説明

液晶ブロックコポリマーを用いた医療用デバイスならびに同デバイスの製造方法

医療用デバイスであって、該デバイスの少なくとも一部が、少なくとも1つの液晶ブロックコポリマーを含むポリマー組成物から形成され、該液晶ブロックコポリマーは少なくとも1つのAブロックと少なくとも1つのBブロックとを有し、Aブロックはメソゲン繰り返し単位から形成されBブロックはソフトブロックである、医療用デバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿入または移植のうち少なくともいずれかが可能な医療用デバイスの分野、特にバルーン付きカテーテルアセンブリおよびその構成要素に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ポリマー(LCP)を熱可塑性ポリマー(すなわちマトリックスポリマー)と組み合わせて使用し、挿入または移植のうち少なくともいずれかが可能な医療用デバイス、例えばカテーテルアセンブリおよびその構成要素、例えばバルーン付きカテーテルアセンブリの先端に配置することができる拡張式医療用バルーンの製造において使用することは周知である。例えば、本出願人による特許文献1〜4を参照されたい。また、シャイブル(Schaible)の特許文献5〜7も参照されたい。
【0003】
液晶ポリマーは、一般に使用される熱可塑性ポリマーから相分離して多相のポリマー組成物になることが知られている。例えば、ズドラハラ(Zdrahala)の特許文献8〜9を参照されたい。
【0004】
LCPと熱可塑性ポリマーとの相溶化ブレンドは、医療用デバイスバルーン材料としての使用に適していることが見出されている。例えば本出願人による特許文献10を参照されたい。
【0005】
医療用デバイスの形成、特にカテーテルアセンブリまたはその構成要素の製造において使用することができる、液晶ポリマー材料または液晶ポリマー材料を使用したブレンドであって従来の他のLCP/ポリマーブレンドよりも高い相溶性を有するものが得られれば望ましいであろう。
【0006】
上記に参照かつ/または記述した技術は、本明細書で参照したいかなる特許、刊行物またはその他の情報も本発明に関して「先行技術」であると承認するように意図されたものではない。さらに、本節は、調査済みであること、または米国特許法施行規則第1.56条(a)項に規定されているような他の関連情報が全く存在しないことを意味するものと解釈すべきではない。
【0007】
本願のいずれの箇所で言及された米国特許および特許出願ならびにその他あらゆる出版刊行物も全て、参照によってその全体が本願に組み込まれる。
本発明の範囲を限定することなく、本発明の特許請求の範囲に記載の実施形態のうちのいくつかについて以下に概要を説明する。概説される本発明の実施形態のさらなる詳細または本発明の別の実施形態のうち少なくともいずれかについて、以降の発明の詳細な説明において見出すことができる。
【0008】
明細書中の技術的開示に関する簡潔な要約書も、米国特許法施行規則第1.72条に応じた目的のためにのみ提供される。要約書は、特許請求の範囲の解釈のために使用することを意図したものではない。
【特許文献1】米国特許第6977103号明細書
【特許文献2】米国特許第6905743号明細書
【特許文献3】米国特許第6730377号明細書
【特許文献4】米国特許第6284333号明細書
【特許文献5】米国特許第6596219号明細書
【特許文献6】米国特許第6443925号明細書
【特許文献7】米国特許第6325780号明細書
【特許文献8】米国特許第5248305号明細書
【特許文献9】米国特許第5156785号明細書
【特許文献10】米国特許第6242063号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
医療用デバイスの形成、特にカテーテルアセンブリまたはその構成要素の製造において使用することができる、液晶ポリマー材料または液晶ポリマー材料を使用したブレンドであって従来の他のLCP/ポリマーブレンドよりも高い相溶性を有するものが得られれば望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、少なくとも1つのAブロックと少なくとも1つのBブロックとを有する少なくとも1つの液晶ブロックコポリマーを含む、医療用デバイスの形成に有用なポリマー組成物に関する。
【0011】
Aブロック(本明細書中ではメソゲン(液晶)ブロックと呼ばれる場合もある)は、任意の適切なメソゲン繰り返し(モノマー)単位を含みうる。本明細書中で使用されるように、用語「メソゲン」は、硬性および回転の制限のような液晶特性をポリマーに与える繰り返し単位を指すために使用されるものとする。本明細書中で使用されるように、用語「メソゲン単位」は、メソゲンを有する任意のモノマー、ならびにそのようなモノマーであってメチレン基のようなスペーサーをその中に含むモノマーを指すために使用されるものとする。
【0012】
任意の適切なメソゲン繰り返し単位が本明細書中で使用されうる。適切には、Aブロックは個々のメソゲン繰り返し単位当たり少なくとも1つの芳香族基を有し、より適切には、Aブロックは個々のメソゲン繰り返し単位当たり少なくとも2つの芳香族基を有する。
【0013】
Bブロックはソフトブロックである。適切には、Bブロックは脂肪族である。適切には、BブロックはBブロックの重量で10%未満の芳香族性を、より適切にはBブロックの重量で5%未満の芳香族性を有し、最も適切には本質的に芳香族性を持たない。
【0014】
該ポリマーは、より詳細に後述されるように、縮合反応のような従来の反応技術を使用して形成されうる。
上記ポリマーは単独で使用されてもよいし、他のポリマーと組み合わせて使用されてもよい。
【0015】
該ポリマーは、カテーテルアセンブリおよびその構成要素のような医療用デバイス、例えば、シャフト、チップ、マニホールドおよびバルーンなどの形成において特に有用性が見出される。
【0016】
本発明の上記およびその他の態様、実施形態ならびに利点は、この後の詳細な説明および特許請求の範囲を検討すれば当業者には直ちに明白となるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は数多くの異なる形態に具体化されうるが、本明細書では本発明の特定の実施形態について詳細に説明する。この説明は本発明の原理の例証であり、例示した特定の実施形態に本発明を限定するように意図するものではない。
【0018】
本願の任意の場所に記載のあらゆる米国特許文献を含む全出版刊行物はすべて、参照によってその全体がここで明らかに本願に組み込まれる。本願の任意の場所で言及された同時継続の特許出願もすべて、参照によってその全体がここで明らかに本願に組み込まれる。
【0019】
本発明は、医療用デバイスまたは医療用デバイスの少なくとも一部の形成において有用なポリマー組成物に関する。該ポリマー組成物は、少なくとも1つのAブロックと少なくとも1つのBブロックとを有する少なくとも1つの液晶ブロックコポリマーを含んでいる。
【0020】
Aブロックはメソゲン(液晶)繰り返し単位から形成される。本明細書中で使用されるように、用語「メソゲン」は、ポリマーに液晶特性を与える繰り返し単位(モノマー)を指すために使用されるものとする。メソゲン繰り返し単位は、メソゲン、ならびにメチレン基のような任意のスペーサーを含みうる。液晶ポリマーには、結晶(固体)相および等方(液体)相の間に存在する第3の物質相があり、この相は従来の液体の特性と固体結晶の特性との間の特性を有する。例えば、液晶(LC)は液体のように流動しうるが、該液体中には結晶中と同じように整列かつ配向した分子を有しうる。ポリマーがこれらの液晶特性を示すことを可能にする、構造秩序、剛性および不可欠な運動の制限をもたらすのは、メソゲン繰り返し単位のメソゲンである。メソゲンは、典型的には1つ以上の芳香環から構成される。適切には、メソゲン繰り返し単位はそれぞれ、各繰り返し単位当たり少なくとも1つの芳香族基を有し、より適切には、メソゲン繰り返し単位はそれぞれ、各繰り返し単位当たり少なくとも2つの芳香族基を有する。
【0021】
Bブロックは液晶ブロックコポリマーのソフトブロックである。適切には、Bブロックは脂肪族である。適切には、BブロックはBブロックの重量で10%未満の芳香族性を、より適切にはBブロックの重量で5%未満の芳香族性を有し、最も適切にはBブロックは本質的に芳香族性を持たない。
【0022】
ブロックコポリマーは、一般式A−Bのジブロック、(A−B)(式中のnは3〜20)、B−(A−B)−B(式中のnは3〜20)、A−B−Aのトリブロック、鎖の遊離端にソフトセグメントを有するB−A−Bトリブロック、A−B−A−B−Aのペンタブロック、マルチブロックポリマーであって例えばA−B−CまたはA−C−Bトリブロック、B−(A−B−C)−B(式中のnは3〜20)、ランダムブロックコポリマーなどであってよい。
【0023】
上記に列挙したのは例示を目的としたものにすぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。
Aブロック(本明細書ではメソゲンブロックと呼ばれることもある)は任意の適切なメソゲン繰り返し単位を含みうる。適切には、メソゲン繰り返し単位は、1単位当たり少なくとも1つの芳香族基を有し、より適切には、メソゲン繰り返し単位は1単位当たり少なくとも2つの芳香族基を有する。液晶ブロックコポリマーのAブロックは、立体障害および共鳴によって引き起こされる回転の制限の結果として硬性を液晶ブロックコポリマーに与えることができる、メソゲン繰り返し単位を特徴とする。例えば、芳香環は立体障害および共鳴の両方を提供することができる。メソゲン繰り返し単位には芳香環および脂肪族環の両方を含むものもある。
【0024】
Aブロックは、最大約50個までの任意の数の繰り返し単位を含むことができる。
適切には、メソゲンブロックは少なくとも3の軸比(分子の長さを直径で割ったもの(x=L/d)により規定される)を有する。この軸比は、メソゲンブロックにロッド様の
特性をもたらす。
【0025】
様々な適切なメソゲン繰り返し単位について、液晶ブロックコポリマーのAブロックの形成における有用性が見出される。
個々のメソゲン繰り返し単位の形成に有用な芳香族構造基の種類には、限定するものではないが、例えば芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族アミノカルボン酸、ジフェノールおよびアミノフェノールが挙げられる。
【0026】
有用な芳香族ジカルボン酸の例としては、限定するものではないが、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、メチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、クロロテレフタル酸、4−クロロナフタレン−2,7−ジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−3,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−3,4’−ジカルボン酸、4−メチルイソフタル酸、5−メチルイソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジクロロ−3,3’−ジカルボン酸ならびにイソフタル酸およびテレフタル酸が挙げられる。
【0027】
有用な芳香族ヒドロキシカルボン酸の例としては、限定するものではないが、4−ヒドロキシ−3−メチル安息香酸、4−ヒドロキシ−3−フェニル安息香酸、4−ヒドロキシ−2−エチル安息香酸、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−3−メトキシ安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸および3−ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などのヒドロキシナフトエ酸、などが挙げられる。
【0028】
有用なジフェノールの例としては、限定するものではないが、ヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、ブロモヒドロキノン、クロロヒドロキノン、メチルヒドロキノン、エチルヒドロキノン、フェニルヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエタン、4、4’−ジヒドロキシジフェノキシエタン、3,5’−ジヒドロキシジフェニル、4−ヒドロキシ−4’−カルボキシジフェニル、3,5’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ナフタレン、1,4−、1,5−および2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒドロキシナフタレン、例えば4−メトキシ−2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジクロロ−1,6−ジヒドロキシナフタレン、4−メトキシ−2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニル、3,5’−ジメトキシ−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、1,2−(2−クロロ−4−ヒドロキシフェノキシ)エタンレゾルシノール、3,4’−ジヒドロキシジフェニル、3,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,4’−ジヒドロキシジフェノキシエタン、4−クロロレゾルシノール、4−ブロモレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、4−フェニルレゾルシノール、4−エトキシレゾルシノール、などが挙げられる。
【0029】
芳香族アミノカルボン酸の例としては、限定するものではないが、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−クロロアントラニル酸、5−クロロアントラニル酸、3−アミノ−4−クロロ安息香酸、4−アミノ−3−フェニル安息香酸、4−アミノ−3−メトキシ安息香酸、4−アミノ−3−フェノキシ安息香酸、6−アミノ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−アミノ−5−メチル−2−ナフトエ酸および6−ア
ミノ−5−メトキシ−2−ナフトエ酸、などが挙げられる。
【0030】
アミノフェノールの例としては、限定するものではないが、3−アミノフェノール、5−アミノ−2−クロロフェノール、4−アミノフェノール、3−アミノ−2−メチルフェノール、3−アミノ−4−メチルフェノール、5−アミノ−1−ナフトール、6−アミノ−1−ナフトール、8−アミノ−2−ナフトール、6−アミノ−2−ナフトールおよび4−アミノ−1−ヒドロキシビフェニル、などが挙げられる。
【0031】
メソゲン繰り返し単位に含まれうるその他の基には、パラフェニレン(−Ar−)(Arは芳香環を表す)、ならびに置換パラフェニレン、例えばパラ−ジアセトキシフェニレン(−CHCOOCH−Ar−CHCOOCH−)が挙げられる。
【0032】
そのような基の任意の組み合わせを、LCブロックコポリマーのLCブロック中の繰り返し単位に組み込むことも可能である。これらの化学基構造の議論については、例えば、そのような単位構造の論考に関する米国特許第4663422号および同第5017304号および同第5030703号(これらの各特許文献は参照によりその全体が本願に組み込まれる)を参照されたい。適切なメソゲン単位のさらなる例については、米国特許第4238599号、同第4801677号および同第5173562号(これらの各特許文献は参照によりその全体が本願に組み込まれる)も参照されたい。
【0033】
その他の適切なメソゲン繰り返し単位には、下記一般式:
[−A−Y−X−Z−]
のものがあり、上記式中、Xは(CH(nは約2〜約10の整数)であってよく、mは約2〜約50の範囲で変動可能であり、YおよびZはそれぞれ独立に−COOまたは−CONHであるか、あるいは2つの炭素原子の間の単結合であってよく、Aは、p−フェニレン、1,4−ナフチレン、2,6−ナフチレンもしくは1,5−ナフチレンであるか、メチル、クロロもしくはフェニルによる一置換フェニレン、あるいは−ArCH=CHAr−(ARはフェニル環)、−Ar−COOAr−、−Ar−CONHAr−、または−Ar−OOC−Ar−COO−Ar−、などであってよい。そのようなメソゲン繰り返し単位の議論については、米国特許第4,952,334号(参照により全体が本願に組み込まれる)を参照されたい。
【0034】
適切な芳香族性メソゲン繰り返し単位の別の具体例は、構造−Ar−CO−NH−Ar−NH−CO−Ar−を有する。
ここで使用可能なその他の適切なメソゲン繰り返し単位は、オバー(Ober)らによりPolymer Journal, Vol. 14, No. 1, pp. 9-17 (1972) に記載されており、以下の構造:
−[−OArCOO(CHOCOArOCOArCO−]−
を有しており、上記式中、Arはパラ位で結合したフェニルを表し、nは約2〜約10の範囲で変動可能であり、xは約2〜約50の範囲で変動可能である。これらのメソゲン単位は、直線的に整列した3つの芳香環を含んでなる、芳香族エステルのメソゲン単位を特徴としうる。
【0035】
上記式によって表わされる種類のメソゲン繰り返し単位であって、式中Arはパラ位で結合したフェニルを表し、nは約2〜約10の整数であり、xは約5〜約15の整数であるものは、米国特許第5,508,338号(参照により全体が本願に組み込まれる)に記載されている。
【0036】
適切なメソゲン繰り返し単位のその他の具体例には、ポリ(ヒドロキシナフトエ酸)(−O−ArAr−CO−、式中ArArは融合した2つのベンゼン環)およびポリ(p−フェニレンテレフタラート)(−O−Ar−OOC−Ar−CO−)が挙げられる。
【0037】
適切なLCブロックの別の具体例は、ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフトエ酸の組み合わせを用い、式−[−O−Ar−CO−]−[−O−ArAr−CO−]−の繰り返し単位を有しており、式中、xおよびyは1以上の正の数、例えば、xおよびyは独立に約1〜約50、適切には約1〜約25に変動しうる。ある実施形態においてはx=y=1であり、他の実施形態においてはx≠yである。例えば、米国特許第6552127号、同第6054537号、同第5869574号、同第5767198号および同第5750626号(それぞれ参照により全体が本願に組み込まれる)を参照されたい。
【0038】
組み合わせを用いて形成されるメソゲン単位の別の例には、p−ヒドロキシ安息香酸、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、テレフタル酸、およびイソフタル酸の組み合わせを用いる、米国特許第4912193号(参照により全体が本願に組み込まれる)に示されているものが挙げられる。
【0039】
本願のメソゲン繰り返し単位は、メソゲン部分およびスペーサーの両方を含むものと言うことができる。Aブロックのメソゲン繰り返し単位は、メソゲン繰り返し単位のメソゲン部分が骨格の一部を形成するように互いに結合していてもよいし(主鎖型液晶ポリマー構造)、メソゲンがペンダント基としてポリマー骨格に結合するように互いに結合していてもよい(側鎖型液状ポリマー構造)。メソゲン繰り返し単位のメソゲン部分が骨格の一部を形成する主鎖型液晶ポリマーに使用される、メソゲン繰り返し単位の例は、ヒドロキシナフトエ酸、およびポリ(p−フェニレンテレフタラート)である。
【0040】
側鎖型液晶ポリマー構造をもたらすメソゲン繰り返し単位の一例は、次の構造:
【0041】
【化1】

【0042】
を有する。
液晶ブロックコポリマーのAブロックまたはLCブロックは当技術分野で周知の任意の方法を使用して製造可能である。大部分は従来の縮合反応を使用して製造される。例えば、チェン、ボル−カン(Chen, Bor-Kuan)らの「Synthesis and properties of liquid crystalline polymers with low Tm and broad mesophase temperature ranges」、Polymer, 46 (2005) 8624-8633、ハードク、ニコラエ(Hurdoc, Nicolae )らの「Thermal behaviour and molecular modeling of some aromatic polyethers containing a hexamethylenic spacer 」、Polymer Degradation and Stability, 72 (2001) 441-445、リウ、インリャン(Liu, Yingliang)らの「Synthesis and characterization of liquid crystalline copolyesters containing horizontal and lateral rods in main chain (II) 」、Reactive and Functional Polymers, 64 (2005) 35-46 、マカルク、レシェク(Makaruk, Leszek )らの「Mesophase transitions in liquid crystal polymers」、Reactive and Functional Polymers, 33 (1997) 225-231 、ゴーパーラン、パドマ(Gopalan, Padma)らの「Rod-Coil Block Copolymers: An Iterative Synthetic Approach via Living Free-Radical Procedures 」、Journal of Polymer Science: Part A: Polymer Chemistry, Vol. 41, (2003) 3640-3656、ハケミ、Hの「On the miscibility of liquid crystalline polymers 」、Polymer, 41 (2000) 6145-6150(各々参照により全体が本願に組み込まれる)を参照されたい。
【0043】
液晶ブロックコポリマーに強度、硬性および剛性を与えるのは該ブロックコポリマーのAブロックであるが、液晶ブロックコポリマーのBブロックは該ブロックコポリマーのソフトセグメントであり、ポリマーに可撓性を与える。適切には、Bブロックは脂肪族である。適切には、BブロックはBブロックの重量で10%未満の芳香族性を、より適切にはBブロックの重量で5%未満の芳香族性を有し、最も適切にはBブロックは本質的に芳香族性を持たない。適切には、Bブロックは例えばオレフィン、エステル、エーテル、アミドおよびシロキサンの繰り返し単位から得られる。
【0044】
Bブロックの形成に適した繰り返し単位の例には、限定するものではないが、アミド、エステル、エーテル、イミド、オレフィンおよびシロキサンが挙げられる。
いくつかの実施形態では、Bブロックは親水性のモノマー単位から形成される。適切な親水性モノマーの例には、限定するものではないが、親水性高分子の鎖の末端であるポリエチレンオキシドグリコールもしくはポリテトラメチレンオキシドグリコールのような短鎖脂肪族エーテル、金属スルホネート基を含んだジオールもしくはジカルボン酸、ポリアルキレングリコールが脂肪族ジカルボン酸のような他のモノマーとともにコポリマー化されたものなどのオリゴマー、ポリエチレングリコールジアクリラートのようなサートマー(Sartomer)から入手可能な親水性アクリラート、アクリルアミドおよびN,N−ジメチルアクリルアミド、N−ビニルピロリドンなど、が挙げられる。
【0045】
上記のリストは単に例示を目的とするものであり、本発明の範囲に対する限定として意図されるものではない。
Aブロックは、約2〜約50個のうちいずれかの繰り返し単位を、より適切には約2〜約25個の繰り返し単位を有し、Bブロックは約2〜約25個のうちいずれかの繰り返し単位を、適切には約2〜約10個の繰り返し単位を有しうる。
【0046】
ブロックコポリマーがさらにCブロックを有する実施形態では、Cブロックのメソゲン単位は、Aブロックを形成するのに有用なものとして議論されたメソゲン繰り返し単位から選択されうる。しかしながら、AブロックおよびCブロックの両方を有する液晶ポリマーにおいては、Cブロックは、Aブロックとは異なるメソゲン繰り返し単位から形成される。例えば、1つの実施形態では、液晶ブロックコポリマーのAブロックは使用して形成されたポリアミドセグメントであり、Cブロックは例えば、芳香族ヒドロキシカルボン酸を使用して形成されたポリエステルセグメントである。ポリアミドのAブロック構造の形成に適したメソゲン単位の例には、例えば、
【0047】
【化2】

【0048】
が挙げられる。
液晶ブロックコポリマーのこの部分は、HOOC−AR−COOH(ベンゼン−1,4−ジカルボン酸)とHN−AR−NH(1,4−ジアミノベンゼン)との間の縮合反応で次の構造:
【0049】
【化3】

【0050】
を形成することにより製造可能である。
この実施形態では、適切なBブロックは、例えば、ヘキサン二酸およびヘキサメチレンジアミンの縮合(ナイロン6,6)、カプロラクタムの開環重合(ナイロン6)あるいはラウロラクタムの開環重合(ナイロン12)によって形成されうる。
【0051】
ナイロン6(ポリカプロラクタム)は縮合重合体ではなく、カプロラクタムモノマーの開環重合によって形成される。
【0052】
【化4】

【0053】
一方、ナイロン6,6は、ヘキサン二酸(アジピン酸)と1,6−ジアミノヘキサン(ヘキサメチレンジアミン)との間の縮合:
繰り返し単位:
N(CHNH+HOOC(CHCOOH→[−NH−(CH2)−NH−CO(CH2)−CO−]+H
によって形成される。
【0054】
ヘキサンジオイルジクロリドをヘキサン二酸の代わりに使用してもよい。
液晶ポリエステルのAブロック、ナイロンのBブロックおよび液晶ポリアミドのCブロックを、従来の縮合反応によって接続することができる。
【0055】
Cブロックもまた、約2〜約50個のうちいずれかの繰り返し単位を、より適切には約2〜約25個のうちいずれかの繰り返し単位を有しうる。
上記に列挙したのは例示を目的としたものにすぎず、本発明の範囲を限定するものとして意図したものではない。
【0056】
適切には、Aブロックはブロックコポリマーの重量に対し約50%〜約95%で、Bブロックはブロックコポリマーの重量に対し約5%〜約50%であり、より適切には、Bブロックはブロックコポリマーの重量に対し約10%〜約30%である。いくつかの実施形態では、BブロックまたはソフトセグメントはLCブロックコポリマーの重量に対し約10%以下である。
【0057】
使用されるモノマー、オリゴマーまたはポリマーに応じて任意の適切な重合方法が使用可能である。最も一般的には、重合は、アルコール、アミンまたはカルボン酸(もしくは他の誘導体)の官能基を組み込んだ分子を反応させることによって達成される縮合反応によって成し遂げられる。エーテル結合、アミド結合またはエステル結合が形成され、小さな分子(一般には水)が放出される。したがって、モノマーの一部だけがポリマーの一部になる。
【0058】
モノマー全体がポリマーの一部となる付加重合も使用可能である。例えば、アニオン重合をブロックコポリマーの調製に使用することができる。そのような反応工程では、反応部位はクエンチされるまで鎖の末端に残っている。クエンチされていないポリマーはリビングポリマーと呼ばれることもあり、別のモノマーの付加によりブロックコポリマーを得ることができる。これらの反応工程は、反応性の不飽和部位(すなわち二重結合または三重結合)が存在する場合に使用可能である。例外はあるが、ほとんどの付加重合は一度に1つのモノマーが付加される連鎖重合でもある。
(実施例)
特定の例において、4−ヒドロキシ−2−安息香酸(HBA)を、チェン(Chen)ら、「Synthesis and properties of liquid crystalline polymers with low Tm and broad mesophase temperature ranges」、Polymer, 46 (2005) 8624-8633の方法で、触媒反応量の酢酸ナトリウムの存在下で無水酢酸を溶剤として用いてアセチル化して、4−アセトキシ安息香酸(ABA)とすることができる。その後、さらにチェンらの方法に従い、ABAを約1:3のモル比の1,4−ブタンジオール(BDO)および約300ppmの量のSb触媒と反応させて、エステルABA−BDO−ABAを生成させることができる。
【0059】
その後、エステルABA−TMG−ABA、テレフタル酸(TPA)、両終端が酸性基のナイロン6ポリマー(Ny6)および250−300ppmのSb触媒もしくはTi(OBu)触媒の混合物を、窒素でパージしたフラスコに、エステルとTPAとNy6ジカルボン酸のモル比を1.0:0.67:0.33として加えることにより、重合が成し遂げられる。窒素の排出口には真空の蒸留塔が装備される。上記混合物を、該混合物を融解させるのに必要な温度に応じて、約200℃〜約250℃の温度に約5時間加熱して融解させる。熱安定剤、およびチバ・ガイギー(Ciba-Geigy)から入手可能なIrganox(R)1010のような酸化防止剤を、分解を防止するために添加して使用する。融解温度に到達したら、混合物を例えば200rpmで撹拌する。反応物の蒸発を予防するために窒素流を調節する。約3〜5時間後、温度を徐々に約280℃まで上昇させ、縮合によって生じた酢酸を蒸留によって除去する。留出物が観察されなくなったら、約1333.22Pa(約10トル)の真空圧を2〜3時間かけ、次に真空度を133.322〜266.644Pa(1〜2トル)に下げ、混合物をさらに4時間連続して撹拌するが、その間常に温度を約280℃に維持する。その後、生成物を放置冷却する。モノマーおよびオリゴマーを、アセトンを使用してソックスレー抽出により除去することができる。
【0060】
得られたポリマーは、[(ABA−BDO−ABA−TPA)ABA−BDO−ABA]−Ny6−[ABA−BDO−ABA−(TPA−ABA−BDO−ABA)]の
構造を有するA−B−Aブロックコポリマーである。
【0061】
上記の変更形態において、同等量のエチレングリコールまたは1,3−プロパンジオールを1,4−ブタンジオールの代わりに用いてもよいし、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸を4−ヒドロキシ安息香酸の代わりに用いてもよいし、2,6−ナフタレンジカルボン酸をTPAの代わりに用いてもよいし、ナイロン6,10もしくはナイロン9,12のような他の二酸を終端とするナイロンポリマーをナイロン6ポリマーの代わりに用いてもよい。A−Bジブロックコポリマーは、ナイロン6二酸の代わりにナイロン12のようなモノ酸を終端とするナイロンポリマーを使用した同様の方法で合成可能である。更に、短い二酸と酸を終端とするナイロンとの相対的な比率を、酸当量に基づいて例えば約1:10〜約1:10の非常に広い範囲で変化させることができる。
【0062】
本発明の液晶ブロックコポリマーは、それ自体を医療用デバイスまたはその構成要素の形成に使用することもできるし、あるいは該液晶ブロックコポリマーを別の1または複数のポリマーとブレンドすることもできる。後者の場合、適切には、前記ポリマーおよびBブロックが互いに相溶性であるように選択するとよい。相溶性とは、本明細書で使用されるように、巨視的規模および微視的規模すなわち分子レベルの双方における相溶性を指す。したがって、巨視的規模での相溶性とは、全体的な相分離を示さないポリマーブレンドの相溶性を指すといってもよい。
【0063】
ポリマー混合物では、マトリックスポリマーがLCブロックコポリマーまたはLCブロックコポリマーの1つのブロックと強く相互作用することにより、望ましいポリマー特性を提供することができる。
【0064】
LCブロックコポリマーが他のポリマーとブレンドされている混合物において、該ブレンドの他のポリマーのうち少なくとも1つは、非液晶ポリマーであるポリマーから選択することができる。本明細書に記載のLCブロックコポリマーとブレンドするために使用可能な適切なポリマーの例には、限定するものではないが、例えば、ポリエステルおよびコポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリイミド、ポリオレフィンならびにシリコーンが挙げられる。これらのポリマーは単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定するものとして意図されるものではない。
【0065】
ブレンドに使用可能な適切なポリマーの具体例には、ポリアミドエラストマー、例えばフランス国パリに本社を有するアルケマ(Arkema)より入手可能なPEBAX(R)の商標で販売されているポリアミドエラストマーがあり、またポリエステルエラストマー、例えば米国デラウェア州ドーバー所在のデュポン(DuPont)から入手可能なHYTREL(R)の名称で販売されているポリエステルエラストマーも使用に適している。
【0066】
例えば、液晶ブロックコポリマーが、(AB)ブロックコポリマー構造を有しAブロックがナイロンでBブロックがポリテトラメチレンオキシドであるポリ(エーテル−ブロック−アミド)コポリマーとブレンドされる場合、適切なLCブロックコポリマーBブロックはアミド繰り返し単位またはポリテトラメチレンオキシド構造を含みうる。該ブロックは、適切にはLCブロックコポリマーの重量に対し約50%未満、より適切にはLCブロックコポリマーの重量に対し約30%またはそれ未満、および最も適切にはLCブロックコポリマーの重量に対し約10%またはそれ未満であってよい。
【0067】
上記のタイプの典型的なポリ(エーテル−ブロック−アミド)熱可塑性エラストマーの引張強度は約68.95MPa(約10,000psi)の引張強度および約174℃のDSC融点を有する。
【0068】
適切には、LCブロックコポリマーは、そのようなポリマーブレンド中で補強剤として作用するためには、約68.95MPa(約10,000psi)より高い、例えば約82.74MPa(約12,000psi)より高い、より適切には約137.9MPa(約20,000psi)より高い、最も適切には約206.85MPa(約30,000psi)より高い引張強度を有する。
【0069】
したがって、有効な荷重/力伝達により機械的強度の増強を達成するための、熱可塑性エラストマーとの強い相互作用を有するように、LCブロックコポリマー構造を選択することが望ましい。
【0070】
さらに、LCブロックコポリマーが、熱可塑性エラストマーの熱劣化温度より低い熱可塑化プロセッシングウインドウ内に融点を有することが望ましい。熱可塑性エラストマーがポリ(エーテル−ブロック−アミド)である場合、例えば、融点範囲は適切には約240℃未満である。押出加工/共押出加工は、そのような熱可塑性材料を加工する適切な方法の一例である。
【0071】
上記の例は単に例示を目的としたものであり、本発明の範囲を限定するものとして意図されるものではない。その他のポリマーが当業者に知られており、本発明において使用される場合もある。
【0072】
ポリマーのブレンドが使用される場合、LCブロックコポリマーの量は適切には約75%以下であり、より適切には約50%以下である。使用されるLCブロックコポリマーの量は、約5%〜約75%、より適切には約5%〜約50%、さらに適切には約10%〜約30%であってよい。
【0073】
少なくとも1つの第2のポリマーまたはポリマーブレンドは、約25%〜約95%、より適切には約50%〜約95%、さらに適切には約70%〜約90%使用することができる。
【0074】
本発明の組成物は、ポリマー組成物から適切に形成される任意の医療用デバイスまたはその構成要素の製造に使用可能である。例には、血管疾患のような疾病を診断および治療するのに使用されるカテーテルアセンブリが含まれる。
【0075】
本発明は、拡張可能な医療用バルーン、特にバルーンのサイズが非常に小さい心臓血管系で使用される医療用バルーンの製造において、有用性が見出される。
バルーンの形成については当分野で知られている。いくつかのプロセスでは、ポリマー材料のチューブが押出加工され、次いで径方向および軸方向に拡張される。バルーンの形成については、米国特許第4490421号および同一出願人の米国特許第6024722号(いずれも参照によりその全体が本願に組み込まれる)に記載されている。もちろんその他のプロセスも知られており、本発明において使用可能である。
【0076】
上記の開示は例示を意図したものであり、網羅的なものではない。この説明により、当業者には多くの変形形態および代替形態が示唆されるであろう。これらの代替形態および変形形態はすべて、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれるように意図されている。当業者であれば、本明細書に記載された特定の実施形態の別の等価物(いずれの等価物も本明細書に添付の特許請求の範囲に包含されるように意図される)を認識することができよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用デバイスであって、前記デバイスの少なくとも一部は、少なくとも1つのAブロックと少なくとも1つのBブロックとを有する少なくとも1つの液晶ブロックコポリマーを含むポリマー組成物から形成され、
Aブロックはメソゲン繰り返し単位を含んでなることと、
Bブロックはソフトブロックであることと
を特徴とする医療用デバイス。
【請求項2】
液晶ブロックコポリマーは、一般式A−Bのジブロック、(A−B)(式中のnは3〜20)、A−B−Aのトリブロック、B−A−Bのトリブロック、B−(A−B)−B(式中のnは3〜20)、B−(A−B−C)−B(式中のnは3〜20)、A−B−A−B−Aのペンタブロック、前記少なくとも1つの液晶ブロックコポリマーが少なくとも1つのCブロックをさらに含むA−B−Cトリブロック、液晶ブロックコポリマーが少なくとも1つのCブロックをさらに含むA−C−Bトリブロック、A−B−Cランダムブロックおよびマルチブロックコポリマーを有するポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項3】
前記Aブロックは、Aブロックの繰り返し単位あたり少なくとも1つの芳香族基を含む、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項4】
前記Aブロックは、Aブロックの繰り返し単位あたり少なくとも2つの芳香族基を含む、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項5】
前記Bブロックは脂肪族である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項6】
前記Bブロックは、オレフィン、エステル、エーテル、アミドおよびシロキサンからなる群から選択される繰り返し単位から得られる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項7】
前記Bブロックは親水性である、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項8】
前記Aブロックは約2〜約25個の繰り返し単位を含み、前記Bブロックは約2〜約25個の繰り返し単位を含む、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項9】
前記Bブロックは約2〜約10個の繰り返し単位を含む、請求項8に記載の医療用デバイス。
【請求項10】
前記Aブロックは含んでなる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項11】
ポリマー組成物は少なくとも1つのポリマーをさらに含んでなり、前記少なくとも1つのポリマーは、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、ポリオレフィン、ポリイミド、ブロックコポリマーであって少なくとも1つのポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、およびポリイミドのうち少なくともいずれかのセグメントを含んでなるもの、シリコーン、ならびにこれらの混合物およびこれらの混合物、から選択される、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項12】
Bブロックはアミド繰り返し単位から形成され、ポリマー組成物は少なくとも1つのポリエーテル−ポリアミドブロックコポリマーをさらに含んでなる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項13】
前記液晶ブロックコポリマーは、前記Aブロックを重量で約50%〜約95%、前記Bブロックを重量で約5%〜約50%含んでなる、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項14】
前記医療用デバイスは、少なくとも1つのシャフトまたはシャフトアセンブリを備えたカテーテルアセンブリであり、前記ポリマー組成物から形成される前記医療用デバイスの前記少なくとも一部は、前記少なくとも1つのシャフトまたはシャフトアセンブリである、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項15】
医療用デバイスは拡張式の医療用バルーンである、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項16】
前記バルーンはカテーテルに取り付けられる、請求項15に記載の医療用デバイス。
【請求項17】
さらにステントと併用される、請求項15に記載の医療用デバイス。
【請求項18】
前記ブロックコポリマーはCブロックをさらに含み、Cブロックはメソゲン繰り返し単位を含み、該メソゲン繰り返し単位はAブロックのメソゲン繰り返し単位とは異なっている、請求項1に記載の医療用デバイス。
【請求項19】
少なくとも一部がポリマー組成物から形成された医療用デバイスであって、該ポリマー組成物は、
少なくとも1つのAブロックと少なくとも1つのBブロックとを有する少なくとも1つの液晶ブロックコポリマーであって、Aブロックはメソゲン繰り返し単位から形成され、Bブロックはソフトブロックであることを特徴とする液晶ブロックコポリマーと、
前記液晶ブロックコポリマーの前記Bブロックと相溶性である少なくとも1つのポリマーと
を含んでなることを特徴とする、医療用デバイス。
【請求項20】
液晶ブロックコポリマーは、一般式A−Bのジブロック、(A−B)(式中のnは3〜20)、A−B−Aのトリブロック、B−A−Bのトリブロック、B−(A−B)−B(式中のnは3〜20)、B−(A−B−C)−B(式中のnは3〜20)、A−B−A−B−Aのペンタブロック、前記少なくとも1つの液晶ブロックコポリマーが少なくとも1つのCブロックをさらに含むA−B−Cトリブロック、該液晶ブロックコポリマーが少なくとも1つのCブロックをさらに含むA−C−Bトリブロック、A−B−Cランダムブロックおよびマルチブロックコポリマーを有するポリマーからなる群から選択される、請求項19に記載の医療用デバイス。
【請求項21】
前記液晶ブロックコポリマーの前記Aブロックは、単位あたり少なくとも1つの芳香族基を含んでなるメソゲン繰り返し単位から形成される、請求項19に記載の医療用デバイス。
【請求項22】
前記液晶ブロックコポリマーの前記Aブロックは、単位あたり少なくとも2つの芳香族基を含んでなるメソゲン繰り返し単位から形成される、請求項19に記載の医療用デバイス。
【請求項23】
前記Bブロックは脂肪族である、請求項19に記載の医療用デバイス。
【請求項24】
前記Bブロックは、オレフィン、エステル、エーテル、アミドおよびシロキサンからなる群から選択される繰り返し単位から得られる、請求項19に記載の医療用デバイス。
【請求項25】
前記少なくとも1つのポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポ
リアミド、ポリイミド、ブロックコポリマーであって少なくとも1つのポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、およびポリイミドのうち少なくともいずれかのセグメントを含んでなるもの、シリコーン、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項19に記載の医療用デバイス。
【請求項26】
前記Bブロックはアミド繰り返し単位から得られ、前記ポリマーはポリ(エーテル−ブロック−アミド)である、請求項19に記載の医療用デバイス。
【請求項27】
前記デバイスはカテーテルアセンブリである、請求項19に記載の医療用デバイス。
【請求項28】
前記医療用デバイスの前記少なくとも一部は前記カテーテルアセンブリに取り付けられたバルーンである、請求項27に記載の医療用デバイス。
【請求項29】
少なくとも1つのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、またはシリコーンのセグメントを含んでなる熱可塑性ベースポリマーのブレンドを含んでなるポリマー組成物で形成される医療用デバイスであって、該ポリマー組成物は液晶ブロックコポリマーをさらに含み、該液晶ブロックコポリマーは少なくとも1つのAブロックと少なくとも1つのBブロックとを含み、Bブロックの構造は、前記熱可塑性ベースポリマーの少なくとも1つのポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、またはシリコーンのセグメントと相溶性であるように選択される、医療用デバイス。
【請求項30】
液晶ブロックコポリマーのBブロックと、熱可塑性ベースポリマー中の少なくとも1つのポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、またはシリコーンのセグメントとは、いずれもほぼ完全に脂肪族部分である、請求項29に記載の医療用デバイス。
【請求項31】
熱可塑性ベースポリマー中の少なくとも1つのポリアミド、ポリエステル、またはポリエーテルのセグメントが、
ポリアミドである場合には、液晶ブロックコポリマーのBブロックはポリアミドのセグメントであり、
ポリエステルである場合には、Bブロックはポリエステルのセグメントであり、
ポリエーテルである場合には、Bブロックはポリエーテルのセグメントである、請求項29に記載の医療用デバイス。
【請求項32】
液晶ブロックコポリマーのBブロックが、熱可塑性ベースポリマー中の少なくとも1つのポリアミド、ポリエステル、またはポリエーテルのセグメントと同じ繰り返し単位で形成される、請求項29に記載の医療用デバイス。
【請求項33】
熱可塑性ベースポリマーは、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリイミド、ブロックコポリマーであって少なくとも1つのポリオレフィン、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、およびポリイミドのうち少なくともいずれかのセグメントを含んでなるもの、シリコーン、ならびにこれらの混合物からなる群から選択される、請求項29に記載の医療用デバイス。
【請求項34】
液晶ポリマー単位であるAブロックと、
アミド、エーテル、オレフィン、またはシロキサンの繰り返し単位から形成されるBブロックと
の反応生成物である液晶ブロックコポリマー。
【請求項35】
さらに非液晶ポリマーと組み合わされ、液晶ブロックコポリマーのBブロックは該非液晶ポリマーと相溶性であるように選択される、請求項34に記載の液晶ブロックコポリマ
ー。

【公表番号】特表2009−526564(P2009−526564A)
【公表日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−554227(P2008−554227)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/044328
【国際公開番号】WO2007/094831
【国際公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(500332814)ボストン サイエンティフィック リミテッド (627)
【Fターム(参考)】