説明

液化天然ガスの処理

液化天然ガス(LNG)からのより重質な炭化水素の回収において、LNG供給流を加熱して少なくともその一部を気化し、次いで、カラム中間の供給位置で分留カラムに供給する。蒸気蒸留流をカラム中間の供給位置より下で分留カラムから抜き出して、LNG供給流と熱交換関係に向け、蒸気蒸留流はLNG供給流の加熱の一部を供給するにつれて冷却される。蒸気蒸留流を冷却してその一部を凝縮し、凝縮流を形成する。その凝縮流の一部は、頂部供給物として分留カラムに向けられる。カラムへの供給物の量及び温度により、所望の成分の殆どがカラムから底部液体生成物に回収されるように、カラムのオーバーヘッド温度を維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(以後、LNGという)からエタンとより重質な炭化水素とを分離するか、またはプロパンとより重質な炭化水素とを分離して、揮発性の富メタンガス流(methane-rich gas stream)及び揮発性の低い天然ガス液体(NGL)または液化石油ガス(LPG)流を提供するための方法に関する。本出願人は、合衆国法典第35巻、第119条(e)に基づき、2007年5月17日に出願された米国特許仮出願第60/938,489号の利益を請求する。
【背景技術】
【0002】
パイプラインでの輸送に代わるものとして、遠隔地で天然ガスを液化し、適切なLNG受け入れ及び貯蔵ターミナルへ特別なLNGタンカーで輸送することがある。次いで、このLNGを再気化させて、天然ガスと同じ様式で気体燃料として使用することができる。LNGは通常、大部分がメタンであり、すなわちメタンはLNGの少なくとも50モルパーセントを構成するが、エタン、プロパン、ブタンなどのより重質な炭化水素、ならびに窒素も相対的により少ない量含有する。LNGの気化から得られる気体燃料が発熱量に関してパイプラインの仕様に合うためには、LNG中のメタンからより重質な炭化水素の幾らかまたは全てを分離する必要があることが多い。さらに、より重質な炭化水素は(一例として石油化学原料として使用するための)液体製品としての方が燃料としての価値よりも価値が高いので、メタン及びエタンからこれらの炭化水素を分離することが望ましい場合も多い。
【0003】
LNGからエタン及び/またはプロパンとより重質な炭化水素とを分離するのに使用し得る多くのプロセスがあるが、これらのプロセスは、高回収率、低いユーティリティーコスト、及びプロセスの簡潔性(従って低設備投資)との間で妥協しなければならないことが多い。米国特許第2,952,984号(特許文献1);米国特許第3,837,172号(特許文献2);米国特許第5,114,451号(特許文献3)及び米国特許第7,155,931号(特許文献4)は、後にガス配給網に導入するために輸送圧に圧縮される希薄LNGを蒸気流として製造しつつエタンまたはプロパンの回収が可能な、本発明に関連するLNGプロセスについて記載している。しかしながら、蒸気流としてではなく、ガス配給網の輸送圧に(圧縮するのではなく)ポンピングすることのできる液体流として希薄LNGを製造し、続いてこの希薄LNGを低レベルの外部熱源または他の手段を使用して気化すれば、低いユーティリティーコストが可能であろう。米国特許第7,069,743号(特許文献5)及び同第7,216,507号(特許文献6)並びに同時係属中の米国特許出願第11/749,268号はそのようなプロセスについて記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第2,952,984号明細書
【特許文献2】米国特許第3,837,172号明細書
【特許文献3】米国特許第5,114,451号明細書
【特許文献4】米国特許第7,155,931号明細書
【特許文献5】米国特許第7,069,743号明細書
【特許文献6】米国特許第7,216,507号明細書
【発明の概要】
【0005】
本発明は、一般的には、そのようなLNG流からのプロピレン、プロパン、及びより重質な炭化水素の回収に関する。本発明は、処理装置を単純に保ち、設備投資を低く維持しながら、高プロパン回収率を可能にする新規なプロセス配置を使用する。さらに本発明は、従来技術のプロセスよりも操作コストを低くするために、LNGを処理するのに必要なユーティリティ(動力及び熱)を低減し、且つ設備投資も大きく低減する。本発明に従って処理すべきLNG流の典型的な分析は、およそのモルパーセントで、メタン86.7%、エタン及び他のC2成分8.9%、プロパン及び他のC3成分2.9%、並びにブタン1.0%と、残余の窒素である。
【0006】
本発明をより良く理解するために、以下の実施例及び図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、本発明に従ったLNG処理プラントの系統線図であり、ここで気化LNG製品は、比較的低圧で輸送すべきである。
【図2】図2は、LNG処理プラントへの本発明の別の適用を示す系統線図であり、ここで気化LNG製品は、比較的高圧で輸送しなければならない。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面に関する以下の説明において、代表的なプロセス条件に関して計算した流量をまとめた表を提供する。本明細書中の表において、流量値(モル/時間)は、便宜上、最も近い整数にした。表中に示された総流量は全ての非炭化水素成分を含んでいるので、一般に、炭化水素成分の流量の合計よりも大きい。表示温度は、最も近い温度に近似した値である。また、図示されたプロセスを比較する目的で実施するプロセス設計の計算は、周囲からプロセスへも、プロセスから周囲へも熱の漏出はないという前提に基づくことに注意すべきである。市販の断熱材料の品質は、この計算を非常に合理的な想定であって、当業者により通常なされるものとするのに十分である。
【0009】
便宜上、プロセスパラメーターを、伝統的な英国単位と、国際単位系(SI)の両方で報告する。表中に与えられたモル流量は、ポンドモル/時間またはキログラムモル/時間のいずれかで解釈することができる。馬力(HP)及び/または千英熱量単位/時間(MBTU/Hr)として報告されたエネルギー消費は、ポンドモル/時間の表示モル流量に対応する。キロワット(kW)で報告されたエネルギー消費は、キログラムモル/時間の表示モル流量に対応する。
【実施例】
【0010】
実施例1
図1は、供給流中に存在するC3成分の大部分とより重質な炭化水素成分の大部分とを含有するLPG製品を製造するように構成された、本発明に従ったプロセスの系統線図を示す。
【0011】
図1のプロセスのシミュレーションにおいて、LNGタンク10からの処理すべきLNG(流れ41)は−255°F(−159℃)でポンプ11に入り、これによって十分にLNGの圧力を高め、その結果、LNGが熱交換器13及び14を通って分留カラム(fractionation column)21に流れることができる。−253°F(−158℃)及び440psia(3,032kPa(a))でポンプを出る流れ41aは、分留塔21のカラム中間の領域から抜き出された蒸留蒸気流50を熱交換器13で冷却し部分的に凝縮させることによって−196°F(−127℃)に加熱される(流れ41b)。次いで、加熱された流れ41bは、低レベルユーティリティ熱を使用して熱交換器14で−87°F(−66℃)にさらに加熱される。(塔リボイラー25で使用される加熱媒体などの高レベルユーティリティ熱は、普通は、低レベルユーティリティ熱よりもずっと高価であるので、海水などの低レベル熱の利用が最大化され、高レベルユーティリティ熱の利用が最少化されると、通常、低操作コストが達成される。)さらに加熱された流れ41cは、ここで部分的に気化され、次いで、カラム中間の上方の供給点で分留カラム21に供給される。場合によっては、図1の点線により表されるように、セパレータ15により流れ41cを蒸気流42と液体流43とに分離し、それぞれの流れを別々に分留カラム21に向けるのが望ましい。
【0012】
塔21内の脱エタン塔(deethanizer)は、複数の垂直に配置されたトレー、一つ以上の充填床、またはトレーと充填剤(packing)との幾つかの組み合わせを含有する慣用の蒸留カラムである。この脱エタン塔は二つの区分:蒸気部分からプロパンとより重質な成分とを凝縮及び吸収するために、上方に上昇する流れ41cの蒸気部分と下方へ落ちる冷たい液体との間で必ず接触するように必須のトレーと充填剤とを含有する上方吸収(精留)区分21aと;下方へ落ちる液体と上方へ上昇する蒸気との間で必ず接触するようにトレー及び/または充填剤を含有する下方ストリッピング区分21bとからなる。脱エタン塔のストリッピング区分21bはまた、カラムを上方へ流れるストリッピング蒸気を提供するために液体の一部を加熱及び気化させる一つ以上のリボイラー(リボイラー25など)をカラム底部に含む。これらの蒸気は液体からメタン及びC2成分をストリッピングし、その結果、底部液体生成物(流れ51)は実質的にメタン及びC2成分がなく、LNG供給流に含有されるC3成分の大部分とより重質な炭化水素の大部分とから構成される。
【0013】
流れ41cは分留カラム21の吸収区分21aの下方領域に位置するカラム中間の上方の供給位置で分留カラム21に入る。流れ41cの液体部分は吸収区分から下方へ落ちてくる液体と混合し、組み合わされた液体は脱エタン塔21のストリッピング区分21bへと下方に進む。流れ41cの蒸気部分は吸収区分21a内を上昇し、下方へ落ちる冷たい液体と接触してC3成分とより重質な成分とを凝縮及び吸収する。
【0014】
脱エタン塔21からの液体流49は、吸収区分21aの下方領域から抜き出され、熱交換器13へ向けられ、ここで、既に記載の通り蒸留蒸気流50の冷却を提供するに連れて加熱される。典型的には、脱エタン塔からのこの液体の流れは熱サイフォン循環によるが、ポンプを使用することもできる。この液体流は−86°F(−65℃)から−65°F(−54℃)に加熱され、流れ49cを部分的に気化してから、典型的にはストリッピング区分21bの中間領域で、脱エタン塔21へのカラム中間の供給物として戻る。あるいは、液体流49は、点線49aにより表されるように、加熱することなく脱エタン塔21においてストリッピング区分21bのカラム中間の下方の供給点に直接通すことができる。
【0015】
蒸留蒸気(流れ50)の一部を−10°F(−23℃)でストリッピング区分21bの上方領域から抜き出す。次いで、この流れは、既に記載の通り、交換器13でLNG流41aと液体流49(該当する場合)で熱交換によって冷却され、部分的に凝縮される(流れ50a)。次いで、部分的に凝縮された流れ50aは−85°F(−65℃)で還流セパレータ19へ流れる。
【0016】
還流セパレータ19での操作圧力(406psia(2,797kPa(a)))は、脱エタン塔21の操作圧力(415psia(2,859kPa(a)))よりもやや低く保持される。これにより蒸留蒸気流50を熱交換器13内、そして還流セパレータ19へ流れさせる駆動力を与え、セパレータでは、凝縮した液体(流れ53)が全ての凝縮していない蒸気(流れ52)から分離される。次いで、流れ52は脱エタン塔のオーバーヘッド流48と組み合わされて、−95°F(−71℃)で冷たい残留気体流56を形成し、次いで、これは熱交換器27で低レベルユーティリティ熱を使用して40°F(4℃)に加熱されてから、381psia(2,625kPa(a))で販売用ガスパイプラインに流れる。
【0017】
還流セパレータ19からの液体流53はポンプ20で脱エタン塔21の操作圧力よりもやや高い圧力にポンピングされ、次いで、ポンピングされた流れ53aは少なくとも二つの部分に分けられる。一方の部分である流れ54は脱エタン塔21にカラム頂部供給物(還流)として供給される。この冷たい液体還流は、脱エタン塔21の吸収区分21aの上方精留領域を上昇するC3成分とより重質な成分とを吸収及び凝縮する。もう一方の部分である流れ55は、蒸留蒸気流50が抜き出されるのと実質的に同一領域の、ストリッピング区分21bの上方領域に位置するカラム中間の供給位置で脱イオン塔21に供給され、部分的に精留された流れ50を提供する。
【0018】
脱エタン塔のオーバーヘッド蒸気(流れ48)は−94°F(−70℃)で脱エタン塔21の頂部を出て、既に記載のように蒸気流れ52と組み合わされる。液体生成物流51は底部生成物中でモルベースで0.02:1のエタン:プロパン比をベースとして185°F(85℃)で塔の底部を出て、貯蔵またはさらなる処理へと流れる。
【0019】
図1に説明されたプロセスの流れの流量及びエネルギー消費のまとめを以下の表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
本発明の改善された効率を説明する三つの主な因子がある。第一に、本発明は、多くの従来技術のプロセスと比較して、分留カラム21用の還流として直接機能するためにLNG供給物自体に依存することがない。むしろ、冷たいLNGに固有の冷却性を熱交換器13で使用して、回収すべきC3成分とより重質な炭化水素成分を殆どまったく含有しない液体還流(流れ54)を生成して、分留塔21の吸収区分21aで効率的に精留し、かかる従来技術のプロセスの平衡限界を避ける。第二には、蒸留蒸気流50は、還流55による部分的精留により、主に液体メタンとC2成分であり、C3成分とより重質な炭化水素成分を殆ど含有しない頂部還流54となる。その結果、C3成分のほぼ100%とより重質な炭化水素成分の実質的に全てが、脱エタン塔21底部から出る液体生成物51中に回収される。第三には、吸収区分21aにより提供されるカラム蒸気の精留により、LNG供給物の大部分を、流れ41cとして脱エタン塔21に入る前に気化することができる(熱交換器14で低レベルユーティリティ熱により提供される気化効率(duty)の大部分を利用する)。分留カラム21に供給する総液体量が少ないので、脱エタン塔からの底部液体生成物の仕様に合わせるために、リボイラー25により消費される高レベルユーティリティ熱が最少化される。
【0022】
実施例2
図1は、気化したLNG残留ガスの必要な輸送圧が比較的低いときの本発明の好ましい態様を示す。比較的高圧で残留ガスを輸送するためのLNG流の別の処理方法は、図2に説明されるように本発明の別の態様で示される。図2で示されるプロセスにおいて考察されたLNG供給物の組成と条件は、図1のものと同一である。従って、本発明の図2のプロセスは、図1の態様と比較することができる。
【0023】
図2のプロセスのシミュレーションにおいて、LNGタンク10からの処理すべきLNG(流れ41)は−255°F(−159℃)でポンプ11に入り、LNGの圧力を1215psia(8,377kPa(a))に上昇させる。次いで、高圧LNG(流れ41a)は熱交換器12内を流れて、そこでブースターコンプレッサ17からの蒸気流56aとの熱交換により、−249°F(−156℃)から−90°F(−68℃)に加熱される。次いで、加熱された流れ41bは熱交換器13内を流れて、そこで分留塔21のカラム中間の領域から抜き出された蒸留蒸気流50を冷却し部分的に凝縮させることにより、−63°F(−53℃)に加熱される。次いで、流れ41cは、低レベルユーティリティ熱を使用して熱交換器14で−16°F(−27℃)にさらに加熱される。
【0024】
さらに加熱された流れ41dは、次いで、膨張機16に供給され、そこで機械的エネルギーが高圧供給物から抽出される。膨張機16は約1190psia(8,205kPa(a))の圧力から約415psia(2,859kPa(a))の圧力(分留カラム21の操作圧力)へと実質的に等エントロピー的に蒸気を膨張させる。膨張仕事(work expansion)により、膨張流42aはおよそ−94℃(−70℃)の温度に冷却される。典型的な市販の膨張器は、理想等エントロピー膨張において理論的に可能な仕事の80〜88%のオーダーで回収可能である。回収した仕事は、たとえば冷たい蒸気流(流れ56)を再圧縮するために使用し得る遠心圧縮機(項目17など)を駆動するために使用されることが多い。膨張し、部分的に凝縮した流れ42aは、その後、カラム中間の上方の供給点で分留カラム21に供給される。
【0025】
図2に説明された組成及び条件に関して、流れ41dは、十分に加熱されて完全に気体状態となる。そのような条件下では、流れ41dを部分的に気化し、次いで、これを図2の点線により示されているようにセパレータ15により蒸気流42と液体流43とに分離することが望ましい可能性がある。そのような場合には、蒸気流42は膨張機16に入り、一方で液体流43は膨張バルブ18に入り、膨張した液体流43aはカラム中間の下方の供給点で分留カラム21に供給されるだろう。
【0026】
膨張した流れ42aは、分留カラム21の吸収区分の下方領域に位置するカラム中間の上方の供給位置で分留カラム21に入る。流れ42aの液体部分は、吸収区分から下方へ落ちる液体と混合し、組み合わされた液体は脱エタン塔21のストリッピング区分へと下方に進む。膨張流42aの蒸気部分は吸収区分内を上昇し、冷たい下方へ落ちる液体と接触して、C3成分とより重質な成分とを凝縮及び吸収する。
【0027】
脱エタン塔21からの液体流49は、吸収区分の下方領域から抜き出されて熱交換器13に向けられ、ここで既に記載の通り蒸留蒸気流50の冷却を提供するに連れて加熱される。液体流は−90°F(−68℃)から−61°F(−52℃)に加熱され、流れ49cを部分的に気化してから、典型的にはストリッピング区分の中間領域において脱エタン塔21へカラム中間の供給物として戻る。あるいは、液体流49は、点線49aにより示されているように、加熱することなく脱エタン塔21のストリッピング区分におけるカラム中間の下方の供給点に直接向けることができる。
【0028】
蒸留蒸気の一部(流れ50)は、−15°F(−26℃)でストリッピング区分の上方領域から抜き出される。次いで、この流れはLNG流41bと液体流49(適用する場合)との熱交換により交換器13で冷却され部分的に凝縮する(流れ50a)。次いで、この部分的に凝縮した流れ50aは、−85°F(−65℃)で脱エタン塔21からのオーバーヘッド蒸気流48と組み合わされ、組み合わされた流れ57は−95°F(−71℃)で還流セパレータ19に流れる。(流れ50aと48の組み合わせは、図2に示されているように還流セパレータ19上流の配管で行うこともでき、あるいは、流れ50aと48を個別に還流セパレータ19に流し、そこで流れの混合を行うこともできることに注意すべきである。)
還流セパレータ19の操作圧力(406psia(2,797kPa(a)))は、脱エタン塔21の操作圧力よりもやや下に保持される。これにより、蒸留蒸気流50を熱交換器13内に流し、適切な場合にはカラムのオーバーヘッド蒸気流48と組み合わせ、そこから還流セパレータ19に流れさせる駆動力を提供し、還流セパレータでは、凝縮した液体(流れ53)は全ての凝縮していない蒸気(流れ56)から分離される。
【0029】
還流セパレータ19からの液体流53は、ポンプ20により脱エタン塔21の操作圧力よりやや上の圧力にポンピングされ、次いで、ポンピングされた流れ53aは、少なくとも二つの部分に分けられる。一方の部分である流れ54は、脱エタン塔21にカラム頂部供給物(還流)として供給される。この冷たい液体還流は、脱エタン塔21の吸収区分の上方精留領域を上昇するC3成分とより重質な成分とを吸収及び凝縮する。もう一方の部分である流れ55は、蒸留蒸気流50が抜き出されるのと実質的に同一領域における、ストリッピング区分の上方領域に位置するカラム中間の供給位置で脱エタン塔21に供給され、部分的に精留された流れ50を提供する。脱エタン塔のオーバーヘッド蒸気(流れ48)は、−98°F(−72℃)で脱エタン塔21の頂部を出て、既に記載したように、部分的に凝縮された流れ50aと組み合わされる。液体生成物流51は185°F(85℃)で塔の底部を出て、貯蔵またはさらなる処理へと流れる。
【0030】
セパレータ19からの冷たい蒸気流56は、膨張機16により駆動されるコンプレッサ17へ流れて、十分に流れ56aの圧力を上昇させ、その結果、流れ56aは熱交換器12内で完全に凝縮できる。流れ56aは−24°F(−31℃)及び718psia(4,953kPa(a))でコンプレッサを出て、既に記載のように高圧LNG供給流41aとの熱交換により−109°F(−79℃)に冷却される(流れ56b)。凝縮された流れ56bはポンプ26により、販売ガス輸送圧よりもやや高い圧力にポンピングされる。次いで、ポンピングされた流れ56cは熱交換器27で−95°F(−70℃)から40°F(4℃)に加熱されてから、残留気体流56dとして1215psia(8,377kPa(a))で販売ガスパイプラインに流れる。
【0031】
図2に説明されたプロセスの流量及びエネルギー消費のまとめを以下の表に示す。
【0032】
【表2】

【0033】
表Iと表IIとの比較は、図1及び図2の態様がいずれも、C3及びより重質な成分の同等な回収を達成することを示す。図2の態様では図1の態様よりもかなりポンピング動力が必要であるが、これは、図2に示されているプロセス条件に関しては、販売ガスの輸送圧がずっと高いことの結果である。それでもなお、本発明の図2の態様で必要な動力は、同一条件下で操作する従来技術のプロセスよりも少ない。
【0034】
他の態様
本発明に従って、脱エタン塔の吸収(精留)区分を設計して、複数の理論分離段数を含有させることが一般的に好都合である。しかしながら、本発明の利点は、僅か一つの理論段数で達成することができ、分留理論段数の均等物でさえもこれらの利点を達成できると考えられる。たとえば、還流セパレータ19を出る凝縮された液体(流れ53)の全てまたは一部と流れ42aの全てまたは一部を(たとえば脱イオン塔への配管内で)組み合わせることができ、完全に混ざり合った場合、蒸気と液体は一緒に混ざり、組み合わされた流れ全体の種々の成分の相対的な揮発性に従って分離するだろう。二つの流れのそのような混合は、吸収区分を構築するものとして本発明の目的に対して考慮されるだろう。
【0035】
既に記載のように、蒸留蒸気流50を部分的に凝縮し、結果として得られた凝縮物を使用して、貴重なC3成分とより重質な成分とを流れ42aの蒸気から吸収する。しかしながら、本発明はこの態様に限定されない。その他の設計事項が、蒸気や凝縮物の一部が脱エタン塔の吸収区分を迂回すべきであることを示している場合は、たとえばこれらの蒸気のほんの一部をそのように処理するか、または凝縮物のほんの一部を吸収剤として使用することが好都合である可能性がある。LNG条件、プラントサイズ、利用可能な装置、または他の因子は、図2における膨張仕事機16の除去、あるいは代替膨張装置(膨張バルブなど)との置き換えが相応しいことや、または熱交換器13における蒸留蒸気流50の(部分ではなく)全体の凝縮が可能であり、好ましいことを示す可能性がある。
【0036】
本発明の実施においては、脱エタン塔21と還流セパレータ19との間には必然的に僅かな圧差があるだろうが、これは重視しなければならない。蒸留蒸気流50が熱交換器13を通って、圧力を全く上げることなく還流セパレータ19に入るならば、還流セパレータ19は必然的に脱エタン塔21の操作圧力よりもやや低い操作圧力となるだろう。この場合、還流セパレータ19から抜き出された液体流を、脱エタン塔21上の(単数または複数の)供給位置にポンピングすることができる。別の方法は、液体流53がポンピングされることなく脱エタン塔21に供給され得るように、蒸留蒸気流50のためにブースターブロワーを提供して熱交換器13と還流セパレータ19における操作圧力を十分に上げることである。
【0037】
残留気体の輸送圧が低いときでさえも、図1に示されているよりも高い圧力にLNG流をポンピングするのが好ましい場合があり得る。そのような場合、膨張バルブ28または膨張エンジンなどの膨張装置を使用して、流れ41cの圧力を分留カラム21の圧力に低下させることができる。次いで、セパレータ15を使用する場合、セパレータ液体流43の圧力をカラム21の圧力に低下させるために膨張バルブ18などの膨張装置もまた必要になるだろう。膨張バルブ28及び/または18の代わりに膨張エンジンを使用すれば、膨張仕事を使用して発電機を駆動し、これを順に使用して、プロセスにより必要とされる外部ポンピング動力の量を低下させることができる。また、同様に、図2の膨張エンジン16を使用して発電機を駆動することもできる。この場合、コンプレッサ17は電気モーターにより駆動することができる。
【0038】
状況によっては、液体流49の幾らかまたは全てを熱交換器13の周りに迂回させることが望ましい可能性がある。部分的な迂回が望ましい場合、迂回流49aは、次いで、交換器13からの出口流49bと混ぜられ、組み合わされた流れ49cは分留カラム21のストリッピング区分に戻るだろう。プロセス熱交換のための液体流49の使用及び分配、LNG流の加熱及び蒸留蒸気流の冷却のための熱交換器の特定の配置、並びに具体的な熱交換サービスのためのプロセス流の選択は、それぞれの特定の用途に関して評価されなければならない。
【0039】
図1及び2において、二つのカラム供給物に分割される流れ53aに含有される凝縮液体のそれぞれの支流に見出される供給物の相対的な量は、LNG圧力、LNG流組成物、及び所望の回収レベルなどの幾つかの因子に依存することもまた認識されるだろう。一般的に、本発明の特定の用途に関する特定の状況を評価することなく最適な分割を予想することはできない。図1及び2の点線55の流れなしに脱エタン塔21の吸収区分の頂部へ還流53aの全てを向けることが、場合により望ましい可能性がある。そのような場合、分留カラム21から抜き出された液体流49の量は低下するか、またはなくなるだろう。
【0040】
図1及び2に示されたカラム中間の供給位置は、記載のプロセス操作条件に関して好ましい供給位置である。しかしながら、各カラム中間の供給物の相対的な位置は、LNG組成物、または例えば望ましい回収レベルなどの他の因子に依存して変動し得る。さらに、二つ以上の供給物流またはその一部は、個々の流れの相対温度と量とに依存して組み合わせ、次いで、組み合わされた流れをカラム中間の供給位置に供給することができる。図1及び2は、図示されている組成及び圧力条件に関して好ましい態様である。個々の流れの膨張は特定の膨張装置で示されているが、適切な場合には、別の膨張手段も使用することができる。たとえば、条件は、液体流(流れ43)の膨張仕事を保証する可能性がある。
【0041】
図1及び2では、複数の熱交換器サービスが一般の熱交換器13と組み合わせて示されている。それぞれのサービスに関して別個の熱交換器を使用するのが望ましい場合があり得る。場合により、熱交換サービスを複数の交換器に分割することが好ましい可能性がある。(各熱交換器サービスを組み合わせるかどうか、または示されたサービスに関して二つ以上の熱交換器を使用するかどうかについての決定は、LNG流量、熱交換器サイズ、流れの温度などの多くの因子に依存するが、これらに限定されない。)あるいは、熱交換器13は、特定の状況によって保証されるものとして、海水を使用するヒーター、(図1及び2で使用される流れ50のような)プロセス流ではなくユーティリティ流れを使用するヒーター、間接加熱炉(indirect fired heater)または、周囲空気により温められた熱交換流体を使用するヒーターなどの他の加熱手段により置き換えることができるだろう。
【0042】
本発明は、プロセスを操作するために必要なユーティリティ消費量当たりのC3成分の改善された回収を提供する。また本発明は、分留の全てを一つのカラムで実施できるという点で設備支出の低下を提供する。脱エタン塔プロセスを操作するために必要なユーティリティ消費における改善は、圧縮または再圧縮に関する低い所要動力、ポンピングに関する低い所要動力、タワーリボイラーに関する低い所要エネルギー、またはこれらの組み合わせの形で現れる可能性がある。あるいは、所望により、ユーティリティ消費を固定した場合に、高いC3成分の回収を得ることができる。
【0043】
図1及び2の態様に関して与えられた実施例では、C3成分及びより重質な炭化水素成分の回収を説明した。しかしながら、C2成分及びより重質な炭化水素成分の回収が望ましい場合にもこの態様は好都合な可能性があると考えられる。
【0044】
本発明の好ましい態様と考えられるものを記載してきたが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の趣旨から逸脱することなく、他の、及び更なる変形を施して、種々の条件、供給物の種類、または他の要件に本発明を適合させてもよいことを認識するだろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メタン、C2成分及びより重質な炭化水素成分を含有する液化天然ガスを、前記メタンの大部分と前記C2成分の大部分とを含有する揮発性蒸気画分と、C2成分の残り全てと前記より重質な炭化水素成分の大部分とを含有する比較的揮発性の低い液体画分とに分離する方法であって、
(a)前記液化天然ガスを少なくとも部分的に気化するのに十分に加熱して、これにより蒸気含有流を形成し;
(b)前記蒸気含有流をカラム中間の供給位置で分留カラムに供給し、ここで前記蒸気含有流は、オーバーヘッド蒸気流と、前記より重質な炭化水素成分の大部分を含有する前記比較的揮発性の低い画分とに分留され;
(c)蒸気蒸留流を前記分留カラムの前記蒸気含有流より下の領域から抜き出し、十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮させ、これにより凝縮流及び全ての残留蒸気流を形成し、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給し;
(d)前記凝縮流の少なくとも一部をカラム頂部供給位置で前記分留カラムに供給し;
(e)前記オーバーヘッド蒸気流の少なくとも一部と前記残留蒸気流とを前記メタンの大部分を含有する前記揮発性蒸気画分として排出し;そして、
(f)前記分留カラムへの前記供給物の量及び温度が、前記分留カラムのオーバーヘッド温度を、前記より重質な炭化水素成分の大部分が前記比較的揮発性の低い液体画分中に回収される温度に維持するのに効果的である、
前記方法。
【請求項2】
メタン、C2成分及びより重質な炭化水素成分を含有する液化天然ガスを、前記メタンの大部分と前記C2成分の大部分とを含有する揮発性蒸気画分と、C2成分の残り全てと前記より重質な炭化水素成分の大部分とを含有する比較的揮発性の低い液体画分とに分離する方法であって、
(a)前記液化天然ガスを少なくとも部分的に気化するのに十分に加熱して、これにより蒸気流及び液体流を形成し;
(b)前記蒸気流と前記液体流とをカラム中間の上方及び下方の供給位置でそれぞれ分留カラムに供給し、ここで前記蒸気流及び前記液体流は、オーバーヘッド蒸気流と、前記より重質な炭化水素成分の大部分を含有する前記比較的揮発性の低い画分とに分留され;
(c)蒸気蒸留流を前記分留カラムの前記蒸気流より下の領域から抜き出し、十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮させ、これにより凝縮流及び全ての残留蒸気流を形成し、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給し;
(d)前記凝縮流の少なくとも一部をカラム頂部供給位置で前記分留カラムに供給し;
(e)前記オーバーヘッド蒸気流の少なくとも一部と前記残留蒸気流とを前記メタンの大部分を含有する前記揮発性蒸気画分として排出し;そして
(f)前記分留カラムへの前記供給物の量及び温度が、前記分留カラムのオーバーヘッド温度を、前記より重質な炭化水素成分の大部分が前記比較的揮発性の低い液体画分中に回収される温度に維持するのに効果的である、
前記方法。
【請求項3】
メタン、C2成分及びより重質な炭化水素成分を含有する液化天然ガスを、前記メタンの大部分と前記C2成分の大部分とを含有する揮発性蒸気画分と、C2成分の残り全てと前記より重質な炭化水素成分の大部分とを含有する比較的揮発性の低い液体画分とに分離する方法であって、
(a)前記液化天然ガスを少なくとも部分的に気化するのに十分に加熱して、これにより蒸気含有流を形成し;
(b)前記蒸気含有流を膨張させて低圧とし、カラム中間の供給位置で分留カラムに供給し、ここで膨張した前記蒸気含有流は、オーバーヘッド蒸気流と、前記より重質な炭化水素成分の大部分を含有する前記比較的揮発性の低い画分とに分留され;
(c)蒸気蒸留流を前記分留カラムの前記膨張した蒸気含有流より下の領域から抜き出し、十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮させ、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給し;
(d)部分的に凝縮した前記蒸気蒸留流を前記オーバーヘッド蒸気流と組み合わせて、これにより凝縮流及び残留蒸気流を形成し;
(e)前記凝縮流の少なくとも一部をカラム頂部供給位置で前記分留カラムに供給し;
(f)前記残留蒸気流を圧縮して高圧にし、その後十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮させ、それにより前記メタンの大部分を含有する前記揮発性液体画分を形成し、前記冷却は前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給し;そして、
(g)前記分留カラムへの前記供給物の量及び温度が、前記分留カラムのオーバーヘッド温度を、前記より重質な炭化水素成分の大部分が前記比較的揮発性の低い液体画分中に回収される温度に維持するのに効果的である、
前記方法。
【請求項4】
メタン、C2成分及びより重質な炭化水素成分を含有する液化天然ガスを、前記メタンの大部分と前記C2成分の大部分とを含有する揮発性蒸気画分と、C2成分の残り全てと前記より重質な炭化水素成分の大部分とを含有する比較的揮発性の低い液体画分とに分離する方法であって、
(a)前記液化天然ガスを少なくとも一部気化するのに十分に加熱して、これにより蒸気流及び液体流を形成し;
(b)前記蒸気流と前記液体流とを膨張させて低圧とし、それぞれカラム中間の上方及び下方の供給位置で分留カラムに供給し、ここで膨張した前記蒸気流及び膨張した前記液体流は、オーバーヘッド蒸気流と、前記より重質な炭化水素成分の大部分を含有する前記比較的揮発性の低い画分とに分留され;
(c)蒸気蒸留流を前記分留カラムの前記膨張した蒸気流より下の領域から抜き出し、十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮させ、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給し;
(d)部分的に凝縮した前記蒸気蒸留流を前記オーバーヘッド蒸気流と組み合わせて、これにより凝縮流及び残留蒸気流を形成し;
(e)前記凝縮流の少なくとも一部をカラム頂部供給位置で前記分留カラムに供給し;
(f)前記残留蒸気流を圧縮して高圧にし、その後十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮させ、それにより前記メタンの大部分を含有する前記揮発性液体画分を形成し、前記冷却は前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給し;そして、
(g)前記分留カラムへの前記供給物の量及び温度が、前記分留カラムのオーバーヘッド温度を、前記より重質な炭化水素成分の大部分が前記比較的揮発性の低い液体画分中に回収される温度に維持するのに効果的である、
前記方法。
【請求項5】
前記蒸気含有流を膨張させて低圧にし、膨張した前記蒸気含有流をその後前記カラム中間の供給位置で前記分留カラムに供給する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記蒸気流及び前記液体流を膨張させて低圧にし、膨張した前記蒸気流及び膨張した前記液体流をその後、それぞれ前記カラム中間の上方及び下方の供給位置で前記分留カラムに供給する、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
(a)前記凝縮流を少なくとも第一の液体流と第二の液体流とに分け;
(b)前記第一の液体流を、前記頂部供給位置で前記分留カラムに供給し;そして、
(c)前記第二の液体流を、前記蒸気蒸留流を抜き出すのと実質的に同じ領域のカラム中間の供給位置で前記分留カラムに供給する、
請求項1、2、3、4、5または6に記載の方法。
【請求項8】
液体蒸留流を、前記蒸気蒸留流を抜き出す領域よりも上の位置で前記分留カラムから抜き出し、前記液体蒸留流をその後続いて、前記蒸気蒸留流が抜き出される領域よりも下の位置で前記分留カラムに再度向ける、請求項1、2、3、4、5または6に記載の方法。
【請求項9】
液体蒸留流を、前記蒸気蒸留流を抜き出す領域よりも上の位置で前記分留カラムから抜き出し、前記液体蒸留流をその後続いて、前記蒸気蒸留流が抜き出される領域よりも下の位置で前記分留カラムに再度向ける、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記液体蒸留流を加熱し、その後、加熱された前記液体蒸留流を、前記蒸気蒸留流が抜き出される領域よりも下の前記位置で前記分留カラムに再度向ける、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記液体蒸留流を加熱し、その後、加熱された前記液体蒸留流を、前記蒸気蒸留流が抜き出される領域よりも下の前記位置で前記分留カラムに再度向ける、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
メタン、C2成分及びより重質な炭化水素成分を含有する液化天然ガスを、メタンの大部分とC2成分の大部分とを含有する揮発性蒸気画分と、C2成分の残り全てと前記より重質な炭化水素成分の大部分とを含有する比較的揮発性の低い液体画分とに分離するための装置であって、
(a)前記液化天然ガスを受け、これを十分に加熱して部分的に気化して、これにより蒸気含有流を形成するために接続された熱交換手段;
(b)前記蒸気含有流をカラム中間の供給位置で供給するために分留カラムにさらに接続された前記熱交換手段、前記分留カラムは、前記蒸気含有流をオーバーヘッド蒸気流と、前記より重質な炭化水素成分の大部分を含有する前記比較的揮発性の低い画分とに分留するために適合している;
(c)蒸気蒸留流を前記分留カラムの前記蒸気含有流より下の領域から受けるために前記分留カラムに接続されている蒸気抜き出し手段;
(d)前記蒸気蒸留流を受け、これを十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮するために前記抜き出し手段にさらに接続されている前記熱交換手段、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給する;
(e)少なくとも部分的に凝縮した前記蒸気蒸留流を受け、これを凝縮流と全ての残留蒸気流とに分離するために前記熱交換手段に接続された分離手段;
(f)前記凝縮流の少なくとも一部をカラム頂部供給位置で前記分留カラムへ供給するために前記分留カラムにさらに接続された前記分離手段;
(g)前記オーバーヘッド蒸気流と前記残留蒸気流とを受けるために前記分留カラムと前記分離手段とに接続され、これにより前記メタンの大部分を含有する前記揮発性蒸気画分を形成する組み合わせ手段;及び
(h)前記分留カラムに対する前記供給流の量及び温度を、前記分留カラムのオーバーヘッド温度を前記より重質な炭化水素成分の大部分が前記比較的揮発性の低い液体画分中に回収される温度に保持するように調節するために適合された制御手段
を含む前記装置。
【請求項13】
メタン、C2成分及びより重質な炭化水素成分を含有する液化天然ガスを、メタンの大部分とC2成分の大部分とを含有する揮発性蒸気画分と、C2成分の残り全てと前記より重質な炭化水素成分の大部分とを含有する比較的揮発性の低い液体画分とに分離するための装置であって、
(a)前記液化天然ガスを受け、これを十分に加熱して部分的に気化するために接続された熱交換手段;
(b)加熱され部分的に気化した前記液化天然ガスを受け、これを蒸気流と液体流とに分離するために前記熱交換手段に接続された第一の分離手段;
(c)前記蒸気流と前記液体流とをそれぞれカラム中間の上方及び下方の供給位置で供給するために分留カラムにさらに接続された前記第一の分離手段、前記分留カラムは、前記蒸気流及び前記液体流を、オーバーヘッド蒸気流と、前記より重質な炭化水素成分の大部分を含有する前記比較的揮発性の低い画分とに分留するために適合している;
(d)蒸気蒸留流を前記分留カラムの前記蒸気流より下の領域から受けるために前記分留カラムに接続されている蒸気抜き出し手段;
(e)前記蒸気蒸留流を受け、これを十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮するために前記抜き出し手段にさらに接続されている前記熱交換手段、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給する;
(f)少なくとも部分的に凝縮した前記蒸気蒸留流を受け、これを凝縮流と全ての残留蒸気流とに分離するために前記熱交換手段に接続された第二の分離手段;
(g)前記凝縮流の少なくとも一部をカラム頂部供給位置で前記分留カラムに供給するために前記分留カラムにさらに接続された前記第二の分離手段;
(h)前記オーバーヘッド蒸気流と前記残留蒸気流とを受けるために前記分留カラムと前記第二の分離手段とに接続され、これにより前記メタンの大部分を含有する前記揮発性蒸気画分を形成する組み合わせ手段;及び
(i)前記分留カラムに対する前記供給流の量及び温度を、前記分留カラムのオーバーヘッド温度を前記より重質な炭化水素成分の大部分が前記比較的揮発性の低い液体画分中に回収される温度に保持するように調節するために適合された制御手段
を含む前記装置。
【請求項14】
メタン、C2成分及びより重質な炭化水素成分を含有する液化天然ガスを、メタンの大部分とC2成分の大部分とを含有する揮発性蒸気画分と、C2成分の残り全てと前記より重質な炭化水素成分の大部分とを含有する比較的揮発性の低い液体画分とに分離するための装置であって、
(a)前記液化天然ガスを受け、これを十分に加熱して部分的に気化して、これにより蒸気含有流を形成するために接続された熱交換手段;
(b)前記蒸気含有流を受け、これを膨張させて低圧にするために前記熱交換手段に接続された膨張手段;
(c)膨張した前記蒸気含有流をカラム中間の供給位置で供給するために分留カラムにさらに接続された前記膨張手段、前記分留カラムは、前記膨張した蒸気含有流を、オーバーヘッド蒸気流と、前記より重質な炭化水素成分の大部分を含有する前記比較的揮発性の低い画分とに分留するために適合している;
(d)前記膨張した蒸気含有流より下の前記分留カラムの領域から蒸気蒸留流を受けるために前記分留カラムに接続された蒸気抜き出し手段;
(e)前記蒸気蒸留流を受け、これを十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮するために前記抜き出し手段にさらに接続されている前記熱交換手段、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給する;
(f)前記オーバーヘッド蒸気流と少なくとも部分的に凝縮された蒸気蒸留流とを受け、これにより組み合わせ流を形成するために前記分留カラムと熱交換手段とに接続された組み合わせ手段;
(g)前記組み合わせ流を受け、これを凝縮流と残留蒸気流とに分離するために前記組み合わせ手段に接続された分離手段;
(h)前記凝縮流の少なくとも一部をカラム頂部供給位置で前記分留カラムに供給するために前記分留カラムにさらに接続された前記分離手段;
(i)前記残留蒸気流を受け、これを圧縮して高圧にするために前記分離手段に接続された圧縮手段;
(j)圧縮された前記残留蒸気流を受け、これを十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮させ、これにより前記メタンの大部分を含有する前記揮発性液体画分を形成するために前記圧縮手段にさらに接続された前記熱交換手段、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給する;及び
(k)前記分留カラムに対する前記供給流の量及び温度を、前記分留カラムのオーバーヘッド温度を、前記より重質な炭化水素成分の大部分が前記比較的揮発性の低い液体画分中に回収される温度に保持するように調節するために適合された制御手段
を含む前記装置。
【請求項15】
メタン、C2成分及びより重質な炭化水素成分を含有する液化天然ガスを、メタンの大部分とC2成分の大部分とを含有する揮発性蒸気画分と、C2成分の残り全てと前記より重質な炭化水素成分の大部分とを含有する比較的揮発性の低い液体画分とに分離するための装置であって、
(a)前記液化天然ガスを受け、これを十分に加熱して部分的に気化するために接続された熱交換手段;
(b)加熱され部分的に気化された前記液化天然ガスを受け、これを蒸気流と液体流とに分離するために前記熱交換手段に接続された第一の分離手段;
(c)前記蒸気流を受け、これを膨張させて低圧にするために前記第一の分離手段に接続された第一の膨張手段;
(d)前記液体流を受け、これを膨張させて低圧にするために前記第一の分離手段に接続された第二の膨張手段;
(e)膨張した前記蒸気流及び膨張した前記液体流をそれぞれカラム中間の上方及び下方の供給位置に供給するために分留カラムにさらに接続された前記第一の膨張手段及び前記第二の膨張手段、前記分留カラムは、膨張した蒸気流と膨張した液体流とを、オーバーヘッド蒸気流と、前記より重質な炭化水素成分の大部分を含有する前記比較的揮発性の低い画分とに分留するように適合している;
(f)前記膨張した蒸気流より下の前記分留カラムの領域から蒸気蒸留流を受けるために前記分留カラムに接続された蒸気抜き出し手段;
(g)前記蒸気蒸留流を受け、これを十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮するために前記抜き出し手段にさらに接続されている前記熱交換手段、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給する;
(h)前記オーバーヘッド蒸気流と少なくとも部分的に凝縮された蒸気蒸留流とを受け、これにより組み合わせ流を形成するために前記分留カラムと熱交換手段とに接続された組み合わせ手段;
(i)前記組み合わせ流を受け、これを凝縮流と残留蒸気流とに分離するために前記組み合わせ手段に接続された第二の分離手段;
(j)前記凝縮流の少なくとも一部をカラム頂部供給位置で前記分留カラムに供給するために前記分留カラムにさらに接続された前記第二の分離手段;
(k)前記残留蒸気流を受け、これを圧縮して高圧にするために前記第二の分離手段に接続された圧縮手段;
(l)圧縮された前記残留蒸気流を受け、これを十分に冷却して少なくとも部分的に凝縮させ、これにより前記メタンの大部分を含有する前記揮発性液体画分を形成するために前記圧縮手段にさらに接続された前記熱交換手段、前記冷却は、前記液化天然ガスの前記加熱の少なくとも一部を供給する;及び
(m)前記分留カラムに対する前記供給流の量及び温度を、前記分留カラムのオーバーヘッド温度を、前記より重質な炭化水素成分の大部分が前記比較的揮発性の低い液体画分中に回収される温度に保持するように調節するために適合された制御手段
を含む前記装置。
【請求項16】
膨張手段は、前記蒸気含有流を受け、これを膨張させて低圧にするために前記熱交換手段に接続され、前記膨張手段は、膨張した前記蒸気含有流を前記カラム中間の供給位置で供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項12に記載の装置。
【請求項17】
(a)第一の膨張手段は、前記蒸気流を受け、これを膨張させて低圧にするために前記第一の分離手段に接続されており;
(b)第二の膨張手段は、前記液体流を受け、これを膨張させて低圧にするために前記第一の分離手段に接続されており;及び
(c)前記第一の膨張手段及び前記第二の膨張手段は、膨張した前記蒸気流及び膨張した前記液体流をそれぞれ、カラム中間の上方及び下方の供給位置で供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、
請求項13に記載の装置。
【請求項18】
(a)分割手段は、前記凝縮流を受け、これを少なくとも第一及び第二の液体流に分割するために前記分離手段に接続されており、前記分割手段は前記頂部供給位置で前記蒸留カラムに前記第一の液体流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されており;そして
(b)前記分割手段は、前記蒸気抜き出し手段と実質的に同一領域の位置で前記分留カラムに前記第二の液体流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項12、14または16に記載の装置。
【請求項19】
(a)分割手段は、前記凝縮流を受け、これを少なくとも第一及び第二の液体流に分割するために前記第二の分離手段に接続されており、前記分割手段は、前記頂部供給位置で前記蒸留カラムに前記第一の液体流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されており;そして
(b)前記分割手段は、前記蒸気抜き出し手段と実質的に同一領域の位置で前記分留カラムに前記第二の液体流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項13、15または17に記載の装置。
【請求項20】
液体抜き出し手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも上の前記分留カラムの領域から液体蒸留流を受けるために前記分留カラムに接続されており、前記液体抜き出し手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも下の位置で前記分留カラムに前記液体蒸留流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項12、13、14、15、16または17に記載の装置。
【請求項21】
液体抜き出し手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも上の前記分留カラムの領域から液体蒸留流を受けるために前記分留カラムに接続されており、前記液体抜き出し手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも下の位置で前記分留カラムに前記液体蒸留流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項18に記載の装置。
【請求項22】
液体抜き出し手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも上の前記分留カラムの領域から液体蒸溜流を受けるために前記分留カラムに接続されており、前記液体抜き出し手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも下の位置で前記分留カラムに前記液体蒸留流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項19に記載の装置。
【請求項23】
加熱手段は、前記液体蒸留流を受け、これを加熱するために前記液体抜き出し手段に接続され、前記加熱手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも下の前記位置で前記分留カラムに前記加熱された液体蒸留流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項20に記載の装置。
【請求項24】
加熱手段は、前記液体蒸留流を受け、これを加熱するために前記液体抜き出し手段に接続され、前記加熱手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも下の前記位置で前記分留カラムに前記加熱された液体蒸留流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項21に記載の装置。
【請求項25】
加熱手段は、前記液体蒸留流を受け、これを加熱するために前記液体抜き出し手段に接続され、前記加熱手段は、前記蒸気抜き出し手段よりも下の位置で前記分留カラムに前記加熱された液体蒸留流を供給するために前記分留カラムにさらに接続されている、請求項22に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−527437(P2010−527437A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508474(P2010−508474)
【出願日】平成20年4月9日(2008.4.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/059712
【国際公開番号】WO2008/144124
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(505320850)オートロフ・エンジニアーズ・リミテッド (23)
【Fターム(参考)】