説明

液体噴出容器

【課題】ポンプを組み付ける際に、上皿が適切に位置決めがなされ、上皿の動きがスムースな液体噴出容器を提供する。
【解決手段】口部111内側を通って胴部113内側に垂下するシリンダ122を有し口部111に装着されるポンプ120と、シリンダ122を取り囲む筒状部143を有し胴部内周面113fに摺動可能に保持される上皿140と、この上皿140の下方に位置し胴部内周面113fに摺動可能に保持される下皿150と、ポンプ120に繋がりその押下げ及び復帰の繰り返しにより当該ポンプ120を動作させて上皿140と下皿150との間に形成された充填空間Rの内容物を噴出するノズルヘッド160とを備え、口部111とシリンダ122との間に、シリンダ122を嵌合保持する内周面132をと、口部111との間に隙間を形成するように取り付けられる外周面131とを有する中空のアダプタ部材130を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の胴部内側に、上皿及び下皿を昇降可能に配置することにより、その相互間に内容物の充填空間を形成し、内容物の噴出と共に当該充填容器の減容が可能な液体噴出容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体噴出容器には、容器本体の胴部内側に、内容物の充填空間を形成する下皿を備え、この充填空間の内容物を外界に噴出させるにあたり、当該充填空間内に発生する負圧を利用して内容物を下皿の上昇により押し上げることで、内容物が外気に触れることなく、効率的に取り出すことができるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−212262号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに対し、本願出願人は、下皿の上方に、この下皿との間に内容物の充填空間を形成すると共に、当該下皿が上死点に達した時点から下降を開始する上皿を設け、この上皿の動きを利用することで視覚的な残量確認を可能にしたものを推考するに至った。
【0004】
しかしながら、液体噴出容器は、通常、内容物を噴出させるポンプを有し、このポンプは、そのシリンダが容器本体の口部内側を通って胴部内側に垂下している。このため、容器本体の容積を確保しつつ、上記のような上皿を採用するにあたっては、かかる上皿を、シリンダを貫通すべく、中空である必要がある。
【0005】
また、液体噴出容器では、容器本体の口部にポンプを取り付けるにあたり、ポンプを口部に打栓する場合があるが、上皿を中空にしてシリンダに貫通させた構成で容器本体に上皿及びポンプを組み付けると、上皿とポンプシリンダとが干渉し合うことがある。この場合、内容物を充填した容器本体に、上皿がポンプシリンダと干渉し合ったままの状態でポンプを打栓すると、上皿がポンプシリンダによって押し込まれてしまうという問題がある。
【0006】
また、本願発明者は、試験・研究の結果、従来の液体噴出容器は、その構造上、容器本体の口部及び肩部の付近に空気が溜まってしまうため、上皿の動きが悪くなってしまうことを確かめた。
【0007】
本発明の解決すべき課題は、容器本体の口部内側にポンプを装着する液体噴出容器において、容器本体の胴部内側に、上皿及び下皿を昇降可能に配置することにより、その相互間に内容物の充填空間を形成し、内容物の噴出と共に当該充填容器の減容を可能とすると、容器本体の口部にポンプを組み付ける際に、上皿を押し込んでしまうことと、従来の構造では、容器本体の口部及び肩部の付近に空気が溜まってしまうため、上皿の動きが悪くなることにあり、
本発明の目的とするところは、容器本体の口部にポンプを組み付ける際に、上皿が押し込まれることなく、適切な位置決めがなされ、上皿のスムースな動きが実現された使い勝手のよい新規な液体噴出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明である液体噴出容器は、内容物を充填する口部を有し当該口部が肩部を介して胴部に繋がる容器本体と、この容器本体の口部内側を通って胴部内側に垂下するシリンダを有し前記口部に装着されるポンプと、このポンプのシリンダを取り囲む筒状部を有し前記胴部の内周面に摺動可能に保持される上皿と、この上皿の下方に位置し前記胴部の内周面に摺動可能に保持される下皿と、ポンプに繋がりその押下げ及び復帰の繰り返しにより当該ポンプを動作させて上皿と下皿との間に形成された充填空間の内容物を噴出するノズルヘッドとを備え、前記口部と前記シリンダとの間に、前記シリンダを嵌合保持する内周面を有し、前記口部に取り付けられる中空のアダプタ部材を備えることを特徴とするものである。
【0009】
本発明に係るアダプタ部材は、前記口部との間に隙間を形成することが好ましい。
【0010】
更に、本発明によれば、容器本体の肩部内側に、この肩部から垂下して前記アダプタ部材を取り囲む筒状壁を設け、前記上皿の筒状部を、前記アダプタ部材と容器本体の筒状壁との間に形成した隙間に配置すると共に、当該筒状部の先端を、容器本体の筒状壁と摺動可能に接触して当該筒状壁との間を気密保持する封止部として構成することができる。
【0011】
また、本発明によれば、容器本体の肩部内側に、この肩部から垂下して前記アダプタ部材を取り囲む筒状壁を設け、前記上皿の筒状部を、容器本体の筒状壁を取り囲むように配置すると共に、当該筒状部の先端を、容器本体の筒状壁と摺動可能に接触して当該筒状壁との間を気密保持する封止部として構成することもできる。
【0012】
加えて、本発明によれば、前記上皿の受圧面を、筒状部に向かって傾斜するテーパ面とすることが好ましい。
【0013】
なお、前記上皿は、容器本体に引っ掛かって当該上皿の下降を規制すると共に、下皿が上死点に到達した後の充填空間内に発生した負圧によって前記引っ掛かりが解除される着脱可能な係止部を備えることが好ましい。
【0014】
上記係止部は、容器本体の内面形状に応じて、様々な位置に適宜設けることができ、例えば、容器本体の肩部内側から突片を垂下させると共に、上皿の受圧部から突片を起立させ、当該突片にそれぞれ設ける。また、かかる係止部には、例えば、互いに乗り上げて嵌合する凸部、一方が他方に落ち込むことで嵌合する凹部及び凸部が挙げられる。
【0015】
加えて、かかる係止部が存在する場合、前記容器本体の胴部のうち、その肩部直下に、容器本体内を透視可能な透視部を形成する共に、前記上皿に、この上皿が下降した状態で前記透視部からの視認状態が変わる加飾部を設けることができる。
【0016】
この場合、前記加飾部は、前記外周部の外周面に設けられ、前記上皿が引っ掛かった状態では前記透視部から視認可能で、前記上皿が下降した状態では視認不可能なものとすることができる。
【0017】
かかる構成の場合、前記外周部の外周面に、前記容器本体との間に前記加飾部を設けるための隙間を形成することが好ましい。
【0018】
なお、本発明において、「加飾」とは、文字、図形、記号、色彩、模様又はこれらの結合等の視覚的に訴えるものをいう。また、加飾を施す方法としては、印刷やラベリング等の方法が挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、容器本体の口部と、この口部に装着されるポンプのシリンダとの間に、このシリンダを嵌合保持する内周面を有し、前記口部に取り付けられる中空のアダプタ部材を設けたことから、例えば、予め、当該アダプタ部材をポンプのシリンダに組み付けておけば、予め上皿を組み付けた容器本体にポンプを組み付けても、ポンプのシリンダは上皿と全く干渉しないから、ポンプを組み付ける際に、上皿を押し込んでしまうことがない。即ち、本発明によれば、ポンプの組み付けに関係なく、容器本体に対して上皿を適切な位置に位置決めすることができる。
【0020】
また、ポンプ組み付け前の容器本体の口部及び肩部の付近に、内容物の充填等に伴い空気が溜まっても、アダプタ部材と共にポンプを組み付ければ、この溜まった空気を、容器本体の口部との間に形成された隙間を通して外部に逃がすことができる。これにより、容器本体の口部及び肩部の付近に空気が溜まることによって生じる上皿の動きの悪さを改善することができる。
【0021】
従って、本発明によれば、容器本体の口部にポンプを組み付ける際に、上皿が押し込まれることなく、適切な位置決めがなされ、上皿のスムースな動きが実現された使い勝手のよい新規な液体噴出容器を提供することができる。
【0022】
加えて、本発明において、容器本体の肩部内側に、この肩部から垂下して前記アダプタ部材を取り囲む筒状壁を設け、前記上皿の筒状部を、前記アダプタ部材と容器本体の筒状壁との間に形成した隙間に配置すると共に、当該筒状部の先端を、容器本体の筒状壁と摺動可能に接触して当該筒状壁との間を気密保持する封止部として構成すれば、容器本体内の気密性を更に向上させることができる。
【0023】
また、本発明において、容器本体の肩部内側に、この肩部から垂下して前記アダプタ部材を取り囲む筒状壁を設け、前記上皿の筒状部を、容器本体の筒状壁を取り囲むように配置すると共に、当該筒状部の先端を、容器本体の筒状壁と摺動可能に接触して当該筒状壁との間を気密保持する封止部として構成しても、容器本体内の気密性を更に向上させることができる。
【0024】
更に、本発明において、前記上皿の受圧面を、筒状部に向かって傾斜するテーパ面とすれば、アダプタ部材と共にポンプを組み付ける際、容器本体の口部及び肩部の付近に溜まった空気を、容器本体の口部とアダプタ部材との間に形成された隙間に効率的に逃がすことができるので、更に上皿の動きをスムースなものにできる。また副次的な効果として、下皿が内容物をポンプの吸引口まで押し上げるときには、充填空間内の内容物を、ポンプの吸引口に導くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の好適な形態を詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の第一の形態である液体噴出容器100の未使用状態を一部断面で示す側面図であり、図2は、同形態の中皿140が上死点に到達した状態を一部断面で示す側面図である。更に、図3は、同形態の使用済み状態を一部断面で示す側面図である。
【0027】
また、図4は、同形態にて、上皿が下降する前の状態の要部を断面で示す要部断面図であり、更に、図5は、同形態にて、上皿が下降した使用済み状態の要部を断面で示す要部断面図である。
【0028】
図面において、符号110は、内容物を充填する筒状の口部111を有し、この口部111が肩部112を介して筒状の胴部113に一体に繋がる容器本体である。
【0029】
容器本体110は、透明又は半透明な合成樹脂からなる。容器本体110の周りには、遮光性を有する不透明なフィルム等の遮光材Fが巻き付けられているが、この遮光材Fの一部分を透明又は開口させることで、胴部113のうちの肩部112直下には、透明な合成樹脂からなる透視部114が局所的に形成されている。また、胴部113の口部111と容器本体110の軸線Oに沿って対向する端部には、外気導入孔hを有する底蓋部115が別体に取り付けられている。
【0030】
符号120は、口部111に装着され、押下げ及び復帰の繰り返しにより内容物の吸引、圧縮及び排出を行うポンプである。
【0031】
詳細には、ポンプ120は、カバー121を備え、このカバー121は、口部111外側で口部111に着脱可能にねじ止めされる装着筒部121aを有し、この装着筒部121aの内側には、天壁121bを介して口部111の内側を通って胴部113に垂下するシリンダ122が一体に成形されている。
【0032】
シリンダ122は、その先端部120aに吸引口が形成されている。また、シリンダ122は、シールリングSを介して口部111の上端に取り付けられており、口部111とシリンダ122との間を気密状態に保持している。
【0033】
符号130は、口部111とシリンダ122との間に設けられた中空の円筒形状のアダプタ部材である。アダプタ部材130は、口部111の内側に取り付けられる外周面131と、シリンダ122を嵌合保持する内周面132とを有する。
【0034】
詳細には、アダプタ部材130の外周面131は、図4,5に示すように、先端120a側を小径化する段差面131aと、先端120aに向かって先細りになるテーパ面131bとで構成されている。これにより、外周面131は、段差面131aとテーパ面131bとを境に、大径面131c、中径面131d及び小径面131eとに区分けされている。
【0035】
これに対し、口部111の内側は、アダプタ部材130の大径面131cと同一又はそれよりも大きな径からなる内周面111aと、アダプタ部材130が抜け落ちしないように、アダプタ部材130の段差面131aと合さる段差面111bとで構成されている。更に、段差面111bの内側に形成される開口部の内径も、アダプタ部材130の中径面131dと同一又はそれよりも大きな径からなる。
【0036】
即ち、口部111にアダプタ部材130を組み付けると、口部111とアダプタ部材130の間には僅かな隙間が形成されるので、アダプタ部材130を嵌合によりシリンダ122に組み付けた後、更に、これをユニットして口部111に取り付けると、内容物の充填等に伴い容器本体110内の口部111及び肩部112の付近に溜まった空気を、その隙間から逃がすことができる。
【0037】
符号140は、容器本体110と同じ遮光性の色彩を有する合成樹脂からなる上皿である。上皿140は、軸線Oに沿って胴部113の内周面113fを摺動可能な外周部141を有し、この外周部141に、受圧部142を介して、シリンダ122を取り囲む筒状部143を有する。
【0038】
一方、本形態では、容器本体110の肩部112内側に、この肩部112から垂下してアダプタ部材130を、間隔を空けて取り囲む筒状壁116が設けられている。
【0039】
これに対し、上皿140は、未使用状態にあっては、その筒状部143が、図示のように、アダプタ部材130と筒状壁116との間に形成した隙間に配置されている。
【0040】
また、かかる筒状部143の先端143aは、筒状壁116側に湾曲させることで、筒状壁116の内周面と摺動可能に接触して当該筒状壁116との間を気密保持する封止部として構成されている。これにより、上皿140の下側は、上側に対して密閉された状態に仕切られる。
【0041】
また、上皿140は、以下の如く、容器本体110の肩部112に着脱可能に係止されている。
【0042】
即ち、本形態では、容器本体の肩部112内側から突片117を垂下させると共に、上皿140の受圧部142から突片144を起立させ、当該突片117及び144にそれぞれ、一方が他方に落ち込むことで着脱可能に嵌合する係止凹部C1及び係止凸部C2を設ける。
【0043】
これにより、上皿140は、容器本体110に引っ掛かって、その下降が規制されると共に、上皿140に係止凹部C1及び係止凸部C2の係合力も大きな外力(圧力)が付与されると、この外力(圧力)によって前記引っ掛かりが解除されて下降する。なお、肩部112には、上皿140のスムースな摺動を実現するため、底蓋部115と同様、外気導入孔hが形成されている。
【0044】
なお、係止凹部C1及び係止凸部C2は、肩部112から垂下する突片117が筒状である場合には、この突片117周りに環状又は間欠(単数又は複数の間欠の両者を含む。)に形成することができる。
【0045】
また、係止凹部C1及び係止凸部C2の係合を解除するタイミング等の設定は、例えば、係止凹部C1と係止凸部C2との引っ掛かり量や、係止凹部C1と係止凸部C2の形状、又は、その硬さ等を適宜変更することができる。
【0046】
更に、上皿140と容器本体110とを着脱可能に係合させるにあたっては、係止凹部C1及び係止凸部C2の組み合わせ以外にも、互いに乗り上げて嵌合する係止凸部同士等が挙げられる。
【0047】
符号150は、上皿140の下方に位置する下皿である。下皿150は、胴部113の内周面113fに摺動可能に保持される外縁部151を有し、その内側に環状の受圧部152を介して口部111に向かって延在する筒状支持部153が一体に形成されている。
【0048】
筒状支持部153は、その周方向の少なくとも一箇所に、その内側を外側に開放する切り欠きが形成されている。また、筒状支持部153は、その内側に、中空の座面部材153aを備える。この座面部材153aは、下皿150の上昇により、シリンダ122の先端部120aに接触して下皿150の上死点を決定する。また、座面部材153aも、その周方向の少なくとも一箇所に、その内側を外側に開放する切り欠きが形成されている。なお、下皿150は、内容物を噴出させる前の未使用状態では図1に示すように、底蓋部115から一体に立設された筒状の座壁115aに着座している。
【0049】
これにより、上皿140と下皿150との間には、内容物を充填する空間Rが形成される。充填空間Rは、下皿150の上昇及び上皿140の下降により、内容物の噴出と共にその容積も減少する。また、筒状支持部153及び座面部材153aには、切り欠きが形成されているため、座面部材153aがシリンダ先端120aに突き当っても充填空間Rの内容物を効率的に吸引することができる。
【0050】
なお、本形態の上皿140は、係止凹部C1及び係止凸部C2の係合力を調整することで、内容物の噴出に伴い下皿150が上昇する間は、容器本体110に引っ掛かったまま、その下降が規制され、下皿150が上死点に到達した後は、充填空間R内に発生した負圧が係止凹部C1及び係止凸部C2の係合力を上回った時点で、前記引っ掛かりが解除されて下降するように構成する。
【0051】
符号160は、ポンプ120に繋がりその押下げ及び復帰の繰り返しにより当該ポンプ120を動作させて上皿140と下皿150との間に形成された充填空間Rの内容物を噴出するノズルヘッドである。
【0052】
本形態によれば、口部111と、この口部111に装着されるポンプ120のシリンダ122との間に、このシリンダ122を嵌合保持する内周面132を有し、口部111に取り付けられるアダプタ部材130を設けたことから、例えば、上述したように、予め、当該アダプタ部材130をシリンダ122に組み付けておけば、予め上皿140を組み付けた容器本体110にポンプ120を組み付けても、ポンプ120のシリンダ122は上皿120と全く干渉しないから、ポンプ120を組み付ける際に、上皿140を押し込んでしまうことがない。即ち、本形態によれば、ポンプ120の組み付けに関係なく、容器本体110に対して上皿140を適切な位置に位置決めすることができる。
【0053】
また、かかる構成によれば、ポンプ120の組み付け前の口部111及び肩部112の付近に、内容物の充填等に伴い空気が溜まっても、アダプタ部材130と共にポンプ120を組み付ければ、この溜まった空気を、口部111との間に形成された隙間を通して外部に逃がすことができる。これにより、容器本体110の口部111及び肩部112の付近に空気が溜まることによって生じる上皿140の動きの悪さを改善することができる。
【0054】
従って、本発明によれば、容器本体110の口部111にポンプ120を組み付ける際に、上皿140が押し込まれることなく、適切な位置決めがなされ、上皿140のスムースな動きが実現された使い勝手のよい新規な液体噴出容器を提供することができる。
【0055】
加えて、本形態の如く、肩部112内側に、アダプタ部材130を取り囲む筒状壁116を設け、上皿140の筒状部143を、アダプタ部材130と筒状壁116との間に形成した隙間に配置すると共に、当該筒状部143の先端143aを、筒状壁116と摺動可能に接触して当該筒状壁116との間を気密保持する封止部として構成すれば、容器本体110内の気密性を更に向上させることができる。
【0056】
更に、本形態では、上皿140の受圧面140fを、筒状部143に向かって傾斜するテーパ面としている。この場合、アダプタ部材130と共にポンプ120を組み付ける際、口部111及び肩部112の付近に溜まった空気を、口部111とアダプタ部材130との間に形成された隙間に効率的に逃がすことができるので、更に上皿140の動きをスムースなものにできる。また副次的な効果として、下皿150が内容物をシリンダ122の先端部120aまで押し上げるときには、充填空間R内の内容物を、シリンダ122の先端部120aに形成された吸引口に導くことができる。
【0057】
図6は、本発明の他の形態である液体噴出容器200の未使用状態を一部断面で示す側面図である。なお、本形態は、以下で説明する部分以外は、先の形態と同一の構成であることから、先の形態と同一の部分は、同一符号をもって、その説明を省略する。
【0058】
本形態において、下皿150の筒状支持部153の先端には、容器肩部112の筒状壁116の下端を接触させることができるように、段差が形成されている。また本形態では、上皿140の筒状部143を、容器本体110の筒状壁116を取り囲むように配置すると共に、当該筒状部143の先端143aは、筒状壁116側に湾曲させることで、容器本体110の筒状壁116の外周面と摺動可能に接触して当該筒状壁116との間を気密保持する封止部として構成されている。かかる構成であっても、先の形態と同様に、容器本体110内の気密性を更に向上させることができる。
【0059】
なお、上述した各形態は、以下に示すような共通の作用効果を奏する。
【0060】
上述した各形態は、使用者がノズルヘッド160を操作することで、充填空間Rの内容物を、ノズルヘッド160を通して外界に噴出させることができる。このとき、下皿150は図1に示す状態から内容物の噴出に伴って口部111に向かって上昇するが、下皿150が図2に示すように上死点に達すると、充填空間R内の負圧により係止凹部C1及び係止凸部C2の係合が解除されるため、当該解除の瞬間にクリック音を発すると共に、容器100を保持していた手にクリック感が与えられる。これにより、使用者は、聴覚及び触覚により、内容物が残り少ないことを確実に認識することができる。
【0061】
しかも、係止凹部C1及び係止凸部C2の係合が解除されると、上皿140は、図3に示すように、充填空間R内の負圧によって、上死点に達した下皿150に向かって下降するので、従来利用できなかった残液も取り出して外部に噴出させることができる。
【0062】
即ち、かかる構成によれば、残液の有効利用を図りつつ、聴覚及び触覚により内容物の残量確認をすることができる。
【0063】
加えて、本形態では、上皿140の外周部141の外周面に、係止凹部C1及び係止凸部C2が係合した状態では透視部114から視認可能で、上皿140が下降した状態では少なくとも一部の視認が不可能な加飾部D1が設けられている。
【0064】
詳細には、上皿140の外周部141に、この外周部141に沿って周回する環状の窪み141aを形成し、この環状窪み141aに、加飾部D1を設けている。これにより、環状窪み141aで上下に区分けされた2つの環状の外周縁141がそれぞれ、胴部内周面113fによって摺動可能に保持される摺動部となり、加飾部D1は、胴部内周面113fと干渉しない隙間に配置されることになる。
【0065】
かかる構成によれば、透視部114や加飾部D1の大きさ、上皿140が下降する際の下死点、即ち、上死点にある下皿150の筒状支持部153に上皿140の受圧部143が接触する位置等を適宜設定することで、加飾部D1は、上皿140が引っ掛かった状態では透視部114から視認可能で、上皿140が下降した状態になると視認が不可能になる。
【0066】
即ち、容器本体110の透視部114から当該加飾部D1の視認が不可能になることで、係止凹部C1及び係止凸部C2の係合が解除されたのちも、聴覚や触覚を何ら用いることなく、残量の確認に更に有効である。
【0067】
上述したところは、本発明の一形態を説明するものであるが、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。例えば、上述した形態の各構成はそれぞれ、目的及び用途に応じて適宜組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の第一の形態である液体噴出容器の未使用状態を一部断面で示す側面図である。
【図2】同形態の中皿が上死点に到達した状態を一部断面で示す側面図である。
【図3】同形態にて、上皿が下降する前の状態の要部を断面で示す要部断面図である。
【図4】同形態にて、上皿が下降する前の状態の要部を断面で示す要部断面図である。
【図5】同形態にて、上皿が下降した使用済み状態の要部を断面で示す要部断面図である。
【図6】本発明の他の形態である液体噴出容器の未使用状態を一部断面で示す側面図である。
【符号の説明】
【0069】
100 液体噴出容器(第一の形態)
110 容器本体
111 口部
111a 口部の内周面
112 肩部
113 胴部
113f 胴部内周面
114 透過部
115 底部
116 筒状壁
117 突片
120 ポンプ
121 ポンプカバー
121a 装着筒部
121b 装着筒部
122 シリンダ
130 アダプタ部材
131 アダプタ部材外周面
131a 段差面
131b テーパ面
131c 大径面
131d 中径面
131e 小径面
132 アダプタ部材内周面
140 上皿
141 上皿外周部
141a 上皿環状窪み
142 上皿受圧部
143 上皿筒状部
143 上皿筒状部先端(封止部)
144 突片
150 下皿
151 下皿外周部
152 下皿受圧部
153 筒状支持部
154 下皿筒状部
160 ノズルヘッド
170 カバーキャップ
200 液体噴出容器(第二の形態)
C1 係合凹部
C2 係合凸部
D1 加飾部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填する口部を有し当該口部が肩部を介して胴部に繋がる容器本体と、この容器本体の口部内側を通って胴部内側に垂下するシリンダを有し前記口部に装着されるポンプと、このポンプのシリンダを取り囲む筒状部を有し前記胴部の内周面に摺動可能に保持される上皿と、この上皿の下方に位置し前記胴部の内周面に摺動可能に保持される下皿と、ポンプに繋がりその押下げ及び復帰の繰り返しにより当該ポンプを動作させて上皿と下皿との間に形成された充填空間の内容物を噴出するノズルヘッドとを備え、
前記口部と前記シリンダとの間に、前記シリンダを嵌合保持する内周面を有し、前記口部に取り付けられる中空のアダプタ部材を備えることを特徴とする液体噴出容器。
【請求項2】
請求項1において、前記アダプタ部材は、前記口部との間に隙間を形成することを特徴とする液体噴出容器。
【請求項3】
請求項1又は2において、容器本体の肩部内側に、この肩部から垂下して前記アダプタ部材を取り囲む筒状壁を設け、
前記上皿の筒状部を、前記アダプタ部材と容器本体の筒状壁との間に形成した隙間に配置すると共に、
当該筒状部の先端を、容器本体の筒状壁と摺動可能に接触して当該筒状壁との間を気密保持する封止部として構成したことを特徴とする液体噴出容器。
【請求項4】
請求項1又は2において、容器本体の肩部内側に、この肩部から垂下して前記アダプタ部材を取り囲む筒状壁を設け、
前記上皿の筒状部を、容器本体の筒状壁を取り囲むように配置すると共に、
当該筒状部の先端を、容器本体の筒状壁と摺動可能に接触して当該筒状壁との間を気密保持する封止部として構成したことを特徴とする液体噴出容器。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、前記上皿の受圧面を、筒状部に向かって傾斜するテーパ面としたことを特徴とする液体噴出容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−131816(P2009−131816A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311536(P2007−311536)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】