説明

液晶表示パネル

【課題】表示品位に優れた液晶表示パネルを提供する。
【解決手段】液晶表示パネルは、走査線と、信号線と、スイッチング素子と、画素電極17と、を有したアレイ基板10と、貫通孔22aを含む共通電極22を有した対向基板20と、アレイ基板及び対向基板の何れか一方に形成され、画素電極から外れて位置し、貫通孔に重ねられ、アレイ基板及び対向基板間の隙間を保持する柱状スペーサ50と、アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層80と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示パネル、特に柱状スペーサを備えた液晶表示パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータを中心とする情報機器分野及びテレビなどを中心とする映像機器分野において、軽量、小型及び高精細な液晶表示装置が開発されている。一般に、液晶表示装置は、アレイ基板と、対向基板と、これら両基板間に挟持された液晶層とを有した液晶表示パネルを備えている。アレイ基板及び対向基板は表示領域を有している。アレイ基板及び対向基板の間には、スペーサとして、例えば粒径の均一なプラスティックビーズが配置され、この2枚の基板間の隙間を一定に保持している。アレイ基板及び対向基板は、両基板の表示領域外側に配設された矩形枠状のシール材により接合されている。
【0003】
カラー表示型アクティブマトリクス駆動液晶表示装置では、アレイ基板の表示領域において、基板上に複数の信号線及び複数の走査線がマトリクス状に配設され、これら信号線及び走査線の各交差部近傍には、例えばアモルファスシリコン(a−Si)やポリシリコン(p−Si)を半導体層とした薄膜トランジスタ(以下、TFTと称する)が配設されている。各TFTは基板上に形成された画素電極と接続されている。画素電極を含み基板上には配向膜が成膜されている。
【0004】
対向基板において、基板上にカラーフィルタ、共通電極及び配向膜が順次形成されている。カラーフィルタは、赤色、緑色及び青色の着色層で構成されている。液晶層はアレイ基板及び対向基板の間に挟持され、液晶表示装置が構成されている。
【0005】
また、アレイ基板及び対向基板間のギャップの均一化を図るため、アレイ基板及び対向基板の少なくとも一方の基板上に、フォトリソグラフィ法等を用いたパターニングにより柱状スペーサを形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−18238号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記柱状スペーサは、共通電極に重なっている。アレイ基板においても、上記柱状スペーサが画素電極に重なっている場合がある。一般に、画素電極及び共通電極は無機材料であるITO(インジウム・ティン・オキサイド)で形成されている。この場合、画素電極及び共通電極は、ガラスのように脆性がある。このため、柱状スペーサが画素電極及び共通電極に重なっていると、衝撃が加わった場合、液晶表示パネルは、その衝撃を十分に吸収することができず、共通電極等が破損する虞がある。また低温では、体積変化への追従が十分にできず、気泡が発生し易くなり、表示品位が低下してしまう。
この発明は以上の点に鑑みなされたもので、その目的は、表示品位に優れた液晶表示パネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の態様に係る液晶表示パネルは、
走査線と、前記走査線に交差して設けられた信号線と、前記走査線及び信号線に電気的に接続されたスイッチング素子と、前記走査線、信号線及びスイッチング素子上に形成されているとともに前記スイッチング素子に電気的に接続された画素電極と、を有したアレイ基板と、
貫通孔を含む共通電極を有し、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に形成され、前記画素電極から外れて位置し、前記貫通孔に重ねられ、前記アレイ基板及び対向基板間の隙間を保持する柱状スペーサと、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層と、を備えている。
【0008】
また、本発明の他の態様に係る液晶表示パネルは、
走査線と、前記走査線に交差して設けられた信号線と、前記走査線及び信号線に電気的に接続されたスイッチング素子と、前記走査線、信号線及びスイッチング素子上に形成されているとともに前記スイッチング素子に電気的に接続された画素電極と、を有したアレイ基板と、
貫通孔を含む共通電極を有し、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に設けられた遮光部と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に設けられ、複数色の着色層を有し、前記遮光部に重なった切欠き部が形成されたカラーフィルタと、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に形成され、前記画素電極から外れて位置し、前記貫通孔、遮光部及び切欠き部に重ねられ、前記アレイ基板及び対向基板間の隙間を保持する柱状スペーサと、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層と、を備えている。
【0009】
また、本発明の他の態様に係る液晶表示パネルは、
走査線と、前記走査線に交差して設けられた信号線と、前記走査線及び信号線に電気的に接続されたスイッチング素子と、前記走査線、信号線及びスイッチング素子上に形成されているとともに前記スイッチング素子に電気的に接続された画素電極と、を有したアレイ基板と、
貫通孔を含む共通電極を有し、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に設けられた遮光部と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に設けられ、複数色の着色層を有し、前記遮光部に重なった切欠き部が形成されたカラーフィルタと、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に形成され、前記画素電極から外れて位置し、前記貫通孔、遮光部及び切欠き部に重ねられ、前記アレイ基板及び対向基板間の隙間を保持する柱状スペーサと、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持され、誘電率異方性が負の液晶材料を含んだ液晶層と、を備え、
前記共通電極の貫通孔は、前記液晶層の液晶分子の傾く方向を制御する。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、表示品位に優れた液晶表示パネルを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態に係る液晶表示装置について詳細に説明する。
図1乃至図3に示すように、液晶表示装置は、液晶表示パネル1、バックライトユニット2及びベゼル3を有している。液晶表示パネル1は、アレイ基板10、対向基板20、カラーフィルタ40、柱状スペーサ50、シール材70、液晶層80、第1偏光板91及び第2偏光板92を有している。液晶表示パネル1は、アレイ基板10及び対向基板30に重なった矩形状の表示領域R1を有している。
【0012】
図1乃至図5に示すように、アクティブマトリクス型のアレイ基板10は、透明な絶縁基板としてガラス基板11を有している。ガラス基板11上には、ゲート絶縁膜12が形成されている。表示領域R1において、ゲート絶縁膜12上には、図示しない絶縁膜を挟んで複数の走査線13及び複数の信号線14が格子状に設けられている。
【0013】
画素Pは、液晶表示パネル1の平面に沿った第1方向d1及び第2方向d2に沿ってマトリクス状に設けられている。隣接する2本の走査線13及び隣接する2本の信号線14は画素領域R2を区画している。画素Pは画素領域R2に形成されている。
【0014】
ゲート絶縁膜12、走査線13及び信号線14上に、層間絶縁膜15が形成されている。層間絶縁膜15は、有機材料として、有機樹脂で形成されている。層間絶縁膜15の厚みは、1乃至4μm程度である。走査線13及び信号線14の各交差部近傍にスイッチング素子として、例えばTFT16設けられている。TFT16は走査線13及び信号線14に電気的に接続されている。
【0015】
TFT16は、走査線13の一部を延在したゲート電極16a、ゲート絶縁膜12を介してゲート電極と対向したチャネル層16b、このチャネル層の一方の領域に接続されたソース電極16c及び他方の領域に接続されたドレイン電極16dを有している。この実施の形態において、チャネル層はポリシリコン(p−Si)で形成されている。ソース電極16cは信号線14に接続され、ドレイン電極16dは後述する画素電極17に接続されている。
【0016】
層間絶縁膜15上には、複数の画素電極17がマトリクス状に形成されている。画素電極17は、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)等の透明な導電膜により形成されている。なお、ITOは無機材料である。画素電極17は、層間絶縁膜15に形成されたコンタクトホールを介してドレイン電極16dに接続されている。
画素Pは、TFT16及び画素電極17等により形成されている。
【0017】
全てを図示しないが、層間絶縁膜15上に、複数の柱状スペーサ50が所定の密度で形成されている。柱状スペーサ50は、層間絶縁膜15に重ねられ、画素電極17から外れて位置している。この実施の形態において、柱状スペーサ50は画素電極17から完全に外れて位置し、さらには画素領域R2からも完全に外れて位置している。柱状スペーサ50は透明樹脂で形成されている。柱状スペーサ50は四角柱である。液晶表示パネル1の平面に沿った方向の柱状スペーサ50の断面は四角形である。
画素電極17に重ねてガラス基板11上には配向膜18が形成されている。
【0018】
図1乃至図4及び図6に示すように、対向基板20は、透明な絶縁基板としてガラス基板21を有している。表示領域R1において、ガラス基板21上には、走査線13及び信号線14に重なった遮光層31が形成されている。遮光層31はマトリクス状の複数の開口部32を形成している。
【0019】
表示領域R1の外側において、ガラス基板21上には、遮光層として矩形枠状の周辺遮光層33が形成されている。この周辺遮光層33は、表示領域R1の外縁の全周に亘って形成され、表示領域R1の外側と、ベゼル3の内側との間から漏れる光の遮光に寄与している。
【0020】
ガラス基板21、遮光層31及び周辺遮光層33上には、有機材料で形成された絶縁層として、複数の赤色の着色層40R、複数の緑色の着色層40G及び複数の青色の着色層40Bが配設されている。これらの着色層40R、40G、40Bは互いに隣接し、交互に並んで配設され、カラーフィルタ40を形成している。カラーフィルタ40の厚みは1乃至4μm程度である。これらの着色層40R、40G、40Bの周縁部は遮光層31に重なっている。
【0021】
着色層40R、40G、40B上には、ITO等の透明な導電膜により共通電極22が形成されている。共通電極22は、複数の貫通孔22aを含んでいる。この実施の形態において、貫通孔22aは柱状スペーサ50に重なっている。貫通孔22aは矩形状に形成されている。貫通孔22aは、柱状スペーサ50を囲んでいる。このため、共通電極22は、柱状スペーサ50から完全に外れている。
共通電極22が形成されたガラス基板21上に、配向膜23が形成されている。
【0022】
アレイ基板10及び対向基板20は、柱状スペーサ50により所定の隙間を置いて対向配置されている。アレイ基板10及び対向基板20は、両基板の周縁部に配設された矩形枠状のシール材70により互いに接合されている。
【0023】
液晶層80は、アレイ基板10及び対向基板20間に挟持されている。シール材70の一部に形成された液晶注入口71は封止材72により封止されている。アレイ基板10の外面上には第1偏光板91が配置されている。対向基板20の外面上には第2偏光板92が配置されている。この実施の形態において、第2偏光板92の外面は表示面S1である。
【0024】
図1及び図2に示すように、バックライトユニット2は、アレイ基板10の外面側に配置されている。このバックライトユニット2は、第1偏光板91に対向配置された導光体2aと、この導光体の一側縁に対向配置された光源2b及び反射板2cと、を有している。導光体2aは、第1偏光板91と対向した光放出面S2を有している。
【0025】
ベゼル3は枠状に形成され、表示面S1側であるとともに、表示領域R1の外側に配置されている。ベゼル3は、その内側の周縁が周辺遮光層33と対向した領域を通るよう位置している。
【0026】
次に、上記液晶表示装置の一層詳しい構成を、その製造方法と併せて説明する。
図1乃至図6に示すように、まず、用意したガラス基板11上に、成膜及びパターニングを繰り返す等、通常の製造工程により、ゲート絶縁膜12、走査線13、信号線14、層間絶縁膜15、TFT16及び画素電極17等を形成する。層間絶縁膜15を形成する際、有機樹脂を用いて形成する。画素電極17を形成する際、ITOを用いて形成する。
【0027】
次いで、スピンナを用い、例えば感光性の透明樹脂をガラス基板11上全面に塗布する。続いて、透明樹脂を乾燥させる。次いで、所定のフォトマスクを用い、透明樹脂にパターニングを露光する。ここで用いたフォトマスクは、柱状スペーサ50を形成するためのパターンを有している。
【0028】
次に、露光された透明樹脂を現像した後、焼成し硬化させる。これにより、複数の柱状スペーサ50が形成される。柱状スペーサ50は、画素電極17(画素領域R2)から外れた位置に形成される。
その後、表示領域R1を含むガラス基板11上に、配向膜材料を塗布することにより配向膜18を形成する。この実施の形態において、配向膜18は垂直配向膜である。
【0029】
一方、対向基板20の製造方法においては、まず、ガラス基板21を用意する。次いで、ガラス基板21上に、遮光層31及び周辺遮光層33を形成する。続いて、ガラス基板21、遮光層31及び周辺遮光層33上に、例えばフォトエッチング法を用いて着色層40Rを形成する。その後、着色層40Rと同様、例えばフォトエッチング法を用いて着色層40G及び着色層40Bを形成する。
【0030】
続いて、着色層40R、40G、40Bに重ねて共通電極22を形成する。共通電極22を形成する際、ガラス基板21上にITOを塗布してITO膜を成膜した後、フォトリソグラフィ法を用い、柱状スペーサ50と対向させる領域のITO膜を除去する。これにより、複数の貫通孔22aを含んだ共通電極22が形成される。
次に、表示領域R1を含むガラス基板21上に配向膜材料を塗布することにより配向膜23を形成する。この実施の形態において、配向膜23は垂直配向膜である。
【0031】
次いで、対向基板20の周縁に沿って、例えば紫外線硬化樹脂を塗布する。続いて、配向膜18及び配向膜23が対向するよう、アレイ基板10及び対向基板20を複数の柱状スペーサ50により所定の隙間を保持して対向配置し、アレイ基板及び対向基板の周縁部同士を紫外線硬化樹脂により貼り合せる。その後、紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して硬化させる。これにより、アレイ基板10及び対向基板20を固定するシール材70が形成される。
【0032】
その後、貼り合せたアレイ基板10及び対向基板20を、図示しない真空チャンバ内に搬入する。そして、真空中で、アレイ基板10、対向基板20及びシール材70で囲まれた領域内に、液晶注入口71から液晶を注入する。続いて、液晶注入口71を、例えば紫外線硬化型樹脂からなる封止材72により封止する。その後、液晶が注入された液晶パネルを真空チャンバ内から外部に搬出する。
【0033】
次いで、アレイ基板10の外面に第1偏光板91を対向基板20の外面に第2偏光板92をそれぞれ配置する。これにより、VAモードの液晶表示パネル1が形成される。そして、液晶表示パネル1にバックライトユニット2及びベゼル3等を取付けることによりモジュールに組立てられる。これにより、液晶表示装置が完成する。
【0034】
上記のように構成された液晶表示装置によれば、柱状スペーサ50は、画素電極17及び共通電極22から外れて位置している。このため、対向基板20側において、共通電極22に複数の貫通孔22aを設け、柱状スペーサ50を貫通孔22aに重ねている。これにより、柱状スペーサ50を弾力性に欠ける画素電極17及び共通電極22から外れた位置に形成することができる。また、貫通孔22aを画素電極17及び共通電極22から外れた位置に形成しているため、表示にも影響を及ぼさない。
【0035】
アレイ基板10側において、柱状スペーサ50は、有機樹脂で形成された層間絶縁膜15上に形成されている。対向基板20側において、柱状スペーサ50は、有機材料で形成された着色層40R、40G、40B(カラーフィルタ40)に重なっている。液晶表示パネル1の平面に垂直な方向において、層間絶縁膜15及びカラーフィルタ40間の部材は、順番に、層間絶縁膜15、柱状スペーサ50、配向膜18、配向膜23及びカラーフィルタ40である。
【0036】
層間絶縁膜15及びカラーフィルタ40は、柱状スペーサ50と同様、弾力に富んでいる。このため、低温時等に外部から加わる衝撃を、柱状スペーサ50を含む液晶表示パネル1全体で吸収することが可能となる。体積変化への追従を十分に行うことができるため、アレイ基板10及び対向基板20間での気泡(空隙部)の発生を抑制することができる。これにより、外部から衝撃が加わった場合であっても、良好な画像を表示することができる。
【0037】
対向基板20側にカラーフィルタ40を設けているため、従来の製造工程及び部材を増大させることなく、外部から加わる衝撃を、アレイ基板10側及び対向基板20側で吸収することができる。
上記したことから、表示品位に優れた液晶表示装置を得ることができる。
【0038】
次に、この発明の他の実施の形態に係る液晶表示装置について詳細に説明する。この実施の形態において、他の構成は上述した実施の形態と同一であり、同一の部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0039】
図示しないが、液晶表示装置は、上述した液晶表示パネル1、バックライトユニット2及びベゼル3を有している。図7に示すように、液晶表示パネル1は、アレイ基板10、対向基板20、カラーフィルタ40、柱状スペーサ50及び液晶層80を有している。図示しないが、液晶表示パネル1は、上述したシール材70、第1偏光板91及び第2偏光板92も有している。液晶表示パネル1の画素ピッチは30.0μmである。
【0040】
図7及び図8に示すように、対向基板20において、ガラス基板21上には、遮光層31及び図示しない周辺遮光層33が形成されている。遮光層31は、延出してストライプ状又は格子状に形成されている。この実施の形態において、遮光層31は格子状に形成されている。
【0041】
遮光層31は、重畳部31aと、非重畳部31bとを有している。重畳部31aは、柱状スペーサ50に重なっている。非重畳部31bは、柱状スペーサ50から外れている。重畳部31a及び非重畳部31bは、第2方向d2に並んでいる。重畳部31aの幅w1は、非重畳部31bの幅w2より大きい。着色層40R、40G、40Bの周縁部は遮光層31に重なっている。カラーフィルタ40には、重畳部31aと重なった部分に切欠き部40aが形成されている。切欠き部40aは矩形状であり、第1方向d1の長さが6μm、第2方向d2の長さが12μmである。遮光層31の重畳部31aにおいて、この切欠き部40aは、カラーフィルタ40に覆われていない部分である。すなわち、重畳部31aはカラーフィルタ40が遮光層31に乗り上げて重なっている部分と、カラーフィルタ40が無く遮光層31が露出している部分である切欠き部40aから成っている。一方、遮光層31の重畳部31bは、カラーフィルタ層によって全体を覆われている。
【0042】
遮光層31及び着色層40R、40G、40B上には、透明な導電材料によりアンダーコート膜25が形成されている。アンダーコート膜25は、対向基板20の平坦化を図るためのものであり、液晶層80を保護するためのものでもある。
【0043】
共通電極22は、アンダーコート膜25上に形成されている。共通電極22は、複数の貫通孔22aを含んでいる。この実施の形態において、貫通孔22aは柱状スペーサ50に重なっている。貫通孔22aはストライプ状に形成され、第1方向d1に延出している。貫通孔22aの第2方向d2の幅は12μmである。共通電極22は、柱状スペーサ50から完全に外れている。配向膜23は、共通電極22が形成されたガラス基板21上に形成されている。
【0044】
柱状スペーサ50は、アレイ基板10に形成されている。柱状スペーサ50は、画素電極17から外れて位置している。柱状スペーサ50は、貫通孔22a、重畳部31a及び切欠き部40aに重なる位置に設けられている。また、台座となる重畳部31aの切欠き部40aは、カラーフィルタ40が遮光層31上に無く遮光層31が露出している部分であるためアンダーコート膜25により十分に平坦化されている。すなわち、遮光層31の切欠き部40aの部分においては、アレイ基板10と対向基板20の間隔が均一であり、柱状スペーサ50は、アレイ基板10と対向基板20との間隔が均一な個所に設けられている。
【0045】
液晶層80は、誘電率異方性が負の液晶材料を含んでいる。
【0046】
上記のように構成された液晶表示装置によれば、柱状スペーサ50は、画素電極17及び共通電極22から外れて位置している。このため、対向基板20側において、共通電極22に複数の貫通孔22aを設け、柱状スペーサ50を貫通孔22aに重なった箇所に設ける。これにより、柱状スペーサ50を弾力性に欠ける画素電極17及び共通電極22から外れた位置に形成することができる。また、貫通孔22aを画素電極17及び共通電極22から外れた位置に形成しているため、表示にも影響を及ぼさない。また、画素電極17及び共通電極22の破壊を防止することができるため、これら電極の欠片により生じる輝点となる不良を防止することができる。
【0047】
柱状スペーサ50は、重畳部31a及び切欠き部40aに重ねられ、カラーフィルタ40から外れて位置している。重畳部31aに重なった対向基板20は、高さが均一であるため、柱状スペーサ50の先端部を対向基板20に良好に接触させることができる。このため、荷重に対する柱状スペーサ50の弾力性を最大限に発揮することができる。
【0048】
これにより、外部からの衝撃に対して柱状スペーサ50の形状が柔軟に追従する。また、アレイ基板10及び対向基板20の隙間を一定に保持することができ、局所的なギャップ不良による表示不良を防止することが可能となる。また、光学特性である透過率の低下や、白表示の際の黄変や表示ムラの発生を抑制することができる。
【0049】
対向基板20側の凹凸のばらつきが小さい箇所に柱状スペーサ50を設けることにより、ロット毎でのセルギャップのばらつきを小さくすることができる。このため、液晶滴下注入法を用いた場合、滴下マージンの幅を広くすることができる。以上のことから、製品歩留まりの高い液晶表示装置が得られる。
【0050】
なお、切欠き部40aを形成せずにカラーフィルタ40を形成した場合、着色層の周縁部同士が互いに重なり、対向基板20の凹凸の度合いが大きく異なることになる場合がある。このような場合には、対向基板20に対する柱状スペーサ50の接触にばらつきが生じ、常に対向基板に接触している柱状スペーサと、対向基板に接触していない柱状スペーサとが発生することになる。また、この場合、上記アンダーコート膜25を形成しても、アンダーコート膜25によって十分に平坦化ができず、対向基板20の凹凸の度合いが大きく異なることに変わりはない。
【0051】
また、12μmの幅の貫通孔22aを共通電極22に形成したことにより、液晶分子の配向状態か保たれ、視角特性の良い表示をすることが可能である。このため、共通電極22の貫通孔22aは、液晶層80の液晶分子の傾く方向を制御している。
【0052】
なお、貫通孔22aの形状はストライプ状に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、図9に示すように。貫通孔22aは矩形状であっても良い。この場合でも、共通電極22の貫通孔22aは、液晶層80の液晶分子の傾く方向を制御している。また、図10に示すように、貫通孔22aは六角形であっても良い。この場合でも、共通電極22の貫通孔22aは、液晶層80の液晶分子の傾く方向を制御している。特に、この場合の貫通孔22aは、MVA(Multi-domain Vertically Aligned)モードの液晶表示装置に好適である。
上記したことから、表示品位に優れた液晶表示装置を得ることができる。
【0053】
なお、この発明は上記実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化可能である。また、上記実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0054】
例えば、柱状スペーサ50及び貫通孔22aの形状は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。柱状スペーサ50は、アレイ基板10及び対向基板20の何れか一方に形成されていれば良い。柱状スペーサ50は、画素電極17から完全に外れて位置している必要はなく、一部、画素電極17に重なって位置していても良い。柱状スペーサ50は、貫通孔22aに完全に重なっている必要はなく、一部、共通電極22に重なって位置していても良い。
【0055】
図示しないが、カラーフィルタ40をアレイ基板10側に設けた場合、対向基板20は、共通電極22に対してアレイ基板10の反対側に位置し、共通電極22に積層され、有機材料で形成された絶縁層を有していても良い。そして、この絶縁層に柱状スペーサを重ねても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】この発明の実施の形態に係る液晶表示装置を示す斜視図。
【図2】図1に示した液晶表示装置を示す概略断面図。
【図3】図1及び図2に示したアレイ基板の配線構造を示す平面図。
【図4】図3の線A−Aに沿った液晶表示パネルを示す断面図。
【図5】図1乃至図4に示したアレイ基板の拡大平面図であり、特に、画素電極、画素領域及び柱状スペーサを示す図。
【図6】図1、図2及び図4に示した対向基板の拡大平面図であり、特に、共通電極、貫通孔、画素領域及び柱状スペーサを示す図。
【図7】この発明の他の実施の形態に係る液晶表示装置の液晶表示パネルを概略的に示す断面図。
【図8】図7に示した対向基板の拡大平面図であり、特に、共通電極、貫通孔、着色層及び遮光層31を共通電極側から見た図。
【図9】この発明の他の実施の形態に係る液晶表示装置の対向基板の拡大平面図であり、特に、図8に示した貫通孔の変形例を示す図。
【図10】この発明の他の実施の形態に係る液晶表示装置の対向基板の拡大平面図であり、特に、図8に示した貫通孔の他の変形例を示す図。
【符号の説明】
【0057】
1…液晶表示パネル、2…バックライトユニット、10…アレイ基板、11…ガラス基板、12…ゲート絶縁膜、13…走査線、14…信号線、15…層間絶縁膜、16…TFT、17…画素電極、18…配向膜、20…対向基板、21…ガラス基板、22…共通電極、22a…貫通孔、23…配向膜、30…対向基板、31…遮光層、31a…重畳部、40…カラーフィルタ、40a…切欠き部、40R,40G,40B…着色層、50…柱状スペーサ、80…液晶層、R1…表示領域、R2…画素領域、w1,w2…幅。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査線と、前記走査線に交差して設けられた信号線と、前記走査線及び信号線に電気的に接続されたスイッチング素子と、前記走査線、信号線及びスイッチング素子上に形成されているとともに前記スイッチング素子に電気的に接続された画素電極と、を有したアレイ基板と、
貫通孔を含む共通電極を有し、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に形成され、前記画素電極から外れて位置し、前記貫通孔に重ねられ、前記アレイ基板及び対向基板間の隙間を保持する柱状スペーサと、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層と、を備えている液晶表示パネル。
【請求項2】
前記アレイ基板は、前記走査線、信号線及びスイッチング素子上に形成され、前記画素電極の下層に位置し、有機材料で形成された絶縁膜を有し、
前記柱状スペーサは、前記絶縁膜に重なっている請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
前記対向基板は、前記共通電極に対して前記アレイ基板の反対側に位置し、前記共通電極に積層され、有機材料で形成された絶縁層を有し、
前記柱状スペーサは、前記絶縁層に重なっている請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
前記絶縁層は、カラーフィルタである請求項3に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
走査線と、前記走査線に交差して設けられた信号線と、前記走査線及び信号線に電気的に接続されたスイッチング素子と、前記走査線、信号線及びスイッチング素子上に形成されているとともに前記スイッチング素子に電気的に接続された画素電極と、を有したアレイ基板と、
貫通孔を含む共通電極を有し、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に設けられた遮光部と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に設けられ、複数色の着色層を有し、前記遮光部に重なった切欠き部が形成されたカラーフィルタと、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に形成され、前記画素電極から外れて位置し、前記貫通孔、遮光部及び切欠き部に重ねられ、前記アレイ基板及び対向基板間の隙間を保持する柱状スペーサと、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持された液晶層と、を備えている液晶表示パネル。
【請求項6】
走査線と、前記走査線に交差して設けられた信号線と、前記走査線及び信号線に電気的に接続されたスイッチング素子と、前記走査線、信号線及びスイッチング素子上に形成されているとともに前記スイッチング素子に電気的に接続された画素電極と、を有したアレイ基板と、
貫通孔を含む共通電極を有し、前記アレイ基板に隙間を置いて対向配置された対向基板と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に設けられた遮光部と、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に設けられ、複数色の着色層を有し、前記遮光部に重なった切欠き部が形成されたカラーフィルタと、
前記アレイ基板及び対向基板の何れか一方に形成され、前記画素電極から外れて位置し、前記貫通孔、遮光部及び切欠き部に重ねられ、前記アレイ基板及び対向基板間の隙間を保持する柱状スペーサと、
前記アレイ基板及び対向基板間に挟持され、誘電率異方性が負の液晶材料を含んだ液晶層と、を備え、
前記共通電極の貫通孔は、前記液晶層の液晶分子の傾く方向を制御する液晶表示パネル。
【請求項7】
前記遮光部及びカラーフィルタは、前記対向基板に設けられ、前記共通電極に対して前記アレイ基板の反対側に位置し、
前記柱状スペーサは、前記アレイ基板に形成されている請求項5又は6に記載の液晶表示パネル。
【請求項8】
前記遮光部は、延出してストライプ状又は格子状に形成され、前記柱状スペーサに重なった重畳部と、前記柱状スペーサから外れた非重畳部と、を有し、
前記重畳部の幅は、前記非重畳部の幅より大きい請求項5又は6に記載の液晶表示パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−122644(P2009−122644A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218473(P2008−218473)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】