説明

液体噴射ヘッド及び液体噴射装置

【課題】吐出される液体を所望の温度に加熱して液体吐出特性を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射するノズル開口47が設けられたノズルプレート48と、前記ノズル開口47に連通する圧力発生室42が設けられた流路形成基板40と、前記圧力発生室42内の液体に圧力変化を生じさせる圧力発生手段11とを具備し、前記流路形成基板40が、PTC特性を有する発熱材料で構成され、前記流路形成基板40に前記発熱材料に電流を供給する電極80が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル開口から液体を噴射する液体噴射ヘッド及びこれを用いた液体噴射装
置に関し、特に、液体としてインクを吐出するインクジェット式記録ヘッド及びインクジ
ェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出する液体噴射ヘッドの代表例としては、インク滴を噴射するインクジェット
式記録ヘッドが挙げられる。インクジェット式記録ヘッドとしては、例えば、ノズルが穿
設されたノズルプレートと、ノズルに連通する複数の圧力発生室を含む液体流路が形成さ
れた流路形成基板と、この流路形成基板の一方面側に形成される圧力発生手段とを具備す
るものがある。
【0003】
このような記録ヘッドから吐出する液体には、液体の種類に応じて吐出に適した粘度が
ある。液体の粘度は、温度と相関関係にあるため、温度が低いほど粘度が高くなり、温度
が高いほど粘度が低くなる特性がある。そのため、通常使用する液体の粘度に適するよう
に設計された記録ヘッドが、低温(高温)環境に置かれた場合や、粘度の高い(低い)液
体を吐出する場合などには、液体を加熱(冷却)する必要がある。具体的には、ノズルプ
レートに加熱手段を当接させて設けた構造(例えば、特許文献1参照)や、ヘッド内の金
属積層部にヒーターを設けた構造(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−023258号公報
【特許文献2】特開2008−296498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ノズルプレートにヒーターを当接した場合にはノズルプレートとヒータ
ーとの間で熱伝達ロスが生じ、また、ノズルプレート内での温度分布が生じてしまうとい
う問題がある。また、ヘッド内の金属積層にヒーターを設けた場合には、ヒーター設置部
位とインクを吐出するノズルプレートの間で温度分布や熱ロスが生じるという問題がある

【0006】
何れにしても、吐出する際のインクの温度を高精度に制御できないので、所望のインク
吐出特性を得ることができず、印刷品質が低下してしまうという問題がある。
【0007】
なお、このような問題は、インクを吐出するインクジェット式記録ヘッドに限定されず
、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにおいても同様に存在する。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑み、吐出される液体を所望の温度に加熱して液体吐出特性
を向上することができる液体噴射ヘッド及び液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成する本発明の第1の態様は、液体を噴射するノズル開口が設けられたノ
ズルプレートと、前記ノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板と、前
記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる圧力発生手段とを具備し、前記流路形成基
板が、PTC特性を有する発熱材料で構成され、当該流路形成基板に前記発熱材料に電流
を供給する電極が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッドにある。
かかる態様では、吐出される直前の液体が発熱材料で構成される流路形成基板により所
定温度に加熱されるので、吐出直前の液体を所望の温度に加熱して液体吐出特性を向上す
ることができる。
【0010】
ここで、前記電極は、前記流路形成基板の対向する縁部に設けられているのが好ましい
。これによれば、流路形成基板を構成する発熱材料に均一に電流が供給されるので、流路
形成基板全体がより均一に加熱される。
【0011】
また、前記電極は、前記流路形成基板の対向する縁部の対向する角部に設けられている
のが好ましい。これによれば、流路形成基板を構成する発熱材料に均一に電流が供給され
るので、流路形成基板全体がより均一に加熱される。
【0012】
また、前記流路形成基板に前記圧力発生室に液体を供給するマニホールドが設けられて
いるのが好ましい。これによれば、吐出直前の液体が効率的に加熱され、吐出される液体
を所望の温度に加熱して液体吐出特性を向上することができる。
【0013】
また、前記発熱材料は、PTC特性を有するセラミックス、又はPTC特性を有するシ
リコンとステンレス鋼とを含む混合材であるのが好ましい。これによれば、流路形成基板
の所望の剛性を確保することができる。
【0014】
本発明の他の態様は、上記態様の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴射
装置にある。
これによれば、吐出される直前の液体を効率的に加熱できるので、吐出される液体の粘
性が効率的に低減でき、吐出特性が向上したヘッドを具備する液体噴射装置が実現できる

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの分解斜視図である。
【図2】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの上面図である。
【図3】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの断面図である。
【図5】本発明の流路形成基板の概略構成を示す平面図である。
【図6】実施形態1に係る記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る記録ヘッドの一例であるインクジェット式記録ヘッド
の分解斜視図であり、図2はインクジェット式記録ヘッドの上面図、図3は図2のA−A
′線断面図であり、図4は図2のB−B′線断面図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態のインクジェット式記録ヘッド1(以下、記録ヘッド1
とも言う)は、一対のアクチュエーターユニット2と、アクチュエーターユニット2を内
部に収容可能な収容部3が設けられた樹脂材料からなるケース4と、ケース4の先端面に
接合された流路ユニット5と、流路ユニット5側を覆うカバーヘッド6と、を具備する。
【0018】
図3及び図4に示すように、本実施形態のアクチュエーターユニット2は、本実施形態
のアクチュエーターである複数の圧電素子11がその幅方向に並設された圧電素子形成部
材13と、圧電素子形成部材13の先端部(一端部)側が自由端となるようにその基端部
(他端部)側が固定端として接合される固定板14とを有する。
【0019】
圧電素子形成部材13は、圧電材料層15と、圧電素子11の2つの極を構成する内部
電極、すなわち、隣接する圧電素子11と電気的に独立する個別電極を構成する個別内部
電極16と、隣接する圧電素子11と電気的に共通する共通電極を構成する共通内部電極
17とを交互に挟んで積層することにより形成されている。
【0020】
この圧電素子形成部材13には、例えば、ワイヤーソー等によって複数のスリット18
が形成され、その先端部側が櫛歯状に切り分けられて圧電素子11の列が形成されている
。なお、圧電素子11の列の両外側には、各圧電素子11よりも広い幅を有する位置決め
部19が設けられている。この位置決め部19は、圧電素子11と同様に、圧電素子形成
部材13で形成されているが、実質的に駆動されない非駆動振動子であり、アクチュエー
ターユニット2を記録ヘッド1に組み込む際に、位置決め部19をケース4に設けられた
収容部3の側面に当接させて、アクチュエーターユニット2を高精度に位置決めするため
のものである。
【0021】
ここで、圧電素子11の固定板14に接合される領域は、振動に寄与しない不活性領域
となっており、圧電素子11を構成する個別内部電極16及び共通内部電極17間に電圧
を印加すると、固定板14に接合されていない先端部側の領域のみが振動する。そして、
圧電素子11の先端面が、後述する振動板46の島部49に接着剤等を介して固定される

【0022】
また、アクチュエーターユニット2の各圧電素子11には、当該圧電素子11を駆動す
るための駆動IC等の駆動回路29が搭載されたCOF等の回路基板30が接続されてい
る。
【0023】
流路ユニット5は、流路形成基板40、振動板46及びノズルプレート48を具備する

【0024】
流路形成基板40は、その一方面側の表層部分には、複数の隔壁41によって画成され
た圧力発生室42が並設されている(以下、この並設された方向を並設方向又は第1の方
向という)。
【0025】
また、図3に示すように、各圧力発生室42の並設方向とはほぼ直交する方向(以下、
この方向を第2の方向という)一端部側には、各圧力発生室42に液体の一例であるイン
クを供給するためのマニホールド44が液体供給路の一例であるインク供給路45を介し
て連通されている。また、流路形成基板40の圧力発生室42の開口面側は振動板46で
封止され、他方面側にはノズル開口47が穿設されたノズル形成部材の一例であるノズル
プレート48が接着剤や熱溶着フィルムを介して接着されている。ノズルプレート48の
ノズル開口47と圧力発生室42とは、流路形成基板40を貫通して設けられたノズル開
口連通孔43を介して連通している。
【0026】
ここで、流路形成基板40は、PTC(Positive Temperature
Coefficient:正温度係数)特性を有する材料からなるPTC発熱体で構成さ
れている。PTC発熱体は、好ましくは、所望の剛性を確保することができる材料、具体
的にはPTC特性を有するセラミックス、又はPTC特性を有するシリコンとステンレス
鋼(SUS)とを含む混合材等が挙げられる。PTC発熱体は、カーボンなどの伝導性粒
子を含有した材料であり、伝導性粒子を介して導電性を示す材料であるが、所定の温度に
なると伝導性粒子の連鎖が断ち切られて電流が流れ難くなる(抵抗が大きくなる)材料で
ある。PTC発熱体は、そのキューリー温度を適宜調整することにより、所定の一定温度
に発熱するように設定できるので、サーモスタットなどの温度制御手段を設ける必要がな
いという利点がある。
【0027】
このように、流路形成基板40をPTC発熱体で構成して流路形成基板40自体を発熱
体としたので、流路形成基板40に接触する吐出直前の液滴を所定温度に加熱して所定の
粘性を保つようにすることができ、吐出特性の向上を図ることができる。
【0028】
なお、流路形成基板40の相対向する縁部には、図1及び図5(a)に示すように、P
TC発熱体に電流を供給するための電極80が辺に沿って設けられ、図示しない電源から
電流が供給されるようになっている。このように相対向する辺に電極80を設けることに
より、PTC発熱体に均一に電流が供給でき、より均一に流路形成基板40を加熱するこ
とができる。なお、流路形成基板40や電極80の表面は、カバーヘッド6や液体などと
電気的に導通しないように、絶縁処理が施されている。
【0029】
また、電極80は必ずしも辺に沿って設ける必要はなく、例えば、図5(b)に示すよ
うに、相対向する角度に配置された電極80Aとしてもよい。これによっても、PTC発
熱体に均一に電流が供給でき、より均一に流路形成基板40を加熱することができる。
【0030】
振動板46は、例えば、樹脂フィルム等の弾性部材からなる第1の部材である弾性膜4
6aと、この弾性膜46aを支持する、例えば、金属材料等からなる第2の部材である支
持板46bとの複合板で形成されており、弾性膜46a側が流路形成基板40に接合され
ている。例えば、本実施形態では、第1の部材である弾性膜46aは、厚さが数μm程度
のPPS(ポリフェニレンサルファイド)フィルムからなり、第2の部材である支持板4
6bは、厚さが数十μm程度のステンレス鋼板(SUS)からなる。
【0031】
また、振動板46の各圧力発生室42に対向する領域内には、圧電素子11の先端部が
当接する島部49が設けられている。すなわち、振動板46の各圧力発生室42の周縁部
に対向する領域に他の領域よりも厚さの薄い薄肉部50が形成され、この薄肉部50の内
側にそれぞれ島部49が設けられている。このような島部49には、上述したアクチュエ
ーターユニット2の圧電素子11の先端部が例えば、接着剤等を介して固定される。
【0032】
また、振動板46のマニホールド44に対向する領域には、薄肉部50と同様に、支持
板46bがエッチングにより除去されて実質的に弾性膜46aのみで構成されるコンプラ
イアンス部54が設けられている。なお、このコンプライアンス部54は、マニホールド
44内に圧力変化が生じた時に、このコンプライアンス部54の弾性膜46aが変形する
ことによって圧力変化を吸収し、マニホールド44内の圧力を常に一定に保持する役割を
果たす。
【0033】
なお、本実施形態では、振動板46を弾性膜46aと支持板46bとで構成し、島部4
9の周辺部及びコンプライアンス部54を弾性膜46aのみで構成したが、特にこれに限
定されず、例えば、振動板として、1枚の板状部材を用いて、板状部材の厚さ方向の一部
を除去した凹形状の薄肉部50、52等を設けることで、島部49及びコンプライアンス
部54を形成するようにしてもよい。
【0034】
ケース4は、流路形成基板40の振動板46上に固定されたものであり、図示しないイ
ンクを貯留するインク収容部に接続されるインク供給管が接続されて、マニホールド44
にインクを供給するインク供給路45が設けられている。
【0035】
また、ケース4には、厚さ方向に貫通する2つの収容部3が設けられており、各収容部
3にアクチュエーターユニット2が位置決めされて固定されている。
【0036】
このようなケース4の収容部3は、図1に示すように、固定板14が固定される側に固
定板14の幅よりも幅広に設けられた固定板保持部3aと、圧電素子形成部材13側に固
定板保持部3aよりも幅狭で且つ圧電素子形成部材13よりも若干幅広に設けられた圧電
素子保持部3bとを有する。なお、ここで言う幅は、圧電素子11(圧力発生室42)の
並設方向のことである。また、図3に示すように、収容部3の固定板保持部3aには、貫
通方向において振動板46側が幅狭となるように段差部3cが設けられており、固定板1
4は、圧電素子11が突出する端面が段差部3cに当接して固定される。
【0037】
また、ケース4には、コンプライアンス部54に対向する領域に開口する凹形状を有す
るコンプライアンス空間55が設けられている。このコンプライアンス空間55によって
コンプライアンス部54は変形可能に保持される。
【0038】
このようなケース4は、樹脂材料によって形成されている。また、ケース4は、成形す
ることで、低コストで製造することができると共に、容易に量産することができる。
【0039】
さらに、ケース4には、補強板60が埋設されている。本実施形態では、補強板60は
、ケース4の2つの収容部3の間に設けられて収容部3を区画する区画壁61内に埋設さ
れている。
【0040】
一方、図1、図3〜図4に示すように、記録ヘッド1には、ノズル開口47が開口する
面側に、ノズル開口47を露出した状態で、吐出面側を覆うカバーヘッド6が設けられて
いる。
【0041】
カバーヘッド6は、ノズル開口47を露出する開口部70と、開口部70を画成する枠
部71とを具備する。
【0042】
枠部71は、本実施形態では、吐出面の周囲に亘って設けられたものであり、枠部71
には、吐出面の外周縁部に亘って屈曲するように延設された側壁部72が設けられている

【0043】
また、側壁部72には、ノズル開口47の並設方向両側に延設された固定部73が設け
られている。この固定部73は、側壁部72から屈曲されて設けられており、ケース4の
側面から突出したフランジ部74に固定ネジ75を介して固定されている。これにより、
カバーヘッド6は、記録ヘッド1に一体化されている。
【0044】
なお、カバーヘッド6としては、例えば、ステンレス鋼等の金属材料を用いることがで
きる。また、カバーヘッド6は、金属板をプレス加工により形成してもよく、また、成形
により形成するようにしてもよい。
【0045】
このような記録ヘッド1では、インク滴を吐出する際に、圧電素子11及び振動板46
の変形によって各圧力発生室42の容積を変化させて所定のノズル開口47からインク滴
を吐出させるようになっている。具体的には、図示しないインクカートリッジからケース
4に設けられたインク導入孔56を介してマニホールド44にインクが供給されると、イ
ンク供給路45を介して各圧力発生室42にインクが分配される。実際には、圧電素子1
1に電圧を印加することにより圧電素子11を収縮させる。これにより、振動板46が圧
電素子11と共に変形されて圧力発生室42の容積が広げられ、圧力発生室42内にイン
クが引き込まれる。そして、ノズル開口47に至るまで内部にインクを満たした後、回路
基板30を介して供給される記録信号に従い、圧電素子11の電極16,17に印加して
いた電圧を解除する。これにより、圧電素子11が伸張されて元の状態に戻ると共に振動
板46も変位して元の状態に戻る。結果として圧力発生室42の容積が収縮して圧力発生
室42内の圧力が高まりノズル開口47からインク滴が吐出される。
【0046】
これら各実施形態のインクジェット式記録ヘッド1は、インクカートリッジ等と連通す
るインク流路を具備するインクジェット式記録ヘッドユニットの一部を構成して、インク
ジェット式記録装置に搭載される。図6は、そのインクジェット式記録装置の一例を示す
概略図である。
【0047】
図6に示すように、インクジェット式記録装置200は、装置本体201と、複数のイ
ンクジェット式記録ヘッドユニット202(液体噴射ヘッドユニット)と、この複数のイ
ンクジェット式記録ヘッドユニット202が相対的に位置決めされた状態で保持されるキ
ャリッジ203と、フレキシブルチューブからなるインク供給管204を介してインクを
供給するインク収容部205とを具備する。そして、インク収容部205には、内部に貯
留されたインクを加熱する図示しない加熱手段が設けられている。
【0048】
キャリッジ203は、装置本体201に取り付けられた一対のキャリッジ軸206上の
軸方向に移動可能に設けられている。また、キャリッジ軸206の一端側には駆動モータ
ー207が設けられており、この駆動モーター207による駆動力が、キャリッジ軸20
6の両端部側に設けられた一対のプーリー208、209の間に掛け渡されたタイミング
ベルト210を介してキャリッジ203に伝達されることで、複数のインクジェット式記
録ヘッドユニット202を搭載したキャリッジ203はキャリッジ軸206に沿って移動
される(主走査方向)。
【0049】
一方、装置本体201にはキャリッジ軸206に沿ってプラテン211が設けられてお
り、図示しない給紙ローラーにより給紙された記録用紙等の被記録媒体Sがプラテン21
1上に搬送される。
【0050】
さらに、インクジェット式記録装置200の非印刷領域には、記録ヘッドユニット20
2の吐出面を覆うキャップ部材212と、キャップ部材212に吸引管213を介して接
続された例えば真空ポンプ等の吸引手段214とが設けられている。
【0051】
このような構成のキャップ部材212は、記録ヘッドユニット202の吐出面に当接さ
せて、吸引手段214に吸引動作を行わせることでキャップ部材212の内部を負圧とし
て、記録ヘッドユニット202のノズル開口から流路内のインクを気泡と共に吸引して吸
引動作(クリーニング動作)を行う。また、本実施形態のキャップ部材212は、詳細は
後述するが、非印刷時に、記録ヘッドユニット202の吐出面を加熱する加熱手段を備え
る。
【0052】
なお、キャップ部材212は、所望のタイミングで、記録ヘッドユニット202の吐出
面の外縁部に当接して、吐出面を覆うため、キャップ部材212は、本実施形態では、鉛
直方向に移動自在に設けられている。そして、キャップ部材212の移動は、例えば、図
示しない駆動モーターや電磁石等の移動手段によって行うことができる。
【0053】
また、上述した例では、複数の記録ヘッド1を有するヘッドユニット202をインクジ
ェット式記録装置200に搭載するようにしたが、ヘッドユニット202には、それぞれ
1つの記録ヘッド1が搭載されていてもよく、また、単数又は複数の記録ヘッド1が直接
インクジェット式記録装置200に搭載されていてもよい。
【0054】
なお、上述した実施形態においては、液体噴射ヘッドの一例としてインクジェット式記
録ヘッドを挙げて説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものであ
り、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドにも勿論適用することができる。その他
の液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる各種の記
録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、
有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極
材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等が挙げられる

【符号の説明】
【0055】
1 インクジェット式記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、 2 アクチュエーターユニッ
ト、 3 収容部、 4 ケース、 5 流路ユニット、 11 圧電素子(アクチュエ
ーター)、 13 圧電素子形成部材、 14 固定板、 16 個別内部電極、 17
共通内部電極、 18 スリット、 19 位置決め部、 30 回路基板、 40
流路形成基板、 42 圧力発生室、 46 振動板、 47 ノズル開口、 48 ノ
ズルプレート、 80,80A 電極、 200 インクジェット式記録装置(液体噴射
装置)、 202 インクジェット式記録ヘッドユニット(液体噴射ヘッドユニット)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射するノズル開口が設けられたノズルプレートと、
前記ノズル開口に連通する圧力発生室が設けられた流路形成基板と、
前記圧力発生室内の液体に圧力変化を生じさせる圧力発生手段と、
を具備し、
前記流路形成基板が、PTC特性を有する発熱材料で構成され、前記流路形成基板に前
記発熱材料に電流を供給する電極が設けられていることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記電極は、前記流路形成基板の対向する縁部に設けられていることを特徴とする液体
噴射ヘッド。
【請求項3】
請求項1に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記電極は、前記流路形成基板の対向する縁部の対向する角部に設けられていることを
特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記流路形成基板に、前記圧力発生室に液体を供給するマニホールドが設けられている
ことを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドにおいて、
前記発熱材料が、PTC特性を有するセラミックス、又はPTC特性を有するシリコン
とステンレス鋼とを含む混合材であることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の液体噴射ヘッドを具備することを特徴とする液体噴
射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−196895(P2012−196895A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−62557(P2011−62557)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】