説明

液体微細化ユニットおよび液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置

【課題】本発明は、液体微細化ユニットおよび液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するもので、液体微細化の効率を向上することを目的とするものである。
【解決手段】円筒状の外殻2と、この外殻内2に上下方向に向けて配置した回転軸3と、この回転軸3の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板4a,4bと、上段の回転板4aの上面に液体を供給する液体供給部5と、前記外殻内2の液体を下段の回転板4bの上面に案内する液体再供給部としての貯水部8および水路9を備え、前記外殻2の内壁に前記回転軸3に向けて突出する複数の突出部7a,7bを設け、前記複数の突出部7a,7bは、前記複数の回転板4a,4bの回転方向に対向する面が前記複数の回転板4a,4bの接線方向に対して略直交する衝突面を構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体微細化ユニットおよび液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、サウナ装置に用いられる液体微細化装置の構成は、次のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、給気口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の風路に設けた送風手段と、この送風手段と排気口間に設けた液体微細化手段とを備え、前記液体微細化手段は、回転する円板の上面に液体を供給し、円板上に薄く広がった液体を遠心力により外方に飛散させて微細化させる構成となっていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−118068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来例で課題となるのは、液体微細化の効率が低いということである。
【0005】
すなわち、従来の液体微細化装置は、上述のごとく、液体を円板の上面から遠心力により飛散させて微細化しているが、このように、円板から外方に飛散させるだけでは、十分に微細化されないまま液体が飛散してしまい、微細化の効率が低くなってしまう。
【0006】
そこで、この問題を解決するため、回転板の外周に筒を設けて、回転板から飛散した液体を衝突させて、液体の微細化を促進する方法が提案されているが、飛散した液体を筒の内壁に衝突させる方法でも、単に筒の内面に衝突させるものでは、衝突エネルギーを有効に活用できず、やはり微細化の促進は十分ではない。つまり、この場合、筒の内面では飛散した液体が内面に対して傾いた方向で衝突することになるので、衝突エネルギーを破砕に活用することができず、この結果として、液体の微細化効率が低くなってしまうものであった。
【0007】
そこで本発明は、液体微細化の効率を向上することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そして、この目的を達成するために本発明は、筒状の外殻と、この外殻内に上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板と、上段の回転板の上面に液体を供給する液体供給部と、前記外殻内の液体を下段の回転板の上面に案内する液体再供給部とを備え、前記外殻の内壁に前記回転軸に向けて突出する複数の突出部を設け、前記複数の突出部は、前記複数の回転板の回転方向に対向する面が前記複数の回転板の接線方向に対して略直交する衝突面を構成し、これにより、上記目的を達成している。
【発明の効果】
【0009】
以上のように、本発明は、上下方向に配置した筒状の外殻と、この外殻内に上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板と、上段の回転板の上面に液体を供給する液体供給部と、前記外殻内の液体を下段の回転板の上面に案内する液体再供給部とを備え、前記外殻の内壁に前記回転軸に向けて突出する複数の突出部を設け、前記複数の突出部は、前記複数の回転板の回転方向に対向する面が前記複数の回転板の接線方向に対して略直交する衝突面を構成することにより、液体微細化の効率を向上することができる。
【0010】
すなわち、本発明においては、遠心力によって複数の回転板の外縁から飛散する液体が、回転板の略接線方向に飛散して、突出部の衝突面に略直角に衝突する、つまり衝突エネルギーを有効に活用できるので、この衝突により放散された液滴が破砕されて微細化が促進されるので、結果として、液体微細化の効率を向上するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下では、液体が水の場合を例として説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、本発明の液体微細化ユニット1を示した斜視図である。
【0013】
この水微細化ユニット1は、図1に示すごとく、上下方向に配置した円筒状の外殻2と、この外殻2内に上下方向に向けて配置した回転軸3と、この回転軸3の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板4a,4bと、上段の回転板4aの上面に液体を供給する液体供給部5とを備えている。なお、本実施の形態において外殻2は円筒状としたが、かならずしも円筒である必要はなく、その他の形状の筒であっても良い。
【0014】
回転軸3の上端は外殻2の上部に設けた駆動用のモータ6と連結する構成とし、回転軸3は外殻2の下面に向かって垂直方向に延びて、下端には保持部(図示せず)を備えている。
【0015】
回転板4a,4bは、親水性を有する樹脂で平板状に形成し、液体供給部5は、上段の回転板4a上面の中心付近に水を供給する構成としている。
【0016】
円筒状の外殻2の内壁には、回転板4aの外周に回転軸3に向けて突出する複数の突出部7aを設け、回転板4bの外周には回転軸3に向けて突出する複数の突出部7bを設けている。複数の突出部7a,7bの形状については後段で説明する。
【0017】
円筒状の外殻2の内壁にはさらに、上段の回転板4aと下段の回転板4bの間に、外殻2内の水を回収して下方の回転板4bへと案内する液体再供給部としての貯水部8および水路9を備えている。
【0018】
貯水部8は、上段の回転板4aと下段の回転板4bとの間、すなわち、複数の突出部7aと複数の突出部7bとの間に、筒状の外殻2の内壁に沿って環状に設けられ、この貯水部8から下段の回転板4bの上面へ水を案内する水路9を設ける構成としている。本実施の形態では、水路9を貯水部8の三方から回転軸3に向かって伸びる構成とし、下段の回転板4b上に開口する構成としている。
【0019】
円筒状の外殻2は、空気を通風するために下方に設けた開口10aおよび上方に設けた開口10bを有し、複数の回転板4a,4bと外殻2との隙間の通風路11を通風する構成とする。本実施の形態では、通風路11は、図1および図2に示すように、外部に設置した送風手段(図示せず)から送られる空気を、下方の開口10aから上方の開口10bへと上向きに通風可能な構成としている。
【0020】
次に、図3(a)および図3(b)を用いて、複数の突出部7a,7bの形状を説明する。
【0021】
なお、複数の突出部7aと複数の突出部7bとは同じ形状であるので、ここでは、複数の突出部7aについて説明し、複数の突出部7bについては説明を簡略化する。
【0022】
図3(a)に示すように、複数の突出部7aは、回転板4aの外周に沿って筒状の外郭2の内壁に設けることとし、筒状の外郭2の内壁から回転軸3の方向に突出するように構成する。このとき、複数の突出部7aを設ける筒状の外殻2の内径と、環状に設けた貯水部8の内径とがほぼ等しくなるように、外殻2の内壁を内側に隆起させて形成し、複数の突出部7aが貯水部8の内周よりも回転軸3の方向に突出するように構成している。これにより、回転板4aと外殻2との隙間の通風路11に空気を通風したときに、複数の突出部7aおよび外殻2の内壁の表面が通風路11を通過する空気と接触する構成としている。
【0023】
図3(b)に示すように、複数の突出部7aは回転板4aの外周に沿って断続的に、ほぼ均等な間隔で配置されており、複数の突出部7aの回転板4aの回転方向に対向する面は、回転板4aの接線12に対して略直交する衝突面13を構成している。
【0024】
以上の構成において、次に動作を説明する。
【0025】
図1に示す、液体微細化ユニット1において、モータ6を駆動すると、筒状の外殻2の内部で回転軸3が高速回転し、それにともない回転板4a,4bが高速回転される。
【0026】
このとき、液体供給部5は、高速回転する回転板4aの上面の中心付近に水を供給する。回転板4aの上面に供給された水は、高速回転による遠心力によって回転板4aの中心付近から外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板4aの外周縁から図3(b)に示す接線12の方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0027】
そして、遠心力によって回転板4aの外縁から高速で飛散する水滴の大部分は、回転板4aの接線12とほぼ同じ方向に飛散し、この飛散した水滴が、複数の突出部7aの衝突面13に略直角に衝突するので、放散された液滴がこの衝突によって効果的に破砕され、微細化が促進される。
【0028】
また、衝突面13に衝突して破砕された水滴は、外殻2および複数の突出部7aと回転板4aとの隙間を通風する通風路11の空間内で飛び散り、高速回転する回転板4aや、隣接する衝突部7に再び衝突して破砕され、水の微細化がさらに促進される。
【0029】
このように、液体供給部5から上段の回転板4aの上面に供給された水の大部分は、高速回転する回転板4aから放散され、複数の突出部7aの衝突面13に衝突して、この時点で大部分が微細化され、このような微細水滴は図3(b)に示す通風路11を通過する空気と接触して微細化状態で搬送される。
【0030】
一方、上方の回転板4aから遠心力により飛散した水滴のうち、微細化されずに複数の突出部7aの表面や外殻2の内壁に付着した僅かな水滴や、微細化された後に結露した微量の水滴は、図2に示す貯水部8に流れおちて集められ、水路9を介して、下段の回転板4bの上面へと運ばれる。
【0031】
このように、下方の回転板4bに運ばれた僅かな水も、下方の回転板4bの高速回転の遠心力により図3(b)に示す回転板4bの接線12の方向に放散されて、複数の突出部7bの衝突面13に略直角に衝突することにより、水滴が破砕されて微細化が促進される。
【0032】
すなわち、下方の回転板4bに供給された僅かな水滴も、高速回転による遠心力で外周方向に向かって薄膜状に広がって、回転板4bの外周縁から接線12の方向へと高速で吹き飛ばされ、吹き飛ばされた水滴が複数の突出部7bに同様に衝突して効果的に破砕され、水の微細化が促進される。
【0033】
下段の回転板4bの上面に供給された僅かな水は、この時点で大部分が微細化され、通風路11を通過する空気と接触して、微細化状態で搬送される。
【0034】
以上のような構成と動作によれば、供給された水が複数の回転板4a,4bの表面に広がり、高速回転の遠心力によって回転板4a,4bの外縁から放散されて微細化されるだけでなく、回転板4a,4bの外縁から接線方向に飛散する水滴が、回転板4a,4bの外周側に外殻2の内壁に沿って設けた複数の突出部7a,7bの衝突面13に略直角に衝突することとなり、この衝突によって水の微細化が効果的に促進されることとなるので、本実施形態によれば、微細化効率を向上する液体微細化ユニット1を提供することが可能となる。
【0035】
なお、複数の突出部7a,7bが貯水部8よりも通風路11の空間内に突出しているので、衝突面13で破砕された微細な水滴が、通風路11内を通過する空気と接触しやすくなり、この結果、水滴が突出部7a,7bや外殻2の表面に付着しにくくなり、衝突による破砕を効率良く行うことが可能となるとともに、微細水滴が壁面に付着して結露するのを防ぐことが可能となるので、水の微細化状態を保持したまま外部へ搬送することが可能となり、供給した水の微細化効率を向上することが可能となる。
【0036】
また、複数の突出部7a,7bの他の形態として、図4(a)(b)に示すように、外殻2の内径を貯水部8の内径よりも大きく形成して、複数の突出部7a,7bが貯水部8の内周より回転軸3の方向に突出する構成とすると、複数の突出部7a,7bの周辺において通風路11の通風空間を広く確保すること可能となるので、衝突面13の面積を広く確保して、水を微細化効率を向上することが可能となる上、衝突面13と衝突した微細化水滴の飛散可能な空間がより広くなるので、通風路11を通過する空気と混合しやすくなり、微細化した水滴をより効率良く外部へ搬送することが可能となり、結果として、供給した水の微細化効率を向上することが可能となる。さらに、上段の回転板4aから飛散して複数の突出部7aに付着した水滴が、複数の突出部7aの下方にある貯水部8へと流れ落ちやすくなるため、微細化できなかった水滴を効率良く回収して、再度微細化することが可能となり、供給した水の微細化効率をさらに向上するという効果を奏する。
【0037】
(実施の形態2)
以下、本発明の実施の形態2について、図面を参照しながら説明する。
【0038】
本実施の形態2では、実施の形態1の液体微細化ユニット1を用いた液体微細化装置の詳細を、本ユニットを水の微細化に用いることによりその効果を特に生かすことができることから、サウナ装置の実施形態において説明する。
【0039】
なお、実施の形態1の構成と同一の構成については、同一の符号を参照し、その説明を簡略化する。
【0040】
図5に示すように、サウナ室14の天井面15には、液体微細化装置16が取り付けられている。
【0041】
この水微細化装置16は、図6から図8に示すように、下面に吸込口17と排気口18とを有する本体ケース19と、この本体ケース19内の吸込口17と排気口18とを結ぶ風路に設けた加熱手段としての熱交換器20および送風手段としてのファン21a,21bとを備え、ファン21aと排気口18との間に図1で説明した液体微細化ユニット1を内蔵する構成としている。
【0042】
ファン21a,21bは、熱交換器20の上方で開口するケーシング22a,22bをそれぞれ備えている。
【0043】
ファン21aのケーシング22aの吹出し口は、図8に示すように、液体微細化ユニット1の外殻2の下方に設けた開口10aに連通する構成としている。そして、外殻2の上方の開口10bは、合流部23を介して、排気口18に連通する構成としている。一方、ファン21bのケーシング22bの吹出し口からの風路は、図7に示すように液体微細化ユニット1を経由せず、合流部23を介して、排気口18に連通している。すなわち、ファン21aおよびファン21bから送風された空気は、合流部23において合流して、排気口18からサウナ室14へと排出される構成としている。
【0044】
以上の構成において、実施形態1の液体微細化ユニット1を備えた液体微細化装置16が、本実施形態のサウナ装置において水微細化の動作を行う過程を説明する。
【0045】
図5のサウナ室14内において、サウナを使用する場合、まず、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から、この図5に示すパイプ24を介し、図6に示す熱交換器20に水(温水)が供給される。また、この水の一部は、図1に示す液体供給部5へと供給される。液体供給部5に供給される水は、極めて少量であって、この時点では、液体供給部5から排出されていない。
【0046】
この状態で、熱交換器20が運転され、図6のファン21aおよび図7のファン21bが駆動されると、ファン21a,21bが吸込口17を介して図5のサウナ室14内の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は図6の熱交換器20によって加熱される。加熱された空気は、ファン21a,21bによって、ケーシング22a,22b内へ吸入される。熱交換器20により加熱された空気は、この時点で約摂氏60度まで加熱されている。
【0047】
ケーシング22aに吸入された高温の空気は、液体微細化ユニット1の外殻2の下方に設けた開口10aより、外殻2の内部へと送られるので、外郭2内部では図1および図2に示す通風路11を経由する上昇気流が発生している。
【0048】
このとき、モータ6が駆動されると、外殻2の内部では、回転軸3が高速回転し、それにともない回転板4a,4bが高速回転される。そして、液体供給部5は、高速回転する図6に示す回転板4aの上面の中心付近に水を供給する。回転板4aの上面に供給された水は、高速回転による遠心力によって回転板4aの中心付近から外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板4aの外周縁から図3(b)に示す接線12の方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0049】
そして、遠心力によって回転板4aの外縁から高速で飛散する水滴の大部分は、回転板4aの接線12とほぼ同じ方向に飛散し、この飛散した水滴が、複数の突出部7aの衝突面13に略直角に衝突するので、放散された液滴がこの衝突によって効果的に破砕され、微細化が促進される。
【0050】
このように、液体供給部5から上方の回転板4aの上面に供給された水は、この時点で大部分が高速回転により回転板4aの接線12とほぼ同じ方向に飛散し、衝突面13に衝突して破砕され、微細化されるとともに、外殻2や複数の突出部7aと回転板4aとの隙間を通風する通風路11の空間内で飛散して、この通風路11を経由する空気、すなわち、送風手段21aによって、開口10aを介して外殻2内に送風された暖かい空気と混ざって、微細化状態のまま、開口10bを介して外殻2から排出され、合流部23を介して排気口18へと搬送される。
【0051】
このように、液体供給部5から上段の回転板4aの上面に供給された水の大部分は、高速回転する回転板4aから放散され、複数の突出部7aの衝突面13へ略直角に衝突して、この時点で大部分が効果的に微細化され、このような微細水滴は図3(b)に示す通風路11を通過する暖かい空気と接触して微細化状態で搬送される。
【0052】
また、上方の回転板4aから遠心力により飛散した水滴のうち、微細化されずに外殻2の内壁や複数の突出部7aの表面に付着した僅かな水滴や、微細化された後に結露した僅かな水滴の大部分は、外殻2の内部で通風路11を通過する暖かい上昇気流により、内壁から流れ落ちずに保持されてそのまま乾燥される。
【0053】
外殻2内で通風路11を通過する暖かい上昇気流によっても乾燥されずに、外殻2の内壁や複数の突出部7aに付着した僅かな水滴が、上昇気流によっても保持されないときには、貯水部8に流れ落ちて貯水される。貯水部8に貯まった僅かな水は、水路9を介して、貯水部8の三方向から、下方の回転板4bの上面へと運ばれる。
【0054】
このように、下方の回転板4bに運ばれた僅かな水も、上方の回転板4aと同様に、下段の回転板4bの高速回転の遠心力により回転板4bの接線12の方向に放散されて、複数の突出部7bの衝突面13に略直角に衝突することにより、水滴が効果的に破砕されて微細化が促進される。さらに、衝突によって効果的に破砕され、微細化された僅かな水滴は送風手段21bから開口10aを介して送風される高温の乾燥空気と接触し、微細化水滴の気化が促進されて、暖かい加湿空気となって通風路11を上昇する。
【0055】
すなわち、下方の回転板4bに供給された僅かな水滴も、高速回転による遠心力で外周方向に向かって薄膜状に広がって、回転板4bの外周縁から接線12の方向へと高速で吹き飛ばされ、吹き飛ばされた微細水滴が複数の突出部7bに同様に衝突して効果的に破砕されるので、水の微細化が促進されて、ほぼ完全に微細化される上、下方の開口10aを介して送風された高温の乾燥空気と接触して、微細化された水滴の気化が促進される。
【0056】
このように、液体微細化ユニット1の内部で、回転板4a,4bと、複数の衝突部7a,7bの衝突面13で効果的に破砕された微細水滴を含む加湿空気は、下方の開口10aから導入される高温の乾燥空気と混じって気化されて、あるいは、微細状態の水滴を含んだ暖かい加湿空気となって、外郭2の上方の開口10bを介して合流部23へと排出される。
【0057】
一方、ファン21bにより、ケーシング22bに吸入された高温の乾燥空気は、液体微細化ユニット1を経由しないため、水微細化による気化作用が生じないため、高温乾燥状態のまま合流部23へと送られる。そして、この合流部23において液体微細化ユニット1を介して搬送された微細水滴を含む加湿空気と、高温の乾燥空気とが混合されて、排気口18を介して、サウナ室14の天井面15からサウナ室14の内部へと供給されることとなる。
【0058】
また、このサウナ運転を中断あるいは停止した場合には、ファン21a,21bと、回転軸3および回転板4a,4bの回転、および液体供給部5からの給水が停止する。そのときには、液体供給部5からそれまでに供給された水は、上方の回転板4aおよび下方の回転板4bの高速回転で放散されて、外殻2の内壁に沿って設けた複数の突出部7a,7bの衝突面13に略直角に衝突することとなり、この衝突によってほぼすべて効果的に微細化されてしまうこととなる。
【0059】
以上のような構成と動作によれば、高速回転の遠心力によって回転板4a,4bの外縁から放散されて微細化されるだけでなく、回転板4a,4bの外縁から回転板4a,4bの接線12方向に飛散する水滴が、回転板4a,4bの外周側に備えた複数の衝突部7a,7bの衝突面13に対して略直角に、衝突され、効果的に破砕されることとなるので効果的に水を破砕することが可能となる上、加熱空気と効果的に混合することが可能となるので、水の微細化効率を向上した液体微細化装置16を利用したサウナ装置を提供することが可能となる。
【0060】
すなわち、実施の形態1でも説明したとおり、複数の突出部7a,7bが貯水部8よりも通風路11の空間内に突出しているので、衝突面13で効果的に破砕された微細な水滴が、通風路11内を通過する暖かい空気と接触しやすくなり、この結果、水滴が複数の突出部7a,7bや外殻2の表面に付着しにくくなり、衝突による破砕を効果的に、効率良く行うことが可能となるとともに、微細水滴が壁面に付着して結露するのを防ぐことが可能となるので、水の微細化状態を保持したまま外部へ搬送することが可能となり、供給した水の微細化効率を向上して、高性能のサウナ装置を提供することが可能となる。
【0061】
さらに、液体微細化ユニット1の外殻2の通風路11に暖かい空気を上昇させることで、上段の回転板4aから飛散して複数の突出部7aに付着した水滴が僅かに残ったとしても、外殻2の下方の開口10aから上方の開口10bへと上昇する通風路11内で、僅かな非微細化水滴が下方へ流れるのを防止し、通風路11内でとどめて乾燥させることができるので、非微細化水滴を特別に排出する必要がなく、さらに、仮に微細化されない液体が複数の突出部7a,7bの衝突面13に付着したり、貯水部8に温水が残ったりしても、これらは熱交換機20によって加熱された空気の残熱によって乾燥されるため、液体微細化装置16から外部へ排出する必要がない。これにより、非微細化水滴の排出のための配管施工を解消することができ、その結果として、施工作業が簡単になるという効果をも奏する。
【0062】
なお、複数の突出部7a,7bの他の形態として、図4に示すように、外殻2の内径を貯水部8の内径よりも大きく形成して、複数の突出部7a,7bが貯水部8の内周より回転軸3の方向に突出する構成とすると、衝突面13の面積を広く確保できる上、複数の突出部7a,7bの周辺において暖かい空気が通過する通風路11の通風空間を広く確保することが可能となるので、水の微細化効率を一層向上することが可能となるという効果を奏する。すなわち、衝突面13と衝突して、効果的に破砕された微細化水滴の飛散可能な空間がより広くなるので、通風路11を通過する暖かい空気と混合しやすくなり、より多くの微細化水滴をサウナ室14へ搬送することが可能となり、結果として、供給した水の微細化効率が向上し、十分な加湿空気を提供し、サウナ使用者の快適性を高めることが可能となるという効果を奏する。さらに、複数の突出部7aの衝突面に僅かな水滴が付着し、暖かい上昇気流によっても保持され、乾燥されなかったとしても、複数の突出部7aの下方にある貯水部8で回収しやすくなるため、微細化できなかった水滴を効率良く回収して、再度微細化することが可能となり、さらに供給した水の微細化効率を向上するという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上のように、本発明の液体微細化ユニットおよび液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置は、液体を効率的に微細化することが可能となる、つまり衝突エネルギーを有効に活用することができる。
【0064】
したがって、例えば、サウナ装置、加湿装置、冷却装置、噴霧装置、洗浄装置、植物育成設備等への活用が期待される。また、温水だけでなく、油や洗剤等のその他の液体の微細化設備にも利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】実施の形態1および2における液体微細化ユニットの斜視図
【図2】同液体微細化ユニットの模式図
【図3】(a)同複数の突出部7a,7bおよび要部の拡大斜視図(b)拡大平面図
【図4】(a)他の複数の突出部7a,7bおよび要部の拡大斜視図(b)拡大平面図
【図5】実施の形態2におけるサウナ装置の斜視図
【図6】実施の形態2における液体微細化装置の断面構成図
【図7】実施の形態2における液体微細化装置の斜視図
【図8】実施の形態2における液体微細化装置の斜視図
【符号の説明】
【0066】
1 液体微細化ユニット
2 外殻
3 回転軸
4a 回転板
4b 回転板
5 液体供給部
7a 複数の突出部
7b 複数の突出部
8 貯水部
9 水路
10a 開口
10b 開口
11 通風路
12 接線
13 衝突面
14 サウナ室
16 液体微細化装置
17 吸込口
18 排気口
19 本体ケース
20 熱交換機
21a ファン
21b ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向に配置した筒状の外殻と、この外殻内に上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸の軸方向に所定間隔で固定した複数の回転板と、上段の回転板の上面に液体を供給する液体供給部と、前記外殻内の液体を下段の回転板の上面に案内する液体再供給部とを備え、前記外殻の内壁に前記回転軸に向けて突出する複数の突出部を設け、前記複数の突出部は、前記複数の回転板の回転方向に対向する面が前記複数の回転板の接線方向に対して略直交する衝突面を構成する液体微細化ユニット。
【請求項2】
液体再供給部は、筒状の外殻の内壁に環状に設けた貯水部を有し、複数の突出部は、前記貯水部よりも回転軸方向に突出する構成とした請求項1に記載の液体微細化ユニット。
【請求項3】
筒状の外殻の上方および下方に開口を備え、前記外殻の内壁と複数の回転板との隙間を通風可能な構成とした請求項1または2に記載の液体微細化ユニット。
【請求項4】
複数の突出部は、複数の回転板の外周に沿って配置した請求項1から3のいずれか一つに記載の液体微細化ユニット。
【請求項5】
複数の突出部は、複数の回転板の外周に略均等な間隔で配置した請求項1から4のいずれか一つに記載の液体微細化ユニット。
【請求項6】
吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口とを結ぶ風路に設けた送風手段とを備え、前記本体ケース内に、請求項1から5いずれか一つに記載の液体微細化ユニットを設けた液体微細化装置。
【請求項7】
吸込口と排気口とを結ぶ風路に加熱手段を備えた請求項6に記載の液体微細化装置。
【請求項8】
サウナ室の天井部に、請求項7に記載の液体微細化装置を設けたサウナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−158601(P2010−158601A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504(P2009−504)
【出願日】平成21年1月6日(2009.1.6)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】