液体塗布具
【課題】使い勝手を向上させる。
【解決手段】筒体3に棒体4を遊嵌して内装させ、棒体4と筒体3の内壁との間隙部に液体Lを注入すると共に、筒体3の両端の開口に封止体6、6aを設けて密栓し、一方の封止体6は棒体4の一端に設けられており、かかる封止体6はこの封止体6ごと筒体3の内部に追い込み挿入可能な押込部7を筒体3の外部に突出させた状態で具備し、筒体3の他端側には該他端と他方の封止体6aを吸液素材で覆って形成した塗布体9を設けることによって、封止体6の押込部7を筒体3の内部に押込み、棒体4の他端により封止体6aを押し外して、他端側の密栓状態を解除し、塗布体9に液体Lを滲込ませる。
【解決手段】筒体3に棒体4を遊嵌して内装させ、棒体4と筒体3の内壁との間隙部に液体Lを注入すると共に、筒体3の両端の開口に封止体6、6aを設けて密栓し、一方の封止体6は棒体4の一端に設けられており、かかる封止体6はこの封止体6ごと筒体3の内部に追い込み挿入可能な押込部7を筒体3の外部に突出させた状態で具備し、筒体3の他端側には該他端と他方の封止体6aを吸液素材で覆って形成した塗布体9を設けることによって、封止体6の押込部7を筒体3の内部に押込み、棒体4の他端により封止体6aを押し外して、他端側の密栓状態を解除し、塗布体9に液体Lを滲込ませる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液や化粧水又はその他の液体を塗布体に含浸させて塗布する液体塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液体塗布具としては、綿棒の端部に設けた綿球部に予め薬液、化粧水、その他の液体を含浸させ、この綿棒を包装体で密封したものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
又、一端を密閉すると共に他端を開放端とし、該開放端側から内部に退いた状態で液体を封入すると共に一端側に切り込みを形成した小径パイプを備え、該開放端に封入された液体から隔離された状態で綿塊を設けて形成した綿棒パイプがあり、該綿棒パイプは、綿塊を下に向け、小径パイプの密閉端側を切り込みを利用して折って密閉端側を通気させることで、液体を開放端側から滲出させて綿塊に吸収させる様にしている(例えば、特許文献2参照)。
更に、綿棒の軸部がストローで、該ストロー内に、薬液などの液体を注入すると共に片端部を完全に封し、綿部側を栓弁で封した綿棒があり、該綿棒は、ストローの外側から栓弁を潰すことで、薬液が潰れた栓弁の隙間を通って、綿部に浸透させる様している(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭64−20857号公報
【特許文献2】特許第3382239号公報(請求項10、図3、4)
【特許文献3】実開平6−23519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしなしがら、上記特許文献1に記載のものは、綿休部に含浸させておいた薬液等の液体が滲みだして包装体内を自由に流れるため、使用時に把持部と成る軸棒にも液体が付着し、使用に際し手に液体が付くため使い勝手が悪く、また折角含浸させた液体を有効に活用できずに無駄になる等の不具合を有していた。
又、特許文献2に記載のものは、小径パイプの密閉端側を折る際、液体が飛び散り、上記と同様の不具合を有し、特許文献3に記載のものは、その特徴からして、ストローを圧潰できる素材とせねばならず、そのため軸部としての剛性不足で甚だ使い辛いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく使い勝手を向上させねばならないとの課題に鑑み、筒体に棒体を遊嵌して内装させ、該棒体と筒体内壁との間隙部に液体を注入すると共に、筒体両端開口に封止体を設けて密栓し、両封止体のうち少なくとも一方は前記棒体の一端に設けられており、かかる一方の封止体は該封止体と共に筒体内部に追い込み挿入可能な押込部を筒体外部に突出させた状態で具備し、筒体の他端側には該他端と他方の封止体を吸液素材で覆って形成した塗布体を設けることによって、一方の封止体の押込部を筒体内部に押込み、棒体他端により他方の封止体を押圧して外し、他端側の密栓状態を解除し、塗布体に液体を滲込ませる様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、筒体に該筒体よりやや短い棒体を遊嵌して内装させ、該棒体と筒体内壁との間隙部に液体を注入すると共に、筒体両端開口に封止体を設けて密栓し、両封止体のうち少なくとも一方は前記棒体の一端に設けられており、かかる一方の封止体は該封止体と共に筒体内部に追い込み挿入可能な押込部を筒体外部に突出させた状態で具備し、筒体の他端側には該他端と他方の封止体を吸液素材で覆って形成した塗布体を設けたので、一方の封止体の押込部を筒体内に押込むだけで、棒体を介して他方の封止体が筒体外方に押し出され、密栓状態が解除されて、液体は吸液素材の毛管作用により塗布体に滲み込むため、全く手を汚すことなく、至極簡単に使用準備をさせることが出来る。
【0007】
筒本体の少なくとも一端に筒本体より小径の縮径部を設けて筒体と成し、前記縮径部に上記一方の封止体を嵌着し、該封止体の押込部の外径を縮径部の内径より更に小径にし、且つ、押込部の追い込み挿入可能な長さを縮径部の全長より長大に設定したので、一方の封止体を筒体中央側大径部分に押込むことにより、一端側でも密栓状態が解除されると共に、押込部と縮径部の内壁との間に通気間隙が形成され、液体が注入された間隙部は大気中に開放されることから、塗布体を下にすれば、液体は自然落下により流下し、残らず塗布体に滲み込むため、扱いがとても簡単で使い勝手が良い。
【0008】
押込部の径方向の断面形状を縮径部の径方向の断面形状と非相似形にしたので、例えば縮径部が円筒形であれば、押込部の断面形状を十文字形にしたり、三角形状など多角形にすれば、押込部と縮径部の内壁との間に大きな通気間隙を形成して、液体流下をより円滑にすることが出来、また押込部を過度に小径にしなくて良いから、充分な強度を確保したまま、使い勝手の更なる向上を図ることが出来る。
【0009】
本発明品は、筒体内部に液体と共に、棒体を収納するとの特徴から、注入液体量が筒体自体の内容積より減少してしまうが、棒体の径方向の断面形状を筒体の径方向の断面形状と非相似形としたので、棒体と筒体の断面形状を上記と同様に組合わせることで、棒体と筒体内壁との間隙部を大きくして容量を確保し、塗布体を湿らせるのに必要な充分な量の液体を注入して備えさせることが出来、更には上記押込部と同様に、棒体強度を向上させて、他端側の密栓状態を確実に解除できる。
【0010】
他端側の塗布体において、塗布体内部にして筒体他端の周辺に他方封止体の退避間隙を設けたので、棒体に押された封止体が退避間隙に退くことで、至極簡単に筒体他端から外れるため、他端側の密栓状態をより確実に解除できる。
【0011】
防水処理を施した薄紙やプラスチックフィルム等から成る薄膜を筒体他端に被着して、他方の封止体としたので、押込部を筒体内部に押込むことで、棒体に押されて薄膜が裂けて破れるため、全く密栓解除不良のおそれがない。
【0012】
液体塗布具の一端側にも塗布体を設けたので、例えば液体を消毒液とし、消毒液を他端の塗布体に滲込ませて、患部に塗布した後、患部を一端の塗布体にて払拭して過剰に塗布した消毒液を除去することが出来、また液体をマニュキュアの除光液とし、除光液を他端の塗布体で爪に塗布してマニュキュアを溶解した後、一端の塗布体で綺麗に除去でき、或いは、塗布前に患部が湿っていたり、汚れているとき、水気や汚れを一端の塗布体にて除去した後、他端の塗布体で薬液を塗布でき、この様に液体選択、並びに状況に応じ、様々に活用することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜14は実施例1の液体塗布具を示す図であり、図1は使用前の液体塗布具の概略断面図、図2は図1のA−A部分拡大図、図3は図1のB−B部分拡大図、図4は図2のC−C断面拡大図、図5は図2のD−D断面拡大図、図6は図2のE−E断面拡大図、図7は図2のF−F断面拡大図である。
又、図8は使用時の液体塗布具の概略断面図であり、図9は図8のG−G部分拡大図、図10は図8のH−H部分拡大図、図11は図9のI−I断面拡大図、図12は図9のJ−J断面拡大図、図13は図9のK−K断面拡大図、図14は図9のL−L断面拡大図である。
又、図15は実施例2の液体塗布具を示す図であり、図16は実施例3の液体塗布具を示す図、図17は実施例4の液体塗布具を示す図、そして図18は実施例5の液体塗布具を示す図である。
以下、本発明の実施例を各図に基づき詳述する。
【実施例1】
【0014】
図1〜14に示す様に、実施例1の液体塗布具は、筒本体1の一端(図面上では左端)に該筒本体1より小径の縮径部2を設けて筒体3と成し、この筒体3に棒体4を遊嵌して内装させ、棒体4と筒体3の内壁との間隙部5に液体Lを注入している。
棒体4は、その左端に封止体6が設けられ、該封止体6を縮径部2の左端開口内に嵌着し、また筒体3の他端(図面上では右端)側では、その開口に他の封止体6aを嵌着している。
つまり、封止体6、6aによって、筒体3の両端を密栓し、筒体3の内部に液体Lを封入する様にしている。
【0015】
液体Lは、液体塗布具の用途に応じて適宜選択されるもので、例えばヨードチンキ等の薬液、オキシドール等の消毒液、その他にも精製水、有機溶剤、ベビーオイル、化粧水、除光液などが挙げられる。
【0016】
上記封止体6は、該封止体6と共に筒体3の内部に追い込み挿入可能な棒状の押込部7を筒体3の外部に突出させた状態で具備しており、押込部7の外径を縮径部2の内径より更に小径にし、且つ、押込部7の追い込み挿入可能な長さを縮径部2の全長より長大に設定し、押込部7の左端より先には縮径部2よりも大径のストッパー部8を設けている。
【0017】
一方、筒体3の右端側には該右端と封止体6aを吸液素材で覆って形成した塗布体9を設けており、吸液素材としては、例えば、脱脂綿、不織布等が挙げられ、その他にも発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡合成ゴム等の発泡樹脂であっても良い。
又、この塗布体9の内部にして筒体3の右端の周辺には、封止体6aの退避間隙10を設けている。
【0018】
筒本体1と縮径部2、棒体4と押込部7の形は、棒体4や押込部7を必要以上に細くすることなく、充分な強度を確保しつつ、筒本体1と棒体4、並びに縮径部2と押込部7との間隙が広くなる様にするため、棒体4と押込部7の径方向の断面形状を筒本体1及び縮径部2の径方向の断面形状と非相似形にするのが良く、例えば本実施例の様に(特に、図4〜7、図11〜14を参照。)、筒本体1と縮径部2を円筒形にした場合は、棒体4や押込部7を十文字形とすれば良く、その他にも三角形や星形としても良い。
【0019】
使用時には、塗布体9を下にし立てた状態で、図8〜14に示す様に、ストッパー部8が筒体3(縮径部2)の左端に当接するまで押込部7を押込む。
すると、封止体6は縮径部2を通過し、筒体3の中央側の大径部(即ち、筒本体1)側へと外れる。
この時、押込部7は縮径部2よりも小径で、而も十文字の断面形状であるため、押込部7と縮径部2の内壁との間に通気間隙11が形成され、また当然ながら封止体6は筒本体1より小径であるから、封止体6と筒本体1との間に隙間があき、液体Lを注入した間隙部5の左端は通気間隙11を介して大気中に開放される。
一方、筒体3の右端の封止体6aは、図8及び10に示す様に、棒体4の右端に押圧され、筒体3から外れて、退避間隙10に退き、塗布体9は通気性を有するため、右端においても間隙部5は大気中に開放され、その結果毛管作用による揚水力が滅失して、液体Lは自然落下により流れて塗布体9に吸収される。
【0020】
因みに、退避間隙10は、常に必要とは限らず、封止体6aの形状、塗布体9の弾力性など諸条件によって、不要の場合もあり、要するに棒体4の右端に封止体6aが押されて、不完全でも良いから筒体3から外れて隙間があき、筒体3の右端の開口が大気中に開放されれば良い。
【実施例2】
【0021】
実施例2の液体塗布具は、図15に示す様に、筒体3の右端に薄膜を被着し、この薄膜を封止体6aとしており、その他の構成は実施例1のものと同じである。
薄膜6aは、液体Lを封止可能で、且つ、棒体4に押圧されることによって、裂け破れる程度の耐久性を有するものであれば良く、薄膜6aの素材としては、例えば、防水処理を施した薄紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
【0022】
本実施例でも、図面には退避間隙10を有する液体塗布具を例示したが、特にこの液体塗布具の場合、スポンジ等弾力性に優れた素材で成る塗布体9を使用すれば、退避間隙10を省略しても良く、この場合薄膜6aが破断されると、筒体3の右端の開口に塗布体9が接触するため、筒体3の左端が大気中に開放されなくとも、塗布体9に働く毛管作用により、液体Lは塗布体9に吸引されることから、筒体3の左端の縮径部2も省略しても良い。
【実施例3】
【0023】
実施例3の液体塗布具は、図16に示す様に、ストッパー部8を吸液素材で覆って他の塗布体9aを設けており、その他の構成は実施例1のものと同じである。
使用時には、例えば塗布体9に液体Lを滲み込ませて、被塗布部に塗布した後、被塗布部を乾いた塗布体9aで払拭して過剰の液体Lを除去し、或いは、被塗布部の汚れを塗布体9aで除去した後、塗布体9で液体Lを塗布する。
【実施例4】
【0024】
実施例4の液体塗布具は、図17に示す様に、筒体3の左端と、封止体6の押込部7及びストッパー部8を吸液素材で覆って塗布体9を設けており、その他の構成は実施例1のものと同じである。
【実施例5】
【0025】
実施例5の液体塗布具は、図18に示す様に、筒本体1の両端に該筒本体1より小径の縮径部2を設けて筒体3とし、両縮径部2の開口内に、押込部7及びストッパー部8を有する封止体6を嵌着し、筒体3の各端部と、押込部7、ストッパー部8を吸液素材で覆って、両端部に塗布体9を設けており、その他の構成は実施例1のものと同じである。
【0026】
塗布体9が、弾力性に優れたものであれば、ストッパー部8だけではなく、実施例4及び5の様に、筒体3端部と押込部7も吸液素材で覆っても良く、但し押込部7と吸液素材を固着してはならない。
使用時に片側の塗布体9だけ液体Lを滲み込ませるか、或いは、両方に滲み込ませるかは、所望により適宜選択すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の液体塗布具の使用前の概略断面図である。
【図2】図1のA−A部分拡大図である。
【図3】図1のB−B部分拡大図である。
【図4】図2のC−C断面拡大図である。
【図5】図2のD−D断面拡大図である。
【図6】図2のE−E断面拡大図である。
【図7】図2のF−F断面拡大図である。
【図8】実施例1の液体塗布具の使用時の概略断面図である。
【図9】図8のG−G部分拡大図である。
【図10】図8のH−H部分拡大図である。
【図11】図9のI−I断面拡大図である。
【図12】図9のJ−J断面拡大図である。
【図13】図9のK−K断面拡大図である。
【図14】図9のL−L断面拡大図である。
【図15】実施例2の液体塗布具の要部拡大概略断面図である。
【図16】実施例3の液体塗布具の要部拡大概略断面図である。
【図17】実施例4の液体塗布具の概略断面図である。
【図18】実施例5の液体塗布具の概略断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 筒本体
2 縮径部
3 筒体
4 棒体
5 間隙部
L 液体
6、6a 封止体
7 押込部
8 ストッパー部
9 塗布体
10 退避間隙
11 通気間隙
6a 薄膜
9a 塗布体
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液や化粧水又はその他の液体を塗布体に含浸させて塗布する液体塗布具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液体塗布具としては、綿棒の端部に設けた綿球部に予め薬液、化粧水、その他の液体を含浸させ、この綿棒を包装体で密封したものが見受けられる(例えば、特許文献1参照)。
又、一端を密閉すると共に他端を開放端とし、該開放端側から内部に退いた状態で液体を封入すると共に一端側に切り込みを形成した小径パイプを備え、該開放端に封入された液体から隔離された状態で綿塊を設けて形成した綿棒パイプがあり、該綿棒パイプは、綿塊を下に向け、小径パイプの密閉端側を切り込みを利用して折って密閉端側を通気させることで、液体を開放端側から滲出させて綿塊に吸収させる様にしている(例えば、特許文献2参照)。
更に、綿棒の軸部がストローで、該ストロー内に、薬液などの液体を注入すると共に片端部を完全に封し、綿部側を栓弁で封した綿棒があり、該綿棒は、ストローの外側から栓弁を潰すことで、薬液が潰れた栓弁の隙間を通って、綿部に浸透させる様している(例えば、特許文献3参照)。
【0003】
【特許文献1】実開昭64−20857号公報
【特許文献2】特許第3382239号公報(請求項10、図3、4)
【特許文献3】実開平6−23519号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしなしがら、上記特許文献1に記載のものは、綿休部に含浸させておいた薬液等の液体が滲みだして包装体内を自由に流れるため、使用時に把持部と成る軸棒にも液体が付着し、使用に際し手に液体が付くため使い勝手が悪く、また折角含浸させた液体を有効に活用できずに無駄になる等の不具合を有していた。
又、特許文献2に記載のものは、小径パイプの密閉端側を折る際、液体が飛び散り、上記と同様の不具合を有し、特許文献3に記載のものは、その特徴からして、ストローを圧潰できる素材とせねばならず、そのため軸部としての剛性不足で甚だ使い辛いものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記従来技術に基づく使い勝手を向上させねばならないとの課題に鑑み、筒体に棒体を遊嵌して内装させ、該棒体と筒体内壁との間隙部に液体を注入すると共に、筒体両端開口に封止体を設けて密栓し、両封止体のうち少なくとも一方は前記棒体の一端に設けられており、かかる一方の封止体は該封止体と共に筒体内部に追い込み挿入可能な押込部を筒体外部に突出させた状態で具備し、筒体の他端側には該他端と他方の封止体を吸液素材で覆って形成した塗布体を設けることによって、一方の封止体の押込部を筒体内部に押込み、棒体他端により他方の封止体を押圧して外し、他端側の密栓状態を解除し、塗布体に液体を滲込ませる様にして、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
要するに本発明は、筒体に該筒体よりやや短い棒体を遊嵌して内装させ、該棒体と筒体内壁との間隙部に液体を注入すると共に、筒体両端開口に封止体を設けて密栓し、両封止体のうち少なくとも一方は前記棒体の一端に設けられており、かかる一方の封止体は該封止体と共に筒体内部に追い込み挿入可能な押込部を筒体外部に突出させた状態で具備し、筒体の他端側には該他端と他方の封止体を吸液素材で覆って形成した塗布体を設けたので、一方の封止体の押込部を筒体内に押込むだけで、棒体を介して他方の封止体が筒体外方に押し出され、密栓状態が解除されて、液体は吸液素材の毛管作用により塗布体に滲み込むため、全く手を汚すことなく、至極簡単に使用準備をさせることが出来る。
【0007】
筒本体の少なくとも一端に筒本体より小径の縮径部を設けて筒体と成し、前記縮径部に上記一方の封止体を嵌着し、該封止体の押込部の外径を縮径部の内径より更に小径にし、且つ、押込部の追い込み挿入可能な長さを縮径部の全長より長大に設定したので、一方の封止体を筒体中央側大径部分に押込むことにより、一端側でも密栓状態が解除されると共に、押込部と縮径部の内壁との間に通気間隙が形成され、液体が注入された間隙部は大気中に開放されることから、塗布体を下にすれば、液体は自然落下により流下し、残らず塗布体に滲み込むため、扱いがとても簡単で使い勝手が良い。
【0008】
押込部の径方向の断面形状を縮径部の径方向の断面形状と非相似形にしたので、例えば縮径部が円筒形であれば、押込部の断面形状を十文字形にしたり、三角形状など多角形にすれば、押込部と縮径部の内壁との間に大きな通気間隙を形成して、液体流下をより円滑にすることが出来、また押込部を過度に小径にしなくて良いから、充分な強度を確保したまま、使い勝手の更なる向上を図ることが出来る。
【0009】
本発明品は、筒体内部に液体と共に、棒体を収納するとの特徴から、注入液体量が筒体自体の内容積より減少してしまうが、棒体の径方向の断面形状を筒体の径方向の断面形状と非相似形としたので、棒体と筒体の断面形状を上記と同様に組合わせることで、棒体と筒体内壁との間隙部を大きくして容量を確保し、塗布体を湿らせるのに必要な充分な量の液体を注入して備えさせることが出来、更には上記押込部と同様に、棒体強度を向上させて、他端側の密栓状態を確実に解除できる。
【0010】
他端側の塗布体において、塗布体内部にして筒体他端の周辺に他方封止体の退避間隙を設けたので、棒体に押された封止体が退避間隙に退くことで、至極簡単に筒体他端から外れるため、他端側の密栓状態をより確実に解除できる。
【0011】
防水処理を施した薄紙やプラスチックフィルム等から成る薄膜を筒体他端に被着して、他方の封止体としたので、押込部を筒体内部に押込むことで、棒体に押されて薄膜が裂けて破れるため、全く密栓解除不良のおそれがない。
【0012】
液体塗布具の一端側にも塗布体を設けたので、例えば液体を消毒液とし、消毒液を他端の塗布体に滲込ませて、患部に塗布した後、患部を一端の塗布体にて払拭して過剰に塗布した消毒液を除去することが出来、また液体をマニュキュアの除光液とし、除光液を他端の塗布体で爪に塗布してマニュキュアを溶解した後、一端の塗布体で綺麗に除去でき、或いは、塗布前に患部が湿っていたり、汚れているとき、水気や汚れを一端の塗布体にて除去した後、他端の塗布体で薬液を塗布でき、この様に液体選択、並びに状況に応じ、様々に活用することが出来る等その実用的効果甚だ大である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1〜14は実施例1の液体塗布具を示す図であり、図1は使用前の液体塗布具の概略断面図、図2は図1のA−A部分拡大図、図3は図1のB−B部分拡大図、図4は図2のC−C断面拡大図、図5は図2のD−D断面拡大図、図6は図2のE−E断面拡大図、図7は図2のF−F断面拡大図である。
又、図8は使用時の液体塗布具の概略断面図であり、図9は図8のG−G部分拡大図、図10は図8のH−H部分拡大図、図11は図9のI−I断面拡大図、図12は図9のJ−J断面拡大図、図13は図9のK−K断面拡大図、図14は図9のL−L断面拡大図である。
又、図15は実施例2の液体塗布具を示す図であり、図16は実施例3の液体塗布具を示す図、図17は実施例4の液体塗布具を示す図、そして図18は実施例5の液体塗布具を示す図である。
以下、本発明の実施例を各図に基づき詳述する。
【実施例1】
【0014】
図1〜14に示す様に、実施例1の液体塗布具は、筒本体1の一端(図面上では左端)に該筒本体1より小径の縮径部2を設けて筒体3と成し、この筒体3に棒体4を遊嵌して内装させ、棒体4と筒体3の内壁との間隙部5に液体Lを注入している。
棒体4は、その左端に封止体6が設けられ、該封止体6を縮径部2の左端開口内に嵌着し、また筒体3の他端(図面上では右端)側では、その開口に他の封止体6aを嵌着している。
つまり、封止体6、6aによって、筒体3の両端を密栓し、筒体3の内部に液体Lを封入する様にしている。
【0015】
液体Lは、液体塗布具の用途に応じて適宜選択されるもので、例えばヨードチンキ等の薬液、オキシドール等の消毒液、その他にも精製水、有機溶剤、ベビーオイル、化粧水、除光液などが挙げられる。
【0016】
上記封止体6は、該封止体6と共に筒体3の内部に追い込み挿入可能な棒状の押込部7を筒体3の外部に突出させた状態で具備しており、押込部7の外径を縮径部2の内径より更に小径にし、且つ、押込部7の追い込み挿入可能な長さを縮径部2の全長より長大に設定し、押込部7の左端より先には縮径部2よりも大径のストッパー部8を設けている。
【0017】
一方、筒体3の右端側には該右端と封止体6aを吸液素材で覆って形成した塗布体9を設けており、吸液素材としては、例えば、脱脂綿、不織布等が挙げられ、その他にも発泡ポリウレタン、発泡ポリスチレン、発泡合成ゴム等の発泡樹脂であっても良い。
又、この塗布体9の内部にして筒体3の右端の周辺には、封止体6aの退避間隙10を設けている。
【0018】
筒本体1と縮径部2、棒体4と押込部7の形は、棒体4や押込部7を必要以上に細くすることなく、充分な強度を確保しつつ、筒本体1と棒体4、並びに縮径部2と押込部7との間隙が広くなる様にするため、棒体4と押込部7の径方向の断面形状を筒本体1及び縮径部2の径方向の断面形状と非相似形にするのが良く、例えば本実施例の様に(特に、図4〜7、図11〜14を参照。)、筒本体1と縮径部2を円筒形にした場合は、棒体4や押込部7を十文字形とすれば良く、その他にも三角形や星形としても良い。
【0019】
使用時には、塗布体9を下にし立てた状態で、図8〜14に示す様に、ストッパー部8が筒体3(縮径部2)の左端に当接するまで押込部7を押込む。
すると、封止体6は縮径部2を通過し、筒体3の中央側の大径部(即ち、筒本体1)側へと外れる。
この時、押込部7は縮径部2よりも小径で、而も十文字の断面形状であるため、押込部7と縮径部2の内壁との間に通気間隙11が形成され、また当然ながら封止体6は筒本体1より小径であるから、封止体6と筒本体1との間に隙間があき、液体Lを注入した間隙部5の左端は通気間隙11を介して大気中に開放される。
一方、筒体3の右端の封止体6aは、図8及び10に示す様に、棒体4の右端に押圧され、筒体3から外れて、退避間隙10に退き、塗布体9は通気性を有するため、右端においても間隙部5は大気中に開放され、その結果毛管作用による揚水力が滅失して、液体Lは自然落下により流れて塗布体9に吸収される。
【0020】
因みに、退避間隙10は、常に必要とは限らず、封止体6aの形状、塗布体9の弾力性など諸条件によって、不要の場合もあり、要するに棒体4の右端に封止体6aが押されて、不完全でも良いから筒体3から外れて隙間があき、筒体3の右端の開口が大気中に開放されれば良い。
【実施例2】
【0021】
実施例2の液体塗布具は、図15に示す様に、筒体3の右端に薄膜を被着し、この薄膜を封止体6aとしており、その他の構成は実施例1のものと同じである。
薄膜6aは、液体Lを封止可能で、且つ、棒体4に押圧されることによって、裂け破れる程度の耐久性を有するものであれば良く、薄膜6aの素材としては、例えば、防水処理を施した薄紙、プラスチックフィルム等が挙げられる。
【0022】
本実施例でも、図面には退避間隙10を有する液体塗布具を例示したが、特にこの液体塗布具の場合、スポンジ等弾力性に優れた素材で成る塗布体9を使用すれば、退避間隙10を省略しても良く、この場合薄膜6aが破断されると、筒体3の右端の開口に塗布体9が接触するため、筒体3の左端が大気中に開放されなくとも、塗布体9に働く毛管作用により、液体Lは塗布体9に吸引されることから、筒体3の左端の縮径部2も省略しても良い。
【実施例3】
【0023】
実施例3の液体塗布具は、図16に示す様に、ストッパー部8を吸液素材で覆って他の塗布体9aを設けており、その他の構成は実施例1のものと同じである。
使用時には、例えば塗布体9に液体Lを滲み込ませて、被塗布部に塗布した後、被塗布部を乾いた塗布体9aで払拭して過剰の液体Lを除去し、或いは、被塗布部の汚れを塗布体9aで除去した後、塗布体9で液体Lを塗布する。
【実施例4】
【0024】
実施例4の液体塗布具は、図17に示す様に、筒体3の左端と、封止体6の押込部7及びストッパー部8を吸液素材で覆って塗布体9を設けており、その他の構成は実施例1のものと同じである。
【実施例5】
【0025】
実施例5の液体塗布具は、図18に示す様に、筒本体1の両端に該筒本体1より小径の縮径部2を設けて筒体3とし、両縮径部2の開口内に、押込部7及びストッパー部8を有する封止体6を嵌着し、筒体3の各端部と、押込部7、ストッパー部8を吸液素材で覆って、両端部に塗布体9を設けており、その他の構成は実施例1のものと同じである。
【0026】
塗布体9が、弾力性に優れたものであれば、ストッパー部8だけではなく、実施例4及び5の様に、筒体3端部と押込部7も吸液素材で覆っても良く、但し押込部7と吸液素材を固着してはならない。
使用時に片側の塗布体9だけ液体Lを滲み込ませるか、或いは、両方に滲み込ませるかは、所望により適宜選択すれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1の液体塗布具の使用前の概略断面図である。
【図2】図1のA−A部分拡大図である。
【図3】図1のB−B部分拡大図である。
【図4】図2のC−C断面拡大図である。
【図5】図2のD−D断面拡大図である。
【図6】図2のE−E断面拡大図である。
【図7】図2のF−F断面拡大図である。
【図8】実施例1の液体塗布具の使用時の概略断面図である。
【図9】図8のG−G部分拡大図である。
【図10】図8のH−H部分拡大図である。
【図11】図9のI−I断面拡大図である。
【図12】図9のJ−J断面拡大図である。
【図13】図9のK−K断面拡大図である。
【図14】図9のL−L断面拡大図である。
【図15】実施例2の液体塗布具の要部拡大概略断面図である。
【図16】実施例3の液体塗布具の要部拡大概略断面図である。
【図17】実施例4の液体塗布具の概略断面図である。
【図18】実施例5の液体塗布具の概略断面図である。
【符号の説明】
【0028】
1 筒本体
2 縮径部
3 筒体
4 棒体
5 間隙部
L 液体
6、6a 封止体
7 押込部
8 ストッパー部
9 塗布体
10 退避間隙
11 通気間隙
6a 薄膜
9a 塗布体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体に棒体を遊嵌して内装させ、該棒体と筒体内壁との間隙部に液体を注入すると共に、筒体両端開口に封止体を設けて密栓し、両封止体のうち少なくとも一方は前記棒体の一端に設けられており、かかる一方の封止体は該封止体と共に筒体内部に追い込み挿入可能な押込部を筒体外部に突出させた状態で具備し、筒体の他端側には該他端と他方の封止体を吸液素材で覆って形成した塗布体を設けたことを特徴とする液体塗布具。
【請求項2】
筒本体の少なくとも一端に筒本体より小径の縮径部を設けて筒体と成し、前記縮径部の開口に上記一方の封止体を嵌着し、該封止体の押込部の外径を縮径部の内径より更に小径にし、且つ、押込部の追い込み挿入可能な長さを縮径部の全長より長大に設定したことを特徴とする請求項1記載の液体塗布具。
【請求項3】
押込部の径方向の断面形状を縮径部の径方向の断面形状と非相似形にしたことを特徴とする請求項2記載の液体塗布具。
【請求項4】
棒体の径方向の断面形状を筒体の径方向の断面形状と非相似形としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体塗布具。
【請求項5】
他端側の塗布体において、塗布体内部にして筒体他端の周辺に他方封止体の退避間隙を設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液体塗布具。
【請求項6】
防水処理を施した薄紙やプラスチックフィルム等から成る薄膜を筒体他端に被着して、他方の封止体としたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の液体塗布具。
【請求項7】
一端側にも塗布体を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の液体塗布具。
【請求項1】
筒体に棒体を遊嵌して内装させ、該棒体と筒体内壁との間隙部に液体を注入すると共に、筒体両端開口に封止体を設けて密栓し、両封止体のうち少なくとも一方は前記棒体の一端に設けられており、かかる一方の封止体は該封止体と共に筒体内部に追い込み挿入可能な押込部を筒体外部に突出させた状態で具備し、筒体の他端側には該他端と他方の封止体を吸液素材で覆って形成した塗布体を設けたことを特徴とする液体塗布具。
【請求項2】
筒本体の少なくとも一端に筒本体より小径の縮径部を設けて筒体と成し、前記縮径部の開口に上記一方の封止体を嵌着し、該封止体の押込部の外径を縮径部の内径より更に小径にし、且つ、押込部の追い込み挿入可能な長さを縮径部の全長より長大に設定したことを特徴とする請求項1記載の液体塗布具。
【請求項3】
押込部の径方向の断面形状を縮径部の径方向の断面形状と非相似形にしたことを特徴とする請求項2記載の液体塗布具。
【請求項4】
棒体の径方向の断面形状を筒体の径方向の断面形状と非相似形としたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体塗布具。
【請求項5】
他端側の塗布体において、塗布体内部にして筒体他端の周辺に他方封止体の退避間隙を設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の液体塗布具。
【請求項6】
防水処理を施した薄紙やプラスチックフィルム等から成る薄膜を筒体他端に被着して、他方の封止体としたことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の液体塗布具。
【請求項7】
一端側にも塗布体を設けたことを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6記載の液体塗布具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2007−203264(P2007−203264A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−28107(P2006−28107)
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(392023946)サンリツ株式会社 (8)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【出願人】(391048500)大扇産業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年2月6日(2006.2.6)
【出願人】(392023946)サンリツ株式会社 (8)
【出願人】(000129057)株式会社カナエ (39)
【出願人】(391048500)大扇産業株式会社 (16)
【Fターム(参考)】
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