説明

液体吐出装置

【課題】吐出面にキャップ部材の接触痕が発生するのを防止すると共に、液体吐出ヘッド同士の隙間から液体が浸入するのを防止する。
【解決手段】4つのインクジェットヘッドが、枠状のフレーム4に固定されている。封止板50が、フレーム4とヘッド2との隙間、及び、ヘッド2同士の隙間を封止している。インクジェットヘッドの吐出面2aが、封止板50に形成された環状枠51の開口51bから露出している。キャップ部材76が吐出面2aをキャッピングするとき、キャップ部材76に係る凹部77の内壁面78aと、環状枠51の外壁面51aとが密着しつつ、吐出面2aが凹部77に収容される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する吐出口が形成された吐出面を含む液体吐出ヘッド、及び、吐出面を被覆するキャップ部材を有する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタが待機状態にあるときに、インクジェットヘッドのノズルが開口する吐出面に凹部が形成されたキャップの先端を当接させて、吐出面をキャップの凹部で被覆することによって、ノズル内のインクが乾燥するのを防止する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−142450号公報(図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した技術によると、キャップの先端が吐出面に当接を繰り返すことによって、吐出面とキャップの先端との間に残存するインクが乾燥し、吐出面に接触痕が発生する。吐出面に発生した接触痕は、ワイパなどにより吐出面が払拭されたときに一部が剥離してノズル内に侵入することがある。これにより、当該ノズルのインク吐出特性が悪化する。また、複数のインクジェットヘッドが配列されている場合、インク飛沫や吐出面から濡れ広がったインクが、互いに隣接するインクジェットヘッド同士の隙間からインクジェットプリンタのさらに内部に侵入し、制御基板などに付着することがある。
【0005】
本発明の目的は、吐出面にキャップ部材の接触痕が発生するのを防止すると共に、液体吐出ヘッド同士の隙間から液体が浸入するのを防止することができる液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、液滴を吐出する吐出口が形成された吐出面を有する複数の液体吐出ヘッドと、前記複数の液体吐出ヘッドに固定されていると共に、前記複数の液体吐出ヘッドに係る各吐出面を露出させる開口を有する複数の環状枠が形成された弾性部材と、凹部が形成された複数のキャップ部材と、前記キャップ部材が、前記凹部の内壁面と前記環状枠の外壁面とを当接させつつ前記吐出面を覆うキャップ位置、及び、前記凹部の内壁面が前記弾性部材から離隔する離隔位置を選択的に取り得るように、前記複数の液体吐出ヘッド及び前記複数のキャップ部材の少なくともいずれかを移動させる移動機構とを備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、キャップ部材が環状枠に当接しつつ吐出面を覆うことによって、キャップ部材が吐出面に接触することがないため、吐出面にキャップ部材の接触痕が発生するのを防止することができる。また、弾性部材が液体吐出ヘッド同士の隙間を封止しているため、液体吐出ヘッド同士の隙間から液体が浸入するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態によるインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図2】(a)図1に示すインクジェットヘッドの下方から見た平面図である。(b)図2(a)に示すIIB−IIB線に関する断面図である。
【図3】(a)図1に示すキャッピング装置の上方から見た平面図である。(b)図3(a)に示すIIIB−IIIB線に関する断面図である。
【図4】図1に示すキャッピング装置に係るキャッピング動作を示す図である。
【図5】図4に示すキャッピング動作における詳細な動作を示す図である。
【図6】変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
インクジェットプリンタ(以降、単にプリンタと記す)1は、ライン式のカラーインクジェットプリンタである。プリンタ1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有している。筐体1aの上部には、排紙部31が設けられている。筐体1a内は、上から順に3つの空間A、B、Cに区分できる。空間A及びBは、排紙部31に連なる用紙の搬送経路が構成された空間である。空間Aでは、用紙の搬送と用紙への画像形成とが行われる。空間Bでは、用紙が供給される。空間Cは、インク供給源が収容されており、インクの供給が行われる。
【0011】
空間Aには、4つのインクジェットヘッド(以降、単にヘッドと記す)2、用紙を搬送する搬送ユニット20、用紙をガイドするガイド部等が配置されている。4つのヘッド2は、主走査方向に長尺なラインヘッドであって、略直方体の外形形状を有する。4つのヘッド2の下面(ノズル108が開口する吐出面2a)から、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインク滴が吐出される。各ヘッド2は、副走査方向に所定ピッチで並び、枠状のヘッドフレーム(以下、フレームと記す)4に固定されている。
【0012】
フレーム4は、図示しないフレーム移動機構によって上下移動方向に、筐体1aに支持されている。フレーム4は、画像形成時の「印刷位置」(図4(a)参照)と、キャッピング動作中の「離隔位置」(図4(b)参照)及び「当接位置」(図4(d)参照)とに配置される。「離隔位置」及び「当接位置」は、「印刷位置」より上方にある。最上方にある「離隔位置」では、吐出面2aの下方にキャッピング装置60(後述)の移動空間が作られ、「離隔位置」と「印刷位置」との中間にある「当接位置」では、吐出面2aがキャップ部材76(後述)に当接する。
【0013】
さらに、ヘッド2及びフレーム4には、封止板50が固定されている。封止板50は、ゴムやエラストマー等の弾性部材からなり、図2に示すように、ヘッド2とフレーム4との隙間及びヘッド2同士の隙間を封止している。これにより、ノズル108からのインクミストや吐出面2aからのインクの広がりが、インク滴吐出方向に関してヘッド2に係る吐出面2aの反対側(上方)に及ぶことがない。本実施の形態では、封止板50は、図2(a)に示すように、4つの環状枠51を持つ。環状枠51が画定する矩形状の開口51bからは、対応する吐出面2aがそれぞれ露出している。環状枠51は、ヘッド2の側壁に固定されている。
【0014】
環状枠51は、図2(b)に示すように、インク滴吐出方向に関して先細である。環状枠51の外壁面51aは、先端(開口51b)に近づくにつれ内側に傾斜するテーパ面である。また、開口51bは、インク滴吐出方向に関して、距離dだけ吐出面2aより上方(上流側)に位置している。
【0015】
搬送ユニット20は、図1に示すように、ベルトローラ6、7および両ローラ6、7間に巻回されたエンドレスの搬送ベルト8に加え、搬送ベルト8の外側に配置されたニップローラ5及び剥離プレート13、搬送ベルト8の内側に配置されたプラテン9、テンションローラ10等を有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、搬送モータMによって、図1中時計回りに回転する。このとき、搬送ベルト8は、太矢印に沿って走行する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、搬送ベルト8の走行に伴い、図1中時計回りに回転する。ニップローラ5は、ベルトローラ6に対向配置され、前段のガイド部から供給された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえつける。剥離プレート13は、ベルトローラ7に対向配置され、用紙Pを外周面8aから剥離して後段のガイド部に導く。プラテン9は、4つのヘッド2に対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。これにより、外周面8aとヘッド2の吐出面2aとの間には、画像形成に適した所定の間隙が形成される。テンションローラ10は、下側ループを下方に付勢する。これにより、搬送ベルト8の弛みがなくなる。
【0016】
ガイド部は、搬送ユニット20を挟んで両側に配置されている。上流側のガイド部は、2つのガイド27a、27b及び一対の送りローラ26を有する。このガイド部は、給紙ユニット1b(後述)と搬送ユニット20とを繋ぐ。下流側のガイド部は、2つのガイド29a、29bおよび二対の送りローラ28を有する。このガイド部は、搬送ユニット20と排紙部31とを繋ぐ。
【0017】
空間Bには、給紙ユニット1bが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。給紙ユニット1bは、給紙トレイ23及び給紙ローラ25を有する。給紙トレイ23は、上方に開口した箱体であって、複数の用紙Pを収納する。給紙ローラ25は、給紙トレイ23内で最も上方にある用紙Pを送り出し、後段のガイド部に供給する。
【0018】
上述したように、空間A及び空間Bによって、給紙ユニット1bから搬送ユニット20を介して排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されている。給紙トレイ23から繰り出された用紙Pは、送りローラ26によって搬送ユニット20に供給される。用紙Pが各ヘッド2の真下を副走査方向に通過する際、順にヘッド2からインク滴が吐出されて、用紙P上にカラー画像が形成される。用紙Pは、搬送ベルト8の右端で剥離され、さらに2つの送りローラ28によって上方に搬送される。各ガイド部における用紙Pの搬送は、各ガイド27a、28b、29a、29bに沿う。さらに、用紙Pは、上方の開口30から排紙部31に排紙される。
【0019】
ここで、副走査方向とは、搬送ユニット20において用紙Pが搬送されるときの搬送方向に平行な方向であって、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0020】
空間Cには、インクタンクユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。インクタンクユニット1cには、4つのインクタンク49が並んで収納されている。インクタンク49内のインクは、対応するヘッド2に対してチューブ(図示せず)を介して供給される。
【0021】
ここで、時間の経過とともに、大気に開放されたノズル108ではインクの増粘がすすむ。これはインク滴の吐出特性を損なうもので、所定時間の放置後や装置の電源SWを切ったときに、キャップ部材76による吐出面2aのキャッピング(被覆)を行う。このキャッピング動作は、キャッピング装置60により行われる。
【0022】
キャッピング装置60は、図3に示すように、弾性体からなる4つのキャップ部材76、キャップ部材76を支持するトレイ75、トレイ75を主走査方向に移動可能なトレイ移動機構(図示せず)を有する。トレイ移動機構は、トレイ75(キャップ部材76)を画像形成中のヘッド2と対向しない「退避位置」(図4(a)参照)と、キャッピング時のヘッド2(特に、吐出面2a)に対向する「キャッピング位置」(図4(b)〜図4(d)参照)とに配置する。キャップ部材76は、凹部77を有した樹脂部材であって、凹部77(側壁78)の先端が吐出面2aに当接する。凹部77の側壁78は、内壁面78aが先端に近づくにつれ外側に傾斜するテーパ面である。内壁面78aの傾斜角度は、環状枠51の外壁面51aと同じである。
【0023】
次に、キャッピング動作について説明する。図4(a)に示すように、キャッピング装置60は、通常印刷時には、ヘッド2と対向しない「退避位置(キャップ部材76に係る離隔位置)」に配置されている。キャッピング動作が開始されると、図4(b)に示すように、フレーム移動機構によって、フレーム4が上方に移動され、4つのヘッド2と搬送ユニット20との間にキャッピング装置60が配置可能な空間が形成される。その後、図4(c)に示すように、図示しないトレイ移動機構によって、キャッピング装置60を図4中右方に移動させ、4つのキャップ部材76を対応する吐出面2aと互いに対向する「キャッピング位置」に配置する。そして、図4(d)に示すように、フレーム移動機構によって、4つのヘッド2を下方に移動させると、キャップ部材76が吐出面2aをキャッピングする。
【0024】
図5(a)に示すように、ヘッド2が下方に移動するとき、環状枠51の外壁面51aとキャップ部材76の内壁面78aとが互いに案内され、キャップ部材76がヘッド2に対して正確に位置決めされる。図5(b)に示すように、この状態で、4つのヘッド2がさらに下方に移動することによって、外壁面51aと内壁面78aとが密着するように当接すると共に、吐出面2aがキャップ部材76の凹部77内に収容される。以上で、キャッピング動作が完了する。なお、この状態から通常印刷状態に移行するときは、上述の動作手順の逆を行う。
【0025】
以上説明した本実施形態によると、キャップ部材76が環状枠51に当接しつつ吐出面2aをキャッピングすることによって、キャップ部材76が吐出面2aに接触することがなくため、吐出面2aにキャップ部材76の接触痕が発生するのを防止することができる。また、封止板50が、フレーム4とヘッド2との隙間、及び、ヘッド2同士の隙間を封止しているため、吐出面2a近傍に飛散するインクミストや、吐出面2aに濡れ広がったインクが、フレーム4とヘッド2との隙間、及び、ヘッド2同士の隙間からフレーム4の上方に侵入するのを防止することができる。これにより、ヘッド2の上方(インクジェットプリンタ1のさらなる内部)に配置された制御基板などの電気的不具合が発生するのを防止することができる。
【0026】
また、キャップ部材76が樹脂で形成されているため、キャップ部材76の製造コストを低減することができる。
【0027】
さらに、環状枠51の開口51bが、吐出面2aよりも距離dだけ上方(インク滴吐出方向に関する上流側)に位置しているため、吐出面2aに残存したインクが開口51bの隙間から浸入するのを抑制することができる。また、キャップ部材76の接触痕がより発生しにくくなる。
【0028】
加えて、環状枠51の外壁面51aとキャップ部材76の内壁面78aとが同じ傾斜角度を持つ傾斜面であって、外壁面51aは、その先端に近づくにつれて内側に傾斜し、内壁面78aが、その先端に近づくにつれて外側に傾斜している。そのため、キャッピング時において、環状枠51の外壁面51aとキャップ部材76の内壁面78aとが互いに案内され、キャップ部材76をヘッド2に対して容易に正確に位置決めすることができる。これにより、キャップ部材76の制作精度や取り付け精度の許容範囲が広くなり、キャッピング装置60の製造コストの低減を図ることができる。また、キャッピングが完了したとき、外壁面51aと内壁面78aとが密着するため、吐出面2aを凹部77によって確実に封止することができる。
【0029】
<変形例>
上述のキャッピング装置60においては、環状枠51の外周面がテーパ面である外壁面51aとなっており、キャップ部材76の凹部77にテーパ面である内壁面78aが形成されており、キャップ時において、両壁面51a、78aが互いに密着する構成であるが、このような構成に限定されるものではない。キャップ時に環状枠とキャップ部材とが当接するのであれば、環状枠の外壁面及びキャップ部材の凹部の内壁面が他の形状であってもよい。以下、変形例について説明する。
【0030】
本変形例においては、図6(a)に示すように、封止板150の環状枠151の先端に膨大部151cが形成されている。膨大部151cの外壁面151aが、先端(開口151b)に近づくに連れて内側に向かうように湾曲している湾曲面となっている。
【0031】
キャップ部材176と吐出面2aとが対向した状態で離隔しているとき(離隔位置にあるとき)、吐出面2aに直交する方向から見て、外壁面151aの外側端部が凹部177の内壁面178aの内側端部から距離d2だけ外側に位置している。つまり、膨大部151cの輪郭で囲まれた面積が凹部177の開口面積より大きくなっている。
【0032】
図6(b)に示すように、キャッピング動作においてヘッド2が下方に移動すると、環状枠151の外壁面151aによってキャップ部材176の内壁面178aが案内され、キャップ部材176がヘッド2に対して正確に位置決めされる。この状態で、ヘッド2がさらに下方に移動することによって、外壁面151aが弾性変形しつつ内壁面178aに密着すると共に、吐出面2aがキャップ部材76の凹部77内に収容され、キャッピング動作が完了する。
【0033】
なお、キャップ部材176は、環状枠151よりも高剛性の金属製あるいは樹脂製であっても良い。これにより、キャッピング動作完了時において、キャップ部材176のサイズがその前後で変化しないので、少なくともキャッピング装置の小型化に寄与する。とくに、キャップ部材176の材質の選択の自由度が高くなり、接触痕の生じにくい、あるいは生じない材料を選択できる。
【0034】
また、キャップ部材176の先端は、上述の形態と同様に、その先端に近づくにつれて外側に傾斜していてもよい。これにより、ヘッド2に対するガイド効果の向上と環状枠151の損傷防止に寄与する。
【0035】
本変形例によると、外壁面151aの外側端部が凹部177の内壁面178aから外側に位置しているため、キャップ部材176が吐出面2aをキャッピングしたとき、環状枠151が弾性変形してキャップ部材176と確実に密着する。また、外壁面151aが、開口151bに近づくに連れて内側に向かうように湾曲している湾曲面となっているため、外壁面151aによってキャップ部材176の内壁面178aに案内され、キャップ部材176をヘッド2に対して容易に正確に位置決めすることができる。
【0036】
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態では、キャップ部材76が樹脂で形成される構成であるが、キャップ部材76が金属など他の材料で形成されてもよい。
【0037】
また、上述の実施形態では、環状枠51の開口51bが、吐出面2aよりも上方に位置する構成であるが、環状枠51、151の開口51b、151bが、吐出面2aと同じ高さに位置してもよい。この場合、キャップ部材76、176の内壁面78a、178aとの当接位置が吐出面2aよりも上方となるように、内壁面78a、178aの傾斜角度を環状枠51、151の外壁面51a、151aの傾斜角度より大きくするとよい。吐出面2aから離れた位置でキャップ部材76、176により封止されることになり、仮に接触痕が生じても、ワイパによる払拭時の接触痕の剥離や移動、これに伴う吐出特性の悪化を防ぐことができる。
【0038】
上述の実施形態において、キャップ部材76は、凹部77の内壁面が、傾斜した内壁面78aに加え、底面、底面と内壁面78aの内側端部とを繋ぐ内側面から構成されている。ここで、吐出面2aの直交する方向から見たときに、内側面の最も内側の輪郭が作る面積が、吐出面2aの面積より大きいとよい。これにより、キャッピング時においては、ヘッド2の側壁と内壁面間に若干の隙間が生じる。このように、キャップ部材76の当接位置が確実に吐出面2aから離れるので、仮に接触痕が生じても、ワイパによる払拭時の接触痕の剥離や移動、これに伴う吐出特性の悪化を防ぐことができる。
【0039】
さらに、上述の実施形態では、キャッピング動作において、ヘッド2を下方に移動することによって、キャップ部材76を環状枠51に当接させる構成であるが、キャップ部材76を上方に移動することによって、キャップ部材76を環状枠51に当接させてもよいし、ヘッド2を下方に移動させつつキャップ部材76を上方に移動させることによって、キャップ部材76を環状枠51に当接させる構成であってもよい。
【0040】
さらに、上述の実施形態においては、インクジェットプリンタ1に本発明を適用した例について説明したが、他の液体を吐出する液滴吐出ヘッドを有する装置にも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 インクジェットプリンタ
2 インクジェットヘッド
2a 吐出面
4 フレーム
8 搬送ベルト
20 搬送ユニット
50、150 封止板
51 環状枠
51a 外壁面
51b 開口
60 キャッピング装置
75 トレイ
76、176 キャップ部材
77、177 凹部
78a 内壁面
108 吐出口
151 環状枠
151a 湾曲面
151b 開口
151c 膨大部
178a 内壁面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する吐出口が形成された吐出面を有する複数の液体吐出ヘッドと、
前記複数の液体吐出ヘッドに固定されていると共に、前記複数の液体吐出ヘッドに係る各吐出面を露出させる開口を有する複数の環状枠が形成された弾性部材と、
凹部が形成された複数のキャップ部材と、
前記キャップ部材が、前記凹部の内壁面と前記環状枠の外壁面とを当接させつつ前記吐出面を覆うキャップ位置、及び、前記凹部の内壁面が前記弾性部材から離隔する離隔位置を選択的に取り得るように、前記複数の液体吐出ヘッド及び前記複数のキャップ部材の少なくともいずれかを移動させる移動機構とを備えていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記キャップ部材が樹脂で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記環状枠の開口が、前記吐出口に係る液滴吐出方向に関して前記吐出面より上流側に位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記キャップ部材が前記離隔位置にあるとき、前記吐出面に直交する方向から見た前記環状枠の外形面積が前記凹部の開口面積より大きいことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記環状枠の外壁面が、先端に近づくに連れて内側に向かうように傾斜していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記凹部の内壁面が、先端に近づくに連れて外側に向かうように傾斜していることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記環状枠の外壁面が、先端に近づくに連れて内側に向かう傾斜面を有していると共に、前記凹部の内壁面が、先端に近づくに連れて外側に向かう傾斜面を有しており、
前記キャップ部材が前記キャップ位置にあるとき、前記環状枠の外壁面が有する傾斜面と前記凹部の内壁面が有する傾斜面とが密着することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体吐出装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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