説明

液体用吐出容器及び容器入り液体洗浄剤

【課題】正立状態又は倒立状態のいずれにおいても液体洗浄剤を吐出でき、特に倒立状態の時、安定して液体洗浄剤を吐出できる液体用吐出容器を提供する。
【解決手段】吐出経路40に接続され、吐出経路40への内容液の流入を制御する制御体12が設けられ、制御体12は、上下方向に伸び、吐出経路40と接続された流通部5と、吐出経路40との接続位置近傍に位置し、第一のシリンダ60とこれに上下可動に収納された第一の弁体62とを備える第一の逆止弁6と、先端部分に、第二のシリンダ70とこれに上下可動に収納された第二の弁体72aとを備える第二の逆止弁7とを備え、容器本体3内には、一端が第二の弁体72aの可動範囲で制御体12に接続され、容器本体3の内底面に向かって伸びる吸入パイプ8が設けられていることよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体用吐出容器及び容器入り液体洗浄剤に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液体洗浄剤、除草剤、殺虫剤、機械油等の液体を内容液として収容し、内容液を塗布対象に吐出する容器が知られている。
例えば、トイレ用、排水管用、浴室用等の液体洗浄剤や、除草剤、機械油等、狭い範囲に塗布する用途には、容器の胴部を持ち手で押圧して、吐出孔から内容液を吐出するスクイズタイプの容器が用いられる。このスクイズタイプの容器は、内容液を収容する容器本体と、容器本体の口部に設けられ、吐出孔が形成されたノズルとを備えるものが一般に知られている。
一方、ガラス用、家具用等の液体洗浄剤や殺虫剤等、広い範囲に塗布する用途には、トリガースプレータイプの容器やエアゾールタイプの容器が用いられる。
【0003】
スクイズタイプの容器は、ノズルの頂部に吐出孔が形成されている。このため、スクイズタイプの容器は、吐出孔が下方に向けられた状態(倒立状態)とされ、容器本体の胴部が押圧されることで内容液を吐出するものの、吐出孔が上方に向けられた状態(正立状態)で内容液を吐出できなかった。
【0004】
また、トリガースプレータイプの容器は、容器本体内に垂下されたディップチューブにより内容液を吸い上げるため、正立状態で内容液を吐出できるものの、倒立状態で内容液を吐出できなかった。エアゾールタイプの容器は、内容物を吐出するバルブが上方に位置する正立状態で内容液を吐出できるものの、倒立状態にされると、噴射剤のみが吐出され、内容液を吐出できなかった。
【0005】
こうした問題に対し、2つの逆止弁を設けることにより、正立状態又は倒立状態のいずれでも内容液を吐出できる吐出容器が提案されている。
例えば、パイプの上部と下部とに、送油口と送油口を開閉する円筒形スプールを設けた注油器が提案されている(例えば、特許文献1)。
また、吸入パイプの側面に噴射パイプを設け、吸入パイプの両端に、吸入口と該吸入口の外側の側面に水取り口を形成し、吸入パイプの両端の中に吸入弁を設けた容器が提案されている(例えば、特許文献2)。
あるいは、容器本体内に、バルブの噴出経路につながり容器の底面へ向かって延びる内容物の流通パイプを有し、該パイプは、容器の底部へ向かって延びるその先端部分に第1のチェック弁を有し、バルブの接続位置近傍域に第2のチェック弁を備え、第2のチェック弁は、容器の姿勢が正位状態にあるとき、第2のチェック弁の弁体を弁座に押しつけて閉状態とし、容器の姿勢が反転状態にあるとき内容物によって該弁体が押し上げられて開状態とするコイルスプリングを有するエアロゾル容器が提案されている(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭56−173293号公報
【特許文献2】特開2000−237647号公報
【特許文献3】特許第415463号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜2の技術は、正立状態、倒立状態のいずれにおいても内容液を吐出できるものの、吐出時に、容器に振動が加わったりすると、閉状態の逆止弁における弁体の状態が不安定になり、良好に吐出できない場合があった。
また、特許文献3の技術をスクイズタイプの容器に単に適用しても、前述の吐出の不具合を解消できない。
加えて、特許文献1〜3の技術では、容器本体の軸線が水平となるような姿勢(水平状態)では、内容液を吐出しにくいという問題がある。
そこで、本発明は、正立状態又は倒立状態のいずれにおいても内容液を吐出でき、特に倒立状態の時、安定して内容液を吐出できる液体用吐出容器を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の液体用吐出容器は、正立状態で上端に開口部を有し、内容液を収納する有底筒状の容器本体と、前記開口部に設けられ、内容液を吐出する吐出孔が形成された吐出体とを備え、前記容器本体内には、前記吐出孔の吐出経路に接続され、前記吐出経路への内容液の流入を制御する制御体が設けられ、該制御体は、上下方向に伸び、前記吐出経路と接続された流通部と、前記吐出経路との接続位置近傍に位置し、第一のシリンダ及び該第一のシリンダに上下可動に収納された第一の弁体を備える第一の逆止弁と、先端部分に、第二のシリンダ及び該第二のシリンダに上下可動に収納された第二の弁体を備える第二の逆止弁とを備え、正立状態の時、第一の逆止弁が閉状態、第二の逆止弁が開状態となり、前記開口部を下方とした倒立状態の時、第一の逆止弁が開状態、第二の逆止弁が閉状態となる液体用吐出容器において、前記容器本体内には、一端が前記第二の弁体の可動範囲で前記制御体に接続され、前記容器本体の内底面に向かって伸びる吸入パイプが設けられていることを特徴とする。
前記吸入パイプは、他端が前記容器本体の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、前記第二の逆止弁は、前記第二の弁体が前記容器本体の軸線と略平行に可動とされ、前記第一の逆止弁は、前記第一の弁体の可動方向が前記軸線と交差するものとされ、前記第一の弁体の可動方向は、前記交差する部分から前記内底面に到る領域が、前記軸線を基準として、前記吸入パイプの他端と同一側に位置することが好ましい。
前記第二の逆止弁は、前記開口部から前記容器本体の内底面へ向かう距離の30%の範囲内に位置することが好ましい。
【0009】
本発明の容器入り液体洗浄剤は、本発明の前記液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体用吐出容器によれば、容器本体内に、吐出孔の吐出経路に接続され、前記吐出経路への内容液の流入を制御する制御体が設けられ、該制御体は、上下方向に伸び、前記吐出経路と接続された流通部と、前記吐出経路との接続位置近傍に位置し、第一のシリンダ及び該第一のシリンダに上下可動に収納された第一の弁体を備える第一の逆止弁と、先端部分に、第二のシリンダ及び該第二のシリンダに上下可動に収納された第二の弁体を備える第二の逆止弁とを備え、前記容器本体内には、一端が前記第二の弁体の可動範囲で前記制御体に接続され、前記容器本体の内底面に向かって伸びる吸入パイプが設けられているため、正立状態又は倒立状態のいずれにおいても内容液を吐出でき、特に倒立状態の時、安定して内容液を吐出できる。
本発明の液体用吐出容器によれば、前記吸入パイプは、他端が前記容器本体の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、前記第二の逆止弁は、前記第二の弁体が前記容器本体の軸線と略平行に可動とされ、前記第一の逆止弁は、前記第一の弁体の可動方向が前記軸線と交差するものとされ、前記第一の弁体の可動方向は、前記交差する部分から前記内底面に到る領域が、前記軸線を基準として、前記吸入パイプの他端と同一側に位置するため、水平状態でも内容液を良好に吐出できる。
本発明の液体用吐出容器は、前記第二の逆止弁が、前記開口部から前記容器本体の内底面へ向かう距離の30%の範囲内に位置するため、倒立状態でより良好に内容液を吐出できる。
【0011】
本発明の容器入り液体洗浄剤によれば、本発明の前記液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されているため、正立状態又は倒立状態のいずれにおいても液体洗浄剤を吐出でき、特に倒立状態の時、安定して液体洗浄剤を吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図2】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図3】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図5】本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図6】本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【図8】本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(第一の実施形態)
本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器について、以下に図面を参照して説明する。図1は、本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器1の正立状態を示す断面図である。液体用吐出容器1は、吐出体2と、内容液を収納する容器本体3とを備えるスクイズタイプの容器である。
【0014】
容器本体3は、底面部36の周縁から立設された胴部34と、胴部34の上方に延設された略円筒状の口部32とを備え、口部32の上端を周縁とする開口部30を有する、有底筒状のものである。正立状態とは、容器本体3の開口部30を鉛直方向上方とした状態をいう。口部32の外周には、蓋体(不図示)と螺合する雄ネジ33が形成されている。
【0015】
吐出体2は、開口部30を塞ぐ円盤状の平板部22の略中央に、内容液を容器本体3外に吐出する吐出孔20が形成されたものである。吐出孔20の大きさは、内容液の種類に応じて決定でき、例えば、φ0.5〜5mmとされる。
【0016】
容器本体3内には、吐出体2に接続された吐出ユニット10が設けられ、吐出ユニット10には、容器本体3の底面部36の内面(内底面)に向かって伸びる吸入パイプ8が接続されている。
【0017】
吐出ユニット10は、吐出体2の内面に接続され内部に内容液の吐出経路40が形成された連結部14と、連結部14の下端に接続された制御体12とで構成されたものである。
制御体12は、流通部5と、第一の逆止弁6と、第二の逆止弁7とを備えるものである。流通部5は、連結部14の下端から容器本体3の内底面に向けて伸びる筒状の部材であり、内部が吐出経路40と連通されている。流通部5には、連結部14との接続位置近傍に、第一の逆止弁6が設けられ、先端部分に第二の逆止弁7が設けられている。第二の逆止弁7は、容器本体3の内底面から離間し、かつ胴部34の内面(内側面)から離間して位置するものとされている。
【0018】
第一の逆止弁6は、流通部5の上端から略水平に突出した筒状体である連絡部66と、連絡部66の突端から上方に伸びる第一のシリンダ60と、第一のシリンダ60内に上下可動に収納された球体である第一の弁体62とを備えるものである。「上下可動」とは、正立状態における上下方向を含む領域を可動することを意味する。
第一のシリンダ60は、第一のシリンダ60内と容器本体3内とを連通する第一の連通孔64が形成され、開口部30から底面部36に向かい縮径する形状とされたものである。そして、第一のシリンダ60は、連絡部66との接続部分の内径が、第一の弁体62の直径よりも小さいものとされている。
本実施形態において第一の弁体62は、可動方向F1で移動し、可動方向F1は、開口部30の中心を通り、かつ開口部30から底面部36に向かう軸線O1と略平行とされている。
【0019】
第二の逆止弁7は、流通部5の下端に延設された有底筒状の第二のシリンダ70と、第二のシリンダ70内に上下可動に収納された球体である第二の弁体72aと、第二のシリンダ70に設けられた吸入部74とを備えるものである。第二のシリンダ70は、底面部36から開口部30に向かい縮径する形状とされたものであり、流通部5との接続部分近傍の内径が、第二の弁体72aの直径よりも小さいものとされている。本実施形態において第二の弁体72aは、液体用吐出容器1を正立状態とした時に、第二のシリンダ70の内底面に接して位置している。また、第二の弁体72aは、液体用吐出容器1を倒立状態とした時に、第二のシリンダ70の内径が第二の弁体72aの直径よりも小さくなる位置、即ち第二の弁体72bの位置で留まる。こうして、第二の弁体72aは、液体用吐出容器1の姿勢に従い、可動方向F2で移動する。この可動方向F2は、軸線O1と略平行とされている。
第二のシリンダ70には、第二の弁体72aの可動範囲に吸入部74が設けられている。吸入部74は、第二のシリンダ70の側面から略水平に突出し、次いで底面部36に向かって屈曲するものである。ここで、本実施形態における第二の弁体72aの可動範囲は、可動方向F2の矢印で示される範囲、即ち第二の弁体72aの上端から、第二の弁体72bの下端までの範囲である。
【0020】
吸入部74には、吸入パイプ8の一端が接続され、吸入パイプ8は、先端80が容器本体3の内底面に近接するものとされている。吸入パイプ8は、吸入部74に接続されていることで、その一端が第二の弁体72aの可動範囲で制御体12に接続されたものとなっている。
【0021】
第二の逆止弁7の位置は、特に限定されないが、開口部30に近いことが好ましく、例えば、開口部30から第二の逆止弁7の下端までの距離L2は、開口部30から容器本体3の内底面までの距離L1の30%の範囲内に位置することが好ましく、20%の範囲内に位置することがより好ましく、10%の範囲内に位置することがさらに好ましい。距離L2が短いほど、倒立状態で内容物をより良好に吐出できる。
【0022】
容器本体3は、手指で押圧した際に、胴部34が変形する程度の可撓性を有し、かつ手指での押圧を解除した際、押圧前の形状に復元できるものであればよい。
容器本体3の材質は、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等、従来、スクイズタイプの容器に用いられる樹脂が挙げられる。
【0023】
吐出体2の材質は、特に限定されず、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂が挙げられる。
【0024】
吸入パイプ8の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂が挙げられる。
【0025】
本実施形態において、連結部14と、流通路5と、連絡部66と、第一のシリンダ60と、第二のシリンダ70と、吸入部74とは、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、塩化ビニル、シリコンエラストマー、ウレタン等の樹脂等で一体成形されたものである。
第一の弁体62は、容器本体3に収納する内容液の比重よりも大きな比重の材質であれば特に限定されず、例えば、ステンレス等の金属、樹脂に金属粉を混合して成形したもの等が挙げられる。
第二の弁体72aの材質は、第一の弁体62の材質と同様である。
【0026】
液体用吐出容器1に収納される内容液としては、例えば、浴室、トイレ、排水管等の洗浄に用いられる液体洗浄剤、液体の機械油等が挙げられる。内容液の物性は、用途に応じて決定でき、塗布対象に付着滞留し、かつ胴部34を手指で押圧した際に、容易に吐出孔20から吐出できるものとされる。例えば、内容液は、25℃における粘度が、好ましくは10〜500mPa・s、より好ましくは10〜100mPa・sである。
【0027】
次に、本実施形態の液体用吐出容器1の使用方法を図1〜4を用いて説明する。
まず、吐出体2を開口部30から外し、吐出ユニット10を容器本体3内から取り出す。次いで、容器本体3内に、任意の量の内容液を収納し、吐出ユニット10を容器本体3内に位置させ、吐出体2を開口部30に嵌合する。こうして、液体用吐出容器1は、容器本体3に液体洗浄剤を収納した容器入り液体洗浄剤、容器本体3に機械油を収納した容器入り機械油を製造できる。
【0028】
図2を用いて、正立状態での液体用吐出容器1の使用方法を説明する。図2は、正立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の断面図である。内容液90を収納した液体用吐出容器1を正立状態にすると、第一の弁体62は、第一のシリンダ60と連絡部66との接続部分を塞ぎ、第一のシリンダ60から吐出経路40への流路を閉じる。即ち、第一の逆止弁6は、閉状態となる。一方、第二の弁体72aは、第二のシリンダ70における内底面に接して位置し、第二のシリンダ70から流通パイプ5への流路を確保する。即ち、第二の逆止弁7は、開状態となる。
【0029】
正立状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧して、容器本体3内の体積を減少させると、内容液90は、吸入パイプ8の先端80から吸入パイプ8内を通流し、吸入部74から第二のシリンダ70内に流入する。次いで、内容液は、第二のシリンダ70から流通部5と、吐出経路40とを順に通流し、吐出孔20から吐出される。この際、第一の逆止弁6が閉状態であるため、第一の連通孔64から第一のシリンダ60内に流入した気体(空気)は、第一の弁体62を第一のシリンダ60と連絡部66との接続部分に押し付けるように作用する。そして、第一の弁体62は、第一のシリンダ60内に流入した空気が吐出経路40へ流入するのを防止する。こうして、本実施形態の液体用吐出容器1は、吐出経路40で内容液90と空気とが混在するのを防止し、正立状態で内容液90のみを吐出孔20から吐出できる。
【0030】
図3〜4を用いて、倒立状態での液体用吐出容器1の使用方法を説明する。図3は、倒立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の断面図であり、倒立状態において、内容液90の天面92が第二の逆止弁7よりも底面部36側に位置する場合を示すものである。図4は、倒立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器1の断面図であり、倒立状態において、内容液90の天面92が第二の逆止弁7よりも開口部30側に位置する場合を示すものである。
【0031】
内容液90を収納した液体用吐出容器1を倒立状態にすると、第一の弁体62は、第一のシリンダ60から連絡部66への流路を確保する。即ち、第一の逆止弁6は、開状態となる。一方、第二の弁体72bは、第二のシリンダ70と流通部5との接続部分近傍に位置し、第二のシリンダ70から流通パイプ5への流路を塞ぐ。即ち、第二の逆止弁7は、閉状態となる。
【0032】
倒立状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧して、容器本体3内の体積を減少させると、内容液90は、第一の連通孔64から第一のシリンダ60内に流入し、連絡部66と吐出経路40とを順に通流して、吐出孔20から吐出される。この際、第二の逆止弁7が内容液90中に位置しているため、第二のシリンダ70内が内容液90で満たされている。このため、吸入パイプ8内の空気は、第二のシリンダ70内の内容液90を押圧し、押圧された内容液90は、第二の弁体72bを流通部5方向に押し付けるように作用する。
そして、第二のシリンダ70内には、空気が流入しないため、内容液90のみが流通部5と吐出経路40とを順に通流し、吐出孔20から吐出される。
加えて、吐出時に容器に振動が加わり、流通部5方向への第二の弁体72bの押し付けが不安定になった場合でも、第二のシリンダ70内が内容液で満たされているため、液体用吐出容器1は、流通部5内に空気が流入するのを防止できる。
【0033】
また、図4に示すように、内容液90の天面92が第二の逆止弁7よりも開口部30側に位置する場合、倒立状態の液体用吐出容器1の胴部34を押圧すると、内容液90は吐出孔20から吐出される。この際、第二の逆止弁7が内容液90外に位置しているため、吸入パイプ8から第二のシリンダ70内に空気が流入する。この流入した空気が、第二の弁体72bを流通部5方向に押し付けるように作用する。そして、第二の弁体72bは、第二のシリンダ70内に流入した空気が流通部5を通流し吐出経路40内に流入するのを防止する。こうして、本実施形態の液体用吐出容器1は、吐出経路40で内容液90と空気とが混在するのを防止し、倒立状態で内容液90のみを吐出孔20から吐出できる。
【0034】
さらに、内容液90の天面92が第二の弁体72bよりも開口部30側に位置する場合、第二の弁体72bと吐出孔20との間、即ち流通路5や吐出経路40に空気が存在することとなる。
しかしながら、本実施形態の液体用吐出容器1は、第二の逆止弁7から吐出孔20までの距離が比較的短いので、流通路5や吐出経路40に存在する空気量を少なくできる。
このため、液体用吐出容器1は、正立状態又は倒立状態のいずれにおいても内容液90を吐出でき、特に倒立状態の時、内容液90を吐出孔20から安定して吐出できる。
【0035】
例えば、特許文献1〜3のような従来の液体用吐出容器は、容器本体内に上下に伸びる吸入パイプが設けられ、この吸入パイプの上下に逆止弁が設けられている。そして、吸入パイプの下端に位置する逆止弁は、容器本体の内底面に近接して位置するものである。
このような従来の液体用吐出容器は、容器に振動が加わる等により、閉状態の逆止弁における弁体の状態が不安定になり、吐出流路に空気が容易に流入し、内容液を安定して吐出しにくくなる。
【0036】
上述の通り、本実施形態の液体用吐出容器は、第二の逆止弁が容器本体の内底面から離間した制御部を備え、かつ一端が前記第二の弁体の可動範囲で制御体に接続され、容器本体の内底面に向かって伸びる吸入パイプが設けられているため、正立状態又は倒立状態のいずれにおいても内容液を吐出でき、特に倒立状態で良好に内容液を吐出できる。
【0037】
加えて、本実施形態によれば、吸入パイプの長さを調節することで、種々の異なる大きさの容器本体に対し、同一寸法の吐出ユニットを適用できる。
さらに、本実施形態によれば、連結部14と、流通路5と、連絡部66と、第一のシリンダ60と、第二のシリンダ70と、吸入部74とが、一対成形により形成されるため、部材数を少なくでき、生産性を向上できる。
【0038】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態にかかる液体用吐出容器について、以下に図面を参照して説明する。なお、第一の実施形態にかかる液体用吐出容器1と同一の部材には同一の符号を付し、その説明を省略する。図5は、本発明の第一の実施形態にかかる液体用吐出容器100の正立状態を示す断面図である。液体用吐出容器100は、吐出体2と、内容液を収納する容器本体3とを備える、スクイズタイプの容器である。
【0039】
容器本体3内には、吐出体2に接続された吐出ユニット110が設けられ、吐出ユニット110には、容器本体3の内底面に向かって伸びる吸入パイプ108が接続されている。
【0040】
吐出ユニット110は、連結部14と、連結部14の下端に接続された制御体122とで構成されたものである。
制御体122は、流通部5と、第一の逆止弁106と、第二の逆止弁7とを備えるものである。流通部5には、連結部14との接続位置近傍に、第一の逆止弁106が設けられ、先端部分に第二の逆止弁7が設けられている。第二の逆止弁7には、吸入パイプ108が接続され、吸入パイプ108の先端180は、容器本体3の内底面に近接し、かつ内側面に近接するものとされている。
【0041】
第一の逆止弁106は、流通パイプ5の上端から略水平に突出した筒状体である連絡部166と、連絡部166の突端から上方に伸びる第一のシリンダ160と、第一のシリンダ160内に上下可動に収納された球体である第一の弁体62とを備えるものである。第一のシリンダ160は、第一のシリンダ160内と容器本体3内とを連通する第一の連通孔64が形成され、開口部30から底面部36に向かい縮径する形状とされたものである。そして、第一のシリンダ160は、連絡部166との接続部分の内径が、第一の弁体62の直径よりも小さいものとされている。
また、第一のシリンダ160は、第一の弁体62の可動方向f1が、軸線O1と交差する形状とされている。可動方向f1は、軸線O1との交差点P1から底面部36に到る領域が、軸線O1を基準として、吸入パイプ108の先端180と同一側に位置するものとされている。可動方向f1と軸線O1とのなす角度(交差角度)θ1は、0°超90°未満であり、10〜60°が好ましく、30〜45°がより好ましい。
【0042】
本実施形態において、容器本体3は、外面から内部を視認できるような透明又は半透明の材質であるか、あるいは吸入パイプ108の先端180の位置を示す表示等が外面に形成されているものが好ましい。吸入パイプ108の先端180の位置を認識できるようにすることで、水平状態における液体用吐出容器100の姿勢を適切なものとできる。
【0043】
本実施形態の液体用吐出容器100の使用方法を図6〜8を用いて説明する。図6は、正立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器100の断面図であり、図7は、倒立状態で内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器100の断面図である。図8は、容器本体3の軸線O1を水平として(水平状態)内容液を吐出する様子を説明する液体用吐出容器100の断面図である。
【0044】
図6を用いて、正立状態での液体用吐出容器1の使用方法を説明する。内容液90を収納した液体用吐出容器1を正立状態にすると、第一の逆止弁106が閉状態となり、第二の逆止弁7が開状態となる。
正立状態の液体用吐出容器100の胴部34を押圧すると、内容液90は、吸入パイプ108の先端180から吸入パイプ180内を通流し、吸入部74から第二のシリンダ70内に流入する。次いで、第二のシリンダ70から流通部5と、吐出経路40とを順に通流し、吐出孔20から吐出される。
【0045】
図7を用いて、倒立状態での液体用吐出容器100の使用方法を説明する。内容液90を収納した液体用吐出容器100を倒立状態にすると、第一の逆止弁106が開状態、第二の逆止弁7が閉状態となる。
倒立状態の液体用吐出容器100の胴部34を押圧すると、内容液90は、第一の連通孔64から第一のシリンダ160内に流入し、連絡部166と吐出経路40とを順に通流して、吐出孔20から吐出される。
【0046】
図8を用いて、水平状態での液体用吐出容器100の使用方法を説明する。図8に示すように、内容液90を収納した液体用吐出容器100を、吸入パイプ108の先端180が軸線O1の下方となるように水平状態とする。
ここで、第一の弁体62の可動方向f1は、軸線O1と交差し、かつ交差点P1から底面部36に到る領域が、軸線O1を基準として第二の逆止弁7と同一側に位置している。このため、液体用吐出容器100を水平状態にすると、第一の弁体62の可動方向f1は、開口部30から底面部36に向かうに従い、鉛直方向下方に傾斜することとなる。そして、第一の弁体62は、その可動方向f1に従って移動し、第一の逆止弁106を閉状態とする。一方、第二の弁体72aは、その可動方向F2が軸線O1と略平行であるため、液体用吐出容器100を水平状態にしても、第二のシリンダ70と流通部5との流路を塞がない。即ち、第二の逆止弁7は、開状態である。
【0047】
水平状態の液体用吐出容器100の胴部34を押圧して、容器本体3内の体積を減少させると、内容液90は、吸入パイプ108の先端180から吸入パイプ108内を通流し、吸入部74から第二のシリンダ70内に流入する。次いで、第二のシリンダ70から流通部5と、吐出経路40とを順に通流し、吐出孔20から吐出される。この際、第一の逆止弁106が閉状態であるため、第一の連通孔64から第一のシリンダ160内に流入した空気は、第一の弁体62を第一のシリンダ160と連絡部166との接続部分に押し付けるように作用する。そして、第一の弁体62は、第一のシリンダ160内に流入した空気が吐出経路40へ流入するのを防止する。こうして、本実施形態の液体用吐出容器100は、吐出経路40で内容液90と空気とが混在するのを防止し、水平状態で内容液90のみを吐出孔20から吐出できる。
【0048】
例えば、第一の実施形態の液体用吐出容器1を水平状態とすると、第一の逆止弁6と第二の逆止弁7とが共に開状態となり、吸入パイプ8の先端80から吐出ユニット10内に、多量の空気が優先的に吸い込まれる。このため、胴部34を押圧しても、空気が優先的に吐出孔20から吐出し、内容液を良好に吐出できない。
【0049】
本実施形態の液体用吐出容器によれば、吸入パイプの先端が前記容器本体の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、第二の弁体が容器本体の軸線と略平行に可動とされ、第一の弁体の可動方向が容器本体の軸線と交差するものとされ、第一の弁体の可動方向は、容器本体の軸線との交差点から容器本体の内底面に到る領域が、容器本体の軸線を基準として、吸入パイプの先端と同一側に位置するため、正立状態、倒立状態、水平状態のいずれの姿勢でも内容液を吐出できる。
【0050】
(その他の実施形態)
第一及び第二の実施形態では、第一の弁体が球体とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第一の弁体が円柱体、角柱体等とされていてもよい。ただし、第一の逆止弁の開閉を円滑に行う点から、第一の弁体は球体が好ましい。
また、第一及び第二の実施形態では、第二の弁体が球体とされているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第二の弁体が円柱体、角柱体等とされていてもよい。ただし、第二の逆止弁の開閉を円滑に行う点から、第二の弁体は球体が好ましい。
【0051】
第一及び第二の実施形態では、本発明の吐出ユニットをスクイズタイプの容器に適用したものであるが、本発明はこれに限定されず、例えば、吐出ユニットをエアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器に適用したものであってもよい。即ち、吐出体を、ノズルと噴射釦とを備えるエアゾール用の噴射装置としてもよいし、トリガーポンプを備えたトリガースプレー用の噴射装置としてもよい。
エアゾールタイプの容器は、圧縮ガスにより内容液を加圧して吐出するため、正立状態又は倒立状態のいずれでも、内容液を吐出できる。また、トリガースプレータイプの容器は、ポンプ機構により内容液を吸い上げるため、正立状態又は倒立状態のいずれでも、内容液を吐出できる。
ただし、エアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器を倒立状態とし、内容液の吐出を試みると、吐出経路に空気が流入し、内容液を安定して吐出できない場合がある。
そこで、本発明を適用することで、エアゾールタイプの容器又はトリガースプレータイプの容器においても、倒立状態で内容液をより良好に吐出できる。
なお、本発明は、上述のスクイズタイプの容器のように、内容液を加圧する機構や、内容液を吸い上げる機構を備えていない容器において、その効果が顕著に発揮される。
【0052】
上述の実施形態では、流通部が吐出経路に直結されているが、本発明はこれに限定されず、例えば、第一のシリンダと流通部とが直結され、流通部の上端から突出した連絡部によって、流通部と吐出経路とが接続されていてもよい。具体的には、図1において、第一のシリンダ60と連絡部66との接続部分の鉛直方向下方に、流通部5が延設されていてもよい。
ただし、正立状態又は水平状態で内容液を吐出する際、流通部を通流した内容液が第一の弁体を押し上げたりしないように、流通部は吐出経路と直結されていることが好ましい。
【符号の説明】
【0053】
1、100 液体用吐出容器
2 吐出体
3 容器本体
5 流通部
6、106 第一の逆止弁
7 第二の逆止弁
8、108 吸入パイプ
10、110 吐出ユニット
12、122 制御体
14 連結部
20 吐出孔
30 開口部
34 胴部
36 底面部
40 吐出経路
60、160 第一のシリンダ
62 第一の弁体
70 第二のシリンダ
72a、72b 第二の弁体
90 内容液
F1、F2、f1 可動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正立状態で上端に開口部を有し、内容液を収納する有底筒状の容器本体と、前記開口部に設けられ、内容液を吐出する吐出孔が形成された吐出体とを備え、前記容器本体内には、前記吐出孔の吐出経路に接続され、前記吐出経路への内容液の流入を制御する制御体が設けられ、該制御体は、上下方向に伸び、前記吐出経路と接続された流通部と、前記吐出経路との接続位置近傍に位置し、第一のシリンダ及び該第一のシリンダに上下可動に収納された第一の弁体を備える第一の逆止弁と、先端部分に、第二のシリンダ及び該第二のシリンダに上下可動に収納された第二の弁体を備える第二の逆止弁とを備え、正立状態の時、第一の逆止弁が閉状態、第二の逆止弁が開状態となり、前記開口部を下方とした倒立状態の時、第一の逆止弁が開状態、第二の逆止弁が閉状態となる液体用吐出容器において、
前記容器本体内には、一端が前記第二の弁体の可動範囲で前記制御体に接続され、前記容器本体の内底面に向かって伸びる吸入パイプが設けられていることを特徴とする液体用吐出容器。
【請求項2】
前記吸入パイプは、他端が前記容器本体の内底面に近接かつ内側面に近接して位置され、
前記第二の逆止弁は、前記第二の弁体が前記容器本体の軸線と略平行に可動とされ、
前記第一の逆止弁は、前記第一の弁体の可動方向が前記軸線と交差するものとされ、
前記第一の弁体の可動方向は、前記交差する部分から前記内底面に到る領域が、前記軸線を基準として、前記吸入パイプの他端と同一側に位置することを特徴とする、請求項1に記載の液体用吐出容器。
【請求項3】
前記第二の逆止弁は、前記開口部から前記容器本体の内底面へ向かう距離の30%の範囲内に位置することを特徴とする、請求項1又は2に記載の液体用吐出容器。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体用吐出容器に液体洗浄剤が収納されたことを特徴とする容器入り液体洗浄剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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