説明

液体霧化装置

【課題】ホーンの振動にホーン以外の部材の影響を受け難くしてホーンの液体霧化部を所定の振幅で振動させ易い液体霧化装置を提供すること。
【解決手段】 超音波発振子10,11と、この超音波発振子10,11から発振された振動を増幅するホーン7とを有する振動体1と、ホーン7に備えられ、液体に対し超音波振動を与えることで液体を霧化する液体霧化部3と、ホーン7内に配設され液体霧化部3に液体を供給するホーン内液体供給手段19と、ホーン7外に配設されホーン内液体供給手段19に液体を供給するホーン外液体供給手段48と、振動体1を保持する振動体保持手段2とを備える液体霧化装置100において、ホーン外液体供給手段48は、振動体1に対して非固定であること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体霧化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波発振子から発振された超音波振動を増幅するホーンの先端部となる液体霧化部に液体を供給し、この液体に超音波振動を与えることで液体を霧化する、いわゆる超音波液体霧化装置が、特許文献1,2等において開示されている。ホーンの液体霧化部における液体の霧化効率は、液体霧化部における振幅に依存し、該振幅を所定の振幅に設定することで、液体の霧化効率を所望の値に設定することができる。例えば、ホーンの先端部に位置する液体霧化部が、ホーンの振幅の最大位置となる振幅の腹部となるように液体霧化装置を構成することで、液体霧化部における液体の霧化効率を最大にすることができる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−215022号公報
【特許文献2】US2003/0161937A1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に開示される液体霧化装置においては、液体霧化部に液体を供給する液体供給管がホーンに取り付けられている。このように、ホーンに液体霧化装置の他の部材が取り付けられている場合には、ホーン自体を液体霧化部が腹部となるように構成しても、ホーンに取り付けられる液体供給管等の影響を受けて、液体霧化部に腹部を位置させることができない場合があるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、ホーンの振動にホーン以外の部材の影響を受け難くしてホーンの液体霧化部を所定の振幅で振動させ易い液体霧化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、超音波発振子と、この超音波発振子から発振された振動を増幅するホーンとを有する振動体と、ホーンに備えられ、液体に対し超音波振動を与えることで液体を霧化する液体霧化部と、ホーン内に配設され液体霧化部に液体を供給するホーン内液体供給手段と、ホーン外に配設されホーン内液体供給手段に液体を供給するホーン外液体供給手段と、振動体を保持する振動体保持手段とを備える液体霧化装置において、ホーン外液体供給手段は、振動体に対して非固定であることとする。
【0007】
液体霧化装置をこのように構成した場合には、ホーン外液体供給手段が振動体に対して非固定であるので、ホーンの振動にホーン以外の部材が影響し難く、液体霧化部を所定の振幅で振動させ易くなる。
【0008】
また、他の発明は、上述の発明に加え、ホーン内液体供給手段の少なくとも一部は振動体に対して非固定の管体であり管体の液体流出部はホーン内に挿入されていることとする。
【0009】
液体霧化装置をこのように構成した場合には、ホーン外液体供給手段から供給される液体を確実に液体霧化部に供給することができる。
【0010】
また、他の発明は、上述の発明に加え、ホーン外液体供給手段と管体とは継手により接続され、継手と振動体保持手段とは互いにねじ結合するねじ結合部を有することとする。
【0011】
液体霧化装置をこのように構成した場合には、ホーン外液体供給手段と管体とが継手を介して一体となり、継手と振動体保持手段とに互いにねじ結合するねじ結合部を有することで、ホーン外液体供給手段および管体を継手の部分で振動体支持手段に対し着脱可能とすることができる。
【0012】
また、他の発明は、上述の発明に加え、継手は、振動体保持手段に対するねじ結合のねじ結合量を規制する規制手段を有していることとする。
【0013】
液体霧化装置をこのように構成した場合には、ねじ結合量を規制することで管体のホーン内への挿入量を正確に規制できる。そのため、管体の液体流出部と液体霧化部との位置決めを正確に行うことができる。
【0014】
また、他の発明は、上述の発明に加え、規制手段は、継手にねじ結合量を規制する方向に変位可能にねじ結合していることとする。
【0015】
液体霧化装置をこのように構成した場合には、規制手段が継手にねじ結合することで、規制手段を変位させることができ、継手の振動体保持手段に対するねじ結合のねじ結合量を調整することができる。そのため、管体の液体流出部の液体霧化部に対する位置を変化させることができ、液体の粘度等に応じて、管体の液体流出部と液体霧化部との位置を適切に設定することができる。
【0016】
また、他の発明は、上述の発明に加え、管体は継手内に挿入され、管体の液体流入部は、継手の端部より突出していることとする。
【0017】
液体霧化装置をこのように構成した場合には、液体流入部を継手の端面より突出させることで、突出部の周囲に液溜まりが出来、この液溜まりに塵が集まり、管体に塵が流れ込み難くなる。
【0018】
また、他の発明は、上述の発明に加え、管体と継手とは、継手の端面から管体の液体流入部側の端部が突出する部分において液密に封止されていることとする。
【0019】
液体霧化装置をこのように構成した場合には、管体が挿通される継手の内部に液体が侵入し、振動体側に液体が漏れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ホーンの振動にホーン以外の部材が影響し難く、液体霧化部を所定の振幅で振動させ易くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施の形態)
以下、本発明の実施の形態に係る液体霧化装置100について図1を参照しながら説明する。図1は、液体霧化装置100の中心線Xを含む面における液体霧化装置100の断面図である。すなわち、液体霧化装置100を側方から見たとき側方断面図となっている。なお、図1において、矢印Dの方向を下方(下側)、矢印Uの方向を上方(上側)として説明することとする。また、図1は断面図であるが、図面を判り易くするため断面部分のハッチングについては省略している。液体霧化装置100と後述する液体霧化装置100の変形例に係る液体霧化装置200〜500とは、各変形例における液体霧化装置100に対する変形部分を除いて同様の構成となっている。つまり、液体霧化装置100の断面形状は、各変形例の該変更部分以外の部分については、図2〜図5に示す液体霧化装置200〜500の断面形状と同様な形状となっている。
【0022】
(全体構成)
液体霧化装置100は、超音波振動で振動する振動体1と、この振動体1を保持する振動体保持手段としてのハウジング2と、振動体1の先端部(下端部)に設けられる液体霧化部3に液体を供給する液体供給機構4と、図示外のエアコンプレッサから送られる空気を液体霧化部3に導く導風機構5等を有する。
【0023】
(振動体1の構成)
振動体1は、超音波振動を発振する発振部6と、この発振部6から発振された超音波振動の振幅を増幅するホーン7等を有する。この振動体1は、いわゆるBLT(Bolt−Clamped Langevin Type Transeducer)式の超音波振動装置として構成され、後述するように、ホーン7を構成する下側ホーン8と上側ホーン9とが互いにねじ結合され、下側ホーン8と上側ホーン9との間に発振部6が挟み込まれる構成となっている。
【0024】
発振部6は、超音波発振子としての2つの電歪素子10,11と、2つの電極板12,13を有し、下方から順に、電歪素子10、電極板12、電歪素子11そして電極板13の順で積層されている。電歪素子10,11はいわゆるピエゾ素子とも称され、チタン酸ジルコン酸鉛等の強誘電体から形成され交流電圧の印加により上下方向に伸縮する特性を有する。したがって、電極板12,13から電歪素子10,11に交流電圧を印加することにより電歪素子10,11は超音波振動を行う。
【0025】
発振部6は、後述するように、発振部6の上下に配設される下側ホーン8と上側ホーン9との間にこれら2つのホーン8,9により上下方向から押圧された状態で挟み込まれている。そして、電歪素子10,11が超音波振動するとこの振動は下側ホーン8と上側ホーン9に伝播し、この伝播した振動が下側ホーン8と上側ホーンとにおいて増幅されるように下側ホーン8と上側ホーン9の長さ等が構成されている。
【0026】
ホーン7は、下側ホーン8と上側ホーン9の2ブロックにより構成され、各ホーン8,9とも、例えばチタン鋼のブロック体から切削加工により一体形成されている。下側ホーン8は、ハウジング2の支持を受ける被支持部14と、この被支持部14の下側に設けられるノズル部15とを有し、さらに、被支持部14の上方に順に、発振部6を保持する発振部保持部16と、上側ホーン9との結合部となる雄ねじ部17と、被支持部14と共にハウジング2の支持を受ける被支持部18とを有する。また、下側ホーン8には、液体供給機構4の管体19が挿入される管体挿通孔20が、ノズル部15の先端(下端)から被支持部18の上端に亘って上下方向に下側ホーン8を貫通するように形成されている。
【0027】
ノズル部15は、被支持部14との接続部から下方に向かって徐々に直径が小さくなる中心線Xを中心とする細長い円錐形を呈している。また、発振部保持部16と、雄ねじ部17と、被支持部18は、それぞれ中心線Xを中心とする円筒形を呈し、発振部保持部16、雄ねじ部17および被支持部18の外周の直径は、発振部保持部16、雄ねじ部17、被支持部18の順で段階的に小さくなっている。
【0028】
被支持部14は、中心線Xを中心とする円盤状を呈し、その外周の直径は、ノズル部15、発振部保持部16、雄ねじ部17および被支持部18の中で一番大きく、被支持部14は、下側ホーン8にフランジ状に形成されている。また、被支持部14の上方部の外周には、下方に段部21を向けたフランジ部22が形成されている。
【0029】
上側ホーン9は、上下方向に貫通する中空部23を有し、中心線Xを中心とする略円筒形を呈し、中空部23には、下側ホーン8の雄ねじ部17の全体と、発振部保持部16の上端側の一部と、被支持部18の下端側の約半分の部分が挿入されている。中空部23の下側ホーン8の雄ねじ部17が挿入される部分の内周面には、雄ねじ部17がねじ結合する雌ねじ部24が形成されている。そして、中空部23の雌ねじ部24の上方の部分は雌ねじ部24の直径より小さな直径の孔部25が形成され、この孔部25には被支持部18が挿入されている。また、雌ねじ部24の下方の部分は雌ねじ部24の直径より大きな直径の孔部26が形成され、発振部保持部16の上端側の一部が挿入されている。なお、上側ホーン9は、被支持部18に対向する部分となる上段部分27と、雄ねじ部17に対向する部分を含む下段部分28とを有している。下段部分28の外周の直径は、下側ホーン8の被支持部14の外周の直径(フランジ部22を除いた被支持部14の直径)と同一であり、また、上段部分27の外周の直径は下段部分28の外周の直径よりやや小さくされている。
【0030】
電歪素子10,11と電極板12,13は、それぞれ孔部10A,11A,12A,13Aを有する中心線Xを中心とする円環状を呈し、外周の直径は、被支持部14の外周の直径および上側ホーン9の下段部分28の直径と同一の大きさとなっている。電歪素子10,11と電極板12,13は、それぞれ孔部10A,11A,12A,13Aに発振部保持部16が挿入され、下側から電歪素子10、電極板12、電歪素子11そして電極板13の順で下側ホーン8に装着されている。孔部10A,11A,12A,13Aの直径は、電歪素子10,11と電極板12,13を発振部保持部16に対してがた無くほぼ丁度に挿入できる大きさとなっている。発振部保持部16の上下方向の長さは、電歪素子10,11と電極板12,13の合計の厚さよりも長いものとなっていて、電歪素子10,11と電極板12,13は発振部保持部16により保持されている。
【0031】
下側ホーン8の被支持部14、雄ねじ部17および発振部保持部16が上側ホーン9の中空部23に挿入され、発振部6が発振部保持部16により保持されている状態で、雄ねじ部17と雌ねじ部24とがねじ結合により相互に締め込まれることで、下側ホーン8、上側ホーン9および発振部6は一体化されている。発振部6は、雄ねじ部17と雌ねじ部24の締め込み力で、被支持部14の上端面14Aと上側ホーン9の下端面9Aとの間に上下両方向から押圧力が作用した状態で挟み込まれている。
【0032】
下側ホーン8の被支持部14のフランジ部22を含めた外周の直径は発振部6の外周の直径より大きく、また上側ホーン9の下段部分28の外周の直径は、発振部6の外周の直径と同一に構成されている。したがって、発振部6の上下の面、すなわち、電歪素子10の下面は被支持部14の上端面14Aに全面に亘って接触し、また電極板13の上面も上側ホーン9の下端面9Aに全面に亘って接触している。そのため、発振部6に作用する雄ねじ部17と雌ねじ部24の締め付け力による押圧力が発振部6の上面と下面の各面の全面に均等に作用した状態で、発振部6は下側ホーン8と上側ホーン9との間に保持されている。したがって、発振部6が発振した際に、その振動が下側ホーン8と上側ホーン9に効率よく伝達される。
【0033】
なお、被支持部18は、上側ホーン9と下側ホーン8とが発振部6を保持し、雄ねじ部17と雌ねじ部24のねじ結合により一体となっている状態で、上側ホーン9の上端面9Bより上方に中空部23から突出部18Aとして突出する長さに構成されている。
【0034】
上述のように発振部6と上側ホーン9と下側ホーン8とが、発振部6を挟んで一体構成された振動体1は、電極板12,13を介して電歪素子10,11に交流電圧を印加すると、電歪素子10,11が印加された交流電圧の周波数(例えば60kHz)で振動する。すなわち超音波振動する。そして、この超音波振動はホーン7(下側ホーン8,上側ホーン9)に伝播し、ホーン7が上下方向に縦波の振動を行う。振動体1は、ホーン7の上下方向の長さや上側ホーン9や下側ホーン8の形状、あるいは材質等を適宜に設定することで、伝播した超音波振動の振幅が最大となる腹部および振幅が最小となる節部の位置を調整することができる。本実施の形態においては、下側ホーン8の下端部である液体霧化部3において超音波振動の振幅が最大となる腹部が位置するように、上側ホーン9および下側ホーン8の形状や材質等が適切に設定されている。
【0035】
(ハウジング2の構成)
ハウジング2は、下側ハウジング30と中間ハウジング31と上側ハウジング32の3部材から構成され、各部材とも、例えばステンレスのブロック体から、切削加工により一体形成されている。
【0036】
下側ハウジング30は、上下方向に開口部30Aと開口部30Bを有し、中心線Xを中心とした略円筒形を呈し、内周側には中空部30Cが形成されている。
【0037】
中間ハウジング31は、中心線Xを中心とした略円環形を呈し、内周側には中空部31Aが形成されている。また、内周の下端側には、孔部31Bを囲むフランジ部33が形成されている。
【0038】
上側ハウジング32は、ホーン保持部34と液体供給機構4を保持する液体供給機構保持部35とを有する。ホーン保持部34は、下方が開口部34Aとして開口し、上方が上壁部34Bにより閉鎖されている中心線Xを中心とする略円筒形を呈し、内周側には中空部34Cが形成されている。液体供給機構保持部35は、上壁部34Bから上方に突出するように形成され、上端からホーン保持部34の中空部34Cに貫通する中空部35Aを有し、中心線Xを中心とした略円筒形を呈している。なお、中空部35Aは、その内周の直径は、被支持部18の外周の直径より大きく構成されている。
【0039】
中間ハウジング31の上端部の内周部には雌ねじ部36が形成され、上側ハウジング32の下端部の外周部には中間ハウジング31側の雌ねじ部36にねじ結合可能な雄ねじ部37が形成されている。そして、中間ハウジング31と上側ハウジング32は、雌ねじ部36と雄ねじ部37とをねじ結合させることで一体化されている。振動体1は、下側ホーン8のノズル部15を中間ハウジング31の孔部31Bから下方に突出させた状態で、雌ねじ部36と雄ねじ部37とのねじ結合により一体化された中間ハウジング31と上側ハウジング32とに保持されている。
【0040】
すなわち、被支持部14が中間ハウジング31に、被支持部18が上側ハウジング32に、それぞれ支持されることで、振動体1は中間ハウジング31と上側ハウジング32とに保持されている。
【0041】
中間ハウジング31の孔部31Bの内周の縁部38には下方から上方に向かって孔部31Bの開口の直径が徐々に大きくなるようにすり鉢状に、中心線Xを中心とした線対称の傾斜面39が形成されている。傾斜面39の下端位置おける孔部31Bの直径は、被支持部14の外周の直径よりやや大きく、フランジ部22の外周の直径より小さく設定されている。そのため、ノズル部15の側から孔部31Bに通された振動体1は、被支持部14のフランジ部22と傾斜面39との当接により下方への移動が規制される。
【0042】
傾斜面39と被支持部14との間には、被支持部14の外周に沿って配設されるOリング40が備えられている。Oリング40は、ゴム、ウレタン等の弾性部材から形成されている。つまり、被支持部14のフランジ部22と傾斜面39との間にはOリング40が配置され、振動体1は、Oリング40を介して傾斜面39によって下方について支持される。また、被支持部14の外周面14Bと傾斜面39との間にもOリング40が配置されることになり、振動体1は、Oリング40を介して傾斜面39によって中心線Xと直交する方向について支持される。すなわち、振動体1は、Oリング40を介して下方向側と中心線Xに直交する方向の両方向について中間ハウジング31に支持されている。
【0043】
上述のように振動体1が中間ハウジング31に被支持部14が支持された状態で、上側ホーン9の上端面9Bから突出した被支持部18の突出部18Aが、中空部35A内に挿入され、また、上側ホーン9の上端面9Bが、上側ハウジング32の上壁部34Bとの間に間隙41を有して対向するように、振動体1と中間ハウジング31および上側ハウジング32は構成されている。中空部35Aの内周の直径は、被支持部18の外周の直径より大きく設定されているので、中空部35Aに挿入された突出部18Aと中空部35Aの内周面との間には間隙42が形成される。
【0044】
中空部35Aの中空部34Cへの開口部である開口部35Bの周縁には、開口部35Bの直径が広がるように下方から上方に凹む凹部43が形成されている。この凹部43には、Oリング44が備えられ、このOリング44の内周には突出部18Aが挿通されている。つまり、Oリング44は、凹部43の下方に向いた上側面43Aと上側ホーン9の上端面9Bとの間、および凹部43の中心線Xに沿う内周面43Bと突出部18Aの外周面との間に配設される。Oリング44は、Oリング40と同様にゴム、ウレタン等の弾性部材から形成されている。そして、Oリング44は、Oリング44を介して突出部18Aが中心線Xに直交する方向に凹部43の内周面43Bにがた無く支持されるように、また、中間ハウジング31と凹部43の上側面43Aとの間に、振動体1をがた無く支持するように、かつ、上側ホーン9の上端面9Bと上側ハウジング32の上壁部34Bとの間に間隙41が形成されるように、Oリング44の太さMが設定されている。
【0045】
上述のように、振動体1は、被支持部14の側がOリング40を介して中間ハウジング31に支持され、また被支持部18の側がOリング44を介して上側ハウジング32に支持されている。そして、Oリング40,44が弾性体から形成されているため、振動体1は中間ハウジング31と上側ハウジング32に支持された状態で振動することができる。
【0046】
ところで、被支持部14の中間ハウジング31による支持は、Oリング40を介して傾斜面39に対して行われている。この傾斜面39は、上述したように、上方から下方に向かって孔部31Bの直径が徐々に小さくなるすり鉢状を呈し、中心線Xを中心とした線対称に形成されている。したがって、Oリング40は、その直径方向が中心線Xと直交する状態では、Oリング40は全周に亘って傾斜面39に均等に当接し、この状態のときがOリング40は最も安定して傾斜面39に当接している状態となる。つまり、Oリング40を傾斜面39に載置する際に、Oリング40の直径方向が中心線Xに対して直交した状態になるように容易に載置することができる。
【0047】
このようにOリング40を全周に亘って傾斜面39に均等に当接させ、このOリング40を介して被支持部14を中間ハウジング31に支持することで、振動体1は、中心軸Xと直交する方向にがたつくこと無く中間ハウジング31に支持される。また、Oリング40がフランジ部22で下方に押圧される際、振動体1が傾くと押圧力が不均一になり均一化させるようにOリング40の弾性力が作用する。このため、振動体1の中心が、傾斜面39の線対称の中心、すなわち、中心線Xと一致する姿勢となる。
【0048】
なお、電極板12,13への電力の供給は、図示外のコントローラに接続されるリード線45により行われる。上側ハウジング32の上壁部34Bに液体供給機構保持部35を挟んで2箇所に上下方向に貫通する孔部46が形成され、リード線45はこの孔部46を通ってコントローラと電極板12,13とを接続する。
【0049】
(液体供給機構4の構成)
液体供給機構4は、ニードル状の細い管体19と、この管体19と図示外の液体貯留部(液体タンク)に接続される液体移送用パイプ47と、この液体移送用パイプ47と管体19とを接続するニップル状の継手48等を有する。管体19は、下側ホーン8の管体挿通孔20の直径より細い直径となっている。継手48は、継手48に固定されたナット部49を有し、このナット部49より上方は、液体移送用パイプ47が接続されるパイプ接続部50として構成され、ナット部49より下方は、上側ハウジング32への固定部となるハウジング接続部51として構成されている。
【0050】
パイプ接続部50は、液体移送用パイプ47の内部に挿入されるパイプ挿入部52と、このパイプ挿入部52が挿入された液体移送用パイプ47がパイプ挿入部52から抜けないように抜け止めする抜止ナット53とを有する。抜止ナット53は、略円筒体を呈し、上方の開口部に液体移送用パイプ47が通され、内周に形成される雌ねじ部53Aを継手48のナット部49の上側に形成される雄ねじ部50Aにねじ結合可能に構成されている。そして、抜止ナット53の液体移送用パイプ47が通される上方の開口部には内周側に全周に亘って突出する突出部53Bが設けられ、この突出部53Bは液体移送用パイプ47に軽く食い込むように構成されている。したがって、抜止ナット53の雌ねじ部53Aを雄ねじ部50Aに締め込むことで、液体移送用パイプ47は、突出部53Bの食い込み部により下方に押され、パイプ挿入部52からの抜け止めが行われる。
【0051】
ハウジング接続部51は、外周に雄ねじ部51Aが形成されている。液体供給機構保持部35の中空部34Cの内周面には、雄ねじ部51Aとねじ結合可能な雌ねじ部35Cが形成されている。そして、継手48のハウジング接続部51が液体供給機構保持部35の中空部35Aに挿入され、雄ねじ部51Aと雌ねじ部35Cがねじ結合することで、液体供給機構4は上側ハウジング32に固定されている。すなわち、雄ねじ部51Aと雌ねじ部35Cは、継手48と上側ハウジング32とを互いに結合する結合部となっている。
【0052】
上側ハウジング32に液体供給機構4が固定されている状態で、管体19は下側ホーン8の管体挿通孔20に挿通されている。そして、ナット部49が液体供給機構保持部35の上端面35Dに当接するまでハウジング接続部51を中空部35Aに挿入した状態で、管体19の先端部(下端部)の開口部19Aが、下側ホーン8のノズル部15の下端部である液体霧化部3より僅かに上方に位置するように、継手48から下方に突出している部分の管体19の長さや、雄ねじ部51Aと雌ねじ部35Cのねじ結合の量等が設定されている。
【0053】
すなわち、ナット部49は、雄ねじ部51Aと雌ねじ部35Cのねじ結合の量を規制する規制手段として機能し、雄ねじ部51Aと雌ねじ部35Cのねじ結合の量がナット部49で規制されることで、ハウジング接続部51の中空部35Aへの挿入量が規制され、管体19の開口部19Aの液体霧化部3に対する位置決めを確実に行うことができる。
【0054】
管体19は、継手48を上下方向に貫通し、管体19の上端部はパイプ挿入部52の上端面52Aより上方に突出する突出部19Bとして構成されている。つまり、管体19に液体が流入する液体流入部となる開口部19Cは上端面52Aより上方に位置している。そのため、突出部19Bの周囲、すなわち、上端面52Aと開口部19Cとの間は液溜まり54となる。したがって、液体移送用パイプ47内を流れる液体にゴミや液体の凝固物等が混在している場合には、この液溜まり54にゴミ等が溜まり、管体19へ流れ込むことを防ぐことができる。
【0055】
また、パイプ挿入部52の上端面52Aの管体19との境目55は、溶接により液密に管体19と上端面52Aとが固定されている。そのため、継手48への管体19の挿入部分に液体が染み込むことを防ぐことができる。また、管体19を上端面52Aより上方へ突出させることで溶接は管体19の開口部19Cより下方の部分で行われる。溶接時には、溶接部が加熱・冷却することで管体19に応力が作用することがある。しかしながら、溶接部を開口部19Cより下方とすることで開口部19Cに作用する応力を小さくすることができる。つまり、溶接により開口部19Cが変形し、液体の流入がスムーズに行われなくなってしまうことを防止できる。
【0056】
上述したように液体供給機構4を構成することにより、図示外の液体貯留部内の液体が液体移送用パイプ47に流れると、管体19の上端の開口部19Cから管体19内に液体が流れ込む。そして管体19の下端の開口部19Aから流れ出る。すなわち開口部19Aは液体流出部となっている。流れ出た液体は、その表面張力によりノズル部15の液体霧化部3に付着する。管体19の開口部19Aがノズル部15の先端部の液体霧化部3より僅かに上方に位置しているため、開口部19Aから流れ出た液体は、表面張力によりノズル部15の液体霧化部3に付着する。そして、液体霧化部3に液体が付着した状態で、電歪素子10,11に交流電圧を印加し振動体1を超音波振動させると、液体霧化部3に付着している液体が振動で霧化する。そして、この霧化した液体に対して、以下に説明する導風機構5により液体霧化部3に導かれた空気により送風を行うと、霧化した液体が送風方向に噴霧される。
【0057】
(導風機構5の構成)
導風機構5は中間ハウジング31の下方に備えられ、下側ハウジング30と、空気流路形成体56とを有する。下側ハウジング30は、中心線Xを中心とする円筒形を呈し、内周側に中空部30Cを有し、上端部の内周面に雌ねじ部30Dが形成されている。また、中間ハウジング31の下端部の外周面には雄ねじ部31Cが形成されている。雌ねじ部30Dと雄ねじ部31Cは互いにねじ結合可能に構成され、下側ハウジング30は、雌ねじ部30Dを中間ハウジング31の雄ねじ部31Cにねじ結合することで、中間ハウジング31に取り付けられている。空気流路形成体56は、空気流路形成部58とカバー部59とを備え、例えば、ポリアセタール等のブロック体から切削加工により一体的に形成されている。
【0058】
空気流路形成部58は、中心線Xを中心とする略円筒状を呈し、内周側に中空部58Aを有している。カバー部59は、空気流路形成部58の下方に設けられ、中心線Xを中心とし、上方から下方に向かって直径が細くなる略円錐状を呈している。空気流路形成部58を形成する周壁部60は、下端部の外周面に雄ねじ部60Aが形成されている。一方、下側ハウジング30の下端部の内周面には周壁部60に形成されている雄ねじ部60Aにねじ結合可能な雌ねじ部30Eが形成されている。空気流路形成体56は、周壁部60が下側ハウジング30の中空部30Cに挿入され、雄ねじ部60Aを下側ハウジング30の雌ねじ部30Eにねじ結合されることで、下側ハウジング30に取り付けられている。
【0059】
周壁部60の雄ねじ部60Aの上方には、内側(中心線Xの側)に凹む凹部61が形成され、周壁部60の上端部は凹部61よりもやや外側に突出する突出部62が形成されている。凹部61は周壁部60の全周に亘って形成され、また突出部62も周壁部60の全周に亘って形成されている。突出部62の外周の直径は、下側ハウジング30の内周面に対して間隙63が形成される直径となっている。
【0060】
空気流路形成部58の下側に設けられているカバー部59の上端部の直径は、周壁部60の雄ねじ部60Aが形成される部分の直径よりも大きく、カバー部59の上端部は周壁部60より外側に突出したフランジ部64に形成されている。そのため、空気流路形成体56を下側ハウジング30に雌ねじ部30Eと雄ねじ部60Aとのねじ結合により取り付けたときに、カバー部59のフランジ部64が下側ハウジング30の下端縁30Fに当接することで、空気流路形成体56の下側ハウジング30に対する上下方向の取り付け位置を規制することができる。
【0061】
本実施の形態においては、雌ねじ部30Eと雄ねじ部60Aとをねじ結合させ、フランジ部64が下側ハウジング30の下端縁30Fに当接するまで空気流路形成体56を下側ハウジング30に挿入したときに、空気流路形成体56の上端縁56Aと中間ハウジング31の下端縁31Dとの間に間隙65が形成されるように、周壁部60のフランジ部64の上端面64Aから空気流路形成体56の上端面56Aまでの長さが設定されている。したがって、凹部61と下側ハウジング30の内周面との間に形成される空間66と周壁部60の内周側に形成される中空部58Aとは、間隙65を介して繋がっている。
【0062】
カバー部59には先端部(下端部)から中空部58Aに貫通するノズル挿通孔67が形成され、空気流路形成体56は、このノズル挿通孔67に振動体1のノズル部15を挿入した状態で下側ハウジング30に取り付けられている。ノズル挿通孔67の直径は、ノズル部15の外周の直径より大きく構成され、ノズル部15の外周面とノズル挿通孔67との間には、間隙68が形成されている。したがって、空間66は、間隙63と間隙65を介して中空部58Aに、そして間隙68を通ってノズル部15の下端部の外部の空間に繋がっている。
【0063】
下側ハウジング30の側部には、図示外のエアコンプレッサに繋がり、コンプレッサから送られる空気を空間66に送り込む送風管69が接続されている。この送風管69から空間66に送り込まれた空気は、周壁部60に沿って周壁部60全周の空間66に流れ、突出部62の周囲の間隙63と突出部62の上方に形成される間隙65を通って中空部58Aに流れる。そして、中空部58Aに流れた空気は間隙68から外部に送出される。したがって、液体霧化部3で霧化された液体ミストに間隙68から送風することで、液体ミストが下方に向かって噴霧される。
【0064】
空間66の上方には上述したように突出部62が設けられている。このように突出部62を設けることで、送風管69から空間66に送りこまれた空気が中空部58A側に流れ難くなっている。そのため、送風管69から空間66に送りこまれた空気を空間66全体に、すなわち周壁部60の全周の空間66に均一に行き亘らせることができ、中心線Xの全周の間隙65から均一な量で空気を中空部58Aに流れ込ませることができる。この結果、間隙68を流れる空気はノズル部15の外周部分において均一なものとなる。
【0065】
これに対し、突出部62が形成されない場合には、空間66に流れ込む空気は、送風管69に近い偏った位置の間隙65から中空部58Aに入り易くなり、中空部58Aから間隙68を通って外部に送出される空気が中心線Xに対して偏った位置に送出され易くなる。突出部62を設けることで、中心線Xの全周の間隙65から中空部58Aに中心線Xの周りに均一な量で空気を流れ込ませることができ、間隙68から送出される空気も中心線Xの回りに均一の量とすることができる。そのため、液体霧化部3で霧化された液体ミストに対し、中心線Xの周囲に均一な量の空気で送風することができ、中心線Xに周りに均一な量で液体ミストを噴射することができる。
【0066】
また、突出部62の凹部61側の面は、下方から上方に向かって外周側に向かう傾斜の傾斜面70となっている。そのため、空間66に流れた空気がスムーズに間隙63および間隙65側に流れることができる。例えば、傾斜面39を図中点線で示すように段部71としたときには、空間66から間隙63へ、そして間隙65に流れる空気の流れに段部71で渦流等の乱れが生じ易くなり、間隙68から送出される空気にも乱れが生じ均一な液体ミストを噴射できない虞がある。しかしながら、傾斜面70を形成することで、空間66に流れた空気がスムーズに間隙63と間隙65を介して中空部58Aに流れることができ、間隙68から送出される空気も乱れの少ないものとすることができ、均一な液体ミストを噴射することができる。
【0067】
また、周壁部60の内周面72も上端縁56Aから下方に向かって内周に向かう傾斜面72Aを有し、さらに内周面72の面の方向が変る部分である稜部72Bと稜部72Cは、曲面に形成されている。このように中空部58Aを囲む内周面72を形成することで、中空部58A内を流れる空気の流れをスムーズなものとすることができ、間隙68から送出される空気も乱れの少ないものとすることができるため均一な液体ミストを噴射することができる。
【0068】
なお、本実施の形態においては、送風管69は、空気の送り込み方向を中心線Xと直交する方向に設定されている。しかしながら、中心線Xに対して斜め方向としたり、中心線Xと交差しない方向に空気を送り込むようにしてもよい。
【0069】
ところで、振動体1は、上述したように、下側ホーン8および上側ホーン9の長さや形状あるいは材質等を適切に設定することにより、下側ホーン8の下端部に位置する液体霧化部3に、振動の振幅が最大となる腹部を位置させることで、液体霧化部3に付着した液体を効率的に霧化させることができる。そして、振動体1をできるだけ上側ハウジング32や下側ハウジング30その他の構成部材から独立して振動できるように構成することで、振動体1の振動に振動体1以外の部材が影響し難くなり、液体霧化部3を所定の振幅で振動させ易くなる。また、振動体1の設計を行う際に、振動体1の振動の腹部を液体霧化部3に位置させる設計を行い易くなる。
【0070】
本実施の形態の液体供給機構4においては、管体19の管体挿通孔20に挿入されている部分と、管体19の開口部19Aから液体霧化部3までの管体挿通孔20とは、下側ホーン8内に配設され、液体を液体霧化部3に供給するホーン内液体供給手段として構成されている。また、管体19の管体挿通孔20に挿入されていない部分を含めて、管体挿通孔20より上方の液体供給機構4の部分は、下側ホーン8内に配設されていないホーン外液体供給手段として構成されている。そして、管体19の管体挿通孔20に挿入されている部分と管体挿通孔20より上方の液体供給機構4の部分は、振動体1に対して非固定となっている。
【0071】
すなわち、振動体1は、Oリング40,44のみを介してハウジング2に支持され、振動体1にはOリング40,44のみが接している。このため、振動体1の振動に振動体1以外の部材が影響し難く、液体霧化部3を所定の振幅で振動させ易くなる。
【0072】
また、下側ホーン8および上側ホーン9の長さや形状あるいは材質等を適切に設定するという振動体1の設計を行う際に、振動の腹部を液体霧化部3に位置させる構成とすることが容易となる。また、振動体1の振動の腹部を液体霧化部3に位置させることができる振動体1の設計を容易に行うことができる結果、下側ホーン8および上側ホーン9等の形状や構成をシンプルにすることが可能となり、また、下側ホーン8および上側ホーン9を形成する材質等についても選択の幅が広がることで振動の特性を安定させることが可能となる。また、振動体1はOリング40,44のみを介してハウジング2に支持されているため、振動体1の振動が他の部材に伝わり難く、電歪素子10,11に印加される交流電圧の電力量から振動体1の振動への変換効率の向上を図ることができる。
【0073】
なお、液体霧化装置100においては、継手48は上側ハウジング32の液体供給機構保持部35にねじ結合されている。そして、管体19は管体挿通孔20の直径より細い直径であり、管体19は、非接触または非接触に近い状態で管体挿通孔20に挿入されている。つまり、液体供給機構4を振動体1に対して非固定とする構成であり、振動体1が上側ハウジング32や下側ハウジング30その他の構成部材から独立して振動できる構成に近い構成となっている。
【0074】
また、管体19を管体挿通孔20に挿入することで、液体供給機構4を振動体1に非固定の構成としながら、液体移送用パイプ47から供給される液体を液体霧化部3に確実に供給することができる。
【0075】
液体霧化装置100においては、液体供給機構4と振動体1とが独立した別の部材として構成されている。そのため、例えば、液体供給機構4と振動体1のいずれかが故障した場合に、故障した側の交換を簡単に行うことができる。特に、液体供給機構4の継手48が上側ハウジング32に対して雄ねじ51Aと雌ねじ35Cによりねじ結合しているため、液体供給機構4の上側ハウジング32との着脱は雄ねじ51Aと雌ねじ35Cのねじ結合を解除するのみで簡単に行うことができる。
【0076】
(変形例1)
図2に上述した実施の形態に係る液体霧化装置100の変形例である液体霧化装置200を示す。図2は、液体霧化装置200を側方から見たとき側方断面図であり、上述の液体霧化装置100と同様の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0077】
液体霧化装置100における管体19は、その下端部の開口部19Aを液体霧化部3の近傍に位置するように、上側ホーン9の管体挿通孔20のほぼ全長に亘って管体19が挿入されている。これに対し、液体霧化装置200は、管体挿通部20の上端部分のみに管体19を挿入するようにしている。
【0078】
この液体霧化装置200は、管体19の管体挿通孔20に挿入された部分と、管体19が挿入されている部分より下側の管体挿通孔20がホーン内液体供給手段として構成されている。このため、管体19から流出した液体は、管体挿通孔20内を落下(流れ)し液体霧化部3に流れる。管体挿通孔20の液体霧化部3の近傍には内周の直径が狭い細径部201が形成されている。そのため管体19から流れ出た液体は細径部201において管体挿通孔20に接触し液体霧化部3に流れ易くなるように構成されている。
【0079】
(変形例2)
図3に上述した実施の形態に係る液体霧化装置100の変形例である液体霧化装置300を示す。図3は、液体霧化装置300を側方から見たとき側方断面図であり、上述の液体霧化装置100と同様の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0080】
液体霧化装置100における管体19は、その下端部の開口部19Aを液体霧化部3の近傍に位置するように、上側ホーン9の管体挿通孔20のほぼ全長に亘って管体19が挿入されている。これに対し、液体霧化装置300においては、管体19は管体挿通孔20に挿入されていない。また、下側ホーン8には、管体挿通孔20に換えて、管体19から流れ出た液体が直接ながれる液体流路301が形成され、この液体流路301がホーン内液体供給手段として構成されている。
【0081】
液体流路301は、管体19と同じ太さの直径となっている。管体19から流れ出た液体は、被支持部18の上端面に開口する液体流路301の開口部302から液体流路301内に入り、液体流路301を流れて液体霧化部3に流れる。開口部302は、上方に向かって開口径が大きくなるロート状を呈している。下側ホーン8の被支持部18の突出部18Aと液体供給機構保持部35の内周面との間には、シール部材303が備えられ管体19から流れ出て液体流路301に入りきらなかった液体が中空部34C側に流れ落ちないように構成されている。なお、管体19の液体流出部となる開口部19Aをできるだけ液体流路301の上端の開口部302に近づけることで、管体19から流れ出る液体を確実に液体流路301に流入させ易くなる。
【0082】
(変形例3)
図4に上述した実施の形態に係る液体霧化装置100の変形例である液体霧化装置400を示す。図4は、液体霧化装置400を側方から見たとき側方断面図であり、上述の液体霧化装置100と同様の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0083】
液体霧化装置100は、図示外の液体貯留部内の液体を液体移送用パイプ4により管体19側に導くように構成されている。これに対し、液体霧化装置400は、液体移送用パイプ47を介すことなく、継手48を直接、液体貯留部401に接続する構成としたものである。
【0084】
(変形例4)
図5に上述した実施の形態に係る液体霧化装置100の変形例である液体霧化装置500を示す。図5は、液体霧化装置500を側方から見たとき側方断面図であり、上述の液体霧化装置100と同様の部材については同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0085】
上述した実施の形態およびその変形例1から3で説明した液体霧化装置100から400においては、ナット部49は継手48に固定されている。しかしながら、図5に示すように継手48に、抜止ナット53の雌ねじ部53Aにねじ結合するとともに、液体供給機構保持部35の雌ねじ部35Cにもねじ結合する雄ねじ部501を上下方向に連続して設け、そして、ナット部49の内周に、雄ねじ部501にねじ結合する雌ねじ部502を形成し、ナット部49を継手48にねじ結合してもよい。
【0086】
このように構成することによりナット部49を雄ねじ部501と雌ねじ部502のリードにしたがって、ナット部49を上下に変位させることができる。つまり、ナット部49の位置を変えることにより、ハウジング接続部51の中空部35Aへの挿入量を所望に規制できる。そのため、管体19の開口部19Aと下側ホーン8の液体霧化部3との間隔を、液体の粘度等に応じて、開口部19Aから流れ出た液体が液体霧化部3に流れ易くなるように適切に設定することできる。なお、この図5に示すナット部49の構成は、液体霧化装置100から400についても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施の形態に係る液体霧化装置の断面図である。
【図2】図1に示す液体霧化装置の第1の変形例を示す図である。
【図3】図1に示す液体霧化装置の第2の変形例を示す図である。
【図4】図1に示す液体霧化装置の第3の変形例を示す図である。
【図5】図1に示す液体霧化装置の第4の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0088】
100,200,300,400,500 ・・・ 液体霧化装置
1 ・・・ 振動体
2 ・・・ ハウジング(振動体保持手段)
3 ・・・ 液体霧化部
7 ・・・ ホーン
10,11 ・・・ 電歪素子(超音波発振子)
19 ・・・ 管体
19A ・・・ 開口部(液体流出部)
19C ・・・ 開口部(液体流入部)
35C ・・・ 結合部(雌ねじ部)
48 ・・・ 継手
49 ・・・ ナット部(規制手段)
51A ・・・ 結合部(雄ねじ部)
52A ・・・ 端面(上端面)
301 ・・・ 液体流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波発振子と、この超音波発振子から発振された振動を増幅するホーンとを有する振動体と、
上記ホーンに備えられ、液体に対し超音波振動を与えることで液体を霧化する液体霧化部と、
上記ホーン内に配設され上記液体霧化部に上記液体を供給するホーン内液体供給手段と、
上記ホーン外に配設され上記ホーン内液体供給手段に上記液体を供給するホーン外液体供給手段と、
上記振動体を保持する振動体保持手段と、
を備える液体霧化装置において、
上記ホーン外液体供給手段は、上記振動体に対して非固定である、
ことを特徴とする液体霧化装置。
【請求項2】
前記ホーン内液体供給手段の少なくとも一部は前記振動体に対して非固定の管体であり上記管体の液体流出部は前記ホーン内に挿入されていることを特徴とする請求項1に記載の液体霧化装置。
【請求項3】
前記ホーン外液体供給手段と前記管体とは継手により接続され、上記継手と前記振動体保持手段とは互いにねじ結合するねじ結合部を有することを特徴とする請求項2に記載の液体霧化装置。
【請求項4】
前記継手は、前記振動体保持手段に対するねじ結合のねじ結合量を規制する規制手段を有していることを特徴とする請求項3に記載の液体霧化装置。
【請求項5】
前記規制手段は、前記継手に前記ねじ結合量を規制する方向に変位可能にねじ結合していることを特長とする請求項4に記載の液体霧化装置。
【請求項6】
前記管体は前記継手内に挿入され、前記管体の液体流入部は、前記継手の端面より突出していることを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の液体霧化装置。
【請求項7】
前記管体と前記継手とは、前記継手の端面から前記管体の液体流入部側の端部が突出する部分において液密に封止されていることを特徴とする請求項6に記載の液体霧化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−125713(P2009−125713A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−306246(P2007−306246)
【出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(505227043)野村ユニソン株式会社 (25)
【Fターム(参考)】