説明

液晶レンズ及び液晶レンズ製造用基材

【課題】、液晶分子の配向を制御して、滑らかなレンズ状の位相分布を形成することができ、スペーサの存在による画像品質の低下を抑制し得る液晶レンズ、及びその液晶レンズを製造するために用いられる基材を提供する。
【解決手段】液晶レンズ1は、第1の基板2、第1の基板2に対向して配置された第2の基板3、第1の基板2上に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極41、第2の基板3上に全面に亘って設けられてなる全面電極5、第1の基板2及び第2の基板3の間に液晶材料が封入されてなる液晶層8、並びに第1の基板2上の、電極41及び全面電極5に電圧が印加されたときに液晶層8にかかる電界が最小となる位置に設けられたスペーサ9を備え、液晶層8に電界がかけられていない状態での液晶分子の長軸方向に応じて、液晶材料の異常光又は常光に対する屈折率ne,no及びスペーサ9を構成する材料の屈折率nspの差を±0.05以内とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶レンズ、及びその液晶レンズの製造に用いられる基材に関し、特に裸眼立体表示装置に用いられる液晶レンズ、及びその液晶レンズの製造用基材に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、2次元/3次元(2D/3D)表示の切り替えが可能な裸眼立体表示装置が注目されている。かかる裸眼立体表示装置で用いられる立体表示方式としては、レンチキュラ方式、パララックスバリア方式等が知られている。このうち、パララックスバリア方式は、右目用の画素と左目用の画素とが交互に縦列に配置された画像を、視差バリア層を通して裸眼で観察する方式であり、右目からは右目用の画素しか見えず、左目からは左目用の画素しか見えないように構成することで、両目視差作用により立体視を可能としている。このパララックスバリア方式は、視差バリア層を設ける必要があるため、輝度が低下するという問題がある。
【0003】
一方、レンチキュラ方式は、右目用の画素と左目用の画素とが交互に縦列に配置された画像を、レンチキュラレンズを介して裸眼で観察する方式であり、パララックスバリア方式と同様に右目からは右目用の画素しか見えず、左目からは左目用の画素しか見えないように構成することで立体視を可能としている。このレンチキュラ方式は、パララックスバリア方式と比較して輝度の低下が少ない点で優れている。
【0004】
一般に、レンチキュラ方式を用いた裸眼立体表示装置において2D/3D表示を切り替えるために、液晶レンズが用いられる。この液晶レンズは、対向して配置される2つの基板のうちの一方の基板上に所定の間隔をあけて複数の電極を形成し、他方の基板上の全面に亘って電極を形成し、両基板間に液晶を封入するとともに、両基板間の距離(液晶層の厚さ,セルギャップ)を制御するスペーサが配設されてなる構成を有する。このような構成を有する液晶レンズにおいては、電圧を印加した際に複数の電極の位置に応じて異なる強さの電界を液晶にかけることで、液晶分子の配向を場所によって異ならせることができ、それにより、レンズ状の位相分布が形成され、レンズ効果が奏されることになる。
【0005】
この液晶レンズにおいては、滑らかなレンズ状の位相分布が形成されることにより、裸眼立体表示装置において鮮明、かつ自然な3D表示が可能となるが、一方の基板上に所定の間隔をあけて形成される各電極に近接する領域において急激な側面電場が誘発されてしまい、歪んだレンズ状の位相分布が形成されてしまうことがある。そのため、従来、滑らかなレンズ状の位相分布を形成し得る電極構造が種々提案されている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−104137号公報
【特許文献2】特開2008−9370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1,2において、液晶分子の配向を制御し、滑らかなレンズ状の位相分布を形成し得る電極構造を備える液晶レンズが提案されており、この液晶レンズにおいてセルギャップを制御する目的で設けられるスペーサとしては、ビーズスペーサ、カラムスペーサ等が示されている。しかしながら、ビーズスペーサを用いると、所望とする位置にスペーサを配置することが困難であり、その結果、液晶の配向を制御するのが困難となるおそれがある。また、カラムスペーサを用いると、液晶レンズに十分な耐久性を持たせるためにカラム径を大きくしたり、カラムスペーサの個数を増加させたりする必要があり、その結果、液晶分子の配向を制御するのが困難となるおそれがある。すなわち、スペーサの存在により、液晶分子の配向の制御が困難となり、滑らかなレンズ状の位相分布を形成するのが困難となってしまうという問題がある。さらに、スペーサの存在により、スペーサと液晶との界面で画像表示装置から入射した光が散乱し、表示画像の画像品質が低下してしまうという問題もある。
【0008】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、液晶分子の配向を制御して、滑らかなレンズ状の位相分布を形成することができ、スペーサの存在による画像品質の低下を抑制し得る液晶レンズ、及びその液晶レンズを製造するために用いられる基材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、第一に本発明は、第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置されてなる第2の基板と、前記第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極と、前記第2の基板上に全面に亘って設けられてなる全面電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間であって、電圧源から前記複数の電極に電圧が印加され、前記全面電極に接地電圧が印加されたときに、前記液晶層にかかる電界が最小となる位置に設けられてなるスペーサとを備え、前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有することを特徴とする液晶レンズを提供する(発明1)。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【0010】
また、本発明は、第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置されてなる第2の基板と、前記第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極と、前記第2の基板上に全面に亘って設けられてなる全面電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間であって、電圧源から前記複数の電極に電圧が印加され、前記全面電極に接地電圧が印加されたときに、前記液晶層にかかる電界が最小となる位置に設けられてなるスペーサとを備え、前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有することを特徴とする液晶レンズを提供する(発明2)。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【0011】
なお、本発明においてスペーサを構成する材料の屈折率nspとは、スペーサを構成する材料を硬化(固化)させた状態における屈折率を意味する。また、スペーサを構成する材料の屈折率nsp、並びに液晶材料の異常光に対する屈折率ne及び常光に対する屈折率noは、公知の方法を用いて測定することができ、例えば、分光エリプソメータ(JOBIN YVON社製,UVISEL)を用いることができる。
【0012】
上記発明(発明1,2)においては、前記スペーサが、前記複数の電極のうちの隣接する2つの電極の間に設けられているのが好ましい(発明3)。上記発明(発明1〜3)においては、前記スペーサの高さを、3〜150μmとすることができる(発明4)。上記発明(発明1〜4)においては、前記第1の基板の形状が、略方形状であり、前記複数の電極が、前記第1の基板の対向する二辺と略平行に延在するようにして設けられており、前記スペーサの形状が、略直方体形状であり、前記略直方体形状のスペーサを、前記複数の電極と略平行に延在するようにして設けてもよいし(発明5)、前記スペーサの形状を、略円柱形状にしてもよい(発明6)。上記発明(発明1〜6)においては、前記スペーサは、前記第1の基板上又は前記第2の基板上に固着されているのが好ましい(発明7)。上記発明(発明1〜7)においては、前記複数の電極のうちの少なくとも一部であるN個(Nは3以上の整数である)の電極を含み、当該N個の電極のうちの隣接する2つの電極の電極中心により構成されるN−1個の電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記N−1個の電極中心間隔は、一の電極中心間隔と、当該一の電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の電極中心間隔とを含むのが好ましい(発明8)。上記発明(発明1〜8)においては、裸眼立体表示装置用として用いることができる(発明9)。
【0013】
第二に本発明は、液晶レンズの製造に用いられる基材であって、基板と、前記基板の一方の面に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極と、前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に設けられているスペーサとを備え、前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面の全面に亘って電極が設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記複数の電極に電圧を印加し、前記他の基板に設けられている電極に接地電圧を印加したときに、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、前記スペーサは、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材を提供する(発明10)。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【0014】
また、本発明は、液晶レンズの製造に用いられる基材であって、基板と、前記基板の一方の面に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極と、前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に設けられているスペーサとを備え、前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面の全面に亘って電極が設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記複数の電極に電圧を印加し、前記他の基板に設けられている電極に接地電圧を印加したときに、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、前記スペーサは、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材を提供する(発明11)。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【0015】
上記発明(発明10,11)においては、前記スペーサが、前記複数の電極のうちの隣接する2つの電極の間に設けられているのが好ましい(発明12)。上記発明(発明10〜12)においては、前記スペーサの高さを、3〜150μmとすることができる(発明13)。上記発明(発明10〜13)においては、前記基板本体の形状が、略方形状であり、前記複数の電極が、前記略方形状の基板本体の対向する二辺と略平行に延在するようにして設けられており、前記スペーサの形状が、略直方体形状であり、前記略直方体形状のスペーサを、前記複数の電極と略平行に延在するようにして設けてもよいし(発明14)、前記スペーサの形状を、略円柱形状としてもよい(発明15)。上記発明(発明10〜15)においては、前記スペーサは、前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に固着されているのが好ましい(発明16)。上記発明(発明10〜16)においては、前記複数の電極のうちの少なくとも一部であるN個(Nは3以上の整数である)の電極を含み、当該N個の電極のうちの隣接する2つの電極の電極中心により構成されるN−1個の電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記N−1個の電極中心間隔は、一の電極中心間隔と、当該一の電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の電極中心間隔とを含むのが好ましい(発明17)。
【0016】
第三に本発明は、液晶レンズの製造に用いられる基材であって、基板と、前記基板の一方の面の全面に設けられてなる電極と、前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に設けられているスペーサとを備え、前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面に複数の電極が互いに離隔されて設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記電極に接地電圧を印加し、前記他の基材に設けられている複数の電極に電圧を印加したときに、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、前記スペーサは、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材を提供する(発明18)。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【0017】
また、本発明は、液晶レンズの製造に用いられる基材であって、基板と、前記基板の一方の面の全面に設けられてなる電極と、前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に設けられているスペーサとを備え、前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面に複数の電極が互いに離隔されて設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記電極に接地電圧を印加し、前記他の基材に設けられている複数の電極に電圧を印加したときに、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、前記スペーサは、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材を提供する(発明19)。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【0018】
上記発明(発明18,19)においては、前記スペーサが、前記他の基材に設けられている複数の電極のうちの隣接する2つの電極の間に配置されるように、前記基板に設けられているのが好ましい(発明20)。上記発明(発明18〜20)においては、前記スペーサの高さを、3〜150μmとすることができる(発明21)。上記発明(発明18〜21)においては、前記液晶レンズ製造用基材を用いて製造される液晶レンズにおいて、当該液晶レンズ製造用基材と対向配置される、一方の面に複数の電極が互いに離隔されて設けられてなる他の基板の形状が、略方形状であり、前記他の基板に設けられている複数の電極が、前記略方形状の他の基板の対向する二辺と略平行に延在しており、前記スペーサの形状が、略直方体形状であり、前記液晶レンズ製造用基材と前記他の基板とを対向配置させたときに、前記略直方体形状のスペーサを、前記他の基板に設けられている複数の電極と略平行に延在して配置されるように、前記基板本体に設けてもよいし(発明22)、前記スペーサの形状を、略円柱形状としてもよい(発明23)。上記発明(発明18〜23)においては、前記スペーサは、前記基板本体における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に固着されているのが好ましい(発明24)。
【0019】
第四に本発明は、略方形状の第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置されてなる第2の基板と、前記第1の基板の対向する二辺と平行な方向に延在するようにして、当該第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極と直交する方向に延在するようにして、前記第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第2の電極と、前記第2の基板上に全面に亘って設けられてなる全面電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間であって、電圧源から前記複数の第1の電極に電圧を印加し、前記全面電極に接地電圧を印加したとき、及び前記複数の第2の電極に電圧を印加し、前記全面電極に接地電圧を印加したときのいずれにおいても、前記液晶層にかかる電界が最小となる位置に設けられてなるスペーサとを備え、前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有することを特徴とする液晶レンズを提供する(発明25)。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【0020】
また、本発明は、略方形状の第1の基板と、前記第1の基板に対向して配置されてなる第2の基板と、前記第1の基板の対向する二辺と平行な方向に延在するようにして、当該第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極と直交する方向に延在するようにして、前記第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第2の電極と、前記第2の基板上に全面に亘って設けられてなる全面電極と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層と、前記第1の基板及び前記第2の基板の間であって、電圧源から前記複数の第1の電極に電圧を印加し、前記全面電極に接地電圧を印加したとき、及び前記複数の第2の電極に電圧を印加し、前記全面電極に接地電圧を印加したときのいずれにおいても、前記液晶層にかかる電界が最小となる位置に設けられてなるスペーサとを備え、前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有することを特徴とする液晶レンズを提供する(発明26)。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【0021】
上記発明(発明25,26)においては、前記スペーサが、前記複数の第1の電極のうちの隣接する2つの第1の電極の間、かつ前記複数の第2の電極のうちの隣接する2つの第2の電極の間に設けられているのが好ましい(発明27)。上記発明(発明25〜27)においては、前記スペーサの高さを、3〜150μmとすることができる(発明28)。上記発明(発明25〜28)においては、前記スペーサの形状を、略円柱形状とすることができる(発明29)。上記発明(発明25〜29)においては、前記スペーサは、前記第1の基板上又は前記第2の基板上に固着されているのが好ましい(発明30)。上記発明(発明25〜30)においては、前記複数の第1の電極のうちの少なくとも一部であるN個(Nは3以上の整数である)の第1の電極を含み、当該N個の第1の電極のうちの隣接する2つの第1の電極の電極中心により構成されるN−1個の第1電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記N−1個の第1電極中心間隔は、一の第1電極中心間隔と、当該一の第1電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の第1電極中心間隔とを含むのが好ましい(発明31)。上記発明(発明25〜31)においては、前記複数の第2の電極のうちの少なくとも一部であるM個(Mは3以上の整数である)の電極を含み、当該M個の第2の電極のうちの隣接する2つの第2の電極の電極中心により構成されるM−1個の第2電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記M−1個の第2電極中心間隔は、一の第2電極中心間隔と、当該一の第2電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の第2電極中心間隔とを含むのが好ましい(発明32)。上記発明(発明25〜32)においては、前記液晶レンズを、裸眼立体表示装置用の液晶レンズとして用いることができる(発明33)。
【0022】
第五に本発明は、液晶レンズの製造に用いられる基材であって、略方形状の基板と、前記基板の対向する二辺と平行な方向に延在するようにして、当該基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極と直交する方向に延在するようにして、前記基板における第1の電極が設けられている面上、又は第1の電極が設けられていない面上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第2の電極と、前記基板のいずれか一方の面上に設けられているスペーサとを備え、前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面の全面に亘って電極が設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記複数の第1の電極に電圧を印加し、前記他の基材に設けられている電極に接地電圧を印加したとき、及び前記第2の電極に電圧を印加し、前記他の基材に設けられている電極に接地電圧を印加したときのいずれにおいても、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材を提供する(発明34)。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【0023】
また、本発明は、液晶レンズの製造に用いられる基材であって、略方形状の基板と、前記基板の対向する二辺と平行な方向に延在するようにして、当該基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第1の電極と、前記複数の第1の電極と直交する方向に延在するようにして、前記基板における第1の電極が設けられている面上、又は第1の電極が設けられていない面上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第2の電極と、前記基板のいずれか一方の面上に設けられているスペーサとを備え、前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面の全面に亘って電極が設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記複数の第1の電極に電圧を印加し、前記他の基材に設けられている電極に接地電圧を印加したとき、及び前記第2の電極に電圧を印加し、前記他の基材に設けられている電極に接地電圧を印加したときのいずれにおいても、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材を提供する(発明35)。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【0024】
上記発明(発明34,35)においては、前記スペーサが、前記複数の第1の電極のうちの隣接する2つの第1の電極の間、かつ前記複数の第2の電極のうちの隣接する2つの第2の電極の間に設けられているのが好ましい(発明36)。上記発明(発明34〜36)においては、前記スペーサの高さを、3〜150μmとすることができる(発明37)。上記発明(発明34〜37)においては、前記スペーサの形状を、略円柱形状とすることができる(発明38)。上記発明(発明34〜38)においては、前記スペーサは、前記基板本体のいずれか一方の面上に固着されているのが好ましい(発明39)。上記発明(発明34〜39)においては、前記複数の第1の電極のうちの少なくとも一部であるN個(Nは3以上の整数である)の第1の電極を含み、当該N個の第1の電極のうちの隣接する2つの第1の電極の電極中心により構成されるN−1個の第1電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記N−1個の第1電極中心間隔は、一の第1電極中心間隔と、当該一の第1電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の第1電極中心間隔とを含むのが好ましい(発明40)。上記発明(発明34〜40)においては、前記複数の第2の電極のうちの少なくとも一部であるM個(Mは3以上の整数である)の第2の電極を含み、当該M個の第2の電極のうちの隣接する2つの第2の電極の電極中心により構成されるM−1個の第2電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記M−1個の第2電極中心間隔は、一の第2電極中心間隔と、当該一の第2電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の第2電極中心間隔とを含むのが好ましい(発明41)。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、液晶分子の配向を制御して、滑らかなレンズ状の位相分布を形成することができ、スペーサの存在による画像品質の低下を抑制し得る液晶レンズ、及びその液晶レンズを製造するために用いられる基材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液晶レンズのレンズ効果を概念的に示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る液晶レンズにおける一のレンズ領域の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る液晶レンズの第1の透明基板におけるストライプ状透明電極の他の構成例(その1)を示す断面図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る液晶レンズの第1の透明基板におけるストライプ状透明電極の他の構成例(その2)を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る液晶レンズの製造方法の一部の工程を示すフロー図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズのレンズ効果を概念的に示す模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズにおける一のレンズ領域の構成を示す断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズにおける第1のストライプ状透明電極の他の構成例(その1)を示す断面図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズにおける第1のストライプ状透明電極の他の構成例(その2)を示す断面図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズにおける第2のストライプ状透明電極の他の構成例(その1)を示す断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズにおける第2のストライプ状透明電極の他の構成例(その2)を示す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズの製造方法の一部の工程を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液晶レンズのレンズ効果を概念的に示す模式図であり、図2は、本発明の第1の実施形態に係る液晶レンズにおける一のレンズ領域の構成を示す断面図である。
【0028】
第1の実施形態に係る液晶レンズ1は、2次元(2D)画像を表示し得る画像表示装置の表示パネルDの前面に配置されて用いられるものであり、図1に示すように、複数のレンズ領域(所定の領域)Lのそれぞれにおいて、軸方向が縦方向(Y軸方向)に沿った略放物線状のレンズ効果を奏させ、全体として略放物線状のレンズが多数連結して画像表示装置(表示パネルD)の横方向(X軸方向)に並列するように構成される。この各レンズ領域Lにおいてレンズ効果を奏させることにより、Z軸方向に位置する画像表示装置からの入射光が当該レンズ効果を受けて液晶レンズ1を透過する。その結果、画像表示装置における右目用の画素が右目でのみ見えるように、左目用の画素が左目でのみ見えるようになり、立体視が可能となる。
【0029】
第1の実施形態に係る液晶レンズ1の各レンズ領域Lにおける具体的な構成を説明する。図2に示すように、第1の実施形態に係る液晶レンズ1は、第1の透明基板2と、第1の透明基板2と対向して配置される第2の透明基板3と、第1の透明基板2における第2の透明基板3に対向する面上に所定の間隔をあけて設けられた複数の長尺状透明電極41を含むストライプ状透明電極4と、第2の透明基板3における第1の透明基板2に対向する面上に全面に亘って設けられた全面透明電極5と、第1の透明基板2上に、第1の透明基板2及び第2の透明基板3の間のセルギャップを維持するようにして設けられたスペーサ9と、第1の透明基板2におけるストライプ状透明電極4が設けられている面上に第1の透明基板2、ストライプ状透明電極4及びスペーサ9を被覆するようにして設けられた第1の配向膜6と、全面透明電極5を被覆するようにして設けられた第2の配向膜7と、第1の透明基板2及び第2の透明基板3の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層8とを備える。なお、第1の透明基板2及び第2の透明基板3は、図示しないシール材により相互に接着固定されている。
【0030】
第1の透明基板2及び第2の透明基板3は、例えば、ガラス材料、樹脂材料等からなるものであり、ストライプ状透明電極4及び全面透明電極5は、インジウム・錫・酸化物(ITO)、インジウム・亜鉛・酸化物(IZO)等の透明導電材料からなるものである。
【0031】
ストライプ状透明電極4は、略方形状の第1の透明基板2における対向する二辺と略平行に、複数の長尺状透明電極41が所定の間隔をあけてストライプ状に延在して構成される。なお、第1の実施形態において、一のレンズ領域Lに6個の長尺状透明電極41が含まれ、各長尺状透明電極41は、その幅が略同一であって、隣接する長尺状透明電極41の対向する側面間の間隔が略同一となるように第1の透明基板2上に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一のレンズ領域LにN個(Nは3以上の整数である)の長尺状透明電極41が含まれ、隣接する2個の長尺状透明電極41の電極中心により構成されるN−1個の電極中心間隔GCが、そのうちの一の電極中心間隔GCと、それとは間隔の異なる他の電極中心間隔GCとを有するように構成されていればよい。具体的には、図3に示すように、一のレンズ領域Lにおける隣接する長尺状透明電極41の対向する側面間の間隔GSを略同一とし、当該レンズ領域Lの中心部LCからエッジ部LEに向けて長尺状透明電極41の幅WEを漸減させることにより、一のレンズ領域Lにおける中心部LCからエッジ部LEに向けて、隣接する長尺状透明電極41の電極中心間隔GCが徐々に狭くなるようにしてもよいし、図4に示すように、一のレンズ領域Lにおける各長尺状透明電極41の幅WEを略同一とし、当該レンズ領域Lの中心部LCからエッジ部LEに向けて隣接する長尺状透明電極41の対向する側面間の間隔GSを漸減させることにより、一のレンズ領域Lにおける中心部LCからエッジ部LEに向けて、隣接する長尺状透明電極41の電極中心間隔GCが徐々に狭くなるようにしてもよい。このように、一のレンズ領域L内の隣接する長尺状透明電極41の電極中心間隔GCが、当該レンズ領域Lにおける中心部LCからエッジ部LEに向けて徐々に狭くなるようにすることで、各長尺状透明電極41に近接する領域において急激な側面電場が誘発されるのを抑制することができ、各レンズ領域Lにおいて滑らかなレンズ状の位相分布を形成することができる。
【0032】
液晶層8を構成する液晶材料としては、液晶層8に電界がかけられていない状態での当該液晶層8における液晶分子の長軸方向が、液晶レンズ1を透過する光の進行方向と略直交するように配向されるものであってもよいし、液晶層8に電界がかけられていない状態での当該液晶層8における液晶分子の長軸方向が、液晶レンズ1を透過する光の進行方向と略平行になるように配向されるものであってもよい。
【0033】
スペーサ9は、第1の透明基板2と第2の透明基板3との間に封入されている液晶材料の、液晶層8に電界がかけられていない状態での屈折率との間で、所定の関係の屈折率を有する材料により構成される。スペーサ9は、液晶層8にかかる電界が最小となる位置に設けられているため、液晶レンズ1において所定のレンズ効果を得るべく液晶層8に電界がかけられたとしても、スペーサ9との界面近傍に位置する液晶分子の長軸方向は、液晶層8に電界がかけられていない状態とほとんど変わらないと考えられる。したがって、液晶層8に電界がかけられていない状態での液晶材料の屈折率と、スペーサ9を構成する材料の屈折率とを実質的に同一とすることで、液晶層8に電界がかけられていない状態及び電界がかけられている状態のいずれにおいても、液晶層8とスペーサ9との界面における入射光の散乱を抑制することができる。
【0034】
具体的には、両透明基板2,3間に液晶材料が封入されて構成される液晶層8において、液晶層8に電界がかけられていない状態での液晶分子の長軸方向が、液晶レンズ1を透過する光の進行方向と略直交するように配向される場合、スペーサ9は、液晶材料の異常光に対する屈折率neとの差(nsp−ne)が±0.05以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されており、好ましくは両屈折率(ne,nsp)の差(nsp−ne)が±0.02以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されおり、さらに好ましくは両屈折率(ne,nsp)の差(nsp−ne)が±0.01以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されている。また、液晶層8に電界がかけられていない状態での液晶分子の長軸方向が、液晶レンズ1を透過する光の進行方向と略平行に配向される場合、スペーサ9は、液晶材料の常光に対する屈折率noとの差(nsp−no)が±0.05以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されており、好ましくは両屈折率(no,nsp)の差(nsp−no)が±0.02以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されおり、さらに好ましくは両屈折率(no,nsp)の差(nsp−no)が±0.01以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されている。両屈折率の差(nsp−ne,nsp−no)が0.05よりも大きく、又は−0.05よりも小さくなると、スペーサ9と液晶層8との界面において入射光が散乱してしまい、画像品質が低下してしまい、スペーサ9が画素上に位置する場合には、特に表示される3D画像が歪んでしまう。なお、後述する第1の配向膜6及び第2の配向膜7と液晶材料との組み合わせにより、液晶層8における液晶分子の長軸方向を、液晶レンズ1を透過する光の進行方向に対して略直交させたり、略平行にさせたりすることができるため、それらの組み合わせに応じた液晶層8の構成(液晶層8における液晶分子の長軸方向)に基づいて、スペーサ9を構成する材料を適宜選択することができるが、スペーサ9を構成する材料としては、波長450nmの光線の透過率が85%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である公知の樹脂等を用いることができる。
【0035】
スペーサ9は、第1の実施形態に係る液晶レンズ1における各レンズ領域Lに含まれる複数の長尺状透明電極41のそれぞれに異なる電圧を印加し、全面透明電極5に接地電圧を印加したときに、液晶8にかかる電界が最小となる位置に設けられているのが好ましい。各レンズ領域Lにおけるエッジ部LEに位置する長尺状透明電極41に最高電圧が印加され、そこから中心部LCに向けて長尺状透明電極41に印加される電圧が漸減するようにし、中心部LCに位置する長尺状透明電極41に最低電圧が印加されることで、各レンズ領域Lにおける中心部LCに位置する液晶に、最小の電界がかかることになる。したがって、図2に示すように、各レンズ領域Lに含まれる複数の長尺状透明電極41のうちの2つの長尺状透明電極41の略中間位置であって、各レンズ領域Lにおける中心部LCの最近傍の位置にスペーサ9が設けられているのが好ましい。電界が最小となる位置では、ストライプ状透明電極4(長尺状透明電極41)及び全面透明電極5への電圧の印加の有無にかかわらず、ほとんど液晶分子の配向に変化がないため、このような位置にスペーサ9が設けられていることで、各レンズ領域Lにおけるレンズ効果に対するスペーサ9の影響を最小限に抑えることができる。
【0036】
スペーサ9の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、略直方体形状、略円柱形状等が挙げられる。スペーサ9の形状が略直方体形状である場合、スペーサ9は、長尺状透明電極41と略平行に延在するようにして設けられていればよい。また、スペーサ9の形状が略円柱形状である場合、スペーサ9は、隣接する2つの長尺状透明電極41の略中間位置に設けられていればよく、複数個の略円柱形状のスペーサ9を設ける場合、隣接する2つの長尺状透明電極41の略中間位置であって、当該長尺状透明電極41と略平行の方向に所定の間隔(例えば、10〜300μm)をあけて配設させればよい。なお、第1の実施形態において、略直方体形状のスペーサ9には、第1の透明基板2の表面に直交する方向、かつスペーサ9の短手方向と平行な方向における断面が略正方形状、略長方形状、略台形状等のスペーサが含まれる。
【0037】
スペーサ9の形状が略直方体形状である場合や略円柱形状である場合、その短手方向の幅や直径は特に限定されるものではなく、第1の実施形態に係る液晶レンズ1によって得られるレンズ効果を損なわない程度に適宜設定することができる。なお、第1の実施形態において、スペーサ9の形状を略円柱形状とし、液晶レンズ1によって得られるレンズ効果を損なわない程度の直径に設定すると、第1の透明基板2の表面側からの略円柱形状のスペーサ9の投影面積が小さすぎて、液晶レンズ1において十分な耐久性を得られないおそれがあるが、スペーサ9の形状を略直方体形状とすることで、スペーサ9の当該投影面積を大きくすることができ、得られるレンズ効果を損なうことなく十分な耐久性を有する液晶レンズ1とすることができる。なお、スペーサ9の高さは、液晶レンズ1における液晶層8の厚さに応じて適宜設定することができ、例えば、3〜150μm程度とすることができる。
【0038】
第1の配向膜6は、第1の透明基板2、並びにその上に設けられているストライプ状透明電極4(長尺状透明電極41)及びスペーサ9を被覆するようにして設けられている。また、第2の配向膜7は、第2の透明基板3上の全面透明電極5を被覆するようにして設けられている。第1の配向膜6及び第2の配向膜7は、液晶層8における液晶分子の長軸方向を、液晶レンズ1を透過する光の進行方向に対して略直交させるような液晶配向特性を有するものであってもよいし、当該光の進行方向に対して略水平にさせるような液晶配向特性を有するものであってもよい。なお、第1の配向膜6及び第2の配向膜7は、いずれもラビング処理が施されてなるものであってもよいし、ラビング処理が施されていないものであってもよい。また、第1の実施形態においては、第1の配向膜6及び第2の配向膜7が設けられているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、第1の配向膜6及び第2の配向膜7が設けられていなくてもよい。
【0039】
次に、上述した構成を有する液晶レンズ1を製造する方法について説明する。図5は、第1の実施形態に係る液晶レンズ1の製造方法の一部の工程を示すフロー図である。なお、下記の製造方法においては、略直方体形状のスペーサ9を備える液晶レンズ1を例に挙げて説明するが、本発明におけるスペーサ9の形状は、この形状に限定されるものではない。
【0040】
ガラス基板等の略方形状の第1の透明基板2の一の表面にITO等からなる透明電極層40をスパッタ等により形成し(図5(A))、感光性レジストを用いて所定パターンを有するレジスト層を形成し、当該レジスト層をマスクとして用いて異方性エッチングを行い、第1の透明基板2の対向する二辺と略平行に延在し、所定の間隔を有し、かつ各電極の短手方向の幅WEが略同一である複数の長尺状透明電極41(ストライプ状透明電極4)を形成する(図5(B))。
【0041】
このようにしてストライプ状透明電極4が形成された第1の透明基板2の表面に、スペーサ9を構成する材料(所定の屈折率nSPを有する材料)からなるスペーサ層90を所定の膜厚(例えば、3〜150μm)となるように形成し(図5(C))、感光性レジストを用いて所定のパターンを有するレジスト層を形成し、当該レジスト層をマスクとして用いて異方性エッチングを行い、所望とする位置にスペーサ9を形成する(図5(D))。最後に、第1の配向膜6を形成し(図5(E))、所望によりラビング処理を行う。このようにして、第1の透明基板2上にストライプ状透明電極4、スペーサ9及び第1の配向膜6を設け、これにより、液晶レンズ製造用基材が得られる。
【0042】
一方で、ガラス基板等の第2の透明基板3の表面の全面に亘ってITO等からなる、全面透明電極5としての透明電極層をスパッタ等により形成し、その上に第2の配向膜7を形成し、所望によりラビング処理を行う。このようにして、第2の透明基板3上に全面透明電極5及び第2の配向膜7を設ける。
続いて、第1の透明基板2及び第2の透明基板3を、ストライプ状透明電極4が設けられている面と全面透明電極5が設けられている面とを対向させるようにして配置し、第1及び第2の透明基板2,3の周縁部をシール材により封止して、第1及び第2の透明基板2,3間に所定の屈折率ne,no(スペーサ9を構成する材料の屈折率nSPとの差が±0.05以内)を有する液晶材料を注入して液晶層8を構成する。これにより、第1の実施形態に係る液晶レンズ1を製造することができる。
【0043】
上述のようにして製造される第1の実施形態に係る液晶レンズ1は、画像表示装置の表示パネル(例えば、液晶パネル、プラズマパネル、有機ELパネル、無機ELパネル、FEDパネル等)の前面に設置されて用いられる。この表示パネルには、右目用の画素と左目用の画素とが順次反復配列されており、その状態において、ストライプ状透明電極4及び全面透明電極5に電圧を印加しないと、表示パネル側から液晶レンズ1に入射される入射光がレンズ効果を受けずに透過し、その結果、2次元(2D)の画像を表示することができる。
【0044】
一方、複数の長尺状透明電極41のそれぞれに異なる電圧を印加し、全面透明電極5に接地電圧を印加すると、液晶レンズ1の各レンズ領域Lにおいて電界の強さに応じて液晶分子が配向し、所望とするレンズ効果を奏するようになる。これにより、表示パネル側から入射される入射光が当該レンズ効果を受けて透過し、観察者の右目には右目用の画素のみが見えるように、左目には左目用の画素のみが見えるようになる。その結果、液晶レンズ1を備える画像表示装置において3次元(3D)の画像を表示することができる。
【0045】
このとき、液晶レンズ1における液晶層8を構成する液晶材料の屈折率ne,noとスペーサ9を構成する材料の屈折率nspとの差(nsp−ne,nsp−no)が±0.05以内であることで、表示パネル側から液晶レンズ1に入射した入射光が液晶層8とスペーサ9との界面で散乱しないため、画像品質の低下を防止することができる。また、液晶層8にかかる電界が最小となる位置にスペーサ9が設けられていることで、液晶レンズ1の各レンズ領域Lにおいて、より滑らかなレンズ状の位相分布を形成することができる。さらに、スペーサ9が第1の透明基板2上にフォトリソグラフ法により形成され、固着されていることで、第1の透明基板2と第2の透明基板3とを対向配置させ、その間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズ1において、スペーサ9の位置が変動してしまうことがなく、液晶レンズ1において所望とする位置(各レンズ領域Lにおいて滑らかなレンズ状の位相分布を形成する上で障害になり難い位置)に確実にスペーサ9を配置することができる。したがって、第1の実施形態に係る液晶レンズ1を画像表示装置(表示パネル)の前面に配置して用いることで、ストライプ状透明電極4及び全面透明電極5への電圧の印加の有無により2D表示及び3D表示の切り替えが可能であり、3D表示に切り替えた際に、鮮明、かつ自然な3D画像を観察者に視認させることができる。
【0046】
なお、第1の実施形態に係る液晶レンズ1においては、ストライプ状透明電極4が設けられている面を第2の透明基板3における全面透明電極5が設けられている面側に対向させるようにして第1の透明基板2が配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ストライプ状透明電極4が設けられていない面を第2の透明基板3における全面透明電極5が設けられている面側に対向させるようにして第1の透明基板2が配置されていてもよい。この場合において、第1の透明基板2におけるストライプ状透明電極4が設けられていない面において、各レンズ領域Lのそれぞれに含まれる複数の長尺状透明電極41のうち当該レンズ領域Lの中心部LCの最近傍に位置する2つの長尺状透明電極41の略中間に位置するようにスペーサ9が設けられ、第1の透明基板2及びスペーサ9を被覆するようにして第1の配向膜6が形成されていればよく、かかる態様の液晶レンズ製造用基材を用いることで当該液晶レンズを製造することができる。
【0047】
また、第1の実施形態においては、第1の透明基板2上にフォトリソグラフ法を用いてスペーサ9が形成され、固着されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の透明基板3上にフォトリソグラフ法を用いてスペーサ9が形成され、固着されていてもよい。この場合において、第1の透明基板2と第2の透明基板3とを対向配置させてなる液晶レンズ1において、ストライプ状透明電極4に電圧を印加し、全面透明電極5に接地電圧を印加したときに、液晶層8に係る電界が最小となる位置(具体的には、各レンズ領域Lのそれぞれに含まれる複数の長尺状透明電極41のうち当該レンズ領域Lの中心部LCの最近傍に位置する2つの長尺状透明電極41の略中間位置)にスペーサ9が配置されるように、第2の透明基板3上にスペーサ9が形成され、固着されているのが好ましく、かかる態様の液晶レンズ製造用基材を用いることで当該液晶レンズを製造することができる。なお、スクリーン印刷法を用いて第1の透明基板2上又は第2の透明基板3上にスペーサ9が形成され、固着されていてもよいし、別個に作成した所定の形状(例えば、略直方体形状、略円柱形状等)のスペーサ9が第1の透明基板2上又は第2の透明基板3上に転写・固着されて、設置されていてもよい。
【0048】
さらに、第1の実施形態においては、スペーサ層90上に感光性レジストを用いて所定パターンを有するレジスト層を形成し、当該レジスト層をマスクとして用いて異方性エッチングを行い、所望とする位置にスペーサ9を形成しているが(図5(C),(D))、スペーサ層90を感光性樹脂材料等により形成し、所定のパターンを有するフォトマスクを用いて露光、現像することにより、所望とする位置にスペーサ9を形成してもよい。
【0049】
さらにまた、第1の実施形態においては、第1の透明基板2上に、スペーサ9を構成する材料(所定の屈折率nspを有する材料)からなるスペーサ層90を所定の膜厚(例えば、3〜150μm)となるように形成し(図5(C))、所定のパターンを有するレジスト層からなるマスクを用いて異方性エッチングを1回行い、所定の位置にスペーサ9を形成しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の透明基板2上にスペーサ層90を形成し、所定のパターンを有するレジスト層からなるマスクを用いて異方性エッチングを行う工程を複数回繰り返してもよい。
【0050】
なお、第1の実施形態において、第2の透明基板3と全面透明電極5との間に、クロム等からなるブラックマトリックスが設けられていてもよい。
【0051】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズ100について、図面を参照しながら説明する。図6は、本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズ100のレンズ効果を概念的に示す模式図であり、図7は、本発明の第2の実施形態に係る液晶レンズ100における一のレンズ領域L1の構成を示す断面図である。
【0052】
第2の実施形態に係る液晶レンズ100は、2次元(2D)画像を表示し得る画像表示装置の表示パネルDの前面に配置されて用いられるものであり、図6(A)に示すように、複数のレンズ領域(所定の領域)L1のそれぞれにおいて、軸方向が縦方向(Y軸方向)に沿った略放物線状のレンズ効果を奏させ、全体として略放物線状のレンズが多数連結して画像表示装置の横方向(X軸方向)に並列するように構成されるとともに、当該画像表示装置(表示パネルD)とともに液晶レンズ100を90度(270度)回転させたときには、図6(B)に示すように、複数のレンズ領域(所定の領域)L2のそれぞれにおいて、軸方向が横方向(X軸方向)に沿った略放物線状のレンズ効果を奏させ、全体として略放物線状のレンズが多数連結して画像表示装置の縦方向(Y軸方向,図6(A)に示す状態における縦方向)に並列するように構成される。この各レンズ領域L1,L2においてレンズ効果を奏させることにより、Z軸方向に位置する画像表示装置からの入射光が当該レンズ効果を受けて液晶レンズ1を透過する。その結果、画像表示装置における右目用の画素が右目でのみ見えるように、左目用の画素が左目でのみ見えるようになり、立体視が可能となる。また、画像表示装置(表示パネルD)を90度(270度)回転させた状態においても、同様にして立体視が可能となる。
【0053】
第2の実施形態に係る液晶レンズ100の各レンズ領域L1における具体的構成を説明する。図7に示すように、第2の実施形態に係る液晶レンズ100は、第1の透明基板101と、第1の透明基板101と対向して配置される第2の透明基板102と、第1の透明基板101における第2の透明基板102に対向する面上に所定の間隔をあけて設けられた複数の第1の長尺状透明電極131を含む第1のストライプ状透明電極103と、第1のストライプ状透明電極103を被覆するようにして設けられた、紫外線硬化型アクリル樹脂等からなる絶縁層106と、第1のストライプ状透明電極103と直交するように、所定の間隔をあけて絶縁層106上に設けられた複数の第2の長尺状透明電極141を含む第2のストライプ状透明電極104と、第2の透明基板102における第1の透明基板101に対向する面上に全面に亘って設けられた全面透明電極105と、第1の透明基板101上に、第1の透明基板101及び第2の透明基板102の間のセルギャップを維持するために設けられた略円柱形状のスペーサ110と、第1の透明基板101における第1及び第2のストライプ状透明電極103,104が設けられている面上に絶縁層106、第2のストライプ状透明電極104及びスペーサ110を被覆するようにして設けられた第1の配向膜107と、全面透明電極105を被覆するようにして設けられた第2の配向膜108と、第1の透明基板101及び第2の透明基板102の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層109と、第1のストライプ状透明電極103及び第2のストライプ状透明電極104のいずれかに電圧を印加するのを決定するために液晶レンズ100の傾きを検出する加速度センサ(図示せず)とを備える。なお、第1の透明基板101及び第2の透明基板102は、図示しないシール材により相互に接着固定されている。
【0054】
第1のストライプ状透明電極103は、略方形状の第1の透明基板101における対向する二辺と略平行に、複数の第1の長尺状透明電極131が所定の間隔をあけてストライプ状に延在して構成される。なお、第2の実施形態において、一のレンズ領域L1に6個の第1の長尺状透明電極131が含まれ、第1の長尺状透明電極131は、その幅WE1が略同一であって、隣接する第1の長尺状透明電極131の対向する側面間の間隔GS1が略同一となるように第1の透明基板101上に設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、一のレンズ領域L1にN個(Nは3以上の整数である)の第1の長尺状透明電極131が含まれ、隣接する2つの第1の長尺状透明電極131の電極中心により構成されるN−1個の第1電極中心間隔GC1が、それらのうちの一の第1電極中心間隔GC1と、それとは間隔の異なる他の第1電極中心間隔GC1とを有するように構成されていればよい。具体的には、図8に示すように、一のレンズ領域L1における隣接する第1の長尺状透明電極131の対向する側面間の間隔GS1を略同一とし、当該レンズ領域L1の中心部LC1からエッジ部LE1に向けて第1の長尺状透明電極131の幅WE1を漸減させることにより、一のレンズ領域L1における中心部LC1からエッジ部LE1に向けて、隣接する第1の長尺状透明電極131の第1電極中心間隔GC1が徐々に狭くなるようにしてもよいし、図9に示すように、一のレンズ領域L1における第1の長尺状透明電極131の幅WE1を略同一とし、当該レンズ領域L1の中心部LC1からエッジ部LE1に向けて隣接する第1の長尺状透明電極131の対向する側面間の間隔GS1を漸減させることにより、一のレンズ領域L1における中心部LC1からエッジ部LE1に向けて、隣接する第1の長尺状透明電極131の第1電極中心間隔GC1が徐々に狭くなるようにしてもよい。
【0055】
第2のストライプ状透明電極104は、略方形状の第1の透明基板101における対向する二辺と略平行に、かつ、第1のストライプ状透明電極103と直交するように、複数の第2の長尺状透明電極141が所定の間隔をあけてストライプ状に延在して構成される。なお、第2の実施形態において、一のレンズ領域L2に6個の第2の長尺状透明電極141が含まれ、第2の長尺状透明電極141は、その幅WE2が略同一であって、隣接する第2の長尺状透明電極141の対向する側面間の間隔GS2が略同一となるように設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1のストライプ状透明電極103と同様に、一のレンズ領域L2にM個(Mは3以上の整数である)の第2の長尺状透明電極141が含まれ、隣接する2つの第2の長尺状透明電極141の電極中心により構成されるM−1個の第2電極中心間隔GC2が、それらのうちの一の第2電極中心間隔GC2と、それとは間隔の異なる他の第2電極中心間隔GC2とを有するように構成されていればよい。具体的には、図10に示すように、一のレンズ領域L2における隣接する第2の長尺状透明電極141の対向する側面間の間隔GS2を略同一とし、当該レンズ領域L2の中心部LC2からエッジ部LE2に向けて第2の長尺状透明電極141の幅WE2を漸減させることにより、一のレンズ領域L2における中心部LC2からエッジ部LE2に向けて、隣接する第2の長尺状透明電極141の第2電極中心間隔GC2が徐々に狭くなるようにしてもよいし、図11に示すように、一のレンズ領域L2における第2の長尺状透明電極141の幅WE2を略同一とし、当該レンズ領域L2の中心部LC2からエッジ部LE2に向けて隣接する第2の長尺状透明電極141の対向する側面間の間隔GS2を漸減させることにより、一のレンズ領域L2における中心部LC2からエッジ部LE2に向けて、隣接する第2の長尺状透明電極131の第2電極中心間隔GC2が徐々に狭くなるようにしてもよい。
【0056】
このように、一のレンズ領域L1,L2内の隣接する第1の長尺状透明電極131の第1電極中心間隔GC1や隣接する第2の長尺状透明電極141の第2電極中心間隔GC2が、当該レンズ領域L1,L2における中心部LC1,LC2からエッジ部LE1,LE2に向けて徐々に狭くなるようにすることで、第1の長尺状透明電極131又は第2の長尺状透明電極141に近接する領域において急激な側面電場が誘発されるのを抑制することができ、各レンズ領域L1,L2において滑らかなレンズ状の位相分布を形成することができる。
【0057】
液晶層109を構成する液晶材料としては、液晶層109に電界がかけられていない状態での当該液晶層109における液晶分子の長軸方向が、液晶レンズ100を透過する光の進行方向と略直交するように配向されるものであってもよいし、液晶層109に電界がかけられていない状態での当該液晶層109における液晶分子の長軸方向が、液晶レンズ1を透過する光の進行方向と略平行になるように配向されるものであってもよい。
【0058】
スペーサ110は、第1の透明基板101と第2の透明基板102との間に封入されている液晶材料の、液晶層109に電界がかけられていない状態での屈折率との間で、所定の関係の屈折率を有する材料により構成される。スペーサ110は、液晶層109にかかる電界が最小となる位置に設けられているため、液晶レンズ100において所定のレンズ効果を得るべく液晶層109に電界がかけられたとしても、スペーサ110との界面近傍に位置する液晶分子の長軸方向は、液晶層109に電界がかけられていない状態とほとんど変わらないと考えられる。したがって、液晶層109に電界がかけられていない状態での液晶材料の屈折率と、スペーサ110を構成する材料の屈折率とを実質的に同一とすることで、液晶層109に電界がかけられていない状態及び電界がかけられている状態のいずれにおいても、液晶層109とスペーサ110との界面における入射光の散乱を抑制することができる。
【0059】
具体的には、両透明基板101,102間に液晶材料が封入されて構成される液晶層109において、液晶層109に電界がかけられていない状態での液晶分子の長軸方向が、液晶レンズ100を透過する光の進行方向と略直交するように配向される場合、スペーサ110は、液晶材料の異常光に対する屈折率neとの差(nsp−ne)が±0.05以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されており、好ましくは両屈折率(ne,nsp)の差(nsp−ne)が±0.02以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されおり、さらに好ましくは両屈折率(ne,nsp)の差(nsp−ne)が±0.01以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されている。また、液晶層109に電界がかけられていない状態での液晶分子の長軸方向が、液晶レンズ100を透過する光の進行方向と略平行に配向される場合、スペーサ110は、液晶材料の常光に対する屈折率noとの差(nsp−no)が±0.05以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されており、好ましくは両屈折率(no,nsp)の差(nsp−no)が±0.02以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されおり、さらに好ましくは両屈折率(no,nsp)の差(nsp−no)が±0.01以内となるような屈折率nspを有する材料により構成されている。両屈折率の差(nsp−ne,nsp−no)が0.05よりも大きく、又は−0.05よりも小さくなると、スペーサ110と液晶層109との界面において入射光が散乱してしまい、画像品質が低下してしまい、スペーサ110が画素上に位置する場合には、特に表示される3D画像が歪んでしまう。なお、後述する第1の配向膜107及び第2の配向膜108と液晶材料との組み合わせにより、液晶層109における液晶分子の長軸方向を、液晶レンズ100を透過する光の進行方向に対して略直交させたり、略平行にさせたりすることができるため、それらの組み合わせに応じた液晶層109の構成(液晶層109における液晶分子の長軸方向)に基づいて、スペーサ110を構成する材料を適宜選択することができるが、スペーサ110を構成する材料としては、波長450nmの光線の透過率が85%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上である公知の樹脂等を用いることができる。
【0060】
スペーサ110は、第2の実施形態に係る液晶レンズ100における各レンズ領域L1,L2に含まれる複数の第1の長尺状透明電極131のそれぞれに異なる電圧を印加し、全面透明電極105に接地電圧を印加したとき、及び複数の第2の長尺状透明電極141のそれぞれに異なる電圧を印加し、全面透明電極105に接地電圧を印加したときのいずれの場合においても、液晶層109にかかる電界が最小となる位置に設けられているのが好ましい。第2の実施形態に係る液晶レンズ100においては、第1のストライプ状透明電極103に電圧が印加される場合には、各レンズ領域L1におけるエッジ部LE1に位置する第1の長尺状透明電極131に最高電圧が印加され、そこから中心部LC1に向けて第1の長尺状透明電極131に印加される電圧が漸減するようにし、中心部LC1の最近傍に位置する第1の長尺状透明電極131に最低電圧が印加される。一方、第2のストライプ状透明電極104に電圧が印加される場合には、各レンズ領域L2におけるエッジ部LE2に位置する第2の長尺状透明電極141に最高電圧が印加され、そこから中心部LC2に向けて第2の長尺状透明電極141に印加される電圧が漸減するようにし、中心部LC2の最近傍に位置する第2の長尺状透明電極141に最低電圧が印加される。そのため、各レンズ領域L1,L2における中心部LC1,LC2に位置する液晶に、最小の電界がかかることになる。したがって、図7に示すように、各レンズ領域L1における中心部LC1の最近傍に位置する2つの第1の長尺状透明電極131の略中間、かつ各レンズ領域L2における中心部LC2の最近傍に位置する2つの第2の長尺状透明電極141の略中間に略円形状のスペーサ110が設けられているのが好ましい。電界が最小となる位置では、第1又は第2のストライプ状透明電極103,104、及び全面透明電極105への電圧の印加の有無にかかわらず、ほとんど液晶分子の配向に変化がないため、このような位置にスペーサ110が設けられていることで、各レンズ領域L1,L2におけるレンズ効果に対するスペーサ110の影響を最小限に抑えることができる。
【0061】
略円柱形状のスペーサ110の直径は、特に限定されるものではなく、第2の実施形態に係る液晶レンズ100によって得られるレンズ効果を損なわない程度に適宜設定することができる。なお、スペーサ110の高さは、液晶レンズ100における液晶層109の厚さに応じて適宜設定することができ、例えば、3〜150μmとすることができる。
【0062】
第1の配向膜107は、絶縁層106、第2のストライプ状透明電極104及びスペーサ110を被覆するようにして設けられている。また、第2の配向膜108は、第2の透明基板上の全面透明電極105を被覆するようにして設けられている。第1の配向膜107及び第2の配向膜108は、液晶層109における液晶分子の長軸方向を、液晶レンズ100を透過する光の進行方向に対して略直交させるような液晶配向特性を有するものであってもよいし、当該光の進行方向に対して略水平にさせるような液晶配向特性を有するものであってもよい。なお、第1の配向膜107及び第2の配向膜108は、いずれもラビング処理が施されてなるものであってもよいし、ラビング処理が施されていないものであってもよい。なお、第2の実施形態においては、第1の配向膜107及び第2の配向膜108が設けられているが、本発明においては、これに限定されるものではなく、第1の配向膜107及び第2の配向膜108が設けられていなくてもよい。
【0063】
次に、上述した構成を有する液晶レンズ100を製造する方法について説明する。図12は、第2の実施形態に係る液晶レンズ100の製造方法の一部の工程を示すフロー図である。
【0064】
ガラス基板等の略方形状の第1の透明基板101の一の表面にITO等からなる第1の透明電極層130をスパッタ等により形成し(図12(A))、感光性レジストを用いて所定パターンを有するレジスト層を形成し、当該レジスト層をマスクとして用いて異方性エッチングを行い、第1の透明基板101の対向する二辺と略平行に延在し、所定の間隔を有し、かつ各電極の短手方向の幅WE1が略同一である複数の第1の長尺状透明電極131(第1のストライプ状透明電極103)を形成する(図12(B))。このようにして第1のストライプ状透明電極103が形成された第1の透明基板101の表面に、紫外線硬化型アクリル樹脂等からなる絶縁層106を形成する(図12(C))。
【0065】
次に、絶縁層106上にITO等からなる第2の透明電極層をスパッタ等により形成し、感光性レジストを用いて所定パターンを有するレジスト層を形成し、当該レジスト層をマスクとして用いて異方性エッチングを行い、第1の透明基板101の対向する二辺と略平行に延在し、所定の間隔を有し、各電極の短手方向の幅WE2が略同一であり、かつ第1のストライプ状透明電極103と直交する複数の第2の長尺状透明電極141(第2のストライプ状透明電極104)を形成する(図12(D))。
【0066】
続いて、第1の透明基板101上にフォトリソグラフ法を用いてスペーサ110を形成する。具体的には、第1の透明基板101上に、スペーサ110を構成する材料(所定の屈折率nspを有する材料)からなるスペーサ層111を所定の膜厚(例えば、3〜150μm)となるように形成し(図12(E))、感光性レジストを用いて所定パターンを有するレジスト層を形成し、当該レジスト層をマスクとして用いて異方性エッチングを行い、所定の位置にスペーサ110を形成する(図12(F))。そして、絶縁層106、第2のストライプ状透明電極104及びスペーサ110を被覆するようにして、第1の配向膜107を形成し(図12(E))、所望によりラビング処理を行う。このようにして、第1の透明基板101上に第1のストライプ状透明電極103、絶縁層106、第2のストライプ状透明電極104、スペーサ110及び第1の配向膜107を設ける。これにより、液晶レンズ製造用基材が得られる。
【0067】
一方で、ガラス基板等の第2の透明基板102の表面の全面に亘ってITO等からなる、全面透明電極105としての透明電極層をスパッタ等により形成し、その上に第2の配向膜108を形成し、所望によりラビング処理を行う。このようにして、第2の透明基板102上に全面透明電極105及び第2の配向膜108を設ける。
【0068】
続いて、第1の透明基板101及び第2の透明基板102を、第1及び第2のストライプ状透明電極103,104が設けられている面と全面透明電極105が設けられている面とを対向させるようにして配置し、第1及び第2の透明基板101,102の周縁部をシール材により封止して、第1及び第2の透明基板101,102間に所定の屈折率ne,no(スペーサ110を構成する材料の屈折率nspとの差が±0.05以内)を有する液晶材料を注入し液晶層109を構成する。これにより、第2の実施形態に係る液晶レンズ100を製造することができる。
【0069】
上述のようにして製造される第2の実施形態に係る液晶レンズ100は、画像表示装置の表示パネル(例えば、液晶パネル、プラズマパネル、有機ELパネル、無機ELパネル、FEDパネル等)の前面に、第1のストライプ状透明電極103が鉛直方向を向くようにして設置されて用いられる。この表示パネルには、右目用の画素と左目用の画素とが順次反復配列されており、かつ、当該表示パネルは、90度(270度)回転させた状態でも同様の画像を表示可能とされている。このように第2の実施形態に係る液晶レンズ100を設置した状態において、第1のストライプ状透明電極103、第2のストライプ状透明電極104及び全面透明電極105に電圧を印加しないと、表示パネル側から液晶レンズ100に入射される入射光がレンズ効果を受けずに透過し、その結果、2次元(2D)の画像を表示することができる。
【0070】
一方、複数の第1の長尺状透明電極131のそれぞれに異なる電圧を印加し、全面透明電極105に接地電圧を印加すると、液晶レンズ100の各レンズ領域L1において電界の強さに応じて液晶分子が配向し、所望とするレンズ効果が奏される。これにより、表示パネル側から入射される入射光が当該レンズ効果を受けて透過し、観察者の右目には右目用の画素のみが見えるように、左目には左目用の画素のみが見えるようになる。その結果、液晶レンズ100を備える画像表示装置において3次元(3D)の画像を表示することができる。
【0071】
また、液晶レンズ100が設けられた画像表示装置(表示パネル)を90度(270度)回転させ、液晶レンズ100における第2のストライプ状透明電極104が鉛直方向を向いている状態(第1のストライプ状透明電極103が水平方向を向いている状態)にすると、表示パネルの表示が90度(270度)回転した状態に切り換わるとともに、加速度センサ(図示せず)からの検出信号に基づいて、複数の第2の長尺状透明電極141のそれぞれに異なる電圧が印加され、全面透明電極105に接地電圧が印加される。その結果、液晶レンズ100の各レンズ領域L2において電界の強さに応じて液晶分子が配向し、所望とするレンズ効果が奏される。これにより、液晶レンズ100が設けられた画像表示装置(表示パネル)を90度(270度)回転させた状態においても、表示パネル側から入射される入射光が当該レンズ効果を受けて透過し、観察者の右目には右目用の画素のみが見えるように、左目には左目用の画素のみが見えるようになる。その結果、液晶レンズ100を備える画像表示装置において3次元(3D)の画像を表示することができる。
【0072】
第1のストライプ状透明電極103が鉛直方向を向いている場合及び第2のストライプ状透明電極104が鉛直方向を向いている場合のいずれの場合であっても、液晶レンズ100における液晶層109を構成する液晶材料の屈折率ne,noとスペーサ110を構成する材料の屈折率nspとの差(nsp−ne,nsp−no)が±0.05以内であることで、表示パネル側から液晶レンズ100に入射した入射光が液晶層109とスペーサ110との界面で散乱しないため、画像品質が低下するのを防止することができる。また、液晶109にかかる電界が最小となる位置にスペーサ110が設けられていることで、液晶レンズ100の各レンズ領域L1,L2においてより滑らかなレンズ状の位相分布を形成することができる。さらに、スペーサ110が第1の透明基板101の第1の配向膜107上にフォトリソグラフ法により形成され、固着されていることで、第1の透明基板101と第2の透明基板102とを対向配置させ、その間に液晶を封入して製造される液晶レンズ100において、スペーサ110の位置が変動してしまうことがなく、液晶レンズ100において所望とする位置(各レンズ領域L1,L2において滑らかなレンズ状の位相分布を形成する上で障害になり難い位置)に確実にスペーサ110を配置することができる。したがって、第2の実施形態に係る液晶レンズ100を画像表示装置の前面に配置して用いることで、鮮明、かつ自然な3D画像を観察者に視認させることができる。
【0073】
なお、第2の実施形態に係る液晶レンズ100においては、第1の透明基板101の一面側に第1のストライプ状透明電極103及び第2のストライプ状透明電極104が設けられているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の透明基板101の一方の面に第1のストライプ状透明電極103が設けられ、その反対側の面に第2のストライプ状透明電極104が設けられていてもよい。この場合において、第1のストライプ状透明電極103又は第2のストライプ状透明電極104、第1の透明基板101及び第1の透明基板101上のスペーサ110を被覆するようにして第1の配向膜107を設ければよく、第1の透明基板101が絶縁材料からなるものであれば絶縁層106を設ける必要はない。
【0074】
また、第2の実施形態においては、第1の透明基板101上にフォトリソグラフ法を用いてスペーサ110が形成され、固着されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、第2の透明基板102上にフォトリソグラフ法を用いてスペーサ110が形成され、固着されていてもよく、かかる態様の液晶レンズ製造用基材を用いることで当該液晶レンズを製造することができる。この場合において、第1の透明基板101と第2の透明基板102とを対向配置させてなる液晶レンズ100において、第1のストライプ状透明電極103に電圧を印加し、全面透明電極105に接地電圧を印加したとき、及び第2のストライプ状透明電極104に電圧を印加し、全面透明電極105に接地電圧を印加したときのいずれの場合においても、液晶層109に係る電界が最小となる位置(具体的には、第1のストライプ状透明電極103に電圧を印加した際に形成される各レンズ領域L1のそれぞれに含まれる複数の第1の長尺状透明電極131のうち当該レンズ領域L1の中心部LC1の最近傍に位置する2つの第1の長尺状透明電極131の略中間位置であって、第2のストライプ状透明電極104に電圧を印加した際に形成される各レンズ領域L2のそれぞれに含まれる複数の第2の長尺状透明電極141のうち当該レンズ領域L2の中心部LC2の最近傍に位置する2つの第2の長尺状透明電極141の略中間位置)にスペーサ110が配置されるように、第2の透明基板102上にスペーサ110が形成され、固着されているのが好ましく、かかる態様の液晶レンズ製造用基材を用いることで当該液晶レンズを製造することができる。なお、スクリーン印刷法を用いて第1の透明基板101上又は第2の透明基板102上にスペーサ110が形成され、固着されていてもよいし、別個に作成した略円柱形状のスペーサ110が第1の透明基板101上又は第2の透明基板102上に転写・固着され、設置されていてもよい。
【0075】
さらに、第2の実施形態においては、スペーサ層111上に感光性レジストを用いて所定パターンを有するレジスト層を形成し、当該レジスト層をマスクとして用いて異方性エッチングを行い、所望とする位置にスペーサ110を形成しているが(図12(E),(F))、スペーサ層111を感光性樹脂材料等により形成し、所定のパターンを有するフォトマスクを用いて露光、現像することにより、所望とする位置にスペーサ110を形成してもよい。
【0076】
さらにまた、第2の実施形態においては、第1の透明基板101上に、スペーサ110を構成する材料(所定の屈折率nspを有する材料)からなるスペーサ層111を所定の膜厚(例えば、3〜150μm)となるように形成し(図12(E))、所定のパターンを有するレジスト層からなるマスクを用いて異方性エッチングを1回行い、所定の位置にスペーサ110を形成しているが(図12(F))、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第1の透明基板101上にスペーサ層111を形成し、所定のパターンを有するレジスト層からなるマスクを用いて異方性エッチングを行う工程を複数回繰り返してもよい。
【0077】
なお、第2の実施形態において、第2の透明基板102と全面透明電極105との間に、クロム等からなるブラックマトリックスが設けられていてもよい。
【0078】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【実施例】
【0079】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0080】
〔実施例1〕
第1の透明基板2及び第2の透明基板3としてガラス基板を、ストライプ状透明電極4及び全面透明電極5の形成用材料としてITOを、水平配向膜としての第1の配向膜6及び第2の配向膜7の形成用材料としてポリイミド系配向膜組成物(JSR製,AL1254)を、液晶層8を構成する液晶材料としてメルク社製の液晶(ZLI−1237,ne=1.63,no=1.49)を用意した。
【0081】
また、スペーサ9を構成する材料(スペーサ9の形成用材料)として、無機フィラー(テイカ社製,ルチル型酸化チタン,MT−500HDM)、分散剤(ビックケミー・ジャパン製,Disperbyk163)、アクリルポリマー(アクリル酸メチル:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=55.0:30.0:15.0(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを15.0モル%付加したもの、重量平均分子量:22000)、多官能アクリルモノマー(ダイセル工業社製,DPHA)、及び光重合開始剤(BASF社製,イルガキュアー907)を、固形分の重量比で無機フィラー:分散剤:アクリルポリマー:多官能アクリルモノマー:光重合開始剤=25:5:40:25:5となるよう混合したもの(屈折率nsp=1.62)を用意した。
【0082】
そして、図5に示す製造方法に従って液晶レンズ製造用基材を作製し、液晶層8における液晶分子が液晶レンズ1を透過する光の進行方向に対して略直交するように配向させてなる、図2に示す液晶レンズ1を製造した(nsp−ne=−0.01)。なお、第1の配向膜6及び第2の配向膜7の配向方向は、パラレルとなるようにした。得られた液晶レンズ1において、各長尺状透明電極(電極幅WE=10μm)41を100μm間隔で配置し各電極間の中心に位置するように、かつ長尺状透明電極と平行となるように長尺状のスペーサ9を形成した(幅:20μm、高さ:20μm)。
【0083】
〔実施例2〕
上記実施例1において、スペーサ9を構成する材料(スペーサ9の形成用材料)として、無機フィラー(テイカ社製,ルチル型酸化チタン,MT−500HDM)、分散剤(ビックケミー・ジャパン製,Disperbyk163)、アクリルポリマー(アクリル酸メチル:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=55.0:30.0:15.0(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを15.0モル%付加したもの、重量平均分子量:22000)、多官能アクリルモノマー(ダイセル工業社製,DPHA)、及び光重合開始剤(BASF社製,イルガキュアー907)を、固形分の重量比で無機フィラー:分散剤:アクリルポリマー:多官能アクリルモノマー:光重合開始剤=15:5:50:25:5となるよう混合したもの(屈折率nsp=1.58)を用いた以外は実施例1と同様にして液晶レンズ1を製造した(ne−nsp=0.05)。
【0084】
〔比較例1〕
上記実施例1において、スペーサ9を構成する材料(スペーサ9の形成用材料)として、無機フィラー及び分散剤を含まず、アクリルポリマー(アクリル酸メチル:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=55.0:30.0:15.0(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを15.0モル%付加したもの、重量平均分子量:22000)、多官能アクリルモノマー(ダイセル工業社製,DPHA)、及び光重合開始剤(BASF社製,イルガキュアー907)を、固形分の重量比でアクリルポリマー:多官能アクリルモノマー:光重合開始剤=40:55:5となるよう混合したもの(屈折率nsp=1.51)を用いた以外は実施例1と同様にして液晶レンズ1を製造した(ne−nsp=0.12)。
【0085】
〔比較例2〕
上記比較例1においてスペーサ9を構成する材料(スペーサ9の形成用材料)として、無機フィラー(テイカ社製,ルチル型酸化チタン,MT−500HDM)、分散剤(ビックケミー・ジャパン製,Disperbyk163)、アクリルポリマー(アクリル酸メチル:アクリル酸:2−ヒドロキシエチルメタクリレート=55.0:30.0:15.0(モル比)の共重合体100モル%に対して、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを15.0モル%付加したもの、重量平均分子量:22000)、多官能アクリルモノマー(ダイセル工業社製,DPHA)、及び光重合開始剤(BASF社製,イルガキュアー907)を、固形分の重量比で無機フィラー:分散剤:アクリルポリマー:多官能アクリルモノマー:光重合開始剤=5:5:60:25:5となるよう混合したもの(屈折率nsp=1.56)を用いた以外は比較例1と同様にして液晶レンズ1を製造した(ne−nsp=0.07)。
【0086】
〔試験例1〕
上述のようにして得られた実施例1〜2及び比較例1〜2の液晶レンズに電界をかけない状態で第1及び第2の配向膜6,7のラビング方向に平行な直線偏光を入射できるよう偏光板を配置し、ヘイズメータ(村上色彩技術研究所製,HR−100)を用いて光線透過率を測定し、下記式に基づいてヘイズ値(試験片の散乱光線透過率の全光線透過率に対する百分率)を求めた。
【0087】
ヘイズ値(%)=Td/Tt×100
上記式中、Tdは散乱光線透過率を表し、Ttは全光線透過率を表すものであり、ここで全光線透過率とは、上記液晶レンズを備えない偏光板のみでの測定値を意味し、散乱光線透過率とは、偏光板と液晶レンズとを上記のようにして配置したものの測定値を意味するものとする。
結果を表1に示す。
【0088】
【表1】

【0089】
表1に示すように、実施例1及び2の液晶レンズのヘイズ値は、比較例1及び2のヘイズ値より5%以上小さく、実施例1及び2の液晶レンズは、比較例1及び2の液晶レンズよりも液晶層8とスペーサ9との界面における光の散乱が少なく、高コントラストで良好な2D表示が可能であると確認された。したがって、実施例1及び2の液晶レンズは、3D表示状態(液晶層8に電界がかけられている状態)において、滑らかなレンズ状の位相分布を形成可能であると推認される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明の液晶レンズは、2D/3D表示の切替が可能な種々のディスプレイに適用することができる。
【符号の説明】
【0091】
1,100…液晶レンズ
2,101…第1の透明基板(第1の基板)
3,102…第2の透明基板(第2の基板)
4…ストライプ状透明電極
41…長尺状透明電極
103…第1のストライプ状透明電極
131…第1の長尺状透明電極
104…第2のストライプ状透明電極
141…第2の長尺状透明電極
5,105…全面透明電極
8,109…液晶層
9,110…スペーサ
L,L1,L2…レンズ領域(所定の領域)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と、
前記第1の基板に対向して配置されてなる第2の基板と、
前記第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極と、
前記第2の基板上に全面に亘って設けられてなる全面電極と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間であって、電圧源から前記複数の電極に電圧が印加され、前記全面電極に接地電圧が印加されたときに、前記液晶層にかかる電界が最小となる位置に設けられてなるスペーサとを備え、
前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有することを特徴とする液晶レンズ。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【請求項2】
第1の基板と、
前記第1の基板に対向して配置されてなる第2の基板と、
前記第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極と、
前記第2の基板上に全面に亘って設けられてなる全面電極と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間であって、電圧源から前記複数の電極に電圧が印加され、前記全面電極に接地電圧が印加されたときに、前記液晶層にかかる電界が最小となる位置に設けられてなるスペーサとを備え、
前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有することを特徴とする液晶レンズ。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【請求項3】
前記スペーサが、前記複数の電極のうちの隣接する2つの電極の間に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶レンズ。
【請求項4】
前記スペーサの高さが、3〜150μmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項5】
前記第1の基板の形状が、略方形状であり、
前記複数の電極が、前記第1の基板の対向する二辺と略平行に延在するようにして設けられており、
前記スペーサの形状が、略直方体形状であり、
前記略直方体形状のスペーサが、前記複数の電極と略平行に延在するようにして設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項6】
前記スペーサの形状が、略円柱形状であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項7】
前記スペーサは、前記第1の基板上又は前記第2の基板上に固着されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項8】
前記複数の電極のうちの少なくとも一部であるN個(Nは3以上の整数である)の電極を含み、当該N個の電極のうちの隣接する2つの電極の電極中心により構成されるN−1個の電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記N−1個の電極中心間隔は、一の電極中心間隔と、当該一の電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の電極中心間隔とを含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項9】
裸眼立体表示装置用であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項10】
液晶レンズの製造に用いられる基材であって、
基板と、
前記基板の一方の面に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極と、
前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に設けられているスペーサと
を備え、
前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面の全面に亘って電極が設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記複数の電極に電圧を印加し、前記他の基板に設けられている電極に接地電圧を印加したときに、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、
前記スペーサは、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【請求項11】
液晶レンズの製造に用いられる基材であって、
基板と、
前記基板の一方の面に互いに離隔されて設けられてなる複数の電極と、
前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に設けられているスペーサと
を備え、
前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面の全面に亘って電極が設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記複数の電極に電圧を印加し、前記他の基板に設けられている電極に接地電圧を印加したときに、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、
前記スペーサは、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【請求項12】
前記スペーサが、前記複数の電極のうちの隣接する2つの電極の間に設けられていることを特徴とする請求項10又は11に記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項13】
前記スペーサの高さが、3〜150μmであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項14】
前記基板が、略方形状であり、
前記複数の電極が、前記略方形状の基板の対向する二辺と略平行に延在するようにして設けられており、
前記スペーサの形状が、略直方体形状であり、
前記略直方体形状のスペーサが、前記複数の電極と略平行に延在するようにして設けられていることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項15】
前記スペーサの形状が、略円柱形状であることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項16】
前記スペーサは、前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に固着されていることを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項17】
前記複数の電極のうちの少なくとも一部であるN個(Nは3以上の整数である)の電極を含み、当該N個の電極のうちの隣接する2つの電極の電極中心により構成されるN−1個の電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記N−1個の電極中心間隔は、一の電極中心間隔と、当該一の電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の電極中心間隔とを含むことを特徴とする請求項10〜16のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項18】
液晶レンズの製造に用いられる基材であって、
基板と、
前記基板の一方の面の全面に設けられてなる電極と、
前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に設けられているスペーサと
を備え、
前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面に複数の電極が互いに離隔されて設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記電極に接地電圧を印加し、前記他の基材に設けられている複数の電極に電圧を印加したときに、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、
前記スペーサは、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【請求項19】
液晶レンズの製造に用いられる基材であって、
基板と、
前記基板の一方の面の全面に設けられてなる電極と、
前記基板における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に設けられているスペーサと
を備え、
前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面に複数の電極が互いに離隔されて設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記電極に接地電圧を印加し、前記他の基材に設けられている複数の電極に電圧を印加したときに、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、
前記スペーサは、前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【請求項20】
前記スペーサが、前記他の基材に設けられている複数の電極のうちの隣接する2つの電極の間に配置されるように、前記基板に設けられていることを特徴とする請求項18又は19に記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項21】
前記スペーサの高さが、3〜150μmであることを特徴とする請求項18〜20のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項22】
前記液晶レンズ製造用基材を用いて製造される液晶レンズにおいて、当該液晶レンズ製造用基材と対向配置される、他の基板の一方の面に複数の電極が互いに離隔されて設けられてなる他の基材における当該他の基板が、略方形状であり、
前記他の基材に設けられている複数の電極が、前記略方形状の他の基板の対向する二辺と略平行に延在しており、
前記スペーサの形状が、略直方体形状であり、
前記液晶レンズ製造用基材と前記他の基材とを対向配置させたときに、前記略直方体形状のスペーサが、前記他の基材に設けられている複数の電極と略平行に延在して配置されるように、前記基板に設けられていることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項23】
前記スペーサの形状が、略円柱形状であることを特徴とする請求項18〜21のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項24】
前記スペーサは、前記基板本体における前記電極が設けられている面上、又は前記電極が設けられていない面上に固着されていることを特徴とする請求項18〜23のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項25】
略方形状の第1の基板と、
前記第1の基板に対向して配置されてなる第2の基板と、
前記第1の基板の対向する二辺と平行な方向に延在するようにして、当該第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極と直交する方向に延在するようにして、前記第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第2の電極と、
前記第2の基板上に全面に亘って設けられてなる全面電極と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間であって、電圧源から前記複数の第1の電極に電圧を印加し、前記全面電極に接地電圧を印加したとき、及び前記複数の第2の電極に電圧を印加し、前記全面電極に接地電圧を印加したときのいずれにおいても、前記液晶層にかかる電界が最小となる位置に設けられてなるスペーサと
を備え、
前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有することを特徴とする液晶レンズ。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【請求項26】
略方形状の第1の基板と、
前記第1の基板に対向して配置されてなる第2の基板と、
前記第1の基板の対向する二辺と平行な方向に延在するようにして、当該第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極と直交する方向に延在するようにして、前記第1の基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第2の電極と、
前記第2の基板上に全面に亘って設けられてなる全面電極と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間に液晶材料が封入されて構成される液晶層と、
前記第1の基板及び前記第2の基板の間であって、電圧源から前記複数の第1の電極に電圧を印加し、前記全面電極に接地電圧を印加したとき、及び前記複数の第2の電極に電圧を印加し、前記全面電極に接地電圧を印加したときのいずれにおいても、前記液晶層にかかる電界が最小となる位置に設けられてなるスペーサと
を備え、
前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有することを特徴とする液晶レンズ。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【請求項27】
前記スペーサが、前記複数の第1の電極のうちの隣接する2つの第1の電極の間、かつ前記複数の第2の電極のうちの隣接する2つの第2の電極の間に設けられていることを特徴とする請求項25又は26に記載の液晶レンズ。
【請求項28】
前記スペーサの高さが、3〜150μmであることを特徴とする請求項25〜27のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項29】
前記スペーサの形状が、略円柱形状であることを特徴とする請求項25〜28のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項30】
前記スペーサは、前記第1の基板上又は前記第2の基板上に固着されていることを特徴とする請求項25〜29のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項31】
前記複数の第1の電極のうちの少なくとも一部であるN個(Nは3以上の整数である)の第1の電極を含み、当該N個の第1の電極のうちの隣接する2つの第1の電極の電極中心により構成されるN−1個の第1電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記N−1個の第1電極中心間隔は、一の第1電極中心間隔と、当該一の第1電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の第1電極中心間隔とを含むことを特徴とする請求項25〜30のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項32】
前記複数の第2の電極のうちの少なくとも一部であるM個(Mは3以上の整数である)の電極を含み、当該M個の第2の電極のうちの隣接する2つの第2の電極の電極中心により構成されるM−1個の第2電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記M−1個の第2電極中心間隔は、一の第2電極中心間隔と、当該一の第2電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の第2電極中心間隔とを含むことを特徴とする請求項25〜31のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項33】
裸眼立体表示装置用であることを特徴とする請求項25〜32のいずれかに記載の液晶レンズ。
【請求項34】
液晶レンズの製造に用いられる基材であって、
略方形状の基板と、
前記基板の対向する二辺と平行な方向に延在するようにして、当該基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極と直交する方向に延在するようにして、前記基板における第1の電極が設けられている面上、又は第1の電極が設けられていない面上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第2の電極と、
前記基板のいずれか一方の面上に設けられているスペーサと
を備え、
前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面の全面に亘って電極が設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記複数の第1の電極に電圧を印加し、前記他の基材に設けられている電極に接地電圧を印加したとき、及び前記第2の電極に電圧を印加し、前記他の基材に設けられている電極に接地電圧を印加したときのいずれにおいても、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、
前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略直交する場合、前記液晶材料の異常光に対する屈折率neと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材。
−0.05≦nsp−ne≦0.05
【請求項35】
液晶レンズの製造に用いられる基材であって、
略方形状の基板と、
前記基板の対向する二辺と平行な方向に延在するようにして、当該基板上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第1の電極と、
前記複数の第1の電極と直交する方向に延在するようにして、前記基板における第1の電極が設けられている面上、又は第1の電極が設けられていない面上に互いに離隔されて設けられてなる複数の第2の電極と、
前記基板のいずれか一方の面上に設けられているスペーサと
を備え、
前記スペーサは、前記基材と、他の基板の一方の面の全面に亘って電極が設けられてなる他の基材とを対向配置させ、両基材間に液晶材料を封入して製造される液晶レンズにおいて、前記複数の第1の電極に電圧を印加し、前記他の基材に設けられている電極に接地電圧を印加したとき、及び前記第2の電極に電圧を印加し、前記他の基材に設けられている電極に接地電圧を印加したときのいずれにおいても、前記液晶材料により構成される液晶層にかかる電界が最小となる部位に配置されるように、前記基板に設けられており、
前記基材を用いて製造される液晶レンズに封入される予定の前記液晶材料により構成される前記液晶層に電界がかけられていない状態での当該液晶層における液晶分子の長軸方向が、前記液晶レンズを透過する光の進行方向と略平行である場合、前記液晶材料の常光に対する屈折率noと、前記スペーサを構成する材料の屈折率nspとが、下記式に示す関係を有する材料により構成されていることを特徴とする液晶レンズ製造用基材。
−0.05≦nsp−no≦0.05
【請求項36】
前記スペーサが、前記複数の第1の電極のうちの隣接する2つの第1の電極の間、かつ前記複数の第2の電極のうちの隣接する2つの第2の電極の間に設けられていることを特徴とする請求項34又は35に記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項37】
前記スペーサの高さが、3〜150μmであることを特徴とする請求項34〜36のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項38】
前記スペーサの形状が、略円柱形状であることを特徴とする請求項34〜37のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項39】
前記スペーサは、前記基板本体のいずれか一方の面上に固着されていることを特徴とする請求項34〜38のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項40】
前記複数の第1の電極のうちの少なくとも一部であるN個(Nは3以上の整数である)の第1の電極を含み、当該N個の第1の電極のうちの隣接する2つの第1の電極の電極中心により構成されるN−1個の第1電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記N−1個の第1電極中心間隔は、一の第1電極中心間隔と、当該一の第1電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の第1電極中心間隔とを含むことを特徴とする請求項34〜39のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。
【請求項41】
前記複数の第2の電極のうちの少なくとも一部であるM個(Mは3以上の整数である)の第2の電極を含み、当該M個の第2の電極のうちの隣接する2つの第2の電極の電極中心により構成されるM−1個の第2電極中心間隔を有する所定の領域内において、前記M−1個の第2電極中心間隔は、一の第2電極中心間隔と、当該一の第2電極中心間隔とは間隔の異なる少なくとも1個の他の第2電極中心間隔とを含むことを特徴とする請求項34〜40のいずれかに記載の液晶レンズ製造用基材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−173517(P2012−173517A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35576(P2011−35576)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】