説明

液体柔軟剤組成物

【課題】従来の柔軟剤と同等以上のレベルの柔軟化効果を付与するだけでなく、特にドラム式洗濯機を使用することにより発生するタオル類や衣類のごわ付きを改善することを可能にする液体柔軟剤組成物を提供すること。
【解決手段】下記(A)、(B)及び(C)成分を含む液体柔軟剤組成物。
(A)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい、炭素数10〜24の炭化水素基を分子内に1つ以上有する、3級アミン又はその中和物もしくはその4級化物又はそれらの混合物、
(B)カチオン性高分子、
(C)両性界面活性剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類等の繊維製品に好適に用いることができる液体柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯すすぎ行程において、第4級アンモニウム塩型カチオン性界面活性剤を主基剤とする柔軟仕上げ剤を用いて柔軟処理することにより、繊維製品に対して柔軟性を付与できることは周知であり、従来から実施されている。これらのカチオン性界面活性剤を主基剤とする従来の柔軟仕上げ剤は、従来から一般的な縦型洗濯機で使用した場合には、衣類などの繊維製品に対しては充分な柔軟化効果を発揮する。
しかしながら、近年日本国内でも流通し使用され始めているドラム式洗濯機はたたき洗いにより汚れを落とすことから、縦型洗濯機より繊維製品に与える機械力が強いといわれている。従来の柔軟仕上げ剤を用いてドラム式洗濯機で柔軟処理すると、ドラム式洗濯機が繊維製品に与える強い機械力に起因して、特にタオル類などがごわ付き易くなる問題点が指摘されている。よって、これらのごわ付いた繊維製品に対しては、従来の柔軟剤で処理しても、従来の使用量のレベルでは充分な柔軟化効果を発揮できないため、消費者に対して余分なコストを負担させると共に、良好な風合いを付与することが出来にくくなっている。
【0003】
かような最近の洗濯機の実態に鑑みて、本発明者らは従来並みの使用量でドラム式洗濯機のすすぎ工程において使用しても、タオル等に発生する「ごわ付き」を改善できる液体柔軟剤組成物を開発するに至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明は、従来の柔軟剤の使用量と同程度の使用量で従来の柔軟剤と同等以上のレベルの柔軟化効果を付与するだけでなく、特にドラム式洗濯機を使用することにより発生するタオル類や衣類のごわ付きを改善することを可能にする液体柔軟剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記(A)、(B)及び(C)を含むことを特徴とする液体柔軟剤組成物を提供する。
(A)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい、炭素数10〜24の炭化水素基を分子内に1つ以上有する、3級アミン又はその中和物もしくはその4級化物又はそれらの混合物、
(B)カチオン性高分子、
(C)両性界面活性剤。
【発明の効果】
【0006】
本発明の組成物は従来の柔軟剤と同程度の使用量で同等以上の柔軟化効果を発揮するだけでなく、繊維製品のごわ付き抑制及び改善効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[(A)成分:カチオン性界面活性剤]
(A)成分は、アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい、C10〜24の炭化水素基を分子内に1つ以上有する、3級アミン又はその中和物もしくはその4級化物又はそれらの混合物である。(A)成分を配合することにより、従来の柔軟剤と同等以上の柔軟化効果を発現させると共に、(B)及び(C)成分の繊維製品への吸着性を向上させ、相乗的にごわつき抑制及び改善効果を発揮することができる。
【0008】
本発明において用いることのできる(A)成分としては、下記化学式(A-I)〜(A-VIII)で示されるアミン化合物とその有機または無機酸による中和物、およびその4級化物を例示することができる。これらは、いずれも1種または2種以上の混合物として用いることができる。2種以上を混合する場合、長鎖炭化水素基を2つまたは3つ有する化合物の混合物中の質量比率が50%以上であると、柔軟仕上げ処理した繊維製品の柔軟性を良好にすることができるので好ましい。使用後自然環境中へ廃棄された後の生分解性を付与するためには、該長鎖炭化水素基の途中にエステル基を含有するのが好ましい。
【0009】
【化1】

【0010】
(A)成分を構成する長鎖炭化水素基の炭素数は10〜24、好ましくは12〜20であり、且つ飽和又は不飽和の直鎖又は分岐であり、より好ましくは直鎖のアルキル基又はアルケニル基である。更に詳細には、該長鎖炭化水素基を構成するRは炭素数10〜24の炭化水素基である。不飽和基を有する場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。また、飽和と不飽和炭化水素基の比率は95/5〜50/50(wt/wt)であることが好ましい。また、R1は炭素数10〜20の脂肪酸からカルボキシル基を除いた残基であり、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、直鎖脂肪酸、分岐脂肪酸のいずれから誘導される。不飽和脂肪酸の場合、シス体とトランス体が存在するが、その質量比率はシス/トランス=25/75〜100/0が好ましく、40/60〜80/20が特に好ましい。R1のもととなる好ましい脂肪酸は以下のものが例示できる。ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、オレイン酸、エライジン酸、部分水添パーム油脂肪酸(ヨウ素価10〜60)、部分水添牛脂脂肪酸(ヨウ素価10〜60)などが挙げられる。中でも好ましいのは、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、エライジン酸を所定量組み合わせ、飽和/不飽和質量比が95/5〜50/50、シス/トランス体質量比が40/60〜80/20、ヨウ素価が10〜50、炭素数18の比率が80質量%以上であり、炭素数20の脂肪酸を2質量%以下、炭素数22の脂肪酸を1質量%以下となるように調整した脂肪酸組成を用いることが好ましい。ここで、式中に存在するR1はすべて同一であっても、またはそれぞれ異なっていても構わない。
【0011】
上記3級アミンの中和に用いる酸としては、塩酸、硫酸、メチル硫酸が挙げられる。本発明で用いる3級アミンは塩酸、硫酸、メチル硫酸によって中和されたアミン塩の形で用いることが好ましい。その中和工程は3級アミンを予め中和したものを水に分散してもよいし、酸水溶液中に3級アミン を液状又は固体状で投入してもよい。もちろん3級アミンと酸成分を同時に投入してもよい。また、上記3級アミンの4級化に用いる4級化剤としては塩化メチルやジメチル硫酸が挙げられる。
一般式(A-I)の化合物は、一般に上記脂肪酸またはそのメチルエステルを出発原料として、それをアンモニアでニトリル化して得られるニトリルを、更に水素添加後、ホルムアルデヒドと水素を反応させてメチル化し、最後に4級化して得られる。
一般式(A-II)、(A-III)の化合物は上記脂肪酸またはそのメチルエステルとメチルジエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、(A-III)と(A-II)の化合物の存在比率は(A-III)/(A-II)質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、低分子量であり4級化に所要する4級化剤重量が少ない点で塩化メチルがより好ましい。その際、(A-II)と(A-III)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から(A-III)/(A-II)質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(A-II)、(A-III)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0012】
一般式(A-IV)、(A-V)、(A-VI)の化合物は上記脂肪酸またはそのメチルエステルとトリエタノールアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、分散安定性を良好にする観点から、[(A-V)+(A-VI)]と(A-IV)の化合物の存在比率は質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更に、その4級化物を用いる場合には、4級化剤として塩化メチルやジメチル硫酸などを用いるが、反応性の観点からジメチル硫酸がより好ましい。その際、[(A-V)+(A-VI)]と(A-IV)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も、分散安定性の観点から質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(A-VI)、(A-V)、(A-VI)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0013】
一般式(A-VII)、(A-VIII)の化合物は上記脂肪酸とN−メチルエタノールアミンとアクリロニトリルの付加物より、「J.Org.Chem.,26,3409(1960)」に記載の公知の方法で合成したN−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチル−1,3−プロピレンジアミンとの縮合反応により合成することができる。その際、(A-VIII)と(A-VII)の化合物の存在比率は質量比で(A-VIII)/(A-VII)=99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。更にその4級化物を用いる場合には塩化メチルで4級化するが、(A-VIII)と(A-VII)で示されるエステルアミンの4級化物の存在比率も質量比で99/1〜50/50となる様に合成することが好ましい。また、(A-VII)、(A-VIII)を4級化する場合、一般的に4級化反応後も4級化されていないエステルアミンが残留する。その際、4級化物/4級化されていないエステルアミンの比率は、エステル基の加水分解安定性の観点から、質量比で99/1〜70/30の質量比率であることが好ましい。
【0014】
本発明組成物中への前記(A)成分の配合量は、好ましくは1〜40質量%であり、より好ましくは3〜25質量%、最も好ましくは5〜22質量%である。(A)成分の配合量をこのような範囲とすることにより、従来品と同等以上の柔軟化効果があり、しかも(B)及び(C)成分との相乗効果に基づいて「ごわ付き改善効果」を付与でき、且つ適度な粘度に調整し易いので使用性の点で良好なものとすることができる。
【0015】
[(B)成分:カチオン性高分子]
(B)成分は、カチオン性基を有する高分子化合物であれば何でもよく、その分子内にアミン基、アミノ基、4級アンモニウム基などの陽イオン性を有する基を持つものが望ましい。なお、本明細書において、カチオン性基とは正に帯電した原子を有するモノマーをいう。
本発明において、(B)成分は、(A)及び(C)との相乗作用に基づき、ごわ付き改善効果を付与する機能を有するものである。
本発明において用いることのできるカチオン性高分子は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される重量平均分子量が1,000〜6,000,000である高分子である。重量平均分子量は、より好ましくは3,000〜5,000,000であり、さらに好ましくは、5,000〜4,000,000である。
具体的には、レオガードKGP(ライオン)等のカチオン化セルロース、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業)、MERQUAT100(Nalco社)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウムの重合体、MERQUAT550(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、LUVIQUAT−FC905(BASF)等の塩化イミダゾリニウム・ビニルピロリドン共重体、LUGALVAN−G15000(BASF)等のポリエチレンイミン、ポバールCM318(クラレ)等のカチオン化ポリビニルアルコール、キトサン等のアミノ基を有する天然系の高分子誘導体、ジエチルアミノメタクリレートとエチレンオキシド等が付加された親水基を有するビニルモノマーとの共重合体等が挙げられる。これらの内、カチオン化セルロースもしくは塩化ジメチルジアリルアンモニウムの単独重合体もしくは該単量体と他の単量体との共重合体が好ましく、いずれの場合も1種または2種以上の混合物として用いることができる。
【0016】
カチオン性高分子のカチオン化度は特に限定されないが、例えば、0.1%以上のものが好ましく、特に1.5%以上が好ましい。カチオン性高分子のカチオン化度をこのような範囲とすることにより、ごわつき改善効果が大きくなり、かつ、多量の配合が必要となり経済的でないケースを防止することができる。
ここで、カチオン化度とは、高分子化合物がカチオン性モノマーの重合体、カチオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体、及びノニオン性重合体の一部をカチオン性基で変性又は置換したもの(カチオン化セルロースなど)の場合には下記数式(1)により、また、高分子化合物がカチオン性モノマーとアニオン性モノマーの共重合体、及びカチオン性モノマーとアニオン性モノマーとノニオン性モノマーの共重合体の場合には、下記数式(2)により算出される値と定義する。
カチオン化度(%)=X×Y×100 ・・・数式(1)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量、Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数]
カチオン化度(%)=X×(Y−Z)×100 ・・・数式(2)
[X:高分子化合物のカチオン性基中のカチオン化された原子(窒素等)の原子量、Y:高分子化合物1g中に含まれるカチオン性基のモル数、Z:高分子化合物1g中に含まれるアニオン性基のモル数]
(ここで、Zのアニオン性基とは、高分子鎖中のモノマー単位に含まれるカルボキシル基、スルホン酸基などが挙げられる。具体的には、アクリル酸中のカルボン酸などである。但し、カチオン性基の対イオンは含まない。)

カチオン化度の算出例として、下記式で表されるMERQUAT280(Nalco社)の場合を示す。
X:14(窒素原子の原子量)
Y:4.95×10-3(カチオン性基の1g中の重量:0.8gとカチオン性基の分子量より算出)
Z:2.78×10-3(アニオン性基の1g中の重量:0.2gとアニオン性基の分子量より算出)
式(2)より、
カチオン化度(%)=14×(4.95×10-3−2.78×10-3)×100=3.0
である。
【0017】
【化2】

【0018】
(m:n=65:35、塩化ジメチルジアリルアンモニウムとアクリル酸との質量比=80:20)
よって、上記のカチオン化度の算出法によれば、ノニオン性モノマーの重合体やアニオン性モノマーの重合体のカチオン化度は0となる。
【0019】
本発明における(B)成分として特に好ましい高分子は、セルロース原料にカチオン化剤を反応させて得られるカチオン化セルロースであり、ほかに少量の水を含むものが好適に挙げられる。
セルロース原料としては、たとえば、酸化エチレンをセルロースに付加させて得られるヒドロキシエチルセルロース(HEC)が挙げられる。
カチオン化剤としては、たとえば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウム、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライドが挙げられる。
(B)成分として好適なカチオン化セルロースを以下に例示する。
【0020】
【化3】

【0021】
[式中、R3〜R5は、それぞれ独立して水素原子または下記式(B−1−1)で表される基である。但し、R3〜R5の少なくとも一つは式(B−1−1)で表される基である。l、m、nは、それぞれエチレンオキシドの平均付加モル数を示す。]
【0022】
【化4】

【0023】
前記式(B−1)で表される繰返し単位を有するポリマーは、(ハロゲン)−O−[2−ヒドロキシ−3−(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロースである。
前記式(B−1)中、グルコース環単位当たりのエチレンオキシド(EO)置換度は、好ましくは0.7〜2.5である。ただし、「EO置換度」とは、セルロース原料のグルコース環単位当たり、EOで置換された水酸基の平均個数(該グルコース環の持つ3つの水酸基のうち、いくつにEOが付加したかを示すもので、最大3となる。)を示す。
また、グルコース環単位あたりのEO平均付加モル数は、好ましくはl+m+n=1〜5であり、特にごわ付き改善効果が良好なことから、下限値は1以上がより好ましく、上限値は3以下がより好ましい。
【0024】
(B−1)成分として具体的には、レオガードGPS(カチオン化度1.8%)、レオガードGP(カチオン化度1.8%)、レオガードGP0(カチオン化度1.8%)、レオガードLP(カチオン化度1.0%)、レオガードKGP(カチオン化度1.8%)、レオガードMGP(カチオン化度1.8%)、レオガードMLP(カチオン化度0.6%)[以上、商品名;ライオン];カチナールHC−100(カチオン化度1.0〜2.0%)、カチナールHC−200(カチオン化度1.0〜2.0%)、カチナールLC−100(カチオン化度0.5〜1.5%)、カチナールLC−200(カチオン化度0.5〜1.5%)[以上、商品名;東邦化学工業];UCARE Polymer LR400(カチオン化度0.8〜1.1%)、UCARE Polymer LR30M(カチオン化度0.8〜1.1%)[以上、商品名;ダウケミカル社]等の市販のものが好適なものとして挙げられる。
なお、上記市販のものにおけるグレードの相違は、セルロースの分子量、EOの平均付
加モル数、およびカチオン化度等が異なることによる。
【0025】
同様に、本発明で用いる(B)成分として、特に好ましい高分子として、下記一般式(B−2)に示すジメチルジアリルアンモニウム塩を単独重合、もしくは共重合して得られるカチオン性高分子が挙げられる。共重合体としては、アクリルアミドやアクリル酸等との共重合体が好ましい。このメチルジアリルアンモニウム塩重合体の構造は、通常、下記一般式(B−3)又は下記一般式(B−4)で表わされる構造を含む。また、一般式(B−3)の構造単位と一般式(B−4)の構造単位が共に含まれていてもよい。
【0026】
【化5】

【0027】
【化6】

【0028】
【化7】

【0029】
式中、c及びdは各々平均重合度であり、各々6〜30000の範囲であることが好ましく、より好ましくは20〜6000、さらに好ましくは30〜3000の範囲である。
このような高分子の例としては、MERQUAT100(Nalco社)、アデカカチオエースPD−50(旭電化工業)、ダイドールEC−004、ダイドールHEC、ダイドールEC(大同化成工業)、MERQUAT550(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、MERQUAT280(Nalco社)等の塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体等が挙げられる。
本発明の(B)成分としては、上記のカチオン性を有する水溶性高分子化合物1種類を単独で用いてもよいし、混合物として用いることもできる。
【0030】
カチオン性高分子の配合量は特に限定されないが、繊維製品に剛性を付与しない範囲のものとするのが好ましく、例えば、組成物の全質量をベースとして、0.01〜30質量%とするのがよく、さらに好ましくは0.05〜10質量%、最も好ましくは0.1〜5質量%とするのがよい。カチオン性高分子の配合量をこのような範囲とすることにより、ごわ付き改善効果を充分に付与でき、且つ組成物の粘度上昇を抑えて使用性の面で良好なものとすることができる。
【0031】
[(C)成分:両性界面活性剤]
本発明において用いることのできる両性界面活性剤としては、例えば、ベタインと、N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸またはその塩などが挙げられる。ベタインとしては、アルキルベタイン、カルボベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、イミダゾリニウムベタイン、ホスホベタイン等がある。N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸は、チッ素原子にアルキル基またはアルケニル基が結合し、さらに1つまたは2つの「−R−COOH」(式中Rは2価の炭化水素基を示し、好ましくはアルキレン基であり、特に炭素数1〜2であることが好ましい)で表される基が結合した構造を有する。「−R−COOH」が1つ結合した化合物においては、チッ素原子にはさらに水素原子が結合している。「−R−COOH」が1つのものをモノ体、2つのものをジ体という。(C)成分においては、これらモノ体、ジ体のいずれも用いることができる。N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸において、アルキル基、アルケニル基は直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。
本発明において、(C)成分は、(A)及び(B)成分と併用した場合、(C)成分は該成分との相乗効果に基づき「ごわ付き改善効果」を向上する効果を有する。 両性界面活性剤の中では、ごわつき改善の点から、スルホベタイン、アミドスルホベタインが好ましい。
【0032】
特に、本発明で用いる(C)成分としては、分子中に少なくとも1つのエステル基又はアミド基を含有し、且つ1又は2個の炭素数10〜24、好ましくは12〜18、より好ましくは14〜18のアルキル基又はアルケニル基を含有し、下記一般式(C−I)で示されるスルホベタインあるいはその混合物が好ましい。
【0033】
【化8】

【0034】
ここで、上記式中、R1は炭素数9〜23、好ましくは11〜17の直鎖又は分岐鎖アルキル基又はアルケニル基を表わし、R1は脂肪酸残基であり、該脂肪酸としてはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、パルミトオレイン酸、エライジン酸、リノール酸、エイコ酸等が挙げられる。また、Qはエステル基又はアミド基、好ましくはエステル基を表わし、pは1〜4の整数である。R2は炭素数1〜3のアルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、具体的には、例えばメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基などを挙げることができる。R3は−(CH2)q−Tまたは−CH2CH(OH)CH2−Tであり、qは0〜4、好ましくは2〜3である。Tは−COO-、−SO3-、−OSO3-又は−O-で示される基である。R4はR1−S−(CH2)p−、R2又はR3である。
上記(C−I)成分の具体例としては、下記一般式(C−Ia)〜(C−Ic)で表されるスルホベタインを挙げることができる。これらの中でも(C−Ia)〜(C−Ib)がより好ましい。
【0035】
【化9】

【0036】
上記式(C−Ia)〜(C−Ic)で表される化合物としては、R1がアルキル基又はアルケニル基のいずれか一方であるものでもよく、R1がアルキル基及びアルケニル基である化合物の混合物であってもよい。R1の元となる脂肪酸組成のヨウ素価としては、0〜100、好ましくは0〜70、更に好ましくは20〜45が好適である。
また、上記(C−I)成分中のアルケニル基のシス体、トランス体比におけるシス体の比率は、柔軟剤組成物の粘度を適度なものに仕上げることを考慮すれば、25〜95%、好ましくは40〜90%が好適である。
【0037】
本発明の液体柔軟剤組成物における上記両性界面活性剤の配合量は、特に制限されるものではないが、通常、組成物全量に対して0.01〜5質量%配合するのが好適であり、より好ましくは0.1〜5質量%、最も好ましくは0.3〜3質量%である。少なすぎるとごわつき改善効果が発現されない場合があり、多すぎると組成物の粘度が高くなるなどの問題が生じる場合がある。
【0038】
[任意成分:非イオン性界面活性剤]
さらに本発明には、液体柔軟剤組成物を長期間保存経日しても安定なエマルジョン状態を保持するため、上記成分に加えて、非イオン性界面活性剤を用いることができ、下記一般式で表される非イオン性界面活性剤が好ましい。
5−T−[(R2O)p−H]q
(式中、R5:炭素数10〜20の炭化水素基、好ましくは12〜18のアルキル基又はアルケニル基であり、R2:炭素数2又は3のアルキレン基、好ましくはエチレン基。p:平均付加モル数であり2〜100、好ましくは5〜70の整数である。Tは−O−、−N−、−NH−、−N(C24OH)−、−CON−、−CONH−又はCON(C24OH)−であり、Tが−O−、−NH−、−N(C24OH)−、−CONH−、又は−CON(C24OH)−の場合は、qは1であり、Tが−N−又は−CON−の場合は、qは2である。)
【0039】
上記一般式の化合物の具体例として、下記一般式で表される化合物を挙げることができる。
5−O−(C24O)r−H
(式中、R5は前記と同じ意味であり、rは平均付加モル数であり2〜100、好ましくは5〜70の整数である。
5−O−(C24O)s(C36O)t−R6
(式中、R5:前記と同じ意味、s,t:平均付加モル数で、sは2〜100、好ましくは5〜70の数であり、t:1〜5、好ましくは1〜3、の数である。(C24O)と(C36O)はランダム付加体又はブロック付加体であってもよい。R6:Hもしくは炭素数1〜3のアルキル基。)
例えば、炭素数12〜18のアルキル基又はアルケニル基を1つ以上有するポリオキシエチレンアルキルエーテルが好ましく、オキシエチレン基が平均30〜70モル付加されたものが特に好ましい。
【0040】
非イオン性活性剤を含有することにより、保存安定性が一層向上するので好ましい。その配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜15質量%とするのが好ましく、特に0.5〜10質量%、更に1〜5質量%が好ましい。このような配合量とすることにより、保存安定性の向上効果を十分なものとすることができ、且つ、効果が飽和に達した際の余分な添加を抑えて経済性を図ることが可能となり、さらに柔軟処理時の余分な泡立ちを抑制する点からも、好ましい。
【0041】
本発明組成物はさらに、通常液体柔軟剤組成物に含まれるその他の成分を含有することができる。具体的には、水、水溶性溶剤、無機又は有機の水溶性塩類、香料、酸化防止剤、抗菌剤、染料、消泡剤、消臭剤、スキンケア成分などを含有することができる。
【0042】
[任意成分:水]
本発明組成物は、好ましくは水性組成物であり、使用水としては、水道水、イオン交換水、純水、蒸留水など、いずれも用いることができるが、水中に微量に存在するカルシウム、マグネシウムなどの硬度成分や鉄などの重金属を除去した水が好ましく、コストも考慮してイオン交換水が最も好ましい。
【0043】
[任意成分:水溶性溶剤]
一方、(A)成分のハンドリング性を向上させるためや、高級アルコールやシリコーン化合物などの油溶性添加剤の水性液体中への乳化分散性を向上させる等の目的で水溶性溶剤を併用することが好ましい。水溶性溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、及び下記一般式で表わされる化合物から選ばれる水溶性溶剤が好ましい。
7−O−(C24O)y−(C36O)z−H
(式中、R7は、炭素数1〜8、好ましくは2〜6のアルキル基又はアルケニル基である。y及びzは平均付加モル数であり、yは2〜20、好ましくは2〜10、zは0〜5、好ましくは0〜3の数を示す。)
中でも好ましい例としては、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチルカルビトール、ジエチレングリコールモノプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
【0044】
これらの成分の配合量は、組成物の全質量を基準として、0.1〜30質量%とするのがよく、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%とすることができる。
【0045】
[任意成分:香料組成物]
香料としては特に限定されないが、使用できる香料原料のリストは、様々な文献、例えば「Perfume and Flavor Chemicals 」,Vol.Iand II,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994)および「合成香料 化学と商品知識」、印藤元一著、化学工業日報社(1996)および「Perfume and Flavor Materials of Natural Origin 」,Steffen Arctander,Allured Pub.Co.(1994 )および「香りの百科」、日本香料協会編、朝倉書店(1989)および「Perfumery Material Performance V.3.3」,Boelens Aroma Chemical Information Service(1996)および「Flower oils and Floral Compounds In Perfumery」,Danute Lajaujis Anonis,Allured Pub.Co.(1993)等に記載されており、それぞれを引用することにより、本明細書の開示の一部とする。
【0046】
[任意成分:酸化防止剤]
本発明では、組成物の香いや色調の安定性を向上するため、酸化防止剤を添加することができる。酸化防止剤としては、一般に知られている天然系酸化防止剤、合成系酸化防止剤ともに使用できる。具体的には、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、没食子酸プロピルの混合物、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、BHA(ブチル化ヒドロキシアニソール)、没食子酸プロピル、及びクエン酸の混合物、ハイドロキノン、三級ブチルハイドロキノン、天然のトコフェロール系化合物、没食子酸の長鎖エステル(C8〜C22)、例えば没食子酸ドデシル、チバスペシャルティケミカル社から入手可能なイルガノックス系化合物、クエン酸及び/またはクエン酸イソプロピル、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(エチドロン酸)、4,5−ジヒドロキシ−m−ベンゼンスルホン酸/ナトリウム塩、ジメトキシフェノール、カテコール、メトキシフェノール、カロチノイド、フラン類、アミノ酸類等が挙げられる。
この中で、液体柔軟剤組成物の外観や保存安定性の観点から、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)、メトキシフェノール、トコフェロール系化合物等が好ましい。
酸化防止剤の配合量は、0.01〜1質量%の範囲で使用されることが好ましい。
【0047】
[任意成分:防腐剤]
防腐剤は、主として液体柔軟剤組成物の長期保存中の防腐性を保つために使用し、具体的には、イソチアゾロン系の有機硫黄化合物、ベンズイソチアゾロン系の有機硫黄化合物、安息香酸類、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオールなどが挙げられる。イソチアゾロン系の有機硫黄化合物の例としては、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−ブチル−3−イソチアゾロン、2−ベンジル−3−イソチアゾロン、2−フェニル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4,5−ジクロロイソチアゾロン、5−クロロ−2−メチル−3−イソチアゾロン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、およびそれらの混合物があげられる。より好ましい防腐・殺菌剤は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物であり、さらに好ましくは約77%の5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンと約23%の2−メチル-4−イソチアゾリン−3−オンとの水溶性混合物である。また、ベンズイソチアゾリン系の有機硫黄化合物の例としては、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4,5−トリメチレン−4−イソチアゾリン−3−オンなどがあげられ、類縁化合物としてジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)なども使用できそれらを任意の混合比で使用することができる。このうち1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンが特に好ましい。安息香酸類の例としては、安息香酸又はその塩、パラヒドロキシ安息香酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができ、防腐剤の配合量は、組成物全体に対して、0.0001〜1質量%である。
【0048】
[任意成分:染料]
染料の添加は任意であり、添加するとしても特に限定されない。染料を添加する場合は、添加の容易さから水溶性染料が好ましく、中でも酸性染料、直接染料から選ばれる水溶性染料の1種又は2種以上であることが好ましい。添加できる染料の具体例は、例えば染料便覧(有機合成化学協会編,昭和45年7月20日発行,丸善(株))、染料ノート第22版((株)色染社)、法定色素ハンドブック(日本化粧品工業連合会編、1988年11月28日発行、(株)薬事日報社)等に記載されている。染料の配合量は、組成物の全質量を基準として、好ましくは0.01〜50ppm、より好ましくは0.1〜30ppmとすることができる。このような配合量とすることにより、液体柔軟剤組成物に着色された色が非常に薄くなるのを防止でき、着色効果を充分なものとすることができる一方で、液体柔軟剤組成物に着色された色が濃くなりすぎるのを防止できる。
【0049】
[任意成分:消泡剤]
消泡剤としては、例えば、シリカ等の微粉を含有するジメチルシリコーン等のシリコーン系消泡剤、アルコール系消泡剤、エステル系消泡剤、鉱油系消泡剤、植物油系消泡剤、及び合成油系消泡剤等が挙げられる。シリコーン系消泡剤としては、オイル型消泡剤、コンパウンド型消泡剤、自己乳化型消泡剤、エマルション型消泡剤、粉末型消泡剤及び固形型消泡剤等が挙げられ、この中でも、自己乳化型消泡剤及びエマルション型消泡剤が好ましい。消泡剤の配合量は特に限定されないが、組成物の全質量を基準として、0.1ppm〜1質量%とすることができ、さらに好ましくは1ppm〜0.05質量%とすることができる。
[任意成分:粘度調製剤]
粘度調整剤として、食塩、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム等の水溶性塩、リン酸カリウム、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、酢酸カルシウム、リン酸2水素カルシウム、硫化マグネシウム、グルコン酸カルシウム、パンテトン酸カルシウム、サッカリン酸カルシウム、グルコン酸乳酸カルシウム、ホウ酸、硫酸ナトリウム、クメンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。中でも好ましい例としては、乳酸カルシウム、プロピオン酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが挙げられ、特に好ましい例としては、塩化カルシウム、塩化マグネシウムが挙げられる。
これらの成分の配合量は、組成物の全質量を基準として、0.05〜10質量%とするのがよく、好ましくは、0.1〜5質量%とすることができる。
[任意成分:その他添加成分]
その他の添加剤として流動パラフィン、高級アルコールなどの油剤、尿素、炭化水素、非イオン性セルロース誘導体、蛍光増白剤、pH調整剤等が挙げられる。
【0050】
[対象とする繊維製品]
本発明の組成物を使用する対象の繊維製品としては、特に限定はされないが、例えば、タオル、スポーツウエア、Tシャツ、ポロシャツ、ブラウス、チノパン、スーツ、スラックス、スカート、等が挙げられる。また、対象とする繊維製品の素材も、特に限定はされないが、例えば、綿、ウール、麻等の天然繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、テンセル、ポリノジック等の再生繊維及びこれら各種繊維の混紡品、混織品、混編品等が挙げられる。
【0051】
[物性:pH、粘度]
<pH>
本発明の柔軟剤組成物のpHは特に限定されないが、保存経日に伴う(A)成分の分子中に含まれるエステル基の加水分解を抑制する目的で、pHを1〜6の範囲に調整することが好ましく、2〜4の範囲であることがより好ましい。pH調整には、塩酸、硫酸、リン酸、アルキル硫酸、安息香酸、パラトルエンスルホン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、グリコール酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等の短鎖アミン化合物、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩などのpH調整剤を用いることができる。
【0052】
<粘度>
本発明の液体柔軟剤組成物の粘度は特に限定されないが、容器からの排出性、洗濯機への投入の際のハンドリング性等の点から、1000mPa・s(B型粘度計、TOKIMEC社製、25℃、以下同様)以下であることが好ましい。保存経日による粘度上昇を考慮すると、配合直後の粘度は10〜500mPa・sであるのがより好ましく、20〜200mPa・sであるのがさらに好ましい。このような範囲にあると、前記の使用性が良好であるので好ましい。本発明の液体柔軟剤組成物の粘度をコントロールする目的で、無機又は有機の水溶性塩類を用いることができる。具体的には、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、p−トルエンスルホン酸ナトリウム等を用いることができるが、中でも塩化カルシウム、塩化マグネシウムが好ましい。これらの水溶性塩類は液体柔軟剤組成物中に0〜1%程度配合でき、液体柔軟剤組成物製造のどの工程で配合しても構わない。
【実施例】
【0053】
[液体柔軟剤組成物の調製]
実施例及び比較例の組成物を調製するのに用いた成分を以下に示す。
















【0054】
【表1】

【0055】
【表2】








【0056】
【表3】

【0057】
*1:c−1の合成方法と分析性状
ステアリン酸(日本油脂製NAA-180)727.7gと、トリエタノールアミン(日本触媒製)955.2g(トリエタノールアミン:ステアリン酸のモル比=1.0:0.4) とを、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた3L容4つ口フラスコに仕込んだ。
次に、窒素を1L/min の速度で流入させて、副生する水を系外に留出させながら、190 ℃ まで昇温した。190℃で5時間反応させ、トリエタノールアミン脂肪酸エステル混合物を調製した。この混合物を薄膜蒸発器(ライボルト製)を用いて、120℃、1.33Pa(0.01Torr)にて蒸留し、トリエタノールアミンを留去した。
得られたボトム液を再度薄膜蒸発器を用いて、170℃、0.133Pa(0.001Torr)で蒸留し、得られた留出液をさらに薄膜蒸発器を用いて、125℃、0.133Pa(0.001Torr)で蒸留した。得られたボトム液をHPLCにて分析すると、トリエタノールアミン脂肪酸エステルのモノ長鎖エステル体96.3%、ジ長鎖エステル体3.7%であった。
このモノ体含量が高いエステルアミン64.9gを攪拌器、冷却器、温度計を備えた300mLの4つ口フラスコに仕込んだ。撹拌しながら80℃に昇温した後、ジメチル硫酸(関東化学製、1級)18.9gを30minかけて滴下し、110℃で6h熟成して、硫酸エステルベタイン(モノ長鎖エステル体リッチ品)を得た。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)にてベタイン含量を分析すると、93.0%であった。90℃に冷却後、エタノール(関東化学製、1級)14.8gを添加し、固形分85%に調整した。なお、ベタイン中の[モノ長鎖エステル体:ジ長鎖エステル体]質量比=96.6:3.4であった。
【0058】
[HPLCによるベタインの分析条件]
試料約0.1gをメタノール約20mLに溶解させ、以下の分析条件でHPLCにて分析し、含有量を測定した。
<分析条件>
・カラム: Nucleosil 5SB(4.6φ ×250mm)
・溶離液:0.4 % − 過塩素酸ナトリウム/メタノール /水(80/20)混合溶液、
・流速: 0.7mL/min、
・検出器:示差屈折計
・試料注入量: 20 μL
【0059】
*2:c−2の合成方法と分析性状
ステアリン酸(日本油脂製NAA-180)637.8gと、トリエタノールアミン(日本触媒製)334.8g(トリエタノールアミン:ステアリン酸のモル比=1.0:1.0) とを、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた2L容4つ口フラスコに仕込んだ。
次に、窒素を1L/min の速度で流入させて、副生する水を系外に留出させながら、190 ℃ まで昇温した。190℃で4時間反応させ、トリエタノールアミン脂肪酸エステル混合物を調製した。この混合物を薄膜蒸発器(ライボルト製)を用いて、120℃、1.33Pa(0.01Torr)にて蒸留し、トリエタノールアミンおよびトリエタノールアミン脂肪酸エステルのモノ体を留去した。得られたボトム液を、再度薄膜蒸発器を用いて、170℃、0.133Pa(0.001Torr)で蒸留し、モノエステル体を留去した。さらに、得られたボトム液を同様に、再度蒸留した。得られたボトム液をHPLCにて分析すると、トリエタノールアミン脂肪酸エステルのモノ長鎖エステル体3.7%、ジ長鎖エステル体93.6%、トリ長鎖エステル体2.7%であった。
このジ長鎖エステル体含量が高いエステルアミン120.5gを攪拌器、冷却器、温度計を備えた300mLの4つ口フラスコに仕込んだ。撹拌しながら80℃に昇温した後、ジメチル硫酸(関東化学製、1級)22.2gを30minかけて滴下し、110℃で8h熟成し、硫酸エステルベタイン(ジ長鎖エステル体リッチ品)を得た。HPLCにてベタイン含量を分析すると、87.7%であった。90℃に冷却後、エタノール(関東化学製、1級)25.2gを添加し、固形分85%に調整した。なお、ベタイン中の[モノ長鎖エステル体:ジ長鎖エステル体]質量比=4.2:95.8であった。
【0060】
*3:c−3の合成方法と分析性状
ステアリン酸(日本油脂製NAA-180)712.5gと、メチルジエタノールアミン(関東化学製)736.5g(メチルジエタノールアミン:ステアリン酸のモル比=1.0:0.4) とを、攪拌器、分縮器、冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた2L容4つ口フラスコに仕込んだ。
次に、窒素を1L/min の速度で流入させて、副生する水を系外に留出させながら、190 ℃ まで昇温した。190℃で5時間反応させ、メチルジエタノールアミン脂肪酸エステル混合物を調製した。この混合物を薄膜蒸発器(ライボルト製)を用いて、120℃、1.33Pa(0.01Torr)にて蒸留し、メチルジエタノールアミンを留去した。得られたボトム液を再度、薄膜蒸発器を用いて、170℃、0.133Pa(0.001Torr)で蒸留し、得られた留出液をさらに薄膜蒸発器を用いて、125℃、0.133Pa(0.001Torr)で蒸留した。
得られたボトム液をHPLCにて分析すると、メチルジエタノールアミン脂肪酸エステルのモノ長鎖エステル体96.8%、ジ長鎖エステル体3.2%であった。
このモノ長鎖エステル体含量が高いエステルアミン71.5gを攪拌器、冷却器、温度計を備えた300mLの4つ口フラスコに仕込んだ。撹拌しながら80℃に昇温した後、ジメチル硫酸(関東化学製、1級)22.8gを30minかけて滴下し、110℃で6h熟成し、硫酸エステルベタイン(ジメチル型モノ体リッチ品)を得た。HPLCにてベタイン含量を分析すると、92.1%であった。90℃に冷却後エタノール(関東化学製、1級)16.6gを添加し、固形分85%に調整した。なお、ベタイン中の[モノ長鎖エステル体:ジ長鎖エステル体]質量比=97.1:2.9であった。
【0061】
【表4】



































【0062】
【表5】

【0063】
[任意成分:その他]
・粘度調整剤:塩化カルシウム(トクヤマ製)、乳酸カルシウム(キューピー醸造製)。
・水溶性溶剤:エチレングリコール(三菱化学製)、エタノール(95%合成未変性エタノール、日本合成アルコール製)。
・抗菌剤:イソチアゾロン液(Roam & Haas社製、ケーソンCG/ICP)、2-ブロモ-2-ニトロ-1,3-プロパンジオール(BASF社製、Protectol BN)。
【0064】
下記の配合方法に従って、表6に示す実施例1〜15及び比較例1〜4の組成物各1,000gを調製して、評価に供した。
【0065】
<配合方法>
液体柔軟剤組成物は、内径100mm、高さ150mmのガラス容器と、攪拌機(アジターSJ型、島津製作所製)を用い、次の手順により調製した。まず、(A)成分、(C)成分、エタノール及び香料を混合攪拌して、油相混合物を得た。一方、塩化カルシウム、エチレングリコール及びイソチアゾロン液をバランス用精製水に溶解させて水相混合物を得た。ここで、水相混合物を調製するためのバランス用イオン交換水の質量は、990gから油相混合物と塩化カルシウム、エチレングリコール及びイソチアゾロン液の合計質量を差し引いた残部に相当する。次に、(A)成分の融点以上に加温した油相混合物をガラス容器に収納して攪拌しながら、(A)成分の融点以上に加温した水相混合物を2度に分割して添加し、攪拌した。ここで、水相混合物の分割比率は35:65(質量比)とし、攪拌は回転速度1,000rpmで、1回目の水相混合物添加後に3分間、2回目の水相混合物添加後に2分間行った。しかる後、(B)成分を添加し、攪拌した。必要に応じて、塩酸(試薬1mol/L、関東化学)、または水酸化ナトリウム(試薬1mol/L、関東化学)を適量添加してpH2.5に調整し、更に全体質量が1,000gになるようにイオン交換水を添加して、目的の液体柔軟剤組成物を得た。
【0066】
[柔軟仕上げ処理及び評価方法]
(1)評価用綿タオルの前処理方法
市販の綿タオル(東進社製)を市販洗剤「トップ」(ライオン社製)により二槽式洗濯機(三菱電機製CW-C30A1-H)を用い、下記の条件で3回処理することにより前処理を行なった。
・前処理条件;洗剤(標準使用量)20g/30L水、浴比30倍、45℃の水道水、洗浄10分→注水すすぎ10分を2回)
【0067】
(2)柔軟処理方法と柔軟性の評価
前処理した綿タオル1.0kg(約15枚)を、二槽式洗濯機(三菱電機製CW-C30A1-H)を用いて、市販洗剤「トップ」(ライオン社製)で10分間洗浄し(標準使用量、標準コース、浴比30倍、25℃の水道水使用)、3分間のすすぎに続いて、すすぎ2回目に柔軟剤組成物にて3分間柔軟処理(柔軟剤6.7mL、浴比20倍、25℃の水道水使用)を行った。洗浄、すすぎの各工程間で脱水を1分間行った。その後、20℃−45%RHの恒温調湿室で乾燥させ、パネラー10人により比較例1((A)成分のみ)記載の組成物を使用して処理した綿タオルを対照として官能により一対比較評価し、供試柔軟剤組成物の柔軟性を評価した。結果を表6に示す。
<評価基準>
5点:対照より明らかに柔らかい。
4点:対照よりやや柔らかい。
3点:対照と同等。
2点:対照よりやや柔らかくない。
1点:対照より明らかに柔らかくない。
<判定基準>
パネラー10名の点数の平均をとり、以下の基準に従って判定した。商品価値上、○以上を合格とした。
◎:4.0点以上
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満
【0068】
(3)ごわつき性改善効果の評価
前処理洗浄した綿タオル1.0kg(約15枚)をさらに東芝製ドラム式洗濯機を用いて5回洗濯(自動標準コース:洗浄→すすぎ2回→脱水、5回洗濯後20℃、40%RHの条件で24時間自然乾燥)し、試験布として用いた。このようにして得た試験布を東芝製ドラム式洗濯機を用いて(自動標準コース:洗浄→すすぎ2回→脱水)、市販洗剤「トップ」(ライオン社製)で洗浄し(標準使用量、25℃の水道水使用)、すすぎ2回目に柔軟剤組成物にて柔軟処理(仕上げ剤6.7mL、25℃の水道水使用)を行った。その後、20℃、40%RHの条件で24時間自然乾燥し、以下のごわつき性の評価を行った。
比較例1((A)成分のみ)に記載の組成物を使用して処理した綿タオルを対照として専門パネラー10人による官能一対比較を行ない、以下に示す評価基準でごわつきの無さを評価した。結果を表6に示す。
<評価基準>
5点:対照より明らかにごわつきが無い。
4点:対照よりややごわつきが無い。
3点:対照と略同等のごわつきがある。
2点:対照よりややごわつきがある。
1点:対照より明らかにごわつきがある。
<判定基準>
パネラー10名の点数の平均をとり、以下の基準に従って判定した。商品価値上、○以上を合格とした。
◎:4.0点以上
○:3.0点以上4.0点未満
△:2.0点以上3.0点未満
×:2.0点未満




















【0069】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)、(B)及び(C)成分を含むことを特徴とする液体柔軟剤組成物。
(A)アミド基、エステル基及び/又はエーテル基で分断されていてもよい、炭素数10〜24の炭化水素基を分子内に1つ以上有する、3級アミン又はその中和物もしくはその4級化物又はそれらの混合物、
(B)カチオン性高分子、
(C)両性界面活性剤。
【請求項2】
(B)成分が、カチオン化セルロース及びジメチルジアリルアンモニウムクロリドの単独重合体もしくは該単量体と他の単量体との共重合体からなる群から選択される請求項1記載の液体柔軟剤組成物。
【請求項3】
(C)成分が、下記構造式(C-I)で表わされるスルホベタイン型両性界面活性剤である請求項1又は2記載の液体柔軟剤組成物。
【化1】

[式中、R1は、炭素数9〜23の直鎖又は分岐アルキル基又はアルケニル基であり、Qはエステル基又はアミド基を示し、pは1〜4の整数であり、R2は、炭素数1〜3の直鎖又は分岐アルキル基又はヒドロキシアルキル基であり、R3は、−(CH2)q−Tまたは−CH2CH(OH)CH2−Tであり、qは0〜4の整数であり、Tは、−COO-、−SO3-、−OSO3-又は−O-で示される基であり、R4は、R1−S−(CH2)p−、R2又はR3である。]
【請求項4】
(A)成分がエステル基で分断されている炭素数10〜24の炭化水素基を分子内に1〜3個含む3級アミン又はその中和物もしくはその4級化物及びそれらの混合物から成る群から選択される請求項1〜3のいずれか1項記載の液体柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2009−57656(P2009−57656A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225482(P2007−225482)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】