説明

液体現像剤、現像剤カートリッジ、画像形成方法、及び画像形成装置

【課題】最低定着温度を低く抑えることと、得られた画像の保存性の向上と、が両立される液体現像剤を提供する。
【解決手段】キャリア液と、前記キャリア液に分散されたトナー粒子であって、結着樹脂とラジカル重合性化合物とを含み、前記ラジカル重合性化合物は、25℃において液体の化合物であり、かつ、前記キャリア液50質量部と前記ラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させる条件下において前記ラジカル重合性化合物の少なくとも一部が前記キャリア液に溶解しない難溶性を示す化合物である、トナー粒子と、を有する液体現像剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤、現像剤カートリッジ、画像形成方法、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、脂肪族炭化水素溶媒中に着色剤と、特定の構造を有するモノマー若しくはその重合体と多官能アクリレートモノマー或いはその重合体とを含む組成物又はこれらの共重合体と、を主成分とした紫外線定着性トナーが分散されてなることを特徴とする静電写真用液体現像剤が開示されている。
【0003】
特許文献2には、絶縁性液体中に、主として樹脂材料で構成されたトナー粒子が分散した液体現像剤であって、前記絶縁性液体が特定の不飽和脂肪酸モノエステルを含み、前記絶縁性液体中における前記不飽和脂肪酸モノエステルの含有量、前記絶縁性液体の体積低効率、及び前記樹脂材料の重量平均分子量Mwが特定の範囲である液体現像剤が開示されている。
【0004】
特許文献3には、電気絶縁性非水キャリア液体に、少なくとも1種の熱可塑性樹脂と脂肪族ポリエステルオリゴマーを特定の含有比で含有するトナー粒子を少なくとも懸濁分散させてなる電子写真用液体現像剤が開示されている。
【0005】
特許文献4には、イオン架橋された無定形ビニル重合体と、パラフィンワックスと、特定の構造を有するアルキレンビス脂肪酸アミドワックスとを含有してなることを特徴とする、乾式の静電像現像用トナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平6−25875号公報
【特許文献2】特開2008−26571号公報
【特許文献3】特開平3−271752号公報
【特許文献4】特開平1−161255号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、最低定着温度を低く抑えることと、得られた画像の保存性の向上と、が両立される液体現像剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
キャリア液と、
前記キャリア液に分散されたトナー粒子であって、結着樹脂とラジカル重合性化合物とを含み、前記ラジカル重合性化合物は、25℃において液体の化合物であり、かつ、前記キャリア液50質量部と前記ラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させる条件下において前記ラジカル重合性化合物の少なくとも一部が前記キャリア液に溶解しない難溶性を示す化合物である、トナー粒子と、
を有する液体現像剤である。
【0009】
請求項2に係る発明は、
前記ラジカル重合性化合物は、1分子中に重合性基を2以上有する、請求項1に記載の液体現像剤である。
【0010】
請求項3に係る発明は、
さらに重合開始剤を含む、請求項1又は請求項2に記載の液体現像剤である。
【0011】
請求項4に係る発明は、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体現像剤が収容された現像剤カートリッジである。
【0012】
請求項5に係る発明は、
潜像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、
前記潜像保持体の表面に形成された前記潜像を、現像剤保持体の表面に保持された請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記潜像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を前記記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着工程と、
前記定着画像に刺激を付与する刺激付与工程と、
を有する、画像形成方法である。
【0013】
請求項6に係る発明は、
前記トナー像及び前記刺激付与工程によって前記刺激が付与される前の前記定着画像の少なくとも一方に重合開始剤を添加する重合開始剤添加工程をさらに有する、請求項5に記載の画像形成方法である。
【0014】
請求項7に係る発明は、
潜像保持体と、
前記潜像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体現像剤が収容されるとともに、現像剤保持体を有し、前記潜像保持体の表面に形成された前記潜像を、前記現像剤保持体の表面に保持された前記液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、
前記潜像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を前記記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、
前記定着画像に刺激を付与する刺激付与手段と、
を有する画像形成装置である。
【0015】
請求項8に係る発明は、
前記トナー像及び前記刺激付与手段によって前記刺激が付与される前の前記定着画像の少なくとも一方に重合開始剤を添加する重合開始剤添加手段をさらに有する、請求項7に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明によれば、トナー粒子が前記ラジカル重合性化合物を含まない場合に比べ、最低定着温度を低く抑えることと、得られた画像の保存性の向上と、が両立される。
【0017】
請求項2に係る発明によれば、前記ラジカル重合性化合物が1分子中に重合性基を1つ有する場合に比べ、得られた画像の保存性が向上する。
【0018】
請求項3に係る発明によれば、液体現像剤が重合開始剤を含まない場合に比べ、重合開始剤添加工程を別途設けなくても保存性の良好な画像が形成される。
【0019】
請求項4から請求項8に係る発明によれば、トナー粒子が前記ラジカル重合性化合物を含まない場合に比べ、最低定着温度を低く抑えることと、得られた画像の保存性の向上と、が両立される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[液体現像剤]
本実施形態に係る液体現像剤は、キャリア液と、前記キャリア液に分散されたトナー粒子と、を有し、前記トナー粒子は、結着樹脂と、ラジカル重合性化合物と、を含む。そして前記ラジカル重合性化合物は、25℃において液体の化合物であり、かつ、前記キャリア液50質量部と前記ラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させる条件下において前記ラジカル重合性化合物の少なくとも一部が前記キャリア液に溶解しない難溶性を示す化合物である。
以下、「25℃において液体」であることを「液状」であると称する場合があり、25℃において液体の化合物を「液状化合物」と称する場合がある。また、キャリア液50質量部とラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させる条件下において前記ラジカル重合性化合物の少なくとも一部が前記キャリア液に溶解しない難溶性を示すことを、「ラジカル重合性化合物がキャリア液に対して難溶である」と表現する場合がある。
【0022】
ここで、ラジカル重合性化合物がキャリア液に対して難溶であるかどうかは、以下のようにして確認する。具体的には、例えば、キャリア液50質量部とラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させて得られた混合液を、10分攪拌し、ラジカル重合性化合物の溶け残りの有無を目視で判断し、溶け残りが目視で確認される場合を「難溶」とする。
【0023】
本実施形態の液体現像剤は、上記構成であることにより、トナー粒子が前記ラジカル重合性化合物を含まない場合に比べ、最低定着温度を低く抑えることと、得られた画像の保存性の向上と、が両立される。その理由は定かではないが、以下のように推測される。
本実施形態では、トナー粒子中に液状のラジカル重合性化合物を含むことにより、前記ラジカル重合性化合物の可塑化効果によって結着樹脂が可塑化されると考えられる。そのため、前記ラジカル重合性化合物を含まない場合(すなわち、ラジカル重合性化合物を含まない場合や、液状ではなく固体のラジカル重合性化合物を含む場合等)に比べ、より低い温度でも定着されるようになり、画像が定着される温度範囲の下限値(以下「最低定着温度」と称する場合がある)が下がると考えられる。
【0024】
また本実施形態では、キャリア液に難溶であるラジカル重合性化合物を含んでいるため、例えばキャリア液に難溶ではない(キャリア液50質量部とラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させたときにキャリア液に溶解しないラジカル重合性化合物が存在しない)場合に比べて、トナー粒子中に高濃度でラジカル重合性化合物が存在しやすく、上記可塑化効果が得られやすいと考えられる。
具体的には、キャリア液に難溶ではないラジカル重合性化合物を用いると、製造過程でトナー粒子中にラジカル重合性化合物を含有させても、トナー粒子をキャリア液に分散させることでラジカル重合性化合物がキャリア液に溶け出しやすいと考えられる。そのため、トナー粒子中にラジカル重合性化合物が存在しにくく、ラジカル重合性化合物による上記可塑化効果は得られにくいと考えられる。
【0025】
これに対して本実施形態では、キャリア液に難溶であるラジカル重合性化合物を用いるため、予めラジカル重合性化合物を内添したトナー粒子中をキャリア液に分散させてもラジカル重合性化合物がキャリア液に溶け出しにくいと考えられる。また本実施形態では、キャリア液に難溶であるラジカル重合性化合物を用いるため、トナー粒子をキャリア液に分散させた後にラジカル重合性化合物を添加しても、キャリア液中のラジカル重合性化合物がトナー粒子に吸収されやすいと考えられる。このように、キャリア液に難溶であるラジカル重合性化合物を用いることで、キャリア液に難溶ではないラジカル重合性化合物を用いた場合に比べ、ラジカル重合性化合物をトナー粒子中に存在させやすくなり、上記可塑化効果が得られやすくなると考えられる。
【0026】
そして本実施形態では、トナー粒子中に上記ラジカル重合性化合物を含むため、画像に刺激を付与してラジカルを発生させることでラジカル重合性化合物が反応し、画像が硬化すると考えられる。そのため本実施形態では、ラジカル重合性化合物を含まない場合(例えば、ラジカル重合性化合物以外の可塑剤を用いた場合)に比べて、保存性の良好な画像が形成されると考えられる。
以上のように、本実施形態では、トナー粒子が上記ラジカル重合性化合物を含まない場合に比べ、最低定着温度を低く抑えることと、得られた画像の保存性の向上と、が両立されると推測される。
【0027】
なお、上記画像に付与する刺激は、用いるラジカル重合性化合物に応じて選択されるものであり、ラジカル重合性化合物のラジカル重合反応が生じるものであれば限定されないが、具体的には、例えば、放射線、熱等が挙げられる。また放射線としては、例えば、α線、γ線、X線、紫外線、可視光線、電子線などが挙げられる。これらのうち紫外線又は可視光線を用いる形態が、コストが抑えられ、安全性も高いと考えられる。また放射線として紫外線、可視光線等を使用する場合は、ラジカル重合性化合物の重合を開始するための重合開始剤や増感剤を併用してもよい。
【0028】
本実施形態では、1分子中に重合性基を2以上有するラジカル重合性化合物(以下、「2官能以上のラジカル重合性化合物」と称する場合がある)を用いることにより、1分子中に重合性基を1つ有するラジカル重合性化合物を用いる場合に比べ、得られた画像の保存性がさらに向上する。その理由は定かではないが、ラジカル重合性化合物の重合性基が2以上であることにより、重合性基が1つの場合に比べ、ラジカル重合性化合物の反応点が多いため、画像に刺激を付与することよってより硬化しやすく、強固な画像が得られやすいためであると推測される。
【0029】
また本実施形態では、液体現像剤が重合開始剤を含むことにより、液体現像剤が重合開始剤を含まない場合に比べ、重合開始剤添加工程を別途設けなくても保存性の良好な画像が形成され、画像形成工程が簡略化される。
以下、上記液体現像剤を構成する成分についてさらに詳細に説明する。
【0030】
<トナー粒子>
トナー粒子は、上記の通り、少なくとも結着樹脂とラジカル重合性化合物とを含み、必要に応じて、着色剤、離型剤、重合開始剤等のその他成分を含んでもよい。
【0031】
−結着樹脂−
結着樹脂は特に限定されず、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、等が挙げられる。さらに、ポリウレタン、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド、変性ロジン、パラフィンワックスを用いてもよい。結着樹脂は、上記樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上の樹脂を混合して用いてもよい。
2種以上の樹脂を混合して用いる形態としては、例えば、熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマーとの混合物が挙げられ、さらに具体的には、例えば、スチレン系熱可塑性樹脂とスチレン系熱可塑性エラストマー樹脂との混合物が挙げられる。
【0032】
スチレン系熱可塑性樹脂とは、スチレン骨格を有する単量体(以下「スチレン系単量体」称する場合がある)に由来する繰り返し単位を有する熱可塑性樹脂である。ここで「スチレン系単量体に由来する繰り返し単位」とは、重合体を構成する繰り返し単位のうち、スチレン系単量体が反応した結果生成した繰り返し単位を意味する。他の単量体に由来する繰り返し単位についても同様である。
【0033】
スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−ter−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン等が挙げられる。
【0034】
またスチレン系熱可塑性樹脂は、スチレン単量体と他の単量体との共重合体であってもよい。他の単量体としては、例えば、アクリル酸エステル構造を有する単量体(以下「アクリル酸エステル系単量体」と称する場合がある)、その他のビニル基を有する単量体(以下「ビニル系単量体」と称する場合がある)等が挙げられる。
【0035】
アクリル酸エステル系単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステルの他、アクリル酸2−クロルエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、α−クロルアクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸グリシジル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、ビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、メタクリロキシエチルホスフェートなどが挙げられ、1種のみ用いてもよいし、2種以上の単量体を併用してもよい。なお、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルのいずれか又は両方であることを意味する。
【0036】
その他のビニル系単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソプレン等のオレフィン系単量体、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、α−エチルアクリル酸、クロトン酸等のアクリル酸及びそのα−又はβ−アルキル誘導体;フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、等の不飽和ジカルボン酸及びそのモノエステル誘導体又はジエステル誘導体;コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、(メタ)アクリロニトリル、アクリルアミド等が挙げられる。
【0037】
熱可塑性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、例えば15万以上50万以下の範囲が挙げられる。
また、熱可塑性樹脂の分子量分布(Mw/Mn)としては、例えば2以上20以下の範囲が挙げられる。
なお、熱可塑性樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)で測定される分子量分布において、複数のピークや肩部をもっていてもよい。
【0038】
上記重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定される。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC−8120を用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM−M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。そして上記重量平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出したものである。重量平均分子量の測定については、以下同様である。また、数平均分子量(Mn)の測定も上記重量平均分子量(Mw)と同様にして行い、それらの値から分子量分布(Mw/Mn)が算出される。
【0039】
前記スチレン系の熱可塑性エラストマー樹脂は、少なくともスチレン系単量体に由来する繰り返し単位を有する熱可塑性エラストマー樹脂である。熱可塑性エラストマー樹脂としては、例えば、常温(例えば25℃)においてゴムの性質を有し、高温において熱可塑性プラスチックと同様に軟化する性質を有するものが挙げられる。
【0040】
スチレン系の熱可塑性エラストマー樹脂の具体例としては、例えば、上記スチレン系単量体と上記オレフィン系単量体とのブロック共重合体等が挙げられ、さらに具体的には、例えば、ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリブタジエン/ブチレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリエチレン/ブチレン−ポリスチレン、ポリスチレン−ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリブタジエン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリイソプレン−ポリスチレン、ポリスチレン−水添ポリ(イソプレン/ブタジエン)−ポリスチレン等が挙げられる。
【0041】
なお、上記具体例において、例えば「ポリスチレン−ポリブタジエン/ブチレン−ポリスチレン」とは、ポリスチレンのブロック、ポリブタジエンのブロック、及びポリスチレンのブロックがこの順に結合したブロック共重合体において、ブタジエンのブロックが部分的に水添された構造であることを示す。すなわち、上記「ポリブタジエン/ブチレン」は、ブタジエン部位と、ブタジエンが水添されたブチレン部位と、が混在したブロックを意味する。
また上記具体例において、例えば「水添ポリブタジエン」とは、ポリブタジエンの二重結合に水素を添加したものであることを示す。
【0042】
また、これらのブロック共重合体において、ポリスチレンに挟まれたソフトセグメント部に極性基を導入したブロック共重合体を使用してもよい。
極性基としては、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、アシル基等が挙げられる。
【0043】
上記スチレン系の熱可塑性エラストマー樹脂の重量平均分子量としては、例えば、3万以上30万以下の範囲が挙げられる。
スチレン系の熱可塑性エラストマー樹脂の市販品としては、例えば、旭化成社製のタフテックM1911、タフテックM1943、タフテックMP10、アサプレンT439、タフプレンA、クラレ社製のDYNARON8630Pなどが挙げられる。
【0044】
結着樹脂が熱可塑性樹脂と熱可塑性エラストマー樹脂との混合物である場合、熱可塑性樹脂の含有量としては、例えばトナー粒子全体に対して50質量%以上90質量%以下が挙げられ、50質量%以上70質量%以下であってもよい。また熱可塑性エラストマー樹脂の含有量としては、例えばトナー粒子全体に対して5質量%以上50質量%以下が挙げられ、10質量%以上40質量%以下であってもよい。
【0045】
−ラジカル重合性化合物−
ラジカル重合性化合物は、放射線等の刺激によって発生したラジカルによって重合反応が進む化合物であり、例えばエチレン性不飽和結合を有する化合物が挙げられ、具体的には、例えば、エチレン性不飽和結合を有する単量体が挙げられる。
また本実施形態の液体現像剤において、トナー粒子に含有させるラジカル重合性化合物は、上記の通り液状であり、かつ、キャリア液に対して難溶な化合物である。
【0046】
液状のラジカル重合性化合物としては、例えば、下記(メタ)アクリレート化合物が挙げられる。
単官能(1分子中の重合性基が1つ)の(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、ブトシキメチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキシドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0047】
二官能(1分子中の重合性基が2つ)の(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジメチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化シクロヘキサンメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングルコールジ(メタ)アクリレート、オリゴエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFポリエトキシジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、オリゴプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0048】
三官能(1分子中の重合性基が3つ)の(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのアルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ((メタ)アクリロイルオキシプロピル)エーテル、イソシアヌル酸アルキレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリ((メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性ジメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0049】
四官能(1分子中の重合性基が4つ)の(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピオン酸ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0050】
五官能(1分子中の重合性基が5つ)の(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば、ソルビトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
六官能(1分子中の重合性基が6つ)の(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、例えば、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ソルビトールヘキサ(メタ)アクリレート、フォスファゼンのアルキレンオキサイド変性ヘキサ(メタ)アクリレート、カプトラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
【0051】
上記液状のラジカル重合性化合物の中でも、キャリア液に対して難溶なラジカル重合性化合物は、用いるキャリア液に応じて選択される。
具体的には、例えば、キャリア液としてパラフィンオイルを用いた場合、キャリア液に対して難溶なラジカル重合性化合物としては、例えば、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートが挙げられる。
【0052】
本実施形態において用いられるキャリア液とラジカル重合性化合物との組み合わせとしては、例えば、モレスコホワイトP40とエチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートの組み合わせ、モレスコホワイトP40とジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの組み合わせ、モレスコホワイトMT−30Pとプロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレートの組み合わせが挙げられる。
【0053】
ラジカル重合性化合物は、1種のみ用いてもよく、2種以上併用してもよい。
トナー粒子に対するラジカル重合性化合物の含有量としては、例えば5質量%以上70質量%以下が挙げられ、10質量%以上50質量%以下であってもよく、10質量%以上30質量%以下であってもよい。
上記ラジカル重合性化合物の分子量としては、170以上2000以下の範囲が挙げられ、250以上1000以下であってもよい。
【0054】
なお、ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれているかどうかについては、例えば、液体現像剤からトナー粒子のみを抽出し、得られたトナー粒子をNMR等によって分析することでわかる。
具体的には、例えば、液体現像剤をトナー粒子を通過しないフィルターでろ過することにより、トナー粒子のみを抽出する。そして、得られたトナー粒子表面に付着したキャリア液を揮発させた後に測定用の重溶媒に溶解することによって測定試料を調整し、H−NMR装置でトナー粒子を構成する成分について分析を行う。
また、トナー粒子中に含まれるラジカル重合性化合物の含有量については、上記方法によって抽出されたトナー粒子を、濃度既知の内部標準物質と共にH−NMRで測定し、別途、濃度既知のラジカル重合性化合物と内部標準物質のみのH−NMRの測定値と比較することで算出する。
【0055】
−その他成分−
トナー粒子は、上記ビニル系樹脂及び上記スチレン系の熱可塑性エラストマー樹脂のほか、必要に応じて、着色剤、離型剤、重合開始剤、電荷制御剤、シリカ粉末、金属酸化物などその他成分を含有していてもよい。重合開始剤の詳細については後述する。これらその他成分は、上記結着樹脂に混練するなどして内添してもよいし、トナー粒子を得たのち混合処理を施すなどして外添してもよい。なお、トナー粒子を透明のトナーとする場合は、着色剤を含まなくてもよい。
【0056】
着色剤としては、公知の顔料または染料が用いられる。具体的には、例えば以下に示すイエロー、マゼンタ、シアン、黒の各顔料が挙げられる。
イエローの顔料としては、例えば、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯化合物、メチン化合物、アリルアミド化合物に代表される化合物が挙げられる。
マゼンタの顔料としては、例えば、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、ペリレン化合物が挙げられる。
シアンの顔料としては、例えば、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物、塩基染料レーキ化合物等が挙げられる。
黒の顔料としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、鉄黒等が挙げられる。
【0057】
離型剤としては、特に制限はなく、例えば、カルナバワックス、サトウワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックス、昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックスなどの動物性ワックス;エステルを側鎖に有するフィッシャートロプシュワックス(FTワックス)、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、ポリエステルワックス等の合成炭化水素系ワックス;などが挙げられる。離型剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0058】
電荷制御剤としては、特に制限はなく、従来公知の電荷制御剤が使用される。例えば、ニグロシン染料、脂肪酸変性ニグロシン染料、カルボキシル基含有脂肪酸変性ニグロシン染料、四級アンモニウム塩、アミン系化合物、アミド系化合物、イミド系化合物、有機金属化合物等の正帯電性電荷制御剤;オキシカルボン酸の金属錯体、アゾ化合物の金属錯体、金属錯塩染料やサリチル酸誘導体等の負帯電性電荷制御剤;などが挙げられる。電荷制御剤は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0059】
金属酸化物としては、特に制限はなく、例えば、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム等が挙げられる。金属酸化物は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0060】
−トナー粒子の製造方法−
本実施形態で用いるトナー粒子を製造する方法は特に限定されず、例えば、粉砕トナー粒子、液中乳化乾燥トナー粒子、又は重合トナー粒子の製造方法でトナー粒子を製造する。
【0061】
具体的には、例えば、結着樹脂、並びに必要に応じて着色剤、及び離型剤等の他の添加剤を、ヘンシェルミキサー等の混合装置に投入して混合し、この混合物を二軸押出機等で溶融混練した後、ドラムフレーカー等で冷却し、ハンマーミル等の粉砕機で粗粉砕し、さらにジェットミル等の粉砕機で微粉砕した後、風力分級機等を用いて分級することにより、粉砕トナー粒子が得られる。
上記粉砕トナー粒子を用いる場合、例えば、後述する方法によりトナー粒子をキャリア液に分散させてから、キャリア液にラジカル重合性化合物を添加させて撹拌し、トナー粒子にラジカル重合性化合物を吸収させてもよい。
【0062】
また、例えば、結着樹脂、ラジカル重合性化合物、並びに必要に応じて、着色剤、離型剤、及び重合開始剤等の他の添加剤を、酢酸エチル等の溶剤に溶解し、炭酸カルシウムのごとき分散安定剤が添加された水中に乳化/懸濁し、溶剤を除去した後、分散安定剤を除去して得られた粒子を濾過・乾燥することによって液中乳化乾燥トナー粒子が得られる。
上記液中乳化乾燥トナー粒子を用いる場合、上記のようにトナー粒子製造工程においてラジカル重合性化合物をトナー粒子に含有させてもよいし、上記粉砕トナー粒子と同様に、トナー粒子をキャリア液に分散させてからラジカル重合性化合物を吸収させてもよい。
また上記液中乳化乾燥トナー粒子を用いる場合、重合開始剤を、上記のようにトナー粒子製造工程において含有させてもよいし、トナー粒子に含有させずにキャリア液に含有させてもよいし、液体現像剤に含有させずに画像形成工程において後から添加してもよい。
【0063】
また、例えば、結着樹脂を形成する重合性単量体、必要に応じて、着色剤、重合開始剤(例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、イソプロピルパーオキシカーボネート、クメンハイドロパーオキサイド、2,4−ジクロリルベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等)および他の添加剤などを含有する組成物を水相中に撹拌下で加えて造粒し、重合反応後、粒子を濾過・乾燥することによって重合トナー粒子が得られる。
【0064】
なお、トナーを得る際の各材料(熱可塑性エラストマー及び熱可塑性樹脂、必要に応じて、着色剤、その他の添加剤等)の配合割合は、要求される特性、色などを考慮して設定する。
また上記方法によって得られたトナー粒子は、例えば、ボールミル、ビーズミル、高圧湿式微粒化装置等の公知の粉砕装置を用いて、キャリアオイル中で微粉砕することにより本実施形態の液体現像剤用トナー粒子が得られる。
【0065】
−トナー粒子の特性−
トナー粒子の体積平均粒径D50vとしては、例えば0.5μm以上5.0μm以下の範囲が挙げられ、0.8μm以上4.0μm以下であってもよく、1.0μm以上3.0μm以下であってもよい。
【0066】
トナー粒子の体積平均粒径D50vは、2μm以上のトナー粒子に対しては、コールターマルチサイザー(コールター社製)測定器で測定される。2μmを下回るトナー粒子に対しては、動的光散乱式粒径分布測定装置(例えば、LB−500(堀場製作所社製)、マイクロトラックUPA(日機装社製)等)、又はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、LS13 320(BECKMAN COULTER社製)等)を用いて測定される。上記測定によって得られた粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して、体積について小径側から累積分布を描き、累積50%となる粒子径を体積D50vと定義する。
【0067】
トナー粒子の含有量としては、液体現像剤全体に対し、例えば0.5質量%以上40質量%以下の範囲が挙げられ、1質量%以上30質量%以下であってもよい。
【0068】
<キャリア液>
キャリア液は、トナー粒子を分散させる液体であり、特に制限はないが、例えば体積低効率1.0×1010Ω・cm以上の非水溶媒が挙げられ、その中でも特に前記結着樹脂が溶解しにくい(すなわち、液体現像剤中においてトナー粒子が固体として存在する)非水溶媒が挙げられる。
非水溶媒とは、水以外の溶媒を含むものをいい、水と水以外の溶媒との混合物でもよいが、水を積極的に含まない溶媒であってもよい。
非水溶媒としては、例えば、パラフィンオイル等の脂肪族系炭化水素溶媒(市販品では、松村石油社製モレスコホワイトMT−30P、モレスコホワイトP40、モレスコホワイトP70、エクソン化学社製アイソパーL、アイソパーMなど)、ナフテン系オイル等の炭化水素系溶媒(市販品では、エクソン化学社製 エクソールD80、エクソールD110、エクソールD130、日本石油化学社製 ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、Newナフテゾール160、Newナフテゾール200、Newナフテゾール220、NewナフテゾールMS−20Pなど)が挙げられ、それらの中に、トルエン等の芳香族化合物を含有させてもよい。
非水溶媒は、上記成分のうち、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよく、非水溶媒を2種以上混合して用いる場合、例えば、パラフィン系溶剤と植物油との混合系や、シリコーン系溶剤と植物油との混合系が挙げられる。
【0069】
−キャリア液の特性−
キャリア液の体積抵抗率としては、例えば1.0×1010Ω・cm以上1.0×1014Ω・cm以下の範囲が挙げられ、1.0×1010Ω・cm以上1.0×1013Ω・cm以下の範囲であってもよい。
【0070】
液体現像剤は、必要に応じて、さらにその他の成分を含んでもよい。その他の成分としては、例えば、重合開始剤、硬化性材料、分散剤、乳化剤、界面活性剤、酸化防止剤、湿潤剤、増粘剤、起泡剤、消泡剤、凝固剤、ゲル化剤、沈降防止剤、帯電防止剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、付香剤、粘着防止剤、離型剤等が挙げられる。
【0071】
<重合開始剤>
重合開始剤は、前記ラジカル重合性化合物の重合反応を開始させる添加剤であり、刺激によってラジカルを発生させてラジカル重合性化合物中の重合性基と反応する。
重合開始剤は、液体現像剤中に含有させてもよいし、液体現像剤中に含有させず、画像形成の過程において重合開始剤を後から添加してもよい。ただし上記の通り、液体現像剤中に重合開始剤を含有させておくと、後から重合開始剤を添加する工程を省略しても画像保存性に優れるため、画像形成工程が簡略化される。
また液体現像剤中に重合開始剤を含有させる場合は、トナー粒子中に含有させてもよいし、トナー粒子中に含有させずにキャリア液中に含有させてもよい。ただし、例えばキャリア液の体積抵抗率を下げる重合開始剤を用いる場合には、トナー粒子中に重合開始剤を含有させ、キャリア液に重合開始剤を含有させないことで、キャリア液の体積抵抗率が高く保たれると考えられる。
【0072】
重合開始剤は、用いるラジカル重合性化合物及び用いる放射線等の刺激の種類に応じて選択される。具体的には、例えば、放射線として紫外線を用いる場合、重合開始剤として光重合開始剤を用いる。
重合開始剤の具体例としては、例えば、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンジル誘導体、ベンゾイン誘導体、ベンゾインエーテル誘導体、ベンジルジアルキルケタール誘導体、チオキサントン誘導体、アシルフォスフィンオキサイド誘導体、金属錯体、p−ジアルキルアミノ安息香酸、アゾ化合物、パーオキシド化合物等が挙げられ、これらを1種又は2種以上組み合わせて用い、増感剤と併用してもよい。
【0073】
重合開始剤の使用量は特に制限されていないが、例えば、ラジカル重合性化合物100質量部に対し、例えば0.05質量部以上20質量部以下が挙げられ、0.1質量部以上10質量部以下であってもよく、1質量部以上5質量部以下の範囲であってもよい。
【0074】
<増感剤>
また、重合開始剤とともに増感剤を用いてもよい。増感剤は、単独では光照射によって活性化しないが、光重合開始剤と一緒に使用した場合に光重合開始剤単独で用いた場合よりも効果があるもので、一般にアミン類が用いられる。また増感剤についても、トナー粒子に含まれてもよく、キャリア液に含まれていてもよく、液体現像剤には含まれずに画像形成後の硬化工程前に添加されてもよい。
【0075】
増感剤としては、アミン化合物(脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、トリエタノールアミントリアクリレートなど)、尿素化合物(アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素など)、イオウ化合物(ナトリウムジエチルジチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩など)、ニトリル系化合物(N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなど)、リン化合物(トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスファイドなど)、窒素化合物(ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンの縮合物など)等が挙げられる。
【0076】
増感剤の使用量は、重合開始剤100質量部に対して、例えば0質量部以上10質量部以下が挙げられ、0.05質量部以上10質量部以下の範囲であってもよく、0.1質量部以上5質量部以下であってもよい。
重合開始剤と増感剤との選定や組み合わせ、及び配合比に関しては使用するラジカル重合性化合物や画像形成装置に応じて選定すればよい。
【0077】
<液体現像剤の製造方法>
液体現像剤は、既述のトナー粒子、キャリア液、及び必要に応じてその他の成分を、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル等の分散機を用いて混合し、粉砕して、トナー粒子をキャリア液中に分散することにより得られる。
なお、トナー粒子のキャリア液中への分散は分散機に限られず、ミキサーのごとく、特殊な攪拌羽根を回転させ分散してもよいし、ホモジナイザーとして知られるローター・ステーターの剪断力で分散してもよいし、超音波によって分散してもよい。
その後、得られた分散液を、例えば孔径100μmの膜フィルターを用いて濾過し、ゴミ及び粗大粒子を除去してもよい。
【0078】
[現像剤カートリッジ]
本実施形態の現像剤カートリッジは、上記本実施形態の液体現像剤が収容された現像剤カートリッジであり、例えば、現像剤カートリッジ内に貯留された液体現像剤が、供給管等を通じて、画像形成装置の現像装置に供給される。現像剤カートリッジは、現像剤カートリッジ内における液体現像剤の残量が無くなった際に交換するため、画像形成装置に着脱される構成としてもよい。
【0079】
[画像形成方法、及び画像形成装置]
本実施形態の画像形成方法は、潜像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、潜像保持体の表面に形成された潜像を、現像剤保持体の表面に保持された上記本実施形態の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、潜像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着工程と、定着画像に刺激を付与する刺激付与工程と、を有する画像形成方法である。
【0080】
本実施形態の画像形成方法においては、必要に応じてトナー像及び刺激が付与される前の定着画像の少なくとも一方に重合開始剤を添加する重合開始剤添加工程を有していてもよい。重合開始剤添加工程を有する画像形成方法を用いることにより、重合開始剤を含まない液体現像剤を用いても保存性が良好な画像が得られると考えられる。そして重合開始剤を含まない液体現像剤は安定性が良好であるため、例えば液体現像剤の使用前にラジカル重合性化合物の重合反応が進むことによって、ラジカル重合性化合物による可塑化効果が減少することが抑制されると考えられる。
【0081】
本実施形態の画像形成装置は、潜像保持体と、潜像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、現像剤保持体を有し、潜像保持体の表面に形成された潜像を、現像剤保持体の表面に保持された上記本実施形態の液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、潜像保持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、記録媒体に転写されたトナー像を記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、定着画像に刺激を付与する刺激付与手段と、を有する画像形成装置である。
本実施形態の画像形成装置においては、必要に応じてトナー像及び刺激が付与される前の定着画像の少なくとも一方に重合開始剤を添加する重合開始剤添加手段を有していてもよい。重合開始剤添加手段を有する画像形成装置を用いることにより、重合開始剤を含まない液体現像剤を用いても保存性が良好な画像が得られると考えられる。
【0082】
上記刺激付与工程は、定着画像に刺激が付与されればよく、画像形成工程において刺激を付与する回数は1回でもよいが2回以上でもよく、また定着工程と刺激付与工程とが同時に行われてもよい。
【0083】
上記刺激付与手段は、上記刺激付与工程に対応した刺激付与手段を設ければよい。なお、刺激付与工程を2回以上経る場合は、それぞれの刺激付与工程に対応した2以上の刺激付与手段を設けてもよく、1つの刺激付与手段で2以上刺激付与工程に対応する形態であってもよい。また定着手段が刺激付与手段を兼ねていてもよい。
刺激として紫外線又は可視光線を用いる場合、刺激付与手段(すなわち紫外線又は可視光線を照射する光源)としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ケミカルランプ、LED(発光ダイオード)などが挙げられる。
以下、本実施形態における、液体現像剤を用いた画像形成方法及び画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。
【0084】
図1は、本実施形態の画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図1の画像形成装置は、中間転写体に転写されたトナー像に重合開始剤を添加する重合開始剤添加装置(重合開始剤添加手段)と、記録媒体に定着された定着画像に紫外線を照射する紫外線照射装置(刺激付与手段)と、が設けられた画像形成装置である。
【0085】
画像形成装置100は、例えば、感光体10(潜像保持体)、帯電装置20、露光装置12(帯電装置20と露光装置12とで静電潜像形成手段を構成)、現像装置14(現像手段)、中間転写体16、クリーナ18、転写定着ローラ28(中間転写体16と転写定着ローラ28とで転写手段を構成し、転写定着ローラ28は定着手段も兼ねる)、重合開始剤添加装置32、及び紫外線照射装置34(放射線照射手段)を含んで構成される。感光体10は円柱形状を有し、該感光体10の外周に、帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、及び、クリーナ18が順次に設けられている。
以下、この画像形成装置100の動作について簡単に説明する。
【0086】
帯電装置20が感光体10の表面を予め定められた電位に帯電させ、帯電された表面を画像信号に基づき、露光装置12が、例えばレーザ光線によって露光して静電潜像を形成する。
現像装置14は、現像ローラ14a(現像剤保持体)と現像剤貯蔵容器14bとを含んで構成される。現像ローラ14aは、現像剤貯蔵容器14bに貯蔵される液体現像剤24に一部が浸るようにして設けられる。尚、現像剤貯蔵容器14bには、図示しない液体現像剤カートリッジから液体現像剤24が供給される構成としてもよい。また、上記液体現像剤カートリッジは、液体現像剤24の残量が無くなった際に交換し得るよう画像形成装置に着脱される構成としてもよい。
【0087】
液体現像剤24中では、トナー粒子は分散されているが、例えば液体現像剤24を、さらに現像剤貯蔵容器14b内に設けられる撹拌部材によって撹拌し続けることで、液体現像剤24中のトナー粒子の濃度の位置ばらつきを低減してもよい。これにより図の矢印A方向に回転する現像ローラ14aには、トナー粒子の濃度バラツキが低減された液体現像剤24が供給される。
【0088】
現像ローラ14aに供給された液体現像剤24は、規制部材によって供給量が制限された状態で感光体10に搬送され、現像ローラ14aと感光体10とが近接(あるいは接触)する位置で静電潜像に供給される。これによって静電潜像は顕像化されてトナー像26となる。
【0089】
現像されたトナー像26は、図の矢印B方向に回転する感光体10に搬送され用紙(記録媒体)30に転写されるが、本実施形態では、用紙30に転写する前に、感光体10からのトナー像の剥離効率を含めた記録媒体への転写効率を向上させ、さらに記録媒体への転写と同時に定着を行うため、一旦中間転写体16にトナー像を転写する。このとき、感光体10及び中間転写体16間に周速差を設けてもよい。
【0090】
中間転写体16に転写されたトナー像は、重合開始剤添加装置32によって重合開始剤が添加される。
トナー像に重合開始剤を添加する方法としては、例えば、トナー像を溶解しない溶剤に重合開始剤を溶解させた溶液を、例えば塗布又はスプレー散布等によりトナー像に添加する方法や、液体又は固体(例えば粉状の固体)の重合開始剤をそのまま、例えばスプレー散布等によりトナー像に添加する方法等が挙げられるが、これらの方法に限定されるものではない。
上記トナー像を溶解しない溶剤としては、例えば、ヘキサンとIPA(イソプロピルアルコール)との混合溶剤(例えばヘキサン/IPA混合比が10/1から5/1の範囲)が挙げられる。
なお本実施形態では、中間転写体16に転写されたトナー像に重合開始剤を添加しているが、現像装置14によってトナー像が形成された後から紫外線照射装置34によって紫外線が照射される前までの間に重合開始剤を添加すればよく、感光体10上のトナー像に重合開始剤を添加してもよいし、記録媒体に定着された定着画像29に重合開始剤を添加してもよい。
【0091】
次いで、中間転写体16により矢印C方向に搬送されたトナー像は、転写定着ローラ28との接触位置において用紙30に転写されると共に定着される。
転写定着ローラ28は、中間転写体16とともに用紙30を挟み、中間転写体16上のトナー像を用紙30に密着させる。これによって用紙30にトナー像を転写し、用紙上にトナー像が定着され、定着画像29となる。トナー像の定着は、転写定着ローラ28に発熱体を設けて加圧及び加熱により行ってもよい。定着温度としては、例えば100℃以上180℃以下が挙げられる。
【0092】
中間転写体16が図1に示すようにローラ形状であれば、転写定着ローラ28とローラ対を構成するため、中間転写体16及び転写定着ローラ28が各々定着装置における定着ローラ及び押圧ローラに準じた構成となって定着機能を発揮する。すなわち、用紙30が転写定着ローラ28と中間転写体16との接触部を通過する際、例えば、トナー像が転写されると共に転写定着ローラ28により中間転写体16に対して加熱及び押圧される。これにより、例えば、トナー像を構成するトナー粒子中の結着樹脂が軟化すると共に、トナー像が用紙30の繊維中に浸潤して、用紙30に定着画像29が形成される。
本実施形態では用紙30への転写と同時に定着を行っているが、転写工程と定着工程とを別々として、転写を行った後に定着を行ってもよい。
【0093】
その後、紫外線照射装置34によって、用紙30に定着された定着画像29に紫外線が照射される。それにより、例えば定着画像29内に含まれる重合開始剤が、定着画像29内に含まれる放射線硬化材料の硬化反応を開始させ、定着画像29が硬化する。
定着画像29に照射する紫外線の照射エネルギーとしては、定着画像29が硬化する範囲であればよく、例えば10mJ/cm以上1J/cm以下が挙げられる。紫外線の照射時間としては、例えば0.1秒以上60秒以下が挙げられる。
【0094】
一方、中間転写体16にトナー像26を転写した感光体10では、転写されずに感光体10に残留したトナー粒子がクリーナ18との接触位置まで運ばれ、クリーナ18によって回収される。なお、転写効率が100%に近く、残留トナーが問題とならない場合は、クリーナ18は設ける必要がない。
【0095】
画像形成装置は、さらに、転写後かつ次の帯電までに感光体10の表面を除電する除電装置(図示せず)を備えていてもよい。
画像形成装置100に備えられる帯電装置20、露光装置12、現像装置14、中間転写体16、転写定着ローラ28、及び、クリーナ18は、例えば、すべてが感光体10の回転速度と同期をとって動作されていてもよい。
【実施例】
【0096】
以下、本発明を、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、これら各実施例は、本発明を制限するものではない。なお、文中、「部」及び「%」は、特に断りのない限りそれぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0097】
[実施例1]
<液体現像剤A1の調整>
熱可塑性樹脂1(スチレン−アクリル酸ブチル樹脂、藤倉化成(株)製、商品名:FSR−053、重量平均分子量:38万)60部に、シアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(クラリアント(株)製)40部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、シアン顔料マスターバッチを作製した。
【0098】
次に、以下の組成の混合物を、再度加圧ニーダーで混錬し、混合物1を得た。
・上記シアン顔料マスターバッチ:25部
・熱可塑性樹脂2(スチレン−アクリル酸ブチル樹脂、藤倉化成(株)製、商品名:FSR−051、重量平均分子量:32万、酸価:10):55部
・熱可塑性エラストマー樹脂1(旭化成(株)製、商品名:SOE−SSL611X、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加品):20部
【0099】
得られた混合物をジェットミルで粉砕し、体積平均粒径10μmのシアン粒子を得た。
得られたシアン粒子35部に、非水溶媒である難揮発性のパラフィンオイル(松村石油(株)製、商品名:モレスコホワイトP40)103部と、分散剤(ルーブリゾール社製、商品名:ソルスパース17000)1.5部と、の混合物を添加してボールミルで微粉砕した後、上記パラフィンオイルを210部と、液状のラジカル重合性化合物(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM211B、重合性基数:2)の40質量%メタノール溶液を45部と、を添加し、超音波洗浄機(アズワン(株)社製、型番:US−3R)を用いて10分間の分散を行った後、減圧によりメタノールを除去して、体積平均粒径1.1μmのトナー粒子を含む液体現像剤A1を得た。
【0100】
なお、前記方法により、液体現像剤A1の調整に用いたキャリア液(すなわち上記パラフィンオイルと分散剤との混合物)50質量部とラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させた混合液において、キャリア液に溶解しないラジカル重合性化合物が存在することが確認され、上記ラジカル重合性化合物が上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤A1からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤A1中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0101】
<評価画像の作製>
得られた液体現像剤に、キャリア液(パラフィンオイル、松村石油(株)製、商品名:モレスコホワイトP40)を加えて、液体現像剤全体に対するトナー粒子の含有量が2.5質量%になるように希釈し、ディスポセル(ポリスチレン性)に入れた。
上記ディスポセルの中に、1mmの間隙で対向させた二枚の透明電極を浸漬し、300Vの電圧を30秒間印加した。電極を引き上げ、プラス電極上に堆積させたトナーをOHP用シート(富士ゼロックス(株)製、型番:V−516)に転写した。堆積したトナーの載り量を測定すると3.6g/mであった。得られた転写画像を、外部定着器により、ローラー温度:100℃、接触部の長さ:6mm、定着速度:126mm/secの条件で定着し、定着画像を得た。
【0102】
次に、イルガキュア184(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.3部、イルガキュア819(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株))0.4部、トリエタノールアミン0.5部、ヘキサン56.3部、及びイソプロパノール22.5部を混合し、開始剤溶液を調整した。
前記定着画像の表面に、上記開始剤溶液を、画像10cm当たり100μL供給し、乾燥させた。
その後、乾燥させた上記定着画像の表面に、メタルハライドランプにより1.9J/cmで露光処理し、評価画像A1を得た。
【0103】
[実施例2]
<液体現像剤A2の調整>
熱可塑性樹脂1(スチレン−アクリル酸ブチル樹脂、藤倉化成(株)製、商品名:FSR−053、重量平均分子量:38万)60部に、シアン顔料C.I.ピグメントブルー15:3(クラリアント(株)製)40部を加え、加圧ニーダーで混練した。この混練物を粗粉砕して、シアン顔料マスターバッチを作製した。
【0104】
次に、以下の組成の混合物を、ボールミルで24時間溶解分解して混合溶液を得た。
・上記シアン顔料マスターバッチ:25部
・熱可塑性樹脂2(スチレン−アクリル酸ブチル樹脂、藤倉化成(株)製、商品名:FSR−051、重量平均分子量:32万、酸価:10):60部
・熱可塑性エラストマー樹脂2(旭化成(株)製、商品名:アサプレンT439、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体):10部
・熱可塑性エラストマー樹脂3(旭化成(株)製、商品名:タフプレンA、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体):5部
・酢酸エチル:200部
【0105】
得られた混合溶液に、液状のラジカル重合性化合物(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM211B、重合性基数:2)を30部と、イルガキュア184を3部と、イルガキュア819を6部と、を加え、更に、1時間溶解分散し、混合物を得た。
【0106】
一方、塩化ナトリウム(和光純薬(株)製)20部をイオン交換水135部に溶解させた水溶液に、分散安定剤として炭酸カルシウム(丸尾カルシウム(株)製、ルミナス)20部を加え、ボールミルで24時間分散して分散媒体とした。
この分散媒体170部に前記混合物100部を投入して、乳化装置(エスエムテー社製IKA社製、HIGH−FLEX HOMOGENIZERウルトラタラックスT−25)にて8000rpmで1分間乳化した後に24000rpmで1分間乳化し、懸濁液を得た。
【0107】
撹伴機、温度計、冷却管を備えたセパラブルフラスコに、上記懸濁液を入れ、減圧下、40℃で1時間撹拌し、酢酸エチルを除去し、反応液を得た。その後冷却し、上記反応液に10%塩酸水溶液を150部加えて炭酸カルシウムを分解した後、遠心分離によって固液分離を行った。得られた粒子を1Lのイオン交換水で3回繰り返して洗浄を行った後、30℃で真空乾燥し、シアン粒子を得た。
【0108】
乾燥したシアン粒子14部に、揮発性のパラフィンオイル(エクソン社製、商品名:アイソパーL)82部と、トリエタノールアミン3部と、ソルスパース0.5部と、を加えた混合物を、ボールミルで微粉砕して平均粒径1.1μmのトナー粒子を含む液体現像剤A2を得た。
【0109】
なお、前記方法により、液体現像剤A2の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A2の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0110】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A2を用い、得られた定着画像に開始剤溶液を供給しない以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A2を得た。
【0111】
[実施例3]
<液体現像剤A3の調整>
液状のラジカル重合性化合物として、アロニックスM211Bの代わりにアロニックスM215(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM215、重合性基数:2)を用いた以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.1μmのトナー粒子を含む液体現像剤A3を得た。
【0112】
なお、前記方法により、液体現像剤A3の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A3の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0113】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A3を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A3を得た。
【0114】
[実施例4]
<液体現像剤A4の調整>
液状のラジカル重合性化合物として、アロニックスM211Bの代わりにアロニックスM1600(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM1600、重合性基数:2)を用いた以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤A4を得た。
【0115】
なお、前記方法により、液体現像剤A4の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A4の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0116】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A4を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A4を得た。
【0117】
[実施例5]
<液体現像剤A5の調整>
液状のラジカル重合性化合物として、アロニックスM211Bの代わりにDPHA(ダイセル・サイテック(株)製、化合物名:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、重合性基数:6)を用いた以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤A5を得た。
【0118】
なお、前記方法により、液体現像剤A5の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A5の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0119】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A5を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A5を得た。
【0120】
[実施例6]
<液体現像剤A6の調整>
液状のラジカル重合性化合物として、アロニックスM211Bの代わりにペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、製品名:A−TMMT、重合性基数:3、以下PETAと略記)を用いた以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤A6を得た。
【0121】
なお、前記方法により、液体現像剤A6の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A6の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0122】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A6を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A6を得た。
【0123】
[実施例7]
<液体現像剤A7の調整>
液状のラジカル重合性化合物として、アロニックスM211Bの代わりにアクリル酸2−フェノキシエチル(東京化成工業(株)製、重合性基数:1、以下PEAと略記)を用いた以外は、液体現像剤A2と同様にして、平均粒径1.1μmのトナー粒子を含む液体現像剤A7を得た。
【0124】
なお、前記方法により、液体現像剤A7の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A7の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0125】
<評価画像の作製>
液体現像剤A2の代わりに液体現像剤A7を用いた以外は、評価画像A2と同様にして、評価画像A7を得た。
【0126】
[実施例8]
<評価画像の作製>
OHP用シートの代わりに、OKトップコート紙(王子製紙(株)製、128g/m)を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A8を得た。
【0127】
[実施例9]
<液体現像剤A9の調整>
熱可塑性樹脂2の使用量を75部に変更し、熱可塑性エラストマー樹脂1を使用しない以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤A9を得た。
【0128】
なお、前記方法により、液体現像剤A9の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A9の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0129】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A9を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A9を得た。
【0130】
[実施例10]
<液体現像剤A10の調整>
熱可塑性樹脂2をポリエステル樹脂(花王(株)製、重量平均分子量:14000、酸価:10)に変更した以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤A10を得た。
【0131】
なお、前記方法により、液体現像剤A10の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A10の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0132】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A10を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A10を得た。
【0133】
[実施例11]
<液体現像剤A11の調整>
液状のラジカル重合性化合物のメタノール溶液を45部を23部に変更した以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤A11を得た。
【0134】
なお、前記方法により、液体現像剤A11の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A11の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0135】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A11を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A11を得た。
【0136】
[実施例12]
<液体現像剤A12の調整>
液状のラジカル重合性化合物のメタノール溶液を45部を12部に変更した以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤A12を得た。
【0137】
なお、前記方法により、液体現像剤A12の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤A12の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0138】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤A12を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像A12を得た。
【0139】
[比較例1]
<液体現像剤B1の調整>
微粉砕の後に添加するパラフィンオイルの添加量を210部から228部に変更し、液状のラジカル重合性化合物のメタノール溶液45部を用いない以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.0μmのトナー粒子を含む液体現像剤B1を得た。
【0140】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤B1を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像B1を得た。
【0141】
[比較例2]
<液体現像剤B2の調整>
液状のラジカル重合性化合物のメタノール溶液45部の代わりに、液状のラジカル重合性化合物アロニックスM220(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM220、重合性基数:2)を18部用い、減圧でメタノールを除去する工程を行わない以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.0μmのトナー粒子を含む液体現像剤B2を得た。
【0142】
なお、前記方法により、液体現像剤B2の調整に用いたキャリア液50質量部とラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させた混合液において、キャリア液に溶解しないラジカル重合性化合物が存在しないことが確認され、上記ラジカル重合性化合物が上記キャリア液に易溶である(難溶ではない)ことが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0143】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤B2を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像B2を得た。
【0144】
[比較例3]
<液体現像剤B3の調整>
ラジカル重合性化合物の40質量%メタノール溶液をリン酸トリクレジル(東京化成工業(株)製)の4質量%メタノール溶液に変更した以外は、液体現像剤A1と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤B3を得た。
【0145】
<評価画像の作製>
液体現像剤A1の代わりに液体現像剤B3を用いた以外は、評価画像A1と同様にして、評価画像B3を得た。
【0146】
[比較例4]
<液体現像剤B4の調整>
液状のラジカル重合性化合物として、アロニックスM211Bの代わりにアロニックスM220(東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM220、重合性基数:2)を用いた以外は、液体現像剤A2と同様にして、平均粒径1.2μmのトナー粒子を含む液体現像剤B4を得た。
【0147】
なお、前記方法により、液体現像剤B4の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤B4の調整に用いた上記キャリア液に易溶である(難溶ではない)ことが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0148】
<評価画像の作製>
液体現像剤A2の代わりに液体現像剤B4を用いた以外は、評価画像A2と同様にして、評価画像B4を得た。
【0149】
[比較例5]
<液体現像剤B5の調整>
液状のラジカル重合性化合物の代わりに、25℃において固体であるラジカル重合性化合物N’,N’−メチレンビスアクリルアミド(東京化成工業(株)製、重合性基数:2、以下MBAと略記)を用いた以外は、液体現像剤A2と同様にして、平均粒径1.3μmのトナー粒子を含む液体現像剤B5を得た。
【0150】
なお、前記方法により、液体現像剤B5の調整に用いた上記ラジカル重合性化合物が、液体現像剤B5の調整に用いた上記キャリア液に難溶であることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤からトナー粒子を抽出してNMR測定を行った結果、上記ラジカル重合性化合物がトナー粒子中に含まれていることが確認された。
また、前記方法により、得られた液体現像剤中のトナー粒子に含まれるラジカル重合性化合物の含有量を測定した。その結果を表1に示す。
【0151】
<評価画像の作製>
液体現像剤A2の代わりに液体現像剤B5を用いた以外は、評価画像A2と同様にして、評価画像B5を得た。
【0152】
[評価]
<定着温度の評価>
上記評価画像の作製において、得られた転写画像を定着して定着画像を得る工程で、外部定着器のローラー温度を70℃から20℃おきに130℃まで上げ、それぞれの温度において定着を行い、定着によって画像の透明性が増加したか否かを目視で確認した。
定着によって画像の透明性が増加した定着温度のうち、もっとも低い定着温度が70℃未満の場合をA、70℃以上90℃未満の場合をB、90℃以上110℃未満の場合をC、110℃以上の場合をDとして、評価した。評価結果を表1に示す。
【0153】
<画像保存性の評価>
得られた評価画像を40℃で1時間真空乾燥することによってキャリア液を揮発させた後、2枚の評価画像の画像面と画像面とを重ね合わせ、温度50℃、湿度85%の環境下に荷重500g/cmをかけた状態で、3日間放置した。重ね合わせた画像をはがし、記録紙間における画像同士の融着、非画像部への転写があるか否かを目視にて観察した。画像保存性に問題ないレベルをA、画像に多少の変化が観察されたが実用上の問題ないレベルをB、画像に融着あるいは転写が観察され実用上許容できないレベルをCとして、三段階で評価した。評価結果を表1に示す。
【0154】
【表1】

【0155】
表1の結果からわかるように、実施例では、比較例に比べ、最低定着温度を低く抑えることと、得られた画像の保存性の向上と、が両立されていることが分かる。
【符号の説明】
【0156】
10 感光体(潜像保持体)
12 露光装置
14 現像装置(現像手段)
14a 現像ローラ(現像剤保持体)
16 中間転写体
18 クリーナ
20 帯電装置(帯電手段)
24 液体現像剤
26 トナー像
28 転写定着ローラ(転写手段、定着手段)
29 定着画像
30 用紙(記録媒体)
32 重合開始剤添加装置
34 紫外線照射装置(刺激付与手段)
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア液と、
前記キャリア液に分散されたトナー粒子であって、結着樹脂とラジカル重合性化合物とを含み、前記ラジカル重合性化合物は、25℃において液体の化合物であり、かつ、前記キャリア液50質量部と前記ラジカル重合性化合物1質量部とを25℃において混合させる条件下において前記ラジカル重合性化合物の少なくとも一部が前記キャリア液に溶解しない難溶性を示す化合物である、トナー粒子と、
を有する液体現像剤。
【請求項2】
前記ラジカル重合性化合物は、1分子中に重合性基を2以上有する、請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
さらに重合開始剤を含む、請求項1又は請求項2に記載の液体現像剤。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体現像剤が収容された現像剤カートリッジ。
【請求項5】
潜像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成工程と、
前記潜像保持体の表面に形成された前記潜像を、現像剤保持体の表面に保持された請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記潜像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写工程と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を前記記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着工程と、
前記定着画像に刺激を付与する刺激付与工程と、
を有する、画像形成方法。
【請求項6】
前記トナー像及び前記刺激付与工程によって前記刺激が付与される前の前記定着画像の少なくとも一方に重合開始剤を添加する重合開始剤添加工程をさらに有する、請求項5に記載の画像形成方法。
【請求項7】
潜像保持体と、
前記潜像保持体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の液体現像剤が収容されるとともに、現像剤保持体を有し、前記潜像保持体の表面に形成された前記潜像を、前記現像剤保持体の表面に保持された前記液体現像剤により現像して、トナー像を形成する現像手段と、
前記潜像保持体の表面に形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、
前記記録媒体に転写された前記トナー像を前記記録媒体に定着させて定着画像を形成する定着手段と、
前記定着画像に刺激を付与する刺激付与手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項8】
前記トナー像及び前記刺激付与手段によって前記刺激が付与される前の前記定着画像の少なくとも一方に重合開始剤を添加する重合開始剤添加手段をさらに有する、請求項7に記載の画像形成装置。

【図1】
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