説明

液晶表示素子の製造方法および液晶表示素子の製造システム

【課題】液晶パネル面と偏光フィルムとの間に異物が混入することを抑制する、液晶表示素子の製造方法および液晶表示素子の製造システムを提供する。
【解決手段】連続ロールからキャリアフィルムを搬送し、当該キャリアフィルムから剥離されつつある当該光学フィルムまたは剥離された当該光学フィルムを前記粘着剤を介して液晶パネルの第1パネル面および第2パネル面に貼り付けて液晶表示素子を得る液晶表示素子の製造方法であって、第1パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第1光学フィルムを貼り付ける第1貼付工程と、液晶パネルを回転する回転工程と、前記第1光学フィルムに、フィルム幅方向と直交する方向に透過軸を有する第2光学フィルムを貼り付ける第2貼付工程と、前記液晶パネルの前記第2パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第3光学フィルムを貼り付ける第3貼付工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤を含む所定のフィルム幅の光学フィルムが積層された長尺のキャリアフィルムを巻回してなる連続ロールから当該キャリアフィルムを搬送し、当該キャリアフィルムから剥離されつつある当該光学フィルムまたは剥離された当該光学フィルムを前記粘着剤を介して液晶パネルの第1パネル面および第2パネル面に貼り付けて液晶表示素子を得る液晶表示素子の製造方法およびその液晶表示素子の製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
偏光フィルムが積層された長尺のキャリアフィルムの連続ロールから、キャリアフィルムを繰り出し、キャリアフィルムから偏光フィルムを剥離して液晶パネルの第1パネル面と第2パネル面にそれぞれ貼り付けて液晶表示素子を得ることが知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、液晶パネルの第1パネル面に第1偏光フィルムを貼り付け、この第1偏光フィルムの上にさらに光学部材(例えば光学補償フィルム)を貼り付け、次いで液晶パネルを回転させた後に第2パネル面に第2偏光フィルムを貼り付けることが知られている(特許文献2)。
【0004】
上記の特許文献1および2において、液晶表示素子を形成するために、第1パネル面に貼り付けられる第1偏光フィルムの吸収軸(または透過軸)と第2パネル面に貼り付けられる第2偏光フィルムの吸収軸(または透過軸)とがクロスニコルの関係になることが必要である。第1偏光フィルムおよび第2偏光フィルムがそれぞれ、その長手方向に吸収軸(フィルム幅方向に透過軸)を有している場合、第1偏光フィルムおよび第2偏光フィルムがそれぞれ巻かれた連続ロールの繰り出し方向が平行であれば、第1パネル面に第1偏光フィルムを貼り付けた後、液晶パネルを90°回転させ、次いで第2パネル面に第2偏光フィルムを貼り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−37417号公報
【特許文献2】特開2009−271516号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液晶パネルを回転させた際に、回転のせいで埃、塵が発生したり、舞ったりして、第2パネル面と第2偏光フィルムとの間にそれらが異物として挟まることが懸念される。
【0007】
そこで、回転動作後、所定時間経過させてから第2偏光フィルムを第2パネル面に貼り付けることが考えられるが、この場合には生産性が極めて悪くなる。また、回転装置と貼付装置との間の搬送ラインを長くすることが考えられるが、この場合には、搬送ラインを長くすることによる設置コストや設置面積が長大化する。
【0008】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、液晶パネルを回転した後に第1パネル面に貼り付けられた第1光学フィルム上に第2光学フィルムを貼り付けるようにして、液晶パネルの回転直後に光学フィルムを液晶パネル面に貼り付ける貼付処理を行わないようにすることで、液晶パネル面と偏光フィルムとの間に異物が混入することを抑制する、液晶表示素子の製造方法および液晶表示素子の製造システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、粘着剤を含む所定のフィルム幅の光学フィルムが積層された長尺のキャリアフィルムを巻回してなる連続ロールから当該キャリアフィルムを搬送し、当該キャリアフィルムから剥離されつつある当該光学フィルムまたは剥離された当該光学フィルムを前記粘着剤を介して液晶パネルの第1パネル面および第2パネル面に貼り付けて液晶表示素子を得る液晶表示素子の製造方法であって、
前記液晶パネルの前記第1パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第1光学フィルムを貼り付ける第1貼付工程と、
前記第1光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルを回転する回転工程と、
前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに、フィルム幅方向と直交する方向に透過軸を有する第2光学フィルムを貼り付ける第2貼付工程と、
前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルの前記第2パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第3光学フィルムを貼り付ける第3貼付工程と、を含む。
【0010】
この構成によって、液晶パネル面と偏光フィルムとの間に異物が混入することを抑制できる。なお、回転後に第1光学フィルム上に第2光学フィルムを貼り付けるため、第1光学フィルムと第2光学フィルムとの間に異物が挟まる場合もありうるが、第1光学フィルムと第3光学フィルムのクロスニコルの関係が維持されるため、仮に異物が挟まったとしても外観品質上問題にならない。
【0011】
上記発明の一実施形態において、前記第1貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面に前記第1光学フィルムを貼り付け、
前記第2貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに前記第2光学フィルムを貼り付け、
前記第3貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触していない側の前記第2パネル面に前記第3光学フィルムを貼り付ける。
【0012】
この構成によって、液晶パネルを搬送するための搬送手段(例えば、搬送ローラ)と液晶パネルの第1パネル面との接触時間を短くして第1パネル面の帯電を抑制でき、液晶パネルの回転で浮遊した埃や塵が第1パネル面に引き寄せられる現象を抑制できる。
【0013】
上記発明の一実施形態において、前記第2貼付工程と前記第3貼付工程の間に、前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルを反転させる反転工程をさらに含み、
前記第1貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面に前記第1光学フィルムを貼り付け、
前記第2貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに前記第2光学フィルムを貼り付け、
前記第3貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第2パネル面に前記第3光学フィルムを貼り付ける。
【0014】
この構成では、反転工程で第2パネル面を搬送手段に向かせてから第3光学フィルムを第2パネル面に貼り付けている。反転工程前において、第2パネル面は搬送手段と接触していないため第2パネル面は帯電していない。そのため、反転によって埃や塵が浮遊したとしても、反転直後に床側に向いた状態の第2パネル面に埃や塵が引き寄せられる現象を抑制できる。
【0015】
また、他の本発明は、粘着剤を含む所定のフィルム幅の光学フィルムが積層された長尺のキャリアフィルムを巻回してなる連続ロールから当該キャリアフィルムを搬送し、当該キャリアフィルムから剥離されつつある当該光学フィルムまたは剥離された当該光学フィルムを前記粘着剤を介して液晶パネルの第1パネル面および第2パネル面に貼り付ける複数の貼付部を有する液晶表示素子の製造システムであって、
前記液晶パネルの前記第1パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第1光学フィルムを貼り付ける第1貼付部と、
前記第1光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルを回転する回転部と、
前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに、フィルム幅方向と直交する方向に透過軸を有する第2光学フィルムを貼り付ける第2貼付部と、
前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルの前記第2パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第3光学フィルムを貼り付ける第3貼付部と、を有する。
【0016】
この構成によって、液晶パネル面と偏光フィルムとの間に異物が混入することを抑制できる。なお、回転後に第1光学フィルム上に第2光学フィルムを貼り付けるため、第1光学フィルムと第2光学フィルムとの間に異物が挟まる場合もありうるが、第1光学フィルムと第3光学フィルムのクロスニコルの関係が維持されるため、仮に異物が挟まったとしても外観品質上問題にならない。
【0017】
上記発明の一実施形態において、前記第1貼付部は、前記第1光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第1光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面に前記第1光学フィルムを貼り付け、
前記第2貼付部は、前記第2光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第2光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに前記第2光学フィルムを貼り付け、
前記第3貼付部は、前記第3光学フィルムを前記第2パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第3光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触していない側の前記第2パネル面に前記第3光学フィルムを貼り付ける。
【0018】
この構成によって、液晶パネルを搬送するための搬送手段(例えば、搬送ローラ)と液晶パネルの第1パネル面との接触時間を短くして第1パネル面の帯電を抑制でき、液晶パネルの回転で浮遊した埃や塵が第1パネル面に引き寄せられる現象を抑制できる。
【0019】
上記発明の一実施形態において、前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルを反転させる反転部をさらに有し、
前記第1貼付部は、前記第1光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第1光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面に前記第1光学フィルムを貼り付け、
前記第2貼付部は、前記第2光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第2光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに前記第2光学フィルムを貼り付け、
前記第3貼付部は、前記第3光学フィルムを前記第2パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第3光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第2パネル面に前記第3光学フィルムを貼り付ける。
【0020】
この構成では、反転部で第2パネル面を搬送手段に向かせてから第3光学フィルムを第2パネル面に貼り付けている。反転させる前において、第2パネル面は搬送手段と接触していないため第2パネル面は帯電していない。そのため、反転によって埃や塵が浮遊したとしても、反転直後に床側に向いた状態の第2パネル面に埃や塵が引き寄せられる現象を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1の液晶表示素子の製造方法のフローチャート。
【図2】実施形態1の液晶表示素子の製造システムを説明するための図。
【図3】実施形態2の液晶表示素子の製造方法のフローチャート。
【図4】実施形態2の液晶表示素子の製造システムを説明するための図。
【図5】回転部(回転工程)について説明するための図。
【図6】反転部(反転工程)について説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
光学フィルムは、最外層に粘着剤層を含むものであればよく、単層構造でも、多層構造でもよい。光学フィルムは、例えば、プラスチック製フィルムであり、そのフィルム厚みは50〜200μm程度のものが例示される。
【0023】
また、光学フィルムとしては、例えば、偏光子、偏光フィルムが挙げられ、偏光フィルムは、偏光子にその両面または片面に偏光子保護フィルムが積層されている構造である。また、輸送上のキズ等から偏光子または偏光フィルムを保護するための表面保護フィルムが積層される場合もある。また、他の光学フィルムとしては、位相差フィルム、輝度向上フィルム等の光学補償フィルムが例示される。多層構造の光学フィルムとして、偏光子あるいは偏光フィルムに、位相差フィルムおよび/あるいは輝度向上フィルムが積層されていてもよい。なお、以下において、偏光子はその延伸方向が吸収軸となっており、長尺の偏光フィルムの長手方向に吸収軸(あるいは長尺の偏光フィルムの短手方向(フィルム幅方向)に透過軸)を有するものを「MD偏光フィルム」といい、長尺の偏光フィルムの短手方向(フィルム幅方向)に吸収軸を有するものを「TD偏光フィルム」と呼ぶ場合がある。
【0024】
偏光フィルムは、例えば、2色偏光フィルムが挙げられる。2色偏光フィルムは、(A)染色、架橋および延伸処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを乾燥して偏光子を得る工程、(B)該偏光子の片側または両側に保護層(偏光子保護フィルム)を貼り合わせる工程、(C)貼り合わせた後に加熱処理する工程、を含む製造方法により製造される。ポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。
【0025】
輝度向上フィルムは、例えば、反射軸と透過軸を有する多層構造の反射偏光フィルムが挙げられる。反射偏光フィルムは、例えば、2種類の異なる材料のポリマーフィルムA、Bを交互に複数枚積層して延伸することで得られる。延伸方向に材料Aのみの屈折率が増加変化し、複屈折性が発現され、材料AB界面の屈折率差がある延伸方向が反射軸となり、屈折率差の生じない方向(非延伸方向)が透過軸となる。この反射偏光フィルムは、その長手方向に透過軸を有し、その短手方向(フィルム幅方向)に吸収軸を有している。
【0026】
また、光学フィルムの最外層に含まれる粘着剤層の粘着剤は、特に制限されないが、例えば、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられる。キャリアフィルムは、例えばプラスチックフィルム(例えば、ポリエチレンテレフタレート系フィルム、ポリオレフィン系フィルム等)等のフィルムを用いることができる。また、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの適宜なものを用いうる。
【0027】
本実施形態において、光学フィルムがキャリアフィルムに形成されている形態は特に制限されない。例えば、ロール状に巻かれた連続ロールで構成されていてもよい。連続ロールとしては、例えば、(1)キャリアフィルムと当該キャリアフィルム上に形成された粘着剤を含む光学フィルムとを有する光学フィルム積層体をロール状に巻いたものが挙げられる。この場合、液晶表示素子の製造システムは、光学フィルムから光学フィルムのシート片を形成するために、キャリアフィルムを切断せずに残して、当該光学フィルム(粘着剤を含む)を所定の切断間隔に切断(ハーフカット)する切断手段を有する。この切断において、例えば、製造システム内の欠点検査装置の検査結果に基づいて、良品のシート片と、不良品のシート片を区別するように切断が行われてもよい。
【0028】
また、連続ロールとして、例えば、(2)キャリアフィルムと当該キャリアフィルム上に形成された粘着剤を含む光学フィルムのシート片とを有する光学フィルム積層体をロール状に巻いたもの(いわゆる切り目入り光学フィルムの連続ロール)が挙げられる。
【0029】
液晶表示素子は、液晶パネルの片面または両面に少なくとも偏光フィルムのシート片が形成されたものであり、必要に応じて駆動回路が組込まれる。液晶パネルは、例えば、垂直配向(VA)型、面内スイッチング(IPS)型などの任意なタイプのものを用いることができる。図2,3に示す液晶パネルPは、対向配置される一対の基板(背面側Pa、視認側Pb)間に液晶層が封止された構成である。
【0030】
<実施形態1>
(液晶表示素子の製造方法)
液晶表示素子の製造方法は、粘着剤を含む所定のフィルム幅の光学フィルムが積層された長尺のキャリアフィルムを巻回してなる連続ロールから当該キャリアフィルムを搬送し、当該キャリアフィルムから剥離されつつある当該光学フィルムまたは剥離された当該光学フィルムを前記粘着剤を介して液晶パネルの第1パネル面および第2パネル面に貼り付けて液晶表示素子を得る。貼付工程に至るまでの過程で、液晶表示素子の製造方法は、連続ロールからキャリアフィルムを搬送するキャリアフィルム搬送工程と、キャリアフィルムから光学フィルム(例えば、偏光フィルム、輝度向上フィルム)を剥離する剥離工程とを有している。図1は、実施形態1の製造方法のフローチャートを示す図である。
【0031】
(第1貼付工程)
第1キャリアフィルム搬送工程は、連続ロールから第1偏光フィルム積層体(キャリアフィルムに偏光フィルムが積層されている積層フィルム)を繰り出し下流側に搬送する。この搬送途中において、キャリアフィルムを残して第1偏光フィルムをその長手方向と直交するフィルム幅方向に所定の切断間隔で切断し、キャリアフィルム上に第1偏光フィルムのシート片を形成する。なお、連続ロールが上述の切り目入り偏光フィルムの連続ロールであれば、ここでの切断は不要である。剥離工程は、キャリアフィルムを内側にして剥離部の先端部で折り返して当該キャリアフィルムから第1偏光フィルムのシート片を剥離し、第1貼付部の貼付位置に供給する。この時、液晶パネルは、その第1パネル面が搬送部と接触した状態で(床面と対向した状態で)搬送部によって第1貼付部の貼り付け位置に搬送される(搬送工程)。第1貼付工程において、第1貼付部は、前記第1光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第1光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、床面と対向している液晶パネルの第1パネル面(背面)に、フィルム幅方向に透過軸を有する第1偏光フィルムのシート片を貼り付ける(ステップS1)。
【0032】
(回転工程)
次いで、第1偏光フィルムのシート片が貼り付けられた状態の液晶パネルを回転部で90°回転する(回転工程、ステップS2)。
【0033】
(第2貼付工程)
第2キャリアフィルム搬送工程は、連続ロールから反射偏光フィルム積層体(キャリアフィルムに反射偏光フィルムが積層されている積層フィルム)を繰り出し下流側に搬送する。この搬送途中において、キャリアフィルムを残して反射偏光フィルムをその長手方向と直交するフィルム幅方向に所定の切断間隔で切断し、キャリアフィルム上に反射偏光フィルムのシート片を形成する。なお、連続ロールが上述の切り目入り反射偏光フィルムの連続ロールであれば、ここでの切断は不要である。剥離工程は、キャリアフィルムを内側にして剥離部の先端部で折り返して当該キャリアフィルムから反射偏光フィルムのシート片を剥離し、第2貼付部の貼付位置に供給する。この時、液晶パネルは、その第1パネル面(第1偏光フィルムが貼り付けられた状態)が搬送部と接触した状態で(床面と対向した状態で)搬送部によって第2貼付部の貼り付け位置に搬送される(搬送工程)。第2貼付工程において、第2貼付部は、前記第2光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第2光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、床面と対向している液晶パネルの第1パネル面(背面)上の第1偏光フィルムのシート片に、フィルム幅方向に吸収軸を有する反射偏光フィルムのシート片を貼り付ける(ステップS3)。
【0034】
(第3貼付工程)
第3キャリアフィルム搬送工程は、連続ロールから第2偏光フィルム積層体(キャリアフィルムに第2偏光フィルムが積層されている積層フィルム)を繰り出し下流側に搬送する。この搬送途中において、キャリアフィルムを残して第2偏光フィルムをその長手方向と直交するフィルム幅方向に所定の切断間隔で切断し、キャリアフィルム上に第2偏光フィルムのシート片を形成する。なお、連続ロールが上述の切り目入り第2偏光フィルムの連続ロールであれば、ここでの切断は不要である。剥離工程は、キャリアフィルムを内側にして剥離部の先端部で折り返して当該キャリアフィルムから第2偏光フィルムのシート片を剥離し、第3貼付部の貼付位置に供給する。この時、液晶パネルは、その第2パネル面を搬送部と接触していない状態で(天井と対向した状態で)搬送部によって第3貼付部の貼り付け位置に搬送される(搬送工程)。第3貼付工程において、第3貼付部は、前記第3光学フィルムを前記第2パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第3光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、天井と対向している液晶パネルの第2パネル面(視認面)に、フィルム幅方向に透過軸を有する第2偏光フィルムのシート片を貼り付ける(ステップS4)。これによって、第1パネル面の第1偏光フィルムの透過軸(あるいは吸収軸)と第2パネル面の第2偏光フィルムの透過軸(あるいは吸収軸)とは、クロスニコルの関係になる。
【0035】
(液晶表示素子の製造システム)
液晶表示素子の製造システムは、粘着剤を含む所定のフィルム幅の光学フィルムが積層された長尺のキャリアフィルムを巻回してなる連続ロールから当該キャリアフィルムを搬送し、当該キャリアフィルムから剥離されつつある当該光学フィルムまたは剥離された当該光学フィルムを前記粘着剤を介して液晶パネルの第1パネル面および第2パネル面に貼り付ける複数の貼付部を有する。
【0036】
以下に、実施形態1の液晶表示素子の製造システムについて図2を参照しながら説明する。本製造システムは、キャリアフィルム搬送部、剥離部、貼付部を有するシート片積層装置を複数備えている。第1シート片積層装置100は、第1偏光フィルムのシート片を液晶パネルの第1パネル面(背面)にその短辺方向に沿った(平行な)貼付方向で積層する。第2シート片積層装置200は、反射偏光フィルムのシート片を液晶パネルの第1パネル面上の第1偏光フィルムにその長辺方向に沿った(平行な)貼付方向で積層する。第3シート片積層装置300は、第2偏光フィルムのシート片を液晶パネルの第2パネル面(視認面)にその長辺方向に沿った(平行な)貼付方向で積層する。
【0037】
図2に示すように、第1シート片積層装置100は、キャリアフィルム搬送部110と、液晶パネル搬送部90と、剥離部104、第1貼付部106とを有する。また、第2シート片積層装置200は、キャリアフィルム搬送部210と、液晶パネル搬送部90と、剥離部204、第2貼付部206とを有する。また、第3シート片積層装置300は、液晶パネル搬送部90と、キャリアフィルム搬送部310と、剥離部304、第3貼付部306とを有する。本実施形態では、液晶パネル搬送部90は、液晶パネルPの短辺方向とパネル搬送方向が平行になるように、液晶パネルPを搬送する。そして、液晶パネルPの第1パネル面Pa(図2において床面側)にその短辺方向に沿った貼付方向で第1偏光フィルム11のシート片111を貼り付ける。次いで、シート片111を貼り付けた液晶パネルPを回転部で90°回転させる。次いで、液晶パネルPの第1パネル面Pa(図2において床面側)にその長辺方向に沿った貼付方向で反射偏光フィルム21のシート片211を貼り付ける。次いで、液晶パネルPの第2パネル面Pb(視認面)(図2において天井側)にその長辺方向に沿った貼付方向で第2偏光フィルム31のシート片311を貼り付ける。
【0038】
(シート片積層装置)
まず、第1シート片積層装置100について説明する。液晶パネル搬送部90は、第1貼付部106に液晶パネルPを搬送する。本実施形態では、液晶パネル搬送部90は、搬送ローラおよび吸着プレート等を有して構成される。搬送ローラを回転させることで、あるいは吸着プレートを移送させることで、液晶パネルPを製造ライン下流側へ搬送する。
【0039】
キャリアフィルム搬送部110は、連続ロール1から粘着剤を含む長尺の第1偏光フィルム11(フィルム部11aおよび粘着剤層11b)が積層された長尺のキャリアフィルム12を有する長尺の第1偏光フィルム積層体10を繰り出し、キャリアフィルム12を残して第1偏光フィルム11を所定の切断間隔で切断して第1偏光フィルム11のシート片111をキャリアフィルム12上に形成する。第1偏光フィルム11は、そのフィルム幅方向に透過軸を有している。キャリアフィルム搬送部110は、切断部101、搬送ローラ114、ダンサーロール113、巻取部115を有する。なお、図2は概略図であって、搬送ローラ114の個数、設置位置は、これに制限されない。
【0040】
切断部101は、吸着部102でキャリアフィルム12を固定しておいて、キャリアフィルム12を残して第1偏光フィルム11を所定間隔で切断し、キャリアフィルム12上に第1偏光フィルム11のシート片111を形成する。切断部101としては、例えばカッター、レーザ装置などが挙げられる。
【0041】
ダンサーロール113は、キャリアフィルム12の張力を保持する機能を持つ。キャリアフィルム搬送部110は、ダンサーロール113を介してキャリアフィルム12を搬送する。
【0042】
巻取部105は、シート片111が剥離されたキャリアフィルム12を巻き取る。なお、第1貼付部106と巻取部115との間に、不図示のフィードローラ、搬送ローラ等をさらに備えていてもよい。
【0043】
剥離部104は、その先端部でキャリアフィルム12を内側にして折り返し、キャリアフィルム12から第1偏光フィルム11のシート片111(粘着剤を含む)を剥離し、第1貼付部106の貼付位置に送り出す。本実施形態では、剥離部104としては、その先端部に先鋭ナイフエッジ部を用いているが、これに限定されるものではない。
【0044】
第1貼付部106は、液晶パネル搬送部90により搬送された液晶パネルPの第1パネル面Paに、剥離部104で剥離された第1偏光フィルム11のシート片111を粘着剤11bを介して貼り付ける。本実施形態では、第1貼付部106は、第1偏光フィルム11のシート片111を第1パネル面Paに押圧する貼付ローラ106aと、当該貼付ローラ106aに対向して配置される駆動ローラ106b(受けローラに相当する)とを有する。貼付ローラ106aと駆動ローラ106bとの間に第1偏光フィルム11のシート片111と液晶パネルPとを挟持しつつ、貼付ローラ106aと駆動ローラ106bとを搬送方向周りに回転させることで、上記貼付を行う。
【0045】
(回転部)
第1偏光フィルム11のシート片111が貼り付けられた液晶パネルPは、液晶パネル搬送部90で回転部80の回転位置へ搬送される。図5に回転部80およびその動作を示す。回転部80は、液晶パネルPの第2パネル面Pbを吸着する吸着プレート81と、液晶パネルPを吸着した状態の吸着プレート81を上方に持ち上げて、90°水平に回転し、液晶パネル搬送部90に戻す垂直・回転駆動部82とを有する。
【0046】
第2シート片積層装置200は、第1シート片積層装置100と同じ構成要素を備える。キャリアフィルム搬送部210は、連続ロール2から粘着剤を含む長尺の反射偏光フィルム21(フィルム部21aおよび粘着剤層21b)が積層された長尺のキャリアフィルム22を有する長尺の反射偏光フィルム積層体20を繰り出し、キャリアフィルム22を残して反射偏光フィルム21を所定の切断間隔で切断して反射偏光フィルム21のシート片211をキャリアフィルム22上に形成する。反射偏光フィルム21は、そのフィルム幅方向に吸収軸を有している。キャリアフィルム搬送部210は、切断部201、搬送ローラ214、ダンサーロール213、巻取部215を有する。なお、図2は概略図であって、搬送ローラ214の個数、設置位置は、これに制限されない。
【0047】
切断部201は、吸着部202でキャリアフィルム22を固定しておいて、キャリアフィルム22を残して反射偏光フィルム21を所定間隔で切断し、キャリアフィルム22上に反射偏光フィルム21のシート片211を形成する。切断部201としては、例えばカッター、レーザ装置などが挙げられる。
【0048】
ダンサーロール213は、キャリアフィルム22の張力を保持する機能を持つ。キャリアフィルム搬送部210は、ダンサーロール213を介してキャリアフィルム22を搬送する。
【0049】
巻取部205は、シート片211が剥離されたキャリアフィルム22を巻き取る。なお、第2貼付部206と巻取部215との間に、不図示のフィードローラ、搬送ローラ等をさらに備えていてもよい。
【0050】
剥離部204は、その先端部でキャリアフィルム22を内側にして折り返し、キャリアフィルム22から反射偏光フィルム21のシート片211(粘着剤を含む)を剥離し、第2貼付部206の貼付位置に送り出す。本実施形態では、剥離部204としては、その先端部に先鋭ナイフエッジ部を用いているが、これに限定されるものではない。
【0051】
第2貼付部206は、液晶パネル搬送部90により搬送された液晶パネルPの第1パネル面Pa上の第1偏光フィルム11のシート片111に、剥離部204で剥離された反射偏光フィルム21のシート片211を粘着剤21bを介して貼り付ける。本実施形態では、第2貼付部206は、反射偏光フィルム21のシート片211を第1パネル面Paに押圧する貼付ローラ206aと、当該貼付ローラ206aに対向して配置される駆動ローラ206b(受けローラに相当する)とを有する。貼付ローラ206aと駆動ローラ206bとの間に反射偏光フィルム21のシート片211と液晶パネルPとを挟持しつつ、貼付ローラ206aと駆動ローラ206bとを搬送方向周りに回転させることで、上記貼付を行う。反射偏光フィルム21のシート片211が貼り付けられた液晶パネルPは、液晶パネル搬送部90によって、第3貼付部306の貼付位置へ搬送される。
【0052】
第3シート片積層装置300は、第1シート片積層装置100と同じ構成要素を備えキャリアフィルム搬送部310は、連続ロール3から粘着剤を含む長尺の第2偏光フィルム31(フィルム部31aおよび粘着剤層31b)が積層された長尺のキャリアフィルム32を有する長尺の第2偏光フィルム積層体30を繰り出し、キャリアフィルム32を残して第2偏光フィルム31を所定の切断間隔で切断して第2偏光フィルム31のシート片311をキャリアフィルム32上に形成する。第2偏光フィルム31は、そのフィルム幅方向に透過軸を有している。キャリアフィルム搬送部310は、切断部301、搬送ローラ314、ダンサーロール313、巻取部315を有する。なお、図2は概略図であって、搬送ローラ314の個数、設置位置は、これに制限されない。
【0053】
切断部301は、吸着部302でキャリアフィルム32を固定しておいて、キャリアフィルム32を残して第2偏光フィルム31を所定間隔で切断し、キャリアフィルム32上に第2偏光フィルム31のシート片311を形成する。切断部301としては、例えばカッター、レーザ装置などが挙げられる。
【0054】
ダンサーロール313は、キャリアフィルム32の張力を保持する機能を持つ。キャリアフィルム搬送部310は、ダンサーロール313を介してキャリアフィルム32を搬送する。
【0055】
巻取部305は、シート片311が剥離されたキャリアフィルム32を巻き取る。なお、第3貼付部306と巻取部315との間に、不図示のフィードローラ、搬送ローラ等をさらに備えていてもよい。
【0056】
剥離部304は、その先端部でキャリアフィルム32を内側にして折り返し、キャリアフィルム32から第2偏光フィルム31のシート片311(粘着剤を含む)を剥離し、第3貼付部306の貼付位置に送り出す。本実施形態では、剥離部304としては、その先端部に先鋭ナイフエッジ部を用いているが、これに限定されるものではない。
【0057】
第3貼付部306は、液晶パネル搬送部90により搬送された液晶パネルPの第2パネル面Pbに、剥離部304で剥離された第2偏光フィルム31のシート片311を粘着剤31bを介して貼り付ける。本実施形態では、第3貼付部306は、第2偏光フィルム31のシート片311を第2パネル面Pbに押圧する貼付ローラ306aと、当該貼付ローラ306aに対向して配置される駆動ローラ306b(受けローラに相当する)とを有する。貼付ローラ306aと駆動ローラ306bとの間に第2偏光フィルム31のシート片311と液晶パネルPとを挟持しつつ、貼付ローラ306aと駆動ローラ306bとを搬送方向周りに回転させることで、上記貼付を行う。
【0058】
図2に示すように、液晶表示素子LDは、液晶パネルPと、その第1パネル面Paに貼り付けられた第1偏光フィルムのシート片111と、第1偏光フィルムのシート片111に貼り付けられた反射偏光フィルムのシート片211と、その第2パネル面Pbに貼り付けられた第2偏光フィルムのシート片311とを有している。この液晶表示素子LDは、不図示の検査装置に搬送されてもよく、ストッカーへ搬送されてもよい。
【0059】
(制御部)
制御部(不図示)は、上記の各シート片積層装置100、200、300を制御する。また、制御部は、液晶パネル搬送部、回転部80を制御する。上記の各部、各装置の動作タイミングは、例えば、所定の位置にセンサーを配置して検知する方法で算出され、または、搬送部や搬送機構の回転部材をロータリーエンコーダ等で検出するようにして算出される。制御部は、ソフトウエアプログラムとCPU、メモリ等のハードウエア資源との協働作用によって実現されてもよく、この場合プログラムソフトウエア、処理手順、各種設定等はメモリが予め記憶されている。また、制御部は、専用回路やファームウエア等で構成されてもよい。
【0060】
<実施形態2>
(液晶表示素子の製造方法)
実施形態2の液晶表示素子の製造方法は、第2貼付工程と第3貼付工程の間に、反転工程を有する。そして、第1、第2、第3貼付工程はそれぞれ、搬送部と接触している側の床側に面したパネル面に光学フィルムのシート片を貼り付ける。図2に実施形態2の製造方法のフローチャートを示す。実施形態1と同様の工程は簡単に説明しあるいは省略する。第1貼付工程(ステップS31)、回転工程(ステップS32)、第2貼付工程(ステップS33)は、実施形態1と同様である。
【0061】
(反転工程)
第1偏光フィルム、反射偏光フィルムのシート片111、211が第1パネル面Paに貼り付けられた状態の液晶パネルPを、天井を向いている第2パネル面Pbを床面に向けて搬送部に接触させるように反転部で反転する(反転工程、ステップS34)。
【0062】
次いで、第3貼付工程において、第3貼付部は、第2偏光フィルム31のシート片311を第2パネル面Pbに押圧する貼付ローラ306aと、当該貼付ローラ306aに対向して配置される駆動ローラ306b(受けローラに相当する)とを有する。貼付ローラ306aと駆動ローラ306bとの間に第2偏光フィルム31のシート片311と液晶パネルPとを挟持しつつ、貼付ローラ306aと駆動ローラ306bとを搬送方向周りに回転させることで、シート片311を第2パネル面Pbに貼り付ける。このとき、床面と対向している液晶パネルPの第2パネル面(視認面)Pbに、フィルム幅方向に透過軸を有する第2偏光フィルム21のシート片211を貼り付ける(ステップS35)。これによって、第1パネル面の第1偏光フィルムの透過軸(あるいは吸収軸)と第2パネル面の第2偏光フィルムの透過軸(あるいは吸収軸)とは、クロスニコルの関係になる。
【0063】
(液晶表示素子の製造システム)
図4に実施形態2の製造システムの模式図を示す。実施形態1と同様の装置、機構は簡単に説明しあるいは省略する。実施形態2の製造システムにおいて、第1シート片積層装置100、第2シート片積層装置200、反転部80、液晶パネル搬送部90は、実施形態1の対応する各部と同様の機能構成である。第3シート片積層装置300は、第1シート片積層装置100、第2シート片積層装置200と同様の機能構成である。
【0064】
(反転部)
図6に反転部85およびその動作を示す。第1偏光フィルム11のシート片111および反射偏光フィルムのシート片211が貼り付けられた液晶パネルPは、液晶パネル搬送部90で反転部85の反転位置へ搬送される。液晶パネルPは、反転部85の収納部に挿入される。液晶パネルPを収納した状態の反転部85は、図6の紙面上時計周りに回転機構(不図示)によって180°回転する。次いで、液晶パネルPは、液晶パネル搬送部90へ送られて、液晶パネル搬送部90によって、第3貼付部306へ搬送される。液晶パネルPを収納部から液晶パネル搬送部90へ送る機構としては、例えば、エア圧で押し出す機構、吸引で引き出す機構等が挙げられる。また、反転部は、収納部を有して反転する機構に限定されず、例えば、第2パネル面Pbを吸引して反転させる吸引・反転機構で構成することもできる。
【0065】
(別実施形態)
上記実施形態1、2において、第1、第2偏光フィルムは、MD偏光フィルムであったが、これに制限されずTD偏光フィルムであってもよい。また、上記実施形態1では、第1偏光フィルムを液晶パネルの短辺方向に貼り付け、第2偏光フィルムを長辺方向に貼り付けていたが、第1偏光フィルムを液晶パネルの長辺方向に貼り付け、第2偏光フィルムを短辺方向に貼り付けてもよい。
【0066】
また、キャリアフィルム上にシート片を形成のための切断工程の前に、光学フィルム(偏光フィルム、反射偏光フィルム等)の欠点を検査する検査工程(例えば、透過検査)をさらに含み、この検査工程の欠点結果に基づいて、欠点を避けるように切断(スキップカットという)してもよい。また、このスキップカットは、光学フィルムまたはキャリアフィルムに予め付された欠点情報を読み取ることで切断するものでもよい。
【0067】
また、上記実施形態1において、第1、第2貼付工程が床側の第1パネル面に光学フィルムを貼り付け、第3貼付工程が天井側の第2パネル面に光学フィルムを貼り付けるものであったが、これに制限されず、第1、第2貼付工程が天井側の第1(または第2)パネル面に光学フィルムを貼り付け、第3貼付工程が床側の第2(または第1)パネル面に光学フィルムを貼り付けるものでもよい。
【0068】
また、上記実施形態2において、第1、第2、第3貼付工程が床側のパネル面に光学フィルムを貼り付けるものであったが、これに制限されず、第1、第2、第3貼付工程が天井側のパネル面に光学フィルムを貼り付けるものでもよい。
【0069】
また、上記実施形態において、回転部の機構は上記構成に限定されず、例えば、液晶パネルを下から持ち上げて回転させる機構で構成してもよい。
【0070】
<実施例>
実施例1および比較例1は、いずれも反転工程含まないものである。実施例1は、上記実施形態1(図2)の製造システムを用いて、液晶パネル(40インチサイズ)の搬送部と接触して床面を向いている第1パネル面に第1偏光フィルムを貼り付け、90°回転させてから第1偏光フィルムの上に反射偏光フィルムを貼り付け、搬送部と接触していない天井を向いている第2パネル面に第2偏光フィルムを貼り付けた。 比較例1は、搬送部と接触して床面を向いている第1パネル面に第1偏光フィルムを貼り付けた後に90°回転させ、搬送部と接触していない天井を向いている第2パネル面に第2偏光フィルムを貼り付け、次いで、搬送部と接触して床面を向いている第1パネル面上の第1偏光フィルムに反射偏光フィルムを貼り付けた。
【0071】
実施例2と比較例2は、いずれも反転工程を含むものである。実施例2は、上記実施形態2(図4)の製造システムを用いて、液晶パネル(40インチサイズ)の搬送部と接触して床面に向いている第1パネル面に第1偏光フィルムを貼り付け、90°回転させてから第1偏光フィルムの上に反射偏光フィルムを貼り付け、さらに、液晶パネルを反転させ、搬送部と接触させて床面を向いている第2パネル面に第2偏光フィルムを貼り付けた。比較例2は、搬送部と接触して床面を向いている第1パネル面に第1偏光フィルムを貼り付けた後に90°回転させ、次いで、液晶パネルを反転させ、搬送部と接触させて床面を向いている第2パネル面に第2偏光フィルムを貼り付け、次いで、反転させ、搬送部と接触させて床面を向いている第1パネル面上の第1偏光フィルムに反射偏光フィルムを貼り付けた。
【0072】
第1、第2偏光フィルムに、日東電工株式会社製 SEG1423DUを用い、反射偏光フィルムに、3M株式会社製 DBEFを用いた。各実施例、比較例において、液晶パネルの回転によって浮遊した異物が原因で、目視検査で外観不良として判定された枚数を評価した。表1に実施例1および比較例1の評価結果を示し、表2に実施例2および比較例2の評価結果を示す。
【0073】
【表1】

【0074】
【表2】

【0075】
実施例1では、回転工程後に第1偏光フィルムに反射偏光フィルムを貼り付け、その後第2偏光フィルムを第2パネル面に貼り付けているため、外観不良として判定された枚数が1枚であった。一方、比較例1では、回転工程後に第2偏光フィルムを第2パネル面に貼り付け、その後に反射偏光フィルムを第1偏光フィルムに貼り付けている。そのため、その回転の影響で埃、塵が浮遊し、液晶パネルと第2偏光フィルムとの間に異物が挟まり外観不良と判定された枚数が4枚であった。すなわち、実施例1および比較例1の結果から、搬送部と接触する側(床側)のパネル面から先に貼り付けし、搬送部と接触しない側(天井側)のパネル面を後に貼り付ける場合において、第1偏光フィルムの貼り付け後、回転工程を実施し、反射偏光フィルムを貼り付けるようにする実施例1の方がそうでない比較例1よりも良い結果であった。
【0076】
実施例2では、液晶パネルを反転後に、第2パネル面に第2偏光フィルムを貼り付けているため、その反転の影響で埃、塵が浮遊し、液晶パネルと第2偏光フィルムとの間に異物が挟まり外観不良と判定された枚数が5枚であった。一方、比較例2では、回転工程後に液晶パネルを反転させてから、第2偏光フィルムを第2パネル面に貼り付け、その後、さらに液晶パネルを反転させてから反射偏光フィルムを第1偏光フィルムに貼り付けている。そのため、その回転および反転を連続して行った影響で埃、塵が多く、長時間浮遊し、液晶パネルと第2偏光フィルムとの間に異物が挟まり外観不良と判定された枚数が9枚と悪い結果であった。すなわち、実施例2および比較例2の結果から、搬送部と接触する側(床側)のパネル面から先に貼り付けし、搬送部と接触していない側(天井側)のパネル面を反転させた後に貼り付ける場合において、第1偏光フィルムの貼り付け後、回転工程を実施し、反射偏光フィルムを貼り付けるようにする実施例2の方がそうでない比較例2よりも良い結果であった。
【符号の説明】
【0077】
1、2、3 連続ロール
12、22、32 キャリアフィルム
11 長尺の第1偏光フィルム
21 長尺の反射偏光フィルム
31 長尺の第2偏光フィルム
90 液晶パネル搬送部
100、200、300 シート片積層装置
106、206,306 貼付部
111 第1偏光フィルムのシート片
211 反射偏光フィルムのシート片
311 第2偏光フィルムのシート片
P 液晶パネル
LD 液晶表示素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着剤を含む所定のフィルム幅の光学フィルムが積層された長尺のキャリアフィルムを巻回してなる連続ロールから当該キャリアフィルムを搬送し、当該キャリアフィルムから剥離されつつある当該光学フィルムまたは剥離された当該光学フィルムを前記粘着剤を介して液晶パネルの第1パネル面および第2パネル面に貼り付けて液晶表示素子を得る液晶表示素子の製造方法であって、
前記液晶パネルの前記第1パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第1光学フィルムを貼り付ける第1貼付工程と、
前記第1光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルを回転する回転工程と、
前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに、フィルム幅方向と直交する方向に透過軸を有する第2光学フィルムを貼り付ける第2貼付工程と、
前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルの前記第2パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第3光学フィルムを貼り付ける第3貼付工程と、を含む液晶表示素子の製造方法。
【請求項2】
前記第1貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面に前記第1光学フィルムを貼り付け、
前記第2貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに前記第2光学フィルムを貼り付け、
前記第3貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触してない側の前記第2パネル面に前記第3光学フィルムを貼り付ける、請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
【請求項3】
前記第2貼付工程と前記第3貼付工程の間に、前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルを反転させる反転工程をさらに含み、
前記第1貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面に前記第1光学フィルムを貼り付け、
前記第2貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに前記第2光学フィルムを貼り付け、
前記第3貼付工程は、前記液晶パネルを搬送させながら、搬送手段と接触する側の前記第2パネル面に前記第3光学フィルムを貼り付ける、請求項1に記載の液晶表示素子の製造方法。
【請求項4】
粘着剤を含む所定のフィルム幅の光学フィルムが積層された長尺のキャリアフィルムを巻回してなる連続ロールから当該キャリアフィルムを搬送し、当該キャリアフィルムから剥離されつつある当該光学フィルムまたは剥離された当該光学フィルムを前記粘着剤を介して液晶パネルの第1パネル面および第2パネル面に貼り付ける複数の貼付部を有する液晶表示素子の製造システムであって、
前記液晶パネルの前記第1パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第1光学フィルムを貼り付ける第1貼付部と、
前記第1光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルを回転する回転部と、
前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに、フィルム幅方向と直交する方向に透過軸を有する第2光学フィルムを貼り付ける第2貼付部と、
前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルの前記第2パネル面に、フィルム幅方向に透過軸を有する第3光学フィルムを貼り付ける第3貼付部と、を有する液晶表示素子の製造システム。
【請求項5】
前記第1貼付部は、前記第1光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第1光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面に前記第1光学フィルムを貼り付け、
前記第2貼付部は、前記第2光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第2光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに前記第2光学フィルムを貼り付け、
前記第3貼付部は、前記第3光学フィルムを前記第2パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第3光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触していない側の前記第2パネル面に前記第3光学フィルムを貼り付ける、請求項4に記載の液晶表示素子の製造システム。
【請求項6】
前記第1光学フィルムおよび前記第2光学フィルムが前記第1パネル面に貼り付けられた状態の前記液晶パネルを反転させる反転部をさらに有し、
前記第1貼付部は、前記第1光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第1光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面に前記第1光学フィルムを貼り付け、
前記第2貼付部は、前記第2光学フィルムを前記第1パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第2光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第1パネル面上の前記第1光学フィルムに前記第2光学フィルムを貼り付け、
前記第3貼付部は、前記第3光学フィルムを前記第2パネル面に押圧する貼付ローラと、当該貼付ローラに対向して配置される受けローラとを有し、当該貼付ローラと受けローラとの間に当該第3光学フィルムと前記液晶パネルとを挟持しつつ搬送しながら、搬送手段と接触する側の前記第2パネル面に前記第3光学フィルムを貼り付ける、請求項4に記載の液晶表示素子の製造システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−37221(P2013−37221A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173832(P2011−173832)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】