液体燃料電池とそれを用いたディスプレイ装置
【課題】 従来のものより部品の数を少なくし、部品形状を簡単にし、組立および分解を容易にすることで、使い勝手のよい低廉な液体燃料電池を提供する。
【解決手段】 本発明の液体燃料電池100は、絶縁体からなる空気極側プレート10と、燃料極側プレート50およびガスケット41との間に単セル20,30,31,40,41を挟んで組立ねじ60により、液体燃料電池を解体自在に組み立てている。その場合に、単セルは、シール状あるいは平板形状の単純な形状の液体燃料電池形成用部材20,30,31,40,41を重ね合わせて作成されているので、解体および再組立が簡単であり、低コストで作成できる。
【解決手段】 本発明の液体燃料電池100は、絶縁体からなる空気極側プレート10と、燃料極側プレート50およびガスケット41との間に単セル20,30,31,40,41を挟んで組立ねじ60により、液体燃料電池を解体自在に組み立てている。その場合に、単セルは、シール状あるいは平板形状の単純な形状の液体燃料電池形成用部材20,30,31,40,41を重ね合わせて作成されているので、解体および再組立が簡単であり、低コストで作成できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料電池とそれを用いたディスプレイ装置に関し、特に、平板形状の液体燃料電池単セル形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池の単セルを形成し、形成した単セルを絶縁体からなる空気極側プレートと、燃料極側プレートおよび液体燃料漏洩防止用ガスケットとの間に挟んでねじ締め組立部材によって解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記単セルに供給可能にさせた液体燃料電池およびそれを用いたディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体燃料電池は、部品点数が多く、分解および再組み立てに多大な時間を必要とし、評価試験など使用する場合に不便である。なお、この発明に関連する技術が下記の特許文献1,2に開示されている。
【特許文献1】特願2001−211792号公報
【特許文献2】特願2004−070036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の液体燃料電池は、上述したように、部品点数が多く、コスト高であり、分解および再組み立てが容易でなく、評価試験などに多大な時間を要し、迅速な評価を行なうことが困難である。特に、学習用教材に用いようとする場合、採用することが経済的にも困難である。
【0004】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、従来のものに比較して必要な部品の数をできるだけ少なくし、組立および分解を容易にすることで、使い勝手のよい低廉な価格の液体燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明に係る液体燃料電池は、平板形状の液体燃料電池単セル形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池の単セルを形成し、形成した単セルを絶縁体からなる空気極側プレートと、燃料極側プレートおよび液体燃料漏洩防止用ガスケットとの間に挟んでねじ締め組立部材によって解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記単セルに供給可能にさせている。
【0006】
このような構成によれば、絶縁体からなる空気極側プレートと燃料極側プレートとの間に単セルを挟んで液体燃料電池を解体自在に組み立てている。その場合に、単セルは、平板形状の液体燃料電池形成用部材を重ね合わせて作成されているので、解体および再組立が簡単であり、低コストで作成できる。
【0007】
また、この発明において、前記液体燃料電池単セルの形成用部材は、シート状の固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の中央部分に画定された反応領域の一方の表面に重ねられた第1のシート状電極と、固体高分子電解質膜の前記反応領域の他方の表面に重ねられた第2のシート状電極と、第2のシート状電極の周囲を取り囲むように、固体高分子電解質膜の表面にそれぞれ重ねられたシート状の第1,第2のガスケットと、固体高分子電解質膜の上に重ねられた第1のシート状電極および第1のガスケットの上に重ねられ、第1のシート状電極に対する空気供給用貫通孔を備えた平板形状の空気極セパレータと、固体高分子電解質膜の上に重ねられた第2のシート状電極および第2のガスケットの上に重ねられ、第2のシート状電極に対する液体燃料供給用貫通孔を備え平板形状の燃料極セパレータとから構成されている。
【0008】
したがって、この発明において、液体燃料電池の部品点数は少なく、液体燃料電池単セルの形成用部材はシート状あるいは平板形状であるから分解や再組み立てが簡単であり、効率的に使用部材の評価試験などを行うことができる。
【0009】
また、この発明において、前記燃料極側プレートには、液体燃料電池単セルに液体燃料を供給するとともに、その供給のために液体燃料を貯留する空間を有している。したがって、液体燃料の補給を行なうことも無く、適宜な時間発電を継続することができる。
【0010】
また、この発明において、前記空気極側プレートと燃料極側プレートとのうち、少なくとも燃料極側プレートは透明なプラスチックから作られているのが好ましい。外部より液体燃料の化学反応が観察できるからである。
【0011】
また、この発明において、前記空気極側プレートと燃料極側プレートとのうち、少なくとも燃料極側プレートは透明な塩化ビニルまたはガラスから作られているのが好ましい。そうでなければ、液体燃料の濃度が濃い場合に燃料極側プレート自身が液体燃料で化学反応を起こす可能性があるからである。
【0012】
また、この発明において、前記空気極プレートは、前記単セルを構成する各部材の組立位置を合致させるために、各部材の外形の一部をガイドできる位置決め支柱を有する。組み立てが正確で簡単になるからである。
【0013】
また、この発明において、前記固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の中央部分に画定された反応領域の一方の表面に重ねられた第1のシート状電極と、固体高分子電解質膜の前記反応領域の他方の表面に重ねられた第2のシート状電極とは、ホットプレスにより一体的に組み立てられているのが好ましい。組み立て時の部品点数がさらに少なくなり、組み立てが容易だからである。
【0014】
また、この発明において、前記固体高分子電解質膜と第1のシート状電極との接合面には白金電極触媒が配置され、前記固体高分子電解質膜と第2のシート状電極との接合面には白金ルテニウム電極触媒が配置されているのが好ましい。発電効率が良いからである。
【0015】
また、この発明において、前記液体燃料供給用貫通孔は、複数本並列に穿設されたスリット状の貫通孔であるのが好ましい。発電に伴ない発生する気体が排出され易くなるからである。
【0016】
この発明に係わる液体燃料電池は、平板形状の液体燃料電池形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池単セルを形成し、形成した2つの液体燃料電池単セルを絶縁体からなる燃料極側プレートの両面に配置し、それぞれ空気極側プレートとの間に挟んで解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記両方の単セルに供給可能にさせている。したがって、燃料極側プレートの両面に液体燃料電池単セルがそれぞれ構成されるので、直列または並列接続により、倍電圧または倍電流を供給することができる。
【0017】
この発明に係わるディスプレイ装置は、接続線を含んで延びるアームと、アームの一端に取り付けられ、モータでプロペラを回転し空中を移動できるミニチュア飛行体と、アームの他端に取り付けられ、接続線を通じてミニチュア飛行体のモータに電力を供給する前記請求項1ないし10に記載の液体燃料電池と、アームがほぼ水平になるように、アームの中間点を回転自在に支持する支持装置とを有する。
【0018】
このように構成することにより、多くの人の目を引き、長時間の運転が可能であり、液体燃料の追加によりさらに運転時間を容易に延ばすことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、この発明は、絶縁体からなる空気極側プレートと燃料極側プレートとの間に単セルを挟んで液体燃料電池を解体自在に組み立てている。その場合に、単セルは、平板形状の液体燃料電池形成用部材を重ね合わせて作成されているので、解体および再組立が簡単であり、低コストで作成できる。また、従来のものに比較して必要な部品の数が少なく、組立および分解を短時間で容易に実行することができるようにし、使い勝手のよい低廉な価格の液体燃料電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、この発明の液体燃料電池の実施の形態1を示す正面外観図、図2は、図1の液体燃料電池の裏面外観図、図3は、図1および図2で示された液体燃料電池の組み立て構成を示す展開図、図4ないし図11は、図3で示される各部材の詳細を説明するための図である。図1ないし図3で示される液体燃料電池100は、空気極側プレート10と、空気極セパレータ20と、膜/電極接合体30と、燃料極セパレータ40と、ガスケット35,36,45と、燃料極側プレート50と、タンク栓55、組立ねじ60とから構成されている。この場合、空気極側プレート10と、燃料極側プレート50およびガスケット45との間に挟まれる液体燃料電池の単セルは、平板形状あるいはシール状の部材から構成されている。
【0021】
図4(A)は、空気極側プレート10を示す正面図、図4(B)は、図4(A)を上から見た図、図4(C)は、図4(A)を下から見た図である。空気極側プレート10は燃料電池の組立状態や内部がよく見えるように透明な樹脂などで形成されるのが好ましく、絶縁体であることが必要である。また、液体燃料としてアルコールなどを扱うので濃度の濃い場合を考慮すると、塩化ビニルやガラスであることが好ましい。空気極側プレート10の図4(A)の上面の4隅には位置決め支柱10aが設けられ、中央部分には空気取り入れ口10dが設けられている。上述の位置決め支柱10aは、以降で説明する各部の組立の外縁の一部をガイドして位置決めを行うために用いられる。位置決め支柱10aの中央部には組立ねじ60(あるいは、6角ボルト)のねじ山の外径よりも若干大きい貫通孔であるねじガイド孔10cが設けられ、組立ねじ60をガイドするように作用する。他方、位置決め支柱10aよりも下方には組立ねじ60のためのタップ付きねじ穴10bが設けられている。
【0022】
図5(A)は、空気極セパレータ20を示す平面図、図5(B)は、図5(A)の正面図、図5(C)は、図5(A)の下面図である。空気極セパレータ20は、不透過性のカーボン、金属、膨張黒鉛、導電性セラミック、あるいは、導電性ポリマーの何れかから形成される。空気極セパレータ20の中央部分には、厚み方向に貫通する複数の空気流路20a(酸素を用いる場合には酸素流路;この例では、9個所)が開けられ、空気流路20aが設けられた中央部分の4隅には位置決め支柱10aの外周で切り取られたようなRカット20bが位置決めのために設けられている。また、空気極セパレータ20の中央部分からは、電気的接続のために、空気極セパレータ端子部20cが延び出している。空気極セパレータ20は、液体燃料電池の組立時に、4個所のRカット20bがそれぞれ位置決め支柱10aの外周に沿って移動するように、空気極側プレート10の上に置かれる。
【0023】
図6(A)ないし図6(C)は、空気極セパレータ20と燃料極セパレータ40との間にそれぞれ配置されるシート状の部材を示す平面図であって、その形状およびその配置順序を示している。すなわち、空気極側プレート10の上に置かれた空気極セパレータ20の上に、図6(A)で示される第1のガスケット35、図6(B)で示される膜/電極接合体30、図6(C)で示される第2のガスケット36の順序で配置する。各部材30,35,36のRカット33b,35b,36bは、位置決め支柱10aの外周に沿って移動配置する。この場合、膜/電極接合体30の第1,第2のシート状電極32a,32bが第1,第2のガスケット35,36の電極用開口35a,36aに適切に合致するように配置する。
【0024】
上述の場合の膜/電極接合体30は、図7に示されるように、固体高分子電解質膜33と、第1のシート状電極(第1の拡散層付き電極)32aと、第2のシート状電極(第2の拡散層付き電極)32bとから構成されており、第1のシート状電極32aは、固体高分子電解質膜33の中央部分に画定された反応領域の一方の表面にホットプレス(例えば、常温〜200℃程度で、0.1MPa〜10MPa程度の圧力で行なう)され、第2のシート状電極32bは、反応領域の他方の表面にホットプレスされ、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly)を形成している。この場合、固体高分子電解質膜33と、第1,第2のシート状電極32a,32bとのホットプレス面には触媒層132a,132bが配置されている。なお、固体高分子電解質膜33としては、フッ素系電解質膜(例えば、デュポン社製のNafion膜など)、炭化水素系電解質膜、無機/有機複合電解質膜などが使用可能である。
【0025】
なお、この例においては、固体高分子電解質膜33と、第1,第2のシート状電極32a,32bとを組み立てやすくするために、図7に示されるように、予めサブアセンブリとして構成するようにしているが、各部品を個別部品として組み立ててもかまわないことは言うまでもない。その場合には、空気極セパレータ20と燃料極セパレータ40との間にそれぞれ配置されるシート状の部材の形状およびその配置順序は、図8に示すようになる。
【0026】
すなわち、図8のように組立を行なう場合には、最初に、図8(A)で示されるように、シート状の第1のガスケット35を空気極セパレータ20の上に置き、次に、第1のガスケット35の電極用開口35aの中に第1のシート状電極(第1の拡散層付き電極)32aを置く。第1のガスケット35と、第1のシート状電極32aとはほぼ同じ厚みを持っているので両者の表面はほぼ平らになる。第1のガスケット35と第1のシート状電極32aとが形成する平面の上にシート状の固体高分子電解質膜33を置く。固体高分子電解質膜33の上に更に第2のガスケット36と第2のシート状電極32bを平らになるように置く。この例では、第1,第2のガスケット35,6と第1,第2のシール状電極32a,32bとによって、それぞれの電極構造を構成しているが、コストなどを無視すれば、拡散層付き電極の材料で電極構造の全体を形成してもよい。図8で示されたシート状の部材が平らな層をなすように置かれた上に図9で示されるような燃料極セパレータ40を置く。
【0027】
図9(A)は、燃料極セパレータ40の平面図、図9(B)は、図9(A)の正面図である。図9で示される燃料極セパレータ40は、空気極セパレータ20と同じような材料から形成されており、中央部分には厚み方向に貫通する液体燃料供給用スリット40aが複数(この例では5本)穿設されている。中央部分の4隅には位置決め支柱10aの外周で切り取られたような組み立てガイド用のRカット40bが設けられている。また、燃料極セパレータ40の中央部分からは、燃料極セパレータ端子部40cが延び出している。燃料極セパレータ40は、液体燃料電池の組立時に、4個所のRカット40bがそれぞれ位置決め支柱10aの外周に沿って移動するように、シート状の部材30,31の上に置かれる。
【0028】
次に、燃料極セパレータ40の上に第3のガスケット45がおかれる。第3のガスケット45は、図10に示されるように、燃料極セパレータ40の液体燃料供給用スリット40aに対応する位置に液体燃料供給開口45aが開けられている。また、4隅には位置決め用のRカット41bが設けられている。さらに、第3のガスケット45の上には燃料極側プレート50が置かれる。図11(A)は、燃料極側プレートを示す正面図、図11(B)は、図11(A)の裏面図、図11(C)は、図11(B)の上面図である。燃料極側プレート50は燃料電池の組立状態や内部の反応などがよく見えるように透明な樹脂やガラスなどの絶縁体で形成される。
【0029】
上述の燃料極側プレート50の場合、液体燃料として濃度の高いアルコールなどを扱うので塩化ビニルやガラスが好適である。濃度の低い場合(例えば、10wt%程度)にはアクリルでも使用は可である。燃料極側プレート50の中央には、液体燃料を貯留するために板厚の途中まで円筒状に掘り込まれた燃料貯留タンク部50aが設けられている。この燃料貯留タンク部50aは、組み立て時において、第3のガスケット45を介して燃料極セパレータ40の液体燃料供給用スリット40aと対向することとなる。燃料極側プレート50の4隅には、組立ねじ60(あるいは、6角ボルト)のねじ山の外径よりも若干大きい貫通孔であるねじガイド孔50cが設けられ、組立ねじ60をガイドする。ねじ穴50bは、組み立て完了時に組立ねじ60の頭部を収納するように作られている。燃料極側プレート50の上部壁からは、燃料貯留タンク部50aに通じる液体燃料供給路50d,50eが設けられている。
【0030】
上述のように各部材10,20,30,40,45,50が重ねられた後に、燃料極側プレート50のねじ穴50bから空気極プレート10に向けて組立ねじ60を挿入し、組立ねじ60のねじ山が空気極側プレート10のタップ付きねじ穴10bのタップと螺合するように組立てる。この場合、空気極側プレート10の位置決め支柱10aの高さH0は、組立が完了したとき、空気極セパレータ20と燃料極セパレータ40とに挟まれたシート状の部材が適切な圧力で保持されるように設定されている。
【0031】
この液体燃料電池は、極めて少ない部品数(例えば、空気極セパレータ20および燃料極セパレータ40は、セパレータおよび集電板の役目も担っている)で構成されているとともに、空気極側プレート10と、燃料極側プレート50および第3のガスケット45との間に配置された液体燃料電池の単セルは、平板形状に加工された部材の重ねあわせで構成されているので、組み立ても容易であり、5〜10分で行うことができる。したがって、各種の空気極セパレータ、燃料極セパレータ、電解質膜等の交換が容易であり、各種の部材の評価実験によく適合している。
【0032】
このように組み立てられた液体燃料電池100において、一方の液体燃料供給路、例えば、液体燃料供給路50eから液体燃料を供給すると、液体燃料は液体燃料供給路50eから燃料貯留タンク部50aに注がれ、燃料貯留タンク部50aに貯留されるとともに、液体燃料供給用スリット40aを経由して膜/電極接合体30に供給され、発電に供される。他方の液体燃料供給路50d(燃料貯留タンク部50aの中で高い方の位置にある)は、液体燃料供給時の燃料貯留タンク部50aからの排気口として働く。この場合、液体燃料としては、メタノール、ジメチールエーテル、エタノール、アスコルビン酸、アンモニア、蟻酸、グルタミン酸、糖類、血液、水素化ホウ酸ナトリウムが使用できる。
【0033】
上述の発電稼動時においては、液体燃料の不要な蒸発などを防ぐために、一方の液体燃料供給路、例えば、液体燃料供給路50eは、弾性材からなるタンク栓55で封止しておくのが好ましい。また、液体燃料電池100が扱いミスによって転倒したような場合に、燃料貯留タンク部50aや液体燃料供給路50d,50eから貯留済みの液体燃料が簡単にはこぼれでないように、液体燃料供給路50d,50eの直径を適切な小径にしておくのが好ましい(この例では、約2φ(直径2mm))。
【0034】
上述の発電の結果、空気極セパレータ20の空気極セパレータ端子部20cと、燃料極セパレータ40の燃料極セパレータ端子部40cとの間から電力を供給することが可能になる。この場合に、膜/電極接合体30から気体(例えば、CO2)の発生があって、液体燃料供給用スリット40aを経由して燃料貯留タンク部50aに発生した気体が移動し排出される。そこで、気体の移動を容易にするために、液体燃料供給用スリット40aの上部40dは、燃料極側プレート50に向いてラッパ状に開くように傾斜がつけられているのが好ましい。なお、気体の発生の説明のために、液体燃料がメタノールである場合の発電に関する反応の例を下記に示しておく。
【0035】
燃料極セパレータ側(アノード側)における反応(1)は、
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- ・・・(1)
空気極セパレータ側(カソード側)における反応(2)は、
(3/2)・O2+6H++6e- → 3H2O ・・・(2)
液体燃料電池全体の反応(3)は、
CH3OH+(3/2)・O2 → CO2+2H2O ・・・(3)
【0036】
また、上述の液体燃料電池100を用いて下記のような実験を行なった。先ず、図7で示される膜/電極接合体30に関して、触媒132aとして白金電極触媒を用い、触媒132bとして白金電極触媒を用いた場合と、白金ルテニウム電極触媒(一酸化炭素に関する被毒作用の防止)を用いた場合との比較実験を行なった。その結果を示すのが図12のグラフである。このグラフから第2のシート状電極の触媒132bとして白金電極触媒を用いるよりも、白金ルテニウム電極触媒を用いる方がセル電圧を倍以上に高められることが分かる。
【0037】
上述のことに基づき、空気セパレータ側の触媒132aを白金電極触媒とし、燃料極セパレータ側の触媒132bを白金ルテニウム電極触媒とし、ホットプレスで固体高分子電解質膜に接合して膜/電極接合体とした場合(図6,図7を参照)と、ホットプレスによる接合を行なわない場合(図8を参照)との比較実験を行なった。その結果を示すのが図13のグラフである。このグラフからホットプレスを行なう方がセル電圧を高められることが分かる。なお、これらの液体燃料電池3〜5wt%のメタノール水溶液を規定量入れ、室温にて0.3V駆動20mAのモータを駆動したところ、12時間以上連続運転が可能であった。
【0038】
次に、この発明の液体燃料電池の実施の形態2について図14ないし図16を参照して説明する。図14(A)は、この発明の液体燃料電池の実施の形態2を示す正面図、図14(B)は、図14(A)の右側面図、図14(C)は、図14(B)の上面図である。なお、図1ないし図3で示される実施の形態1において用いられる同じ部材は、この例においても同じ符号で示されている。この例の場合、燃料極側プレート150を挟んで、空気極側プレート10の側に第1のセルが構成され、空気極側プレート110の側に第2のセルが構成され、2セル構成となっている。
【0039】
上述の例において使用される部材のうち、空気極側プレート110と、燃料極側プレート150と、組立ねじ160とが実施の形態1において用いられる部材とは形状あるいは長さが若干異なっている。なお、図14において、空気極セパレータ20と燃料極セパレータ40との間に配置されている膜/電極接合体30とガスケット35,36、および、燃料極側プレート150と燃料極セパレータ40との間に配置されたガスケット45は、図3の場合と同じなので表示を省略している。
【0040】
図15(A)は、燃料極側プレート150の正面図、図15(B)は、図15(A)の右側面図、図15(C)は、図15(A)の上面図、図15(D)は、図15(A)の裏面図である。この例においては、燃料極側プレート150の両側にセルが形成されるので、燃料貯留タンク部150aは、燃料極側プレート150の厚み方向に貫通して形成されている。この燃料貯留タンク部150aには側面(図15(A)では上面)から通じる液体燃料供給路150d,150eが穿設されている。また、第2のセルを形成する各部材の組立ガイドとなるように、位置決め支柱10aに対応する位置に位置決め支柱150fが配置され、位置決め支柱10aと同様な働きをしている。
【0041】
図16(A)は、空気極側プレート10の反対側に配置されたもう一つの空気極プレート110を示す正面図、図16(B)は、図16(A)の右側面図、図16(C)は、図16(A)の裏面図である。空気極側プレート110の4隅には、組立ねじ160(あるいは、6角ボルト)のねじ山の外径よりも若干大きい貫通孔であるねじガイド孔110cが設けられ、組立ねじ160をガイドする。ねじ穴110bは、組み立て完了時に組立ねじ160の頭部を収納するように作られている。図14のように組立が完了した後に、液体燃料供給路150d,150eのいずれかから貯留タンク部150aに液体燃料が注入されると、2つのセルのそれぞれに発電が開始されるので、2つのセルを直列あるいは並列に接続することにより単セルの場合に比較して2倍の電圧あるいは2倍の電流を供給することができる。
【0042】
次に上述の液体燃料電池を用いた発明であるディスプレイ装置の実施の形態について説明する。図17のディスプレイ装置において、液体燃料電池100と電動式ミニチュア飛行機200とが接続アーム201の端末にそれぞれ取り付けられている。接続アーム201は、基台204に取り付けられた支柱203の先端に連結部202により水平方向に回転自在に連結されている。連結部202は、液体燃料電池100と電動式ミニチュア飛行機200の重量がほぼバランスするような接続アーム201のバランス接続アームを支柱203に連結するのが好ましい。
【0043】
また、接続アーム201には、液体燃料電池100から電動式ミニチュア飛行機200のモータに電力を送るための接続線が含まれており、液体燃料電池100から電動式ミニチュア飛行機200に電力が送られると、電動式ミニチュア飛行機200のプロペラは回転を始め、接続アーム201は、液体燃料電池100および電動式ミニチュア飛行機200ともども連結部202を中心に水平面内で回転を開始する。従って、回転するディスプレイ装置として人の目を引くこととなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の液体燃料電池の実施の形態1を示す正面外観図である。
【図2】図1の液体燃料電池の裏面外観図である。
【図3】図1および図2で示された液体燃料電池の組み立て構成を示す展開図である。
【図4】(A)は、図3で示される空気極側プレートの正面図である。 (B)は、(A)を上から見た図である。 (C)は、(A)を下から見た図である。
【図5】(A)は、図3で示される空気極セパレータの平面図である。 (B)は、(A)の正面図である。 (C)は、(A)の下面図である。
【図6】液体燃料電池の組み立てに用いられるシート状の部材の形状およびその配置順序を示す図であって、 (A)は、図3で示される第1のガスケットを示す図である。 (B)は、図3で示される膜/電極接合体を示す図である。 (C)は、図3で示される第2のガスケットを示す図である。
【図7】図3および図6で示される膜/電極接合体の構造を示す断面図である。
【図8】シート状の部材を図7のように膜/電極接合体とせずに、単品として組み立てる場合に、組み立てに用いられるシート状の部材の形状およびその配置順序を示す図であって、 (A)は、第1のガスケットを示す図である。 (B)は、第1のシート電極を示す図である。 (C)は、固体高分子電界質膜を示す図である。 (D)は、第2のガスケットを示す図である。 (E)は、第2のシート状電極を示す図である。
【図9】(A)は、燃料極セパレータの平面図である。 (B)は、(A)の正面図である。
【図10】第3のガスケットの平面図である。
【図11】(A)は、図3で示される燃料極側プレートを示す正面図である。 (B)は、(A)の裏面図である。 (C)は、(B)の上面図である。
【図12】図7で示される触媒層の違いによって、セル電圧およびその変化が異なることを示すグラフである。
【図13】固体高分子電解質膜と第1,第2のシート状電極とを図7に示されるように膜/電極接合体として構成した場合と、図8のように単品で構成した場合において、セル電圧およびその変化が異なることを示すグラフである。
【図14】(A)は、この発明の液体燃料電池の実施の形態2を示す正面図である。 (B)は、(A)の右側面図である。 (C)は、(B)の上面図である。
【図15】(A)は、図14で示される液体燃料電池の燃料極側プレートを示す正面図である。 (B)は、(A)の右側面図である。 (C)は、(A)の上面図である。 (D)は、(A)の裏面図である。
【図16】(A)は、図14で示される液体燃料電池の空気極側プレートを示す正面図である。 (B)は、(A)の右側面図である。 (C)は、(A)の裏面図である。
【図17】この発明の液体燃料電池を使用して作成したディスプレイ装置の一例を示す外観図である。
【符号の説明】
【0045】
10,110 空気極側プレート、10a,150f 位置決め支柱、10b タップ付きねじ穴、10c,50c ねじガイド孔、10d,110d 空気取り入れ口、20 空気極セパレータ、20a 空気流路、20b,33b,35b,36b,40b,45b Rカット、20c 空気極セパレータ端子部、30 膜/電極接合体、32a 第1のシート状電極、32b 第2のシート状電極、33 固体高分子電界質膜、35 第1のガスケット、36 第2のガスケット、45 第3のガスケット、40 燃料極セパレータ、40a 液体燃料供給用スリット、40c 燃料極セパレータ端子部、40d 液体燃料供給用スリットの上部、45 第3のガスケット、45a 液体燃料供給用スリット、50,150 燃料極側プレート、50a,150a 燃料貯留タンク部、50d,50e,150d,150e 液体燃料供給路、55 タンク栓、60,160 組立ねじ、100,101 液体燃料電池、132a,132b 触媒層、200 ミニチュア飛行機。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料電池とそれを用いたディスプレイ装置に関し、特に、平板形状の液体燃料電池単セル形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池の単セルを形成し、形成した単セルを絶縁体からなる空気極側プレートと、燃料極側プレートおよび液体燃料漏洩防止用ガスケットとの間に挟んでねじ締め組立部材によって解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記単セルに供給可能にさせた液体燃料電池およびそれを用いたディスプレイ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液体燃料電池は、部品点数が多く、分解および再組み立てに多大な時間を必要とし、評価試験など使用する場合に不便である。なお、この発明に関連する技術が下記の特許文献1,2に開示されている。
【特許文献1】特願2001−211792号公報
【特許文献2】特願2004−070036号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の液体燃料電池は、上述したように、部品点数が多く、コスト高であり、分解および再組み立てが容易でなく、評価試験などに多大な時間を要し、迅速な評価を行なうことが困難である。特に、学習用教材に用いようとする場合、採用することが経済的にも困難である。
【0004】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、従来のものに比較して必要な部品の数をできるだけ少なくし、組立および分解を容易にすることで、使い勝手のよい低廉な価格の液体燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するため、本発明に係る液体燃料電池は、平板形状の液体燃料電池単セル形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池の単セルを形成し、形成した単セルを絶縁体からなる空気極側プレートと、燃料極側プレートおよび液体燃料漏洩防止用ガスケットとの間に挟んでねじ締め組立部材によって解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記単セルに供給可能にさせている。
【0006】
このような構成によれば、絶縁体からなる空気極側プレートと燃料極側プレートとの間に単セルを挟んで液体燃料電池を解体自在に組み立てている。その場合に、単セルは、平板形状の液体燃料電池形成用部材を重ね合わせて作成されているので、解体および再組立が簡単であり、低コストで作成できる。
【0007】
また、この発明において、前記液体燃料電池単セルの形成用部材は、シート状の固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の中央部分に画定された反応領域の一方の表面に重ねられた第1のシート状電極と、固体高分子電解質膜の前記反応領域の他方の表面に重ねられた第2のシート状電極と、第2のシート状電極の周囲を取り囲むように、固体高分子電解質膜の表面にそれぞれ重ねられたシート状の第1,第2のガスケットと、固体高分子電解質膜の上に重ねられた第1のシート状電極および第1のガスケットの上に重ねられ、第1のシート状電極に対する空気供給用貫通孔を備えた平板形状の空気極セパレータと、固体高分子電解質膜の上に重ねられた第2のシート状電極および第2のガスケットの上に重ねられ、第2のシート状電極に対する液体燃料供給用貫通孔を備え平板形状の燃料極セパレータとから構成されている。
【0008】
したがって、この発明において、液体燃料電池の部品点数は少なく、液体燃料電池単セルの形成用部材はシート状あるいは平板形状であるから分解や再組み立てが簡単であり、効率的に使用部材の評価試験などを行うことができる。
【0009】
また、この発明において、前記燃料極側プレートには、液体燃料電池単セルに液体燃料を供給するとともに、その供給のために液体燃料を貯留する空間を有している。したがって、液体燃料の補給を行なうことも無く、適宜な時間発電を継続することができる。
【0010】
また、この発明において、前記空気極側プレートと燃料極側プレートとのうち、少なくとも燃料極側プレートは透明なプラスチックから作られているのが好ましい。外部より液体燃料の化学反応が観察できるからである。
【0011】
また、この発明において、前記空気極側プレートと燃料極側プレートとのうち、少なくとも燃料極側プレートは透明な塩化ビニルまたはガラスから作られているのが好ましい。そうでなければ、液体燃料の濃度が濃い場合に燃料極側プレート自身が液体燃料で化学反応を起こす可能性があるからである。
【0012】
また、この発明において、前記空気極プレートは、前記単セルを構成する各部材の組立位置を合致させるために、各部材の外形の一部をガイドできる位置決め支柱を有する。組み立てが正確で簡単になるからである。
【0013】
また、この発明において、前記固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の中央部分に画定された反応領域の一方の表面に重ねられた第1のシート状電極と、固体高分子電解質膜の前記反応領域の他方の表面に重ねられた第2のシート状電極とは、ホットプレスにより一体的に組み立てられているのが好ましい。組み立て時の部品点数がさらに少なくなり、組み立てが容易だからである。
【0014】
また、この発明において、前記固体高分子電解質膜と第1のシート状電極との接合面には白金電極触媒が配置され、前記固体高分子電解質膜と第2のシート状電極との接合面には白金ルテニウム電極触媒が配置されているのが好ましい。発電効率が良いからである。
【0015】
また、この発明において、前記液体燃料供給用貫通孔は、複数本並列に穿設されたスリット状の貫通孔であるのが好ましい。発電に伴ない発生する気体が排出され易くなるからである。
【0016】
この発明に係わる液体燃料電池は、平板形状の液体燃料電池形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池単セルを形成し、形成した2つの液体燃料電池単セルを絶縁体からなる燃料極側プレートの両面に配置し、それぞれ空気極側プレートとの間に挟んで解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記両方の単セルに供給可能にさせている。したがって、燃料極側プレートの両面に液体燃料電池単セルがそれぞれ構成されるので、直列または並列接続により、倍電圧または倍電流を供給することができる。
【0017】
この発明に係わるディスプレイ装置は、接続線を含んで延びるアームと、アームの一端に取り付けられ、モータでプロペラを回転し空中を移動できるミニチュア飛行体と、アームの他端に取り付けられ、接続線を通じてミニチュア飛行体のモータに電力を供給する前記請求項1ないし10に記載の液体燃料電池と、アームがほぼ水平になるように、アームの中間点を回転自在に支持する支持装置とを有する。
【0018】
このように構成することにより、多くの人の目を引き、長時間の運転が可能であり、液体燃料の追加によりさらに運転時間を容易に延ばすことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、この発明は、絶縁体からなる空気極側プレートと燃料極側プレートとの間に単セルを挟んで液体燃料電池を解体自在に組み立てている。その場合に、単セルは、平板形状の液体燃料電池形成用部材を重ね合わせて作成されているので、解体および再組立が簡単であり、低コストで作成できる。また、従来のものに比較して必要な部品の数が少なく、組立および分解を短時間で容易に実行することができるようにし、使い勝手のよい低廉な価格の液体燃料電池を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。図1は、この発明の液体燃料電池の実施の形態1を示す正面外観図、図2は、図1の液体燃料電池の裏面外観図、図3は、図1および図2で示された液体燃料電池の組み立て構成を示す展開図、図4ないし図11は、図3で示される各部材の詳細を説明するための図である。図1ないし図3で示される液体燃料電池100は、空気極側プレート10と、空気極セパレータ20と、膜/電極接合体30と、燃料極セパレータ40と、ガスケット35,36,45と、燃料極側プレート50と、タンク栓55、組立ねじ60とから構成されている。この場合、空気極側プレート10と、燃料極側プレート50およびガスケット45との間に挟まれる液体燃料電池の単セルは、平板形状あるいはシール状の部材から構成されている。
【0021】
図4(A)は、空気極側プレート10を示す正面図、図4(B)は、図4(A)を上から見た図、図4(C)は、図4(A)を下から見た図である。空気極側プレート10は燃料電池の組立状態や内部がよく見えるように透明な樹脂などで形成されるのが好ましく、絶縁体であることが必要である。また、液体燃料としてアルコールなどを扱うので濃度の濃い場合を考慮すると、塩化ビニルやガラスであることが好ましい。空気極側プレート10の図4(A)の上面の4隅には位置決め支柱10aが設けられ、中央部分には空気取り入れ口10dが設けられている。上述の位置決め支柱10aは、以降で説明する各部の組立の外縁の一部をガイドして位置決めを行うために用いられる。位置決め支柱10aの中央部には組立ねじ60(あるいは、6角ボルト)のねじ山の外径よりも若干大きい貫通孔であるねじガイド孔10cが設けられ、組立ねじ60をガイドするように作用する。他方、位置決め支柱10aよりも下方には組立ねじ60のためのタップ付きねじ穴10bが設けられている。
【0022】
図5(A)は、空気極セパレータ20を示す平面図、図5(B)は、図5(A)の正面図、図5(C)は、図5(A)の下面図である。空気極セパレータ20は、不透過性のカーボン、金属、膨張黒鉛、導電性セラミック、あるいは、導電性ポリマーの何れかから形成される。空気極セパレータ20の中央部分には、厚み方向に貫通する複数の空気流路20a(酸素を用いる場合には酸素流路;この例では、9個所)が開けられ、空気流路20aが設けられた中央部分の4隅には位置決め支柱10aの外周で切り取られたようなRカット20bが位置決めのために設けられている。また、空気極セパレータ20の中央部分からは、電気的接続のために、空気極セパレータ端子部20cが延び出している。空気極セパレータ20は、液体燃料電池の組立時に、4個所のRカット20bがそれぞれ位置決め支柱10aの外周に沿って移動するように、空気極側プレート10の上に置かれる。
【0023】
図6(A)ないし図6(C)は、空気極セパレータ20と燃料極セパレータ40との間にそれぞれ配置されるシート状の部材を示す平面図であって、その形状およびその配置順序を示している。すなわち、空気極側プレート10の上に置かれた空気極セパレータ20の上に、図6(A)で示される第1のガスケット35、図6(B)で示される膜/電極接合体30、図6(C)で示される第2のガスケット36の順序で配置する。各部材30,35,36のRカット33b,35b,36bは、位置決め支柱10aの外周に沿って移動配置する。この場合、膜/電極接合体30の第1,第2のシート状電極32a,32bが第1,第2のガスケット35,36の電極用開口35a,36aに適切に合致するように配置する。
【0024】
上述の場合の膜/電極接合体30は、図7に示されるように、固体高分子電解質膜33と、第1のシート状電極(第1の拡散層付き電極)32aと、第2のシート状電極(第2の拡散層付き電極)32bとから構成されており、第1のシート状電極32aは、固体高分子電解質膜33の中央部分に画定された反応領域の一方の表面にホットプレス(例えば、常温〜200℃程度で、0.1MPa〜10MPa程度の圧力で行なう)され、第2のシート状電極32bは、反応領域の他方の表面にホットプレスされ、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly)を形成している。この場合、固体高分子電解質膜33と、第1,第2のシート状電極32a,32bとのホットプレス面には触媒層132a,132bが配置されている。なお、固体高分子電解質膜33としては、フッ素系電解質膜(例えば、デュポン社製のNafion膜など)、炭化水素系電解質膜、無機/有機複合電解質膜などが使用可能である。
【0025】
なお、この例においては、固体高分子電解質膜33と、第1,第2のシート状電極32a,32bとを組み立てやすくするために、図7に示されるように、予めサブアセンブリとして構成するようにしているが、各部品を個別部品として組み立ててもかまわないことは言うまでもない。その場合には、空気極セパレータ20と燃料極セパレータ40との間にそれぞれ配置されるシート状の部材の形状およびその配置順序は、図8に示すようになる。
【0026】
すなわち、図8のように組立を行なう場合には、最初に、図8(A)で示されるように、シート状の第1のガスケット35を空気極セパレータ20の上に置き、次に、第1のガスケット35の電極用開口35aの中に第1のシート状電極(第1の拡散層付き電極)32aを置く。第1のガスケット35と、第1のシート状電極32aとはほぼ同じ厚みを持っているので両者の表面はほぼ平らになる。第1のガスケット35と第1のシート状電極32aとが形成する平面の上にシート状の固体高分子電解質膜33を置く。固体高分子電解質膜33の上に更に第2のガスケット36と第2のシート状電極32bを平らになるように置く。この例では、第1,第2のガスケット35,6と第1,第2のシール状電極32a,32bとによって、それぞれの電極構造を構成しているが、コストなどを無視すれば、拡散層付き電極の材料で電極構造の全体を形成してもよい。図8で示されたシート状の部材が平らな層をなすように置かれた上に図9で示されるような燃料極セパレータ40を置く。
【0027】
図9(A)は、燃料極セパレータ40の平面図、図9(B)は、図9(A)の正面図である。図9で示される燃料極セパレータ40は、空気極セパレータ20と同じような材料から形成されており、中央部分には厚み方向に貫通する液体燃料供給用スリット40aが複数(この例では5本)穿設されている。中央部分の4隅には位置決め支柱10aの外周で切り取られたような組み立てガイド用のRカット40bが設けられている。また、燃料極セパレータ40の中央部分からは、燃料極セパレータ端子部40cが延び出している。燃料極セパレータ40は、液体燃料電池の組立時に、4個所のRカット40bがそれぞれ位置決め支柱10aの外周に沿って移動するように、シート状の部材30,31の上に置かれる。
【0028】
次に、燃料極セパレータ40の上に第3のガスケット45がおかれる。第3のガスケット45は、図10に示されるように、燃料極セパレータ40の液体燃料供給用スリット40aに対応する位置に液体燃料供給開口45aが開けられている。また、4隅には位置決め用のRカット41bが設けられている。さらに、第3のガスケット45の上には燃料極側プレート50が置かれる。図11(A)は、燃料極側プレートを示す正面図、図11(B)は、図11(A)の裏面図、図11(C)は、図11(B)の上面図である。燃料極側プレート50は燃料電池の組立状態や内部の反応などがよく見えるように透明な樹脂やガラスなどの絶縁体で形成される。
【0029】
上述の燃料極側プレート50の場合、液体燃料として濃度の高いアルコールなどを扱うので塩化ビニルやガラスが好適である。濃度の低い場合(例えば、10wt%程度)にはアクリルでも使用は可である。燃料極側プレート50の中央には、液体燃料を貯留するために板厚の途中まで円筒状に掘り込まれた燃料貯留タンク部50aが設けられている。この燃料貯留タンク部50aは、組み立て時において、第3のガスケット45を介して燃料極セパレータ40の液体燃料供給用スリット40aと対向することとなる。燃料極側プレート50の4隅には、組立ねじ60(あるいは、6角ボルト)のねじ山の外径よりも若干大きい貫通孔であるねじガイド孔50cが設けられ、組立ねじ60をガイドする。ねじ穴50bは、組み立て完了時に組立ねじ60の頭部を収納するように作られている。燃料極側プレート50の上部壁からは、燃料貯留タンク部50aに通じる液体燃料供給路50d,50eが設けられている。
【0030】
上述のように各部材10,20,30,40,45,50が重ねられた後に、燃料極側プレート50のねじ穴50bから空気極プレート10に向けて組立ねじ60を挿入し、組立ねじ60のねじ山が空気極側プレート10のタップ付きねじ穴10bのタップと螺合するように組立てる。この場合、空気極側プレート10の位置決め支柱10aの高さH0は、組立が完了したとき、空気極セパレータ20と燃料極セパレータ40とに挟まれたシート状の部材が適切な圧力で保持されるように設定されている。
【0031】
この液体燃料電池は、極めて少ない部品数(例えば、空気極セパレータ20および燃料極セパレータ40は、セパレータおよび集電板の役目も担っている)で構成されているとともに、空気極側プレート10と、燃料極側プレート50および第3のガスケット45との間に配置された液体燃料電池の単セルは、平板形状に加工された部材の重ねあわせで構成されているので、組み立ても容易であり、5〜10分で行うことができる。したがって、各種の空気極セパレータ、燃料極セパレータ、電解質膜等の交換が容易であり、各種の部材の評価実験によく適合している。
【0032】
このように組み立てられた液体燃料電池100において、一方の液体燃料供給路、例えば、液体燃料供給路50eから液体燃料を供給すると、液体燃料は液体燃料供給路50eから燃料貯留タンク部50aに注がれ、燃料貯留タンク部50aに貯留されるとともに、液体燃料供給用スリット40aを経由して膜/電極接合体30に供給され、発電に供される。他方の液体燃料供給路50d(燃料貯留タンク部50aの中で高い方の位置にある)は、液体燃料供給時の燃料貯留タンク部50aからの排気口として働く。この場合、液体燃料としては、メタノール、ジメチールエーテル、エタノール、アスコルビン酸、アンモニア、蟻酸、グルタミン酸、糖類、血液、水素化ホウ酸ナトリウムが使用できる。
【0033】
上述の発電稼動時においては、液体燃料の不要な蒸発などを防ぐために、一方の液体燃料供給路、例えば、液体燃料供給路50eは、弾性材からなるタンク栓55で封止しておくのが好ましい。また、液体燃料電池100が扱いミスによって転倒したような場合に、燃料貯留タンク部50aや液体燃料供給路50d,50eから貯留済みの液体燃料が簡単にはこぼれでないように、液体燃料供給路50d,50eの直径を適切な小径にしておくのが好ましい(この例では、約2φ(直径2mm))。
【0034】
上述の発電の結果、空気極セパレータ20の空気極セパレータ端子部20cと、燃料極セパレータ40の燃料極セパレータ端子部40cとの間から電力を供給することが可能になる。この場合に、膜/電極接合体30から気体(例えば、CO2)の発生があって、液体燃料供給用スリット40aを経由して燃料貯留タンク部50aに発生した気体が移動し排出される。そこで、気体の移動を容易にするために、液体燃料供給用スリット40aの上部40dは、燃料極側プレート50に向いてラッパ状に開くように傾斜がつけられているのが好ましい。なお、気体の発生の説明のために、液体燃料がメタノールである場合の発電に関する反応の例を下記に示しておく。
【0035】
燃料極セパレータ側(アノード側)における反応(1)は、
CH3OH+H2O → CO2+6H++6e- ・・・(1)
空気極セパレータ側(カソード側)における反応(2)は、
(3/2)・O2+6H++6e- → 3H2O ・・・(2)
液体燃料電池全体の反応(3)は、
CH3OH+(3/2)・O2 → CO2+2H2O ・・・(3)
【0036】
また、上述の液体燃料電池100を用いて下記のような実験を行なった。先ず、図7で示される膜/電極接合体30に関して、触媒132aとして白金電極触媒を用い、触媒132bとして白金電極触媒を用いた場合と、白金ルテニウム電極触媒(一酸化炭素に関する被毒作用の防止)を用いた場合との比較実験を行なった。その結果を示すのが図12のグラフである。このグラフから第2のシート状電極の触媒132bとして白金電極触媒を用いるよりも、白金ルテニウム電極触媒を用いる方がセル電圧を倍以上に高められることが分かる。
【0037】
上述のことに基づき、空気セパレータ側の触媒132aを白金電極触媒とし、燃料極セパレータ側の触媒132bを白金ルテニウム電極触媒とし、ホットプレスで固体高分子電解質膜に接合して膜/電極接合体とした場合(図6,図7を参照)と、ホットプレスによる接合を行なわない場合(図8を参照)との比較実験を行なった。その結果を示すのが図13のグラフである。このグラフからホットプレスを行なう方がセル電圧を高められることが分かる。なお、これらの液体燃料電池3〜5wt%のメタノール水溶液を規定量入れ、室温にて0.3V駆動20mAのモータを駆動したところ、12時間以上連続運転が可能であった。
【0038】
次に、この発明の液体燃料電池の実施の形態2について図14ないし図16を参照して説明する。図14(A)は、この発明の液体燃料電池の実施の形態2を示す正面図、図14(B)は、図14(A)の右側面図、図14(C)は、図14(B)の上面図である。なお、図1ないし図3で示される実施の形態1において用いられる同じ部材は、この例においても同じ符号で示されている。この例の場合、燃料極側プレート150を挟んで、空気極側プレート10の側に第1のセルが構成され、空気極側プレート110の側に第2のセルが構成され、2セル構成となっている。
【0039】
上述の例において使用される部材のうち、空気極側プレート110と、燃料極側プレート150と、組立ねじ160とが実施の形態1において用いられる部材とは形状あるいは長さが若干異なっている。なお、図14において、空気極セパレータ20と燃料極セパレータ40との間に配置されている膜/電極接合体30とガスケット35,36、および、燃料極側プレート150と燃料極セパレータ40との間に配置されたガスケット45は、図3の場合と同じなので表示を省略している。
【0040】
図15(A)は、燃料極側プレート150の正面図、図15(B)は、図15(A)の右側面図、図15(C)は、図15(A)の上面図、図15(D)は、図15(A)の裏面図である。この例においては、燃料極側プレート150の両側にセルが形成されるので、燃料貯留タンク部150aは、燃料極側プレート150の厚み方向に貫通して形成されている。この燃料貯留タンク部150aには側面(図15(A)では上面)から通じる液体燃料供給路150d,150eが穿設されている。また、第2のセルを形成する各部材の組立ガイドとなるように、位置決め支柱10aに対応する位置に位置決め支柱150fが配置され、位置決め支柱10aと同様な働きをしている。
【0041】
図16(A)は、空気極側プレート10の反対側に配置されたもう一つの空気極プレート110を示す正面図、図16(B)は、図16(A)の右側面図、図16(C)は、図16(A)の裏面図である。空気極側プレート110の4隅には、組立ねじ160(あるいは、6角ボルト)のねじ山の外径よりも若干大きい貫通孔であるねじガイド孔110cが設けられ、組立ねじ160をガイドする。ねじ穴110bは、組み立て完了時に組立ねじ160の頭部を収納するように作られている。図14のように組立が完了した後に、液体燃料供給路150d,150eのいずれかから貯留タンク部150aに液体燃料が注入されると、2つのセルのそれぞれに発電が開始されるので、2つのセルを直列あるいは並列に接続することにより単セルの場合に比較して2倍の電圧あるいは2倍の電流を供給することができる。
【0042】
次に上述の液体燃料電池を用いた発明であるディスプレイ装置の実施の形態について説明する。図17のディスプレイ装置において、液体燃料電池100と電動式ミニチュア飛行機200とが接続アーム201の端末にそれぞれ取り付けられている。接続アーム201は、基台204に取り付けられた支柱203の先端に連結部202により水平方向に回転自在に連結されている。連結部202は、液体燃料電池100と電動式ミニチュア飛行機200の重量がほぼバランスするような接続アーム201のバランス接続アームを支柱203に連結するのが好ましい。
【0043】
また、接続アーム201には、液体燃料電池100から電動式ミニチュア飛行機200のモータに電力を送るための接続線が含まれており、液体燃料電池100から電動式ミニチュア飛行機200に電力が送られると、電動式ミニチュア飛行機200のプロペラは回転を始め、接続アーム201は、液体燃料電池100および電動式ミニチュア飛行機200ともども連結部202を中心に水平面内で回転を開始する。従って、回転するディスプレイ装置として人の目を引くこととなる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の液体燃料電池の実施の形態1を示す正面外観図である。
【図2】図1の液体燃料電池の裏面外観図である。
【図3】図1および図2で示された液体燃料電池の組み立て構成を示す展開図である。
【図4】(A)は、図3で示される空気極側プレートの正面図である。 (B)は、(A)を上から見た図である。 (C)は、(A)を下から見た図である。
【図5】(A)は、図3で示される空気極セパレータの平面図である。 (B)は、(A)の正面図である。 (C)は、(A)の下面図である。
【図6】液体燃料電池の組み立てに用いられるシート状の部材の形状およびその配置順序を示す図であって、 (A)は、図3で示される第1のガスケットを示す図である。 (B)は、図3で示される膜/電極接合体を示す図である。 (C)は、図3で示される第2のガスケットを示す図である。
【図7】図3および図6で示される膜/電極接合体の構造を示す断面図である。
【図8】シート状の部材を図7のように膜/電極接合体とせずに、単品として組み立てる場合に、組み立てに用いられるシート状の部材の形状およびその配置順序を示す図であって、 (A)は、第1のガスケットを示す図である。 (B)は、第1のシート電極を示す図である。 (C)は、固体高分子電界質膜を示す図である。 (D)は、第2のガスケットを示す図である。 (E)は、第2のシート状電極を示す図である。
【図9】(A)は、燃料極セパレータの平面図である。 (B)は、(A)の正面図である。
【図10】第3のガスケットの平面図である。
【図11】(A)は、図3で示される燃料極側プレートを示す正面図である。 (B)は、(A)の裏面図である。 (C)は、(B)の上面図である。
【図12】図7で示される触媒層の違いによって、セル電圧およびその変化が異なることを示すグラフである。
【図13】固体高分子電解質膜と第1,第2のシート状電極とを図7に示されるように膜/電極接合体として構成した場合と、図8のように単品で構成した場合において、セル電圧およびその変化が異なることを示すグラフである。
【図14】(A)は、この発明の液体燃料電池の実施の形態2を示す正面図である。 (B)は、(A)の右側面図である。 (C)は、(B)の上面図である。
【図15】(A)は、図14で示される液体燃料電池の燃料極側プレートを示す正面図である。 (B)は、(A)の右側面図である。 (C)は、(A)の上面図である。 (D)は、(A)の裏面図である。
【図16】(A)は、図14で示される液体燃料電池の空気極側プレートを示す正面図である。 (B)は、(A)の右側面図である。 (C)は、(A)の裏面図である。
【図17】この発明の液体燃料電池を使用して作成したディスプレイ装置の一例を示す外観図である。
【符号の説明】
【0045】
10,110 空気極側プレート、10a,150f 位置決め支柱、10b タップ付きねじ穴、10c,50c ねじガイド孔、10d,110d 空気取り入れ口、20 空気極セパレータ、20a 空気流路、20b,33b,35b,36b,40b,45b Rカット、20c 空気極セパレータ端子部、30 膜/電極接合体、32a 第1のシート状電極、32b 第2のシート状電極、33 固体高分子電界質膜、35 第1のガスケット、36 第2のガスケット、45 第3のガスケット、40 燃料極セパレータ、40a 液体燃料供給用スリット、40c 燃料極セパレータ端子部、40d 液体燃料供給用スリットの上部、45 第3のガスケット、45a 液体燃料供給用スリット、50,150 燃料極側プレート、50a,150a 燃料貯留タンク部、50d,50e,150d,150e 液体燃料供給路、55 タンク栓、60,160 組立ねじ、100,101 液体燃料電池、132a,132b 触媒層、200 ミニチュア飛行機。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板形状の液体燃料電池単セル形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池の単セルを形成し、形成した単セルを絶縁体からなる空気極側プレートと、燃料極側プレートおよび液体燃料漏洩防止用ガスケットとの間に挟んでねじ締め組立部材によって解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記単セルに供給可能にさせた液体燃料電池。
【請求項2】
前記液体燃料電池単セル形成用部材は、
シート状の固体高分子電解質膜と、
固体高分子電解質膜の中央部分に画定された反応領域の一方の表面に重ねられた第1のシート状電極と、
固体高分子電解質膜の前記反応領域の他方の表面に重ねられた第2のシート状電極と、
第2のシート状電極の周囲を取り囲むように、固体高分子電解質膜の表面にそれぞれ重ねられたシート状の第1,第2のガスケットと、
固体高分子電解質膜の上に重ねられた第1のシート状電極および第1のガスケットの上に重ねられ、第1のシート状電極に対する空気供給用貫通孔を備えた平板形状の空気極セパレータと、
固体高分子電解質膜の上に重ねられた第2のシート状電極および第2のガスケットの上に重ねられ、第2のシート状電極に対する液体燃料供給用貫通孔を備えた平板形状の燃料極セパレータとから構成される請求項1記載の液体燃料電池。
【請求項3】
前記燃料極側プレートには、液体燃料電池単セルに液体燃料を供給するとともに、その供給のために液体燃料を貯留する空間を有している請求項2記載の液体燃料電池。
【請求項4】
前記空気極側プレートと燃料極側プレートとのうち、少なくとも燃料極側プレートは透明なプラスチックから作られている請求項3記載の液体燃料電池。
【請求項5】
前記空気極側プレートと燃料極側プレートとのうち、少なくとも燃料極側プレートは透明な塩化ビニルまたはガラスから作られている請求項3記載の液体燃料電池。
【請求項6】
前記空気極プレートは、前記単セルを構成する各部材の組立位置を合致させるために、各部材の外形の一部をガイドできる位置決め支柱を有する請求項5記載の液体燃料電池。
【請求項7】
前記固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の中央部分に画定された反応領域の一方の表面に重ねられた第1のシート状電極と、固体高分子電解質膜の前記反応領域の他方の表面に重ねられた第2のシート状電極とは、ホットプレスにより接合され一体的に組み立てられている請求項6記載の液体燃料電池。
【請求項8】
前記固体高分子電解質膜と第1のシート状電極との接合面には白金電極触媒が配置され、前記固体高分子電解質膜と第2のシート状電極との接合面には白金ルテニウム電極触媒が配置された請求項7記載の液体燃料電池。
【請求項9】
前記液体燃料供給用貫通孔は、複数本並列に穿設されたスリット状の貫通孔である請求項8記載の液体燃料電池。
【請求項10】
平板形状の液体燃料電池形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池単セルを形成し、形成した2つの液体燃料電池単セルを絶縁体からなる燃料極側プレートの両面に配置し、それぞれ空気極側プレートとの間に挟んで解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記両方の単セルに供給可能にさせた液体燃料電池。
【請求項11】
接続線を含んで延びるアームと、
アームの一端に取り付けられ、モータでプロペラを回転し空中を移動できるミニチュア飛行体と、
アームの他端に取り付けられ、接続線を通じてミニチュア飛行体のモータに電力を供給する前記請求項1ないし10に記載の液体燃料電池と、
アームがほぼ水平になるように、アームの中間点を回転自在に支持する支持装置とを有するディスプレイ装置。
【請求項1】
平板形状の液体燃料電池単セル形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池の単セルを形成し、形成した単セルを絶縁体からなる空気極側プレートと、燃料極側プレートおよび液体燃料漏洩防止用ガスケットとの間に挟んでねじ締め組立部材によって解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記単セルに供給可能にさせた液体燃料電池。
【請求項2】
前記液体燃料電池単セル形成用部材は、
シート状の固体高分子電解質膜と、
固体高分子電解質膜の中央部分に画定された反応領域の一方の表面に重ねられた第1のシート状電極と、
固体高分子電解質膜の前記反応領域の他方の表面に重ねられた第2のシート状電極と、
第2のシート状電極の周囲を取り囲むように、固体高分子電解質膜の表面にそれぞれ重ねられたシート状の第1,第2のガスケットと、
固体高分子電解質膜の上に重ねられた第1のシート状電極および第1のガスケットの上に重ねられ、第1のシート状電極に対する空気供給用貫通孔を備えた平板形状の空気極セパレータと、
固体高分子電解質膜の上に重ねられた第2のシート状電極および第2のガスケットの上に重ねられ、第2のシート状電極に対する液体燃料供給用貫通孔を備えた平板形状の燃料極セパレータとから構成される請求項1記載の液体燃料電池。
【請求項3】
前記燃料極側プレートには、液体燃料電池単セルに液体燃料を供給するとともに、その供給のために液体燃料を貯留する空間を有している請求項2記載の液体燃料電池。
【請求項4】
前記空気極側プレートと燃料極側プレートとのうち、少なくとも燃料極側プレートは透明なプラスチックから作られている請求項3記載の液体燃料電池。
【請求項5】
前記空気極側プレートと燃料極側プレートとのうち、少なくとも燃料極側プレートは透明な塩化ビニルまたはガラスから作られている請求項3記載の液体燃料電池。
【請求項6】
前記空気極プレートは、前記単セルを構成する各部材の組立位置を合致させるために、各部材の外形の一部をガイドできる位置決め支柱を有する請求項5記載の液体燃料電池。
【請求項7】
前記固体高分子電解質膜と、固体高分子電解質膜の中央部分に画定された反応領域の一方の表面に重ねられた第1のシート状電極と、固体高分子電解質膜の前記反応領域の他方の表面に重ねられた第2のシート状電極とは、ホットプレスにより接合され一体的に組み立てられている請求項6記載の液体燃料電池。
【請求項8】
前記固体高分子電解質膜と第1のシート状電極との接合面には白金電極触媒が配置され、前記固体高分子電解質膜と第2のシート状電極との接合面には白金ルテニウム電極触媒が配置された請求項7記載の液体燃料電池。
【請求項9】
前記液体燃料供給用貫通孔は、複数本並列に穿設されたスリット状の貫通孔である請求項8記載の液体燃料電池。
【請求項10】
平板形状の液体燃料電池形成用部材を重ね合わせて、液体燃料電池単セルを形成し、形成した2つの液体燃料電池単セルを絶縁体からなる燃料極側プレートの両面に配置し、それぞれ空気極側プレートとの間に挟んで解体自在に組み立て、空気極側プレートから空気を、燃料極側プレートから液体燃料を前記両方の単セルに供給可能にさせた液体燃料電池。
【請求項11】
接続線を含んで延びるアームと、
アームの一端に取り付けられ、モータでプロペラを回転し空中を移動できるミニチュア飛行体と、
アームの他端に取り付けられ、接続線を通じてミニチュア飛行体のモータに電力を供給する前記請求項1ないし10に記載の液体燃料電池と、
アームがほぼ水平になるように、アームの中間点を回転自在に支持する支持装置とを有するディスプレイ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2007−12304(P2007−12304A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−188281(P2005−188281)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(597103023)株式会社 ケミックス (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【出願人】(597103023)株式会社 ケミックス (7)
【Fターム(参考)】
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