液体噴射装置
【課題】新しい構成を追加すること無く、長期に亘ってインクの蒸発を防止することが可能な液体噴射装置を提供すること。
【解決手段】複数のノズル開口を備え液体を噴射可能な液体噴射ヘッド23のノズル形成面23aを封止するためのキャップ部材91と、キャップ部材91の内部に負圧を生じさせるためのポンプ32と、キャップ部材91とポンプ32との間を接続するチューブ31と、を具備し、チューブ31には、当該チューブ31のいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部31aが形成可能であり、この下方撓み部31aにおいて液体を蓄えることが可能となっている。
【解決手段】複数のノズル開口を備え液体を噴射可能な液体噴射ヘッド23のノズル形成面23aを封止するためのキャップ部材91と、キャップ部材91の内部に負圧を生じさせるためのポンプ32と、キャップ部材91とポンプ32との間を接続するチューブ31と、を具備し、チューブ31には、当該チューブ31のいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部31aが形成可能であり、この下方撓み部31aにおいて液体を蓄えることが可能となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式のプリンタでは、印刷ヘッドに形成されているノズル開口の目詰まりを防止すべく、ノズル形成面にキャップ部材を当接させて、ノズル開口からのインクの蒸発を防ぐようにしている。しかしながら、それでもインクからの水分蒸発を防ぐのには不十分であるため、特許文献1では、インク停留部をチューブの中途部分に設けるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−291357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すように、インク停留部をチューブの途中に設ける場合には、新しい構成の追加が必要となる。それ故、構成の追加分だけ、コストが上昇すると共に、工数も増大して生産コストも増加する、という問題が生じる。
【0005】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、新しい構成を追加すること無く、長期に亘って液体の蒸発を防止することが可能な液体噴射装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の液体噴射装置の第1の側面は、複数のノズル開口を備え液体を噴射可能な液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップ部材と、キャップ部材の内部に負圧を生じさせるためのポンプと、キャップ部材とポンプとの間を接続するチューブと、を具備し、チューブには、当該チューブのいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部が形成可能であり、この下方撓み部において液体を蓄えることを可能とするものである。
【0007】
このように構成する場合、チューブに存在する下方撓み部に液体を蓄えることが可能である。そのため、新しい構成を追加すること無く、長期に亘って液体の蒸発を防止することが可能となる。また、キャップ部材がノズル形成面を封止している場合、液体が蒸発しても、その蒸発分はノズル形成面に向かう。それにより、液体によるノズル形成面の保湿が可能となり、ノズル開口が目詰まりするのを長期に亘って防止することが可能となる。
【0008】
また、本発明の液体噴射装置の他の側面は、複数のノズル開口を備える液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップ部材と、キャップ部材に接続されるチューブと、を具備し、チューブには、当該チューブのいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部が形成可能であり、この下方撓み部において液体を蓄えることを可能とするものである。
【0009】
このように構成すると、チューブに存在する下方撓み部に液体を蓄えることが可能である。そのため、新しい構成を追加すること無く、長期に亘って液体の蒸発を防止することが可能となる。また、キャップ部材がノズル形成面を封止している場合、液体が蒸発しても、その蒸発分はノズル形成面に向かう。それにより、液体によるノズル形成面の保湿が可能となり、ノズル開口が目詰まりするのを長期に亘って防止することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、キャップ部材とポンプとは、相対的に移動可能であると共に、この相対的な移動により、チューブには下方撓み部が形成される場合と下方撓み部が形成されない場合のいずれの状態も実現可能としていることが好ましい。
【0011】
このように構成すると、キャップ部材とポンプとの間の相対的な移動により、チューブに下方撓み部が形成される場合と、下方撓み部が形成されない場合の切り替えが可能となる。そのため、チューブの内部を液体が良好に流れる状態も実現可能となる。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、下方撓み部が他の部分よりも下方に撓む撓み量は、チューブの内径以上となっていることが好ましい。このような撓み状態となっていれば、下方撓み部には、液体が溜まる状態となる。そして、液体が溜まると、チューブの内部を気体が導通するのを防ぐ状態とすることが可能となり、キャップ部材で封止されているノズル形成面が、直接外気にさらされるのを防ぐことができる。
【0013】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、チューブには、キャップ部材からポンプに向かって進行すると、下方に下がった後に上方に上がる部位を有していて、その下方に下がった後に上方に上がる部位によって下方撓み部が構成されていることが好ましい。
【0014】
このように構成すると、チューブには、下方撓み部を確実に形成することが可能となり、その下方撓み部にて、液体を淀ませる(溜めておく)ことが可能となる。それにより、液体によるノズル形成面の保湿が可能となり、ノズル開口が目詰まりするのを長期に亘って防止することが可能となる。
【0015】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、キャップ部材がノズル形成面に密着してノズル開口から液体の吸引を行った後には、キャップ部材をノズル形成面から離間させた際に、ポンプで空吸引動作を実行しないことが好ましい。
【0016】
このように構成すると、ポンプによる空吸引で、下方撓み部で淀んでいる(溜められている)液体が無くなるのを防止可能となる。それにより、液体によるノズル形成面の保湿を一層確実に行わせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係る、液体噴射装置としてのプリンタ10について、図1から図14に基づいて説明する。
【0018】
<プリンタ10の概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る液体噴射装置としてのインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタと言う。)10の全体的な概略の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明において、図1中矢印Fで示す向きを下流側(前側)、その反対方向を上流側(後側)とし、下流側から上流側を見て、左手側を左方(左側)、右手側を右方(右側)として説明を行う。
【0019】
図1に示すように、プリンタ10は、シャーシ20を有しており、このシャーシ20により、キャリッジ21がキャリッジ軸22を介して摺動自在に支持されている。キャリッジ21のうち、後述する非記録領域S2側の一端には、係合部21aが該キャリッジ21の端面よりも突出して設けられている(図7〜図12参照)。係合部21aは、後述する突出部材74に衝突する部分である。
【0020】
このキャリッジ21には、液体噴射ヘッドとしての印刷ヘッド23が取り付けられている。また、シャーシ20には、キャリッジ軸22に平行な状態で左右に掛け渡されるタイミングベルト24が備えられている。
【0021】
タイミングベルト24は、アイドルプーリ25と駆動プーリ26とに掛け渡され、駆動プーリ26がキャリッジモータ27により往復回転させられることで左右に往復回転する。キャリッジ21は、タイミングベルト24の一部に結合され、タイミングベルト24の左右方向への往復回転と共に左右方向に往復移動可能となっている。タイミングベルト24の下方には、紙送りモータ28により回転させられ、記録紙Pを搬送するための搬送ローラ29が配設されている。また、印刷ヘッド23の下方には、搬送ローラ29の回転により上流側から下流側に向かって搬送される記録紙Pの下側を支持するプラテン(図示省略)が配設されている。
【0022】
印刷ヘッド23の記録紙Pと対向する面であるノズル形成面23aには、インク(液体に対応)の噴射が行われるノズル開口(図示省略)が形成されている。そして、印刷ヘッド23はキャリッジ21と共に左右方向に往復移動しながら、プラテンにより上流側から下流側に向かって搬送される記録紙Pに対してインクを噴射し、図示外のパソコン等から送られる画像データ等に基づく所望の画像を記録紙Pに対して記録する。なお、印刷ヘッド23が記録紙Pに記録を行う際の印刷ヘッド23の左右方向への往復移動は、記録紙Pの左右幅よりも広く設けられている記録領域S1の範囲内で行われる。
【0023】
一方、記録処理を実行している間にノズル形成面23aがインク等で汚れたとき、あるいは、一定量の記録を行う毎に、印刷ヘッド23は、記録領域S1の右側に設定される非記録領域S2に移動させられる。非記録領域S2には、後述するようなキャッピングユニットが設けられている。なお、非記録領域S2は、プリンタ10が記録処理を行わないときの印刷ヘッド23の待機位置ともなっている。
【0024】
<吸引機構に関して>
続いて、プリンタ10が具備する吸引機構30について、図2および図3に基づいて説明する。吸引機構30は、可撓性チューブ31と、チューブポンプ32と、廃液タンク(図示省略)等を具備している。これらのうち、可撓性チューブ31は、請求項でいうチューブに対応し、柔軟に曲がる可撓性を備えており、その一端側が、後述する接続管95の小径部95aに接続されている。なお、可撓性チューブ31は、後述する図13に示す状態から図14に示す状態に遷移した場合に、下方に向かって撓むような長さに設定されている。また、可撓性チューブ31は、ブチルゴムやエラストマーといった、水分透過率の低い材質(可撓性チューブ31の内部のインクが蒸発し難い材質)によって形成されている。なお、水分透過率が低い材質であれば、可撓性チューブ31の材質は、ブチルゴムやエラストマーには限られず、その他の材質を用いるようにしても良い。
【0025】
また、チューブポンプ32は、請求項でいうポンプに対応する。このチューブポンプ32は、図2に示すように、ポンプフレーム33と、ポンプホイル34と、ローラ35とを有している。ポンプフレーム33は、有底の略筒状となる外観を呈しており、当該ポンプフレーム33の内壁33aに沿って、上述の可撓性チューブ31が略一回りするように配置されている。また、ポンプフレーム33の内部であって、可撓性チューブ31よりも内周側には、ポンプホイル34が配置されている。このポンプホイル34には、ローラ支持溝36が形成されている。ローラ支持溝36は、一端側から他端側に向かうにつれて、周方向に沿って移動しつつ内径側から外径側に向かって移動するように形成されている。なお、かかるローラ支持溝36は、略180度離間する状態で、一対設けられている。
【0026】
このローラ支持溝36には、ローラ35の支持軸35aが挿通されている。このため、ローラ35は、ローラ支持溝36に沿って移動するように設けられている。また、ポンプホイル34は、例えば紙送りモータ28の駆動によって回転させられる。ところで、ポンプホイル34が図2において時計回り(矢示Aの向き)に回転させられると、ローラ35は、ローラ支持溝36に沿ってポンプホイル34の外周側に移動する。それによって、可撓性チューブ31は、ローラ35と内壁33aとの間に挟まれて押し潰され、その連通状態が遮断される。この状態で、ポンプホイル34が更に回転すると、ローラ35は、可撓性チューブ31を順次押し潰しながら回転する。この回転は、可撓性チューブ31内部の空気等を下流側に押し出す向きの回転であるため、可撓性チューブ31の上流側では、負圧が生じる。そのため、後述する通孔94(図6参照)を介して、凹部93に負圧を及ぼすことが可能となる。
【0027】
また、図3に示すように、ポンプホイル34が反時計周り(矢示Bの向き)に回転した場合には、ローラ35は可撓性チューブ31との摩擦力等によって、ローラ支持溝36のうち軸芯側の端部36aに押される。それにより、ローラ35はポンプホイル34の内径側に移動し、可撓性チューブ31に少しだけ接するリリース状態を保つこととなる。このリリース状態を保つことによって、可撓性チューブ31のポンプフレーム33に対しての貼り付き等の不具合が発生するのを防止することが可能となる。
【0028】
なお、後述するように、可撓性チューブ31には、図14に示すように、その全長に沿って進行すると、いずれかの部位に下方に撓む部分(下方撓み部31a)が形成可能となっている。この下方撓み部31aは、ノズル形成面23aをキャップ部材91で封止する際に、形成されるようになっている。そのため、インクは、下方撓み部31aの存在によって、当該下方撓み部31aに溜まる。それにより、ノズル形成面23aのうち、キャップ部材91で封止されている部分の保湿が可能となっている。
【0029】
<キャップユニットの構成について>
次に、プリンタ10が具備するキャップユニット40の構成について、図4から図12に基づいて説明する。印刷ヘッド23の非記録領域S2(ホームポジション)付近(図1参照)には、キャップユニット40が配置されている。なお、シャーシ20の内部の一端側には、上述したようなチューブポンプ32が配置されていて、キャップユニット40は、該チューブポンプ32の上部を覆うように取付固定される。そして、可撓性チューブ31の一端側は、キャップユニット40にある、後述するキャップヘッド90の接続管95に接続されている。
【0030】
このキャップユニット40は、フレームキャップ41を有している。フレームキャップ41は、該キャップユニット40の基部材となるものであり、取付部42の孔部42aを介して、ネジによりシャーシ20に取付固定される。
【0031】
このフレームキャップ41は、図4および図7から図12に示すように、その両側壁41a,41bの外観がスロープを為すように形成されていて、該スロープの頂部が設けられている側が、シャーシ20の一端側(非記録領域S2側)に位置するように配置されている。各両側壁41a,41bには、一対の案内溝(第1の案内溝43、第2の案内溝44)が形成されている。それぞれの案内溝43,44は、印刷ヘッド23の移動方向(フレームキャップ41の長手方向)に向かって形成されている。
【0032】
第1の案内溝43は、両側壁41a,41bの頂部側(シャーシ20の一端側)に位置するものである。この第1の案内溝43には、水平な下段部43a、傾斜部43b、および水平な上段部43cが連続して形成されている。また、第2の案内溝44には、水平な下段部44a、第1傾斜部44b、水平な中段部44c、第2傾斜部44d、および水平な上段部44eが連続して形成されている。なお、両側壁41a,41bは、それぞれの案内溝43,44の形状に倣うように形成されている。このため、両側壁41a,41bのスロープの上部側に、上段部43c,44eがそれぞれ位置している。
【0033】
また、フレームキャップ41は、一方の側壁41aのうち、下方の図4における右側には該フレームキャップ41の内部に向かって突出する一方、外側が凹む内方突出部41cが形成されている。それによって、フレームキャップ41の一方の側壁41aの内壁側には、ガイドスロープ45が形成されている。ガイドスロープ45は、後側(図4の左側)が低くなると共に、前側(図4の右側)が高くなるようにスロープ部46が設けられている。
【0034】
また、ガイドスロープ45には、このスロープ部46を登りきった後に、所定長さの平らな頂部47が設けられていて、さらにこの頂部47を通過した部位に、爪係合凹部48が設けられている。この爪係合凹部48は、後述するレバーロックスライダ80の係止爪85が入り込める窪み部分であり、この爪係合凹部48の窪み部分において後端側で鉛直に切り立っている後端壁48aに係止爪85が係止される構成である。
【0035】
フレームキャップ41には、スライダキャップ50がスライド自在に設けられている。スライダキャップ50には、一方の側面51aの前側に第1の支持ピン52、側面51aの後側に第2の支持ピン53が、それぞれ外方に向かうように突出形成されている。同様に、他方の側面51bからも、第1の支持ピン54、第2の支持ピン55が、それぞれ外方に向かうように突出形成されている。このうち、第1の支持ピン52,54は、第1の案内溝43に挿入される部材である。他方の側面51bから突出形成されている第1の支持ピン54は、その突出端部が第1の引張りバネ62を受け止めるバネ受け部56となっている。また、第2の支持ピン53,55は、第2の案内溝44に挿入される部材である。
【0036】
これら第1の支持ピン52,54、および第2の支持ピン53,55が、各案内溝43,44に沿ってスライドすることにより、スライダキャップ50はフレームキャップ41に対してスライド自在となる。これと共に、スライダキャップ50は、印刷ヘッド23の移動方向および印刷ヘッド23のノズル形成面23aと接離する上下方向へ移動可能に支持されている。
【0037】
フレームキャップ41には、第1のバネ受け部60および第2のバネ受け部61が設けられている。第1のバネ受け部60は、図5に示すように、他方の側壁41bの後端側から外方に向かって突出するように設けられている。この第1のバネ受け部60には、第1の引張りバネ62の一端側が掛け渡される。また、第2のバネ受け部61は、図5に示すように、中心線よりも一方の側壁41a側に位置していて、フレームキャップ41の底面を切り欠いて形成された孔部63を囲む縁部から孔部63内に突出するように形成されている。この第2のバネ受け部61には、第2の引張りバネ64の一端側が掛け渡される。
【0038】
なお、本実施の形態では、一方の側面51aから突出する第2の支持ピン53が、他方の側面51bから突出する第2の支持ピン55よりも長くなるように形成されている。それによって、フレームキャップ41の一方の側壁41aと、スライダキャップ50の側面51aの間に、後述するレバーロックスライダ80が配置可能なスペースが形成される。また、他方の側面51bから突出する第1の支持ピン54は、バネ受け部56の機能を良好に奏させるため、案内溝43を貫通して、さらに外方に向かって大きく突出している。
【0039】
これらスライダキャップ50とフレームキャップ41の間に設けられる第1の引張りバネ62によって、スライダキャップ50が印刷ヘッド23の印刷領域(後側)および下方側に向かって付勢されている。このスライダキャップ50は、一端側(前方側)が高く、他端側(後方側)が低くなる二段形状を為している(図4参照)。このうち、他端側の低い段は、後述するキャップヘッド90の上下方向への移動を許容すべく、低く形成させたものである。この低い段の底部57には、バネ受け部58が形成されている。バネ受け部58は、後述するバネ部材110の一端側を受け止める部分であり、該バネ部材110が外れないようにするために、該バネ部材110の下端を挟み込む、内周壁59aと外周壁59bが約180度に亘って対向するように設けられている(図5参照)。
【0040】
なお、以後の説明では、フレームキャップ41、スライダキャップ50およびキャップヘッド90の一端側を前端側、他端側を後端側、一端側と他端側を結ぶ方向を前後方向として、説明する。
【0041】
また、このスライダキャップ50には、複数の位置決め部が形成されている。このうち、第1の位置決め部65は、低い段と高い段の境界の起立壁66から、後端側に突出するように設けられている。この第1の位置決め部65は、下方が開口するように逆さに設けられた袋状部67に、該スライダキャップ50の中心線に沿うように切り込み溝68が形成されたものである。この切り込み溝68の形成により、第1の位置決め部65は、一対の突出部材69が対向して設けられる構成となっている。また、第1の位置決め部65に設けられる袋状部67の内部は、ガイド凹部70となっていて、後述する回動支持部材101がここに存する配置となる。
【0042】
なお、上述の袋状部67の切り込みと共に、低い段の底部57にも、スライダキャップ50の中心線に沿って切り込み溝71が形成されている。それによって、後述するキャップヘッド90をスライダキャップ50に取り付けることが可能となり、またキャップヘッド90の接続管95をスライダキャップ50の裏面側に突出させることが可能となる。
【0043】
また、第2の位置決め部72は、低い段を囲む一対の側面51a,51bの上端部分が該当する。この第2の位置決め部72には、後述するフランジ部102のボス103が衝突し、該ボス103がこの側面51a,51bの上端部分で受け止められる(図5参照)。
【0044】
また、第3の位置決め部73は、スライダキャップ50の後端側に設けられている部分である。この第3の位置決め部73は、上述の側面51a,51bの上端から、上側に向かって突出すると共に、所定の高さ位置から後側に向かって突出する棒状部分を有している。そして、この棒状の第3の位置決め部73が、後述する位置決め凹部105に差し込まれる。
【0045】
また、図4および図7〜図11に示すように、このスライダキャップ50には、その一端側に上方に向かう突出部材74が形成されている。この突出部材74は、キャリッジ21が非記録領域S2へ移動する際に衝突する部分であり、かかるキャリッジ21の衝突によってスライダキャップ50はフレームキャップ41の一端側に移動し、該スライダキャップ50が持ち上がった状態となる。
【0046】
スライダキャップ50の一方の側面51aと、フレームキャップ41の一方の側壁41aの間のスペースには、レバーロックスライダ80が配置される。このレバーロックスライダ80は、図4および図7から図12に示すように、その外観が略L字状に形成されている。このレバーロックスライダ80は、前後方向が長手方向となるように配置されるスライド片81と、上下方向が長手方向となるように配置される衝突片82とから構成されている。
【0047】
このうち、スライド片81は、前側が図4で上下方向の幅が狭い幅狭部83、後側が図4で上下方向の幅が広い幅広部84となっている。また、スライド片81の前端側には、下方に向かって鉤状の係止爪85が突出形成されている。係止爪85は、該スライド片81の長手方向と直角を為す係止壁85aを有していて、この係止壁85aによって係止爪85が後端壁48aに係止されることとなる。また、スライド片81のうち、係止爪85が設けられている部位からフレームキャップ41の内側に向かって、バネ受け部86が突出するように設けられている(図4参照)。バネ受け部86には、第2の引張りバネ64の他端側が掛け止めされる。この第2の引張りバネ64によって、レバーロックスライダ80には、後側および下方に向かう付勢力が与えられる。
【0048】
また、スライド片81の幅広部84には、レバー側案内溝87が形成されている。このレバー側案内溝87には、上述のフレームキャップ41の第2の案内溝44の第1傾斜部44b、第2傾斜部44d等と同程度の傾斜角度を有する傾斜部87aと、水平な上段部87bとが設けられている。このレバー側案内溝87には、第2の支持ピン53が挿入される。それによって、該第2の支持ピン53の移動により、第1の引張りバネ62および第2の引張りバネ64の付勢力に抗しつつ、レバーロックスライダ80が押される。
【0049】
また、衝突片82は、スライド片81の後側から上方に向かって突出している部分である。この衝突片82は、印刷ヘッド23に設けられた係合部21a(図7から図12参照)に衝突する部分であり、かかる衝突によって、衝突片82は、レバーロックスライダ80を図7において反時計回りに回動させる。それによって、スライド片81の係止爪85も反時計回りに回動し、後端壁48aへの係止状態が解かれる。また、この解除と共に、係止爪85がガイドスロープ45を滑りながら、第2の引張りバネ64の付勢力でレバーロックスライダ80が後端側に引っ張られる。
【0050】
なお、係合部21aは、図7から図12に示すように、キャリッジ21の先端側の側方の下部側で、かつ一方の側壁41a側に向かって突出して設けられている。そして、このキャリッジ21の係合部21aは、キャリッジ21が印刷位置側に戻るときに、衝突片82に衝突することを可能としている。
【0051】
また、スライダキャップ50には、キャップヘッド90が支持されている。このキャップヘッド90は、バネ部材110による付勢力を受けながら、スライダキャップ50に対して上下動可能に支持されている。このキャップヘッド90は、キャップ部材91を有している。キャップ部材91は、キャリッジ21が非記録領域S2側に位置している場合に、印刷ヘッド23のノズル形成面23aを封止する部分である。かかる封止を良好に行うために、キャップ部材91は、囲い形状に形成された弾性部材、例えばゴム材からなる封止壁92を有している。なお、本実施の形態では、封止壁92の囲い形状は、その平面形状が矩形を為すように形成されている。
【0052】
また、キャップ部材91のうち、封止壁92で囲まれた内部には、凹部93が設けられている。この凹部93は、下方に向かうにつれて周方向長さが短くなる漏斗状に形成されていて、本実施の形態では漏斗部が平面形状が矩形を為す四角錐に形成されている。さらに、この凹部93の底部には通孔94が形成されていて、この通孔94に接続管95の一端が接続されている。接続管95は、例えば直線状に形成されていて、凹部93から離間する他端側に小径となる小径部95aを有している(図6参照)。そして、この小径部95aに、可撓性チューブ31の一端側が接続されている。
【0053】
キャップヘッド90のうち、封止壁92の前後方向における両隣の一方には、インク受け凹部96が、他方にはガイド部材97がそれぞれ形成されていて、さらにインク受け凹部96の後ろ隣(図6において左隣)には、弾性部材、例えばゴム部材からなるワイピング部材98が設けられている。このうち、ワイピング部材98は、印刷ヘッド23のノズル形成面23aに付着しているインク廃液を掻き取るためのものである。
【0054】
なお、封止壁92と、ワイピング部材98とは、2色成形によって樹脂成型品であるキャップヘッド90の本体と一体的に設けられている。
【0055】
また、インク受け凹部96は、ワイピング部材98によって掻き取られたインク廃液を受け止める部分である。このインク受け凹部96には、その底部に一対の廃液排出孔99が形成されている。廃液排出孔99は、インク受け凹部96に存在するインク廃液を排出するための孔である。また、この廃液排出孔99を挟んで、インク受け凹部96の反対側(裏面側)には、不図示の廃液吸収材が配置される。それによって、廃液排出孔99を介してインク廃液が滴下し、周辺をインク廃液で汚染するのを防止することが可能となる。
【0056】
また、図5および図6に示すように、ガイド部材97は、薄板のリブ状部材が突出形成されたものである。ガイド部材97は、薄板の板状部材が鉛直方向に立てられた配置となっている。このガイド部材97の突出端部側には、係止部100が形成されていて、この係止部100がスライダキャップ50の切り込み溝68の内部に位置する構成である。この係止部100には、その下端側に左右方向(前後方向および上下方向と直交する方向)に向かって突出する回動支持部材101が突出形成されている。この回動支持部材101が、ガイド凹部70に差し込まれることにより、キャップユニット40が後端側にずれるのを防止している。
【0057】
キャップヘッド90の封止壁92の左右方向の両隣には、フランジ部102が突出形成されている。フランジ部102は、その下面側がスライダキャップ50の第2の位置決め部72と衝突する部分である。そして、かかる衝突により、フランジ部102はキャップヘッド90の下側へのスライドの位置規制を行う。なお、かかる衝突が良好となるように、フランジ部102の下面側には、円柱状または半球状のボス103が突出形成されていて、このボス103が第2の位置決め部72と衝突することで、位置規制が為される構成となっている。
【0058】
キャップヘッド90の後側の側面には、下方に向かって突出リブ104が突出形成されている。この突出リブ104は、バネ部材110を囲むためのリブである。
【0059】
また、この突出リブ104よりもキャップヘッド90の後端側には、位置決め凹部105が設けられている。位置決め凹部105は、棒状の第3の位置決め部73が差し込まれる部分であり、底壁105aを有すると共に上方およびキャップヘッド90の前方側が開放されている。この位置決め凹部105に第3の位置決め部73が差し込まれると、位置決め凹部105の底壁105aが、バネ部材110の付勢力に抗しながら該第3の位置決め部73と当接する状態となる。すなわち、この第3の位置決め部73が位置決め凹部105の底壁105aに当接することによって、キャップヘッド90が上方に移動するのを規制している。
【0060】
また、位置決め凹部105の底壁105aの下側面には、上述の突出リブ104が形成されていて、フレームキャップ41の後端壁41dに衝突する部分である。この突出リブ104と後端壁41dの上端とが衝突することにより、初期位置におけるキャップヘッド90の沈み込みの下限が規制される。
【0061】
また、キャップヘッド90の後端からは、後端リブ106が突出している。後端リブ106は、第2の支持ピン53が中段部44cに位置しているときに、後端壁41dの上端に衝突する部分である。この衝突により、第2の支持ピン53が中段部44cに存するときの、キャップヘッド90の沈み込みの下限が規制される。
【0062】
上述したように、スライダキャップ50とキャップヘッド90の間に設けられている、付勢手段としてのバネ部材110は、接続管95に挿通されると共に、その下端側はスライダキャップ50のバネ受け部58で受け止められる。それによって、バネ部材110は、その軸線上に封止壁92が位置する構成となっている。また、かかるバネ部材110は、特有の初期付勢力を及ぼすと共に、特有のばね定数を有する構成である。このバネ部材110は、封止壁92が印刷ヘッド23のノズル形成面23aを良好に封止するように、その付勢力が調整されている。
【0063】
また、バネ部材110は、ワイピング部材98がノズル形成面23aに良好に摺接可能となるように、その付勢力が調整されている。ここで、ワイピング部材98は、封止壁92およびバネ部材110が存する軸線からは一定の距離だけ離間して設けられている。そのため、ワイピング部材98に作用する付勢力は、てこの原理から、封止壁92に作用する付勢力よりも弱いものとなっている。しかしながら、バネ部材110は、かかるワイピング部材98に対しても、ノズル形成面23aを良好に摺接するための付勢力を及ぼすものとなっている。
【0064】
このように、バネ部材110の付勢力は、封止壁92でのノズル形成面23aの封止のみならず、ワイピング部材98にも作用するものであるため、従来の封止壁92での封止のために用いられる付勢力よりも、バネ定数を大きく、その付勢力を大きなものにすると共に、バネ部材110の径を大きくし、ワイピング部材98に対しても十分な付勢力が働くようにしている。
【0065】
なお、かかる付勢力を及ぼしているバネ部材110について、より具体的な数値の一例を以下に示す。バネ部材110においては、押し始めの付勢力は、その下限が180gf、上限が240gの範囲内であれば良い。さらに、この範囲内において、好適な実施例としては、押し始めの付勢力が、219±20gfとなるように設定するのが好ましい。また、バネ部材110のバネ定数としては、その下限が21.73gf/mm、上限が23.25gf/mmの範囲内であれば良い。さらに、この範囲内において、好適な実施例としては、バネ定数が、22.23gf/mmとなるように設定するのが好ましい。
【0066】
ここで、第3の位置決め部73が位置決め凹部105の底壁105aに接触している状態の高さ位置から、第2の位置決め部72とボス103とが衝突している状態までの高さ位置までのキャップヘッド90のストローク長さは、本実施の形態では、約3〜4mm程度となっている。
【0067】
また、第3の位置決め部73が位置決め凹部105の底壁105aに接触している状態では、バネ部材110の高さ(長さ)は、約6〜7mmとなっている。さらに、負荷が掛かっていない状態でのバネ部材110の高さの全長は、約14〜17mmとなっている。さらに、ワイピング部材98が、バネ部材110および封止壁92が存する軸線(中心軸)上から離間している距離は、約12〜16mmとなっている。
【0068】
また、バネ部材110は、第1の引張りバネ62および第2の引張りバネ64よりも、その直径が大きいものとなっている。本実施の形態では、その直径は、約8〜10mmとなっていて、封止壁92とワイピング部材98の間に設けられている間隔よりも、大きなものとなっている。
【0069】
<その他の構成要素>
その他、プリンタ10は、制御部(図示省略)を有している。制御部は、CPU、ROM、RAM、PROM、ASIC、モータドライバ等を具備していて、これらが例えばバス等の伝送路を介して接続されている。また、制御部には、各種のセンサからの信号が入力される。かかる各種センサからの信号の入力に基づいて、キャリッジモータ27、紙送りモータ28、印刷ヘッド23等の駆動が制御される。また、制御部の指令に基づいて、キャリッジモータ27を移動させることにより、図14に示すような下方撓み部31aも形成可能となっている。
【0070】
<本実施の形態の作用について>
続いて、上述のような構成を有する、プリンタ10における作用について、以下に説明する。
【0071】
プリンタ10を長時間に亘って使用しない状態となる場合には、制御部からの指令に基づいて、キャリッジモータ27が駆動させられる。このキャリッジモータ27の駆動により、係合部21aは、突出部材74に係合する。それによって支持ピン52〜55が、それぞれ第1の案内溝43、第2の案内溝44に沿って案内され、フレームキャップ41に対してスライダキャップ50が上昇しながら図8において右側にスライドする。この場合、各支持ピン52〜55は、下段部43a,44aから上段部43c,44eに向かって移動するため、スライダキャップ50は、フレームキャップ41によって持ち上げられていく状態となる。
【0072】
このように、スライダキャップ50が持ち上げられることで、封止壁92がノズル形成面23aに当接し、該ノズル形成面23aを封止する。さらに、印刷ヘッド23が図9に示す非記録領域S2での状態から図10に示す吸引ポジションまで移動する。この場合、第2の引張りバネ64の引張り力により、レバーロックスライダ80は、第2の支持ピン53を中心に、図10において時計回りに回動される。それによって、係止爪85が爪係合凹部48に落とし込まれる。
【0073】
かかる落とし込みにより、係止爪85の係止壁85aと、爪係合凹部48の後端壁48aとが係合される。その係合により、スライダキャップ50は、吸引ポジションで安定的に保持されることとなる。そして、この状態で、チューブポンプ32が吸引作動する。それによって、ノズル形成面23aと封止壁92とで囲まれた空間には負圧が与えられ、印刷ヘッド23からインクが吸引排出される。
【0074】
ところで、スライダキャップ50がフレームキャップ41に対して上昇しながら図8において右側に移動する場合、それに伴ってキャップヘッド90および可撓性チューブ31の上方側も図8において右側に移動する。すると、可撓性チューブ31は、図13に示すような状態から、図14に示すような状態へと遷移する。このようなキャップ部材91(キャップヘッド90)および可撓性チューブ31の移動により、可撓性チューブ31には、図14に示すような下方撓み部31aが形成される。
【0075】
なお、下方撓み部31aは、可撓性チューブ31の他の部分よりも下方に撓んでいる部分である。すなわち、図14におけるA点(下方撓み部31aの内壁下側の最下点)に対して、それよりも下流側には、可撓性チューブ31の内壁下側に、当該A点よりも高くなる点(例えば、図14におけるB点)が必ず存在する状態となっている。
【0076】
このような撓み状態となっていれば、下方撓み部31aには、インクが溜まる状態となる。なお、図14のA点とB点の間の高低差は、可撓性チューブ31の内径以上となっていると、より好ましい。A点とB点の間の高低差が内径以上となっていれば、インクの充填によって可撓性チューブ31の内部を気体が導通するのを防ぐ状態を実現可能となり、キャップ部材91で封止されているノズル形成面23aが、直接外気にさらされるのを防ぐことができる。
【0077】
以上のような下方撓み部31aが形成される状態で、チューブポンプ32を作動させる。すると、可撓性チューブ31の内部には、インクが充填される。そして、この状態でチューブポンプ32の作動を停止させ、所定時間が経過すると、図14に示すような状態となる。すなわち、下方撓み部31aにインクが蓄えられ、この下方撓み部31aよりも下流側のチューブポンプ32(または廃液タンク;図13等参照)等にインクが流れ込まない状態が発生する。
【0078】
すると、この下方撓み部31aでは、インクの保持が可能となる。このとき、キャップ部材91によってノズル形成面23aが封止されているので、下方撓み部31aに溜まっている(下方撓み部31aで淀んでいる)インクが蒸発しても、蒸発した水分は、ノズル形成面23aに向かう。それにより、ノズル形成面23aの保湿が可能となる。
【0079】
なお、上述の説明では、チューブポンプ32での吸引後、キャップ部材91がノズル形成面23aから離間しない場合について説明しているが、上述の下方撓み部31aでインクを保持可能であれば、キャップ部材91が一度離間した後に、再度ノズル形成面23aに当接する場合であっても良い。また、キャップ部材91がノズル形成面23aから一度離間する場合、チューブポンプ32が作動して可撓性チューブ31の内部のインクを吸引してしまう、いわゆる空吸引動作は実行されない。なぜならば、空吸引動作が実行されると、下方撓み部31aでのインクの保持ができなくなるからである。
【0080】
<効果>
以上のような構成のプリンタ10によれば、可撓性チューブ31には、キャップ部材91の主走査方向に沿う移動に伴い、下方撓み部31aが形成可能となっている。そして、この下方撓み部31aに、インクを蓄えることが可能となっている。そのため、新しい構成を追加すること無く、長期に亘ってインクの蒸発を防止可能となる。また、キャップ部材91がノズル形成面23aを封止している場合、インクが蒸発しても、その蒸発分はノズル形成面23aに向かう。それにより、インクによるノズル形成面23aの保湿が可能となり、ノズル開口が目詰まりするのを長期に亘って防止することが可能となる。
【0081】
なお、下方撓み部31aが形成されて、インクが溜まる(淀む)場合、例えば半年から一年以上といった長期間に亘って保湿が可能となる。すなわち、下方撓み部31aに、比較的多量のインクが蓄えられ、それを利用してキャップ部材91で封止されているノズル形成面23aの保湿を行う場合、ノズル開口の目詰まりを、例えば半年から一年以上、その保湿によって防止可能となる。
【0082】
また、インクから蒸発した水分によって、ノズル形成面23aの保湿が可能となり、ノズル開口の目詰まりを防止することにより、インクの増粘および/または固化を有効に防止可能となる。そして、かかるノズル開口の目詰まり防止により、プリンタ10の製品寿命を延ばすことも可能となる。
【0083】
さらに、本実施の形態では、キャップ部材91とチューブポンプ32との間の相対的な移動により、可撓性チューブ31に下方撓み部31aが形成される場合(図14に示す状態)と、下方撓み部31aが形成されない場合(図13に示す状態)の切り替えが可能となる。このような切り替えができるので、可撓性チューブ31の内部をインクが良好に流れる状態も実現可能となる。
【0084】
また、本実施の形態では、可撓性チューブ31には、キャップ部材91からチューブポンプ32に向かって(下流に向かって)進行すると、下方に下がった後に上方に上がる部位を有していて、その下方に下がった後に上方に上がる部位によって下方撓み部31aが構成されている。このため、可撓性チューブ31には、下方撓み部31aを確実に形成することが可能となり、その下方撓み部31aにて、インクを淀ませる(溜めておく)ことが可能となる。
【0085】
また、本実施の形態では、キャップ部材91がノズル形成面23aに密着してノズル開口から液体の吸引を行った後には、キャップ部材91をノズル形成面23aから離間させた際に、チューブポンプ32で空吸引動作を実行しない。そのため、下方撓み部31aにて淀んでいる(溜められている)インクが無くなるのを防止可能となる。それにより、インクによるノズル形成面23aの保湿を一層確実に行わせることが可能となる。
【0086】
<変形例>
以上、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態について述べたが、本発明は、これら以外にも、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0087】
上述の実施の形態においては、チューブポンプ32の作動により、可撓性チューブ31の内部にインクを供給し、下方撓み部31aにインクを蓄える(淀ませる)ことを可能としている。しかしながら、チューブポンプ32の作動に代えて、印刷ヘッド23の駆動によるフラッシング動作によっても、下方撓み部31aにインクを蓄える(淀ませる)ことは勿論可能である。
【0088】
上述の実施の形態においては、図4他に示すようなキャップユニット40により、キャップ部材91を主走査方向に沿って移動させ、それにより可撓性チューブ31を撓ませて下方撓み部31aを形成している。しかしながら、可撓性チューブ31を撓ませて下方撓み部31aを形成する構成は、かかるキャップユニット40には限られない。例えば、モータの駆動により、キャップ部材91を上方および/または主走査方向に移動させる構成を採用しても良い。このようなモータ駆動による構成を採用しても、上述のキャップユニット40を用いる場合と同等の効果を発揮させることが可能となる。なお、キャップ部材91を上下方向に移動させる機構のみでも、可撓性チューブ31に下方撓み部31aを形成することも勿論可能である。
【0089】
また、上述の実施の形態では、キャップ部材91側を移動させる構成を採用している。しかしながら、チューブポンプ32を移動させて、下方撓み部31aを形成する構成を採用しても良い。チューブポンプ32を移動させる例としては、当該チューブポンプ32を主走査方向に移動させるようにする構成がある。また、チューブポンプ32自体を回転させて、可撓性チューブ31が伸長している状態と、可撓性チューブ31が撓んでいる状態とを実現するようにしても良い。
【0090】
このようなチューブポンプ32の移動によっても、上述のキャップユニット40を用いる場合と同等の効果を発揮させることが可能となる。
【0091】
また、主走査方向への移動によって、下方撓み部31aを形成するのみならず、その他の方向(副走査方向等)へキャップ部材91および/またはチューブポンプ32を移動させる等によって、下方撓み部31aを形成するようにしても良い。
【0092】
さらに、キャップ部材91とチューブポンプ32の間の相対移動以外に、別途、可撓性チューブ31を撓ませる機構(例えば、横方向への撓みを下方への撓みへと変える機構)が存在していて、この可撓性チューブ31を撓ませる機構によって、下方撓み部31aを形成するようにしても良い。
【0093】
また、下方撓み部31aの撓み形状は、可撓性チューブ31のうち他の部分よりも撓んでいる部分があれば、その形状は特に限定されず、種々変形可能である。例えば、下方撓み部がU字形状の外観を呈する場合や、J字形状の外観を呈する場合を始めとして、2個以上の下方撓み部が存在する形態等、種々の撓みパターンを採ることが可能である。
【0094】
また、上述の実施の形態では、キャップ部材91は、ノズル形成面23aに対して1つのみ存在する構成について説明している。しかしながら、キャップ部材91は、2つ以上存在していても良い。例えば、黒色のノズル列を封止するためのキャップ部材と、それ以外の色のノズル列を封止するためのキャップ部材とが別々に設けられていても良い。
【0095】
また、上述の各実施の形態では、主走査方向に操作する、印刷ヘッド23を用いる場合について説明している。しかしながら、本発明は、主走査方向に走査しない、長尺状のラインヘッドに適用しても良い。なお、ラインヘッドに本発明を適用する場合には、当該長尺状のヘッドに対応させて、キャップ部材も長尺状となる。
【0096】
また、上述の各実施の形態における液体噴射装置としてのプリンタ10は、プリンタ単独の機能を有する構成のみならず、スキャナ装置やコピー装置のような、複合的な機器の一部であっても良い。さらに、上述の実施の形態においては、インクジェット方式のプリンタ10に関して説明している。しかしながら、プリンタ10としては、液体を噴射可能なものであれば、インクジェット方式のプリンタには限られない。例えば、ジェルジェット方式のプリンタ、トナー方式のプリンタ、ドットインパクト方式のプリンタ等、種々のプリンタに対して、本発明を適用することが可能である。
【0097】
また、上述の実施の形態では、液体噴射装置を、インクジェット式のプリンタ10に具体化しているが、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。
【0098】
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】チューブポンプのポンプ駆動状態を示した平面図である。
【図3】チューブポンプのリリース駆動状態を示した平面図である。
【図4】キャップユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】キャップユニットを上方から見た状態を示す平面図である。
【図6】キャップユニットのキャップヘッドの形状を示す部分側断面図である。
【図7】キャップユニットの非キャッピング状態を示す側面図である。
【図8】キャップユニットにおけるフラッシング状態を示す側面図である。
【図9】封止壁によるノズル形成面のキャッピング状態を示す側面図である。
【図10】係止爪が爪係合凹部に係合している状態を示す側面図である。
【図11】第2の支持ピンが第2の案内溝中段部にある状態を示す側面図である。
【図12】ノズル形成面のワイピングを開始した状態を示す側面図である。
【図13】下方撓み部が形成される前のイメージを示す図である。
【図14】下方撓み部が形成されたときのイメージを示す図である。
【符号の説明】
【0100】
10…プリンタ、20…シャーシ、21…キャリッジ、23…印刷ヘッド(液体噴射ヘッドに対応)、23a…ノズル形成面、30…吸引機構、31…可撓性チューブ(チューブに対応)、31a…下方撓み部、32…チューブポンプ(ポンプに対応)、40…キャップユニット、41…フレームキャップ、50…スライダキャップ、80…レバーロックスライダ、90…キャップヘッド、91…キャップ部材、92…封止壁、95…接続管、98…ワイピング部材、
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式のプリンタでは、印刷ヘッドに形成されているノズル開口の目詰まりを防止すべく、ノズル形成面にキャップ部材を当接させて、ノズル開口からのインクの蒸発を防ぐようにしている。しかしながら、それでもインクからの水分蒸発を防ぐのには不十分であるため、特許文献1では、インク停留部をチューブの中途部分に設けるようにしている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−291357号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に示すように、インク停留部をチューブの途中に設ける場合には、新しい構成の追加が必要となる。それ故、構成の追加分だけ、コストが上昇すると共に、工数も増大して生産コストも増加する、という問題が生じる。
【0005】
本発明は上記の事情にもとづきなされたもので、その目的とするところは、新しい構成を追加すること無く、長期に亘って液体の蒸発を防止することが可能な液体噴射装置を提供しよう、とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の液体噴射装置の第1の側面は、複数のノズル開口を備え液体を噴射可能な液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップ部材と、キャップ部材の内部に負圧を生じさせるためのポンプと、キャップ部材とポンプとの間を接続するチューブと、を具備し、チューブには、当該チューブのいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部が形成可能であり、この下方撓み部において液体を蓄えることを可能とするものである。
【0007】
このように構成する場合、チューブに存在する下方撓み部に液体を蓄えることが可能である。そのため、新しい構成を追加すること無く、長期に亘って液体の蒸発を防止することが可能となる。また、キャップ部材がノズル形成面を封止している場合、液体が蒸発しても、その蒸発分はノズル形成面に向かう。それにより、液体によるノズル形成面の保湿が可能となり、ノズル開口が目詰まりするのを長期に亘って防止することが可能となる。
【0008】
また、本発明の液体噴射装置の他の側面は、複数のノズル開口を備える液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップ部材と、キャップ部材に接続されるチューブと、を具備し、チューブには、当該チューブのいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部が形成可能であり、この下方撓み部において液体を蓄えることを可能とするものである。
【0009】
このように構成すると、チューブに存在する下方撓み部に液体を蓄えることが可能である。そのため、新しい構成を追加すること無く、長期に亘って液体の蒸発を防止することが可能となる。また、キャップ部材がノズル形成面を封止している場合、液体が蒸発しても、その蒸発分はノズル形成面に向かう。それにより、液体によるノズル形成面の保湿が可能となり、ノズル開口が目詰まりするのを長期に亘って防止することが可能となる。
【0010】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、キャップ部材とポンプとは、相対的に移動可能であると共に、この相対的な移動により、チューブには下方撓み部が形成される場合と下方撓み部が形成されない場合のいずれの状態も実現可能としていることが好ましい。
【0011】
このように構成すると、キャップ部材とポンプとの間の相対的な移動により、チューブに下方撓み部が形成される場合と、下方撓み部が形成されない場合の切り替えが可能となる。そのため、チューブの内部を液体が良好に流れる状態も実現可能となる。
【0012】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、下方撓み部が他の部分よりも下方に撓む撓み量は、チューブの内径以上となっていることが好ましい。このような撓み状態となっていれば、下方撓み部には、液体が溜まる状態となる。そして、液体が溜まると、チューブの内部を気体が導通するのを防ぐ状態とすることが可能となり、キャップ部材で封止されているノズル形成面が、直接外気にさらされるのを防ぐことができる。
【0013】
さらに、本発明の他の側面は、上述の発明において、チューブには、キャップ部材からポンプに向かって進行すると、下方に下がった後に上方に上がる部位を有していて、その下方に下がった後に上方に上がる部位によって下方撓み部が構成されていることが好ましい。
【0014】
このように構成すると、チューブには、下方撓み部を確実に形成することが可能となり、その下方撓み部にて、液体を淀ませる(溜めておく)ことが可能となる。それにより、液体によるノズル形成面の保湿が可能となり、ノズル開口が目詰まりするのを長期に亘って防止することが可能となる。
【0015】
また、本発明の他の側面は、上述の発明において、キャップ部材がノズル形成面に密着してノズル開口から液体の吸引を行った後には、キャップ部材をノズル形成面から離間させた際に、ポンプで空吸引動作を実行しないことが好ましい。
【0016】
このように構成すると、ポンプによる空吸引で、下方撓み部で淀んでいる(溜められている)液体が無くなるのを防止可能となる。それにより、液体によるノズル形成面の保湿を一層確実に行わせることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係る、液体噴射装置としてのプリンタ10について、図1から図14に基づいて説明する。
【0018】
<プリンタ10の概略構成>
図1は、本発明の実施の形態に係る液体噴射装置としてのインクジェットプリンタ(以下、単にプリンタと言う。)10の全体的な概略の構成を示す斜視図である。なお、以下の説明において、図1中矢印Fで示す向きを下流側(前側)、その反対方向を上流側(後側)とし、下流側から上流側を見て、左手側を左方(左側)、右手側を右方(右側)として説明を行う。
【0019】
図1に示すように、プリンタ10は、シャーシ20を有しており、このシャーシ20により、キャリッジ21がキャリッジ軸22を介して摺動自在に支持されている。キャリッジ21のうち、後述する非記録領域S2側の一端には、係合部21aが該キャリッジ21の端面よりも突出して設けられている(図7〜図12参照)。係合部21aは、後述する突出部材74に衝突する部分である。
【0020】
このキャリッジ21には、液体噴射ヘッドとしての印刷ヘッド23が取り付けられている。また、シャーシ20には、キャリッジ軸22に平行な状態で左右に掛け渡されるタイミングベルト24が備えられている。
【0021】
タイミングベルト24は、アイドルプーリ25と駆動プーリ26とに掛け渡され、駆動プーリ26がキャリッジモータ27により往復回転させられることで左右に往復回転する。キャリッジ21は、タイミングベルト24の一部に結合され、タイミングベルト24の左右方向への往復回転と共に左右方向に往復移動可能となっている。タイミングベルト24の下方には、紙送りモータ28により回転させられ、記録紙Pを搬送するための搬送ローラ29が配設されている。また、印刷ヘッド23の下方には、搬送ローラ29の回転により上流側から下流側に向かって搬送される記録紙Pの下側を支持するプラテン(図示省略)が配設されている。
【0022】
印刷ヘッド23の記録紙Pと対向する面であるノズル形成面23aには、インク(液体に対応)の噴射が行われるノズル開口(図示省略)が形成されている。そして、印刷ヘッド23はキャリッジ21と共に左右方向に往復移動しながら、プラテンにより上流側から下流側に向かって搬送される記録紙Pに対してインクを噴射し、図示外のパソコン等から送られる画像データ等に基づく所望の画像を記録紙Pに対して記録する。なお、印刷ヘッド23が記録紙Pに記録を行う際の印刷ヘッド23の左右方向への往復移動は、記録紙Pの左右幅よりも広く設けられている記録領域S1の範囲内で行われる。
【0023】
一方、記録処理を実行している間にノズル形成面23aがインク等で汚れたとき、あるいは、一定量の記録を行う毎に、印刷ヘッド23は、記録領域S1の右側に設定される非記録領域S2に移動させられる。非記録領域S2には、後述するようなキャッピングユニットが設けられている。なお、非記録領域S2は、プリンタ10が記録処理を行わないときの印刷ヘッド23の待機位置ともなっている。
【0024】
<吸引機構に関して>
続いて、プリンタ10が具備する吸引機構30について、図2および図3に基づいて説明する。吸引機構30は、可撓性チューブ31と、チューブポンプ32と、廃液タンク(図示省略)等を具備している。これらのうち、可撓性チューブ31は、請求項でいうチューブに対応し、柔軟に曲がる可撓性を備えており、その一端側が、後述する接続管95の小径部95aに接続されている。なお、可撓性チューブ31は、後述する図13に示す状態から図14に示す状態に遷移した場合に、下方に向かって撓むような長さに設定されている。また、可撓性チューブ31は、ブチルゴムやエラストマーといった、水分透過率の低い材質(可撓性チューブ31の内部のインクが蒸発し難い材質)によって形成されている。なお、水分透過率が低い材質であれば、可撓性チューブ31の材質は、ブチルゴムやエラストマーには限られず、その他の材質を用いるようにしても良い。
【0025】
また、チューブポンプ32は、請求項でいうポンプに対応する。このチューブポンプ32は、図2に示すように、ポンプフレーム33と、ポンプホイル34と、ローラ35とを有している。ポンプフレーム33は、有底の略筒状となる外観を呈しており、当該ポンプフレーム33の内壁33aに沿って、上述の可撓性チューブ31が略一回りするように配置されている。また、ポンプフレーム33の内部であって、可撓性チューブ31よりも内周側には、ポンプホイル34が配置されている。このポンプホイル34には、ローラ支持溝36が形成されている。ローラ支持溝36は、一端側から他端側に向かうにつれて、周方向に沿って移動しつつ内径側から外径側に向かって移動するように形成されている。なお、かかるローラ支持溝36は、略180度離間する状態で、一対設けられている。
【0026】
このローラ支持溝36には、ローラ35の支持軸35aが挿通されている。このため、ローラ35は、ローラ支持溝36に沿って移動するように設けられている。また、ポンプホイル34は、例えば紙送りモータ28の駆動によって回転させられる。ところで、ポンプホイル34が図2において時計回り(矢示Aの向き)に回転させられると、ローラ35は、ローラ支持溝36に沿ってポンプホイル34の外周側に移動する。それによって、可撓性チューブ31は、ローラ35と内壁33aとの間に挟まれて押し潰され、その連通状態が遮断される。この状態で、ポンプホイル34が更に回転すると、ローラ35は、可撓性チューブ31を順次押し潰しながら回転する。この回転は、可撓性チューブ31内部の空気等を下流側に押し出す向きの回転であるため、可撓性チューブ31の上流側では、負圧が生じる。そのため、後述する通孔94(図6参照)を介して、凹部93に負圧を及ぼすことが可能となる。
【0027】
また、図3に示すように、ポンプホイル34が反時計周り(矢示Bの向き)に回転した場合には、ローラ35は可撓性チューブ31との摩擦力等によって、ローラ支持溝36のうち軸芯側の端部36aに押される。それにより、ローラ35はポンプホイル34の内径側に移動し、可撓性チューブ31に少しだけ接するリリース状態を保つこととなる。このリリース状態を保つことによって、可撓性チューブ31のポンプフレーム33に対しての貼り付き等の不具合が発生するのを防止することが可能となる。
【0028】
なお、後述するように、可撓性チューブ31には、図14に示すように、その全長に沿って進行すると、いずれかの部位に下方に撓む部分(下方撓み部31a)が形成可能となっている。この下方撓み部31aは、ノズル形成面23aをキャップ部材91で封止する際に、形成されるようになっている。そのため、インクは、下方撓み部31aの存在によって、当該下方撓み部31aに溜まる。それにより、ノズル形成面23aのうち、キャップ部材91で封止されている部分の保湿が可能となっている。
【0029】
<キャップユニットの構成について>
次に、プリンタ10が具備するキャップユニット40の構成について、図4から図12に基づいて説明する。印刷ヘッド23の非記録領域S2(ホームポジション)付近(図1参照)には、キャップユニット40が配置されている。なお、シャーシ20の内部の一端側には、上述したようなチューブポンプ32が配置されていて、キャップユニット40は、該チューブポンプ32の上部を覆うように取付固定される。そして、可撓性チューブ31の一端側は、キャップユニット40にある、後述するキャップヘッド90の接続管95に接続されている。
【0030】
このキャップユニット40は、フレームキャップ41を有している。フレームキャップ41は、該キャップユニット40の基部材となるものであり、取付部42の孔部42aを介して、ネジによりシャーシ20に取付固定される。
【0031】
このフレームキャップ41は、図4および図7から図12に示すように、その両側壁41a,41bの外観がスロープを為すように形成されていて、該スロープの頂部が設けられている側が、シャーシ20の一端側(非記録領域S2側)に位置するように配置されている。各両側壁41a,41bには、一対の案内溝(第1の案内溝43、第2の案内溝44)が形成されている。それぞれの案内溝43,44は、印刷ヘッド23の移動方向(フレームキャップ41の長手方向)に向かって形成されている。
【0032】
第1の案内溝43は、両側壁41a,41bの頂部側(シャーシ20の一端側)に位置するものである。この第1の案内溝43には、水平な下段部43a、傾斜部43b、および水平な上段部43cが連続して形成されている。また、第2の案内溝44には、水平な下段部44a、第1傾斜部44b、水平な中段部44c、第2傾斜部44d、および水平な上段部44eが連続して形成されている。なお、両側壁41a,41bは、それぞれの案内溝43,44の形状に倣うように形成されている。このため、両側壁41a,41bのスロープの上部側に、上段部43c,44eがそれぞれ位置している。
【0033】
また、フレームキャップ41は、一方の側壁41aのうち、下方の図4における右側には該フレームキャップ41の内部に向かって突出する一方、外側が凹む内方突出部41cが形成されている。それによって、フレームキャップ41の一方の側壁41aの内壁側には、ガイドスロープ45が形成されている。ガイドスロープ45は、後側(図4の左側)が低くなると共に、前側(図4の右側)が高くなるようにスロープ部46が設けられている。
【0034】
また、ガイドスロープ45には、このスロープ部46を登りきった後に、所定長さの平らな頂部47が設けられていて、さらにこの頂部47を通過した部位に、爪係合凹部48が設けられている。この爪係合凹部48は、後述するレバーロックスライダ80の係止爪85が入り込める窪み部分であり、この爪係合凹部48の窪み部分において後端側で鉛直に切り立っている後端壁48aに係止爪85が係止される構成である。
【0035】
フレームキャップ41には、スライダキャップ50がスライド自在に設けられている。スライダキャップ50には、一方の側面51aの前側に第1の支持ピン52、側面51aの後側に第2の支持ピン53が、それぞれ外方に向かうように突出形成されている。同様に、他方の側面51bからも、第1の支持ピン54、第2の支持ピン55が、それぞれ外方に向かうように突出形成されている。このうち、第1の支持ピン52,54は、第1の案内溝43に挿入される部材である。他方の側面51bから突出形成されている第1の支持ピン54は、その突出端部が第1の引張りバネ62を受け止めるバネ受け部56となっている。また、第2の支持ピン53,55は、第2の案内溝44に挿入される部材である。
【0036】
これら第1の支持ピン52,54、および第2の支持ピン53,55が、各案内溝43,44に沿ってスライドすることにより、スライダキャップ50はフレームキャップ41に対してスライド自在となる。これと共に、スライダキャップ50は、印刷ヘッド23の移動方向および印刷ヘッド23のノズル形成面23aと接離する上下方向へ移動可能に支持されている。
【0037】
フレームキャップ41には、第1のバネ受け部60および第2のバネ受け部61が設けられている。第1のバネ受け部60は、図5に示すように、他方の側壁41bの後端側から外方に向かって突出するように設けられている。この第1のバネ受け部60には、第1の引張りバネ62の一端側が掛け渡される。また、第2のバネ受け部61は、図5に示すように、中心線よりも一方の側壁41a側に位置していて、フレームキャップ41の底面を切り欠いて形成された孔部63を囲む縁部から孔部63内に突出するように形成されている。この第2のバネ受け部61には、第2の引張りバネ64の一端側が掛け渡される。
【0038】
なお、本実施の形態では、一方の側面51aから突出する第2の支持ピン53が、他方の側面51bから突出する第2の支持ピン55よりも長くなるように形成されている。それによって、フレームキャップ41の一方の側壁41aと、スライダキャップ50の側面51aの間に、後述するレバーロックスライダ80が配置可能なスペースが形成される。また、他方の側面51bから突出する第1の支持ピン54は、バネ受け部56の機能を良好に奏させるため、案内溝43を貫通して、さらに外方に向かって大きく突出している。
【0039】
これらスライダキャップ50とフレームキャップ41の間に設けられる第1の引張りバネ62によって、スライダキャップ50が印刷ヘッド23の印刷領域(後側)および下方側に向かって付勢されている。このスライダキャップ50は、一端側(前方側)が高く、他端側(後方側)が低くなる二段形状を為している(図4参照)。このうち、他端側の低い段は、後述するキャップヘッド90の上下方向への移動を許容すべく、低く形成させたものである。この低い段の底部57には、バネ受け部58が形成されている。バネ受け部58は、後述するバネ部材110の一端側を受け止める部分であり、該バネ部材110が外れないようにするために、該バネ部材110の下端を挟み込む、内周壁59aと外周壁59bが約180度に亘って対向するように設けられている(図5参照)。
【0040】
なお、以後の説明では、フレームキャップ41、スライダキャップ50およびキャップヘッド90の一端側を前端側、他端側を後端側、一端側と他端側を結ぶ方向を前後方向として、説明する。
【0041】
また、このスライダキャップ50には、複数の位置決め部が形成されている。このうち、第1の位置決め部65は、低い段と高い段の境界の起立壁66から、後端側に突出するように設けられている。この第1の位置決め部65は、下方が開口するように逆さに設けられた袋状部67に、該スライダキャップ50の中心線に沿うように切り込み溝68が形成されたものである。この切り込み溝68の形成により、第1の位置決め部65は、一対の突出部材69が対向して設けられる構成となっている。また、第1の位置決め部65に設けられる袋状部67の内部は、ガイド凹部70となっていて、後述する回動支持部材101がここに存する配置となる。
【0042】
なお、上述の袋状部67の切り込みと共に、低い段の底部57にも、スライダキャップ50の中心線に沿って切り込み溝71が形成されている。それによって、後述するキャップヘッド90をスライダキャップ50に取り付けることが可能となり、またキャップヘッド90の接続管95をスライダキャップ50の裏面側に突出させることが可能となる。
【0043】
また、第2の位置決め部72は、低い段を囲む一対の側面51a,51bの上端部分が該当する。この第2の位置決め部72には、後述するフランジ部102のボス103が衝突し、該ボス103がこの側面51a,51bの上端部分で受け止められる(図5参照)。
【0044】
また、第3の位置決め部73は、スライダキャップ50の後端側に設けられている部分である。この第3の位置決め部73は、上述の側面51a,51bの上端から、上側に向かって突出すると共に、所定の高さ位置から後側に向かって突出する棒状部分を有している。そして、この棒状の第3の位置決め部73が、後述する位置決め凹部105に差し込まれる。
【0045】
また、図4および図7〜図11に示すように、このスライダキャップ50には、その一端側に上方に向かう突出部材74が形成されている。この突出部材74は、キャリッジ21が非記録領域S2へ移動する際に衝突する部分であり、かかるキャリッジ21の衝突によってスライダキャップ50はフレームキャップ41の一端側に移動し、該スライダキャップ50が持ち上がった状態となる。
【0046】
スライダキャップ50の一方の側面51aと、フレームキャップ41の一方の側壁41aの間のスペースには、レバーロックスライダ80が配置される。このレバーロックスライダ80は、図4および図7から図12に示すように、その外観が略L字状に形成されている。このレバーロックスライダ80は、前後方向が長手方向となるように配置されるスライド片81と、上下方向が長手方向となるように配置される衝突片82とから構成されている。
【0047】
このうち、スライド片81は、前側が図4で上下方向の幅が狭い幅狭部83、後側が図4で上下方向の幅が広い幅広部84となっている。また、スライド片81の前端側には、下方に向かって鉤状の係止爪85が突出形成されている。係止爪85は、該スライド片81の長手方向と直角を為す係止壁85aを有していて、この係止壁85aによって係止爪85が後端壁48aに係止されることとなる。また、スライド片81のうち、係止爪85が設けられている部位からフレームキャップ41の内側に向かって、バネ受け部86が突出するように設けられている(図4参照)。バネ受け部86には、第2の引張りバネ64の他端側が掛け止めされる。この第2の引張りバネ64によって、レバーロックスライダ80には、後側および下方に向かう付勢力が与えられる。
【0048】
また、スライド片81の幅広部84には、レバー側案内溝87が形成されている。このレバー側案内溝87には、上述のフレームキャップ41の第2の案内溝44の第1傾斜部44b、第2傾斜部44d等と同程度の傾斜角度を有する傾斜部87aと、水平な上段部87bとが設けられている。このレバー側案内溝87には、第2の支持ピン53が挿入される。それによって、該第2の支持ピン53の移動により、第1の引張りバネ62および第2の引張りバネ64の付勢力に抗しつつ、レバーロックスライダ80が押される。
【0049】
また、衝突片82は、スライド片81の後側から上方に向かって突出している部分である。この衝突片82は、印刷ヘッド23に設けられた係合部21a(図7から図12参照)に衝突する部分であり、かかる衝突によって、衝突片82は、レバーロックスライダ80を図7において反時計回りに回動させる。それによって、スライド片81の係止爪85も反時計回りに回動し、後端壁48aへの係止状態が解かれる。また、この解除と共に、係止爪85がガイドスロープ45を滑りながら、第2の引張りバネ64の付勢力でレバーロックスライダ80が後端側に引っ張られる。
【0050】
なお、係合部21aは、図7から図12に示すように、キャリッジ21の先端側の側方の下部側で、かつ一方の側壁41a側に向かって突出して設けられている。そして、このキャリッジ21の係合部21aは、キャリッジ21が印刷位置側に戻るときに、衝突片82に衝突することを可能としている。
【0051】
また、スライダキャップ50には、キャップヘッド90が支持されている。このキャップヘッド90は、バネ部材110による付勢力を受けながら、スライダキャップ50に対して上下動可能に支持されている。このキャップヘッド90は、キャップ部材91を有している。キャップ部材91は、キャリッジ21が非記録領域S2側に位置している場合に、印刷ヘッド23のノズル形成面23aを封止する部分である。かかる封止を良好に行うために、キャップ部材91は、囲い形状に形成された弾性部材、例えばゴム材からなる封止壁92を有している。なお、本実施の形態では、封止壁92の囲い形状は、その平面形状が矩形を為すように形成されている。
【0052】
また、キャップ部材91のうち、封止壁92で囲まれた内部には、凹部93が設けられている。この凹部93は、下方に向かうにつれて周方向長さが短くなる漏斗状に形成されていて、本実施の形態では漏斗部が平面形状が矩形を為す四角錐に形成されている。さらに、この凹部93の底部には通孔94が形成されていて、この通孔94に接続管95の一端が接続されている。接続管95は、例えば直線状に形成されていて、凹部93から離間する他端側に小径となる小径部95aを有している(図6参照)。そして、この小径部95aに、可撓性チューブ31の一端側が接続されている。
【0053】
キャップヘッド90のうち、封止壁92の前後方向における両隣の一方には、インク受け凹部96が、他方にはガイド部材97がそれぞれ形成されていて、さらにインク受け凹部96の後ろ隣(図6において左隣)には、弾性部材、例えばゴム部材からなるワイピング部材98が設けられている。このうち、ワイピング部材98は、印刷ヘッド23のノズル形成面23aに付着しているインク廃液を掻き取るためのものである。
【0054】
なお、封止壁92と、ワイピング部材98とは、2色成形によって樹脂成型品であるキャップヘッド90の本体と一体的に設けられている。
【0055】
また、インク受け凹部96は、ワイピング部材98によって掻き取られたインク廃液を受け止める部分である。このインク受け凹部96には、その底部に一対の廃液排出孔99が形成されている。廃液排出孔99は、インク受け凹部96に存在するインク廃液を排出するための孔である。また、この廃液排出孔99を挟んで、インク受け凹部96の反対側(裏面側)には、不図示の廃液吸収材が配置される。それによって、廃液排出孔99を介してインク廃液が滴下し、周辺をインク廃液で汚染するのを防止することが可能となる。
【0056】
また、図5および図6に示すように、ガイド部材97は、薄板のリブ状部材が突出形成されたものである。ガイド部材97は、薄板の板状部材が鉛直方向に立てられた配置となっている。このガイド部材97の突出端部側には、係止部100が形成されていて、この係止部100がスライダキャップ50の切り込み溝68の内部に位置する構成である。この係止部100には、その下端側に左右方向(前後方向および上下方向と直交する方向)に向かって突出する回動支持部材101が突出形成されている。この回動支持部材101が、ガイド凹部70に差し込まれることにより、キャップユニット40が後端側にずれるのを防止している。
【0057】
キャップヘッド90の封止壁92の左右方向の両隣には、フランジ部102が突出形成されている。フランジ部102は、その下面側がスライダキャップ50の第2の位置決め部72と衝突する部分である。そして、かかる衝突により、フランジ部102はキャップヘッド90の下側へのスライドの位置規制を行う。なお、かかる衝突が良好となるように、フランジ部102の下面側には、円柱状または半球状のボス103が突出形成されていて、このボス103が第2の位置決め部72と衝突することで、位置規制が為される構成となっている。
【0058】
キャップヘッド90の後側の側面には、下方に向かって突出リブ104が突出形成されている。この突出リブ104は、バネ部材110を囲むためのリブである。
【0059】
また、この突出リブ104よりもキャップヘッド90の後端側には、位置決め凹部105が設けられている。位置決め凹部105は、棒状の第3の位置決め部73が差し込まれる部分であり、底壁105aを有すると共に上方およびキャップヘッド90の前方側が開放されている。この位置決め凹部105に第3の位置決め部73が差し込まれると、位置決め凹部105の底壁105aが、バネ部材110の付勢力に抗しながら該第3の位置決め部73と当接する状態となる。すなわち、この第3の位置決め部73が位置決め凹部105の底壁105aに当接することによって、キャップヘッド90が上方に移動するのを規制している。
【0060】
また、位置決め凹部105の底壁105aの下側面には、上述の突出リブ104が形成されていて、フレームキャップ41の後端壁41dに衝突する部分である。この突出リブ104と後端壁41dの上端とが衝突することにより、初期位置におけるキャップヘッド90の沈み込みの下限が規制される。
【0061】
また、キャップヘッド90の後端からは、後端リブ106が突出している。後端リブ106は、第2の支持ピン53が中段部44cに位置しているときに、後端壁41dの上端に衝突する部分である。この衝突により、第2の支持ピン53が中段部44cに存するときの、キャップヘッド90の沈み込みの下限が規制される。
【0062】
上述したように、スライダキャップ50とキャップヘッド90の間に設けられている、付勢手段としてのバネ部材110は、接続管95に挿通されると共に、その下端側はスライダキャップ50のバネ受け部58で受け止められる。それによって、バネ部材110は、その軸線上に封止壁92が位置する構成となっている。また、かかるバネ部材110は、特有の初期付勢力を及ぼすと共に、特有のばね定数を有する構成である。このバネ部材110は、封止壁92が印刷ヘッド23のノズル形成面23aを良好に封止するように、その付勢力が調整されている。
【0063】
また、バネ部材110は、ワイピング部材98がノズル形成面23aに良好に摺接可能となるように、その付勢力が調整されている。ここで、ワイピング部材98は、封止壁92およびバネ部材110が存する軸線からは一定の距離だけ離間して設けられている。そのため、ワイピング部材98に作用する付勢力は、てこの原理から、封止壁92に作用する付勢力よりも弱いものとなっている。しかしながら、バネ部材110は、かかるワイピング部材98に対しても、ノズル形成面23aを良好に摺接するための付勢力を及ぼすものとなっている。
【0064】
このように、バネ部材110の付勢力は、封止壁92でのノズル形成面23aの封止のみならず、ワイピング部材98にも作用するものであるため、従来の封止壁92での封止のために用いられる付勢力よりも、バネ定数を大きく、その付勢力を大きなものにすると共に、バネ部材110の径を大きくし、ワイピング部材98に対しても十分な付勢力が働くようにしている。
【0065】
なお、かかる付勢力を及ぼしているバネ部材110について、より具体的な数値の一例を以下に示す。バネ部材110においては、押し始めの付勢力は、その下限が180gf、上限が240gの範囲内であれば良い。さらに、この範囲内において、好適な実施例としては、押し始めの付勢力が、219±20gfとなるように設定するのが好ましい。また、バネ部材110のバネ定数としては、その下限が21.73gf/mm、上限が23.25gf/mmの範囲内であれば良い。さらに、この範囲内において、好適な実施例としては、バネ定数が、22.23gf/mmとなるように設定するのが好ましい。
【0066】
ここで、第3の位置決め部73が位置決め凹部105の底壁105aに接触している状態の高さ位置から、第2の位置決め部72とボス103とが衝突している状態までの高さ位置までのキャップヘッド90のストローク長さは、本実施の形態では、約3〜4mm程度となっている。
【0067】
また、第3の位置決め部73が位置決め凹部105の底壁105aに接触している状態では、バネ部材110の高さ(長さ)は、約6〜7mmとなっている。さらに、負荷が掛かっていない状態でのバネ部材110の高さの全長は、約14〜17mmとなっている。さらに、ワイピング部材98が、バネ部材110および封止壁92が存する軸線(中心軸)上から離間している距離は、約12〜16mmとなっている。
【0068】
また、バネ部材110は、第1の引張りバネ62および第2の引張りバネ64よりも、その直径が大きいものとなっている。本実施の形態では、その直径は、約8〜10mmとなっていて、封止壁92とワイピング部材98の間に設けられている間隔よりも、大きなものとなっている。
【0069】
<その他の構成要素>
その他、プリンタ10は、制御部(図示省略)を有している。制御部は、CPU、ROM、RAM、PROM、ASIC、モータドライバ等を具備していて、これらが例えばバス等の伝送路を介して接続されている。また、制御部には、各種のセンサからの信号が入力される。かかる各種センサからの信号の入力に基づいて、キャリッジモータ27、紙送りモータ28、印刷ヘッド23等の駆動が制御される。また、制御部の指令に基づいて、キャリッジモータ27を移動させることにより、図14に示すような下方撓み部31aも形成可能となっている。
【0070】
<本実施の形態の作用について>
続いて、上述のような構成を有する、プリンタ10における作用について、以下に説明する。
【0071】
プリンタ10を長時間に亘って使用しない状態となる場合には、制御部からの指令に基づいて、キャリッジモータ27が駆動させられる。このキャリッジモータ27の駆動により、係合部21aは、突出部材74に係合する。それによって支持ピン52〜55が、それぞれ第1の案内溝43、第2の案内溝44に沿って案内され、フレームキャップ41に対してスライダキャップ50が上昇しながら図8において右側にスライドする。この場合、各支持ピン52〜55は、下段部43a,44aから上段部43c,44eに向かって移動するため、スライダキャップ50は、フレームキャップ41によって持ち上げられていく状態となる。
【0072】
このように、スライダキャップ50が持ち上げられることで、封止壁92がノズル形成面23aに当接し、該ノズル形成面23aを封止する。さらに、印刷ヘッド23が図9に示す非記録領域S2での状態から図10に示す吸引ポジションまで移動する。この場合、第2の引張りバネ64の引張り力により、レバーロックスライダ80は、第2の支持ピン53を中心に、図10において時計回りに回動される。それによって、係止爪85が爪係合凹部48に落とし込まれる。
【0073】
かかる落とし込みにより、係止爪85の係止壁85aと、爪係合凹部48の後端壁48aとが係合される。その係合により、スライダキャップ50は、吸引ポジションで安定的に保持されることとなる。そして、この状態で、チューブポンプ32が吸引作動する。それによって、ノズル形成面23aと封止壁92とで囲まれた空間には負圧が与えられ、印刷ヘッド23からインクが吸引排出される。
【0074】
ところで、スライダキャップ50がフレームキャップ41に対して上昇しながら図8において右側に移動する場合、それに伴ってキャップヘッド90および可撓性チューブ31の上方側も図8において右側に移動する。すると、可撓性チューブ31は、図13に示すような状態から、図14に示すような状態へと遷移する。このようなキャップ部材91(キャップヘッド90)および可撓性チューブ31の移動により、可撓性チューブ31には、図14に示すような下方撓み部31aが形成される。
【0075】
なお、下方撓み部31aは、可撓性チューブ31の他の部分よりも下方に撓んでいる部分である。すなわち、図14におけるA点(下方撓み部31aの内壁下側の最下点)に対して、それよりも下流側には、可撓性チューブ31の内壁下側に、当該A点よりも高くなる点(例えば、図14におけるB点)が必ず存在する状態となっている。
【0076】
このような撓み状態となっていれば、下方撓み部31aには、インクが溜まる状態となる。なお、図14のA点とB点の間の高低差は、可撓性チューブ31の内径以上となっていると、より好ましい。A点とB点の間の高低差が内径以上となっていれば、インクの充填によって可撓性チューブ31の内部を気体が導通するのを防ぐ状態を実現可能となり、キャップ部材91で封止されているノズル形成面23aが、直接外気にさらされるのを防ぐことができる。
【0077】
以上のような下方撓み部31aが形成される状態で、チューブポンプ32を作動させる。すると、可撓性チューブ31の内部には、インクが充填される。そして、この状態でチューブポンプ32の作動を停止させ、所定時間が経過すると、図14に示すような状態となる。すなわち、下方撓み部31aにインクが蓄えられ、この下方撓み部31aよりも下流側のチューブポンプ32(または廃液タンク;図13等参照)等にインクが流れ込まない状態が発生する。
【0078】
すると、この下方撓み部31aでは、インクの保持が可能となる。このとき、キャップ部材91によってノズル形成面23aが封止されているので、下方撓み部31aに溜まっている(下方撓み部31aで淀んでいる)インクが蒸発しても、蒸発した水分は、ノズル形成面23aに向かう。それにより、ノズル形成面23aの保湿が可能となる。
【0079】
なお、上述の説明では、チューブポンプ32での吸引後、キャップ部材91がノズル形成面23aから離間しない場合について説明しているが、上述の下方撓み部31aでインクを保持可能であれば、キャップ部材91が一度離間した後に、再度ノズル形成面23aに当接する場合であっても良い。また、キャップ部材91がノズル形成面23aから一度離間する場合、チューブポンプ32が作動して可撓性チューブ31の内部のインクを吸引してしまう、いわゆる空吸引動作は実行されない。なぜならば、空吸引動作が実行されると、下方撓み部31aでのインクの保持ができなくなるからである。
【0080】
<効果>
以上のような構成のプリンタ10によれば、可撓性チューブ31には、キャップ部材91の主走査方向に沿う移動に伴い、下方撓み部31aが形成可能となっている。そして、この下方撓み部31aに、インクを蓄えることが可能となっている。そのため、新しい構成を追加すること無く、長期に亘ってインクの蒸発を防止可能となる。また、キャップ部材91がノズル形成面23aを封止している場合、インクが蒸発しても、その蒸発分はノズル形成面23aに向かう。それにより、インクによるノズル形成面23aの保湿が可能となり、ノズル開口が目詰まりするのを長期に亘って防止することが可能となる。
【0081】
なお、下方撓み部31aが形成されて、インクが溜まる(淀む)場合、例えば半年から一年以上といった長期間に亘って保湿が可能となる。すなわち、下方撓み部31aに、比較的多量のインクが蓄えられ、それを利用してキャップ部材91で封止されているノズル形成面23aの保湿を行う場合、ノズル開口の目詰まりを、例えば半年から一年以上、その保湿によって防止可能となる。
【0082】
また、インクから蒸発した水分によって、ノズル形成面23aの保湿が可能となり、ノズル開口の目詰まりを防止することにより、インクの増粘および/または固化を有効に防止可能となる。そして、かかるノズル開口の目詰まり防止により、プリンタ10の製品寿命を延ばすことも可能となる。
【0083】
さらに、本実施の形態では、キャップ部材91とチューブポンプ32との間の相対的な移動により、可撓性チューブ31に下方撓み部31aが形成される場合(図14に示す状態)と、下方撓み部31aが形成されない場合(図13に示す状態)の切り替えが可能となる。このような切り替えができるので、可撓性チューブ31の内部をインクが良好に流れる状態も実現可能となる。
【0084】
また、本実施の形態では、可撓性チューブ31には、キャップ部材91からチューブポンプ32に向かって(下流に向かって)進行すると、下方に下がった後に上方に上がる部位を有していて、その下方に下がった後に上方に上がる部位によって下方撓み部31aが構成されている。このため、可撓性チューブ31には、下方撓み部31aを確実に形成することが可能となり、その下方撓み部31aにて、インクを淀ませる(溜めておく)ことが可能となる。
【0085】
また、本実施の形態では、キャップ部材91がノズル形成面23aに密着してノズル開口から液体の吸引を行った後には、キャップ部材91をノズル形成面23aから離間させた際に、チューブポンプ32で空吸引動作を実行しない。そのため、下方撓み部31aにて淀んでいる(溜められている)インクが無くなるのを防止可能となる。それにより、インクによるノズル形成面23aの保湿を一層確実に行わせることが可能となる。
【0086】
<変形例>
以上、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態について述べたが、本発明は、これら以外にも、種々変形可能である。以下、それについて述べる。
【0087】
上述の実施の形態においては、チューブポンプ32の作動により、可撓性チューブ31の内部にインクを供給し、下方撓み部31aにインクを蓄える(淀ませる)ことを可能としている。しかしながら、チューブポンプ32の作動に代えて、印刷ヘッド23の駆動によるフラッシング動作によっても、下方撓み部31aにインクを蓄える(淀ませる)ことは勿論可能である。
【0088】
上述の実施の形態においては、図4他に示すようなキャップユニット40により、キャップ部材91を主走査方向に沿って移動させ、それにより可撓性チューブ31を撓ませて下方撓み部31aを形成している。しかしながら、可撓性チューブ31を撓ませて下方撓み部31aを形成する構成は、かかるキャップユニット40には限られない。例えば、モータの駆動により、キャップ部材91を上方および/または主走査方向に移動させる構成を採用しても良い。このようなモータ駆動による構成を採用しても、上述のキャップユニット40を用いる場合と同等の効果を発揮させることが可能となる。なお、キャップ部材91を上下方向に移動させる機構のみでも、可撓性チューブ31に下方撓み部31aを形成することも勿論可能である。
【0089】
また、上述の実施の形態では、キャップ部材91側を移動させる構成を採用している。しかしながら、チューブポンプ32を移動させて、下方撓み部31aを形成する構成を採用しても良い。チューブポンプ32を移動させる例としては、当該チューブポンプ32を主走査方向に移動させるようにする構成がある。また、チューブポンプ32自体を回転させて、可撓性チューブ31が伸長している状態と、可撓性チューブ31が撓んでいる状態とを実現するようにしても良い。
【0090】
このようなチューブポンプ32の移動によっても、上述のキャップユニット40を用いる場合と同等の効果を発揮させることが可能となる。
【0091】
また、主走査方向への移動によって、下方撓み部31aを形成するのみならず、その他の方向(副走査方向等)へキャップ部材91および/またはチューブポンプ32を移動させる等によって、下方撓み部31aを形成するようにしても良い。
【0092】
さらに、キャップ部材91とチューブポンプ32の間の相対移動以外に、別途、可撓性チューブ31を撓ませる機構(例えば、横方向への撓みを下方への撓みへと変える機構)が存在していて、この可撓性チューブ31を撓ませる機構によって、下方撓み部31aを形成するようにしても良い。
【0093】
また、下方撓み部31aの撓み形状は、可撓性チューブ31のうち他の部分よりも撓んでいる部分があれば、その形状は特に限定されず、種々変形可能である。例えば、下方撓み部がU字形状の外観を呈する場合や、J字形状の外観を呈する場合を始めとして、2個以上の下方撓み部が存在する形態等、種々の撓みパターンを採ることが可能である。
【0094】
また、上述の実施の形態では、キャップ部材91は、ノズル形成面23aに対して1つのみ存在する構成について説明している。しかしながら、キャップ部材91は、2つ以上存在していても良い。例えば、黒色のノズル列を封止するためのキャップ部材と、それ以外の色のノズル列を封止するためのキャップ部材とが別々に設けられていても良い。
【0095】
また、上述の各実施の形態では、主走査方向に操作する、印刷ヘッド23を用いる場合について説明している。しかしながら、本発明は、主走査方向に走査しない、長尺状のラインヘッドに適用しても良い。なお、ラインヘッドに本発明を適用する場合には、当該長尺状のヘッドに対応させて、キャップ部材も長尺状となる。
【0096】
また、上述の各実施の形態における液体噴射装置としてのプリンタ10は、プリンタ単独の機能を有する構成のみならず、スキャナ装置やコピー装置のような、複合的な機器の一部であっても良い。さらに、上述の実施の形態においては、インクジェット方式のプリンタ10に関して説明している。しかしながら、プリンタ10としては、液体を噴射可能なものであれば、インクジェット方式のプリンタには限られない。例えば、ジェルジェット方式のプリンタ、トナー方式のプリンタ、ドットインパクト方式のプリンタ等、種々のプリンタに対して、本発明を適用することが可能である。
【0097】
また、上述の実施の形態では、液体噴射装置を、インクジェット式のプリンタ10に具体化しているが、インク以外の他の液体(液体そのものや、機能材料の粒子が液体に分散又は混合されてなる液状体、ゲルのような流動性を有する材質を含む)を噴射したり吐出したりする液体噴射装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材(画素材料)などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液状体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。
【0098】
さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ゲル(例えば物理ゲル)などの流状体を噴射する流状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプリンタの構成を示す斜視図である。
【図2】チューブポンプのポンプ駆動状態を示した平面図である。
【図3】チューブポンプのリリース駆動状態を示した平面図である。
【図4】キャップユニットの構成を示す分解斜視図である。
【図5】キャップユニットを上方から見た状態を示す平面図である。
【図6】キャップユニットのキャップヘッドの形状を示す部分側断面図である。
【図7】キャップユニットの非キャッピング状態を示す側面図である。
【図8】キャップユニットにおけるフラッシング状態を示す側面図である。
【図9】封止壁によるノズル形成面のキャッピング状態を示す側面図である。
【図10】係止爪が爪係合凹部に係合している状態を示す側面図である。
【図11】第2の支持ピンが第2の案内溝中段部にある状態を示す側面図である。
【図12】ノズル形成面のワイピングを開始した状態を示す側面図である。
【図13】下方撓み部が形成される前のイメージを示す図である。
【図14】下方撓み部が形成されたときのイメージを示す図である。
【符号の説明】
【0100】
10…プリンタ、20…シャーシ、21…キャリッジ、23…印刷ヘッド(液体噴射ヘッドに対応)、23a…ノズル形成面、30…吸引機構、31…可撓性チューブ(チューブに対応)、31a…下方撓み部、32…チューブポンプ(ポンプに対応)、40…キャップユニット、41…フレームキャップ、50…スライダキャップ、80…レバーロックスライダ、90…キャップヘッド、91…キャップ部材、92…封止壁、95…接続管、98…ワイピング部材、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズル開口を備え液体を噴射可能な液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップ部材と、
上記キャップ部材の内部に負圧を生じさせるためのポンプと、
上記キャップ部材と上記ポンプとの間を接続するチューブと、
を具備し、
上記チューブには、当該チューブのいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部が形成可能であり、この下方撓み部において上記液体を蓄えることを可能とする、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
複数のノズル開口を備える液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップ部材と、
上記キャップ部材に接続されるチューブと、
を具備し、
上記チューブには、当該チューブのいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部が形成可能であり、この下方撓み部において液体を蓄えることを可能とする、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1記載の液体噴射装置において、
前記キャップ部材と前記ポンプとは、相対的に移動可能であると共に、この相対的な移動により、前記チューブには前記下方撓み部が形成される場合と前記下方撓み部が形成されない場合のいずれの状態も実現可能としている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項3記載の液体噴射装置において、
前記下方撓み部が他の部分よりも下方に撓む撓み量は、前記チューブの内径以上となっていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1,3または4のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記チューブには、前記キャップ部材から前記ポンプに向かって進行すると、下方に下がった後に上方に上がる部位を有していて、その下方に下がった後に上方に上がる部位によって前記下方撓み部が構成されている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1,3,4または5のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記キャップ部材が前記ノズル形成面に密着して前記ノズル開口から前記液体の吸引を行った後には、前記キャップ部材を前記ノズル形成面から離間させた際に、前記ポンプで空吸引動作を実行しない、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項1】
複数のノズル開口を備え液体を噴射可能な液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップ部材と、
上記キャップ部材の内部に負圧を生じさせるためのポンプと、
上記キャップ部材と上記ポンプとの間を接続するチューブと、
を具備し、
上記チューブには、当該チューブのいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部が形成可能であり、この下方撓み部において上記液体を蓄えることを可能とする、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
複数のノズル開口を備える液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止するためのキャップ部材と、
上記キャップ部材に接続されるチューブと、
を具備し、
上記チューブには、当該チューブのいずれかの部位に、他の部分よりも下方に撓む下方撓み部が形成可能であり、この下方撓み部において液体を蓄えることを可能とする、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1記載の液体噴射装置において、
前記キャップ部材と前記ポンプとは、相対的に移動可能であると共に、この相対的な移動により、前記チューブには前記下方撓み部が形成される場合と前記下方撓み部が形成されない場合のいずれの状態も実現可能としている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項3記載の液体噴射装置において、
前記下方撓み部が他の部分よりも下方に撓む撓み量は、前記チューブの内径以上となっていることを特徴とする液体噴射装置。
【請求項5】
請求項1,3または4のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記チューブには、前記キャップ部材から前記ポンプに向かって進行すると、下方に下がった後に上方に上がる部位を有していて、その下方に下がった後に上方に上がる部位によって前記下方撓み部が構成されている、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項6】
請求項1,3,4または5のいずれか1項に記載の液体噴射装置において、
前記キャップ部材が前記ノズル形成面に密着して前記ノズル開口から前記液体の吸引を行った後には、前記キャップ部材を前記ノズル形成面から離間させた際に、前記ポンプで空吸引動作を実行しない、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−99984(P2010−99984A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−275239(P2008−275239)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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