説明

液剤含浸用シートを製造し包装するための容器

【課題】液剤含浸用シートの製造及び包装を連続して行なうことの可能な容器を提供すること。
【解決手段】本発明の液剤含浸用シートを製造し包装するための容器10は、上方に開口する開口部1と、開口部1と対向する底面部2と、底面部2から開口部1に向かってテーパ状に拡がるように傾斜する周壁3とを備えている。傾斜部は、最下段に位置する第1の傾斜部4と、これよりも上段に位置する第2の傾斜部5とから構成されており、第1の平端部6は第1の傾斜部4から連続し、第2の傾斜部5へと続いている。第1の傾斜部4と第1の平端部6とのなす角度θは110〜130°であり、第1の平坦部6と第2の傾斜部5とのなす角度θは125〜145°である。また、第1の平端部6から底面部2までの深さDは0.5〜1.1mmであり、開口面から第1の平端部6までの深さDは3.2〜4.8mmである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液剤含浸用シートを製造し包装するための容器に関し、より詳細には液剤含浸用シートの製造及び包装を連続して行なうことの可能な容器に関する。
【背景技術】
【0002】
液剤含浸用シートとしては、例えば、液状の化粧料を液剤含浸用シートに含浸させた化粧料含浸シートが知られている。このような化粧料含浸シートは、例えば、液剤中に保湿剤を含有せしめて皮膚面に貼付することで保湿性を付与することができる。また、液剤含浸シートは、通常、セパレータを有するフィルム基材にシート形成用材料を塗工して押し出し製法等によりシート状物を得、次いで所望の形状及び大きさに成型し、これに液剤を含浸させて膨潤させた後、それを容器や袋で包装して製造されている(特許文献1)。
【0003】
しかしながら、このような製造方法においては、最終製品を得るまでの各工程において中間製品を移動させる必要があるため、製品の汚染や破損などを生ずる虞がある。また、塗工、押し出し製法の場合、基材が必要になることが多い。そのため、液剤含浸用シートの透明化が困難で貼付部分の皮膚状況を確認することが困難である。さらに、液剤含浸シートは袋包装されることが多いため、該シートを袋から取り出す際に、取り出し難く破損してしまうことがある。
【0004】
液剤含浸用シートを透明化するには、一段形状の金型を使用して皿状のプラスチックトレイを成型し、そのトレイ内で透明な液剤含浸用シートを形成する方法が考えられるが、プラスチックトレイに収容した液剤含浸用シートに液剤を含浸させると、該シートが膨潤してプラスチックトレイからはみ出してしまう。そのため、所望の形状及び大きさの液剤含浸用シートに成型した後、別の容器内で液剤含浸用シートに液剤を含浸させる必要があるため、製造工程を合理化することは困難である。また、製造工程が煩雑になると、液剤含浸シートの製造コストが高くなることが多い。
【特許文献1】特開2006−263377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は液剤含浸用シートの製造及び包装を連続して行なうことの可能な容器を提供することにある。本発明の目的はまた、上記容器内に液剤含浸用シートを収容してなる液剤含浸用シート収容容器及びそれを備えるキットを提供することにある。本発明はさらに、液剤含浸用シートを製造し包装する方法及び液剤含浸用シート収容容器を用いて液剤含浸シートを製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記問題点に鑑みて鋭意検討を行なったところ、有底筒体の周壁をテーパ状にし、更にその周壁を階段状にした上で、この階段部分を構成する傾斜部及び平端部の角度と、深さを特定範囲内とすることで、上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)上方に開口する開口部と、該開口部と対向する底面部と、該底面部から前記開口部に向かってテーパ状に拡がるように傾斜する傾斜部と、該傾斜部に連続する平坦部とを有する、多段の階段状周壁とを備え、最下段に位置する第1の傾斜部と、これに連続する第1の平端部とのなす角度θが110〜130°であり、上記第1の平坦部と、これに連続する第2の傾斜部とのなす角度θが125〜145°であり、上記第1の平端部から上記底面部までの深さDが0.5〜1.1mmであり、開口面から上記第1の平端部までの深さDが3.2〜4.8mmである、液剤含浸用シートを製造し包装するための容器。
(2)上記(1)記載の容器内に液剤含浸用シートを収容してなる、液剤含浸用シート収容容器。
(3)上記液剤含浸用シートが液剤と接触した際に膨潤可能な樹脂からなる、上記(2)記載の液剤含浸用シート収容容器。
(4)上記樹脂が吸水性ポリマーである、上記(3)記載の液剤含浸用シート収容容器。
(5)上記液剤が化粧料、医薬品又は医薬部外品を含有するものである、上記(2)〜(4)のいずれかに記載の液剤含浸用シート収容容器。
(6)上記(2)〜(5)のいずれかに記載の液剤含浸用シート収容容器と、液剤とを備える、液剤含浸シート製造用キット。
(7)上記(1)記載の容器内に液剤含浸用シートを形成すべき材料を充填し硬化させて液剤含浸用シート収容容器を得る工程と、上記液剤含浸用シート収容容器を密封する工程とを備える、液剤含浸用シートを製造し包装する方法。
(8)上記(2)〜(5)のいずれかに記載の液剤含浸用シート収容容器内に収容された液剤含浸用シートを、使用時に液剤と接触せしめて上記液剤含浸用シートに上記液剤を含浸させる、液剤含浸シートの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液剤含浸用シートの製造及び包装を連続して行なうことの可能な容器が提供される。これにより、液剤含浸用シートの製造及び包装工程が合理化されるとともに、液剤含浸用シートの汚染や破損が有効に防止される。
また、本発明の液剤含浸用シート収容容器は、これに収容されている液剤含浸用シートを用いることで簡便に液剤含浸シートを製造することが可能であり、しかも液剤含浸シートの取り出しが容易で取り扱い性に優れる。液剤含浸シートの製造には、本発明の液剤含浸用シート収容容器と、液剤とを備えるキットが有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0009】
(液剤含浸用シートを製造し包装するための容器)
図1は、本発明の液剤含浸用シートを製造し包装するための容器(以下、「シート製造包装用容器」ともいう)の一実施形態を示す模式断面図である。
本実施形態に係るシート製造包装用容器10は、上方に開口する開口部1と、開口部1と対向する底面部2と、底面部2から開口部1に向かってテーパ状に拡がるように傾斜する周壁3とを備えている。周壁3は、傾斜部と、平端部とから構成される多段の階段形状を有するが、本実施形態においては2段の階段形状を有する。すなわち、本実施形態においては、傾斜部は、最下段に位置する第1の傾斜部4と、これよりも上段に位置する第2の傾斜部5とから構成されており、第1の傾斜部4は平坦部6に連続し、この平端部6は第2の傾斜部5に連続している。平坦部6は、底面部2及び開口面7と水平である。
【0010】
第1の傾斜部4と平端部6とのなす角度θは110〜130°であるが、好ましくは115〜125°である。角度θが110°未満であると、液剤含浸用シートに液剤を含浸させる際の膨潤を妨げるため好ましくない。他方、130°を超えると、液剤含浸用シートを形成すべき材料を充填した際に表面張力によって液面が球状になるため、液剤含浸用シートに液剤を含浸させた液剤含浸シートの密着性が低下する。
平坦部6と第2の傾斜部5とのなす角度θは125〜145°であるが、好ましくは130〜140°である。角度θが125°未満であると、周壁3を階段状に形成し難くなり、また液剤含浸用シートに液剤を均一に含浸させ難く、更には液剤含浸シートがシート製造包装用容器10からはみ出しやすくなる。他方、145°を超えると、液剤を含浸させた液剤含浸シートを取り出し難く、取り扱い性が悪化する。
【0011】
平端部6から底面部2までの深さDは0.5〜1.1mmであるが、好ましくは0.6〜1.0mmである。深さDが0.5mm未満であると、液剤含浸用シートを形成すべき材料が平端部6を越えて溢れ出る可能性があるため好ましくない。他方、1.1mmを超えると、液剤含浸用シートの膨潤を妨げるため好ましくない。
開口面7から平端部6までの深さDは3.2〜4.8mmであるが、好ましくは3.5〜4.5mmである。深さDが3.2mm未満であると、液剤含浸用シートに液剤を十分含浸し難くなる。他方、4.8mmを超えると、液剤を含浸させた液剤含浸用シートを取り出し難く、取り扱い性が悪化する。
【0012】
シート製造包装用容器10は底面部2から開口部1に向かってテーパ状の形状を有するため、底面部2の面積Sよりも、平端部6間に形成される横断面空間面積Sの方が大きくなるが、これらの面積比S/Sは1.1〜1.4が好適である。1.1未満であると、液剤含浸用シートの膨潤を阻害する可能性がある。他方、1.4を超えると、液剤含浸用シートが膨潤した際に、シート製造包装用容器10内を移動してシワやヨレが生じやすくなる傾向にある。なお、シート製造包装用容器10の底面部の大きさは、含浸すべき液剤の種類及び使用目的に応じて適宜設定することができる。
【0013】
シート製造包装用容器10の平面形状は特に限定されず、例えば、円形、楕円形、方形(正方形、長方形など)、多角形(三角形など)、扇形等の任意の形状を採用することができる。その具体例を図2に示すが、楕円形(図2(a))、三角形(図2(b))、八角形(図2(c))、ハート型(図2(d))、矢印型(図2(e))、弓型(図2(f))、星型(図2(g))などが挙げられる。また、図3(a)〜(d)に示すように、特定の平面形状を有する複数個のシート製造包装用容器10を1つの容器内に、例えば、行列状、放射状などに配置し収容してよい。
【0014】
シート製造包装用容器10の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等が好適である。これにより、液剤含浸用シートに液剤を含浸させた液剤含浸シートを容器から容易に剥離できるため、取り扱い性を向上させることができる。中でも、液剤含浸用シートがポリウレタン製である場合には、剥離性の観点から、ポリプロピレンが好適である。
【0015】
シート製造包装用容器10の製造方法は特に限定されず、公知の方法を採用することができるが、例えば、射出成形、圧縮成形等が例示される。
【0016】
このように、本実施形態のシート製造包装用容器は、周壁にテーパ状の階段形状を付与し、その階段部分を特定角度の傾斜部及び平端部と、特定の深さとで構成することにより、液剤含浸用シートの製造及び包装を連続して行なうことが可能になる。これにより、液剤含浸用シートの製造及び包装工程が合理化されるとともに、液剤含浸用シートの汚染や破損が有効に防止される。
【0017】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。例えば、上記実施形態においては周壁3が2段の階段形状であるシート製造包装用容器について説明したが、3段以上の多段の階段形状を有するシート製造包装用容器であってもよい。また、上記実施形態においては、平端部が底面部及び開口面と水平に配置されているが、平坦部が開口方向に向かって緩やかに傾斜していてもよい。さらに、シート製造包装用容器は、開口部と嵌合可能な開閉自在の蓋体を備えていてもよい。
【0018】
(液剤含浸用シート収容容器)
図4は、本発明の液剤含浸用シート収容容器(以下、「シート収容容器」ともいう)の一実施形態を示す模式断面図である。
本実施形態に係るシート収容容器20は、上記したシート製造包装用容器10内に液剤含浸用シート8を収容したものである。液剤含浸用シート8は、底面部2に当接するように配置されており、その形状は底面部の平面形状と同じである。なお、シート製造包装用容器10の構成は、上記実施形態において説明したとおりである。
【0019】
液剤含浸用シート8は、基材を使用することなくそれ自体が自己支持性を有するものであって、液剤と接触した際に膨潤可能であり、かつ透明性を有するものであれば特に限定されるものではない。このような液剤含浸用シートとしては、例えば、吸水性ポリマーが好適であり、具体的には、ポリオール(ポリエーテル型を含む)と、ポリイソシアネートとから得られるポリウレタン、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールなどが例示される。中でも、ポリウレタン、ポリアクリル酸が好適である。
【0020】
液剤含浸用シート8の厚みは平坦部6から底面部2の深さDと略同等であることが望ましい。また、液剤含浸用シートの水に対する膨潤率は、好ましくは120〜400%、より好ましくは150〜250%である。
【0021】
液剤としては、化粧料、医薬品及び医薬部外品から選択されるものが好適である。化粧料としては、精製水、アルコ−ル、多価アルコール、界面活性剤、酸化防止剤、pH調整剤、紫外線防止剤、金属イオン封鎖剤、増粘剤、香料、防腐剤、抗菌剤、油剤、高級脂肪酸、脂肪酸エステル、保湿剤、清涼剤、色素等の通常の化粧品成分の他、ホルモン類、ビタミン類、アミノ酸類、エラスチン、コラーゲン、ムコ多糖、アロエ抽出物、ヘチマ水、ローヤルゼリー、バーチ、ニンジンエキス、カモミラエキス、甘草エキス、サルビアエキス、アルテアエキス、セイヨウノコギリソウエキス、アルブチン、エラグ酸、フィチン酸、ヒアルロン酸等の生薬成分や動植物抽出成分などを目的に応じて適宜配合したものが挙げられる。
【0022】
医薬品としては、鎮痛剤、精神安定剤、降圧剤、抗生物質、抗ヒスタミン剤、抗菌性物質などが例示される。
医薬部外品としては、口中清涼剤、腋臭防止剤、てんか粉類、育毛剤(養毛剤)、除毛剤、染毛剤(脱色剤、脱染剤)、浴用剤、薬用化粧品(薬用石けんを含む)、薬用歯磨類、殺虫剤(忌避剤)、殺鼠剤、パーマネント・ウェーブ用剤、衛生綿類などが例示される。
【0023】
このように、本実施形態に係る液剤含浸用シート収容容器は、透明性に優れる液剤含浸用シートが収容されており、これを膨潤させて得られる液剤含浸シートも透明性に優れるため、皮膚に貼付した際の皮膚状況を確認することが可能である。
【0024】
(液剤含浸用シートを製造し包装する方法)
本発明の液剤含浸用シートを製造し包装する方法は、上記したシート製造包装用容器内で液剤含浸用シートを形成すべき材料を充填し硬化させて液剤含浸用シート収容容器を得る第1の工程と、液剤含浸用シート収容容器を密封する第2の工程とを備えることを特徴とする。
第1の工程においては、上記したシート製造包装用容器内に、液剤含浸用シートを形成すべき材料、すなわち、吸水性ポリマーの単量体成分を充填し加熱又は紫外線照射により単量体成分を硬化せしめシート状物を形成させる。これにより、液剤含浸用シートが容器の底面部に当接した状態で収容された液剤含浸用シート収容容器が得られる。なお、単量体成分は、該単量体成分を硬化させて形成される液剤含浸用シートの厚みが平坦部6から底面部2の深さDと略同等になるように容器内に充填される。
【0025】
次いで、液剤含浸用シートが収容された容器を密封する第2の工程を行なう。容器の密封は、容器の開口部と嵌合可能な蓋体により密封してもよく、この蓋体は容器本体と分離可能なものでも、容器本体とヒンジで開閉自在に連結されているものでもよい。また、容器本体の開口部を熱可塑性フィルムで熱融着してもよく、さらに容器全体を袋包装してもよい。
【0026】
このように、液剤含浸用シートを連続して製造し包装することが可能であるため、中間製品の移動が不要になるため、液剤含浸用シートの汚染や破損が防止されるだけなく、製造工程を大幅に合理化することができる。
【0027】
(液剤含浸シートの製造方法)
本発明の液剤含浸シートの製造方法は、上記した液剤含浸用シート収容容器内に収容された液剤含浸用シートを、使用時に液剤と接触せしめ、液剤含浸用シートに液剤を含浸させることを特徴とする。液剤としては、上記した液剤が好適に使用され、中でも化粧料が特に好適である。
このように、液剤含浸シートを使用する際に液剤含浸用シートと液剤と初めて接触させて液剤含浸シートが製造されるため、保存時における変質や有効成分の揮発、液剤含浸シートの汚染などが防止される。
【0028】
(液剤含浸シート製造用キット)
また、本発明においては、上記した液剤含浸用シート収容容器と、液剤とを備えるキットの形態としてもよい。その具体的態様として、液剤含浸用シート収容容器内に液剤を収納したキット、液剤含浸用シート収容容器と、液剤とを一つの袋に包装したキット、液剤含浸用シート収容容器と、液剤とを個別に袋包装したキットが例示される。このようなキットにより、液剤含浸シートを簡便に調製することが可能になる。また、本発明の液剤含浸シート製造用キットは、上記した本発明の液剤含浸シートの製造方法及びその使用方法に関する説明を記載した書類を備えていてもよい。
【実施例】
【0029】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制約されるものではない。
【0030】
(実施例1〜3及び比較例1〜8)
表1に記載の形状を有するポリプロピレン製の容器本体と、その開口部に嵌合可能な蓋体とを射出成形により製造した。なお、底面部Sの面積は、200cmであった。この容器本体内に、ポリエーテルポリオールと、ポリイソシアネートとを重量比8:2の割合で含有する混合物0.2gを充填し、80℃で10時間熱架橋して液剤含浸用シートを成型し、液剤含浸用シート収容容器を得た。なお、液剤含浸用シートの厚みは、0.8mmであった。
次いで、アスコルビン酸、グリコールエーテル、ベタイン、プロピレングリコール及び水を含む化粧料成分0.2gと、精製水0.1gと、グリセリン0.1gを液剤含浸用シート収容容器内に添加し液剤含浸用シートを膨潤させて液剤含浸シートを得た。
【0031】
(評価)
(1)成型性
各実施例及び比較例における液剤含浸用シートの成型性について、下記の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:図5(a)に示すように、一定厚で均質な液剤含浸用シートが得られた。
△:図5(b)に示すように、中心部が表面張力により球状となるなど、一部不均質な液剤含浸用シートが得られた。
×:図5(c)に示すように、液剤含浸用シートが平坦部へ溢れ出すなど、液剤含浸用シートの成型が困難であった。
【0032】
(2)膨潤性
各実施例及び比較例における液剤含浸用シートの膨潤性について、下記の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:図6(a)に示すように、均一に液剤含浸用シートが膨潤し液剤含浸シートが平坦部まで出た。
△:図6(b1)、(b2)に示すように、均一に液剤含浸用シートが膨潤せず液剤含浸シートが平坦部まで出ない場合が見られた。
×:図6(c)に示すように、液剤含浸用シートが膨潤しないか、あるいは平坦部まで液剤含浸シートが出なかった。
【0033】
(3)取り出し性
各実施例及び比較例における液剤含浸シートの取り出し性について、下記の基準で評価した。その結果を表1に示す。
○:図7(a)に示すように、液剤含浸シートを容易に取り出すことが可能であった。
△:図7(b1)、(b2)に示すように、角度θが急であるか、あるいは深さDが大きいため液剤含浸シートを取り出す際に抵抗を感じた。
×:液剤含浸シートを取り出すことができなかった。
【0034】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の液剤含浸用シートを製造し包装するための容器の一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の液剤含浸用シートを製造し包装するための容器の一実施形態を示す模式平面図である。なお、ハッチングは、底面部2の領域を明確にするために施したものである。
【図3】本発明の液剤含浸用シートを製造し包装するための容器の他の実施形態を示す模式平面図である。なお、ハッチングは、底面部2の領域を明確にするために施したものである。
【図4】本発明の液剤含浸用シート収容容器の一実施形態を示す模式断面図である。
【図5】実施例で得た液剤含浸用シートの成型性に関する評価方法を説明する断面図である。
【図6】実施例で得た液剤含浸用シートの膨潤性に関する評価方法を説明する断面図である。
【図7】実施例で得た液剤含浸用シートの取り出し性に関する評価方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…開口部、2…底面部、3…周壁、4…第1の傾斜部、5…第2の傾斜部、6…平端部、7…開口面、8…液剤含浸用シート、10…液剤含浸用シートを製造し包装するための容器、20…液剤含浸用シート収容容器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方に開口する開口部と、
該開口部と対向する底面部と、
該底面部から前記開口部に向かってテーパ状に拡がるように傾斜する傾斜部と、該傾斜部に連続する平坦部とを有する、多段の階段状周壁と
を備え、
最下段に位置する第1の傾斜部と、これに連続する第1の平端部とのなす角度θが110〜130°であり、
前記第1の平坦部と、これに連続する第2の傾斜部とのなす角度θが125〜145°であり、
前記第1の平端部から前記底面部までの深さDが0.5〜1.1mmであり、
開口面から前記第1の平端部までの深さDが3.2〜4.8mmである、
液剤含浸用シートを製造し包装するための容器。
【請求項2】
請求項1記載の容器内に液剤含浸用シートを収容してなる、液剤含浸用シート収容容器。
【請求項3】
前記液剤含浸用シートが液剤と接触した際に膨潤可能な樹脂からなる、請求項2記載の液剤含浸用シート収容容器。
【請求項4】
前記樹脂が吸水性ポリマーである、請求項3記載の液剤含浸用シート収容容器。
【請求項5】
前記液剤が化粧料、医薬品又は医薬部外品を含有するものである、請求項2〜4のいずれか一項に記載の液剤含浸用シート収容容器。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の液剤含浸用シート収容容器と、
液剤と
を備える、液剤含浸シート製造用キット。
【請求項7】
請求項1記載の容器内に液剤含浸用シートを形成すべき材料を充填し硬化させて液剤含浸用シート収容容器を得る工程と、
前記液剤含浸用シート収容容器を密封する工程と
を備える、液剤含浸用シートを製造し包装する方法。
【請求項8】
請求項2〜5のいずれか一項に記載の液剤含浸用シート収容容器内に収容された液剤含浸用シートを、使用時に液剤と接触せしめて前記液剤含浸用シートに前記液剤を含浸させる、液剤含浸シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−296924(P2008−296924A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141924(P2007−141924)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】