説明

液体製薬調製物から非金属性タンパク質インヒビターを除去する方法

本発明は、液体製薬調製物からタンパク質インヒビターを除去する方法であって、(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、そして、(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る、という工程を含んでなる方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、治療上活性なタンパク質を含有してなる液体製薬調製物、特に該調製物から非金属性タンパク質インヒビターの除去に関する。
【0002】
(発明の背景)
不安定なタンパク質に基づく製薬調製物は凍結乾燥した生成物として製剤化されることが多い。主に、このような製薬タンパク質製剤は、注射の形態で投与することを目的とする。注射の前に、凍結乾燥させた生成物は溶液として調製されなければならず、この再構成工程は時間がかかり複雑であるという特徴があり、最終溶液の汚染のリスクが生じる。
このことを避けるために、直接使用できるように溶液として注射を目的とする製薬製剤を供給することが望ましい。
【0003】
第VIIa因子のように活性化タンパク質に基づく製薬的溶液の場合、活性化タンパク質のインヒビターの形態の安定剤は一般的に、保存の間の活性なタンパク質の自己分解を予防するために必要とされている。しかしながら、安定剤の中には望ましくない副作用を生じさせうるものがあるので、製薬溶液中での濃度はできるだけ低くしなければならない。
【0004】
ベンズアミジンのようなセリンプロテアーゼインヒビターのトリプシンへの結合は記載されており(Eur. J. Biochem. 268, 1554-1560 (2001))、アミジノフェニル尿素ベースのインヒビター(Bioorg. Med. Chem. Lett. 13, 1463-1467 (2003))は、自己触媒的分解又は不活性化に対してセリンプロテアーゼ第VIIa因子を安定化することが記載されている。安定剤のアミジンタイプは、望ましくない副作用を示し得、抗凝血物質として作用しうる。第VIIa因子溶液の場合、インヒビターのいずれの抗凝固作用も、活性な製薬的成分の作用に対抗するものであるので、当然望ましくない。
【0005】
したがって、一方では、一般的な安全上の理由から、適度に低いレベルに濃度を下げることが有意であるとされているが、他方では、タンパク質を安定化させるために必要な安定剤のレベルは一般的に、もちろんインヒビター及び用いるFVIIa濃度に応じて、0.05〜50mMの濃度範囲である。
したがって、微量のタンパク質インヒビターを有するすぐ使用できるタンパク質溶液を調製するための手段が必要とされている。
国際公開第97/15391号Aは、ポリペプチドに有意に影響することなく元の保存料レベルの濃度を10〜99%低減したポリペプチド溶液のための、保存料を除去するためのゼオライトの使用を開示している。
【0006】
(発明の概要)
上に述べた必要性からみて、本発明は、液体製薬調製物からタンパク質インヒビターを除去する方法であって、
(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、そして、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る
という工程を含んでなる方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、セリンプロテアーゼ/ビタミンK依存性タンパク質の群に属する治療上活性なタンパク質を必要とする被検体、例えばヒトを治療する方法であって、
(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封した容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得、そして、
(d) 結果として生じた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体に投与する
という工程を含んでなる方法を提供する。
【0008】
(発明の詳細な説明)
上記したように、本発明は、液体製薬調製物からタンパク質インヒビターを除去する方法であって、
(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、そして、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る
という工程を含んでなる方法を提供する。
【0009】
本発明は、治療上関係するタンパク質の液体製薬調製物中のセリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属する特定のタンパク質の非金属性インヒビターの量が、治療上活性なタンパク質ないしは治療上活性なタンパク質の活性が実質的に損失していないことが観察される方法で、比較的短時間の間、該溶液を固相ポリマー物質に接触させることによって、効果的に低減されうる又は実質的に除去されうるという発見に基づく。
【0010】
方法工程(a)
前記方法の第一工程では、(i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器が提供される。
【0011】
「初期液体製薬調製物」なる用語は、望ましくない多量のインヒビターが存在する場合を除き、すぐ使用できる(一般的に直接注入できる)組成物として調製される液体製薬的組成物(一般的に水溶性の製薬調製物)を意味することを目的とする。このような液体製薬調製物の調製は、当業者に公知であり、例えば国際公開第2005/016365号Aに示される。
液体調製物は一般的に等張性又は高張性である。「等張性」なる用語は「血清と等張な」、すなわちおよそ300±50ミリオスモル/kgを意味する。浸透圧は、投与前の溶液の重量モル浸透圧濃度の測定であることを意味する。「高張性」なる用語は、血清の生理学的レベルを超える重量モル浸透圧濃度のレベル、例えばおよそ300±50ミリオスモル/kg(等張)を超えるレベルを示すことを意味する。
前記調製物は、必須成分として(i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターを含む。
【0012】
セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質
本発明は特に、自己分解する触媒性質を有するタンパク質、ゆえに特にタンパク質が部分的又は完全に活性化型である場合に関することが理解される。
さらに、本発明は、セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性血漿タンパク質の群に属するタンパク質に特に有益である。
【0013】
本明細書にて用いられる、「ビタミンK依存性タンパク質」なる用語はグルタミン酸残基でγ-カルボキシル化される任意のタンパク質を意味する。ビタミンK依存性凝固因子は、完全な活性のためにGla-ドメインのγ-カルボキシル化を必要とする。γ-カルボキシ化されたグルタミン酸(Gla)は、特定のカルシウム結合タンパク質に見られるアミノ酸である。代表的なビタミンK依存性タンパク質には、限定するものではないが、凝血原凝固因子プロトロンビン(第II因子)、第VII因子、第IX因子、第X因子;抗凝固プロテインC及びプロテインS;プロテインZ(血漿にも見られる);肺サーファクタントタンパク質(Rannels et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84: 5952-56, 1987)、及び骨タンパク質オステオカルシン(骨Gla-タンパク質としても知られる)、プロリンリッチGlaタンパク質1、及びマトリックスGla-タンパク質が含まれる。このアミノ酸を含有するタンパク質は、「ビタミンK依存性タンパク質」、「Gla-タンパク質」又は「γ-カルボキシ化タンパク質」とさまざまに呼称される。
【0014】
ビタミンK依存性タンパク質の生合成には、機能的タンパク質の成熟が得られる前に様々な翻訳後プロセシングが含まれる。ビタミンKは、これらのビタミンK依存性タンパク質のグルタミン酸残基のγ-カルボキシル化に必要な補助因子である。γ-カルボキシ化グルタミン酸(Gla)残基は、膜リン脂質を有するこれらのタンパク質の金属性関連相互作用に必要である。γ-カルボキシル化によって、凝固タンパク質は、リン脂質表面上のそれらの補助因子へのビタミンK依存性タンパク質のカルシウム依存性の複合体形成のため、及び、それらの生物学的活性のために必要な構造的変化を経ることができる。
【0015】
前記プロテアーゼ/タンパク質の好適な例は、GAS-6、プロテインS、第II因子(プロトロンビン)、第X因子ポリペプチド、第IX因子ポリペプチド、プロテインC、第VII因子ポリペプチド、プロテインZ、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質1、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質2、膜貫通γカルボキシグルタミン酸タンパク質3、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質4、マトリックスGlaタンパク質及びオステオカルシンからなる群から選択されるもの、特に、第VII因子ポリペプチド、第IX因子ポリペプチド、第X因子ポリペプチド、及び活性化プロテインCから選択されるビタミンK依存性の凝固因子である。上記タンパク質のPEG化誘導体、切断型、及び配列変異型も、それぞれの親ポリペプチドの生物学的活性の少なくとも10%を保持する限り包含されることは当然理解されるであろう。
【0016】
本明細書にて用いられる「変異体」なる用語は、親タンパク質の一又は複数のアミノ酸残基が他のアミノ酸残基に置換されている、及び/又は親タンパク質の一又は複数のアミノ酸残基が欠失している、及び/又は一又は複数のアミノ酸残基が親タンパク質に付加している、セリンプロテアーゼ/ビタミンK依存性タンパク質、例えばFVIIを示すことを意図する。前記の付加は親タンパク質のN末端及びC末端のいずれかないしは両方で起こりうる。また、親タンパク質のアミノ酸鎖内(「鎖内」付加)、場合によって親タンパク質のC末端及び/又はN末端の付加(一又は複数)と同時に起こりうる。
【0017】
このようなプロテアーゼ/タンパク質は、様々な方法で、例えば組織、血液又は他の体液などの天然の供給源からの単離によって、又はトランスジェニック動物(例えば魚、ウサギ、ブタ、ウシ)内での産生又は細胞培養条件下での産生などの組み換え技術によって得られうる。
ある好適な実施態様では、前記タンパク質は、第VII因子ポリペプチド、第IX因子ポリペプチド、第X因子ポリペプチド及び活性化プロテインCからなる群から選択されるビタミンK依存性の凝固因子である。
【0018】
本明細書中で用いられる、「第VII因子ポリペプチド」又は「FVIIポリペプチド」なる用語は、野生型ヒト第VIIa因子(すなわち米国特許第4784950号に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチド)のアミノ酸配列1−406、その変異体、並びに第VII因子関連のポリペプチド、第VII因子誘導体及び第VII因子コンジュゲートを含んでなる任意のタンパク質を意味する。これには、野生型ヒト第VIIa因子と相対的に同じか改善された生物学的活性を実質的に示すFVII変異体、第VII因子関連のポリペプチド、第VII因子誘導体及び第VII因子コンジュゲートが含まれる。
【0019】
「第VII因子」なる用語は、非切断(チモーゲン)型の第VII因子ポリペプチド、並びにその生理活性型を得るようにタンパク質分解的にプロセシングされているもの(第VIIa因子と称されうるもの)を包含することを意図する。概して、第VII因子は、残基152と153の間で切断されて第VIIa因子となる。第VII因子の変異体は、安定性、リン脂質結合性、変更した特異的活性などを含む、ヒト第VII因子と相対的に異なる性質を表しうる。
【0020】
また、上記の定義の範囲内の「第VII因子」又は「第VIIa因子」には、存在し、ある個体から他の個体に生じうる天然の対立遺伝子変異体が含まれる。また、グリコシル化又は他の翻訳後修飾の程度と位置は、選択した宿主細胞や宿主の細胞性環境の性質に応じて異なりうる。
本明細書中で用いられる「野生型ヒトFVIIa」は、米国特許第4784950号に開示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドである。
【0021】
本明細書で用いる「第VII因子関連ポリペプチド」は、第VIIa因子の生物学的活性が野生型第VIIa因子の活性と比べて減少しているなどの、実質的に変更されている変異体を含むポリペプチドを包含する。これらのポリペプチドは、限定するものではないが、ポリペプチドの生物学的活性を変更又は破壊する特定のアミノ酸配列の変更が導入されている第VII因子又は第VIIa因子を含む。
【0022】
本明細書中で用いられる「第VII因子誘導体」なる用語は野生型第VII因子に対して相対的に同じか又は改善された生物学的活性を実質的に示すFVIIポリペプチドを表すことを意図し、このFVIIポリペプチドにおいて、親ペプチドの一又は複数のアミノ酸が、例えばアルキル化、グリコシル化、PEG化、アシル化、エステル形成又はアミド、ポリペプチドとの融合(国際公開第01/79271号に記載のようにアルブミン-融合タンパク質を含む)などによって遺伝的に及び/又は化学的に及び/又は酵素的に修飾されている。これには、PEG化されたヒト第VIIa因子、システイン-PEG化ヒト第VIIa因子、グリコPEG化ヒト第VIIa因子及びその変異体を含むが、これらに限定されるものではない。「PEG化されたヒト第VIIa因子」なる用語は、ヒト第VIIa因子ポリペプチドにコンジュゲートされたPEG分子を有するヒト第VIIa因子を意味する。PEG分子が第VIIa因子ポリペプチドのいずれかのアミノ酸残基又は糖鎖を含む第VIIa因子ポリペプチドのいずれかの部分に付着しうる(「グリコPEG化第VIIa因子」)ことは理解される。「システイン-PEG化ヒト第VIIa因子」なる用語は、ヒト第VIIa因子に導入されるシステインのスルフヒドリル基にコンジュゲートされるPEG分子を有する第VIIa因子を意味する。第VII因子誘導体の非限定的な例には、国際公開第03/31464号及び米国公開特許第20040043446号、同第20040063911号、同第20040142856号、同第20040137557号及び同第20040132640号(Neose Technologies, Inc.)に開示されるグリコPEG化FVII誘導体;国際公開第01/04287号、米国公開特許第20030165996号、国際公開第01/58935号、国際公開第03/93465号(Maxygen ApS)及び国際公開第02/02764号、米国公開特許第20030211094号(University of Minnesota)に開示されるFVIIコンジュゲートが含まれる。
【0023】
「改善された生物学的活性」なる用語は、i) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は増加したタンパク質分解活性を有するFVIIポリペプチド、又はii) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は増加したTF結合活性を有するFVIIポリペプチド、又はiii) 組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は増加した血漿中の半減期を有するFVIIポリペプチドを指す。
【0024】
組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は増加したタンパク質分解活性を有する第VII因子変異体の非限定的な例には、S52A-FVIIa、S60A-FVIIa( Lino等, Arch. Biochem. Biophys. 352: 182-192, 1998);米国特許第5580560号に開示される、増加したタンパク質分解性安定性を表すFVIIa変異体;残基290と291又は残基315と316の間でタンパク質分解的に切断されている第VIIa因子(Mollerup等, Biotechnol. Bioeng. 48:501-505, 1995);第VIIa因子の酸化型(Kornfelt等, Arch. Biochem. Biophys. 363:43-54, 1999);PCT/DK02/00189(国際公開第02/077218号に対応する)に開示されるFVII変異体;及び、国際公開第02/38162号(Scripps Research Institute)に開示される、増加したタンパク分解性安定性を表すFVII変異体;国際公開第99/20767号、米国特許第6017882号及び同第6747003号、米国公開特許第20030100506号(University of Minnesota)及び国際公開第00/66753号、米国公開特許第20010018414号、同第2004220106号、及び同第200131005号、米国特許第6762286号及び同第6693075号(University of Minnesota)に開示される、変性Gla-ドメインを有し、亢進した膜結合を示すFVII変異体;及び、国際公開第01/58935号、米国特許第6806063号、米国公開特許第20030096338号(Maxygen ApS)、国際公開第03/93465号(Maxygen ApS)、国際公開第04/029091号(Maxygen ApS)、国際公開第04/083361号(Maxygen ApS)及び国際公開第04/111242号(Maxygen ApS)、並びに国際公開第04/108763号(Canadian Blood Services)に開示される、FVII変異体が含まれる。
【0025】
野生型FVIIaと比較して増加した生物学的活性を有するFVII変異体の非限定的な例には、国際公開第01/83725号、国際公開第02/22776号、PCT/DK02/00635(国際公開第03/027147号に対応)、デンマーク特許出願第PA2002 01423号(国際公開第04/029090号に対応)、デンマーク特許出願第PA2001 01627号(国際公開第03/027147号に対応)、国際公開第05/24006号、国際公開第05/123916号、国際公開第02/38162号(Scripps Research Institute)に開示されるFVII変異体;及び、特願2001061479(Chemo-Sero-Therapeutic Res Inst.)に開示される、亢進された活性を有するFVIIa変異体が含まれる。
【0026】
第VII因子の変異体の例には、P10Q-第VII因子、K32E-第VII因子、P10Q/K32E-第VII因子、L305V-第VII因子、L305V/M306D/D309S-第VII因子、L305I-第VII因子、L305T-第VII因子、F374P-第VII因子、V158T/M298Q-第VII因子、V158D/E296V/M298Q-第VII因子、K337A-第VII因子、M298Q-第VII因子、V158D/M298Q-第VII因子、L305V/K337A-第VII因子、V158D/E296V/M298Q/L305V-第VII因子、V158D/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、V158D/E296V/M298Q/L305V/K337A-第VII因子、K157A-第VII因子、E296V-第VII因子、E296V/M298Q-第VII因子、V158D/E296V-第VII因子、V158D/M298K-第VII因子、及びS336G-第VII因子、L305V/K337A-第VII因子、L305V/V158D-第VII因子、L305V/E296V-第VII因子、L305V/M298Q-第VII因子、L305V/V158T-第VII因子、L305V/K337A/V158T-第VII因子、L305V/K337A/M298Q-第VII因子、L305V/K337A/E296V-第VII因子、L305V/K337A/V158D-第VII因子、L305V/V158D/M298Q-第VII因子、L305V/V158D/E296V-第VII因子、L305V/V158T/M298Q-第VII因子、L305V/V158T/E296V-第VII因子、L305V/E296V/M298Q-第VII因子、L305V/V158D/E296V/M298Q-第VII因子、L305V/V158T/E296V/M298Q-第VII因子、L305V/V158T/K337A/M298Q-第VII因子、L305V/V158T/E296V/K337A-第VII因子、L305V/V158D/K337A/M298Q-第VII因子、L305V/V158D/E296V/K337A-第VII因子、L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、S314E/K316H-第VII因子、S314E/K316Q-第VII因子、S314E/L305V-第VII因子、S314E/K337A-第VII因子、S314E/V158D-第VII因子、S314E/E296V-第VII因子、S314E/M298Q-第VII因子、S314E/V158T-第VII因子、K316H/L305V-第VII因子、K316H/K337A-第VII因子、K316H/V158D-第VII因子、K316H/E296V-第VII因子、K316H/M298Q-第VII因子、K316H/V158T-第VII因子、K316Q/L305V-第VII因子、K316Q/K337A-第VII因子、K316Q/V158D-第VII因子、K316Q/E296V-第VII因子、K316Q/M298Q-第VII因子、K316Q/V158T-第VII因子、S314E/L305V/K337A-第VII因子、S314E/L305V/V158D-第VII因子、S314E/L305V/E296V-第VII因子、S314E/L305V/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/V158T-第VII因子、S314E/L305V/K337A/V158T-第VII因子、S314E/L305V/K337A/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/K337A/E296V-第VII因子、S314E/L305V/K337A/V158D-第VII因子、S314E/L305V/V158D/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/V158D/E296V-第VII因子、S314E/L305V/V158T/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/V158T/E296V-第VII因子、S314E/L305V/E296V/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/V158T/K337A/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/V158T/E296V/K337A-第VII因子、S314E/L305V/V158D/K337A/M298Q-第VII因子、S314E/L305V/V158D/E296V/K337A-第VII因子、S314E/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、S314E/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、K316H/L305V/K337A-第VII因子、K316H/L305V/V158D-第VII因子、K316H/L305V/E296V-第VII因子、K316H/L305V/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/V158T-第VII因子、K316H/L305V/K337A/V158T-第VII因子、K316H/L305V/K337A/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/K337A/E296V-第VII因子、K316H/L305V/K337A/V158D-第VII因子、K316H/L305V/V158D/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/V158D/E296V-第VII因子、K316H/L305V/V158T/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/V158T/E296V-第VII因子、K316H/L305V/E296V/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/V158T/K337A/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/V158T/E296V/K337A-第VII因子、K316H/L305V/V158D/K337A/M298Q-第VII因子、K316H/L305V/V158D/E296V/K337A-第VII因子、K316H/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、K316H/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、K316Q/L305V/K337A-第VII因子、K316Q/L305V/V158D-第VII因子、K316Q/L305V/E296V-第VII因子、K316Q/L305V/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/V158T-第VII因子、K316Q/L305V/K337A/V158T-第VII因子、K316Q/L305V/K337A/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/K337A/E296V-第VII因子、K316Q/L305V/K337A/V158D-第VII因子、K316Q/L305V/V158D/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/V158D/E296V-第VII因子、K316Q/L305V/V158T/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/V158T/E296V-第VII因子、K316Q/L305V/E296V/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/V158T/K337A/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/V158T/E296V/K337A-第VII因子、K316Q/L305V/V158D/K337A/M298Q-第VII因子、K316Q/L305V/V158D/E296V/K337A-第VII因子、K316Q/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、K316Q/L305V/V158T/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、F374Y/K337A-第VII因子、F374Y/V158D-第VII因子、F374Y/E296V-第VII因子、F374Y/M298Q-第VII因子、F374Y/V158T-第VII因子、F374Y/S314E-第VII因子、F374Y/L305V-第VII因子、F374Y/L305V/K337A-第VII因子、F374Y/L305V/V158D-第VII因子、F374Y/L305V/E296V-第VII因子、F374Y/L305V/M298Q-第VII因子、F374Y/L305V/V158T-第VII因子、F374Y/L305V/S314E-第VII因子、F374Y/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/K337A/V158T-第VII因子、F374Y/K337A/M298Q-第VII因子、F374Y/K337A/E296V-第VII因子、F374Y/K337A/V158D-第VII因子、F374Y/V158D/S314E-第VII因子、F374Y/V158D/M298Q-第VII因子、F374Y/V158D/E296V-第VII因子、F374Y/V158T/S314E-第VII因子、F374Y/V158T/M298Q-第VII因子、F374Y/V158T/E296V-第VII因子、F374Y/E296V/S314E-第VII因子、F374Y/S314E/M298Q-第VII因子、F374Y/E296V/M298Q-第VII因子、F374Y/L305V/K337A/V158D-第VII因子、F374Y/L305V/K337A/E296V-第VII因子、F374Y/L305V/K337A/M298Q-第VII因子、F374Y/L305V/K337A/V158T-第VII因子、F374Y/L305V/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/E296V-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/M298Q-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/M298Q-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/V158T-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/M298Q/V158T-第VII因子、F374Y/L305V/M298Q/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158T/S314E-第VII因子、F374Y/K337A/S314E/V158T-第VII因子、F374Y/K337A/S314E/M298Q-第VII因子、F374Y/K337A/S314E/E296V-第VII因子、F374Y/K337A/S314E/V158D-第VII因子、F374Y/K337A/V158T/M298Q-第VII因子、F374Y/K337A/V158T/E296V-第VII因子、F374Y/K337A/M298Q/E296V-第VII因子、F374Y/K337A/M298Q/V158D-第VII因子、F374Y/K337A/E296V/V158D-第VII因子、F374Y/V158D/S314E/M298Q-第VII因子、F374Y/V158D/S314E/E296V-第VII因子、F374Y/V158D/M298Q/E296V-第VII因子、F374Y/V158T/S314E/E296V-第VII因子、F374Y/V158T/S314E/M298Q-第VII因子、F374Y/V158T/M298Q/E296V-第VII因子、F374Y/E296V/S314E/M298Q-第VII因子、F374Y/L305V/M298Q/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/E296V/M298Q/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/M298Q/S314E-第VII因子、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、F374Y/V158D/E296V/M298Q/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/V158D/M298Q/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/V158D/E296V/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/M298Q/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/E296V/S314E-第VII因子、F374Y/V158T/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、F374Y/V158T/E296V/M298Q/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158T/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/V158T/M298Q/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/V158T/E296V/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158T/E296V/M298Q-第VII因子、F374Y/L305V/V158T/M298Q/K337A-第VII因子、F374Y/L305V/V158T/E296V/K337A-第VII因子、F374Y/L305V/V158T/M298Q/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158T/E296V/S314E-第VII因子、F374Y/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-第VII因子、F374Y/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/M298Q/V158T/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/K337A/V158T/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/M298Q/K337A/V158T/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/E296V/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/M298Q/K337A/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/E296V/M298Q/K337A/V158T/S314E-第VII因子、F374Y/L305V/V158D/E296V/M298Q/K337A/S314E-第VII因子、S52A-Factor VII, S60A-第VII因子;R152E-第VII因子、S344A-第VII因子、T106N-第VII因子、K143N/N145T-第VII因子、V253N-第VII因子、R290N/A292T-第VII因子、G291N-第VII因子、R315N/V317T-第VII因子、K143N/N145T/R315N/V317T-第VII因子;及び、233Thrから240Asnまでのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVII;304Argから329Cysまでのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVII;153Ileから223Argまでのアミノ酸配列に置換、付加又は欠失を有するFVII、及び406C-FVIIが含まれるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
したがって、第VII因子ポリペプチドの置換変異体には、位置P10、K32、L305、M306、D309、L305、L305、F374、V158、M298、V158、E296、K337、M298、M298、S336、S314、K316、K316、F374、S52、S60、R152、S344、T106、K143、N145、V253、R290、A292、G291、R315、V317での置換、及びT233からN240まで、又はR304からC329までのアミノ酸配列中の置換、付加又は欠失;又はI153からR223まで、又はこれらの組み合わせ、特に、P10Q、K32E、L305V、M306D、D309S、L305I、L305T、F374P、V158T、M298Q、V158D、E296V、K337A、M298Q、M298K、S336G、S314E、K316H、K316Q、F374Y、S52A、S60A、R152E、S344A、T106N、K143N、N145T、V253N、R290N、A292T、G291N、R315N、V317Tなどの変異、及びT233からN240まで、又はR304からC329まで、又はI153からR223までのアミノ酸配列中の置換、付加又は欠失、又はこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0028】
血液凝固の際の第VIIa因子の生物学的活性は、(i) 組織因子(TF)に結合する、及び(ii) 第IX因子又は第X因子のタンパク質分解性の切断を媒介して活性化した第IX因子又は第X因子(それぞれ第IXa因子又は第Xa因子)を生成するという能力に由来する。
本発明のために、第VII因子ポリペプチドの生物学的活性(「第VII因子生物学的活性」)は、調製物の血液凝固を促進する能力を測定することによって定量化されうる(本明細書中のアッセイ4を参照)。このアッセイにおいて、生物学的活性は、コントロール試料に対する凝固時間の減少として表され、1単位/mlの第VII因子活性を含むプールしたヒト血清標準物質との比較により、「第VII因子単位」に変換される。あるいは、第VIIa因子の生物学的活性は、(i) 脂質膜に包埋されたTF及び第X因子を含む系における第VIIa因子又は第VII因子関連ポリペプチドの活性化第X因子(第Xa因子)生産能の測定(Persson等, J. Biol. Chem. 272:19919-19924, 1997);(ii) 水性の系における第X因子の加水分解の測定(「インビトロタンパク質分解アッセイ」、下記のアッセイ2を参照);(iii) 表面プラズモン共鳴(surface plasmon resonance)を基礎とする装置を用いた、第VIIa因子又は第VII因子関連ポリペプチドのTFへの物理的な結合の測定(Persson, FEBS Letts. 413:359-363, 1997);(iv) 第VIIa因子及び/又は第VII因子関連ポリペプチドによる合成基質の加水分解の測定(「インビトロ加水分解アッセイ」、下記のアッセイ1を参照);又は(v) TF-非依存性インビトロ系におけるトロンビンの生成の測定(下記のアッセイ3を参照)によって、定量化されうる。
【0029】
野生型第VIIa因子と比較して実質的に同じ又は改善された生物学的活性を有する第VII因子変異体は、上記の凝固アッセイ(アッセイ4)、タンパク質分解アッセイ(アッセイ2)又はTF結合アッセイの一又は複数にて試験された場合に、同じ細胞型で生産された第VIIa因子の特定の活性の少なくともおよそ10%、好ましくは少なくともおよそ25%、より好ましくは少なくともおよそ50%、より好ましくは少なくともおよそ75%及び最も好ましくは少なくともおよそ90%を表すものを包含する。野生型第VIIa因子と比較して実質的に低減した生物学的活性を有する第VII因子変異体は、上記の凝固アッセイ(アッセイ4)、タンパク質分解アッセイ(アッセイ2)又はTF結合アッセイの一又は複数にて試験された場合に、同じ細胞型で生産された野生型第VIIa因子の特定の活性のおよそ25%未満、好ましくはおよそ10%未満、より好ましくはおよそ5%未満及び最も好ましくはおよそ1%未満を表すものを包含する。野生型第VII因子と比較して実質的に変更された生物学的活性を有する第VII因子変異体には、TF-非依存性第X因子タンパク質分解活性を示す第VII因子変異体及びTFを結合するが第X因子を切断しない変異体が含まれるが、これらに限定するものではない。
【0030】
野生型第VII因子と実質的に同じかより良好な生理活性を示すか、ないしは野生型第VII因子と比較して実質的に変更されたか低減した生理活性を示す第VII因子の変異体には、一又は複数のアミノ酸を挿入、欠失又は置換することによって野生型第VII因子の配列と異なるアミノ酸配列を有するポリペプチドが含まれるが、これに限定するものではない。
【0031】
「第X因子ポリペプチド」及び「第IX因子ポリペプチド」なる用語との関連で「ポリペプチド」なる表現は、野生型ヒト第X因子及び第IX因子それぞれのアミノ酸配列を含む任意のタンパク質、並びにそのそれぞれの「変異体」、「関連したポリペプチド」、「誘導体」及び「コンジュゲート」を包含することを意図し、この「変異体」、「関連したポリペプチド」、「誘導体」及び「コンジュゲート」なる表現は適宜変更を加味して第VII因子として定義される。
【0032】
ある実施態様では、ビタミンK依存性ポリペプチドは第VII因子ポリペプチドである。
ある実施態様では、第VII因子ポリペプチドは、ヒト第VIIa因子(hFVIIa)、好ましくは組み換えて作製したヒト第VIIa因子(rhVIIa)である。
他の実施態様では、第VII因子ポリペプチドは第VII因子配列変異体である。
ある実施態様では、第VII因子ポリペプチドは野生型ヒト第VII因子と異なるグリコシル化を有する。
ある実施態様では、第VII因子ポリペプチドは、組み換え野生型ヒト第VIIa因子と比較して、実質的に同じ又は増加した血漿中の半減期を有する。
現在最も興味深い実施態様では、タンパク質は、第VII因子ポリペプチド、好ましくは活性化型の第VII因子ポリペプチドである。
【0033】
初期液体製薬調製物では、活性成分の濃度が、単位用量の使用により患者に不必要な不快感を引き起こさない程度にすることが望ましい場合が多い。したがって、およそ2〜10mlより多い単位用量は望ましくない場合が多い。したがって、本発明の目的のために、タンパク質(例えば第VII因子ポリペプチド)の濃度は一般的に、少なくとも0.01mg/mlである。異なる実施態様では、タンパク質(例えば第VII因子ポリペプチド)は、0.01〜40mg/ml、0.01〜20mg/ml、0.1〜10mg/ml、0.5〜5.0mg/ml、0.6〜4.0mg/ml、1.0〜4.0mg/ml、0.1〜5mg/ml、0.1〜4.0mg/ml、0.1〜2mg/ml、又は0.1〜1.5mg/mlの濃度で存在する。
第VIIa因子の濃度は、mg/ml又はIU/mlとして都合よく表され、1mgは通常43000〜56000IU以上を表す。
【0034】
非金属性インヒビター
前述の種類のタンパク質に対する非金属性インヒビターは、もちろん、初期液体製薬調製物中のタンパク質の必要とされる安定性に関して選択される。
【0035】
「インヒビター」なる用語は、対象のタンパク質の自己触媒的分解を抑制するか又は除くことによって初期液体製薬調製物を安定化することができる任意の化合物を包含することを意図する。
初期液体製薬調製物は、2℃〜8℃の範囲の温度で貯蔵する場合、典型的には少なくとも6か月間、好ましくは最大36か月間安定であろう。好ましくは、初期液体製薬調製物はより高い温度、例えば20℃〜30℃などの環境温度であっても安定であるが、より多くの含量のインヒビターを必要とすることが多い。
【0036】
「安定性」なる用語は、2℃〜8℃で6か月間貯蔵した後に初期液体製薬調製物がその最初の生物学的活性の少なくとも50%を保持することを意味することを意図する。好ましくは、初期液体製薬調製物は、2〜8℃で6か月間貯蔵した後にその最初の活性の少なくとも70%、例として少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を保持する。
【0037】
第VII因子ポリペプチドに関して言えば、「安定性」なる用語は特に、(i) 2℃〜8℃で6か月間貯蔵した後に初期液体製薬調製物が一工程凝血アッセイ(one-stage clot assay)(アッセイ4)にて測定するところの最初の生物学的活性の少なくとも50%を保持している、又は(ii) 2℃〜8℃で6か月間貯蔵した後に重鎖分解生成物の含量が、初期液体製薬調製物が重鎖分解生成物を含まないとすれば(すなわち、第VII因子ポリペプチドのみを割合の算出に用いる)、最大40%(w/w)であることを意味することを意図する。好ましくは、初期液体製薬調製物は、2〜8℃で6か月間貯蔵した後にその最初の活性の少なくとも70%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも85%、又は少なくとも90%、又は少なくとも95%を保持する。また好ましくは、初期液体製薬調製物の重鎖分解生成物の含量は、最大30%(w/w)、最大25%(w/w)、最大20%(w/w)、最大15%(w/w)、最大10%(w/w)、最大5%(w/w)又は最大3%(w/w)である。
典型的に、インヒビターは最大1000Da、例えば最大750Da、例えば最大500Daの分子量を有する非金属性化合物である。
インヒビターは競合的インヒビターであることが好ましい。
【0038】
特に第VII因子ポリペプチドに対して特に有用なインヒビターの例は、アミジン類及びグアニジン類からなる群から選択されたもの、例えばベンズアミジン類及びグアニジン類からなる群から選択されたもの、特に国際公開第2005/016365号Aに開示されるものである。
したがって、ある実施態様では、前記タンパク質は第VII因子ポリペプチドであり、インヒビターはベンズアミジン類及びグアニジン類類からなる群から選択される。
【0039】
ゆえに、特に興味深いインヒビターのあるグループ(一般的に安定化剤(ii)と称される)は、-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rモチーフを含むものであり、このときZ及びZは-O-、-S-、-NR-及び単結合からなる群から独立して選択され、Rは水素、C1−4-アルキル、アーリル、及びアリールメチルからなる群から選択され、R及びRは水素、置換されていてもよいC1−6-アルキル、置換されていてもよいC2−6-アルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリルからなる群から独立して選択されるか、又は
及びRが前記に定義したものであり、-C=N-Z-Rが複素環の一部を形成するか、又は
及びRが前記に定義したものであり、-C-NH-Z-Rが複素環の一部を形成するか、又は
-Z-R-R-Z-がビラジカルである場合に-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rが複素環を形成する。
【0040】
「C1−6-アルキル」なる用語は、1〜6の炭素原子を有し、直鎖状又は分岐状である、非環状及び環状の飽和した炭化水素残基を包含することを意図する。特定の例は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル基、シクロプロピルメチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシルなどである。同様に、「C1−4-アルキル」なる用語は、1〜4の炭素原子を有し、直鎖状又は分岐状である、非環状及び環状の飽和した炭化水素残基を包含する。
【0041】
同様に、「C2−6-アルケニル」なる用語は、2〜6の炭素原子を有し、1つの不飽和結合を含み、直鎖状又は分岐状である、非環状及び環状の炭化水素残基を包含することを意図する。C2−6-アルケニル基の例は、ビニル、アリル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ペンタ-1-エン-1-イル、及びヘキサ-1-エン-1-イルである。
【0042】
1−6-アルキル及びC2−6-アルケニル基と関係して「置換されていてもよい」なる用語は、対象の基が、ヒドロキシ、C1−6-アルコキシ(すなわち、C1−6-アルキル-オキシ)、C2−6-アルケニルオキシ、オキソ(ケト又はアルデヒドの官能基を形成)、アリール、アリールオキシ、アリールカルボニル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルカルボニル、アミノ、モノ及びジ(C1−6-アルキル)アミノ、ハロゲンからなる群から選択される基(一又は複数)によって、1回又は数回、好ましくは1〜3回置換されてもよく、このとき任意のアリール及びヘテロシクリルは、置換されていてもよいアリール及びヘテロシクリルに対して以下に特に記載したように置換されてもよいことを意味することを意図する。
【0043】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含む。
本明細書中で用いられる場合、「アリール」なる用語は、フェニル、ナフチル、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル、アントラシル、フェナントラシル、ピレニル、ベンゾピレニル、フルオレニル及びキサンテニルなどの完全に又は部分的に芳香族性の炭素環ないしは環系を意味することを意図し、中でもフェニルが好適な例である。
【0044】
「ヘテロシクリル」なる用語は、一又は複数の炭素原子がヘテロ原子、例えば窒素(=N-又は-NH)、硫黄(-S-)及び/又は酸素(-O-)原子に置換されている、飽和した、部分的に不飽和の、部分的に芳香族の又は完全に芳香族の炭素環ないし環系を意味することを意図する。ヘテロシクリル基の例は、オキサゾリル、オキサゾリニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリジニル、オキサジアゾリル、オキサジアゾリニル、オキサジアゾリジニル、チアゾニル、イソチアゾリル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピリジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピペリジニル、クマリル、フリル、キノリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾオキソゾリル、ジアゾリル、ジアゾリニル、ジアゾリジニル、トリアゾリル、トリアゾリニル、トリアゾリジニル、テトラゾールなどである。好適なヘテロシクリル基は、5-、6-又は7-員環の単環基、例えばイソオキサゾリル、イソオキサゾリニル、オキサゾリル、オキサゾリニル、ピロリル、ピロリニル、ジアゾリル、ジアゾリニル、トリアゾリル、トリアゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニルなどである。
「複素環」なる用語は、「ヘテロシクリル」で定義したものに相当する環を意味することを意図する。
【0045】
「アリール」、「ヘテロシクリル」及び「複素環」なる用語と関連して、「置換されていてもよい」なる用語は、対象の基が、ヒドロオキシ(エノール系で存在する場合に互変異性のケトの形態で表されうる)、C1−6-アルキル、C2−6-アルケニル、フェニル、ベンジル、C1−6-アルコキシ、オキソ(互変異性エノールの形態で表されうる)、カルボキシ、C1−6-アルコキシカルボニル、C1−6-アルキルカルボニル、アミノ、モノ及びジ(C1−6-アルキル)アミノ、ジハロゲン-C1−4-アルキル、トリハロゲン-C1−4-アルキル及びハロゲンから選択される基(一又は複数)によって、1回又は数回、好ましくは1〜3回置換されうることを意味することを意図する。置換基の最も一般的な例は、ヒドロキシ、C1−4-アルキル、フェニル、ベンジル、C1−4-アルコキシ、オキソ、アミノ、モノ及びジメチルアミノ、及びハロゲンである。
【0046】
及びRが水素、置換されていてもよいC1−6-アルキル、置換されていてもよいC2−6-アルケニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロシクリルからなる群から選択されうるほか、また、-C(=N-Z-R)-N-Z-Rモチーフの一部が複素環の一部であり、このモチーフの他の部分がZ、Z、R及びRそれぞれについて定義した意味を有することが考えられる。ある興味深い実施態様では、-C=N-Z-Rは1,2-ジアゾール環、イソオキサゾール環、1,2,4-トリアゾール環、及び1,2,4-オキサジアゾール環からなる群から選択される複素環の部分を形成しうるか、又は-C-NH-Z-Rは1,2-ジアゾリン環、イソオキサゾリン環、1,2,4-トリアゾリン環、及び1,2,4-オキサジアゾリン環からなる群から選択される複素環の部分を形成しうる。このような複素環は上記の通りに置換されてもよい。
【0047】
ある実施態様では、R及びRの少なくとも一が水素、例えば、両方とも水素である。さらに、上記の実施態様と組み合わせられうるある実施態様では、Z及びZの少なくとも一が単結合、例えば両方が単結合である。特別な実施態様では、R及びRはともに水素であり、Z及びZはともに単結合である。
【0048】
-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rモチーフは安定化剤(ii)の作用を安定化させるために特に重要であると考えられている。特に、-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rモチーフは第VII因子ポリペプチドの基質のアルギニン部分を模倣していると考えられている。
より具体的な実施態様では、安定化剤(ii) は、-C-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rモチーフを含むアミジン化合物と>N-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rモチーフを含むグアニジン類化合物とからなる群から選択される少なくとも一である。
【0049】
ある実施態様では、安定化剤(ii)は、モチーフ-C-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rを含むベンズアミジン類からなる群から選択される少なくとも一のアミジン化合物であり、このときCは置換されていてもよいベンジン環を意味し、このベンズアミジン(R及びRは水素であり、Z及びZは単結合である)は特定の実施態様を構成する(実施例の項目を参照)。
他の具体的な実施態様では、ベンズアミジン類はモチーフ>N-C-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rを含んでなり、このときCは置換されていてもよいベンジン環、すなわちo-アミノ-ベンズアミジン、m-アミノ-ベンズアミジン又はp-アミノ-ベンズアミジンを意味し、このp-アミノ-ベンズアミジンなどのp-アミノ-ベンズアミジン類は現在最も期待できるものである。
【0050】
p-アミノ-ベンズアミジン類の更なる例示的な例は、Aventisの欧州特許第1162194号A1、特に請求項1〜6及び[0009]〜[0052]段落に定義されるもの、及び欧州特許第1270551号A1、特に請求項1及び2と[0010]-[0032]段落によって開示されるものである。
【0051】
他の実施態様では、安定化剤(ii)は、-CH-NH-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rモチーフを含むグアニジン化合物からなる群から選択される少なくとも一のグアニジン化合物である。グアニジン化合物の例は、アルギニン、アルギニン誘導体及び少なくとも一のアルギニン残基を含む2〜5のアミノ酸残基のペプチドからなる群から選択されるものである。アルギニンは特定の実施態様を構成する(実施例の項目を参照)。
「アルギニン誘導体」なる用語は、アルギニンホモログ、N-端末の官能基化アルギニン(例えば、N-メチル化及びN-アシル化(例えばアセチル化)誘導体)、C-端末の官能基化アルギニン(例えば、C-アミド化、C-アルキルアミド化、及びC-アルキル化誘導体)、及びこれらの組み合わせを包含することを意図する。
【0052】
上記のように、安定化剤の重要なモチーフは-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rである。また、安定化剤の他の部分は、特に安定化作用の最適化及び患者の耐性に関して重要でありうる。典型的に、安定化剤は式Y-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rを有し、Yは有機基である。一般的に、基Yは安定化作用の効率を向上させるために選択される。また、基Yは式-C(=N-Z-R)-NH-Z-Rの一又は複数の更なるモチーフを含みうる。
【0053】
安定化剤(一又は複数)(ii)の濃度は、一般的に少なくとも1μMである。望ましい(又は必要な)濃度は、一般的に、選択した安定化剤(一又は複数)に、より具体的には第VII因子ポリペプチドに対して選択された安定化剤の結合親和性に依存する。
異なる実施態様では、安定化剤(ii)は、少なくとも5μM、少なくとも10μM、少なくとも20μM、少なくとも50μM、少なくとも100μM、少なくとも150μM、少なくとも250μM、少なくとも500μM、少なくとも1mM、少なくとも2mM、少なくとも4mM、少なくとも5mM、少なくとも8mM、少なくとも9mM、少なくとも10mM、少なくとも15mM、少なくとも20mM、例として20〜2000μM、50〜5000μM、0.1〜10mM、0.2〜20mM又は0.5〜50mMの濃度で存在する。
【0054】
一実施態様では、安定化剤(ii)はベンズアミジンであり、該薬剤の濃度は少なくとも2mMであるが、置換されたベンズアミジンがより低い濃度で添加されればより強力となると予想される。
一実施態様では、安定化剤(ii)はアルギニンであり、該薬剤の濃度は少なくとも10mMである。
【0055】
他の成分
結果として得た液体製薬調製物をヒトなどの哺乳動物に直接非経口投与するために有用にするために、通常、初期液体製薬調製物(及びこれによる結果として得た液体製薬調製物)のpH値を合理的な限界内、例えばおよそ4.0からおよそ9.0、例えばおよそ5.0からおよそ9.0に保つ必要がある。ある条件下で好適なpH値に確実にするために、液体製薬調製物はまた、およそ4.0からおよそ9.0、例えばおよそ5.0からおよそ9.0の範囲にpHを保つために好適な緩衝剤(iii)を含む。
【0056】
「緩衝剤」なる用語は、溶液のpHをおよそ5.0からおよそ9.0の許容される範囲に維持する薬剤ないしは薬剤の組合せを包含する。
一実施態様では、緩衝剤(iii)は、MES、PIPES、ACES、BES、TES、HEPES、TRIS、ヒスチジン、イミダゾール、グリシン、グリシルグリシン、グリシンアミド、リン酸、酢酸(例えばナトリウム又は酢酸カルシウム)、乳酸、グルタル酸、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、マレイン酸及びコハク酸の塩類及び酸からなる群から選択される少なくとも一の成分である。緩衝剤は、混合物が特定の範囲のpH値を提供することができる場合に2以上の成分の混合物を含みうることは理解されるであろう。実施例は上記の酢酸及び酢酸ナトリウムなどであってもよい。緩衝剤の濃度は、溶液の好適なpHを維持するために選択される。様々な実施態様では、緩衝剤の濃度は、1〜100mM、1〜50mM、1〜25mM、又は2〜20mMである。
【0057】
一実施態様では、組成物のpHは、およそ5.0からおよそ8.0、例えばおよそ5.0からおよそ7.5、およそ5.0からおよそ7.0、およそ5.0からおよそ6.5、およそ5.0からおよそ6.0、およそ5.5からおよそ7.0、およそ5.5からおよそ6.5、およそ6.0からおよそ7.0、およそ6.4からおよそ6.6、又はおよそ5.2からおよそ5.7に維持される。
【0058】
タンパク質、インヒビター及び緩衝剤に加えて、初期液体製薬調製物は、組成物の調製、製剤、安定性又は投与に有益な更なる構成成分を含んでもよい。
ゆえにまた、例えば国際公開第2005/016365号Aに開示されるように、初期液体製薬調製物は、非イオン性界面活性剤(一又は複数)、浸透圧変更剤(一又は複数)(イオン強度変更剤(一又は複数)を含む)、抗酸化剤、保存剤などを含んでもよい。
【0059】
密封容器
初期液体製薬調製物が実際の使用の数か月前に調製されてもよいという事実から、この調製物を密封環境に置いて保存しやすくすることが必要である。したがって、初期液体製薬調製物は密封容器、例えばバイアル、カートリッジ、アンプル、カーポール(carpoule)などで提供される。これは調製物の完全性が確実に保存されるのに対し、工程(b)及び(c)に定義されるように投与のための調製がいつであろうと容易に調製可能にするものである。
【0060】
したがって、初期液体製薬調製物は典型的には、場合によって容器内の空隙を埋めるための不活性ガスを含む、気密容器(例えば、バイアル又はカートリッジ(例えばペン状塗布器用のカートリッジ))で提供される。不活性ガスは、窒素、アルゴンなどからなる群から選択されうる。容器(例えばバイアル又はカートリッジ)は典型的には、ガラス又はプラスチック、特にガラス製であり、場合によってゴム製の隔壁か又は製薬的組成物の完全性を保ったままで貫通可能な他の封鎖手段によって封鎖される。更なる実施態様では、容器は、密封バッグ、例えば密封されたビニールバッグ、例として、積層(例えば金属(アルミニウムなど)積層プラスチックバッグ)に内包したバイアル又はカートリッジである。
様々な実施態様では、前記密封容器中の製薬調製物の量は、1〜10用量、例えば1〜5用量、特に1用量に相当する。
【0061】
方法工程(b)
続く工程(b)において、製薬調製物は、前記インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に接触させる。
接触工程の重要な特徴は、前記インヒビターの実質的な部分が固相ポリマー物質に結合されるのに対して、薬学的に活性なタンパク質は実質的に結合せず、その生物学的活性を維持するということである。
【0062】
固相ポリマー物質
固相ポリマー物質は、限定するものではないが、分離目的、例えばクロマトグラフィ法で用いられる固相物質として公知の物質を含む、幅広い範囲の物質から選択されうる。
物質の種類の好適な例は、陽イオン交換物質、陰イオン交換物質、極性物質、無極性物質、親水性物質、疎水性物質、及びゲル濾過物質からなる群から選択されるものであり、このイオン交換物質、特に陽イオン交換樹脂が現在のところ好ましい。
好適なポリマー物質のある具体的な特徴は、セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質の活性は、ポリマー物質と10分間接触させた際に実質的に変化しない(すなわち、最初の活性の少なくとも90%が維持される)ということである。
【0063】
現在最も興味深い物質の例は、セルロース繊維、及び親水性合成ポリマー、例としてメタクリル酸及びスチレンコポリマー(例えばポリスチレン/ジビニルベンゼン(PSDVB))から選択されるものである。
現在最も興味深い商品は、陽イオン交換物質であるChelex100(BioRad Laboratories)である。
【0064】
固相ポリマー物質はインヒビターの少なくとも実質的な部分を保持する一方で、結合しないタンパク質の実質的な部分をそのままにすることが可能でなければならない。「実質的」なる用語は一般的に、「少なくとも75%」、しかし好ましくは少なくとも80%、例として少なくとも90%又はさらに少なくとも95%を意味する。
あるインヒビターでは、インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持する好適な固形ポリマー物質は、ハンセン溶解度パラメータ(HSP)を用いることによって予測されうる(参照:Charles M. Hansen, Hansen's Solubility Parameters: A User's Handbook, CRC Press, 1999)。
【0065】
溶解度パラメータ(HSP)、適合性、表面上の吸着、類似の親和性の物質に対する配向性(自己集合体化)、及び溶解性及び親和性に関する他の現象を調べることによって予測することができる。同じ溶解度パラメータを有する液体は混和することができ、ポリマーは、溶解度パラメータがポリマー自体とさほど違わない液体を溶解又は吸着するであろう。基本的原理は「似たものは似たものを溶解する」であったが、最近では「似たものは似たものを求め合う」と変わってきている。溶解度パラメータ(HSP)は単純に定性的概念を数で表すものであり、広範囲に用いられており、生物学の分野を含む様々な産業に対する価値が明らかにされている。
本発明では、対象のインヒビター(一又は複数)の溶解度パラメータ(HSP)は、対象の固相ポリマー物質の溶解度パラメータ(HSP)と比較する。そして、前記インヒビター(一又は複数)を結合するための好適なポリマー物質はその溶解度パラメータの類似性に基づいて選択される(「似たものは似たものを求め合う」)。
【0066】
例えば、ベンズアミジンに基づいて求められる計算から、親和性はセルロース誘導体、アクリル酸をベースとしたポリマー、アクリル酸コポリマー、酢酸ビニル(PVA)、ビニールブチラール(PVB)、アクリロニトリル、スチレンコポリマー、ビニルピロリドン(PVP)、並びに酸基を持つポリマー内で期待されることが示唆される。
PVP及びPVAのような可溶性ポリマーは、物理的形態を安定させるために架橋結合されうる。
【0067】
ポリマー物質のバルクは、様々な様式で、例えばフィルターの形態で、例えばプラグフィルター又はディスクフィルターの形態で配置されてもよく、カラム又はバルクはチューブ、針又はチャンバの内部表面を覆っていてもよい。
ポリマー物質のバルクの形態に応じて、初期液体製薬調製物はバッチ式で又はバルクに通すないしはバルクにかざすことによって接触させてもよい。
【0068】
ある現在のところ好適な実施態様では、液体製薬調製物は、液体製薬調製物をポリマー物質のバルクに通すことによって、ポリマー物質と接触させる。この実施態様では、バルクはフィルターの形態で、例えばプラグフィルター又はディスクフィルターの形態、又はカラムであることが好ましい。
他の実施態様では、液体製薬調製物は、液体製薬調製物をポリマー物質のバルクにかざすことによって、ポリマー物質と接触させる。この実施態様では、バルクは、チューブ、針又はチャンバの内部表面を覆うことが好ましい。
【0069】
雑菌混入を避け、インヒビター物質を容易に取り除くために、液体製剤は、例えば、ポリマー物質が適する注射器ないしは他の区画及び出口域に含まれてもよい(図3a及びb)。注入の間、液体製剤はポリマー物質を通り抜け、インヒビターが取り除かれる。
他の実施態様では、液体製剤は注射器又は他の区画に含まれる。注入の直前に、ポリマー物質を有する滅菌フィルターは静脈注入チューブとつながっており、針(例えばバタフライ針)が出口に取り付けられている。注入の間にインヒビターは取り除かれる(前記滅菌フィルターの2つの代替的な例を示す図4a及び4bを参照)。
他の実施態様では、液体製剤は注射器又は他の区画に含まれる。注入の直前に針(例えばバタフライ針)を備えた注入チューブが出口に取り付けられる。チューブは、チューブ内部を覆うか又はチューブ内を満たすポリマー物質を有する。注入の間にインヒビターが取り除かれる(図5を参照)。
【0070】
方法工程(c)
続く工程(c)では、液体製薬調製物が前記固相ポリマー物質から分離され、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る。
工程(b)の実際の実施に応じて、結果として得た液体製薬調製物は、特に初期液体製薬調製物が固相ポリマー物質のバルクに通されるか又はかざされる場合に、固相ポリマー物質から分離した形態ですぐに得られうる。しかしながら、分離した形態ですぐに得られない場合には、結果として得た液体製薬調製物は、例えば適度な圧力の装置による濾過、例えばプランジャー、沈殿などによって、固相ポリマー物質から分離すべきである。
【0071】
その結合故に、非金属性インヒビターの濃度は典型的に、少なくとも75%、例えば少なくとも80%、又は少なくとも90%又は少なくとも95%低減している、ないしは実質的に取り除かれている。したがって、インヒビターの濃度は、重要な治療上の作用が取り除かれないレベルにすることができる。
ある現在のところ好適な実施態様では、密封容器内の製薬調製物の量は1用量に相当し、この用量はポリマー物質のバルクに通されるか又はかざされる。
他の好適な実施態様では、密封容器内の製薬調製物の量は2〜10用量に相当し、1用量に相当する量はポリマー物質のバルクに通されるか又はかざされる。
一般的に、工程(b)の接触時間は、0.1〜100秒、一般的に0.5〜30秒の範囲である。
【0072】
使用方法(方法工程(d))
本発明の方法のある変更法は、結果として生じた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体、特にヒトに投与する、という続く工程(d)を含んでなる。
一般的に、方法工程(d)は、工程(c)の完了から60分以内、特に工程(c)の完了から5分以内、好ましくは工程(c)の完了の直後、又は工程(c)とできるだけ連動して実施される。
【0073】
本発明の調製は、凝固因子欠損(例えば血友病A、血友病B、凝固第XI因子欠損、凝固第VII因子欠損);血小板減少症又はフォンウィルブランド病、又は凝固因子インヒビターが原因となるもの、及び脳内出血、又は任意の原因による過剰出血を含む、例えば出血性疾患などの任意の第VII因子応答症候群を治療するために用いられうる。また、調製物は外科手術ないしは他の外傷に関連する患者又は抗凝固療法を受けている患者に投与されてもよい。
【0074】
「有効量」なる用語は、所望の応答を達成するために用量を設定する有資格者によって決定される有効量である。用量を考慮する要因には、有効性、生物学的利用率、所望の薬物動態/薬力学的な性質、治療条件、患者に関する要因(例えば、体重、健康状態、年齢など)、同時に投与する医薬の有無(例えば抗凝固剤)、投与時間、又は医師が知る他の要因が含まれるであろう。
【0075】
「治療」なる用語は、疾患、症状又は疾病と戦う目的で、哺乳動物などの被検体、特にヒトの管理や看護として定義され、症状ないし合併症の発症を予防する、又は症状ないし合併症を軽減する、又は疾患、症状又は疾病を取り除くためにタンパク質を投与することを含む。治療上活性なタンパク質を含有する製薬的組成物の発明は、治療を必要とする被検体に非経口投与されてもよい。非経口投与は、注射器、場合によってペン様注射器によって皮下、筋肉内又は静脈内にて実施されてもよい。あるいは、非経口投与は注入ポンプによって実施されうる。
【0076】
重要な実施態様では、製薬組成物は、当分野で公知の方法に従って、皮下、筋肉内又は静脈内注射に適している。
したがって、更なる態様では、本発明は、セリンプロテアーゼ/ビタミンK依存性タンパク質の群に属する治療上活性なタンパク質を必要とする被検体、例えばヒトを治療する方法であって、
(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封した容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を結合することが可能な固相ポリマー物質、特に陽イオン交換物質に該製薬調製物を接触させ、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る、そして、
(d) 結果として生じた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体に投与する
という工程を含んでなる方法に関する。
【0077】
一般的に、結果として生じた液体製薬調製物は上記の通りに注入によって投与される。
また、上記のように、治療上活性なタンパク質を必要とする被検体は典型的には、第VII因子応答症候群を患っているか又は第VII因子応答症候群に罹るリスクにある。
【0078】
好適な実施態様
現在のところ好適な実施態様は、液体製薬調製物からタンパク質インヒビターを除去する方法であって、
(a) 第VII因子ポリペプチドとベンズアミジン類及びグアニジン類から選択されるインヒビターを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質、特に陽イオン交換物質に該液体製薬調製物を接触させ、該ポリマー物質がセルロース繊維及び親水性合成ポリマーからなる群から選択され、そして、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る
という工程を含んでなる方法に関する。
【0079】
他の現在のところ好適な実施態様は、第VII因子応答症候群を患っているか又は第VII因子応答症候群に罹るリスクにある被検体、例えばヒトを治療する方法であって、
(a) (i) 第VII因子ポリペプチドと、(ii) ベンズアミジン類及びグアニジン類から選択されるインヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質、特に陽イオン交換物質に該製薬調製物を接触させ、該ポリマー物質がセルロース繊維及び親水性合成ポリマーからなる群から選択され、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得て、そして、
(d) この結果として得られた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体に投与する、
という工程を含んでなる方法に関する。
【0080】
本発明の実施態様の一覧を以下に示す。
実施態様1. 液体製薬調製物からタンパク質インヒビターを除去する方法であって、
(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、そして、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る
という工程を含んでなる方法。
実施態様2. 前記タンパク質が自己触媒性質を有する、実施態様1に記載の方法。
実施態様3. 前記タンパク質が部分的な又は完全な活性化型である、実施態様1又は2に記載の方法。
実施態様4. 前記タンパク質が、GAS-6、プロテインS、第II因子(プロトロンビン)、第X因子ポリペプチド、第IX因子ポリペプチド、プロテインC、第VII因子ポリペプチド、プロテインZ、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質1、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質2、膜貫通γカルボキシグルタミン酸タンパク質3、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質4、マトリックスGlaタンパク質及びオステオカルシンからなる群から選択される、実施態様1から3のいずれか一に記載の方法。
実施態様5. 前記タンパク質が、第VII因子ポリペプチド、第IX因子ポリペプチド、第X因子ポリペプチド及び活性化プロテインCからなる群から選択されるビタミンK依存性凝固因子である、実施態様1から4のいずれか一に記載の方法。
実施態様6. 前記タンパク質が第VII因子ポリペプチド、好ましくは活性化型の第VII因子ポリペプチドである、実施態様1から5のいずれか一に記載の方法。
実施態様7. 前記インヒビターは、最大1000Da、例えば最大750Da、例えば最大500Daの分子量を有する非金属性化合物である、実施態様1から6のいずれか一に記載の方法。
実施態様9. 前記インヒビターがアミジン類及びグアニジン類からなる群から選択される、実施態様1から7のいずれか一に記載の方法。
実施態様10. 前記タンパク質が第VII因子ポリペプチドであり、前記インヒビターがベンズアミジン類及びグアニジン類からなる群から選択される、実施態様1から9のいずれか一に記載の方法。
実施態様11. 前記ポリマー物質が、陽イオン交換物質、負イオン交換物質、極性物質、無極性物質、親水性物質、及び疎水性物質からなる群から選択される、実施態様1から10のいずれか一に記載の方法。
実施態様12. 前記ポリマー物質がセルロース繊維及び親水性合成ポリマーからなる群から選択される、実施態様1から11のいずれか一に記載の方法。
実施態様13. 前記ポリマー物質が陽イオン交換物質からなる群から選択される、実施態様1から12のいずれか一に記載の方法。
実施態様14. 液体製薬調製物をポリマー物質のバルクに通すことによって、前記液体製薬調製物がポリマー物質と接触する、実施態様1から13のいずれか一に記載の方法。
実施態様15. 液体製薬調製物をポリマー物質のバルクにかざすことによって、前記液体製薬調製物がポリマー物質と接触する、実施態様1から13のいずれか一に記載の方法。
実施態様16. 前記密封した容器中の製薬調製物の量が1〜10用量、例えば1〜5用量、特に1用量に相当する、実施態様1から15のいずれか一に記載の方法。
実施態様17. 前記密封した容器中の製薬調製物の量が1用量に相当し、この用量がポリマー物質のバルクに通される又はかざされる、実施態様16に記載の方法。
実施態様18. 前記密封した容器中の製薬調製物の量が2〜10用量に相当し、1用量に相当する量がポリマー物質のバルクに通される又はかざされる、実施態様16に記載の方法。
実施態様19. 工程(b)の接触時間が0.1〜100秒の範囲である、実施態様1から18のいずれか一に記載の方法。
実施態様20. 液体製薬調製物からタンパク質インヒビターを除去する方法であって、
(a) 第VII因子ポリペプチドとベンズアミジン類及びグアニジン類から選択されるインヒビターを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該液体製薬調製物を接触させ、該ポリマー物質がセルロース繊維及び親水性合成ポリマーからなる群から選択され、そして、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る
という工程を含んでなる方法。
実施態様21. 前記ポリマー物質が陽イオン交換物質からなる群から選択される、実施態様20に記載の方法。
実施態様22. (d) 結果として生じた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体、特にヒトに投与する、という工程を後に含んでなる、実施態様1から21のいずれか一に記載の方法。
実施態様23. セリンプロテアーゼ/ビタミンK依存性タンパク質の群に属する治療上活性なタンパク質を必要とする被検体、例えばヒトを治療する方法であって、
(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封した容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る、そして、
(d) 結果として生じた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体に投与する
という工程を含んでなる方法。
実施態様24. 前記ポリマー物質が陽イオン交換物質からなる群から選択される、実施態様23に記載の方法。
実施態様25. 前記の結果として生じた液体製薬調製物が注射によって投与される、実施態様23又は24に記載の方法。
実施態様26. 治療上活性なタンパク質を必要とする被検体が第VII因子応答症候群を患っているか又は第VII因子応答症候群に罹るリスクにある、実施態様23から25のいずれか一に記載の方法。
実施態様27. 第VII因子応答症候群を患っているか又は第VII因子応答症候群に罹るリスクにある被検体、例えばヒトを治療する方法であって、
(a) (i) 第VII因子ポリペプチドと、(ii) ベンズアミジン類及びグアニジン類から選択されるインヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、該ポリマー物質がセルロース繊維及び親水性合成ポリマーからなる群から選択され、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得て、そして、
(d) この結果として得られた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体に投与する、
という工程を含んでなる方法。
実施態様28. 前記ポリマー物質が陽イオン交換物質からなる群から選択される、実施態様27に記載の方法。
【0081】
本発明は以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例】
【0082】
一般的な方法
第VII因子ポリペプチドの生物学的活性を決定するために適切なアッセイ
本発明に関して有用な第VII因子ポリペプチドは、簡単な予備的なインビトロ試験として実施されうる好適なアッセイによって選択されうる。ゆえに、本明細書は、第VII因子ポリペプチドの活性についての簡単な試験(「インビトロ加水分解アッセイ」と題する)を開示する。
【0083】
第一世代凝血アッセイ
第VII因子ポリペプチドの活性は、基本的には国際公開第92/15686号又は米国特許第5997864号に記載のように、一工程凝血アッセイを用いて測定してもよい。簡単に言うと、試験する試料は50mM トリス(pH7.5)、0.1% BSAにて希釈し、100μlを10mM Ca2+を含む200μlのトロンボプラスチンCと100μlの第VII因子欠失血漿とともにインキュベートする。凝固時間を測定し、参照標準物質又は段階希釈のクエン酸化正常ヒト血漿のプールを用いた標準曲線と比較する。
【0084】
インビトロ加水分解アッセイ(アッセイ1)
天然の(野生型) 第VIIa因子及び第VII因子ポリペプチド(以降、ともに「第VIIa因子」と称する)は、比活性について検定してもよい。また、比活性を直接比較するために同時にアッセイしてもよい。アッセイはマイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)で行う。終濃度1mMの発色基質D-Ile-Pro-Arg-p-ニトロアニリド(S-2288、Chromogenix, Sweden)を、0.1M NaCl、5mM CaCl及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む50mM HEPES, pH7.4中の第VIIa因子(終濃度100nM)に加える。SpectraMaxTM 340プレート読み取り機(Molecular Devices, USA)にて405nmの吸光度を連続して測定する。20分間のインキュベートの間に反応した吸光度を、酵素を含まないブランクウェルの吸光度を減算した後、第VII因子ポリペプチドと野生型第VIIa因子との活性間の比率を算出するために用いる。
比率=(A405nm 第VII因子ポリペプチド)/(A405nm 野生型第VIIa因子)
【0085】
これに基づき、天然の第VIIa因子より低い、天然の第VIIa因子に相当する、又は天然の第VIIa因子より高い活性を有する第VII因子ポリペプチド、例えば第VII因子ポリペプチドの活性と天然の第VII因子(野生型FVII)の活性との間の比率がおよそ1.0対1.0を超える第VII因子ポリペプチドなどが同定されうる。
また、第VII因子ポリペプチドの活性は、第X因子などの生理的な基質を、適宜100〜1000nMの濃度で用いて測定してもよく(「インビトロタンパク質分解アッセイ」)、このとき生成された第Xa因子は適する発色色素(例えば、S-2765)を加えた後に測定する。さらに、活性アッセイは生理学的温度で行ってもよい。
【0086】
インビトロタンパク質分解アッセイ(アッセイ2)
天然の(野生型) 第VIIa因子及び第VII因子ポリペプチド(以降、ともに「第VIIa因子」と称する)は、比活性を直接比較するために同時にアッセイしてもよい。アッセイはマイクロタイタープレート(MaxiSorp, Nunc, Denmark)で行う。0.1M NaCl、5mM CaCl及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む100μlの50mM HEPES, pH7.4中の第VIIa因子(10nM)と第X因子(0.8μM)を15分間インキュベートする。次いで、0.1M NaCl、20mM EDTA及び1mg/ml ウシ血清アルブミンを含む50μlの50mM HEPES, pH7.4を加えて第X因子切断を止める。生成された第Xa因子の量は、終濃度0.5mMの発色基質Z-D-Arg-Gly-Arg-p-ニトロアニリド(S-2765、Chromogenix, Sweden)を加えて測定する。SpectraMaxTM 340プレート読み取り機(Molecular Devices, USA)にて405nmの吸光度を連続して測定する。10分間反応させた吸光度を、酵素を含まないブランクウェルの吸光度を減算した後、第VII因子ポリペプチドと野生型第VIIa因子とのタンパク質分解活性間の比率を算出するために用いる。
比率=(A405nm 第VII因子ポリペプチド)/(A405nm 野生型第VIIa因子)
【0087】
これに基づき、天然の第VIIa因子より低い、天然の第VIIa因子に相当する、又は天然の第VIIa因子より高い活性を有する第VII因子ポリペプチド、例えば第VII因子ポリペプチドの活性と天然の第VII因子(野生型FVII)の活性との間の比率がおよそ1.0対1.0を超える第VII因子ポリペプチドなどが同定されうる。
【0088】
トロンビン生成アッセイ(アッセイ3)
第VII因子ポリペプチドのトロンビン生成能は、生理的濃度のインヒビター及び関係するすべての凝固因子(血友病A状態を模倣する場合には第VIII因子を除く)と活性化血小板を含むアッセイ(アッセイ3)で測定することができる(Monroe et al. (1997) Brit. J. Haematol. 99, 542-547の543頁に記載される、この文献は出典明記によって本明細書中に援用される)。
【0089】
一工程凝固アッセイ(凝血アッセイ)(アッセイ4)
また、第VII因子ポリペプチドは一工程凝血アッセイ(アッセイ4)を用いて比活性(「凝血活性」)についてアッセイしてもよい。このために、試験する試料は50mM PIPES-バッファ(pH7.2)、1% BSAにて希釈し、40μlを、10mM Ca2+と合成リン脂質を含む80μlのヒト組み換え組織因子と40μlの第VII因子欠失血漿とともにインキュベートする。凝固時間(凝血時間)を測定し、平行してアッセイした参照標準物質を用いた標準曲線と比較する。
【0090】
実施例1
インヒビターであるS-2-[3-(4-カルバミミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセトアミド(インヒビター0008)をrFVIIa製剤から除去するChelex100の能力を以下の方法で調べた。
1.4mg/ml rFVIIa、50mM NaCl、10mM CaCl 2H0及び10mM グリシルグリシンを含むrFVIIaバルクの溶液を解凍して、450μMのインヒビター0008を含む2:1の比率のrFVIIaバルクとインヒビター0008の溶液と混合した。10mM ヒスチジンを溶液に加え、pHを6.50に調整した。溶液を2.00mlの一定分量に分けた。
【0091】
漸増量のChelex100を溶液に加え、以下の量のChelexを加えた。2.00mlのrFVIIa/インヒビター溶液当たり0、40、80、120、160、200、240、280及び320mgのChelex100。
溶液を1分間撹拌し、0.22μMフィルターに濾過した。高性能ゲル浸透クロマトグラフィ(GP-HPLC)を用いてすべての溶液をインヒビター含量について分析した。
GP-HPLC法は、移動相として5%イソプロパノールを含む0.2M 硫酸アンモニウム pH7.0を用いたWaters Protein Pak 300 SWカラム、7.5×300mmにて行った。流速:0.5ml/分及び検出:215nm。インヒビターは異なるピークとしてクロマトグラフに表れ、相対的な含量を算出する。結果を図1に示す。
【0092】
実施例2
p-アミノベンズアミジンをrFVIIa製剤から除去するChelex100の能力を以下の方法で調べた。
1.4mg/ml rFVIIa、50mM NaCl、10mM CaCl 2H0及び10mM グリシルグリシンを含むrFVIIaバルクの溶液を解凍して、30mMのp-アミノベンズアミジンを含む2:1の比率のrFVIIaバルクとp-アミノベンズアミジンの溶液と混合した。10mM ヒスチジンを溶液に加え、pHを6.50に調整した。溶液を2.00mlの一定分量に分けた。
【0093】
漸増量のChelex100を加え、以下の量のChelexを加えた。2.00mlのrFVIIa/インヒビター溶液当たり0、160、240、320、400、480、560及び640mgのChelex100。
溶液を1分間撹拌し、0.22μMフィルターに濾過した。高性能ゲル浸透クロマトグラフィ(GP-HPLC)を用いてすべての溶液をインヒビター含量について分析した。
GP-HPLC法は、移動相として5%イソプロパノールを含む0.2M 硫酸アンモニウム pH7.0を用いたWaters Protein Pak 300 SWカラム、7.5×300mmにて行った。流速:0.5ml/分及び検出:215mm。インヒビターは異なるピークとしてクロマトグラフに表れ、相対的な含量を算出する。結果を図2に示す。
【0094】
実施例3
ベンズアミジンをrFVIIa製剤から除去するChelex100の能力を以下の方法で調べた。
50mMのベンズアミジンによって安定化させた1mg/mlの第VIIa因子溶液5mlを、ガラスフラスコ中の1gのChelex100に加え、30秒間かき混ぜて混合する。
およそ2mlの混合溶液を遠心ガラスに移し、次いで1分間に10000回転で5分間遠心する。
上清には、ベンズアミジンの含量が10mMの濃度に低減されている第VIIa因子溶液が含まれる。
【0095】
実施例4
インヒビターである2-[3-(4-カルバミミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセトアミドをrFVIIa製剤から除去するChelex100の能力を以下の方法で調べた。
1.4mg/ml rFVIIa、50mM NaCl、10mM CaCl 2H0及び10mM グリシルグリシンを含むrFVIIaバルクの溶液(凍結)を解凍して、50mM NaCl、10mM CaCl 2H0及び10mM グリシルグリシンを含む4.5mMのインヒビターである2-[3-(4-カルバミミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセトアミドのインヒビター溶液と混合した。
混合物比率は以下の通りである。rFVIIaバルク:インヒビター溶液=2:1。終溶液10mM ヒスチジンを加えて、pHを6.50に調整した。
【0096】
Chelexを以下のように調製した。
カラム物質を最大およそ3mmのカラムに対応するChelex100物質に置換するためにPharmaciaのNAPTMカラムを空にした。カラムは以下のバッファにて平衡化した。50mM NaCl、10mM ヒスチジン及び10mM グリシルグリシン、pH=6.50。
10mlのrFVIIa/インヒビター溶液を0.5mlの一定分量のカラムに加え、0.5mlの分画に回収した。
試料は、GPCによるrFVIIaとインヒビターの含量について分析した。溶出量、インヒビター濃度及びrFVIIa濃度の関係を図6に示す。
図6は、試験した溶出容量(0.5ml〜3ml)内でインヒビター濃度が175μM未満に低減している(初期値としておよそ10の低減因子は1.5mMであった)ことと同時に、rFVIIa濃度は初期値の0.9mg/mlと比べて変化がないことを示す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】Chelex100によるS-2-[3-(4-カルバミミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセトアミドの除去を示す。
【図2】Chelex100によるp-アミノ-ベンズアミジンの除去を示す。
【図3】ポリマー物質が出口域に適する注射器ないしは他の区画を示す。注入の間、液体製剤はポリマー物質を通り抜け、インヒビターが取り除かれる。
【図4】ポリマー物質を保持する滅菌フィルターが静脈注入チューブとつながっており、針(例えばバタフライ針)が出口に取り付けられている注射器ないしは他の区画を示す。注入の間、液体製剤はポリマー固相物質を通り抜け、インヒビターが取り除かれる。
【図5】ポリマー物質がチューブの内部を覆っているかチューブを満たしている、注射器ないしは他の区画に取り付けるための注入用チューブを示す。チューブは、針(例えばバタフライ針)にて取り付けられる。注入の間、液体製剤はポリマー固相物質を通り抜け、インヒビターが取り除かれる。
【図6】rFVIIa製剤からインヒビターである2-[3-(4-カルバミミドイルフェニル)-ウレイド]-N-[1-(3-メトキシフェニル)-エチル]-アセトアミドのChelex100による除去を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体製薬調製物からタンパク質インヒビターを除去する方法であって、
(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、そして、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る
という工程を含んでなる方法。
【請求項2】
前記タンパク質が自己触媒性質を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンパク質が部分的な又は完全な活性化型である、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記タンパク質が、GAS-6、プロテインS、第II因子(プロトロンビン)、第X因子ポリペプチド、第IX因子ポリペプチド、プロテインC、第VII因子ポリペプチド、プロテインZ、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質1、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質2、膜貫通γカルボキシグルタミン酸タンパク質3、膜貫通γ‐カルボキシルグルタミン酸タンパク質4、マトリックスGlaタンパク質及びオステオカルシンからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質が、第VII因子ポリペプチド、第IX因子ポリペプチド、第X因子ポリペプチド及び活性化プロテインCからなる群から選択されるビタミンK依存性凝固因子である、請求項1から4のいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質が第VII因子ポリペプチド、好ましくは活性化型の第VII因子ポリペプチドである、請求項1から5のいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
前記インヒビターは、最大1000Da、例えば最大750Da、例えば最大500Daの分子量を有する非金属性化合物である、請求項1から6のいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
前記インヒビターがアミジン類及びグアニジン類からなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記タンパク質が第VII因子ポリペプチドであり、前記インヒビターがベンズアミジン類及びグアニジン類からなる群から選択される、請求項1から8のいずれか一に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー物質が、陽イオン交換物質、負イオン交換物質、極性物質、無極性物質、親水性物質、及び疎水性物質からなる群から選択される、請求項1から9のいずれか一に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマー物質がセルロース繊維及び親水性合成ポリマーからなる群から選択される、請求項1から10のいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマー物質が陽イオン交換物質からなる群から選択される、請求項1から11のいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
液体製薬調製物をポリマー物質のバルクに通すことによって、前記液体製薬調製物がポリマー物質と接触する、請求項1から12のいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
液体製薬調製物をポリマー物質のバルクにかざすことによって、前記液体製薬調製物がポリマー物質と接触する、請求項1から12のいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
前記密封した容器中の製薬調製物の量が1〜10用量、例えば1〜5用量、特に1用量に相当する、請求項1から14のいずれか一に記載の方法。
【請求項16】
前記密封した容器中の製薬調製物の量が1用量に相当し、この用量がポリマー物質のバルクに通される又はかざされる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記密封した容器中の製薬調製物の量が2〜10用量に相当し、1用量に相当する量がポリマー物質のバルクに通される又はかざされる、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
工程(b)の接触時間が0.1〜100秒の範囲である、請求項1から17のいずれか一に記載の方法。
【請求項19】
液体製薬調製物からタンパク質インヒビターを除去する方法であって、
(a) 第VII因子ポリペプチドとベンズアミジン類及びグアニジン類から選択されるインヒビターを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該液体製薬調製物を接触させ、該ポリマー物質がセルロース繊維及び親水性合成ポリマーからなる群から選択され、そして、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る
という工程を含んでなる方法。
【請求項20】
前記ポリマー物質が陽イオン交換物質からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(d) 結果として生じた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体、特にヒトに投与する、という工程を後に含んでなる、請求項1から20のいずれか一に記載の方法。
【請求項22】
セリンプロテアーゼ/ビタミンK依存性タンパク質の群に属する治療上活性なタンパク質を必要とする被検体、例えばヒトを治療する方法であって、
(a) (i) セリンプロテアーゼ/ビタミンK-依存性タンパク質の群に属するタンパク質と、(ii) 該タンパク質の非金属性インヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封した容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得る、そして、
(d) 結果として生じた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体に投与する
という工程を含んでなる方法。
【請求項23】
前記ポリマー物質が陽イオン交換物質からなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記の結果として生じた液体製薬調製物が注射によって投与される、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
治療上活性なタンパク質を必要とする被検体が第VII因子応答症候群を患っているか又は第VII因子応答症候群に罹るリスクにある、請求項22から24のいずれか一に記載の方法。
【請求項26】
第VII因子応答症候群を患っているか又は第VII因子応答症候群に罹るリスクにある被検体、例えばヒトを治療する方法であって、
(a) (i) 第VII因子ポリペプチドと、(ii) ベンズアミジン類及びグアニジン類から選択されるインヒビターとを含有する初期液体製薬調製物を具備する密封容器を提供し、
(b) 該インヒビターの少なくとも実質的な部分を保持することが可能な固相ポリマー物質に該製薬調製物を接触させ、該ポリマー物質がセルロース繊維及び親水性合成ポリマーからなる群から選択され、
(c) 該固相ポリマー物質から液体製薬調製物を分離し、結果として得られた、初期液体製薬調製物と比べて該インヒビターの濃度が低減している液体製薬調製物を得て、そして、
(d) この結果として得られた液体製薬調製物の治療的ないしは予防的有効量を被検体に投与する、
という工程を含んでなる方法。
【請求項27】
前記ポリマー物質が陽イオン交換物質からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−527536(P2009−527536A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−555796(P2008−555796)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際出願番号】PCT/EP2007/051711
【国際公開番号】WO2007/096406
【国際公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(507383862)ノボ ノルディスク ヘルス ケア アーゲー (42)
【Fターム(参考)】