説明

液晶ポリエステルの製造方法

【課題】物性を変化させず、高収率で生産可能とする液晶ポリエステルの製造方法を提供する。
【解決手段】芳香族ヒドロキシカルボン酸に含まれるフェノール性水酸基と、芳香族ジオールに含まれるフェノール性水酸基と、のいずれか一方または両方を、脂肪酸無水物でアシル化する工程と、前記アシル化する工程で生成したアシル化物と、芳香族ジカルボン酸および重合可能な芳香族ジカルボン酸誘導体のいずれか一方または両方と、を溶融重縮合する工程と、を有し、前記アシル化する工程において、重合槽11の内壁面11aを流下する反応混合物の還流量が、10kg/hr/m以上である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステルの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶融時に液晶性を発現する液晶ポリエステル樹脂は、耐熱性及び加工性に優れることから、各種用途分野で使用されている。
【0003】
液晶ポリエステルは、例えば、対応するモノマーである芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル化合物等の誘導体を重縮合させることで得られる。重縮合反応においては、モノマーが、ヒドロキシカルボン酸や、芳香族ジオールのように、反応基がフェノール性水酸基である化合物の場合、反応性が低く、反応転化率が上がりにくいことがある。
【0004】
そのため、このような化合物を出発物質(原料)とする場合には、反応性を上げるために、重縮合に先だって、これらの化合物のフェノール性水酸基と脂肪酸無水物とを反応させ、当該フェノール性水酸基をアシル化し、アシル化物を重縮合する製造方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−146003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記方法は液晶ポリエステルの収率が低く改善の余地がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、高収率で生産可能とする液晶ポリエステルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の液晶ポリエステルの製造方法は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に含まれるフェノール性水酸基と、芳香族ジオールに含まれるフェノール性水酸基と、のいずれか一方または両方を、脂肪酸無水物でアシル化する工程と、前記アシル化する工程で生成したアシル化物と、芳香族ジカルボン酸および重合可能な芳香族ジカルボン酸誘導体のいずれか一方または両方と、を溶融重縮合する工程と、を有し、前記アシル化する工程において、反応槽の内壁面を流下する反応混合物の還流量が、10kg/hr/m以上である。
【0009】
本発明においては、前記アシル化する工程において、反応過程で副生する脂肪酸を前記内壁面に散布しながらアシル化を行うことが望ましい。
【0010】
本発明においては、前記溶融重縮合する工程には、下記一般式(1’)、(2’)及び(3’)で表されるモノマーが用いられ、2,6−ナフチレン基を含むモノマーの含有量が、用いる全モノマーの合計量に対して、40モル%以上であることが望ましい。
(1’)G−O−Ar−CO−G
(2’)G−CO−Ar−CO−G
(3’)G−O−Ar−O−G
(式中、Arは、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基であり;Gはそれぞれ独立に水素原子又はアルキルカルボニル基であり;Gはそれぞれ独立にヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高収率で生産可能とする液晶ポリエステルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】液晶ポリエステルの製造方法に用いる重合装置の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1を参照しながら、本発明の実施形態に係る液晶ポリエステルの製造方法について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0014】
本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法は、(i)芳香族ヒドロキシカルボン酸に含まれるフェノール性水酸基と、芳香族ジオールに含まれるフェノール性水酸基と、のいずれか一方または両方を、脂肪酸無水物でアシル化する工程と、(ii)前記アシル化する工程で生成したアシル化物と、芳香族ジカルボン酸および重合可能な芳香族ジカルボン酸誘導体のいずれか一方または両方と、を溶融重縮合する工程と、を有している。そして、アシル化する工程においては、反応槽の内壁面を流下する反応混合物の還流量が、10kg/hr/m以上である。
【0015】
図1は、液晶ポリエステルの重合装置の例を示す模式図である。図に示す重合装置10は、重合槽(反応槽)11と、重合槽11内に設けられ内容物Pを攪拌する攪拌機12と、重合槽11の下部に設けられ内容物の排出量を制御するバルブ13と、を有している。
【0016】
また、重合槽11の上部には、重縮合中に生じる副生成物Bを含む物質を留去して回収する回収装置14が設けられている。回収装置14は、一端が重合槽11に接続された配管141と、配管141の他端が接続されたタンク142とを有し、配管141中には、重合槽11側から蒸発する副生成物Bを冷却する第1冷却器143,第2冷却器144が設けられている。
【0017】
さらに、回収装置14には、回収装置14で留去する副生成物Bの一部を移送し、重合槽11の内壁面11aに散布する散布装置15が設けられている。散布装置15は、一端がタンク142に接続され、他端が重合槽11に接続された配管151と、配管151中に設けられ、タンク142に貯留される副生成物Bを移送するポンプ152と、を有している。
【0018】
本発明の製造方法で製造される液晶ポリエステルの典型的な例としては、
(I)芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオールと、からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合(重縮合)させてなるもの、
(II)複数種の芳香族ヒドロキシカルボン酸を重合させてなるもの、
(III)芳香族ジカルボン酸および芳香族ジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物と、を重合させてなるもの、
(IV)ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルと、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、を重合させてなるもの、
が挙げられる。ここで、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールは、それぞれ独立に、その一部又は全部に代えて、その重合可能な誘導体が用いられてもよい。
【0019】
芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族ジカルボン酸のようなカルボキシル基を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、カルボキシル基をアルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基に変換してなるもの(エステル)、カルボキシル基をハロホルミル基に変換してなるもの(酸ハロゲン化物)、及びカルボキシル基をアシルオキシカルボニル基に変換してなるもの(酸無水物)が挙げられる。
【0020】
芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジオールのようなヒドロキシル基(フェノール性水酸基)を有する化合物の重合可能な誘導体の例としては、フェノール性水酸基をアシル化してアシルオキシル基に変換してなるもの(アシル化物)が挙げられる。
【0021】
[アシル化する工程]
ここで、反応に用いる出発物質(モノマー)が、芳香族ヒドロキシカルボン酸(下記一般式(A))、芳香族ジオール(下記一般式(B))、のように、フェノール性水酸基を有する化合物である場合、反応性が低く、重縮合での転化率が上がりにくいことがある。
【0022】
そのため、このような化合物を出発物質とする場合には、反応性を上げるために、重縮合に先だって、これらの化合物のフェノール性水酸基と脂肪酸無水物とを反応させ、当該フェノール性水酸基をアシル化する。
(A)HO−Ar−CO−G
(B)HO−Ar−O−G
(式中、Arは、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基であり;Arは、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基であり;Gは水素原子又はアルキルカルボニル基であり;Gはヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
【0023】
脂肪酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸等が挙げられるが、特に限定されるものでない。
【0024】
これらは2種類以上を混合して用いてもよい。価格と取り扱い性の観点から、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく使用され、無水酢酸がより好ましく使用される。
【0025】
アシル化に用いる脂肪酸無水物の使用量は、アシル化を行う化合物が有するフェノール性水酸基の量に対して、1.0倍当量以上1.2倍当量以下が好ましい。成形品からのアウトガスが少なく、成形品の耐ハンダブリスター性などの観点からは1.0倍当量以上1.05倍当量以下がより好ましく、1.03倍当量以上1.05倍当量以下がさらに好ましい。また、衝撃強度の観点からは1.05倍当量以上1.1倍当量以下が好ましい。
【0026】
脂肪酸無水物の使用量が、該フェノール性水酸基に対して1.0倍当量未満の場合には、アシル化反応時の平衡が脂肪酸無水物側にずれてポリエステルへの重合時に未反応の芳香族ジオールまたは芳香族ジカルボン酸が昇華し、反応系が閉塞する傾向がある。
【0027】
また、脂肪酸無水物の使用量が、該フェノール性水酸基に対して1.2倍当量を超える場合には、得られる液晶性ポリエステルの着色が著しくなる傾向がある。
【0028】
アシル化反応は、130℃以上180℃以下の温度条件下、30分間以上20時間以下反応させることが好ましく、140℃以上160℃以下の温度条件下で、1時間以上5時間以下反応させることがより好ましい。
【0029】
このような反応は、重縮合反応を行う反応容器と別の反応容器で行うこととしてもよいし、重縮合反応を行う反応容器と同一の反応容器で行い、引き続き重縮合反応を行うこととしてもよい。アシル化反応と重縮合とを同じ反応容器で行うこととすると、操作が簡便になるため好ましい。
【0030】
その際、アシル化反応を行う反応容器は、チタン、ハステロイB等の耐腐食性を有する材料の使用が可能である。また、目的とする液晶ポリエステルが高い色調(L値)を必要とする場合は、反応容器の内壁の材質がガラスであることが好ましい。反応混合物と接する反応容器の内壁がガラス製であるならば、反応容器全体がガラス製である必要はなく、例えば、グラスライニングされたSUS製等の反応槽等を使用することも可能である。例えば、大型の生産設備においては、グラスライニングされた反応槽を用いることが好ましい。本実施形態においては、重合槽11がグラスライニングされた反応槽であり、アシル化と後述の溶融重縮合とを連続して行うこととする。
【0031】
このアシル化反応を行う際、上記一般式(A)(B)のような芳香族化合物は固化しやすいため、反応槽の内壁面で原料が固化して付着しやすい。すると、アシル化反応系内では、所望の量比でアシル化反応が行えず、結果として、得られる液晶ポリエステルの耐熱性等の物性が変化するおそれがある。また、内壁面に原料が付着していると、重縮合で用いられず、液晶ポリエステルの収率が低下するおそれがある。
【0032】
そのため、本実施形態においては、アシル化反応を環流下で行い、反応混合物(モノマー、未反応の脂肪酸無水物、アシル化で副生する脂肪酸)の還流量が、反応槽の内壁面11aの周囲長1m当り且つ1時間当たりで、10kg/hr/m以上であることとなるように制御してアシル化を行う。
【0033】
還流量は、ポンプ152の流量から、内壁面の周囲長1m当たり且つ1時間当たりの流量に換算した値として算出することができる。散布装置15を用いてタンク142に貯留される副生物Bを散布する場合、散布量は、第1冷却器143等で冷却された反応混合物が反応槽内へ滴下する滴下量と比べて非常に多くなるため、第1冷却器143等による還流を捨象して還流量を算出することとする。
【0034】
また、第1冷却器143、第2冷却器144で冷却された反応混合物が反応槽内へ滴下する様子を、反応槽に設けられたのぞき窓から撮影機器で撮影し、得られる映像を解析して、内壁面の周囲長1m当たり且つ1時間当たりの流量を概算して、還流量を算出してもよい。この場合、ポンプ152の運転が停止していても、還流量を算出できる。
【0035】
このように反応混合物を還流させることにより、反応槽の内壁面11aに付着する原料を反応混合物で洗い流し、付着する原料の量を低減することができる。また、内壁面11aに原料が付着することなく、有効に重縮合させることができるため、液晶ポリエステルの収率が向上させることができる。
【0036】
反応混合物の還流量が、10kg/hr/m未満では、内壁面11aに付着する原料の付着量を充分に低減できないので、上記のような効果を得ることは困難である。
【0037】
なお、反応混合物の還流量は、10kg/hr/m以上100kg/hr/m以下であることが好ましく、10kg/hr/m以上50kg/hr/m以下であるとより好ましい。
【0038】
また、回収装置14で冷却され液化する副生物Bには、アシル化反応で副生する脂肪酸が含まれる。図1に示す重合装置10では、副生物Bは、配管141を伝って重合槽11に滴下するとともに、回収装置14に設けられた散布装置15を用いて重合槽11の内壁面11aに散布される。これにより、副生物B(副生物に含まれる脂肪酸)が、内壁面11aに付着する原料を効果的に洗い流すことができる。散布装置15のポンプ152の運転条件を調整して、副生物Bの散布量を変更することにより、上述の反応混合物の還流量を容易に10kg/hr/m以上の所望の値とすることができる。
【0039】
副生物Bの散布は、アシル化反応中およびアシル化反応後のいずれでもよい。反応中であれば、アシル化反応を所望の量比で行い易くなる。反応後であれば、アシル化反応と重縮合反応とを別の反応容器で行う場合、内壁面11aに付着するアシル化物も確実に払い出すことができ、回収率を向上させることが可能となる。
【0040】
[溶融重縮合する工程]
重合装置10では、上述のアシル化反応で得られるアシル化物を含む液晶ポリエステルのモノマーを加熱攪拌し、溶融状態で重縮合(溶融重縮合)させることにより、液晶ポリエステルを調整する。
【0041】
(モノマー)
溶融重縮合の反応においては、下記一般式(1’)で表されるモノマー(以下、「モノマー(1’)」ということがある。)を重合させて、前記液晶ポリエステルを調製することが好ましく、モノマー(1’)と、下記一般式(2’)で表されるモノマー(以下、「モノマー(2’)」ということがある。)と、下記一般式(3’)で表されるモノマー(以下、「モノマー(3’)」ということがある。)と、を重合させて、前記液晶ポリエステルを調製することがより好ましい。
(1’)G−O−Ar−CO−G
(2’)G−CO−Ar−CO−G
(3’)G−O−Ar−O−G
(式中、Arは、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基であり;Gはそれぞれ独立に水素原子又はアルキルカルボニル基であり;Gはそれぞれ独立にヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
【0042】
Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子が置換される前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
【0043】
Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子が置換される前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、1〜10であることが好ましい。
【0044】
Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子が置換される前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、6〜20であることが好ましい。
【0045】
前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar、Ar又はArで表される前記基毎に、それぞれ独立に2個以下であることが好ましく、1個であることがより好ましい。
【0046】
はそれぞれ独立に水素原子又はアルキルカルボニル基であり、該アルキルカルボニル基としては、メチルカルボニル基(アセチル基)、エチルカルボニル基等、水素原子が置換される前記アルキル基がカルボニル基(−C(=O)−)に結合した一価の基が例示できる。
【0047】
前記一般式(3’)中の二つのGは互いに同じでも異なっていてもよい。そして、前記一般式(1’)中のGと一般式(3’)のGとは互いに同じでも異なっていてもよい。
【0048】
はそれぞれ独立にヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子である。
【0049】
における前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等、水素原子が置換される前記アルキル基が酸素原子(−O−)に結合した一価の基が例示できる。
【0050】
における前記アリールオキシ基としては、フェノキシ基等、水素原子が置換される前記アリール基が酸素原子(−O−)に結合した一価の基が例示できる。
【0051】
における前記アルキルカルボニルオキシ基としては、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基等、水素原子が置換される前記アルキル基がカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の炭素原子に結合した一価の基が例示できる。
【0052】
における前記ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が例示できる。
【0053】
前記一般式(2’)中の二つのGは互いに同じでも異なっていてもよい。そして、前記一般式(1’)中のGと一般式(2’)のGとは互いに同じでも異なっていてもよい。
【0054】
溶融重縮合の反応における、モノマー(1’)、(2’)及び(3’)の総使用量に占めるモノマー(1’)の使用量は、好ましくは30モル%以上、より好ましくは30モル%以上80モル%以下、さらに好ましくは40モル%以上70モル%以下、特に好ましくは45モル%以上65モル%以下である。
【0055】
溶融重縮合の反応における、モノマー(1’)、(2’)及び(3’)の総使用量に占めるモノマー(2’)の使用量は、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、特に好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
【0056】
溶融重縮合の反応における、モノマー(1’)、(2’)及び(3’)の総使用量に占めるモノマー(3’)の使用量は、好ましくは35モル%以下、より好ましくは10モル%以上35モル%以下、さらに好ましくは15モル%以上30モル%以下、特に好ましくは17.5モル%以上27.5モル%以下である。
【0057】
モノマー(1’)の使用量が多いほど、得られる液晶ポリエステルの耐熱性や強度、剛性が向上し易いが、あまり多いと、得られる液晶ポリエステルの溶媒に対する溶解性が低くなり易い。
【0058】
溶融重縮合の反応に用いるモノマー(1’)、(2’)及びモノマー(3’)のうち、2,6−ナフチレン基を有するモノマーの合計量は、全モノマーの合計量に対して、10モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。
【0059】
モノマー(2’)とモノマー(3’)との使用量は、実質的に等しいことが好ましい。すなわち、 モノマー(2’)とモノマー(3’)との割合は、[モノマー(2’)の使用量]/[モノマー(3’)の使用量](モル/モル)で表して、好ましくは0.9/1〜1/0.9、より好ましくは0.95/1〜1/0.95、さらに好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
【0060】
溶融重縮合の反応においては、モノマー(1’)〜(3’)を、それぞれ独立に二種以上使用してもよい。また、モノマー(1’)〜(3’)以外のモノマーを使用してもよいが、その使用量は、溶融重縮合の反応におけるモノマーの総使用量に対して、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下である。
【0061】
溶融重縮合は、触媒の存在下で行ってもよく、この場合の触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物や、4−(ジメチルアミノ)ピリジン、1−メチルイミダゾール等の含窒素複素環式化合物が挙げられ、含窒素複素環式化合物が好ましく用いられる。例えば食品用途のように、使用用途によっては重合後に触媒成分の除去が必要な場合もあり、当該用途で用いる液晶ポリエステルの重合においては無触媒が好ましい。そのため、使用用途に応じて触媒使用の可否を選択するとよい。
【0062】
本実施形態における重縮合反応は、不活性気体、例えば窒素雰囲気下で、常圧または減圧の条件下で行うことができるが、不活性気体雰囲気下に常圧で行うことが好ましい。プロセスは回分式、連続式、またはそれ等の組み合わせを採用できる。
【0063】
本発明における重縮合反応の温度は、260℃以上350℃以下の範囲であり、好ましくは270℃以上330℃以下である。温度が260℃より低いと反応の進行が遅く、350℃を越えると分解等の副反応が起こりやすい。なお、反応槽が多段に分割、または切られている場合には、最も高い反応温度が本発明で言うところの重縮合反応温度である。
【0064】
重縮合反応の時間は反応条件等により適宜決められるべきであるが、該反応温度において0.5時間以上5時間以下が好ましい。多段階の反応温度を採用しても構わないし、場合により、反応途中で、あるいは重縮合反応温度に達したら直ぐに重合体を溶融状態で抜出し、回収することとしても構わない。
【0065】
重縮合反応において、反応容器の形状は公知のものを用いることができる。用いる攪拌翼は、縦型の反応容器の場合、多段のパドル翼、タービン翼、モンテ翼、ダブルヘリカル翼が好ましく、中でも、多段のパドル翼、タービン翼がより好ましい。横型の反応容器では、1軸または2軸の攪拌軸に垂直に、種々の形状の翼、例えばレンズ翼、眼鏡翼、多円平板翼等が設置されているものが良い。また、翼にねじれを付けて、攪拌性能や送り機構を向上させたものも良い。
【0066】
反応容器の加熱は、熱媒、気体、電気ヒーターにより行うが、均一加熱という目的で、反応容器だけでなく、攪拌軸、翼、邪魔板等の反応容器内の反応物に浸漬する部材も加熱することが好ましい。
【0067】
(液晶ポリエステルの構造)
上述のモノマー(1’)〜(3’)を溶融重縮合させて得られる重合体は、下記一般式(1)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(1)」ということがある。)を有することが好ましく、繰返し単位(1)と、下記一般式(2)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(2)」ということがある。)と、下記一般式(3)で表される繰返し単位(以下、「繰返し単位(3)」ということがある。)とを有することがより好ましい。
【0068】
(1)−O−Ar−CO−
(2)−CO−Ar−CO−
(3)−O−Ar−O−
(Arは、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar及びArは、それぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基を表す。Ar、Ar又はArで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
【0069】
一般式(1)〜(3)における置換基としての前記ハロゲン原子、アルキル基、アリール基は、前記一般式(1’)〜(3’)における置換基としての前記ハロゲン原子、アルキル基、アリール基と同様であり、一般式(1)〜(3)におけるこれら置換基の数も前記一般式(1’)〜(3’)の場合と同様である。
【0070】
繰返し単位(1)は、所定の芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(1)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位)、及びArが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)が好ましい。すなわち、モノマー(1’)としては、Arがp−フェニレン基又は2,6−ナフチレン基であるものを使用することが好ましい。
【0071】
繰返し単位(2)は、所定の芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位である。繰返し単位(2)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位)、Arがm−フェニレン基であるもの(イソフタル酸に由来する繰返し単位)、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位)、及びArがジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるもの(ジフェニルエ−テル−4,4’−ジカルボン酸に由来する繰返し単位)が好ましい。すなわち、モノマー(2’)としては、Arがp−フェニレン基、m−フェニレン基、2,6−ナフチレン基、又はジフェニルエ−テル−4,4’−ジイル基であるものを使用することが好ましい。
【0072】
繰返し単位(3)は、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位である。繰返し単位(3)としては、Arがp−フェニレン基であるもの(ヒドロキノンに由来する繰返し単位)、及びArが4,4’−ビフェニリレン基であるもの(4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する繰返し単位)が好ましい。すなわち、モノマー(3’)としては、Arがp−フェニレン基、又は4,4’−ビフェニリレン基であるものを使用することが好ましい。
【0073】
液晶ポリエステルは、2,6−ナフチレン基を有する繰り返し単位の合計量が、全繰り返し単位の合計量に対して、10モル%以上であることが好ましく、40モル%以上であることがより好ましい。
【0074】
耐熱性や溶融張力が高い液晶ポリエステルの例としては;
繰り返し単位(1)として、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位)を、全繰返し単位の合計量に対し、好ましくは40モル%以上74.8モル%以下、より好ましくは40モル%以上64.5モル%以下、さらに好ましくは50モル%以上58モル%以下有し;
繰り返し単位(2)として、Arが2,6−ナフチレン基であるもの(2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位、繰り返し単位(2A)と称することがある)と、Arが1,4−フェニレン基であるもの(テレフタル酸に由来する繰返し単位、繰り返し単位(2B)と称することがある)と、を含み;
繰り返し単位(2A)を、全繰返し単位の合計量に対し、好ましくは12.5モル%以上30モル%以下、より好ましくは17.5モル%以上30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上25モル%以下有し;
繰り返し単位(2B)を、全繰返し単位の合計量に対し、好ましくは0.2モル%以上15モル%以下、より好ましくは0.5モル%以上12モル%以下、さらに好ましくは2モル%以上10モル%以下有し;
繰り返し単位(2)に含まれる繰り返し単位(2A)の含有量が、繰り返し単位(2A)及び繰り返し単位(2B)の合計含有量に対して、好ましくは0.5モル倍以上、より好ましくは0.6モル倍以上のものであり;
繰り返し単位(3)として、Arが1,4−フェニレン基であるもの(ヒドロキノンに由来する繰返し単位)を、全繰返し単位の合計量に対し、好ましくは12.5モル%以上30モル%以下、より好ましくは17.5モル%以上30モル%以下、さらに好ましくは20モル%以上25モル%以下有する、ものが挙げられる。
【0075】
溶融重縮合で得られた液晶ポリエステルは、さらに高分子量化するため、必要に応じて加熱処理して重合させることとしてもよい。溶融重縮合後の重合体は、重合度により冷却すると固体となるため、重合体を冷却して固形物とした後、公知の粉砕装置を用いて粉砕し、得られる粉体を加熱処理して固相重合を行うこととするとよい。
【0076】
例えば、液晶ポリエステルの流動開始温度は、液晶ポリエステルの重合度と相関があるため、溶融重縮合後の液晶ポリエステルの流動開始温度を測定し、所望の重合度に対応する流動開始温度となるまで、不活性ガス雰囲気下、固相重合するとよい。
【0077】
なお、流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
【0078】
なお、上述の方法で得られる液晶ポリエステルを、溶融して造粒することとしてもよい。造粒の形態は、ペレット状が好ましい。
【0079】
液晶ポリエステルの粒子を造粒してペレットを製造する方法としては、一般に使用されている一軸または二軸の押出機を用い溶融混練し、空冷または必要に応じて水冷した後、ペレタイザー(ストランドカッター)でペレットに賦形する方法が挙げられる。溶融均一化と賦形が目的のため、汎用の押出機が使用できるが、L/Dの大きい押出機を用いることが溶融均一化の観点からは好ましい。溶融混練に際しては、押出機のシリンダー設定温度(ダイヘッド温度)は200℃以上420℃以下の範囲が好ましく、より好ましくは230℃以上400℃以下、更に好ましくは240℃以上380℃以下である。
【0080】
なお、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルには、必要に応じて無機充填剤を添加することができる。このような無機充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、クレー、シリカ、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナ、モンモリロナイト、石膏、ガラスフレーク、ガラス繊維、炭素繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、ホウ酸アルミニウムウィスカ、チタン酸カリウム繊維等が例示される。これらの無機充填剤は、フィルムの透明性や機械強度を著しく損なわない範囲で用いることができる。
【0081】
また、本実施形態の製造方法で製造される液晶ポリエステルには、必要に応じて、さらに、有機充填剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、無機もしくは有機系着色剤、防錆剤、架橋剤、発泡剤、蛍光剤、表面平滑剤、表面光沢改良剤、またはフッ素樹脂などの離型改良剤など、各種の添加剤を製造工程中あるいはその後の加工工程において添加することができる。
【0082】
以上のようにして、目的とする液晶ポリエステルを得ることができる。
【0083】
以上のような構成の液晶ポリエステルの製造方法によれば、物性を変化させず、高収率で液晶ポリエステルを製造することが可能となる。
【0084】
すなわち、原料モノマーである芳香族化合物は固化しやすいため、アシル化反応を行う際には、反応槽の内壁面で原料が固化して付着しやすい。すると、内壁面に付着している原料は、重縮合で用いられないため、従来の方法では、液晶ポリエステルの収率が低下するおそれがあった。また、反応槽の内壁面で原料が固化して付着すると、アシル化反応系内では、所望の量比でアシル化反応が行えず、得られる液晶ポリエステルの耐熱性等の物性が変化するおそれがあった。
【0085】
対して、本実施形態の液晶ポリエステルの製造方法では、内壁面に付着する原料を洗い流しながらアシル化反応を行うため、従来の課題を解消することが可能となる。
【0086】
なお、本実施形態においては、配管151の一端は、タンク142に接続されることとしたが、これに限らず、回収装置14の配管141や第1冷却器143,第2冷却器144など、回収装置14におけるタンク142に至るまでのどこかに接続されることとして、反応混合物を還流させることとしてもよい。
【0087】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【実施例】
【0088】
以下に本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0089】
[アシル化反応]
攪拌機、窒素ガス導入装置、温度計および還流冷却器を備えた、容量200L、槽内径600mmの反応槽を有する反応器に、窒素雰囲気下で無水酢酸33.1kg(0.322kmol)を仕込んだ後、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸27.9kg(0.148kmol)、ハイドロキノン7.4kg(0.067kmol)、テレフタル酸2.2kg(0.013kmol)、2,6−ナフタレンジカルボン酸10.2kg(0.047kmol)、更にアセチル化触媒として1−メチルイミダゾール4.8gを仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で140℃まで昇温し、アシル化(アセチル化)を行った。
【0090】
[測定方法]
実施例および比較例においては、反応槽の内壁面での還流量は、流量ポンプ(図1におけるポンプ152に対応)の流量から、内壁面の周囲長1m当たり且つ1時間当たりの流量に換算した値を採用し、流量ポンプの運転条件を変更することにより還流量を制御した。
【0091】
また、反応槽の内壁面に付着した固形物の量は、(1)反応槽への総仕込み量、(2)反応槽からの総払い出し量、(3)反応槽からの払い出し時に配管やバルブに付着することによる損失量、に基づいて、下記式より概算した。「(3)損失量」については、発明者が使用する装置についての、経験的に得られる値を採用した。
(付着量)=((1)総仕込み量)−((2)総払い出し量)−((3)損失量)
【0092】
(実施例1)
137℃〜140℃の温度で1時間アセチル化反応を行い、アセチル化反応における還流量を16kg/h/mとした。その結果、反応槽の内壁面への固形物の付着量は、約0.5kg(総仕込み量に対し約0.6%)であった。
【0093】
(実施例2)
137℃〜140℃の温度で1時間アセチル化反応を行い、アセチル化反応における還流量を16kg/h/mとし、さらに、内壁面全面に対し副生した酢酸の散布を行った。その結果、反応槽の内壁面へ固形物の付着は生じなかった。
【0094】
(比較例1)
140℃まで昇温した後125℃まで温度を低下させ、125℃で保持してアセチル化反応を行った。昇温および温度低下の過程において、130℃以上となる時間を30分、130℃未満に温度低下させた後反応終了までの時間を30分とした。
アセチル化反応の間、流量ポンプを停止することにより還流を行わなかった(還流量:0kg/h/m)。
その結果、反応槽の内壁面への固形物の付着量は、約3kg(総仕込み量に対し約3.7%)であった。
【0095】
これらの結果から、本発明の有用性が確かめられた。
【符号の説明】
【0096】
10…重合装置、11…重合槽(反応槽)、11a…内壁面、14…回収装置、15…散布装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ヒドロキシカルボン酸に含まれるフェノール性水酸基と、芳香族ジオールに含まれるフェノール性水酸基と、のいずれか一方または両方を、脂肪酸無水物でアシル化する工程と、
前記アシル化する工程で生成したアシル化物と、芳香族ジカルボン酸および重合可能な芳香族ジカルボン酸誘導体のいずれか一方または両方と、を溶融重縮合する工程と、を有し、
前記アシル化する工程において、反応槽の内壁面を流下する反応混合物の還流量が、10kg/hr/m以上である液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項2】
前記アシル化する工程において、反応過程で副生する脂肪酸を前記内壁面に散布しながらアシル化を行う請求項1記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項3】
前記溶融重縮合する工程には、下記一般式(1’)、(2’)及び(3’)で表されるモノマーが用いられ、
2,6−ナフチレン基を含むモノマーの含有量が、用いる全モノマーの合計量に対して、40モル%以上である請求項1または2に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
(1’)G−O−Ar−CO−G
(2’)G−CO−Ar−CO−G
(3’)G−O−Ar−O−G
(式中、Arは、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基であり;Ar及びArは、それぞれ独立に、2,6−ナフチレン基、1,4−フェニレン基、1,3−フェニレン基又は4,4’−ビフェニリレン基であり;Gはそれぞれ独立に水素原子又はアルキルカルボニル基であり;Gはそれぞれ独立にヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はハロゲン原子であり;前記Ar、Ar及びAr中の一つ以上の水素原子は、それぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)

【図1】
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【公開番号】特開2013−7005(P2013−7005A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−142151(P2011−142151)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】