説明

液体圧送装置

【課題】 圧送動作の回数を長期に渡って正確に計数できる液体圧送装置を提供する。
【解決手段】 密閉容器2に作動流体導入口11と作動流体排出口13と液体流入口16及び液体排出口17が設けられる。作動流体導入口11に給気弁20が設けられ、作動流体排出口13に排気弁21が設けられる。密閉容器2内の液位が低い状態において排気弁21を開き給気弁20を閉じることにより液体を液体流入口16から密閉容器2内に流入させ、密閉容器2内の液位が高い状態において排気弁21を閉じ給気弁20を開くことにより密閉容器2内に溜った液体を液体排出口17から液体圧送先へ圧送する。作動流体導入口11が接続される作動流体導入管55にフロースイッチ56を設け、フロースイッチ56に接続されフロースイッチ56のオン・オフの回数を計数して表示する計数器57を設け、計数器57の表示値から液体圧送装置1の圧送回数を確認する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に関するものである。本発明の液体圧送装置は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る装置として特に適するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体圧送装置は、例えば特許文献1に開示されている。これは、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動流体導入口に給気弁が設けられ、作動流体排出口に排気弁から設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、密閉容器内の液位が低い状態において排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を液体流入口から密閉容器内に流入させ、密閉容器内の液位が高い状態において排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体排出口から液体圧送先へ圧送するものにおいて、密閉容器内に液位の変化を検出する電極棒を配置し、電極棒に接続され電極棒のオン・オフの回数を計数して表示する計数器を設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7004728号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の液体圧送装置は、密閉容器内に液位の変化を検出する電極棒を配置し、電極棒に接続され電極棒のオン・オフの回数を計数して表示する計数器を設けたことにより、計数器の表示値から液体圧送装置の圧送回数を確認でき、液体圧送装置の寿命を推定できるものである。しかしながら、流体中のゴミやスケール等の異物が電極棒に付着するために、比較的短期間に密閉容器内の液位の変化を検出できなくなる問題点があった。また、密閉容器内の圧力の変化を検出する圧力スイッチを用いたものでは、圧力スイッチが密閉容器内の微小な圧力変動によりオン・オフしてしまう問題点があった。
【0005】
したがって本発明が解決しようとする課題は、圧送回数を長期に渡って正確に確認できる液体圧送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の液体圧送装置は、密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動流体導入口に給気弁が設けられ、作動流体排出口に排気弁から設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、密閉容器内の液位が低い状態において排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を液体流入口から密閉容器内に流入させ、密閉容器内の液位が高い状態において排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体排出口から液体圧送先へ圧送するものにおいて、作動流体導入口が接続される作動流体導入管にフロースイッチを設け、フロースイッチに接続されフロースイッチのオン・オフの回数を計数して表示する計数器を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、作動流体導入口が接続される作動流体導入管にフロースイッチを設け、フロースイッチに接続されフロースイッチのオン・オフの回数を計数して表示する計数器を設けたことにより、流体中の異物の影響及び密閉容器内の微小な圧力変動の影響を受けずにフロースイッチのオン・オフの回数を計数して表示することができ、圧送回数を長期に渡って正確に確認でき、液体圧送装置の寿命を確実に推定できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係わる液体圧送装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図1を参照して説明する。本実施例の液体圧送装置1は密閉容器2内にフロート3と切替え弁4及びスナップ機構5が配されたものである。密閉容器2は本体部7と蓋部8が図示しないネジによって結合され、内部に液体溜空間10が形成されたものである。蓋部8には作動流体導入口11,作動流体排出口13,液体流入口16,液体排出口17が設けられている。作動流体導入口11の内側に給気弁20が取り付けられ、作動流体排出口13の内側に排気弁21が取り付けられている。給気弁20は弁ケース22と給気弁体23と昇降棒18によって構成される。弁ケース22は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の上端面は弁座25として機能する。弁ケース22の中間部には前記した貫通孔と外部とを連通する4つの開口26が設けられている。給気弁体23は球状で作動流体導入口11側にあり、下端に昇降棒18が溶接により一体的に取り付けられている。昇降棒18は弁ケース22の貫通孔を通って密閉容器2側に抜け、連接板27に当接するようになっている。連接板27は動力伝達軸28に連結され、動力伝達軸28はスナップ機構5と連結されている。排気弁21は弁ケース29と排気弁体30と昇降棒31によって構成される。弁ケース29は軸方向に貫通孔を有し、貫通孔の内部に弁座32があり、弁座32の下から昇降棒31の上端に保持固定された排気弁体30が当接して開閉を行うものである。昇降棒31の下端はピンで弁軸操作棒28に連結されている。給気弁20と排気弁21で切替え弁4が構成され、給気弁20が開くと排気弁21は閉じ、給気弁20が閉じると排気弁21は開く。
【0010】
フロート3はフロートアーム34と揺動軸35を介してブラケット36によって支持されている。ブラケット36は図示しないネジによって密閉容器2の蓋部8に一体的に取り付けられている。スナップ機構5はフロートアーム34と副アーム37及び圧縮状態のコイルバネ38によって構成される。フロートアーム34は平行に対向した2枚の板よりなり、左端にフロート3が固着され、右側部が揺動軸35によって回転可能に支持されている。従って、フロート3は揺動軸35を中心として上下に揺動する。フロートアーム34の中央部に揺動軸35と平行な第1の軸39が掛け渡されている。第1の軸39に第1バネ受け部材40が回転可能に支持されている。また、揺動軸35には副アーム37が回転可能に支持されている。副アーム37は平行に対向した2枚の板よりなり、左端部に揺動軸35と平行な第2の軸41が掛け渡されている。第2の軸41に第2バネ受け部材42が回転可能に支持されている。第1及び第2のバネ受け部材40,42の間に圧縮状態のコイルバネ38が配置されている。フロートアーム34には半円状に長孔43が設けられ、長孔43内に揺動軸35と平行なストッパー軸44がブラケット36によって支持されている。ストッパー軸44は副アーム37の回転範囲を規制する。副アーム37の右端部に揺動軸35と平行な連結軸45が貫通して取り付けられ、連結軸45に動力伝達軸28の下端が連結されている。揺動軸35と平行でフロートアーム34の揺動範囲を規制するストッパー軸51,52がブラケット36によって支持されている。作動流体導入口11が接続される作動流体導入管55にフロースイッチ56が設けられ、フロースイッチ56のオン・オフの回数を計数する計数器57がフロースイッチ56に接続されている。
【0011】
次に本実施例の液体圧送装置1の動作について、作動流体として蒸気を用いた場合の一連の動作手順を追うことによって説明する。まず液体圧送装置1の外部配管は作動流体導入口11が作動流体導入管55を介して高圧の蒸気源に接続され、作動流体排出口13は蒸気循環配管に接続される。液体流入口16は外部から液体溜空間10に向かって開く逆止弁(図示せず)を介して蒸気使用装置等の負荷に接続され、液体排出口17は液体溜空間10から外部に向かって開く逆止弁(図示せず)を介してボイラー等の液体圧送先へ接続される。本実施例の液体圧送装置1の液体溜空間10内に復水が無い場合は、図1に示すようにフロート3は底部に位置する。このとき、切替え弁4における給気弁20が閉じられ、排気弁21が開かれている。そして、蒸気使用装置等の負荷内で復水が発生すると、復水は圧送液体流入口16から液体圧送装置1に流下して、液体溜空間10内に溜る。液体溜空間10内に溜った復水によってフロート3が浮上すると、フロートアーム34が揺動軸35を中心に時計回り方向に回転し、コイルバネ38との連結部である第1の軸39が上方に移動して揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上に近付き、コイルバネ38が圧縮変形する。そしてフロート3が更に浮上して第1の軸39が揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上を越えると、コイルバネ38が急激に変形を回復し、副アーム37が反時計回り方向に回転して連結軸45が上方にスナップ移動する。その結果、連結軸45に連結された動力伝達軸28が上側にスナップ移動し、給気弁20が開かれると共に排気弁21が閉じられる。
【0012】
給気弁20が開かれて作動流体導入口11が開放されると、作動流体導入管55を通して高圧蒸気が密閉容器2内に導入され、内部の圧力が上昇し、液体溜空間10に溜った復水は、蒸気圧に押されて圧送液体排出口17から図示しない逆止弁を介して外部のボイラーや廃熱利用装置へ排出される。復水の排出によって復水溜空間10内の水位が低下すると、フロート3が降下して、フロートアーム34が揺動軸35を中心に反時計回り方向に回転し、コイルバネ38との連結部である第1の軸39が下方に移動して揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上に近付き、コイルバネ38が圧縮変形する。そしてフロート3が更に降下して第1の軸39が揺動軸35と第2の軸41を結ぶ線の延長線上を越えると、コイルバネ38が急激に変形を回復し、副アーム37が時計回り方向に回転して連結軸45が下方にスナップ移動する。その結果、連結軸45に連結された動力伝達軸28が下側にスナップ移動し、給気弁20が閉じられると共に排気弁21が開かれる。フロースイッチ56は、給気弁20が開かれて作動流体導入口11が開放され作動流体導入管55を通して高圧蒸気が密閉容器2内に導入されるとオン状態となり、給気弁20が閉じられて作動流体導入口11が閉塞され作動流体導入管55を通して高圧蒸気が密閉容器2内に導入されなくなるとオフ状態となる。このフロースイッチ56のオン・オフの回数を計数器57で計数して表示し、計数器57の表示値から液体圧送装置1の圧送回数を確認することにより、液体圧送装置1の寿命を推定する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明は、各種蒸気使用装置で発生した復水をボイラーや廃熱利用箇所に送る復水圧送装置に限らず、温水や燃料等の液体を圧送する液体圧送装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0014】
1 液体圧送装置
2 密閉容器
3 フロート
4 切替え弁
5 スナップ機構
10 液体溜空間
11 作動流体導入口
13 作動流体排出口
16 液体流入口
17 液体排出口
20 給気弁
21 排気弁
55 作動流体導入管
56 フロースイッチ
57 計数器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉容器に作動流体導入口と作動流体排出口と液体流入口及び液体排出口が設けられ、作動流体導入口に給気弁が設けられ、作動流体排出口に排気弁から設けられ、密閉容器内に溜った液体の液面の高さに応じて給気弁と排気弁の開閉を切り換えて、密閉容器内の液位が低い状態において排気弁を開き給気弁を閉じることにより液体を液体流入口から密閉容器内に流入させ、密閉容器内の液位が高い状態において排気弁を閉じ給気弁を開くことにより密閉容器内に溜った液体を液体排出口から液体圧送先へ圧送するものにおいて、作動流体導入口が接続される作動流体導入管にフロースイッチを設け、フロースイッチに接続されフロースイッチのオン・オフの回数を計数して表示する計数器を設けたことを特徴とする液体圧送装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−21687(P2011−21687A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167081(P2009−167081)
【出願日】平成21年7月15日(2009.7.15)
【出願人】(000133733)株式会社テイエルブイ (913)
【Fターム(参考)】