説明

液晶化合物

【課題】MLC、IPS、TN又はSTNディスプレイ用の媒体であって、高い比抵抗値、及び低しきい電圧を有し、高い透明点及び低い回転粘度を有する液晶化合物を提供する。
【解決手段】式(I)の液晶化合物、および少なくとも式(I)の化合物を含有する液晶媒体およびこの型の液晶媒体を含む電気光学ディスプレイ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶化合物、液晶媒体、その電気光学の目的のための使用、およびこの媒体を含むディスプレイに関に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶は、印加電圧によって物質の光学的性質を変化させることができるので、主に表示装置の中の誘電体として使用される。液晶に基づいた電気光学装置は、当業者に公知であり、種々の効果に基づくことができる。そのような装置の例として、動的散乱を有するセル、DAP(整列相の変形:deformation of aligned phases)セル、ゲスト/ホストセル、ねじれネマチック構造を有するTNセル、STN(スーパーツイストネマチック)セル、SBE(超複屈折効果:superbirefringence effect)セルおよびOMI(光学モード干渉:optical mode interference)セルが挙げられる。最も一般的な表示装置は、Schadt Helfrich効果に基づく、ツイストネマチック構造を有する。
【0003】
液晶材料としては、良好な化学的および熱的安定性を有すると共に、電場と電磁線放射に対しても優れた安定性を有することが必要である。また、液晶材料は、低粘度であり、セル中で使用されて、短アドレス時間、低しきい電圧および高いコントラストをもたらすものでなければならない。
【0004】
それらは、さらに通常の動作温度において(つまり、室温以上または室温以下のできるだけ広い範囲において)、適切な中間相、例えば前述のセル用のネマチック中間相またはコレステリック中間相を有していなければならない。液晶は通常、複数成分の混合物として使用されるので、成分が互いに容易に混和することが重要である。さらに導電率、誘電率異方性および光学異方性のような特性は、セルタイプ、用途分野に応じて、種々の要求を満足しなければならない。 例えば、ツイストネマチック型セルの材料は、正の誘電異方性および低い導電率を有しているべきである。
【0005】
例えば、個々のピクセルのスイッチングのために集積非線形素子を有するマトリックス型液晶ディスプレイ(MLCディスプレイ)については、大きな正の誘電異方性、広いネマチック相、比較的低い複屈折率、非常に高い比抵抗、優れたUVおよび温度安定性、および低い蒸気圧を有する媒体が望まれる。
【0006】
このタイプのマトリックス型液晶ディスプレイは公知である。個々のピクセルのそれぞれのスイッチングに使用することができる非線形素子は、例えばアクティブ素子(つまりトランジスター)である。この用語「アクティブマトリックス」は、2つの区別されるタイプに分けられる。
【0007】
1. 基板としてのシリコンウエハー上のMOS(金属酸化物半導体)あるいは他のダイオード。
【0008】
2. 基板としてのガラス板上の薄膜トランジスター(TFT)。
【0009】
基板材料として単結晶シリコンを使用すると、色々な部品ディスプレイのモジュール組み立てでさえ、接続部での問題が生じるので、ディスプレイ・サイズが制限される。
【0010】
好適であってより有望なタイプ2の場合には、TN効果が電気光学効果として使用される。ここには、区別される2つの技術がある。即ち、例えばCdSeのように、化合物半導体を含むTFTと、多結晶かアモルファスシリコンに基づいたTFTである。後者の技術に関して、集中的な研究が世界的に行われている。
【0011】
TFTマトリックスは、ディスプレイの1つのガラス板の内面に形成され、もう一方のガラス板は、内面に透明な対向電極を有する。ピクセル電極のサイズと比較して、TFTは非常に小さく、事実上、画像に対する悪影響はない。この技術は、フルカラー対応のディスプレイにも適用できる。そこでは、フィルタ素子がスイッチング可能なピクセルの各々に対向するように、赤、緑および青フィルターのモザイクが配置される。
【0012】
TFTディスプレイは、通常、透過光に対してクロスした偏光板を備えたTNセルを作動させ、バックライトで照らされる。
【0013】
ここで用語MLCは、集積非線形素子を備えたどのようなマトリックスディスプレイも含む。即ち、アクティブマトリックスに加えて、バリスターやダイオード(MIM=metal−insulator−metal)のような受動素子を備えたディスプレイも含む。
【0014】
このタイプのMLCディスプレイは、特にテレビ用途(例えばポケット・テレビ)、またはコンピュータ用(ラップトップ)および自動車もしくは航空機内で使用される高度情報表示装置用途に適している。コントラストの角度依存性と応答時間の問題に加えて、MLCディスプレイにおいては、液晶混合物の不十分に高い比抵抗に起因する問題がある(TOGASHI, S., SEKIGUCHI, K.,
TANABE, H., YAMAMOTO, E., SORIMACHI, K., TAJIMA, E., WATANABE, H., SHIMIZU, H.,
Proc. Eurodisplay 84, Sept. 1984: A 210-288 Matrix LCD Controlled by Double Stage Diode Rings,
p. 141 ff, Paris;および STROMER, M., Proc. Eurodisplay 84, Sept. 1984: Design of
Thin Film Transistors for Matrix Addressing of Television Liquid Crystal
Displays, p.145 ff, Paris)。抵抗が低下するほど、MLCディスプレイのコントラストが劣化し、また、残像消去の問題も生じうる。液晶混合物の比抵抗は、ディスプレイの内部表面との相互作用のために、一般に、MLCディスプレイの寿命の全体に渡って低下するので、許容される耐用年数を得るためには、高い(初期)抵抗を有することが非常に重要である。特に、低電圧用混合物の場合には、高い抵抗値を達成することは従来不可能であった。さらに、比抵抗の増加が、温度の上昇に伴い、および加熱および/またはUV照射後に可能な限り小さいことも重要である。さらに、従来技術の混合物の低温特性もまた特に不利である。低温であっても、結晶および/またはスメクチック相が生じないことが要求され、さらに、粘性の温度依存性もできるだけ低いことが要求される。先行技術で公知のMLCディスプレイは今日の必要条件を満たさない。
【0015】
したがって、非常に高い比抵抗と同時に、広い動作温度範囲、低温でも短い応答時間および低いしきい電圧を有しているMLCディスプレイであって、これらの不都合を有していないか、有していたとしてもより少ない程度であるようなものが、引き続き要求されている。
【0016】
TN(Schadt−Helfrich)セルでは、セル中で次の利点を容易ならしめるような媒体が望まれる。
【0017】
−拡大されたネマチック相範囲(特に、低い温度までの)
−極度に低い温度でのスイッチ能力(アウトドア用途、自動車、航空電子工学)
−紫外線照射に対する増大された抵抗(より長い寿命)
先行技術から入手可能な媒体では、これらの利点を、同時に他のパラメーターを保持しながら達成することはできない。
【0018】
スーパーツイスト型(STN)セルの場合には、より大きな時分割駆動および/または低いしきい電圧および/またはより広いネマチック相範囲(特に、低温において)を可能にする媒体が望まれる。この目的のために、利用可能なパラメーターの範囲(透明点、スメクチック−ネマチックの相転移または融点、粘度、誘電パラメーター、弾性パラメーター)を一層広げることが、至急望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、特に、前述の不都合を有していないか、有していたとしてもより少ない程度であるような媒体、特にMLC、IPS、TNまたはSTNディスプレイ用の媒体であって、好ましくは同時に非常に高い比抵抗値、および低しきい電圧を有するものを提供することを目的とする。この目的は、高い透明点および低い回転粘度を有する液晶化合物を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、本発明の液晶化合物を使用することにより達成されることが見出された。
【0021】
本発明は、式Iの液晶化合物に関する。
【0022】
【化1】

ここで、
およびRは、互いに独立してそれぞれ、H、ハロゲン、ハロゲン化もしくは無置換の炭素数1〜15のアルキル基もしくはアルコキシ基であり、但し、この基において1または2以上のCH基は、O原子同士が直接結合しないことを条件として、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−O−または−O−CO−で置換されていても良く、ここで、基RおよびRの1つは、CN、OCN、SCN、NCSまたはSFを表してもよく、
、A、AおよびAは、互いに独立してそれぞれ、
【0023】
【化2】

を表し、
、ZおよびZは、互いに独立してそれぞれ、−CO−O−、−O−CO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CHCH−、−(CH−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CF=CF−、−CH=CH−、−C≡C−または単結合を表し、
a、bおよびcは、互いに独立してそれぞれ、0、1、2または3を表し、ここでa+b+c≦3である。
【0024】
本発明はさらに、式Iの化合物の液晶媒体中での使用に関する。
【0025】
式Iの化合物は、広い範囲の用途を有する。置換基の選択により、これらの化合物(複数)は、液晶媒体の大部分がそれで構成されるベース材料として使用することができる。しかし、この化合物を、他のクラスからの液晶ベース材料に、このタイプ誘電体の誘電および/または光学異方性を変更するために、および/またはそのしきい電圧および/または粘度を最適化するために、添加することも可能である。
【0026】
純粋な状態では、式Iの化合物は無色であり、電気光学の使用のために好ましい温度範囲で液晶中間相を形成する。特に本発明の化合物は、その広いネマチック相範囲により特徴付けられる。液晶混合物中において、本発明の物質は、スメクチック相を抑制し、その結果として低温保存安定性が際立って改良されている。それらは化学的、熱的に安定であり、また光に対して安定である。
【0027】
本発明は、特に、式IにおいてRがアルキルまたはアルケニル、RがハロゲンまたはOCFである化合物に関する。ハロゲンは、好ましくはF、さらにはClである。
【0028】
特に好ましいものは、式Iにおいて、a=0、さらにはa=1である化合物である。Z、Zおよび/またはZは好ましくは単結合を表し、さらには−CFO−、−OCF−、−C−、−CHO−、−OCH−または−COO−を表す。
【0029】
、A、AおよびAは、好ましくは、
【0030】
【化3】

を表す。
【0031】
は特に、
【0032】
【化4】

を表す。
【0033】
特に好ましいものは式IAの化合物である。
【0034】
【化5】

ここで、aおよびbは、0、1または2を示し、a+b=1または2である。好ましくは、a=1およびb=0、またはa=0およびb=1である。好ましくは、L=FおよびL=Hまたはフッ素であり、特にL=L=フッ素である。
【0035】
は好ましくは、アルキル、アルコキシ、アルケニルまたはアルケニルオキシを表す。Rは好ましくは、F、Cl、OCF、OCHF、OCHFCF、OCFCHFCF、CN、SF、NCSまたはSCNであり、特にFまたはOCFであり、そしてRは好ましくは直鎖アルキルまたはアルケニルを表す。LおよびLはそれぞれ互いに独立して、HまたはFを表す。特に、X=L=L=フッ素である化合物、さらにはX=OCFおよびL=L=Fである化合物が好ましい。
【0036】
式Iの化合物の特に好ましいものは、式I1〜I31の化合物である。
【0037】
【化6】

【0038】
【化7】

【0039】
【化8】

【0040】
【化9】

【0041】
【化10】

【0042】
ここで、Rは、上述のとおりである。Xは、Rと同じ意味を有する。
【0043】
式Iの化合物は、ラセミ体を、例えばカイラルHPLCカラムを通すことにより非常に容易に鏡像体に分離することができる。従って、本発明は、ラセミ体および鏡像体のどちらの形態の式Iの化合物にも関するものである。
【0044】
式Iの化合物は、方法自身が公知である方法で合成される(例えば一般的文献、Houben-Weyl, Methoden der
Organischen Chemie [Methods of Organic Chemistry], Georg-Thieme-Verlag,
Stuttgart等)。正確にはこのような合成に知られており適した条件が選ばれる。また、ここにはより詳しくは述べないが、それ自身公知の異なる方法によることもできる。
【0045】
式Iの化合物は例えば次のように合成することができる。
【0046】
【化11】

【0047】
【化12】

【0048】
【化13】

【0049】
本発明は、またこのタイプの液晶媒体を含む電気光学ディスプレイ(特に、セル、各ピクセルをスイッチングするための外板上の集積非線形素子、および正の誘電異方性および高比抵抗のネマチック液晶混合物を、外枠と共に構成する2つの平行の外板を有するSTNまたはMLCディスプレイ)に関し、またこれらの媒体の電気光学目的への使用に関する。
【0050】
本発明の液晶混合物により、利用可能なパラメーター範囲を著しく広げることが可能である。
【0051】
透明点、低温での粘度、熱およびUV安定性、および誘電異方性の達成可能な組み合わせは、先行技術の従来材料よりはるかに優れている。
【0052】
高い透明点、低温でのネマチック相および高い正のΔεに対する要求は、従来は不十分な程度までしか達成できなかった。例えばMS 99295(Merck KGaA、ダルムシュタット、Germany)は、匹敵する透明点と低温安定性を有するけれども、比較的高いΔn値および約≧1.7Vという高いしきい電圧を有している。
【0053】
他の混合物系では、同等の粘度とΔε値を有しているが、60℃の領域に透明点を有しているに過ぎない。
【0054】
本発明の液晶混合物は、−20℃、好ましくは−30℃まで、特に好ましくは−40℃までネマチック相を保持しながら、80℃を超える、好ましくは90℃を超える、特に好ましくは100℃を越える透明点、同時にΔε≧4好ましくは≧6の誘電異方性値、および高い比抵抗値を可能にして、優れたSTNおよびMLCディスプレイを達成可能とする。特に、この混合物は、低電圧駆動によって特徴づけられる。TNしきい値は、1.5V未満であり、好ましくは1.3V未満である。
【0055】
言うまでもなく、本発明の混合物成分の適切な選択により、他の有利な性質を保持しながら、より高いしきい電圧でより高い透明点(例えば110℃を超える)が達成されるか、またはより低いしきい電圧でより低い透明点が達成されることも可能である。粘度の上昇をわずかにとどめながら、より大きなΔεと従ってより低いしきい電圧の達成も同じように可能である。本発明のMLCディスプレイは、好ましくはグーチ・タリーの第1次透過極小で動作させることが好ましい(C.H. Gooch and H.A. Tarry, Electron. Lett. 10, 2-4, 1974; C.H. Gooch and H.A. Tarry, Appl. Phys., Vol. 8, 1575-1584, 1975)。ここで、例えば特性曲線の急峻性およびコントラストの低視野角依存性のような特に好ましい電気光学特性(ドイツ特許3022818)に加えて、より小さな誘電異方性でも、第2次透過極小での類似のディスプレイと同じしきい電圧にするのに十分である。これにより、第1次透過極小で本発明の混合物を使用することにより、シアノ化合物を含む混合物の場合に比べて、極めて高い比抵抗値を達成することができる。個々の成分とその量の適切な選択を通して、当業者は簡単なルーチンの方法によりMLCのあらかじめ指定された層の厚さに必要な複屈折率を定めることができる。
【0056】
20℃における流動粘度ν20は、好ましくは60mm・s−1未満であり、特に好ましくは50mm・s−1未満である。ネマチック相範囲は、少なくとも90度あることが好ましく、さらに少なくとも100度あることが好ましい。この範囲は少なくとも−30℃から+80℃にわたることが好ましい。20℃における回転粘度γは、好ましくは200mPa・s未満であり、特に好ましくは180mPa・s未満であり、特に160mPa・s未満である。
【0057】
キャパシティ保持率(HR)の測定[S. Matsumoto et al., Liquid Crystals 5, 1320
(1989); K. Niwa et al., Proc. SID Conference, San Francisco, June 1984, p. 304
(1984); G. Weber et al., Liquid Crystals 5, 1381 (1989)]により、式Iの化合物を含有する本発明の混合物は、式:
【0058】
【化14】

【0059】
のシアノフェニルシクロヘキサン類や、式:
【0060】
【化15】

【0061】
のエステル化合物類を式Iの化合物の代わりに含有する混合物に比べて、高い温度でもHRの低下が著しく小さいことが示された。
【0062】
本発明の混合物のUV安定性は極めて優れている。即ち、それらはUV照射によってもHRの低下が著しく小さい。
【0063】
本発明による媒体は、好ましくは複数の(好ましくは2、3またはそれより多くの)式Iの化合物に基づく。即ち、これらの化合物の割合は、5〜95%、好ましくは10〜60%、特に好ましくは15〜40%の範囲である。
【0064】
本発明の媒体に使用される式IからIXのおよびそのサブ式の化合物のそれぞれは、公知であるからまたは公知化合物に類似する方法により合成することができる。
【0065】
好ましい実施形態を以下に示す。
【0066】
− 媒体は、好ましくは1、2または3種の式Iの同族化合物を含有し、同族化合物のそれぞれが最大で10%の量で混合物中に存在する。
【0067】
− 媒体は、さらに一般式II〜IXからなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物を含有する。
【0068】
【化16】

【0069】
式中、各基は次の意味を有する。
【0070】
は、それぞれ炭素数9までのn−アルキル、オキサアルキル、フルオロアルキル、アルケニルオキシまたはアルケニルを表し、
は、F、Cl、それぞれ炭素数7までのハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルケニルオキシまたはハロゲン化アルコキシを表し、
は、−CH=CH−、−C−、−(CH−、−C−、−CHO−、−OCH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−または−COO−を表し、
、Y、YおよびYは、互いに独立して、それぞれHまたはFを表し、
rは、0または1である。
【0071】
式IVの化合物は、好ましくは
【0072】
【化17】

【0073】
である。
【0074】
− 媒体は、好ましくは、式:
【0075】
【化18】

【0076】
【化19】

【0077】
(式中、RおよびYは、前述の意味を有する。)
の化合物の1または2以上を含有する。
【0078】
− 媒体は、好ましくは式H1からH19(n=1〜7)からなる群より選ばれる化合物の同族化合物の1、2、3または4種を含有する。
【0079】
【化20】

【0080】
【化21】

【0081】
【化22】

− 媒体は、さらに一般式XからXVからなる群より選ばれる化合物の1種またはそれより多くの種類を含有する。
【0082】
【化23】

【0083】
ここで、R、X、Y、Y、YおよびYはそれぞれ、互いに独立して請求項8に示した意味を有する。Xは好ましくはF、Cl、CF、OCFまたはOCHFを表す。Rは好ましくはアルキル、オキサアルキル、フルオロアルキル、アルケニルまたはアルケニルオキシを表す。
【0084】
− 式IからIXの化合物の割合は合わせて、混合物全体の少なくとも50重量%である。
【0085】
− 式Iの化合物の割合は、混合物全体の中で、5から50重量%である。
【0086】
− 式IIの化合物の割合は、混合物全体の中で、3から40重量%である。
【0087】
− 式IIからIXの化合物の割合は、混合物全体の中で、30から70重量%である。
【0088】
【化24】

は、好ましくは、
【0089】
【化25】

【0090】
− 媒体は、式II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよび/またはIXの化合物を含有する。
【0091】
− Rは、炭素数2〜7の直鎖アルキルもしくはアルケニルである。
【0092】
− 媒体は、実質的に式I〜XVの化合物からなる。
【0093】
− 媒体は、5〜40重量%の式H17および/または18の化合物を含有する。
【0094】
− 媒体は、好ましくは、次の一般式XVIからXXなる群より選ばれる化合物をさらに含有する。
【0095】
【化26】

【0096】
ここで、RおよびXは上述のとおりの意味を有し、1,4−フェニレン環は、CN、塩素またはフッ素で置換されていてもよい。1,4−フェニレン環は、好ましくはフッ素原子でモノ−またはポリ置換されている。
【0097】
− 媒体は、好ましくは次の式RIからRIXからなる群より選ばれる化合物をさらに含有する。
【0098】
【化27】

【0099】
ここで、R はそれぞれ9個までの炭素原子を有するn−アルキル、オキサアルキル、フルオロアルキル、アルケニルオキシまたはアルケニルを表し、
dは、0、1または2を表し、
は、HまたはFを表し、
alkylまたはalkylはそれぞれ、互いに独立して、1〜9個の炭素原子を有する直鎖または分岐アルキルを表し、
alkenylまたはalkenylはそれぞれ、互いに独立して、9個までの炭素原子を有する直鎖または分岐アルケニルを表す。
【0100】
− 媒体は、好ましくは下記式の化合物の1種または2種以上を含有する。
【0101】
【化28】

【0102】
式中、nおよびmはそれぞれ、1〜9の整数を表す。
【0103】
− I:(II+III+IV+V+VI+VII+VIII+IX)の重量比は、好ましくは1:10から10:1である。
【0104】
− 媒体は、実質的に一般式I〜XVからなる群より選ばれる化合物からなる。
【0105】
従来の液晶材料(しかし、特に式II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよび/またはIXの1種または2種以上の化合物)に対して、式Iの化合物の比較的少量の混合ですら、しきい電圧の低下および低複屈折率の達成にきわめて効果があり、しかも広いネマチック相であって同時に低いスメクチック−ネマチックの遷移温度が観察され、貯蔵安定性が改善されることが見出された。式I〜IXの化合物は無色で、安定で、互いにおよび他の液晶材料と容易に混和する。
【0106】
用語「アルキル(alkyl)」または「アルキル(alkyl)」は、炭素数1〜9を有する直鎖および分岐のアルキル基を包含し、特に直鎖基のメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルである。炭素数2〜5を有する基が一般に好ましい。
【0107】
用語「アルケニル(alkenyl)」または「アルケニル(alkenyl)」は、炭素数9までの直鎖および分岐アルケニル基を含み、特に直鎖基である。特に好ましいアルケニル基は、C−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニル、C−C−4−アルケニル、C−C−5−アルケニルおよびC−6−アルケニル、特にC−C−1E−アルケニル、C−C−3E−アルケニルおよびC−C−4−アルケニルである。好ましいアルケニルとしては、ビニル、1E−プロペニル、1E−ブテニル、1E−ペンテニル、1E−ヘキセニル、1E−ヘプテニル、3−ブテニル、3E−ペンテニル、3E−ヘキセニル、3E−ヘプテニル、4−ペンテニル、4Z−ヘキセニル、4E−ヘキセニル、4Z−ヘプテニル、5−ヘキセニル、6−ヘプテニル等を挙げることができる。5までの炭素原子を有する基が一般に好まれる。
【0108】
用語「フルオロアルキル」は、好ましくは、末端フッ素を有する直鎖基、即ち、フルオロメチル、2−フルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、5−フルオロペンチル、6−フルオロヘキシルおよび7−フルオロヘプチルを含む。しかしながら、フッ素のその他の置換位置を除外するものではない。
【0109】
用語「オキサアルキル」は、好ましくは式C2n+1−O−(CHの直鎖基を含む。但し、nおよびmは互いに独立してそれぞれ1〜6である。好ましくは、n=1であり、mは1〜6である。
【0110】
とXの意味の適切な選択により、アドレス時間、しきい電圧、透過特性曲線の急峻性等を所望の様式に修正することができる。例えば、1E−アルケニル基、3E−アルケニル基、2E−アルケニルオキシ基などを使用すると、アルキルまたはアルコキシ基と比較して、一般により短いアドレス時間、ネマチック性向の改善、および弾性定数k33(ベンド)とk11(スプレイ)のより高い比率を達成することができる。4−アルケニル基、3−アルケニル基等は、アルキルおよびアルコキシ基と比較して、一般に低しきい電圧およびより小さなk33/k11値を与える。
【0111】
および/またはZにおける−CHCH−基は、単結合の場合と比較して、一般により高いk33/k11値を与える。k33/k11がより高いと、例えば90°ねじれのTNセルにおいてよりなだらかな透過曲線(グレイスケールを達成するため)とすることが容易になり、STN、SBEおよびOMIセルにおいては、より急峻な透過曲線(より大きな時分割駆動)が容易になり、また逆も可能である。
【0112】
式IとII+III+IV+V+VI+VII+VIII+IXの化合物の最適な混合比は、実質上望まれる特性、式I、II、III、IV、V、VI、VII、VIIIおよび/またはIXの成分の選択、およびさらに存在しているかもしれないその他の成分の選択に依存する。前述の与えられた範囲内での適切な混合比は、場合ごとに容易に決めることができる。
【0113】
本発明の混合物で、式I〜XVの化合物の合計量は、決定的なものではない。したがって、混合物は、様々な特性の最適化のためにさらに1種または2種以上の成分を含むことができる。しかしながら、アドレス時間およびしきい電圧に対する観察される効果は、一般に式I〜XVの化合物の合計濃度がより大きい方がより大きい。
【0114】
特に好ましい実施形態において、本発明の媒体は、Xが、OCF、OCHF、F、OCH=CF、OCF=CF、OCFCHFCFまたはOCF−CFHである式II〜IX(好ましくはIIおよび/またはIII)の化合物を含む。式Iの化合物との好ましいシナジー効果により特に有利な特性が得られる。
【0115】
偏光板、電極基板および表面処理電極を伴う本発明のMLCディスプレイの構成は、このタイプのディスプレイの従来の構成に対応する。「従来の構成」という用語は、ここでは広い意味で用いられ、MLCディスプレイに関するすべての誘導・変形を含み、特にポリ−Si TFTまたはMIMに基づくマトリックスディスプレイ素子を含む。
【0116】
しかしながら、本発明のディスプレイと従来のツイストネマチックセルに基づくディスプレイの大きな相違点は、液晶層の液晶パラメーターの選択にある。
【0117】
本発明に従って使用できる液晶混合物は、それ自体公知の方法で合成される。一般に、より少ない量で使用される成分が、主要な組成を構成する成分中で、好ましくは加温されて溶解される。さらに、例えばアセトン、クロロホルムまたはメタノール等の有機溶媒の液晶成分溶液を混合して、完全に混合した後、例えば蒸留によって溶媒を再度除去することも可能である。
【0118】
誘電体は、例えば安定剤および酸化防止剤のような当業者に公知で文献記載の添加剤をさらに含んでもよい。例えば0〜15%で、多色性染料またはキラルドーパントを加えることができる。
【0119】
Cは結晶相、Sはスメクチック相、SはスメクチックC相、SはスメクチックB相、Nはネマチック相およびIは等方性相を表す。
【0120】
10は、10%の透過(基板表面に垂直な視角)の電圧を表す。tonおよびtoffは、V10の2倍に対応する動作電圧におけるスイッチオン時間およびスイッチオフ時間を表す。Δnは光学異方性を表し、nは屈折率である。Δεは、誘電異方性(Δε=ε‖−ε⊥、ここでε‖は分子軸に平行な誘電率、ε⊥は垂直の誘電率を表す。)を表わす。電気光学のデータは、特に別に述べない限り20℃で、TNセルにおいて第1次透過極小で(すなわち、0.5μmのd・Δn値で)測定した。
【0121】
本出願および以下に示す例において、液晶化合物の構造は頭文字で示されており、その化学式への変換は下記表AおよびBに従って行われる。基C2n+1およびC2m+1は全部が、n個またはm個の炭素原子をそれぞれ有する直鎖状アルキル基である。ここでnおよびmは互いに独立して、それぞれ1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15である。表Bのコードは、それ自体で明らかである。表Aには、親構造にかかわる頭文字のみが示されている。それぞれの場合において、この親構造の頭文字の後に、ダッシュにより分離されて、置換基R、R、LおよびLのためのコードが続く。
【0122】
【表1】

【0123】
好ましい成分を表AおよびBに示す。
【0124】
【化29】

【0125】
【化30】

【0126】
【化31】

【0127】
【化32】

【0128】
【化33】

【0129】
【化34】

【0130】
【化35】

【0131】
【化36】

【0132】
【化37】

【0133】
【化38】

【0134】
【化39】

【0135】
【化40】

【0136】
【化41】

【0137】
【化42】

【0138】
表 C:
表Cは、本発明の混合物に一般に0.1から10重量%の量で添加される使用可能なドーパントを示す。
【0139】
【化43】

【0140】
【化44】

【0141】
【化45】

【0142】
表D:
例えば本発明の混合物に添加することができる安定剤を下に示す。
【0143】
【化46】

【0144】
【化47】

【0145】
【化48】

【0146】
【化49】

【0147】
【化50】

【実施例】
【0148】
下記の例は、制限することなく、本発明を説明するものである。上および下において、パーセンテージは重量パーセントである。温度はすべて摂氏で示される。m.p.は融点を表わし、cl.p.は透明点を表わす。さらにまた、C=結晶状態、N=ネマティック相、S=スメクティック相、およびI=アイソトロピック相である。これらの記号間のデータは相転移温度である。Δnは光学異方性を表わし(589nm、20℃)、Δεは誘電異方性(1kHz、20℃)を表わし、および流動粘度ν20(mm/s)は20℃で測定した。回転粘度γ(mPa・s)は同様に20℃で測定した。
【0149】
常法による処理とは、必要により水を追加し、混合物をジクロロメタン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテルまたはトルエンで抽出し、相を分離し、有機相を乾燥し蒸発させ、そして生成物を減圧下で蒸留するかまたは結晶化するか、および/またはクロマトグラフィにかけるか、により精製することを意味する。次は、使用される略語である。
n−BuLi:ヘキサン中n−ブチルリチウム 1.6モル溶液
DMAP:4−(ジメチルアミノ)ピリジン
THF:テトラヒドロフラン
DCC:N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド
LDA:リチウムジメチルアミド
RT:室温

例1
【0150】
【化51】

【0151】
ステップ 1.1
【0152】
【化52】

【0153】
は、文献a)R.Baker,A.L.Boyes,C.J.Swain,J.Chem.Soc. Perkin Trans. 1, 1990, 1415−1421;文献b)H.Hagiwara,T.Okabe,H.Ono,V.P.Kamat,T.Hoshi,T.Suzuku,M.Ando,J.Chem.Soc. Perkin Trans. 1, 2002, 895−900に類似の方法で合成される。
【0154】
ステップ 1.2
【0155】
【化53】

【0156】
ジエチルエーテル250ml中に1,4−ジブロモベンゼン207mmolを含む溶液に、BuLi 207mmol(ヘキサン中15%)を、−50℃にて滴下して添加した。ジエチルエーテル50ml中に170mmolを含む溶液を、同じ温度で滴下し、さらに30分間撹拌した。0℃になったところで、常法の水による処理を行った。粗生成物(51g)を400mlのCHClに溶解し、400mmolのトリエチルシランを−75℃にて添加した。温度が−70℃より上がらないようにしながら、400mmolの3フッ化ホウ素エーテラートを滴下した。混合物を−10℃なるまでそのままにして、飽和NaHCO溶液で加水分解し、常法の水による処理を行った。粗生成物は、トランス/シスアイソマーを9:1の比率で含んでいた。生成物は−20℃にてペンタンから再結晶した。
【0157】
ステップ 1.3
【0158】
【化54】

【0159】
73mmolのを、THF200mlに溶解し、−70℃に冷やした。まず、BuLi 73mmol(ヘキサン中15%)、次いでTHF50ml中のトリメチルボレート73mmolを、滴下した。混合物を、−20℃まで放置し、2N HClの添加によりpH=2に調節し、常法の水による処理を行った。粗生成物を、熱ヘプタンに溶解し、0℃で結晶化した。
【0160】
ステップ 1.4
【0161】
【化55】

【0162】
60mmolの、トルエン300ml、NaOH120mmol、水50ml、および30mlの30%Hの混合物を45℃にて2時間撹拌した。混合物を10%のHClを使用して、pH=2に調節し、常法の水による処理を行った。粗生成物を、ヘプタンから再結晶した。
【0163】
ステップ 1.5
【0164】
【化56】

【0165】
22mmolのを、5%のPd/C触媒1.5gの存在下、キシレン100ml中で、27.5時間5バール、130℃で水素化した。常法による処理の結果、無色のオイルを得た。
【0166】
ステップ 1.6
【0167】
【化57】

【0168】
THF75ml中17mmolの2−トリメチルシリル−1,3−ジチアン溶液に、−70℃にて、17mmolのBuLi(ヘキサン中15%)を添加した。混合物を0℃になるまで4時間放置し、それから再度−70℃まで冷却し、25mlTHF中17mmolのを滴下した。この混合物を室温になるまで放置し、18時間撹拌し、常法の水による処理を行った。粗生成物はヘプタンから結晶化し、無色の結晶を得た。
【0169】
ステップ 1.7
【0170】
【化58】

【0171】
6.27mmolのトリフルオロメタンスルホン酸を、−20℃にて、50mlのCHCl中6.12mmolの溶液に滴下した。混合物を室温まで30分間放置し、それから−70℃に冷却した。まず、20LのCHCl中9.1mmolの3,4,5−トリフルオロフェノールおよび10.1mmolのトリエチルアミン溶液、そして5分後に31mmolのトリエチルアミントリス(ヒドロフルオリド)を添加した。さらに5分後、31.5mmolのDBH(1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン)懸濁液をすこしづつ添加し、そして混合物を−70℃にてさらに1時間かき混ぜた。反応混合物を−10℃になるまで放置し、そして、400mlの氷冷したNaOHの中に注いだ。混合物を常法の水による処理を行い、そして粗生成物をシリカゲル上(ヘプタン/トルエン3:2)クロマトグラフで精製した。そして−70℃でヘプタンから結晶化して、無色の結晶を得た(C35N66.3I;Δn=0.0570; Δε=13.4)。
【0172】
式:
【0173】
【化59】

【0174】
の下記の化合物は同じように合成される。
【0175】
【表2】

【0176】
【表3】

【0177】
【表4】

【0178】
【表5】

【0179】
【表6】

【0180】
【表7】

【0181】
【表8】

【0182】
【表9】

【0183】
例 2
ステップ 2.1
【0184】
【化60】

【0185】
50mmolの、50mmolの、2.5mmolのPd(PPh、300mlのトルエンおよび300mlのホウ酸ナトリウム緩衝剤(pH=9)の混合物を80℃にて18時間撹拌した。混合物を500mlの0.1N HClに注ぎ、そして生成物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥し、ロータリーエバポレイターにより乾燥するまで蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上ヘプタンでクロマトグラフにかけ、その後n−ヘプタンから−20℃にて再結晶した。C78N93.1I; Δn=0.1493; Δε=27.3であった。
【0186】
式:
【0187】
【化61】

【0188】
の下記の化合物は同じように合成される。
【0189】
【表10】

【0190】
【表11】

【0191】
【表12】

【0192】
【表13】

【0193】
【表14】

【0194】
【表15】

【0195】
【表16】

【0196】
【表17】

【0197】
【表18】

【0198】
【表19】

【0199】
【表20】

【0200】
【表21】

【0201】
【表22】

【0202】
【表23】

【0203】
【表24】

【0204】
【表25】

【0205】
【表26】

【0206】
【表27】

【0207】
【表28】

【0208】
【表29】

【0209】
【表30】

【0210】
【表31】

【0211】
【表32】

【0212】
【表33】

【0213】
例 3
【0214】
【化62】

【0215】
ステップ 3.1
【0216】
【化63】

【0217】
62.7mmolのトリフルオロメタンスルホン酸を、−20℃にて、500mlのCHCl中61.2mmolのの溶液に滴下した。混合物を30分間室温まで放置し、それから−70℃まで冷却した。まず、200mlのCHCl中91mmolの4−ブロモ−3−フルオロフェノールおよび101mmolのトリエチルアミン溶液、5分後に310mmolのトリエチルアミントリス(ヒドロフルオリド)を添加した。さらに5分後315mmolの1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン懸濁液をすこしづつ添加し、そして混合物を−70℃にてさらに1時間かき混ぜた。反応混合物を−10℃になるまで放置し、そして、氷冷したNaOHの中に注いだ。混合物を常法の水による処理を行い、そして粗生成物をシリカゲル上(ヘプタン/MTBエーテル4:1)クロマトグラフで精製し、そして−20℃でエタノールから結晶化した。
【0218】
ステップ 3.2
【0219】
【化64】

【0220】
50mmolの、50mmolの3,4,5−トリフルオロベンゼンホウ酸、2.5mmolのPd(PPh、300mlのトルエンおよび300mlのホウ酸ナトリウム緩衝剤(pH=9)の混合物を80℃にて18時間撹拌した。混合物を500mlの0.1N HClに注ぎ、そして生成物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥し、ロータリーエバポレイターにより乾燥するまで蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上ヘプタンでクロマトグラフにかけ、その後n−ヘプタンから−20℃にて再結晶した。C61N191.8I; Δn=0.1220; Δε=19.1であった。
【0221】
式:
【0222】
【化65】

【0223】
の下記の化合物は同じように合成される。
【0224】
【表34】

【0225】
【表35】

【0226】
【表36】

【0227】
【表37】

【0228】
【表38】

【0229】
【表39】

【0230】
【表40】

【0231】
【表41】

【0232】
例 4
【0233】
【化66】

【0234】
ステップ 4.1
【0235】
【化67】

【0236】
62.7mmolのトリフルオロメタンスルホン酸を、−20℃にて、500mlのCHCl中61.2mmolのの溶液に滴下した。混合物を30分間室温まで放置し、それから−70℃まで冷却した。まず、200mlのCHCl中91mmolの4−ブロモ−3−フルオロフェノールおよび101mmolのトリエチルアミン溶液、5分後に310mmolのトリエチルアミントリス(ヒドロフルオリド)を添加した。さらに5分後315mmolの1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン懸濁液をすこしづつ添加し、そして混合物を−70℃にてさらに1時間かき混ぜた。反応混合物を−10℃になるまで放置し、そして、氷冷したNaOHの中に注いだ。混合物を常法の水による処理を行い、そして粗生成物をシリカゲル上(ヘプタン/MTBエーテル4:1)クロマトグラフで精製し、そして−20℃でエタノールから結晶化した。
【0237】
ステップ 4.2
【0238】
【化68】

【0239】
50mmolの、50mmolの3,4,5−トリフルオロベンゼンホウ酸、2.5mmolのPd(PPh、300mlのトルエンおよび300mlのホウ酸ナトリウム緩衝剤(pH=9)の混合物を80℃にて18時間撹拌した。混合物を500mlの0.1N HClに注ぎ、そして生成物をCHClで抽出し、NaSOで乾燥し、ロータリーエバポレイターにより乾燥するまで蒸発させた。粗生成物をシリカゲル上ヘプタンでクロマトグラフにかけ、その後n−ヘプタンから−20℃にて再結晶した。C60S81N206.6I; Δn=0.1291; Δε=15.7であった。
【0240】
式:
【0241】
【化69】

【0242】
の下記の化合物は同じように合成される。
【0243】
【表42】

【0244】
【表43】

【0245】
【表44】

【0246】
【表45】

【0247】
【表46】

【0248】
【表47】

【0249】
【表48】

【0250】
【表49】

【0251】
例 5
【0252】
【化70】

【0253】
ステップ 5.1
【0254】
【化71】

【0255】
80mlのジクロロメタン中の、98mmolのおよび16.3mlのトリエチルアミン(117mmol)の混合物を、−70℃に冷却した100mlのジクロロメタン中の65mmolのに、撹拌しながら滴下した。添加が終了したときに、混合物をさらに1時間−70℃にて撹拌した。325mmolのトリエチルアミントリス(ヒドロフルオリド)を、同じ温度にて引き続き滴下した。引き続き325mmolの臭素を−70℃にて滴下した。−70℃にて1時間撹拌後、反応混合物を暖めて−10℃までした後、500mlの氷水と95mlの32%水酸化ナトリウム溶液の混合物に注いだ。相分離を行い、水相をジクロロメタンで抽出した。あわせた有機相を常法による処理を行った。
【0256】
ステップ 5.2
【0257】
【化72】

【0258】
60mlのトルエン中の10mmolのおよび10mmolの2,6−ジフルオロ−4−(トランス−5’−プロピルテトラヒドロピラニル−(2))−フェニルホウ酸、60mlのホウ酸ナトリウム緩衝剤(pH=9)を、0.5mmolのPd(PPhとともに、80℃に加温して18時間撹拌した。冷却後、2相の反応混合物を、撹拌しながら100mlの0.1N HClに注ぎ、有機相を分離した。水相は2回トルエンで抽出した。あわせたトルエン相を乾燥し、エバポレートし、残さをシリカゲル(ヘプタン/メチルtert−ブチルエーテル)を通してろ過した。最後に、生成物を最初にエタノールから、つきにn−ヘプタンから再結晶した。C115N197.7I; Δε=35.4; Δn=0.1706であった。
【0259】
式:
【0260】
【化73】

【0261】
の下記の化合物は同じように合成される。
【0262】
【表50】

【0263】
【表51】

【0264】
【表52】

【0265】
【表53】

【0266】
【表54】

【0267】
【表55】

【0268】
【表56】

【0269】
【表57】

【0270】
【表58】

【0271】
【表59】

【0272】
【表60】

【0273】
【表61】

【0274】
【表62】

【0275】
【表63】

【0276】
【表64】

【0277】
【表65】

【0278】
【表66】

【0279】
【表67】

【0280】
【表68】

【0281】
【表69】

【0282】
【表70】

【0283】
【表71】

【0284】
【表72】

【0285】
【表73】

【0286】
例 6
下記式のエナンチオマーの分離:
【0287】
【化74】

【0288】
エナンチオマーを分離すために、8.7gのを、合成のエナンチオ−HPLCカラムを通した。2つの分画を得た後、それぞれをエタノールから再結晶し、その旋光度を決定した。
【0289】
3.18 g enantio-HPLC: 99.68 % - 旋光度: +29.0°
3.74 g enantio-HPLC: 98.25 % - 旋光度: −28.0°
【0290】
次のラセミ体を同様の方法により、エナンチオマーに分離した。
【0291】
【化75】

【0292】
混合物 例
【0293】
【表74】

【0294】
【表75】

【0295】
【表76】

【0296】
【表77】

【0297】
【表78】

【0298】
【表79】

【0299】
【表80】

【0300】
【表81】

【0301】
【表82】

【0302】
【表83】

【0303】
【表84】

【0304】
【表85】

【0305】
【表86】

【0306】
【表87】

【0307】
【表88】

【0308】
【表89】

【0309】
【表90】

【0310】
【表91】

【0311】
【表92】

【0312】
【表93】

【0313】
【表94】

【0314】
【表95】

【0315】
【表96】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式Iで示される液晶化合物。
【化1】

(式中、
およびRは、互いに独立してそれぞれ、H、ハロゲン、ハロゲン化もしくは無置換の炭素数1〜15のアルキル基もしくはアルコキシ基であり、但し、この基において1または2以上のCH基は、O原子同士が直接結合しないことを条件として、−C≡C−、−CH=CH−、−O−、−CO−O−または−O−CO−で置換されていても良く、ここで、基RおよびRの1つは、CN、OCN、SCN、NCSまたはSFを表してもよく、
、A、AおよびAは、互いに独立してそれぞれ、
【化2】

を表し、
、ZおよびZは、互いに独立してそれぞれ、−CO−O−、−O−CO−、−CFO−、−OCF−、−CHO−、−OCH−、−CHCH−、−(CH−、−C−、−CHCF−、−CFCH−、−CF=CF−、−CH=CH−、−C≡C−または単結合を表し、
a、bおよびcは、互いに独立してそれぞれ、0、1、2または3を表し、ここでa+b+c≦3である。
【請求項2】
下記式IAで示される液晶化合物。
【化3】

(式中、R、R、a、bおよびcは、請求項1で示した意味を有し、ここでa+b=1または2であり、
およびLはそれぞれ、互いに独立してHまたはFを示す。)
【請求項3】
a=1およびb=0、またはa=0およびb=1であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶化合物。
【請求項4】
がフッ素を示し、Lがフッ素または水素を示すことを特徴とする請求項2記載の液晶化合物。
【請求項5】
およびLがフッ素を示すことを特徴とする請求項2記載の液晶化合物。
【請求項6】
式I1〜I31で示される液晶化合物。
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

(式中、Rは請求項1に示した意味を有し、XはRの意味を有する。)
【請求項7】
請求項1の液晶化合物の少なくとも1つを含有することを特徴とする少なくとも2つのメソーゲン性化合物を含む液晶媒体。
【請求項8】
一般式II〜IXからなる群より選ばれる1種または2種以上の化合物を含有することを特徴とする請求項7記載の液晶媒体。
【化9】

(式中、
は、それぞれ炭素数9までのn−アルキル、オキサアルキル、フルオロアルキル、アルケニルオキシまたはアルケニルを表し、
は、F、Cl、それぞれ炭素数7までのハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルケニルオキシまたはハロゲン化アルコキシを表し、
は、−CH=CH−、−C−、−(CH−、−C−、−CHO−、−OCH−、−CF=CF−、−CFO−、−OCF−または−COO−を表し、
、Y、YおよびYは、互いに独立して、それぞれHまたはFを表し、
rは、0または1である。)
【請求項9】
請求項7または8の液晶媒体の電気光学目的のための使用。
【請求項10】
請求項7または8の液晶媒体を含有する電気光学液晶ディスプレイ。

【公開番号】特開2011−136998(P2011−136998A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1377(P2011−1377)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【分割の表示】特願2004−554363(P2004−554363)の分割
【原出願日】平成15年11月17日(2003.11.17)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】