説明

液体漂白剤組成物

【課題】泥汚れに対する向上した洗浄力を有する液体漂白剤組成物の提供。
【解決手段】以下を含む液体漂白剤組成物:A)過酸化水素、B)ホスホン酸系金属捕捉剤、C)下記式(I)で表される溶剤:


D)下記構造式(II)で表される構成単位を有した、重量平均分子量が10,000〜40,000である高分子化合物:


・・・(II) (Xは、O又はCHCOO)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白剤組成物、特に衣類等に付着した泥汚れを落とす洗浄の際に使用する液体漂白剤組成物の発明に関する。
【背景技術】
【0002】
泥汚れは、洗濯用洗剤のみを用いた通常の洗浄では落としにくく、特に繊維のように形状が複雑な部分に付いた泥汚れを落とすのは非常に困難である。そこで、泥汚れを除去することを目的とする洗浄の場合、洗浄を補助するための組成物、特に漂白剤組成物を使用することや、いくつかの洗浄方法を組み合わせた洗浄を適用することが検討されている。
このような漂白剤組成物及び洗浄方法については、例えば特許文献1に、洗剤を用いて洗浄する前に泥汚れに塗布する液体漂白剤組成物が提案されており、また、特許文献2に、特定の有機酸と特定のアニオン界面活性剤とを含む泥汚れ用浸漬洗浄剤組成物で洗浄した後、石鹸含有洗浄剤組成物で洗浄する方法などが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開2002−80895号公報
【特許文献2】特開2004−292576号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記漂白剤組成物及び洗浄方法を用いた場合においても、泥汚れを完全に落とすことは困難であり、泥汚れに対するさらなる洗浄力を有する組成物が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、特定配合の漂白剤組成物が、泥汚れに対する洗浄力を向上させることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下を含む液体漂白剤組成物に関する:
A)過酸化水素、
B)ホスホン酸系金属捕捉剤、
C)下記式(I)で表される溶剤:
【化1】

(式中、R1はH又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキル基、Phはフェニル基、R2は炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基を意味し、mは1又は2であり、nは1〜4であり、m=2である場合にはnは同一又は異なる数値であることができる)
D)下記構造式(II)で表される構成単位を有した、重量平均分子量が10,000〜40,000である高分子化合物:
【化2】

・・・(II)
(Xは、O-又はCH2COO-)。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、泥汚れに対する洗浄力を向上する液体漂白剤組成物を提供する。前記液体漂白剤組成物は洗浄補助剤として使用することが可能であり、特にこれを用いて洗浄前の被洗物を前処理し又は被洗物の洗浄中に添加して、洗浄剤組成物とともに被洗物を洗浄することにより、優れた泥汚れ洗浄力を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
液体漂白剤組成物
本発明の液体漂白剤組成物は、前記A〜D成分を必須成分として含み、及び必要に応じてその他液体漂白剤組成物に用いることが可能ないかなる添加剤も添加することができる。以下に、液体漂白剤組成物の各成分及びその配合量について、詳細に説明する。
【0008】
A成分
A成分は、過酸化水素である。本発明の漂白剤組成物に対して、過酸化水素を配合することにより、洗浄効果、特に被洗物の汚れを落とす効果、中でも漂白効果を向上できる。本発明の漂白剤組成物に対して添加する過酸化水素は、純粋な過酸化水素であっても、過酸化水素を含む水溶液であってもよい。本発明においては、製造時の取扱性及び入手の容易性等に鑑み、過酸化水素の水溶液を使用することが好ましい。例えば三菱ガス化学(株)の35%過酸化水素等が市場から入手できる。
【0009】
B成分
B成分は、ホスホン酸系金属補足剤である。本発明の漂白剤組成物に対して、ホスホン酸系金属補足剤を配合することにより、洗浄力、特に泥汚れ中の無機物や金属イオンを補足して泥汚れの洗浄力を向上させ、加えて漂白剤組成物の保存安定性を向上できる。このようなホスホン酸系金属補足剤の具体的な例としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体又はそれらの塩が挙げられる。本発明においては、中でも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸を使用することが好ましく、特に泥汚れに含まれる金属イオンの影響を抑制する効果の点から、キレート効率の指標とされているキレート安定度定数(K)の対数値(logK)が大きい1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸を使用することが好ましい。
【0010】
C成分
C成分は、以下の式Iの構造を有する溶剤である。
【化3】

式Iで表すような溶剤を液体漂白剤組成物に対して添加することにより、液体漂白剤組成物の泥汚れに対する浸透性を向上し、ひいては泥汚れに対する洗浄力を向上させることができる。これは、C成分である上記溶剤の親水性と疎水性のバランスがとれていることによると考えられる。本発明で使用するC成分としての溶媒と比較して、使用する溶媒の親水性が高い場合、又は疎水性が高い場合には、泥汚れに対する洗浄力を確保することが困難となる傾向にある。
式Iにおいて、R1はH又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキル基を意味する。R1であるアルキル基は、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が該当する。本発明におけるR1は、特にH又はメチル基、さらに好ましくはHであることが、泥汚れ洗浄力の点から好ましい。
式Iにおいて、Phはフェニル基を意味する。
【0011】
式Iにおいて、R2は炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基を意味する。R2であるアルキレン基は、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、イソプロピレン基、イソブチレン基が該当する。本発明におけるR2は、特にエチレン基又はプロピレン基であることが、泥汚れ洗浄力の点から好ましく、更に好ましくはエチレン基である。
式Iにおいてnは1〜4であり、2〜4の範囲にあることがさらに好ましい。nを1以上とすることにより上記溶剤に親水性を付与することができる。一方nを4以下とすることにより、溶剤の親水性を過度に上げることが無く、適度な親水性を溶剤に与えることができる。従って、nの数値が上記範囲にある場合、C成分の親水性と疎水性のバランスが良好となり、結果として良好な泥汚れ洗浄力が発揮される。
式Iにおいて、mは1又は2である。mが2である時には、nは1であることが好ましい。またmが2である場合において、nの数は同一又は異なることができるが、nの数が同一であることが泥汚れ洗浄力の点から好ましい。
式Iで表される溶剤の具体的な例は、ポリオキシエチレンモノフェニルエーテル(n=1〜4、m=1)、ポリオキシプロピレンモノフェニルエーテル(n=1〜3、m=1)、1,4−ビス(2’−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(n=1、m=2)、ポリオキシプロピレンモノメチルフェニルエーテル(n=1〜3、m=1)が挙げられる。これらの中でも特に、ポリオキシエチレンモノフェニルエーテル(n=1〜4、m=1)を使用することが、泥汚れ洗浄力の観点からより好ましい。
【0012】
D成分
D成分は、以下の式IIを構成単位とする高分子化合物である。
【化4】

・・・(II)
ここで、Xは、O-又はCH2COO-を意味する。尚、D成分を供給する原料及び本発明にかかる液体漂白剤組成物に含まれる、他の材料・pH等の条件により、上記式IIの化合物が塩(例えば、Xにプロトン、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が位置して成る塩)の形態を取る場合がある。本発明におけるD成分は、このような塩の形態にある高分子化合物も含むものとする。
前記高分子の重量平均分子量は、10,000〜40,000の範囲にある。
本発明において使用するD成分は、例えばXがO-である単量体からなるINTERNATIONAL SPECIALITY PRODUCTS INC.製の「クロマボンド S−400(商品名)」(重量平均分子量24,000〜34,000)や、XがCH2COO-である単量体からなる同社の「クロマボンド S−100(商品名)」(重量平均分子量:10,000〜40,000)が挙げられる。本発明においては、洗浄力、特に泥汚れに対する洗浄力を向上させる観点から、XがO-である単量体からなるもの、例えばクロマボンド S−400(商品名)を使用することが特に好ましい。
【0013】
A、B、C及びD成分の含有量
本発明の液体漂白剤組成物の組成において、上記A〜D成分は本発明の目的を達成することを条件としていかなる配合量で配合することができる。しかしながら、本発明の目的をより良く達成するためには、上記各成分を以下の配合量で配合することがより好ましい。
A成分である過酸化水素は、液体漂白剤組成物中に、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%の範囲において含まれる。A成分の配合量を0.1質量%以上とすることにより、液体漂白剤組成物の泥汚れ除去に関する効果、特に漂白効果を発揮することができる。一方、10質量%以下とすることにより、漂白効果を保持し、かつ取扱、特に家庭における取扱の容易な液体漂白剤組成物を得ることができる。
B成分であるホスホン酸系金属補足剤は、液体漂白剤組成物中に、0.1〜10質量%、好ましくは0.2〜10質量%、さらに好ましくは0.5〜5質量%の範囲において含まれる。B成分の配合量を0.1質量%以上とすることにより、被洗物に付着した泥汚れ中の無機物や金属イオンを補足する効果が高まり、泥汚れに対する洗浄力が向上する。一方、10質量%以下とすることにより、上記B成分を添加することによる効果を保持しつつ、良好な液外観及び保存安定性を有する液体漂白剤組成物を得ることができる。
【0014】
C成分である式Iの溶剤は、液体漂白剤組成物中に、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%の範囲において含まれる。C成分の配合量を0.1質量%以上とすることにより、液体漂白剤組成物の泥汚れに対する浸透性を向上し、ひいては液体漂白剤組成物の泥汚れの洗浄力を向上できる。一方、5質量%以下とすることにより、上記C成分を添加することによる効果を保持しつつ、液体漂白剤組成物の良好な粘度を維持することが可能となる。特に、本発明の液体漂白剤組成物においては、C成分を上記範囲として粘度を適性に保つことで、前処理用の漂白剤組成物、特に洗浄前に被洗物に直接塗布する漂白剤組成物として好適に使用することができる。
D成分である高分子は、液体漂白剤組成物中に、0.1〜5質量%、好ましくは0.5〜3質量%の範囲において含まれる。D成分の配合量を0.1質量%以上とすることにより、液体漂白剤組成物の泥汚れに対する洗浄力を良好に発揮することができる。一方、5質量%以下とすることにより、上記D成分を添加することによる効果を保持しつつ、液体漂白剤組成物の良好な粘度を維持することが可能となる。
【0015】
その他添加剤
本発明の液体漂白剤組成物に対しては、本発明の目的を逸脱しない限りにおいては、漂白剤組成物に対して配合されるその他の展開剤を、特に制限無く配合することができる。
(1)界面活性剤
界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤の、漂白剤組成物に対して配合することができるいかなる界面活性剤も該当する。
アニオン性界面活性剤は、例えば直鎖若しくは分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α−オレフィンスルホン酸塩;二級アルキルスルホン酸塩;直鎖又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル塩;直鎖又は分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基を有し、平均付加モル数0.5〜8モルのオキシエチレンが付加されたアルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩;高級脂肪酸塩等が該当する。前記塩は、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。前記塩のうちでもアルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。
非イオン界面活性剤は、例えば以下の構造式にて示される非イオン界面活性剤が該当する。
3−O(R4O)n
ここで、R3は炭素数8〜16、好ましくは炭素数10〜14の直鎖又は分岐鎖を有するアルキル基又はアルケニル基である。炭素数が8以上であることにより洗浄力が良好となり、一方、炭素数が16以下であることにより溶解性が向上する。なかでも、アルキル基が好ましく、具体的にはオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基が好ましく挙げられ、ドデシル基、テトラデシル基が特に好ましい。R4Oはオキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシペンチレン基等を意味する。なかでも、オキシエチレン基、オキシプロピレン基が好ましく、オキシエチレン基が好ましい。これらの基の1又は2以上を組み合わせたものを使用することができる。nは3〜15の範囲である。上記以外にアルキル(ポリ)グリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルオキシエチレンプロピレンブロック重合体、脂肪酸モノグリセライド等を非イオン性界面活性剤として使用することができる。
カチオン界面活性剤は、例えばモノ長鎖炭化水素型第4級アンモニウム塩、ジ長鎖炭化水素型第4級アンモニウム塩等の各種第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤は、例えばカルボキシベタイン、スルホベタイン、ヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
界面活性剤を液体漂白剤組成物に対して添加する場合には、0.5〜40質量%とすることが好ましく、3〜40質量%とすることがより好ましく、8〜30質量%とすることがさらに好ましい。界面活性剤の配合量を上記範囲とすることにより保存安定性を向上し、かつさらなる洗浄力を液体漂白剤組成物に対して付与することができる。
【0016】
(2)漂白活性化剤
本発明では、漂白活性化剤として、例えばテトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等の有機過酸前駆体等を、単独又は2以上を組み合わせて使用できる。なかでも、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシ安息香酸が好ましい。漂白活性化剤を配合する場合においては、配合量を0.1〜5質量%とすることが好ましく、0.1〜2質量%とすることがより好ましい。配合量を上記範囲とすることにより、良好な洗浄力を発揮すると共に、液体漂白剤組成物の安定性を確保することが可能となる。
【0017】
(3)ラジカルトラップ剤
本発明においては、過酸化水素の分解を抑制すること等を目的として、ラジカルトラップ剤を配合することができる。ラジカルトラップ剤としては、例えば以下のようなものが挙げられる。
フェノール系ラジカルトラップ剤とは、フェノール及びフェノール誘導体であり、該フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有する化合物、フェノール性のOH基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が好ましく挙げられる。なお、置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。なかでも、フェノール性のOH基を有する化合物がより好ましい。そのなかでも、さらに好ましい化合物は、「G.E.Penketh,J.Appl.Chem」,7,512〜521頁(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)0が1.25V以下の化合物であり、特に好ましくは0.75V以下の化合物である。
上記化合物のなかでも、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が好ましく挙げられ、4−メトキシフェノールが特に好ましく挙げられる。これらラジカルトラップ剤は、1種単独又は2種以上適宜組み合わせて使用することができる。
ラジカルトラップ剤を配合する場合においては、0.01〜6質量%、より好ましくは0.05〜1質量%配合する。ラジカルトラップ剤を上記範囲で配合することにより、良好な過酸化水素分解抑制効果を発揮することができる。
【0018】
(4)ソイルリリースポリマー
本発明においては、ソイルリリースポリマーとして、アルキレンテレフタレート単位及び/又はアルキレンイソフタレート単位と、ポリオキシアルキレン単位とを有する高分子化合物(共重合体)を配合することができる。なお、重合は、ランダム重合であってもよく、ブロック重合であってもよく、なかでもブロック重合したものが好ましい。
アルキレンテレフタレートとしては、エチレンテレフタレート、プロピレンテレフタレート、ブチレンテレフタレート等、又はそれらの混合物が挙げられ、なかでもエチレンテレフタレートが好ましい。
アルキレンイソフタレートとしては、エチレンイソフタレート、プロピレンイソフタレート、ブチレンイソフタレート等、またはそれらの混合物が挙げられ、なかでもエチレンイソフタレートが好ましい。
ポリオキシアルキレンとしては、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン等が挙げられ、なかでもポリオキシエチレンが好ましい。
ソイルリリースポリマーを配合する場合においては、0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜2質量%配合される。
【0019】
(5)pH調整剤
本発明の液体漂白剤組成物は、pH調整剤を配合することができる。pH調整剤は、具体的には塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体等の有機酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アンモニアを単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。pH調整剤の添加量は、液体漂白剤組成物に求められるpHの範囲を達成するために必要とされる量を、適宜選択して配合することができる。
【0020】
(6)ハイドロトロープ剤
本発明の液体漂白剤組成物に対しては、ハイドロトロープ剤を配合することができる。前記ハイドロトロープ剤としては、具体的にはエタノール、イソプロパノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン等の多価アルコール類等を単独又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。ハイドロトロープ剤を配合する場合には、0.1〜10質量%の範囲で配合することが好ましい。
(7)無機塩類
たとえば塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を組成物の粘度、保存安定性などの物性調整を目的として、適宜添加することが可能である。
【0021】
液体漂白剤組成物の製造方法
本発明において、液体漂白剤組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、常法に準じて製造することができる。
例えば、前記A〜D成分と任意成分とを、各成分の純分換算量で所望の配合量になるように水(イオン交換水)に溶解して混合し、pH調整剤(酸性物質、アルカリ性物質)を用いて所定pHになるように調整することにより、製造することができる。
【0022】
本発明の液体漂白剤組成物
本発明の液体漂白剤組成物は、pHが2〜7の範囲にあることが、泥汚れに対する洗浄力、保存安定性等の観点から好ましい。
また、本発明の液体漂白剤組成物は、洗浄する前の被洗物に対する前処理において使用することも、被洗物を洗浄する際に添加する事も可能である。前記前処理は、液体漂白剤組成物を直接被洗物に塗布する方法や液体漂白剤組成物を含む水等に被洗物を浸漬すること等を含むが、本発明の液体漂白剤組成物については、泥汚れに対する洗浄効果の点から、被洗物に直接塗布する前処理における使用に、特に適している。
本発明の液体漂白剤組成物について、以下に具体的な例を示してさらに詳細に説明する。尚、以下の例が本発明の範囲を何ら限定しないことは言うまでもない。また、他に記載のない限り、「%」「部」と記載する場合には、それぞれ「質量%」「質量部」を意味するものとする。さらに、配合表における各原料の配合量は、全て純分である。
【実施例】
【0023】
(モデル黒土泥汚れ布の調製)
汚垢布(試験布)の調製は次のように行った。家庭園芸用ふるい通し黒土(kyotochiya製)0.5gを靴底(ダンロップモータースポーツ製・品番:RB−193)に敷き、これを綿白靴下(綿:82%、ナイロン:15%、ポリウレタン:2%、ポリエステル:1%、ユニクロ製・品番:042183)で150分着用することにより汚染した。片足当り10枚に分割した汚染布の反射率を、反射率計(日本電色社工業製 SE 2000)にて測定し、反射率が20±3以内になるように選定したものを汚染布とした。
(洗浄力の評価方法)
得られた汚垢布(モデル黒土泥汚れ布)各5枚に、以下の表1において示す各例の液体漂白剤組成物を汚垢布全体に0.12mLずつ塗布し、5分間放置した後、該汚垢布をTerg−O−Tometer機(U.S.Testing社製)内に投入し、浴比30倍で、4°DH水道水と、洗剤濃度が633ppmとなるようにJIS指標洗剤を入れた。
なお、「JIS指標洗剤」とは、JIS K 3362に規定されるような、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム15質量%、ゼオライト17質量%、珪酸ナトリウム5質量%、炭酸ナトリウム7質量%、カルボキシメチルセルロースナトリウム1質量%、硫酸ナトリウム 55質量%からなる洗剤である。
そして、120rpmで、25℃・10分間撹拌した後、二槽式洗濯機(三菱電機(株)製、品番:CW−C30A1−H1)に移し、1分間脱水した。その後、25℃での流水すすぎを2分間行い、1分間脱水をし、アイロンにより乾燥した。
次いで、乾燥後の汚垢布の反射率を、反射率計により測定し、漂白力(%)を下記数式1で表される式で算出し、該漂白力を基準として、下記評価基準に基づいてそれぞれの組成物の汚れに対する洗浄力を評価した。
なお、下記式1において、「原布」は汚染前の布を意味する。また、洗浄力の評価は、汚垢布5枚の平均値から求めた。
【数1】






【0024】
【表1】

【表2】

【0025】
*1 三菱瓦斯化学社製 35%水溶液
*2 1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(商品名 フェリオックス ライオン社製)
*3 エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸(BRIQUEST 422;オルブライトウィルソン社製)60%品
*4 フェニルポリオキシエチレンアルコール(R1:H、R2:エチレン、n=2、m=1 商品名 フェニルジグリコール 日本乳化剤社製) 90%品
*5 フェニルポリオキシエチレンアルコール(R1:H、R2:エチレン、n=4、m=1 商品名 PH−40 三洋化成工業社製) 100%品
*6 ISP社製 クロマボンドS-100 38%品
*7 ISP社製 クロマボンドS-400 38%品
*8 炭素数10〜14アルキルベンゼンスルホン酸(ライポンLH−200;ライオン社製 96%品)
*9 クラリアント社製 Hostapur SAS 30 30%品
*10 ノニオン界面活性剤(ライオン(株)製)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、Yiは、R5−O−(CH2CH2O)nav−H (1)
上記一般式(1)のノニオン界面活性剤の合計質量に対するnav−2からnav+2範囲に含まれるノニオン界面活性剤の合計質量の割合である。
Yi=84(%)、アルキル基;C12、EO平均付加モル数=5、90%品
*11 クラリアント社製 SRN−170、70%品
*12 4-メトキシフェノール(商品名 MQ−F 川口化学社製)、100%品
*13 香料成分:特開2003−268398号公報、表7〜14に記載の香料組成物D
*14 62.5%硫酸(日産化学工業社製)、25%水酸化ナトリウム(旭硝子社製)
*15 エチレングリコール (関東化学社製)99.5%品
*16 シクロヘキサノール (関東化学社製)98%品
【0026】
上記表1に示すように、本発明の範囲に属する実施例1〜8においては良好な漂白力を示しており、本発明の液体漂白剤組成物が有する、泥汚れに対する高い洗浄力を示している。
これに対して、本発明の範囲から外れる比較例1〜4においては、ある程度の漂白力は示すものの、その性能は本発明の範囲にある液体漂白剤組成物を用いた場合と比較すると低く、本発明にかかる液体漂白剤組成物の洗浄力の高さを証明する。
又、比較例5においては本発明のC成分よりもより親水性であるエチレングリコールが、及び比較例6においては本発明のC成分よりもより疎水性であるシクロヘキサノールがC成分の代わりに使用されているが、実施例と比較するといずれも漂白力が低く洗浄力に劣ることが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む液体漂白剤組成物:
A)過酸化水素、
B)ホスホン酸系金属捕捉剤、
C)下記式(I)で表される溶剤:
【化1】

(式中、R1はH又は炭素数1〜3の直鎖若しくは分岐鎖を有するアルキル基、Phはフェニル基、R2は炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖を有するアルキレン基を意味し、mは1又は2であり、nは1〜4であり、m=2である場合にはnは同一又は異なる数値であることができる)
D)下記構造式(II)で表される構成単位を有する、重量平均分子量が10,000〜40,000である高分子化合物:
【化2】

・・・(II)
(Xは、O-又はCH2COO-
【請求項2】
前記C成分のR1がH、R2がエチレン基であり、m=1、n=2〜4である、請求項1の液体漂白剤組成物。

【公開番号】特開2009−35585(P2009−35585A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198897(P2007−198897)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】