説明

液体吸収部材および液体吸収部材を備えるプリンター

【課題】顔料系インクの浸透性及び拡散性を確保することが可能な液体吸収部材および液体吸収部材を備えるプリンターを提供する。
【解決手段】液体を吸収する液体吸収部材10であって、複数の仕切部材21を接合することにより構成され、隣り合う仕切部材21の間にセル23が設けられる接合体20Aと、このセル23に充填されると共に液体を保持する液体保持材22と、を具備し、接合体20Aには、複数の仕切部材21によって付着した液体を拡散させつつ流通させる多数の拡散経路が構成され、仕切部材21は、液体保持材22よりも、密度が小さく設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吸収部材および液体吸収部材を備えるプリンターに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、プリンターには、たとえば印刷ヘッドから排出されるインクを貯留する廃液タンクが設けられている。この廃液タンクの内部には、インクを保持する液体吸収部材を備えるタイプのものが多く存在する。このような液体吸収部材としては、たとえば特許文献1や特許文献2に開示されているものがある。これらのうち、特許文献1には、合成繊維シートを層状に積層して構成される液体吸収部材が開示されていて、特許文献2には、基材シートよりも低密度な多孔質部材を嵌装した液体吸収部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−135797号公報
【特許文献2】特開2008−213467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のプリンターの中には、顔料系インクを用いるタイプが存在する。この顔料系インクは、染料を使用した染料系インクと比較すると、液体吸収部材に対する浸透性および拡散性が劣るのが通常である。そのため、顔料系インクが液体吸収部材の表面に付着する場合、付着した顔料系インクの中には、内部に浸透せずに表面に付着したままの状態を保つものが生じる場合があり、その場合、顔料系インクが液体吸収部材の表面で固化し、インクの拡散を阻害してしまう、という問題が発生することがある。
【0005】
また、液体吸収部材の内部においても、当該液体吸収部材が保持する顔料系インクが固化し、それによってインクの拡散が阻害される、という問題が発生することもある。しかしながら、このような顔料系インクの浸透性および拡散性を確保することは、上述した特許文献1および特許文献2に開示の技術を参照しても、困難となっている。
【0006】
本発明は上述のような課題を解決するためになされたもので、顔料系インクの浸透性及び拡散性を確保することが可能な液体吸収部材および液体吸収部材を備えるプリンターを提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、液体を吸収する液体吸収部材であって、複数の仕切部材を接合することにより構成され、隣り合う仕切部材の間にセルが設けられる接合体と、セルに充填されると共に液体を保持する液体保持材と、を具備し、接合体には、複数の仕切部材によって付着した液体を拡散させつつ流通させる多数の拡散経路が構成され、仕切部材は、液体保持材よりも、密度が小さく設けられている、ものである。
【0008】
このように構成する場合には、接合体には、仕切部材によって付着した液体を拡散させつつ流通させる拡散経路が構成されている。また、仕切部材は、液体保持材よりも密度が小さく設けられている。そのため、仕切部材に付着した液体は、この仕切部材に良好に浸透し、さらに液体吸収部材の全体に亘るように拡散させることが可能となる。それにより、液体が液体吸収部材に付着しても、その液体の中には浸透および拡散せずに特定の箇所に液体が留まったままのものが生じ、当該留まっている液体が固化し、さらに浸透性および拡散性が悪化する、といった不具合が生じるのを低減させることが可能となる。
【0009】
特に、液体が顔料系インクである場合、顔料系インクは染料系インクよりも浸透性および拡散性で劣り、その顔料系インクの中には液体吸収部材の表面に付着して、固化してしまうものがある。しかしながら、上述のように、接合体は仕切部材から構成され、液体保持材よりも密度の低い仕切部材によって拡散経路が構成される場合には、仕切部材に対する顔料系インクの浸透性および拡散性を良好にすることが可能となり、顔料系インクが付着した箇所に留まって固化してしまい、さらに浸透性および拡散性が悪化するのを防ぐことが可能となる。
【0010】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、液体保持材は、仕切部材に対する位置が異なることにより密度が異なる、ことが好ましい。
【0011】
このように構成する場合には、液体保持材の密度が均一ではなく、仕切部材に対する位置が異なる場合には、密度が異なるものとなる。そのため、液体保持材の位置に応じて、液体の保持力に差異を生じさせることが可能となり、比較的早く液体が飽和して液体保持材の他の部分に液体を受け渡す部分と、液体が飽和し難く受け渡された液体を多く保持する部分とを設けることができる。そして、かかる密度の差異により、液体吸収部材の全体に亘って液体を行き渡らせることが可能となる。
【0012】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、液体保持材の少なくとも一部の領域の外縁の密度は、その他の部分よりも大きく設けられている、ことが好ましい。
【0013】
このように構成する場合には、液体保持材のうち他の部分よりも密度が大きく設けられている外縁においては、毛細管力が大きく作用して、液体を多く保持することが可能となる。そのため、液体を外縁側に向かうように、拡散させることが可能となり、液体吸収部材の全体に亘り、液体を行き渡らせることが可能となる。
【0014】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、複数の仕切部材のうちの第1の仕切部材は、所定の進行方向に沿って接離を繰り返しつつ当該所定の進行方向に沿う平面に平行に延伸していて、複数の仕切部材のうちの第2の仕切部材は、所定の進行方向とは直交する直交方向に沿って接離を繰り返しつつ所定の進行方向に沿う平面に平行に延伸していて、第1の仕切部材が構成要素となるセルに充填される液体保持材の長手方向と、第2の仕切部材が構成要素となるセルに充填される液体保持材の長手方向とは、直交して設けられている、ことが好ましい。
【0015】
このように構成する場合には、第1の仕切部材が構成要素となるセルに充填される液体保持材の長手方向と、第2の仕切部材が構成要素となるセルに充填される液体保持材の長手方向とは、直交して設けられているため、全てのセルおよび液体保持材が同じ向きに延伸している場合と比較して、作用する水頭圧を低減することが可能となり、液体吸収部材が傾いた場合に、液体が漏れるのを抑制することが可能となる。
【0016】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、セルは、仕切部材に対する位置が異なることにより、大きさが異なる、ことが好ましい。
【0017】
このように構成する場合には、仕切部材に対する位置に応じてセルの大きさが異なるため、液体保持材に作用する水頭圧を変化させることが可能となり、液体保持材が保持する液体の量を変化させることが可能となる。そのため、比較的早く液体が飽和して液体保持材の他の部分に液体を受け渡す部分と、液体が飽和し難く受け渡された液体を多く保持する部分とを設けることができる。そして、かかる保持状態の差異により、液体吸収部材の全体に亘って液体を行き渡らせることが可能となる。
【0018】
また、本発明の他の側面は、上述の各発明に係る液体吸収部材を備えることを特徴とするプリンターである。
【0019】
このように構成する場合には、接合体には、仕切部材によって付着した液体を拡散させつつ流通させる拡散経路が構成されている。また、仕切部材は、液体保持材よりも密度が小さく設けられている。そのため、仕切部材に付着した液体は、この仕切部材に良好に浸透し、さらに液体吸収部材の全体に亘るように拡散させることが可能となる。それにより、液体が液体吸収部材に付着しても、その液体の中には浸透および拡散せずに特定の箇所に液体が留まったままのものが生じ、当該留まっている液体が固化し、さらに浸透性および拡散性が悪化する、といった不具合が生じるのを低減させることが可能となる。
【0020】
特に、液体が顔料系インクである場合、顔料系インクは染料系インクよりも浸透性および拡散性で劣り、その顔料系インクの中には液体吸収部材の表面に付着して、固化してしまうものがある。しかしながら、上述のように、接合体は仕切部材から構成され、液体保持材よりも密度の低い仕切部材によって拡散経路が構成される場合には、仕切部材に対する顔料系インクの浸透性および拡散性を良好にすることが可能となり、顔料系インクが付着した箇所に留まって固化してしまい、さらに浸透性および拡散性が悪化するのを防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施の形態に係る液体吸収部材の構成を示す側断面図である。
【図2】図1の液体吸収部材のうち、接合体の構成を示す斜視図である。
【図3】各層毎にセルの延伸方向が異なる液体吸収部材を示す斜視図である。
【図4】平板状シート体の嵌め込みによる液体吸収部材を示す斜視図である。
【図5】ハニカム状のセルを有する液体吸収部材を示す側断面図である。
【図6】仕切部材の密度が変化する液体吸収部材を示す側断面図である。
【図7】セルのピッチが変化する液体吸収部材を示す側断面図である。
【図8】他端側のセルの向きが異なる液体吸収部材を示す斜視図である。
【図9】プリンターのキャリッジと廃液タンクの間の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施の形態に係る液体吸収部材10および液体吸収部材10を備えるプリンター30について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
<1.液体吸収部材10の構成について>
図1は、液体吸収部材10A構成を示す側断面図である。また、図2は、液体吸収部材10Aのうち接合体20Aの構成を示す斜視図である。液体吸収部材10Aは、接合体20Aと、液体保持材22とを有している。これらのうち、接合体20Aは、仕切部材21を接合することにより構成されている。仕切部材21は、液体吸収部材10Aの骨格としても機能する部分である。この仕切部材21は、インク(請求項でいう液体の一例に対応)を拡散させつつ流通させる機能を備えている。すなわち、仕切部材21にインクが付着した場合、そのインクは、仕切部材21の内部に入り込んで(浸透して)、この仕切部材21の内部をインクが流れることを可能としている。換言すると、液体保持材22と比較すると、仕切部材21は、インクが浸透して流れ易くなっている。
【0024】
このような仕切部材21は、図1に示すように、インクを拡散させつつ流通させる拡散経路として機能する。図1から明らかなように、仕切部材21は、多数の拡散経路を構成し、仕切部材21に付着したインクを、接合体20A(液体吸収部材10)の全体に行き渡らせるように拡散している。なお、図1においては、インクの仕切部材21における流れを矢示にて示しているが、インクの流れる向きは、このような矢示に限られるものではなく、これとは異なる向きであっても良い。
【0025】
なお、仕切部材21に浸透して流れ易くなるインクには、染料系インクは勿論のこと、顔料系インクがある。特に顔料系インクは、従来の液体吸収部材に対して浸透せずに、その表面で固化する場合が多々生じている。しかしながら、本実施の形態においては、顔料系インクは、仕切部材21に浸透して流れ易いものとなっている。また、一般に、顔料系インク等のインクは、水等と比較して表面張力が弱く、それにより仕切部材21の内部で拡散し易いという性質を有している。そのため、仕切部材21の内部に入り込んだインクは、仕切部材21の内部で良好に拡散することを可能としている。
【0026】
また、仕切部材21は、図1および図2に示すように、シート状の基材に凹凸が存在するように折り曲げたもの(凹凸状シート体211)であっても良く、平板状のシート体(平板状シート体212)であっても良い。図1および図2に示す構成では、凹凸状シート体211と平板状シート体212とが、積層方向(Z方向)に沿って交互に積層されることにより、接合体20Aが構成されている。図1および図2に示す接合体20Aにおいては、全ての凹凸状シート体211は、積層方向(Z方向)に直交する所定の進行方向(X方向)に沿って進行すると、その所定の進行方向(X方向)に対して凹凸(接離)を繰り返しつつXY平面(請求項でいう進行方向に沿う平面)に平行に延伸している。
【0027】
ただし、図3に示すような接合体20Bとしても良い。図3に示す液体吸収部材10Bの接合体20Bにおいては、X方向に沿って凹凸(接離)を繰り返しつつXY平面に平行に延伸する凹凸状シート体211と、X方向およびZ方向に直交するY方向に沿って凹凸(接離)を繰り返しつつXY平面に平行に延伸する凹凸状シート体211とが、平板状シート体212を挟んで積層方向(Z方向)において隣り合っている。
【0028】
なお、以下の説明においては、各態様の液体吸収部材10A〜10Gを特に区別する必要がない場合およびこれらを総称する場合には、単に液体吸収部材10と称呼し、接合体20A〜20Gを特に区別する必要がない場合およびこれらを総称する場合には、単に接合体20と称呼する。また、凹凸状シート体211,211A,211Gを特に区別する必要がない場合およびこれらを総称する場合には、単に凹凸状シート体211と称呼し、平板状シート体212,212Cを特に区別する必要がない場合およびこれらを総称する場合には、単に平板状シート体212と称呼する。
【0029】
ここで、図1〜図3に示す構成では、仕切部材21に囲まれる部分である小部屋(セル23)は、一方向が長手となる長尺形状に設けられている。また、セル23の長手方向と直交する方向からセル23を見ると、当該セル23の形状または断面形状は、三角形状を為している。
【0030】
また、接合体20の構成は、図1〜図3に限られるものではない。たとえば、図4に示す液体吸収部材10Cのように、平板状シート体212Cにスリット24が形成され、そのスリット24を介して平板状シート体212C同士を嵌め込むことにより、接合体20Cが構成されるものとしても良い。なお、図4に示す接合体20Cにおいては、平板状シート体212Cの嵌め込みによって構成されるものの周囲に、スリット24の存在しない平板状シート体212Cを接合するようにしても良い。また、図4に示す接合体20をさらにZ方向に積層して、より大きな接合体20Cとしても良いが、積層される接合体20Cの間に、スリット24の存在しない平板状シート体212Cを位置させるようにしても良い。
【0031】
また、接合体20の構成は、図5に示すような構成としても良い。図5に示す液体吸収部材10Dの構成では、接合体20Dは、ハニカム形状に設けられている。なお、この図5に示す構成では、2つの凹凸状シート体211を接合することにより、六角形状のセル23が形成されている。また、図5に示す接合体20DをさらにZ方向に積層して、より大きな接合体20Dとしても良い。また、ハニカム形状の接合体20Dを形成する場合、図5に示すものとは異なり、仕切部材21を六角筒形状とし、当該六角筒形状の仕切部材21を接合することにより形成しても良い。また、仕切部材21を円筒形状とし、その円筒形状の仕切部材21を複数寄せ集めたものを、押し潰すことによって、ハニカム形状を形成するようにしても良い。
【0032】
また、接合体20の構成は、図1〜図5以外の種々の構成を採用することが可能である。その他の構成としては、セル23を側面視した場合の形状が、多角形状を為すもの、円形を為すもの、楕円形状、長円形状、波型形状、その他不規則な形状、およびそれらの組み合わせとしても良い。また、セル23を立体視した場合の形状が正多面体を始めとする多面体形状でも良いが、その他、球面形状、種々の曲面形状、その他不規則な形状、およびそれらの組み合わせでも良い。
【0033】
<2.液体吸収部材10の材質について>
次に、液体吸収部材10の材質について説明する。上述のような接合体20を構成する仕切部材21としては、(1)顔料系インクを始めとするインクを浸透させる機能、(2)入り込んだ顔料系インクを拡散させる機能、(3)液体吸収部材10の形状を維持する機能、を備えることが必要である。このような仕切部材21としては、液体保持材22よりも低密度であり、インクに対して親和性を備える材質であることが好ましい。なお、仕切部材21の内部には多数の空隙が存在し、その空隙の存在によって、密度が液体保持材22よりも低い状態が実現されることが好ましい。このような仕切部材21の材質としては、セルロース繊維を用いたパルプ材、各種繊維を用いた不織布、樹脂の発泡体であってインクの浸透性を有するもの、インクの浸透性を有する焼結体等が挙げられる。
【0034】
ここで、セルロース繊維を用いたパルプ材としては、たとえば、木材パルプ、リンター、非木材パルプ、古紙パルプ、レーヨンパルプ、またはこれらの混合物が包含される。また、これらのパルプ材は、機械パルプ、化学パルプのいずれであっても良い。また、各種繊維を用いた不織布としては、アラミド繊維、ガラス繊維、セルロース繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、熱可塑性樹脂を不織布状に形成したもの(たとえば、低密度ポリエチレン樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、合成ゴム、共重合ポリアミド樹脂、共重合ポリエステル樹脂を不織布状に形成したもの)、またはこれらの混合物を材質として用いるものが包含される。
【0035】
また、樹脂の発泡体であってインクの浸透性を有するものとしては、各種の高分子発泡体を用いることが可能であるが、発泡体の中でも独立気泡体はインクが浸透しないため、気泡同士がつながっている連続気泡体であることが必要である。このような連続気泡体としては、熱可塑性ポリウレタンの連続気泡体、脱炭酸カルシウム・熱可塑性ポリウレタンの連続気泡体、脱炭酸カルシウム・ポリオレフィンの連続気泡体、ニトリルゴムスポンジ、熱可塑性プラスチックに発泡剤を添加した化学発泡・熱可塑性プラスチックの連続気泡体、ゴムラテックスの機械発泡体ゴムスポンジ、ポリ塩化ビニルペーストの機械発泡体等が挙げられる。
【0036】
また、インクの浸透性を有する焼結体としては、焼結によって形成される多孔質の連続気泡体があり、たとえば多孔質セラミックスの連続気泡体、多孔質金属の連続気泡体、各種の樹脂粉末を焼結した連続気泡体等が挙げられる。
【0037】
また、上述の接合体20に存在するセル23には、液体保持材22が充填される。液体保持材22は、仕切部材21に浸透し、この仕切部材21を流れるインクが入り込む部分であり、入り込んだインクを保持する部分である。このため、液体保持材22は、インクを保持する機能を有する必要があり、飽和しない状態においては保持したインクが再び仕切部材21に戻らないことが望ましい。このため、本実施の形態では、液体保持材22は、仕切部材21よりも密度が大きく設けられて、浸透した液体に作用する毛細管力が仕切部材21よりも大きいことが好ましい。
【0038】
ただし、液体保持材22として、高分子吸収剤を用いるようにしても良いが、その場合には、液体保持材22の方が仕切部材21よりも密度が小さくても良い。
【0039】
また、液体保持材22は、種々の方向から仕切部材21に対して接触していることが好ましい。このような接触の場合には、仕切部材21を流れるインクが液体保持材22に良好に入り込むことが可能となる。ただし、液体保持材22がインクを吸収した後に膨潤することを勘案して、液体保持材22と仕切部材21との間に、若干の隙間が存在するようにしても良い。
【0040】
以上のような液体保持材22を構成する材質としては、上述したような、仕切部材21として用いることが可能な種々の材質のうちのいずれか、またはそれらの組み合わせを用いることが可能である。ここで、液体保持材22が有する、インクを保持する機能を勘案すると、液体保持材22が上述の材質から構成される場合には、その材質の密度は、仮に仕切部材21が同じ材質から構成されるとした場合よりも高くすることが好ましい。また、仕切部材21と液体保持材22とは、同じ材質から構成されていても良いが、両者が同じ材質の場合には、液体保持材22の方が仕切部材21よりも密度が高いことが必要である。
【0041】
また、液体保持材22を構成する材質としては、上述以外の材質を用いることが可能である。そのような材質としては、吸水性樹脂または高吸水性樹脂が挙げられる。ここで、吸水性樹脂または高吸水性樹脂としては、でんぷん系のもの(たとえば、でん粉−アクリロニトリルグラフト共重合体、でん粉−アクリル酸グラフト共重合体、でん粉−アクリルアミドグラフト共重合体等)、セルロース系のもの(たとえば、セルロース−アクリロニトリルグラフト共重合体、カルボキシメチルセルロース架橋体等)、その他の多糖類系のもの(たとえば、ヒアルロン酸等)、ポリビニルアルコール系のもの(たとえば、ポリビニルアルコール架橋体、ポリビニルアルコール吸水ゲル凍結・解凍エラストマー等)、アクリル酸系のもの(たとえば、アクリル酸+ナトリウム・ビニルアルコール共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体等)、アクリルアミド系のもの(たとえば、N−置換アクリルアミド架橋体等)が挙げられる。
【0042】
<3.その他の創意工夫事項>
次に、上述した液体吸収部材10において、上述した以外の創意工夫事項について述べる。なお、以下の説明においては、高さ方向をZ方向として説明するものの、液体吸収部材10を設置する向きによっては、高さ方向はZ方向に限られるものではなく、高さ方向がX方向やY方向に沿っていても良い。
【0043】
(1)大きさの側面での創意工夫事項
まず、液体吸収部材10の大きさの側面での創意工夫事項について述べる。従来の液体吸収部材は、液体保持材22のみによって構成されている。そのため、従来の液体吸収部材においては、水頭圧が大きなものとなり、液体吸収部材の体積に対して、保持可能なインクの体積が小さいものとなっている。
【0044】
これに対して、上述したように、本実施の形態における液体吸収部材10には多数のセル23が設けられていて、それぞれのセル23には、液体保持材22が充填されている。そのため、それぞれの液体保持材22に作用する水頭圧は、従来の液体吸収部材よりも大幅に小さいものとなっている。特に、本実施の形態においては、液体保持材22の高さ方向(Z方向)における寸法を小さくすることが、液体吸収部材10の体積に対する、保持可能なインクの体積の割合を高めることに寄与する。このような寸法としては、高さ方向(Z方向)の寸法を50mm以下とすることが好ましい。ただし、寸法を小さくし過ぎると、セル23に液体保持材22を充填する工数が増えてしまい、生産性の悪化等の虞がある。そのため、セル23の高さ方向(Z方向)の寸法は、5mm以上とすることが好ましく、10mm以上であれば一層好ましく、25mm以上であれば更に好ましい。
【0045】
また、液体吸収部材10が傾いた場合においても、インクを保持する機能を備えるためには、高さ方向(Z方向)と直交する方向(X方向またはY方向)における液体吸収部材10の寸法を、上述の高さ方向(Z方向)における寸法と同様とすることが好ましい。ただし、液体吸収部材10が傾く事態は、それほどは生じないことを勘案すると、液体吸収部材10の寸法のうち、高さ方向(Z方向)と直交する方向(X方向またはY方向)におけるそれぞれの寸法は、高さ方向(Z方向)における寸法よりも大きいものとするようにしても良い。
【0046】
(2)密度の側面での創意工夫事項
次に、液体吸収部材10の密度の側面での創意工夫事項について述べる。図6に示すように、液体吸収部材10Eは、プリンター30に設けられる廃液タンク35の内部に設置されている。ところで、廃液となるインクを廃液タンク35に排出するインク排出チューブ34は、廃液タンク35の一端側に片寄るように配置されるのが通常である。そこで、インク排出チューブ34から排出されるインクが最初に付着する地点から離間する他端側に向かうにつれて、仕切部材21の密度が大きくなる接合体20Eとしても良い。このようにすると、仕切部材21の一端側では、その密度が他端側よりも小さいため、一端側に付着したインクは、他端側にインクが到達した場合と比較すると、その付着部位では保持され難くなり、一端側に付着したインクは、より毛細管力の大きな他方側に向かって流れようとする。それにより、仕切部材21の内部においては、インクを他端側に向かって流すことが可能となり、インクの拡散性を高めることが可能となっている。
【0047】
なお、図6においては、X方向の一端側にインク排出チューブ34が片寄るように配置されているものが示されている。また、仕切部材21の密度は、インクの付着部位から離れるにつれて高くなれば良い。そのため、一端側から他端側に向かうにつれて密度が高くなる場合には限られず、たとえば、仕切部材21の密度は、インクの付着部位を中心として波紋状に密度が高くなるように形成しても良い。
【0048】
また、液体保持材22の密度も、インクが最初に付着する地点から離間する他端側に向かうにつれて、大きくなるように構成しても良い。このようにすると、液体保持材22の内部に作用する毛細管力は、その一端側よりも他端側の方が大きくなる。そのため、液体保持材22の密度を均一とした場合と比較すると、インクは、液体保持材22の保持力の弱い一端側よりも、液体保持材22の保持力の強い他端側に向かって、より流れ易くなる。そのため、液体吸収部材10Eの全体において、インクの保持性を良好に確保することが可能となる。なお、液体保持材22の密度は、インクの付着部位から離れるにつれて高くなれば良い。そのため、一端側から他端側に向かうにつれて密度が高くなる場合には限られず、たとえば、液体保持材22の密度は、インクの付着部位を中心として波紋状に密度が高くなるように形成しても良い。
【0049】
また、液体保持材22は、仕切部材21に対する位置が異なることにより密度が異なるように構成することもできる。この場合、密度の差異により、液体吸収部材10の全体に亘ってインクを行き渡らせることが可能となる。さらに、本実施の形態においては、液体保持材22の少なくとも一部の領域の外縁の密度は、その他の部分よりも大きく設けるように構成することもできる。この場合、インクを外縁側に向かうように、拡散させることが可能となり、液体吸収部材10の全体に亘り、インクを行き渡らせることが可能となる。
【0050】
また、液体保持材22の密度は、液体吸収部材10のうち、外縁側から離間する中心側が最も大きくなるように構成しても良い。この場合には、液体吸収部材10の中心側において、最も大きな毛細管力が作用し、当該中心側においてインクを多く保持可能となる。そのため、液体吸収部材10の外縁側からインクを漏れ難くすることが可能となる。なお、液体保持材22の密度は、液体吸収部材10のうち、X方向、Y方向、Z方向のいずれの方向においても、それらの方向の外縁側から離間する中心側の密度が最も大きくなるように構成しても良い。しかしながら、X方向、Y方向、Z方向のうちの少なくとも1つの方向において、それらの方向の外縁側から離間する中心側の密度が最も大きくなるように構成しても良い。
【0051】
(3)セル23の大きさの側面からの創意工夫
次に、液体吸収部材10のセル23の大きさの側面での創意工夫事項について述べる。それぞれの液体保持材22に作用する水頭圧は、液体保持材22の高さ方向(Z方向)における寸法が同じであっても、当該液体保持材22の体積が小さい方が大きくなる。そこで、図7に示す液体吸収部材10Fの接合体20Fのように、インクが最初に付着する地点から離間する他端側に向かうにつれて、セル23の体積を小さくするようにしても良い。
【0052】
図7には、セル23の寸法(X方向におけるピッチ)がX方向に沿う一端側から他端側に向かうにつれて、徐々に小さくなるものが示されている。このように構成すると、液体保持材22の内部に作用する毛細管力は、その一端側よりも他端側の方が大きくなる。そのため、液体保持材22の密度を均一とした場合と比較すると、インクは、液体保持材22の保持力の弱い一端側よりも、液体保持材22の保持力の強い他端側に向かって、より流れ易くなる。そのため、液体吸収部材10の全体において、インクの保持性を良好に確保することが可能となる。
【0053】
なお、上述の図7のものには限られずに、セル23は、仕切部材21に対する位置が異なることにより、大きさが異なるように構成することもできる。この場合、仕切部材21に対する位置に応じてセル23の大きさが異なるため、セル23の大きさによって水頭圧が変化し、インクの保持状態に差異が生じる。そして、かかる保持状態の差異により、液体吸収部材10の全体に亘ってインクを行き渡らせることが可能となる。
【0054】
(4)仕切部材21および液体保持材22の配置の側面からの創意工夫
次に、仕切部材21および液体保持材22の配置の側面からの創意工夫事項について述べる。図8に示すように、液体吸収部材10Gの接合体20Gは、X方向に沿って凹凸(接離)を繰り返しつつXY平面に平行に延伸する凹凸状シート体211A(請求項でいう第1の仕切部材の一例に対応)と、Y方向に沿って凹凸(接離)を繰り返しつつXY平面に平行に延伸する凹凸状シート体211G(請求項でいう第2の仕切部材の一例に対応)と、を有している。それにより、凹凸状シート体211Aが構成要素となるセル23の延伸方向と、凹凸状シート体211Aが構成要素となるセル23の延伸方向とは直交する状態となり、それぞれのセル23に充填される液体保持材22の延伸方向も互いに直交する状態となる。
【0055】
また、凹凸状シート体211Aと比較すると、凹凸状シート体211Gは、Y方向およびZ方向における寸法は同等であるが、X方向における寸法が短く設けられている。
【0056】
このような液体吸収部材10Gとする場合、インクの拡散の方向が、液体吸収部材10Eの他端側において異なるものとなる。そのため、インクの拡散性をより高めることが可能となり、液体吸収部材10Gの全体におけるインクの保持力を高めることが可能となる。また、接合体20および液体保持材22の方向が全て同じである場合には、液体吸収部材10が傾いた場合に作用する水頭圧の影響で、インクが漏れる虞がある。しかしながら、液体吸収部材10Eにおいては、異なる方向に凹凸状シート体211G、セル23および液体保持材22が延伸しているため、液体吸収部材10Gが傾いた場合に作用する水頭圧を低減し、インクが漏れるのを防ぐことが可能となる。
【0057】
<4.液体吸収部材10を具備するプリンター30について>
続いて、上述したような液体吸収部材10を具備するプリンター30について説明する。なお、このプリンター30の説明においては、上述の液体吸収部材10が関係する部分を抜粋して説明するものとする。
【0058】
図9は、プリンター30のうち、液体吸収部材10が関係する部分の概略構成を示す図である。プリンター30は、キャリッジ31を備えており、このキャリッジ31には、不図示のインク貯留部が設けられている。このインク貯留部には、インクカートリッジをキャリッジ31に搭載可能なタイプ(いわゆるオンキャリッジタイプ)のプリンター30の場合には、インクカートリッジが該当する。また、上述のインク貯留部には、インクカートリッジをキャリッジ31に搭載しないタイプ(いわゆるオフキャリッジタイプ)のプリンター30の場合には、サブタンクが該当する。なお、本実施の形態におけるプリンター30は、少なくとも顔料系インクが貯留されているインクカートリッジを装填可能としている。
【0059】
キャリッジ31には、印刷ヘッド32が取り付けられている。印刷ヘッド32は、印刷媒体に向けて、ノズル32aからインクを噴射するものである。この印刷ヘッド32の下面側には、ノズル形成基板32bが取り付けられていて、ノズル32aの開口部分は、このノズル形成基板32bに露出している。
【0060】
また、印刷ヘッド32の非印刷領域付近には、キャップ部材33が配置されている。キャップ部材33は、ノズル形成面に当接して、封止空間を形成する部分である。そのため、キャップ部材33は、不図示の昇降機構により、上下に昇降させることを可能としている。
【0061】
また、キャップ部材33には、インク排出チューブ34の一端側が接続されている。インク排出チューブ34は、その他端側が廃液タンク35に接続されている。また、インク排出チューブ34の中途部分には、吸引ポンプ36が設けられている。そのため、吸引ポンプ36が作動すると、印刷ヘッド32のノズル32aからインクを廃液タンク35に向けて排出することが可能となる。なお、この廃液タンク35には、上述した液体吸収部材10が配置されている。
【0062】
以上のような構成により、不図示の制御部の制御指令に基づいて吸引ポンプ36が作動してノズル32aからインクを吸引する場合、または不図示の制御部の制御指令に基づいてノズル32aからインクを噴射するフラッシング動作を行う場合、インク排出チューブ34を介してインクが廃液タンク35に排出される。そして、排出されたインクは、液体吸収部材10に付着し、この液体吸収部材10によって吸収される。
【0063】
<5.本実施の形態における効果>
以上のような構成の液体吸収部材10およびプリンター30によれば、接合体20には、仕切部材21によって付着した液体を拡散させつつ流通させる拡散経路が構成されている。また、仕切部材21は、液体保持材22よりも密度が小さく設けられている。そのため、仕切部材21に付着したインクは、この仕切部材21に良好に浸透し、さらに液体吸収部材10の全体に亘るように拡散させることが可能となる。それにより、インクが液体吸収部材10に付着しても、そのインクの中には浸透および拡散せずに特定の箇所にインクが留まったままのものが生じ、当該留まっているインクが固化し、さらに浸透性および拡散性が悪化する、といった不具合が生じるのを低減させることが可能となる。
【0064】
特に、インクが顔料系インクである場合、顔料系インクは染料系インクよりも浸透性および拡散性で劣り、その顔料系インクの中には液体吸収部材10の表面に付着して、固化してしまうものがある。しかしながら、上述のように、接合体20は仕切部材21から構成され、液体保持材22よりも密度の低い仕切部材21によって拡散経路が構成される場合には、仕切部材21に対する顔料系インクの浸透性および拡散性を良好にすることが可能となり、顔料系インクが付着した箇所に留まって固化してしまい、さらに浸透性および拡散性が悪化するのを防ぐことが可能となる。
【0065】
また、本実施の形態においては、液体保持材22は、仕切部材21に対する位置が異なることにより密度が異なるように構成することもできる。このように構成する場合、液体保持材22の位置に応じて、インクの保持力に差異を生じさせることが可能となり、比較的早くインクが飽和して液体保持材22の他の部分にインクを受け渡す部分と、インクが飽和し難く受け渡されたインクを多く保持する部分とを設けることができる。そして、かかる密度の差異により、液体吸収部材10の全体に亘ってインクを行き渡らせることが可能となる。
【0066】
さらに、本実施の形態においては、液体保持材22の少なくとも一部の領域の外縁の密度は、その他の部分よりも大きく設けるように構成することもできる。このように構成する場合、液体保持材22のうち他の部分よりも密度が大きく設けられている外縁においては、毛細管力が大きく作用して、インクを多く保持することが可能となる。そのため、インクを外縁側に向かうように、拡散させることが可能となり、液体吸収部材10の全体に亘り、インクを行き渡らせることが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態においては、複数の仕切部材21には、X方向に沿って凹凸(接離)を繰り返しつつXY平面に平行に延伸する凹凸状シート体211A(請求項でいう第1の仕切部材の一例に対応)と、Y方向に沿って凹凸(接離)を繰り返しつつXY平面に平行に延伸する凹凸状シート体211G(請求項でいう第2の仕切部材の一例に対応)と、が存在するように構成することもできる。このように構成する場合、凹凸状シート体211Aが構成要素となるセル23に充填される液体保持材22の長手方向と、凹凸状シート体211Gが構成要素となるセル23に充填される液体保持材22の長手方向とは、直交して設けられているため、全てのセル23および液体保持材22が同じ向きに延伸している場合と比較して、作用する水頭圧を低減することが可能となる。そして、液体吸収部材10が傾いた場合に、インクが漏れるのを抑制することが可能となる。
【0068】
さらに、本実施の形態においては、セル23は、仕切部材21に対する位置が異なることにより、大きさが異なるように構成することもできる。このように構成する場合、仕切部材21に対する位置に応じてセル23の大きさが異なるため、液体保持材22に作用する水頭圧を変化させることが可能となり、液体保持材22が保持するインクの量を変化させることが可能となる。そのため、比較的早くインクが飽和して液体保持材22の他の部分に液体を受け渡す部分と、インクが飽和し難く受け渡されたインクを多く保持する部分とを設けることができる。そして、かかる保持状態の差異により、液体吸収部材10の全体に亘ってインクを行き渡らせることが可能となる。
【0069】
<6.変形例>
以上、本発明の一実施の形態について述べたが、本発明は、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0070】
(6−1)変形例その1
上述の実施の形態では、仕切部材21および液体保持材22の密度について述べている。しかしながら、密度に代えて、単位体積当たりの気泡または空隙の割合を用いるようにしても良い。この場合、特に比重が異なる材質における気泡または空隙の割合を比較することができる。
【0071】
(6−2)変形例その2
また、上述の実施の形態においては、廃液タンク35の底面に、グリセリン等の保湿材を設けるようにしても良い。この場合、保湿材の存在により、インクの固化を抑えることが可能となり、仕切部材21の浸透性および拡散性を確保することが可能となる。
【0072】
(6−3)変形例その3
また、上述の実施の形態において、プリンター30の概念には、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したり噴射したりする流体噴射装置を含むようにすることもできる。そのようなものとしては、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する流体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する流体噴射装置等がある。
【0073】
(6−4)変形例その4
さらに、本発明のプリンター30の概念に含まれるものとしては、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する流体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する流体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する流体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置等がある。
【符号の説明】
【0074】
10…液体吸収部材、20,20A〜20G…接合体、21…仕切部材(仕切部材、第1の仕切部材、第2の仕切部材の一例に対応)、22…液体保持材、23…セル、24…スリット、30…プリンター、31…キャリッジ、32…印刷ヘッド、32a…ノズル、32b…ノズル形成基板、33…キャップ部材、34…インク排出チューブ、35…廃液タンク、36…吸引ポンプ、211,211A,211G…凹凸状シート体、212,212C…平板状シート体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吸収する液体吸収部材であって、
複数の仕切部材を接合することにより構成され、隣り合う前記仕切部材の間にセルが設けられる接合体と、
前記セルに充填されると共に前記液体を保持する液体保持材と、
を具備し、
前記接合体には、複数の前記仕切部材によって付着した前記液体を拡散させつつ流通させる多数の拡散経路が構成され、
前記仕切部材は、前記液体保持材よりも、密度が小さく設けられている、
ことを特徴とする液体吸収部材。
【請求項2】
請求項1記載の液体吸収部材であって、
前記液体保持材は、前記仕切部材に対する位置が異なることにより密度が異なる、
ことを特徴とする液体吸収部材。
【請求項3】
請求項2記載の液体吸収部材であって、
前記液体保持材の少なくとも一部の領域の外縁の密度は、その他の部分よりも大きく設けられている、
ことを特徴とする液体吸収部材。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吸収部材であって、
複数の前記仕切部材のうちの第1の仕切部材は、所定の進行方向に沿って接離を繰り返しつつ当該所定の進行方向に沿う平面に平行に延伸していて、
複数の前記仕切部材のうちの第2の仕切部材は、前記所定の進行方向とは直交する直交方向に沿って接離を繰り返しつつ前記所定の進行方向に沿う平面に平行に延伸していて、
前記第1の仕切部材が構成要素となる前記セルに充填される前記液体保持材の長手方向と、前記第2の仕切部材が構成要素となる前記セルに充填される前記液体保持材の長手方向とは、直交して設けられている、
ことを特徴とする液体吸収部材。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吸収部材であって、
前記セルは、前記仕切部材に対する位置が異なることにより、大きさが異なる、
ことを特徴とする液体吸収部材。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吸収部材を備えることを特徴とするプリンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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