説明

液体搬送装置

【課題】気体取り込み路内に異物が固着し、堆積しても、その異物を除去することのできる液体搬送装置を提供すること。
【解決手段】液体を圧送するポンプ2と、このポンプの上流側に接続された液体の吸入路3と、ポンプの下流側に接続された液体の吐出路4と、吸入路の途中に接続された減圧部5と、この減圧部に接続され、気体を取り込む気体取り込み路6とを備えた液体搬送装置1において、吸入路の途中に吸入路の流路面積を変更可能とした流路面積切り替え手段13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を吸い込み、液体中に混合させながら液体を搬送する液体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気などの気体をエジェクタなどの減圧部において発生させた負圧により自動的に吸引し、流路を流れる水などの液体に混合させ、供給先へ搬送する液体搬送装置がある。この液体搬送装置の一応用例として、下記特許文献1に記載されている微細気泡発生装置が知られている。この微細気泡発生装置では、水と空気を混合して空気混合水を生成し、この空気混合水を加圧することにより水中に空気を溶解させ、空気が溶解した空気溶解水を減圧させて、気泡径が0.1〜1000μm程度の大きさの微細気泡を発生させる。
【0003】
このような、たとえば微細気泡発生装置に用いられる液体搬送装置では、その運転にともない、液体中に含まれるスケールなどの成分が次第に析出し、この析出した成分や、塵、埃などの異物が、気体取り込み路内に固着し、また、堆積していく。このような状態になると、気体の取り込みが上記異物により妨げられ、所定量の気体の取り込みが望めなくなる。
【0004】
上記問題に対し、特許文献1に記載された微細気泡発生装置では、空気導入部に備えた吸入管の先端の吸気口に吸気フィルタが設けられ、吸入管にはその下流側に逆止弁が設けられている。吸気フィルタは、空気中に浮遊する塵や埃などを捕捉し、大気に開放された吸気口から吸入管への侵入を抑制する。また、逆止弁は、水が吸入管の上流側に逆流するのを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−155211号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、吸気フィルタによる塵や埃などの異物の侵入抑制は、長期の信頼性という観点からは必ずしも十分ではなく、また、逆止弁については、それ自体に上記析出成分や、塵、埃などの異物が固着する場合には十分に機能しないおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、気体取り込み路内に異物が固着し、堆積しても、その異物を除去することのできる液体搬送装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の液体搬送装置は、液体を圧送するポンプと、このポンプの上流側に接続された液体の吸入路と、ポンプの下流側に接続された液体の吐出路と、吸入路の途中に接続された減圧部と、この減圧部に接続され、気体を取り込む気体取り込み路とを備えた液体搬送装置において、吸入路の途中に吸入路の流路面積を変更可能とした流路面積切り替え手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
この液体搬送装置においては、流路面積切り替え手段が弁であることが好ましい。
【0010】
また、この液体搬送装置においては、弁の開閉は電動式であり、弁の開閉を制御する第1の制御手段が設けられ、この第1の制御手段は、スイッチ入力にしたがって弁を自動的に開閉させ、吸入路の流路面積が変更されることが好ましい。
【0011】
また、この液体搬送装置においては、第1の制御手段は、一定の時間間隔で弁を自動的に開閉させ、吸入路の流路面積が変更されることが好ましい。
【0012】
また、この液体搬送装置においては、吸入路は、液体搬送方向に対して垂直に配置された吸入口を備え、この吸入口に一致可能な液体吸い込み口を有するカバーが吸入路に回転自在に設けられ、このカバーの回転により液体吸い込み口と吸入口の一致具合が変更され、吸入路の流路面積が変更されることが好ましい。
【0013】
また、この液体搬送装置においては、カバーの回転は電動式であり、カバーの回転を制御する第2の制御手段が設けられ、この第2の制御手段は、スイッチ入力にしたがってカバーを自動的に回転させ、吸入路の流路面積が変更されることが好ましい。
【0014】
また、この液体搬送装置においては、第2の制御手段は、一定の時間間隔でカバーを自動的に回転させ、吸入路の流路面積が変更されることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の液体搬送装置によれば、気体取り込み路内に異物が固着し、堆積しても、その異物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の液体搬送装置の第1実施形態を示した構成図である。
【図2】本発明の液体搬送装置の第2実施形態を示した構成図である。
【図3】(a)(b)は、それぞれ、図2に示した液体搬送装置におけるカバーの回転にともなう液体吸い込み口と吸入口の一致具合を例示した正面図と断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1実施形態)
図1は、本発明の液体搬送装置の第1実施形態を示した構成図である。
【0018】
図1に示した液体搬送装置1は、水などの液体を圧送するポンプ2と、ポンプ2の上流側に接続された液体の吸入路3と、ポンプ2の下流側に接続された液体の吐出路4とを備えている。また、液体搬送装置1は、吸入路3の途中に接続された、エジェクタなどの減圧部5と、減圧部5に接続され、気体を取り込む気体取り込み路6とを備えている。吸入路3、吐出路4および気体取り込み路6は、いずれも管状の部材から形成されている。
【0019】
吸入路3の上流側の一端部は、液体吸い込み部7として形成され、供給元8に接続され、吸入路3は供給元8と連通している。供給元8としては、湯水などの液体を貯留することのできる浴槽などや水道管などを例示することができる。液体吸い込み部7は、浴槽の側壁部に取り付け可能なものであり、また、水道管と接続可能なものである。吐出路4の下流側の一端部は、液体吐出部9として形成され、液体の供給先10に接続され、吐出路4は供給先10と連通している。供給元8が浴槽の場合には、供給先10は、供給元8と同一の浴槽とすることができ、液体搬送装置1は、浴槽内の湯水を循環させることができる。たとえば、液体搬送装置1が微細気泡発生装置に適用される場合には、浴槽内の湯水を循環させながら、浴槽内に貯留する湯水中に微細気泡を発生させることができ、入浴効果の向上を図ることができる。
【0020】
気体取り込み路6の上流側の一端は、取り込む気体が空気の場合は、吸気口11として大気中に開放させたり、たとえば、酸素濃度の高い酸素富化空気などを取り込む対象とする場合には、気体生成部12を設けたりすることができる。
【0021】
液体搬送装置1では、ポンプ2の作動によって供給元8から液体が吸入路3内に図1図中に示した矢印方向に取り出され、供給先10へと搬送される。このとき、減圧部5において負圧が発生し、気体が、気体取り込み路6を通じて図1図中に示した矢印方向に吸引され、吸入路3内を流れる液体中に混合される。気体が混合された液体は、吐出路4を流れて液体吐出部9から供給先10へと搬送される。
【0022】
そして、液体搬送装置1では、吸入路3の途中に吸入路3の流路面積を変更可能とした流路面積切り替え手段13が設けられている。流路面積切り替え手段13は、具体的には弁14であり、より具体的には、電磁弁、電動弁などの開閉が電動式のものである。弁14は、吸入路3において、減圧部5の上流側に取り付けられている。
【0023】
また、液体搬送装置1では、弁14の開閉を制御する第1の制御手段15が設けられている。第1の制御手段15は、弁14に電気的に接続されている。第1の制御手段15は、たとえば、あらかじめプログラミングされたマイクロコンピュータなどを備えたものなどとすることができる。
【0024】
第1の制御手段15は、たとえば、スイッチ入力にしたがって弁14を自動的に開閉させることができる。このような弁14の開閉により、吸入路3の流路面積が変更される。液体搬送装置1の運転中に弁14を作動させ、吸入路3を一時的に閉鎖したり、または流路面積を縮小させたりすることによって、吸入路3内の液体の吸引圧が一時的に上昇する。このとき発生する吸引力によって、液体搬送装置1では、気体取り込み路6に固着し、また、堆積した異物を除去することができる。
【0025】
液体搬送装置1では、上記のとおり、その運転にともない、水などの液体中に含まれるスケールなどの成分が次第に析出し、この析出した成分や、大気中に存在する塵、埃などの異物が、気体取り込み路6内に固着し、また、堆積していく。このように固着し、また、堆積した異物を、液体搬送装置1では、そのような吸引力によって強制的に除去する。したがって、異物の除去効果は、フィルタや逆止弁に比べ、長期的に望め、信頼性が高くなる。このため、液体搬送装置1では、所定量の気体の取り込みが維持可能となる。
【0026】
また、スイッチ入力という単純な操作で異物の除去が可能であるため、液体搬送装置1は、メンテナンス性にも優れている。
【0027】
なお、弁14については、電磁弁、電動弁などの電動式のものを例示したが、手動式のものであってもよく、手動式の弁の場合にも上記と同様な効果が得られる。
【0028】
また、弁14の取り付け位置についても、減圧部5の上流側に限定されることはなく、減圧部5の下流側であっても上記と同様な効果が得られる。
【0029】
また、第1の制御手段15は、タイマーを備えることができ、あらかじめ定めた一定時間間隔で弁14を自動的に開閉させ、吸入路3の流路面積を変更させることもできる。この場合、実質的にメンテナンス・フリーとなり、ユーザーの利便性がさらに向上する。
【0030】
(第2実施形態)
図2は、本発明の液体搬送装置の第2実施形態を示した構成図である。図3(a)(b)は、それぞれ、図2に示した液体搬送装置におけるカバーの回転にともなう液体吸い込み口と吸入口の一致具合を例示した正面図と断面図である。第2実施形態において第1実施形態と同一の部位には、図2図中に同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0031】
図2に示した液体搬送装置1aでは、流路面積切り替え手段13に関し、図1に示した弁14に替え、吸入路3は、液体搬送方向に対して垂直に配置された吸入口16を備えている。具体的には、吸入口16は、吸入路3の上流側の一端部を形成している液体吸い込み部7に設けられている。液体吸い込み部7では、供給元8側の端部に、平面視円形でキャップ状の形状を有する吸入部17が固定されており、吸入口16は、図3(a)(b)に示したように、吸入部17に対し、小径の円形の形状を有し、吸入部17にその表裏を貫通して1つ形成されている。また、吸入口16は、吸入部17の中心から偏心した位置に配置されている。
【0032】
また、液体搬送装置1aでは、流路面積切り替え手段13に関し、吸入口16に一致可能な液体吸い込み口18を有するカバー19が吸入路3に回転自在に設けられている。具体的には、液体吸い込み部7の最も供給元8側にカバー19が取り付けられている。カバー19は、平面視円形でキャップ状の形状を有し、その中心は吸入部17の中心と一致している一方、カバー19の内径が吸入部17の外径と略同じ大きさとされている。そして、カバー19は、吸入部17の外側に配置され、吸入部17に対し、その外周に沿って回転自在とされている。
【0033】
液体吸い込み口18は、カバー19の中心から偏心した位置に、カバー19の表裏を貫通して1つ形成されている。カバー19の中心から液体吸い込み口18が偏心する距離は、吸入部17において吸入口16が偏心する距離と一致している。また、液体吸い込み口18の口径は吸入口16の口径と略等しい。このため、液体吸い込み口18は吸入口16に一致可能であり、カバー19の回転にともなって液体吸い込み口18と吸入口16の一致具合が変更される。
【0034】
このような図2に示した液体搬送装置1aでは、カバー19の回転により液体吸い込み口18と吸入口16の一致具合が変更され、その結果、吸入路3の流路面積が変更される。図3(a)に示したように、液体吸い込み口18が吸入口16と完全一致する状態は、吸入路3が全開している状態であり、液体の搬送は、通常この状態で行われる。
【0035】
一方、図3(b)に示したように、カバー19を回転させ、液体吸い込み口18と吸入口16を完全に一致させないと、吸入路3は一時的に閉鎖される。この状態で液体搬送装置1aが運転中であると、吸入路3内の液体の吸引圧が一時的に上昇する。このとき発生する吸引力によって、液体搬送装置1aでは、気体取り込み路6に固着し、また、堆積した異物を除去することができる。
【0036】
異物の除去は、図3(b)に示した液体吸い込み口18と吸入口16の完全不一致の場合に限られることはなく、液体吸い込み口18と吸入口16がオーバーラップする領域を縮小することにより行うことができる。オーバーラップする領域を小さくすることによって液体の吸引圧が高くなる。
【0037】
カバー19の回転は、ユーザーの手動操作によって簡便に行うことができる。一定のメンテナンス時期にカバー19を操作し、吸入路3の流路面積を縮小させ、気体取り込み路6に固着し、また、堆積した異物を除去することができる。液体搬送装置1aでは、図1に示した液体搬送装置1と同様に、その運転にともない、水などの液体中に含まれるスケールなどの成分が次第に析出し、この析出した成分や、大気中に存在する塵、埃などの異物が、気体取り込み路6内に固着し、また、堆積していく。このように固着し、また、堆積した異物を、液体搬送装置1aでは、上記のとおりの吸引力によって強制的に除去する。したがって、異物の除去効果は、フィルタや逆止弁に比べ、長期的に望め、信頼性が高くなる。このため、液体搬送装置1aでは、所定量の気体の取り込みが維持可能となる。
【0038】
また、図2に示した液体搬送装置1aでは、カバー19の回転を自動的に行うことも可能にしている。すなわち、カバー19の回転は電動式であり、カバー19の回転を行うモータ、減速機構などを備えた駆動部20がカバー19に機械的に接続されている。また、液体搬送装置1aでは、カバー19の回転を制御する、つまり、駆動部20の動作を制御する第2の制御手段21が設けられている。第2の制御部21は、たとえば、あらかじめプログラミングされたマイクロコンピュータなどを備えたものなどとすることができ、駆動部20に電気的に接続されている。第2の制御手段21は、スイッチ入力にしたがって駆動部20を作動させてカバー19を自動的に回転させる。その結果、吸入路3の流路面積が変更される。このように、スイッチ入力という単純な操作で異物の除去が可能であるため、液体搬送装置1aは、メンテナンス性にも優れている。
【0039】
また、第2の制御手段21は、タイマーを備えることができ、あらかじめ定めた一定時間間隔でカバー19を自動的に開閉させ、吸入路3の流路面積を変更させることもできる。この場合、実質的にメンテナンス・フリーとなり、ユーザーの利便性がさらに向上する。
【0040】
本発明は、以上の実施形態によって限定されるものではない。液体および気体の種類をはじめ、ポンプおよび減圧部の種類、構成および構造については特に制限されない。また、第1の制御部および第2の制御部の構成についても同様である。
【符号の説明】
【0041】
1、1a 液体搬送装置
2 ポンプ
3 吸入路
4 吐出路
5 減圧部
6 気体取り込み路
13 流路面積切り替え手段
14 弁
15 第1の制御手段
16 吸入口
18 液体吸い込み口
19 カバー
21 第2の制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を圧送するポンプと、このポンプの上流側に接続された液体の吸入路と、前記ポンプの下流側に接続された液体の吐出路と、前記吸入路の途中に接続された減圧部と、この減圧部に接続され、気体を取り込む気体取り込み路とを備えた液体搬送装置において、前記吸入路の途中に吸入路の流路面積を変更可能とした流路面積切り替え手段が設けられていることを特徴とする液体搬送装置。
【請求項2】
前記流路面積切り替え手段が弁であることを特徴とする請求項1に記載の液体搬送装置。
【請求項3】
前記弁の開閉は電動式であり、弁の開閉を制御する第1の制御手段が設けられ、この第1の制御手段は、スイッチ入力にしたがって前記弁を自動的に開閉させ、前記吸入路の流路面積が変更されることを特徴とする請求項2に記載の液体搬送装置。
【請求項4】
前記第1の制御手段は、一定の時間間隔で前記弁を自動的に開閉させ、前記吸入路の流路面積が変更されることを特徴とする請求項3に記載の液体搬送装置。
【請求項5】
前記吸入路は、液体搬送方向に対して垂直に配置された吸入口を備え、この吸入口に一致可能な液体吸い込み口を有するカバーが前記吸入路に回転自在に設けられ、このカバーの回転により前記液体吸い込み口と前記吸入口の一致具合が変更され、前記吸入路の流路面積が変更されることを特徴とする請求項1に記載の液体搬送装置。
【請求項6】
前記カバーの回転は電動式であり、カバーの回転を制御する第2の制御手段が設けられ、この第2の制御手段は、スイッチ入力にしたがって前記カバーを自動的に回転させ、前記吸入路の流路面積が変更されることを特徴とする請求項5に記載の液体搬送装置。
【請求項7】
前記第2の制御手段は、一定の時間間隔で前記カバーを自動的に回転させ、前記吸入路の流路面積が変更されることを特徴とする請求項6に記載の液体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−148243(P2012−148243A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9228(P2011−9228)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】