をセットする(ステップS310)。続いて、検出制御部76の一時記憶領域から第k番目のデータを読み出し(ステップS320)、そのデータつまり検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えるか否かを判定する(ステップS330)。そして、振幅Vaが閾値Vthを超えていたならば、「振幅大」を表すデジタル信号を検出制御部76の図示しない送信用レジスターの第k番目の位置に書き込む(ステップS340)。一方、振幅Vaが閾値Vth以下ならば、「振幅小」を表すデジタル信号を検出制御部76の送信用レジスターの第k番目の位置に書き込む(ステップS350)。そして、ステップS340又はステップS350で送信用レジスターへの書き込みが終了した後、変数kは上限値(ここでは1ブロックに含まれるノズル数は15個のため上限値は値45)に達しているか否かを判定し(ステップS360)、変数kが上限値に達していなければ、変数kを1インクリメントし(ステップS370)、再びステップS320に戻る。一方、変数kが上限値に達していたならば、送信用レジスターの内容をコントローラー20へ送信し(ステップS380)、このルーチンを終了する。つまり、検出制御部76は、送信用レジスターのフル容量分のデジタル信号(45個のデジタル信号)が格納されたあと、その送信用レジスターの内容をコントローラー20へ送信する。このときの送信用レジスターのデータを図15に示す。
【0035】
図12に戻り、コントローラー20は、検出制御部76から1ブロック分のデジタル信号(45個のデジタル信号)を取得したか否かを判定し(ステップS140)、取得していなければ再びステップS140に戻る。一方、検出制御部76から1ブロック分のデジタル信号を取得したならば、統合判定を実施し、ノズルと統合判定結果との対応付けを行う(ステップS150)。例えば、検査対象ブロックが第1ブロックの場合には、45個のデジタル信号のうち1〜3番目のデジタル信号がMk列の#1のノズルの吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の結果を表し、4〜6番目のデジタル信号がMk列の#2のノズルの吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の結果を表す、という具合に、どのデジタル信号がどのノズルに対応しているかを特定していく。それと共に、特定したノズルにつき、それに対応した3つのデジタル信号を統合判定して正常か異常かを決定する。なお、正常か異常かの判定(統合判定)は、既に図10を用いて説明したとおりである。こうして統合判定を実施した後、特定したノズルにつき、統合判定の結果を対応づける。その一例を図16に示す。図16(a)は検査制御部76からのデジタル信号、図16(b)はノズルごとの統合判定の結果を示す。
【0036】
続いて、コントローラー20は、第pブロックに含まれる15個のノズルの統合判定の結果に「不明」のものがあるか否かを判定する(ステップS160)。ステップS160で「不明」のものがあったならば、再検査回数Sを値1インクリメントし(ステップS170)、検査回路71が検査不能か否かを判定する(ステップS180)。具体的には、再検査回数Sが閾値Sthを超過したか否かを判定し、超過しているときには検査回路71が検査不能であると判定する。ここで、再検査回数Sは、今回の第pブロックを再度検査対象ブロックに設定するステップS190(後述)の繰り返し回数を表す値であり、初期値は値0に設定されている。また、閾値Sthは、ステップS190の繰り返し回数の上限値(例えば値5)として設定されている値である。そして、本実施形態では、ノズルの統合判定結果に「不明」のものがある場合には後述するように再検査を行うのであるが、この再検査回数Sが閾値Sthを超えたときに検査回路71による検査ができないとみなして、ステップS180で検査不能であると判定するのである。そして、このステップS180で否定的な判定をしたときには、検査不能でないと判定して、今回の第pブロックを再度検査対象ブロックに設定し(ステップS190)、ステップS130に戻る。これにより、ブロック単位で再検査が実施される。
【0037】
最初の検査において不明ノズルがない場合や再検査により不明ノズルがなくなったときには、ステップS160で否定的な判定をして、再検査回数Sを値0に初期化し(ステップS215)、第pブロックのうちの15個の特定されたノズルとその統合判定の結果との対応関係を確定してメモリー28に保存する(ステップS220)。その後、変数pは上限値(ここではブロックの総数)に達しているか否かを判定し(ステップS230)、変数pが上限値に達していなければ、変数pを1インクリメントし(ステップS240)、再びステップS120に戻る。これにより、次のブロックの検査が実施されることになる。
【0038】
ステップS230で変数pが上限値に達していたならば、検査電極72と対向する未検査のヘッド62があるか否かを判定する(ステップS250)。例えば、第1検査回路71Aについて、上述したステップS105により第1ヘッド62aを検査対象ヘッドに設定してノズル検査を行ったときには、第1検査電極72Aと対向する第3ヘッド62cが未検査であるため、ステップS250で肯定的な判定をする。そして、肯定的な判定をすると、未検査のヘッドを次の検査対象ヘッドに設定して(ステップS260)、ステップS110に戻る。これにより、未検査のヘッドについてノズル検査が行われることになる。そして、検査電極72と対向する未検査のヘッドがなくなったときには、ステップS250で肯定的な判定をして、本ルーチンを終了する。
【0039】
一方、再検査を繰り返しても不明ノズルがなくならず、再検査回数Sが閾値Sthを超えたときには、ステップS180で肯定的な判定をし、検査不能と判定された検査回路71及び未検査ノズルをメモリー28に記憶して(ステップS270)、本ルーチンを終了する。なお、上述したようにステップS105以降の処理は8つの検査回路71A〜Hのそれぞれについて独立して実行されているため、8つの検査回路A〜HのうちステップS180で肯定的な判定をした検査回路71と、その検査回路71によりノズル検査を行うはずであったがまだノズル検査を行っていない未検査ノズルとをメモリー28に記憶することになる。例えば、検査回路71AについてステップS105以降の処理を行い、ステップS180で肯定的な判定をしたときの検査対象ヘッドが第1ヘッド62aであり、検査対象ブロックが第5ブロック(変数pが値5)であったときには、検査不能な検査回路71が第1検査回路71Aであり、第1ヘッド62aの第5〜第96ブロック及び第3ヘッド62cの第1〜第96ブロックのノズルが未検査ノズルである旨がメモリー28に記憶される。
【0040】
以上の統合判定ルーチンを行うことにより、各ヘッド62のノズル検査が行われる。具体的には、第1検査回路71Aを用いた第1ヘッド62a,第3ヘッド62cのノズル検査、第2検査回路71Bを用いた第5ヘッド62e,第7ヘッド62gのノズル検査、第3検査回路71Cを用いた第9ヘッド62i,第11ヘッド62kのノズル検査、第4検査回路71Dを用いた第13ヘッド62m,第15ヘッド62oのノズル検査、第5検査回路71Eを用いた第2ヘッド62b,第4ヘッド62dのノズル検査、第6検査回路71Fを用いた第6ヘッド62f,第8ヘッド62hのノズル検査、第7検査回路71Gを用いた第10ヘッド62j,第12ヘッド62lのノズル検査、第8検査回路71Hを用いた第14ヘッド62nのノズル検査、が行われる。なお、上述したステップS180で検査不能と判定された検査回路71がある場合には、その検査回路71に対向するヘッド62のノズルのうち少なくとも一部は、統合判定ルーチンが終了してもノズル検査が行われてない未検査ノズルとなる。
【0041】
次に、検査不能時処理ルーチンについて、図17を用いて説明する。検査不能時処理ルーチンは、統合判定ルーチンで検査不能と判定された検査回路71を用いてノズル検査を行うはずだった未検査ノズルについて、他の検査回路71によりノズル検査を行うためのものである。コントローラー20は、検査回路71A〜Hのすべてについての上述した統合判定ルーチンが終了すると、この検査不能時処理ルーチンを実行する。このルーチンが開始されると、コントローラー20は、まず、統合判定ルーチンで検査不能と判定された検査回路71があるか否かを判定する(ステップS410)。この判定は、メモリー28を調べて、上述した統合判定ルーチンのステップS270で記憶された検査不能な検査回路71があるか否かを判定することにより行う。そして、検査不能な検査回路71がメモリー28に記憶されていない場合には、否定的な判定をして本ルーチンを終了する。
【0042】
検査不能な検査回路71がメモリー28に記憶されている場合には、ステップS410で肯定的な判定をして、検査不能な検査回路71と対向する未検査ノズルを他の検査回路71と対向させる(ステップS420)。この処理は、コントローラー20が移動ユニット50を制御してヘッドユニット60を移動することにより行う。なお、検査不能な検査回路71と対向する未検査ノズルがいずれであるかは、ステップS270で記憶した未検査ノズルを調べることで特定する。そして、移動後に未検査ノズルと対向する検査回路71を用いて、未検査ノズルについてのノズル検査を行って(ステップS430)、本ルーチンを終了する。
【0043】
ここで、この検査不能時処理ルーチンを行う様子を図18を用いて説明する。例えば、第1検査回路71Aを用いて統合判定ルーチンのステップS105以降の処理を行うにあたり、第1ヘッド62aの第1〜48ブロックまでのノズル検査は完了し、第49ブロックのノズル検査を行う際には不明ノズルがなくならず、再検査回数Sが閾値Sthを超えたとする。この場合、変数pが値49のときの統合判定ルーチンのステップS180で肯定的な判定をして、ステップS270で検査回路71Aが検査不能である旨と、第1ヘッド62aの第49〜96ブロック及び第3ヘッド62cの第1〜96ブロックのノズルが未検査ノズルである旨とがメモリー28に記憶されることになる。なお、このように不明ノズルがなくならない場合としては、例えば検査電極71状にインクが堆積して、このインクによりノイズが発生している場合などが挙げられる。そして、他の検査回路71B〜71Hについては検査不能とならずに統合判定ルーチンが終了したとすると、検査不能時処理ルーチンの開始時には図18(a)に示す状態となっている。すなわち、第1検査回路71Aは検査不能であり、第1ヘッド62aの第49〜96ブロック及び第3ヘッド62cの第1〜96ブロックのノズルはノズル検査が完了しておらず未検査ノズルのままとなっている。また、それ以外のヘッド62のノズルは全てノズル検査が完了している。この状態で検査不能時処理ルーチンを行うと、ステップS410で肯定的な判定をして、ステップS420で移動ユニット50を制御し、未検査ノズルが検査不能な第1検査回路71A以外の検査回路と対向するようにヘッドユニット60をY方向の下端側に移動させる。これにより、図18(b)の状態となる。すなわち、未検査ノズルである第1ヘッド62aの第49〜96ブロック及び第3ヘッド62cの第1〜96ブロックのノズルが第2検査回路71Bの第2電極72Bと対向した状態になる。そして、続くステップS430でこの未検査ノズルのノズル検査を第2検査回路71Bを用いて行う。このノズル検査は、上述した統合判定ルーチンのステップS105以降と同様にして行えばよい。例えば図18(b)の状態となった場合には、ステップS105,S110の代わりに、検査対象ヘッドを第1ヘッド62aとし、変数pを値49とする処理を行って、ステップS120以降の処理を行えばよい。これにより、第2検査回路71Bを用いて未検査ノズルのノズル検査が行われる。そして、ノズル検査が完了したときは、検査不能時処理ルーチンを終了する。このように検査不能時処理ルーチンを行うことで、検査不能な検査回路71があっても、他の検査回路71を用いて未検査ノズルのノズル検査を行うことができる。なお、図18(b)では、第2検査回路71Bの検査電極72Bを未検査ノズルと対向させてノズル検査を行ったが、検査不能でない検査回路71でノズル検査を行えばよく、第3検査回路71C〜第8検査回路71Hのいずれかの検査電極72を未検査ノズルと対向させてもよい。なお、ヘッドユニット62の移動に要する時間が少なくなるよう、検査不能な検査回路71に最も近い検査回路71を未検査ノズルに対向させることとすれば、ノズル検査の総時間を短くできる。
【0044】
次に、遅延時処理ルーチンについて図19を用いて説明する。この遅延時処理ルーチンは、8つの検査回路71を用いたノズル検査を行うにあたり、ノズル検査が遅延している検査回路71の未検査ノズルを他の検査回路71を用いて検査し、ノズル検査の総時間を短くするためのものである。コントローラー20は、統合判定ルーチンの実行中に、所定時間ごとにこの遅延時処理ルーチンを繰り返し実行する。
【0045】
このルーチンが開始されると、コントローラー20は、まず、8つの検査回路71のうち、他の検査回路71と比べてノズル検査が遅延しているものがあるか否かを判定する(ステップS510)。この判定は、例えば、8つの検査回路71のうち、ノズル検査を完了したブロック数が最も少ない検査回路71と最も多い検査回路71とを比較して、ノズル検査を完了したブロック数の差が所定の閾値以上であるか否かを判定することにより行う。なお、この判定は、ステップS180で検査不能と判定された検査回路71は除いて、それ以外の検査回路71のみで行う。そして、否定的な判定をしたときにはそのまま本ルーチンを終了する。
【0046】
ステップS510で肯定的な判定をしたときには、ヘッドユニット60の移動方向を設定する(ステップS520)。この移動方向は、詳しくは後述するが、ノズル検査が遅延している検査回路71と対向するヘッド62の未検査ノズルを、他の検査回路71を用いて検査させるための移動方向である。本実施形態では、この移動方向は、ステップS510でノズル検査が遅延していると判定された検査回路71がいずれであるかにより設定する。具体的には、ノズル検査が遅延していると判定された検査回路71が第1検査回路71A,第2検査回路71B,第5検査回路71E,第6検査回路71Fのいずれかであったときには、ヘッドユニット60の移動方向をY方向の下端側に設定する。一方、ノズル検査が遅延していると判定された検査回路71が第3検査回路71C,第4検査回路71D,第7検査回路71G,第8検査回路71Hのいずれかであったときには、ヘッドユニット60の移動方向をY方向の上端側に設定する。
【0047】
続いて、ステップS520で設定した移動方向にヘッドユニット60を移動可能であるか否かを判定する(ステップS530)。具体的には、ステップS520で設定した移動方向にヘッドユニット60を所定距離だけ移動させたときに、ヘッド62の未検査ノズルが検査電極72と対向する位置から外れないか否かを判定する。このような判定を行う理由については後述する。なお本実施形態では、所定距離とは、図8に示した距離Lの半分の距離であるものとした。そして、ステップS530で否定的な判定をしたときには、そのまま本ルーチンを終了する。
【0048】
一方、ステップS530で肯定的な判定をすると、ノズル検査が遅延していると判定された検査回路71と対向する未検査ノズルが、他の検査回路71と対向するよう、ヘッドユニット60をステップS520で設定した移動方向に所定距離だけ移動させる(ステップS540)。そして、移動後に未検査ノズルと対向する検査回路71を用いて、未検査ノズルについてのノズル検査を開始して(ステップS550)、本ルーチンを終了する。このステップS550は、具体的には次のように行う。すなわち、まず、それまで実行していた統合判定ルーチンを中止する。そして、移動後に未検査ノズルと対向する検査回路71を用いて未検査ノズルのノズル検査を行うよう、ステップS105,ステップS110,S120の代わりの処理として各検査回路71の検査対象ヘッド及び検査対象ブロックを改めて設定し、統合判定ルーチンのステップS130以降の処理を改めて開始する。
【0049】
ここで、この遅延時処理ルーチンを行う様子を図20,図21を用いて説明する。図20は、時刻t0から統合判定ルーチンを開始して各検査回路71を用いたノズル検査を順次行う様子を示す説明図である。図21は、図20における時刻t1,t2,t3における各検査電極72と各ヘッド62の状態を示す説明図である。なお、図20において、括弧内の数字は各ヘッド62のブロック番号を表す。図20(a)に示すように、時刻t0から統合判定ルーチンが開始されると、コントローラー20は、統合判定ルーチンを開始し各検査回路71を用いて順次ノズル検査を行う。また、遅延時処理ルーチンを時刻t0から所定時間ごとに繰り返し実行する。そして、例えば各検査回路71の処理速度にばらつきがあったり、統合判定ルーチンにおいてステップS180で肯定判定されてはいないもののたびたび不明ノズルが発生して再検査を行ったりすることにより、第1検査回路71Aのノズル検査が遅延しているとする。このような場合には、ノズル検査を完了したブロック数が最も少ない第1検査回路71Aと最も多い他の検査回路71とで、ノズル検査を完了したブロック数の差が時間経過とともに大きくなっていく。そして、時刻t1で実行した遅延時処理ルーチンにおいて、その差が初めて所定の閾値以上となったとすると、ステップS510で肯定的な判定をする。このときの各検査電極72及び各ヘッド62の状態を図21(a)に示す。ステップS510で肯定的な判定をすると、遅延しているのは第1検査回路71Aであるため、ステップS520でヘッドユニット60の移動方向をY方向の下端側に設定する。続いて、ステップS530でヘッドユニット60を移動可能か否かを判定する。ここで、図20(a)及び図21(a)に示すように時刻t1の時点では第4検査電極72Dと対向している第15ヘッド62oの第86〜96ブロックのノズルは未検査ノズルである。したがって、所定距離(Y方向の下端側に距離L/2)だけヘッドユニット60を移動させると、第15ヘッド62oの未検査ノズルが検査電極72と対向する位置から外れてしまう。すなわち、未検査ノズルがいずれの検査電極72とも対向しなくなり、その状態ではこの未検査ノズルの検査を行うことができなくなる。そのため、ステップS530では否定的な判定をして、ヘッドユニット60の移動を行わずに遅延時処理ルーチンを終了する。このように、ステップS530の判定を行うことで、ヘッドユニット60の移動により未検査ノズルが検査電極72と対向する位置から外れないようにし、移動後の状態でノズル検査を行えない未検査ノズルが生じないようにしているのである。
【0050】
次に、時刻t2で遅延時処理ルーチンが実行されたときを考える。このときの状態を図20(b),図21(b)に示す。遅延時処理ルーチンを実行すると、時刻t2でも第1検査回路71Aによるノズル検査は遅延しているためステップS510で肯定的な判定をし、ステップS520ではY方向の下端側に移動方向が設定される。そして、続くステップS530では、時刻t1と異なり第4検査電極72Dを用いたノズル検査は完了しているため、ヘッドユニット60をY方向の下端側に所定距離だけ移動しても、ヘッド62の検査電極72と対向する位置から外れる未検査ノズルはない。そのため、ヘッドユニット60は移動可能でありステップS530では肯定的な判定をする。そして、ステップS540でヘッドユニット60を所定距離(L/2)だけ移動させる。ヘッドユニット60の移動直後である時刻t3の状態を図20(c),図21(c)に示す。図示するように、この移動により、各検査電極72と対向するヘッド62が変化する。これにより、検査の遅延している第1検査回路71Aと対向していた第1ヘッド62a,第3ヘッド62cのうち、第3ヘッド62cが第2検査回路71Bと対向することになる。そして、ステップS550の処理を行って、移動後の時刻t3から未検査ノズルの検査を開始する。具体的には、第1検査回路71Aを用いて第1ヘッド62aの第91ブロックからノズル検査を開始し、第2検査回路71Bを用いて第3ヘッド62cの第1ブロックからノズル検査を開始し、第3検査回路71Cを用いて第7ヘッド62gの第75ブロックからノズル検査を開始し、第4検査回路71Dを用いて第11ヘッド62kの第78ブロックからノズル検査を開始し、第6検査回路71Fを用いて第4ヘッド62dの第85ブロックからノズル検査を開始し、第8検査回路71Hを用いて第12ヘッド62hの第90ブロックからノズル検査を開始するよう、各検査回路71の検査対象ヘッド及び検査対象ブロックを設定して、統合判定ルーチンのステップS130以降の処理を各検査回路71について行う。なお、図21(c)からわかるように、第5検査回路71E及び第7検査回路71Gについては、対向するヘッド62に未検査ノズルがないため、ノズル検査は行わない。
【0051】
このように、遅延時処理ルーチンを行うことで、ノズル検査の総時間を短縮することができる。すなわち、遅延時処理ルーチンを行わず、ノズル検査の遅延している第1検査回路71Aを用いて第1ヘッド62a及び第3ヘッド62cのノズル検査をそのまま行おうとすると、第1検査回路71Aのノズル検査速度が遅いままであった場合は、図21(a),(b)に示す時刻t5にすべてのノズルの検査が完了することになる。これに対し、遅延時処理ルーチンを行うと、第1検査回路71Aが検査するはずであった第3ヘッド62cをノズル検査速度が遅くない第2検査回路71Bを用いて検査するため、図21(c)に示すように時刻t5よりも早い時刻t4ですべてのノズル検査が完了する。
【0052】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の検査不能と判定された検査回路71(図18では第1検査回路71A)や遅延が生じていると判定された検査回路71(図21では第1検査回路71A)が本発明の第1検査部に相当し、検査不能と判定されていない検査回路71(図18では第2検査回路71B〜第8検査回路71H)や遅延が生じていると判定されていない検査回路71(図21では第2検査回路71B〜第8検査回路71H)が第2検査部に相当し、検査不能と判定された検査回路71(図18では第1検査回路71A)や遅延が生じていると判定された検査回路71(図21では第1検査回路71A)とステップS100で対向するヘッド62(図18,図21では第1ヘッド62a,第3ヘッド62c)が本発明の第1ノズル群に相当し、検査不能と判定されていない検査回路71(図18では第2検査回路71B〜第8検査回路71H)や遅延が生じていると判定されていない検査回路71(図21では第2検査回路71B〜第8検査回路71H)とステップS100で対向するヘッド62(図18,21では、第2ヘッド62b,第4ヘッド62d〜第15ヘッド62o)が第2ノズル群に相当し、検査ユニット70が検査ユニットに相当し、移動ユニット50が移動ユニットに相当し、コントローラー20が判定手段に相当する。また、ノズルプレート63が第1電極に相当し、検査電極72が第2電極に相当する。なお、本実施形態では、プリンター10の動作を説明することにより本発明のノズル検査方法の一例も明らかにしている。
【0053】
以上説明した本実施形態のプリンター10によれば、検査回路71のいずれかに異常があると判定したときには、異常と判定された検査回路71とステップS100で対向していたヘッド62の未検査ノズルの少なくとも一部と、異常と判定された検査回路71以外の検査回路71とが対向するように移動ユニット50を制御して、異常と判定された検査回路71以外の検査回路71を用いて未検査ノズルについてのノズル検査を行って未検査ノズルの吐出の良否を判定する。そのため、異常のある検査回路71とステップS100で対向していたヘッド62の未検査ノズルについて、異常のある検査回路71のみで未検査ノズルの検査を行う場合と比較して、複数の検査部を用いて効率的にノズル検査を行うことができる。
【0054】
以上説明した本実施形態のプリンター10によれば、検査回路71の異常として検査回路71のいずれかが検査不能であると判定したときには、検査不能な検査回路71とステップS100で対向していたヘッド62の未検査ノズルと、検査不能な検査回路71以外の検査回路71とが対向するように移動ユニット50を制御して、検査不能な検査回路71以外の検査回路71を用いて未検査ノズルについてのノズル検査を行って、すべての未検査ノズルの吐出の良否を判定する。そのため、検査不能な検査回路71による吐出の有無の検査ができない場合でも、他の検査回路71を用いてすべての未検査ノズルの吐出の良否を判定することができる。
【0055】
また、検査回路71の異常として検査回路71のいずれかが検査不能ではないがノズル検査が遅延していると判定したときには、遅延していない検査回路71と対向している未検査ノズルが検査回路71と対向する位置から外れない範囲で、遅延している検査回路71のうちの少なくとも一部が他の遅延していない検査回路71と対向し残りが遅延している検査回路71と対向するように移動ユニット50を制御して、各検査回路71を用いて、移動後に各検査回路と対向する未検査ノズルのノズル検査を行う。こうすれば、他の検査回路71よりもノズル検査の完了が遅延する検査回路71があるときには、その検査回路71の未検査ノズルの一部を他の遅延していない検査回路71を用いて検査するため、ノズル検査の総時間を短くできる。
【0056】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0057】
例えば、上述した実施形態では、ステップS180において再検査回数Sが閾値Sthを超えたときに検査回路71が検査不能であると判定したが、他の方法により検査不能か否かを判定してもよい。例えば、ステップS160において1ブロックに含まれる15個のノズルの統合判定の結果に含まれる「不明」ノズルの数が検査不能であるとみなせる所定の閾値以上である場合に、検査不能であると判定してもよい。また、ノイズ検査期間における振幅Vaが、検査不能であるとみなせる所定の閾値(閾値Vthよりも大きい値)以上であったときに、検査不能であると判定してもよい。
【0058】
上述した実施形態では、ステップS510において、ノズル検査を完了したブロック数が最も少ない検査回路71と最も多い検査回路71とを比較して、ノズル検査を完了したブロック数の差が所定の閾値以上であるか否かを判定することによりノズル検査が遅延している検査回路71があるか否かを判定したが、他の方法で判定してもよい。例えば、ステップS270で再検査回数Sをインクリメントした回数の合計を再検査累積回数として検査回路71ごとに記憶しておき、この再検査累積回数が検査が遅延しているとみなせる所定の閾値以上となった検査回路71について遅延していると判定してもよい。
【0059】
上述した実施形態では、ステップS520において遅延している検査回路71がいずれであるかによりヘッドユニット60の移動方向を設定しているが、他の方法で設定してもよい。例えば、図8所定距離だけヘッドユニット60を移動するにあたり、未検査ノズルが検査電極72と対向する位置から外れない方向を移動方向に設定してもよい。すなわち、移動により検査電極72と対向する位置から外れるヘッド62に未検査ノズルが含まれないように、移動方向を設定してもよい。例えば、図8の第1ヘッド62a,第2ヘッド62bに未検査ノズルがない場合にはヘッドユニット60の移動方向を上方向に設定して所定距離(L/2)だけ移動し、第15ヘッド62oに未検査ノズルがない場合にはヘッドユニット60の移動方向を下方向に設定して所定距離(L/2)だけ移動するものとしてもよい。
【0060】
上述した実施形態では、ステップS540によるヘッドユニット60の移動距離は所定距離(L/2)であるものとしたが、これ以外の移動距離を所定距離としてもよい。例えば、移動距離を距離Lとして、遅延している検査回路71と対向している未検査ノズルを、全て他の検査回路71と対向させてノズル検査を行うこととしてもよい。また、1つのヘッド62を2つの検査回路71とが対向するように移動距離を定めて、1つのヘッド62の一部のノズルを1つの検査回路71が検査し、それ以外のノズルをもう1つの検査回路71が検査するようにしてもよい。また、移動距離を可変としても良い。例えば、遅延している検査回路71が現在1つ目のヘッド62のノズル検査の途中である場合には、移動距離を距離Lとし、2つ目のヘッド62のノズル検査の途中である場合には、移動距離を距離L/2としてもよい。
【0061】
上述した実施形態では、ステップS520で設定する移動方向はY方向であるものとしたが、X方向であってもよい。その場合でも、上述した実施形態と同様、移動により未検査ノズルが検査電極72と対向する位置から外れない場合に移動を行うものとすればよい。また、X方向とY方向とに共に移動してもよい。例えば、第1検査回路71Aと第2ヘッド62b及び第4ヘッド62dとが対向する位置までX方向とY方向にヘッドユニット60を移動させるものとしてもよい。
【0062】
上述した実施形態では、第4検査回路71Dは第13ヘッド62mを先に検査対象ヘッドに設定し、次に第15ヘッド62oを検査対象ヘッドに設定するものとしたが、先に第15ヘッド62oを検査対象ヘッドに設定してもよい。こうすれば、ヘッドユニット60の移動により検査回路71と対向する位置から外れやすい第15ヘッド62o(ヘッドユニット60の移動方向に沿った端部に近いヘッド)のノズル検査を優先的に行ってノズル検査を先に完了するため、ステップS530で移動可能と判断されやすくなり、より効率的に複数の検査回路71によるノズル検査を行うことができる。
【0063】
上述した実施形態では、図11や図18,21からわかるように、1つのヘッド62についてX方向の上流側から下流側に向かって未検査ノズルがなくなるよう(上流側のノズルが下流側のノズルよりも優先的に検査されるよう)にノズルの検査順が定められているが、Y方向の上端側から下端側に向かって未検査ノズルがなくなるよう(上端側のノズルが下端側のノズルよりも優先的に検査されるように)にノズルの検査順を定めたり、Y方向の下端側から上端側に向かって未検査ノズルがなくなるよう(下端側のノズルが上端側のノズルよりも優先的に検査されるように)にノズルの検査順を定めたりしてもよい。こうすれば、例えは第1ヘッド62a,第2ヘッド62bについてはY方向の上端側のノズルから優先的にノズル検査をし、第14ヘッド62n,第15ヘッド62oについてはY方向の下端側のノズルから優先的にノズル検査をするものとすることで、遅延時処理ルーチンにおいてY方向にヘッドユニット60を移動させるにあたり、ヘッドユニット60の移動により検査回路71と対向する位置から外れやすいノズルのノズル検査が優先的に完了する。このため、例えば距離L/2の移動はできないが距離L/3の移動を行っても未検査ノズルが検査回路71と対向する位置から外れない場合には、距離L/3だけ移動を行うなどとすることができ、より効率的に複数の検査回路71によるノズル検査を行うことができる。
【0064】
上述した実施形態では、図11に示す順にブロック分けを行って、第1ブロックからノズル検査を行うこととしたが、ブロック分けを行わず、ステップS120でノズルを1つ検査対象ノズルに設定し、ステップS130で1つの検査対象ノズルの検査を実行することとし、未検査ノズルがなくなるまで順に検査対象ノズルを設定していくものとしてもよい。
【0065】
上述した実施形態において、検査不能と判定された検査回路71が複数ある場合には、検査不能時処理ルーチンを複数回行ってもよい。すなわち、最終的に未検査ノズルがすべてなくなるまで、検査不能でない検査回路71によりノズル検査を行えばよく、一度の検査不能時処理ルーチンですべての未検査ノズルを検査不能でない検査回路71と対向させる必要はない。例えば、第1検査回路71A〜第7検査回路71Gが検査不能と判定され、第1ヘッド62a〜第13ヘッド62m,第15ヘッド62oの全てに未検査ノズルがあるときには、検査不能時処理ルーチンを7回行ってすべての未検査ノズルのノズル検査を第8検査回路71Hを用いて行ってもよい。
【0066】
上述した実施形態では、検査不能な検査回路71がある場合やノズル検査の遅延が生じている検査回路71があるときに、ヘッドユニット60の移動を行って他の検査回路71により未検査ノズルの検査を行うものとしたが、これに限らず検査回路71の異常時にヘッドユニット60の移動を行って異常のない検査回路71により未検査ノズルの検査を行うものであればよい。検査回路71の異常とは、例えば検出制御部76や高圧電源74の異常であってもよい。
【0067】
上述した実施形態では、移動ユニット50はヘッドユニット60を移動させて検査ユニット70との位置関係を変更するものとしたが、ヘッドユニット60と検査ユニット70とが相対的に移動可能であればよい。例えば、移動ユニット50が検査ユニット70を移動させるものとしてもよいし、ヘッドユニット60と検査ユニット70とを共に移動させるものとしてもよい。また、検査ユニット70のうち検査電極72のみ移動させるものとしてもよい。なお、ノズル検査は検査電極72とヘッド62とが対向していれば可能であり、ノズル検査を行うにあたり検査回路71のうち検査電極72以外の構成要素がヘッドユニット60と対向している必要はない。
【0068】
上述した実施形態では、検査回路71は、検査電極72をノズルプレート63とを対向させて両者間に電圧を印加した状態で、対向するノズルから検査電極72に向かってインクを吐出させる吐出検査期間やインクを吐出させないノイズ検査期間における電気的変化を検出して吐出の有無やノイズの有無を検査するものとしたが、ヘッドユニット60と対向してノズルからの吐出の有無を検査するものであれば、検査回路71はどのようなものであってもよい。例えば、ノイズの有無を検査しないものとしてもよい。また、上部が開口した部材で形成されたキャップであり、レーザー光を発射する発光素子と入射する受光素子とを備えたものを検査回路としてもよい。この場合、この検査回路が対向するノズルからのインクの吐出によりレーザー光が遮断されたか否かを受光素子で検出してインクの吐出の有無を検査するものとすればよい。さらに、対向するノズルから吐出された液体が着弾したときの圧力変化の有無によりインクの吐出の有無を検出するものを検出回路としてもよい。このように、検査回路が本実施形態以外の方法で吐出の有無を検査するものである場合でも、検査回路を複数備え、いずれかの検査回路の異常時にヘッドユニットと検査回路とを相対的に移動させて異常のない検査回路により未検査ノズルの検査を行うものとすれば、本実施形態と同様に効率的にノズル検査を行うことができる。
【0069】
上述した実施形態では、ノズルプレート63をグランド電位、検査電極72を高電位にし、検査電極72の電圧変化を検出したが、ノズルプレート63を高電位、検査電極72をグランド電位にし、ノズルプレート63の電圧変化を検出してもよい。
【0070】
上述した実施形態では、検査電極72はプラテン48の横の平坦面に設けたが、検査電極72はヘッド62のキャップの内部に設けてもよい。こうしたキャップは、ノズルの乾燥を防止する際に使用する保湿キャップでもよいし、ノズル内のゴミやインクを吸引してクリーニングする際に使用するクリーニングキャップでもよい。
【0071】
上述した実施形態では、インクジェットの方式として、ピエゾ素子を用いて圧力によりインクを吐出させる方式を例示したが、例えば、熱によりノズル内に気泡を発生させる方式などを採用してもよい。
【0072】
上述した実施形態では、本発明の液体吐出装置をインクジェットプリンター10に具体化した例を示したが、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体などを吐出する流体吐出装置に具体化してもよいし、流体として吐出可能な固体を吐出する流体吐出装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を溶解した液体を吐出する液体吐出装置、同材料を分散した液状体を吐出する液状体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置としてもよい。また、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を吐出する粉体吐出式記録装置としてもよい。
【符号の説明】
【0073】
10 プリンター、20 コントローラー、22 CPU、24 ユニット制御回路、26 インターフェース部、28 メモリー、30 ユニット群、40 搬送ユニット、42 上流側ローラー、44 下流側ローラー、46 巻取機構、48 プラテン、50 移動ユニット、52 X軸ステージ、54 Y軸ステージ、60 ヘッドユニット、62 ヘッド、62a〜62o 第1〜第15ヘッド、63 ノズルプレート、70 検査ユニット、71 検査回路、71A〜71H 第1〜第8検査回路、72 検査電極、72A〜72H 第1〜第8検査電極、73 第1制限抵抗、74 高圧電源、75 第2制限抵抗、76 検出制御部、77 増幅器、78 検査用コンデンサー、79 平滑コンデンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルからなる第1ノズル群及び第2ノズル群を備えたヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットと対向してノズルからの吐出の有無を検査する第1検査部及び第2検査部を備えた検査ユニットと、
前記ヘッドユニットと前記検査ユニットとを相対的に移動させる移動手段と、
前記第1ノズル群と前記第1検査部とが対向し前記第2ノズル群と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第1検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定し、前記第2ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する吐出判定を行う処理手段と、
を備え、
前記処理手段は、前記吐出判定を行うにあたり、前記第1検査部に異常があるとみなせる異常条件が成立したときには、前記第1ノズル群のうち吐出の良否を判定していない未検査ノズルの少なくとも一部と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のうち該第2検査部と対向する未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する、
液体吐出装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記異常条件として前記第1検査部による吐出の有無の検査ができないとみなせる条件が成立したときには、前記第1ノズル群の未検査ノズルと前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、該未検査ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該未検査ノズルの吐出の良否を判定する処理を行い、すべての未検査ノズルの吐出の良否を該第2検査部の検査結果に基づいて判定する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記第1ノズル群と前記第1検査部とが対向し前記第2ノズル群と前記第2検査部とが対向した状態において、前記異常条件として第1検査部による吐出の有無の検査は可能だが前記第1ノズル群のすべてのノズルの吐出の良否判定の完了が前記第2ノズル群に比べて遅延するとみなせる条件が成立したときには、前記第2ノズル群の未検査ノズルが前記第2検査部と対向する位置から外れない範囲で、前記第1ノズル群の未検査ノズルのうち少なくとも一部が前記第2検査部と対向し残りが前記第1検査部と対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のうち該第2検査部と対向する未検査ノズル及び前記第2ノズル群の未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定し、前記第1ノズル群のうち該第1検査部と対向する未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第1検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ヘッドユニットは、前記液体と接触する第1電極を有し、
前記第1検査部及び前記第2検査部は、前記第1電極に対向可能な第2電極をそれぞれ有しており、該第1電極と該第2電極とを対向させて両電極間に電圧を印加した状態で、対向するノズルから該第2電極に向かって液体を吐出させる吐出検査期間における両電極間の電気的変化を検出すると共に対向するノズルのすべてから液体を吐出させないノイズ検査期間における両電極間の電気的変化を検出する動作を、前記対向する各ノズルごとに行い、各ノズルにつき前記電気的変化に関する信号に基づいて吐出の有無及びノイズの有無を検査し、
前記処理手段は、前記検査結果である吐出の有無及びノイズの有無に基づいてノズルの吐出の良否を判定し、前記ノイズ検査期間における両電極間の電気的変化に基づいて前記異常条件の成否を判定する、
請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
液体を吐出する複数のノズルからなる第1ノズル群及び第2ノズル群を備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットと対向してノズルからの吐出の有無を検査する第1検査部及び第2検査部を備えた検査ユニットと、前記ヘッドユニットと前記検査ユニットとを相対的に移動させる移動手段と、を備えた液体吐出装置のノズル検査方法であって、
前記第1ノズル群と前記第1検査部とが対向し前記第2ノズル群と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第1検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定し、前記第2ノズル群のノズルから順次液体を吐出させたときの前記第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定する吐出判定を行うにあたり、前記第1検査部に異常があるとみなせる異常条件が成立したときには、前記第1ノズル群のうち吐出の良否を判定していない未検査ノズルの少なくとも一部と前記第2検査部とが対向するように前記移動手段を制御して、前記第1ノズル群のうち該第2検査部と対向する未検査ノズルについては該ノズルから順次液体を吐出させたときの該第2検査部の検査結果に基づいて該ノズルの吐出の良否を判定するステップ、
を含むノズル検査方法。
【請求項6】
請求項5に記載のノズル検査方法を1又は複数のコンピューターに実現させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図20】
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