説明

液晶パネルの製造方法、液晶パネルの製造装置

【課題】修正操作性に優れた方法を採用した場合においても、タクトタイムを増大させることなく、効率的な処理を実現することが可能な修正工程を備えた液晶パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の液晶パネルの製造方法は、第1の欠陥基板30Aが修正処理室50内に搬入されてからの経過時間T1を算出し、経過時間T1が予め定められた基準時間T0よりも短い場合に、第1の欠陥基板30Aを修正処理室50から搬出せずに修正処理室50内に待機させ、基準時間T0が経過した後に、第1の欠陥基板30Aの搬出と、次の修理対象である第2の欠陥基板30Bの搬入とを同時に行う修正工程を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルの製造方法、液晶パネルの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶等の表示素子部品の修正装置として、例えば特許文献1に開示されたものが公知である。具体的には、特許文献1に開示された部品修正装置は、移動および停止を繰り返しながらカラーフィルタを搬送するステージと、ステージによって搬送されるカラーフィルタに対して欠陥部への液滴の塗布を行う液滴塗布機構ユニットとを備えている。この液滴塗布ユニットは、ステージによるカラーフィルタの搬送停止中にカラーフィルタに対して液滴の塗布を行うものとしている。
【特許文献1】特開2007−101758公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このようなステージによるカラーフィルタの搬送停止中に修正を行う場合、搬送途上において修正を行うため、修正対象であるカラーフィルタの移動・操作やその修正内容が限定される場合がある。そこで、搬送部と修正部とを別個に構成し、搬送部によりカラーフィルタ等の修正対象物を修正部に順次搬入・搬出を繰り返すようにした技術も知られている。
【0004】
ところが、この場合、修正対象物の欠陥個数の相違や群欠陥(所定領域に形成された欠陥の集合)の有無によって、個々の修正対象物の修正に係る時間(タクトタイム)が増減し得る。例えば、欠陥個数が少なく、修理部での処理時間が大幅に短くなると、搬出部が次の修正対象物を用意できずに、搬入と搬出を別動作で行う場合があり、エクスチェンジ動作に失敗する確率が高くなる。この失敗によって、タクトタイムが大幅に増加するという問題が生じる場合がある。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、修正操作性に優れた方法を採用した場合においても、タクトタイムを増大させることなく、効率的な処理を実現することが可能な修正工程を備えた液晶パネルの製造方法、及び修正装置を備えた液晶パネルの製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の液晶パネルの製造方法は、面内に複数の要素を配置した液晶用基板からなる液晶パネルの製造方法であって、前記要素の欠陥を検出する欠陥検出工程と、欠陥が検出された欠陥基板を修正する修正工程と、を含み、前記修正工程において、前記欠陥基板を修正する修正処理室に対して、前記欠陥基板の搬入と搬出を行うことで、前記欠陥基板を順次修正するものとし、第1の欠陥基板が前記修正処理室内に搬入されてからの経過時間T1を算出し、前記経過時間T1が予め定められた基準時間T0よりも短い場合に、前記第1の欠陥基板を前記修正処理室から搬出せずに前記修正処理室内に待機させ、前記基準時間T0が経過した後に、前記第1の欠陥基板の搬出と、次の修理対象である第2の欠陥基板の搬入とを同時に行うことを特徴とする。
【0007】
このような製造方法によると、修正処理室における処理時間が短い欠陥基板に関して、修正処理が終わっても修正処理室から搬出せずに、欠陥基板を修正処理室に待機させてから搬出するものとしているため、後行の欠陥基板(第2の欠陥基板)が修正処理可能な状態になるまで、つまり後行の欠陥基板(第2の欠陥基板)が搬入可能な状態になるまで、先行の欠陥基板(第1の欠陥基板)を待機させ、先行の第1の欠陥基板の搬出と、後行の第2の欠陥基板の搬入とを同時に行うことができるようになる。そして、このような搬送動作を継続可能となるため、エクスチェンジ動作の失敗確率が低くなり、修正に係る時間(タクトタイム)を増大させるような不具合が生じ難いものとなる。
【0008】
上記製造方法において、前記液晶用基板が、前記複数の要素として複数の着色部を備えたカラーフィルタ基板であるものとすることができる。
このようなカラーフィルタ基板は、各着色部において欠陥が生じやすく、基板毎に欠陥個数の大小や群欠陥の有無が相違するため、本発明に係る製造方法を採用することが特に好ましい。
【0009】
前記欠陥検出工程が、前記欠陥として、前記カラーフィルタ基板の着色部における混色、或いは色抜けの少なくともいずれかを検出するものとすることができる。
カラーフィルタ基板の着色部は、混色や色抜け(着色がなされていないこと)が生じやすいため、本発明に係る製造方法を採用することが特に好ましい。
【0010】
前記修正処理室は、欠陥を備えた前記要素に対してインクジェット法により当該要素を再構築するものであるものとすることができる。
このようなインクジェット法により、欠陥を備えた要素の再構築を非常に簡便に行うことができるようになる。
【0011】
一方、上記課題を解決するために、本発明の液晶パネルの製造装置は、面内に複数の要素を配置した液晶用基板からなる液晶パネルを製造する製造装置であって、前記要素の欠陥を検出する欠陥検出装置と、欠陥が検出された欠陥基板を修正する修正装置と、を含み、前記修正装置は、前記欠陥基板を修正する修正処理室と、前記修正処理室に対して、欠陥基板の搬入と搬出を行う基板搬送装置と、予め定められた基準時間T0を記憶する記憶装置と、第1の欠陥基板が前記修正処理室内に搬入されてからの経過時間T1を算出する経過時間算出装置と、前記経過時間T1が前記基準時間T0よりも短い場合に、前記第1の欠陥基板を前記修正装置から搬出せずに前記修正処理室内に待機させ、前記基準時間T0が経過した後に、前記第1の欠陥基板の搬出と、次の修理対象である第2の欠陥基板の搬入とを同時に行う制御を実行する制御装置と、を有することを特徴とする。
【0012】
このような製造装置によると、修正処理室における処理時間が短い欠陥基板に関して、修正処理が終わっても修正処理室から搬出せずに、欠陥基板を修正処理室に待機させてから搬出する制御を行うものとしているため、後行の欠陥基板(第2の欠陥基板)が修正処理可能な状態になるまで、つまり後行の欠陥基板(第2の欠陥基板)が搬入可能な状態になるまで、先行の欠陥基板(第1の欠陥基板)を待機させ、先行の欠陥基板(第1の欠陥基板)の搬出と、後行の欠陥基板(第2の欠陥基板)の搬入とを同時に行うことができるようになる。そして、このような搬送動作を継続可能となるため、エクスチェンジ動作の失敗確率が低くなり、修正に係る時間(タクトタイム)を増大させるような不具合が生じ難いものとなる。
【0013】
前記液晶用基板が、前記複数の要素として複数の着色部を備えたカラーフィルタ基板であるものとすることができる。
このようなカラーフィルタ基板は、各着色部において欠陥が生じやすく、基板毎に欠陥個数の大小や群欠陥の有無が相違するため、本発明に係る製造装置を採用することが特に好ましい。
【0014】
前記欠陥検出装置が、前記欠陥として、前記カラーフィルタ基板の着色部における混色、或いは色抜けの少なくともいずれかを検出するものとすることができる。
カラーフィルタ基板の着色部は、混色や色抜け(着色がなされていないこと)が生じやすいため、本発明に係る製造方法を採用することが特に好ましい。
【0015】
前記修正装置は、前記修正処理室において、欠陥を備えた前記要素に対してインクジェット法により当該要素を再構築するインクジェット装置を有するものとすることができる。
このようなインクジェット装置により、欠陥を備えた要素の再構築を非常に簡便に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0016】
本発明により、修正操作性に優れた方法を採用した場合においても、タクトタイムを増大させることなく、効率的な処理を実現することが可能な修正工程を備えた液晶パネルの製造方法、及び液晶パネルの製造装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態について説明する。
図1は本発明に係る製造方法ないし製造装置により製造された液晶パネルを備える液晶表示装置(液晶装置)について、その概略構成を分解して示す斜視図、図2は同液晶表示装置の概略構成を示す断面図、図3は同液晶表示装置の要部構成(液晶パネルの一部分)について示す断面図である。
【0018】
図1及び図2に示した液晶表示装置10は、矩形をなす液晶パネル11と、外部光源であるバックライト装置12とを備え、これらがベゼル13などにより一体的に保持されるようになっている。
バックライト装置12は、所謂直下型のバックライト装置であって、液晶パネル11のパネル面(表示面)の背面直下に、当該パネル面に沿って光源(ここでは冷陰極管17)が並列配置された構成を具備している。バックライト装置12は、上面側が開口した矩形の略箱型をなす金属製のシャーシ14と、シャーシ14の開口部を覆うようにして取り付けられる複数の光学部材15(図示下側から順に拡散板、拡散シート、レンズシート、光学シート)と、これら光学部材15をシャーシ14に保持するためのフレーム16と、シャーシ14内に収容されるランプである冷陰極管17と、冷陰極管17の両端部を保持するためのゴム製(例えばシリコンゴム製)のホルダ18と、冷陰極管17群及びホルダ18群を一括して覆うランプホルダ19と、冷陰極管17における両端部を除いた途中の部分を保持するためのランプクリップ20とを備える。
【0019】
液晶パネル11は、図3に示すように、一対の基板30,40が所定のギャップを隔てた状態で貼り合わせられるとともに、両基板30,40間に液晶が封入された構成とされ、当該液晶により液晶層50が形成されている。
基板40は素子基板(アクティブマトリクス基板)であって、ガラス基板41と、ガラス基板41の液晶層50側に形成された薄膜トランジスタ(TFT)60と、当該薄膜トランジスタ60に対して電気的に接続された画素電極44と、これら薄膜トランジスタ60及び画素電極44の液晶層50側に形成された配向膜45と、を備えている。また、ガラス基板41の液晶層50側とは反対側には偏光板42が配されている。
【0020】
画素電極44は例えばITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなり、素子基板40の液晶層50側にマトリクス状のパターンで形成されている。詳しくは、薄膜トランジスタ60のドレイン電極(図示略)と接続され、当該薄膜トランジスタ60のスイッチング作動により選択的に電圧が印加されるものとなっている。また、配向膜45は例えばポリイミドのラビング配向膜から構成されており、偏光板42は例えば透明フィルムにヨウ素や染料を染み込ませたものを、一方向に延伸してなるものを採用している。
【0021】
一方、基板30はカラーフィルタ基板(対向基板)であって、ガラス基板31と、ガラス基板31の液晶層50側に形成され、R(赤),G(緑),B(青)の各色光を選択的に透過可能な着色部R,G,Bを備えたカラーフィルタ33と、カラーフィルタ33の液晶層50側に形成された共通電極34と、共通電極34の液晶層50側に形成された配向膜35と、を備えている。また、ガラス基板31の液晶層50側とは反対側には偏光板32が配されている。
【0022】
カラーフィルタ33は、着色部R,G,Bの境界に配されたブラックマトリクスBMを備え、当該ブラックマトリクスBMは素子基板40の非画素部(つまり薄膜トランジスタ60が形成された領域)を覆うように、当該非画素部に重畳して配されている。また、共通電極34は例えばITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電膜からなり、対向基板30の液晶層50側に全面ベタ状に形成されている。また、配向膜35は例えばポリイミドのラビング配向膜から構成されており、偏光板32は例えば透明フィルムにヨウ素や染料を染み込ませたものを、一方向に延伸してなるものを採用している。
【0023】
このような液晶表示装置10の液晶パネル11は、下記のような修正工程を経て製造されるものとなっている。なお、当該液晶パネル11の素子基板40及びカラーフィルタ基板30を作成する工程は、公知の方法が採用されており、この公知の方法により作成された基板に対して所定の欠陥検査工程を行った後、欠陥が検出された場合に修正工程を行うものとしている。
【0024】
修正工程では、図4に示すようなインクジェット装置100を含む修正装置200(図5)により、欠陥の修正を行うものとしている。
図4は修正装置200が備えるインクジェット装置100の概略構成を示し、図5は液晶装置の製造装置300の一部である修正装置200のブロック図を示している。また、図6は、修正装置200の主制御装置110が実行する制御内容を示すフロー図、図7〜図9は、基板搬送処理を模式的に示す説明図である。
なお、以下では、カラーフィルタ基板30の着色部R,G,Bにおける混色或いは色抜け(着色がなされていない場合)等の欠陥を修正する場合について説明するものとする。
【0025】
図5に示した修正装置200は、欠陥検出装置190により検出された欠陥の位置等を表す欠陥データに基づいて、インクジェット装置100により欠陥基板30の欠陥を修正するものである。なお、インクジェット装置100による欠陥修正に先立って、レーザ照射等により欠陥部分の着色部を除去する除去工程を行うものとしている。
【0026】
図4に示すように、インクジェット装置100は、定盤120と、定盤120の上面にY軸方向に往復移動可能に設けられたステージ102と、定盤120上に固定して架設された走査基台108と、走査基台108に対してX軸方向に往復移動可能に設けられた修正処理部(インクジェットヘッド)103と、この修正処理部103に一体に取り付けられた観察カメラ104とを備えている。
【0027】
ステージ102のXY平面に沿った上面には、基板搬送装置(搬入装置兼搬出装置;図5参照)170によって、平板状の基板(欠陥基板)30が載置されている。このステージ102は、図示しないスクリューシャフト等を介して主走査軸としてのY軸駆動モータ106と連結されている。ステージ102は、Y軸駆動モータ106による駆動に伴って、Y軸方向に延びる図示しない一対のガイドレールに案内されて、Y軸方向に往復移動する。ステージ102自体は、定盤120上で基板30の直交2軸の位置と姿勢を制御するための図示しないXYθ軸を備える。
【0028】
走査基台108は、定盤120の上面のうちステージ102のY軸方向の移動経路の両側に相当する位置に立設された一対のコラム部108a,108bと、そのコラム部108a,108bの頂部に架けわたされたビーム部108cとを有する。ビーム部108cには、スライダ109がX軸方向に往復移動可能に取り付けられている。このスライダ109は、コラム部108aの頂部に設けられた副走査軸としてのX軸駆動モータ107による駆動に伴って、X軸方向に往復移動する。
【0029】
メイン処理部としての修正処理部103は、X軸方向に往復移動可能なスライダ109を介して走査基台108に取り付けられている。この例では、修正処理部103は、着色部(要素)R,G,Bの修正処理を行うために、基板30上に着色材料を塗布する装置である。修正処理部103は、Y軸駆動モータ106とX軸駆動モータ107によってY軸方向とX軸方向に移動されるとともに、塗布タイミングに合わせて図示しないノズルから着色材料を吐出するように、後述する主制御装置110(図5参照)によって制御される。この制御に応じて、修正処理部103のノズルから基板30上の処理目標へ向けて着色材料が吐出される(修正処理)。
【0030】
観察カメラ104は、修正処理部103による基板30上の修正箇所をレビュー(点検)するために設けられている。そのため、観察カメラ104のための照明(レンズを含む)105は下方へ向けられている。観察カメラ104によって撮影された画像は、次に述べるモニタ115(図5参照)に表示される。
【0031】
図5に示すように、この修正装置200は、主制御装置110と、この主制御装置110によって参照される記憶装置111と、画像処理部112と、ステージ制御部113と、基板位置決め制御部114と、モニタ115と、基板搬入後の経過時間をカウントするタイマ116とを備えている。主制御装置110は、CPU(中央処理ユニット)からなり、この修正装置200全体の制御を行う。記憶装置111は、この例ではハードディスクドライブからなり、本実施形態では、例えば先行する第1の基板が搬入された後、後行する次の第2の基板について搬入準備が整うまでの時間(基準時間)T0が必要な情報の一つとして記憶されている。
【0032】
画像処理部112は、観察カメラ104が撮影した画像を処理するとともに、良好な画像が得られるように照明105を制御する。ステージ制御部113は、主走査軸としてのY軸駆動モータ106と副走査軸としてのX軸駆動モータ107とを制御する。基板位置決め制御部114は、図示しないXYθ軸を介して、定盤120上で基板30の直交2軸の位置と姿勢を制御する。なお、主制御装置110は、サブ処理実行可否判定部および制御部として働くとともに、モニタ115と協働して処理結果表示部として働く。
【0033】
図7〜図9は、基板搬送装置170の構成とその搬送態様を示している。この基板搬送装置170は、インクジェット装置100を搭載した修正処理室50に対して、基板30を搬入・搬出するものであり、基板30を把持して修正処理室50に搬入するためのアーム17cと、同じく基板30を把持して修正処理室50から搬出するためのアーム17bと、これらアーム17b,17cを操作する搬送主体17aと、を備えている。なお、修正処理室50はシャッター51を具備し、基板30の搬入・搬出のタイミングに併せて開閉可能な構成となっている。
【0034】
図6は、この修正装置200の主制御装置110による処理フローを示している。
図6中のステップS1で、前工程(欠陥検出工程)から送られてきた第1の基板30A(30)を修正処理室50(つまり修正処理を行う工程;図7参照)に搬入する(基板搬入処理)。この基板搬入処理では、主制御装置110は、基板搬送装置(搬入装置兼搬出装置)170を駆動して、基板30Aをインクジェット装置100のステージ102上に搬入して載置させる。ステージ102に載置された基板30Aは、主制御装置110により制御された基板位置決め制御部114によって、ステージ102に位置決め固定される。
【0035】
次にステップS2では、アライメント処理を行う。このアライメント処理では、基板30Aの上面に形成されたアライメントマークを撮像するために、主制御装置110は、ステージ制御部113を介して、主走査軸106と副走査軸107を制御する。これにより、観察カメラ104がアライメントマークを撮像可能な位置に移動することとなる。画像処理部112は、撮像したマーク位置を計測して、XYθ軸の補正量を算出する。主制御装置110は、その算出値に応じて基板位置決め制御部114へ移動指令を行って、ステージ102の姿勢を制御する。
【0036】
次にステップS3で、主制御装置110からの指令に基づいて、修正処理部103がステージ102上の基板30Aに対して修正処理を行う。この実施形態では、主制御装置110は、上流工程(つまり欠陥検出装置190で欠陥検出する工程)で得られた基板30A上の欠陥データについて、これを記憶しておいた欠陥データサーバ(図示略)から読み出し、その欠陥データに応じて修正処理部103及びステージ制御部113へ処理指令を送る。
【0037】
具体的には、主制御装置110は、修正処理部103をその欠陥の直上の位置へ移動させるため、欠陥データに基づいて主走査軸106と副走査軸107の絶対位置指令値あるいは相対移動指令値を算出して、ステージ制御部113へ送る。欠陥の直上の位置に移動した修正処理部103によって、その欠陥に対して修正処理が行われる。このようにして、修正処理部103をY軸方向とX軸方向に移動させながら、基板30Aが有する全ての欠陥に対して修正処理が行われる。
【0038】
次にステップS4では、主制御装置110はタイマ116から基板30Aの搬入後の経過時間T1を算出する。そしてステップS5で、読み取った経過時間T1と記憶装置11に予め記憶したT0とを比較判定する。
【0039】
ステップS5において、T1がT0よりも小さいと判定された場合、ステップS6に進み、T0が経過するまで基板30Aの搬出を待機する制御を行う(図7参照)。つまり、基板搬送装置170に対して、操作指令を行わない或いは操作待機指令を行い、次の欠陥基板(つまり第2の基板30B)が修正処理室50に搬送可能な状態となるまで、第1の基板30Aを修正処理室50に待機させる。
【0040】
一方、ステップS5において、T1がT0以上と判定された場合、或いはステップS5においてT1がT0よりも小さいと判定された場合であって、ステップS6においてT0が経過するまで基板30Aの搬出の待機を行った場合は、ステップS7に進み、基板30Aを修正処理室50から搬出する(図8,図9参照)。このとき、次の欠陥基板(第2の基板30B)が同時に修正処理室50に搬入され、すなわち基板の搬出と搬入が同時に行われる。
【0041】
この基板搬入搬出処理では、主制御装置110は、基板搬送装置(搬入装置兼搬出装置)170を駆動して、基板30Aを修正処理室50から搬出するとともに、次の欠陥基板(第2の基板30B)をステージ102上に搬入して載置させる。ステージ102に載置された第2の基板30Bは、上記同様、主制御装置110により制御された基板位置決め制御部114によって、ステージ102に位置決め固定され、修正処理部103により必要な修正が施される。
【0042】
以上のような搬送・搬出を繰り返し行いつつ、修正処理室50にて欠陥の修正を順次行うことで、修正工程が実行されている。そして、欠陥が検出されたカラーフィルタ基板30については、この修正工程を経た後、素子基板40と貼り合わされ、液晶を介在させた状態で液晶パネル11として供されることとなる。
【0043】
以上のような本実施形態によると、液晶パネル11を作成するに係り、上記修正工程を経るようにしており、その修正工程においては、修正処理室50における処理時間が短い第1の基板30Aに関して、必要な修正処理が終わっても修正処理室50から搬出を行わず、第1の基板30Aを修正処理室に待機させてから搬出するものとしているため、修正に係る時間が増大する不具合が生じ難いものとなっている。
【0044】
具体的には、後行の第2の基板30Bが修正処理可能な状態になるまで(つまり後行の第2の基板30Bが修正処理室50に搬入可能な状態になるまで)、先行の第1の基板30Aを待機させている。したがって、先行の第1の基板30Aの搬出と、後行の第2の基板30Bの搬入とを同時に行うことができ、このような搬送(搬入・搬出)動作を継続して行うものとしているため、基板のエクスチェンジ動作の失敗確率が低くなり、修正に係る時間(タクトタイム)を増大させるような不具合が生じ難いものとなっている。
【0045】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明はこのような実施の形態に限定されるものではなく、以下のような形態も本発明に含まれる。
【0046】
(1)本実施形態では、カラーフィルタ基板の修正工程を示したが、面内に複数の要素を配置した液晶用基板、例えば要素として面内に複数のTFTや画素を備える素子基板についても、TFTや画素の欠陥を修正する際に修正装置200を用いて当該修正工程を採用することが可能である。
【0047】
(2)本実施形態では、修正処理を行う主体としてインクジェット装置を示したが、例えばニードル方式やディスペンサー方式により着色材料(要素)を塗布する方法を採用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本実施形態の液晶表示装置の概略構成を示す斜視図。
【図2】図1の液晶表示装置の概略構成を示す断面図。
【図3】図1の液晶表示装置の要部構成(液晶パネルの一部分)について示す断面図。
【図4】インクジェット装置の概略構成を示す概念図。
【図5】修正装置の構成を示すブロック図。
【図6】修正装置の主制御装置による処理フローを示す図。
【図7】基板搬送処理を模式的に示す説明図。
【図8】基板搬送処理を模式的に示す説明図。
【図9】基板搬送処理を模式的に示す説明図。
【符号の説明】
【0049】
10…液晶表示装置(液晶装置)、11…液晶パネル、30…基板(液晶用基板、カラーフィルタ基板)、30A…欠陥基板(第1の基板)、30B…欠陥基板(第2の基板)、50…修正処理室、100…インクジェット装置、102…ステージ、103…修正処理部、104…観察カメラ、110…主制御装置(制御装置)、111…記憶装置、112…画像処理部、113…ステージ制御部、114…基板位置決め制御部、115…モニタ、116…タイマ(経過時間算出装置)、170…基板搬送装置、190…欠陥検出装置、200…修正装置、300…製造装置、R,G,B…着色部(要素)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面内に複数の要素を配置した液晶用基板からなる液晶パネルの製造方法であって、
前記要素の欠陥を検出する欠陥検出工程と、
欠陥が検出された欠陥基板を修正する修正工程と、を含み、
前記修正工程において、
前記欠陥基板を修正する修正処理室に対して、前記欠陥基板の搬入と搬出を行うことで、前記欠陥基板を順次修正するものとし、
第1の欠陥基板が前記修正処理室内に搬入されてからの経過時間T1を算出し、前記経過時間T1が予め定められた基準時間T0よりも短い場合に、前記第1の欠陥基板を前記修正処理室から搬出せずに前記修正処理室内に待機させ、前記基準時間T0が経過した後に、前記第1の欠陥基板の搬出と、次の修理対象である第2の欠陥基板の搬入とを同時に行うことを特徴とする液晶パネルの製造方法。
【請求項2】
前記液晶用基板が、前記複数の要素として複数の着色部を備えたカラーフィルタ基板であることを特徴とする請求項1に記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項3】
前記欠陥検出工程が、前記欠陥として、前記カラーフィルタ基板の着色部における混色、或いは色抜けの少なくともいずれかを検出することを特徴とする請求項2に記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項4】
前記修正処理室は、欠陥を備えた前記要素に対してインクジェット法により当該要素を再構築するものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液晶パネルの製造方法。
【請求項5】
面内に複数の要素を配置した液晶用基板からなる液晶パネルを製造する製造装置であって、
前記要素の欠陥を検出する欠陥検出装置と、
欠陥が検出された欠陥基板を修正する修正装置と、を含み、
前記修正装置は、
前記欠陥基板を修正する修正処理室と、
前記修正処理室に対して、欠陥基板の搬入と搬出を行う基板搬送装置と、
予め定められた基準時間T0を記憶する記憶装置と、
第1の欠陥基板が前記修正処理室内に搬入されてからの経過時間T1を算出する経過時間算出装置と、
前記経過時間T1が前記基準時間T0よりも短い場合に、前記第1の欠陥基板を前記修正装置から搬出せずに前記修正処理室内に待機させ、前記基準時間T0が経過した後に、前記第1の欠陥基板の搬出と、次の修理対象である第2の欠陥基板の搬入とを同時に行う制御を実行する制御装置と、を有することを特徴とする液晶パネルの製造装置。
【請求項6】
前記液晶用基板が、前記複数の要素として複数の着色部を備えたカラーフィルタ基板であることを特徴とする請求項5に記載の液晶パネルの製造装置。
【請求項7】
前記欠陥検出装置が、前記欠陥として、前記カラーフィルタ基板の着色部における混色、或いは色抜けの少なくともいずれかを検出することを特徴とする請求項6に記載の液晶パネルの製造装置。
【請求項8】
前記修正装置は、前記修正処理室において、欠陥を備えた前記要素に対してインクジェット法により当該要素を再構築するインクジェット装置を有することを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の液晶パネルの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−181557(P2010−181557A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−23844(P2009−23844)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】