説明

液体用タンク

【課題】低重力環境で用いられる液体用タンクにおいて、トラップ容器の内部から外部への液体の漏出を抑制し、タンク本体に貯留された液体を最後まで使用する。
【解決手段】液体トラップ30が、タンクシェル21の液体排出部22との接続部を上方から覆うと共に頂上部にガス排出口31eを備えるトラップ容器31と、該トラップ容器31のガス排出口31eに嵌合されると共に液体との間に働く毛管力が低重力環境において液体に作用する動圧よりも大きい気体透過手段34とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用タンクに関するものであり、特に微小重力環境や無重力環境にて用いられる液体用タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば人工衛星や有人宇宙船には、微小重力環境や無重力環境の低重力環境にて使用可能な液体タンクが搭載されている。
このような液体タンクは、液体燃料、生活用水あるいは冷媒等の液体を貯留すると共に必要に応じて外部に排出する。
【0003】
ところが、低重力環境で用いられる液体タンクでは、通常の地球上における重力を用いた気液分離ができないことから、液体の表面張力や毛管現象を利用して気液分離を行う構造が採用されている。
【0004】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、液体排出部が接続されたタンクシェルの底部に液体を集めて貯留するための液体トラップを設置することによって低重力環境におけるタンク本体内部での気液分離を実現する液体用タンクが提案されている。
【0005】
この液体トラップは、タンクシェルの液体排出部との接続部を上方から覆うトラップ容器と、該トラップ容器内の中央に立設されて液体排出部と接続されると共に複数の貫通孔が形成された円筒部材と、該円筒部材を中央として放射状に配置された複数の板状部材とを備えており、トラップ容器内部に入り込んだ液体を板状部材によって円筒部材の内部に集めるように構成されている。
【0006】
ところで、上述のような液体トラップを備える液体用タンクには、通常、地球上の通常の重力環境にて液体が充填される。このような通常の重力環境においては、タンク本体に供給される液体は、重力の影響によってタンク本体の底部から溜まっていく。
トラップ容器にはタンク本体に貯留された液体を残すことなくトラップ容器の内部に供給可能とするために液体の入口が底部に近くかつ底部に向けて形成されている。このため、通常の重力環境にて液体の供給が行われると、タンク本体の底部に向けて開口された入口によりトラップ容器の内部に液体が入り込むこととなる。
ただし、通常の重力環境でタンク本体の底部に向けて形成された入口から液体がトラップ容器内部に入り込む場合には、トラップ容器の内部の気体がトラップ容器から抜け出すことができずに残存する場合がある。
【0007】
このようにトラップ容器内部に残存する気体は液体用タンクからの良好な液体の排出を阻害する虞があるため、従来の液体用タンクにおいては、トラップ容器の頂上部に気体をトラップ容器の外部に排出するためのガス排出口が形成されている。
このガス排出口を形成することによって、通常の重力環境にて液体を充填する際にトラップ容器の頂部に集まる気体をガス排出口を介してトラップ容器の外部に排出することができ、トラップ容器の内部に気体が残存することを防止することができる。
【特許文献1】特開2002−337799号公報
【特許文献2】特開2002−137799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、液体用タンクが低重力環境に晒されると、上述のようにトラップ容器内部の液体は、中央に配置された円筒部材に集められる。このため、タンク本体に残留する液体量が減少してトラップ容器の外部が気体雰囲気となった場合には、ガス排出口を介してトラップ容器内部の液体の一部がトラップ容器の外部に漏出してしまう。
よって、従来の液体用タンクでは、タンクシェルに貯留された液体を最後まで排出することができない場合がある。
【0009】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、低重力環境で用いられる液体用タンクにおいて、トラップ容器の内部から外部への液体の漏出を抑制し、タンクシェルに貯留された液体を最後まで使用可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0011】
第1の発明は、内部に液体を貯留すると共に底部に液体排出部が接続されたタンクシェルと、微小重力環境及び無重力環境を含む低重力環境において上記タンクシェルの底部に上記液体を集めて貯留する液体トラップとを備える液体用タンクであって、上記液体トラップが、上記タンクシェルの上記液体排出部との接続部を上方から覆うと共に頂上部にガス排出口を備えるトラップ容器と、該トラップ容器の上記ガス排出口に嵌合されると共に上記液体との間に働く毛管力が上記低重力環境において上記液体に作用する動圧よりも大きい気体透過手段とを備えるという構成を採用する。
【0012】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記気体透過手段が、メッシュ部材であるという構成を採用する。
【0013】
第3の発明は、上記第1の発明において、上記気体透過手段が、複数の貫通孔が形成されたプレート部材であるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、トラップ容器の頂上部に設けられたガス排出口に、液体との間に働く毛管力が低重力環境において液体に作用する動圧よりも大きい気体透過手段が嵌合されている。このため、低重力環境においてガス排出口からトラップ容器の外部に液体が漏出することを抑止することが可能となる。
したがって、本発明によれば、低重力環境で用いられる液体用タンクにおいて、トラップ容器の内部から外部への液体の漏出を抑制し、タンク本体に貯留された液体を最後まで使用することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る液体用タンクの一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0016】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の液体用タンク10の断面図であり、通常の重力環境における垂直方向の断面図である。
この図に示すように、本実施形態の液体用タンク10は、タンク本体20と、液体トラップ30と、液体捕捉板40とを備えている。
【0017】
タンク本体20は、球形に形状設定されると共に内部に液体が貯留されるタンクシェル21と、該タンクシェル21の底部(すなわちタンク本体20の底部)に接続されて供給される液体を液体用タンク10の外部に排出する液体排出部22と、タンクシェル21の頂上部に設置されると共にタンクシェル21内部に液体を押し出すための気体を送り込む気体供給部23とを備えている。
【0018】
液体トラップ30は、微小重力環境及び無重力環境を含む低重力環境においてタンクシェル21の底部に液体を集めて貯留するものである。
図2及び図3は、液体トラップ30を示す図面であり、図2が平面図であり、図3が通常の重力環境における垂直方向の断面図である。
これらの図に示すように液体トラップ30は、タンクシェル21の液体排出部22との接続部を上方から覆うトラップ容器31と、該トラップ容器31内の中央に立設されて液体排出部22と接続されると共に複数の貫通孔32aが形成された円筒部材32と、該円筒部材32を中央として放射状に配置された複数の板状部材33と、トラップ容器31のガス排出口31eに嵌合されるメッシュ部材34とを備えている。
【0019】
トラップ容器31は、タンクシェル21の頂上部から底部に向けた垂直な軸を回転中心とする回転対称体であり、それぞれ球面状に湾曲された上面31aと下面31bと円筒状の側面31cとから構成されている。
【0020】
下面31bは、タンクシェル21の底部よりも小さい曲率変形の球面形状で形成されており、中央(円筒部材32)から外周に離間するほど、タンクシェル21から離間するように湾曲されている。このため、下面31bの中央から外周に向かうに連れて、下面31bとタンクシェル21の底部との間隔が大きくなっている。また、下面31bの中央寄りにはタンクシェル21の底部に向けて開口された入口31dが形成されている。
このため、タンクシェル21の底部の液体は、毛管現象によって、下面31bとタンクシェル21の底部との間隔が狭い中央に集められ、入口31dを介してトラップ容器31の内部に供給される。
【0021】
また、上面31aの中央(円筒部材32の上方)には、トラップ容器31の内部に液体が供給される際に、トラップ容器31の内部の気体をトラップ容器31の外部に排出するためのガス排出口31eが形成されている。
この上面31aの中央は、トラップ容器31の頂上部となっている。すなわち、ガス排出口31eは、トラップ容器31の頂上部に形成されている。
【0022】
そして、本実施形態の液体用タンク10においては、トラップ容器31の上面31aに形成されたガス排出口31eに、メッシュ部材34が嵌合されている。
このメッシュ部材34は、メッシュ部材34と液体との間に働く毛管力(付着力)が低重力環境にて液体に作用する動圧よりも大きくなるように目開きが設定されている。
具体的には、メッシュ部材34の目開きは、下式(1)を用いて算出することができる。なお、下式(1)において左辺のPは、低重力環境にて液体に作用する動圧であり、上述の板状部材33や液体捕捉板40の枚数や形状によって規定されるものであり、予め算出することが可能な値である。また、下式(1)において右辺は毛管力を示しており、σが液体の表面張力、rがメッシュ部材34の目開きから突出する液体の曲率半径を示している。そして、曲率半径rは、メッシュ部材34の目開きに依存する値であるため、下式(1)を満たすように曲率半径rを算出し、当該算出結果に基づいてメッシュ部材34の目開きを設定することができる。
【0023】
=2σ/r (1)
【0024】
なお、メッシュ部材34の形成材料は特に限定されるものではないが、当然ながら液体に対して不活性な材料が選択される。このため、メッシュ部材34は、例えばトラップ容器31やタンクシェル21等の同様の材料によって形成される。
【0025】
このようなメッシュ部材34がガス排出口31eに嵌合されることによって、低重力環境においてトラップ容器31の内部から外部に液体が漏出することを抑止することが可能となる。
【0026】
円筒部材32は、液体排出部22と接続されてタンクシェル21の底部立設されており、底部に近い側の側面部に内部に貫通する複数の貫通孔32aが形成されている。
このため、円筒部材32の周囲に集められた液体は、貫通孔32aを介して円筒部材32の内部に流れ込み、さらには液体排出部22に供給される。
【0027】
板状部材33は、上辺33a及び下辺33bが円弧状、側辺33cが直線状に形状設定されている。このため、トラップ容器31と板状部材33との間の隙間が、板状部材33の上辺33aでは円筒部材32に近づくほど大きく、板状部材33の側辺33cではタンクシェル21の底部に近づくほど小さく、板状部材33の下辺33bでは円筒部材32に近づくほど小さくなっている。つまり、トラップ容器31と板状部材33との間の隙間は、上側中央部から側部を通って下側中央部に向かうに連れて小さくなる。このため、トラップ容器31の内壁面に付着した液体は、表面張力によって隙間の小さい方、すなわち円筒部材32の下方に集められる。
また、複数の板状部材33が、円筒部材32を中央として放射状に配置されているため、板状部材33同士の間の隙間は、円筒部材32に近づくほど小さくなる。このため、板状部材33同士の間に存在する液体は、表面張力によって円筒部材32に集められる。
【0028】
図1に戻り、液体捕捉板40は、タンクシェル21の内面に沿う円弧状の薄板によって形成されており、タンクシェル21の内面との間に隙間が形成されるように配置されている。この液体捕捉板40は、一端がトラップ容器31の下面31cに形成された入口31dと接続されるように固定されている。
この液体捕捉板40は、低重力環境において液体の表面張力によって液体をトラップ容器31の下面31cに形成された入口31dに案内するものである。
そして、本実施形態において液体捕捉板40は、液体トラップ30を中央として等間隔で4つ設置されている。
【0029】
なお、本実施形態の液体用タンク10において用いられる液体は、特に限定される様々な種類の液体を用いることができる。
例えば、本実施形態の液体用タンク10を、スラスタ等への燃料供給に用いる場合には、液体として、モノメチルヒドラジン(MMH)等のヒドラジン、四酸化二窒素(NTO)、液体酸素、液体水素及び液体メタン等を用いることができる。
また、例えば、本実施形態の液体用タンク10を冷媒の供給に用いる場合には、液体として、代替フロン、液体ヘリウム、液体アンモニア及びフッ素系不活性液体等を用いることができる。
また、例えば、本実施形態の液体用タンク10を生活用水の供給に用いる場合には、液体として水を用いることができる。
【0030】
次に、このように構成された本実施形態の液体用タンク10を低重力環境にて使用する場合の動作について説明する。
タンクシェル21内に液体が十分に貯留されている場合には、気体供給部23からタンクシェル21内に液体を押し出すための気体が供給されると、当該気体がタンクシェル21の中央に集まり、タンクシェル21内に貯留された液体が加圧されて液体排出部22から排出される。
このように液体排出部22から液体が排出されてタンクシェル21内の液体の残量が減少すると、タンクシェル21内の液体は、タンクシェル21の内壁面に付着された状態となり、このタンクシェル21の内壁面に付着された液体が液体捕捉板40によって捕捉されて案内されることによって、トラップ容器31の下面31cに形成された入口31dを介してトラップ容器31内に供給される。
【0031】
トラップ容器31の下面31cに形成された入口31dからトラップ容器31内に供給された液体は、板状部材33によって円筒部材32の周囲に集められ、さらに貫通孔32aを介して円筒部材32の内部に流入することによって円筒部材32の内部に貯留される。
このため、低重力環境にて液体の残量が少なくなると、図4に示すように液体Xが円筒部材32の内部及び周囲に貯留されることとなる。この結果、トラップ容器31の頂上部に形成されたガス排出口31eを塞ぐように液体が貯留されることとなるが、本実施形態の液体用タンク10においては、トラップ容器31の頂上部に形成されたガス排出口31eにメッシュ部材34が嵌合されている。
このメッシュ部材34は、上述のようにメッシュ部材34と液体との間に働く毛管力(付着力)が低重力環境にて液体に作用する動圧よりも大きくなるように目開きが設定されている。このため、ガス排出口31eを塞ぐように貯留された液体は、メッシュ部材34との間に働く毛管力によってガス排出口31eからトラップ容器31の外部に出ることができない。したがって、トラップ容器31の内部から外部に液体が漏出することを防止することができる。
このようにメッシュ部材34によってガス排出口31eから液体がトラップ容器31の外部に漏出することを防止することによって液体はトラップ容器31の内部に残存されるため、残量がゼロになるまで液体を液体排出部22に供給することができる。
【0032】
なお、地球上の通常の重力環境にて本実施形態の液体用タンク10に液体を充填する場合には、メッシュ部材34が気体を透過するため、トラップ容器31内に気体が残留することなく液体を充填することができる。
また、一般的に地球上での液体充填時における液体の供給圧力は、低重力環境にてメッシュ部材34と液体との間に働く毛管力よりも遥かに大きいため、液体を通常の重力環境で充填する際にはガス排出口31eからトラップ容器31の外部に液体が流れ出ることができる。よって、より確実にトラップ容器31内に気体が残留することを防止することが可能となる。
【0033】
以上のような本実施形態の液体用タンク10によれば、トラップ容器31の頂上部に設けられたガス排出口31eに、液体との間に働く毛管力が低重力環境において液体に作用する動圧よりも大きいメッシュ部材34が嵌合されている。このため、低重力環境においてガス排出口31eからトラップ容器31の外部に液体が漏出することを抑止することが可能となる。
したがって、本実施形態の液体用タンク10によれば、低重力環境で用いられる液体用タンクにおいて、トラップ容器31の内部から外部への液体の漏出を抑制し、タンクシェル21に貯留された液体を最後まで使用することが可能となる。
【0034】
また、本実施形態の液体用タンク10によれば、ガス排出口31eに嵌合される本発明の気体透過手段としてメッシュ部材34を用いる構成を採用している。
メッシュ部材34は、プレート部材等と比較して軽量であるため、本発明の気体透過手段を備える液体用タンク10の重力増加を抑制することができる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0036】
図5は、本実施形態の液体用タンクが備える液体用トラップ30の断面図であり、通常の重力環境における垂直方向の断面図である。
この図に示すように、本実施形態の液体用タンクは、液体用トラップ30のガス排出口31eに、上記第1実施形態の液体用タンク10が備えるメッシュ部材34に換えて複数の貫通孔36が形成されたプレート部材35が嵌合されている。
【0037】
プレート部材35に形成される貫通孔36の径は、プレート部材35の厚さ(すなわち貫通孔36の長さ)を考慮した上で、プレート部材35と液体との間に働く毛管力(付着力)が低重力環境にて液体に作用する動圧よりも大きくなるように設定されている。
【0038】
このような構成を採用する本実施形態の液体用タンクによれば、低重力環境にて液体の残量が少なくり、ガス排出口31eを塞ぐように液体が貯留された場合であっても、上述のようにプレート部材35と液体との間に働く毛管力(付着力)が低重力環境にて液体に作用する動圧よりも大きくなるように貫通孔36の径が設定されているため、ガス排出口31eから液体がトラップ容器31の外部に出ることができない。したがって、トラップ容器31の内部から外部に液体が漏出することを防止することができる。
このようにプレート部材35によってガス排出口31eから液体がトラップ容器31の外部に漏出することを防止することによって液体はトラップ容器31の内部に残存されるため、残量がゼロになるまで液体を液体排出部22に供給することができる。
【0039】
なお、地球上の通常の重力環境にて本実施形態の液体用タンク10に液体を充填する場合には、プレート部材35が気体を透過するため、トラップ容器31内に気体が残留することなく液体を充填することができる。
また、一般的に地球上での液体充填時における液体の供給圧力は、低重力環境にてプレート部材35と液体との間に働く毛管力よりも遥かに大きいため、液体を通常の重力環境で充填する際にはガス排出口31eからトラップ容器31の外部に液体が流れ出ることができる。よって、より確実にトラップ容器31内に気体が残留することを防止することが可能となる。
【0040】
以上のような本実施形態の液体用タンクによれば、トラップ容器31の頂上部に設けられたガス排出口31eに、液体との間に働く毛管力が低重力環境において液体に作用する動圧よりも大きいプレート部材35が嵌合されている。このため、低重力環境においてガス排出口31eからトラップ容器31の外部に液体が漏出することを抑止することが可能となる。
したがって、本実施形態の液体用タンクによれば、低重力環境で用いられる液体用タンクにおいて、トラップ容器31の内部から外部への液体の漏出を抑制し、タンクシェル21に貯留された液体を最後まで使用することが可能となる。
【0041】
また、本実施形態の液体用タンク10によれば、ガス排出口31eに嵌合される本発明の気体透過手段としてプレート部材35を用いる構成を採用している。
プレート部材35は、メッシュ部材等と比較して剛性が高いため、本発明の気体透過手段を備える液体用タンクの耐久性を向上することができる。
【0042】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る液体用タンクの好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0043】
例えば、上記実施形態においては、本発明の気体透過手段として、メッシュ部材34あるいはプレート部材35を用いる構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の気体透過手段として、多孔体部材や気相選択透過膜等を用いることもできる。
【0044】
また、上記実施形態においては、タンクシェル21が球形状である構成について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、タンクシェルの形状は任意であり、回転楕円体形状や方形状であっても良い。
ただし、低重力環境において液体がタンクシェル内に残存することを防止するために、タンクシェルの内壁面は連続する滑らかな面とされることが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態の液体用タンク10の断面図であり、通常の重力環境における垂直方向の断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の液体用タンク10が備える液体トラップを示す平面である。
【図3】本発明の第1実施形態の液体用タンク10が備える液体トラップの断面図であり、通常の重力環境における垂直方向の断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態の液体用タンク10が低重力環境に晒されかつ液体残量が少ない場合における様子を示す図である。
【図5】本発明の第2実施形態の液体用タンク10が備える液体トラップの断面図であり、通常の重力環境における垂直方向の断面図である。
【符号の説明】
【0046】
10……液体用タンク、20……タンク本体、21……タンクシェル、22……気体排出部、23……気体供給部、30……液体トラップ、31……トラップ容器、31a……上面、31b……下面、31c……側面、31d……入口、31e……ガス排出口、32……円筒部材、32a……貫通孔、33……板状部材、34……メッシュ部材(気体通過手段)、35……プレート部材(気体透過手段)、36……貫通孔、40……液体捕捉板、X……液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体を貯留すると共に底部に液体排出部が接続されたタンクシェルと、微小重力環境及び無重力環境を含む低重力環境において前記タンクシェルの底部に前記液体を集めて貯留する液体トラップとを備える液体用タンクであって、
前記液体トラップが、前記タンクシェルの前記液体排出部との接続部を上方から覆うと共に頂上部にガス排出口を備えるトラップ容器と、該トラップ容器の前記ガス排出口に嵌合されると共に前記液体との間に働く毛管力が前記低重力環境において前記液体に作用する動圧よりも大きい気体透過手段とを備えることを特徴とする液体用タンク。
【請求項2】
前記気体透過手段が、メッシュ部材であることを特徴とする請求項1記載の液体用タンク。
【請求項3】
前記気体透過手段が、複数の貫通孔が形成されたプレート部材であることを特徴とする請求項1記載の液体用タンク。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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