液体霧化装置
【課題】霧化部への送液量を一定にして霧化を安定させると共にそれを低コストで実現する液体霧化装置を提供する。
【解決手段】霧化すべき薬液を貯留しておく一次貯液部(10)の薬液が送液路(18)を通じて二次貯液部(16)に一定量だけ充填される。給液ボタン(40)を左にスライドさせると、その操作ロッド(42)がピストン(20)を押すと共に、電源スイッチ(46)がONになる。ピストン(20)が左に移動すると、二次貯液部(16)の薬液が押されるのに伴って、弁(22)が左に移動し、送液路(24)が開放される。すると、二次貯液部(16)の一定量の薬液が、送液路(24)及びガイド溝(26)を通じてホーン振動子(30)とメッシュ部材(32)で構成される霧化部に供給され、霧化が行われる。
【解決手段】霧化すべき薬液を貯留しておく一次貯液部(10)の薬液が送液路(18)を通じて二次貯液部(16)に一定量だけ充填される。給液ボタン(40)を左にスライドさせると、その操作ロッド(42)がピストン(20)を押すと共に、電源スイッチ(46)がONになる。ピストン(20)が左に移動すると、二次貯液部(16)の薬液が押されるのに伴って、弁(22)が左に移動し、送液路(24)が開放される。すると、二次貯液部(16)の一定量の薬液が、送液路(24)及びガイド溝(26)を通じてホーン振動子(30)とメッシュ部材(32)で構成される霧化部に供給され、霧化が行われる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を一定量ずつ霧化部に安定して供給する送液機構を備えた液体霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば従来の携帯用超音波式液体霧化装置は一般に、液体(薬液)を貯留する貯液部と、この貯液部の液体が先端部に供給される振動源(例えば超音波ホーン振動子)と、この振動源の先端部端面に当接して配置された多数の微細孔を持つメッシュ部材とを備え、貯液部の液体を振動源とメッシュ部材との振動作用により霧化するものである。
【0003】
即ち、貯液部の液体はメッシュ部材と振動源の先端部端面との間隙に入り、振動源の超音波振動によるメッシュ部材と振動源の先端部端面との振動作用により、液体はメッシュ部材の微細孔から微細液滴として放出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、霧化動作を安定して行うには、貯液部から一定量の液体を霧化部に安定して供給する必要がある。しかしながら、実際には装置の使用時の傾き度合、外部からの振動、貯液部内の液体の残量等が影響し、霧化部への供給量が一定せず、霧化が不安定になることが多い。このような霧化不安定さは、高濃度の薬液を1回当たり一定量ずつ吸入するような薬液吸引治療にとって定量噴霧が安定せず、好ましくない。
【0005】
本発明は、そのような問題点に着目してなされたものである。本発明の1の目的は、霧化部への送液量を一定にして1回毎の霧化量を安定させると共にそれを低コストで実現する液体霧化装置を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、無駄な電力消費を抑制するとともに、無負荷状態での振動手段の駆動時間をも短縮して振動手段の長寿命化を図ることにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、使用者による薬剤の吸入ロスを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の1の局面に従う液体霧化装置は、霧化すべき液体を貯留しておく一次貯液部と、この一次貯液部の液体を霧化する霧化部と、一次貯液部と霧化部との間に設けられ、一次貯液部の液体を霧化部に送る液量を計量する二次貯液部と、一次貯液部の液体を二次貯液部に送る一次送液部と、二次貯液部の計量された液体を霧化部に送る二次送液部と、この二次送液部を操作する操作部とを備えることを特徴とする。
【0009】
この霧化装置では、一次貯液部の液体は霧化部にそのまま送られるのではなく、一次貯液部と霧化部との間にある二次貯液部に一旦送液され、二次貯液部で霧化部への1回当たりの送液量が計量され、計量された液体が霧化部に送られる。従って、装置の使用時の傾き度合、外部からの振動、貯液部内の液体の残量等に関係なく、常に一定量の液体が霧化部に供給されることになり、霧化が安定する。
【0010】
本発明の液体霧化装置において、一次送液部及び二次送液部が操作部の操作に連動してそれぞれ送液することにすれば、操作部の1操作により、一次貯液部の液体が二次貯液部に送られると共に、二次貯液部の液体が霧化部に送られ、送液・計量・送液の動作をスムーズに行うことができ、利便性が高まる。
【0011】
また、霧化部が操作部の操作と同時に液体の霧化動作を開始することにすれば、操作部が霧化開始スイッチを兼ねるので、使い勝手が良くなるだけでなく、霧化部への送液と霧化動作とのタイミングが良くなる。
【0012】
この場合、霧化部に液体が供給されるよりも先に霧化部が霧化動作を開始するようにすれば、霧化部に液体が供給されると、直ちに液体が霧化されるので、霧化動作の立ち上がりが俊敏になり、霧化動作が安定する。
【0013】
更に、操作部の操作による霧化部への送液動作が終了したときに、一次貯液部から二次貯液部への給液が行われるようにすれば、次の操作部の操作による霧化部への送液をスムーズに行うことができる。
【0014】
一方、二次貯液部が霧化部に液体を送るとき以外は密閉状態であることにすれば、二次貯液部内の液体が外気と接触せず、人体に吸引される液体(薬液)を清浄に保つことができる。
【0015】
他方、一次貯液部、霧化部、二次貯液部、一次送液部及び二次送液部を給液ユニットとして一体に構成し、その給液ユニットに対して一次貯液部を着脱可能とすれば、液体を貯留する一次貯液部の洗浄が容易になる。
【0016】
本発明の他の局面に従う液体霧化装置は、液体を貯留する貯液室と、貯液室から送液孔を通して所定量の液体が送り込まれる計量室と、計量室から給液孔を通して供給された液体を霧化する霧化部と、送液孔を開閉し計量室内の液体を押圧することにより給液孔を通して霧化部に液体を供給するためのピストンと、ピストンを一定速度で駆動するピストン駆動部とを備える。
【0017】
上記のようなピストン駆動部を設けることにより、ピストンを一定速度で移動させることができ、ほぼ均一な力で薬液等の液体を押圧することができる。それにより、霧化部へ供給される液体の速度をほぼ一定にすることができ、初期の狙いどおりに霧化部に液体を付着させることができる。
【0018】
上記の液体霧化装置は、計量室の一端を規定し、弾性部材に支持され、ピストンにより液体を押圧することにより移動して給液孔を開き、霧化部に液体を供給するための弁を備えることが好ましい。
【0019】
また、上記霧化部は、メッシュ部材と、超音波振動子等の振動子とを含み、計量室から液体が供給される。この場合、本発明のピストン駆動部とを備えることにより、メッシュ部材上の所定位置に所定量の液体を供給することができる。
【0020】
上記ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与するスプリング等の弾性手段や、モータ、ソレノイドからなる群から選ばれた少なくとも1つの要素を含む。つまり、本発明のピストン駆動部は、バネ等による弾性力や、モータやソレノイドのように電磁力を利用して得られる力等の実質的に一定の力でピストンを駆動するものである。
【0021】
上記の液体霧化装置は、送液孔を開いて貯液室から液体を計量室に送り込むことが可能な位置でピストンを固定するためのロック手段と、ロック手段による固定状態を解除するとともにピストン駆動部を作動させてピストンを駆動するためのリリーススイッチとを備えるものであってもよい。それにより、リリーススイッチを入れるだけでピストンを駆動することができ、簡易な操作で霧化部に一定量の液体を供給することができる。
【0022】
また、上記の液体霧化装置は、上記リリーススイッチによってロック手段による固定状態が解除されたことを検知するためのロック解除検知手段と、該ロック解除検知手段によってロック手段によるピストンの固定状態が解除されたことが検知された後に液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段とを備えるものであてもよい。この場合には、ピストンのロック状態を解除した後に霧化部を自動的に作動させることができる。たとえば、ピストンのロック状態解除後であって所定時間経過後に液体の霧化動作を開始することができる。それにより、霧化部に液体が供給されたと同時あるいはその直後に液体の霧化を開始することができる。なお、本発明の霧化動作開始手段とは、液体の霧化を行うことができる動作を開始する手段のことであり、霧化動作を開始することにより実際に液体の霧化が開始する場合と、所定時間後に液体の霧化が開始する場合とがあり得る。
【0023】
また、ピストン駆動部は、第1ロッドと、ピストンを押圧する第2ロッドと、第1と第2ロッドを接続する接続部材とを備えるものであってもよい。そして、第1ロッドの移動方向と、第2ロッドの移動方向とを異ならせる。それにより、ピストン駆動部とピストンとを1直線上に並べる必要がなくなり、ピストンの移動方向における液体霧化装置の長さを低減することができる。特に、第1ロッドと、ピストンおよび第2ロッドとを並列に配置し、第1と第2ロッドを反対方向に駆動することにより、液体霧化装置をコンパクト化することができる。
【0024】
また、上記の液体霧化装置は、貯液室を内部に有するハウジングと、計量室を内部に有しピストンを受け入れるシリンダとを備える。この場合、シリンダとピストン駆動部とを、ハウジングに着脱自在に取り付けることが好ましい。
【0025】
上記の液体霧化装置においては、ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する。これにより、渦巻き状ばねのばね定数を小さくすることにより一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることもできる。
【0026】
本発明の他の局面に従う液体霧化装置は、液体を貯留する貯液室と、貯液室から送液孔を通して所定量の液体が送り込まれる計量室と、計量室から給液孔を通して供給された液体を霧化する霧化部と、計量室の一端を規定し弾性部材に支持され給液孔を開閉するための弁と、送液孔を開閉し計量室内の液体を押圧することにより弁を移動させて給液孔を開き該給液孔を通して霧化部に液体を供給するためのピストンと、ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、霧化部への給液が開始されることを予め検知するための給液検知手段と、給液検知手段により霧化部への給液が開始されることが検知されたのに応じて液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段とを備える。
【0027】
このように給液検知手段と霧化動作開始手段とを設けることにより、霧化部への給液が開始される前後の所望の時期に、自動的に液体の霧化動作を開始することができる。
【0028】
上記給液検知手段は、ピストンと弁の少なくとも一方の位置を検知するための位置センサを含む。この場合、霧化動作開始手段は、位置センサによりピストンと弁の少なくとも一方が所定位置に達したことが検知されたのに応じて液体の霧化動作を開始する。
【0029】
位置センサと霧化動作開始手段とを設けることにより、ピストンと弁の少なくとも一方が所定位置に達したときに自動的に液体の霧化動作を開始することができる。このとき、位置センサによって霧化部への液体の供給開始時を検知するようにしておくと、霧化部に液体が供給された直後あるいはそれ以前に液体の霧化動作を開始することができる。
【0030】
上記ピストン駆動部は、モータとソレノイドとを含む。この場合、霧化動作開始手段は、モータあるいはソレノイドの駆動信号が入力された後に液体の霧化動作を開始する。
【0031】
上記霧化部は、メッシュ部材と、超音波振動子等の振動子とを含み、計量室から液体が供給され、霧化動作開始手段は、振動子を駆動する振動子駆動手段を含む。
【0032】
上記の液体霧化装置においては、ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する。これにより、渦巻き状ばねのばね定数を小さくすることにより一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることもできる。
【0033】
本発明のさらに他の局面に従う液体霧化装置は、液体を貯留する貯液室と、貯液室から送液孔を通して所定量の液体が送り込まれる計量室と、計量室から給液孔を通して供給された液体を霧化するためのメッシュ部材および振動子を含む霧化部と、送液孔を開閉し計量室内の液体を押圧することにより給液孔を通して霧化部に液体を供給するためのピストンと、ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、振動子のインピーダンスを検知するためのインピーダンス検知手段と、インピーダンス検知手段により検知されたインピーダンスが所定値以下となったのに応じて振動子の振動を停止させるための振動子停止手段とを備える。
【0034】
振動子のインピーダンスは、メッシュ部材上に液体が存在する場合と存在しない場合とで異なるものとなる。したがって、上記のインピーダンス検知手段で振動子のインピーダンスを検知することにより、メッシュ部材上に液体が存在するか否かを検知することができる。ここで、上記の振動子停止手段を設けることにより、振動子のインピーダンスが所定値以下となったのに応じて振動子の振動を停止させることができる。つまり、メッシュ部材上に霧化すべき液体が存在しなくなったのに応じて振動子の振動を停止させることができる。
【0035】
上記の液体霧化装置においては、ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する。これにより、渦巻き状ばねのばね定数を小さくすることにより一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることもできる。
【0036】
本発明のさらに他の局面に従う液体霧化装置は、液体を貯留する貯液室と、貯液室から送液孔を通して所定量の液体が送り込まれる計量室と、計量室から給液孔を通して供給された液体を霧化する霧化部と、送液孔を開閉し計量室内の液体を押圧することにより給液孔を通して霧化部に液体を供給するためのピストンと、ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、霧化部で霧化された液体を使用者が吸入するための吸入口と、吸入口から使用者が吸気したことを検知するための吸気検知手段とを備える。
【0037】
このように吸気検知手段を設けることにより、吸入口から使用者が吸気したことを検知することができる。それにより、吸入口から使用者が吸気したのに応じて液体の霧化、あるいは霧化部への液体の供給等を行うことができ、霧化された液体の噴霧のタイミングと使用者の吸気のタイミングとのずれを小さくすることができる。
【0038】
上記液体霧化装置は、吸気検知手段によって使用者による吸気が検知されたのに応じて霧化部における液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段を備えるものであってもよく、吸気検知手段によって使用者による吸気が検知されたのに応じて霧化部への液体の供給を行う液体供給手段を備えたものであってもよい。
【0039】
上記の液体霧化装置においては、ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する。これにより、渦巻き状ばねのばね定数を小さくすることにより一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、実施の形態により、この発明を更に詳細に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る液体霧化装置の外観斜視図を図1に示す。この液体霧化装置は、バッテリ収納部5(図3参照)や電気回路部等を内部に備える本体部1と、この本体部1に着脱自在に取付けられた給液ユニット2とで構成される。
【0041】
給液ユニット2の一部破断斜視図を示す図2、及び装置内部の縦断面図を示す図3において、装置内部には、霧化すべき液体(薬液)を貯留しておく一次貯液部10が配置され、この一次貯液部10の底部には上下方向に変位可能な可動部材12が液密に装着され、可動部材12が一次貯液部10の底壁を兼ねている。可動部材12は下側に配置された押圧部材14により圧力が加えられるようになっている。従って、一次貯液部10内の薬液には圧力が加えられる。ここでは、可動部材12、押圧部材14等により一次送液部が構成される。また、一次貯液部10を構成する部品や可動部材12、押圧部材14等は、給液ユニット2に着脱可能であり、洗浄が容易である。
【0042】
一次貯液部10の上部には、霧化部に送る液量を計量する二次貯液部16が設けられ、この二次貯液部16は送液路18を通じて一次貯液部10に連通している。二次貯液部16は水平方向に延びる円柱状の空間(シリンダ)からなり、この円柱状の空間の一方側にピストン20が移動可能に配置され、他方側に弁22が変位可能に配置されている。ピストン20にはコイルバネ56が嵌挿され、コイルバネ56によりピストン20は図面の右方向に付勢されている。図3には示していないが、弁22はコイルバネ52(図4及び図10参照)により図面の右方向に付勢され、コイルバネ52の一端部は円柱状の空間の端部に取付けられたストッパ54に係合している。ここでは、ピストン20、弁22、送液路24、コイルバネ52,56等で二次送液部が構成される。
【0043】
二次貯液部16は送液路24に通じ、送液路24は吐出口24aを有し、吐出口24aがガイド溝26に通ずる。また、ガイド溝26には、送られてきた薬液の一部を一時的に貯留するバッファ部28が上方向に付設されている。なお、ここでは、ガイド溝26とバッファ部28は二次貯液部16や送液路24を設けた部品と別部品に設けられているが、同一部品に一体形成してもよい。
【0044】
なお、二次貯液部16は送液のときは送液路24に連通するが、送液以外のときは密閉状態である。つまり、一次貯液部10から薬液が供給されるときは、二次貯液部16は送液路18に連通するが、送液路18には薬液が充満しているため、二次貯液部16の薬液が空気に触れることがなく、薬液の清浄さが保たれる。
【0045】
一方、ホーン振動子30は、一次貯液部10に近接して配置され、その先端部がガイド溝26に対向している。ホーン振動子30の先端部端面には、多数の微細孔を有するメッシュ部材32が当接して配置され、メッシュ部材32はコイルバネ34によりホーン振動子30の先端部端面に適度の力で押圧されている。霧化部は、ホーン振動子30とメッシュ部材32で構成される。
【0046】
この構成により、一次貯液部10の薬液は、送液路18、二次貯液部16、送液路24、ガイド溝26を介して、ホーン振動子30とメッシュ部材32との間隙に供給される。
【0047】
他方、本体部1の上部には、操作部としてスライド式の給液ボタン40が設けられ、給液ボタン40は、二次貯液部16に配置されたピストン20を操作する水平方向の操作ロッド42と、当該給液ボタン40の下側に配置された電源スイッチ46のレバー46aを操作する操作軸44とを有する。霧化部に薬液を供給するときは、給液ボタン40を図3の左側にスライドさせる。すると、給液ボタン40の操作ロッド42がピストン20を押すだけでなく、操作軸44が電源スイッチ46のレバー46aを押し倒し、電源スイッチ46がONになる。給液ボタン40から手を離すと、ピストン20がコイルバネ56により右側に移動するのに伴って、給液ボタン40が図3の状態に戻り、電源スイッチ46がOFFになる。
【0048】
なお、電源スイッチ46のONのタイミングは、二次貯液部16の薬液が霧化部に送られるよりも早く設定され、霧化部に給液されるまでにホーン振動子30が作動しており、霧化部への給液と同時に霧化が開始するようになっている。これにより、霧化動作の立ち上がりが俊敏になり、霧化動作が安定する。
【0049】
霧化部への給液は操作部の操作により行われるため、操作部の操作と同時に霧化動作が開始されることになる。ここで、霧化動作とは、薬液を霧化する工程のみならず、以下に説明するように霧化部への給液の工程をも含むものを意味している。
【0050】
この液体霧化装置の薬液の霧化動作について、図4〜図9に示す送液機構の模式図を参照して説明する。但し、上記と同じ要素には同一符号を付してある。まず図4において、シリンダ50(上記二次貯液部16を形成する円柱状の空間に相当)は、送液路18を通じて一次貯液部10(図4〜図9では図示せず)に連通すると共に、送液路24を通じてガイド溝26に連通している。
【0051】
シリンダ50内部の一方側には、送液路18を開閉する弁機能も併有するピストン20が移動可能に配置され、他方側には、送液路24を開閉する弁22が変位可能に配置されている。ピストン20は前記コイルバネ56により図面の下方向に付勢され、弁22はコイルバネ52により同じく下方向に付勢されている。コイルバネ52の一端部は弁22に取付けられ、他端部はシリンダ50の端部に取付けられたストッパ54に係合している。このシリンダ50内部において、ピストン20と弁22との間の空間が二次貯液部16になっており、一次貯液部10から薬液が供給される。なお、二次貯液部16の容量は、図5に示すようにシリンダ50の内径φと長さLにより〔(φ/2)2 π・L〕で求められ、予め1回の送液に必要な適量に設定されている。
【0052】
このように構成された送液機構によれば、ピストン20が送液路18を開放し、弁22が送液路24を封鎖した図4の状態においては、一次貯液部10には任意の圧力が加えられているので、一次貯液部10の薬液が送液路18を通じてシリンダ50内の二次貯液部16に流入し、二次貯液部16が一定量の薬液で充填される。
【0053】
図4の状態で、給液ボタン40をスライドさせると、ピストン20が押されて矢印方向(図面の上方向)に移動し、二次貯液部16に充填された薬液にピストン20からの圧力が加わり、弁22が上方向に動き始める。ピストン20が上方向に更に移動すると、やがて送液路18がピストン20により塞がれ、一次貯液部10と二次貯液部16とが遮断される(図5参照)。
【0054】
ピストン20が更に上方向に移動すると、弁22も上方向に移動するので、送液路24が開放され、二次貯液部16の薬液が送液路24を通り、吐出口24aからガイド溝26に吐出され、霧化部に供給される(図6参照)。
【0055】
弁22は、ピストン20の押圧力と吐出口24aからの薬液の吐出圧力とのバランスで、任意の位置(ここでは送液路24を完全に開放する位置)に固定状態になっている。従ってピストン20は、その固定状態の弁22に接するまで移動し、更に弁22と一体になって上方向に移動し、最終的に弁22がストッパ54に当たるまで移動する(図7参照)。この状態になると、二次貯液部16の薬液は吐出口24aから完全に吐出される。
【0056】
ここで、給液ボタン40を解放すると、ピストン20がコイルバネ56で引き戻されるのに伴って、給液ボタン40が元の位置に戻り、弁22もコイルバネ52の付勢力により元の位置に戻る。このとき、最初は図8に示すように、ピストン20と弁22が一体に下方向に移動するが、弁22が送液路24を閉じる定位置に戻ると、以後は図9に示すように、ピストン20だけが下方向に移動する。
【0057】
この状態で、ピストン20が更に下方向に移動すると、二次貯液部16が負圧状態になる。ピストン20が送液路18を開放するまで移動すると、二次貯液部16の負圧と一次貯液部10から薬液に加わる圧力により、一次貯液部10の薬液が二次貯液部16に充填され(図4参照)、次の送液動作まで待機状態となる。給液ボタン40が再びスライドされれば、上記のような動作が繰り返され、霧化部に一定量の薬液が供給される。
【0058】
上記送液機構は、実際には図3に示す装置では水平方向に配置されているが、次に、より具体的な動作について図10〜図14を参照して説明する。まず上記図4の状態に対応する図10においては、一次貯液部10に加えられた圧力により、薬液が送液路18を通じて二次貯液部16に一定量だけ充填される。このとき、電源スイッチ46のレバー46aは、給液ボタン40の操作軸44で操作されず、電源スイッチ46はOFFになっている(図15参照)。
【0059】
図5の状態に対応する図11では、給液ボタン40をスライドさせると、ピストン20が操作ロッド42で押されて矢印方向に移動し、それに連れて弁22も矢印方向に移動し、送液路18がピストン20で閉鎖される。このときは、図16に示すように、給液ボタン40が左側に移動するので、電源スイッチ46のレバー46aが操作軸44で押し倒され、電源スイッチ46がONになり、霧化部への給液前にホーン振動子30が作動し始める。
【0060】
図6の状態に対応する図12では、弁22の移動により送液路24が開放され、二次貯液部16の薬液が送液路24に流入し、更にガイド溝26を通じて霧化部に供給される。
【0061】
図7の状態に対応する図13では、ピストン20が弁22に接触するまで移動し、二次貯液部16の一定量の薬液が全て送液路24から霧化部に完全に送られる。但し、薬液は霧化部に一度に全部供給されるのではなく、図17に示すように、薬液の一部はガイド溝26に付設されたバッファ部28に一時的に溜められ、霧化部へは適量の薬液が少しずつ供給される。
【0062】
図9の状態に対応する図14では、ピストン20がコイルバネ56により復帰すると共に、弁22もコイルバネ52により定位置に復帰し、送液路24が弁22により閉鎖される。更にピストン20が引き戻されることにより、二次貯液部16は負圧状態になり、ピストン20が送液路18を開放すると、図10の状態に戻り、一次貯液部10の薬液が二次貯液部16に充填され、次の送液動作の準備が行われる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態によれば、一次貯液部10の液体は霧化部にそのまま送られるのではなく、一次貯液部10と霧化部との間にある二次貯液部16に一旦送液され、二次貯液部16で霧化部への1回当たりの送液量が計量され、計量された液体が霧化部に送られるため、装置の使用時の傾き度合、外部からの振動、貯液部内の液体の残量等に関係なく、常に一定量の液体が霧化部に供給されることになり、霧化が安定する。また、安価な構成でそれを実現できる。
【0064】
(実施の形態2)
図18および図19に示すように、液体霧化装置は、ハウジング101と、シリンダ102と、ピストン駆動部126と、霧化部127とを備える。
【0065】
図18に示すように、ハウジング101内には、電源部となる電池108と、霧化部を駆動するための霧化部駆動用回路基板107とが設けられている。図19に示すように、該ハウジング101の側壁に凹部が設けられており、該凹部に薬液等の液体を収容したアンプル104が装着される。
【0066】
アンプル104は、図18に示すように、貯液室105と、ピストン106と、送液通路104aとを有する。貯液室105には薬液(液体)が貯留され、薬液は、貯液室105から送液通路104aおよび送液孔111を通して後述する計量室109に送り込まれる。
【0067】
シリンダ102は、ハウジング101に着脱自在に取り付けられ、ピストン112を受け入れる。該シリンダ102は、バルブカバー103と、計量室109と、吐出バルブ113と、バルブスプリング118と、給液孔110とを有する。
【0068】
ピストン112は、送液孔111を開閉し、計量室109内に貯液室105からの薬液を供給するとともに、計量室109内の薬液を押圧することにより給液孔110を通して霧化部127に供給する。
【0069】
図18に示す計量室109は、一定量の薬液を計量するための箇所であり、計量室109の一方の壁面はピストン112の端面により構成され、計量室109の他方の壁面は吐出バルブ113の端面により構成される。
【0070】
吐出バルブ113は、バルブスプリング118等の弾性部材を介してシリンダ102に弾性支持され、図18における左右(水平)方向に移動可能である。ピストン112で計量室109内の薬液を押圧することにより、吐出バルブ113に圧力が加わり、バルブスプリング118が圧縮変形し、吐出バルブ113は図18において左方向に移動する。それにより、給液孔110を開くことができる。
【0071】
給液孔110は、計量室109に開口し、図示しない給液通路と連通し、該給液通路を通して計量室109内の薬液を霧化部127に送り込む。霧化部127に送り込まれた薬液は、霧化された後に噴霧され、患者に吸入される。
【0072】
ピストン駆動部126は、ピストン112を一定速度で駆動し、ハウジング101に着脱自在に取り付けられる。このピストン駆動部126は、本実施の形態ではロッド114と、レバー115と、ピストンスプリング116と、リリースボタン117と、ロッドケース123と、ビス124とを有する。
【0073】
ロッド114は、水平方向に延び、ピストン112と接続され、該ロッド114を介してピストン112を図18における左方向に押圧することができる。ロッド114は、フランジ部114cを有し、該フランジ部114cにピストンスプリング116の一端を取り付けあるいは当接させる。
【0074】
ピストンスプリング116は、ロッド114を介してピストン112に一定の弾性力を付与し、ピストン112を水平方向に一定速度で移動させる。このピストンスプリング116とロッド114とは、ともにロッドケース123内に収容され、ピストンスプリング116の他端は、ロッドケース123の壁面に支持される。ロッドケース123は、ビス124によりハウジング101に固定される。
【0075】
レバー115は、ロッドケース123の一端側を覆うように取り付けられ、ピストン112とロッド114とをピストンスプリング116の弾性力に抗して所定位置にまで引き戻す際に用いる。
【0076】
該レバー115は、側壁から突出する1対の係合爪115aと、上方に突出する突出部(操作部)115bとを有する。係合爪115a間にピストン112の一端を受け入れ、係合爪115aとピストン112の一端に設けたフランジ部112aとを係合させる。
【0077】
突出部115bを手で押圧して図18における右側にレバー115をスライド移動させることにより、ピストン112とともにロッド114も図18における右側に移動する。
【0078】
リリースボタン117は、上下方向に押圧操作可能であり、ロック爪125を有する。該ロック爪125は、ロッド114のフランジ部114cと係合し、ロッド114の左方向への移動を規制する。したがって、突出部115bを手で押圧してピストン112とロッド114とを右側に移動させた際に、送液孔111を開いて貯液室105から薬液を計量室109に送り込むことが可能な位置でピストン112とロッド114とをロックすることができる。このとき、ピストンスプリング116は圧縮され、該圧縮による弾性力がロッド114に加わることとなる。
【0079】
ピストン112とロッド114のロック状態を解除するには、リリースボタン117を下方に押す。それにより、ロック爪125とロッド114のフランジ部114cとの係合状態が解除され、同時にピストン駆動部126が作動し、圧縮されていたピストンスプリング116の弾性力によってピストン112とロッド114とが左側に移動する。
【0080】
このように、ロック手段であるロック爪125と、リリーススイッチであるリリースボタン117とを備えることにより、リリースボタン117を押すだけでピストン112を駆動することができ、簡易な操作で霧化部127に一定量の液体を供給することができる。
【0081】
上記の液体霧化装置は、好ましくは、リリースボタン117によってロック爪125による固定状態が解除されたことを検知するためのロック解除検知部と、該ロック解除検知部によってロック爪125によるピストン112の固定状態が解除されたことが検知された後に薬液の霧化動作を開始する霧化動作開始部とを備える。
【0082】
この場合には、ピストン112のロック状態を解除した後に自動的に霧化部127を作動させることができ、たとえば、ピストン112のロック状態解除後であって所定時間経過後に薬液の霧化動作を開始することができる。それにより、霧化部127に薬液が供給されたと同時あるいはその直後に薬液の霧化を開始することができる。
【0083】
霧化部127は、図19に示すように、ホーン振動子(超音波振動子)119と、メッシュ部材120と、メッシュ部材ホルダ121と、メッシュ部材キャップ122とを備える。
【0084】
メッシュ部材120は、多数の微細孔を有し、ホーン振動子119の先端部端面上に載置される。このとき、メッシュ部材120は、コイルバネを内装したメッシュ部材ホルダ121によりホーン振動子119の先端部端面に適度の力で押圧される。そして、メッシュ部材ホルダ121上にメッシュ部材キャップ122が取り付けられている。
【0085】
次に、図20〜図23を用いて、本実施の形態2に係る液体霧化装置の動作について説明する。
【0086】
図20に示す初期状態からレバー115の突出部115bを手で右側に押す。それにより、図21に示すようにレバー115が右側に移動し、それに伴いピストン112およびロッド114も右側に移動する。このとき、ピストンスプリング116は、ロッド114のフランジ部114cに押圧され、圧縮される。
【0087】
また、ピストン112が右側に移動することにより、送液通路104aおよび送液孔111が計量室109と連通し、負圧になった計量室109に貯液室105から薬液が充填される。
【0088】
レバー115を所定量だけ移動させると、ロッド114のフランジ部114cの端部からロッド114の長手方向に延びる延長部が、リリースボタン117のロック爪125と係合し、レバー115、ピストン112およびロッド114が所定位置でロックされる。
【0089】
次に、リリースボタン117を押し下げる。それにより、上記のフランジ部114cの延長部とロック爪125との係合状態を解除することができ、ピストン112およびロッド114を、圧縮されていたピストンスプリング116の弾性力により押圧することができる。
【0090】
このように弾性力のような実質的に一定の力でピストン112およびロッド114を押圧することにより、図22に示すように、ピストン112およびロッド114をほぼ一定速度で左側に移動させることができる。つまり、ほぼ均一な力で計量室109内の薬液をピストン112で押圧することができる。それにより、吐出バルブ113が薬液から圧力を受けて左側に移動し、給液孔110が開く。
【0091】
そして、給液孔110を通して霧化部127へ薬液を供給することができる。このとき、ピストン112がほぼ一定の速度で駆動されるので、霧化部127へ供給される薬液の速度(勢い)をほぼ一定にすることができる。つまり、霧化部127へ薬液が勢い良く送り込まれたり、薬液の勢いが弱すぎるという事態を回避することができる。
【0092】
その結果、霧化部127における初期の狙いどおりの位置に所望の流速で薬液を付着させることができ、霧化部127で薬液を確実かつ効率的に霧化することができ、霧化部127において霧化されないで残存する液量を低減することができる。
【0093】
その後、ピストン112は、図23に示すように、吐出バルブ113とほぼ当接する位置にまで移動し、計量室109内の一定量の薬液が全て所望の速度で送り出されることとなる。それにより、計量室109内からの薬液の吐出が完了する。
【0094】
本実施の形態によれば、実施の形態1などに比べて、ピストンを一定速度で駆動することができる。以下、そのことを説明する。
【0095】
上述した実施の形態1では、給液ボタン40を手で操作するので、給液ボタン40に加える力にばらつきが生じおそれがある。給液ボタン40を押す力の大きさがばらつくと、ピストン20の移動速度もばらつき、霧化部に送り込まれる薬液の速度も変化する。
【0096】
霧化部へ吐出される薬液の速度が大きいと霧化部で薬液が飛散してしまい、霧化部へ吐出される薬液の速度が小さいと霧化部の所定位置に薬液が到達しない。そのため、初期の狙いどおりに霧化部に薬液が付着せず、霧化部に霧化されないで残存する液量が増大する。
【0097】
また、WO00/66277号には、簡単な操作で一定量の液体を噴霧室に供給するため、手動操作部材を操作して液体ボトル内のピストンを所定ストローク進出させる押込機構を有する液体噴霧装置が開示されている。しかし、この場合も、手動動作でピストンを駆動するので、前述の例と同様に、狙いどおりに霧化部に薬液が付着せず、霧化部に霧化されないで残存する液量が増大するという問題が生じ得る。
【0098】
これに対して本実施の形態では、ピストンスプリング116の弾性力によりピストン112およびロッド114を押圧することができるため、ピストン112を一定速度で駆動することができる。よって、上記のような問題を防止することができる。
【0099】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について、図24〜図29を用いて説明する。
【0100】
図24および図25に示すように、本実施の形態3では、ピストン112を駆動するためのピストン駆動部126の構成が実施の形態2とは主に異なっている。それ以外の構成については実施の形態2の場合と基本的に同様である。
【0101】
本実施の形態3におけるピストン駆動部126は、図24および図25に示すように、ロッド114a,114bと、レバー115と、ピストンスプリング116と、リリースボタン117と、上部レバープレート128と、下部レバープレート129と、レバーカバー130と、ビス134とを備える。
【0102】
ロッド114aは、一端に縮径部と拡径部とを有し、他端にリング状部を有する。そして、縮径部をハウジング101の上面に設けた支持壁のU形の凹部上に載置する。それにより、拡径部と支持壁とを係合するこができ、ロッド114aをハウジング101に取り付けることができる。
【0103】
ロッド114aの中央部にはフランジ部を設け、該フランジ部と支持壁との間にピストンスプリング116を設置する。このピストンスプリング116によってフランジ部を押圧し、ロッド114aを図24における右側に駆動することができる。
【0104】
ロッド114bは、一端に上方に突出するピン部を有し、他端にリング状部を有する。上記のピン部をピストン結合ロッド133のリング状部に挿着する。ピストン結合ロッド133の一端に管状部を設け、該管状部にピストンカバー132を外嵌し、ピストンストッパ131を介在してピストン112の一端を管状部内に挿入する。
【0105】
ロッド114a,114bは、接続部材である上部および下部レバープレート128,129を介して接続される。上部および下部レバープレート128,129は、図25に示すように、ハウジング101の上面に設けた筒状部101aを受け入れる貫通孔とボス部129cとをそれぞれ有し、ハウジング101に回転自在に組み付けられる。
【0106】
下部レバープレート129は、ボス部129cの両側に1対のピン129a,129bを有し、ピン129aを介してロッド114aと接続され、ピン129bを介してロッド114bと接続される。より詳しくは、ロッド114a,114bのリング状部にピン129a,129bをそれぞれ挿入することにより、ロッド114a,114bを下部レバープレート129と接続することができる。
【0107】
図24および図25に示すように、ロッド114a,114bを略平行に配置し、ロッド114aの移動方向と、ロッド114bの移動方向とを反対方向にしている。このようにロッド114a,114bの移動方向を異ならせることにより、ピストン駆動部126とピストン112とを1直線上に並べる必要がなくなり、ピストン112の移動方向における液体霧化装置の長さを低減することができる。また、ロッド114a,114bを略平行に配置することにより、液体霧化装置を幅方向にも縮小することができ、液体霧化装置をコンパクト化することができる。
【0108】
レバー115は、図25に示すように、中央部に筒状部101aを受け入れる貫通孔と、ピン129bを受け入れる長孔とを有する。該レバー115は、平板状であり、径方向に突出する突出部(操作部)115bを有する。該突出部を手で押圧することにより、レバー115を回転操作することができる。
【0109】
レバーカバー130は、レバー115上に載置され、該レバーカバー130上からビス134を筒状部101aに螺着する。それにより、レバーカバー130、レバー115、上部および下部レバープレート128,129をハウジング101に取り付けることができる。
【0110】
リリースボタン117は、ハウジング101の側面に設けたスプリングケース136内に収納されたリリーススプリング135に弾性支持される。該リリースボタン117は、ロック爪125を有し、ロック爪125は、下部レバープレート129に設けた貫通孔に挿入される。それにより、下部レバープレート129がロックされる。
【0111】
上記のロック状態を解除するには、リリースボタン117の操作部を手で押して下方に押し下げる。それによりロック爪125が下方に移動して下部レバープレート129の貫通孔から抜け出し、下部レバープレート129のロック状態が解除される。
【0112】
次に、図26〜図29を用いて、本実施の形態における液体霧化装置の動作について説明する。
【0113】
図26に示す初期状態からレバー115の突出部115bを手で左回り(反時計回り)に回転操作し、レバー115を所定角度回転操作する。それにより、図27に示すように上部および下部レバープレート128,129が回転し、ロッド114bが右側に移動し、それに伴いピストン112も右側に移動する。このとき、ロッド114aは左側に移動し、ピストンスプリング116は、ロッド114aのフランジ部に押圧されて圧縮される。
【0114】
ピストン112が所定量以上右側に移動すると、送液孔111が開き、実施の形態2の場合と同様に、貯液室105から計量室109内に薬液が送り込まれる。このとき、吐出バルブ113によって給液孔は閉じられている。
【0115】
レバー115を所定量だけ回転させると、図27に示すようにロック爪125が下部レバープレート129に設けた貫通孔に挿入され、ピストン112等を所定位置でロックすることができる。
【0116】
次に、リリースボタン117を押し下げることにより、図28に示すようにロック爪125が下部レバープレート129に設けた貫通孔から抜け出し、下部レバープレート129とロック爪125との係合状態を解除することができる。それにより、圧縮されていたピストンスプリング116の弾性力によってロッド114a、ロッド114b、上部および下部レバープレート128,129を駆動し、これらを介してピストン112を左側に移動させることができる。
【0117】
このようにスプリングの弾性力でピストン112を押圧することにより、実施の形態2の場合と同様に、ほぼ均一な力で計量室109内の薬液をピストン112で押圧することができる。
【0118】
それにより、吐出バルブ113が薬液から圧力を受けて左側に移動して給液孔110が開き、給液孔110を通して霧化部127へ薬液を供給することができる。本実施の形態の場合も、ピストン112をほぼ一定の速度で駆動することができるので、実施の形態2の場合と同様の効果が得られる。
【0119】
その後、ピストン112は、図29に示すように、吐出バルブ113とほぼ当接する位置にまで移動し、計量室109内の一定量の薬液が全て所望の速度で霧化部127に供給されることとなる。それにより、計量室109からの薬液の吐出が完了する。
【0120】
本実施の形態では、実施の形態2と同様、ピストンスプリング116の弾性力によりピストン112を押圧することができるため、ピストン112を一定速度で駆動することができる。
【0121】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4とその変形例について、図30〜図39を用いて説明する。
【0122】
上述の実施の形態2,3では、ピストン112の駆動手段としてスプリングのような弾性部材を使用したが、モータ、ソレノイドのように電磁力を利用してピストン112を一定の力(速度)で駆動してもよい。本実施の形態では、スプリングのみならず、モータやソレノイド等を用いてピストン112を駆動する例について説明する。
【0123】
図30に示すように、本実施の形態における液体霧化装置は、電源部150と、制御部151と、薬液有無検知部152と、定電流昇圧回路153と、発振回路154と、霧化部127と、電流検知部155と、メッシュ部材キャップ122と、吸気センサ156と、ピストン駆動部126と、貯液室105と、送液孔111と、ピストン112と、計量室109と、吐出バルブ113と、給液孔110とを備える。
【0124】
電源部150は、乾電池等で構成される。制御部151は、各部の動作を制御する。定電流昇圧回路153は、電源部150の出力を昇圧し、発振回路154と霧化部127とを定電流駆動する。
【0125】
霧化部127は、実施の形態2等と同様に、超音波振動子(ホーン振動子)と、メッシュ部材とを含む。電流検知部155は、超音波振動子に流れる電流を検知し、定電流昇圧回路153の定電流化を図る。
【0126】
薬液有無検知部152は、霧化部127における薬液の有無を検知し、検知結果を制御部151に入力し、制御部151により定電流昇圧回路153をON/OFF制御する。
【0127】
超音波振動子上に薬液が存在するか否かは、超音波振動子のインピーダンスに依存する。具体的には、超音波振動子上に薬液が存在する場合にはインピーダンスが高く、超音波振動子上に薬液が存在しない場合にはインピーダンスが低くなる。
【0128】
超音波振動子のインピーダンスが上昇すると、発振回路154自体の入力インピーダンスが上昇し、定電流昇圧回路153の出力電圧が上昇する。この電圧を制御部に入力し、超音波振動子上に薬液が存在するか否かを検知する。
【0129】
吸気センサ156は、患者(使用者)の吸気をセンシングし、その検知結果に応じて制御部151により定電流昇圧回路53をON/OFF制御する。該吸気センサ156は、メッシュキャップ(マウスピース:吸入口)122あるいはその近傍に設置され、霧化部127で霧化された薬液を患者が吸入口から吸気したことを検知する。吸気をセンシングするには、患者の吸気による圧力変化や、気流の変化を検知すればよい。
【0130】
このように吸気センサ156を設けることにより、吸入口から患者が吸気したことを検知することができ、吸入口から患者が吸気したのに応じて薬液の霧化、あるいは霧化部127への薬液の供給等を行うことができ、霧化された薬液の噴霧のタイミングと患者の吸気のタイミングとのずれを小さくすることができる。
【0131】
ピストン駆動部126としては、実施の形態2,3の場合と同様の構成を採用することもできるが、図36〜図39に示すものを採用することもできる。
【0132】
たとえば図36に示すように、ソレノイド138を使用してピストン112を駆動してもよい。この場合、ソレノイド138に電流を流すことにより、ピン137が左側に移動し、ロッド114を介してピストン112を左側に移動させる。それにより、定速でピストン112を駆動することができる。
【0133】
また、図37に示すように、モータ139を用いてピストン112を駆動してもよい。この場合、ロッド114にギアを切っておき、モータ139とロッド114とをピニオンギア140を介して接続する。それにより、モータ139を駆動することによってピニオンギア140を回転させ、ロッド114を介してピストン112を左側に定速で移動させることができる。
【0134】
また、図38に示すように、ロッド114にギア142を固定し、モータ139側にギア141を取り付け、ギア141とギア142を噛合わせるようにしてもよい。それにより、ギア141とギア142を介してモータ139からの動力をロッド114に伝達することができ、ピストン112を左側に定速で移動させることができる。
【0135】
また、図39に示すように、回転式ソレノイド145を用いてピストン112を駆動してもよい。この場合、回転式ソレノイド145の回転により軸144に固定されたアーム143が回転し、アーム143に固定されたロッド114が押され、ピストン112を駆動することができる。それにより、ピストン112を左側に定速で移動させることができる。
【0136】
なお、メッシュ部材キャップ122、吐出バルブ113、貯液室105、計量室109、ピストン112、給液孔110、送液孔111については、実施の形態2,3と同様のものを使用可能であるので、説明は省略する。また、ピストン駆動部126にスプリングを含む場合には、ピストン駆動部126を制御部151で制御する必要はない。
【0137】
次に、本実施の形態における液体霧化装置の動作について説明する。
まず、図31A〜図31Dおよび図32を用いて、吸気センシングを行わない場合の動作について説明する。
【0138】
図31Aに示すように、ステップS10において薬液を一定量計量する。薬液の計量の手法は、実施の形態2,3の場合と同様である。すなわち図31Bに示すように、給液レバーを巻き上げ(ステップS11)、ピストン112を駆動して送液孔111を開き、貯液室105から計量室109に薬液を供給する(ステップS12)。このとき、バネが圧縮され(ステップS13)、実施の形態2,3の場合と同様の手法でバネの伸張をラッチする(ステップS14)。
【0139】
次に、図31AのステップS20において薬液を霧化部127に送液する。該薬液の送液は、図31Cに示すように、実施の形態2,3で記載したリリースボタンを操作する等してバネのラッチを解除し(ステップS21)、バネを伸張させる(ステップS22)。それにより、バネによりロッド114を介してピストン112が押され、ピストン112により計量室109内の薬液が押圧され、吐出バルブ113が移動して給液孔110が開き、霧化部127へ送液することができる(ステップS23)。
【0140】
次に、図31AのステップS30において薬液を霧化部127において霧化した後に噴霧する。この薬液の噴霧は、次の手法で行う。まず図31Dに示すように、ロッド114はバネの弾性力により移動するが(ステップS31)、該ロッド114の位置を検知し(ステップS32)、ロッド114が規定位置に達したことが検知されたのに応じて電源部150をON状態にする(ステップS33)。
【0141】
ロッド114の位置は、たとえばロッド114の適所に磁石を設け、対応するハウジング101内に設けた磁力感応スイッチ(たとえばリードリレーやホール素子)で検出することができる。このようにロッド114の位置を検知することにより、霧化部127への給液が開始されることを予め検知することができる。
【0142】
ロッド114が所定位置に達したのに応じて制御部(霧化動作開始部)151により電源部150をON状態にし、霧化部127への給液開始前後の所望の時期に、自動的に薬液の霧化動作を開始することができる。
【0143】
なお、霧化部127への給液開始を予め検知できるものであれば他の給液検知手段を採用可能である。たとえば、ピストン112と吐出バルブ113の少なくとも一方の位置を検知するための位置センサを設け、これを給液検知手段として機能させてもよい。吐出バルブ113の位置は、たとえば吐出バルブ113に磁石を設け、対応するハウジング101内に設けた磁力感応スイッチ(たとえばリードリレーやホール素子)で検出することができる。
【0144】
上記のような位置センサを設けることにより、位置センサによってピストン112と吐出バルブ113の少なくとも一方が所定位置に達したことが検知されたのに応じて自動的に薬液の霧化動作を開始することができる。それにより、霧化部127に薬液が供給された直後あるいはそれ以前に薬液の霧化動作を開始することができる。
【0145】
また、ピストン駆動部126がモータやソレノイドを含む場合には、霧化動作開始手段は、モータあるいはソレノイドの駆動信号が入力された後に液体の霧化動作を開始するものであってもよい。
【0146】
電源部150をON状態にした後、定電流昇圧回路153により電池電位の昇圧を行う(ステップS34)。その後、ステップS35において、ホーン振動子(超音波振動子)119に流れる電流が規定値であるか否かを検知し、電流が規定値以上である場合には、ホーン振動子119を駆動し(ステップS36)、薬液の霧化動作を行う。
【0147】
図32(B)に示すように、ホーン振動子119上に薬液があるときはインピーダンスは比較的大きく、薬液を霧化するにつれてインピーダンスは低下し、ホーン振動子119上に薬液がなくなると最もインピーダンスは低くなる。
【0148】
そこで、ステップS37においてホーン振動子119の昇圧電位が規定値以上か否かを検知し、昇圧電位が図32(A)に示すように所定値(スレッシュ電圧V1)以下となった時に、ホーン振動子119上に薬液がなくなったものと判断し(ステップS38)、図31Dおよび図32(A)に示すように電源を切る(ステップS40)。
【0149】
つまり、本発明の液体霧化装置は、振動子のインピーダンスを検知するためのインピーダンス検知手段(ステップS37)と、インピーダンスが所定値以下となったのに応じて振動子の振動を停止させるための振動子停止手段(ステップS40)とを備える。それにより、メッシュ部材120上に霧化すべき薬液が存在しなくなったのに応じてホーン振動子119の振動を停止させることができ、無駄な電力消費を抑制するとともにホーン振動子119の長寿命化を図ることができる。
【0150】
次に、吸気センシングを行う場合の動作について図33A〜図33Dおよび図34を用いて説明する。
【0151】
図33Aに示す例では、上述の例と同様の手法でステップS10において薬液を計量し、その後ステップS20において患者が吸気したことを検知する。患者による吸気は、上述の吸気センサ156により検知する。そして、図33Cに示すように、患者による吸気が検知(ステップS21)されたのに応じて電源を入れ(ステップS22)、ソレノイドなどによるラッチの解除(ステップS23)を行ってバネを伸張させ(ステップS24)、霧化部127へ薬液を送液する(ステップS30)。つまり、吸気センサ156によって患者による吸気が検知されたのに応じて霧化部127への薬液の供給を行う。
【0152】
霧化部127へ薬液を送液した後、薬液の霧化を行い、図33Aに示すように、ステップS40において霧化された薬液の噴霧を行う。噴霧は、図31A〜図31Dに示す例と同様の手法で行う。具体的には、図33Dに示すように、定電流昇圧回路153による電池電位の昇圧(ステップS41)、ホーン振動子119に流れる電流の検知(ステップS42)、ホーン振動子119の定出流駆動(ステップS43)、昇圧電位の検知(ステップS44)の各ステップを経て行う。
【0153】
そして、昇圧電位が図34(A)に示すように所定値(スレッシュ電圧V1)以下となった時に、メッシュ部材120上に霧化すべき薬液が存在しなくなったものと判断し(ステップS45)、電源をOFFする(ステップS50)。それにより、メッシュ部材120上に霧化すべき薬液が存在しなくなったのに応じてホーン振動子119の振動を停止することができる。
【0154】
次に、図35A〜図35Dを用いて、吸気センシングを行う場合の他の動作例について説明する。
【0155】
図35Aに示すように、薬液の計量(ステップS10)を行い、その後霧化部127へ薬液を送液する(ステップS20)。薬液の計量の手法は図33A〜図33Dに示す例と同様であり、霧化部127へ薬液の送液の手法は図34(A),(B)に示す例と同様である。
【0156】
次に、患者の吸気を検知する(ステップS30)。図35Dに示すように、患者が吸気したか否かを吸気センサ156で検知し(ステップS31)、患者が吸気したのに応じて電源をON状態にする(ステップS32)。つまり、吸気センサ156によって患者による吸気が検知されたのに応じて霧化部127における液体の霧化動作を開始する。
【0157】
そして、図33A〜図33Dに示す場合と同様に、電池電位の昇圧(ステップS33)、ホーン振動子119に流れる電流の検知(ステップS34)、ホーン振動子119の定出流駆動(ステップS35)、昇圧電位の検知(ステップS36)を行い、昇圧電位が図34(A),(B)に示すように所定値(スレッシュ電圧V1)以下となった時に、メッシュ部材120上に霧化すべき薬液が存在しなくなったものと判断し(ステップS37)、電源をOFFする(ステップS50)。
【0158】
本実施の形態では、特表平8−502689号に比較して電池寿命や振動子の寿命を長くすることができ、またWO00/66277号に比較して薬剤の吸入ロスを小さくすることができる。以下、そのことについて説明する。
【0159】
特表平8−502689号には、薄膜を振動させて液体を霧化する装置において、計量された所定量の液体を全て霧化すべく、当該所定量の液体の霧化に必要な振動時間よりも長い時間上記薄膜を振動させる発明が記載されている。
【0160】
ところが、このように薄膜を長い時間振動させることにより、薄膜を振動させるための電池寿命が短くなるばかりでなく、振動子を無負荷状態で長時間振動させることとなり振動子の寿命も短くなるという問題があった。
【0161】
これに対して本実施の形態では、給液検知手段160と霧化動作開始手段151とを備えるので、霧化部127への給液が開始される前後の所望の時期に、自動的に液体の霧化動作を開始することができる。それにより、液体を霧化させるために振動子を採用する場合には、無負荷状態での駆動時間を少なくすることができ、無駄な電力消費を抑制するとともに振動子の長寿命化を図ることができる。また、霧化部127に液体を供給する直前に予め振動子を振動させることにより、計量室109からの給液量がばらついた時でも、振動子への極端な負荷増を予防することができ、噴霧を連続的に行うことができる。
【0162】
また本実施の形態では、インピーダンス検知手段(ステップS37)と振動子停止手段(ステップS40)とを備えているので、メッシュ部材120上に液体が存在しなくなったのに応じて振動子の振動を停止させることができる。それにより、無駄な電力消費を抑制するとともに、無負荷状態での振動子の駆動をも抑制して振動子の長寿命化を図ることができる。
【0163】
また、上述したWO00/66277号では、手動動作で霧化部に薬液を供給する場合、薬液の吸入時に手動動作で薬液を霧化部に送り込んで霧化した後に噴霧させ、それを使用者が吸い込むこととなる。そのため、霧化された薬液の噴霧のタイミングと、使用者の吸気のタイミングとのずれが大きくなり、薬液をうまく吸い込めないという問題もあった。特に、吸入する薬液の量が微量である場合には、噴霧と吸気のタイミングがずれることにより、薬剤の吸入ロスが大きくなる。
【0164】
これに対して本実施の形態では、吸気検知手段(吸気センサ156)を備えているので、患者の吸気に応じて液体の霧化動作や、霧化部への液体の供給等を行うことができる。それにより、霧化された液体の噴霧のタイミングと使用者の吸気のタイミングとのずれを小さくすることができ、使用者による薬剤の吸入ロスを低減することができる。
【0165】
(実施の形態5)
次に本発明の実施の形態5について、図40〜44を用いて説明する。
【0166】
図40および図41に示すように、本実施の形態5では、ピストン(図示せず)を駆動するためのピストン駆動部126においてレバースプリング216に渦巻きばねを用いた点において実施の形態3の構成と異なる。
【0167】
ピストン駆動部126は、プッシュロッド114bと、巻き上げレバー115と、リリースレバー117と、レバープレート128と、リリーススプリング135と、E−リング201と、スイッチレバー202と、レバーシャフト214と、レバースプリング216とを備える。
【0168】
プッシュロッド114bは、係合凸部114dとラック114cとを有し、かつハウジング101に設けられたガイド101cによってスライド可能に支持されている。レバープレート128は、プッシュロッド114bのラック114cに噛み合うピニオン128aを有し、かつハウジング101に設けられた筒状部101aに回転可能に嵌められている。巻き上げレバー115は、手で操作可能な操作部115bを有し、かつレバープレート128の凹部128bに係合可能な係合凸部115cを有している。
【0169】
レバーシャフト214は、ハウジング101内部から筒状部101aの貫通孔内に挿通され、それによりレバープレート128と巻き上げレバー115との各孔を貫通し、巻き上げレバー115から突き出した先端にE−リング201を嵌められている。また、このレバーシャフト214はスイッチレバー202をも貫通しており、それにより、スイッチレバー202はレバーシャフト214とともに回転する。このレバーシャフト214の下端部には、渦巻きばねよりなるレバースプリング216が配置されている。
【0170】
このレバースプリング216は、図42に示されるように内周側端部がレバーシャフト214の割れ部214aに挟まれ、かつ外周側端部がハウジング101内部に設けられたリブ部101dに引っ掛けられることにより支持されている。
【0171】
リリースレバー117は、レバープレート128に設けられた孔に嵌入可能なロック爪125を有し、かつリリーススプリング135により上方に付勢されている。
【0172】
なお、レバースプリング216の下方からはバッテリーユニット108aをハウジング101内に挿入することができ、かつバッテリーユニット108aをハウジング101内に挿入した後はボトムカバーユニット101bによりハウジング101を閉じることができる。
【0173】
このように構成されたピストン駆動部126は、プッシュロッド114bの係合凸部114dが結合ロッド133の孔と係合することによりピストンを駆動させることができる。
【0174】
なお、これ以外の構成については上述した実施の形態3の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0175】
次に、図43および図44を用いて、本実施の形態における液体霧化装置の動作について説明する。
【0176】
図43に示す初期状態から巻き上げレバー115の操作部115bを手で左回り(反時計回り)に回転操作し、巻き上げレバー115を所定角度回転させる。それにより、レバープレート128が回転し、プッシュロッド114bと結合ロッド133とが右側にスライドし、ピストン(図示せず)も右側に移動する。このとき、レバーシャフト214の回転により渦巻きばねよりなるレバースプリング216は巻き上げられ、巻き上げレバー115を右回り(時計回り)に回転させようとする付勢力が発生する。
【0177】
ピストンが所定量以上右側に移動すると、実施の形態2および3と同様にして、貯液室(図示せず)から計量室(図示せず)内に薬液が送り込まれる。このとき、吐出バルブ(図示せず)によって給液孔(図示せず)は閉じられている。
【0178】
巻き上げレバー115を所定量だけ回転させると、図44に示すようにロック爪125がレバープレート128に設けられた孔128cにリリーススプリング135の付勢力により嵌入され、ピストン等を所定位置でロックしたロック状態となる。
【0179】
次に、リリースレバー117を押し下げることにより、ロック爪125がレバープレート128に設けた孔128cから抜け出し、レバープレート128とロック爪125とのロック状態が解除される。それにより、巻き上げられていたレバースプリング216の付勢力によってレバープレート128が右回り(時計回り)に回転し、プッシュロッド114bと結合ロッド133とが左側にスライドする。
【0180】
このようにレバースプリング216の付勢力でピストン(図示せず)を押圧することにより、実施の形態2および3と同様に、ほぼ均一な力で計量室(図示せず)内の薬液をピストン(図示せず)で押圧することができる。それにより、実施の形態2および3と同様にして、霧化部127へ薬液を供給することができる。
【0181】
なお、本実施の形態5についても実施の形態4の態様を適用することができる。
本実施の形態では、実施の形態2および3と同様、レバースプリング216の付勢力によりピストンを押圧することができるため、ピストンを一定速度で駆動することができる。
【0182】
また本実施の形態の液体霧化装置は、実施の形態2および3と比較して、一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部127での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることができるという有利な点を有している。以下、そのことについて説明する。
【0183】
図45を参照して、通常、ばねにおいては、ばねにかかる力Fと変位量Xとが正比例し、その関係を示す直線の傾きがばね定数となる。ここで、ばね定数を大きくすると、巻き上げ状態(ばねが一番縮んだ状態)の時のばねにかかる力Fとピストン112を押しきった状態(ばねが一番伸びた状態)の時のばねにかかる力Fとの差が大きくなる。この力Fの差は、ばねがピストン112を押す速度の差に比例する。すなわち、巻き上げ状態(ばねが一番縮んだ状態)の位置では、ばねがピストン112を押す速度は大きく、ピストン112を押しきった状態(ばねが一番伸びた状態)の位置では、ばねがピストン112を押す速度はそれよりも小さくなり、速度の変化度合が大きくなる。これにより、本実施の形態の液体霧化装置を量産する上で、ばねの個体差によるバラツキにより一定量での霧化を実現することが難しくなる。
【0184】
なお、ここでの「速度の変化度合」は、実施の形態1の手動操作の場合の速度変化に比べると十分小さく、実質的には一定速度と見なせる程度の変化割合である。
【0185】
また、ピストン112を押しきった状態でのばねにかかる力Fは、バルブスプリング118に抗して吐出バルブ113を十分に押し下げ、計量室109の薬液を給液孔110から押し出す力が最低限度必要である。そのため、ばね定数が大きいと、巻ききった時のばねには、より大きな力Fがかかることになり、ばねがピストン112を押す速度もその分速くなる。それにより、吐出バルブ113が少し押し込まれ、押し込まれた分だけ計量室109からアンプル104へ逆流する薬液量が少なくなり、結果として霧化部に供給される薬液が増える現象が発生する。この現象は、ばねの個体差や部品の劣化や薬液の粘性状態によるバラツキが大きく、一定量での霧化を実現することが難しくなる。
【0186】
また、ばね定数が大きいと、ピストン112がアンプル104とつながる送液通路104aを超えた位置では、ばねによりピストン112を押す速度がより速くなり、薬液が霧化部127へ速い速度で移動するため霧化部127で薬液の飛び散りが生じ易くなり、これも一定量での霧化の実現を阻害することになる。
【0187】
そこで、ばね定数の小さいばねを用いると、ばねがピストン112を押す速度の速度差が小さくなるため、その分、一定量での霧化が容易となり、かつ霧化部127での薬液の飛び散りも生じなくなる。しかし、この場合、ばねがピストン112を押圧する力を大きくしようとすると、ばねの変位量Xが大きくなるため、ばね全体の長さを長くする必要がある。よって、実施の形態2および3のようにピストンスプリング116にコイルばねを用いた場合には、らせん形状のコイルばねの長手方向にサイズが大きくなるため、装置を小型化することが難しくなる。
【0188】
これに対して、本実施の形態では、レバースプリング216として渦巻きばねが用いられている。この渦巻きばねを長くするためには、渦巻き方向に長くする必要がある。しかし、渦巻き方向に長くする場合、円周方向に長さを確保することができるため、長手方向に長くなるコイルばねよりも、渦巻きばねのサイズを小さく維持することができる。よって、渦巻きばねを用いた本実施の形態の液体霧化装置は、実施の形態2および3の構成よりも小型化に適している。
【0189】
以上より、本実施の形態の液体霧化装置は、レバースプリング216としてばね定数の小さい渦巻きばねを用いることにより、一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部127での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることができる。
【0190】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、霧化部への送液量を一定にして霧化を安定させると共にそれを低コストで実現するための液体霧化装置に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】実施形態に係る液体霧化装置の外観斜視図である。
【図2】同実施形態の液体霧化装置における給液ユニットの一部破断斜視図である。
【図3】同実施形態の液体霧化装置の縦断面図である。
【図4】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部に薬液を充填する状態を示す模式図である。
【図5】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液をピストンで押圧する状態を示す模式図である。
【図6】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液を霧化部に送液する状態を示す模式図である。
【図7】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液を霧化部に完全に送液した状態を示す模式図である。
【図8】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液送液後の状態を示す模式図である。
【図9】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液送液後に更にピストンが引き戻された状態を示す模式図である。
【図10】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図4の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図11】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図5の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図12】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図6の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図13】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図7の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図14】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図9の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図15】同実施形態の液体霧化装置の主要部において、電源スイッチがOFFの状態を示す縦断面図である。
【図16】同実施形態の液体霧化装置の主要部において、電源スイッチがONの状態を示す縦断面図である。
【図17】同実施形態の液体霧化装置の給液ユニットにおいて、二次貯液部の薬液が霧化部に供給されるときの状態を示す一部破断斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態2における液体霧化装置の断面図である。
【図19】図18に示す液体霧化装置の分解斜視図である。
【図20】図18に示す液体霧化装置の初期状態を示す部分断面斜視図である。
【図21】図18に示す液体霧化装置の吸液状態を示す部分断面斜視図である。
【図22】図18に示す液体霧化装置の薬液吐出状態を示す部分断面斜視図である。
【図23】図18に示す液体霧化装置の薬液吐出完了状態を示す部分断面斜視図である。
【図24】本発明の実施の形態3における液体霧化装置の斜視図である。
【図25】図24に示す液体霧化装置の分解斜視図である。
【図26】図24に示す液体霧化装置の初期状態を示す部分断面斜視図である。
【図27】図24に示す液体霧化装置の吸液状態を示す部分断面斜視図である。
【図28】図24に示す液体霧化装置の薬液吐出状態を示す部分断面斜視図である。
【図29】図24に示す液体霧化装置の薬液吐出完了状態を示す部分断面斜視図である。
【図30】本発明の実施の形態4における液体霧化装置の概略構成を示すブロック図である。
【図31A】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行わない場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図31B】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行わない場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図31C】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行わない場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図31D】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行わない場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図32】(A)は霧化動作時におけるホーン振動子の電圧値の変化を示す図であり、(B)はホーン振動子のインピーダンスの変化を示す図である。
【図33A】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【図33B】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【図33C】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【図33D】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【図34】(A)は霧化動作時におけるホーン振動子の電圧値の変化を示す図であり、(B)はホーン振動子のインピーダンスの変化を示す図である。
【図35A】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の他の動作例を示すフローチャートである。
【図35B】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の他の動作例を示すフローチャートである。
【図35C】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の他の動作例を示すフローチャートである。
【図35D】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の他の動作例を示すフローチャートである。
【図36】本発明のピストン駆動部の他の例を示す模式図である。
【図37】本発明のピストン駆動部のさらに他の例を示す模式図である。
【図38】本発明のピストン駆動部のさらに他の例を示す模式図である。
【図39】本発明のピストン駆動部のさらに他の例を示す模式図である。
【図40】本発明の実施の形態5における液体霧化装置の分解斜視図である。
【図41】図40に示す液体霧化装置の部分断面斜視図である。
【図42】レバースプリングを支持する構成を説明するための図である。
【図43】図40に示す液体霧化装置の初期状態を示す斜視図である。
【図44】図40に示す液体霧化装置の巻上げ状態を示す斜視図である。
【図45】ばねの変位量Xとばねにかかる力Fとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0193】
1 本体部、2 給液ユニット、10 一次貯液部、16 二次貯液部、18,24 送液路、20 ピストン、22 弁、30,119 ホーン振動子、32,120 メッシュ部材、40 給液ボタン(操作部)、50 シリンダ、52,56 コイルバネ、101 ハウジング、102 シリンダ、104a 送液通路、105 貯液室、106 ピストン、109 計量室、110 給液孔、111 送液孔、112 ピストン、117 リリースボタン、126 ピストン駆動部、127 霧化部、139 モータ、145 回転式ソレノイド、151 霧化動作開始手段、152 薬液有無検知部、156 吸気センサ、160 給液検知手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を一定量ずつ霧化部に安定して供給する送液機構を備えた液体霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば従来の携帯用超音波式液体霧化装置は一般に、液体(薬液)を貯留する貯液部と、この貯液部の液体が先端部に供給される振動源(例えば超音波ホーン振動子)と、この振動源の先端部端面に当接して配置された多数の微細孔を持つメッシュ部材とを備え、貯液部の液体を振動源とメッシュ部材との振動作用により霧化するものである。
【0003】
即ち、貯液部の液体はメッシュ部材と振動源の先端部端面との間隙に入り、振動源の超音波振動によるメッシュ部材と振動源の先端部端面との振動作用により、液体はメッシュ部材の微細孔から微細液滴として放出される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、霧化動作を安定して行うには、貯液部から一定量の液体を霧化部に安定して供給する必要がある。しかしながら、実際には装置の使用時の傾き度合、外部からの振動、貯液部内の液体の残量等が影響し、霧化部への供給量が一定せず、霧化が不安定になることが多い。このような霧化不安定さは、高濃度の薬液を1回当たり一定量ずつ吸入するような薬液吸引治療にとって定量噴霧が安定せず、好ましくない。
【0005】
本発明は、そのような問題点に着目してなされたものである。本発明の1の目的は、霧化部への送液量を一定にして1回毎の霧化量を安定させると共にそれを低コストで実現する液体霧化装置を提供することである。
【0006】
本発明の他の目的は、無駄な電力消費を抑制するとともに、無負荷状態での振動手段の駆動時間をも短縮して振動手段の長寿命化を図ることにある。
【0007】
本発明のさらに他の目的は、使用者による薬剤の吸入ロスを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の1の局面に従う液体霧化装置は、霧化すべき液体を貯留しておく一次貯液部と、この一次貯液部の液体を霧化する霧化部と、一次貯液部と霧化部との間に設けられ、一次貯液部の液体を霧化部に送る液量を計量する二次貯液部と、一次貯液部の液体を二次貯液部に送る一次送液部と、二次貯液部の計量された液体を霧化部に送る二次送液部と、この二次送液部を操作する操作部とを備えることを特徴とする。
【0009】
この霧化装置では、一次貯液部の液体は霧化部にそのまま送られるのではなく、一次貯液部と霧化部との間にある二次貯液部に一旦送液され、二次貯液部で霧化部への1回当たりの送液量が計量され、計量された液体が霧化部に送られる。従って、装置の使用時の傾き度合、外部からの振動、貯液部内の液体の残量等に関係なく、常に一定量の液体が霧化部に供給されることになり、霧化が安定する。
【0010】
本発明の液体霧化装置において、一次送液部及び二次送液部が操作部の操作に連動してそれぞれ送液することにすれば、操作部の1操作により、一次貯液部の液体が二次貯液部に送られると共に、二次貯液部の液体が霧化部に送られ、送液・計量・送液の動作をスムーズに行うことができ、利便性が高まる。
【0011】
また、霧化部が操作部の操作と同時に液体の霧化動作を開始することにすれば、操作部が霧化開始スイッチを兼ねるので、使い勝手が良くなるだけでなく、霧化部への送液と霧化動作とのタイミングが良くなる。
【0012】
この場合、霧化部に液体が供給されるよりも先に霧化部が霧化動作を開始するようにすれば、霧化部に液体が供給されると、直ちに液体が霧化されるので、霧化動作の立ち上がりが俊敏になり、霧化動作が安定する。
【0013】
更に、操作部の操作による霧化部への送液動作が終了したときに、一次貯液部から二次貯液部への給液が行われるようにすれば、次の操作部の操作による霧化部への送液をスムーズに行うことができる。
【0014】
一方、二次貯液部が霧化部に液体を送るとき以外は密閉状態であることにすれば、二次貯液部内の液体が外気と接触せず、人体に吸引される液体(薬液)を清浄に保つことができる。
【0015】
他方、一次貯液部、霧化部、二次貯液部、一次送液部及び二次送液部を給液ユニットとして一体に構成し、その給液ユニットに対して一次貯液部を着脱可能とすれば、液体を貯留する一次貯液部の洗浄が容易になる。
【0016】
本発明の他の局面に従う液体霧化装置は、液体を貯留する貯液室と、貯液室から送液孔を通して所定量の液体が送り込まれる計量室と、計量室から給液孔を通して供給された液体を霧化する霧化部と、送液孔を開閉し計量室内の液体を押圧することにより給液孔を通して霧化部に液体を供給するためのピストンと、ピストンを一定速度で駆動するピストン駆動部とを備える。
【0017】
上記のようなピストン駆動部を設けることにより、ピストンを一定速度で移動させることができ、ほぼ均一な力で薬液等の液体を押圧することができる。それにより、霧化部へ供給される液体の速度をほぼ一定にすることができ、初期の狙いどおりに霧化部に液体を付着させることができる。
【0018】
上記の液体霧化装置は、計量室の一端を規定し、弾性部材に支持され、ピストンにより液体を押圧することにより移動して給液孔を開き、霧化部に液体を供給するための弁を備えることが好ましい。
【0019】
また、上記霧化部は、メッシュ部材と、超音波振動子等の振動子とを含み、計量室から液体が供給される。この場合、本発明のピストン駆動部とを備えることにより、メッシュ部材上の所定位置に所定量の液体を供給することができる。
【0020】
上記ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与するスプリング等の弾性手段や、モータ、ソレノイドからなる群から選ばれた少なくとも1つの要素を含む。つまり、本発明のピストン駆動部は、バネ等による弾性力や、モータやソレノイドのように電磁力を利用して得られる力等の実質的に一定の力でピストンを駆動するものである。
【0021】
上記の液体霧化装置は、送液孔を開いて貯液室から液体を計量室に送り込むことが可能な位置でピストンを固定するためのロック手段と、ロック手段による固定状態を解除するとともにピストン駆動部を作動させてピストンを駆動するためのリリーススイッチとを備えるものであってもよい。それにより、リリーススイッチを入れるだけでピストンを駆動することができ、簡易な操作で霧化部に一定量の液体を供給することができる。
【0022】
また、上記の液体霧化装置は、上記リリーススイッチによってロック手段による固定状態が解除されたことを検知するためのロック解除検知手段と、該ロック解除検知手段によってロック手段によるピストンの固定状態が解除されたことが検知された後に液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段とを備えるものであてもよい。この場合には、ピストンのロック状態を解除した後に霧化部を自動的に作動させることができる。たとえば、ピストンのロック状態解除後であって所定時間経過後に液体の霧化動作を開始することができる。それにより、霧化部に液体が供給されたと同時あるいはその直後に液体の霧化を開始することができる。なお、本発明の霧化動作開始手段とは、液体の霧化を行うことができる動作を開始する手段のことであり、霧化動作を開始することにより実際に液体の霧化が開始する場合と、所定時間後に液体の霧化が開始する場合とがあり得る。
【0023】
また、ピストン駆動部は、第1ロッドと、ピストンを押圧する第2ロッドと、第1と第2ロッドを接続する接続部材とを備えるものであってもよい。そして、第1ロッドの移動方向と、第2ロッドの移動方向とを異ならせる。それにより、ピストン駆動部とピストンとを1直線上に並べる必要がなくなり、ピストンの移動方向における液体霧化装置の長さを低減することができる。特に、第1ロッドと、ピストンおよび第2ロッドとを並列に配置し、第1と第2ロッドを反対方向に駆動することにより、液体霧化装置をコンパクト化することができる。
【0024】
また、上記の液体霧化装置は、貯液室を内部に有するハウジングと、計量室を内部に有しピストンを受け入れるシリンダとを備える。この場合、シリンダとピストン駆動部とを、ハウジングに着脱自在に取り付けることが好ましい。
【0025】
上記の液体霧化装置においては、ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する。これにより、渦巻き状ばねのばね定数を小さくすることにより一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることもできる。
【0026】
本発明の他の局面に従う液体霧化装置は、液体を貯留する貯液室と、貯液室から送液孔を通して所定量の液体が送り込まれる計量室と、計量室から給液孔を通して供給された液体を霧化する霧化部と、計量室の一端を規定し弾性部材に支持され給液孔を開閉するための弁と、送液孔を開閉し計量室内の液体を押圧することにより弁を移動させて給液孔を開き該給液孔を通して霧化部に液体を供給するためのピストンと、ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、霧化部への給液が開始されることを予め検知するための給液検知手段と、給液検知手段により霧化部への給液が開始されることが検知されたのに応じて液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段とを備える。
【0027】
このように給液検知手段と霧化動作開始手段とを設けることにより、霧化部への給液が開始される前後の所望の時期に、自動的に液体の霧化動作を開始することができる。
【0028】
上記給液検知手段は、ピストンと弁の少なくとも一方の位置を検知するための位置センサを含む。この場合、霧化動作開始手段は、位置センサによりピストンと弁の少なくとも一方が所定位置に達したことが検知されたのに応じて液体の霧化動作を開始する。
【0029】
位置センサと霧化動作開始手段とを設けることにより、ピストンと弁の少なくとも一方が所定位置に達したときに自動的に液体の霧化動作を開始することができる。このとき、位置センサによって霧化部への液体の供給開始時を検知するようにしておくと、霧化部に液体が供給された直後あるいはそれ以前に液体の霧化動作を開始することができる。
【0030】
上記ピストン駆動部は、モータとソレノイドとを含む。この場合、霧化動作開始手段は、モータあるいはソレノイドの駆動信号が入力された後に液体の霧化動作を開始する。
【0031】
上記霧化部は、メッシュ部材と、超音波振動子等の振動子とを含み、計量室から液体が供給され、霧化動作開始手段は、振動子を駆動する振動子駆動手段を含む。
【0032】
上記の液体霧化装置においては、ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する。これにより、渦巻き状ばねのばね定数を小さくすることにより一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることもできる。
【0033】
本発明のさらに他の局面に従う液体霧化装置は、液体を貯留する貯液室と、貯液室から送液孔を通して所定量の液体が送り込まれる計量室と、計量室から給液孔を通して供給された液体を霧化するためのメッシュ部材および振動子を含む霧化部と、送液孔を開閉し計量室内の液体を押圧することにより給液孔を通して霧化部に液体を供給するためのピストンと、ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、振動子のインピーダンスを検知するためのインピーダンス検知手段と、インピーダンス検知手段により検知されたインピーダンスが所定値以下となったのに応じて振動子の振動を停止させるための振動子停止手段とを備える。
【0034】
振動子のインピーダンスは、メッシュ部材上に液体が存在する場合と存在しない場合とで異なるものとなる。したがって、上記のインピーダンス検知手段で振動子のインピーダンスを検知することにより、メッシュ部材上に液体が存在するか否かを検知することができる。ここで、上記の振動子停止手段を設けることにより、振動子のインピーダンスが所定値以下となったのに応じて振動子の振動を停止させることができる。つまり、メッシュ部材上に霧化すべき液体が存在しなくなったのに応じて振動子の振動を停止させることができる。
【0035】
上記の液体霧化装置においては、ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する。これにより、渦巻き状ばねのばね定数を小さくすることにより一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることもできる。
【0036】
本発明のさらに他の局面に従う液体霧化装置は、液体を貯留する貯液室と、貯液室から送液孔を通して所定量の液体が送り込まれる計量室と、計量室から給液孔を通して供給された液体を霧化する霧化部と、送液孔を開閉し計量室内の液体を押圧することにより給液孔を通して霧化部に液体を供給するためのピストンと、ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、霧化部で霧化された液体を使用者が吸入するための吸入口と、吸入口から使用者が吸気したことを検知するための吸気検知手段とを備える。
【0037】
このように吸気検知手段を設けることにより、吸入口から使用者が吸気したことを検知することができる。それにより、吸入口から使用者が吸気したのに応じて液体の霧化、あるいは霧化部への液体の供給等を行うことができ、霧化された液体の噴霧のタイミングと使用者の吸気のタイミングとのずれを小さくすることができる。
【0038】
上記液体霧化装置は、吸気検知手段によって使用者による吸気が検知されたのに応じて霧化部における液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段を備えるものであってもよく、吸気検知手段によって使用者による吸気が検知されたのに応じて霧化部への液体の供給を行う液体供給手段を備えたものであってもよい。
【0039】
上記の液体霧化装置においては、ピストン駆動部は、ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する。これにより、渦巻き状ばねのばね定数を小さくすることにより一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、実施の形態により、この発明を更に詳細に説明する。
(実施の形態1)
実施の形態1に係る液体霧化装置の外観斜視図を図1に示す。この液体霧化装置は、バッテリ収納部5(図3参照)や電気回路部等を内部に備える本体部1と、この本体部1に着脱自在に取付けられた給液ユニット2とで構成される。
【0041】
給液ユニット2の一部破断斜視図を示す図2、及び装置内部の縦断面図を示す図3において、装置内部には、霧化すべき液体(薬液)を貯留しておく一次貯液部10が配置され、この一次貯液部10の底部には上下方向に変位可能な可動部材12が液密に装着され、可動部材12が一次貯液部10の底壁を兼ねている。可動部材12は下側に配置された押圧部材14により圧力が加えられるようになっている。従って、一次貯液部10内の薬液には圧力が加えられる。ここでは、可動部材12、押圧部材14等により一次送液部が構成される。また、一次貯液部10を構成する部品や可動部材12、押圧部材14等は、給液ユニット2に着脱可能であり、洗浄が容易である。
【0042】
一次貯液部10の上部には、霧化部に送る液量を計量する二次貯液部16が設けられ、この二次貯液部16は送液路18を通じて一次貯液部10に連通している。二次貯液部16は水平方向に延びる円柱状の空間(シリンダ)からなり、この円柱状の空間の一方側にピストン20が移動可能に配置され、他方側に弁22が変位可能に配置されている。ピストン20にはコイルバネ56が嵌挿され、コイルバネ56によりピストン20は図面の右方向に付勢されている。図3には示していないが、弁22はコイルバネ52(図4及び図10参照)により図面の右方向に付勢され、コイルバネ52の一端部は円柱状の空間の端部に取付けられたストッパ54に係合している。ここでは、ピストン20、弁22、送液路24、コイルバネ52,56等で二次送液部が構成される。
【0043】
二次貯液部16は送液路24に通じ、送液路24は吐出口24aを有し、吐出口24aがガイド溝26に通ずる。また、ガイド溝26には、送られてきた薬液の一部を一時的に貯留するバッファ部28が上方向に付設されている。なお、ここでは、ガイド溝26とバッファ部28は二次貯液部16や送液路24を設けた部品と別部品に設けられているが、同一部品に一体形成してもよい。
【0044】
なお、二次貯液部16は送液のときは送液路24に連通するが、送液以外のときは密閉状態である。つまり、一次貯液部10から薬液が供給されるときは、二次貯液部16は送液路18に連通するが、送液路18には薬液が充満しているため、二次貯液部16の薬液が空気に触れることがなく、薬液の清浄さが保たれる。
【0045】
一方、ホーン振動子30は、一次貯液部10に近接して配置され、その先端部がガイド溝26に対向している。ホーン振動子30の先端部端面には、多数の微細孔を有するメッシュ部材32が当接して配置され、メッシュ部材32はコイルバネ34によりホーン振動子30の先端部端面に適度の力で押圧されている。霧化部は、ホーン振動子30とメッシュ部材32で構成される。
【0046】
この構成により、一次貯液部10の薬液は、送液路18、二次貯液部16、送液路24、ガイド溝26を介して、ホーン振動子30とメッシュ部材32との間隙に供給される。
【0047】
他方、本体部1の上部には、操作部としてスライド式の給液ボタン40が設けられ、給液ボタン40は、二次貯液部16に配置されたピストン20を操作する水平方向の操作ロッド42と、当該給液ボタン40の下側に配置された電源スイッチ46のレバー46aを操作する操作軸44とを有する。霧化部に薬液を供給するときは、給液ボタン40を図3の左側にスライドさせる。すると、給液ボタン40の操作ロッド42がピストン20を押すだけでなく、操作軸44が電源スイッチ46のレバー46aを押し倒し、電源スイッチ46がONになる。給液ボタン40から手を離すと、ピストン20がコイルバネ56により右側に移動するのに伴って、給液ボタン40が図3の状態に戻り、電源スイッチ46がOFFになる。
【0048】
なお、電源スイッチ46のONのタイミングは、二次貯液部16の薬液が霧化部に送られるよりも早く設定され、霧化部に給液されるまでにホーン振動子30が作動しており、霧化部への給液と同時に霧化が開始するようになっている。これにより、霧化動作の立ち上がりが俊敏になり、霧化動作が安定する。
【0049】
霧化部への給液は操作部の操作により行われるため、操作部の操作と同時に霧化動作が開始されることになる。ここで、霧化動作とは、薬液を霧化する工程のみならず、以下に説明するように霧化部への給液の工程をも含むものを意味している。
【0050】
この液体霧化装置の薬液の霧化動作について、図4〜図9に示す送液機構の模式図を参照して説明する。但し、上記と同じ要素には同一符号を付してある。まず図4において、シリンダ50(上記二次貯液部16を形成する円柱状の空間に相当)は、送液路18を通じて一次貯液部10(図4〜図9では図示せず)に連通すると共に、送液路24を通じてガイド溝26に連通している。
【0051】
シリンダ50内部の一方側には、送液路18を開閉する弁機能も併有するピストン20が移動可能に配置され、他方側には、送液路24を開閉する弁22が変位可能に配置されている。ピストン20は前記コイルバネ56により図面の下方向に付勢され、弁22はコイルバネ52により同じく下方向に付勢されている。コイルバネ52の一端部は弁22に取付けられ、他端部はシリンダ50の端部に取付けられたストッパ54に係合している。このシリンダ50内部において、ピストン20と弁22との間の空間が二次貯液部16になっており、一次貯液部10から薬液が供給される。なお、二次貯液部16の容量は、図5に示すようにシリンダ50の内径φと長さLにより〔(φ/2)2 π・L〕で求められ、予め1回の送液に必要な適量に設定されている。
【0052】
このように構成された送液機構によれば、ピストン20が送液路18を開放し、弁22が送液路24を封鎖した図4の状態においては、一次貯液部10には任意の圧力が加えられているので、一次貯液部10の薬液が送液路18を通じてシリンダ50内の二次貯液部16に流入し、二次貯液部16が一定量の薬液で充填される。
【0053】
図4の状態で、給液ボタン40をスライドさせると、ピストン20が押されて矢印方向(図面の上方向)に移動し、二次貯液部16に充填された薬液にピストン20からの圧力が加わり、弁22が上方向に動き始める。ピストン20が上方向に更に移動すると、やがて送液路18がピストン20により塞がれ、一次貯液部10と二次貯液部16とが遮断される(図5参照)。
【0054】
ピストン20が更に上方向に移動すると、弁22も上方向に移動するので、送液路24が開放され、二次貯液部16の薬液が送液路24を通り、吐出口24aからガイド溝26に吐出され、霧化部に供給される(図6参照)。
【0055】
弁22は、ピストン20の押圧力と吐出口24aからの薬液の吐出圧力とのバランスで、任意の位置(ここでは送液路24を完全に開放する位置)に固定状態になっている。従ってピストン20は、その固定状態の弁22に接するまで移動し、更に弁22と一体になって上方向に移動し、最終的に弁22がストッパ54に当たるまで移動する(図7参照)。この状態になると、二次貯液部16の薬液は吐出口24aから完全に吐出される。
【0056】
ここで、給液ボタン40を解放すると、ピストン20がコイルバネ56で引き戻されるのに伴って、給液ボタン40が元の位置に戻り、弁22もコイルバネ52の付勢力により元の位置に戻る。このとき、最初は図8に示すように、ピストン20と弁22が一体に下方向に移動するが、弁22が送液路24を閉じる定位置に戻ると、以後は図9に示すように、ピストン20だけが下方向に移動する。
【0057】
この状態で、ピストン20が更に下方向に移動すると、二次貯液部16が負圧状態になる。ピストン20が送液路18を開放するまで移動すると、二次貯液部16の負圧と一次貯液部10から薬液に加わる圧力により、一次貯液部10の薬液が二次貯液部16に充填され(図4参照)、次の送液動作まで待機状態となる。給液ボタン40が再びスライドされれば、上記のような動作が繰り返され、霧化部に一定量の薬液が供給される。
【0058】
上記送液機構は、実際には図3に示す装置では水平方向に配置されているが、次に、より具体的な動作について図10〜図14を参照して説明する。まず上記図4の状態に対応する図10においては、一次貯液部10に加えられた圧力により、薬液が送液路18を通じて二次貯液部16に一定量だけ充填される。このとき、電源スイッチ46のレバー46aは、給液ボタン40の操作軸44で操作されず、電源スイッチ46はOFFになっている(図15参照)。
【0059】
図5の状態に対応する図11では、給液ボタン40をスライドさせると、ピストン20が操作ロッド42で押されて矢印方向に移動し、それに連れて弁22も矢印方向に移動し、送液路18がピストン20で閉鎖される。このときは、図16に示すように、給液ボタン40が左側に移動するので、電源スイッチ46のレバー46aが操作軸44で押し倒され、電源スイッチ46がONになり、霧化部への給液前にホーン振動子30が作動し始める。
【0060】
図6の状態に対応する図12では、弁22の移動により送液路24が開放され、二次貯液部16の薬液が送液路24に流入し、更にガイド溝26を通じて霧化部に供給される。
【0061】
図7の状態に対応する図13では、ピストン20が弁22に接触するまで移動し、二次貯液部16の一定量の薬液が全て送液路24から霧化部に完全に送られる。但し、薬液は霧化部に一度に全部供給されるのではなく、図17に示すように、薬液の一部はガイド溝26に付設されたバッファ部28に一時的に溜められ、霧化部へは適量の薬液が少しずつ供給される。
【0062】
図9の状態に対応する図14では、ピストン20がコイルバネ56により復帰すると共に、弁22もコイルバネ52により定位置に復帰し、送液路24が弁22により閉鎖される。更にピストン20が引き戻されることにより、二次貯液部16は負圧状態になり、ピストン20が送液路18を開放すると、図10の状態に戻り、一次貯液部10の薬液が二次貯液部16に充填され、次の送液動作の準備が行われる。
【0063】
以上説明したように、本実施の形態によれば、一次貯液部10の液体は霧化部にそのまま送られるのではなく、一次貯液部10と霧化部との間にある二次貯液部16に一旦送液され、二次貯液部16で霧化部への1回当たりの送液量が計量され、計量された液体が霧化部に送られるため、装置の使用時の傾き度合、外部からの振動、貯液部内の液体の残量等に関係なく、常に一定量の液体が霧化部に供給されることになり、霧化が安定する。また、安価な構成でそれを実現できる。
【0064】
(実施の形態2)
図18および図19に示すように、液体霧化装置は、ハウジング101と、シリンダ102と、ピストン駆動部126と、霧化部127とを備える。
【0065】
図18に示すように、ハウジング101内には、電源部となる電池108と、霧化部を駆動するための霧化部駆動用回路基板107とが設けられている。図19に示すように、該ハウジング101の側壁に凹部が設けられており、該凹部に薬液等の液体を収容したアンプル104が装着される。
【0066】
アンプル104は、図18に示すように、貯液室105と、ピストン106と、送液通路104aとを有する。貯液室105には薬液(液体)が貯留され、薬液は、貯液室105から送液通路104aおよび送液孔111を通して後述する計量室109に送り込まれる。
【0067】
シリンダ102は、ハウジング101に着脱自在に取り付けられ、ピストン112を受け入れる。該シリンダ102は、バルブカバー103と、計量室109と、吐出バルブ113と、バルブスプリング118と、給液孔110とを有する。
【0068】
ピストン112は、送液孔111を開閉し、計量室109内に貯液室105からの薬液を供給するとともに、計量室109内の薬液を押圧することにより給液孔110を通して霧化部127に供給する。
【0069】
図18に示す計量室109は、一定量の薬液を計量するための箇所であり、計量室109の一方の壁面はピストン112の端面により構成され、計量室109の他方の壁面は吐出バルブ113の端面により構成される。
【0070】
吐出バルブ113は、バルブスプリング118等の弾性部材を介してシリンダ102に弾性支持され、図18における左右(水平)方向に移動可能である。ピストン112で計量室109内の薬液を押圧することにより、吐出バルブ113に圧力が加わり、バルブスプリング118が圧縮変形し、吐出バルブ113は図18において左方向に移動する。それにより、給液孔110を開くことができる。
【0071】
給液孔110は、計量室109に開口し、図示しない給液通路と連通し、該給液通路を通して計量室109内の薬液を霧化部127に送り込む。霧化部127に送り込まれた薬液は、霧化された後に噴霧され、患者に吸入される。
【0072】
ピストン駆動部126は、ピストン112を一定速度で駆動し、ハウジング101に着脱自在に取り付けられる。このピストン駆動部126は、本実施の形態ではロッド114と、レバー115と、ピストンスプリング116と、リリースボタン117と、ロッドケース123と、ビス124とを有する。
【0073】
ロッド114は、水平方向に延び、ピストン112と接続され、該ロッド114を介してピストン112を図18における左方向に押圧することができる。ロッド114は、フランジ部114cを有し、該フランジ部114cにピストンスプリング116の一端を取り付けあるいは当接させる。
【0074】
ピストンスプリング116は、ロッド114を介してピストン112に一定の弾性力を付与し、ピストン112を水平方向に一定速度で移動させる。このピストンスプリング116とロッド114とは、ともにロッドケース123内に収容され、ピストンスプリング116の他端は、ロッドケース123の壁面に支持される。ロッドケース123は、ビス124によりハウジング101に固定される。
【0075】
レバー115は、ロッドケース123の一端側を覆うように取り付けられ、ピストン112とロッド114とをピストンスプリング116の弾性力に抗して所定位置にまで引き戻す際に用いる。
【0076】
該レバー115は、側壁から突出する1対の係合爪115aと、上方に突出する突出部(操作部)115bとを有する。係合爪115a間にピストン112の一端を受け入れ、係合爪115aとピストン112の一端に設けたフランジ部112aとを係合させる。
【0077】
突出部115bを手で押圧して図18における右側にレバー115をスライド移動させることにより、ピストン112とともにロッド114も図18における右側に移動する。
【0078】
リリースボタン117は、上下方向に押圧操作可能であり、ロック爪125を有する。該ロック爪125は、ロッド114のフランジ部114cと係合し、ロッド114の左方向への移動を規制する。したがって、突出部115bを手で押圧してピストン112とロッド114とを右側に移動させた際に、送液孔111を開いて貯液室105から薬液を計量室109に送り込むことが可能な位置でピストン112とロッド114とをロックすることができる。このとき、ピストンスプリング116は圧縮され、該圧縮による弾性力がロッド114に加わることとなる。
【0079】
ピストン112とロッド114のロック状態を解除するには、リリースボタン117を下方に押す。それにより、ロック爪125とロッド114のフランジ部114cとの係合状態が解除され、同時にピストン駆動部126が作動し、圧縮されていたピストンスプリング116の弾性力によってピストン112とロッド114とが左側に移動する。
【0080】
このように、ロック手段であるロック爪125と、リリーススイッチであるリリースボタン117とを備えることにより、リリースボタン117を押すだけでピストン112を駆動することができ、簡易な操作で霧化部127に一定量の液体を供給することができる。
【0081】
上記の液体霧化装置は、好ましくは、リリースボタン117によってロック爪125による固定状態が解除されたことを検知するためのロック解除検知部と、該ロック解除検知部によってロック爪125によるピストン112の固定状態が解除されたことが検知された後に薬液の霧化動作を開始する霧化動作開始部とを備える。
【0082】
この場合には、ピストン112のロック状態を解除した後に自動的に霧化部127を作動させることができ、たとえば、ピストン112のロック状態解除後であって所定時間経過後に薬液の霧化動作を開始することができる。それにより、霧化部127に薬液が供給されたと同時あるいはその直後に薬液の霧化を開始することができる。
【0083】
霧化部127は、図19に示すように、ホーン振動子(超音波振動子)119と、メッシュ部材120と、メッシュ部材ホルダ121と、メッシュ部材キャップ122とを備える。
【0084】
メッシュ部材120は、多数の微細孔を有し、ホーン振動子119の先端部端面上に載置される。このとき、メッシュ部材120は、コイルバネを内装したメッシュ部材ホルダ121によりホーン振動子119の先端部端面に適度の力で押圧される。そして、メッシュ部材ホルダ121上にメッシュ部材キャップ122が取り付けられている。
【0085】
次に、図20〜図23を用いて、本実施の形態2に係る液体霧化装置の動作について説明する。
【0086】
図20に示す初期状態からレバー115の突出部115bを手で右側に押す。それにより、図21に示すようにレバー115が右側に移動し、それに伴いピストン112およびロッド114も右側に移動する。このとき、ピストンスプリング116は、ロッド114のフランジ部114cに押圧され、圧縮される。
【0087】
また、ピストン112が右側に移動することにより、送液通路104aおよび送液孔111が計量室109と連通し、負圧になった計量室109に貯液室105から薬液が充填される。
【0088】
レバー115を所定量だけ移動させると、ロッド114のフランジ部114cの端部からロッド114の長手方向に延びる延長部が、リリースボタン117のロック爪125と係合し、レバー115、ピストン112およびロッド114が所定位置でロックされる。
【0089】
次に、リリースボタン117を押し下げる。それにより、上記のフランジ部114cの延長部とロック爪125との係合状態を解除することができ、ピストン112およびロッド114を、圧縮されていたピストンスプリング116の弾性力により押圧することができる。
【0090】
このように弾性力のような実質的に一定の力でピストン112およびロッド114を押圧することにより、図22に示すように、ピストン112およびロッド114をほぼ一定速度で左側に移動させることができる。つまり、ほぼ均一な力で計量室109内の薬液をピストン112で押圧することができる。それにより、吐出バルブ113が薬液から圧力を受けて左側に移動し、給液孔110が開く。
【0091】
そして、給液孔110を通して霧化部127へ薬液を供給することができる。このとき、ピストン112がほぼ一定の速度で駆動されるので、霧化部127へ供給される薬液の速度(勢い)をほぼ一定にすることができる。つまり、霧化部127へ薬液が勢い良く送り込まれたり、薬液の勢いが弱すぎるという事態を回避することができる。
【0092】
その結果、霧化部127における初期の狙いどおりの位置に所望の流速で薬液を付着させることができ、霧化部127で薬液を確実かつ効率的に霧化することができ、霧化部127において霧化されないで残存する液量を低減することができる。
【0093】
その後、ピストン112は、図23に示すように、吐出バルブ113とほぼ当接する位置にまで移動し、計量室109内の一定量の薬液が全て所望の速度で送り出されることとなる。それにより、計量室109内からの薬液の吐出が完了する。
【0094】
本実施の形態によれば、実施の形態1などに比べて、ピストンを一定速度で駆動することができる。以下、そのことを説明する。
【0095】
上述した実施の形態1では、給液ボタン40を手で操作するので、給液ボタン40に加える力にばらつきが生じおそれがある。給液ボタン40を押す力の大きさがばらつくと、ピストン20の移動速度もばらつき、霧化部に送り込まれる薬液の速度も変化する。
【0096】
霧化部へ吐出される薬液の速度が大きいと霧化部で薬液が飛散してしまい、霧化部へ吐出される薬液の速度が小さいと霧化部の所定位置に薬液が到達しない。そのため、初期の狙いどおりに霧化部に薬液が付着せず、霧化部に霧化されないで残存する液量が増大する。
【0097】
また、WO00/66277号には、簡単な操作で一定量の液体を噴霧室に供給するため、手動操作部材を操作して液体ボトル内のピストンを所定ストローク進出させる押込機構を有する液体噴霧装置が開示されている。しかし、この場合も、手動動作でピストンを駆動するので、前述の例と同様に、狙いどおりに霧化部に薬液が付着せず、霧化部に霧化されないで残存する液量が増大するという問題が生じ得る。
【0098】
これに対して本実施の形態では、ピストンスプリング116の弾性力によりピストン112およびロッド114を押圧することができるため、ピストン112を一定速度で駆動することができる。よって、上記のような問題を防止することができる。
【0099】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について、図24〜図29を用いて説明する。
【0100】
図24および図25に示すように、本実施の形態3では、ピストン112を駆動するためのピストン駆動部126の構成が実施の形態2とは主に異なっている。それ以外の構成については実施の形態2の場合と基本的に同様である。
【0101】
本実施の形態3におけるピストン駆動部126は、図24および図25に示すように、ロッド114a,114bと、レバー115と、ピストンスプリング116と、リリースボタン117と、上部レバープレート128と、下部レバープレート129と、レバーカバー130と、ビス134とを備える。
【0102】
ロッド114aは、一端に縮径部と拡径部とを有し、他端にリング状部を有する。そして、縮径部をハウジング101の上面に設けた支持壁のU形の凹部上に載置する。それにより、拡径部と支持壁とを係合するこができ、ロッド114aをハウジング101に取り付けることができる。
【0103】
ロッド114aの中央部にはフランジ部を設け、該フランジ部と支持壁との間にピストンスプリング116を設置する。このピストンスプリング116によってフランジ部を押圧し、ロッド114aを図24における右側に駆動することができる。
【0104】
ロッド114bは、一端に上方に突出するピン部を有し、他端にリング状部を有する。上記のピン部をピストン結合ロッド133のリング状部に挿着する。ピストン結合ロッド133の一端に管状部を設け、該管状部にピストンカバー132を外嵌し、ピストンストッパ131を介在してピストン112の一端を管状部内に挿入する。
【0105】
ロッド114a,114bは、接続部材である上部および下部レバープレート128,129を介して接続される。上部および下部レバープレート128,129は、図25に示すように、ハウジング101の上面に設けた筒状部101aを受け入れる貫通孔とボス部129cとをそれぞれ有し、ハウジング101に回転自在に組み付けられる。
【0106】
下部レバープレート129は、ボス部129cの両側に1対のピン129a,129bを有し、ピン129aを介してロッド114aと接続され、ピン129bを介してロッド114bと接続される。より詳しくは、ロッド114a,114bのリング状部にピン129a,129bをそれぞれ挿入することにより、ロッド114a,114bを下部レバープレート129と接続することができる。
【0107】
図24および図25に示すように、ロッド114a,114bを略平行に配置し、ロッド114aの移動方向と、ロッド114bの移動方向とを反対方向にしている。このようにロッド114a,114bの移動方向を異ならせることにより、ピストン駆動部126とピストン112とを1直線上に並べる必要がなくなり、ピストン112の移動方向における液体霧化装置の長さを低減することができる。また、ロッド114a,114bを略平行に配置することにより、液体霧化装置を幅方向にも縮小することができ、液体霧化装置をコンパクト化することができる。
【0108】
レバー115は、図25に示すように、中央部に筒状部101aを受け入れる貫通孔と、ピン129bを受け入れる長孔とを有する。該レバー115は、平板状であり、径方向に突出する突出部(操作部)115bを有する。該突出部を手で押圧することにより、レバー115を回転操作することができる。
【0109】
レバーカバー130は、レバー115上に載置され、該レバーカバー130上からビス134を筒状部101aに螺着する。それにより、レバーカバー130、レバー115、上部および下部レバープレート128,129をハウジング101に取り付けることができる。
【0110】
リリースボタン117は、ハウジング101の側面に設けたスプリングケース136内に収納されたリリーススプリング135に弾性支持される。該リリースボタン117は、ロック爪125を有し、ロック爪125は、下部レバープレート129に設けた貫通孔に挿入される。それにより、下部レバープレート129がロックされる。
【0111】
上記のロック状態を解除するには、リリースボタン117の操作部を手で押して下方に押し下げる。それによりロック爪125が下方に移動して下部レバープレート129の貫通孔から抜け出し、下部レバープレート129のロック状態が解除される。
【0112】
次に、図26〜図29を用いて、本実施の形態における液体霧化装置の動作について説明する。
【0113】
図26に示す初期状態からレバー115の突出部115bを手で左回り(反時計回り)に回転操作し、レバー115を所定角度回転操作する。それにより、図27に示すように上部および下部レバープレート128,129が回転し、ロッド114bが右側に移動し、それに伴いピストン112も右側に移動する。このとき、ロッド114aは左側に移動し、ピストンスプリング116は、ロッド114aのフランジ部に押圧されて圧縮される。
【0114】
ピストン112が所定量以上右側に移動すると、送液孔111が開き、実施の形態2の場合と同様に、貯液室105から計量室109内に薬液が送り込まれる。このとき、吐出バルブ113によって給液孔は閉じられている。
【0115】
レバー115を所定量だけ回転させると、図27に示すようにロック爪125が下部レバープレート129に設けた貫通孔に挿入され、ピストン112等を所定位置でロックすることができる。
【0116】
次に、リリースボタン117を押し下げることにより、図28に示すようにロック爪125が下部レバープレート129に設けた貫通孔から抜け出し、下部レバープレート129とロック爪125との係合状態を解除することができる。それにより、圧縮されていたピストンスプリング116の弾性力によってロッド114a、ロッド114b、上部および下部レバープレート128,129を駆動し、これらを介してピストン112を左側に移動させることができる。
【0117】
このようにスプリングの弾性力でピストン112を押圧することにより、実施の形態2の場合と同様に、ほぼ均一な力で計量室109内の薬液をピストン112で押圧することができる。
【0118】
それにより、吐出バルブ113が薬液から圧力を受けて左側に移動して給液孔110が開き、給液孔110を通して霧化部127へ薬液を供給することができる。本実施の形態の場合も、ピストン112をほぼ一定の速度で駆動することができるので、実施の形態2の場合と同様の効果が得られる。
【0119】
その後、ピストン112は、図29に示すように、吐出バルブ113とほぼ当接する位置にまで移動し、計量室109内の一定量の薬液が全て所望の速度で霧化部127に供給されることとなる。それにより、計量室109からの薬液の吐出が完了する。
【0120】
本実施の形態では、実施の形態2と同様、ピストンスプリング116の弾性力によりピストン112を押圧することができるため、ピストン112を一定速度で駆動することができる。
【0121】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4とその変形例について、図30〜図39を用いて説明する。
【0122】
上述の実施の形態2,3では、ピストン112の駆動手段としてスプリングのような弾性部材を使用したが、モータ、ソレノイドのように電磁力を利用してピストン112を一定の力(速度)で駆動してもよい。本実施の形態では、スプリングのみならず、モータやソレノイド等を用いてピストン112を駆動する例について説明する。
【0123】
図30に示すように、本実施の形態における液体霧化装置は、電源部150と、制御部151と、薬液有無検知部152と、定電流昇圧回路153と、発振回路154と、霧化部127と、電流検知部155と、メッシュ部材キャップ122と、吸気センサ156と、ピストン駆動部126と、貯液室105と、送液孔111と、ピストン112と、計量室109と、吐出バルブ113と、給液孔110とを備える。
【0124】
電源部150は、乾電池等で構成される。制御部151は、各部の動作を制御する。定電流昇圧回路153は、電源部150の出力を昇圧し、発振回路154と霧化部127とを定電流駆動する。
【0125】
霧化部127は、実施の形態2等と同様に、超音波振動子(ホーン振動子)と、メッシュ部材とを含む。電流検知部155は、超音波振動子に流れる電流を検知し、定電流昇圧回路153の定電流化を図る。
【0126】
薬液有無検知部152は、霧化部127における薬液の有無を検知し、検知結果を制御部151に入力し、制御部151により定電流昇圧回路153をON/OFF制御する。
【0127】
超音波振動子上に薬液が存在するか否かは、超音波振動子のインピーダンスに依存する。具体的には、超音波振動子上に薬液が存在する場合にはインピーダンスが高く、超音波振動子上に薬液が存在しない場合にはインピーダンスが低くなる。
【0128】
超音波振動子のインピーダンスが上昇すると、発振回路154自体の入力インピーダンスが上昇し、定電流昇圧回路153の出力電圧が上昇する。この電圧を制御部に入力し、超音波振動子上に薬液が存在するか否かを検知する。
【0129】
吸気センサ156は、患者(使用者)の吸気をセンシングし、その検知結果に応じて制御部151により定電流昇圧回路53をON/OFF制御する。該吸気センサ156は、メッシュキャップ(マウスピース:吸入口)122あるいはその近傍に設置され、霧化部127で霧化された薬液を患者が吸入口から吸気したことを検知する。吸気をセンシングするには、患者の吸気による圧力変化や、気流の変化を検知すればよい。
【0130】
このように吸気センサ156を設けることにより、吸入口から患者が吸気したことを検知することができ、吸入口から患者が吸気したのに応じて薬液の霧化、あるいは霧化部127への薬液の供給等を行うことができ、霧化された薬液の噴霧のタイミングと患者の吸気のタイミングとのずれを小さくすることができる。
【0131】
ピストン駆動部126としては、実施の形態2,3の場合と同様の構成を採用することもできるが、図36〜図39に示すものを採用することもできる。
【0132】
たとえば図36に示すように、ソレノイド138を使用してピストン112を駆動してもよい。この場合、ソレノイド138に電流を流すことにより、ピン137が左側に移動し、ロッド114を介してピストン112を左側に移動させる。それにより、定速でピストン112を駆動することができる。
【0133】
また、図37に示すように、モータ139を用いてピストン112を駆動してもよい。この場合、ロッド114にギアを切っておき、モータ139とロッド114とをピニオンギア140を介して接続する。それにより、モータ139を駆動することによってピニオンギア140を回転させ、ロッド114を介してピストン112を左側に定速で移動させることができる。
【0134】
また、図38に示すように、ロッド114にギア142を固定し、モータ139側にギア141を取り付け、ギア141とギア142を噛合わせるようにしてもよい。それにより、ギア141とギア142を介してモータ139からの動力をロッド114に伝達することができ、ピストン112を左側に定速で移動させることができる。
【0135】
また、図39に示すように、回転式ソレノイド145を用いてピストン112を駆動してもよい。この場合、回転式ソレノイド145の回転により軸144に固定されたアーム143が回転し、アーム143に固定されたロッド114が押され、ピストン112を駆動することができる。それにより、ピストン112を左側に定速で移動させることができる。
【0136】
なお、メッシュ部材キャップ122、吐出バルブ113、貯液室105、計量室109、ピストン112、給液孔110、送液孔111については、実施の形態2,3と同様のものを使用可能であるので、説明は省略する。また、ピストン駆動部126にスプリングを含む場合には、ピストン駆動部126を制御部151で制御する必要はない。
【0137】
次に、本実施の形態における液体霧化装置の動作について説明する。
まず、図31A〜図31Dおよび図32を用いて、吸気センシングを行わない場合の動作について説明する。
【0138】
図31Aに示すように、ステップS10において薬液を一定量計量する。薬液の計量の手法は、実施の形態2,3の場合と同様である。すなわち図31Bに示すように、給液レバーを巻き上げ(ステップS11)、ピストン112を駆動して送液孔111を開き、貯液室105から計量室109に薬液を供給する(ステップS12)。このとき、バネが圧縮され(ステップS13)、実施の形態2,3の場合と同様の手法でバネの伸張をラッチする(ステップS14)。
【0139】
次に、図31AのステップS20において薬液を霧化部127に送液する。該薬液の送液は、図31Cに示すように、実施の形態2,3で記載したリリースボタンを操作する等してバネのラッチを解除し(ステップS21)、バネを伸張させる(ステップS22)。それにより、バネによりロッド114を介してピストン112が押され、ピストン112により計量室109内の薬液が押圧され、吐出バルブ113が移動して給液孔110が開き、霧化部127へ送液することができる(ステップS23)。
【0140】
次に、図31AのステップS30において薬液を霧化部127において霧化した後に噴霧する。この薬液の噴霧は、次の手法で行う。まず図31Dに示すように、ロッド114はバネの弾性力により移動するが(ステップS31)、該ロッド114の位置を検知し(ステップS32)、ロッド114が規定位置に達したことが検知されたのに応じて電源部150をON状態にする(ステップS33)。
【0141】
ロッド114の位置は、たとえばロッド114の適所に磁石を設け、対応するハウジング101内に設けた磁力感応スイッチ(たとえばリードリレーやホール素子)で検出することができる。このようにロッド114の位置を検知することにより、霧化部127への給液が開始されることを予め検知することができる。
【0142】
ロッド114が所定位置に達したのに応じて制御部(霧化動作開始部)151により電源部150をON状態にし、霧化部127への給液開始前後の所望の時期に、自動的に薬液の霧化動作を開始することができる。
【0143】
なお、霧化部127への給液開始を予め検知できるものであれば他の給液検知手段を採用可能である。たとえば、ピストン112と吐出バルブ113の少なくとも一方の位置を検知するための位置センサを設け、これを給液検知手段として機能させてもよい。吐出バルブ113の位置は、たとえば吐出バルブ113に磁石を設け、対応するハウジング101内に設けた磁力感応スイッチ(たとえばリードリレーやホール素子)で検出することができる。
【0144】
上記のような位置センサを設けることにより、位置センサによってピストン112と吐出バルブ113の少なくとも一方が所定位置に達したことが検知されたのに応じて自動的に薬液の霧化動作を開始することができる。それにより、霧化部127に薬液が供給された直後あるいはそれ以前に薬液の霧化動作を開始することができる。
【0145】
また、ピストン駆動部126がモータやソレノイドを含む場合には、霧化動作開始手段は、モータあるいはソレノイドの駆動信号が入力された後に液体の霧化動作を開始するものであってもよい。
【0146】
電源部150をON状態にした後、定電流昇圧回路153により電池電位の昇圧を行う(ステップS34)。その後、ステップS35において、ホーン振動子(超音波振動子)119に流れる電流が規定値であるか否かを検知し、電流が規定値以上である場合には、ホーン振動子119を駆動し(ステップS36)、薬液の霧化動作を行う。
【0147】
図32(B)に示すように、ホーン振動子119上に薬液があるときはインピーダンスは比較的大きく、薬液を霧化するにつれてインピーダンスは低下し、ホーン振動子119上に薬液がなくなると最もインピーダンスは低くなる。
【0148】
そこで、ステップS37においてホーン振動子119の昇圧電位が規定値以上か否かを検知し、昇圧電位が図32(A)に示すように所定値(スレッシュ電圧V1)以下となった時に、ホーン振動子119上に薬液がなくなったものと判断し(ステップS38)、図31Dおよび図32(A)に示すように電源を切る(ステップS40)。
【0149】
つまり、本発明の液体霧化装置は、振動子のインピーダンスを検知するためのインピーダンス検知手段(ステップS37)と、インピーダンスが所定値以下となったのに応じて振動子の振動を停止させるための振動子停止手段(ステップS40)とを備える。それにより、メッシュ部材120上に霧化すべき薬液が存在しなくなったのに応じてホーン振動子119の振動を停止させることができ、無駄な電力消費を抑制するとともにホーン振動子119の長寿命化を図ることができる。
【0150】
次に、吸気センシングを行う場合の動作について図33A〜図33Dおよび図34を用いて説明する。
【0151】
図33Aに示す例では、上述の例と同様の手法でステップS10において薬液を計量し、その後ステップS20において患者が吸気したことを検知する。患者による吸気は、上述の吸気センサ156により検知する。そして、図33Cに示すように、患者による吸気が検知(ステップS21)されたのに応じて電源を入れ(ステップS22)、ソレノイドなどによるラッチの解除(ステップS23)を行ってバネを伸張させ(ステップS24)、霧化部127へ薬液を送液する(ステップS30)。つまり、吸気センサ156によって患者による吸気が検知されたのに応じて霧化部127への薬液の供給を行う。
【0152】
霧化部127へ薬液を送液した後、薬液の霧化を行い、図33Aに示すように、ステップS40において霧化された薬液の噴霧を行う。噴霧は、図31A〜図31Dに示す例と同様の手法で行う。具体的には、図33Dに示すように、定電流昇圧回路153による電池電位の昇圧(ステップS41)、ホーン振動子119に流れる電流の検知(ステップS42)、ホーン振動子119の定出流駆動(ステップS43)、昇圧電位の検知(ステップS44)の各ステップを経て行う。
【0153】
そして、昇圧電位が図34(A)に示すように所定値(スレッシュ電圧V1)以下となった時に、メッシュ部材120上に霧化すべき薬液が存在しなくなったものと判断し(ステップS45)、電源をOFFする(ステップS50)。それにより、メッシュ部材120上に霧化すべき薬液が存在しなくなったのに応じてホーン振動子119の振動を停止することができる。
【0154】
次に、図35A〜図35Dを用いて、吸気センシングを行う場合の他の動作例について説明する。
【0155】
図35Aに示すように、薬液の計量(ステップS10)を行い、その後霧化部127へ薬液を送液する(ステップS20)。薬液の計量の手法は図33A〜図33Dに示す例と同様であり、霧化部127へ薬液の送液の手法は図34(A),(B)に示す例と同様である。
【0156】
次に、患者の吸気を検知する(ステップS30)。図35Dに示すように、患者が吸気したか否かを吸気センサ156で検知し(ステップS31)、患者が吸気したのに応じて電源をON状態にする(ステップS32)。つまり、吸気センサ156によって患者による吸気が検知されたのに応じて霧化部127における液体の霧化動作を開始する。
【0157】
そして、図33A〜図33Dに示す場合と同様に、電池電位の昇圧(ステップS33)、ホーン振動子119に流れる電流の検知(ステップS34)、ホーン振動子119の定出流駆動(ステップS35)、昇圧電位の検知(ステップS36)を行い、昇圧電位が図34(A),(B)に示すように所定値(スレッシュ電圧V1)以下となった時に、メッシュ部材120上に霧化すべき薬液が存在しなくなったものと判断し(ステップS37)、電源をOFFする(ステップS50)。
【0158】
本実施の形態では、特表平8−502689号に比較して電池寿命や振動子の寿命を長くすることができ、またWO00/66277号に比較して薬剤の吸入ロスを小さくすることができる。以下、そのことについて説明する。
【0159】
特表平8−502689号には、薄膜を振動させて液体を霧化する装置において、計量された所定量の液体を全て霧化すべく、当該所定量の液体の霧化に必要な振動時間よりも長い時間上記薄膜を振動させる発明が記載されている。
【0160】
ところが、このように薄膜を長い時間振動させることにより、薄膜を振動させるための電池寿命が短くなるばかりでなく、振動子を無負荷状態で長時間振動させることとなり振動子の寿命も短くなるという問題があった。
【0161】
これに対して本実施の形態では、給液検知手段160と霧化動作開始手段151とを備えるので、霧化部127への給液が開始される前後の所望の時期に、自動的に液体の霧化動作を開始することができる。それにより、液体を霧化させるために振動子を採用する場合には、無負荷状態での駆動時間を少なくすることができ、無駄な電力消費を抑制するとともに振動子の長寿命化を図ることができる。また、霧化部127に液体を供給する直前に予め振動子を振動させることにより、計量室109からの給液量がばらついた時でも、振動子への極端な負荷増を予防することができ、噴霧を連続的に行うことができる。
【0162】
また本実施の形態では、インピーダンス検知手段(ステップS37)と振動子停止手段(ステップS40)とを備えているので、メッシュ部材120上に液体が存在しなくなったのに応じて振動子の振動を停止させることができる。それにより、無駄な電力消費を抑制するとともに、無負荷状態での振動子の駆動をも抑制して振動子の長寿命化を図ることができる。
【0163】
また、上述したWO00/66277号では、手動動作で霧化部に薬液を供給する場合、薬液の吸入時に手動動作で薬液を霧化部に送り込んで霧化した後に噴霧させ、それを使用者が吸い込むこととなる。そのため、霧化された薬液の噴霧のタイミングと、使用者の吸気のタイミングとのずれが大きくなり、薬液をうまく吸い込めないという問題もあった。特に、吸入する薬液の量が微量である場合には、噴霧と吸気のタイミングがずれることにより、薬剤の吸入ロスが大きくなる。
【0164】
これに対して本実施の形態では、吸気検知手段(吸気センサ156)を備えているので、患者の吸気に応じて液体の霧化動作や、霧化部への液体の供給等を行うことができる。それにより、霧化された液体の噴霧のタイミングと使用者の吸気のタイミングとのずれを小さくすることができ、使用者による薬剤の吸入ロスを低減することができる。
【0165】
(実施の形態5)
次に本発明の実施の形態5について、図40〜44を用いて説明する。
【0166】
図40および図41に示すように、本実施の形態5では、ピストン(図示せず)を駆動するためのピストン駆動部126においてレバースプリング216に渦巻きばねを用いた点において実施の形態3の構成と異なる。
【0167】
ピストン駆動部126は、プッシュロッド114bと、巻き上げレバー115と、リリースレバー117と、レバープレート128と、リリーススプリング135と、E−リング201と、スイッチレバー202と、レバーシャフト214と、レバースプリング216とを備える。
【0168】
プッシュロッド114bは、係合凸部114dとラック114cとを有し、かつハウジング101に設けられたガイド101cによってスライド可能に支持されている。レバープレート128は、プッシュロッド114bのラック114cに噛み合うピニオン128aを有し、かつハウジング101に設けられた筒状部101aに回転可能に嵌められている。巻き上げレバー115は、手で操作可能な操作部115bを有し、かつレバープレート128の凹部128bに係合可能な係合凸部115cを有している。
【0169】
レバーシャフト214は、ハウジング101内部から筒状部101aの貫通孔内に挿通され、それによりレバープレート128と巻き上げレバー115との各孔を貫通し、巻き上げレバー115から突き出した先端にE−リング201を嵌められている。また、このレバーシャフト214はスイッチレバー202をも貫通しており、それにより、スイッチレバー202はレバーシャフト214とともに回転する。このレバーシャフト214の下端部には、渦巻きばねよりなるレバースプリング216が配置されている。
【0170】
このレバースプリング216は、図42に示されるように内周側端部がレバーシャフト214の割れ部214aに挟まれ、かつ外周側端部がハウジング101内部に設けられたリブ部101dに引っ掛けられることにより支持されている。
【0171】
リリースレバー117は、レバープレート128に設けられた孔に嵌入可能なロック爪125を有し、かつリリーススプリング135により上方に付勢されている。
【0172】
なお、レバースプリング216の下方からはバッテリーユニット108aをハウジング101内に挿入することができ、かつバッテリーユニット108aをハウジング101内に挿入した後はボトムカバーユニット101bによりハウジング101を閉じることができる。
【0173】
このように構成されたピストン駆動部126は、プッシュロッド114bの係合凸部114dが結合ロッド133の孔と係合することによりピストンを駆動させることができる。
【0174】
なお、これ以外の構成については上述した実施の形態3の構成とほぼ同じであるため、同一の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0175】
次に、図43および図44を用いて、本実施の形態における液体霧化装置の動作について説明する。
【0176】
図43に示す初期状態から巻き上げレバー115の操作部115bを手で左回り(反時計回り)に回転操作し、巻き上げレバー115を所定角度回転させる。それにより、レバープレート128が回転し、プッシュロッド114bと結合ロッド133とが右側にスライドし、ピストン(図示せず)も右側に移動する。このとき、レバーシャフト214の回転により渦巻きばねよりなるレバースプリング216は巻き上げられ、巻き上げレバー115を右回り(時計回り)に回転させようとする付勢力が発生する。
【0177】
ピストンが所定量以上右側に移動すると、実施の形態2および3と同様にして、貯液室(図示せず)から計量室(図示せず)内に薬液が送り込まれる。このとき、吐出バルブ(図示せず)によって給液孔(図示せず)は閉じられている。
【0178】
巻き上げレバー115を所定量だけ回転させると、図44に示すようにロック爪125がレバープレート128に設けられた孔128cにリリーススプリング135の付勢力により嵌入され、ピストン等を所定位置でロックしたロック状態となる。
【0179】
次に、リリースレバー117を押し下げることにより、ロック爪125がレバープレート128に設けた孔128cから抜け出し、レバープレート128とロック爪125とのロック状態が解除される。それにより、巻き上げられていたレバースプリング216の付勢力によってレバープレート128が右回り(時計回り)に回転し、プッシュロッド114bと結合ロッド133とが左側にスライドする。
【0180】
このようにレバースプリング216の付勢力でピストン(図示せず)を押圧することにより、実施の形態2および3と同様に、ほぼ均一な力で計量室(図示せず)内の薬液をピストン(図示せず)で押圧することができる。それにより、実施の形態2および3と同様にして、霧化部127へ薬液を供給することができる。
【0181】
なお、本実施の形態5についても実施の形態4の態様を適用することができる。
本実施の形態では、実施の形態2および3と同様、レバースプリング216の付勢力によりピストンを押圧することができるため、ピストンを一定速度で駆動することができる。
【0182】
また本実施の形態の液体霧化装置は、実施の形態2および3と比較して、一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部127での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることができるという有利な点を有している。以下、そのことについて説明する。
【0183】
図45を参照して、通常、ばねにおいては、ばねにかかる力Fと変位量Xとが正比例し、その関係を示す直線の傾きがばね定数となる。ここで、ばね定数を大きくすると、巻き上げ状態(ばねが一番縮んだ状態)の時のばねにかかる力Fとピストン112を押しきった状態(ばねが一番伸びた状態)の時のばねにかかる力Fとの差が大きくなる。この力Fの差は、ばねがピストン112を押す速度の差に比例する。すなわち、巻き上げ状態(ばねが一番縮んだ状態)の位置では、ばねがピストン112を押す速度は大きく、ピストン112を押しきった状態(ばねが一番伸びた状態)の位置では、ばねがピストン112を押す速度はそれよりも小さくなり、速度の変化度合が大きくなる。これにより、本実施の形態の液体霧化装置を量産する上で、ばねの個体差によるバラツキにより一定量での霧化を実現することが難しくなる。
【0184】
なお、ここでの「速度の変化度合」は、実施の形態1の手動操作の場合の速度変化に比べると十分小さく、実質的には一定速度と見なせる程度の変化割合である。
【0185】
また、ピストン112を押しきった状態でのばねにかかる力Fは、バルブスプリング118に抗して吐出バルブ113を十分に押し下げ、計量室109の薬液を給液孔110から押し出す力が最低限度必要である。そのため、ばね定数が大きいと、巻ききった時のばねには、より大きな力Fがかかることになり、ばねがピストン112を押す速度もその分速くなる。それにより、吐出バルブ113が少し押し込まれ、押し込まれた分だけ計量室109からアンプル104へ逆流する薬液量が少なくなり、結果として霧化部に供給される薬液が増える現象が発生する。この現象は、ばねの個体差や部品の劣化や薬液の粘性状態によるバラツキが大きく、一定量での霧化を実現することが難しくなる。
【0186】
また、ばね定数が大きいと、ピストン112がアンプル104とつながる送液通路104aを超えた位置では、ばねによりピストン112を押す速度がより速くなり、薬液が霧化部127へ速い速度で移動するため霧化部127で薬液の飛び散りが生じ易くなり、これも一定量での霧化の実現を阻害することになる。
【0187】
そこで、ばね定数の小さいばねを用いると、ばねがピストン112を押す速度の速度差が小さくなるため、その分、一定量での霧化が容易となり、かつ霧化部127での薬液の飛び散りも生じなくなる。しかし、この場合、ばねがピストン112を押圧する力を大きくしようとすると、ばねの変位量Xが大きくなるため、ばね全体の長さを長くする必要がある。よって、実施の形態2および3のようにピストンスプリング116にコイルばねを用いた場合には、らせん形状のコイルばねの長手方向にサイズが大きくなるため、装置を小型化することが難しくなる。
【0188】
これに対して、本実施の形態では、レバースプリング216として渦巻きばねが用いられている。この渦巻きばねを長くするためには、渦巻き方向に長くする必要がある。しかし、渦巻き方向に長くする場合、円周方向に長さを確保することができるため、長手方向に長くなるコイルばねよりも、渦巻きばねのサイズを小さく維持することができる。よって、渦巻きばねを用いた本実施の形態の液体霧化装置は、実施の形態2および3の構成よりも小型化に適している。
【0189】
以上より、本実施の形態の液体霧化装置は、レバースプリング216としてばね定数の小さい渦巻きばねを用いることにより、一定量での霧化を容易に実現でき、かつ霧化部127での薬液の飛び散りを防止できるとともに、装置の小型化をも図ることができる。
【0190】
以上のように本発明の実施の形態について説明を行ったが、上述の実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、霧化部への送液量を一定にして霧化を安定させると共にそれを低コストで実現するための液体霧化装置に有利に適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】実施形態に係る液体霧化装置の外観斜視図である。
【図2】同実施形態の液体霧化装置における給液ユニットの一部破断斜視図である。
【図3】同実施形態の液体霧化装置の縦断面図である。
【図4】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部に薬液を充填する状態を示す模式図である。
【図5】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液をピストンで押圧する状態を示す模式図である。
【図6】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液を霧化部に送液する状態を示す模式図である。
【図7】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液を霧化部に完全に送液した状態を示す模式図である。
【図8】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液送液後の状態を示す模式図である。
【図9】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、二次貯液部の薬液送液後に更にピストンが引き戻された状態を示す模式図である。
【図10】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図4の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図11】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図5の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図12】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図6の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図13】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図7の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図14】同実施形態の液体霧化装置の送液機構において、図9の状態に対応する状態を示す縦断面図である。
【図15】同実施形態の液体霧化装置の主要部において、電源スイッチがOFFの状態を示す縦断面図である。
【図16】同実施形態の液体霧化装置の主要部において、電源スイッチがONの状態を示す縦断面図である。
【図17】同実施形態の液体霧化装置の給液ユニットにおいて、二次貯液部の薬液が霧化部に供給されるときの状態を示す一部破断斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態2における液体霧化装置の断面図である。
【図19】図18に示す液体霧化装置の分解斜視図である。
【図20】図18に示す液体霧化装置の初期状態を示す部分断面斜視図である。
【図21】図18に示す液体霧化装置の吸液状態を示す部分断面斜視図である。
【図22】図18に示す液体霧化装置の薬液吐出状態を示す部分断面斜視図である。
【図23】図18に示す液体霧化装置の薬液吐出完了状態を示す部分断面斜視図である。
【図24】本発明の実施の形態3における液体霧化装置の斜視図である。
【図25】図24に示す液体霧化装置の分解斜視図である。
【図26】図24に示す液体霧化装置の初期状態を示す部分断面斜視図である。
【図27】図24に示す液体霧化装置の吸液状態を示す部分断面斜視図である。
【図28】図24に示す液体霧化装置の薬液吐出状態を示す部分断面斜視図である。
【図29】図24に示す液体霧化装置の薬液吐出完了状態を示す部分断面斜視図である。
【図30】本発明の実施の形態4における液体霧化装置の概略構成を示すブロック図である。
【図31A】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行わない場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図31B】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行わない場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図31C】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行わない場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図31D】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行わない場合の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図32】(A)は霧化動作時におけるホーン振動子の電圧値の変化を示す図であり、(B)はホーン振動子のインピーダンスの変化を示す図である。
【図33A】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【図33B】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【図33C】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【図33D】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の動作例を示すフローチャートである。
【図34】(A)は霧化動作時におけるホーン振動子の電圧値の変化を示す図であり、(B)はホーン振動子のインピーダンスの変化を示す図である。
【図35A】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の他の動作例を示すフローチャートである。
【図35B】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の他の動作例を示すフローチャートである。
【図35C】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の他の動作例を示すフローチャートである。
【図35D】本発明の実施の形態4における液体霧化装置で吸気センシングを行う場合の他の動作例を示すフローチャートである。
【図36】本発明のピストン駆動部の他の例を示す模式図である。
【図37】本発明のピストン駆動部のさらに他の例を示す模式図である。
【図38】本発明のピストン駆動部のさらに他の例を示す模式図である。
【図39】本発明のピストン駆動部のさらに他の例を示す模式図である。
【図40】本発明の実施の形態5における液体霧化装置の分解斜視図である。
【図41】図40に示す液体霧化装置の部分断面斜視図である。
【図42】レバースプリングを支持する構成を説明するための図である。
【図43】図40に示す液体霧化装置の初期状態を示す斜視図である。
【図44】図40に示す液体霧化装置の巻上げ状態を示す斜視図である。
【図45】ばねの変位量Xとばねにかかる力Fとの関係を示す図である。
【符号の説明】
【0193】
1 本体部、2 給液ユニット、10 一次貯液部、16 二次貯液部、18,24 送液路、20 ピストン、22 弁、30,119 ホーン振動子、32,120 メッシュ部材、40 給液ボタン(操作部)、50 シリンダ、52,56 コイルバネ、101 ハウジング、102 シリンダ、104a 送液通路、105 貯液室、106 ピストン、109 計量室、110 給液孔、111 送液孔、112 ピストン、117 リリースボタン、126 ピストン駆動部、127 霧化部、139 モータ、145 回転式ソレノイド、151 霧化動作開始手段、152 薬液有無検知部、156 吸気センサ、160 給液検知手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
霧化すべき液体を貯留しておく一次貯液部と、この一次貯液部の液体を霧化する霧化部と、一次貯液部と霧化部との間に設けられ、一次貯液部の液体を霧化部に送る液量を計量する二次貯液部と、一次貯液部の液体を二次貯液部に送る一次送液部と、二次貯液部の計量された液体を霧化部に送る二次送液部と、この二次送液部を操作する操作部とを備え、
前記操作部の操作により、霧化部に液体が供給されるよりも先に霧化部が霧化動作を開始するようにしたことを特徴とする液体霧化装置。
【請求項2】
前記一次送液部及び二次送液部は、操作部の操作に連動してそれぞれ送液することを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項3】
前記霧化部は、操作部の操作と同時に液体の霧化動作を開始することを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項4】
前記操作部の操作による霧化部への送液動作が終了したときに、一次貯液部から二次貯液部への給液が行われるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項5】
前記二次貯液部は、霧化部に液体を送るとき以外は密閉状態であることを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項6】
前記一次貯液部、霧化部、二次貯液部、一次送液部及び二次送液部は、給液ユニットとして一体に構成され、その給液ユニットに対して一次貯液部は着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項7】
液体を貯留する貯液室と、
前記貯液室から送液孔を通して所定量の前記液体が送り込まれる計量室と、
前記計量室から給液孔を通して供給された前記液体を霧化する霧化部と、
前記送液孔を開閉し、前記計量室内の前記液体を押圧することにより前記給液孔を通して前記霧化部に前記液体を供給するためのピストンと、
前記ピストンを一定速度で駆動するピストン駆動部と、
前記計量室の一端を規定し、弾性部材に支持され、前記ピストンにより前記液体を押圧することにより移動して前記給液孔を開き、前記霧化部に前記液体を供給するための弁とを備えた、液体霧化装置。
【請求項8】
前記霧化部は、メッシュ部材と振動子とを含み、前記計量室から前記液体が供給される、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項9】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段、モータおよびソレノイドからなる群から選ばれた少なくとも1つの要素を含む、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項10】
前記送液孔を開いて前記貯液室から前記液体を前記計量室に送り込むことが可能な位置で前記ピストンを固定するためのロック手段と、
前記ロック手段による固定状態を解除するとともに前記ピストン駆動部を作動させて前記ピストンを駆動するためのリリーススイッチと、
を備えた、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項11】
前記リリーススイッチによって前記ロック手段による固定状態が解除されたことを検知するためのロック解除検知手段と、
前記ロック解除検知手段により前記ロック手段による前記ピストンの固定状態が解除されたことが検知された後に、前記液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段とを備えた、請求項10に記載の液体霧化装置。
【請求項12】
前記ピストン駆動部は、第1ロッドと、前記ピストンを押圧する第2ロッドと、前記第1と第2ロッドを接続する接続部材とを備え、
前記第1ロッドの移動方向と、前記第2ロッドの移動方向とを異ならせた、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項13】
前記貯液室を内部に有するハウジングと、
前記計量室を内部に有し、前記ピストンを受け入れるシリンダとを備え、
前記シリンダと前記ピストン駆動部とを、前記ハウジングに着脱自在に取り付けた、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項14】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項15】
液体を貯留する貯液室と、
前記貯液室から送液孔を通して所定量の前記液体が送り込まれる計量室と、
前記計量室から給液孔を通して供給された前記液体を霧化する霧化部と、
前記計量室の一端を規定し、弾性部材に支持され、前記給液孔を開閉するための弁と、
前記送液孔を開閉し、前記計量室内の前記液体を押圧することにより前記弁を移動させて前記給液孔を開き、前記給液孔を通して前記霧化部に前記液体を供給するためのピストンと、
前記ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、
前記霧化部への給液が開始されることを予め検知するための給液検知手段と、
前記給液検知手段により前記霧化部への給液が開始されることが検知されたのに応じて、前記液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段と、
を備えた液体霧化装置。
【請求項16】
前記給液検知手段は、前記ピストンと前記弁の少なくとも一方の位置を検知するための位置センサを含み、
前記霧化動作開始手段は、前記位置センサにより前記ピストンと前記弁の少なくとも一方が所定位置に達したことが検知されたのに応じて前記液体の霧化動作を開始する、請求項15に記載の液体霧化装置。
【請求項17】
前記ピストン駆動部は、モータとソレノイドとを含み、
前記霧化動作開始手段は、前記モータあるいはソレノイドの駆動信号が入力された後に前記液体の霧化動作を開始する、請求項15に記載の液体霧化装置。
【請求項18】
前記霧化部は、メッシュ部材と振動子とを含み、前記計量室から前記液体が供給され、
前記霧化動作開始手段は、前記振動子を駆動する振動子駆動手段を含む、請求項15に記載の液体霧化装置。
【請求項19】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する、請求項15に記載の液体霧化装置。
【請求項20】
液体を貯留する貯液室と、
前記貯液室から送液孔を通して所定量の前記液体が送り込まれる計量室と、
前記計量室から給液孔を通して供給された前記液体を霧化するためのメッシュ部材および振動子を含む霧化部と、
前記送液孔を開閉し、前記計量室内の前記液体を押圧することにより前記給液孔を通して前記霧化部に前記液体を供給するためのピストンと、
前記ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、
前記振動子のインピーダンスを検知するためのインピーダンス検知手段と、
前記インピーダンス検知手段により検知されたインピーダンスが所定値以下となったのに応じて前記振動子の振動を停止させるための振動停止手段と、
を備えた、液体霧化装置。
【請求項21】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する、請求項20に記載の液体霧化装置。
【請求項22】
液体を貯留する貯液室と、
前記貯液室から送液孔を通して所定量の前記液体が送り込まれる計量室と、
前記計量室から給液孔を通して供給された前記液体を霧化する霧化部と、
前記送液孔を開閉し、前記計量室内の前記液体を押圧することにより前記給液孔を通して前記霧化部に前記液体を供給するためのピストンと、
前記ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、
前記霧化部で霧化された前記液体を使用者が吸入するための吸入口と、
前記吸入口から前記使用者が吸気したことを検知するための吸気検知手段と、
を備えた、液体霧化装置。
【請求項23】
前記吸気検知手段によって前記使用者による吸気が検知されたのに応じて、前記霧化部における前記液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段を備えた、請求項22に記載の液体霧化装置。
【請求項24】
前記吸気検知手段によって前記使用者による吸気が検知されたのに応じて、前記霧化部への前記液体の供給を行う液体供給手段を備えた、請求項22に記載の液体霧化装置。
【請求項25】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する、請求項22に記載の液体霧化装置。
【請求項1】
霧化すべき液体を貯留しておく一次貯液部と、この一次貯液部の液体を霧化する霧化部と、一次貯液部と霧化部との間に設けられ、一次貯液部の液体を霧化部に送る液量を計量する二次貯液部と、一次貯液部の液体を二次貯液部に送る一次送液部と、二次貯液部の計量された液体を霧化部に送る二次送液部と、この二次送液部を操作する操作部とを備え、
前記操作部の操作により、霧化部に液体が供給されるよりも先に霧化部が霧化動作を開始するようにしたことを特徴とする液体霧化装置。
【請求項2】
前記一次送液部及び二次送液部は、操作部の操作に連動してそれぞれ送液することを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項3】
前記霧化部は、操作部の操作と同時に液体の霧化動作を開始することを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項4】
前記操作部の操作による霧化部への送液動作が終了したときに、一次貯液部から二次貯液部への給液が行われるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項5】
前記二次貯液部は、霧化部に液体を送るとき以外は密閉状態であることを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項6】
前記一次貯液部、霧化部、二次貯液部、一次送液部及び二次送液部は、給液ユニットとして一体に構成され、その給液ユニットに対して一次貯液部は着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項7】
液体を貯留する貯液室と、
前記貯液室から送液孔を通して所定量の前記液体が送り込まれる計量室と、
前記計量室から給液孔を通して供給された前記液体を霧化する霧化部と、
前記送液孔を開閉し、前記計量室内の前記液体を押圧することにより前記給液孔を通して前記霧化部に前記液体を供給するためのピストンと、
前記ピストンを一定速度で駆動するピストン駆動部と、
前記計量室の一端を規定し、弾性部材に支持され、前記ピストンにより前記液体を押圧することにより移動して前記給液孔を開き、前記霧化部に前記液体を供給するための弁とを備えた、液体霧化装置。
【請求項8】
前記霧化部は、メッシュ部材と振動子とを含み、前記計量室から前記液体が供給される、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項9】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段、モータおよびソレノイドからなる群から選ばれた少なくとも1つの要素を含む、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項10】
前記送液孔を開いて前記貯液室から前記液体を前記計量室に送り込むことが可能な位置で前記ピストンを固定するためのロック手段と、
前記ロック手段による固定状態を解除するとともに前記ピストン駆動部を作動させて前記ピストンを駆動するためのリリーススイッチと、
を備えた、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項11】
前記リリーススイッチによって前記ロック手段による固定状態が解除されたことを検知するためのロック解除検知手段と、
前記ロック解除検知手段により前記ロック手段による前記ピストンの固定状態が解除されたことが検知された後に、前記液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段とを備えた、請求項10に記載の液体霧化装置。
【請求項12】
前記ピストン駆動部は、第1ロッドと、前記ピストンを押圧する第2ロッドと、前記第1と第2ロッドを接続する接続部材とを備え、
前記第1ロッドの移動方向と、前記第2ロッドの移動方向とを異ならせた、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項13】
前記貯液室を内部に有するハウジングと、
前記計量室を内部に有し、前記ピストンを受け入れるシリンダとを備え、
前記シリンダと前記ピストン駆動部とを、前記ハウジングに着脱自在に取り付けた、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項14】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する、請求項7に記載の液体霧化装置。
【請求項15】
液体を貯留する貯液室と、
前記貯液室から送液孔を通して所定量の前記液体が送り込まれる計量室と、
前記計量室から給液孔を通して供給された前記液体を霧化する霧化部と、
前記計量室の一端を規定し、弾性部材に支持され、前記給液孔を開閉するための弁と、
前記送液孔を開閉し、前記計量室内の前記液体を押圧することにより前記弁を移動させて前記給液孔を開き、前記給液孔を通して前記霧化部に前記液体を供給するためのピストンと、
前記ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、
前記霧化部への給液が開始されることを予め検知するための給液検知手段と、
前記給液検知手段により前記霧化部への給液が開始されることが検知されたのに応じて、前記液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段と、
を備えた液体霧化装置。
【請求項16】
前記給液検知手段は、前記ピストンと前記弁の少なくとも一方の位置を検知するための位置センサを含み、
前記霧化動作開始手段は、前記位置センサにより前記ピストンと前記弁の少なくとも一方が所定位置に達したことが検知されたのに応じて前記液体の霧化動作を開始する、請求項15に記載の液体霧化装置。
【請求項17】
前記ピストン駆動部は、モータとソレノイドとを含み、
前記霧化動作開始手段は、前記モータあるいはソレノイドの駆動信号が入力された後に前記液体の霧化動作を開始する、請求項15に記載の液体霧化装置。
【請求項18】
前記霧化部は、メッシュ部材と振動子とを含み、前記計量室から前記液体が供給され、
前記霧化動作開始手段は、前記振動子を駆動する振動子駆動手段を含む、請求項15に記載の液体霧化装置。
【請求項19】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する、請求項15に記載の液体霧化装置。
【請求項20】
液体を貯留する貯液室と、
前記貯液室から送液孔を通して所定量の前記液体が送り込まれる計量室と、
前記計量室から給液孔を通して供給された前記液体を霧化するためのメッシュ部材および振動子を含む霧化部と、
前記送液孔を開閉し、前記計量室内の前記液体を押圧することにより前記給液孔を通して前記霧化部に前記液体を供給するためのピストンと、
前記ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、
前記振動子のインピーダンスを検知するためのインピーダンス検知手段と、
前記インピーダンス検知手段により検知されたインピーダンスが所定値以下となったのに応じて前記振動子の振動を停止させるための振動停止手段と、
を備えた、液体霧化装置。
【請求項21】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する、請求項20に記載の液体霧化装置。
【請求項22】
液体を貯留する貯液室と、
前記貯液室から送液孔を通して所定量の前記液体が送り込まれる計量室と、
前記計量室から給液孔を通して供給された前記液体を霧化する霧化部と、
前記送液孔を開閉し、前記計量室内の前記液体を押圧することにより前記給液孔を通して前記霧化部に前記液体を供給するためのピストンと、
前記ピストンを駆動するためのピストン駆動部と、
前記霧化部で霧化された前記液体を使用者が吸入するための吸入口と、
前記吸入口から前記使用者が吸気したことを検知するための吸気検知手段と、
を備えた、液体霧化装置。
【請求項23】
前記吸気検知手段によって前記使用者による吸気が検知されたのに応じて、前記霧化部における前記液体の霧化動作を開始する霧化動作開始手段を備えた、請求項22に記載の液体霧化装置。
【請求項24】
前記吸気検知手段によって前記使用者による吸気が検知されたのに応じて、前記霧化部への前記液体の供給を行う液体供給手段を備えた、請求項22に記載の液体霧化装置。
【請求項25】
前記ピストン駆動部は、前記ピストンに弾性力を付与する弾性手段として渦巻き状ばねを有する、請求項22に記載の液体霧化装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図31D】
【図32】
【図33A】
【図33B】
【図33C】
【図33D】
【図34】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図35D】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図2】
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【図11】
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【図31B】
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【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【公開番号】特開2007−307560(P2007−307560A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−192449(P2007−192449)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【分割の表示】特願2002−532283(P2002−532283)の分割
【原出願日】平成13年10月4日(2001.10.4)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【分割の表示】特願2002−532283(P2002−532283)の分割
【原出願日】平成13年10月4日(2001.10.4)
【出願人】(503246015)オムロンヘルスケア株式会社 (584)
【Fターム(参考)】
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