説明

液体吐出装置

【課題】ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときの、ノズルの変位量を正確に把握し、ノズルから吐出される液体の吐出対象における着弾位置を精度よく補正する
【解決手段】2つの規制部材26a、26bが、4つのブラックヘッド12及び4つのカラーヘッド13を保持するヘッド保持板11を、ノズル列32と平行な紙送り方向から挟むように配置されている。規制部材26aに設けられた位置決めピン27、及び、規制部材26bに設けられた偏心カム28は、それぞれ、ヘッド保持板11紙送り方向に関する両端面に形成された切り欠き24a、24bと係合することにより、ヘッド保持板11の位置決めピン27と偏心カム28とに挟持しており、これにより、ヘッド保持板11の切り欠き24aと切り欠き24bとの間の部分が、温度変化したときに変位しないように拘束されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
【0002】
特許文献1に記載のヘッドユニットにおいては、一方向に沿って配列されることによってノズル列を形成する複数のノズルをそれぞれ備えた、液体吐出ヘッドとしての複数のヘッドが、保持部材としてのベースプレートに配置されている。また、ベースプレートは、規制部材としての2つのフレーム部材によりノズル列方向から挟まれている。そして、これにより、ベースプレートが、温度上昇により膨張したときに、フレーム部材によってノズル列方向に伸びるのが規制され、複数のヘッド間で、ノズル列方向に関するノズルのずれが生じてしまうのが防止される。
【0003】
このとき、ベースプレートは、ノズル列方向と直交する方向に伸び、ヘッド間で、当該方向にノズルがずれることとなるが、各ノズルからのインクの吐出タイミングを調整することにより、記録シートにおける当該方向に関するインクの着弾位置を補正している。なお、仮に、複数のヘッドの間で、ノズル列方向に関するノズルのずれが生じてしまうと、ノズルからのインクの吐出タイミングを調整するなどしても、着弾位置を補正することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−201790号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に記載のヘッドユニットにおいては、ベースプレートは、温度上昇したときに、均一に膨張しようとする。このとき、ベースプレートは、ヘッドユニット毎に規制部材により強く挟まれる部分、つまり、膨張したときに変位しない部分にばらつきがある。そのため、着弾位置を正確に補正しようとすると、吐出タイミングの調整量は、ヘッドユニット毎に変える必要がある。しかしながら、ヘッドユニット毎に、ベースプレートが膨張したときの吐出タイミングの調整量を精度よく求めることは困難であり、着弾位置を精度よく補正することができない虞がある。
【0006】
本発明の目的は、ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときの、ノズルの変位量を正確に把握し、ノズルから吐出される液体の吐出対象における着弾位置を精度よく補正することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明に係る液体吐出装置は、複数のノズルを有する液体吐出ヘッドを含み、前記複数のノズルが所定のノズル列方向に配列されることによってそれぞれ形成されており、前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並んだ複数のノズル列を備えたヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを前記ノズル列方向から挟むように配置されており、前記ヘッドユニットの温度変化による前記ノズル列方向への伸縮を規制する規制部材と、前記ヘッドユニットの所定の基準部分を、前記ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときに変位しないように拘束する拘束手段と、前記ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときの、前記ノズル列方向と直交する方向に関する、前記複数のノズルから吐出される液体の吐出対象における着弾位置を補正する着弾位置補正手段と、を備え、前記拘束手段は、前記基準部分として、前記ヘッドユニットのうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側の前記ノズル列よりも内側の部分を拘束することを特徴とする。
【0008】
本発明によると、ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときに、基準部分が変位しないため、ヘッドユニットの各部分は、ヘッドユニットの温度と基準位置からの距離に応じた量だけ変位する。したがって、ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときの各ノズルの変位量を正確に把握することができる。その結果、ノズル列方向と直交する方向に関する着弾位置を精度よく補正することができる。
【0009】
また、ヘッドユニットのうち、ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側のノズル列よりも内側に位置する部分が、ヘッドユニットの伸縮によって変位しない基準部分となっている。このため、基準部分を最も外側のノズル列よりも外側に設けた場合よりも、基準位置と最も遠い位置にあるノズルとの距離が近くなる。したがって、ヘッドユニットが伸縮したときに、基準位置から離れたノズルの変位量は小さくなり、後述するように、着弾位置補正手段による着弾位置の補正量が小さくて済む。これにより、着弾位置を精度よく補正することができる。
【0010】
第2の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記ヘッドユニットが、複数のノズルが所定のノズル列方向に配列されることによって形成されたノズル列をそれぞれ備えており、前記ノズル列が前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並ぶように配置された複数の前記液体吐出ヘッドと、前記複数の液体吐出ヘッドを保持する保持部材と、を備え、前記規制部材が、前記保持部材を前記ノズル列方向から挟むように配置されていることにより、前記保持部材の温度変化による前記ノズル列方向への伸縮を規制し、前記拘束手段が、前記基準部分として、前記保持部材のうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側の前記ノズル列よりも内側の部分を拘束することを特徴とする。
【0011】
本発明によると、保持部材が温度変化により伸縮したときに、基準部分が変位しないため、保持部材の各部分は、保持部材の温度と基準位置からの距離に応じた量だけ変位する。したがって、保持部材が温度変化によって伸縮したときの、各ノズルの変位量を正確に把握することができ、ノズル列方向と直交する方向に関する着弾位置を精度よく補正することができる。
【0012】
また、保持部材のうち、ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側のノズル列よりも内側に位置する部分が、保持部材の伸縮によって変位しない基準部分となっているため、ノズルは基準部分に近い位置に配置される。したがって、保持部材が伸縮したときのノズルの変位量は小さく、着弾位置補正手段による着弾位置の補正量が小さくて済む。したがって、着弾位置を精度よく補正することができる。
【0013】
第3の発明に係る液体吐出装置は、第2の発明に係る液体吐出装置において、前記保持部材に、複数の前記液体吐出ヘッドに対応する複数の貫通孔が形成されており、複数の前記液体吐出ヘッドは、前記複数のノズルが形成されたノズル面が、前記貫通孔から露出しており、前記拘束手段が、前記基準部分として、前記保持部材のうち、前記貫通孔と前記ノズル列方向に重なる部分を拘束することを特徴とする。
【0014】
本発明によると、保持部材に貫通孔が形成されており、液体吐出ヘッドのノズル面が貫通孔から露出している場合、保持部材のうち貫通孔が形成された部分は、他の部分よりも剛性が低くなっている。そのため、基準部分として、保持部材のうち貫通孔とノズル列方向に重なる部分を拘束すると、保持部材に加わる応力の大きさは小さくなる。これにより、基準部分を拘束したときに加わる応力によって、保持部材や拘束手段が、破壊されてしまうのを防止することができる。
【0015】
第4の発明に係る液体吐出装置は、第1の発明に係る液体吐出装置において、前記ヘッドユニットが、複数のノズルが所定のノズル列方向に配列されることによってそれぞれ形成されており、前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並んだ複数のノズル列を備えた前記液体吐出ヘッドによって構成されており、前記拘束手段が、前記基準部分として、前記液体吐出ヘッドのうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側に位置する前記ノズル列よりも内側に位置する部分を拘束することを特徴とする。
【0016】
本発明によると、液体吐出ヘッドが温度変化により伸縮したときに、基準部分が変位しないため、液体吐出ヘッドの各部分は、液体吐出ヘッドの温度と基準位置からの距離に応じた量だけ変位する。したがって、液体吐出ヘッドが温度変化により伸縮したときの各ノズルの変位量を正確に把握することができ、ノズル列方向と直交する方向に関する着弾位置を精度よく補正することができる。
【0017】
また、液体吐出ヘッドのうち、ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側のノズル列よりも内側に位置する部分が、液体吐出ヘッドの伸縮によって変位しない基準部分となっているため、ノズルは基準部分に近い位置に配置される。したがって、液体吐出ヘッドが伸縮したときのノズルの変位量は小さく、着弾位置補正手段による着弾位置の補正量が小さくて済む。したがって、着弾位置を精度よく補正することができる。
【0018】
第5の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第4のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、複数のノズル列が、高画質印刷用のインクを吐出する前記複数のノズルによって形成されたノズル列である複数の高画質印刷用ノズル列と、低画質印刷用のインクを吐出する前記複数のノズルによって形成されたノズル列である低画質印刷用ノズル列と、を備え、前記複数の高画質印刷用ノズル列が、前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並ぶように配置されており、前記拘束手段は、前記基準部分として、前記ヘッドユニットのうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側の前記高画質印刷用ノズル列よりも内側に位置する部分を拘束することを特徴とする。
【0019】
本発明によると、保持部材が伸縮したときに変位しない基準部分が、低画質用インクを吐出するノズルよりも、高画質印刷用インクを吐出するノズルに近い位置にくる。そのため、保持部材が伸縮したときの高画質印刷用インクを吐出するノズルの変位量は小さく、着弾位置補正手段による、高画質印刷用インクの着弾位置の補正量が小さくて済む。したがって、高画質印刷用インクの着弾位置を精度よく補正することができる。
【0020】
第6の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第4のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、複数のノズル列が、高画質印刷用のインクを吐出する前記複数のノズルによって形成されたノズル列である複数の高画質印刷用ノズル列と、低画質印刷用のインクを吐出する前記複数のノズルによって形成されたノズル列である複数の低画質印刷用ノズル列と、を備え、前記複数の高画質印刷用ノズル列が、前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並ぶように配置されており、前記拘束手段は、前記基準部分として、前記ヘッドユニットのうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して、前記基準部分から最も離れた低画質印刷用ノズル列との距離が、前記基準部分から最も離れた高画質印刷用ノズル列との距離よりも大きくなるような部分を拘束することを特徴とする。
【0021】
本発明によると、保持部材が伸縮したときに変位しない基準部分が、基準部分から最も離れた低画質印刷用インクを吐出するノズルよりも、基準部分から最も離れた高画質印刷用インクを吐出するノズルに近い位置にある。そのため、保持部材が伸縮したときの高画質印刷用インクを吐出するノズルの変位量は小さく、着弾位置補正手段による、高画質印刷用インクの着弾位置の補正量が小さくて済む。したがって、高画質印刷用インクの着弾位置を精度よく補正することができる。
【0022】
第7の発明に係る液体吐出装置は、第5又は第6の発明に係る液体吐出装置において、前記高画質印刷用ノズル列が、カラーインクを吐出する前記複数のノズルによって形成された前記ノズル列であり、前記低画質印刷用ノズル列が、ブラックインクを吐出する前記複数のノズルによって形成された前記ノズル列であることを特徴とする。
【0023】
本発明によると、保持部材が伸縮したときに変位しない基準部分がカラーインクを吐出するノズルに近い位置にある。そのため、保持部材が伸縮したときのカラーインクを吐出するノズルの変位量は小さく、着弾位置補正手段による、カラーインクの着弾位置の補正量が小さくて済む。したがって、カラーインクの着弾位置を精度よく補正することができる。
【0024】
第8の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第7のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記ヘッドユニットの温度を直接又は間接的に検出する温度検出手段をさらに備え、前記着弾位置補正手段は、前記温度検出手段により検出された温度に基づいて、着弾位置を補正することを特徴とする。
【0025】
本発明によると、ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときに、各ノズルは、ヘッドユニットの温度と基準位置からの距離に応じた量だけ変位する。したがって、ヘッドユニットの温度に基づいて着弾位置を補正することにより、着弾位置を精度よく補正することができる。
【0026】
第9の発明に係る液体吐出装置は、第8の発明に係る液体吐出装置において、前記温度検出手段により検出される温度と、前記保持部材の前記ノズル列方向に関する伸縮に対応する補正値と、を関連付けたテーブルを記憶する補正値記憶手段と、を備え、前記着弾位置補正手段は、前記温度検出手段で検出した温度に対応する補正値を、前記テーブルから決定し、その補正値に基づいて着弾位置を補正することを特徴とする。
【0027】
本発明によると、温度検出手段により検出される温度と、着弾位置の補正値とを関連付けたテーブルに基づいて、着弾位置を決定することにより、着弾位置を精度よく補正することができる。
【0028】
第10の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第9のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記着弾位置補正手段は、前記複数のノズルからの液体の吐出タイミングを調整することによって、着弾位置を補正することを特徴とする。
【0029】
本発明によると、ノズルからの液体の吐出タイミングを調整することによって、着弾位置を補正することができる。
【0030】
第11の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第9のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記ヘッドユニットが搭載されており、前記ノズル列方向と交差する走査方向に往復移動するキャリッジをさらに備え、前記ヘッドユニットは、前記キャリッジの移動中に前記複数のノズルから液体を吐出し、前記着弾位置補正手段は、前記キャリッジの移動速度を調整することによって、着弾位置を補正することを特徴とする。
【0031】
本発明によると、ヘッドユニットが、走査方向に往復移動するキャリッジに搭載されており、キャリッジの移動中にノズルから液体を吐出する場合には、キャリッジの移動速度を調整することによって、着弾位置を補正することができる。
【0032】
第12の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第11のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記ヘッドユニットの温度を直接又は間接的に検出する温度検出手段と、前記ヘッドユニットが搭載されており、前記ノズル列方向と交差する走査方向に往復移動するキャリッジと、をさらに備え、前記ヘッドユニットは、前記キャリッジの移動中に前記複数のノズルから液体を吐出し、前記キャリッジは、前記温度検出手段により検出された温度が高いときほど、前記走査方向に関する外側の位置において、移動の向きを反転することを特徴とする。
【0033】
本発明によると、ヘッドユニットの伸縮量に応じて、キャリッジの移動の反転位置を変更しているため、ヘッドユニットが膨張した場合に合わせて、キャリッジの移動の反転位置を走査方向の外側に設定する必要がなく、キャリッジの移動量を最小限に抑えることができる。
【0034】
第13の発明に係る液体吐出装置は、第1〜第12のいずれかの発明に係る液体吐出装置において、前記拘束手段は、前記基準部分を、前記ノズル列方向から挟持することによって拘束することを特徴とする。
【0035】
本発明によると、拘束手段が、保持部材の基準部分をノズル列方向から挟持することによって拘束するものであるため、保持部材の所望の基準部分を、容易に拘束することができる。
【0036】
第14の発明に係る液体吐出装置は、第13の発明に係る液体吐出装置において、前記ヘッドユニットの前記ノズル列方向に関する両端部に、前記基準部分を挟むように設けられた一対の切り欠きが形成されており、前記拘束手段が、前記ヘッドユニットの外部に設けられたある固定部に固定されているとともに、前記一対の切り欠きに係合して、前記ヘッドユニットの前記一対の切り欠きに挟まれた前記基準部分を前記ノズル列方向から挟持する一対の挟持部材を備えていることを特徴とする。
【0037】
本発明によると、一対の挟持部材により、液体吐出ヘッドの切り欠きの間に位置する基準部分を挟持することにより、基準部分が挟持部材に対してノズル列方向と直交する方向に滑ることがない。したがって、一対の挟持部材により基準部分を挟持する力がそれほど大きくなくても、基準部分のノズル列方向と直交する方向への変位を確実に規制することができる。
【0038】
第15の発明に係る液体吐出装置は、第14の発明に係る液体吐出装置において、前記一対の挟持部材の一方が、前記ノズル面と直交する軸を中心に回動可能に支持された偏心カムであることを特徴とする。
【0039】
本発明によると、一対の膨張規制部材の一方である偏心カムを回動させて一対の膨張規制部材の間の間隔を小さくすると、一対の膨張規制部材によって、基準部分がノズル列方向に強く挟持される。これにより、基準部分を、確実に、ノズル列方向と直交する方向に変位しないように拘束することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときの各ノズルの変位量を正確に把握することができ、ノズル列方向と直交する方向に関する着弾位置を精度よく補正することができる。また、ヘッドユニットが伸縮したときのノズルの変位量は小さく、着弾位置補正手段による着弾位置の補正量が小さくて済む。したがって、着弾位置を精度よく補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】図1のヘッドユニットの平面図である。
【図3】(a)が図2のIIIA−IIIA線断面図であり、(b)が図2のIIIB−IIIB線断面図である。
【図4】図1の制御装置の機能ブロック図である。
【図5】ヘッド保持板の伸縮とキャリッジの反転位置との関係を示す図である。
【図6】変形例1の図2相当の図である。
【図7】変形例2の図1相当の図である。
【図8】変形例3の図1相当の図である。
【図9】変形例4の図2相当の図である。
【図10】変形例5の図2相当の図である。
【図11】変形例6の図2相当の図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
【0043】
図1に示すように、本実施の形態に係る、液体吐出装置としてのプリンタ1は、キャリッジ2、ヘッドユニット3、用紙搬送ローラ4、温度センサ5などを備えている。また、プリンタ1の動作は、制御装置50によって制御されている。
【0044】
キャリッジ2は、紙幅方向と平行な走査方向に延びた2本のガイドレール6に沿って往復移動する。ヘッドユニット3は、キャリッジ2に搭載されており、その下面に形成された複数のノズル31からインクを吐出する。用紙搬送ローラ4は、記録用紙Pを紙幅方向と直交する紙送り方向に搬送する。温度センサ5は、キャリッジ2に設けられており、ヘッドユニット3の温度を検出する。具体的には、後述のヘッド保持板11の温度を検出する。あるいは、ヘッド保持板11の温度に連動する、ヘッド保持板11近傍の環境温度を検出してもよい。すなわち、温度センサ5は、ヘッドユニット3の温度を直接又は間接的に検出する。
【0045】
そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ4により紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するヘッドユニット3の複数のノズル31からインクを吐出することによって、記録用紙Pに印刷を行う。
【0046】
次に、ヘッドユニット3について詳細に説明する。図1〜図3に示すように、ヘッドユニット3は、保持部材としてのヘッド保持板11、低画質印刷用ヘッドとしての4つのブラックヘッド12、及び、高画質印刷用ヘッドとしての4つのカラーヘッド13を備えている。なお、本実施の形態では、4つのブラックヘッド12及び4つのカラーヘッド13が、本発明に係る液体吐出ヘッドに相当する。
【0047】
ヘッド保持板11は、紙送り方向を長手方向とする略矩形のセラミックス材料などからなる板状体である。また、ヘッド保持板11には、図2における左側の部分及び右側の部分に、それぞれ、紙送り方向に沿って千鳥状に配列された4つの貫通孔21、及び、4つの貫通孔22が形成されている。また、ヘッド保持板11の長手方向に関する両端には、それぞれ、紙幅方向に関する略中央部に、切り欠き24a、24bが形成されている。切り欠き24a、24bは、紙送り方向に関する内側の部分ほど、紙幅方向に関する長さが短くなっている。
【0048】
また、ヘッド保持板11は、キャリッジ2に固定された2つの規制部材26a、26bによって紙送り方向から挟まれているとともに、下方から支持されている。規制部材26a、26bは、ヘッド保持板11よりも線膨張性の小さい材料によって構成されており、紙幅方向にヘッド保持板11の全長にわたって延びている。
【0049】
また、規制部材26aには、紙幅方向に関する略中央部に、略円柱形状の位置決めピン27が設けられている。位置決めピン27が切り欠き24aに係合している。規制部材26bには、紙幅方向に関する略中央部に、図1の紙面垂直方向である鉛直方向に延びた軸28aを中心に回動可能に支持された略円柱形状の偏心カム28が設けられている。偏心カム28は、図2に示すように、切り欠き24bに係合している。
【0050】
そして、位置決めピン27及び偏心カム28が、それぞれ、切り欠き24a、24bに係合することにより、ヘッド保持板11は、ヘッドユニット3の切り欠き24aと切り欠き24bとの間に位置する基準部分が、位置決めピン27と偏心カム28とに挟持される。これにより、ヘッド保持板11の2つの切り欠き24a、24bの間に位置する部分が、変位しないように拘束されている。なお、本実施の形態では、位置決めピン27と偏心カム28とが、本発明に係る一対の挟持部材に相当し、これらが設けられた規制部材26a、26bが、本発明に係る固定部に相当する。
【0051】
また、偏心カム28は、軸28aを中心に回動させることにより、図2に実線で示すように、切り欠き24bに係合した位置と、図2に二点鎖線で示すように、切り欠き24bの外部に位置する位置との間で移動させることが可能となっている。
【0052】
規制部材26a、26bにヘッド保持板11を取り付ける際には、偏心カム28を切り欠き24bの外部に位置する状態にして、ヘッドユニット3を2つの規制部材26a、26bの間に配置するとともに、位置決めピン27を切り欠き24aに係合させてから、偏心カム28を約180°回動させる。すると、位置決めピン27及び偏心カム28が、それぞれ、切り欠き24a、24bに係合するとともに、位置決めピン27との距離が小さくなる。これにより、ヘッド保持板11の2つの切り欠き24a、24bの間に位置する基準部分が強く挟持された状態となり、ヘッド保持板11の基準部分は、変位しないように拘束される。
【0053】
4つのブラックヘッド12には、それぞれ、その下面であるノズル面12aに複数のノズル31が形成されている。複数のノズル31は、ノズル列方向と平行な紙送り方向に配列されることによって1つの低画質印刷用ノズル列としてのノズル列32を形成している。そして、このような4つのブラックヘッド12は、ノズル面12aが4つの貫通孔21から露出するように、紙送り方向に沿って千鳥状に配列されている。
【0054】
また、ブラックヘッド12は、チューブ35Bを介して、ブラックインクが充填されたブラックカートリッジ36Bに接続されている。これにより、ブラックカートリッジ36Bからブラックヘッド12にブラックインクが供給され、ブラックヘッド12のノズル31からブラックインクが吐出される。ここで、ブラックヘッド12は、例えば、各複数のノズル31の他、ノズル31にそれぞれ連通する複数の圧力室(図示省略)や、圧力室内のブラックインクに圧力を付与するアクチュエータ(図示省略)などを備えており、アクチュエータで圧力室内のインクに圧力を付与することによって、ノズル31からブラックインクを吐出させる。
【0055】
4つのカラーヘッド13には、それぞれ、その下面であるノズル面13aに複数のノズル31が形成されている。複数のノズル31は、紙送り方向に配列されることによって3つの高画質印刷用ノズル列としてのノズル列32を形成している。そして、このような4つのカラーヘッド13は、ノズル面13aが4つの貫通孔22から露出するように、紙送り方向に沿って千鳥状に配列されている。
【0056】
また、カラーヘッド13は、3本のチューブ35Y、35C、35Mを介して、イエロー、シアン、マゼンタのカラークインクがそれぞれ充填された3つのカラーカートリッジ36Y、36C、36Mに接続されている。これにより、3つのカラーカートリッジ36Y、36C、36Mからカラーヘッド13に3色のカラーインクが供給され、カラーヘッド13のノズル31から、図2における左側のノズル列32を形成するものから順に、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。ここで、カラーヘッド13は、例えば、複数のノズル31の他、各ノズル31にそれぞれ連通する複数の圧力室(図示省略)や、圧力室内のブラックインクに圧力を付与するアクチュエータ(図示省略)などを備えており、アクチュエータで圧力室内のインクに圧力を付与することによって、ノズル31からカラーインクを吐出させる。
【0057】
そして、プリンタ1では、ブラックヘッド12からブラックインクを吐出させて印刷を行うことによりモノクロ印刷を行い、にカラーヘッド13から3色のカラーインクを吐出させて印刷を行うことによりカラー印刷を行う。
【0058】
次に、プリンタ1の動作を制御する制御装置50について説明する。制御装置50は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などからなり、これらが、図4に示すように、補正量記憶部51、反転位置記憶部52、印刷制御部53などとして動作する。
【0059】
補正量記憶部51には、ヘッド保持板11の温度、あるいは、ヘッド保持板11近傍の環境温度と、複数のノズル31における吐出タイミングの補正量との関係を示すテーブルが記憶されている。反転位置記憶部52は、ヘッド保持板11の温度、あるいは、ヘッド保持板11近傍の環境温度と、キャリッジ2の移動方向の反転位置との関係を示すテーブルが記憶されている。ここで、反転位置記憶部52のテーブルの反転位置は、高い温度に対応するものほど走査方向に関する外側となっている。
【0060】
印刷制御部53は、プリンタ1において印刷を行う際のインクジェットヘッド12の動作を制御する。具体的には、印刷制御部53は、補正量記憶部51から、温度センサ5によって検出された温度に対応する吐出タイミングの補正量を読み出すことによって補正量を決定する。そして、補正を行わない場合の吐出タイミングに対して、読み出した補正量だけ吐出タイミングをずらすことにより、吐出タイミングを調整して、ノズル31からインクを吐出させる。
【0061】
また、印刷制御部53は、プリンタ1において印刷を行う際のキャリッジ2の動作を制御する。具体的には、印刷制御部53は、反転位置記憶部52から、温度センサ5によって検出された温度に対応するキャリッジ2の移動の反転位置を読み出し、読み出した反転位置でキャリッジ2の移動方向が反転されるように、キャリッジ2を走査方向に往復移動させる。また、印刷制御部53は、プリンタ1における印刷時の用紙搬送ローラ4の動作の制御なども行う。
【0062】
ここで、プリンタ1においては、環境温度の変化などにより、ヘッド保持板11の温度が上昇すると、ヘッド保持板11が膨張する。しかしながら、ヘッド保持板11は、2つの規制部材26a、26bに挟まれているため、規制部材26a、26bにより、ノズル列方向と平行な紙送り方向に伸びるのが規制される。したがって、ヘッド保持板11が温度上昇しても、ブラックヘッド12の間、及び、カラーヘッド13の間において、ノズル列方向に関してノズル31のずれが生じることはない。
【0063】
一方、この場合、ヘッド保持板11はノズル列方向と直交する紙幅方向には伸びるため、ブラックヘッド12の間、及び、カラーヘッド13の間で、それぞれ、紙幅方向に関してノズル31のずれが生じる。そこで、本実施の形態では、温度センサ5によって検出された温度に基づいて、ノズル31からのインクの吐出タイミングを調整することにより、記録用紙Pにおける、紙幅方向に関するインクの着弾位置を補正している。
【0064】
このとき、本実施の形態では、上述したように、ヘッド保持板11の2つの切り欠き24a、24bの間に位置する基準部分が、位置決めピン27と偏心カム28とに挟持されることにより拘束されている。このため、ヘッド保持板11が温度上昇により膨張しても、ヘッド保持板11の基準部分は変位しない。
【0065】
したがって、ヘッド保持板11が膨張したときの各ノズル31の変位量は、ヘッド保持板11の温度と、ヘッド保持板11の上記基準部分からの距離によって決まり、各ノズル31の変位量を精度よく把握することができる。よって、上述したように、ノズル31からのインクの吐出タイミングを調整することによって着弾位置を補正する場合に、着弾位置を精度よく補正することができる。
【0066】
また、このとき、ヘッド保持板11のうち、4つのブラックヘッド12及び4つのカラーヘッド13が配置された領域R1の紙幅方向に関する略中央部が拘束されている。すなわち、ヘッド保持板11のうち、4つのブラックヘッド12と4つのカラーヘッド13によって形成されるノズル列32のうち、紙送り方向に関して最も外側に位置するノズル列32よりも内側に位置する部分が拘束されている。具体的には、図2の左側の2つのブラックヘッド12のノズル列32、及び、図2の右側のカラーヘッド13の最も右側のノズル列32よりも内側に位置する部分が拘束されている。したがって、各ノズル31は、ヘッド保持板11の基準部分の近くに位置し、ヘッド保持板11が膨張したときの各ノズル31の変位量は小さくなる。これにより、着弾位置の補正量も小さくなる。
【0067】
ここで、本実施の形態とは異なり、着弾位置の補正量が大きい場合には、適正な吐出タイミングと実際の補正後の吐出タイミングとの間に誤差がある場合に、インクの着弾位置が大きくずれてしまう。その結果、インクの着弾位置を精度よく補正できない虞がある。しかしながら、本実施の形態では、上述のとおり、着弾位置の補正量が小さいため、着弾位置を精度よく補正することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、位置決めピン27と偏心カム28とにより、ヘッド保持板11の2つの切り欠き24a、24bの間に位置する基準部分を紙送り方向から挟持することによって拘束しているため、ヘッド保持板11の基準部分を容易に拘束することができる。
【0069】
さらに、位置決めピン27及び偏心カム28が、それぞれ、切り欠き24a、24bに係合しているため、ヘッド保持板11の2つの切り欠き24a、24bの間に位置する部分が位置決めピン27及び偏心カム28に対して紙幅方向に滑ることがない。したがって、位置決めピン27及び偏心カム28がヘッド保持板11を挟持する力がそれほど大きくなくても、ヘッド保持板11の基準部分を、紙幅方向に変位しないように拘束することができる。
【0070】
また、本実施の形態では、位置決めピン27と偏心カム28とによって拘束されるヘッド保持板11の基準部分が、カラーヘッド13のノズル面13aを露出させる貫通孔22とノズル列方向に重なる部分となっている。ここで、ヘッド保持板11のうち貫通孔22が形成された部分は、他の部分よりも剛性が低くなっている。そのため、位置決めピン27と偏心カム28とによってヘッド保持板11の上記部分を挟持して拘束したときにヘッド保持板11に加わる応力の大きさは小さくなる。これにより、基準部分を拘束したときに加わる応力によって、ヘッド保持板11、位置決めピン27、偏心カム28などが破壊されてしまうのを防止することができる。
【0071】
また、本実施の形態のプリンタ1では、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するヘッドユニット3のノズル31からインクを吐出することによって印刷を行う。そのため、例えば、図5に示すように、記録用紙Pのある領域Sに印刷を行うためには、キャリッジ2を、ブラックヘッド12及びカラーヘッド13が配置された領域R1が紙幅方向に関して領域Sよりも外側にくる位置まで移動させた後、キャリッジ2の移動方向を反転させる必要がある。
【0072】
一方、上述したように、ヘッド保持板11が紙幅方向に伸びると、図5(a)と図5(b)とを比較すればわかるように、領域R1が紙幅方向に広がるため、領域R1が紙幅方向に広がった分だけ、キャリッジ2を走査方向に関してより外側まで移動させる必要がある。
【0073】
このとき、仮に、キャリッジ2を、ヘッド保持板11の温度に関わらず、一定の位置でキャリッジ2の移動方向を反転させるようにすると、キャリッジ2の移動方向の反転位置を、ヘッド保持板11が膨張したときの反転位置に合わせる必要がある。そのため、ヘッド保持板11の温度が低く、膨張していない状態でも、キャリッジ2を必要以上に走査方向に関する外側まで移動させることとなる。
【0074】
これに対して、本実施の形態では、上述したように、温度センサ5により検出された温度が高い場合ほど、キャリッジ2を走査方向に関する外側において移動方向を反転させている。したがって、キャリッジ2の移動量を、領域R1が領域Sの外側まで移動するのに必要な最小限に抑えることができる。そして、キャリッジ2の移動量を最小限に抑えることができるため、不必要なキャリッジ2の移動を低減することができ、印刷速度を速くすることができる。
【0075】
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成については、適宜その説明を省略する。
【0076】
上述の実施の形態では、ヘッド保持板11のうち、4つのブラックヘッド12及び4つのカラーヘッド13が配置された領域R1の紙幅方向に関する略中央部が、位置決めピン27と偏心カム28とによって拘束されていたが、これには限られない。
【0077】
一変形例(変形例1)では、図6に示すように、ヘッド保持板11の切り欠き24a、24b、位置決めピン27及び偏心カム28が、基準部分として、ヘッド保持板11のうち、4つのカラーヘッド13が配置された領域R2の紙幅方向に関する略中央部を拘束している。すなわち、ヘッド保持板11のうち、4つのカラーヘッド13の紙幅方向に関して最も外側のノズル列32よりも内側に位置する部分が拘束されている。具体的には、ヘッド保持板11のうち、図6の左側の2つのカラーヘッド13の最も左側のノズル列32、図6の右側の2つのカラーヘッド13の最も右側のノズル列32よりも内側に位置する部分が拘束されている。
【0078】
このとき、基準部分と、基準部分から最も離れたブラックヘッド12のノズル列32との距離が、基準部分と、基準部分から最も離れたカラーヘッド13のノズル列32との距離よりも大きくなっている。
【0079】
この場合には、カラーヘッド13のノズル31が、ブラックヘッド12のノズル31よりも、ヘッド保持板11の上記基準部分に近い位置にあり、ヘッド保持板11が紙幅方向に伸びたときの、カラーヘッド13ノズル31の紙幅方向に関する変位量が小さくなる。したがって、カラーヘッド13のノズル31における着弾位置の補正量が小さくて済み、高い着弾位置精度が要求されるカラー印刷時の、記録用紙Pへのカラーインクの着弾位置を精度よく補正することができる。
【0080】
なお、この場合には、上述の実施の形態と比較して、ブラックヘッド12のノズル31が、ヘッド保持板11の基準部分から離れているため、ヘッド保持板11が紙幅方向に伸びたときの、ブラックヘッド12のノズル31の紙幅方向に関する変位量が大きくなる。その結果、ブラックヘッド12のノズル31における着弾位置の補正量は大きくなる。しかしながら、モノクロ印刷においては、カラー印刷ほど高い着弾位置精度が要求されないため、着弾位置の補正量が大きく、着弾位置に多少のずれがあったとしても、画質に与える影響は小さい。
【0081】
また、変形例1では、ヘッド保持板11の、カラーヘッド13によって形成されるノズル列32のうち、紙幅方向に関して最も外側のノズル列32よりも内側の部分が、基準部分として拘束されていたが、これには限られない。例えば、ヘッド保持板11のうち、紙幅方向に関して最も外側のノズル列よりも外側で、且つ、基準部分と、ブラックヘッド12の基準部分から最も離れたノズル列32との距離が、基準部分と、カラーヘッド13の基準部分から最も離れたノズル列32との距離よりも大きくなるような部分が、基準部分として拘束されていてもよい。
【0082】
この場合でも、カラーヘッド13のノズル31は、ブラックヘッド12のノズル31よりも基準部分から近い位置にくることとなるため、ヘッド保持板11が膨張したときのカラーヘッド13のノズル31の変位量は小さくなる。
【0083】
さらには、基準部分と、ブラックヘッド12の基準部分から最も離れたノズル列32との距離が、基準部分と、カラーヘッド13の基準部分から最も離れたノズル列32との距離よりも大きいことにも限られない。すなわち、ブラックヘッド12及びカラーヘッド13によって形成されるノズル列32のうち、紙幅方向に関して最も外側のノズル列32よりも内側の部分であれば、ヘッド保持板11のうち、上述した以外の部分が拘束されていてもよい。
【0084】
また、上述の実施の形態では、ヘッド保持板11に4つのブラックヘッド12及び4つのカラーヘッド13が配置されることによってヘッドユニット3が形成されていたが、これには限られない。
【0085】
別の一変形例(変形例2)では、図7に示すように、キャリッジ2に、ブラックインクを吐出するノズル31と、3色のカラーインクを吐出するノズル31の両方が形成されたインクジェットヘッド71が配置されている。より詳細には、インクジェットヘッド71において、ブラックインク、イエローインク、シアンインク及びマゼンタインクを吐出する複数のノズル31が、それぞれ、ノズル列方向と平行な紙送り方向に沿って配列されることによって、ノズル列32を2列ずつ形成している。すなわち、変形例2では、液体吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッド71のみによって、本発明に係るヘッドユニットが形成されている。
【0086】
そして、2つの規制部材26a、26bがインクジェットヘッド71を紙送り方向から挟むように配置されているとともに、インクジェットヘッド71の位置決めピン27と偏心カム28との間に位置する基準部分が、位置決めピン27と偏心カム28とに挟持されることによって拘束されている。
【0087】
この場合には、インクジェットヘッド71の温度が上昇すると、インクジェットヘッド71が膨張するが、上述の実施の形態と同様、規制部材26a、26bによりノズル列方向と平行な紙送り方向への伸びが規制される。また、このとき、インクジェットヘッド71は紙幅方向に伸びるが、上述の実施の形態と同様、各ノズル31は、上記基準位置からの距離に応じた量だけ変位するが、各ノズル31が上記基準位置から近い位置にあり、各ノズル31の変位量が小さい。したがって、ノズル31からのインクの吐出タイミングを調整することにより、記録用紙Pにおける、紙幅方向に関するインクの着弾位置を精度よく補正することができる。
【0088】
また、以上では、ノズル31からのインクの吐出タイミングを調整することによって、記録用紙Pにおけるインクの着弾位置を補正したが、これには限られない。例えば、温度センサ5によって検出された温度に基づいて、キャリッジ2の移動速度を調整するなど、他の方法によって記録用紙Pにおけるインクの着弾位置を補正してもよい。
【0089】
また、上述の実施の形態では、温度検出手段5により検出された温度が高いときほど、走査方向に関する外側においてキャリッジ2の移動方向を反転させたが、これには限られず、検出された温度と関係なく、一定の位置でキャリッジ2の移動方向を反転させてもよい。ただし、この場合には、上述したように、キャリッジ2の移動の反転位置を、ヘッド保持板11が膨張した場合に合わせて、走査方向に関して外側に設定する必要がある。
【0090】
また、上述の実施の形態では、温度センサ5により検出された温度に応じて、補正量記憶部51から吐出タイミングの補正量を読み出したが、これには限られず、例えば、温度センサにより検出された温度から、吐出タイミングの補正量を算出するなどしてもよい。
【0091】
また、上述の実施の形態では、キャリッジ2の走査方向が紙幅方向と平行となっていたが、走査方向は、紙送り方向と交差する方向であれば、紙幅方向に対して傾いた方向であってもよい。
【0092】
また、以上では、キャリッジとともに走査方向に往復移動するヘッドユニットのノズルからインクを吐出することによって記録用紙Pに印刷を行う、いわゆるシリアル式のプリンタに本発明を適用した例について説明したがこれには限られない。
【0093】
別の一変形例(変形例3)では、本発明を、いわゆるラインヘッドを備えたプリンタに適用しており、図8に示すように、ヘッドユニット80が、ヘッド保持板81、4つのブラックヘッド82及び4つのカラーヘッド83を備えている。
【0094】
ヘッド保持板81は、紙幅方向を長手方向とするセラミックス材料などからなる略矩形の板状体である。ヘッド保持板81には、図8における上側の部分及び下側の部分に、それぞれ、4つの貫通孔91、及び、4つの貫通孔92が形成されている。4つの貫通孔91、及び、4つの貫通孔92は、紙幅方向を長手方向とする略矩形の貫通孔であり、それぞれ、紙幅方向に沿って千鳥状に配列されている。また、ヘッド保持板81の紙幅方向に関する両端には、紙幅方向と直交する紙送り方向に関する略中央部に、切り欠き24a、24bと同様の切り欠き84a、84bが形成されている。また、ヘッド保持板81の上面には、温度センサ5が配置されている。
【0095】
4つのブラックヘッド82は、ブラックヘッド12(図1参照)と同様の構成を有しており、複数のノズル31がノズル列方向と平行な紙幅方向に配列されるような向きで、ノズル面12a(図3参照)が、貫通孔91から露出するように、ヘッド保持板11の上面に紙幅方向に沿って千鳥状に配列されている。また、4つのブラックヘッド82は、チューブ87Bを介してブラックカートリッジ36Bに接続されている。なお、4つのブラックヘッド82とブラックカートリッジ36Bとは個別にチューブ87Bを介して接続されているが、図面を見やすくするため、図8では、チューブ87Bを1つだけ図示している。
【0096】
4つのカラーヘッド83は、カラーヘッド13(図1参照)と同様の構成を有しており、複数のノズル31が紙幅方向に配列されるような向きで、ノズル面13a(図3参照)が、貫通孔92から露出するように、ヘッド保持板11の上面に紙幅方向に沿って千鳥状に配列されている。また、4つのカラーヘッド83は、3本のチューブ87Y、87C、87Mを介して3つのカラーカートリッジ36Y、36C、36Mに接続されている。なお、4つのカラーヘッド83とカラーカートリッジ36Y、36C、36Mとは個別にチューブ87Y、87C、87Mを介して接続されているが、図面を見やすくするため、図8では、チューブ87Y、87C、87Mを1組だけ図示している。
【0097】
また、ヘッド保持板81の紙幅方向に関する両側には、それぞれ、プリンタ本体1aに固定された規制部材86a、86bが配置されており、規制部材86a、86bにより、ヘッドユニット80がプリンタ本体1aに固定されているとともに、ヘッド保持板81が紙幅方向に伸びるのが規制されている。また、規制部材86a、86bには、それぞれ、上述の実施の形態と同様の位置決めピン27及び偏心カム28が設けられており、ヘッド保持板81の2つの切り欠き84a、84bの間に位置する基準部分が、位置決めピン27と偏心カム28とに挟持されて拘束されている。
【0098】
そして、変形例3のプリンタにおいては、用紙搬送ローラ4により紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、プリンタ本体1aに対して固定された4つのブラックヘッド82からブラックインクを吐出することにより、モノクロ印刷を行う。また、用紙搬送ローラ4により紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、プリンタ本体1aに対して固定された4つのカラーヘッド83からカラーインクを吐出することにより、カラー印刷を行う。
【0099】
そして、この場合には、温度上昇により膨張したヘッド保持板81が、規制部材86a、86bによってノズル列方向と平行な紙幅方向に伸びるのが規制されるため、ブラックヘッド82の間、及び、カラーヘッド83の間において、ノズル列方向に関するノズル31のずれを防止することができる。
【0100】
また、このとき、ヘッド保持板81が紙送り方向に伸びてノズル31が紙送り方向に変位するが、温度センサ5により検出される温度に応じてノズル31からのインクの吐出タイミングを調整することにより、記録用紙Pにおける、紙送り方向に関するインクの着弾位置を補正することができる。
【0101】
また、以上の例では、ヘッド保持板を挟持する位置決めピン27及び偏心カム28が、それぞれヘッド保持板に形成された切り欠きに係合していたが、これには限られない。例えば、図9に示すように、ヘッド保持板11に切り欠き24a、24b(図2参照)が形成されておらず、位置決めピン27及び偏心カム28が、切り欠きのないヘッド保持板11を挟持していてもよい(変形例4)。なお、この場合には、位置決めピン27及び偏心カム28からヘッド保持板11に挟持する力が作用するように、例えば、ヘッド保持板11を取り付けていない状態で、位置決めピン27及び図9で実線で示す位置にある偏心カム28を、規制部材26a、26bから若干内側にはみ出すように設けておくなどすればよい。
【0102】
また、位置決めピン27と偏心カム28とによって、ヘッド保持板を挟持することにも限られず、他の一対の挟持部材によってヘッド保持板の挟持部材の間の部分を挟持して拘束してもよい。例えば、別の一変形例(変形例5)では、図10に示すように、ヘッド保持板11が、規制部材26a、26bにそれぞれ設けられた、回動しない2つの位置決めピン27により挟持されている。さらには、ヘッド保持板を挟持する一対の挟持部材は、規制部材26a、26bに固定されていることにも限られず、キャリッジ2など他の固定部に固定されていてもよい。
【0103】
さらには、ヘッド保持板の基準部分を挟持することによって基準部分を拘束することにも限られず、ヘッド保持板を挟持する部材以外の部材によってヘッド保持板の基準部分を拘束してもよい。
【0104】
例えば、別の一変形例(変形例6)では、図11に示すように、ヘッド保持板11の長手方向に関する規制部材26a側の端部に切り欠き24a(図2参照)に代わって貫通孔101aが形成されている。また、規制部材26aのヘッド保持板11を下方から支持している部分の貫通孔101と対向する部分に、ピン102が設けられている。ピン102が、貫通孔101に嵌合しており、貫通孔101とピン102とは、中間ばめ又はしまりばめの関係にある。
【0105】
この場合には、ヘッド保持板11を規制部材26a、26bに取り付ける際には、偏心カム28を切り欠き24bの外部に位置する状態にして、ヘッドユニット3を2つの規制部材26a、26bの間に配置するとともに、ヘッド保持板11の貫通孔101を規制部材26aのピンに嵌合させてから、偏心カム28を約180°回動させる。すると、ヘッド保持板11の切り欠き24bと貫通孔101との間に位置する基準部分が偏心カム28とピン102とによって、変位しないように拘束される。
【0106】
また、変形例6では、ヘッド保持板11に貫通孔101を形成し、規制部材26aにピン102を設けたが、これとは逆に、ヘッド保持板11の下面にピンを形成し、規制部材26aにこのピンが嵌合する孔を形成してもよい。
【0107】
また、上述の実施の形態では、ヘッドユニット3が、低画質印刷用ヘッドとして、ブラックインクを吐出するノズル31によって形成された低画質印刷用ノズルとしてのノズル列32を有するブラックヘッド12を備え、高画質印刷用ヘッドとして、カラーインクを吐出するノズル31によって形成された高画質印刷用ノズルとしてのノズル列32を有するカラーヘッド13を備えている場合について説明したが、低画質印刷用ヘッドと高画質印刷用ヘッドの組み合わせは、これには限られない。
【0108】
例えば、ヘッドユニット3が、低画質印刷用ヘッドとして、あるノズル間隔のブラックヘッドを備えているとともに、高画質印刷用ヘッドとして、低画質用印刷ヘッドよりもノズル間隔の小さいブラックヘッドを備えていてもよい。又は、ヘッドユニット3が、低画質印刷用ヘッドとして、あるノズル径のブラックヘッドを備えているとともに、高画質印刷用ヘッドとして、低画質印刷用ヘッドよりもノズル径の小さいブラックヘッドを備えていてもよい。あるいは、ヘッドユニット3が、低画質印刷用ヘッドとして、ある体積のインクを吐出するインクジェットヘッドを備えているとともに、高画質用印刷ヘッドとして、低画質印刷用ヘッドと構造は同じであるが、駆動波形の違いにより低画質印刷用ヘッドよりも体積の小さいインクを吐出するインクジェットヘッドを備えていてもよい。
【0109】
さらには、ヘッドユニットは、低画質印刷用ノズル列と高画質印刷用ノズル列といった2種類のノズル列を備えたものであることにも限られない。ヘッドユニットは、例えば、ブラックインクを吐出するノズル31によって形成されるノズル列のみを備えているなど、ノズル列を1種類のみ備えたものであってもよい。
【0110】
また、上述の実施の形態では、ヘッド保持板11に貫通孔21、22が形成されているおり、ブラックヘッド12のノズル面12a及びカラーヘッド13のノズル面13aが、それぞれ、貫通孔21、22から下方に露出した構造となっているとともに、ヘッド保持板11の、貫通孔22とノズル列方向に重なる部分が基準部分として拘束されていたが、これには限られない。例えば、ヘッド保持板11のうち、貫通孔21とノズル列方向に重なる部分、又は、貫通孔21、22のいずれともノズル列方向に重ならない部分が拘束されていてもよい。さらには、ヘッド保持板11に貫通孔22が形成されておらず、ヘッド保持板11の下面にブラックヘッド12やカラーヘッド13が取り付けられた構造となっていてもよい。
【0111】
また、上述の実施の形態では、温度センサ5において検出された温度に基づいてインクの着弾位置を補正したが、これには限られない。例えば、ユーザが、プリンタの図示しない操作部を操作して、プリンタ使用時の環境温度を入力し、入力された温度に基づいてインクの着弾位置を調整してもよい。あるいは、温度変化によって伸縮したヘッド保持板11の応力を測定するとともに、測定した応力の大きさからヘッド保持板11の伸縮量を推定し、推定したヘッド保持板11の伸縮量に応じて、インクの着弾位置を補正してもよい。
【0112】
また、以上では、ノズルからインクを吐出することによって印刷を行うプリンタに本発明を適用した例について説明したが、これには限られず、吐出対象にインク以外の液体を吐出する液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0113】
1 プリンタ
2 キャリッジ
3 ヘッドユニット
5 温度センサ
11 ヘッド保持板
12 ブラックヘッド
13 カラーヘッド
24a、24b 切り欠き
26a、26b 規制部材
27 位置決めピン
28 偏心カム
31 ノズル
32 ノズル列
51 補正量記憶部
52 反転位置記憶部
53 印刷制御部
71 インクジェットヘッド
82 ブラックヘッド
83 カラーヘッド
84a、84b 切り欠き
86a、86b 規制部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルを有する液体吐出ヘッドを含み、前記複数のノズルが所定のノズル列方向に配列されることによってそれぞれ形成されており、前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並んだ複数のノズル列を備えたヘッドユニットと、
前記ヘッドユニットを前記ノズル列方向から挟むように配置されており、前記ヘッドユニットの温度変化による前記ノズル列方向への伸縮を規制する規制部材と、
前記ヘッドユニットの所定の基準部分を、前記ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときに変位しないように拘束する拘束手段と、
前記ヘッドユニットが温度変化により伸縮したときの、前記ノズル列方向と直交する方向に関する、前記複数のノズルから吐出される液体の吐出対象における着弾位置を補正する着弾位置補正手段と、を備え、
前記拘束手段は、前記基準部分として、前記ヘッドユニットのうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側の前記ノズル列よりも内側の部分を拘束することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記ヘッドユニットが、
複数のノズルが所定のノズル列方向に配列されることによって形成されたノズル列をそれぞれ備えており、前記ノズル列が前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並ぶように配置された複数の前記液体吐出ヘッドと、
前記複数の液体吐出ヘッドを保持する保持部材と、を備え、
前記規制部材が、前記保持部材を前記ノズル列方向から挟むように配置されていることにより、前記保持部材の温度変化による前記ノズル列方向への伸縮を規制し、
前記拘束手段が、前記基準部分として、前記保持部材のうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側の前記ノズル列よりも内側の部分を拘束することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記保持部材に、複数の前記液体吐出ヘッドに対応する複数の貫通孔が形成されており、
複数の前記液体吐出ヘッドは、前記複数のノズルが形成されたノズル面が、前記貫通孔から露出しており、
前記拘束手段が、前記基準部分として、前記保持部材のうち、前記貫通孔と前記ノズル列方向に重なる部分を拘束することを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ヘッドユニットが、
複数のノズルが所定のノズル列方向に配列されることによってそれぞれ形成されており、前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並んだ複数のノズル列を備えた前記液体吐出ヘッドによって構成されており、
前記拘束手段が、前記基準部分として、前記液体吐出ヘッドのうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側に位置する前記ノズル列よりも内側に位置する部分を拘束することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記複数のノズル列が、
高画質印刷用のインクを吐出する前記複数のノズルによって形成されたノズル列である複数の高画質印刷用ノズル列と、
低画質印刷用のインクを吐出する前記複数のノズルによって形成されたノズル列である低画質印刷用ノズル列と、を備え、
前記複数の高画質印刷用ノズル列が、前記ノズル列方向と直交する方向に沿って並ぶように配置されており、
前記拘束手段は、前記基準部分として、前記ヘッドユニットのうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して最も外側の前記高画質印刷用ノズル列よりも内側に位置する部分を拘束することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記複数のノズル列が、
高画質印刷用のインクを吐出する前記複数のノズルによって形成されたノズル列である複数の高画質印刷用ノズル列と、
低画質印刷用のインクを吐出する前記複数のノズルによって形成されたノズル列である複数の低画質印刷用ノズル列と、を備え、
前記拘束手段は、前記基準部分として、前記ヘッドユニットのうち、前記ノズル列方向と直交する方向に関して、前記基準部分から最も離れた低画質印刷用ノズル列との距離が、前記基準部分から最も離れた高画質印刷用ノズル列との距離よりも大きくなるような部分を拘束することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記高画質印刷用ノズル列が、カラーインクを吐出する前記複数のノズルによって形成された前記ノズル列であり、
前記低画質印刷用ノズル列が、ブラックインクを吐出する前記複数のノズルによって形成された前記ノズル列であることを特徴とする請求項5又は6に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記ヘッドユニットの温度を直接又は間接的に検出する温度検出手段をさらに備え、
前記着弾位置補正手段は、前記温度検出手段により検出された温度に基づいて、着弾位置を補正することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記温度検出手段により検出される温度と、前記保持部材の前記ノズル列方向と直交する方向に関する伸縮に対応する補正値と、を関連付けたテーブルを記憶する補正値記憶手段、を備え、
前記着弾位置補正手段は、前記温度検出手段で検出した温度に対応する補正値を、前記テーブルから決定し、その補正値に基づいて着弾位置を補正することを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記着弾位置補正手段は、前記複数のノズルからの液体の吐出タイミングを調整することによって、着弾位置を補正することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記ヘッドユニットが搭載されており、前記ノズル列方向と交差する走査方向に往復移動するキャリッジをさらに備え、
前記ヘッドユニットは、前記キャリッジの移動中に前記複数のノズルから液体を吐出し、
前記着弾位置補正手段は、前記キャリッジの移動速度を調整することによって、着弾位置を補正することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記ヘッドユニットの温度を直接又は間接的に検出する温度検出手段と、
前記ヘッドユニットが搭載されており、前記ノズル列方向と交差する走査方向に往復移動するキャリッジと、をさらに備え、
前記ヘッドユニットは、前記キャリッジの移動中に前記複数のノズルから液体を吐出し、
前記キャリッジは、前記温度検出手段により検出された温度が高いときほど、前記走査方向に関する外側の位置において、移動の向きを反転することを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記拘束手段は、前記基準部分を、前記ノズル列方向から挟持することによって拘束することを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記ヘッドユニットの前記ノズル列方向に関する両端部に、前記基準部分を挟むように設けられた一対の切り欠きが形成されており、
前記拘束手段が、前記ヘッドユニットの外部に設けられたある固定部に固定されているとともに、前記一対の切り欠きに係合して、前記ヘッドユニットの前記一対の切り欠きに挟まれた前記基準部分を前記ノズル列方向から挟持する一対の挟持部材を備えていることを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記一対の挟持部材の一方が、前記ノズル面と直交する軸を中心に回動可能に支持された偏心カムであることを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−67143(P2013−67143A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209056(P2011−209056)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】