説明

液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置

【課題】本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するもので、排水経路を廃止し、サウナ装置設置時の施工作業を簡単に行えるようにすることを目的とする。
【解決手段】吸込口4と排気口5を結ぶ風路に設けた熱交換器7およびファンモータ8と、このファンモータ8と排気口5間に設けた液体微細化手段9を備え、液体微細化手段9は上方および下方に開口を有する筒状の経路12と、この筒状の経路12内に設けた回転手段13と、筒状の経路12の下部に貯水部26を有し、回転手段13は、回転軸19と、この回転軸19を中心として回動する複数の回転板20a,20b、20cと一体に形成された、逆円錐状の揚水管22を備え、貯水部26に、筒状の経路12の下方開口の非対向部分に外側に突出する突出部32を設け、この突出部32内にフロート33を配置するとともに、貯水部26の底面から上方に複数の衝立状のリブ37を設ける構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体微細化装置とそれを用いたサウナ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、サウナ装置に用いられる液体微細化装置の構成は、次のような構成となっていた。
【0003】
すなわち、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の通気路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と排気口間に設けた微細化手段とを備え、前記微細化手段は、給水管から液体を噴射させる構成となっていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−63103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来例で課題となるのは、ノズルから噴出された液体のうち、微細化できなかった液体を排出するために、サウナ室に配管を施工しなければならず、サウナ装置設置時の施工作業が煩雑になるということである。
【0006】
すなわち、ノズルから液体を噴出して液体を微細化するタイプのものでは、液体を完全に微細化することができず、サウナ装置に残った大量の微細化できなかった液体を処理するためにサウナ室に配管を延長して、この微細化できなかった液体をサウナ室に排出するようになっている。このような配管をサウナ室に美観的に施工するのは非常に煩雑な作業となっている。
【0007】
そこで本発明は、排水経路を廃止し、サウナ装置設置時の施工作業を簡単に行えるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そしてこの目的を達成するために本発明は、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段を備え、前記液体微細化手段は、垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、前記筒状の経路の下部に貯水部を有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸を回転させる回転モータと、前記回転軸に固定され、逆円錐形状で、外面の前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板と、かつ上方の回転板と下方の回転板の間に水平方向に長い開口(スリット)を有した揚水管を有するとともに、前記開口の外側周囲に筒状の経路に支持された環状の当て板を設け、前記液体供給手段は前記上方の回転板上に給水し、前記揚水管で吸水され前記開口から噴出した水は、当て板に当てて下方の回転板上に落下させ、前記送風手段は、羽根車とこの羽根車を回転させるファンモータと、前記羽根車を内包するファンケーシングを有し、前記筒状の経路の前記下方開口部から前記貯水部内を介して前記上方開口部に向けて送風し、前記貯水部に、前記筒状の経路の前記下方開口部の非対向部分に外側に突出する突出部を設け、この突出部内に水位検知手段を配置するとともに、前記貯水部の底面から上方に複数の衝立状のリブを設ける構成とし、これにより上記目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上のように本発明は、吸込口と排気口を有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段を備え、前記液体微細化手段は、垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、この筒状の経路内に設けた回転手段と、この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、前記筒状の経路の下部に貯水部を有し、前記回転手段は、上下方向に向けて配置した回転軸と、この回転軸を回転させる回転モータと、前記回転軸に固定され、逆円錐形状で、外面の前記回転軸の軸方向に所定間隔で固定された複数の回転板と、かつ上方の回転板と下方の回転板の間に水平方向に長い開口(スリット)を有した揚水管を有するとともに、前記開口の外側周囲に筒状の経路に支持された環状の当て板を設け、前記液体供給手段は前記上方の回転板上に給水し、前記揚水管で吸水され前記開口から噴出した水は、当て板に当てて下方の回転板上に落下させ、前記送風手段は、羽根車とこの羽根車を回転させるファンモータと、前記羽根車を内包するファンケーシングを有し、前記筒状の経路の前記下方開口部から前記貯水部内を介して前記上方開口部に向けて送風し、前記貯水部に、前記筒状の経路の前記下方開口部の非対向部分に外側に突出する突出部を設け、この突出部内に水位検知手段を配置するとともに、前記貯水部の底面から上方に複数の衝立状のリブを設ける構成としたので、排水経路を廃止することができる。
【0010】
すなわち、本発明においては、上方の回転板に供給する液体の量が多くなり微細化できなかった液体が液体微細化装置内の貯水部に溜まってきても、揚水管を有した回転手段により揚水して何度も回転板に供給でき微細化できるので、結果として、微細化運転終了時には揚水管で揚水できない液体が貯水部に残るだけで、液体供給を停止させ、乾燥運転を行うことにより貯水部の残水を乾燥させることができる。
【0011】
さらに、貯水部に水位検知手段を設ける構成としているので、例えば、水供給手段の異常により一定の流量が保たれず、回転板に大量の水が供給された場合にも、貯水部に溜まった水の水位異常を検知することができる。
【0012】
また、貯水部には、筒状の経路に設けた下方開口部の非対向部分に外側に突出する突出部を設け、この突出部内に水位検知手段を配置する構成とともに、前記貯水部の底面から上方に複数の衝立状のリブを設ける構成としたので、送風機からの送風や揚水管の回転が水位検知手段に与える影響を少なくすることができ、この結果、水位検知手段によってその水位を正確に検知することができるので、水位異常が発生したとしても貯水部から装置外への水漏れ等を未然に回避することができる。
【0013】
したがって、従来必要であった排水管の設置工事が不要となり、液体微細化装置設置時の施工作業を簡単に行えるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態1における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図
【図2】同液体微細化装置の垂直断面の構成図
【図3】同液体微細化装置の液体微細化手段の内部斜視図
【図4】(a)同揚水管の側面を示す構成図、(b)同揚水管の構成を示す斜視図、(c)同揚水管のA−A断面を示す構成図、(d)同揚水管のB−B断面を示す構成図
【図5】同液体微細化装置の液体微細化手段の筒状の経路および貯水部により構成される風路の構成を示す内部斜視図
【図6】同貯水部の断面図
【図7】同貯水部の上面図
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態における液体微細化装置を用いたサウナ装置の斜視図であり、この図1に示すように、サウナ室1の天井面2には、液体微細化装置3が取り付けられている。そして、液体微細化装置3には、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から温水を供給する温水パイプ40と、市水を供給する市水配管41とが接続されている。以下、本実施の形態では、微細化する液体を水として説明する。
【0017】
液体微細化装置3は、図2、図3に示すように、吸込口4と排気口5を有する本体ケース6と、この本体ケース6内の吸込口4と排気口5とを結ぶ風路に設けた加熱手段としての熱交換器7および送風手段としてのファンモータ8と、このファンモータ8と排気口5との間に設けた液体微細化手段9とを備えた構成としている。
【0018】
また、ファンモータ8から液体微細化手段9へ通じる風路は、ファンケーシング10により形成され、液体微細化手段9と排気口5の間に補助熱交換器11を設けている。
【0019】
液体微細化手段9は、図2、図3に示すように、垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路12と、この筒状の経路12の内部に設けた回転手段13と、この回転手段13に水を供給する液体供給手段としての給水管14を備える。この給水管14には定流量弁15を設け、この定流量弁15の上流側配管16に給水弁17が設けられている。そして、給水管14の先端は、後述する回転板20aの回転部分に対して回転軸19寄りに配置している。
【0020】
回転手段13は、上下方向に向けて配置した回転軸19と、この回転軸19の軸方向に、回転軸19を中心として回動する複数の回転板20a,20b、20cを所定間隔で固定して設けている。本実施の形態では、回転軸19の上方から下方へ回転板20a、回転板20b、回転板20cと3枚の回転板を設ける構成とする。
【0021】
回転手段13の上部には、回転軸19を駆動するための回転モータ21を備え、回転手段13の下部には、回転板20a、回転板20b、回転板20cと一体に形成された、逆円錐状の揚水管22を上下方向に備えている。
【0022】
回転板20a、回転板20bの間、及び回転板20b、回転板20cの間には、揚水管22で揚水した水を下方の回転板20b、回転板20cへ落下させる当て板23を環状に設け、筒状の経路12の内壁からの複数の支持棒24で支持されている。
【0023】
揚水管22は、図4に示すように、揚水した水を回転による遠心力で噴出させる水平方向に長い開口25を各回転板の間に2個ずつ設け、各回転板の間で水を噴出させる方向が異なるように、開口25の位置を周方向にずらしている。図3(c)(d)に示すように、回転板3枚の場合、一つの開口25a(25b)の中心角θは90度で、この角度は周方向にずらしているため、4つの開口25により、揚水した水を360度全周に噴出させることができる。
【0024】
また、筒状の経路12の下部には図2に示すごとく貯水部26を有し、揚水管22で揚水できない水量、すなわち微細化運転終了時の貯水部26の貯水量が少なくなるよう、この貯水部26の下部は、例えば逆台形の形状(下方に凸)としている。
【0025】
次に、貯水部26と、筒状の経路12および貯水部26により構成される風路の構成について詳細に説明する。
【0026】
本実施の形態において、図5に詳細に示すように、貯水部26は、底面27とこの底面27の外周から立ち上がる縁部28とを有し、この縁部28の上端を、筒状の経路12の下端に連結させる構成とし、筒状の経路12に設けた上方開口部29と下方開口部30の間を通風する有底筒状の風路(図5に示す実線B)が構成されることとなる。
【0027】
本実施の形態では、下方開口部30の上流にファンケーシング10を連結する構成とし、ファンモータ8からの空気を下方開口部30に強制的に流入させ、貯水部26内を介して筒状の経路12内を下側から上向きに通風する。
【0028】
そして、前述のように筒状の経路12の内部には、揚水管22、複数の回転板20a〜20c、当て板23および支持棒24が設けられているので、これらの隙間を通風し、筒状の経路12の上方開口部29から排出する構成としている(図3に示す実線A)。
【0029】
また、本実施の形態における筒状の経路12の下方開口部30は、筒状の経路12の下端の一部を切り欠いた構成とし、この下方開口部30に接する貯水部26の縁部28には、図5に示すように切り欠き31を設けた構成としている。
【0030】
このようにすると、前記ファンモータ8からの空気が下方開口部30および切り欠き31を介して貯水部26内に流入される構成となり、下方開口部30への空気流入面積を貯水部26の底面27に向けて下方に拡大した構成としている。
【0031】
そして、貯水部26には、筒状の経路12の下方開口部30の非対向部分に、外側に突出する突出部32を設け、この突出部32内に水位検知手段としてフロート33を配置する構成としている。
【0032】
次にフロート33について説明する。
【0033】
本実施の形態における突出部32は、図5に示すように、貯水部26の縁部28において、下方開口部30の非対向部分に開口34を設け、この開口34に対して、貯水部26側の側面を開放して中空に形成した直方体を連結した形状に構成している。そして、この直方体に形成した突出部32にフロート33を配置している。
【0034】
前記フロート33は、図6に示すように運転時の水位面35を検出するもので、この運転時の水位面35以上になると、フロート33の第1スイッチ(図省略)が開となり前記給水弁17への通電がOFFとなり給水管14からの給水が停止するものである。即ち。運転時においては、運転時の水位面35まで貯水部26に水が貯まっている。
【0035】
また、運転時の水位面35より上には異常水位面36が設定されていて、フロート33がこの高さまで上昇すると、フロート33の第2スイッチ(図省略)が開となり、前記給水弁17への通電がOFFとなり給水管14からの給水が停止するだけでなく、ファンモータ8と回転モータ21の運転を停止して、装置運転を停止させる。
【0036】
そして、この貯水部26の底面には前記貯水部26の底面から上方に複数の衝立状のリブ37を設ける構成としている。このリブ37の高さは、異常水位面36と同じ高さとするのが望ましく、切り欠き31の下端38よりも下になるようにする。
【0037】
次にリブ37ついて説明する。
【0038】
リブ37は図7に示すように、揚水管22の周囲にリブ37a、リブ37b、リブ37c、・・、リブ37kと複数枚が、平板で形成されて衝立状に配置されている。そして、下方開口部30を構成する切り欠き下端38の近傍にあるリブ37a、リブ37b、リブ37cは、前記下方開口部30に対して垂直な面および/または傾斜する面を形成している。
【0039】
すなわち、下方開口部30からの貯水部26への空気流入方向と並行および/またはほぼ並行する方向に設ける構成としている。
【0040】
また、突出部32の貯水部26とを連通する開口34の近傍にあるリブ37c、リブ37d、リブ37e、リブ37fは、ある程度の間隔L1を設けて互い違いになるように設けられ、さらに前記下方開口部30に近い位置にあるリブ37cは、突出部32にむけて少し傾くようにしてある。即ち、リブ37d、リブ37e、リブ37fは開口34とほぼ並行に互い違いになるように設けられ、リブ37cはリブ37eに対してθ傾いている。
【0041】
さらに、揚水管から放射状の位置に複数のリブ37h、リブ37i、リブ37j・・、をもうけるとともに、下方開口部30に対して並行なリブ37k、37lを設けている。
【0042】
以上の構成において、次に動作を説明する。
【0043】
サウナ室1内において、サウナを使用する場合、まず、図示していないガス湯沸かし器や電気温水器等の熱源から、図1に示すパイプ40を介し、図2に示す熱交換器7に温水が供給される。また、給水管14へは配管41により市水が供給される。給水管14に供給される市水は、定流量弁15によって設定されたきわめて少量であって、回転モータ21が駆動されるまでは、給水弁17により止められ、給水管14から排出されていない。
【0044】
この状態で、熱交換器7が運転され、ファンモータ8が駆動されると、ファンモータ8が吸込口4を介してサウナ室1内の空気を吸い込み、吸い込まれた空気は熱交換器7によって加熱される。加熱された空気は、ファンモータ8によって、ファンケーシング10を介して、筒状の経路12へと送られる。
【0045】
一方、回転モータ21が駆動されると、回転軸19が高速回転し、それにともない回転板20aおよび回転板20bが高速回転される。
【0046】
このとき、給水管14は、高速回転する上方の回転板20aの上面の回転軸19に近い位置に、定流量弁15で設定された流量の水を供給する。上方の回転板20aの上面に供給された水は、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20aの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0047】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0048】
そして、給水管14から上方の回転板20aの上面に供給された水は、この時点で大部分が微細化され、前述の加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となっている。
【0049】
一方、上方の回転板20aから遠心力により飛散した水滴のうち、微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴は、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水部26に流れ落ち、貯水される。
【0050】
このとき、貯水部26の上方では揚水管22が回転しており、貯水部26の貯水量が増え、水面が揚水管22の下端に近づくと、貯水部26の貯水は水面上の空気と一緒に巻き上げられ、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動していく。
【0051】
すなわち、この揚水管22は、上述のごとく逆円錐状となっているので、内部には吸引力が働くようになっている。このため、貯水部26の貯水は水面上の空気と一緒に巻き上げられ、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動していく。
【0052】
そして揚水管22の内壁を伝って上方へ移動した水は、まず、回転板20b、回転板20cの間の開口25bから回転による遠心力で噴出し、環状に設けられた当て板23に当たり、回転板20cへ落下する。
【0053】
回転板20cへ落下した水は、上方の回転板20aの上面に供給された水と同様に、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20cの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0054】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0055】
また揚水管22の内壁を伝って上方へ移動し、開口25bから噴出しなかった水は、回転板20a、回転板20bの間の開口25aから回転による遠心力で噴出し、環状に設けられた当て板23に当たり、回転板20bへ落下する。
【0056】
回転板20bへ落下した水は、上方の回転板20aの上面に供給された水と同様に、高速回転による遠心力によって外周方向に向かって薄膜状に広がり、この薄膜状になった水は、回転板20bの外周縁から接線方向へと高速で吹き飛ばされる。
【0057】
このように、遠心力で飛散した水滴は、筒状の経路12の内壁に衝突して破砕され、水の微細化が促進される。
【0058】
このとき揚水管22の内壁を伝って上方へ移動する水は、回転モータ21が高速回転しているため、螺旋状に旋回して上方へ移動するのではなく、内壁全周において略均一な状態で真上に移動していく。
【0059】
すなわち、各回転板の間に2個ずつ設けられた水平方向に長い開口25の位置を周方向で同じ位置に設けた場合、揚水管22の内壁を伝って上方へ移動してきた水は最初の開口25bから噴出し、上側の開口25aへは水が上がって来なくなるため、前述の図3で説明したように、各回転板20a〜20cの間で水を噴出させる方向が異なるように、開口25の位置を周方向にずらしている。
【0060】
このように、揚水管22で揚水した水も、上方の回転板20aに供給した水と同様、ほとんど全て微細化され、加熱された暖かい空気と混ざって蒸気の状態となって上方の開口から排出されるが、一部は微細化されずに筒状の経路12の内壁に付着したわずかな水滴や、微細化された後に内壁において結露した微量の水滴となり、筒状の経路12の内壁を伝って、貯水部26に流れ落ち、貯水される。
【0061】
一方、回転板20aおよび回転板20b、20cの高速回転によって微細化された水を含む暖かい空気は、ファンモータ8の送風によって、排気口5からサウナ室1の内部へ蒸気として供給される。
【0062】
このとき、揚水管22で揚水した水も、上方の回転板20aに供給した水と同様、ほぼ完全に微細化されるためには、給水管14から高速回転する上方の回転板20aの上面に供給する水の量が問題となる。すなわち、回転板20a〜20cの枚数や回転モータ21の回転数等により決定される、液体微細化手段9の微細化能力により、微細化できる水の量は設定され、たとえば30cc/minである。
【0063】
しかし、定流量弁15は水温や水圧により流量にバラツキを生じるため、貯水部26での貯水量及び揚水管22での揚水量にバッファ機能を持たせており、例えば定流量弁15から30cc/min以上供給された場合には、当初バッファ量を増やしつつ、微細化水量も増加し、定常状態では定流量弁15からの供給水量と微細化水量がほぼ同じとなる。
【0064】
一方、貯水部26に貯水された水は、揚水管22の高速回転に巻き込まれ、揚水管の回転方向と同じ向きに回転を始める。さらに、水面上を沿う気流の作用とによって、水位面は波打つ。リブ37は、これらの水位面の変動を少なくし、フロートの変動を抑えるように作用する。
【0065】
即ち、揚水管22から放射上の位置設けた複数のリブ37hは、揚水管22の外周回りの水が揚水管22の高速回転に巻き込まれて回動しても、その流れを遮蔽する向き、つまり回動する向きにほぼ直角に設けられているので抵抗となり、回動することを防止する。
【0066】
次に、貯水部26と連通する突出部32の開口34の近傍にあるリブ37c、リブ37d、リブ37e、リブ37fは、ある程度の間隔L1を設けて互い違いになるように設けられているので、波打つ水面が突出部32に入り込むのを防止する。また、下方開口部30に対して並行なリブ37k、37lは下方開口部30から流入する空気が水面に沿って流れる際に波立つ波が広がるのを防止する。
【0067】
したがって、運転時の水位面35は安定しているので、フロート33により正確な水位検知をすることができる。
【0068】
上述のように、水の霧化運転中に貯水部26に溜まる残水は極めて少なく、また運転時の水位面35も安定しているため、縁部28に設けた開口34を介して突出部32内へ流れ込む水の量はすくなく、フロート33はせいぜい、突出部32の下面から僅かに浮きあがる程度の水位面に維持されている。
【0069】
次に水の霧化運転停止後の乾燥運転について説明する。
【0070】
サウナ運転が終了すると、制御部(図示せず)からの信号により、まず給水弁17を閉じ、給水管14から上方の回転板20aの上面への水の供給を停止する。
【0071】
この時点での水の供給源は貯水部26だけであり、揚水管22による揚水が可能な間は、揚水管22により回転板20b、回転板20cへ前述のように水が供給され、大部分が微細化され、ファンモータ8の送風によって、排気口5からサウナ室1の内部へ排出される。
【0072】
揚水管22による揚水ができなくなり、貯水部26に残った水は、ファンモータ8の送風、熱交換器7および補助熱交換器11には温水循環を継続させた状態なので温風をその残水に当てることにより、次第にその残水は減っていく。
【0073】
本実施形態の場合、揚水管22による揚水ができなくなった時の貯水部26の残水量は約5cc(実験から)で、乾燥運転10分も行えば、貯水部26の残水を乾燥できので、サウナ運転停止後、回転手段13の回転駆動と、上述のファンモータ8による送風運転とを一定時間継続する乾燥運転を行うことで、筒状の経路12および貯水部26の内部を乾燥させる構成としている。
【0074】
すなわち、上述の水の霧化運転の後は、貯水部26にわずかに残水が残っており、また筒状の経路12の内部全体が濡れた状態となっている。しかし、回転手段13が回転駆動することで、複数の回転板20a〜20cの表面に付着した水滴は遠心力で霧化され、上述のファンモータ8によって下方開口部30から貯水部26を介して、上方開口部29へと筒状の経路12内を上昇する気流(図1の実線A)によって、上方開口部29から装置外へと排出されてしまう。
【0075】
そして、この乾燥運転が進むに従い、貯水部26の残水が減少して水位が下がるので、リブ37にファンモータ8からの送風があたる割合が多くなる。傾斜したリブ37c、36i、36j等は貯水部26の底面27に沿う流れを偏向する作用がある。よって、貯水部26内での送風を攪拌し、貯水部26内の乾燥を促進させるとともに、貯水部26と連通する開口34から突出部32内にも流動し、突出部32内を乾燥させる。
【0076】
このように、液体微細化装置3内に極めて僅かに水が残ったとしても、乾燥運転により残水を乾燥させることができる程度であるので、液体微細化装置3内の残水の排水処理が不要となる。
【0077】
一方、水の霧化運転中に、例えば、定流量弁15の故障などにより、あらかじめ定めた流量以上の水が上方の回転板20aに供給され、貯水部26において、運転時の水位面35以上の余剰水が溜まってしまう。このような場合、突出部32内に配置したフロート33は、開口34を介して突出部32内に流れ込んで突出部32の下面に溜まった水面の上昇により異常水位面36を検知し、これにより制御部(図示せず)が前記給水弁17への通電をOFFとして給水管14からの給水が停止するだけでなく、ファンモータ8と回転モータ21の運転を停止して、装置運転を停止させる。
【0078】
このようにフロート33が水位異常を正しく検知することにより、例えば貯水部26の上端と筒状の経路12の下端との継ぎ目等から装置外へ水が漏出する前に水の霧化運転を停止して、不測の事態が発生するのを未然に防止することができる。
【0079】
上に述べたように、水の霧化運転において液体微細化装置1内に発生する残水は、極めて僅かであって、仮に残水が残ったとしてもフロート33が液体微細化装置1内の通常水位を正しく検知して、乾燥運転により乾燥させることができ、また水供給手段9の故障などが発生した場合も、液体微細化装置1内の水位異常を正しく検知することができるので、液体微細化装置1内の残水の排水処理が不要となるだけでなく、液体微細化装置1の運転の安定性を向上することができる。
【0080】
以上のような構成と動作により、本実施の形態1においては、従来必要であった排水経路の設置工事が不要となって工事性が良好となる。
【0081】
以上、本実施の形態では、上記の液体微細化装置3をサウナ室1に設置してサウナ装置として利用した場合、供給した水をほぼ完全に微細化することができ、貯水部26にわずかに残った微細化できなかった水を特別に排出せずとも、サウナ運転終了後の乾燥運転によって乾燥できるので、微細化できなかった水を排水として処理するための配管施工の工事が不要となり、結果として、サウナ装置の施工作業が簡単になるという効果を奏する。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明の液体微細化装置は、定流量弁のバラツキにより上方の回転板に供給する液体の量が多くなり微細化できなかった液体が液体微細化装置内の貯水部に溜まってきても、揚水管を有した回転手段により揚水して何度も回転板に供給でき微細化できるので、結果として、微細化運転終了時には揚水管で揚水できない液体が貯水部に残るだけで、液体供給を停止させ、乾燥運転を行うことにより貯水部の残水を乾燥させることができるので、液体微細化装置3内に溜まった水を常時排出する必要がなくなり、サウナ装置の施工作業が簡単になるという効果を奏する。
【0083】
したがって、例えば、サウナ装置、加湿装置、冷却装置、噴霧装置、洗浄装置、植物育成設備等への活用が期待される。また、水だけでなく、油や洗剤等のその他の液体の微細化設備にも利用することが可能である。
【符号の説明】
【0084】
4 吸込口
5 排気口
6 本体ケース
7 熱交換器
8 ファンモータ
9 液体微細化手段
10 ファンケーシング
11 補助熱交換器
12 筒状の経路
13 回転手段
14 給水管
15 定流量弁
16 上流側配管
17 給水弁
19 回転軸
20a、20b、20c 回転板
21 回転モータ
22 揚水管
23 当て板
24 支持棒
25、25a、25b 開口
26 貯水部
27 底面
28 縁部
29 上方開口部
30 下方開口部
31 切り欠き
32 突出部
33 フロート
34 開口
35 運転時の水位面
36 異常水位面
37、37a、37b、37c、37d、37e、37f、37g、37h、37i、37j、37k、37l リブ
38 下端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸込口と排気口を有する本体ケースと、
この本体ケース内の前記吸込口と前記排気口を結ぶ風路に設けた加熱手段および送風手段と、
この送風手段と前記排気口間の風路内に設けた液体微細化手段を備え、
前記液体微細化手段は、
垂直方向に配置され、上方開口部および下方開口部を有する筒状の経路と、
この筒状の経路内に設けた回転手段と、
この回転手段に液体を供給する液体供給手段と、
前記筒状の経路の下部に貯水部を有し、
前記回転手段は、
上下方向に向けて配置した回転軸と、
この回転軸を回転させる回転モータと、
前記回転軸に固定され、逆円錐形状で、外面の前記回転軸の軸方向に所定間隔で固 定された複数の回転板と、かつ上方の回転板と下方の回転板の間に水平方向に長い 開口(スリット)を有した揚水管を有するとともに、
前記開口の外側周囲に筒状の経路に支持された環状の当て板を設け、
前記液体供給手段は前記上方の回転板上に給水し、
前記揚水管で吸水され前記開口から噴出した水は、当て板に当てて下方の回転板上に落 下させ、
前記送風手段は、
羽根車とこの羽根車を回転させるファンモータと、前記羽根車を内包するファンケーシ ングを有し、
前記筒状の経路の前記下方開口部から前記貯水部を介して前記上方開口部に向けて送風 し、
前記貯水部に、
前記筒状の経路の前記下方開口部の非対向部分に外側に突出する突出部を設け、
この突出部内に水位検知手段を配置するとともに、
前記貯水部の底面から上方に複数の衝立状のリブを設ける構成とした液体微細化装置。
【請求項2】
前記衝立状のリブのうち前記下方開口部の近傍にあるリブは、前記筒状の経路の下方開口部に対して垂直な面および/または傾斜する面を形成する請求項1記載の液体微細化装置。
【請求項3】
前記衝立状のリブの上端は、前記水位検知手段が検知する水面より高い位置にある請求項1記載の液体微細化装置。
【請求項4】
前記衝立状のリブのうち前記突出部の近傍にあるリブは、前記突出部と上記貯水部との連通部に対してある程度の間隔を設けて互い違いとなるように複数列設けるとともに、前記送風手段からの送風の一部が前記貯水部に水がないときに前記突出部に回り込むように、前記突出部に向けてリブを傾けた請求項3記載の液体微細化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−112612(P2012−112612A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263362(P2010−263362)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】