説明

液体漂白洗浄剤組成物

【課題】水系条件下でも、フタールイミドパーカルボン酸を溶解した状態で長期に渡って安定に保存でき、使用時に高い漂白性能を発現する水系漂白洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)特定のフタールイミドパーカルボン酸、(b)特定の硫酸エステル塩、及び水を含有する液体漂白洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
フタールイミドパーカルボン酸は、強い酸化力を有し、漂白剤基剤としての用途が期待されている(特許文献1及び2)。しかしながら、かかる化合物を液体漂白剤組成物の一成分として配合するという検討はいまだ十分に行なわれていない。これは、かかる化合物が、一般に、水系の組成物中では溶解度が非常に低く、また、水系の組成物中に溶解し得たとしても、安定性が非常に低くなるためである。そのため、フタールイミドパーカルボン酸を液体漂白剤組成物中に配合する技術としては、非水系(無水)組成物中に配合されたものや、水系組成物中に懸濁、分散状態で配合されたものに限られていた(特許文献3及び4)。
【特許文献1】欧州特許出願公開第325288号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第349940号明細書
【特許文献3】米国特許第6844305号明細書
【特許文献4】米国特許第4981606号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これまでのフタールイミドパーカルボン酸が配合された非水系洗浄剤組成物、又はフタールイミドパーカルボン酸が懸濁、分散状態で配合された水系洗浄剤組成物は、水(特に低温の水)に溶解し難く、充分な漂白性能を発揮できないという問題点があった。また非水系洗浄剤組成物は、各種有機溶剤を高濃度で含有させる必要があるため、高コストとなり、安全性の面からも問題があった。これまで、フタールイミドパーカルボン酸を配合した液体漂白洗浄剤組成物で、かかる問題を改善した液体漂白洗浄剤組成物は見出されていない。
【0004】
本発明の課題は、水系条件下でも、フタールイミドパーカルボン酸を溶解した状態で長期に渡って安定に保存でき、使用時に高い漂白性能を発現する水系漂白洗浄剤組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(a)下記一般式(1)で表されるフタールイミドパーカルボン酸〔以下、(a)成分という〕、(b)下記一般式(2)で表される硫酸エステル塩〔以下、(b)成分という〕、及び水を含有する液体漂白洗浄剤組成物に関する。
【0006】
【化2】

【0007】
〔式中、nは1〜15の整数、Mは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。〕
1O−PO−(AO)m−SO3M (2)
〔式中、R1は、炭素数8〜22の炭化水素基を示す。POはプロピレンオキシ基、AOは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基を示す。AOにおけるアルキレンオキシ基が2種以上の場合の付加形態は、ランダム付加、ブロック付加いずれでも良い。nはAOの総平均付加モル数であり0≦m≦40の数である。Mは陽イオンである。〕
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フタールイミドパーカルボン酸を溶解した状態で長期に渡って安定に保存でき、使用時に高い漂白性能を発現する液体漂白洗浄剤組成物が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
[(a)成分]
(a)成分のフタールイミドパーカルボン酸は上記一般式(1)で表される化合物であり、一般式(1)中のnは好ましくは、3〜13、更に好ましくは、3〜10、特に好ましくは5である。また、Mが水素原子である化合物が、安定性、生分解性が特に良好であり、好ましい。
【0010】
本発明の(a)成分が組成物中で安定に存在し得る理由の一つとしては、該(a)成分が、(b)成分が形成する相中に効率的に取り込まれているためであると考えられる。
【0011】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、(a)成分の安定性、製品としての液感を向上させる観点から、(a)成分を好ましくは0.01〜1.0質量%、より好ましくは0.01〜0.8質量%、更に好ましくは0.02〜0.7質量%含有する。
【0012】
[(b)成分]
本発明の(b)成分は、上記一般式(2)で表される硫酸エステル塩であり、(a)成分の安定性、製品としての液感を向上させる観点から、一般式(2)中のR1は炭素数10〜20が好ましく、炭素数12〜16がより好ましく、炭素数12〜14が更に好ましい。また、R1はアルキル基、アルケニル基が好ましく、アルキル基がより好ましい。さらに、R1は天然アルコール由来のアルキル基である事が特に好ましい。(a)成分の安定性、製品としての液感を向上させる観点から、一般式(2)中のAOは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基が好ましく、エチレンオキシ基が更に好ましい。AOの2種以上の付加は、製品としての液感向上、製造容易性の観点から、エチレンオキシ基及びプロピレンオキシ基のランダム付加が好ましい。従って、AOはエチレンオキシ基を含むことが好ましい。一般式(2)中のmは、製品としての液感向上の観点から、0≦m≦20が好ましく、0≦m≦10がより好ましく、0≦m≦5が更に好ましい。なお、エチレンオキシ基の割合は、全AO中、50〜100モル%が好ましく、エチレンオキシ基の平均付加モル数m’が0.5〜4であることが好ましい。一般式(2)中のMは陽イオンであれば特に制限されるものではないが、好適な具体例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン等が挙げられる。特に、ナトリウムイオン、カリウムイオンが好ましい。
【0013】
(b)成分の含有量は、(a)成分の安定性を向上させる観点から、組成物中、0.1〜10質量%が好ましく、0.2〜8質量%がより好ましく、0.5〜8質量%が更に好ましい。
【0014】
また、(a)成分の安定性を向上させる観点から、(a)成分と(b)成分の質量比は、(a)/(b)=1/1〜1/50であり、更に好ましくは1/2〜1/25である。
【0015】
本発明の(b)成分は、R1O−に1モル以上のPOが結合した構造を有するが、このような化合物を単離、精製したものを用いる事ができるだけでなく、製造容易性の観点から、R1−OHのアルコール化合物にプロピレンオキシドを該アルコールに対して、0.1〜2モル当量の仕込み比で付加反応した後、所望のアルキレンオキシドを付加し、硫酸化を行った混合物を(b)成分を含んだ混合物として配合しても良い。その際、(b)成分としての含有量が上記の範囲となるように当該混合物を用いることが好ましい。
【0016】
(b)成分を含んだ混合物は、具体的には、次の工程(I)〜(III)を含む方法より製造することができる。
工程(I):炭素数8〜22の直鎖アルコール1モルにプロピレンオキサイドを平均で0.1〜2モルの範囲で付加させる工程
工程(II):上記工程(I)で得られたプロピレンオキサイド付加物に、エチレンオキシド、プロピレンオキシド及びブチレンオキシドから選ばれるアルキレンオキサイドを平均で0〜40モルの範囲で付加させる工程
工程(III):上記工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和する工程
【0017】
工程(I)、(II)を実施する方法としては、従来公知の方法が使用可能である。すなわち、オートクレーブにアルコールとアルコールに対し0.5〜1モル%のKOHを触媒として仕込み、昇温・脱水し、130〜160℃の温度で、それぞれ所定量のプロピレンオキサイド及びアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドから選ばれる1種以上のアルキレンオキサイド)を付加反応させることにより製造できる。このとき、プロピレンオキサイド付加〔工程(I)〕、アルキレンサイド付加〔工程(II)〕の順に行う。工程(II)をブロック付加させる場合は所望のアルキレンオキサイドを順次付加し、ランダム付加の場合は、複数種のアルキレンオキサイドの混合物を仕込んで付加反応を行う。使用するオートクレーブには攪拌装置、温度制御装置、自動導入装置を備えられていることが望ましい。なお、AOを形成するアルキレンオキシドとしてプロピレンオキシドのみを用いる場合は、工程(I)において付加モル数を調整して工程(II)を省くことができる。
【0018】
工程(III)は、上記工程(II)で得られたアルコキシレートを硫酸化し、次いで中和させる工程である。硫酸化の方法としては、三酸化硫黄(液体又は気体)、三酸化硫黄含有ガス、発煙硫酸、クロルスルホン酸等を用いる方法が挙げられるが、特に、廃硫酸及び廃塩酸等の発生を防止する観点から、三酸化硫黄をアルコキシレートと同時にガス状又は液状で連続的に供給する方法が好ましく、更にはガス状の三酸化硫黄を、液状のアルコキシレートと同時に供給する方法が好ましい。
【0019】
硫酸化物の中和方法としては、所定量の中和剤へ硫酸化物を添加・攪拌しながら中和を行うバッチ式と、硫酸化物と中和剤を配管内へ連続的に供給し、攪拌混合機にて中和を行うループ式などが挙げられるが、本発明では中和方法に限定はない。ここで使用される中和剤としてはアルカリ金属水溶液、アンモニア水、トリエタノールアミンなどが挙げられるが、アルカリ金属水溶液が好ましく、より好ましくは水酸化ナトリウムである。
【0020】
(b)成分を含んだ混合物の好ましい具体例として、フタールイミドパーカルボン酸の安定性を向上させる観点から、特に下記一般式(3)で表される化合物が挙げられる。
RO−(PO)s(EO)tSO3M (3)
(式中、Rは炭素数8〜18の直鎖アルキル基であり、POとEOは夫々プロピレンオキシ基とエチレンオキシ基であり、RO−に(PO)s基が結合し、次いで(EO)t基が結合したブロック配列である。s及びtは平均付加モル数であり、それぞれ独立して0<s<5、0≦t≦5の数である。Mは陽イオンである。)
【0021】
一般式(3)において、(a)成分1の安定性を向上させる観点から、sは、0<s<5であり、更に0<s<1、特に0.2<s<0.8が好ましく、tは、0≦t<5であり、更に0≦t<3.5、特に1≦t<2.3が好ましい。
【0022】
[(c)成分]
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、(a)成分の安定性を向上させる観点から、(c)成分として金属封鎖剤を含有することが好ましい。金属封鎖剤としては、ホスホン酸系が好ましく用いられる。その具体例としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種又は2種以上配合することができる。中でも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等が好ましい。(c)成分の含有量は、組成物中、0.01〜0.5質量%、更に0.05〜0.3質量%が好ましい。
【0023】
[(d)成分]
本発明の組成物は、洗浄性能を向上させる観点で、(d)成分として炭素数10〜20のアルキル硫酸エステル塩を含有することが好ましい。高温安定性の観点から炭素数12〜16が好ましく、12〜14が更に好ましい。
【0024】
塩の具体例としては、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などが挙げられる。中でもナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。
【0025】
洗浄性能を向上させる観点で、(b)成分と(d)成分の質量比は、(b)/(d)で1/10〜10/1であることが好ましく、1/8〜8/1がより好ましく、1/5〜5/1が更に好ましく、1/3〜3/1が特に好ましい。
【0026】
[(e)成分]
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、洗浄性能向上の観点から、(e)成分として、(b)成分、(d)成分以外の陰イオン界面活性剤を含有し得る。陰イオン界面活性剤としては、炭素数10〜18のアルキル基又はアルケニル基を有するアルキル又はアルケニルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン(アルキレンオキシド平均付加モル数0.5〜5)アルキル(炭素数10〜18)エーテル硫酸エステル塩、α−オレフィン(炭素数8〜18)スルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸塩(炭素数10〜16)又はα−スルホ脂肪酸(炭素数10〜16)低級アルキル(炭素数1〜3)エステル塩等である。
【0027】
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、洗剤用界面活性剤市場に一般に流通しているものの中で、アルキル基の炭素数が10〜18のものであればいずれも用いることができ、例えば花王(株)製のネオペレックスF25、Shell社製のDobs102等を用いることができる。また、工業的には、洗剤用原料として広く流通しているアルキルベンゼンをクロルスルホン酸、亜硫酸ガス等の酸化剤を用いてスルホン化して得ることもできる。アルキル基の炭素数は10〜14が好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩としては、炭素数10〜18、好ましくは炭素数10〜16の直鎖もしくは分岐鎖1級アルコール又は直鎖2級アルコールに、エチレンオキサイドを1分子当たり平均0.5〜5モル付加させ、これを例えば特開平9−137188号記載の方法を用いて硫酸化して得ることができる。α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜18のα−アルケンをSO3でスルホン化し、水和/中和を経て得ることができ、炭化水素基中にヒドロキシ基が存在する化合物と不飽和結合が存在する化合物の混合物である。また、α−スルホ脂肪酸低級アルキルエステル塩としてはアルキル基の炭素数は10〜16が好ましく、メチルエステル又はエチルエステルが洗浄効果の点から好ましい。これら(e)成分の塩としてはナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルカノールアミン塩、アンモニウム塩が好適であり、洗浄効果の点からナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩が好ましい。
【0028】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、(a)成分の保存安定性を向上する観点から、(e)成分の含有量は、組成物中、0〜10質量%、更に0〜5質量%が好ましい。また、(b)成分と(e)成分の質量比は、(b)成分/〔(b)成分+(e)成分〕として、1/1〜1/2、好ましくは、1/1〜2/3である。
【0029】
[(f)成分]
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、(f)成分としてHLB(グリフィン法)が10.5〜17.5の非イオン界面活性剤を含有し得る。
【0030】
(f)成分としては、一般式(4)で表される非イオン界面活性剤が挙げられる。
2−O[(EO)a/(PO)b]−H (4)
〔式中、R2は、炭素数10〜18、好ましくは12〜14の、アルキル基又はアルケニル基を示す。EOはエチレンオキシ基であり、POはプロピレンオキシ基である。aはEOの平均付加モル数であり0〜40の数、bはPOの平均付加モル数であり0〜20の数を示し、a及びbの両者が0の場合を除く。好ましくはaは5〜30、より好ましくは5〜25の数であり、好ましくはbは0〜10、より好ましくは0〜8、特に好ましくは0〜6の数である。〕
【0031】
なお、一般式(4)においては、EOとPOとはランダム共重合体又はブロック共重合体のいずれの形態で配列されていてもよい。
【0032】
また、一般式(4)で表される非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤、並びにオキシエチレン基及びオキシプロピレン基を有するポリオキシアルキレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤が挙げられ、これらは、2種両方を併用することもできる。
【0033】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル型非イオン界面活性剤としては、具体的には、下記一般式で表される化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
C1225-O(C2H4O)a1-H (a1=5〜29、HLB=10.8〜17.5)
C14H29-O(C2H4O)a2-H (a2=6〜34、HLB=11.0〜17.5)
C12H25-O(C2H4O)a3(C3H6O)b1(C2H4O)a4-H (a3+b1+a4=4〜29、HLB=10.8〜17.5)
【0034】
上記一般式(4)の非イオン界面活性剤の一例として、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン平均付加モル数6、HLB11.7)が挙げられる。(f)成分の非イオン界面活性剤は、2種以上の混合物として配合し得る。
【0035】
(f)成分の含有量は、(a)成分の保存安定性、及び、漂白性を向上させる観点から、組成物中、0.1〜30質量%、更に0.5〜25質量%、特に1〜25質量%が好ましい。
【0036】
[(g)成分]
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、製品の液感を向上させる観点から、(g)成分として少なくとも1種の有機溶剤を含有し得る。(g)成分の具体例としては、下記一般式(5)で表される有機溶剤、エステル系有機溶剤(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等)、ケトン系有機溶剤(例えば、アセトン、ジエチルケトン、メチルエチルケトン、ジイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソプロピルケトン等)、エーテル系有機溶剤(ジオキサン、テトラヒドロフラン、トリエチレングリコールジメチルエーテル等)が挙げられる。
3−O−(AO)p−H (5)
(式中、R3は水素原子、直鎖若しくは分岐鎖の炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はベンジル基を示し、Aは直鎖又は分岐の炭素数2〜4のアルキレン基を示し、p個のAは同一でも異なっていてもよい。pはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示す0〜5の数である。)
【0037】
一般式(5)で表される化合物の具体例としては、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール(式(5)中のpが5までのもの)、ブチルジグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等のグリコール類、ジエチレングリコールブチルエーテル、トリエチレングリコールフェニルエーテル等のポリアルキレングリコールアルキルエーテル類が挙げられる。
【0038】
(g)成分としては、ヒドロキシ基を有する部位を2つ含有する有機溶剤が好ましく、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、ポリエチレングリコール(式(5)中のpが5までのもの)、及びブチルジグリコールから選ばれる有機溶剤がより好ましく、プロピレングリコール及びブチルジグリコールから選ばれる有機溶剤が特に好ましい。
【0039】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、(a)成分の保存安定性向上の観点から、(g)成分を好ましくは0.1〜10質量%、より好ましくは0.1〜7質量%、更に好ましくは0.1〜5質量%含有する。
【0040】
[(h)成分]
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、漂白性能向上の観点から、(h)成分として過酸化水素を含有し得る。(h)成分の含有量は、液体漂白洗浄剤組成物中に好ましくは0.1〜6質量%、より好ましくは0.5〜5質量%、更に好ましくは1〜4.5質量%、より更に好ましくは1〜3質量%である。このような範囲において優れた漂白効果を得ることができる。
【0041】
[ラジカルトラップ剤]
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、過酸化水素の安定性向上の観点から、ラジカルトラップ剤を含有し得る。ラジカルトラップ剤としては、フェノール系、すなわちフェノール性OH基を有する化合物、そのエステル誘導体やエーテル誘導体等の誘導体が好ましい。好適な例としては、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられる。
【0042】
[その他の成分]
その他に本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、ハイドロトロープ剤、シリコーン類、殺菌剤、酵素、香料、蛍光染料等の任意成分を配合し得る。本発明の液体漂白洗浄剤組成物は水を含有し、通常、組成物の残部は水である。
【0043】
香料としては、例えば、特開2003−213295号の段落[0007]〜[0022]に記載の香料を使用することができる。
【0044】
蛍光染料としては、例えば、特開2004−308070号に記載の蛍光染料を使用することができる。
【0045】
[pH]
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、20℃におけるpHが好ましくは2〜5.5、より好ましくは2.5〜5、更に好ましくは2.5〜4.5である。この範囲において、(a)成分の安定性の向上、及び優れた漂白洗浄性能を発現し得る。
【0046】
このようなpHに調整するためのpH調整剤としては塩酸、硫酸などの無機酸、もしくはクエン酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、マロン酸、マレイン酸などの有機酸などの酸剤、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウム、アンモニア及びその誘導体、アミン塩(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなど)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ剤を、単独もしくは複合して用いることができる。この中でも特に、塩酸及び硫酸から選ばれる無機酸、又は水酸化ナトリウムや水酸化カリウムから選ばれる無機塩基を用いることが好ましい。
【0047】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物の外観は、透明均一であることが好ましい。ここで透明均一とは、測定セルの光路長10mmの石英セルを使用し、対称セルにイオン交換水を入れた場合に660nmの波長の光透過率が30%以上であり、目視で沈殿物の生成が確認できないことをいう。また、本発明の液体漂白洗浄剤組成物の粘度は、塗布時の使い勝手の観点から20℃における粘度が5〜250mPa・sであることが好ましい。
【0048】
なお、本発明の粘度とは以下の様に測定されたものである。東京計器(株)製B型粘度計に、ローター番号No.1を備え付けたものを準備する。試料をトールビーカーに入れ、20℃の恒温槽にて20℃に調整した試料を粘度計にセットし、ローターの回転数を60rpmに設定し、回転を始めてから60秒後の粘度を本発明の粘度とする。
【0049】
本発明の液体漂白洗浄剤組成物は、衣料、寝具等の繊維製品用として好適である。
【実施例】
【0050】
実施例1〜15及び比較例1〜4
表1に示す組成の液体漂白洗浄剤組成物を調製し、下記方法でpH、(a)成分の保存安定性、漂白性能及び液感を評価した。結果を表1に示す。なお、組成物のpHは、水酸化ナトリウムで調整した。また、各組成物は、20℃での粘度が5〜50mPa・sであった。
【0051】
[pH]
液体漂白洗浄剤組成物の20℃のpHを、(株)堀場製作所製pHメータF52、pH電極6367−S004を用いて測定した。
【0052】
[(a)成分の保存安定性]
液体漂白洗浄剤組成物を100mLガラス製サンプル瓶に80g入れ、30℃で4週間貯蔵した。貯蔵前後の液体漂白洗浄剤組成物中の(a)成分の含有量をヨードメトリー法で滴下し、下式により(a)成分残存率を求めた。
(a)成分残存率(%)=〔貯蔵後の(a)成分含有量〕/〔貯蔵前の(a)成分含有量〕×100
【0053】
[漂白性能]
液体漂白洗浄剤組成物1mLと4°DHの水1000mLを混合した後、そこに以下の方法で調製したミートソース汚染布(4枚)を入れ、ターゴトメータを用いて20℃、80rpmで10分間漂白処理を行った。処理前後の布表面の反射率を測定し、下式により漂白率を求めた。なお、反射率は、Spectro Color meter SE2000(日本電色工業(株)製)により測定した。
【0054】
・ミートソース汚染布の調製
カゴメ(株)製ミートソース(完熟トマトのミートソース(2007年5月27日賞味期限、ロット番号:D5527JF)/内容量259gの缶詰)の固形分をメッシュ(目の開き;500μm)で除去した後、得られた液を煮沸するまで加熱した。この液に木綿金布#2003を浸し、15分間煮沸した。そのまま火からおろし2時間程度放置し30℃になった後、布を取りだし、余分に付着している液をへらで除去し、自然乾燥させた。その後プレスし、10cm×10cmの試験布として実験に供した。
【0055】
【数1】

【0056】
[液感]
液体漂白洗浄剤組成物の調製直後の状態を目視観察し、以下の基準で液感を評価した。
○:透明均一状態である。
×:沈殿が生じている、又は白濁している等、透明均一状態でない。
【0057】
【表1】

【0058】
表中の記号は以下のものである。
・a−1;下記構造の化合物
【0059】
【化3】

【0060】
・b−1;C1225O−(C36O)0.4−(C24O)1.5−SO3Na〔(b)成分[一般式(2)中のmが0.9である化合物]の割合が29質量%である混合物〕
・b−2;C1225O−(C36O)0.3−(C24O)1.8−SO3Na〔(b)成分[一般式(2)中のmが1.1である化合物]の割合が25質量%である混合物〕
・b−3;C1225O−C36O−SO3Na
・c−1;エタン−1−ヒドロキシ−1,1−ジホスホン酸(デイクエスト2010、ソルーシア社製)
・d−1;C1225O−SO3Na
・e−1;C1225O−(C24O)3−SO3Na
・e−2;LAS(ラウリルベンゼンスルホン酸ナトリウム)
・f−1;ポリオキシエチレンラウリルエーテル(オキシエチレン平均付加モル数6、HLB11.7)
・g−1;プロピレングリコール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記一般式(1)で表されるフタールイミドパーカルボン酸、(b)下記一般式(2)で表される硫酸エステル塩、及び水を含有する液体漂白洗浄剤組成物。
【化1】


〔式中、nは1〜15の整数、Mは水素原子、アルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。〕
1O−PO−(AO)m−SO3M (2)
〔式中、R1は、炭素数8〜22の炭化水素基を示す。POはプロピレンオキシ基、AOは、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基から選ばれる1種以上のアルキレンオキシ基を示す。AOにおけるアルキレンオキシ基が2種以上の場合の付加形態は、ランダム付加、ブロック付加いずれでも良い。mはAOの総平均付加モル数であり0≦m≦40の数である。Mは陽イオンである。〕
【請求項2】
更に、(c)金属封鎖剤を含有する、請求項1記載の液体漂白洗浄剤組成物。
【請求項3】
更に、(d)炭素数10〜20のアルキル硫酸エステル塩を含有し、(b)/(d)の質量比が1/10〜10/1である、請求項1又は2記載の液体漂白洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2010−138268(P2010−138268A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315323(P2008−315323)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】