説明

液体容器

【課題】 容器内に残った液体を容易に吸い上げ射出可能であるとともに、その成形が容易であり、かつ容器全体の重心の安定性が保証された液体容器を提供する。
【解決手段】 図に示すように、液体容器は、液体を収容する容器本体11と、液体本体11の底面の外側下方に突設されたリブ状の脚部12と、容器本体11内の液体を下端の開口面から吸い上げる管状の吸引管13と、その吸引管13の上端開口面と結合し吸引管13を介して容器本体11内の液体を吸い上げるポンプ14と、そのポンプ14により吸い上げた液体を射出する射出口15とを有して構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体容器に関し、特に、容器内の液体を吸い上げて液状、霧状又は泡状に射出するプラスチック製の液体容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般によく使用されている液体容器として、プラスチック製のものがある。このプラスチック製のボトル容器は、軽量及び安価で製造が容易というメリットがあり、飲料、シャンプー、洗剤等の容器として広く使用されている。
さらに、このプラスチック製の液体容器にはポンプ付きのものがある。このポンプ付きの液体容器は、容器本体と、注ぎ口と、ポンプ本体と、上端がポンプ本体に下端が容器本体の底部に位置するストロー状の吸引管とを有して構成されている。使用する際には、注ぎ口を下方に向ける必要がなく、ポンプを押したりグリップを握ったりするだけで、容器本体内の液体を吸引管で吸い上げて液状、霧状又は泡状に容易に射出することができる。
【0003】
しかしながら、そのポンプ付きの液体容器には、容器内に残っている液体の高さが吸引管の下端よりも低い位置になると、その残った液体を吸上げることができないという問題がある。そのため、容器内の液体を全て使い切ることができず、効率的に使用できるとは言い難い面がある。
【0004】
そのようなポンプ付き液体容器の問題点を解決するものとして、特許文献1が開示するところのポンプ付き容器が提案されている。この特許文献1のポンプ付き液体容器は、容器本体の底部の内壁面を下方に行く程に容器本体の内側に傾斜した傾斜面に構成し、容器本体の底面の一点に集中して構成される最深部を上記傾斜面の下端部に位置させ、この最深部にポンプの吸引管の下端を位置させている。特許文献1のポンプ付き液体容器は、このように構成していることから、容器底部の液体を残さず吸い上げることが可能となっている。
【0005】
さらに、その特許文献1のポンプ付き容器と同様の構造を備えているものとして、特許文献2が開示するところの斜め底付き容器、特許文献3が開示するところの吸上ポンプ付き容器、特許文献4が開示するところの液体噴出器、特許文献5が開示するところの液体噴出ポンプもそれぞれ提案されている。
これら特許文献2〜5の容器も、特許文献1のポンプ付き液体容器と同様に、容器底部に傾斜を設けて残った液体をその傾斜下端部の最深部に集中させて、この最深部から吸引管で液体をポンプ吸引する構造となっており、容器底部の液体を残さず吸い上げることが可能となっている。
【特許文献1】実開平5−40187
【特許文献2】特開2002−205783
【特許文献3】登録実用新案公報第3004181号
【特許文献4】特開平9−57160
【特許文献5】実開平7−21586
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜5の各液体容器では、前述の容器底部に傾斜を設ける構造を設けるために、成型工程及び溶着工程において複雑な加工作業が必要であり、容器生産のために多大な設備コスト及び時間を要するという問題点がある。
さらに、特許文献1〜5の各液体容器では、容器底部の最深部に溶液が一点に集中して重心が傾くので、容器を置いたときに不安定になり、転倒するという問題点もある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、容器内に残った液体を容易に吸い上げ射出可能であるとともに、その成形が容易であり、かつ容器全体の重心の安定性が保証された液体容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するため、本発明は、容器本体内の液体を吸引管を介してポンプで吸引して射出する液体容器であって、その容器本体の底面は傾斜しており、吸引管の下端開口面は傾斜面の最深部に位置し、傾斜面の頂部外側下方には頂部側を支持する脚部が突設されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、容器本体の一部を熱溶着させて形成した管状の液体の流路である吸引部を介して、容器本体内の液体をポンプで吸引して射出する液体容器であって、容器本体の底面は傾斜しており、吸引部の下端開口面は傾斜面の最深部に位置し、傾斜面の頂部外側下方には頂部側を支持する脚部が突設されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明における液体容器によれば、その脚部は、傾斜面の頂部から最深部方向へ形成されるリブ状の部材であって、容器本体と一体に形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明における液体容器によれば、その脚部の外側先端の1点と、最深部の外底面側の2点とが下方に突出しており、3点で接地するように構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明における液体容器によれば、その射出口は、射出方向が接地面に対して所定角度上方又は下方に傾くように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、容器本体内の液体を吸引管を介してポンプで吸引して射出する液体容器であって、その容器本体の底面は傾斜しており、吸引管の下端開口面は傾斜面の最深部に位置し、傾斜面の頂部側下方には頂部側を支持する脚部が突設されるので、容器内に残った液体を容易に吸い上げ射出可能であるとともに、その成形が容易であり、かつ容器を接地面上に安定して置くことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
<第1の実施形態>
(第1の実施形態の構成)
まず、本発明の第1の実施の形態における容器本体の構成について説明する。
図1の(a)は、本発明の第1の実施形態における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
図に示すように、液体容器は、液体を収容する容器本体11と、液体本体11の底面の外側下方に突設されたリブ状の脚部12と、容器本体11内の液体を下端の開口面から吸い上げる管状の吸引管13と、その吸引管13の上端開口面と結合し吸引管13を介して容器本体11内の液体を吸い上げるポンプ14と、そのポンプ14により吸い上げた液体を射出する射出口15とを有して構成される。
【0015】
以上の構成において、容器本体11の底面の全体又は一部には、傾斜面が形成されている。
この傾斜面の頂部11aは容器本体11の背面側に位置しており、この背面側の頂部11aから正面側(射出口15の射出方向)へ行くにつれて底面が下方に傾斜し、この正面側には、その傾斜の最深部11bが形成されている。
【0016】
この容器本体11の外底面中央には、リブ状の部材である脚部12が突設されている。
この脚部12の上面は、容器本体11の外底面の傾斜面の頂部11a中央から最深部11bにかけて該外底面と一体かつ連続的に形成されている。
一方、脚部12の底面は、容器本体11の側面側(図1(a)の状態)から見て、前述の傾斜面とは非平行、かつ容器本体11の側壁と略垂直に形成されており、容器本体11の外底面の最深部11bと同一平面上に設けられている。
【0017】
また、この脚部12の頂部11a側先端は、脚部12の他の部分よりも下方にやや突出して成形されており、液体容器を置いたときには、この突出部分で接地するように構成されている(接地点A)。
さらに、容器本体11の底面外側の最深部11b側においても、脚部12の長手方向及びその延長線上を挟んで略対称的な位置が最深部11bの他の部分よりも下方にやや突出して成形されており、同様に接地するように構成されている(接地点B,C)。
なお、4点で接地する場合には、それら4点のうち1点の高さが異なるだけで、重心が傾き不安定に揺れ動いてしまう。
これに対し、本実施の形態の場合には、液体容器を台等の接地面上に置くと、前述の脚部12の頂部11a側先端の1つの接地点A、その最深部11b側の2つの接地点B,C、計3点の接地点で極めて安定に接地面上に接地することができる。
【0018】
また、吸引管13は、チューブ状、ストロー状の管状部材であって、その上端の開口面は、前述したようにポンプ14と接続されており、ポンプ14の吸引力により容器本体11内の液体を吸い上げ可能となっている。
一方、その下端は、容器本体11の底面内側の最深部11bに向けて開口しており、最深部11bに溜まっている液体を吸上げ可能に構成されている。その下端の開口面は、好ましくは、最深部11bの底面から微小距離上方に位置しており、最深部11bに溜まっている液体が少量となっても吸上げ可能に構成される。
【0019】
そして、ポンプ14に備えられているグリップ13aを握って容器本体11側(図1(a)の矢印右側方向)に引き寄せると、容器本体11内の液体が吸引管13を介してポンプ14に吸い上げられ、射出口15から射出する。
【0020】
また、図に示すように、射出口15は、その射出口15からの液体の射出方向が前述の最深部11b及び脚部12からなる接地面の平行方向に対し若干斜め上方向(例えば、5〜20°)となるように形成されている。
【0021】
(第1の実施形態における容器本体の製造方法)
次に、本実施の形態における液体容器の容器本体11の製造方法について説明する。
本発明の第1の実施形態における容器本体11の成形方法において、図2は、樹脂を一対の金型間にセットする工程を示す正面断面図、図3は、一対の金型で樹脂を挟み込む工程を示す正面断面図、図4は、金型で挟み込んだ樹脂を膨らませて成形するとともに脚部12を形成する工程を示す正面断面図である。
以下、これらの図を用いて、容器本体11の製造方法について順を追って説明する。
【0022】
まず、図2に示すように、一対の金型100a,100bが離間しているときに、その両金型100a,100b間に垂下するように、供給器200から溶融・可塑化させてパイプ状に形成した樹脂(パリソン300)を供給する。
なお、このパリソン300の原料樹脂は、生体に有害な物質を溶出しない熱可塑性のプラスチックを用いる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又はこれらの混合物を使用する。
【0023】
次に、図3に示すように、パリソン300を一対の金型100a,100b間にセットした後に、このパリソン300を一対の金型100a,100bで挟むと同時に、供給器200からパリソン300内側に圧縮空気を吹込み、パリソン300を膨らませて金型100a,100b内面に密着させる。
【0024】
すると、図4に示すように、閉じた金型100a,100bの内側形状に沿って略一定厚さで底部形状が平坦な中空容器が形成される。
また、両金型100a,100bがパリソン300を挟んだ際、該金型100a,100b下端によって切断されたパリソン300下端部のバリ310が、金型100a,100b下方に突出して生成される。
【0025】
そして、図示しない冷却水用道管から循環している冷却水により金型100a,100bを冷却することによって、以上のように成形された容器本体11を冷却固化する。
固化後に一対の金型100a,100bを再び離間させ、バリ310をカッター(図示せず)により切除すると、容器本体11が得られる。
【0026】
図5は、上記の工程により形成された脚部12を示す底面側から見た斜視図である。
前述のように両金型100a,100bで側方から挟み込んで圧潰し、圧縮空気を吹込むことで、図に示すような外底面中央から下方に突出するリブ状の脚部12が形成される。
【0027】
(第1の実施形態のまとめ)
このように、本実施の形態における容器本体11の成形方法によれば、金型100a,100bの突合面により容器本体11及び脚部12を形成する。
従って、得られる容器本体11は、その内底面が背面側から正面側に向って傾斜していて、その正面側には最深部11bが形成されるので、容器口11cに螺着したポンプ(図示せず)の吸引管先端をその最深部11b内に挿入しておけば、吸引管は最深部11bから簡単に離脱するようなことはなく、液体容器内の液体を最後の一滴まで吸い出すことが可能となる。
【0028】
また、本実施の形態によれば、少なくとも、その脚部12の底面の外側先端の1点(接地点A)と、容器本体11の外側底面において脚部12の形成方向と直交する方向の最深部11bの両端の2点(接地点B,C)とは、液体容器を置いたときにその接地面と接地する。
従って、これら接地点A,B,Cが接地面上に形成する三角形内に液体容器の重心が位置するので、液体容器を置いたときにグラついたりすることがなく、極めて座りが良く安定する。
【0029】
また、液体容器を接地面上に置いたときに、座りを良くするために、それら接地点A,B,Cの下方突出部分は略同一の高さに構成するのが好ましい。
なお、それら接地点A,B,Cを突出させずに、脚部12の外底面全体と、最深部11bの外底面全体とが、略同一高さで略同一面上に構成されるようにしてもよい。
【0030】
なお、容器本体11の形状は、図示したものに限定されないことはいうまでもない。
例えば、以上説明した実施の形態では、容器本体11の底面形状が略方形であったが、円状又は楕円状であってもよい。
また、本実施の形態では、容器本体11の容器口11cに螺着可能な溝を設けたが、容器本体11とポンプ14との結合構造によっては、必ずしも必要な構成ではない。
【0031】
(第1の実施形態の変形例)
次に、第1の実施形態における変形例について説明する。
なお、以下、特記しない限り、構成、製造方法及び効果等については、前述した第1の実施形態と同様であるものとする。
【0032】
図6の(a)は、本発明の第1の実施形態の変形例における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
前述したように、第1の実施の形態における液体容器は、背面側に頂部11a、正面側に最深部11bが設けられている。これに対し、図に示すように、本変形例では、反対に、正面側に頂部11a、背面側に最深部11bが設けられており、傾斜が反対方向に形成され、脚部12も正面側に形成されている。
また、第1の実施形態の液体容器の射出口15が、液体の射出方向が接地面の平行方向に対し若干斜め上方向となるように形成されているのに対し、本変形例では、反対に、若干斜め下方向(例えば、5〜20°)となるように形成されている。
【0033】
図7の(a)は、本発明の第1の実施の形態における液体容器の使用方法を示す図であり、(b)は、その変形例における液体容器の使用方法を示す図である。
図に示すように、前述した第1の実施形態では、残った液体を最深部11bに溜めて吸い上げるために、液体容器をやや正面側に前傾させて使用するのに対し、本変形例では、反対に、液体容器をやや背面側に後傾させて使用する。
また、液体容器は、射出口15が上方又は下方に傾いて形成されているので、いずれの液体容器も、使用時に傾けたときに、液体をほぼ正面方向に射出させることができ、使い勝手がよい。
【0034】
以上説明したように、液体容器を前傾又は後傾いずれの方法で使用する場合であっても、第1の実施形態又は本変形例の液体容器を使い分けることにより、その用途に適した液体容器を提供することができる。
【0035】
<第2の実施形態>
(第2の実施形態の特徴)
以下、特記しない限り、本実施形態における液体容器は、その構成、製造方法及び効果については、第1の実施形態と同様であるものとする。
図8の(a)は、本発明の第2の実施形態における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
図に示すように、本実施形態における液体容器は、主に吸引管13の形状が第1の実施形態と異なっている。すなわち、吸引管13は、ポンプ14から容器本体11の底面の頂部側に向けて延び、その底面頂部側に当接したところで、底面の傾斜面に沿って下方へ屈折し、その下端開口面は、最深部11bに向いている。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態における液体容器は、第1の実施の形態と同様に、容器内の液体を最後の一滴まで吸い出すことができるとともに、置いたときにグラついたりすることがなく、極めて座りが良く安定して置くことが可能となる。
【0037】
(第2の実施形態の変形例)
次に、第2の実施形態における変形例について説明する。
なお、以下、特記しない限り、構成、製造方法及び効果等については、前述した第2の実施形態と同様であるものとする。
【0038】
図9の(a)は、本発明の第2の実施形態の変形例における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
第2の実施の形態における液体容器は、背面側に頂部11a、正面側に最深部11bが設けられている。これに対し、図に示すように、本変形例では、反対に、正面側に頂部11a、背面側に最深部11bが設けられており、傾斜が反対方向に形成され、脚部12も正面側に形成されている。
また、第2の実施形態の液体容器の射出口15が、液体の射出方向が接地面の平行方向に対し若干斜め上方向となるように形成されているのに対し、本変形例では、反対に、若干斜め下方向となるように形成されている。
【0039】
図10の(a)は、本発明の第2の実施の形態における液体容器の使用方法を示す図であり、(b)は、その変形例における液体容器の使用方法を示す図である。
図に示すように、前述した第2の実施形態では、残った液体を最深部11bに溜めて吸い上げるために、液体容器をやや正面側に前傾させて使用するのに対し、本変形例では、反対に、液体容器をやや背面側に後傾させて使用する。
また、液体容器は、射出口15が上方又は下方に傾いて形成されているので、いずれの液体容器も、使用時に傾けたときに、液体をほぼ正面方向に射出させることができ、使い勝手がよい。
【0040】
以上説明したように、液体容器を前傾又は後傾いずれの方法で使用する場合であっても、第2の実施形態又は本変形例の液体容器を使い分けることにより、その用途に適した液体容器を提供することができる。
【0041】
<第3の実施形態>
(第3の実施形態の特徴)
以下、特記しない限り、本実施形態における液体容器は、その構成、製造方法及び効果については、第1の実施形態と同様であるものとする。
図11の(a)は、本発明の第3の実施形態における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図であり、(c)は、X−X線断面図である。
図に示すように、本実施形態における液体容器は、吸引管13ではなく、容器本体11と一体に形成されている吸引部31により容器内の液体を吸引する点で第1の実施形態と異なっている。
【0042】
また、本実施形態における容器本体11の両側面側の正面側寄りには、容器分離部32が形成されており、この容器分離部32により、容器本体11と分離した液体流路である吸引部31が形成される。
この容器分離部32は、容器本体11の容器口11cから、容器本体11の内底面にわずかに達しない程度まで連続して形成されている。従って、吸引部31の下端開口面は、容器本体11の外部に露出することなく、容器本体11とその内底面側においてのみ連結しており、容器本体11内の液体を吸引可能となっている。
【0043】
一方、吸引部31の上端は、ポンプ15の吸引口(図示せず)と連結されており、ポンプ15の吸引力が吸引部31を介して容器本体11内の液体に伝達するようになっている。
【0044】
この容器分離部32は、両金型100a,100bで挟み込んで容器本体11を形成する際に、パリソン300の樹脂を圧潰・熱溶着させることにより形成される。
この両金型100a,100bにより、容器本体11の側面側から見て背面側表面から同距離の位置に、容器口11cから内底面付近まで押圧される。これにより、吸引部31の流路方向の垂直断面は、どの位置でも略同径の略円形状となり、液体を安定して吸引することができる。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態によれば、液体の吸引手段を別途設けることなく、容器本体11と一体に成形することにより、液体容器の製造工程を簡略化することが可能となる。
また、本実施の形態における液体容器は、第1の実施の形態と同様に、容器内の液体を最後の一滴まで吸い出すことができるとともに、置いたときにグラついたりすることがなく、極めて座りが良く安定して置くことが可能となる。
【0046】
(第3の実施形態の変形例)
次に、第3の実施形態における変形例について説明する。
なお、以下、特記しない限り、構成、製造方法及び効果等については、前述した第3の実施形態と同様であるものとする。
【0047】
図12の(a)は、本発明の第3の実施形態の変形例における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
前述したように、第3の実施の形態における液体容器は、背面側に頂部11a、正面側に最深部11b、吸引部31及び容器分離部32が設けられている。これに対し、図に示すように、本変形例では、反対に、正面側に頂部11a、背面側に最深部11b、吸引部31及び容器分離部32が設けられており、傾斜が反対方向に形成され、脚部12も正面側に形成されている。
また、第3の実施形態の液体容器の射出口15が、液体の射出方向が接地面の平行方向に対し若干斜め上方向となるように形成されているのに対し、本変形例では、反対に、若干斜め下方向となるように形成されている。
【0048】
図13の(a)は、本発明の第3の実施の形態における液体容器の使用方法を示す図であり、(b)は、その変形例における液体容器の使用方法を示す図である。
図に示すように、前述した第3の実施形態では、残った液体を最深部11bに溜めて吸い上げるために、液体容器をやや正面側に前傾させて使用するのに対し、本変形例では、反対に、液体容器をやや背面側に後傾させて使用する。
また、液体容器は、射出口15が上方又は下方に傾いて形成されているので、いずれの液体容器も、使用時に傾けたときに、液体をほぼ正面方向に射出させることができ、使い勝手がよい。
【0049】
以上説明したように、第3の実施形態又は本変形例の液体容器を使い分けることにより、前傾、後傾いずれの方法で使用する場合であっても、その用途に適した液体容器を提供することができる。
【0050】
<第4の実施形態>
(第4の実施形態の特徴)
以下、特記しない限り、本実施形態における液体容器は、その構成、製造方法及び効果については、第1の実施形態と同様であるものとする。
【0051】
図14の(a)は、本発明の第4の実施形態における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
図に示すように、本実施の形態における液体容器の吸引部41及び容器分離部42は、第3の実施の形態と同様に、ポンプ14側から内底面まで形成され、さらに連続して容器本体11の内底面に沿って延長した構成となっている。
すなわち、容器分離部42は、容器本体11の側面側から見て、容器本体11の容器口11cから頂部11aまで、背面側に沿って内底面にわずかに達しない程度まで連続して形成され、さらに正面側に向かって屈曲し内底面に沿って連続して延設される。
容器分離部42がこのように構成されていることから、吸引部41は、略同一の径及び形状を保ちながら背面側の内壁面に沿って内底面まで達すると、正面側に向かって屈曲して内底面に沿って連続して延設され、その先端の開口面は、最深部11b側を向いて構成されている。
【0052】
また、容器分離部42は、第3の実施形態と同様に、両金型100a,100bの挟み込みによる圧潰・熱溶着により形成される。
この両金型100a,100bによる押圧面は、前述の容器分離部42の形状と略同一であり、その押圧位置は、容器本体11の側面側から見て、背面側内壁面から略同距離の位置、かつ内底面から略同距離の位置となるように押圧する。
【0053】
以上説明したように、本実施の形態によれば、液体の吸引手段を別途設けることなく、容器本体11と一体に成形することにより、液体容器の製造工程を簡略化することが可能となる。
また、本実施の形態における液体容器は、第1の実施の形態と同様に、容器内の液体を最後の一滴まで吸い出すことができるとともに、置いたときにグラついたりすることがなく、極めて座りが良く安定して置くことが可能となる。
【0054】
(第4の実施形態の変形例)
次に、第4の実施形態における変形例について説明する。
なお、以下、特記しない限り、構成、製造方法及び効果等については、前述した第4の実施形態と同様であるものとする。
【0055】
図15の(a)は、本発明の第4の実施形態の変形例における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
第4の実施の形態における液体容器は、背面側に頂部11a、吸引部41及び容器分離部42、正面側に最深部11bが設けられている。これに対し、図に示すように、本変形例では、反対に、正面側に頂部11a、吸引部41及び容器分離部42、背面側に最深部11bが設けられており、傾斜が反対方向に形成され、脚部12も正面側に形成されている。
また、第4の実施形態の液体容器の射出口15が、液体の射出方向が接地面の平行方向に対し若干斜め上方向となるように形成されているのに対し、本変形例では、反対に、若干斜め下方向となるように形成されている。
【0056】
図16の(a)は、本発明の第4の実施の形態における液体容器の使用方法を示す図であり、(b)は、その変形例における液体容器の使用方法を示す図である。
図に示すように、前述した第4の実施形態では、残った液体を最深部11bに溜めて吸い上げるために、液体容器をやや正面側に前傾させて使用するのに対し、本変形例では、反対に、液体容器をやや背面側に後傾させて使用する。
また、液体容器は、射出口15が上方又は下方に傾いて形成されているので、いずれの液体容器も、使用時に傾けたときに、液体をほぼ正面方向に射出させることができ、使い勝手がよい。
【0057】
以上説明したように、液体容器を前傾又は後傾いずれの方法で使用する場合であっても、第4の実施形態又は本変形例の液体容器を使い分けることにより、その用途に適した液体容器を提供することができる。
【0058】
<実施形態のまとめ>
以上説明したように、前述の実施形態では、容器本体11の内底面に傾斜を設け、最深部11bに液体が溜まるようにし、その最深部11bに吸引管13の下端開口面が位置するように構成したので、液体容器内に残った液体が少量になったとしても、その液体を効率よく使用することが可能となる。
【0059】
また、その傾斜の頂部11a寄りに液体容器を支持するための脚部12を容器本体11と一体に形成し、この脚部12底面の1点と、最深部11bの外底面の2点との計3点で、接地面上に接地するように構成したので、グラついたりすることなく、安定して置くことが可能となる。
【0060】
また、前述の脚部12は、左右一対の金型100a,100bで挟み込んでブロー成形することにより、容器本体11と一体に形成するので、容器本体11と強固に結合できることから離脱・破損のおそれが少なく、液体容器を極めて容易に製造することが可能となる。
【0061】
また、液体容器は、接地面の平行方向に対して液体の射出方向が例えば、5〜20°上方又は下方に傾くように射出口15を形成しているので、いずれの液体容器も、使用時に傾けても、液体をほぼ正面方向に射出させることができ、利用者の狙ったところへ液体を容易に射出することが可能となる。
【0062】
なお、上記の実施例は本発明の好適な実施の一例であり、本発明の実施例は、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施することが可能となる。
例えば、吸引部31,41の形成位置は、必ずしも容器本体11の側壁面寄りである必要はなく、容器本体の中央部分であってもよい。
また、前述の実施形態では、液体の射出方向が接地面の平行方向に対して5〜20°上方又は下方に傾くように射出口15を形成しているが、液体容器の設計上の変更に応じて、この範囲外の角度に適宜形成してもよい。
また、この射出口15は、例えば蛇腹状の可動部位を備え、射出方向を任意の方向に可動自在に構成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】(a)は、本発明の第1の実施形態における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における液体容器の製造方法において、樹脂を一対の金型間にセットする工程を示す正面断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態における液体容器の製造方法において、一対の金型で樹脂を挟み込む工程を示す正面断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における液体容器の製造方法において、金型で挟み込んだ樹脂を膨らませて成形するとともに脚部を形成する工程を示す正面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態における液体容器の脚部を示す斜視図である。
【図6】(a)は、本発明の第1の実施形態の変形例における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図7】(a)は、本発明の第1の実施の形態における液体容器の使用方法を示す図であり、(b)は、その変形例における液体容器の使用方法を示す図である。
【図8】(a)は、本発明の第2の実施形態における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図9】(a)は、本発明の第2の実施形態の変形例における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図10】(a)は、本発明の第2の実施の形態における液体容器の使用方法を示す図であり、(b)は、その変形例における液体容器の使用方法を示す図である。
【図11】(a)は、本発明の第3の実施形態における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図12】(a)は、本発明の第3の実施形態の変形例における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図13】(a)は、本発明の第3の実施の形態における液体容器の使用方法を示す図であり、(b)は、その変形例における液体容器の使用方法を示す図である。
【図14】(a)は、本発明の第4の実施形態における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図15】(a)は、本発明の第4の実施形態の変形例における液体容器の側面図であり、(b)は、その底面図である。
【図16】(a)は、本発明の第4の実施の形態における液体容器の使用方法を示す図であり、(b)は、その変形例における液体容器の使用方法を示す図である。
【符号の説明】
【0064】
11 容器本体
11a 頂部
11b 最深部
11c 容器口
12 脚部
13 吸引管
13a グリップ
14 ポンプ
15 射出口
31,41 吸引部
32,42 容器分離部
100a,100b 金型
300 パリソン
310 バリ
A〜C 接地点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内の液体を吸引管を介してポンプで吸引して射出口から射出する液体容器であって、
前記容器本体の底面は傾斜しており、前記吸引管の下端開口面は前記傾斜面の最深部に位置し、前記傾斜面の頂部外側下方には該頂部側を支持する脚部が突設されていることを特徴とする液体容器。
【請求項2】
容器本体の一部を熱溶着させて形成した管状の液体の流路である吸引部を介して、前記容器本体内の液体をポンプで吸引して射出する液体容器であって、
前記容器本体の底面は傾斜しており、前記吸引部の下端開口面は前記傾斜面の最深部に位置し、前記傾斜面の頂部外側下方には該頂部側を支持する脚部が突設されていることを特徴とする液体容器。
【請求項3】
前記脚部は、前記傾斜面の頂部から最深部方向へ形成されるリブ状の部材であって、前記容器本体と一体に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の液体容器。
【請求項4】
前記脚部の外側先端の1点と、前記最深部の外底面側の2点とが下方に突出しており、前記3点で接地するように構成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体容器。
【請求項5】
前記射出口は、該射出方向が前記接地面に対して所定角度上方又は下方に傾くように形成されることを特徴とする請求項4記載の液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−40443(P2009−40443A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−205682(P2007−205682)
【出願日】平成19年8月7日(2007.8.7)
【出願人】(303066390)株式会社日本興産 (4)
【Fターム(参考)】