説明

液体吐出装置

【課題】封止状態における気密性を確保する。
【解決手段】プリンタは、ヘッド10と、ヘッド10と対向する吐出空間を外部空間から離隔した封止状態と、吐出空間を外部空間に対して開放した非封止状態とを取り得るキャップ機構40とを有している。キャップ機構40は、ヘッド10を取り囲む環状部材41と、ガイド62と、環状部材41のリップ42が固定されたホルダ45と、ホルダ45を昇降させる移動機構70と、ホルダ45に形成されたリブ51とを含む。リブ51は、封止状態を取るときに、ガイド62に当接してホルダ45及びリップ42の外側への変形を規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出口から液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、記録ヘッドの周囲に設けられたキャップ部材を搬送ベルトに密着させることによって、記録ヘッドのノズル面をキャップ部材及び搬送ベルトによってキャッピングするインクジェット記録装置について記載されている。このインクジェット記録装置において、キャップ部材は、記録ヘッドを囲む環状の側板と、外周端が側板の上端に、内周端が記録ヘッドの外側面に固着されたシートとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−85959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のキャップ部材においては、側板の下端部分が弾性部材から構成されている。キャップ部材のコストを削減するために、この弾性部材にシート部分の機能を有する弾性のダイアフラムを一体的に形成することが考えられる。このとき、ダイアフラムは、その製造誤差を吸収する観点から、外周端から内周端までの長さは、キャッピング時の外周端と内周端との直線距離よりも若干長めに形成される。そのため、キャッピング時であっても、ダイアフラムは、側板(弾性部材含む)を外側に付勢する構成となる。このようにダイアフラムが弾性部材を外側に付勢すると、側板自体(特に長手方向の中央部分)が外側へと変形する。この変形度合いは場所によって異なるとともに、弾性部材の搬送ベルトに対する接触具合も場所によって異なる。このときの変形度合いが大きいと、変形の小さい又はない場合に比べて、キャッピング時の気密性が低下する。この気密性を確保するためには、接触力を増す必要が生じ、装置が大型化するとともに複雑なものとなってしまう。
【0005】
そこで、本発明の目的は、封止状態における気密性を確保することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、液体を吐出するための吐出口が形成された液体吐出ヘッドと、前記吐出口と対向する吐出空間を外部空間から隔離した封止状態と、前記吐出空間を前記外部空間に対して開放した非封止状態とを取り得るキャップ手段とを備えている。そして、前記キャップ手段は、前記液体吐出ヘッドを取り囲むリップ、及び、前記リップと前記液体吐出ヘッドとの間を塞ぐとともに前記リップを外側に付勢するダイアフラムが一体的に形成された弾性を有する環状部材と、前記液体吐出ヘッドと所定の位置関係に固定されたガイドと、前記液体吐出ヘッドを取り囲むとともに前記リップが固定された環状のホルダと、前記吐出空間を挟んで前記吐出口と対向する対向部材に前記リップが当接した前記封止状態及び前記リップが前記対向部材から離隔した前記非封止状態のいずれかの状態を取るように、前記ガイド及び前記ホルダを相対的に移動させる移動機構と、前記ホルダ及び前記ガイドの一方に形成され、前記封止状態を取るときに、前記ホルダ及び前記ガイドの他方に当接して前記ホルダ及び前記リップの外側への変形を規制する規制部材とを有している。
【0007】
これによると、ダイアフラムがリップを外側に付勢していても、封止状態を取るときには、ホルダ及びこれに固定されたリップの外側への変形が規制部材によって規制される。このため、対向部材に対してリップを所望位置に当接させることが可能となって、封止状態における気密性が確保される。この結果、吐出口近傍の液体の増粘を抑制することが可能となる。
【0008】
本発明において、前記ホルダは、前記移動機構によって前記ガイドに対して移動され、前記ガイドは、前記ホルダの移動方向に沿って延在し、前記規制部材は、前記ホルダに形成されるとともに前記移動方向と直交する方向に関して前記ガイドと対向し、前記キャップ手段が前記封止状態から前記非封止状態までのいずれを取るときでも前記直交する方向に関して前記ガイドに当接することが好ましい。これにより、キャップ手段が封止状態及び非封止状態までのいずれを取るときでも、ホルダ及びリップの外側への変形が規制される。このため、対向部材に対してリップを所望位置に確実に当接させることが可能となる。
【0009】
また、本発明において、前記規制部材は、前記移動方向に沿って延在した棒状部材であり、前記ガイドは、前記ダイアフラムの付勢する方向に関して、前記棒状部材の外側に配置されていることが好ましい。これにより、規制部材の構成が簡単になる。
【0010】
また、本発明において、前記ガイド及び前記棒状部材の少なくともいずれかは、前記移動方向に沿って互いに線接触可能な断面形状を有していることが好ましい。これにより、棒状部材とガイドとの摩擦抵抗が小さくなる。このため、ホルダ及びリップが移動機構によってスムーズに移動し、封止状態を取るときに、移動方向に関してリップと対向部材との間に隙間が生じにくくなって、封止状態における気密性が確保される。この結果、吐出口近傍の液体の増粘を抑制することが可能となる。
【0011】
また、本発明において、前記ホルダは、前記移動機構によって前記ガイドに対して移動される。前記ガイドは、前記ホルダの移動方向に沿って延在し、前記ホルダは、前記移動方向に沿って延在し、前記移動方向と直交する方向に関して前記ガイドと対向する延在部を有し、前記規制部材は、前記延在部及び前記ガイドの間に配置されるとともに前記延在部及び前記ガイドの一方に形成され、前記キャップ手段が前記封止状態から前記非封止状態までのいずれを取るときでも前記直交する方向に関して前記延在部及び前記ガイドの他方に当接することが好ましい。これにより、キャップ手段が封止状態及び非封止状態までのいずれを取るときでも、ホルダ及びリップの外側への変形が規制される。このため、対向部材に対してリップを所望位置に確実に当接させることが可能となる。
【0012】
また、本発明において、前記延在部及び前記ガイドの他方と、前記規制部材との少なくともいずれかは、前記移動方向に沿って互いに線接触可能な断面形状を有していることが好ましい。これにより、規制部材と、延在部及びガイドの他方との摩擦抵抗が小さくなる。このため、ホルダ及びリップが移動機構によってスムーズに移動し、封止状態を取るときに、移動方向に関してリップと対向部材との間に隙間が生じにくくなって、封止状態における気密性が確保される。この結果、吐出口近傍の液体の増粘を抑制することが可能となる。
【0013】
また、本発明において、前記液体吐出ヘッド、前記環状部材及び前記ホルダは、平面視で、一方向に長い矩形状の輪郭を有しており、前記規制部材は、前記一方向に関して、前記ホルダの各長尺部の中央部に配置されていることが好ましい。これにより、一方向に長尺な環状部材のリップ及びホルダの中央部において、外側への変形を規制することが可能となる。
【0014】
また、本発明において、前記ホルダは、前記リップの上端に固定された固定部と、前記固定部から下方に延在し前記リップの外周側面と当接する当接部とを有していることが好ましい。これにより、環状部材のリップの外側への変形を規制することが可能となる。
【0015】
また、本発明において、前記当接部は、周方向に関して前記リップの外周側面全体と当接するように、環状に形成されていることが好ましい。これにより、リップの周方向全体に亘って、リップの外側への変形を規制することが可能となる。
【0016】
また、本発明において、前記液体吐出ヘッドは、前記吐出口と前記吐出口に連通する流路が形成された流路形成部材と、前記流路形成部材の一表面に積層された積層部材とを有し、前記ガイドが、前記積層部材と一体に形成されていることが好ましい。これにより、ガイドと積層部材が一体成形されているので、液体吐出ヘッドとガイドとの位置関係において、ばらつきが少なくなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体吐出装置によると、ダイアフラムがリップを外側に付勢していても、封止状態を取るときには、ホルダ及びこれに固定されたリップの外側への変形が規制部材によって規制される。このため、対向部材に対してリップを所望位置に当接させることが可能となって、封止状態における気密性が確保される。この結果、吐出口近傍の液体の増粘を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の液体吐出装置の一実施形態によるインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図2】図1に示すインクジェットヘッド及びキャップ機構の概略斜視図である。
【図3】(a)は図2に示すIII−III線に沿った断面図であり、(b)はリブ及びガイドの断面図である。
【図4】図1のプリンタに含まれるインクジェットヘッドの流路ユニット及びアクチュエータユニットを示す平面図である。
【図5】図4の一点鎖線で囲まれた領域Vを示す拡大図である。
【図6】図5のVI−VI線に沿った部分断面図である。
【図7】キャップ機構による封止状態を示す説明図である。
【図8】本発明の液体吐出装置の第1変形例を示し、インクジェットヘッド及びキャップ機構の概略斜視図である。
【図9】(a)は図8に示すIX−IX線に沿った断面図であり、(b)はフレーム及びガイドの断面図である。
【図10】本発明の液体吐出装置の第2変形例を示し、(a)はキャップ機構による封止状態を示す説明図であり、(b)はローラ部材の平面を示すと共にガイドの断面を示す図である。
【図11】本発明の液体吐出装置の第3変形例を示し、(a)はキャップ機構による封止状態を示す説明図であり、(b)は延在部、規制部材及びガイドの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
先ず、図1を参照し、本発明の液体吐出装置の一実施形態であるインクジェットプリンタ1の全体構成について説明する。
【0021】
プリンタ1は、直方体形状の筐体1aを有する。筐体1aの天板上部には、排紙部31が設けられている。筐体1aの内部空間は、上から順に空間A,B,Cに区分できる。空間A,Bには、給紙ユニット1bから排紙部31に至る用紙搬送経路が形成されている。空間Aでは、用紙Pへの画像形成と、用紙Pの排紙部31への搬送が行われる。空間Bでは、用紙Pの搬送経路への給紙が行われる。空間Cは、空間Aのヘッド10に対するインク供給が行われる。
【0022】
空間Aには、用紙センサ32、4つのヘッド10、搬送部8、用紙Pをガイドする2つのガイド部9a,9b、キャップ機構(キャップ手段)40、制御装置1p等が配置されている。搬送部8は、4つのヘッド10のそれぞれに対向して配置された4つの平板状プラテン(対向部材)7、及び、用紙搬送経路に沿って配置された4つの送りローラ対24からなり、用紙Pを図1中の太矢印方向(搬送方向)に搬送する。
【0023】
ヘッド10は、主走査方向に長尺な略直方体形状を有する。ヘッド10は、副走査方向に所定ピッチで並び、フレーム(不図示)を介して筐体1aに支持されている。フレームは、ヘッド10の下面とプラテン7の上面7aとの間に記録に適した所定の間隙が形成されるように、ヘッド10を保持している。各ヘッド10は、インクを吐出する複数の吐出口14a(図6参照)がヘッド10の下面(吐出面10a)に開口している。
【0024】
用紙センサ32は、搬送される用紙Pの先端を検出する。検出信号は、制御装置1pに出力される。制御装置1pでは、検出信号に基づいて、画像形成時の吐出タイミングが設定される。
【0025】
2つのガイド部9a,9bは、搬送部8を挟んで配置されている。搬送方向上流側のガイド部9aは、3つのガイド18aと2つの送りローラ対22,23とを有し、給紙ユニット1bと搬送部8とを繋ぐ。画像形成用の用紙Pが、搬送部8に向けて搬送される。搬送方向下流側のガイド部9bは、3つのガイド18bと3つの送りローラ対25〜27とを有し、搬送部8と排紙部31とを繋ぐ。画像形成後の用紙Pが、排紙部31に向けて搬送される。
【0026】
空間Bには、給紙ユニット1bが配置されている。給紙ユニット1bは、給紙トレイ20及び給紙ローラ21を有する。このうち、給紙トレイ20が、筐体1aに対して着脱可能である。給紙トレイ20は、上方に開口する箱であり、複数の用紙Pを収納可能である。給紙ローラ21は、給紙トレイ20内で最も上方にある用紙Pを送り出す。ここで、副走査方向とは、送りローラ対23,24によって搬送される用紙搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは、水平面に平行且つ副走査方向に直交する方向である。
【0027】
空間Cには、カートリッジユニット1cが筐体1aに対して着脱可能に配置されている。カートリッジユニット1cは、トレイ35、及び、トレイ35内に並んで収納された4つのカートリッジ39を有する。4つのカートリッジ39には、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのいずれかのインクが収容されている。カートリッジ39はそれぞれ、チューブ(図示せず)を介してヘッド10と接続され、当該ヘッド10に対応する色のインクを供給する。
【0028】
次に、制御装置1pについて説明する。制御装置1pは、プリンタ1各部の動作を制御してプリンタ1全体の動作を司る。制御装置1pは、外部装置(プリンタ1と接続されたPC等)から供給された画像データに基づいて、画像形成動作を制御する。具体的には、制御装置1pは、記録に係わる準備動作、用紙Pの供給・搬送・排出動作、用紙Pの搬送に同期したインク吐出動作等を制御する。
【0029】
制御装置1pは、外部装置から受信した記録指令に基づいて、給紙ローラ21用の給紙モータ(不図示)、各送りローラ対22〜27用の送りモータ(不図示)等を駆動する。給紙トレイ20から送り出された用紙Pは、上流側のガイド部9aにより搬送部8に送られる。搬送部8では、用紙Pがプラテン7の上面7aに順次支持されて搬送される。用紙Pが各ヘッド10の真下を副走査方向(用紙搬送方向)に通過する際に、制御装置1pの制御により、各吐出面10aから順次インクが吐出され、用紙P上にカラー画像が形成される。そして画像が形成された用紙Pは、下流側のガイド部9bにより、筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31に排出される。
【0030】
また、制御装置1pは、ヘッド10に対するキャッピング動作を制御する。キャッピング動作では、図7に示すように、キャップ機構40のリップ42により吐出空間(吐出口14a(吐出面10a)と対向する空間)S1が外部空間S2から隔離される。これにより、ヘッド10の吐出口14a内のインクの乾燥が抑制される。なお、キャッピング動作は、例えば、プリンタ1の停止時や休止時に行われる。
【0031】
次に、図2〜図6を参照し、ヘッド10の構成について説明する。なお、図5では、アクチュエータユニット17の下側にあって破線で示すべき圧力室16及びアパーチャ15を実線で示している。
【0032】
ヘッド10は、図2〜図6に示すように、流路ユニット12、アクチュエータユニット17、リザーバユニット11、回路基板28及びヘッドカバー60が、下から順に積層された積層体である。
上流側流路形成部材としてのリザーバユニット11には、リザーバを含む上流側インク流路(ともに不図示)が形成されており、カートリッジ39からインクが供給される。リザーバは、インクを一時的に貯留する。このリザーバユニット11の上面には、ヘッドカバー60が積層されている。なお、ヘッドカバー60の詳細については、後述する。
下流側流路形成部材としての流路ユニット12は、図6に示すように、9枚の矩形状金属プレート12a〜12iが積層された積層体である。流路ユニット12には、下流側インク流路が形成されている。下流側インク流路は、図4に示すように、上面12xの開口12yでリザーバユニット11の上流側インク流路と接続されている。下流側インク流路は、図4〜図6に示すように、開口12yを一端とするマニホールド流路13、マニホールド流路13から分岐した副マニホールド流路13a、副マニホールド流路13aに接続した多数の個別インク流路14で構成されている。個別インク流路14は、流路抵抗調整用のアパーチャ(絞り)15を含み、副マニホールド流路13aの出口から圧力室16を経て吐出口14aに至る。上面12xには、圧力室16が開口しマトリクス状に配置されている。一方、下面である吐出面10aには、吐出口14aが圧力室16に対応してマトリクス状に配置されている。
【0033】
アクチュエータユニット17は、リザーバユニット11及び流路ユニット12に挟まれて、主走査方向に沿って千鳥状に配置されている。アクチュエータユニット17は、流路ユニット12の上面12xに固定されて、各圧力室16の開口を封止する。また、アクチュエータユニット17は、厚み方向に分極された圧電層(最上層)が振動板に積層した積層体である。振動板は、同じ圧電層であるが、自発的に変形しない。最上層は、表面側の多数の個別電極と内側の共通電極に挟まれている。1つの個別電極及び共通電極で挟まれた部分が歪むと、これに振動板を加えた部分がユニモルフ変形する。ユニモルフ変形する部分(個別電極と圧力室で挟まれた部分)が、個別アクチュエータとして働き、駆動信号で選択的に駆動される。
【0034】
アクチュエータユニット17は、図3及び図6に示すように、FPC19の一端に電気的に接続されている。FPC19は、他端が回路基板28と電気的に接続されており、アクチュエータユニット17と回路基板28とを接続している。FPC19には、途中部にドライバIC19aが実装されている。制御装置1pの制御の下、FPC19は、回路基板28で中継・調整された各種信号(制御信号、画像信号等)をドライバIC19aに伝達し、ドライバIC19aが生成した駆動信号を対応する個別アクチュエータに伝達する。
【0035】
次に、図2,図3及び図7を参照し、キャップ機構40の構成について説明する。
キャップ機構40は、環状部材41、ホルダ45、リブ51、ヘッドカバー60のガイド62、移動機構70を含む。環状部材41は、図3(a)に示すように、ゴムなどの弾性材料からなり、一体的に形成されたリップ42、ダイアフラム43及び取付部44を有する。リップ42は、環状に形成されており、流路ユニット12の周囲を取り囲む。また、リップ42は、下方に向かって先細りとなる断面形状を有している。取付部44も、環状に形成されており、流路ユニット12を全周に亘って取り囲んでいる。取付部44は、図3に示すように、流路ユニット12の側面上端部に固定されている。
【0036】
ダイアフラム43は、環状に形成されており、リップ42と流路ユニット12との間に配置されている。より具体的には、ダイアフラム43は、可撓性を有した薄膜部材であって、外周端がリップ42の内周面に接続し、内周端が取付部44の下面に接続している。これにより、リップ42と流路ユニット12との間が塞がれている。
【0037】
リップ42は、プラテン7の上面7aに当接する位置(当接位置)にあるとき、取付部44から最も離れる。しかし、ダイアフラム43の外周端と内周端との直線距離は、両端間の長さよりも短い。そのため、ダイアフラム43は、図7に示すように、リップ42と流路ユニット12との間に屈曲部43aを持つ。本実施の形態では、流路ユニット12に対するリップ42の位置に係わらず、ダイアフラム42には、屈曲部43aが生じている。屈曲部43aは、広がろうとするので、リップ42には外側に付勢する付勢力が常に働いている。これにより、リップ42が当接位置に配置されていても、ダイアフラム43によってリップ42に対して内側への引っ張り力が作用しない。このため、リップ42をプラテン7の上面7aに当接させることが可能となる。
【0038】
ホルダ45は、図3(a)に示すように断面L字形状を有し、合成樹脂から構成されている。ホルダ45は、リップ42の上端が固定された環状の固定部46と、固定部46の外周端から下方に延在した当接部47とを有している。固定部46及び当接部47は、ともに厚みの薄い平板からなり、可撓性を有している。当接部47の内周面には、リップ42の外周面が全周に亘って当接している。このように、ホルダ45が当接部47を有していることで、リップ42の外側への変形を規制することが可能となる。加えて、当接部47がリップ42に対して周方向全体に亘って当接しているため、リップ42の外側への変形をより規制することが可能となる。なお、環状部材41及びホルダ45は、ヘッド10と同様に、平面視において、主走査方向に沿って長尺な矩形状の輪郭を有している。
【0039】
固定部46の主走査方向に沿う長尺部分には、図2に示すように、それぞれ2つのリブ(棒状部材)51が立設されている。また、2つのリブ51は、主走査方向に関して、上面46aの中央部(主走査方向に関して固定部46の長尺部分を3等分したときの中央領域)に配置されている。
【0040】
リブ51は、図3に示すように、板状部52と突出部53とから構成されている。板状部52は、固定部46の上面46aに立設され、鉛直方向上方に延びた平板部分である。突出部53は、板状部52上に設けられた凸部であって、板状部52に関して、リザーバユニット11と反対側に配置されている。突出部53は、鉛直方向に関して、板状部52の面52a全体に亘って形成されている。また、突出部53は、図3(b)に示すように、三角形状の断面を有し、その頂部53aがガイド62と当接可能に形成されている。ガイド62は、リザーバユニット11に関して、突出部53よりも外側に配置されている。
【0041】
ヘッドカバー60は、天板部61とガイド62とから構成されている。天板部61は、平面視で矩形状の平板部材であり、回路基板28の上方でヘッド10に対して所定の位置関係で固定されている。平面サイズは、ヘッド10よりも一回り大きく、ホルダ45とほぼ同じである。天板部61の下面からは、4つのガイド62が鉛直方向下方に延在している。ホルダ45は、リブ51に対応して設けられており、副走査方向の両側から、リブ51を介してリザーバユニット11を挟んでいる。天板部61とガイド62とは一体であるので、ガイド62も、ヘッド10に対して所定の位置関係にある。本実施の形態では、図3(b)に示すように、ガイド62は、水平方向の断面がコの字形状を有し、コの字の平らな底面がガイド面62aである。ガイド面62aには、リブ51の頂部53aが常に当接している。
ここで、仮にホルダ45の剛性が低く、ダイアフラム43からの付勢力に負けてしまい、リップ42に変形する傾向があっても、変形はガイド面62aにより規制される。ガイド62及びリブ51は、図3及び図7に示すように、リップ42が当接位置(図7に示す位置)と離隔位置(図3に示す位置であって、リップ42がプラテン7の上面7aから離隔する位置)との間のいずれにあっても、副走査方向に互いに当接している。そのため、リップ42のプラテン7に対する姿勢は、常に一定であり、当接位置での気密性も良好である。
【0042】
本実施形態においては、リブ51が、ガイド面62aに対して鉛直方向に沿って線接触可能な突出部53を有しているため、リブ51とガイド62との摩擦抵抗が小さくなる。このため、ホルダ45及びリップ42が、互いに摺接しながらも、移動機構70によってスムーズに移動できる。そのため、移動機構70が、簡単な構成となり、小型化する。さらに、リップ42とプラテン7の上面7aとは、互いの位置関係が場所によらず一定のまま、鉛直方向に相対移動することになり、例えば、リップ42が当接位置にあるときに、リップ42と上面7aとの間に隙間が生じない。したがって、封止状態における気密性が確保され、吐出口14a近傍のインクの増粘を抑制することが可能となる。変形例として、ガイド面62aの方に突出部53と同様な突出部が形成され、リブ51が板状部52だけから構成されていてもよい。この場合、ガイド62の突出部の頂部とリブ51の板状部52の面52aとが鉛直方向に沿って線接触する。このため、上述と同様な効果を得ることができる。
【0043】
移動機構70は、図2及び図3に示すように、ホルダ45の上面46aに立設された4本のラック71と、ラック71に対応する4つのピニオンギア72と、ピニオンギア72に回転力を伝達する4つの駆動ギア73と、駆動ギア73を回転させるための4つの駆動モータ(不図示)とを含む。ピニオンギア72は、ラック71の外側において当該ラック71と噛み合っている。ラック71は、リブ51と同様に、固定部46の主走査方向に沿う長尺部分のそれぞれに2つずつ立設されている。2つのラック71は、主走査方向に関して、2つのリブ51を挟む位置(主走査方向に関して固定部46の長尺部分を3等分したときの両端に位置する領域)に配置されている。ラック71は、固定部46の上面46aから鉛直方向に沿って延在し、その上端がヘッドカバー60よりも上方に位置している。このとき、ラック71は、天板部61に形成された切欠部63を通るように配置されている。なお、ラック71は、切欠部63に通されることで、ホルダ45の昇降ガイドも兼ねている。
【0044】
この構成において、制御装置1pの制御により、駆動ギア73用の駆動モータが駆動されると、ギア72,73が回転し、4本のラック71が昇降する。このとき、ホルダ45及びリップ42も昇降する。本実施形態では、キャップ機構40がヘッド10毎に設けられており、対応するヘッド10をキャッピングするときに当該キャップ機構40の駆動モータが選択的に駆動される。
【0045】
リップ42は、ラック71及びホルダ45の昇降に伴って、上述のように当接位置と、離隔位置とを選択的に取る。当接位置では、図7に示すように、吐出空間S1が、吐出面10aとプラテン7の上面7aとに挟まれて、外部空間S2から隔離された封止状態となっている。また、離隔位置では、吐出空間S1が外部空間S2に対して開放された非封止状態となっている。
【0046】
次に、制御装置1pが実行するキャッピング動作の制御内容について説明する。
【0047】
制御装置1pは、先ず、キャッピング指令の受信の有無を判断する。キャッピング指令の受信前、リップ42は離隔位置にある。制御装置1pは、キャッピング指令を受信すると、各キャップ機構40の駆動ギア73用の駆動モータを駆動し、リップ42の先端をプラテン7の上面に当接させる。これにより、吐出面10aとプラテン7との間に形成される吐出空間S1が外部空間S2から隔離された封止状態となる。
【0048】
このとき、図7に示すように、リブ51の上部とガイド62の下部とが線接触している。このため、リップ42及びホルダ45がダイアフラム43によって外側に付勢されていても、リップ42が当接位置にあるとき(すなわち、封止状態を取るとき)には、ホルダ45及びリップ42の外側への変形がガイド62によって規制される。このため、プラテン7に対してリップ42を所望位置に当接させることが可能となって、封止状態における気密性が確保される。
【0049】
こうして、キャッピング動作が終了する。この後、外部装置から記録指令などの信号を受信すると、制御装置1pは、各キャップ機構40の駆動ギア73用の駆動モータを駆動し、リップ42の先端をプラテン7から離隔させる。これにより、図3に示すように、吐出面10aとプラテン7の上面7aとの間に形成される吐出空間S1が、外部空間S2に開放された非封止状態となる。そして、上述したように記録動作が制御装置1pの制御によって行われる。
【0050】
以上に述べたように、本実施形態によるプリンタ1によると、ダイアフラム43がリップ42を外側に付勢していても、リップ42が当接位置にあるときには、ホルダ45及びリップ42の外側への変形がガイド62によって規制される。このため、封止状態における気密性が確保され、吐出口14a近傍のインクの増粘を抑制することが可能となる。
【0051】
また、リブ51は、リップ42が当接位置及び離隔位置の間のいずれにあるとき(すなわち、キャップ機構40が封止状態から非封止状態までのいずれを取るとき)でも、ガイド62と当接するため、ホルダ45及びリップ42の外側への変形が規制される。このため、プラテン7に対してリップ42を所望位置に確実に当接させることが可能となる。
【0052】
ホルダ45及びリップ42の外側への変形の規制が、ガイド62の内側に配置された棒状部材であるリブ51と協働して行われるため、規制を行う部材の構成が簡単になる。変形例として、規制部材がダイアフラム43の付勢方向に関してガイド62の外側に配置されている場合は、規制部材にガイド62の外側から回り込んでガイド面62aと付勢方向に沿って当接する鉤状の引掛部が形成されていてもよい。これにおいても、ホルダ45及びリップ42の外側への変形の規制を抑制することが可能となる。
【0053】
また、リブ51が、ホルダ45の主走査方向中央部に配置されているため、主走査方向に長尺なリップ42及びホルダ45の中央部において、外側への変形を効率的に規制することが可能となる。なお、リップ42及びホルダ45の副走査方向に沿う短尺部分は短く、ホルダ45自体の剛性でダイアフラム43からの付勢力に抗することができる。このため、当該長尺部分の端部近傍では、外側に変形しにくい。したがって、主走査方向に沿う長尺部分の中央部で、外側への変形を規制すれば、リップ42及びホルダ45の全体的な外側への変形を抑制することが可能となる。また、変形例として、リブ51が各長尺部分の中央に1つだけ配置されていてもよい。別の変形例として、上面46aの中央部に、3以上のリブ51が配置されていてもよい。これらにおいても、上述と同様な効果を得ることができる。
【0054】
続いて、第1変形例として、上述の4つのリブ51に代えて、2つのフレーム251がホルダ45に固定されたキャップ機構240について、図8及び図9を参照しつつ以下に説明する。本変形例のフレーム251は、円柱状の金属棒がU字形状に折り曲げられることで構成されており、主走査方向に沿って延在する水平部252と、水平部252の両端から鉛直方向下方に延在する2本の垂直部253とを有する。ヘッドカバー60の天板部61には、4つの孔263が貫通して形成され、ホルダ45にも、4つの孔248が形成されている。孔263と孔248とは、鉛直方向に重なる。孔263には垂直部253が挿通され、孔248には垂直部253の基端部が嵌合して固定されている。つまり、フレーム251は、ホルダ45の長尺部分にそれぞれ1つずつ固定されている。
【0055】
フレーム251の垂直部253は、上述のリブ51と同じ位置に配置されている。つまり、固定部46の各長尺部分に形成された2つの垂直部253は、主走査方向に関して、上面46aの中央部に配置されている。また、垂直部253は、ガイド62の内側において当該ガイド62と水平方向に沿って対向している。さらに垂直部253は、外周側面がガイド面62aと当接している。垂直部253は、図9(b)に示すように、円形断面形状を有しているため、ガイド面62aに対して鉛直方向に沿って線接触している。これにより、フレーム251とガイド62との摩擦抵抗が小さくなり、上述と同様な効果を得ることが可能となる。
【0056】
以上のようなキャップ機構240においても、フレーム251の垂直部253は、ホルダ45から鉛直方向に延在し、ヘッドカバー60を突き抜けて配置されている。このため、リップ42が当接位置及び離隔位置のいずれにあるときでも、ガイド62と垂直部253とが当接する。上述の実施形態と同様に、ダイアフラム43がリップ42を外側に付勢していても、リップ42が当接位置にあるときには、ホルダ45及びリップ42の外側への変形がフレーム251によって規制される。このため、封止状態における気密性が確保され、吐出口14a近傍のインクの増粘を抑制することが可能となる。また、上述の実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0057】
続いて、第2変形例として、上述のリブ51に代えて、ローラ部材351がホルダ45に取り付けられたキャップ機構340について、図10を参照しつつ以下に説明する。本変形例のローラ部材351は、図10に示すように、固定部46の上面46aから鉛直方向上方に沿って延在する2本のフランジ部352と、フランジ部352間に配置されたローラ353とを有している。ローラ353は、フランジ部352に回転可能に支持されている。ローラ部材351は、ホルダ45に対して、リブ51と同様な位置に配置されている。つまり、ローラ353は、ちょうど2つの円錐台を底面同士で接合した形状部分を有し、この底面の外周端が、ガイド面62aと常に当接可能に配置されている。ローラ353は、図10(b)に示すように、その外周側面の中央が先細りとなる形状を有している。このため、ローラ353とガイド62とが鉛直方向に沿って線接触している。これにより、ローラ部材351とガイド62との摩擦抵抗が小さくなり、上述と同様な効果を得ることが可能となる。
【0058】
以上のようなキャップ機構340においても、図10(a)に示すように、リップ42が当接位置にあるときに、ローラ部材351(ローラ353)とガイド62とが当接している。つまり、本変形例においても、リップ42が当接位置及び離隔位置のいずれにあるときでも、ガイド62とローラ部材351とが当接する。上述の実施形態と同様に、ダイアフラム43がリップ42を外側に付勢していても、リップ42が当接位置にあるときには、ホルダ45及びリップ42の外側への変形がガイド62によって規制される。このため、封止状態における気密性が確保され、吐出口14a近傍のインクの増粘を抑制することが可能となる。また、上述の実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0059】
本変形例では、ローラ353が、ガイド面62aとほぼ点接触で当接するので、移動時の摩擦が線接触で当接する場合よりも低くなる。この場合、ローラ353に変えて、円柱状のローラとしても良い。円柱状ローラは、主走査方向に沿う回転軸を有し、ローラ353と同様に、固定部46に立設されたフランジ部に支持されておればよい。
【0060】
続いて、第3変形例として、上述のリブ51に代えて、ホルダ45に形成された延在部448とガイド62との間に配置された規制部材451を有するキャップ機構440について、図11を参照しつつ以下に説明する。延在部448は、図11に示すように、上述の板状部52とほぼ同様に構成されている。規制部材451は、上述の突出部53と同様な断面を有し、延在部448のガイド62と対向する領域だけに形成されている。つまり、規制部材451は、延在部448とガイド62との間にそれぞれ配置され、規制部材451の頂部451aがガイド面62aと常に当接可能に形成されている。このため、規制部材451とガイド62とが鉛直方向に沿って線接触する。したがって、規制部材451とガイド62との摩擦抵抗が小さくなり、上述と同様な効果を得ることが可能となる。
【0061】
以上のようなキャップ機構440においても、図11(a)に示すように、リップ42が当接位置にあるときに、規制部材451とガイド62とが当接している。つまり、本変形例においても、リップ42が当接位置及び離隔位置のいずれにあるときでも、ガイド62と規制部材451とが当接する。上述の実施形態と同様に、ダイアフラム43がリップ42を外側に付勢していても、リップ42が当接位置にあるときには、ホルダ45及びリップ42の外側への変形がガイド62によって規制される。このため、封止状態における気密性が確保され、吐出口14a近傍のインクの増粘を抑制することが可能となる。また、上述の実施形態と同様な構成においては、同じ効果を得ることができる。
【0062】
第3変形例においては、規制部材451が延在部448に形成されていたが、規制部材451がガイド62の延在部448と対向する領域に形成されていてもよい。このとき、頂部451aが延在部448に当接する。これにより、上述の第3変形例と同様な効果を得ることができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態及び変形例においては、ガイド62と、規制部材(リブ51など)とのいずれかが、ホルダ45の移動方向(鉛直方向)に沿って線接触可能な断面形状を有しているが、互いに面接触する断面形状であってもよい。また、ガイド62及びリブ51は、ホルダ45の移動方向に沿って延在していなくてもよい。さらに、ガイド62とリブ51は、リップ42が当接位置にあるとき(キャップ機構が封止状態を取るとき)だけ、互いに当接してもよい。これにおいても上述と同様な効果を得ることができる。
【0064】
上述の変形例では、ローラの支持部材が、固定部46に立設されたフランジ部であったが、ガイド62であっても良い。例えば、図10(b)の形態において、コの字状断面を持つガイド62のうち、ガイド面62aから延びた2つの平板部が支持部材である。ローラの回転軸は、この2つの平板部に支持され、ローラとガイド62(ガイド面62a)とが一定の位置関係となる。一方、固定部46には、平らな面を有したリブ51(板状部52)が形成されている。鉛直方向の移動に際しては、ヘッドに対して所定の位置にローラがあり、このローラと板状部52とが当接することになる。
【0065】
また、ホルダ45とガイド62とを相対移動させる移動機構は、環状部材41の位置が固定されている場合、ヘッド10とプラテン7とを昇降させることで封止状態及び非封止状態を選択的に取り、さらにガイド62をホルダ45に対して昇降させることでホルダ45及びリップ42の変形を規制すればよい。また、平面視において、ヘッド10、環状部材41及びホルダ45の輪郭が、一方向(主走査方向)に長くなくてもよいし、正方形、三角形、円形などの輪郭を有していてもよい。また、当接部47が、リップ42の周方向に関して、リップ42の外周側面の一部だけと当接していてもよい。また、当接部47が、ホルダ45に設けられていなくてもよい。
【0066】
本発明は、ライン式・シリアル式のいずれにも適用可能であり、また、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機等にも適用可能であり、さらに、インク以外の液体を吐出させることで記録を行う液体吐出装置にも適用可能である。記録媒体は、用紙Pに限定されず、記録可能な様々な媒体であってよい。さらに、本発明は、液体の吐出方式にかかわらず適用できる。例えば、本実施の形態では、圧電素子を用いたが、抵抗加熱方式でも、静電容量方式でもよい。
【符号の説明】
【0067】
1 インクジェットプリンタ(液体吐出装置)
10 インクジェットヘッド(液体吐出ヘッド)
14a 吐出口
40,240,340,440 キャップ機構(キャップ手段)
41 環状部材
42 リップ
43 ダイアフラム
45 ホルダ
46 固定部
47 当接部
51 リブ(規制部材)
61 天板部(積層部材)
62 ガイド
70 移動機構
251 フレーム(規制部材)
351 ローラ部材(規制部材)
451 規制部材
448 延在部
S1 吐出空間
S2 外部空間



【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するための吐出口が形成された液体吐出ヘッドと、
前記吐出口と対向する吐出空間を外部空間から隔離した封止状態と、前記吐出空間を前記外部空間に対して開放した非封止状態とを取り得るキャップ手段とを備えており、
前記キャップ手段は、
前記液体吐出ヘッドを取り囲むリップ、及び、前記リップと前記液体吐出ヘッドとの間を塞ぐとともに前記リップを外側に付勢するダイアフラムが一体的に形成された弾性を有する環状部材と、
前記液体吐出ヘッドと所定の位置関係に固定されたガイドと、
前記液体吐出ヘッドを取り囲むとともに前記リップが固定された環状のホルダと、
前記吐出空間を挟んで前記吐出口と対向する対向部材に前記リップが当接した前記封止状態及び前記リップが前記対向部材から離隔した前記非封止状態のいずれかの状態を取るように、前記ガイド及び前記ホルダを相対的に移動させる移動機構と、
前記ホルダ及び前記ガイドの一方に形成され、前記封止状態を取るときに、前記ホルダ及び前記ガイドの他方に当接して前記ホルダ及び前記リップの外側への変形を規制する規制部材とを有していることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記ホルダは、前記移動機構によって前記ガイドに対して移動され、
前記ガイドは、前記ホルダの移動方向に沿って延在し、
前記規制部材は、前記ホルダに形成されるとともに前記移動方向と直交する方向に関して前記ガイドと対向し、前記キャップ手段が前記封止状態から前記非封止状態までのいずれを取るときでも前記直交する方向に関して前記ガイドに当接することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記規制部材は、前記移動方向に沿って延在した棒状部材であり、
前記ガイドは、前記ダイアフラムの付勢する方向に関して、前記棒状部材の外側に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ガイド及び前記棒状部材の少なくともいずれかは、前記移動方向に沿って互いに線接触可能な断面形状を有していることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記ホルダは、前記移動機構によって前記ガイドに対して移動され、
前記ガイドは、前記ホルダの移動方向に沿って延在し、
前記ホルダは、前記移動方向に沿って延在し、前記移動方向と直交する方向に関して前記ガイドと対向する延在部を有し、
前記規制部材は、前記延在部及び前記ガイドの間に配置されるとともに前記延在部及び前記ガイドの一方に形成され、前記キャップ手段が前記封止状態から前記非封止状態までのいずれを取るときでも前記直交する方向に関して前記延在部及び前記ガイドの他方に当接することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記延在部及び前記ガイドの他方と、前記規制部材との少なくともいずれかは、前記移動方向に沿って互いに線接触可能な断面形状を有していることを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体吐出ヘッド、前記環状部材及び前記ホルダは、平面視で、一方向に長い矩形状の輪郭を有しており、
前記規制部材は、前記一方向に関して、前記ホルダの各長尺部の中央部に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記ホルダは、前記リップの上端に固定された固定部と、前記固定部から下方に延在し前記リップの外周側面と当接する当接部とを有していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記当接部は、周方向に関して前記リップの外周側面全体と当接するように、環状に形成されていることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記液体吐出ヘッドは、
前記吐出口と前記吐出口に連通する流路が形成された流路形成部材と、前記流路形成部材の一表面に積層された積層部材とを有し、
前記ガイドが、前記積層部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図4】
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【図5】
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