説明

液体封入用容器

【課題】非水系の液体を入れた容器を密封する作業を容易にし、非水系の液体を容器から少量ずつ取り出す際に、取り出す毎に容器を密封する作業を容易に行うこと。
【解決手段】液体封入用容器100は、非水系電解液103を封入する。内層101は、熱可塑性樹脂により形成され、封入した非水系電解液103を取り出し可能な開口部111を有するとともに、開口部111が熱圧着により封止される。外層102は、金属製であり、内層101の外側を被い、内層101と一体に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体封入用容器に関し、例えば非水系電解液を輸送する際に使用する液体封入用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、非水系電解液を入れる容器は、非水系電解液に大気中の水分が混入して非水系電解液が劣化することを防ぐために、非水系電解液の出し入れを行う部分を頑強なネジ式にしたステレンス製のボトル型容器を使用する。
【0003】
また、従来、飲料または食品等を輸送するための密封用容器が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1によれば、容器に飲料または食品等を入れた後に、蓋を容器に加熱融着して密封する。これより、特許文献1に示す密封用容器は、大気中の水分が内部に混入し難い。従って、特許文献1に示す密封用容器を、非水系電解液を入れる容器に転用することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−153894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の非水系電解液を入れる容器においては、非水系電解液の出し入れを行う部分を頑強なネジ式にしているので、非水系電解液を入れた容器の密封作業が面倒であるという問題があるほか、容器自体が高価になる。また、特許文献1に示す容器を、非水系電解液を入れる容器に転用した場合には、容器とは別体の蓋を容器に加熱融着して密封するので、内容物を入れた容器の密封作業が煩雑であるという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、非水系の液体を入れた容器を密封する作業を容易にすることができ、非水系の液体を容器から少量ずつ取り出す際に、取り出す毎に容器を密封する作業を容易に行うことができる液体封入用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液体封入用容器は、封入部と開口部とを有する、非水系の液体を封入する液体封入用容器であって;前記液体封入用容器は、熱融着性樹脂層からなる内層と、金属箔からなる外層とを有し、前記開口部は前記封入部よりも幅細である、という構成を採る。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非水系の液体を入れた容器を密封する作業を容易にすることができ、非水系の液体を容器から少量ずつ取り出す際に、取り出す毎に容器を密封する作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態に係る液体封入用容器の正断面図
【図2】本発明の実施の形態に係る液体封入用容器の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る液体封入用容器100の正断面図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る液体封入用容器100の側断面図である。
【0012】
液体封入用容器100は、内層101と、外層102とから主に構成される。液体封入用容器100は、非水系液体103を封入(収容)するための封入部110と、封入部110よりも幅細であり、封入部110と連通する開口部111とを有する。
【0013】
開口部111の封入部110からの突出長さLは、非水系液体103を取り出すための開口部111の切断と、熱圧着により再封止(後述)の想定回数に基づいて設定される。突出長さLは、例えば2〜20cmである。また、開口部111の内径は、例えば5〜20mmである。
【0014】
液体封入用容器100の封入部110の容積、すなわち液体封入用容器100に封入されうる非水系液体103の容量は、通常0.05〜2.00lであり、好ましくは1l以下である。非水系液体103の容量が大きすぎると、液体封入用容器100の容器としての強度が十分でなくなる恐れがある。
【0015】
液体封入用容器100に封入される非水系液体103は、例えば非水系電解液である。非水系電解液とは、リチウムイオン二次電池などの電解液であり、通常は非プロトン性有機溶媒(例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホランなどを単独あるいは混合した溶媒)を含む溶液である。
【0016】
容器100の内層101は、熱融着性樹脂により形成され、熱融着性樹脂の例には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびそれらの変性樹脂などが含まれる。内層101は、非水系の液体103と接触するので、耐薬品性も求められる。内層101の厚さは、特に限定されないが、通常10〜100μmである。
【0017】
容器100の外層102は、内層101と積層フィルムを構成する。外層102は金属箔であるが、好ましくはステンレス箔である。ステンレス箔は、アルミニウム箔などと比べると強度が強く、容器自体の破断が抑制され、また容器としての形状保持性を確保しやすいからである。内層101と外層102とを合わせた厚さは、例えば20μm〜200μmである。金属箔からなる外層102の厚みが過剰に厚いと、後述する開口部111の切断が困難になる場合がある。
【0018】
以上で構成の説明を終える。
【0019】
次に、液体封入用容器100の使用方法について説明する。
【0020】
最初に、容器100の開口部111を通して、封入部110に非水系液体103を入れる。そして、所定量の非水系液体103を封入部110に入れた後、開口部111の上端部を熱圧着する。熱圧着した部分の内層101の熱融着性樹脂が容易に溶融後固化して、非水系液体103は密封される。
【0021】
その後、非水系液体103を封入した液体封入用容器100を輸送することができる。また、この際、開口部111は封止されているので、大気中の水分が非水系液体103に混入することはない。また、容器100は、金属箔からなる外層102を有するので、容器100が破断して封入物がもれる恐れもない。
【0022】
次に、非水系液体103を使用する場合には、ハサミ等を用いて、開口部111のX1−X2線(図1参照)に沿って切断する。これにより、開口部111の上端が外部に解放され、開口部111より非水系液体103を取り出すことができる。非水系液体103の取出しは、特に制限されないが、スポイトなどを用いて行ってもよい。
【0023】
次に、所定量の非水系液体103を取り出した後、開口部111の上端部を熱圧着により再び封止する。これにより、再び大気中の水分が非水系の液体103に混入することはなくなる。
【0024】
この後、上記の熱圧着及び切断の作業を繰り返す。即ち、2回目に開口部111を切断する際には、Y1−Y2線(図1参照)に沿って切断し、非水系液体103の取出し後に開口部111を熱圧着する。また、3回目に開口部111を切断する際には、Z1−Z2線(図1参照)に沿って切断し、非水系液体103の取出し後に開口部111を熱圧着する。このように、開口部111を切断する都度、開口部111の封入部110からの突出長さLは短くなる。しかしながら、開口部111の封入部110からの突出長さLを、所定回数の切断が可能な長さにすることにより、熱圧着と切断とを繰り返すことができる。
【0025】
このように、本実施の形態によれば、容器の内層を熱融着性樹脂で構成し、開口部を熱圧着により封止するので、液体を入れた容器を密封する作業を容易にすることができる。また、本実施の形態によれば、容器を密封する作業を容易にすることができるので、非水系液体を容器から少量ずつ取り出す際に、取り出す毎に容器を密封する作業を容易に行うことができる。また、本実施の形態によれば、繰り返し熱圧着する開口部を、封入部よりも幅細にしたので、熱圧着する面積を少なくすることができ、熱圧着作業を容易にすることができる。また、本実施の形態によれば、非水系液体を少量ずつ取り出す毎に開口部を熱圧着して容器を密封するので、次に非水系電解液を取り出すまでの間、非水系液体への大気中の水分の混入を防ぐことができる。また、本実施の形態によれば、非水系液体を容器から取り出す際に、開口部をハサミ等で切断するだけでよいので、非水系電解液の容器からの取り出し作業を容易にすることができる。
【0026】
なお、上記の実施の形態において、容器の外層102の外部を保護用の樹脂層で被ってもよい。また、上記の実施の形態において、開口部を封入部よりも幅細にしたが、その程度や形状は適宜設定され、熱圧着のしやすさと、非水系液体の取出しやすさなどに応じて選択すればよい。非水系液体は、典型的には非水系電解液であるが、特段これに限らず、非水系電解液以外の非水系の任意の液体を封入することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明にかかる液体封入用容器は、例えば非水系電解液を輸送する容器として使用するのに好適である。
【符号の説明】
【0028】
100 液体封入用容器
101 内層
102 外層
103 非水系液体
110 封入部
111 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入部と開口部とを有する、非水系の液体を封入する液体封入用容器であって、
前記液体封入用容器は、熱融着性樹脂層からなる内層と、金属箔からなる外層とを有し、
前記開口部は、前記封入部よりも幅細である液体封入用容器。
【請求項2】
前記金属箔は、ステンレス箔である、請求項1記載の液体封入用容器。
【請求項3】
前記非水系の液体は、非水系電解液である、請求項1記載の液体封入用容器。
【請求項4】
前記非水系の液体の一部は、前記開口部の端部を切断して形成された切断口を通して取り出され、かつ
前記非水系の液体の残部は、前記切断口を熱圧着することで再度封入される、請求項1記載の液体封入用容器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−184075(P2011−184075A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−51965(P2010−51965)
【出願日】平成22年3月9日(2010.3.9)
【出願人】(000004581)日新製鋼株式会社 (1,178)
【Fターム(参考)】