液体容器及び液体供給装置
【課題】容器ホルダーへの液体容器の装着性を向上させると共に、液体容器内を加圧せずに容器ホルダー内における液体容器の収容位置のずれを抑制する。
【解決手段】液体容器は、装着案内用リブを有する容器ホルダーに装着されて用いられる液体容器である。この液体容器は、容器ホルダーに装着された状態において装着案内用リブと対向するリブ対向面と、リブ対向面に配置され、容器ホルダーに装着された状態において装着案内用リブと当接し、液体容器の装着位置を定めるための位置決め用突起部と、を備える。
【解決手段】液体容器は、装着案内用リブを有する容器ホルダーに装着されて用いられる液体容器である。この液体容器は、容器ホルダーに装着された状態において装着案内用リブと対向するリブ対向面と、リブ対向面に配置され、容器ホルダーに装着された状態において装着案内用リブと当接し、液体容器の装着位置を定めるための位置決め用突起部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に供給する液体の容器、及びその容器を収容する液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、いわゆるオフキャリッジタイプのインクジェット式プリンターでは、プリンター本体に取り付けられたカートリッジホルダーにインクカートリッジが装着される。カートリッジホルダーでは、インクカートリッジの装着性を向上させるため、インクカートリッジを収容する収容スロットの幅が広いことが好ましい。しかしながら、収容スロットの幅が広い場合、インクカートリッジの収容位置が固定され難いため収容位置のずれが起こり得る。インクの種類や残量等の情報を記録するための記憶素子(IC)を実装した回路基板が外面に配置されたインクカートリッジを用いる場合、収容位置のずれにより、カートリッジホルダーに設けられた端子とインクカートリッジの回路基板とが接触しなくなるおそれがある。
【0003】
そこで、インクカートリッジにおいて、側面(隣接するインクカートリッジ又はカートリッジホルダーの壁面と対向する面)を膨張変形可能な部材で構成すると共に、インクカートリッジ内に加圧空気を供給して膨張させて隣り合うインクカートリッジ同士を圧接させることにより、インクカートリッジの収容位置のずれを抑制するインクジェット式プリンターが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−137376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクカートリッジ内の加圧によりインクカートリッジの収容位置のずれを抑制する技術は、インクカートリッジ内を加圧せずにインクを供給するタイプのプリンターには適用できないという問題があった。なお、上記問題は、インクジェット式プリンターに限らず、潤滑油や樹脂液等の任意の液体を噴射する液体噴射装置であって、液体を収容する液体容器及びその容器ホルダーを供える液体噴射装置において起こり得る。
【0006】
本発明は、容器ホルダーへの液体容器の装着性を向上させると共に、液体容器内を加圧せずに容器ホルダー内における液体容器の収容位置のずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]装着案内用リブを有する容器ホルダーに装着されて用いられる液体容器であって、前記容器ホルダーに装着された状態において、前記装着案内用リブと対向するリブ対向面と、前記リブ対向面に配置され、前記容器ホルダーに装着された状態において前記装着案内用リブと当接し、前記液体容器の装着位置を定めるための位置決め用突起部と、を備える液体容器。
【0009】
適用例1の液体容器では、リブ対向面に、容器ホルダーに挿入された状態において装着案内用リブと当接する位置決め用突起部を備えているので、この位置決め用突起部により液体容器内を加圧せずに容器ホルダー内における液体容器の収容位置のずれを抑制できると共に、容器ホルダーにおいて液体容器を装着するための空間を大きく構成でき、液体容器の装着性を向上させることができる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載の液体容器において、さらに、前記液体容器が前記容器ホルダーに装着される際に先端に位置し、前記容器ホルダーと接続する先端面と、前記液体容器が前記容器ホルダーに装着される際に後端に位置する後端面と、を備え、前記位置決め用突起部は、前記リブ対向面において、前記先端面よりも前記後端面に近い位置に配置されている、液体容器。
【0011】
このような構成により、液体容器の後端面に近い位置における収容位置のずれを抑制できる。したがって、先端面側は容器ホルダーと接続されるので収容位置のずれを抑制でき、また、後端面側は位置決め用突起部により収容位置のずれを抑制できるので、液体容器全体の収容位置のずれを抑制できる。
【0012】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の液体容器において、さらに、前記リブ対向面と直交する直交面を備え、前記リブ対向面は、互いに対向し、前記液体容器の装着方向と平行な2つの面からなり、前記容器ホルダーは、さらに、装着された前記液体容器に対して装着方向とは反対向きの力を加える付勢部と、前記装着方向と垂直な方向に突出し、装着された前記液体容器の前記直交面に当接して前記液体容器の装着位置を定めるための固定突起部と、を有し、前記付勢部は、前記装着方向に見て、前記固定突起部を基準として前記リブ対向面の2つの面間の距離方向にオフセットされて配置され、前記位置決め用突起部は、前記リブ対向面の2つの面のうち、前記付勢部に近い側の面ではなく、前記固定突起部に近い側の面に配置されている、液体容器。
【0013】
このような構成により、液体容器において固定突起部を軸として、付勢部に近い側の面から固定突起部に近い側の面に向かうモーメントを生じさせることができるので、このモーメントを利用して位置決め用突起部を装着案内用リブに突き当てることができる。したがって、液体容器の収容位置の精度を向上させることができると共に、容器ホルダーにおいて液体容器を装着するための空間を大きくした場合であっても位置決め用突起部を装着案内用リブに押し当てることができるので、液体容器の収容位置のずれを抑制できる。
【0014】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一例に記載の液体容器において、前記容器ホルダーは、前記液体容器が装着された状態において、前記液体容器を挟んで互いに対向する一対の対向面を有すると共に、前記一対の対向面にそれぞれ前記装着案内用リブを有し、前記液体容器は、さらに、前記一対の対向面が有する2つの前記装着案内用リブにそれぞれ当接する2つの前記位置決め用突起部を備える、液体容器。
【0015】
このような構成により、互いに対向する一対の対向面にそれぞれ配置された装着案内用リブに、位置決め用突起部をそれぞれ当接させることができ、液体容器の収容位置の精度を向上させることができる。
【0016】
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の液体容器を装着可能な前記容器ホルダーを備える液体供給装置であって、前記装着案内用リブは、前記位置決め用突起部と当接する部分とは異なる部分において薄肉部を有する、液体供給装置。
【0017】
このような構成により、液体容器の装着時におけるクリアランスを大きく確保でき、液体容器の装着性を向上させることができる。
【0018】
[適用例6]適用例5に記載の液体供給装置において、前記容器ホルダーは、複数の前記液体容器を、前記装着方向と垂直な方向に沿って並んで装着する、液体供給装置。
【0019】
このような構成により、容器ホルダーにおいて、複数の液体容器が既に装着されている状態で新たに液体容器を装着する際に、新たに装着する液体容器と既に装着されている液体容器との間のクリアランスを確保できるので、液体容器を容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の液体供給装置を適用したプリンター500の概略構成を示す説明図である。
【図2】インクカートリッジIC1の外観を示す斜視図である。
【図3】インクカートリッジIC1の外観を示す正面図及び底面図である。
【図4】図1に示すカートリッジホルダー200の斜め上方及び斜め下方からの斜視図である。
【図5】図1に示すカートリッジホルダー200の平面図である。
【図6】図4,5に示すホルダー本体201の構成を示す第1の斜視図である。
【図7】図4,5に示すホルダー本体201の構成を示す第2の斜視図である。
【図8】4つのインクカートリッジIC1〜IC4を収容した状態におけるカートリッジホルダー200を示す平面図である。
【図9】インクカートリッジ挿入時における図8に示すA−A断面を模式的に示す説明図である。
【図10】第2の実施例のインク供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す正面図である。
【図11】収容スロットSL1にインクカートリッジが挿入された状態における図10に示すB−B断面を模式的に示す断面図である。
【図12】第3の実施例の液体供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す断面図である。
【図13】第4の実施例の液体供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.第1の実施例:
A1.プリンターの概略構成:
図1は、本発明の液体供給装置を適用したプリンター500の概略構成を示す説明図である。このプリンター500は、4色(ブラック,シアン,マゼンタ,イエロー)のインクを吐出可能なインクジェット式プリンターである。また、プリンター500は、各色のインクカートリッジ(後述)がキャリッジ(後述)に装着されず、プリンター本体側に装着されるいわゆるオフキャリッジタイプのプリンターである。プリンター500は、キャリッジ400と、記録ヘッド450と、ガイドロッド260と、プラテン460と、インク供給装置510とを備えている。なお、図1では、プリンター500が載置された状態において鉛直方向上向きが+Y方向と一致する。
【0022】
キャリッジ400は、底面に記録ヘッド450を備えており、インク供給装置510から供給される各色のインクを記録ヘッド450に供給する。キャリッジ400は、ガイドロッド260に沿ってプラテン460の長手方向に往復移動可能に支持され、キャリッジモータ(図示省略)によりタイミングベルト(図示省略)を介して駆動される。記録ヘッド450は、キャリッジ400の長手方向の往復運動に伴い多数のノズル(図示省略)からインク滴を下方に吐出する。このとき、図示しない紙送り機構によって記録用紙Pがプラテン460上を搬送されることにより、記録用紙Pに画像等が形成される。
【0023】
インク供給装置510は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4と、カートリッジホルダー200と、4つのインク導出管421〜424と、4つのインク送出部411〜414と、4つの配管431〜434とを備えている。インクカートリッジIC1は、ブラックインクを収容する。同様に、インクカートリッジIC2はシアンインクを、インクカートリッジIC3はマゼンタインクを、インクカートリッジIC4はイエローインクを、それぞれ収容する。
【0024】
カートリッジホルダー200は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4を、それぞれ着脱自在に収容する。なお、図1の例では、4つのインクカートリッジIC1〜IC4は、カートリッジホルダー200に装着(挿入)されていない。カートリッジホルダー200は、プリンター本体に固定されており、インク導出管421を介してインク送出部411と接続されている。同様に、カートリッジホルダー200は、インク導出管422を介してインク送出部412と、インク導出管423を介してインク送出部413と、インク導出管424を介してインク送出部414と、それぞれ接続されている。
【0025】
インク送出部411は、配管431を介してキャリッジ400と接続されている。同様に、インク送出部412は配管432を介して、インク送出部413は配管433を介して、インク送出部414は配管434を介して、それぞれキャリッジ400と接続されている。インク送出部411は、図示しないポンプ及び逆止弁を備えており、カートリッジホルダー200に挿入されたインクカートリッジIC1からインク導出管421を介してブラックインクを吸引し、配管431を介してキャリッジ400に供給する。なお、他の3つのインク送出部412〜414も同様な構成を有する。このように、プリンター500は、各インクカートリッジIC1〜IC4を加圧してインクを供給するタイプのプリンターではなく、各インクカートリッジIC1〜IC4からインクを吸引して供給するタイプのプリンターである。
【0026】
4つの配管431〜434は、いずれも可撓性を有する部材(例えば、シリコンゴムやブチルゴム等)で形成されており、キャリッジ400の往復移動と共に変位可能に構成されている。
【0027】
A2.インクカートリッジの構成:
以下、図2,3を用いて、4つのインクカートリッジIC1〜IC4の構成を説明する。なお、各インクカートリッジIC1〜IC4はいずれも同じ構成を有するので、インクカートリッジIC1を代表して説明する。
【0028】
図2(A)は、インクカートリッジIC1の外観を示す第1の斜視図である。図2(B)は、インクカートリッジIC1の外観を示す第2の斜視図である。図3(A)は、インクカートリッジIC1の外観を示す正面図である。図3(B)は、インクカートリッジIC1の外観を示す底面図である。図2(A),(B)及び図3(A),(B)では、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に挿入される方向(以下、「挿入方向」と呼ぶ)が+X方向と一致する。
【0029】
図2(A),(B)に示すように、インクカートリッジIC1は扁平な略直方体の外観形状を有しており、先端面Sfと、後端面Srと、天井面Stと、底面Sbと、2つの側面Sc,Sdとを備えている。インクカートリッジIC1は、樹脂材料で形成された複数の部材を組み合わせて構成されている。インクカートリッジIC1の内部には隔壁で区切られたインク室(図示省略)が設けられており、インクカートリッジIC1は、このインク室にブラックインクを収容する。
【0030】
先端面Sfは、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に先端に位置する面である。図2(B)に示すように、先端面Sfは、2つの位置決め穴131,132と、インク供給口120とを備えている。2つの位置決め穴131,132は、カートリッジホルダー200におけるインクカートリッジIC1の収容位置を定めるために用いられる。インク供給口120は、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に収容された状態においてカートリッジホルダー200と接続し、インクカートリッジIC1内のインクをカートリッジホルダー200及びインク導出管421(図1)を介してインク送出部411に供給する。
【0031】
後端面Sr(図2)は、先端面Sfと対向する面であり、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に後端に位置する。天井面Stは、先端面Sfと直交し、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に上端に位置する面である。図2(A),(B)に示すように、天井面Stは、回路基板110を備えている。回路基板110には、インクの種類や残量等の情報を記録するための図示しない記憶素子が搭載されている。底面Sbは、先端面Sfと直交して天井面Stと対向する面であり、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に下端に位置する面である。図3(B)に示すように、底面Sbは、案内溝140を備えている。案内溝140はインクカートリッジIC1の収容位置を固定するために用いられる。
【0032】
側面Scは、先端面Sf,天井面St及び底面Sbと直交し、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に挿入方向に見て左端に位置する面である。側面Scはフラットな外観形状を有している。側面Scにおいて、天井面Stと交わる部分には、長手方向に沿って切り欠き111が形成されている。同様に、側面Scにおいて、底面Sbと交わる部分には、長手方向に沿って切り欠き112が形成されている。
【0033】
側面Sdは、先端面Sf,天井面St及び底面Sbと直交して側面Scと対向する面であり、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に挿入方向に見て右端に位置する。側面Sdは凹部135と、位置決め用突起部11とを備えている。凹部135は、側面Sdにおいて後端面Srに近い位置に配置されている。この凹部135の周囲には縁部136が形成されている。
【0034】
位置決め用突起部11は、縁部136において、側面Sd(縁部136)と後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍に配置されている。位置決め用突起部11は、側面Sd(縁部136)の他の部分に比べて、インクカートリッジIC1の挿入方向(+X方向)と垂直な方向(−Z方向)に突出している。この位置決め用突起部11は、例えば、側面Sd(縁部136)と後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍に突起が生じるような金型を用いて、側面Sdを含む部材を成型することにより形成できる。また、例えば、予め縁部136をフラットとなるように成型しておき、その後、側面Sd(縁部136)と後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍に樹脂部材を溶着して形成することもできる。
【0035】
図2(B)に示すように、インクカートリッジIC1は、先端面Sfと側面Sdとに亘って形成された開口部133を備えている。開口部133の内部には、第1の凹凸嵌合部134が配置されている。この第1の凹凸嵌合部134は、後述のカートリッジホルダー200が備える第2の凹凸嵌合部と共に、インクカートリッジの誤装着を防止するために用いられる。第1の凹凸嵌合部134の形状は、各インクカートリッジIC1〜IC4毎に異なっている。
【0036】
A3.カートリッジホルダーの構成:
以下、図4〜6を用いて、カートリッジホルダー200の構成について説明する。図4(A)は、図1に示すカートリッジホルダー200の斜め上方からの斜視図である。図4(B)は、図1に示すカートリッジホルダー200の斜め下方からの斜視図である。図5は、図1に示すカートリッジホルダー200の平面図である。図6は、図4,5に示すホルダー本体201の構成を示す第1の斜視図である。図7は、図4,5に示すホルダー本体201の構成を示す第2の斜視図である。
【0037】
図4(A),5に示すように、カートリッジホルダー200は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4をそれぞれ収容する4つの収容スロットSL1〜SL4を備えている。これら収容スロットSL1〜SL4は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4の挿入方向と垂直な方向に並んで配置されている。カートリッジホルダー200は、ホルダー本体201と、枠体202とを備えている。
【0038】
図6に示すように、ホルダー本体201は、基台203と壁体204とを備え、側面視略L字型の外観形状を有する。基台203は、樹脂材料または金属材料により、平面視矩形状をなすように成形されている。基台203は、各収容スロットSL1〜SL4に、それぞれ第1の挿入案内用リブ22aと、固定部材25とを備えている。第1の挿入案内用リブ22aは、各収容スロットSL1〜SL4にインクカートリッジIC1〜IC4が挿入される際に、挿入方向を案内するために用いられる。第1の挿入案内用リブ22aは、図4(A),図6に示すように、基台203の上面S21においてインクカートリッジの挿入方向に沿って延びるように配置されている。
【0039】
固定部材25は、挿入されるインクカートリッジIC1〜IC4の収容位置を固定するために用いられる。固定部材25は、図6に示すように、基台203における壁体204の近傍において、上方(基台203の上面S21と垂直な方向)に突出している。固定部材25は、カートリッジホルダー200に各インクカートリッジIC1〜IC4が挿入される際に、各インクカートリッジIC1〜IC4の案内溝140(図3(B))に挿入され、図3(B)において破線で示す経路r1を相対的に移動する。固定部材25は、案内溝140に挿入された状態(各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に収容された状態)において案内溝140を上方に押圧するように構成されている。また、固定部材25は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に収容された状態で更に挿入方向に押し込まれると、図3(B)において一点鎖線で示す経路r2に沿って案内溝140を相対的に移動して排出されるように構成されている。固定部材25が案内溝140から排出されると、カートリッジホルダー200における各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置の固定は解除され、ユーザは、各インクカートリッジIC1〜IC4をカートリッジホルダー200から抜くことができる。
【0040】
図6,7に示すように、壁体204は、4つのスライダー部材204aと、4つのインク供給ピン24と、4組の一対の位置決めピン23a,23bと、4つの第2の凹凸嵌合部27と、4組の一対の付勢バネ41a,41bと、フレーム204bと、4つのホルダー側端子26とを備えている。
【0041】
4つのスライダー部材204aは、それぞれ、各収容スロットSL1〜SL4に対応して配置された板状部材であり、基台203の上面S21と垂直となるように配置され、インクカートリッジの挿入方向又は排出方向(−X方向:挿入方向とは反対向き)にスライド可能に構成されている。各スライダー部材204aには、厚さ方向に延びる複数の貫通孔が設けられており、インク供給ピン24と、一対の位置決めピン23a,23bと、第2の凹凸嵌合部27とは、いずれも貫通孔に挿入されている。これらインク供給ピン24と、一対の位置決めピン23a,23bと、第2の凹凸嵌合部27とは、図6に示すように、スライダー部材204aの面S24からインクカートリッジIC1〜IC4の挿入方向とは逆向きに突出して配置されている。この面S24は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入された場合に先端面Sfと対向する。
【0042】
インク供給ピン24は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入される際にインク供給口120(図2(B))に挿入され、各インクカートリッジIC1〜IC4内のインクをインク送出部411〜414へと供給する。
【0043】
一対の位置決めピン23a,23bは、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入される際に位置決め穴131,132(図2(B))に挿入され、各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置を定めるために用いられる。
【0044】
第2の凹凸嵌合部27は、第1の凹凸嵌合部134(図2(B))の形状に対応する形状を有しており、各収容スロットSL1〜SL4毎にその形状は異なっている。具体的には、例えば、収容スロットSL1の第2の凹凸嵌合部27は、インクカートリッジIC1の第1の凹凸嵌合部134の形状にのみ対応する形状を有しており、他のインクカートリッジIC2〜IC4の第1の凹凸嵌合部134の形状には対応しない形状を有している。これにより、収容スロットSL1には、ブラックインクを収容するインクカートリッジIC1のみが収容可能となり、他の色のインクカートリッジIC2〜IC4は収容できないこととなる。このように、プリンター500では、第1の凹凸嵌合部134及び第2の凹凸嵌合部27によって、各色のインクカートリッジを、それぞれ所定の収容スロットに収容可能に構成されている。
【0045】
一対の付勢バネ41a,41bは、スライダー部材204aの面S24とは反対側の面S24aと当接し、スライダー部材204aを排出方向に付勢する。各インクカートリッジIC1〜IC4は、各収容スロットSL1〜SL4に挿入された際に、各スライダー部材204aの面S24に突き当たり、一対の付勢バネ41a,41bの付勢力に打ち勝ってさらに挿入方向に押し込まれる。それゆえ、各インクカートリッジIC1〜IC4は、カートリッジホルダー200に収容された状態において、一対の付勢バネ41a,41bによって排出方向に付勢される。ユーザにより各インクカートリッジIC1〜IC4が挿入方向に押し込まれて、固定部材25が案内溝140から排出されると、各インクカートリッジIC1〜IC4は、一対の付勢バネ41a,41bの付勢力により排出方向に押し出される。それゆえ、ユーザはインクカートリッジIC1〜IC4をカートリッジホルダー200から容易に取り出すことができる。
【0046】
フレーム204bは、金属板を用いてプレス成形されており、4つのスライダー部材204aの側面を囲むように配置されている。図6に示すように、フレーム204bは、基台203の上面S21と平行な面S25を備えている。面S25は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入された場合に天井面Stと対向する。4つのホルダー側端子26は、それぞれ面S25における各収容スロットSL1〜SL4に対応する位置に配置されている。なお、図7では、フレーム204bを省略している。
【0047】
ホルダー側端子26は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入された場合に、回路基板110(図2(A),(B))と接触して導通する。プリンター500が備える制御基板(図示省略)内のCPUは、このホルダー側端子26を介して、回路基板110内の記憶素子(図示省略)から各種情報を読み出すことができる。
【0048】
枠体202は、金属板を用いてプレス成形され、図4(A),(B)に示すように断面コ字状の外観形状を有している。図4(A),(B)に示すように、枠体202の中央に位置する平面部206の内側面S22には、5本の第2の挿入案内用リブ22bが互いに平行となるように配置されている。枠体202は、壁体204及び基台203を囲むように配置されている。平面部206の内側面S22は、枠体202とホルダー本体201とが組み合わされた状態において基台203の上面S21と垂直方向に対向している。図5に示すように、各収容スロットSL1〜SL4において、ホルダー本体201の第1の挿入案内用リブ22aと、枠体202の第2の挿入案内用リブ22bとは、互いに鉛直方向に対向して配置されている。
【0049】
前述のインク供給装置510は、請求項における液体供給装置に相当する。また、カートリッジホルダー200は請求項における容器ホルダーに、第1の挿入案内用リブ22aは請求項における装着案内用リブに、各インクカートリッジIC1〜IC4は請求項における液体容器に、天井面St及び底面Sbは請求項における直交面に、基台203の上面S21及び枠体202の内側面S22は請求項における一対の対向面に、側面Sd,Scは請求項におけるリブ対向面に、固定部材25は請求項における固定突起部に、一対の位置決めピン23a,23bは請求項における付勢部に、それぞれ相当する。
【0050】
A4.インクカートリッジの収容位置の固定:
図8は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4を収容した状態におけるカートリッジホルダー200を示す平面図である。図8の例では、収容スロットSL1にインクカートリッジIC1が収容(挿入)されている。同様に、収容スロットSL2にインクカートリッジIC2が、収容スロットSL3にインクカートリッジIC3が、収容スロットSL4にインクカートリッジIC4が、それぞれ収容(挿入)されている。
【0051】
インクカートリッジIC1は、収容スロットSL1の一対の挿入案内用リブ22a,22bと、隣接する収容スロットSL2の一対の挿入案内用リブ22a,22bとの間に配置されている。インクカートリッジIC1の切り欠き111は、収容スロットSL2の第2の挿入案内用リブ22bに対応する位置に配置されるため、インクカートリッジIC1は収容スロットSL2の第2の挿入案内用リブ22bに衝突せずに挿入され得る。同様に、インクカートリッジIC1の切り欠き112は、収容スロットSL2の第1の挿入案内用リブ22aに対応する位置に配置されている。
【0052】
インクカートリッジIC1の側面Scは、収容スロットSL2の一対の挿入案内用リブ22a,22bと接していない。同様に、インクカートリッジIC1の側面Sdは、第2の挿入案内用リブ22bとは接していない。一方、側面Sdは、位置決め用突起部11において第1の挿入案内用リブ22aと接触している。すなわち、インクカートリッジIC1の後端面Srにおいて、位置決め用突起部11に対応する部分の幅(4つのインクカートリッジIC1〜IC4が並ぶ方向(Z軸方向)の長さ)は、収容スロットSL1の第1の挿入案内用リブ22aと収容スロットSL2の第1の挿入案内用リブ22aとの間の長さとほぼ一致している。したがって、インクカートリッジIC1において、後端面Sr及び底面Sbに近い部分の収容位置は、位置決め用突起部11及び収容スロットSL1,SL2の2つの第1の挿入案内用リブ22aによって定められることとなる。
【0053】
図9は、インクカートリッジ挿入時における図8に示すA−A断面を模式的に示す説明図である。図9の例では、2つのインクカートリッジIC1,IC2がカートリッジホルダー200に既に収容され、インクカートリッジIC3がカートリッジホルダー200に挿入される際の状態を示す。なお、図9の例では、収容スロットSL4には、インクカートリッジIC4は収容されていない。
【0054】
図9の上段に示すように、インクカートリッジIC3を収容スロットSL3に挿入する際に、インクカートリッジIC3の側面Sdと、収容スロットSL3の第1の挿入案内用リブ22aとの間には隙間d1が生じている。また、インクカートリッジIC3の側面Scと、収容スロットSL4の第1の挿入案内用リブ22aとの間には隙間d2が生じている。したがって、インクカートリッジIC3を収容スロットSL3に挿入する際に、インクカートリッジIC3と隣り合う収容スロットSL2,SL4との間のクリアランスが確保されているため、ユーザは、インクカートリッジIC3を容易に挿入し得る。
【0055】
一方、図9の下段に示すように、インクカートリッジIC3がカートリッジホルダー200に収容されると、インクカートリッジIC3の位置決め用突起部11は、収容スロットSL3の第1の挿入案内用リブ22aに当接する。したがって、インクカートリッジIC3が収容された後において、インクカートリッジIC3の後端面Sr側における幅方向(各収容スロットSL1〜SL4の並んだ方向)の位置ずれは抑制され、収容位置は固定される。なお、インクカートリッジIC3において、先端面Sf側の収容位置は、位置決めピン23aや、固定部材25や、図示しない位置決めピン23bによって定められる。
【0056】
以上説明したように、第1の実施例のインク供給装置510では、各インクカートリッジIC1〜IC4において、側面Sdと後端面Srと側面Sdとが交わる角の近傍に位置決め用突起部11が配置されており、カートリッジホルダー200に収容された状態において、各収容スロットSL1〜SL4の第1の挿入案内用リブ22aに位置決め用突起部11が当接するように構成されている。したがって、各収容スロットSL1〜SL4の幅方向(挿入方向と垂直な方向)の長さを大きくして、各インクカートリッジIC1〜IC4の挿入時において隣接する収容スロットとの間のクリアランスを確保して装着性を向上させると共に、カートリッジホルダー200における各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置を定めることができる。また、位置決め用突起部11により各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置を定めるので、各インクカートリッジIC1〜IC4を加圧せずに収容位置のずれを抑制できる。
【0057】
B.第2の実施例:
図10は、第2の実施例のインク供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す正面図である。第2の実施例のプリンターは、カートリッジホルダーにおける2つの位置決めピン23a,23bの配置位置と、各インクカートリッジが一対の位置決めピン23a,23bを介して付勢される点とにおいて、第1の実施例のプリンター(図1)と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。
【0058】
第2の実施例のカートリッジホルダー200aが備える一対の位置決めピン23a,23bは、面S24において、左隣りの収容スロットに近い位置に配置されている。ここで、各収容スロットSL1〜SL4において、一対の位置決めピン23a,23bは、挿入方向に見て、固定部材25を基準として、挿入される各インクカートリッジIC1〜IC4の2つの側面Sd,Sc間の距離方向(Z方向)に距離Xだけオフセットされて配置されている。
【0059】
図11は、収容スロットSL1にインクカートリッジが挿入された状態における図10に示すB−B断面を模式的に示す断面図である。図11の例では、収容スロットSL1にインクカートリッジIC1aが挿入されており、固定部材25は案内溝140(図示省略)に挿入され、位置決めピン23aは位置決め穴132(図示省略)に挿入されている。
【0060】
図10,11に示すように、第2の実施例のスライダー部材204cは、位置決めピン23aの根元部分に、インクカートリッジIC1aと当接するための当接部32aを備えている。同様に、スライダー部材204cは、位置決めピン23bの根元部分に当接部32bを備えている。図11に示すように、位置決めピン23a及び当接部32aは、スライダー部材204c内部に配置された付勢バネ28aにより排出方向に付勢されている。第2の実施例のインクカートリッジIC1aは、一対の位置決め穴132の入口を囲むように当接部31を備えている。なお、図示は省略しているが、インクカートリッジIC1aは、位置決め穴131の入口を囲むように同様な当接部を備えている。このような構成により、インクカートリッジIC1aがカートリッジホルダー200に収容された状態において、スライダー部材204cの当接部32aと、インクカートリッジIC1aの当接部31とは当接する。なお、スライダー部材204cの当接部32bにおいても同様である。したがって、インクカートリッジIC1aは、カートリッジホルダー200に収容された状態において付勢バネ28aにより排出方向に付勢される。
【0061】
ここで、インクカートリッジIC1aは固定部材25により固定されているので、インクカートリッジIC1aには、付勢バネ28aから受ける力によって、固定部材25を軸として側面Scから側面Sdに向かうR方向のモーメントが生じる。この場合、インクカートリッジIC1aにおいて後端面Srに向かうほど、モーメントに起因する位置ずれが大きくなるおそれがある。
【0062】
しかしながら、第1の実施例とは異なり、位置決め用突起部11は、2つの側面Sd,Scのうち、位置決めピン23aに近い側の面である側面Scではなく、固定部材25に近い側の面である側面Sdに配置されている。したがって、位置決め用突起部11は、R方向のモーメントにより第1の挿入案内用リブ22aに押し当てられるので、このR方向のモーメントに起因するインクカートリッジIC1aの位置ずれは抑制される。換言すると、R方向のモーメントを利用して位置決め用突起部11を第1の挿入案内用リブ22aに押し当てることにより、インクカートリッジIC1aにおける後端面Sr側の収容位置の精度を向上させることができる。また、位置決め用突起部11を第1の挿入案内用リブ22aに押し当てるので、インクカートリッジIC1aの側面Scと、収容スロットSL2の第1の挿入案内用リブ22aとの間の隙間d5の、幅方向(各収容スロットSL1〜SL4が並ぶ方向)の長さが比較的大きくても収容位置の精度を向上させることができる。したがって、収容スロットSL1の幅を大きくすることができ、インクカートリッジIC1aの装着性を向上させることができる。以上はインクカートリッジIC1aについての説明であったが、他色のインクカートリッジ(図示省略)についても同様である。
【0063】
以上説明した第2の実施例のインク供給装置は、第1の実施例のインク供給装置510と同様な効果を有する。加えて、第2の実施例のインク供給装置では、一対の位置決めピン23a,23bを、インクカートリッジIC1a等が各収容スロットSL1〜SL4に挿入された状態において、固定部材25を中心として位置決め用突起部11と対称となる方向に配置し、かつ、一対の位置決めピン23a,23bを介してインクカートリッジIC1aを排出方向に付勢している。したがって、第2の実施例のインク供給装置は、R方向のモーメントを利用して位置決め用突起部11を第1の挿入案内用リブ22aに押し当てることができる。それゆえ、各収容スロットSL1〜SL4の幅方向の長さを大きくして装着性を向上させると共に、後端面Sr側の収容位置の位置ずれを抑制できる。
【0064】
C.第3の実施例:
図12は、第3の実施例の液体供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す断面図である。第3の実施例のプリンターは、カートリッジホルダー200bにおける一対の挿入案内用リブの形状において、第1の実施例のプリンター(図1)と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。なお、図12の例では、図8におけるA−A断面と同じ位置における、カートリッジホルダー200bの断面を表わしている。また、図12の例では、図9の上段と同様に、収容スロットSL1,SL2に対応するインクカートリッジIC1,IC2が既に収容され、収容スロットSL3にインクカートリッジIC3が挿入される状態を表わしている。
【0065】
第3の実施例のカートリッジホルダー200bにおいて、ホルダー本体201bに配置されている第1の挿入案内用リブ22cは、挿入方向に沿って中央部分に薄肉部29bを有し、両端(先端及び後端)部分に厚肉部29aを有している。厚肉部29aの幅方向(各収容スロットSL1〜SL4が並ぶ方向)の長さは、第1の実施例における第1の挿入案内用リブ22aの幅方向の長さと同じである。したがって、第3の実施例においても、位置決め用突起部11は第1の挿入案内用リブ22cと当接しており、2つのインクカートリッジIC1,IC2の後端面Sr側の収容位置は定められている。
【0066】
ここで、薄肉部29bの幅方向の長さは、第1の実施例における第1の挿入案内用リブ22aの幅方向の長さよりも小さい。したがって、例えば、インクカートリッジIC3の側面Sdと収容スロットSL3の薄肉部29bとの間の隙間d3の幅方向の長さは、第1の実施例の隙間d1(図9)の幅方向の長さよりも大きい。それゆえ、インクカートリッジIC3を収容スロットSL3に挿入する際に隣接する収容スロットSL2,SL4との間のクリアランスが大きく、装着性に優れている。なお、各収容スロットSL1〜SL4において、第1の挿入案内用リブ22cと対となる第2の挿入案内用リブ(図示省略)も、第1の挿入案内用リブ22cと同じ形状を有している。
【0067】
以上説明した第3の実施例のインク供給装置は、第1の実施例のインク供給装置510と同様な効果を有する。加えて、カートリッジホルダー200の各収容スロットSL1〜SL4に設けられた一対の第1の挿入案内用リブは、各インクカートリッジIC1〜IC4の挿入方向に沿って、中央部分に薄肉部29bを、両端部分に厚肉部29aを有するため、各インクカートリッジIC1〜IC4の挿入時におけるクリアランスを十分に確保しつつ、後端面Sr側の収容位置を定めることができる。
【0068】
D.第4の実施例:
図13は、第4の実施例の液体供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す断面図である。第4の実施例のプリンターは、基台203cの挿入方向及び排出方向(X軸方向)の長さと、各インクカートリッジにおける位置決め用突起部11の配置位置において、第1の実施例のプリンター(図1)と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。なお、図13の例では、図8におけるA−A断面と同じ位置におけるカートリッジホルダー200cの断面を表わしている。また、図13の例では、図9の上段と同様に、収容スロットSL1,SL2にそれぞれ対応する色(ブラック及びシアン)のインクカートリッジIC5,IC6が既に収容され、収容スロットSL3に、対応する色(マゼンタ)のインクカートリッジIC7が挿入される状態を表わしている。
【0069】
第4の実施例のカートリッジホルダー200cにおいて、基台203cの挿入方向及び排出方向の長さは、第1の実施例の基台203(図6)の挿入方向及び排出方向の長さよりも短い。したがって、図13の収容スロットSL1,SL2に示すように、収容されている各インクカートリッジIC5,IC6の後端面Sr側は、カートリッジホルダー200cから突き出ている。
【0070】
ここで、各インクカートリッジIC5〜IC7において、位置決め用突起部11は、第1の実施例とは異なり、側面Sdにおいて先端面Sf側に配置されている。しかしながら、位置決め用突起部11は、第1の実施例と同様に、各インクカートリッジIC5,IC6が収容された状態において、第1の挿入案内用リブ22aの後端部分と当接している。
【0071】
以上説明した第4の実施例のインク供給装置は、第1の実施例のインク供給装置510と同様な効果を有する。ただし、第4の実施例のインク供給装置は、第1の実施例のインク供給装置510とは異なり、位置決め用突起部11によって、各インクカートリッジIC5〜IC7の先端面Sf側の収容位置を定めることができる。
【0072】
E.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0073】
E1.変形例1:
各実施例において、位置決め用突起部11の配置位置は、各インクカートリッジIC1〜IC4の側面Sdにおいて、側面Sd(縁部136)と後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各実施例における配置位置に代えて、又は、各実施例における配置位置に加えて、側面Sd(縁部136)と後端面Srと天井面Stとが交わる角の近傍に、位置決め用突起部11を配置することもできる。このようにすることで、各インクカートリッジIC1〜IC4をカートリッジホルダー200に挿入した場合に、位置決め用突起部11を第2の挿入案内用リブ22bに当接させることができる。したがって、各インクカートリッジIC1〜IC4において、後端面Sr側の収容位置を定めることができる。特に、側面Sdと後端面Srと天井面Stとが交わる角の近傍に位置決め用突起部11を配置するので、回路基板110とホルダー側端子26との接点に近い位置において位置決め用突起部11を第2の挿入案内用リブ22bに当接させることができる。したがって、接点の位置ずれを確実に抑制することができる。なお、位置決め用突起部11を複数配置することにより、各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置の精度を向上させることができる。
【0074】
また、位置決め用突起部11の配置位置として、各実施例における配置位置に代えて、又は、各実施例における配置位置に加えて、側面Scにおいて、側面Scと後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍に配置することもできる。また、天井面St或いは底面Sbにおいて、後端面Srの近傍に配置することもできる。これらの構成においても、各インクカートリッジIC1〜IC4の挿入時における装着性を向上させると共に、カートリッジホルダー200に収容した際の各インクカートリッジIC1〜IC4における後端面Sr側の収容位置を定めることができる。
【0075】
E2.変形例2:
各実施例において、位置決め用突起部11は、各インクカートリッジIC1〜IC4に配置されていたが、これに代えて、第1の挿入案内用リブ22a,22c、又は第2の挿入案内用リブ22bに配置することもできる。例えば、第1の実施例では、各収容スロットSL1〜SL4において、第1の挿入案内用リブ22aの後端(挿入方向に沿って最も後ろ側)に、幅方向(各収容スロットSL1〜SL4が並ぶ方向)に突出するように、位置決め用突起部11を配置することができる。このような構成においても、各インクカートリッジIC1〜IC4が収容された場合に、各インクカートリッジIC1〜IC4の後端面Sr側の収容位置を定めることができる。また、各収容スロットSL1〜SL4において、入口部分は位置決め用突起部11によって狭くなるが、奥部分は広く構成できるので、各インクカートリッジIC1〜IC4の装着性を向上できる。
【0076】
E3.変形例3:
各実施例では、プリンター500は、各インク送出部411〜414を用いて、各インクカートリッジIC1〜IC4からインクを吸引して供給するタイプのプリンターであったが、これに代えて、各インクカートリッジIC1〜IC4内を加圧してインクを供給するタイプのプリンターとすることもできる。この構成では、位置決め用突起部11により収容位置を定めるのに加えて、各インクカートリッジIC1〜IC4内を加圧して膨張させることにより、隣接するインクカートリッジ同士を圧接させて収容位置を定めることができる。
【0077】
E4.変形例4:
第3の実施例では、第1の挿入案内用リブ22cは、挿入方向に沿って中央部分に薄肉部29bを有し、両端(先端及び後端)部分に厚肉部29aを有していたが、これに代えて、後端部分(位置決め用突起部11と当接する部分)のみに圧肉部を有し、他の部分はいずれも薄肉部を有する構成とすることもできる。この構成であっても、位置決め用突起部11を第1の挿入案内用リブ22cに当接させ、各インクカートリッジIC1〜IC4の後端面Sr側の収容位置を定める。すなわち、一般には、位置決め用突起部と当接する部分とは異なる部分において薄肉部を有する装着案内用リブを、本発明の液体供給装置に採用することができる。
【0078】
E5.変形例5:
第2の実施例では、インクカートリッジIC1aは、収容スロットSL1に挿入された状態において一対の位置決めピン23a,23bを介して排出方向に付勢されていたが、これに代えて、インクカートリッジIC1aが排出方向に付勢されない構成とすることもできる。このような構成であっても、カートリッジホルダー200に振動が加えられた場合などには、R方向のモーメントは生じ得る。この場合も、位置決め用突起部11が第1の挿入案内用リブ22aに押し当てられるので、インクカートリッジIC1aの収容位置のずれは抑制され得る。
【0079】
E6.変形例6:
各実施例では、用いられるインクの種類は4色であったが、これに代えて、任意の種類のインクを用いることができる。この場合、カートリッジホルダー200における収容スロットの数も任意の数とすることができる。例えば、黒一色を印字するプリンターであれば、収容スロット数を1つとすることもできる。
【0080】
E7.変形例7:
各実施例では、プリンター500は、キャリッジ400が往復動を行う、いわゆるシリアルヘッド方式のプリンターであったが、これに代えて、記録用紙Pの幅方向に多数のノズルが並び、往復動を行わないいわゆるラインヘッド方式のプリンターを採用することもできる。また、シリアルヘッドを複数並べた構成のプリンターを採用することもできる。また、オフキャリッジタイプのプリンターに代えて、各インクカートリッジIC1〜IC4がキャリッジに搭載される、いわゆるオンキャリッジタイプのプリンターを採用することもできる。この構成では、各インクカートリッジIC1〜IC4を搭載するキャリッジは、請求項における容器ホルダーに相当する。
【0081】
E8.変形例8:
各実施例では、インクカートリッジIC1〜IC7,IC1aは、扁平な略直方体の外観形状を有していたが、本発明はこれに限定されるものではない。各インクカートリッジIC1〜IC7,IC1aが各収容スロットSL1〜SL4に挿入された状態において、位置決め用突起部11が第1の挿入案内用リブ22a又は第2の挿入案内用リブ22bと当接可能な任意の外観形状とすることができる。すなわち、一般には、液体容器が容器ホルダーに装着された状態において、装着案内用リブと対向するリブ対向面を備える液体容器を、本発明の液体容器として採用することができる。
【0082】
E9.変形例9:
各実施例では、インクジェット型プリンターに用いられるインク供給装置について説明したが、本発明は、これに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の液体噴射装置に用いられる液体供給装置に適用することができる。例えば、ファクシミリ装置等の画像記録装置や、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッドや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーや、面発光ディスプレー (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置や、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置や、精密ピペットとしての試料噴射装置や、潤滑油の噴射装置や、樹脂液の噴射装置等にも適用できる。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置に用いられる液体供給装置を採用しても良い。そして、これら微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置のうちいずれか一種の液体噴射装置に用いられる液体供給装置に本発明を適用することができる。
【0083】
なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
【符号の説明】
【0084】
IC1〜IC7,IC1a…インクカートリッジ、11…位置決め用突起部、22a,22c…第1の挿入案内用リブ、22b…第2の挿入案内用リブ、23a,23b…位置決めピン、24…インク供給ピン、25…固定部材、26…ホルダー側端子、27…第2の凹凸嵌合部、28a…付勢バネ、29a…厚肉部、29b…薄肉部、31,32…当接部、41a,41b…一対の付勢バネ、110…回路基板、120…インク供給口、131,132…位置決め穴、133…開口部、134…第1の凹凸嵌合部、135…凹部、136…縁部、140…案内溝、200,200a〜200c…カートリッジホルダー、201…ホルダー本体、201b…ホルダー本体、202…枠体、203,203c…基台、204…壁体、204a…スライダー部材、204b…フレーム、206…平面部、260…ガイドロッド、400…キャリッジ、411〜414…インク送出部、421〜424…インク導出管、431〜434…配管、450…記録ヘッド、460…プラテン、500…プリンター、510…インク供給装置、P…記録用紙、r1,r2…経路、d1〜d3,d5…隙間、Sb…底面、Sc…側面、Sd…側面、Sf…先端面、Sr…後端面、St…天井面、S21…上面、S22…内側面、S24,S25…面、SL1〜SL4…収容スロット
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に供給する液体の容器、及びその容器を収容する液体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、いわゆるオフキャリッジタイプのインクジェット式プリンターでは、プリンター本体に取り付けられたカートリッジホルダーにインクカートリッジが装着される。カートリッジホルダーでは、インクカートリッジの装着性を向上させるため、インクカートリッジを収容する収容スロットの幅が広いことが好ましい。しかしながら、収容スロットの幅が広い場合、インクカートリッジの収容位置が固定され難いため収容位置のずれが起こり得る。インクの種類や残量等の情報を記録するための記憶素子(IC)を実装した回路基板が外面に配置されたインクカートリッジを用いる場合、収容位置のずれにより、カートリッジホルダーに設けられた端子とインクカートリッジの回路基板とが接触しなくなるおそれがある。
【0003】
そこで、インクカートリッジにおいて、側面(隣接するインクカートリッジ又はカートリッジホルダーの壁面と対向する面)を膨張変形可能な部材で構成すると共に、インクカートリッジ内に加圧空気を供給して膨張させて隣り合うインクカートリッジ同士を圧接させることにより、インクカートリッジの収容位置のずれを抑制するインクジェット式プリンターが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−137376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクカートリッジ内の加圧によりインクカートリッジの収容位置のずれを抑制する技術は、インクカートリッジ内を加圧せずにインクを供給するタイプのプリンターには適用できないという問題があった。なお、上記問題は、インクジェット式プリンターに限らず、潤滑油や樹脂液等の任意の液体を噴射する液体噴射装置であって、液体を収容する液体容器及びその容器ホルダーを供える液体噴射装置において起こり得る。
【0006】
本発明は、容器ホルダーへの液体容器の装着性を向上させると共に、液体容器内を加圧せずに容器ホルダー内における液体容器の収容位置のずれを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]装着案内用リブを有する容器ホルダーに装着されて用いられる液体容器であって、前記容器ホルダーに装着された状態において、前記装着案内用リブと対向するリブ対向面と、前記リブ対向面に配置され、前記容器ホルダーに装着された状態において前記装着案内用リブと当接し、前記液体容器の装着位置を定めるための位置決め用突起部と、を備える液体容器。
【0009】
適用例1の液体容器では、リブ対向面に、容器ホルダーに挿入された状態において装着案内用リブと当接する位置決め用突起部を備えているので、この位置決め用突起部により液体容器内を加圧せずに容器ホルダー内における液体容器の収容位置のずれを抑制できると共に、容器ホルダーにおいて液体容器を装着するための空間を大きく構成でき、液体容器の装着性を向上させることができる。
【0010】
[適用例2]適用例1に記載の液体容器において、さらに、前記液体容器が前記容器ホルダーに装着される際に先端に位置し、前記容器ホルダーと接続する先端面と、前記液体容器が前記容器ホルダーに装着される際に後端に位置する後端面と、を備え、前記位置決め用突起部は、前記リブ対向面において、前記先端面よりも前記後端面に近い位置に配置されている、液体容器。
【0011】
このような構成により、液体容器の後端面に近い位置における収容位置のずれを抑制できる。したがって、先端面側は容器ホルダーと接続されるので収容位置のずれを抑制でき、また、後端面側は位置決め用突起部により収容位置のずれを抑制できるので、液体容器全体の収容位置のずれを抑制できる。
【0012】
[適用例3]適用例1または適用例2に記載の液体容器において、さらに、前記リブ対向面と直交する直交面を備え、前記リブ対向面は、互いに対向し、前記液体容器の装着方向と平行な2つの面からなり、前記容器ホルダーは、さらに、装着された前記液体容器に対して装着方向とは反対向きの力を加える付勢部と、前記装着方向と垂直な方向に突出し、装着された前記液体容器の前記直交面に当接して前記液体容器の装着位置を定めるための固定突起部と、を有し、前記付勢部は、前記装着方向に見て、前記固定突起部を基準として前記リブ対向面の2つの面間の距離方向にオフセットされて配置され、前記位置決め用突起部は、前記リブ対向面の2つの面のうち、前記付勢部に近い側の面ではなく、前記固定突起部に近い側の面に配置されている、液体容器。
【0013】
このような構成により、液体容器において固定突起部を軸として、付勢部に近い側の面から固定突起部に近い側の面に向かうモーメントを生じさせることができるので、このモーメントを利用して位置決め用突起部を装着案内用リブに突き当てることができる。したがって、液体容器の収容位置の精度を向上させることができると共に、容器ホルダーにおいて液体容器を装着するための空間を大きくした場合であっても位置決め用突起部を装着案内用リブに押し当てることができるので、液体容器の収容位置のずれを抑制できる。
【0014】
[適用例4]適用例1ないし適用例3のいずれか一例に記載の液体容器において、前記容器ホルダーは、前記液体容器が装着された状態において、前記液体容器を挟んで互いに対向する一対の対向面を有すると共に、前記一対の対向面にそれぞれ前記装着案内用リブを有し、前記液体容器は、さらに、前記一対の対向面が有する2つの前記装着案内用リブにそれぞれ当接する2つの前記位置決め用突起部を備える、液体容器。
【0015】
このような構成により、互いに対向する一対の対向面にそれぞれ配置された装着案内用リブに、位置決め用突起部をそれぞれ当接させることができ、液体容器の収容位置の精度を向上させることができる。
【0016】
[適用例5]適用例1ないし適用例4のいずれか一例に記載の液体容器を装着可能な前記容器ホルダーを備える液体供給装置であって、前記装着案内用リブは、前記位置決め用突起部と当接する部分とは異なる部分において薄肉部を有する、液体供給装置。
【0017】
このような構成により、液体容器の装着時におけるクリアランスを大きく確保でき、液体容器の装着性を向上させることができる。
【0018】
[適用例6]適用例5に記載の液体供給装置において、前記容器ホルダーは、複数の前記液体容器を、前記装着方向と垂直な方向に沿って並んで装着する、液体供給装置。
【0019】
このような構成により、容器ホルダーにおいて、複数の液体容器が既に装着されている状態で新たに液体容器を装着する際に、新たに装着する液体容器と既に装着されている液体容器との間のクリアランスを確保できるので、液体容器を容易に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の液体供給装置を適用したプリンター500の概略構成を示す説明図である。
【図2】インクカートリッジIC1の外観を示す斜視図である。
【図3】インクカートリッジIC1の外観を示す正面図及び底面図である。
【図4】図1に示すカートリッジホルダー200の斜め上方及び斜め下方からの斜視図である。
【図5】図1に示すカートリッジホルダー200の平面図である。
【図6】図4,5に示すホルダー本体201の構成を示す第1の斜視図である。
【図7】図4,5に示すホルダー本体201の構成を示す第2の斜視図である。
【図8】4つのインクカートリッジIC1〜IC4を収容した状態におけるカートリッジホルダー200を示す平面図である。
【図9】インクカートリッジ挿入時における図8に示すA−A断面を模式的に示す説明図である。
【図10】第2の実施例のインク供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す正面図である。
【図11】収容スロットSL1にインクカートリッジが挿入された状態における図10に示すB−B断面を模式的に示す断面図である。
【図12】第3の実施例の液体供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す断面図である。
【図13】第4の実施例の液体供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
A.第1の実施例:
A1.プリンターの概略構成:
図1は、本発明の液体供給装置を適用したプリンター500の概略構成を示す説明図である。このプリンター500は、4色(ブラック,シアン,マゼンタ,イエロー)のインクを吐出可能なインクジェット式プリンターである。また、プリンター500は、各色のインクカートリッジ(後述)がキャリッジ(後述)に装着されず、プリンター本体側に装着されるいわゆるオフキャリッジタイプのプリンターである。プリンター500は、キャリッジ400と、記録ヘッド450と、ガイドロッド260と、プラテン460と、インク供給装置510とを備えている。なお、図1では、プリンター500が載置された状態において鉛直方向上向きが+Y方向と一致する。
【0022】
キャリッジ400は、底面に記録ヘッド450を備えており、インク供給装置510から供給される各色のインクを記録ヘッド450に供給する。キャリッジ400は、ガイドロッド260に沿ってプラテン460の長手方向に往復移動可能に支持され、キャリッジモータ(図示省略)によりタイミングベルト(図示省略)を介して駆動される。記録ヘッド450は、キャリッジ400の長手方向の往復運動に伴い多数のノズル(図示省略)からインク滴を下方に吐出する。このとき、図示しない紙送り機構によって記録用紙Pがプラテン460上を搬送されることにより、記録用紙Pに画像等が形成される。
【0023】
インク供給装置510は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4と、カートリッジホルダー200と、4つのインク導出管421〜424と、4つのインク送出部411〜414と、4つの配管431〜434とを備えている。インクカートリッジIC1は、ブラックインクを収容する。同様に、インクカートリッジIC2はシアンインクを、インクカートリッジIC3はマゼンタインクを、インクカートリッジIC4はイエローインクを、それぞれ収容する。
【0024】
カートリッジホルダー200は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4を、それぞれ着脱自在に収容する。なお、図1の例では、4つのインクカートリッジIC1〜IC4は、カートリッジホルダー200に装着(挿入)されていない。カートリッジホルダー200は、プリンター本体に固定されており、インク導出管421を介してインク送出部411と接続されている。同様に、カートリッジホルダー200は、インク導出管422を介してインク送出部412と、インク導出管423を介してインク送出部413と、インク導出管424を介してインク送出部414と、それぞれ接続されている。
【0025】
インク送出部411は、配管431を介してキャリッジ400と接続されている。同様に、インク送出部412は配管432を介して、インク送出部413は配管433を介して、インク送出部414は配管434を介して、それぞれキャリッジ400と接続されている。インク送出部411は、図示しないポンプ及び逆止弁を備えており、カートリッジホルダー200に挿入されたインクカートリッジIC1からインク導出管421を介してブラックインクを吸引し、配管431を介してキャリッジ400に供給する。なお、他の3つのインク送出部412〜414も同様な構成を有する。このように、プリンター500は、各インクカートリッジIC1〜IC4を加圧してインクを供給するタイプのプリンターではなく、各インクカートリッジIC1〜IC4からインクを吸引して供給するタイプのプリンターである。
【0026】
4つの配管431〜434は、いずれも可撓性を有する部材(例えば、シリコンゴムやブチルゴム等)で形成されており、キャリッジ400の往復移動と共に変位可能に構成されている。
【0027】
A2.インクカートリッジの構成:
以下、図2,3を用いて、4つのインクカートリッジIC1〜IC4の構成を説明する。なお、各インクカートリッジIC1〜IC4はいずれも同じ構成を有するので、インクカートリッジIC1を代表して説明する。
【0028】
図2(A)は、インクカートリッジIC1の外観を示す第1の斜視図である。図2(B)は、インクカートリッジIC1の外観を示す第2の斜視図である。図3(A)は、インクカートリッジIC1の外観を示す正面図である。図3(B)は、インクカートリッジIC1の外観を示す底面図である。図2(A),(B)及び図3(A),(B)では、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に挿入される方向(以下、「挿入方向」と呼ぶ)が+X方向と一致する。
【0029】
図2(A),(B)に示すように、インクカートリッジIC1は扁平な略直方体の外観形状を有しており、先端面Sfと、後端面Srと、天井面Stと、底面Sbと、2つの側面Sc,Sdとを備えている。インクカートリッジIC1は、樹脂材料で形成された複数の部材を組み合わせて構成されている。インクカートリッジIC1の内部には隔壁で区切られたインク室(図示省略)が設けられており、インクカートリッジIC1は、このインク室にブラックインクを収容する。
【0030】
先端面Sfは、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に先端に位置する面である。図2(B)に示すように、先端面Sfは、2つの位置決め穴131,132と、インク供給口120とを備えている。2つの位置決め穴131,132は、カートリッジホルダー200におけるインクカートリッジIC1の収容位置を定めるために用いられる。インク供給口120は、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に収容された状態においてカートリッジホルダー200と接続し、インクカートリッジIC1内のインクをカートリッジホルダー200及びインク導出管421(図1)を介してインク送出部411に供給する。
【0031】
後端面Sr(図2)は、先端面Sfと対向する面であり、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に後端に位置する。天井面Stは、先端面Sfと直交し、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に上端に位置する面である。図2(A),(B)に示すように、天井面Stは、回路基板110を備えている。回路基板110には、インクの種類や残量等の情報を記録するための図示しない記憶素子が搭載されている。底面Sbは、先端面Sfと直交して天井面Stと対向する面であり、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に下端に位置する面である。図3(B)に示すように、底面Sbは、案内溝140を備えている。案内溝140はインクカートリッジIC1の収容位置を固定するために用いられる。
【0032】
側面Scは、先端面Sf,天井面St及び底面Sbと直交し、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に挿入方向に見て左端に位置する面である。側面Scはフラットな外観形状を有している。側面Scにおいて、天井面Stと交わる部分には、長手方向に沿って切り欠き111が形成されている。同様に、側面Scにおいて、底面Sbと交わる部分には、長手方向に沿って切り欠き112が形成されている。
【0033】
側面Sdは、先端面Sf,天井面St及び底面Sbと直交して側面Scと対向する面であり、インクカートリッジIC1がカートリッジホルダー200に装着される際に挿入方向に見て右端に位置する。側面Sdは凹部135と、位置決め用突起部11とを備えている。凹部135は、側面Sdにおいて後端面Srに近い位置に配置されている。この凹部135の周囲には縁部136が形成されている。
【0034】
位置決め用突起部11は、縁部136において、側面Sd(縁部136)と後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍に配置されている。位置決め用突起部11は、側面Sd(縁部136)の他の部分に比べて、インクカートリッジIC1の挿入方向(+X方向)と垂直な方向(−Z方向)に突出している。この位置決め用突起部11は、例えば、側面Sd(縁部136)と後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍に突起が生じるような金型を用いて、側面Sdを含む部材を成型することにより形成できる。また、例えば、予め縁部136をフラットとなるように成型しておき、その後、側面Sd(縁部136)と後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍に樹脂部材を溶着して形成することもできる。
【0035】
図2(B)に示すように、インクカートリッジIC1は、先端面Sfと側面Sdとに亘って形成された開口部133を備えている。開口部133の内部には、第1の凹凸嵌合部134が配置されている。この第1の凹凸嵌合部134は、後述のカートリッジホルダー200が備える第2の凹凸嵌合部と共に、インクカートリッジの誤装着を防止するために用いられる。第1の凹凸嵌合部134の形状は、各インクカートリッジIC1〜IC4毎に異なっている。
【0036】
A3.カートリッジホルダーの構成:
以下、図4〜6を用いて、カートリッジホルダー200の構成について説明する。図4(A)は、図1に示すカートリッジホルダー200の斜め上方からの斜視図である。図4(B)は、図1に示すカートリッジホルダー200の斜め下方からの斜視図である。図5は、図1に示すカートリッジホルダー200の平面図である。図6は、図4,5に示すホルダー本体201の構成を示す第1の斜視図である。図7は、図4,5に示すホルダー本体201の構成を示す第2の斜視図である。
【0037】
図4(A),5に示すように、カートリッジホルダー200は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4をそれぞれ収容する4つの収容スロットSL1〜SL4を備えている。これら収容スロットSL1〜SL4は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4の挿入方向と垂直な方向に並んで配置されている。カートリッジホルダー200は、ホルダー本体201と、枠体202とを備えている。
【0038】
図6に示すように、ホルダー本体201は、基台203と壁体204とを備え、側面視略L字型の外観形状を有する。基台203は、樹脂材料または金属材料により、平面視矩形状をなすように成形されている。基台203は、各収容スロットSL1〜SL4に、それぞれ第1の挿入案内用リブ22aと、固定部材25とを備えている。第1の挿入案内用リブ22aは、各収容スロットSL1〜SL4にインクカートリッジIC1〜IC4が挿入される際に、挿入方向を案内するために用いられる。第1の挿入案内用リブ22aは、図4(A),図6に示すように、基台203の上面S21においてインクカートリッジの挿入方向に沿って延びるように配置されている。
【0039】
固定部材25は、挿入されるインクカートリッジIC1〜IC4の収容位置を固定するために用いられる。固定部材25は、図6に示すように、基台203における壁体204の近傍において、上方(基台203の上面S21と垂直な方向)に突出している。固定部材25は、カートリッジホルダー200に各インクカートリッジIC1〜IC4が挿入される際に、各インクカートリッジIC1〜IC4の案内溝140(図3(B))に挿入され、図3(B)において破線で示す経路r1を相対的に移動する。固定部材25は、案内溝140に挿入された状態(各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に収容された状態)において案内溝140を上方に押圧するように構成されている。また、固定部材25は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に収容された状態で更に挿入方向に押し込まれると、図3(B)において一点鎖線で示す経路r2に沿って案内溝140を相対的に移動して排出されるように構成されている。固定部材25が案内溝140から排出されると、カートリッジホルダー200における各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置の固定は解除され、ユーザは、各インクカートリッジIC1〜IC4をカートリッジホルダー200から抜くことができる。
【0040】
図6,7に示すように、壁体204は、4つのスライダー部材204aと、4つのインク供給ピン24と、4組の一対の位置決めピン23a,23bと、4つの第2の凹凸嵌合部27と、4組の一対の付勢バネ41a,41bと、フレーム204bと、4つのホルダー側端子26とを備えている。
【0041】
4つのスライダー部材204aは、それぞれ、各収容スロットSL1〜SL4に対応して配置された板状部材であり、基台203の上面S21と垂直となるように配置され、インクカートリッジの挿入方向又は排出方向(−X方向:挿入方向とは反対向き)にスライド可能に構成されている。各スライダー部材204aには、厚さ方向に延びる複数の貫通孔が設けられており、インク供給ピン24と、一対の位置決めピン23a,23bと、第2の凹凸嵌合部27とは、いずれも貫通孔に挿入されている。これらインク供給ピン24と、一対の位置決めピン23a,23bと、第2の凹凸嵌合部27とは、図6に示すように、スライダー部材204aの面S24からインクカートリッジIC1〜IC4の挿入方向とは逆向きに突出して配置されている。この面S24は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入された場合に先端面Sfと対向する。
【0042】
インク供給ピン24は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入される際にインク供給口120(図2(B))に挿入され、各インクカートリッジIC1〜IC4内のインクをインク送出部411〜414へと供給する。
【0043】
一対の位置決めピン23a,23bは、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入される際に位置決め穴131,132(図2(B))に挿入され、各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置を定めるために用いられる。
【0044】
第2の凹凸嵌合部27は、第1の凹凸嵌合部134(図2(B))の形状に対応する形状を有しており、各収容スロットSL1〜SL4毎にその形状は異なっている。具体的には、例えば、収容スロットSL1の第2の凹凸嵌合部27は、インクカートリッジIC1の第1の凹凸嵌合部134の形状にのみ対応する形状を有しており、他のインクカートリッジIC2〜IC4の第1の凹凸嵌合部134の形状には対応しない形状を有している。これにより、収容スロットSL1には、ブラックインクを収容するインクカートリッジIC1のみが収容可能となり、他の色のインクカートリッジIC2〜IC4は収容できないこととなる。このように、プリンター500では、第1の凹凸嵌合部134及び第2の凹凸嵌合部27によって、各色のインクカートリッジを、それぞれ所定の収容スロットに収容可能に構成されている。
【0045】
一対の付勢バネ41a,41bは、スライダー部材204aの面S24とは反対側の面S24aと当接し、スライダー部材204aを排出方向に付勢する。各インクカートリッジIC1〜IC4は、各収容スロットSL1〜SL4に挿入された際に、各スライダー部材204aの面S24に突き当たり、一対の付勢バネ41a,41bの付勢力に打ち勝ってさらに挿入方向に押し込まれる。それゆえ、各インクカートリッジIC1〜IC4は、カートリッジホルダー200に収容された状態において、一対の付勢バネ41a,41bによって排出方向に付勢される。ユーザにより各インクカートリッジIC1〜IC4が挿入方向に押し込まれて、固定部材25が案内溝140から排出されると、各インクカートリッジIC1〜IC4は、一対の付勢バネ41a,41bの付勢力により排出方向に押し出される。それゆえ、ユーザはインクカートリッジIC1〜IC4をカートリッジホルダー200から容易に取り出すことができる。
【0046】
フレーム204bは、金属板を用いてプレス成形されており、4つのスライダー部材204aの側面を囲むように配置されている。図6に示すように、フレーム204bは、基台203の上面S21と平行な面S25を備えている。面S25は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入された場合に天井面Stと対向する。4つのホルダー側端子26は、それぞれ面S25における各収容スロットSL1〜SL4に対応する位置に配置されている。なお、図7では、フレーム204bを省略している。
【0047】
ホルダー側端子26は、各インクカートリッジIC1〜IC4がカートリッジホルダー200に挿入された場合に、回路基板110(図2(A),(B))と接触して導通する。プリンター500が備える制御基板(図示省略)内のCPUは、このホルダー側端子26を介して、回路基板110内の記憶素子(図示省略)から各種情報を読み出すことができる。
【0048】
枠体202は、金属板を用いてプレス成形され、図4(A),(B)に示すように断面コ字状の外観形状を有している。図4(A),(B)に示すように、枠体202の中央に位置する平面部206の内側面S22には、5本の第2の挿入案内用リブ22bが互いに平行となるように配置されている。枠体202は、壁体204及び基台203を囲むように配置されている。平面部206の内側面S22は、枠体202とホルダー本体201とが組み合わされた状態において基台203の上面S21と垂直方向に対向している。図5に示すように、各収容スロットSL1〜SL4において、ホルダー本体201の第1の挿入案内用リブ22aと、枠体202の第2の挿入案内用リブ22bとは、互いに鉛直方向に対向して配置されている。
【0049】
前述のインク供給装置510は、請求項における液体供給装置に相当する。また、カートリッジホルダー200は請求項における容器ホルダーに、第1の挿入案内用リブ22aは請求項における装着案内用リブに、各インクカートリッジIC1〜IC4は請求項における液体容器に、天井面St及び底面Sbは請求項における直交面に、基台203の上面S21及び枠体202の内側面S22は請求項における一対の対向面に、側面Sd,Scは請求項におけるリブ対向面に、固定部材25は請求項における固定突起部に、一対の位置決めピン23a,23bは請求項における付勢部に、それぞれ相当する。
【0050】
A4.インクカートリッジの収容位置の固定:
図8は、4つのインクカートリッジIC1〜IC4を収容した状態におけるカートリッジホルダー200を示す平面図である。図8の例では、収容スロットSL1にインクカートリッジIC1が収容(挿入)されている。同様に、収容スロットSL2にインクカートリッジIC2が、収容スロットSL3にインクカートリッジIC3が、収容スロットSL4にインクカートリッジIC4が、それぞれ収容(挿入)されている。
【0051】
インクカートリッジIC1は、収容スロットSL1の一対の挿入案内用リブ22a,22bと、隣接する収容スロットSL2の一対の挿入案内用リブ22a,22bとの間に配置されている。インクカートリッジIC1の切り欠き111は、収容スロットSL2の第2の挿入案内用リブ22bに対応する位置に配置されるため、インクカートリッジIC1は収容スロットSL2の第2の挿入案内用リブ22bに衝突せずに挿入され得る。同様に、インクカートリッジIC1の切り欠き112は、収容スロットSL2の第1の挿入案内用リブ22aに対応する位置に配置されている。
【0052】
インクカートリッジIC1の側面Scは、収容スロットSL2の一対の挿入案内用リブ22a,22bと接していない。同様に、インクカートリッジIC1の側面Sdは、第2の挿入案内用リブ22bとは接していない。一方、側面Sdは、位置決め用突起部11において第1の挿入案内用リブ22aと接触している。すなわち、インクカートリッジIC1の後端面Srにおいて、位置決め用突起部11に対応する部分の幅(4つのインクカートリッジIC1〜IC4が並ぶ方向(Z軸方向)の長さ)は、収容スロットSL1の第1の挿入案内用リブ22aと収容スロットSL2の第1の挿入案内用リブ22aとの間の長さとほぼ一致している。したがって、インクカートリッジIC1において、後端面Sr及び底面Sbに近い部分の収容位置は、位置決め用突起部11及び収容スロットSL1,SL2の2つの第1の挿入案内用リブ22aによって定められることとなる。
【0053】
図9は、インクカートリッジ挿入時における図8に示すA−A断面を模式的に示す説明図である。図9の例では、2つのインクカートリッジIC1,IC2がカートリッジホルダー200に既に収容され、インクカートリッジIC3がカートリッジホルダー200に挿入される際の状態を示す。なお、図9の例では、収容スロットSL4には、インクカートリッジIC4は収容されていない。
【0054】
図9の上段に示すように、インクカートリッジIC3を収容スロットSL3に挿入する際に、インクカートリッジIC3の側面Sdと、収容スロットSL3の第1の挿入案内用リブ22aとの間には隙間d1が生じている。また、インクカートリッジIC3の側面Scと、収容スロットSL4の第1の挿入案内用リブ22aとの間には隙間d2が生じている。したがって、インクカートリッジIC3を収容スロットSL3に挿入する際に、インクカートリッジIC3と隣り合う収容スロットSL2,SL4との間のクリアランスが確保されているため、ユーザは、インクカートリッジIC3を容易に挿入し得る。
【0055】
一方、図9の下段に示すように、インクカートリッジIC3がカートリッジホルダー200に収容されると、インクカートリッジIC3の位置決め用突起部11は、収容スロットSL3の第1の挿入案内用リブ22aに当接する。したがって、インクカートリッジIC3が収容された後において、インクカートリッジIC3の後端面Sr側における幅方向(各収容スロットSL1〜SL4の並んだ方向)の位置ずれは抑制され、収容位置は固定される。なお、インクカートリッジIC3において、先端面Sf側の収容位置は、位置決めピン23aや、固定部材25や、図示しない位置決めピン23bによって定められる。
【0056】
以上説明したように、第1の実施例のインク供給装置510では、各インクカートリッジIC1〜IC4において、側面Sdと後端面Srと側面Sdとが交わる角の近傍に位置決め用突起部11が配置されており、カートリッジホルダー200に収容された状態において、各収容スロットSL1〜SL4の第1の挿入案内用リブ22aに位置決め用突起部11が当接するように構成されている。したがって、各収容スロットSL1〜SL4の幅方向(挿入方向と垂直な方向)の長さを大きくして、各インクカートリッジIC1〜IC4の挿入時において隣接する収容スロットとの間のクリアランスを確保して装着性を向上させると共に、カートリッジホルダー200における各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置を定めることができる。また、位置決め用突起部11により各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置を定めるので、各インクカートリッジIC1〜IC4を加圧せずに収容位置のずれを抑制できる。
【0057】
B.第2の実施例:
図10は、第2の実施例のインク供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す正面図である。第2の実施例のプリンターは、カートリッジホルダーにおける2つの位置決めピン23a,23bの配置位置と、各インクカートリッジが一対の位置決めピン23a,23bを介して付勢される点とにおいて、第1の実施例のプリンター(図1)と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。
【0058】
第2の実施例のカートリッジホルダー200aが備える一対の位置決めピン23a,23bは、面S24において、左隣りの収容スロットに近い位置に配置されている。ここで、各収容スロットSL1〜SL4において、一対の位置決めピン23a,23bは、挿入方向に見て、固定部材25を基準として、挿入される各インクカートリッジIC1〜IC4の2つの側面Sd,Sc間の距離方向(Z方向)に距離Xだけオフセットされて配置されている。
【0059】
図11は、収容スロットSL1にインクカートリッジが挿入された状態における図10に示すB−B断面を模式的に示す断面図である。図11の例では、収容スロットSL1にインクカートリッジIC1aが挿入されており、固定部材25は案内溝140(図示省略)に挿入され、位置決めピン23aは位置決め穴132(図示省略)に挿入されている。
【0060】
図10,11に示すように、第2の実施例のスライダー部材204cは、位置決めピン23aの根元部分に、インクカートリッジIC1aと当接するための当接部32aを備えている。同様に、スライダー部材204cは、位置決めピン23bの根元部分に当接部32bを備えている。図11に示すように、位置決めピン23a及び当接部32aは、スライダー部材204c内部に配置された付勢バネ28aにより排出方向に付勢されている。第2の実施例のインクカートリッジIC1aは、一対の位置決め穴132の入口を囲むように当接部31を備えている。なお、図示は省略しているが、インクカートリッジIC1aは、位置決め穴131の入口を囲むように同様な当接部を備えている。このような構成により、インクカートリッジIC1aがカートリッジホルダー200に収容された状態において、スライダー部材204cの当接部32aと、インクカートリッジIC1aの当接部31とは当接する。なお、スライダー部材204cの当接部32bにおいても同様である。したがって、インクカートリッジIC1aは、カートリッジホルダー200に収容された状態において付勢バネ28aにより排出方向に付勢される。
【0061】
ここで、インクカートリッジIC1aは固定部材25により固定されているので、インクカートリッジIC1aには、付勢バネ28aから受ける力によって、固定部材25を軸として側面Scから側面Sdに向かうR方向のモーメントが生じる。この場合、インクカートリッジIC1aにおいて後端面Srに向かうほど、モーメントに起因する位置ずれが大きくなるおそれがある。
【0062】
しかしながら、第1の実施例とは異なり、位置決め用突起部11は、2つの側面Sd,Scのうち、位置決めピン23aに近い側の面である側面Scではなく、固定部材25に近い側の面である側面Sdに配置されている。したがって、位置決め用突起部11は、R方向のモーメントにより第1の挿入案内用リブ22aに押し当てられるので、このR方向のモーメントに起因するインクカートリッジIC1aの位置ずれは抑制される。換言すると、R方向のモーメントを利用して位置決め用突起部11を第1の挿入案内用リブ22aに押し当てることにより、インクカートリッジIC1aにおける後端面Sr側の収容位置の精度を向上させることができる。また、位置決め用突起部11を第1の挿入案内用リブ22aに押し当てるので、インクカートリッジIC1aの側面Scと、収容スロットSL2の第1の挿入案内用リブ22aとの間の隙間d5の、幅方向(各収容スロットSL1〜SL4が並ぶ方向)の長さが比較的大きくても収容位置の精度を向上させることができる。したがって、収容スロットSL1の幅を大きくすることができ、インクカートリッジIC1aの装着性を向上させることができる。以上はインクカートリッジIC1aについての説明であったが、他色のインクカートリッジ(図示省略)についても同様である。
【0063】
以上説明した第2の実施例のインク供給装置は、第1の実施例のインク供給装置510と同様な効果を有する。加えて、第2の実施例のインク供給装置では、一対の位置決めピン23a,23bを、インクカートリッジIC1a等が各収容スロットSL1〜SL4に挿入された状態において、固定部材25を中心として位置決め用突起部11と対称となる方向に配置し、かつ、一対の位置決めピン23a,23bを介してインクカートリッジIC1aを排出方向に付勢している。したがって、第2の実施例のインク供給装置は、R方向のモーメントを利用して位置決め用突起部11を第1の挿入案内用リブ22aに押し当てることができる。それゆえ、各収容スロットSL1〜SL4の幅方向の長さを大きくして装着性を向上させると共に、後端面Sr側の収容位置の位置ずれを抑制できる。
【0064】
C.第3の実施例:
図12は、第3の実施例の液体供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す断面図である。第3の実施例のプリンターは、カートリッジホルダー200bにおける一対の挿入案内用リブの形状において、第1の実施例のプリンター(図1)と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。なお、図12の例では、図8におけるA−A断面と同じ位置における、カートリッジホルダー200bの断面を表わしている。また、図12の例では、図9の上段と同様に、収容スロットSL1,SL2に対応するインクカートリッジIC1,IC2が既に収容され、収容スロットSL3にインクカートリッジIC3が挿入される状態を表わしている。
【0065】
第3の実施例のカートリッジホルダー200bにおいて、ホルダー本体201bに配置されている第1の挿入案内用リブ22cは、挿入方向に沿って中央部分に薄肉部29bを有し、両端(先端及び後端)部分に厚肉部29aを有している。厚肉部29aの幅方向(各収容スロットSL1〜SL4が並ぶ方向)の長さは、第1の実施例における第1の挿入案内用リブ22aの幅方向の長さと同じである。したがって、第3の実施例においても、位置決め用突起部11は第1の挿入案内用リブ22cと当接しており、2つのインクカートリッジIC1,IC2の後端面Sr側の収容位置は定められている。
【0066】
ここで、薄肉部29bの幅方向の長さは、第1の実施例における第1の挿入案内用リブ22aの幅方向の長さよりも小さい。したがって、例えば、インクカートリッジIC3の側面Sdと収容スロットSL3の薄肉部29bとの間の隙間d3の幅方向の長さは、第1の実施例の隙間d1(図9)の幅方向の長さよりも大きい。それゆえ、インクカートリッジIC3を収容スロットSL3に挿入する際に隣接する収容スロットSL2,SL4との間のクリアランスが大きく、装着性に優れている。なお、各収容スロットSL1〜SL4において、第1の挿入案内用リブ22cと対となる第2の挿入案内用リブ(図示省略)も、第1の挿入案内用リブ22cと同じ形状を有している。
【0067】
以上説明した第3の実施例のインク供給装置は、第1の実施例のインク供給装置510と同様な効果を有する。加えて、カートリッジホルダー200の各収容スロットSL1〜SL4に設けられた一対の第1の挿入案内用リブは、各インクカートリッジIC1〜IC4の挿入方向に沿って、中央部分に薄肉部29bを、両端部分に厚肉部29aを有するため、各インクカートリッジIC1〜IC4の挿入時におけるクリアランスを十分に確保しつつ、後端面Sr側の収容位置を定めることができる。
【0068】
D.第4の実施例:
図13は、第4の実施例の液体供給装置を適用したプリンターにおけるカートリッジホルダーを模式的に示す断面図である。第4の実施例のプリンターは、基台203cの挿入方向及び排出方向(X軸方向)の長さと、各インクカートリッジにおける位置決め用突起部11の配置位置において、第1の実施例のプリンター(図1)と異なり、他の構成は第1の実施例と同じである。なお、図13の例では、図8におけるA−A断面と同じ位置におけるカートリッジホルダー200cの断面を表わしている。また、図13の例では、図9の上段と同様に、収容スロットSL1,SL2にそれぞれ対応する色(ブラック及びシアン)のインクカートリッジIC5,IC6が既に収容され、収容スロットSL3に、対応する色(マゼンタ)のインクカートリッジIC7が挿入される状態を表わしている。
【0069】
第4の実施例のカートリッジホルダー200cにおいて、基台203cの挿入方向及び排出方向の長さは、第1の実施例の基台203(図6)の挿入方向及び排出方向の長さよりも短い。したがって、図13の収容スロットSL1,SL2に示すように、収容されている各インクカートリッジIC5,IC6の後端面Sr側は、カートリッジホルダー200cから突き出ている。
【0070】
ここで、各インクカートリッジIC5〜IC7において、位置決め用突起部11は、第1の実施例とは異なり、側面Sdにおいて先端面Sf側に配置されている。しかしながら、位置決め用突起部11は、第1の実施例と同様に、各インクカートリッジIC5,IC6が収容された状態において、第1の挿入案内用リブ22aの後端部分と当接している。
【0071】
以上説明した第4の実施例のインク供給装置は、第1の実施例のインク供給装置510と同様な効果を有する。ただし、第4の実施例のインク供給装置は、第1の実施例のインク供給装置510とは異なり、位置決め用突起部11によって、各インクカートリッジIC5〜IC7の先端面Sf側の収容位置を定めることができる。
【0072】
E.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0073】
E1.変形例1:
各実施例において、位置決め用突起部11の配置位置は、各インクカートリッジIC1〜IC4の側面Sdにおいて、側面Sd(縁部136)と後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍であったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、各実施例における配置位置に代えて、又は、各実施例における配置位置に加えて、側面Sd(縁部136)と後端面Srと天井面Stとが交わる角の近傍に、位置決め用突起部11を配置することもできる。このようにすることで、各インクカートリッジIC1〜IC4をカートリッジホルダー200に挿入した場合に、位置決め用突起部11を第2の挿入案内用リブ22bに当接させることができる。したがって、各インクカートリッジIC1〜IC4において、後端面Sr側の収容位置を定めることができる。特に、側面Sdと後端面Srと天井面Stとが交わる角の近傍に位置決め用突起部11を配置するので、回路基板110とホルダー側端子26との接点に近い位置において位置決め用突起部11を第2の挿入案内用リブ22bに当接させることができる。したがって、接点の位置ずれを確実に抑制することができる。なお、位置決め用突起部11を複数配置することにより、各インクカートリッジIC1〜IC4の収容位置の精度を向上させることができる。
【0074】
また、位置決め用突起部11の配置位置として、各実施例における配置位置に代えて、又は、各実施例における配置位置に加えて、側面Scにおいて、側面Scと後端面Srと底面Sbとが交わる角の近傍に配置することもできる。また、天井面St或いは底面Sbにおいて、後端面Srの近傍に配置することもできる。これらの構成においても、各インクカートリッジIC1〜IC4の挿入時における装着性を向上させると共に、カートリッジホルダー200に収容した際の各インクカートリッジIC1〜IC4における後端面Sr側の収容位置を定めることができる。
【0075】
E2.変形例2:
各実施例において、位置決め用突起部11は、各インクカートリッジIC1〜IC4に配置されていたが、これに代えて、第1の挿入案内用リブ22a,22c、又は第2の挿入案内用リブ22bに配置することもできる。例えば、第1の実施例では、各収容スロットSL1〜SL4において、第1の挿入案内用リブ22aの後端(挿入方向に沿って最も後ろ側)に、幅方向(各収容スロットSL1〜SL4が並ぶ方向)に突出するように、位置決め用突起部11を配置することができる。このような構成においても、各インクカートリッジIC1〜IC4が収容された場合に、各インクカートリッジIC1〜IC4の後端面Sr側の収容位置を定めることができる。また、各収容スロットSL1〜SL4において、入口部分は位置決め用突起部11によって狭くなるが、奥部分は広く構成できるので、各インクカートリッジIC1〜IC4の装着性を向上できる。
【0076】
E3.変形例3:
各実施例では、プリンター500は、各インク送出部411〜414を用いて、各インクカートリッジIC1〜IC4からインクを吸引して供給するタイプのプリンターであったが、これに代えて、各インクカートリッジIC1〜IC4内を加圧してインクを供給するタイプのプリンターとすることもできる。この構成では、位置決め用突起部11により収容位置を定めるのに加えて、各インクカートリッジIC1〜IC4内を加圧して膨張させることにより、隣接するインクカートリッジ同士を圧接させて収容位置を定めることができる。
【0077】
E4.変形例4:
第3の実施例では、第1の挿入案内用リブ22cは、挿入方向に沿って中央部分に薄肉部29bを有し、両端(先端及び後端)部分に厚肉部29aを有していたが、これに代えて、後端部分(位置決め用突起部11と当接する部分)のみに圧肉部を有し、他の部分はいずれも薄肉部を有する構成とすることもできる。この構成であっても、位置決め用突起部11を第1の挿入案内用リブ22cに当接させ、各インクカートリッジIC1〜IC4の後端面Sr側の収容位置を定める。すなわち、一般には、位置決め用突起部と当接する部分とは異なる部分において薄肉部を有する装着案内用リブを、本発明の液体供給装置に採用することができる。
【0078】
E5.変形例5:
第2の実施例では、インクカートリッジIC1aは、収容スロットSL1に挿入された状態において一対の位置決めピン23a,23bを介して排出方向に付勢されていたが、これに代えて、インクカートリッジIC1aが排出方向に付勢されない構成とすることもできる。このような構成であっても、カートリッジホルダー200に振動が加えられた場合などには、R方向のモーメントは生じ得る。この場合も、位置決め用突起部11が第1の挿入案内用リブ22aに押し当てられるので、インクカートリッジIC1aの収容位置のずれは抑制され得る。
【0079】
E6.変形例6:
各実施例では、用いられるインクの種類は4色であったが、これに代えて、任意の種類のインクを用いることができる。この場合、カートリッジホルダー200における収容スロットの数も任意の数とすることができる。例えば、黒一色を印字するプリンターであれば、収容スロット数を1つとすることもできる。
【0080】
E7.変形例7:
各実施例では、プリンター500は、キャリッジ400が往復動を行う、いわゆるシリアルヘッド方式のプリンターであったが、これに代えて、記録用紙Pの幅方向に多数のノズルが並び、往復動を行わないいわゆるラインヘッド方式のプリンターを採用することもできる。また、シリアルヘッドを複数並べた構成のプリンターを採用することもできる。また、オフキャリッジタイプのプリンターに代えて、各インクカートリッジIC1〜IC4がキャリッジに搭載される、いわゆるオンキャリッジタイプのプリンターを採用することもできる。この構成では、各インクカートリッジIC1〜IC4を搭載するキャリッジは、請求項における容器ホルダーに相当する。
【0081】
E8.変形例8:
各実施例では、インクカートリッジIC1〜IC7,IC1aは、扁平な略直方体の外観形状を有していたが、本発明はこれに限定されるものではない。各インクカートリッジIC1〜IC7,IC1aが各収容スロットSL1〜SL4に挿入された状態において、位置決め用突起部11が第1の挿入案内用リブ22a又は第2の挿入案内用リブ22bと当接可能な任意の外観形状とすることができる。すなわち、一般には、液体容器が容器ホルダーに装着された状態において、装着案内用リブと対向するリブ対向面を備える液体容器を、本発明の液体容器として採用することができる。
【0082】
E9.変形例9:
各実施例では、インクジェット型プリンターに用いられるインク供給装置について説明したが、本発明は、これに限らず、インク以外の他の液体を噴射する任意の液体噴射装置に用いられる液体供給装置に適用することができる。例えば、ファクシミリ装置等の画像記録装置や、液晶ディスプレー等のカラーフィルタの製造に用いられる色材噴射ヘッドや、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーや、面発光ディスプレー (Field Emission Display、FED)等の電極形成に用いられる電極材噴射装置や、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を含む液体を噴射する液体噴射装置や、精密ピペットとしての試料噴射装置や、潤滑油の噴射装置や、樹脂液の噴射装置等にも適用できる。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置に用いられる液体供給装置を採用しても良い。そして、これら微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置のうちいずれか一種の液体噴射装置に用いられる液体供給装置に本発明を適用することができる。
【0083】
なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であれば良い。例えば、物質が液相であるときの状態のものであれば良く、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散または混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施例の形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インクおよび油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。
【符号の説明】
【0084】
IC1〜IC7,IC1a…インクカートリッジ、11…位置決め用突起部、22a,22c…第1の挿入案内用リブ、22b…第2の挿入案内用リブ、23a,23b…位置決めピン、24…インク供給ピン、25…固定部材、26…ホルダー側端子、27…第2の凹凸嵌合部、28a…付勢バネ、29a…厚肉部、29b…薄肉部、31,32…当接部、41a,41b…一対の付勢バネ、110…回路基板、120…インク供給口、131,132…位置決め穴、133…開口部、134…第1の凹凸嵌合部、135…凹部、136…縁部、140…案内溝、200,200a〜200c…カートリッジホルダー、201…ホルダー本体、201b…ホルダー本体、202…枠体、203,203c…基台、204…壁体、204a…スライダー部材、204b…フレーム、206…平面部、260…ガイドロッド、400…キャリッジ、411〜414…インク送出部、421〜424…インク導出管、431〜434…配管、450…記録ヘッド、460…プラテン、500…プリンター、510…インク供給装置、P…記録用紙、r1,r2…経路、d1〜d3,d5…隙間、Sb…底面、Sc…側面、Sd…側面、Sf…先端面、Sr…後端面、St…天井面、S21…上面、S22…内側面、S24,S25…面、SL1〜SL4…収容スロット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着案内用リブを有する容器ホルダーに装着されて用いられる液体容器であって、
前記容器ホルダーに装着された状態において、前記装着案内用リブと対向するリブ対向面と、
前記リブ対向面に配置され、前記容器ホルダーに装着された状態において前記装着案内用リブと当接し、前記液体容器の装着位置を定めるための位置決め用突起部と、
を備える液体容器。
【請求項2】
請求項1に記載の液体容器において、さらに、
前記液体容器が前記容器ホルダーに装着される際に先端に位置し、前記容器ホルダーと接続する先端面と、
前記液体容器が前記容器ホルダーに装着される際に後端に位置する後端面と、
を備え、
前記位置決め用突起部は、前記リブ対向面において、前記先端面よりも前記後端面に近い位置に配置されている、液体容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体容器において、さらに、
前記リブ対向面と直交する直交面を備え、
前記リブ対向面は、互いに対向し、前記液体容器の装着方向と平行な2つの面からなり、
前記容器ホルダーは、さらに、装着された前記液体容器に対して装着方向とは反対向きの力を加える付勢部と、前記装着方向と垂直な方向に突出し、装着された前記液体容器の前記直交面に当接して前記液体容器の装着位置を定めるための固定突起部と、を有し、
前記付勢部は、前記装着方向に見て、前記固定突起部を基準として前記リブ対向面の2つの面間の距離方向にオフセットされて配置され、
前記位置決め用突起部は、前記リブ対向面の2つの面のうち、前記付勢部に近い側の面ではなく、前記固定突起部に近い側の面に配置されている、液体容器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の液体容器において、
前記容器ホルダーは、前記液体容器が装着された状態において、前記液体容器を挟んで互いに対向する一対の対向面を有すると共に、前記一対の対向面にそれぞれ前記装着案内用リブを有し、
前記液体容器は、さらに、前記一対の対向面が有する2つの前記装着案内用リブにそれぞれ当接する2つの前記位置決め用突起部を備える、液体容器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の液体容器を装着可能な前記容器ホルダーを備える液体供給装置であって、
前記装着案内用リブは、前記位置決め用突起部と当接する部分とは異なる部分において薄肉部を有する、液体供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体供給装置において、
前記容器ホルダーは、複数の前記液体容器を、前記装着方向と垂直な方向に沿って並んで装着する、液体供給装置。
【請求項1】
装着案内用リブを有する容器ホルダーに装着されて用いられる液体容器であって、
前記容器ホルダーに装着された状態において、前記装着案内用リブと対向するリブ対向面と、
前記リブ対向面に配置され、前記容器ホルダーに装着された状態において前記装着案内用リブと当接し、前記液体容器の装着位置を定めるための位置決め用突起部と、
を備える液体容器。
【請求項2】
請求項1に記載の液体容器において、さらに、
前記液体容器が前記容器ホルダーに装着される際に先端に位置し、前記容器ホルダーと接続する先端面と、
前記液体容器が前記容器ホルダーに装着される際に後端に位置する後端面と、
を備え、
前記位置決め用突起部は、前記リブ対向面において、前記先端面よりも前記後端面に近い位置に配置されている、液体容器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の液体容器において、さらに、
前記リブ対向面と直交する直交面を備え、
前記リブ対向面は、互いに対向し、前記液体容器の装着方向と平行な2つの面からなり、
前記容器ホルダーは、さらに、装着された前記液体容器に対して装着方向とは反対向きの力を加える付勢部と、前記装着方向と垂直な方向に突出し、装着された前記液体容器の前記直交面に当接して前記液体容器の装着位置を定めるための固定突起部と、を有し、
前記付勢部は、前記装着方向に見て、前記固定突起部を基準として前記リブ対向面の2つの面間の距離方向にオフセットされて配置され、
前記位置決め用突起部は、前記リブ対向面の2つの面のうち、前記付勢部に近い側の面ではなく、前記固定突起部に近い側の面に配置されている、液体容器。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の液体容器において、
前記容器ホルダーは、前記液体容器が装着された状態において、前記液体容器を挟んで互いに対向する一対の対向面を有すると共に、前記一対の対向面にそれぞれ前記装着案内用リブを有し、
前記液体容器は、さらに、前記一対の対向面が有する2つの前記装着案内用リブにそれぞれ当接する2つの前記位置決め用突起部を備える、液体容器。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の液体容器を装着可能な前記容器ホルダーを備える液体供給装置であって、
前記装着案内用リブは、前記位置決め用突起部と当接する部分とは異なる部分において薄肉部を有する、液体供給装置。
【請求項6】
請求項5に記載の液体供給装置において、
前記容器ホルダーは、複数の前記液体容器を、前記装着方向と垂直な方向に沿って並んで装着する、液体供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−253688(P2010−253688A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−102937(P2009−102937)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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