説明

液体検出装置及び液体検出方法

【課題】容器内の液面位置及び液体量の計測にあたり、数10〜数100mmオーダ程度の計測を可能とし、チルト発生による誤検出を抑制する。
【解決手段】内部で液体34が上下に変動する液体タンク30の上面方向外側に発光部16を配置し、液体タンク下面30Bの外側に受光部18を配置する。前記発光部16から照射された光は、液体タンク上面30Aの内側に配置されたプリズム38を通過して、一定の照射領域を有する2つのビームに分岐し、2方向から液体34に入射して受光部18に到達する。前記受光部18には、マイコン制御回路20が接続されている。前記マイコン制御回路20は、受光部18によって検出された2方向の照射光の受光強度の信号を受けて、あらかじめ相関付けた受光強度と液面位置の関係から、前記液体タンク30内の液面36の位置及び液体量を算定して出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内の液面位置及び液体量を検出するための液体検出装置及び液体検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
容器内の液体残量を検出するための技術としては、例えば、特許文献1に開示された液体収納容器がある。該特許文献1には、インクタンク内部に光源からの光を表示部に案内する導光手段を有し、インクタンク内部に収納されたインクによって導光を制御する構成が開示されている。また、下記特許文献2には、容器の上部に、投光部及び受光部を有するセンサを配置し、容器内の液面に投光部からの光を上方から斜めに照射し、容器の底部で反射した光の受光位置を捉えることで容器内の液体の残量を測定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−245637号公報
【特許文献2】実開昭48−14259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1は、光の反射/透過のメカニズムを利用しているため、測定可能エリアは、同文献第1図の符号15で示す傾斜部に限定されており、測定可能範囲は狭い。なおかつ、長距離伝送が必要であるため、指向性のある光源が必要となる。指向性を有する光源としてはLDなどが挙げられるが、これらは安価な光源であるLEDに対してコスト高となってしまう。また、前記特許文献2に記載の技術は、光の屈折メカニズムを利用しているが、チルト発生において(チルトとは、容器内の液面が容器に対して傾くことをいう)、液体面に対する光の入射角度が変化し、誤検出が大きく発生するという不都合がある。このように、上述した背景技術においては、測定可能範囲が狭い,チルト発生において誤検出が発生しやすいという課題があった。そして、これらの不具合により、液体(燃料など)の残量検出において分割能が得られず、なおかつ、モバイルシステムなどへの転用は不可能であった。
【0005】
本発明は、以上のような点に着目したもので、容器内の液面位置及び液体量の計測にあたり、数10〜数100mmオーダ程度と計測可能範囲が広く、チルトに対する誤検出の抑制が可能な液体検出装置及び液体検出方法を提供することを、その目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上面と下面を有する容器内で液面が上下に変動する液体の液面位置及び液体量の検出において、前記容器の上面方向に配置された光源から、少なくとも異なる2方向を含むように、前記容器内の液面に、一定の照射領域を有する照射光を入射させて、前記容器の下面外側に到達させ、前記容器下面の外側に配設された受光素子によって、少なくとも前記2方向の照射光を受光して受光強度を検出し、前記受光素子からの受光強度の信号を受ける処理回路によって、あらかじめ相関付けた受光強度と液面位置の関係から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力することを特徴とする。
【0007】
他の発明は、上面と下面を有する容器内で液面が上下に変動する液体の液面位置及び液体量の検出において、前記液体の上面方向に配置された光源から、少なくとも異なる2方向で前記容器内の液面に照射光を入射させて、それぞれ前記容器の下面外側に到達させ、前記容器下面の外側に配設された受光素子によって、少なくとも前記2方向の照射光を受光して、それぞれの受光位置を検出し、前記受光素子からの受光位置の信号を受ける処理回路によって、少なくとも前記2方向の照射光の相対的な受光位置から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力することを特徴とする。本発明の前記及び他の目的,特徴,利点は、以下の詳細な説明及び添付図面から明瞭になろう。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、内部で液体が上下に変動する容器の上面方向に光源を配置し、前記容器の下面外側に受光素子を配置するとともに、(1)前記光源から、少なくとも異なる2方向を含むように、前記容器内の液面に、一定の照射領域を有する照射光を入射させて、前記容器の下面外側に到達させ、前記受光素子によって、少なくとも前記2方向の照射光を受光して受光強度を検出し、前記受光素子からの受光強度の信号を受ける処理回路によって、あらかじめ相関付けた受光強度と液面位置の関係から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力することを特徴とする。あるいは、(2)前記光源から、少なくとも異なる2方向で前記容器内の液面に照射光を入射させて、それぞれ前記容器の下面外側に到達させ、前記受光素子によって、少なくとも前記2方向の照射光を受光して、それぞれの受光位置を検出し、前記受光素子からの受光位置の信号を受ける処理回路によって、少なくとも前記2方向の照射光の相対的な受光位置から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力することとした。このため、液面位置の高低にかかわらず測定が可能となり、計測可能範囲が広がり、チルトに対する誤検出の抑制も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1を示す図であり、(A)は本実施例の主要部を示す側面図,(B)は本実施例の全体構成を示す模式図である。
【図2】前記実施例1を示す図であり、(A-1)及び(B-1)は、2照射光の受光位置の間隔と液面高さの関係を示す図,(A-2)及び(B-2)は、受光素子による分割ビームの受光部分を示す平面図であり、受光位置の間隔を受光強度としてとらえるための構成を示す。
【図3】前記実施例1を示す図であり、(A-1)及び(B-1)は、チルト発生前後における2照射光の受光位置の間隔と液面高さの関係を示す図,(A-2)及び(B-2)は、受光素子による分割ビームの受光部分を示す平面図であり、受光位置の間隔を受光強度としてとらえるための構成を示す。
【図4】前記実施例1を示す図であり、(A)は受光素子の+x座標と液面高さの相関関係を示す図,(B)はチルトの発生がない場合と、チルト発生がある場合の実測及びシミュレーションによる液量と分割ビームの受光位置の間隔との関係を示す図である。
【図5】前記実施例1の応用例を示す図である。
【図6】前記実施例1の変形例を示す図である。
【図7】本発明の実施例2を示す図であり、(A)は本実施例の主要部を示す外観斜視図,(B-1)及び(B-2)は、受光素子による照射光の受光部分を示す平面図,(C-1)及び(C-2)は、本実施例の変形例を示す図である。
【図8】本発明の実施例3を示す図であり、(A)は本実施例の主要部を示す側面図,(B)は変形例を示す外観斜視図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0011】
最初に、図1〜図6を参照しながら、本発明の実施例1を説明する。本発明は、光を用いた計測手法として、従来の手法では計測が難しい数10〜数100mmオーダの広い範囲での計測が可能であって、容器内の液面位置及び液体量を検出するためのものである。上述した先行技術においては、計測可能範囲が狭い,チルト発生において誤検出が発生しやすい,という課題があったため、液体(燃料など)の残量検出において分解能が得られず、モバイルシステムなどへの転用は不可能であった。本発明では、このような不具合を鑑み、液体による光の屈折を利用して液面位置及び液体残量の検出を実現させつつ、 チルト発生時に正確に計測ができるようにビーム(照射光)を2分岐し、その分岐ビームの受光位置間隔の代用特性として受光強度を検出する方式としたものである。
【0012】
図1(A)は本実施例の主要部を示す側面図,図1(B)は本実施例の全体構成を示す模式図である。図2(A-1)及び(B-1)は、受光位置の間隔と液面高さの関係を示す図,図2(A-2)及び(B-2)は、受光素子による分割ビームの受光部分を示す平面図であり、受光位置の間隔を受光強度としてとらえるための構成を示し、図1(A)を矢印F1方向から見た図に相当する。図3(A-1)及び(B-1)は、チルト発生前後における受光素子の受光位置の間隔と液面高さの関係を示す図,図3(A-2)及び(B-2)は、受光素子による分割ビームの受光部分を示す平面図であり、受光位置の間隔を受光強度としてとらえるための構成を示す。図4(A)は受光素子の+x座標と液面高さの相関関係を示す図,(B)はチルト発生がない場合と、チルト発生がある場合の実測及びシミュレーションによる液量と分割ビームの受光位置の間隔との関係を示す図である。図5及び図6については後述する。
【0013】
本実施例の液体検出装置10は、図1(B)に示すように、上部12A及び下部12Bと、回路収納部12Cからなる略コ字状の筐体12の収納部14に、液体タンク30を収納した構成となっている。前記液体タンク30は、上面30Aと下面30Bを有しており、収納される液体34の液面36は上下に変動する。前記上面30Aには、液体34を注入・排出するための注入排出口32が設けられている。該液体タンク30は、例えば、アクリルやPPなどの光の透過が可能な透明材質により形成されている。また、本実施例では、前記上面30Aの内側に、後述する光源すなわち発光部(LED)16からの照射光を制御するためのプリズム38が設けられている。図示の例では、前記プリズム38は、2つの出射面38A,38Bを有する断面が直角二等辺三角形であって、例えば、BK7(ホウケイ酸塩クラウン光学ガラス)などにより形成されている。
【0014】
一方、前記筐体12の上部12Aは、前記液体タンク30の上面30Aの外側に位置することになり、該上部12Bの中には、発光部(光源)16としてLED(発光ダイオード)が設けられている。該発光部16は、少なくとも異なる2方向を含むように、前記液体タンク30内の液面36に入射し、一定の領域を有し、前記液体タンク30の下面30Bの外側に達する照射光を発するものである。本実施例においては、プリズム38の出射面38A,38Bから出射される2方向のビームが図示されている。また、前記筐体12の下部12Bは、前記液体タンク30の下面30Bの外側に位置しており、該下部12B内には、受光部18が配設されている。該受光部18は、前記2方向の照射光を受光して受光強度を検出するものであって、本実施例では、PD(フォトダイオード)が用いられる。また、前記受光部18は、本実施例では、1つのPDを用いており、分割されたビームの照射領域のそれぞれが、前記PDの対向する両端部にかかるような寸法,配置となっている(図1(A)のビーム領域B1及びB2参照)。更に、前記筐体12の回路収納部12Cには、I−V(電流−電圧)変換部22及びマイコン(マイクロコンピュータ)制御回路20が収納されている。前記発光部16は、マイコン制御回路20に接続され、前記受光部18は、前記I−V変換部22を介してマイコン制御回路20に接続されている。
【0015】
前記マイコン制御回路20は、前記受光部18から受光強度の信号を受けて、あらかじめ相関付けた受光強度と液面位置の関係から、前記液体タンク30内の液面36の位置及び液体量を算定して出力する処理回路である。本実施例の構成によれば、例えば、図2(A-1)に示すように、液面高さが60mmのとき,すなわち、液体34の残量が多いときには、分岐ビーム同士の間隔は狭く、図2(A-2)に示すように受光強度は大きい。一方、図2(B-1)に示すように、液面高さが10mmのとき,すなわち、液体34の残量が少ないときには、分岐ビーム同士の間隔は広くなり、図2(B-2)に示すように受光強度は小さくなる。このように受光強度と液面位置には相関関係があり、あらかじめ、各種条件ごとに相関関係を調査しておくことにより、受光強度の実測値から、液面高さを算出することが可能となる。さらに容器の底面積などから液体量を算出することが可能となる。一例を示すと、下記表1には、光源角度が45°,液体タンク30の深さが70mm,液体34の屈折率が1.3,光源として赤色LEDを使用し、空気深さHaと液面高さHsを変化させた場合の受光部18(PD)のx座標が示されており、図4(A)には、前記表1を図にしたものが示されている。図4(A)中、実線部分は、液面高さHsが60mmのときの照射光の進行を示し、他の点線は、それぞれ液面高さHsが50,40,30,20,10,0mmの場合の照射光の進行の様子を示している。
【表1】

【0016】
また、従来技術の特許文献2では、光路が一方向であったため、チルトが生じたとき照射光は液面で屈折するたびに受光位置が本来の位置から遠のいてしまっていたが、本実施例の構成によれば、2方向の照射光は、何れも上面方向から液面36に入射しているので、液面36が図3(A-1)に示す水平の状態から図3(B-1)に示すように傾斜したときに、それぞれ同じ方向に屈折するので、同じ方向に受光位置がずれる。屈折後のビーム領域B1及びB2のずれが、図3(B-2)に示されている。従って、チルト発生においても、傾斜に対しては、照射光は相殺方向に動くので、受光強度は変化せず、誤検出は発生しない。図4(B)は、チルトの発生がない場合の実測と、チルト45°(液面の傾斜が容器の上下面に対して45°傾斜する状態)発生時の実測と、チルト45°発生時における液量と受光位置の間隔の関係をプロットした図である。同図4に示すように、チルトの発生がない場合と、チルトの発生がある場合(実測及びシミュレーション)の結果が一致しており、本実施例がチルト発生により誤検出が生じないことが確認できた。
【0017】
このように、実施例1によれば、液体タンク30内で液面36が上下に変動する液体34の液面位置及び液体量の検出において、液体タンク上面30A方向外側に配置された発光部16から2方向で、液面36に一定の照射領域を有する照射光を入射させて、液体タンク下面30Bの外側に到達させる。そして、受光部18によって、前記2方向の照射光を受光して受光強度を検出し、該受光強度の信号を受けるマイコン制御回路20によって、あらかじめ相関付けた受光強度と液面位置の関係から、液体タンク30内の液面の位置及び液体残量を算定して出力することとしたので、次のような効果がある。
(1)数10〜数100mmオーダ程度の広い範囲での計測が可能となる。
(2)2方向の照射光が液面36に入射し、下面で相対位置を捉えることで、液面36が液体タンク30の上下面に対して傾斜したときでも、傾斜による液面36の測定値変動を抑え、チルト発生による誤検出を防止することができる。
(3)密閉された液体タンク30内の液面36の位置を外部から非接触で測定でき、また、液体タンク30内の液体34の光学的な液面位置から、液体残量を知ることができる。
(4)照射光が一定の領域(ビーム領域B1,B2)を有しているため、部分的な液面36の小波などの影響を受けにくく、ばらつきの少ない安定した測定値を得ることができる。
(5)光源(発光部16)からの照射光を制御する手段としてプリズム38を使用することとしたので、相対角度が安定した2方向の照射光を効率的に得ることができる。
(6)1つの受光素子(受光部18)の対向する両端部に、分岐された照射光の各照射領域がかかっており、1つの受光素子で2照射光の相対的な受光位置を反映した受光強度すなわち受光電圧を得ることができるため、コストの低減が可能である。
【0018】
<応用例>・・・次に、図5を参照して、本実施例の応用例について説明する。図5は、本実施例の液体検出装置を利用した燃料電池システム100を示すブロック図である。前記燃料電池システム100は、メタノールを燃料とするシステムであって、液体タンク30(メタノール貯蔵タンク)には、注入排出口32からメタノールが注入され、貯蔵される。該液体タンク30には、ポンプ102および燃料供給装置112を介して発電機106が接続され、該発電機106は、燃料電池システム制御モジュール110に接続されている。また、前記液体タンク30には、受光部18(残量センサ)が設けられ該受光部18には、I−V変換部22を介してマイコン制御回路20が接続され、さらに該マイコン制御回路20は前記燃料電池システム制御モジュール110内のモジュール制御回路108に接続されている。また前記燃料電池システム制御モジュール110は、燃料供給装置112および表示装置104に接続されている。燃料電池システム制御モジュール110はモジュール制御回路108においてマイコン制御回路20からメタノールの残量の情報を得て、表示装置104に残量表示をするよう指令を出す。また発電機106からの発電電圧情報に応じて、燃料供給装置112に対して、液体タンク30内のメタノールが安定的に発電機106に供給されるように指令を出す。
【0019】
<変形例>・・・次に、図6を参照しながら、本実施例の変形例について説明する。前記図1に示した例では、照射光制御手段としてプリズム38を用いることとしたが、他の照射光制御手段を利用することも可能である。例えば、図6(A)に示す液体検出装置50では、液体タンク上面30Aの外側に、開口部54を有する遮光板52を配置することにより、照射光が2方向から液面36に入射する構成となっている。また、図6(B)に示す液体検出装置60は、発光部16からの照射光の向きを制御する手段として、反射板62A及び62Bと、遮光板62Cを用いた例である。また、図6(C)に示す液体検出装置70は、液体タンク上面30Aの中央部からずれて配置された発光部16から、光ファイバ72A及び72Bを介して液体タンク上面30Aの所定位置に光を導くことで、照射光が2方向から液面36に入射する構成となっている。前記図6(A)〜(C)のいずれの構成とした場合であっても、上述した液体検出装置10と同様の効果が得られる。
【実施例2】
【0020】
次に、図7を参照しながら本発明の実施例2を説明する。上述した実施例では、照射光を2方向から液面36に入射させる構成としたが、本発明は、2方向からの入射のみに限定されるものではなく、少なくとも2方向から入射される照射光を利用する構成であればよい。本実施例では、多数の方向から照射光を入射させるようにした例であって、図7(A)には本実施例の主要部を示す外観斜視図が示され、(B-1)及び(B-2)には、受光素子による照射光の受光部分を示す平面図が示され、(C-1)及び(C-2)には、本実施例の変形例が示されている。なお、上述した実施例1と同一ないし対応する構成要素には、同一の符号を用いることとする(以下の実施例についても同様)。
【0021】
図7(A)に示すように、本実施例の液体検出装置80は、液体タンク30の上面方向外側に配置された光源すなわち発光部16から照射された光が、照射光制御手段を介することなく、拡散光として一定の領域を持ち多方向から液体タンク30内部の液面36に入射している(図7(A)には、照射光のうち4方向のビームのみを図示)。照射光を多方向から入射させることにより、受光領域の外周は、円形に近似することとなる。従って、本実施例では、受光部18Cとして、ビーム領域B3の外周部よりも外径が小さい受光素子(PD)を用い、受光素子をビーム領域が覆うように配置される。前記受光部18Cには、前記実施例1と同様のマイコン制御回路20が接続されている(図示せず)。本実施例においては、受光電圧が大きいときは、図7(B-1)に示すように、ビーム領域B3の面積が狭くなるときで、受光電圧が小さいときは、図7(B-2)に示すように、ビーム領域B3の面積が広がるときである。従って、液面36の上下を、受光強度すなわち受光電圧で捉えることができ、また、液面36が傾斜したときに、その影響を相殺するように軽減することが可能となる。
【0022】
本実施例の基本的な効果は上述した実施例1と同様であるが、本実施例では、照射光制御手段を利用していないため、プリズム38などの部品を省くことができる。また、部分的な液面36の小波などの影響を受けずに、安定して測定値を得ることが可能となる。更に、発光部16からの照射光の角度調整や、受光部18の位置調整などの調整が容易であり、これらに起因する測定ばらつきが少なくなり、より正確に安定した測定値を得ることができる。なお、本実施例では、液面36の位置にかかわらず常に受光している中央部の光は、電圧変動を見るのに不要であるため、図7(C-1)に示す例のように、ビーム領域B4がリング状となるように、鉛直下方の照射光を遮光する図示しない照射光制御手段を設けてもよい。あるいは、図7(C-2)に示す例のように、リング状の受光部18Dを利用してもよい。
【実施例3】
【0023】
次に、図8を参照しながら、本発明の実施例3を説明する。図8(A)は、本実施例の主要部を示す側面図,図8(B)は本実施例の変形例の主要部を示す外観斜視図である。上述した実施例1及び2においては、照射光は、所定の領域を有し、少なくとも2方向を含むように液体タンク30内の液体34の液面36に入射する構成としたが、本実施例は、照射光がスポット状の場合の構成を示している。まず、図8(A)に示す液体検出装置150では、液体タンク下面30A側に配置される受光部(図示の例ではPSD:光位置センサを使用)152A,152Bは、前記実施例1と同様にプリズム38によって2方向に分岐し、液体34を通過したビームをそれぞれ受光するものであって、2つの相対的な受光位置(電圧信号)を捉えるように配設されている。本実施例では、前記受光部152A,152Bにより受光される照射光のビーム領域B5,B6は、スポット状である。また、前記受光部152A,152Bは、図示しない処理回路に接続されており、該処理回路においては、前記受光部152A,152Bからの受光位置の信号を受けて、前記2方向の照射光の相対的な受光位置から、液体タンク30内の液面36の位置及び液体量が算定され出力される。
【0024】
本実施例においても、数10〜数100mmオーダでの広い範囲での計測が可能である点と、チルト発生による誤検出防止,及び、密閉された液体タンク30内の液面36の位置及び残量の検出が可能な点は、上述した実施例1と同様である。また、プリズム38を用いた場合に照射光を効率的に利用可能となる点も同様である。なお、本実施例においても、少なくとも2方向から液面36に照射光が入射する構成であればよく、図8(B)には、4方向から入射させることとした液体検出装置160が示されている。該液体検出装置160においては、プリズム38に代えて、液体タンク上面30Aの外側上方に、4つの開口部164を有する遮光板162を設けることで、所望の4方向から照射光が液面36に入射する構成となっている。また、液体タンク下面30Bの外側下方には、4方向に分岐した照射光のそれぞれを受ける受光部166A〜166Dが配置されており、これら受光部166A〜166Dにおけるビーム領域B7〜B10は、スポット状である。本実施例においても、前記実施例1と同様に、プリズム38や遮光板162以外の照射光制御手段を利用してもよい。
【0025】
なお、本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることができる。例えば、以下のものも含まれる。
(1)前記実施例における形状,寸法は一例であり、必要に応じて適宜変更してよい。
(2)前記実施例における各部を構成する材料についても、同様の効果を奏する範囲内において変更可能である。
(3)前記実施例1及び実施例3で示した照射光制御手段も一例であり、同様の効果を奏するものであれば、他の照射光制御手段を用いてもよい。また、前記実施例2に示したように、前記照射光制御手段は、必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設けるようにすればよい。
(4)前記実施例で示した発光部16の配置も一例であり、例えば、図9に示す液体検出装置170のように、液体タンク30の上面30Aの中央からずれた位置に発光部16を設ける構成としても、照射光が異なる入射角で液面36に入射すれば、前記実施例1と同様の効果を得ることができる。
(5)発光部や受光部は容器内部に配置してもよい。照射光が容器を透過する際に弱まることがないので、照射光を効率よく利用することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、内部で液体が上下に変動する容器の上面方向に光源を配置し、前記容器の下面外側に受光素子を配置するとともに、(1)前記光源から、少なくとも異なる2方向を含むように、前記容器内の液面に、一定の照射領域を有する照射光を入射させて、前記容器の下面外側に到達させ、前記受光素子によって、少なくとも前記2方向の照射光を受光して受光強度を検出し、前記受光素子からの受光強度の信号を受ける処理回路によって、あらかじめ相関付けた受光強度と液面位置の関係から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力することを特徴とする。あるいは、(2)前記光源から、少なくとも異なる2方向で前記容器内の液面に照射光を入射させて、それぞれ前記容器の下面外側に到達させ、前記受光素子によって、少なくとも前記2方向の照射光を受光して、それぞれの受光位置を検出し、前記受光素子からの受光位置の信号を受ける処理回路によって、少なくとも前記2方向の照射光の相対的な受光位置から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力することとした。このため、計測可能範囲が広がり、チルトに対する誤検出の抑制も可能となるため、容器内の液体の液面位置及び液体量の検出の用途に適用できる。特に、モバイル用電子機器の液体燃料容器の用途などに好適である。
【符号の説明】
【0027】
10:液体検出装置
12:筐体
12A:上部
12B:下部
12C:回路収納部
14:収納部
16:発光部(LED)
18,18A〜18D:受光部(PD)
20:マイコン制御回路
22:I−V変換部
30:液体タンク
30A:上面
30B:下面
32:注入排出口
34:液体
36:液面
38:プリズム
38A,38B:出射面
50,60,70:液体検出装置
52:遮光板
54:開口部
62A,62B:反射板
62C:遮光板
72A,72B:光ファイバ
80:液体検出装置
100:燃料電池システム
102:ポンプ
104:表示装置
106:発電機
108:モジュール制御回路
110:燃料電池システム制御モジュール
112:燃料供給装置
150:液体検出装置
152A,152B:受光部(PSD)
160:液体検出装置
162:遮光板
164:開口部
166A〜166D:受光部(PSD)
170:液体検出装置
B1〜B10:ビーム領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面と下面を有し、液面が上下に変動する液体を入れるための容器と、
該容器の上面方向に配置され、少なくとも異なる2方向を含むように前記容器内の液面に入射し、一定の領域を有し、前記容器の下面外側に達する照射光を発する光源と、
少なくとも前記2方向の照射光を受光して受光強度を検出するように、前記容器下面の外側に配設された受光素子と、
該受光素子から受光強度の信号を受けて、あらかじめ相関付けた受光強度と液面位置の関係から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力する処理回路と、
からなる液体検出装置。
【請求項2】
前記光源から照射される2方向以上の照射光の照射領域のそれぞれが、1つの受光素子の対向する両端部及び/又は周縁部にかかることを特徴とする請求項1記載の液体検出装置。
【請求項3】
上面と下面を有し、液体が上下に変動する液体を入れるための容器と、
該容器の上面方向に配設され、少なくとも異なる2方向から前記容器内の液面に入射し、それぞれ前記容器の下面外側に達する照射光を発する光源と、
少なくとも前記2方向の照射光を受光してそれぞれの受光位置を検出するように、前記容器下面外側に配設された受光素子と、
該受光素子から受光位置の信号を受けて、少なくとも前記2方向の照射光の相対的な受光位置から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力する処理回路と、
からなる液体検出装置。
【請求項4】
前記光源から液面へ照射する照射光を制御する照射光制御手段を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液体検出装置。
【請求項5】
前記照射光制御手段として、プリズムを利用したことを特徴とする請求項4記載の液体検出装置。
【請求項6】
上面と下面を有する容器内で液面が上下に変動する液体の液面位置及び液体量を検出する液体検出方法であって、
前記容器の上面方向に配置された光源から、少なくとも異なる2方向を含むように、前記容器内の液面に、一定の照射領域を有する照射光を入射させて、前記容器の下面外側に到達させるステップと、
前記容器下面の外側に配設された受光素子によって、少なくとも前記2方向の照射光を受光して受光強度を検出するステップと、
前記受光素子からの受光強度の信号を受ける処理回路によって、あらかじめ相関付けた受光強度と液面位置の関係から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力するステップと、
を含むことを特徴とする液体検出方法。
【請求項7】
上面と下面を有する容器内で液面が上下に変動する液体の液面位置及び液体量を検出する液体検出方法であって、
前記液体の上面方向に配置された光源から、少なくとも異なる2方向で前記容器内の液面に照射光を入射させて、それぞれ前記容器の下面外側に到達させるステップと、
前記容器下面の外側に配設された受光素子によって、少なくとも前記2方向の照射光を受光して、それぞれの受光位置を検出するステップと、
前記受光素子からの受光位置の信号を受ける処理回路によって、少なくとも前記2方向の照射光の相対的な受光位置から、前記容器内の液面の位置及び液体量を算定して出力するステップと、
を含むことを特徴とする液体検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−141209(P2012−141209A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−293947(P2010−293947)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】