説明

液体用紙容器

【課題】 紙容器を構成する積層体を、紙を主体とする外面部分と金属層または金属酸化物層を含むプラスチックを主体とする内面部分に簡単に分離できるようにして、廃棄ないしは資源の再利用をし易くした液体用紙容器を提供することである。
【解決手段】 外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とガスバリアー層と熱可塑性樹脂層との積層体からなり、剥離層にて熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層とからなる外面部分と、金属層または金属酸化物層を含むプラスチックフィルムからなるガスバリアー層と熱可塑性樹脂層とからなる内面部分とに容易に剥離させて分離できるようにした積層体から構成される液体用紙容器である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器を構成する積層体を剥離層にて紙主体の外面部分とプラスチック主体の内面部分とに剥離させて容易に分離できるようにして、廃棄し易くするとともに資源を再利用し易くした酒、ワイン、コーヒー等の包装に使用される液体用紙容器に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、環境保護がさけばれ、包装材料の再利用が話題となっており、ゲーベルトップ型の紙容器においても、ポリエチレン/紙/ポリエチレンの積層体からなる牛乳包装用の紙容器等については、リサイクル活動が行われ資源の再利用による有効利用がなされている。しかしながら、酒、ワイン、コーヒー等の包装に使用されるゲーベルトップ型の紙容器は、内容物の保護、流通手段、流通期間の長期化のために、ガスバリアー性の優れた紙容器とする必要があり、紙層の内容物側にガスバリアー層が積層された積層体、例えば、ポリエチレン/紙/接着性樹脂/アルミニウム箔/接着剤/ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンからなる積層体が一般的に使用されている。上記のような構成の積層体からなる紙容器のにおいては、積層構成中にアルミニウム箔を含む上に、積層体中に占めるプラスチックの比率が高く、使用済のゲーベルトップ型の紙容器の再生が困難である上に回収効率が低いという問題があった。また、上記の構成の積層体のようにきわめて剛性がある積層体から形成される紙容器であるので、牛乳包装用の紙容器のようにゲーベルトップ型の紙容器の頂部の外面同士および内面同士の接着部を剥離して、はさみで解体することにより、紙容器の嵩を少なくすることもきわめて困難であるという欠点があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、紙容器を構成する積層体を、ポリエチレン/紙/ポリエチレンからなる外面部分と、金属層または金属酸化物層を有するプラスチックを含む内面部分とに、簡単に分離できるようにして、廃棄し易くするとともに資源の再利用を有効に行えるようにした液体用紙容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とガスバリアー層と熱可塑性樹脂層とが積層され、剥離層にて剥離層より外面部分と内面部分とに分離可能に構成された積層体からなる液体用紙容器であるので、使用後に紙容器を解体し、紙容器の端部から剥離層にて紙主体の外面部分とプラスチック主体の内面部分に剥離して分離することができるので、使用済の紙容器の廃棄ないしは資源の再利用がし易くなる。
【0005】
上記の液体用紙容器において、剥離層が、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ブチラール樹脂、環化ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、EVA変成ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、シェラックの単体もしくは混合物にて形成される1層もしくは異なる2層からなる、全面もしくは任意のパターンで全面積の95〜5%を有する層で形成することにより、接着樹脂層と剥離層の界面の接着力、または剥離層が2層からなるときの剥離層間の接着力を調整することにより、液体用紙容器としての実用性を損なわず紙主体の外面部分とプラスチック主体の内面部分に剥離して分離することができるものである。
【0006】
上記の液体用紙容器において、ガスバリヤー層を、アルミニウム箔と2軸延伸プラスチックフィルムの積層体、金属または金属酸化物を蒸着した2軸延伸プラスチックフィルムとすることにより、ガスバリヤー性を必要とする酒、ワイン、コーヒー等を包装するのに適した液体用紙容器とすることができる。
【0007】
上記の液体用紙容器の形状が、前面板と後面板と両側面板と頂部形成板と底部形成板からなるゲーベルトップ型であって、頂部形成板および底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層を形成しておくことにより、頂部および底部の外面同志の熱接着部が剥離し易くなるので、折り畳み易くすることができるとともに、剥離層にて積層体の相間で簡単に剥離させて、紙主体の外面部分とプラスチック主体の内面部分に分離することができる。
【0008】
上記の液体用紙容器において、両側面板および両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線を形成した構成とすることにより、両側面板を内側に折り込んで折り畳むのが容易となる。
【発明の効果】
【0009】
外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とガスバリアー層と熱可塑性樹脂層とが積層され、剥離層にて剥離層より外面部分と内面部分とに分離可能に構成された積層体からなる液体用紙容器であるので、使用後に紙容器を解体し、紙容器の端部から剥離層にて紙主体の外面部分とプラスチック主体の内面部分に剥離して分離することができるので、使用済の紙容器の廃棄ないしは資源の再利用がし易くなる。上記の液体用紙容器において、剥離層が、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ブチラール樹脂、環化ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、EVA変成ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、シェラックの単体もしくは混合物にて形成される1層もしくは異なる2層からなり、全面もしくは任意のパターンで全面積の95〜5%を有する層で形成することにより、接着樹脂層と剥離層の界面の接着力、または剥離層が2層からなるときの剥離層間の接着力を調整することにより、液体用紙容器としての実用性を損なわず紙主体の外面層とプラスチック主体の内面層に剥離して分離することができるものである。上記の液体用紙容器において、ガスバリヤー層を、アルミニウム箔と2軸延伸プラスチックフィルムの積層体、金属または金属酸化物を蒸着した2軸延伸プラスチックフィルムとすることにより、ガスバリヤー性を必要とする酒、ワイン、コーヒー等を包装するのに適した液体用紙容器とすることができる。上記の液体用紙容器の形状がゲーベルトップ型であって、頂部形成板および底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層が形成されている構成とすることにより、頂部および底部の外面同志の熱接着部が剥離し易くなるので、折り畳み易くすることができるとともに、剥離層により積層体の相間で剥離を簡単に行うことができ、紙主体の外面層とプラスチック主体の内面層に剥離して分離することができる。上記の液体用紙容器において、両側面板および両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線を形成した構成とすることにより、両側面板を内側に折り込んで折り畳むのが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1実施形態の積層構成を示す断面図、図2は本発明の第2実施形態の積層構成を示す断面図、図3はゲーベルトップ型容器のブランク板の表面の状態を示す平面図、図4はゲーベルトップ型容器の底部形成板の外面同志の接着部を剥離して分解する手順を示す部分斜視図、図5はゲーベルトップ型容器の折り畳んだ状態を示す斜視図、図6はポリエチレンと板紙と接着樹脂からなる外面層を容器の端部から剥離し始める状態を示す斜視図、図7は外面層を容器の全長にわたって剥離した状態を示す斜視図、図8は外面層と内面層を剥離させるきっかけを作る方法を示す斜視図であって、1はポリエチレン層、2は紙層、3は接着樹脂層、
4,4a,4bは剥離層、5はガスバリアー層、6はポリエチレン層、7,8は接着強度調整層、11,12,13,14は側面板、11a,12a,13a,14aは頂部形成板、11b,12b,13b,14bは底部形成板、15は接着板、16,17は折曲線、18は注出口取付孔、19は底端縁接着部をそれぞれ表す。
【0011】
本発明の液体用紙容器の第1実施形態の積層構成は、図1に示すように、外面から順にポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3と剥離層4とガスバリアー層5とポリエチレン層6とからなる構成である。印刷絵柄はポリエチレン層1の外面に設けられる。剥離層4は全面もしくは任意のパターンで全面積の95〜5%を有する層で形成される。第1実施形態の場合は、積層体の端面をほぐす等により、接着樹脂層3と剥離層4との界面で容易に剥離するので、ポリエチレン層1/紙層2/接着樹脂層3からなる外面部分と、剥離層4/ガスバリアー層5/ポリエチレン層6とからなる内面部分とに容易に分離することができる。剥離層4はガスバリアー層5に付着した状態で剥離する。
【0012】
本発明の液体用紙容器の第2実施形態の積層構成は、図2に示すように、外面から順にポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3と剥離層4bと剥離層4aとガスバリアー層5とポリエチレン層6とからなる構成である。印刷絵柄はポリエチレン層1の外面に設けられる。剥離層4bと剥離層4aは全面もしくは任意のパターンで全面積の95〜5%を有する層で形成される。第2実施形態の場合は、積層体の端面をほぐす等により、剥離層4bと剥離層4aとの界面、ないしは接着樹脂層3と剥離層4bとの界面にて容易に剥離するので、ポリエチレン層1/紙層2/接着樹脂層3/剥離層4aからなる外面部分と、剥離層4b/ガスバリアー層5/ポリエチレン層6とからる内面部分に、ないしはポリエチレン層1/紙層2/接着樹脂層3からなる外面部分と、剥離層4b/剥離層4a/ガスバリアー層5/ポリエチレン層6とからる内面部分に容易に分離することができる。第1実施形態および第2実施形態の積層体を使用して作製される液体用紙容器の形状としては、ゲーベルトップ型、フラットトップ型(ブリック型)等任意である。
【0013】
第1実施形態の積層構成のように剥離層4が1層の場合における剥離層4を構成する樹脂としては、ガスバリヤー層5を構成するアルミニウム箔面またはアルミニウムを蒸着した2軸延伸プラスチックフィルムの蒸着面との接着性がよく、接着樹脂層3面との接着性がよくない、アクリル系樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、シェラック等の樹脂が使用できる。剥離層4は上記樹脂の単体または混合物からなる樹脂インキを使用して、ガスバリヤー層5を構成するアルミニウム箔面またはアルミニウムを蒸着した2軸延伸プラスチックフィルムの蒸着面にグラビア印刷等により形成される。
【0014】
第2実施形態の積層構成のように剥離層が剥離層4bと剥離層4aの2層からなる場合における剥離層4bと剥離層4aを構成する樹脂としては、剥離層4aには、ガスバリヤー層5を構成するアルミニウム箔面またはアルミニウムを蒸着した2軸延伸プラスチックフィルムの蒸着面との接着性のよいアクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、シェラックが使用でき、剥離層4a面に形成される剥離層4bには、接着樹脂層3と接着性がよく且つ剥離層4aとの界面で剥離できるセルロース系樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、EVA変成ウレタン系樹脂等が使用できる。剥離層4aおよび剥離層4bはガスバリヤー層5を構成するアルミニウム箔面またはアルミニウムを蒸着した2軸延伸プラスチックフィルムの蒸着面にグラビア印刷等にて2度刷りすることにより形成される。また、剥離層4,4a,4bには所望の剥離強度を得るためにマイクロクリスタリンワックス、シリコン等を添加することもできる。
【0015】
ポリエチレン層1としては低密度ポリエチレンが使用され、ポリエチレン層6には低密度ポリエチレン、中低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン−αオレフイン共重合体等が使用される。紙層2としては250〜450g/m2の坪量の板紙が使用される。接着樹脂層3としては、低密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、エチレン−アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)等が使用される。ガスバリアー層5としては、厚さ6μ〜9μのアルミニウム箔と2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムまたは2軸延伸ナイロンフイルムとの積層体、アルミニウムを蒸着した2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフイルムまたは2軸延伸ナイロンフイルムが使用される。
【0016】
本発明の液体用紙容器の形状としては、ゲーベルトップ型容器又はフラットトップ型容器等任意であるが、以下、ゲーベルトップ型容器について説明する。ゲーベルトップ型容器を作製するためのブランク板は、図3に示すように、側面板11,12,13,14と接着板15が折罫を介してそれぞれ連接されると共に、側面板11,12,13,14の上下端縁には頂部形成板11a、12a,13a,14a及び底部形成板11b,12b,13b,14bが折罫を介してそれぞれ連接され、側面板12及び側面板14の中央部には縦方向にそれぞれ折曲線16が、頂部形成板12a,14aと底部形成板12b,14bの中央部には縦方向にそれぞれ折曲線17が、側面板11,12,13,14と頂部形成板12a,13a,14aないしは底部形成板11b,12b,13b,14bを連接する折罫の上下の所定寸法を除いた状態で形成されている。底部形成板11b,12b,13b,14bの表面同志が熱接着される領域及び頂部形成板11a、12a,13a,14aの表面同志が熱接着される領域にはそれぞれ部分的な接着強度調整層7及び接着強度調整層8が形成されている。印刷絵柄層はブランク板の表面の熱接着される領域を除いた領域に形成される。
【0017】
接着強度調整層7,8は、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、環化ゴム、ポリアミド系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、アルキッド樹脂の単体またはこれらの混合物からなる樹脂インキを使用して印刷することにより形成することができる。接着強度調整層7,8を形成する面積は、底部形成板11b,12b,13b,14b及び頂部形成板11a、12a,13a,14aの表面同志が熱接着される領域の20%以上の面積とするのがよい。
【0018】
図3に示すブランク板を、側面板11と接着板15とを熱接着して筒状に成形し、底部形成板11b,12b,13b,14bを折り曲げて熱接着することにより底部を形成した後に、頂部形成板11a、12a,13a,14aを折り曲げて熱接着することにより頂部を形成してゲーベルトップ型容器が得られる。ゲーベルトップ型容器を廃棄する際には、接着強度調整層8が設けられた頂部形成板12a,14aの表面同志が熱接着された部分を剥離すると共に、接着強度調整層7が設けられた底部形成板12b,13b,14bの表面同志が熱接着された部分を剥離して、ゲーベルトップ型容器の頂部及び底部を解体してから、両側面板12,14を幅方向の中央部の折曲線16にて内方に折り曲げると共に、頂部形成板12a,14a及び底部形成板12b,14bを幅方向の中央部の折曲線17にてそれぞれ内方に折り曲げることにより、図5に示すように折り畳むことができる。
【0019】
接着強度調整層7が設けられた底部形成板12b,13b,14bの表面同志が熱接着された部分を剥離してゲーベルトップ型容器の底部を解体する手順は、図4に示すように、図4(イ)に示す状態から、底部の端縁接着部19を底部形成板13bから剥離して起こし、図4(ロ)に示す状態とする。更に、底部形成板12b,14bの表面同志が熱接着された部分を剥離して端縁接着部19を分離し、図4(ハ)に示す状態とする。次いで、側面板12,14を幅方向の中央部の折曲線16にて内方に折り曲げると共に、頂部形成板12a,14aを幅方向の中央部の折曲線17にて内方に折り曲げることにより、ゲーベルトップ型の容器を、図5に示す折り畳んだ状態とすることができる。
【0020】
図5に示す紙容器の折り畳んだ状態で、後面板11と頂部形成板11aと底部形成板11bの接着板15と接着された側端部、即ち、積層体の端部が露出している部分の角端部を折り曲げることにより積層体の剥離層4,4a,4bにて剥離させることができるので、図6に示すように、頂部形成板11a及び底部形成板11bの角端部から、ポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3からなる外面部分を剥離させることができ、図7に示すように、後面板11と頂部形成板11aと底部形成板11bの側端部の全長にわたって剥離させることができる。また、図8に示すように、頂部熱接着部の外面同士の接着部を剥がした後、内面同士の熱接着部を引っ張って内面接着部を接着端部より破断し開封することにより、外面層と内面層の分離した部位を作り、頂部の外面層と内面層を剥離することにより、図6に示すように、頂部形成板11aの角端部からポリエチレン層1と紙層2と接着樹脂層3からなる外面部分を剥離させることができる。分離した外面部分およびガスバリアー層5とポリエチレン層6とからなるプラスチックを主体とする内面部分は、それぞれ別々に処理できるので廃棄ないしは再利用が容易となる。
【0021】
上記の本発明について、以下に実施例をあげて、さらに詳しく説明する。
【実施例1】
【0022】
7μのアルミニウム箔と12μの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと60μのポリエチレンフィルムとをウレタン系接着剤を使用して積層し積層フィルムを作製した。次いで、この積層フィルムのアルミニウム箔面に下記組成の樹脂インキA、Bを使用して深さ30μのグラビア版にて、樹脂インキA、樹脂インキBの順でベタ印刷を行い剥離層を形成した。
〔樹脂インキAの組成(重量部)〕
シェラック(ラックグレーズ20E、日本シェラック工業) 20
溶剤(エタノール) 80
〔樹脂インキBの組成(重量部)〕
ニトロセルロース(SS1/4、ダイセル化学工業) 25
溶剤(酢酸エチル:トルエン=2:3) 75
【0023】
別に、400gの板紙の一方の面に30μのポリエチレンを押出コートにより積層し、板紙の他方の面と上記で作製した積層フィルムの剥離層面とを、ポリエチレンを25μの厚さで押出ラミネーションして積層することにより、ポリエチレン30μ/板紙400g/ポリエチレン25μ/剥離層B(樹脂インキB)/剥離層A(樹脂インキA)/アルミニウム箔7μ/ウレタン系接着剤/2軸延伸ポリエチレンテレフタレート12μ/ウレタン系接着剤/ポリエチレン60μからなる積層体を作製した。得られた積層体の剥離層は積層体と一体化しゲーベルトップ型容器としての接着力を有するものであった。また、積層体の端部を折り曲げると剥離層Aと剥離層Bの界面で剥離させて積層体を外面部分と内面部分とに容易に分離することができた。上記積層体の30μのポリエチレン面に印刷絵柄を形成するとともに所定の領域に接着強度調整層を印刷により形成してから、打ち抜きによりゲーベルトップ型容器用のブランク板を作製し、そのブランク板を筒貼りし頂部および底部を熱接着により形成してゲーベルトップ型容器を作製した。上記で得られたゲーベルトップ型容器の頂部及び底部における外面同士の接着部を剥離して、容器を折り畳んだ状態とし折り畳まれた容器お角端部を折り曲げることにより、剥離層Aと剥離層Bの界面で剥離して外面部分と内面部分とに剥離を開始し、容器を構成する積層体をポリエチレン/板紙/ポリエチレンからなる外面部分とガスバリヤー/ポリエチレンからなる内面部分とに容易に分離することができた。本実施例では剥離層Aはプラスチックを主体とする内面層と一体化しており、剥離層Bは板紙を主体とする外面層と一体化しており、剥離層Aと剥離層Bの界面で剥離を発生させるものである。
【実施例2】
【0024】
樹脂インキBの組成を下記の組成に変更した以外は実施例1と同様にして実施して、実施例1と同様の結果が得られた。
〔樹脂インキBの組成(重量部)〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体 10
(エバフレックス220、三井デユポンポリケミカル)
溶剤(トルエン) 90
【実施例3】
【0025】
樹脂インキAおよび樹脂インキBの組成を下記の組成に変更した以外は実施例1と同様にして実施して、実施例1と同様の結果が得られた。
〔樹脂インキAの組成(重量部)〕
ポリアミド(バーサミド940、ヘンケル白水) 30
溶剤(イソプロピルアルコール:トルエン=1:1) 70
〔樹脂インキBの組成(重量部)〕
エチレン−酢酸ビニル共重合体 10
(エバフレックス220、三井デユポンポリケミカル)
溶剤(トルエン) 90
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態の積層構成を示す断面図。
【図2】本発明の第2実施形態の積層構成を示す断面図。
【図3】ゲーベルトップ型容器のブランク板の表面の状態を示す平面図。
【図4】ゲーベルトップ型容器の底部形成板の外面同志の接着部を剥離して分解する手順を示す部分斜視図。
【図5】ゲーベルトップ型容器の折り畳んだ状態を示す斜視図。
【図6】ポリエチレンと板紙と接着樹脂からなる外面層を容器の端部から剥離し始める状態を示す斜視図。
【図7】外面層を容器の全長にわたって剥離した状態を示す斜視図。
【図8】外面層と内面層を剥離させるきっかけを作る方法を示す斜視図。
【符号の説明】
【0027】
1 ポリエチレン層
2 紙層
3 接着樹脂層
4,4a,4b 剥離層
5 ガスバリアー層
6 ポリエチレン層
7,8 接着強度調整層
11,12,13,14 側面板
11a,12a,13a,14a 頂部形成板
11b,12b,13b,14b 底部形成板
15 接着板
16,17 折曲線
18 注出口取付孔
19 底端縁接着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面から順に熱可塑性樹脂層と紙層と接着樹脂層と剥離層とガスバリアー層と熱可塑性樹脂層とが積層され、前記剥離層にて前記剥離層より外面部分と内面部分とに分離可能に構成された積層体からなることを特徴とする液体用紙容器。
【請求項2】
前記剥離層が、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、ブチラール樹脂、環化ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、セルロース系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、EVA変成ウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、シェラックの単体もしくは混合物にて形成される1層もしくは異なる2層からなることを特徴とする請求項1記載の液体用紙容器。
【請求項3】
前記剥離層が、全面コートもしくは任意のパターンで全面積の95〜5%を有する層で形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の液体用紙容器。
【請求項4】
前記ガスバリヤー層が、アルミニウム箔と2軸延伸プラスチックフィルムの積層体、金属または金属酸化物を蒸着した2軸延伸プラスチックフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液体用紙容器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の液体用紙容器の形状が、前面板と後面板と両側面板と頂部形成板と底部形成板からなるゲーベルトップ型であって、前記頂部形成板および前記底部形成板の外面同志が熱接着される領域に部分的に接着強度調整層が形成されていることを特徴とする液体用紙容器。
【請求項6】
請求項5記載の液体用紙容器において、前記両側面板および前記両側面板の上下に連接された頂部形成板及び底部形成板の中央部にそれぞれ縦方向の折曲線が形成された構成からなることを特徴とする液体用紙容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−100768(P2008−100768A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311894(P2007−311894)
【出願日】平成19年12月3日(2007.12.3)
【分割の表示】特願平10−256464の分割
【原出願日】平成10年9月10日(1998.9.10)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】