説明

液体柔軟剤組成物

【課題】柔軟化基剤の生分解性が良好で環境への負荷が小さく、木綿繊維に対する柔軟性はもとより、各種の化学繊維に対して優れた柔軟性と滑り性を付与でき、しかも高温保存条件下における色調と臭いと粘度の優れた安定性を保証できる液体柔軟剤組成物の提供。
【解決手段】下記(A)及び(B)を含有する液体柔軟剤組成物。
(A)下記式(I)、(II)の混合物;


(式中、R1, R5は、夫々エステル基を1つ含む総炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基を表し、R2は、メチル基、エチル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又はCpH2pOR3で表される基を表し、p=2〜4の整数であり、R3, R4は、夫々独立してメチル基又はエチル基を表す。)
(B)金属イオン封鎖剤、酸化防止剤及びこれらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を、組成物の全量を基準にして、0.1〜1000ppm。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は各種の繊維製品に使用する液体柔軟剤組成物に関する。特に、本発明は生分解性が良好で環境への負荷を小さくするために、分子中にエステル結合を1個以上含有する柔軟化基剤を含有する液体柔軟剤組成物において、木綿繊維及び各種の化学繊維に対する柔軟性と滑り性が優れ、しかも高温条件下での長期保存でも、色調と臭いの安定性も良好で且つ粘度及び乳化分散の安定性を保証できる柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家庭用の液体柔軟剤組成物として市販されている商品には、分子中に2個の長鎖アルキル基又はアルケニル基を有する水難溶性第4級アンモニウム塩を主成分とする組成物が用いられてきた。それに対して、近年は良好な生分解性を付与すべく、水難溶性で、しかも分子中にエステル結合を少なくとも1個以上含有する第4級アンモニウム塩などを用いる液体柔軟剤組成物が提案されている。しかし、このような液体柔軟剤組成物は、生分解性は良好であるが、各種の化繊に対する柔軟性と滑り性は不十分であり、しかも高温保存条件下での色調と臭いと粘度の安定性を充分保証できるものとは言いがたいものであった。
【0003】
そもそも、液体柔軟剤組成物に柔軟化効果等の性能を有効に発揮させる為には、その基剤である水難溶性第4級アンモニウム塩を水媒体中に安定に乳化分散し、しかも使用時にボトルからキャップに分取する際にも、異臭や変色がない状態に保っておき、同時に洗濯機中で水道水へ分散溶解し易い粘度である必要がある。特に、柔軟仕上げ剤はボトル充填後、搬送や保存の際に、およそ40℃以上の高温に曝されることにより、粘度が上昇するだけでなく、やや褐色などに変色したり、香料を配合していても臭いの劣化が目立つ場合がある。これは、主として該水難溶性第4級アンモニウム塩に少量含まれる、例えばリノール酸などの高度不飽和脂肪酸の残基が有する複数のC−C二重結合が、熱や太陽光により、特に酸化分解され易いことに起因して変色や臭いの劣化を生じ易い。よって、商品価値上できるだけ配合初期に近い粘度と色調及び臭いを維持させる必要がある。
【0004】
主としてこれらの高温保存における色調と臭いの安定性改善を期すため、近年、下記の様な液体柔軟剤組成物が提案されている。例えば、特許文献1−5などでは、分子中に1個以上のエステル結合もしくはアミド結合を含む1〜3個の長鎖アルキル基もしくはアルケニル基を有する3級アミン、もしくはそれらの中和塩、もしくはそれらの4級化物である第4級アンモニウム塩、を柔軟化基剤としており、更にそれに、2,6−ジ−tert―ブチル―4−メチルフェノール(以下、BHTと略記)などの酸化防止剤及び/もしくは特定の金属イオン封鎖剤を含有する柔軟剤組成物が開示されている。
【0005】
一方、これらの柔軟剤組成物に用いられる第4級アンモニウム塩などのカチオン性界面活性剤は、良好な生分解性を付与することを目的として長鎖炭化水素基中にエステル結合もしくはアミド結合を持たせて、環境中で加水分解し易い構造にしている。逆に、これらは水性液体柔軟剤組成物中での加水分解も進行しやすいので、それを防止するために組成物のpHを酸性側に維持するなどの工夫がなされている。即ち、これらの従来から用いられてきたエステル基含有第4級アンモニウム塩は下記一般式(III)〜(V)で表わされる化学構造のものが多く、多くの場合これらはp=2〜4であるジ短鎖アルカノールアミンもしくはトリ短鎖アルカノールアミンと脂肪酸もしくは脂肪酸メチルエステルとの、所望のモル比による縮合反応を利用して誘導されるエステル基含有モノ長鎖乃至トリ長鎖3級アミンを、さらにジメチル硫酸などの四級化試薬を用いて四級化して得られる。よって、(III)、(IV)で表わされる第4級アンモニウム塩はジもしくはトリ短鎖アルカノールアミン由来のヒドロキシアルキル基を有する。
【0006】
【化1】

【0007】
(R4:メチル基又はエチル基、R6, R8, R9:夫々エステル基を1つ含む総炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基、R7:メチル基、エチル基又は炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基、p=2〜4の整数)
【0008】
しかるに、既知の生分解性柔軟化基剤として、式(III)〜(V)で表わされる、末端OH型エステル基含有モノ長鎖もしくはジ長鎖第4級アンモニウム塩、及びエステル基含有トリ長鎖第4級アンモニウム塩から成る混合物に、特定の酸化防止剤及び/もしくは特定の金属イオン封鎖剤を併用すると、確かに高温保存における色調と臭いの安定性は改善されるものの、木綿繊維及び各種の化学繊維に対する柔軟性と滑り性は未だ不充分である。
尚、上記の(III)〜(V)で表わされる従来からの生分解性柔軟化基剤として、トリエタノーアミンと部分水素添加パーム脂肪酸メチルエステルから誘導される末端OH型エステル基含有モノ長鎖もしくはジ長鎖第4級アンモニウム塩、及びエステル基含有トリ長鎖第4級アンモニウム塩、の製造プロセスの基本スキームは、例えば末端OH型エステル基含有ジ長鎖第4級アンモニウム塩の場合はおよそ下記の通りである。
【0009】
【化2】

【0010】
尚、上記の反応において、エステル基含有ジ長鎖第4級アンモニウム塩単独で得られる場合は少なく、それを主体としながらも、エステル基含有モノ長鎖第4級アンモニウム塩及びエステル基含有トリ長鎖第4級アンモニウム塩との混合物で得られる場合が多い。例えば、トリエタノーアミンと脂肪酸もしくは脂肪酸メチルエステルのモル比を、1:1にすれば(d−1)エステル基含有モノ長鎖第4級アンモニウム塩を、1:2では(d−2)エステル基含有ジ長鎖第4級アンモニウム塩を、1:3では(d−3)エステル基含有トリ長鎖第4級アンモニウム塩を、夫々主成分とする混合物が得られる。更にまた、これらのエステル基含有モノ長鎖/ジ長鎖/トリ長鎖第4級アンモニウム塩を得る際に、4級化工程において4級化されずに、夫々に相当する前駆体である3級アミンがフリーのアミンもしくはその中和塩として少量残留する、ことも一般的傾向である。
【0011】
【特許文献1】特許第3174437号公報
【特許文献2】特許第3279397号公報
【特許文献3】特開平9−310276号公報
【特許文献4】特開2003−105667号公報
【特許文献5】特開2004−84143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、柔軟化基剤に関する上記の技術的背景に鑑みてなされたもので、柔軟化基剤の生分解性が良好で環境への負荷が小さく、木綿繊維に対する柔軟性はもとより、各種の化学繊維に対して優れた柔軟性と滑り性を付与でき、しかも高温保存条件下における色調と臭いと粘度の優れた安定性を保証できる液体柔軟剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、新規柔軟基剤と特定の金属イオン封鎖剤、酸化防止剤とを併用することにより、木綿繊維に対する柔軟性はもとより、各種の化学繊維に対して優れた柔軟性と滑り性を付与でき、しかも高温保存条件下における色調と臭い及び粘度の優れた安定性を保証できる液体柔軟剤組成物を提供できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記(A)成分及び(B)成分を含有することを特徴とする液体柔軟剤組成物を提供する。
(A)(a−1)下記一般式(I)で表わされる短鎖アルキルエーテル型エステル基含有モノ長鎖第4級アンモニウム塩と、(a−2)下記一般式(II)で表わされる短鎖アルキルエーテル型エステル基含有ジ長鎖第4級アンモニウム塩とからなる短鎖アルキルエーテル型エステル基含有第4級アンモニウム塩混合物;
【0014】
【化3】

【0015】
(式中、R1, R5は、夫々エステル基を1つ含む総炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基を表し、R2は、メチル基、エチル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又はCpH2pOR3で表される基を表し、p=2〜4の整数であり、R3, R4は、夫々独立してメチル基又はエチル基を表す。)
(B)(b-1)金属イオン封鎖剤、(b-2)酸化防止剤及び(b-3)これらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を、組成物の全量を基準にして、0.1〜1000ppm。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液体柔軟剤組成物によれば、柔軟化基剤の生分解性が良好で環境への負荷が少なく、しかも木綿繊維に対する良好な柔軟性はもとより、各種の化学繊維に対して優れた柔軟性と滑り性を付与し得ると共に、高温保存条件下における色調と臭いと粘度の優れた安定性も保証できる液体柔軟剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の(A)成分を構成する(a−1)成分はエステル基含有モノ長鎖第4級アンモニウム塩であり、下記一般式(I)で示されるように、従来はヒドロキシエチル基乃至ヒドロキシブチル基である部分が短鎖アルキルエーテル型である。
【0018】
【化4】

【0019】
式中、R1はエステル基を1つ含む総炭素数10〜26の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基であり、R2はメチル基、エチル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又はCpH2pOR3で表されるエーテル結合含有基であり、pは2〜4の整数である。R3とR4は夫々独立してメチル基又はエチル基であり、R4SO4-は第4級アンモニウム塩の対イオンである。好ましくは、R1はエステル基を1つ含む総炭素数14〜20の直鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、p=2、R2はC2H4OR3で表されるエーテル結合含有基であり、R3とR4はメチル基である。
【0020】
本発明の(A)成分を構成する(a−2)成分はエステル基含有ジ長鎖第4級アンモニウム塩であり、下記一般式(II)で示されるように、従来はヒドロキシエチル基乃至ヒドロキシブチル基である部分が短鎖アルキルエーテル型である。
【0021】
【化5】

【0022】
式中、R1, R5は夫々エステル基を1つ含む総炭素数10〜26の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルケニル基であり、互いに同一でも異なっていても良い。R3とR4は夫々独立してメチル基又はエチル基であり、R4SO4-は第4級アンモニウム塩の対イオンである。また、pは2〜4の整数である。好ましくは、R1, R5は夫々エステル基を1つ含む総炭素数14〜20の直鎖のアルキル基又はアルケニル基であり、p=2、R3とR4はメチル基である。
【0023】
本発明において、前記一般式(II)で示される(A)成分の例として、(a−2)メチルエーテル型エステル基含有ジ長鎖第4級アンモニウム塩は例えば下記の概略プロセスによって得ることができる。尚、この製造プロセス及び条件の詳細は後述の実施例に記載する。
【0024】
【化6】

【0025】
ここで、高級脂肪酸塩化物は、通常次のような方法で得られる。即ち、天然油脂をケン化分解後、酸処理して得られる高級脂肪酸を塩素化するか、或いは天然油脂を一旦メタノールによりエステル交換して得られる高級脂肪酸メチルエステルを経由して誘導される高級脂肪酸を同様に塩素化することにより、得ることができる。高級脂肪酸の好適な例は部分水素添加パーム油脂肪酸もしくは部分水素添加牛脂脂肪酸(いずれもヨウ素価10〜60)である。四級化剤としては、ジメチル硫酸もしくはジエチル硫酸が使用可能であるが、ジメチル硫酸が好適である。
上記エステルアミン合成時に副生するHClの捕捉剤として、トリエチルアミン N(CH2CH3)3等のアルカリ剤を適量共存させることが好ましい。
尚、該第4級アンモニウム塩を製造する際に、色調が良好で臭気の発生度合いが小さい反応生成物を得ることを目的として、特開2002−167366号公報で開示されるように、ヒドロキシエタンジホスホン酸の様な安定化剤を添加しても良い。
【0026】
一方、前記一般式(I)で示される(a−1)成分としてのメチルエーテル型エステル基含有モノ長鎖第4級アンモニウム塩を主体に合成する場合は、上記プロセスにおいて、高級脂肪酸塩化物/メトキシジエタノールアミンのモル比を約1/1に調整することにより得られる。但し、いずれの反応においても、(a−1)モノ長鎖第4級アンモニウム塩もしくは(a−2)ジ長鎖第4級アンモニウム塩単独で得られる場合は少なく、夫々を主体としながらも、メチルエーテル型エステル基含有モノ長鎖/ジ長鎖第4級アンモニウム塩混合物として得られる場合が多い。また、これらのエステル基含有モノ長鎖/ジ長鎖第4級アンモニウム塩を得る際に、4級化工程において4級化されずに、夫々の前駆体であるモノエステルもしくはジエステルのアミンもしくはそれら塩との混合物として得られる場合が多いので、その場合はガスクロマトグラフィー乃至は高速液体クロマトグラフィーなど所定の分析方法を用いて、本発明の液体柔軟剤組成物中における各物質の含有量が、以下に示す好ましい範囲になるよう予め定量し、調整することが望ましい。なお、該副生物は、目的化合物に対して通常5〜10%程度含まれる。モノ長鎖第4級アンモニウム塩及びジ長鎖第4級アンモニウム塩は、それぞれ、当業界において慣用の方法により単離することができるが、上記副生物との混合物として使用することもできる。
【0027】
(B)成分
(b-1)金属イオン封鎖剤
液体柔軟剤組成物に通常用いられているものであれば特に制限なく使用することができる。具体的には、ポリホスホン酸類及びその塩、例えばナトリウム塩、カリウム塩を使用することができる。1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フィチン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を使用するのが好ましい。(B)成分として金属イオン封鎖剤のみを配合する場合、金属イオン封鎖剤の含量は、組成物の全量を基準にして1〜300ppmであるのが好ましい。
(b-2)酸化防止剤
液体柔軟剤組成物に通常用いられているものであれば特に制限なく使用することができる。2,6−ジ−tert―ブチル―4−メチルフェノール(BHT)、ブチルヒロドキシアニソール(BHA)及び没食子酸プロピルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。BHTが特に好ましい。(B)成分として酸化防止剤のみを配合する場合、酸化防止剤の含量は、組成物の全量を基準にして1〜500ppmであるのが好ましい。
(b−3)金属イオン封鎖剤と酸化防止剤との混合物
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フィチン酸、アミノカルボン酸類及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、2,6−ジ−tert―ブチル―4−メチルフェノール、ブチルヒロドキシアニソール及び没食子酸プロピルからなる群から選ばれる少なくとも1種との混合物であるのが好ましい。ここで、アミノカルボン酸類としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等があげられる。このうち、エチレンジアミン四酢酸及びその塩が好ましい。
(B)成分としては(b-3)が好ましく、特に、金属イオン封鎖剤として1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フィチン酸、アミノカルボン酸類及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を1〜200ppmと、酸化防止剤としてBHT、BHA及び没食子酸プロピルからなる群から選ばれる少なくとも1種の1〜500ppmとを併用するのが好ましい。コストも考慮すると、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸2〜50ppmとBHT:50〜200ppmとの併用が最適である。
【0028】
本発明の液体柔軟剤組成物中に含まれる鉄イオンの濃度は極力低いことが好ましく、10ppm以下、好ましくは5ppm以下にすることが望ましい。鉄イオンの濃度がこのような範囲にあると、柔軟剤組成物の色と臭いの安定性の点で一層好ましい。
【0029】
本発明の液体柔軟剤組成物はエステル基の加水分解を抑制する目的で、pHを1.0〜6.0の範囲にすることが好適であり、pH2.0〜5.0の範囲がより好適である。pH調整には、任意の無機又は有機の酸及びアルカリを使用することができ、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、酢酸、クエン酸、リング酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸などのカルボン酸、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどを例示できる。この中でも、塩酸、メチル硫酸、水酸化ナトリウム、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
【0030】
非イオン性界面活性剤は、主に組成物中での第4級アンモニウム塩の乳化分散安定性を向上する目的で用いられ、特に商品価値上十分なレベルの高温保存時の粘度安定性を保証するためには必要な場合が多い。本発明においても、(C)成分として非イオン性界面活性剤を添加することが望ましい。非イオン性界面活性剤としては、例えば、高級アルコール、高級アミン又は高級脂肪酸から誘導される非イオン性界面活性剤を用いることができるが、高級アルコールのアルキレンオキシド付加物が好ましい。高級アルコールは一級でも二級でもよく、その長鎖炭化水素鎖部分は、分岐していても直鎖でもよく、不飽和があってもよく、炭素鎖長に分布があってもよい。炭素鎖長は好ましくは8〜20、より好ましくは10〜18である。炭化水素鎖が不飽和基を含む場合には、炭素数は16〜18であるものが好ましく、不飽和基の立体異性体構造は、シス体又はトランス体であっても、両者の混合物であってもよい。
【0031】
一方、高級アルコールに付加するアルキレンオキシドはエチレンオキシド(EO)単独が好ましいが、エチレンオキシドにプロピレンオキシド(PO)又はブチレンオキシド(BO)を併用してもよく、これらアルキレンオキシドの平均付加モル数は10〜100が好ましく、より好ましくは20〜80モルである。
【0032】
アルキレンオキシド付加型の非イオン性界面活性剤として、より具体的には、ラウリルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソデシルアルコールの平均EO20モル付加物、一級イソトリデシルアルコールの平均EO40モル付加物、一級イソへキサデシルアルコールの平均EO60モル付加物、牛脂アルキルアミンの平均EO60モル付加物、ラウリン酸の平均EO30モル付加物などが挙げられる。それらの具体例として、日本エマルジョン株式会社のエマレックスシリーズ、三洋化成株式会社のエマルミンシリーズ、ライオン化学株式会社のTDAシリーズ、エソミンシリーズ、(株)日本触媒のソフタノールシリーズ、BASF社製Lutensolシリーズなどを使用することができる。また、上記化合物には、原料であるアルコールやアミン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどのポリアルキレングリコールなどが未反応分として非イオン性界面活性剤中に10質量%以下で含まれてもよい。それらは、1種単独でも又は2種以上の混合物としても使用することができる。
【0033】
非イオン性界面活性剤として好適な高級アルコールアルキレンオキシド付加物の原料アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、2−ブチルオクタノール、イソトリデシルアルコール、イソヘキサデシルアルコール、2−ブチルデカノール、2−ヘキシルオクタノール、2−ヘキシルデカノール、2−オクチルデカノール、2−ヘキシルドデカノール、2−オクタデカノール、2−ドデシルヘキサデカノールなどの天然系もしくは合成系の高級アルコールを使用することができる。
【0034】
本発明の液体柔軟剤組成物に非イオン性界面活性剤を配合する場合、好適な配合量は組成物全量に対し0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。
さらに本発明においては、前記した本発明の目的を達成できる範囲内で、任意の(D)成分として、(d−1)、(d−2)末端OH型エステル基含有モノ長鎖もしくはジ長鎖第4級アンモニウム塩、及び(d−3)エステル基含有トリ長鎖第4級アンモニウム塩から成る混合物を含有することができる。ここで、(d−1)及び(d−2)成分は、下記一般式(III)及び(IV)で示されるように、R4を除く短鎖部分はヒドロキシエチル基乃至ヒドロキシブチル基である。




【0035】
【化7】

【0036】
式中、R4はメチル基又はエチル基、R6、R8は夫々エステル基を1つ含む総炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基、R7はメチル基、エチル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基から成る群から選択され、p=2〜4の整数である。
【0037】
本発明における任意の(D)成分を構成する第3の成分(d−3)は、下記一般式(V)で示されるようにエステル基含有トリ長鎖第4級アンモニウム塩であり、好ましくはR4はメチル基である。
【0038】
【化8】

【0039】
式中、R4はメチル基又はエチル基、R6、R8、R9は夫々エステル基を1つ含む総炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基、である。
(D)成分は当業者に公知の方法で製造することができる。
【0040】
本発明において、(A)成分もしくは(D)成分中の、R1, R5,R6,R8 ,R9などの長鎖炭化水素基は炭素数10〜22の脂肪酸から誘導される脂肪酸残基を含み、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれからも誘導される。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率は液体柔軟剤の粘度を適度なものに仕上げるため、シス体/トランス体=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜90/10が特に好ましい。R1, R2の元となる脂肪酸としては、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水素添加(以下単に、部分水添)パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。
【0041】
中でも好ましいのは、植物油脂由来のステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸、もしくはこれらのメチルエステルを所定量組み合わせ、飽和/不飽和比率が95/5〜50/50、特に85/15〜50/50(質量比)でそのヨウ素価が10〜50のものである。特に、二重結合を二つ以上含む高度不飽和脂肪酸残基の含有率が3モル%以下、シス体/トランス体の質量比が40/60〜80/20、炭素数16及び18の脂肪酸が合計90質量%以上であり、炭素数20以上の脂肪酸が3質量%以下、となるように調整した脂肪酸もしくは脂肪酸メチルエステルの組成がより好ましい。
【0042】
本発明における柔軟化基剤である第4級アンモニウム塩混合物としては(A)成分が必須であるが、所望によっては主としてコストダウンの目的で、(A)成分/(D)成分の質量比=100/0〜1/99の範囲内で、(A)成分に対して任意の(D)成分を併用することができる。但し、前記した本発明が解決しようとする課題に鑑み、これら第4級アンモニウム塩混合物中に占める、エステル基含有モノ長鎖第4級アンモニウム塩(a−1)、(d−1)の合計含有率を30%未満、エステル基含有ジ長鎖第4級アンモニウム塩(a−2)、(d−2)の合計含有率を40質量%以上、エステル基含有トリ長鎖第4級アンモニウム塩(d−3)の含有率として30%未満、で併用することが好ましく、[(a−1)+(d−1)]合計含有率として25%未満、[(a−2)+(d−2)]の合計含有率が50%以上、(d−3)の含有率が25%未満、の範囲で併用することが特に好ましい。
【0043】
上記成分の内、(a−2)成分、(d−2)成分及び(d−3)成分は綿と化繊の柔軟性もしくは化繊の滑り性を向上する効果が優れたものであるが、これらに(a−1)成分もしくは(d−1)成分を併用することにより組成物の高温保存時及び/もしくは凍結復元時の粘度安定性を改良し得る。
【0044】
(A)成分単独、もしくは(A)成分と(D)成分の合計の配合量は、柔軟剤組成物全量に対し好ましくは1〜30質量%、より好ましくは3〜20質量%である。第4級アンモニウム塩の合計配合量が少なすぎると柔軟性を確保するために多量の組成物を使用する必要があり、多すぎると液体柔軟剤組成物の粘度が高くなってゲル化し易く、極端な場合は水性液体柔軟剤としての製剤化が不可能になるので、不適当である。
【0045】
本発明の液体柔軟剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲において上記成分に加えて、更に粘度安定化、機能付加、製造性向上、外観向上、香気向上などを目的に、通常柔軟剤組成物に配合される公知成分として、下記の(E)〜(I)成分及びその他の任意成分を配合することができる。また、本発明の液体柔軟剤組成物の配合製剤化に用いる溶媒としては、前記した様に、重金属イオンの含有率を極力抑制したイオン交換水が最適である。
【0046】
(E)成分として、組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。特に、組成物中での(A)成分単独もしくは[(A)+(D)]の合計配合量が多い場合に配合することが好ましい。無機又は有機の水溶性塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、などの他、硫酸もしくは硝酸のアルカリ金属塩もしくはアルカリ土類金属塩、やp−トルエンスルホン酸、グリコール酸、乳酸などの有機酸のアルカリ金属塩などが挙げられる。好ましくは、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムである。(E)成分の配合量は組成物全量に対し0.001〜3質量%、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.05〜1質量%である。無機又は有機の水溶性塩類の添加は組成物製造のどの工程で入れてもよい。
【0047】
(F)成分として、組成物製造に関してのハンドリング性向上や、組成物の透明化、もしくは凍結復元安定性付与を目的として、炭素数1〜8の一価又は二価のアルコールを配合することができる。これらの一価又は二価のアルコールは、(A)成分と(D)成分のハンドリング性を向上させるために、それらの反応溶媒や希釈剤として用いられることがあり、或いは液体柔軟剤組成物製造の際に配合される場合もある。
【0048】
炭素数1〜8の一価又は二価のアルコールの具体例としては、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、トリメチルペンタンジオール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、グリセリン、2−フェノキシエタノール、2−フェニルエタノールなどである。これら1種を単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0049】
炭素数1〜8の一価又は二価のアルコールは、通常、組成物全量に対し0〜15質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。
【0050】
(G)成分として、防腐力、殺菌力を強化する目的で、以下1)〜4)に記載の化合物を1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0051】
1)イソチアゾロン系の有機硫黄化合物としては、3−イソチアゾロン基を含む化合物が好ましい。これらの化合物は、1981年5月5日発行のLewisらの米国特許第4,265,899号明細書に開示されている。その例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及びそれらの混合物が挙げられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、更に好ましくは約77質量%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23質量%の2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。ローム・アンド・ハース社のケーソンCG/ICP(約1.5質量%水溶液)、純正化学社製のジュンサイド5などジュンサイドシリーズなどの市販品を使用することができる。
【0052】
2)ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどが挙げられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用でき、それらを任意の混合比で使用することができる。このような化合物としては、アビシア(株)製のプロキセルシリーズ〔BDN(有効分33質量%)、BD20(有効分20質量%)、XL−2(有効分10質量%)、GXL(有効分20質量%)など〕、デニサイドBIT/NIPAなどの市販品を用いることができる。
【0053】
3)5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、5−クロロ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、又は2−クロロ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどを用いることができる。Henkel社製BronidoxL、Inolex社製Bronopol、吉富製薬社製ブロノポール、ブーツ社製マイアサイドBT、BASF社製マイアサイドファーマBPなどの市販品を用いることができる。
【0054】
4)安息香酸類又はフェノール化合物としては、安息香酸又はその塩、サリチル酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸誘導体、3−メチル−4−イソプロピルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、o−フェニルフェノール、レゾルシン、クレゾール、などを使用することができる。
【0055】
1)〜3)の化合物の配合量は、好適には組成物全量に対して0〜0.1質量%、好ましくは0.0001〜0.05質量%である。4)の化合物の配合量は、好適には組成物全量に対して0〜3質量%、好ましくは0.01〜1.5質量%である。また、上記1)〜4)の化合物の2種以上を併用することにより防腐力、殺菌力を強化することができ、高価な上記化合物の使用量を削減することもできる。この中で、ケーソンCG/ICP、プロキセルシリーズBDN、マイアサイドBT、安息香酸の2種以上を併用することが特に好ましい。
【0056】
上記1)〜3)の化合物は、安定化のために、亜鉛、銅、カルシウム、マグネシウムなどの金属イオンと共存させるか、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール溶液として組成物に添加されることが好ましい。
【0057】
本発明の(H)成分として、液体柔軟剤組成物の外観を向上する目的で、任意の染料及び/又は顔料を配合することができる。好ましくは、酸性染料、直接染料、塩基性染料、反応性染料及び媒染・酸性媒染染料から選ばれる、赤色、青色、黄色もしくは紫色系の水溶性染料の1種以上である。添加できる染料の具体例は、染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善株式会社)などに記載されている。
【0058】
液体柔軟剤組成物の保存安定性や繊維に対する染着性の観点からは、分子内に水酸基、スルホン酸基、アミノ基、アミド基から選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する酸性染料、直接染料、反応性染料が好ましく、その配合量は組成物全体に対し、好ましくは1〜50ppm、より好ましくは1〜30ppmである。
【0059】
本発明の液体柔軟剤組成物に用いられる染料としては、特開平6−123081号公報、特開平6−123082号公報、特開平7−18573号公報、特開平8−27669号公報、特開平9−250085号公報、特開平10−77576号公報、特開平11−43865号公報、特開2001−181972号公報、特開2001−348784号公報、に記載されている染料を用いることもできる。
【0060】
本発明の(I)成分は、香料組成物である。香料組成物としては、脂肪族及び芳香族のエーテル類、脂肪族やテルペン類のオキサイド類、アセタール類、フェノール類、フェノールエーテル類、脂肪酸、テルペン系カルボン酸や芳香族カルボン酸などの酸類、アマイド類、ニトリル、アミン、キノリン類、ピロールやインドールなどの含窒素化合物等々の、合成及び/又は天然系香料を含む調合香料の1種又は2種以上を混合し、使用することができる。
【0061】
上記香料に含まれる香料成分としては特に限定されるものではなく、使用される香料成分のリストは、例えば「Perfume and Flavor Chemicals」Vol.IandII,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)、「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)、「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)などに記載される香料成分を使用することができる。
【0062】
本発明の柔軟剤組成物には、前記成分の他に下記の任意成分を含むことができる。
即ち、洗濯工程における防しわ性、繊維の吸水性向上、アイロンすべり性、などを改善する目的で、ジメチルポリシロキサン及び各種有機官能基を有する変性ジメチルポリシロキサンから選ばれるシリコーンを、1種単独で又は2種以上の混合物として任意の割合で使用することができる。特に、下記一般式(IX)で表わされる分子内にポリオキシアルキレン基を含有するポリエーテル変性シリコーン類が好適である。


【0063】
【化9】

【0064】
式中、−Z1、−Z2は、それぞれ独立に−R、−O−R、−OH、−O−X−R、−O−X−Hである。Rは互いに同一でも異なっていてもよく、いずれも飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭素数1〜4の炭化水素基であり、Xはポリオキシアルキレン基である。−Yは、−R10−O−X−R11又は−O−X−R11であり、R10は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基であり、R11は水素原子又は炭素数1〜4の飽和あるいは不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素基である。Lは0〜50、Mは1〜1000、Nは10〜10000である。但し、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10%以上60%未満である。
【0065】
上記一般式(VI)において、−Z1、−Z2は、それぞれ独立に−R、−OHであることが好ましい。Rは、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましく、メチル基が特に好ましい。R10は、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましく、プロピレン基が好ましい。R11が炭化水素基である場合には、炭素数1〜4の短鎖飽和炭化水素基が好ましい。特に好ましいR11は、水素原子又はメチル基である。
【0066】
また、上記一般式(VI)において、Xはポリオキシアルキレン基を表すが、オキシエチレン単位、オキシプロピレン単位、又はオキシブチレン単位などが、ブロック状あるいはランダムに配列したものであってもよい。但し、X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、分子全体の質量を基準として10%以上60%未満であり、好ましくは20%〜35%である。また、ポリオキシアルキレン基X中のポリオキシエチレン鎖部分の質量割合は、50%〜100%であるのが好ましい。
【0067】
更に、上記一般式(VI)において、L、M及びNは、いずれも各繰返し単位の数の平均値を表し、Lは0〜50、好ましくは0〜3であり、Mは1〜1000、好ましくは1〜50であり、Nは10〜10000、好ましくは20〜500である。なお、上記一般式(VI)で表わされるポリエーテル変性シリコーンは、各繰返し単位がブロック状に配列しているブロックコポリマーの構造を有するものであってもよく、各繰返し単位がランダムに配列している構造を有するものであってもよい。
シリコーンの25℃における動粘度は100〜1000万mm2/sの範囲が好ましく、更に好ましくは100〜100万mm2/sである。各種シリコーンはオイルとして用いても、エマルジョンとして用いてもよく、シリコーンエラストマーのパウダーを用いる場合には分散液として用いてもよい。
これらのシリコーン化合物は液体柔軟剤組成物全量に対し、好ましくは0〜10質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは2〜8質量%配合することができる。
【0068】
前記化合物以外に、粘度コントロール剤もしくは液安定化剤として、高分子化合物、ハイドロトロープ、尿素、シクロデキストリン類などの芳香時間コントロール剤、ポリスチレンエマルジョンなどの乳濁剤、などを配合することができる。さらに、機能向上剤として、両性界面活性剤やパラフィン類、縮み防止剤、形状保持剤、ドレープ性保持剤、布地柔軟化クレイ、ポリビニルピロリドンなどの移染防止剤、汚れ剥離剤、スカム分散剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、染料固定剤、1,4−ビス(3−アミノプロピル)ピペラジンなどの退色防止剤、繊維表面改質剤としてセルラーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、ケラチナーゼなどの酵素、抑泡剤、を夫々配合することができる。これらの他、シルクプロテインパウダー、それらの表面改質物、などを配合することができる。
【0069】
本発明の液体柔軟剤組成物の初期粘度は、およそ20〜120mPa・sであるのが好ましく、30〜80mPa・sであるのがより好ましい。初期粘度がこのような範囲にあると、高温保存後の粘度上昇を抑制し、ゲル化防止に寄与するので好ましい。尚、本明細書において、初期粘度はブルックフィールド型(B型)粘度計を用い、25℃において測定される。
【0070】
柔軟剤の調製方法としては特に限定されず、種々の方法を用いることができるが、特に特開平2−68137号、特開平5−32788号、特開平5−32789号、及び特開平10−237762号公報に記載されている方法が好ましい。即ち、(A)成分と(B)成分及び(C)成分とから成る油相混合物に、水相の一部を添加するか、あるいは水相の一部に該油相を添加して、高濃度のカチオン性界面活性剤を含む液晶相を形成させ、次いで該液晶相に残りの水相を添加して液晶相をO/W型エマルションへ転相する方法により、本発明の水性液体柔軟剤組成物を調製することができる。
【0071】
乳化分散安定性を向上する目的で配合する高級アルコールエチレンオキシド付加物などの非イオン界面活性剤は水相、油相どちらに添加してもよい。粘度コントロール剤である有機もしくは無機の塩類は、製造時に何回かに分割して添加することもできる。任意成分は、水相もしくは油相への溶け易さやハンドリング性の観点から、水相と油相のいずれに添加するか選択される。但し、溶解性が劣るものも乳化剤や溶剤との併用によりいずれの相に添加することも可能である。一般的には、水溶性の高いものは水相、水難溶性のものは油相に添加することが好ましい。
【0072】
本発明の液体柔軟剤組成物を収める容器は、特に限定されないが、ポリエチレンあるいはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート製のボトル容器や、ポリエチレンや、ナイロン製のパウチ容器に収めるのが一般的である。近年は組成物の水分蒸発の抑制や、粘度や色調、香気などの性状変化を抑制するため、パウチの材質として、アルミやアルミナを蒸着させたポリエチレンやポリエチレンテレフタレートのフィルムを用いることがあり、これらを2層以上貼り合わせた多層フィルムを用いることができる。この中でも特に、ナイロン、ポリエチレンあるいはポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートの内から2種以上を組合せて使用することが望ましい。またさらに、これらには顔料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、スリッピング剤などを含んでいてもよい。
【0073】
本発明の柔軟剤組成物は、通常の洗濯において洗浄終了後の濯ぎの際に使用される。但し、洗浄工程なしに柔軟剤組成物単独で使用してもよい。洗濯工程における洗剤は、アニオン性界面活性剤主体の洗剤でも、非イオン性界面活性剤主体の洗剤でもよく、その他の界面活性剤、機能向上剤を含んでいてもよく、国内外で市販されている洗剤すべての濯ぎ工程において使用することができる。繊維製品の仕上げを行う際の使用濃度は、繊維製品への柔軟性付与の観点から、濯ぎ工程で洗濯浴に満たされる繊維製品の仕上げを行う際の水量に対し、(A)単独もしくは[(A)+(D)]成分の合計量の濃度が10〜100ppmとなるような量で使用するのが好ましく、より好ましくは20〜80ppmである。但し、使用者が洗濯機種、繊維製品の量、水量などを考慮して、好みの量に調整するのがもっとも好ましい。
【0074】
本発明の柔軟剤組成物は、二槽式洗濯機、全自動洗濯機、乾燥機能付洗濯機、及びドラム式洗濯機等の市販されている全ての洗濯機に使用することができる。
【実施例】
【0075】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。尚、以下、質量%は%と略記する。
【0076】
1.メチルエーテル型エステル基含有モノ長鎖又はジ長鎖アルキル/アルケニル第4級アンモニウム塩の製造方法
<メトキシエチルジエタノールアミンの合成>
温度計と攪拌機を備えた1L圧力容器にメトキシエチルアミン(関東化学製)300g(4.0モル)を仕込んだ。雰囲気の窒素置換を行った後、加温し、液温が100℃になり次第、酸化エチレン(三菱化学製)を少量ずつ仕込んだ。液温を徐々に上げていき、150〜170℃に温度制御しながら酸化エチレンをトータル349g(7.93モル)圧入した。酸化エチレンの仕込みが終わってから、170℃に保持したまま1時間熟成させた。熟成終了後、液温を60℃まで冷却した。得られたメトキシエチルジエタノールアミンのアミン価を測定した結果、342mgKOH/gであった。
【0077】
【化10】

【0078】
<エステルアミンの合成>
温度計、冷却装置、滴下ロート、攪拌機を取り付けた1.5L容4つ口フラスコに、上記操作で得られたメトキシエチルジエタノールアミン49.2g(0.3モル)、乾燥アセトニトリル(関東化学(株)製)350g、トリエチルアミン(関東化学製)66.7g(0.66モル)を仕込んだ。液温が30℃に到達後、部分水添パーム油脂肪酸クロリド(表−1記載の部分水添パーム油脂肪酸もしくは部分水添パーム油脂肪酸メチルエステルから常法により調製)177.9g(0.60モル)を約1時間かけて滴下し、滴下中は液温を35〜45℃範囲内で制御した。滴下終了後、45℃で30分間熟成しメトキシジアルカノイル(パーム)トリエタノールアミンの粗製物を得た。副生した沈殿物は桐山ロート(No.5A)を用いて濾過し、濾液をロータリーエバポレータで溶媒分を減圧留去してペースト状の液体を得た。さらにアセトン250mLを添加して析出した不溶物を同様の方法で処理し、最終的にペースト状のメトキシジアルカノイル(パーム)トリエタノールアミンを得た。尚、この反応操作において、トリエチルアミンは副生するHClの捕捉剤として添加した。得られた粗製物のアミン価は81.9mgKOH/gであった。
【0079】
【化11】

【0080】
<4級化>
温度計、冷却装置、攪拌機を取り付けた1L容4つ口フラスコに、前工程で得られたアミン(100.0g、0.146モル)、乾燥アセトニトリル30gを仕込み、液温が50℃に達したら滴下ロートを介してジメチル硫酸(18.0g、0.143モル)を20分かけて滴下した。反応温度は60℃を超えないように制御した。滴下終了後、60℃で30分間熟成し、粗製物を得た。得られた粗製物をエタノールに溶媒置換して有効成分濃度60%(設定)のメトキシエチルジエステル第4級アンモニウム塩を主成分とする粗製物を得た。粗製物中の分析結果は以下のようであった。第4級アンモニウム塩:53.3%、遊離アミン:2.5%、アミン硫酸塩:2.3%、遊離脂肪酸:1.9%。又、プロトンNMRによりモノ長鎖4級塩/ジ長鎖4級塩の質量比を計算した結果、20/80であった。
【0081】
【化12】

【0082】
2.末端OH型エステル基含有モノ長鎖もしくはジ長鎖アルキル/アルケニル第4級アンモニウム塩及びエステル基含有トリ長鎖アルキル/アルケニル第4級アンモニウム塩の製造方法
【0083】
<エステルアミンの合成>
攪拌機、分縮器、温度計、冷却装置及び減圧セットを取り付けた2L容4つ口フラスコに、部分水添パーム油脂肪酸メチルエステル(ステアリン酸メチル40%+オレイン酸メチル40%+パルミチン酸メチル20%、から成る混合物、夫々ライオン(株)製パステルM180、パステルM181、パステルM16)581g(2.0モル)、トリエタノールアミン186g(1.24モル)、触媒である酸化マグネシウム0.4g、及び25%水酸化ナトリウム水溶液1.5gを、仕込んだ。窒素置換を行った後、70kPaまで減圧した。その後、1.5℃/minの速度で185℃まで昇温し、圧力を徐々に3kPaまで低下させ、7時間反応させた。未反応メチルエステルが1%以下であることを確認し、反応を停止した。得られた生成物から触媒由来の脂肪酸塩をろ過除去し、中間体のエステルアミンを得た。測定したアミン価から平均分子量を求めたところ、606であった。
【0084】
【化13】

【0085】
<四級化>
得られたエステルアミン303g(0.50モル)を温度計、滴下ロート及び冷却装置を備えた1L容4つ口フラスコに仕込み、窒素置換した。その後、90℃に加熱し、ジメチル硫酸61.7g(0.49モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、更にそのままの状態で1時間撹拌した。次いで、溶媒としてエタノール約64gを滴下しながら冷却して、第4級アンモニウム塩のエタノール溶液を調製した。





【0086】
【化14】

【0087】
かようにして得られた(A)成分単独、及び(A)成分に(D)成分を併用した場合の第4級アンモニウム塩混合物の組成と性状を表―1に示す。
【0088】
3.柔軟剤組成物の配合[実施例1〜9、比較例1〜2]
表−1〜5に示す成分を用い、液体柔軟剤組成物1kgを配合した。まず、油相混合物と水相混合物を調製した。但し、油相混合物、水相混合物及び油相混合物と水相混合物を混合後最後に添加する水相混合物の合計が990gになるように水相混合物は精製水でバランスした。その後、必要に応じ、塩酸(試薬5mol/L、関東化学(株)製)、または水酸化ナトリウム(試薬5mol/L、関東化学(株)製)を添加してpH3.0に調製し、更に全体質量が1000gになるようにイオン交換水を添加して、表−5及び表−6に示す液体柔軟剤組成物を得た。特に断りの無い限り、配合量はいずれの場合も柔軟剤組成物全体に対する質量%として示すが、%と略記する。
【0089】
配合は、(A)成分単独、もしくは(A)成分と(D)成分の混合物(F成分である適量の99度合成エタノールと予め混合)及び所定量の(b−2)成分及び香料組成物(I成分)から成る油相混合物に、水相に配合する成分(水相と記載)を含む水相混合物4割を添加して、カチオン界面活性剤の液晶相を形成させ、次いで該液晶相と残りの水相を混合して液晶相を転相させる方法で行った。油相混合物は約55℃、水相混合物は約40℃に加温して混合した。なお、上記組成物を調製する際には、パドルミキサーを用い、液晶転相前後1000rpmで5分ずつ混合した。
【0090】
また、表−6及び表−7に記載の柔軟剤組成物には、(b−1)成分である金属イオン封鎖剤(水相)、(C)成分であるアルキレンオキシド型非イオン界面活性剤(水相)、及び(E)成分である塩化カルシウムもしくは塩化マグネシウム(最初の水相にその半量、油相混合物と水相混合物を混合後、液晶相を転相時に残りの半量添加)をそれぞれ所定量、(G)成分のケーソンCG/ICP(ローム&ハース(株)製)0.02%(水相)、(H)成分の色素5〜30ppm(水相)、を配合した。尚、配合に用いた(B)成分を表―2に、(C)成分を表−3に、(H)成分である染料を表−4に、(I)成分である香料組成物を表−5に、夫々示す。得られた液体柔軟剤について、下記に示す評価方法に従い、柔軟性、滑り性、高温保存安定性(色調と臭い及び粘度)を評価した。柔軟剤の組成と評価結果を表−6及び表−7に記載する。
【0091】
4.液体柔軟剤組成物の評価方法
(1)柔軟剤による柔軟処理
市販の綿タオル((株)東進)とアクリルジャージ(染色試材(株)谷頭商店)及びポリエステルサテン(染色試材(株)谷頭商店)を市販洗剤「トップ」(ライオン(株)製)により二槽式洗濯機(CW−C30A1−H、三菱電機製、以下同様)を用いて40〜50℃で2回繰り返し洗濯を行なった後、常温の水道水で充分すすぎ、室温で乾燥後試験布として用いた(洗剤標準使用量、浴比30倍、40〜50℃の水道水、洗濯10分→注水すすぎ10分を2回)。次いで、綿タオルとアクリルジャージ及びポリエステルサテン合計1.5kg(綿/アクリル/ポリエステル布質量比=7/1.5/1.5)を二槽式洗濯機を用いて、市販洗剤「トップ」(ライオン(株)製)で洗浄し(標準使用量、浴比30倍、25℃の水道水使用、10分)、すすぎ2回目に表−6及び表−7に示す柔軟剤組成物を水量45Lに対して10mL加えて、衣料の柔軟処理(浴比30倍、25℃の水道水使用、3分)を行った。その後、20℃、45%RHの条件で24時間乾燥後、柔軟性及び滑り性の評価を行った。
【0092】
(2)柔軟性と滑り性の評価
柔軟性の評価は綿タオルとアクリルジャージで行い、滑り性はポリエステルサテンを用いて評価した。尚、柔軟性及び滑り性の評価は、比較例1に記載の柔軟剤組成物を用いて、柔軟剤濃度0.022質量%(水道水45Lに対して柔軟剤組成物として10mLを溶解した濃度)で仕上げ処理した綿タオル、アクリルジャージもしくはポリエステルサテンを対照として、夫々専門パネラー10名による官能による一対比較評価を、以下に示す基準で行った。尚、商品価値上は、0点(比較例1とほぼ同等)以上であることが望ましい。
<柔軟性及び滑り性の評価基準>
+2:比較例1よりはっきり良い、+1:比較例1よりやや良い、0:比較例1と同等、−1:比較例1の方がやや良い、−2:比較例1の方がはっきり良い。結果は10人のパネラーの平均値を示した。
【0093】
(3)粘度測定方法
液体柔軟剤組成物の初期粘度は、組成物を調製後、室温保存1日の試料500mLを容量500mLのトールビーカーに入れ、25℃恒温水槽にて1時間調温した後、B型粘度計(TOKIMEC社製BL粘度計、回転数30回転/分、10回転目の粘度を読み取る、粘度1000mPa・s以下の場合はNo.2ロータ、1000mPa・sを超える場合はNo.3ロータを使用)を用いて測定した。尚、実施例及び比較例に示す組成物の初期粘度は30〜80mPa・sの範囲に入るように、主として(C)成分と(E)成分の配合量を調整した。
【0094】
(4)外観色調安定性の評価
実施例及び比較例に記載する液体柔軟剤組成物の外観色調安定性は、試料約90mLを内容量約100mLのガラスビンに充填し、40℃で6ヶ月間保存した後、25℃に戻してから、5℃暗所保存品を比較対照に下記の基準で評価した。評価は、色素無添加と色素添加品夫々について実施した。尚、商品価値の点からは○以上であることが必要である。
<外観色調安定性の評価基準>
◎:5℃暗所保存品と大差ない。
○:5℃暗所保存品と比較して僅かに変化が認められるが、商品価値上許容範囲内である。
△:5℃暗所保存品と比較して若干くすんだ色調であり、商品価値上許容できない。
×:5℃暗所保存品と比較して明らかにくすんだ色調であり、商品価値上許容できない。
【0095】
(5)臭いの安定性の評価
実施例及び比較例に記載する液体柔軟剤組成物の臭いの安定性は、試料約90mLを内容量約100mLのガラスビンに充填し、40℃で6ヶ月間保存した後、25℃に戻してから、5℃保存品を比較対照に、専門パネラー3名により下記の基準で評価し、その平均を取った。評価は、香料無添加系と香料添加系夫々について実施した。尚、商品価値の点からは○以上であることが必要である。
<臭いの安定性の評価基準>
◎:5℃暗所保存品と大差なく、その試料本来の臭いである。
○:5℃暗所保存品と比較して僅かに臭いが変化したが、商品価値上許容範囲内である。
△:5℃暗所保存品と比較して若干異臭が認められ、商品価値上許容できない。
×:5℃暗所保存品と比較して明らかに異臭が発生しており、商品価値上許容できない。
【0096】
(6)高温保存における粘度安定性の評価
実施例及び比較例に記載する液体柔軟剤組成物約90mLを内容量約100mLのガラスビンに充填して、40℃で6ヶ月間保存した後、B型粘度計を用い、(3)に記載した測定条件に従って粘度測定を行った。初期粘度を基準にして、測定結果を以下の基準で評価した。尚、商品価値の点からは○以上であることが必要である。
<高温保存における粘度安定性の評価基準>
◎:40℃で6ヶ月間保存後の粘度が初期粘度の10倍以内、○:同様の基準で20倍以内、
△:同様の基準で30倍以上、×:同様の基準で40倍以上。
【0097】
【表1】


【0098】
【表2】












【0099】
【表3】




【0100】
【表4】

【0101】
表―6から得られる知見は次の通りである。
1)(比較例1と2との関係)外観色調の安定性は、染料が無添加の場合と添加した場合とは大差なく、(B)成分が無添加だと外観色調の安定性は悪い。一方、香料が添加されると無添加の場合に比較して、臭いの劣化度合いが目立ちにくくはなるが、(B)成分が無添加だと本質的に劣化する。よって、本発明における必須成分である(B)成分が無添加であると、外観色調と臭いの安定性は商品価値上保証できない。
2)(比較例1及び2と実施例1〜4との比較)比較例に対して、本発明における必須成分である(A) 成分を主基剤として使用すると、特に化繊の柔軟性と滑り性が改良される。又、これに(B)成分の内、一方だけが配合されても、染料と香料が無添加でも外観色調安定性と臭いの安定性は商品価値上問題ないレベルに改良される。さらに、(B)成分の内、(b-1)と(b-2)の双方を添加すると、外観色調安定性と臭いの安定性はより一層改良される。
3) (実施例2と実施例3との比較)(C)成分を必要充分な量を配合すると、高温保存の粘度安定性は一層改良される。


【0102】
【表5】

【0103】
表―7から得られる知見は次の通りである。
1)第4級アンモニウム塩や(B)成分の種類によって、(b-1)成分と(b-2)成分の必要量は若干異なるものの、(B)成分の添加によって商品価値上問題無いレベルの外観色調と臭いの安定性を保証できる。
2)(A)単独はもちろんのこと、それに(D)成分を併用した第4級アンモニウム塩の場合でも、(B)成分の添加によって、商品価値上問題無いレベルの外観色調と臭いの安定性を保証できる。
3)尚、実施例1〜9の組成物中のFeイオン濃度を、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光法、PerkinElmer社製、Optima5300DV)を用いて測定した結果、およそ1〜5ppmの範囲であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分及び(B)成分を含有することを特徴とする液体柔軟剤組成物。
(A)(a−1)下記一般式(I)で表わされる短鎖アルキルエーテル型エステル基含有モノ長鎖第4級アンモニウム塩と、(a−2)下記一般式(II)で表わされる短鎖アルキルエーテル型エステル基含有ジ長鎖第4級アンモニウム塩とからなる短鎖アルキルエーテル型エステル基含有第4級アンモニウム塩混合物;
【化1】

(式中、R1, R5は、夫々エステル基を1つ含む総炭素数10〜26のアルキル基又はアルケニル基を表し、R2は、メチル基、エチル基、炭素数1〜4のヒドロキシアルキル基又はCpH2pOR3で表される基を表し、p=2〜4の整数であり、R3, R4は、夫々独立してメチル基又はエチル基を表す。)
(B)(b-1)金属イオン封鎖剤、(b-2)酸化防止剤及び(b-3)これらの混合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を、組成物の全量を基準にして、0.1〜1000ppm。
【請求項2】
さらに、(C)アルキレンオキシド付加型非イオン性界面活性剤を含有する請求項1記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項3】
(b-1)が、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フィチン酸及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
(b-2)が、2,6−ジ−tert―ブチル―4−メチルフェノール、ブチルヒロドキシアニソール及び没食子酸プロピルからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
(b-3)が、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、フィチン酸、アミノカルボン酸類及びそれらの塩からなる群から選ばれる少なくとも1種と、2,6−ジ−tert―ブチル―4−メチルフェノール、ブチルヒロドキシアニソール及び没食子酸プロピルからなる群から選ばれる少なくとも1種との混合物である、請求項1又は2記載の液体柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2007−204877(P2007−204877A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−24836(P2006−24836)
【出願日】平成18年2月1日(2006.2.1)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】