説明

液晶用バックライト

【課題】 蛍光体使用の白色LEDを使用したバックライトにあって、発光効率を損なわずにカラー液晶の演色性を高める。
【解決手段】 光源にLEDを使用した液晶用バックライトにおいて、青色発光LEDと、青色発光LEDの青色発光により励起されて緑から赤の波長領域にブロードに発光する蛍光体発光とを組み合わせた白色LED8を光源とし、白色LEDの発光から黄色光を吸収するフィルム5を設けることで白色LEDが含む黄色光成分を少なくし、カラー液晶の色再現性を向上できる光を出力するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶用バックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
近年白色LEDの発光効率が向上してきたため、液晶バックライト分野に利用されている。しかしながら、白色LEDを使用した液晶は、色再現性が悪いという問題点があった。これは次の理由による。白色LEDは、LEDの青色光と、青色光により励起される蛍光体発光(緑から赤色発光)との組み合わせにより白色光を実現している。カラー液晶ディスプレイは、バックライトの光をR、G、Bに分離し、再度混合させることでフルカラーを実現しており、バックライト光源としては、R、G、Bそれぞれの成分のみに発光ピークがあることが望ましい。R、G、Bに分離する際には、バックライト光に各色のカラーフィルタを透過させて分離させているが、不必要な光を完全に吸収することはできない。特にB、Gの中間部分(青緑光)、G、Bの中間部分(黄色光)の光を吸収することは困難であり、色再現性を低下させる要因となっていた。また、蛍光体発光を利用した白色LEDは、蛍光体発光に黄色成分(波長570〜600nm付近)が多く含まれており、色再現性が低下する問題点があった。LEDを利用した白色LEDには、他にR、G、Bのそれぞれ単色発光のLEDを組み合わせたもの、近紫外発光LEDでR、G、Bの蛍光体を発光させるものがあるが、いずれも発光効率が低いという問題点があった。
【特許文献1】特開2003−279985号公報
【特許文献2】特開2003−222861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上述したような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、LEDの青色発光と蛍光体発光との組み合わせによる白色LEDを使用し、発光効率を損なわずにカラー液晶の演色性を高めることができる液晶用バックライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1の発明は、光源にLEDを使用した液晶用バックライトにおいて、青色発光LEDと、青色発光LEDの青色発光により励起されて緑から赤の波長領域にブロードに発光する蛍光体発光とを組み合わせた白色LEDと、前記白色LEDの発光から560nm〜600nmの黄色光に対して最大吸収波長特性を有するフィルムとを備えたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、LEDの青色発光と蛍光体発光の組み合わせによる白色LEDを使用したバックライトにおいて、中間色としてカラー液晶の発色に悪影響を及ぼす黄色領域の光をフィルムにて吸収することで、発光効率を損なわずにカラー液晶の演色性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて詳説する。図1は本発明の1つの実施の形態のバックライトの構造を示す図である。図1において、1はフロントフレーム、2はバックフレーム、3、4は光学シート、5は黄色光を吸収するフィルム、6は導光板、7は放熱板、8はLEDアレイを表している。
【0007】
本実施の形態のバックライトは8インチのバックライトであり、LEDアレイ8を導光板6の片側に配列させた、エッジライト方式のバックライトである。LEDアレイ8は、ガラスエポキシ基板、アルミ基板、FPC(フレキシブル基板)、セラミック基板のような配線パターンが形成されたLED基板上に白色LEDを実装したものである。また、LEDアレイ8は表面実装タイプのLEDを使用している。LEDの配光は拡散光でもよいし、コリメートされた光でもよい。LEDアレイ8は導光板6の一端面に配設されている。高輝度化などの目的に応じては、一端面ではなく複数の端面に配置してもよい。
【0008】
導光板6の下面および側面には、記載していないが、反射シートを設けてある。導光板6に入射した光は、導光板6内で全反射を繰り返しながら進行していく。導光板6の図中の下面には、光路を曲げて導光板6の図中上面から光を出射させるためのパターン処理が施してあり、パターン面で効率良く上方へ反射させた光を導光板6の全反射角度よりも大きい角度で導光板6の上面側の界面に当て、導光板6の上面から光を出射させ、図示していない液晶面を背方から照明する。
【0009】
導光板6の上面には、黄色光を吸収するフィルム5が設けられている。この黄色光を吸収するフィルム5には、例えば、富士写真フィルム(株)製の色補正フィルタCC5M,CC10M等を使用することができる。フィルム5の上面には、従来同様に光の配光を制御する光学シート3、4が配設されている。そして、これらをフロントフレーム1、バックフレーム2で固定し、液晶用バックライトを形成している。また、LEDの放熱のために、必要に応じて放熱板を設ける。尚、本実施の形態は従来品と比べてフィルム5を設けていることを特徴とし、その他の構成は従来品と同様である。
【0010】
図2は従来のバックライトの分光分布を示すグラフであり、図3はカラーフィルタの分光透過率を示すグラフである。図2のように、一般に白色LEDは青色発光LEDの460nmをピークとした青色光と、550nmをピークとした緑色から赤色にかけてブロードに発光する蛍光体の発光により白色光を実現している。このバックライト上にカラー液晶を乗せると、図3に示すようなRGB各色のカラーフィルタを透過して単色光を作り出し、各色に応じたセルの開口率を変化させることによりカラー表示する。カラー表示の色再現範囲は、図4の色度図に示すような各色カラーフィルタと液晶を透過した光の、それぞれの単色点を結んだ内部の範囲であり、これが狭いと色再現性が悪いという一指標になる。
【0011】
図4に示したように、従来のバックライトの分光分布は570nm〜600nm付近の黄色光の成分が多く、これが緑色のカラーフィルタと赤色のカラーフィルタとの両方に影響し、色再現範囲を狭くする原因となっていた。
【0012】
本実施の形態のバックライトにおいて採用した黄色光を吸収するフィルム5の分光透過率を図5に示している。このフィルム5の最大吸収波長は570nm〜600nmである。図5に示す特性のフィルム5を挿入することで、バックライトの分光分布は図6に示すようになり、黄色光の成分が小さくなる。そのため、カラーフィルタと液晶を透過した後の光の色再現範囲は図4のようになり、従来例と比較して色再現範囲が広くなっている。単色点内の面積で比較するとそれは約21%広がり、色再現性が向上する。
【0013】
尚、上記実施の形態において、蛍光体を利用した白色LEDが発光する光から黄色光を吸収する手段として、黄色光を吸収するフィルム5に代えて、次の手段を採用することができる。
【0014】
(i) LEDを基板に封止する樹脂として、黄色光のみを吸収する色素を混入したものを採用する。
【0015】
(ii) 導光板6に黄色光のみを吸収する色素を混入したものを採用する。
【0016】
(iii) バックライトの光出射面に対向する液晶ガラスに黄色光のみを吸収する色素を塗布したものを採用する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1つの実施の形態のバックライトの分解斜視図。
【図2】従来例のバックライトの分光分布を示すグラフ。
【図3】一般的な液晶ディスプレイのカラーフィルタの分光透過率を示すグラフ。
【図4】従来例と上記実施の形態のバックライトとを採用した液晶ディスプレイそれぞれの色再現範囲を示す色度図。
【図5】上記実施の形態のバックライトに採用した黄色光を吸収するフィルムの分光透過率を示すグラフ。
【図6】上記実施の形態のバックライトの分光分布を示すグラフ。
【符号の説明】
【0018】
1 フロントフレーム
2 バックフレーム
3、4 光学シート
5 黄色光を吸収するフィルム
6 導光板
7 放熱板
8 LEDアレイ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源にLEDを使用した液晶用バックライトにおいて、
青色発光LEDと、青色発光LEDの青色発光により励起されて緑から赤の波長領域にブロードに発光する蛍光体発光とを組み合わせた白色LEDと、
前記白色LEDの発光から、560nm〜600nmの黄色光に対して最大吸収波長特性を有するフィルムとを備えたことを特徴とする液晶用バックライト。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−25285(P2007−25285A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207606(P2005−207606)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】