説明

液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラム

【課題】吐出検査における異物に起因するノイズの発生を抑制する。
【解決手段】ノズルプレート63と検査電極72とを対向させ両者間に電圧を印加した状態でヘッド62のノズルから検査電極72に向かってインクを吐出させたときの両者間の電気的変化に基づいて、ノズルからのインクの吐出の有無を判定する吐出検査を行う。そして、吐出検査の前に、ノズルの吐出検査時と比べて多量のインクをノズルから検査電極72へ吐出させる検査前吐出処理を行う。これにより、検査前吐出処理で吐出されたインクにより検査電極72上の異物を除去するか又はノズルプレート63と異物との距離を離すことができ、吐出検査における異物に起因するノイズを抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、ノズル検査方法及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、液体吐出装置として、ヘッドに形成された複数のノズルから吐出される液体を第1電位にする第1電極と、その第1電位とは異なる第2電位である第2電極との間に電圧を印加した状態で、複数のノズルから第2電極に向かって順次液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて各ノズルから液体が吐出されたか否かを判定するものが知られている。このようにノズルから液体が吐出されたか否かを判定する処理は、ノズル検査あるいは吐出検査と称される。
【0003】
例えば、特許文献1の液体吐出装置では、ヘッドと検査領域との間に所定の電位差を発生させた状態でノズルから液体を吐出させ、このときの電圧変化に基づいてノズル検査を行っている。また、吐出した液体がヘッドと検査領域とに付着することでこれらが電気的に繋がると、リーク電流が流れることでノズル検査の精度が低下する。このため、ヘッドと検査領域とを離間させる処理を行うことでヘッドと検査領域との短絡を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−136857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、液体によるリーク電流以外にも、電極に付着した埃などの異物がノイズの原因となり、ノズル検査の精度に影響する場合がある。特許文献1に記載の液体吐出装置では、ヘッドと検査領域との距離を離間させる処理を行っても、このような異物に起因するノイズの発生を抑制できない場合があった。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みなされたものであり、吐出検査における異物に起因するノイズの発生を抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体吐出装置は、
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、
前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させ両電極間に電圧を印加した状態で、前記ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出検査を行う吐出検査手段と、
前記吐出検査の前に、前記吐出検査時と比べて多量の液体を前記ノズルから前記第2電極へ吐出させる検査前吐出処理を行う処理手段と、
を備えたものである。
【0008】
この本発明の液体吐出装置では、第1電極と第2電極とを対向させ両電極間に電圧を印加した状態でノズルから第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて前記ノズルからの液体の吐出の有無を判定する吐出検査を行う。そして、その吐出検査の前に、吐出検査時と比べて多量の液体をノズルから第2電極へ吐出させる検査前吐出処理を行う。こうすれば、第2電極に異物がある場合に、吐出検査前に吐出された液体により異物を除去するか又は第1電極と異物との距離を離すことができる。したがって、吐出検査における異物に起因するノイズを抑制することができる。
【0009】
本発明の液体吐出装置において、前記処理手段は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加しない状態で前記検査前吐出処理を行う手段としてもよい。ここで、ノズルから吐出される液体が電荷を有すると、吐出された液体から電荷を有するミストが生じ、例えば第1電極などの周囲に付着してこれを汚してしまう場合がある。そこで、第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加しない状態で前記検査前吐出処理を行うことにより、検査前吐出処理で吐出された液体が電荷を有しにくくなり、このような汚れを抑制できる。
【0010】
本発明の液体吐出装置において、前記処理手段は、前記検査前吐出処理において、前記第2電極のうち前記吐出検査で前記第1電極と対向する領域内に前記ノズルから液体を吐出させる手段としてもよい。ここで、吐出検査時に第2電極のうち吐出検査で第1電極と対向する領域にある異物がノイズの原因となりやすい。そのため、この領域内に液体を吐出させることで、吐出検査における異物に起因するノイズを抑制しやすくなる。
【0011】
本発明の液体吐出装置において、前記ヘッドは、前記ノズルから複数種類の液体を吐出可能であり、前記処理手段は、前記検査前吐出処理において、前記複数種類の液体のうち最も乾きにくい液体を除く液体を前記ノズルから前記第2電極へ吐出させる手段であるものとしてもよい。こうすれば、最も乾きにくい液体を吐出させる場合と比べて、検査前吐出処理で吐出した液体に異物が付着してノイズの原因となることを抑制できる。なお、最も乾きにくい液体は、他の液体と比べて保湿成分の含有率が最も小さい液体,同じ量で比較したときの単位時間あたりの水分の蒸発量が最も少ない液体,水分の含有率が最も小さい液体のいずれかとしてもよい。なお、複数種類の液体のうち最も乾きにくい液体を除く液体とは、複数種類の液体のうち最も乾きにくい液体を除く液体のうち1種類以上の液体を意味する。例えば、複数種類の液体のうち最も乾きにくい液体を除く液体として、最も乾きやすい液体のみを吐出させるものとしてもよい。
【0012】
本発明の液体吐出装置において、前記ヘッドと前記第2電極とを相対的に移動させる移動手段、備え、前記処理手段は、前記検査前吐出処理において、前記第2電極のうち前記吐出検査で前記第1電極と対向する領域全体に液体が行き渡るよう、前記移動手段による移動を伴って前記ノズルから液体を吐出させる手段であるものとしてもよい。こうすれば、吐出検査時に第2電極のうち吐出検査で第1電極と対向する領域全体に液体が行き渡るよう液体を吐出させるため、対向する領域のどこに異物があるかに関わらず、異物を除去するか又は第1電極と異物との距離を離すことができる。このため、吐出検査における異物に起因するノイズを抑制しやすくなる。
【0013】
本発明の液体吐出装置において、前記第2電極に異物があることを検出する異物検出手段、を備え、前記処理手段は、前記異物検出手段により前記第2電極に異物があることが検出されたときに、前記検査前吐出処理を行う手段であるものとしてもよい。こうすれば、異物があると検出されたときに検査前吐出処理を行うため、吐出検査における異物に起因するノイズを効率的に抑制することができる。
【0014】
本発明の液体吐出装置において、前記異物検出手段は、前記第1電極と前記第2電極とを対向させ両電極間に電圧を印加した状態で、前記複数のノズルから液体を吐出させないときの両電極間の電気的変化に基づいてノイズの有無を判定し、肯定的な判定をしたときには前記第2電極に異物があると検出する手段としてもよい。こうすれば、ノイズの有無により異物を検出することができる。
【0015】
本発明の液体吐出装置において、前記第2電極は平板状の電極としてもよい。第2電極が平板状である場合には、例えばメッシュ状の電極と比べて埃などの異物が付着しやすいため、本発明を適用する意義が高い。
【0016】
本発明のノズル検査方法は、
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、を備えた液体吐出装置のノズル検査方法であって、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させ両電極間に電圧を印加した状態で前記ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出検査を行う前に、該吐出検査時と比べて多量の液体を前記ノズルから前記第2電極へ吐出させる検査前吐出処理を行う、
ものである。
【0017】
このノズル検査方法では、第1電極と第2電極とを対向させ両電極間に電圧を印加した状態でノズルから第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて前記ノズルからの液体の吐出の有無を判定する吐出検査を行う。そして、その吐出検査の前に、吐出検査時と比べて多量の液体をノズルから第2電極へ吐出させる検査前吐出処理を行う。こうすれば、第2電極に異物がある場合に、吐出検査前に吐出された液体により異物を除去するか又は第1電極と異物との距離を離すことができる。したがって、吐出検査における異物に起因するノイズを抑制することができる。なお、このノズル検査方法において、上述した液体吐出装置の種々の態様を採用してもよいし、上述した液体吐出装置の各機能を実現するようなステップを追加してもよい。
【0018】
本発明のプログラムは、上述したノズル検査方法を1又は複数のコンピューターに実現させるためのものである。このプログラムは、コンピューターが読み取り可能な記録媒体(例えばハードディスク、ROM、FD、CD、DVDなど)に記録されていてもよいし、伝送媒体(インターネットやLANなどの通信網)を介してあるコンピューターから別のコンピューターに配信されてもよいし、その他どのような形で授受されてもよい。このプログラムをコンピューターに実行させれば、上述した本発明のノズル検査方法が実現されるため、本発明のノズル検査方法と同様の作用効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】インクジェット型のプリンター10の構成を表すブロック図。
【図2】プリンター10の概略断面図。
【図3】プリンター10の概略平面図。
【図4】ヘッドユニット60における複数のヘッド62の配置を示す説明図。
【図5】第1ヘッド62aに形成された複数のノズルの配置を示す説明図。
【図6】印刷の様子を示す説明図。
【図7】検査ユニット70の全体構成を表す説明図。
【図8】検査電極72の平面図。
【図9】駆動信号COMとそれに対応した検出信号とを示す説明図。
【図10】検出信号及び検出制御部での判定結果の一例を示す説明図。
【図11】第1ヘッド62aが有するノズルをブロック分けしたときのテーブル。
【図12】ノズルの統合判定ルーチンのフローチャート。
【図13】検出制御部76のメモリーに格納されたデータの説明図。
【図14】デジタル信号出力ルーチンのフローチャート。
【図15】検出制御部76の送信用レジスターのデータの一例を示す説明図。
【図16】統合判定の結果の一例を示す説明図。
【図17】検査前吐出処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明を具現化した一実施形態について説明する。図1はインクジェット型のプリンター10の構成を表すブロック図、図2はプリンター10の概略断面図、図3はプリンター10の概略平面図である。
【0021】
プリンター10は、パーソナルコンピューターPCと通信可能に接続され、パーソナルコンピューターPCから印刷データを入力し、その印刷データに基づいて紙や布などの印刷媒体Sに画像を印刷する。このプリンター10は、種々の制御を実行したり指令を出力したりするコントローラー20と、コントローラー20と信号のやり取りを行いながら各種処理を実行するユニット群30とを備えている。
【0022】
コントローラー20は、プリンター10の全体の制御を司るCPU22と、ユニット群30の各ユニットを制御するユニット制御回路24とを備えている。CPU22は、ユニット群30に備えられた各種検出器から入力した検出信号やインターフェース部26を介してパーソナルコンピューターPCから受信した印刷データに基づいて、メモリー28に記憶された各種プログラムを実行し、メモリー28にデータを一時記憶しながらユニット制御回路24を介して各ユニットを制御する。ユニット群30には、印刷媒体Sを搬送する搬送ユニット40、ヘッドユニット60を移動する移動ユニット50、ノズルからインクが吐出するようヘッド62を駆動するヘッドユニット60、ヘッド62に形成されたノズルの検査を行う検査ユニット70などが含まれる。搬送ユニット40は、図2及び図3に示すように、モーター駆動される上流側ローラー42及び下流側ローラー44によってロール状の印刷媒体Sを搬送方向(X方向)の上流側から下流側へ搬送し、巻取機構46によって巻き取るものである。印刷媒体Sは、両ローラー42,44の間の印刷領域においてプラテン48の下側からバキューム吸着される。これにより、印刷中の印刷媒体Sの位置が固定される。移動ユニット50は、図2及び図3に示すように、ヘッドユニット60を印刷媒体Sの搬送方向(X方向)と印刷媒体Sの幅方向(Y方向)に自在に移動させるものである。この移動ユニット50は、X軸ステージ52によってヘッドユニット60をX方向に移動させ、Y軸ステージ54によってヘッドユニット60をX軸ステージ52と共にY方向に移動させる。ヘッドユニット60は、図3に示すように、複数のノズルを有するヘッド62を備え、コントローラー20からの駆動信号によってノズルからインクを印刷媒体Sに向かって吐出させるものである。このヘッドユニット60は、後述するように複数のヘッド62を備えている。各ヘッド62は、ピエゾ素子を用いて圧力によりインクを吐出する。検査ユニット70は、ノズルの詰まりの有無を検査するものであり、図3に示すように、ヘッドユニット60のヘッド62と対向可能な位置に検査電極72を備えている。この検査ユニット70の詳細については後述する。
【0023】
ヘッドユニット60について、更に詳しく説明する。図4は、ヘッドユニット60における複数のヘッド62の配置を示す説明図である。なお、図中では、ヘッド62の配置をプリンター10の上面から透視した状態を示した。図4に示すように、ヘッドユニット60は、15個のヘッド62を有する。15個のヘッド62は、Y方向に沿ってジグザグに並んでいる。説明の便宜上、Y方向の上端側から下端側に向かって、第1ヘッド62a,第2ヘッド62b,……、第14ヘッド62n,第15ヘッド62oと称することにする。このため、奇数番目のヘッド62a,62c,62e……はY方向に平行となるように直線状の列をなし、偶数番目のヘッド62b,62d,62f……はその隣でY方向に平行となるように直線状の列をなす。
【0024】
図5は、第1ヘッド62aに形成された複数のノズルの配置を示す説明図である。なお、図中では、ノズルの配置を第1ヘッド62aの上面から透視した状態を示した。また、第2ヘッド62b〜第15ヘッド62oはいずれも第1ヘッド62aと同じ構成である。第1ヘッド62aは、8色のノズル列を有している。具体的には、図5の左側から順に、マットブラックインクを吐出するMk列、グリーンインクを吐出するGr列、オレンジインクを吐出するOr列、クリアインクを吐出するCl列、フォトブラックインクを吐出するPk列、シアンインクを吐出するCy列、マゼンタインクを吐出するMa列、イエローインクを吐出するYe列である。各ノズル列は、180個のノズルを有する。180個のノズルは、Y方向に沿って、一定のノズルピッチ(1/180インチ)で並んでいる。説明の便宜上、Y方向の上端側のノズルから順に#1,#2,……,#180と称することにする。第1ヘッド62bの各ノズル列と第2ヘッド62bの各ノズル列とを見ると、第1ヘッド62aのY方向の下端側の4つのノズルのそれぞれのY座標位置は、第2ヘッド62bのY方向の上端側の4つのノズルのそれぞれのY座標位置と一致している。このようにY座標位置が同じ2つのノズルは、互いに補間し合いながらドットを形成することが可能である。こうした関係は、第αヘッドと第(α+1)ヘッド(αは1〜14までの整数)との間でも同様である。
【0025】
こうしたヘッドユニット60を用いて印刷媒体Sに印刷する手順を以下に概説する。まず、図2及び図3において、コントローラー20は、印刷領域に印刷媒体Sの新しい面が供給されるよう搬送ユニット40を制御すると共に、ヘッドユニット60が初期位置に来るように移動ユニット50を制御する。なお、初期位置とは、印刷領域におけるX方向の最上流の位置で且つY方向の最上端の位置である。初期位置に配置されているヘッドユニット60を、図2及び図3中、実線で示す。そして、コントローラー20は、ヘッドユニット60が印刷領域のX方向の最上流の位置から最下流の位置(図2及び図3中、1点鎖線で示す)まで移動するよう移動ユニット50を制御すると同時に、移動中のヘッド62のノズルからインクが吐出するようヘッドユニット60を制御することにより、X方向に並ぶドット列を形成する。この動作を1パスと称する。こうして1パス分のドット列を形成した後、コントローラー20は、ヘッドユニット60がY方向の下端側に移動するよう移動ユニット50を制御し、再び次の1パスを実行してX方向のドット列を形成する。Y方向の下端側に移動したヘッドユニット60の一例を図3の2点鎖線で示す。そして、印刷媒体Sの幅方向に応じて決まるパス数の動作を終了したとき、印刷媒体Sの印刷領域の画像が完成する。図6は、印刷の様子を示す説明図である。図6では、説明の便宜上、5つのノズルがY方向に平行に1列に並んだノズル列を例示した。この図6では、パス1〜パス4までの合計4パス分のX方向のドット列が順次形成されていく様子を示した。
【0026】
検査ユニット70について、以下に詳しく説明する。検査ユニット70は、検査回路71を備えている。検査回路71は、基本的には2つのヘッド62に1つの割合で形成されており、本実施形態ではヘッド数が15個であるため、それに対応して検査回路71は8個形成されている。説明の便宜上、8個の検査回路71を第1検査回路71A,第2検査回路71B,・・・と称することにする。図7は検査ユニット71の検査回路71のうちの1つの構成を表す説明図である。この検査回路71は、ヘッド62に形成されたノズルから吐出されたインクを受ける金属製で平板状の検査電極72と、この検査電極72とヘッド62のノズルプレート63との間に電圧を印加する高圧電源74と、検査電極72とノズルプレート63との間に電圧を印加した状態でノズルからインクを吐出させたときの電圧信号に基づいてその信号の大小を判定する検出制御部76とを備えている。なお、ノズルプレート63は複数のノズルが形成されたプレートであり、検査ユニット70の一部としても機能するものである。また、ノズルプレート63のうち後述するノズル検査を行う際に検査電極72と対向する領域をヘッド側検査領域81と称し、検査電極72のうち後述するノズル検査を行う際にノズルプレート63と対向する領域を電極側検査領域82と称する。本実施形態では、ヘッド側検査領域81はノズルプレート63の検査電極72側の面(図7の下面)全てである。一方、電極側検査領域82は検査電極72のノズルプレート63側の面(図7の上面)のうち予め定められた一部の領域である。
【0027】
上述したように、検査回路71は基本的には2つのヘッド62に1つの割合で形成されているため、検査電極72も同様に、基本的には2つのヘッド62に1つの割合で形成され、1つの検査電極72は2つの電極側検査領域82を有している。図8に検査電極72の平面図を示す。本実施形態では、ヘッド数は15個であるため、それに対応して検査電極72は8個形成され、電極側検査領域82は15個存在している。説明の便宜上、8個の検査電極72を第1検査電極72A,第2検査電極72B,……と称し、15個の電極側検査領域82を第1電極側検査領域82a,第2電極側検査領域82b,……と称することにする。具体的には、図8に示すように、第1検査電極は第1電極側検査領域82aと第3電極側検査領域82cとを有し、第2検査電極72Bは第5電極側検査領域82eと第7電極側検査領域82gとを有し、第3検査電極72Cは第9電極側検査領域82iと第11電極側検査領域82kとを有し、第4検査電極72Dは第13電極側検査領域82mと第15電極側検査領域82oとを有し、第5検査電極72Eは第2電極側検査領域82bと第4電極側検査領域82dとを有し、第6検査電極72Fは第6電極側検査領域82fと第8電極側検査領域82hとを有し、第7検査電極72Gは第10電極側検査領域82jと第12電極側検査領域82lとを有し、第8検査電極72Hは第14電極側検査領域82nを有している。そして、第1〜第15電極側検査領域82a〜82oが第1〜第15ヘッド62a〜62o(図4参照)と一対一に対応している。すなわち、第1〜第15電極側検査領域82a〜82oが15個のノズルプレート63(第1〜第15ノズルプレート63a〜63oと称する)のヘッド側検査領域81(第1ヘッド側検査領域81a〜第15ヘッド側検査領域81oと称する)と一対一に対応している。なお、本実施形態ではヘッド62の数が15個であるため、第14ヘッド62nについては、1つの電極側検査領域82nを有し、1つのヘッド62n(ヘッド側検査領域81n)と対応している。このような検査電極72は、図3に示すように、印刷領域から左側(X方向の上流側)に外れた位置に設けられている。なお、図7には一つの検査電極72についての電気回路の構成を示したが、第1〜第8検査電極72A〜72Hのそれぞれについて、こうした電気回路が組まれている。
【0028】
高圧電源74は、検査電極72を所定電位にするための電源であり、ここでは600〜1000Vの直流電源によって構成される。高圧電源74と検査電極72との間には、第1制限抵抗73と第2制限抵抗75とが配置されている。これらの制限抵抗73,75は、高圧電源74と検査電極72との間に流れる電流を制御するものであり、ここでは両者の抵抗値を共に1.6MΩとした。
【0029】
検出制御部76は、高圧電源74による検査電極72とノズルプレート63との電圧印加を制御する。また、検出制御部76は、増幅器77で増幅された検査電極72の電圧信号(アナログ信号)に基づいて検査対象ノズルがインクを吐出したか否かを判定し、判定結果をデジタル信号としてコントローラー20に送信する。増幅器77と検査電極72との間には、検査電極72のバイアス成分(直流成分)を除去する検査用コンデンサー78が配置されている。また、第1制限抵抗73と第2制限抵抗75との間には、平滑コンデンサー79の一端が接続されている。この平滑コンデンサー79の他端は接地されている。平滑コンデンサー79は、電位の急激な変化を抑制するものである。ここでは、検査用コンデンサー78の容量を4700pF、増幅器77の増幅率を4000倍、平滑コンデンサー79の容量を0.1μFとした。
【0030】
次に、本実施形態のプリンター10の動作、特にノズルを検査するときの動作について説明する。コントローラー20は、検査対象ノズルの検査において、インクを良好に吐出できるか否かを調べる吐出検査と、吐出検査中にその判定結果に影響を与えるノイズが発生したか否かを調べるノイズ検査とを実施する。
【0031】
まず、吐出検査について説明する。図9は駆動信号COMとそれに対応した検出信号とを示す説明図であり、(a)は駆動信号COMの波形、(b)は増幅器77から出力される検出信号の波形を示す。コントローラー20は、ノズルプレート63と検査電極72との間に高圧電源74の電圧を印加した状態で、図9(a)に示すピエゾ素子を駆動する駆動信号COMを各ヘッド62に出力する。駆動信号COMは、20〜30個のインク吐出用パルスを出力するパルス出力区間と一定電位(中間電位)の休止区間との組み合わせとなっている。このような駆動信号COMがピエゾ素子に印加されると、そのピエゾ素子に対応するノズルから20〜30個のインク滴が吐出される。すると、これに対応して、増幅器77から検出信号(アナログ信号、図9(b)参照)が検出制御部76へ出力される。検出制御部76は、駆動信号COMに対応した検出信号の振幅Va(検出信号の最高電位VHと最低電位VLとの差)を検出し、検出された振幅Vaと予め定められた閾値Vth(例えば3V)とを比較する。そして、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、検出制御部76は、「振幅大」(吐出良好)を表すデジタル信号を生成する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、「振幅小」(吐出不良)を表すデジタル信号を生成する。
【0032】
ここで、吐出検査の原理について説明する。図7において、ヘッド側検査領域81と電極側検査領域82とを対向させ、ノズルプレート63と検査電極72との間に電圧を印加した状態で、検査対象ノズルからインクが吐出するようにヘッドユニット60を制御したとき、実際にそのノズルからインクが吐出した場合には検査電極72の電圧信号が大きく変化するが、そのノズルからインクが吐出しなかった場合には検査電極72の電圧信号はほとんど変化しない。このため、その電圧信号の変化に基づいて検査対象ノズルがインクを吐出したか否かを判定することができる。この原理は正確には解明されていないが、次のように考えられる。一般的に、コンデンサーを構成する一対の電極板の間隔が変化すると、コンデンサーに蓄えられる電荷が変化することが知られている。グランド電位のノズルプレート63から高電位の検査電極72に向かってインクが吐出されると、グランド電位のインク滴と検査電極72との間隔d(図6参照)が変化し、コンデンサーの一対の電極板の間隔が変化したときのように、検査電極72に蓄えられる電荷が変化する。この結果、検査電極72に電荷が移動し、これに伴って変化する電圧を検査用コンデンサー78及び増幅器77が検出し、検出信号が検出制御部76に出力されると考えられる。
【0033】
次に、ノイズ検査について説明する。ノイズ検査期間中は、コントローラー20は、ヘッド側検査領域81と電極側検査領域82とを対向させ、ノズルプレート63と検査電極72との間に高圧電源74の電圧を印加した状態で、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを付与しない。つまり、ノイズ検査期間は、インク滴を吐出させない非吐出期間になる。この期間中も、増幅器77から検出信号(アナログ信号)が検出制御部76へ出力される。検出制御部76は、この検出信号の振幅Vaと閾値Vthとを比較し、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも大きければ、「振幅大」(ノイズあり)を表すデジタル信号をコントローラー20へ送信する。逆に、検出信号の振幅Vaが閾値Vthよりも小さければ、「振幅小」(ノイズなし)を表すデジタル信号をコントローラー20へ送信する。図7において、ノズルプレート63と検査電極72との間に電圧を印加した状態で、どのノズルのピエゾ素子にも駆動信号COMを付与しない場合、本来であれば検査電極72の電圧信号はほとんど変化しないが、検査電極72にノイズが発生するとそのノイズによって検査電極72の電圧信号が大きく変化する。このため、その電圧信号の変化に基づいてノイズの有無を判定することができる。このようなノイズの発生原因は、ヘッド側検査領域81や電極側検査領域82に付着した埃などの異物である場合が多い。電圧が印加されたノズルプレート63と検査電極72とのうち対向する領域内に存在する異物がノイズの原因となりやすいためである。また、ノズルプレート63と検査電極72との一方に異物が付着している場合、他方と異物との距離が近いほど、ノイズが発生しやすい。
【0034】
吐出検査とノイズ検査の具体例について説明する。ここでは、1つのノズルに対して、吐出検査を2回行い、その後ノイズ検査を1回行う場合を例に挙げて説明する。そのときの増幅器77から出力される検出信号及び検出制御部76での判定結果の例を図10に示す。図10(a)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、検出制御部76で共に「振幅大」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判定すると、そのノズルは「正常」と決定される。図10(b)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vth以下のため、検出制御部76で共に「振幅小」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「異常」と決定される。図10(c)の検出信号では、1回目の吐出検査で検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えたため、検出制御部76で「振幅大」のデジタル信号が生成され、2回目の吐出検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査で振幅Vaが閾値Vth以下のため「振幅小」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「異常」と決定される。つまり、複数の吐出検査のうち1回でも「振幅小」のものがあれば、そのノズルは詰まり等が生じている可能性があることから、「異常」と判定するのである。図10(d)では、2回の吐出検査で共に検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えているため、検出制御部76で共に「振幅大」のデジタル信号が生成され、その後のノイズ検査でも振幅Vaが閾値Vthを超えたため「振幅大」のデジタル信号が生成される。これらの3つのデジタル信号を統合して判断すると、そのノズルは「不明」と決定される。ノイズ検査で振幅Vaが閾値Vthを超えたということは、その前の吐出検査においてノイズが混入している可能性が高く、ノイズのせいで振幅Vaが閾値Vthを超えた可能性があるため、正常か異常かを判定できず、「不明」と判定するのである。このように、ノイズ検査の結果が「振幅大」の場合には、その直前の吐出検査はノイズの影響を受けている可能性が高いことから、統合判断では吐出検査の結果にかかわらず「不明」と判定する。
【0035】
次に、コントローラー20が実行するノズルの統合判定ルーチンと、検査ユニット70の検出制御部76が実行するデジタル信号出力ルーチンについて、説明する。ここでは、ノズルをブロック単位で処理していく。このため、各ルーチンの説明に先立って、ブロックの分け方について説明する。ブロックは、ヘッド62ごとに、そのヘッド62が有する複数のノズルを15個のノズルが1つのブロックになるように分ける。図11は、第1ヘッド62aが有する1440個(180個×8列)のノズルをブロック分けしたときの様子を示すテーブルである。具体的には、Mk列において、#1〜#15を第1ブロック、#16〜#30を第2ブロック、……という具合にブロック分けを行い、その後、Gr列、Or列、Cl列、Pk列、Cy列、Ma列、Ye列の順に同様にしてブロック分けを行う。なお、第2〜第15ヘッド62b〜62oについても図11と同様にしてブロック分けされる。
【0036】
ノズルの統合判定ルーチンについて、図12のフローチャートを用いて説明する。コントローラー20は、統合判定の実行タイミングが到来するごとに、この統合判定ルーチンを開始する。このルーチンが開始されると、コントローラー20は、まず、移動ユニット50を制御して、ヘッドユニット60の各ヘッド62が各検査電極72に対向するようにヘッドユニット60を移動させる(ステップS100)。これにより、各ヘッド62と各検査電極72とは図8に示した位置関係となる。次いで、各検査電極72と対向するヘッド62のうち各検査電極72についてそれぞれ1つを検査対象ヘッドに設定する(ステップS105)。なお、統合判定ルーチンにおけるステップS105以降の処理は、8つの検査回路71A〜Hのそれぞれについて独立して実行される。また、本実施形態では、各検査電極72と対向するヘッド62が複数あるときには、図8で上側に位置するヘッド62を先に検査対象ヘッドに設定するものとした。したがって、例えば第1検査回路71AについてステップS105以降の処理を行う際には、ステップS105でまず第1ヘッド62aを検査対象ヘッドに設定し、第2検査回路71BについてステップS105以降の処理を行う際には、ステップS105でまず第5ヘッド62eを検査対象ヘッドに設定する。他の検査回路71についても同様である。第8検査回路71Hについては、第14ヘッド62nのみと対向しているため、ステップS105で第14ヘッド62nを検査対象ヘッドに設定する。
【0037】
続いて、ブロックの番号を表す変数pに値1をセット(ステップS110)し、第pブロックを検査対象ブロックに設定して(ステップS120)、検査対象ブロックの検査を実行する(ステップS130)。具体的には、コントローラー20は、検査対象ヘッドの第pブロックに属する15個のノズルを順次、検査対象ノズルに設定し、検査対象ノズルのピエゾ素子に、図9(a)に示す駆動信号COMを2回連続して付与し、その後、駆動信号COMを所定期間付与しないようにする。これにより、検査対象ノズルは、2回の吐出検査と1回のノイズ検査とが実施されることになる。検査ユニット70の検出制御部76は、検査電極72とノズルプレート63との間に電圧を印加した状態で、増幅器77から出力される2回の吐出検査の検出信号と1回のノイズ検査の検出信号を取得し、検出制御部76の図示しない一時記憶領域に記憶する。そして、第pブロックに属する15個のノズルのすべてについて、各3つの検出信号を一時記憶した後、検出制御部76は、デジタル信号出力ルーチンを実行する。このときの検出制御部76の一時記憶領域に記憶されたデータを図13に示す。1〜3番目のデータは、第pブロックに属するノズルのうち番号(#1とか#2)の最小のものについての吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の検出信号であり、4〜6番目のデータは、第pブロックに属するノズルのうち番号が2番目に小さいものについての吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の検出信号である。これ以降のデータについても、意味するところは同じであるため説明を省略する。
【0038】
ここで、検出制御部76が実行するデジタル信号出力ルーチンについて、図14のフローチャートを用いて説明する。このルーチンは、第pブロックに含まれるすべてのノズルの検出信号の検出が終了した時点、つまり、図13に示す一時記憶領域に1〜45個のデータがすべて記憶された時点で開始される。このルーチンが開始されると、検出制御部76は、まず、変数kに値1をセットする(ステップS310)。続いて、検出制御部76の一時記憶領域から第k番目のデータを読み出し(ステップS320)、そのデータつまり検出信号の振幅Vaが閾値Vthを超えるか否かを判定する(ステップS330)。そして、振幅Vaが閾値Vthを超えていたならば、「振幅大」を表すデジタル信号を検出制御部76の図示しない送信用レジスターの第k番目の位置に書き込む(ステップS340)。一方、振幅Vaが閾値Vth以下ならば、「振幅小」を表すデジタル信号を検出制御部76の送信用レジスターの第k番目の位置に書き込む(ステップS350)。そして、ステップS340又はステップS350で送信用レジスターへの書き込みが終了した後、変数kは上限値(ここでは1ブロックに含まれるノズル数は15個のため上限値は値45)に達しているか否かを判定し(ステップS360)、変数kが上限値に達していなければ、変数kを1インクリメントし(ステップS370)、再びステップS320に戻る。一方、変数kが上限値に達していたならば、送信用レジスターの内容をコントローラー20へ送信し(ステップS380)、このルーチンを終了する。つまり、検出制御部76は、送信用レジスターのフル容量分のデジタル信号(45個のデジタル信号)が格納されたあと、その送信用レジスターの内容をコントローラー20へ送信する。このときの送信用レジスターのデータを図15に示す。
【0039】
図12に戻り、コントローラー20は、検出制御部76から1ブロック分のデジタル信号(45個のデジタル信号)を取得したか否かを判定し(ステップS140)、取得していなければ再びステップS140に戻る。一方、検出制御部76から1ブロック分のデジタル信号を取得したならば、統合判定を実施し、ノズルと統合判定結果との対応付けを行う(ステップS150)。例えば、検査対象ブロックが第1ブロックの場合には、45個のデジタル信号のうち1〜3番目のデジタル信号がMk列の#1のノズルの吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の結果を表し、4〜6番目のデジタル信号がMk列の#2のノズルの吐出検査(1回目)、吐出検査(2回目)及びノイズ検査の結果を表す、という具合に、どのデジタル信号がどのノズルに対応しているかを特定していく。それと共に、特定したノズルにつき、それに対応した3つのデジタル信号を統合判定して正常か異常かを決定する。なお、正常か異常かの判定(統合判定)は、既に図10を用いて説明したとおりである。こうして統合判定を実施した後、特定したノズルにつき、統合判定の結果を対応づける。その一例を図16に示す。図16(a)は検査制御部76からのデジタル信号、図16(b)はノズルごとの統合判定の結果を示す。
【0040】
続いて、コントローラー20は、第pブロックに含まれる15個のノズルの統合判定の結果に「不明」のものがあるか否かを判定する(ステップS160)。ステップS160で「不明」のものがあったならば、フラグFが値1か否かを判定する(ステップS170)。ここで、フラグFは、後述する検査前吐出処理を既に行った場合に値1に設定されるものであり、初期値は値0に設定されている。そして、フラグFが値0であるときには、検査前吐出処理を実行する(ステップS180)。ここで、検査前吐出処理は、不明ノズルがあり正しい吐出検査の結果が得られないときに、ノイズの原因を取り除くための処理である。以下、統合判定ルーチンの説明を中断して、検査前吐出処理について図17のフローチャートを用いて説明する。なお、この検査前吐出処理は、検査電極72(第1〜第8検査電極72A〜72H)とノズルプレート63(第1〜第15ノズルプレート63a〜63o)との間に電圧を印加しない状態で行う。
【0041】
この検査前吐出処理が開始されると、コントローラー20は、まず、統合判定ルーチンを停止する(ステップS400)。上述したように、統合判定ルーチンにおけるステップS105以降の処理は、8つの検査回路71A〜Hのそれぞれについて独立して実行されている。そこで、今回検査前吐出処理を実行する検査回路71(ステップS160で肯定判定した検査回路71)を用いた統合判定ルーチンだけでなく、それ以外の検査回路71を用いた統合判定ルーチンについても停止するのである。後述する処理でヘッドユニット60を移動させる処理を行うことから、このようにしている。
【0042】
続いて、コントローラー20は、ヘッドユニット60の移動とヘッド62からのインクの吐出とを行うことで、不明ノズルがあると判定したヘッド62と対向する検査電極72について電極側検査領域82全体にインクが行き渡るように、ヘッドユニット60及び移動ユニット50を制御する(ステップS410)。例えば、第1ヘッド62aを検査対象ヘッドとし検査回路71Aを用いて統合判定ルーチンを実行しているときにステップS160で肯定的な判定をして検査前吐出処理を行う場合には、ヘッドユニット60及び移動ユニット50を制御して、第1ヘッド62aの移動と第1ヘッド62aの8色のノズル列からのインクの吐出とを繰り返し、吐出されたインクが第1電極側検査領域82a全体に行き渡るようにする。第1電極側検査領域82a全体にインクが行き渡るようにするには、例えばヘッド62aのX,Y方向のノズルの間隔より小さい間隔でインクが第1電極側検査領域82aに吐出されるよう、一度各ノズルから吐出させたインクの間を埋めるようにさらにヘッドユニット60を移動させて再度インクを吐出させるなど、ヘッドユニット60の移動とインクの吐出とを複数回行うようにすればよい。なお、このステップS410における1つのノズルあたりのインクの吐出量は、1つのノズルの1回の吐出検査におけるインクの吐出量(図9の駆動信号COMで吐出される20〜30滴のインクの量)と同じになるように予め定められている。このため、検査前吐出処理におけるインクの吐出量(吐出総量)は、1つのノズルの1回の吐出検査におけるインクの吐出量よりも多くなっている。このようにして電極側検査領域82全体にインクが行き渡るようにすることで、このインクにより電極側検査領域82中の異物を除去するか又はノズルプレート63と異物との距離を離して、異物に起因するノイズの発生を抑制することができる。
【0043】
電極側検査領域82へのインクの吐出を行うと、ステップS400で停止していた統合判定ルーチンを再開して(ステップS420)、検査前吐出処理を終了する。これにより、各検査回路71を用いた統合判定ルーチンが全て再開される。
【0044】
図12の統合判定ルーチンの説明に戻る。ステップS180の検査前吐出処理を行うと、コントローラー20は、フラグFを値1に設定して(ステップS190)、今回の第pブロックを再度検査対象ブロックに設定し(ステップS200)、ステップS130に戻る。これにより、ブロック単位で再検査が実施される。
【0045】
最初の検査において不明ノズルがない場合や再検査により不明ノズルがなくなったときには、ステップS160で否定的な判定をして、フラグFを値0に初期化し(ステップS215)、第pブロックのうちの15個の特定されたノズルとその統合判定の結果との対応関係を確定してメモリー28に保存する(ステップS220)。その後、変数pは上限値(ここではブロックの総数)に達しているか否かを判定し(ステップS230)、変数pが上限値に達していなければ、変数pを1インクリメントし(ステップS240)、再びステップS120に戻る。これにより、次のブロックの検査が実施されることになる。
【0046】
ステップS230で変数pが上限値に達していたならば、検査電極72と対向する未検査のヘッド62があるか否かを判定する(ステップS250)。例えば、第1検査回路71Aについて、上述したステップS105により第1ヘッド62aを検査対象ヘッドに設定してノズル検査を行ったときには、第1検査電極72Aと対向する第3ヘッド62cが未検査であるため、ステップS250で肯定的な判定をする。そして、肯定的な判定をすると、未検査のヘッドを次の検査対象ヘッドに設定して(ステップS260)、ステップS110に戻る。これにより、未検査のヘッドについてノズル検査が行われることになる。そして、検査電極72と対向する未検査のヘッドがなくなったときには、ステップS250で肯定的な判定をして、本ルーチンを終了する。
【0047】
一方、ステップS180で検査前吐出処理を行い再検査を行っても再び不明ノズルがある場合には、ステップS160及びステップS170で肯定的な判定をして、検査前吐出処理を行ってもノイズの発生がなくならずノズル検査が完遂できない旨を知らせるエラーメッセージを出力して(ステップS210)、本ルーチンを終了する。メッセージの出力は、図示しないディスプレイに表示することで行ってもよいし、音声を出力することで行ってもよい。
【0048】
このように、ノズル検査を行うにあたり、不明ノズルがあるときすなわちノイズが発生しているときに検査前吐出処理を行ってから再検査を行うこうことで、異物に起因するノイズを抑制して再検査における不明ノズルの発生を抑制するのである。
【0049】
ここで、本実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態のヘッド62が本発明のヘッドに相当し、ノズルプレート63が第1電極に相当し、検査電極72が第2電極に相当し、検査ユニット70が吐出検査手段及び異物検出手段に相当し、コントローラー20が処理手段に相当し、移動ユニット50が移動手段に相当する。なお、本実施形態では、プリンター10の動作を説明することにより本発明のノズル検査方法の一例も明らかにしている。
【0050】
以上説明した本実施形態のプリンター10によれば、吐出検査の前に、1つのノズルの1回の吐出検査と比べて多量のインクをノズルから検査電極72へ吐出させる検査前吐出処理を行う。これにより、検査前吐出処理で吐出されたインクにより検査電極72上の異物を除去するか又はノズルプレート63と異物との距離を離すことができ、吐出検査における異物に起因するノイズを抑制することができる。また、検査電極72(第1〜第8検査電極72A〜72H)とノズルプレート63(第1〜第15ノズルプレート63a〜63o)との間に電圧を印加しない状態で検査前吐出処理を行うため、検査前吐出処理で吐出されたインクが電荷を有しにくくなり、吐出されたインクから電荷を有するミストが生じて例えばノズルプレート63などの周囲に付着してこれを汚すのを抑制できる。また、検査前吐出処理において、異物がノイズの原因となりやすい電極側検査領域82内にノズルからインクを吐出させるため、吐出検査における異物に起因するノイズを抑制しやすくなる。さらに、検査前吐出処理において、電極側検査領域82全体にインクが行き渡るようにするため、電極側検査領域82のどこに異物があるかに関わらず、異物を除去するか又は検査電極72と異物との距離を離すことができる。さらにまた、ノイズ検査期間中の電気的変化に基づいてノイズの有無を判定し、肯定的な判定をしたとき(不明ノズルがあるとき)に検査前吐出処理を行うため、ノイズの有無を用いて吐出検査における異物に起因するノイズを効率的に抑制することができる。
【0051】
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0052】
例えば、上述した実施形態では、検査前吐出処理においてヘッド62の8色のノズル列から電極側検査領域82へのインクの吐出を行うこととしたが、これに限らず8色のノズル列のうち一部の色のノズルからインクを吐出するものとしてもよい。また、ノズル列のうちの一部のノズルからインクを吐出するものとしてもよい。さらに、複数の種類のインクのうち最も乾きにくいインクを除くインクを吐出するものとしてもよい。例えば、本実施形態の8色のインクのうちマットブラックのインクは他の7色のインクと比べて最も乾きにくいため、マットブラック以外の7色のノズルからインクを吐出するものとしてもよい。このように最も乾きにくいインクを除くインクを吐出するものとすれば、検査前吐出処理で吐出したインクに異物が付着してノイズの原因となることを抑制できる。また、最も乾きにくいインクを除くインクを吐出すればよく、例えばマットブラック以外の7色のインクのうち1色のインクを吐出するものとしてもよいし、2色以上のインクを吐出するものとしてもよい。マットブラック以外の7色のインクのうち最も乾きやすい1色のインクのみを吐出するものとしてもよい。
【0053】
上述した実施形態では、検査電極72(第1〜第8検査電極72A〜72H)とノズルプレート63(第1〜第15ノズルプレート63a〜63o)との間に電圧を印加しない状態で検査前吐出処理を行うものとしたが、検査前吐出処理でインクを吐出させるヘッド62のノズルプレート63以外のノズルプレート63や、検査前吐出処理におけるインクの吐出先の検査電極72以外の検査電極72には電圧が印加されていてもよい。例えば、第1ヘッド62aから第1検査電極72Aにインクを吐出させるのであれば、第2〜第15ノズルプレート63b〜63oと第2〜第8検査電極72B〜72Hとの間には電圧が印加されていてもよい。この場合でも、上述した実施形態と同様に、検査前吐出処理で吐出されたインクが電荷を有しにくくなり、電荷を有するインクミストによりノズルプレート63などの周囲が汚れるのを抑制できる。なお、検査前吐出処理でインクを吐出させるヘッド62のノズルプレート63と検査前吐出処理におけるインクの吐出先の検査電極72との間に電圧を印加した状態で検査前吐出処理を行うものとしてもよい。ただし、上述したインクミストによる周囲の汚れを抑制できる効果が得られるため、電圧を印加しないことが好ましい。
【0054】
上述した実施形態では、検査前吐出処理において、第1ヘッド62aから第1電極側検査領域82aにインクを吐出するものとしたが、他のヘッド62からインクを吐出するものとしてもよい。また、複数のヘッド62からインクを吐出するものとしてもよい。
【0055】
上述した実施形態では、検査前吐出処理における1つのノズルあたりのインクの吐出量は1つのノズルの1回の吐出検査におけるインクの吐出量と同じとして、検査前吐出処理におけるインクの吐出量(吐出総量)が1つのノズルの1回の吐出検査におけるインクの吐出量よりも多くなるようにしたが、検査前吐出処理におけるインクの吐出量が1つのノズルの1回の吐出検査におけるインクの吐出量よりも多ければ、どのように検査前吐出処理の吐出量を定めてもよい。例えば、1つのノズルのみを検査前吐出処理に用いる場合には、この1つのノズルからの検査前吐出処理におけるインクの吐出量が1つのノズルの1回の吐出検査におけるインクの吐出量よりも多くなるようにすればよい。また、複数のノズルを検査前吐出処理に用いる場合には、検査前吐出処理における1つのノズルあたりのインクの吐出量は、1つのノズルの1回の吐出検査におけるインクの吐出量より少なくてもよい。さらに、1つのノズルについて複数回(本実施形態では図10に示すように2回)の吐出検査を行う場合には、その複数回の吐出検査におけるインクの吐出量よりも検査前吐出処理におけるインクの吐出量が多くなるようにしてもよい。さらにまた、1つのヘッド62のすべてのノズルの吐出検査を行うときのインクの吐出量(本実施形態では180ノズル×8ノズル列×2回の吐出検査によるインクの吐出量の総量)よりも検査前吐出処理におけるインクの吐出量が多くなるようにしてもよい。
【0056】
上述した実施形態では、検査前吐出処理において電極側検査領域82の全体にインクが行き渡るようにインクの吐出を行うものとしたが、検査電極72にインクを吐出するものであればよく、例えば電極側検査領域82の一部にインクが行き渡るものとしてもよい。また、検査電極72のうち電極側検査領域82以外の領域にインクを吐出するものとしてもよい。この場合でも、電極側検査領域82以外の領域に存在する異物に起因するノイズが発生していれば、これを抑制することができる。また、電極側検査領域82以外の領域に吐出されたインクが電極側検査領域82に流れていけば、電極側検査領域82内の異物に起因するノイズを抑制することもできる。検査前吐出処理において検査電極72の全てにインクが行き渡るようにインクの吐出を行うものとしてもよい。
【0057】
上述した実施形態では、検査前吐出処理においてヘッドユニット60の移動とヘッド62からのインクの吐出とを行うものとしたが、ヘッドユニット60の移動は行わなくともよい。この場合、インクが検査電極72上を流れることで電極側検査領域82全体に行き渡るように、検査前吐出処理におけるインクの吐出量を定めてもよい。また、ヘッドユニット60の移動を行わない場合には、検査前吐出処理における統合判定ルーチンの停止や再開を行う必要はない。そのため、検査前吐出処理を行うヘッド62及び検査回路71以外のヘッド62及び検査回路71については、検査前吐出処理中であっても統合判定ルーチンを継続してもよい。
【0058】
上述した実施形態では、ノイズ検査でノイズありと判定したとき、すなわち不明ノズルがあったときに検査前吐出処理を行うものとしたが、検査前吐出処理は吐出検査前に行うものとすればいかなるタイミングで検査前吐出処理を行ってもよい。例えば、統合判定ルーチンの最初のステップS130の実行前に検査前吐出処理のステップS410の処理を行ってもよい。また、所定時間毎に検査前吐出処理を実行したり、ユーザーから実行指示を入力したときに検査前吐出処理を実行したりしてもよい。また、不明ノズルがあったときに検査前吐出処理を行うものに限らず、検査電極72に異物があることが検出されたときに検査前吐出処理を行うものとしてもよい。例えば、レーザー光を発射する発光素子と入射する受光素子とを備えたものを検査回路とし、この検査回路が検査電極72上の異物によりレーザー光が遮断されたか否かを受光素子で検出して、肯定的な判定をしたときに検査前吐出処理を行うものとしてもよい。
【0059】
上述した実施形態では、1つのノズルのノズル検査で2回の吐出検査と1回のノイズ検査とを行うものとしたが、吐出検査を1回しか行わないものとしてもよいし3回以上行うものとしてもよい。また、ノイズ検査を行わないものとしてもよい。また、検出制御部76はブロック単位でノズルの検査を行ってからコントローラー20にデジタル信号を送信するものとしたが、1つのノズルの検査を行う毎にコントローラー20にデジタル信号を送信してもよい。
【0060】
上述した実施形態では、検査電極72は平板状の金属であるものとしたが、ノズルプレート63と対向して電気的変化に基づく吐出検査を行うことができるものであれば、これに限られない。例えば、メッシュ状の金属であってもよいし、導電性のスポンジであってもよい。また、例えば検査電極72はノズルの乾燥を防止する際に使用する保湿キャップ内やノズル内のゴミやインクを吸引してクリーニングする際に使用するクリーニングキャップ内に設けられていてもよい。
【0061】
上述した実施形態では、ヘッド側検査領域81はノズルプレート63の検査電極72側の面(図7の下面)全てであり、電極側検査領域82は検査電極72のノズルプレート63側の面(図7の上面)のうち予め定められた一部の領域であるものとしたが、これに限られない。例えば、ノズル検査時に検査電極72の全面とノズルプレート63の全面とが対向する構成として、電極側検査領域82を検査電極72のノズルプレート63側の全面としてもよい。また、ノズル検査時に検査電極72の全面とノズルプレート63の一部とが対向する構成として、ヘッド側検査領域81はノズルプレート63の検査電極72側の面(図7の下面)の一部とし、電極側検査領域82は検査電極72のノズルプレート63側の全面としてもよい。さらに、ノズル検査時に検査電極72の一部とノズルプレート63の一部とが対向する構成として、ヘッド側検査領域81はノズルプレート63の検査電極72側の面の一部とし、電極側検査領域82は検査電極72のノズルプレート63側の面の一部としてもよい。
【0062】
上述した実施形態では、各ノズルプレート63は各ヘッド62にそれぞれ取り付けられているものとしたが、これに限らず、吐出検査時に検査対象のノズルから吐出されるインクと接触可能であり、吐出検査時に検査電極72と対向可能であればよい。例えば、ノズルプレート63とヘッド62とを分離して移動可能とし、吐出検査時やノイズ検査時にのみ図7のようにヘッド62とノズルプレート63とが接触するようにしてもよい。
【0063】
上述した実施形態では、移動ユニット50はヘッドユニット60を移動させることによりノズルプレート63と検査電極72との位置関係を変更するものとしたが、ノズルプレート63と検査電極72との相対的な位置関係を変更するものであればよい。例えば、移動ユニット50は検査電極72を移動させるものとしてもよい。
【0064】
上述した実施形態では、ノズルプレート63をグランド電位、検査電極72を高電位にし、検査電極72の電圧変化を検出したが、ノズルプレート63を高電位、検査電極72をグランド電位にし、ノズルプレート63の電圧変化を検出してもよい。
【0065】
上述した実施形態では、インクジェットの方式として、ピエゾ素子を用いて圧力によりインクを吐出させる方式を例示したが、例えば、熱によりノズル内に気泡を発生させる方式などを採用してもよい。
【0066】
上述した実施形態では、本発明の液体吐出装置をインクジェットプリンター10に具体化した例を示したが、インク以外の他の液体や機能材料の粒子が分散されている液状体(分散液)、ジェルのような流状体などを吐出する流体吐出装置に具体化してもよいし、流体として吐出可能な固体を吐出する流体吐出装置に具体化してもよい。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を溶解した液体を吐出する液体吐出装置、同材料を分散した液状体を吐出する液状体吐出装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する液体吐出装置としてもよい。また、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を吐出する粉体吐出式記録装置としてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10 プリンター、20 コントローラー、22 CPU、24 ユニット制御回路、26 インターフェース部、28 メモリー、30 ユニット群、40 搬送ユニット、42 上流側ローラー、44 下流側ローラー、46 巻取機構、48 プラテン、50 移動ユニット、52 X軸ステージ、54 Y軸ステージ、60 ヘッドユニット、62 ヘッド、62a〜62o 第1〜第15ヘッド、63 ノズルプレート、63a〜63o 第1〜第15ノズルプレート、70 検査ユニット、71 検査回路、71A〜71H 第1〜第8検査回路、72 検査電極、72A〜72H 第1〜第8検査電極、73 第1制限抵抗、74 高圧電源、75 第2制限抵抗、76 検出制御部、77 増幅器、78 検査用コンデンサー、79 平滑コンデンサー、81 ヘッド側検査領域、81a〜81o 第1〜第15ヘッド側検査領域、82 電極側検査領域、82a〜82o 第1〜第15電極側検査領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、
前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させ両電極間に電圧を印加した状態で、前記ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて、前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出検査を行う吐出検査手段と、
前記吐出検査の前に、前記吐出検査時と比べて多量の液体を前記ノズルから前記第2電極へ吐出させる検査前吐出処理を行う処理手段と、
を備えた液体吐出装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記第1電極と前記第2電極との間に電圧を印加しない状態で前記検査前吐出処理を行う手段である、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記検査前吐出処理において、前記第2電極のうち前記吐出検査で前記第1電極と対向する領域内に前記ノズルから液体を吐出させる手段である、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ヘッドは、前記ノズルから複数種類の液体を吐出可能であり、
前記処理手段は、前記検査前吐出処理において、前記複数種類の液体のうち最も乾きにくい液体を除く液体を前記ノズルから前記第2電極へ吐出させる手段である、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記ヘッドと前記第2電極とを相対的に移動させる移動手段、
を備え、
前記処理手段は、前記検査前吐出処理において、前記第2電極のうち前記吐出検査で前記第1電極と対向する領域全体に液体が行き渡るよう、前記移動手段による移動を伴って前記ノズルから液体を吐出させる手段である、
液体吐出装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体吐出装置であって、
前記第2電極に異物があることを検出する異物検出手段、
を備え、
前記処理手段は、前記異物検出手段により前記第2電極に異物があることが検出されたときに、前記検査前吐出処理を行う手段である、
液体吐出装置。
【請求項7】
液体を吐出する複数のノズルを備えたヘッドと、前記液体と接触する第1電極と、
前記第1電極に対向可能な位置に設けられた第2電極と、を備えた液体吐出装置のノズル検査方法であって、
前記第1電極と前記第2電極とを対向させ両電極間に電圧を印加した状態で前記ノズルから前記第2電極に向かって液体を吐出させたときの両電極間の電気的変化に基づいて前記ノズルからの前記液体の吐出の有無を判定する吐出検査を行う前に、該吐出検査時と比べて多量の液体を前記ノズルから前記第2電極へ吐出させる検査前吐出処理を行う、
ノズル検査方法。
【請求項8】
請求項7に記載のノズル検査方法を1又は複数のコンピューターに実現させるプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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