説明

液晶表示素子の連続製造方法及び装置

【課題】 液晶表示パネルの連続製造における、キャリアフィルムから剥離された不良シートを再度キャリアフィルムに貼り付けて排出するようにした、方法および装置を提供する。
【解決手段】 液晶表示素子の連続製造工程において、帯状フィルム積層体に含まれるキャリアフィルムから剥離された正常シートのみを矩形パネルとの貼合位置に送る一方、同じくキャリアフィルムから剥離された不良シートを回収されるキャリアフィルムに再度貼り付け、キャリアフィルムと一体に排出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示パネルを連続的に製造する方法および装置に関する。より詳しくは、粘着層を含む偏光フィルムと粘着層に剥離自在に積層されたキャリアフィルムとを含む帯状フィルム積層体の、キャリアフィルム上に形成された粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含まない正常シートと欠点を含む不良シートとからなる偏光フィルムシートを、帯状フィルム積層体と一体に送り、帯状フィルム積層体の搬送経路に配設された剥離手段を介してキャリアフィルムを鋭角に屈曲させることによって、キャリアフィルムから順次剥離し、そのことにより、剥離された偏光フィルムシートが正常シートのときに、貼合駆動手段を作動させることによって、正常シートを矩形パネルとの貼合位置に送り、矩形パネルに連続的に貼り合せる一方、剥離された偏光フィルムシートが不良シートのときには、不良シート経路構成駆動手段を作動させることによって、不良シートをキャリアフィルムの回収経路に連続するように構成された不良シートの排出経路を経由させ、回収されるキャリアフィルムとの再貼付位置に送り、キャリアフィルムに再び貼り付けて排出するようにした液晶表示パネルを連続製造する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯状フィルム積層体に含まれるキャリアフィルム上に形成された粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含まない正常シートを矩形パネルとの貼合位置に送り、矩形パネルに連続的に貼り合せ、同じく粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含む不良シートを矩形パネルとの貼合位置に至る前に、不良シート排出経路を経由させ、排出するようにした液晶表示パネルを連続製造する方法および装置は、特許文献1および2に開示されている。
【0003】
特許文献1には、以下の点が開示されている。図10を参照されたい。まず、液晶表示素子のための粘着層を含む偏光フィルムYと、偏光フィルムYの粘着層に剥離自在に積層されたキャリアフィルムZとを含む帯状フィルム積層体2を供給する帯状フィルム供給装置100において、帯状フィルム積層体2のロール101がフィルム繰出装置1に装着され、判定ステーションAの情報読取装置3によって、帯状フィルム積層体2の供給量が算出されるとともに事前検査による偏光フィルムYの欠点位置が読み取られる。次に、切断ステーションBにおいて、供給される帯状フィルム積層体2のキャリアフィルムZ上に、読み取られた偏光フィルムYの欠点位置情報に基づき欠点を含まない正常シートXαと欠点を含む不良シートXβとからなる偏光フィルムシートXが形成される。最終工程の貼合ステーションDにおいて、形成された偏光フィルムシートXのうち、正常シートXαと判定された偏光フィルムシートがキャリアフィルムZから剥離され、正常シートXαの送りに同期して送られた矩形パネルWに連続的に貼り合される。さらに、最終工程に至る前に、排除ステーションCにおいて、形成された偏光フィルムシートXのうち、不良シートXβと判定された偏光フィルムシートがキャリアフィルムZから剥離され、不良シート排出経路193を経由して、帯状フィルム積層体2から排除される。このようにして、液晶表示素子が連続的に製造される。
【0004】
特許文献2には、以下の点が開示されている。図11を参照されたい。まず、液晶表示素子のための粘着層を含む偏光フィルムYに内在する、事前検査によって検出された欠点位置情報に基づき、欠点を含まない正常シートXαと欠点を含む不良シートXβとからなる偏光フィルムシートXがキャリアフィルムZ上に、予め形成された切込線入り帯状フィルム積層体2´を供給する帯状フィルム供給装置100´において、帯状フィルム積層体2´のロール101´がフィルム繰出装置1´に装着され、帯状フィルム積層体2´の送り方向にみて下流側と上流側の幅方向の切込線によって予め形成されている偏光フィルムシートXを含む帯状フィルム積層体2´が供給される。そのため、この帯状フィルム供給装置100´は、図10の切断ステーションBに相当するステーションを必要としない。図10の情報読取装置3に代わる、偏光フィルムシートXが正常シートXαまたは不良シートXβのいずれであるかを判定する判定装置3´を含む判定ステーションA´が設けられており、そこで偏光フィルムシートXが正常シートXαであるかまたは不良シートXβであるかが判定される。この点で、特許文献1および特許文献2に開示されたそれぞれの帯状フィルム積層体2または2´は異なる。特許文献2に示された貼合ステーションDおよび排除ステーションCは、いずれも特許文献1に示されるものと同様である。すなわち、最終工程の貼合ステーションDにおいて、偏光フィルムシートXのうち、正常シートXαと判定された偏光フィルムシートXがキャリアフィルムZから剥離され、正常シートXαの送りに同期して送られた矩形パネルWに連続的に貼り合される。さらに、最終工程に至る前に、排除ステーションCにおいて、偏光フィルムシートXのうち、不良シートXβと判定された偏光フィルムシートXがキャリアフィルムZから剥離され、不良シート排出経路193を経由して、帯状フィルム積層体2´から排除される。このようにして、液晶表示素子が連続的に製造される。
【0005】
本発明の技術的課題は、特許文献1および2に内在する。本発明の技術的課題の解決手段を明確にする観点から、専ら図10を用いて、特許文献1に示される液晶表示素子の連続製造工程および装置全体を概観し、特に、キャリアフィルムZから不良シートXβを剥離し、不良シート排出経路を経由させ、帯状フィルム積層体2から排除する排除ステーションCに内在する技術的課題を詳述する。
【0006】
特許文献1に記載された液晶表示素子の連続製造工程および装置全体を制御する制御装置300によって作動される排除ステーションC、すなわち不良シート排除装置190の具体的動作を詳述すると、以下の通りである。不良シート片排除装置190は、切断ステーションBにおいて、切込線によって切断された粘着層を含む偏光フィルムの正常シートXαと不良シートXβとを含む偏光フィルムシートXが剥離自在に積層されたキャリアフィルムZ上から、正常シートXαと長さの異なる不良シートXβを識別または選別するか、あるいは、不良シートとしての識別情報が関連付けられた不良シートXβのみを正常シートXαと識別または選別するようにして、不良シートXβをキャリアフィルムZ上から剥離して排除する。
【0007】
図10の排除ステーションCに示される不良シート片排除装置190は、制御装置300によって、不良シートXβを識別または選別するように動作する。具体的には、不良シート片排除装置190は、貼合ステーションDにおいて、制御装置300によって動作する一対の貼合ローラ121、122を含む貼合駆動装置12と連動するようにした装置である。すなわち、不良シートXβを貼付剥離する機能を有するダミーフィルム駆動装置191と、ダミーフィルム駆動装置191のダミーフィルム搬送経路すなわち不良シート排出経路193を構成する移動ローラ192とを含み、貼合駆動装置12に近接して配置された不良シート排出経路193を構成する移動ローラ192を、貼合駆動装置12の一方の貼合ローラ121と連動させるようにしたものである。
【0008】
より具体的には、制御装置300は、貼合ステーションDにおいて、不良シートXβが帯状フィルム積層体2の搬送経路の終点(すなわち排除始点)に到達した際に一対の貼合ローラ121、122を離間させ、貼合駆動装置12を不作動状態にして、その間に不良シート排出経路193を構成する移動ローラ192を離間された一対の貼合ローラ間の間隙にまで移動させ、移動ローラ192を貼合ローラの一方の貼合ローラ122に置換することによって、移動ローラ192と貼合ローラの他方の貼合ローラ121とを連動させる。
【0009】
そのときに、例えば断面楔形状の剥離板150がキャリアフィルム巻取駆動装置17によって巻き取られる帯状フィルム積層体2に含まれる不良シートXβの先端に相当する位置に当接され、そのことにより、キャリアフィルムZが鋭角に屈曲されて巻き取られる。そのため、不良シートXβは、キャリアフィルムZと一体に巻き取られることはない。剥離された不良シートXβは、貼合ローラの他方の貼合ローラ121と連動する移動ローラ192によって、剥離された正常シートXαが正常シートXαの送りに同期して送られた矩形パネルWに連続的に貼り合され、矩形パネルWと一体に搬送される正常シートXαの貼合経路120とは異なる不良シート排出経路193に貼り付けられ、帯状フィルム積層体2から排除される。
【0010】
貼合ステーションDは、排除ステーションCを兼ね、そこには、キャリアフィルムZから断面楔形状の剥離板150によって確実に剥離された正常シートXαのみが送られ、矩形パネルWに連続的に貼り合され、矩形パネルWと一体に搬送される正常シート貼合経路120と、不良シートXβのみを帯状フィルム積層体2から排除のための不良シート排出経路193と、キャリアフィルムZの回収経路170の3つのフィルム搬送用の経路が用意され、偏光フィルムシートXの正常シートXαと不良シートXβとキャリアアフィルムZとは、それぞれの対応するフィルム搬送用の経路を経て、送られるか、排出されるか、または回収される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許4377964号公報
【特許文献2】特許4377965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
偏光フィルムシートXのうち、正常シートXαを液晶パネルWに連続的に貼り合せることによって液晶表示素子の連続製造を実現するためには、最終工程に至る前に、帯状フィルム積層体2を構成する粘着層を含む偏光フォルムシートXの不良シートXβを確実に排除しておかなければならない。
【0013】
液晶表示素子が不良シートXβの不完全な排除によって連続製造された場合、生産の歩留まりは当然に悪化する。時間当たりの生産量を犠牲にしないためには、不良品をそのまま廃棄処分するしかない。また歩留まりを改善するために、製造された不良品をリワーク作業によって不良シートXβを剥がし、そのことにより矩形パネルWの再利用を図ろうとすると、液晶表示素子の連続製造工程に続くリワーク作業の工程は、必須工程となる。したがって、液晶表示素子の連続製造において、例えば特許文献1および2に示されるダミーフィルム搬送経路、すなわち、不良シート排出経路193を含む不良シート排除装置190を設けるなど、正常シートXαと矩形パネルWとを貼り合せる最終工程に至る前に,排除ステーションCにおいて、偏光フィルムシートXの不良シートXβを確実に排除しておくための工程が求められることになる。
【0014】
一方、粘着層を含む偏光フィルムシートXのうち、正常シートXαを矩形パネルWとの貼合位置に送り、それらの正確な貼り合せを実現させるために、正確なタイミングでキャリアフィルムZから正常シートXαを剥離し、剥離される正常シートXαと正常シートXαの送りに同期して貼合位置に送られた矩形パネルとを位置合せし、正確に貼り合される必要がある。正常シートXαの不完全な剥離によって、正常シートXαがキャリアフィルム回収経路170に向けキャリアフィルムZと一体に反転され、巻き取られることは、あってはならない事態である。
【0015】
キャリアフィルムZは、液晶表示素子を連続製造する工程中に、偏光フィルムYの粘着層を保護し、矩形パネルWへの貼合前または貼合時に粘着層を含む偏光フィルムシートX(すなわち、正常シートXαおよび不良シートXβ)が帯状フィルム積層体2から剥離されるときに、巻き取られ回収される離型フィルムである。帯状フィルム積層体2のキャリアフィルムZ上に形成された粘着層を含む偏光フィルムシートXの正常シートXαの先端が、矩形パネルWとの貼合位置において、正常シートXαの送りに同期して送られる矩形パネルWの先端に達する位置で、キャリアフィルムZのみを断面楔形状の剥離板150を介して鋭角に屈曲させ巻き取ることによって、正常シートXαをキャリアフィルムZから確実に剥離させることができる。そこで、正常シートXαと矩形パネルWとが位置合せされ、それらの貼合動作が開始される。一方、不良シートXβが帯状フィルム積層体2の搬送経路の終点(すなわち排除始点)に到達した際には、貼合駆動装置12を構成する一対の貼合ローラ121、122を離間させ、貼合駆動装置12を不作動状態にして、その間に不良シート排出経路193を構成する移動ローラ192を離間された貼合ローラの間隙にまで移動させ、移動ローラ192を一方の貼合ローラ122に置換することによって、移動ローラ192と他方の貼合ローラ121とを連動させる。そのことにより、正常シートXαと同様にキャリアフィルムZから確実に剥離された不良シートXβを、不良シート排出経路193を経由させ、帯状フィルム積層体2から確実に排除させることができる。
【0016】
液晶表示素子の製造分野においては、常に時間当たりの生産性を高め、装置全体の小型化および省力化が求められる。工程および装置全体の簡素化や使用済み材料の廃棄を含む省力化は、常に重要な技術的課題である。このような観点から、本発明者らは、キャリアフィルムZから確実に剥離された不良シートXβを帯状フィルム積層体2から排出するダミーフィルム搬送経路すなわち不良シート排出経路を、回収されるキャリアフィルムの搬送経路に一致させるべく、鋭意検討を進めてきた。具体的には、正常シートXαがキャリアフィルムZから剥離された際に、一対の貼合ローラからなる貼合駆動装置を作動させ、矩形パネルWとの貼合動作を開始する。一方、不良シートXβがキャリアフィルムZから剥離された際には、貼合駆動装置を不作動状態にして、その間に不良シート経路形成駆動装置を構成する移動ローラを、離間された貼合駆動装置を構成する一対の貼合ローラの間隙にまで移動させ、移動ローラを一方の貼合ローラに置換することによって、移動ローラと他方の貼合ローラとを連動させ、不良シート排出経路をキャリアフィルムの回収経路に連続するように構成する。そのことにより、キャリアフィルムZから確実に剥離された不良シートXβを、キャリアフィルムZの回収経路の再貼付位置に送り、そこでキャリアフィルムZに再び貼り付けて排出することを可能にした。
【0017】
しかしながら、液晶表示素子を連続的に製造するためには、帯状フィルム積層体2に含まれる偏光フィルムYの正常シートXαのみを、確実にキャリアフィルムZから剥離し、矩形パネルとの貼合位置に送り、そこで矩形パネルと位置合せされ、貼合動作が着実に開始されなければならない。同じく、キャリアフィルムZから剥離された不良シートXβは、回収されるキャリアフィルムZに再び貼り付けられることによって、キャリアフィルムZと一体に回収される必要がある。そのため、装置全体は、それを構成する手段または装置の各々が関連付けられ、制御されていなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した技術的課題は、帯状フィルム積層体2に含まれるキャリアフィルムZ上に形成された欠点を含まない正常シートXαと欠点を含む不良シートXβとからなる偏光フィルムシートXのうち、液晶表示素子の連続製造工程における最終工程に至る前に、帯状フィルム積層体2の送りと連動させ、正常シートXαおよび不良シートXβをキャリアフィルムZから確実に剥離し、そのことにより、剥離された正常シートXαは、矩形パネルとの貼合位置に送られ、そこで矩形パネルと位置合せされ、貼合動作が着実に開始される一方、剥離された不良シートXβは、キャリアフィルムZの回収経路に連続するように構成された不良シート排出経路を経由して、回収されるキャリアフィルムZとの再貼合位置に送られ、キャリアフィルムZに再び貼り付けられ、排出されるようにすることによって、解決される。
【0019】
本発明の態様は、以下の通りである。本発明の第1の態様は、以下の工程により液晶表示パネルを連続製造する方法である。図1または図6の概念図を参照されたい。それは、まず、粘着層を含む偏光フィルムYと、偏光フィルムYの粘着層に剥離自在に積層されたキャリアフィルムZとを含む帯状フィルム積層体2の、キャリアフィルムZ上に形成された粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含まない正常シートXαと欠点を含む不良シートXβとからなる偏光フィルムシートXを、矩形パネルWとの貼合位置に向けて帯状フィルム積層体2と一体に送り、帯状フィルム積層体2の送りに関連付けて偏光フィルムシートXが正常シートXαまたは不良シートXβのいずれであるかを判定し、次に、帯状フィルム積層体2の搬送路に配設された剥離手段15を介してキャリアフィルムZを鋭角に屈曲させることによって、キャリアフィルムZから偏光フィルムシートXを順次剥離し、剥離された偏光フィルムシートXが正常シートXαのときに、貼合駆動手段12を作動させることによって、正常シートXαを矩形パネルWとの貼合位置に送り、正常シートXαの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルWに連続的に貼り合せ、また剥離された偏光フィルムシートXが不良シートXβのときには、不良シート経路構成駆動手段16を作動させることによって、不良シートXβをキャリアフィルムZの回収経路170に連続するように構成された不良シート排出経路160を経由させ、キャリアフィルムZとの再貼合位置に送り、キャリアフィルムZに再び貼り付けて排出するようにしたものである。
【0020】
第1実施態様において、偏光フィルムシートXの正常シートXαは、矩形パネルWの長辺または短辺と同一長さを有するものであることが好ましい。
【0021】
本発明の第2の態様は、各々が連動して作動する以下の手段に基づくステップを含む液晶表示パネルを連続製造する方法である。それは、まず、順次搬送される複数の矩形パネルWに対して、矩形パネルWの長辺または短辺と同一幅の粘着層を含む偏光フィルムYと偏光フィルムYの粘着層を介して剥離自在に積層されたキャリアフィルムZとを含む帯状フィルム積層体2を、フィルム供給駆動手段4、9、11、13とキャリアフィルム巻取駆動手段17の各々を関連付けて作動させることによって、緩むことなく矩形パネルWとの貼合位置に向けて送るステップと、キャリアフィルムZ上には、事前検査によって検出された欠点の位置に基づき、予め、偏光フィルムYの粘着層を含む欠点を含まない正常シートXαと欠点を含む不良シートXβとからなる偏光フィルムシートXが、帯状フィルム積層体2の送り方向にみて下流側と上流側の幅方向の切込線の間に形成されており、帯状フィルム積層体2の送りに関連付けて判定手段3を作動させることによって、偏光フィルムシートXが正常シートXαまたは不良シートXβのいずれであるかを判定するステップとを含む。
【0022】
それはまた、矩形パネルWとの貼合位置に至る帯状フィルム積層体2の搬送路に配設された剥離手段15を介してキャリアフィルムZを鋭角に屈曲させるキャリアフィルム巻取駆動手段17によって、判定された偏光フィルムシートXをキャリアフィルムZから剥離するステップと、剥離された偏光フィルムシートXが正常シートXαのときに、貼合駆動手段12を判定手段3と関連付けて作動させることによって、正常シートXαを矩形パネルとの貼合位置に送り、正常シートXαの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルWに連続的に貼り合せるステップと、剥離された偏光フィルムシートXが不良シートXβのときには、張力調整手段14を含む不良シート経路構成駆動手段16を判定手段3と関連付けて作動させることによって、不良シートXβをキャリアフィルムZの回収経路170に連続するように構成された不良シート排出経路160を経由させ、キャリアフィルムZとの再貼付位置に送り、キャリアフィルムZに再び貼り付けて排出するステップとを含む。
【0023】
第2実施態様において、偏光フィルムシートXの正常シートXαは、矩形パネルWの長辺または短辺と同一長さを有するものであることが好ましい。
【0024】
第2実施態様において、貼合駆動手段12は、偏光フィルムシートXの送り方向に対して上下に開閉自在な一対の貼合ロール121および122から構成されており、作動時に、剥離された正常シートXαと該正常シートXαの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルWとを圧着搬送するようにして貼り合せ、不作動時に、一対の貼合ロール121および122を上下方向に解放することができる。
【0025】
第2実施態様において、張力調整手段14を含む不良シート経路形成駆動手段16は、キャリアフィルム巻取駆動手段17が張力調整手段14と連動させ緩むことなく回収するようにした、キャリアフィルムZを支持する移動ロール161を含み、貼合駆動手段12の不作動時に、上下方向に解放された貼合駆動手段12を構成する一対の貼合ロール121および122の間隙に、移動ロール161を移動させ、移動ロール161を一方の貼合ロール122と置換することによって、他方の貼合ロール121と連動してキャリアフィルムZの回収経路170に連続するように不良シート排出経路160を構成し、剥離された不良シートXβを貼合ロール121と移動ロール161とで圧着搬送することにより、キャリアフィルムZに再び貼り付けて、排出することができる。
【0026】
本発明の第3の態様は、以下の装置を含む液晶表示パネルを連続製造する装置である。それは、まず、粘着層を含む偏光フィルムYと、偏光フィルムYの粘着層に剥離自在に積層されたキャリアフィルムZとを含む帯状フィルム積層体2の、キャリアフィルムZ上に形成された粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含まない正常シートXαと欠点を含む不良シートXβとからなる偏光フィルムシートXを、矩形パネルWとの貼合位置に向けて帯状フィルム積層体2と一体に送る、フィルム供給駆動装置4、9、11、13と、偏光フィルムシートXが正常シートXαまたは不良シートXβのいずれであるかを判定する、フィルム供給装置4、9、11、13と連動する判定装置3と、帯状フィルム積層体2の搬送路に配設された剥離手段15を介してキャリアフィルムZを鋭角に屈曲させることによって、偏光フィルムシートXをキャリアフィルムZから剥離する、フィルム供給装置4、9、11、13と連動して作動するキャリアフィルム巻取駆動装置17と、剥離された偏光フィルムシートXが正常シートXαのときに、正常シートXαを矩形パネルWとの貼合位置に送り、正常シートXαの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルWに連続的に貼り合せる、判定装置3と連動して作動する貼合駆動装置12と、剥離された偏光フィルムシートXが不良シートXβのときに、不良シートXβをキャリアフィルムZの回収経路170に連続するように構成された不良シート排出経路160を経由させ、キャリアフィルムZとの再貼合位置に送り、キャリアフィルムZに再び貼り付けて、排出する、判定装置3と連動して作動する不良シート経路構成駆動装置16とを含む装置である。
【0027】
第3実施態様において、偏光フィルムシートXの正常シートXαは、矩形パネルWの長辺または短辺と同一長さを有するものであることが好ましい。
【0028】
本発明の第4の態様は、以下の装置を含む液晶表示パネルを連続製造する装置である。それは、まず、順次搬送される複数の矩形パネルWに対して、矩形パネルWの長辺または短辺と同一幅の粘着層を含む偏光フィルムYと、偏光フィルムYの粘着層に剥離自在に積層されたキャリアフィルムZとを含む帯状フィルム積層体2を、緩むことなく矩形パネルとの貼合位置へ向けて送るフィルム供給駆動装置4、9、11、3と、キャリアフィルムZ上に、事前検査によって検出された欠点の位置に基づき、予め、粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含まない正常シートXαと欠点を含む不良シートXβとからなる偏光フィルムシートXが、帯状フィルム積層体2の送り方向にみて下流側と上流側の幅方向の切込線の間に形成されており、偏光フィルムシートXが正常シートXαまたは不良シートXβのいずれであるかを判定する判定装置3とを含む。
【0029】
それはまた、帯状フィルム積層体2の搬送路に配設された剥離手段15を介してキャリアフィルムZを鋭角に屈曲させ、判定された偏光フィルムシートXをキャリアフィルムZから剥離するキャリアフィルム巻取駆動装置17と、剥離された偏光フィルムシートXが正常シートXαのとき、正常シートXαを矩形パネルWとの貼合位置に送り、正常シートXαの送りに同期して貼合位置に順次送られた矩形パネルWに連続的に貼り合せる貼合駆動装置12と、剥離された偏光フィルムシートXが不良シートXβのとき、不良シートXβをキャリアフィルムの回収経路170に連続するように構成された不良シート排出経路160を経由させ、キャリアフィルムの再貼付位置に送り、キャリアフィルムZに再び貼り付けて、排出する張力調整装置14を含む不良シート経路構成駆動装置16とを含む。それは、フィルム供給駆動装置4、9、11、13、判定装置3、キャリアフィルム巻取駆動装置17、貼合駆動装置12、および、張力調整装置14を含む不良シート経路構成駆動装置16の各々を連動させて作動させる制御装置300をさらに含む。
【0030】
第4実施態様において、偏光フィルムシートXの正常シートXαは、矩形パネルWの長辺または短辺と同一長さを有するものであることが好ましい。
【0031】
第4実施態様において、貼合駆動装置12は、偏光フィルムシートXの送り方向に対して上下方向に開閉自在な一対の貼合ロール121および122から構成されており、作動時に、剥離された正常シートXαと正常シートXαの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルWとを圧着搬送するようにして貼り合せ、不作動時には、一対の貼合ロール121および122を上下方向に解放することができる。
【0032】
第4実施態様において、張力調整装置14を含む不良シート経路形成駆動装置16は、キャリアフィルム巻取駆動装置17が張力調整装置14と連動させ緩むことなく回収されるようにした、キャリアフィルムZを支持する移動ロール161を含み、貼合駆動装置12の不作動時に、下方向に解放された貼合駆動装置12を構成する一対の貼合ロール121および122の間隙に、移動ロール161を移動させ、移動ローラ161を一対の貼合ロール121および122の一方の貼合ロール122と置換することによって、他方の貼合ロール121と連動してキャリアフィルムZの回収経路170に連続するように不良シート排出経路160を構成し、剥離された不良シートXβを貼合ロール121と移動ロール161とで圧着搬送することにより、キャリアフィルムZに再び貼り付けて、排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一実施態様に係る、液晶表示パネルを連続製造する装置を表す概念図である。
【図2】図1に示す本発明の液晶表示パネルを連続製造する装置における各製造工程を表すフロー図である。
【図3】図1に示す本発明の液晶表示パネルを連続製造する装置の排出ステーションCおよび貼合ステーションDにおける正常シートおよび不良シートの処理ステップ(a)〜(e)を表す模式図である。
【図4】処理ステップ(a)〜(e)に対応する各構成要素の動作を表すタイミングチャート図である。
【図5】図1に示すキャリアフィルム屈曲ユニット18の概念図である。
【図6】本発明の他の実施態様に係る、液晶表示パネルを連続製造する装置を表す概念図である。
【図7】図6に示す本発明の液晶表示パネルを連続製造する装置における各製造工程を表すフロー図である。
【図8】図7に示す本発明の液晶表示パネルを連続製造する装置の排出ステーションCおよび貼合ステーションDにおける正常シートおよび不良シートの処理ステップ(a)〜(e)を表す模式図である。
【図9】処理ステップ(a)〜(e)に対応する各構成要素の動作を表すタイミングチャート図である。
【図10】判定ステーションAの判定装置によって読み取られた帯状フィルム積層体の偏光フィルムの欠点位置情報に基づき、欠点を含まない正常シートと欠点を含む不良シートとからなる偏光フィルムシートを形成するための切断ステーションBを有する、特許文献1に示された液晶表示素子の連続製造装置の概念図である。
【図11】判定ステーションAの判定装置によって、事前検査によって検出された欠点位置情報に基づき偏光フィルムの予め形成された欠点を含まない正常シートと欠点を含む不良シートとを判定するようにした、特許文献2に示された切断ステーションBを有しない液晶表示素子の連続製造装置の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(切断ステーションBを有する液晶表示素子の連続製造装置の概要)
本発明の実施形態は、フィルム繰出装置に内蔵されたエンコーダによって算出される帯状フィルム積層体2の供給量と、判定ステーションAの判定装置3によって読み取られた事前検査による偏光フィルムYの欠点位置とに基づき演算された帯状フィルム積層体2の幅方向の切込線によりキャリアフィルムZ上に形成された偏光フィルムシートXを含む帯状フィルム積層体2を用いた液晶表示素子の連続製造装置として、図1〜図5および図6〜図9を用いて、詳述することができる。また本発明の実施形態は、事前検査によって検出された粘着層を含む偏光フィルムYに内在する欠点位置情報に基づき、予め、偏光フィルムシートXがキャリアフィルムZ上に形成された切込線入り帯状フィルム積層体を用いた液晶表示素子の連続製造装置(切断ステーションBを有しない点で相違する装置)としても説明できることは、いうまでもない。
【0035】
図1〜図5および図6〜図9はいずれも、切断ステーションBを有するものである。これらに共通する構成を以下に示す。第1実施形態に係る図1および本発明の他の実施形態(以下、「第2実施形態」という。)に係る図6を参照されたい。
【0036】
帯状フィルム供給装置100は、帯状フィルム積層体2のロール101が回転自在に装着させたフィルム繰出装置1を含む。フィルム繰出装置1には、繰出量を算出するためのエンコーダ(図示せず)を含むことができる。帯状フィルム供給装置100はさらに、帯状フィルム積層体2の偏光フィルムYに内在する欠点位置に基づく切断位置情報を読み取るための判定ステーションAの判定装置3、帯状フィルム積層体2を供給するためのフィードローラを含むフィルム供給装置4、9、11、13、判定装置3によって読み取られた切断位置情報に基づき帯状フィルム積層体2の送り方向に対して幅方向に、キャリアフィルムZの反対側からキャリアフィルムZの粘着層の側の面に達する深さまで、帯状フィルム積層体2に切り込みを入れて切込線を形成するための切断装置6、切込線形成位置および形成された切込線位置を確認するための切断位置確認装置7および8とからなる切断ステーションBを含み、好ましくは、一定速度の帯状フィルム積層体供給のためのアキュームローラを含む速度調整装置5、10を含むことができる。
【0037】
帯状フィルム供給装置100はさらに、帯状フィルム積層体2の送りに連動させ、キャリアフィルムZ上に形成された偏光フィルムシートXをキャリアフィルムZから確実に剥離させる、帯状フィルム積層体2の搬送路に配設された、例えば断面楔形状の剥離板150からなる剥離装置15を含む。剥離板150は、好ましくは、帯状フィルム供給装置100の排出ステーションCおよび最終工程となる貼合ステーションDの直前に、剥離板150の頂部が矩形パネルの送り方向に対して鋭角になるように固定される。
【0038】
帯状フィルム供給装置100はまた、排出ステーションCおよび貼合ステーションDを含む。貼合ステーションDは、帯状フィルム積層体2のキャリアフィルムZ上に形成された粘着層を含む偏光フィルムシートXのうち、欠点を含まない正常シートXαをキャリアフィルムZから剥離して矩形パネルWに貼り合せるための、偏光フィルムシートXまたは矩形パネルWの送り方向に対して、上下方向に開閉自在な一対の貼合ローラ121、122から構成された貼合駆動装置12を含む。貼合駆動装置12は、制御装置300によって、矩形パネルマガジン201、矩形パネル位置調整ガイド203、矩形パネル搬送装置204などを含む矩形パネル供給装置200と連携し、作動される。貼合駆動装置12はまた、不作動時には、制御装置300によって、一対の貼合ローラ121および122を回動可能とするか、または、その一方、例えば、上側貼合ローラ121または下側貼合ローラ122のいずれかを回動可能とし、かつ、下側ガイドレール123および/または上側ガイドレール124に沿い上下方向に移動し、一対の貼合ローラ間に間隙を形成するようにする。このときは、粘着層を含む偏光フィルムシートXのうち、欠点を含む不良シートXβがキャリアフィルムZから剥離される直前である。
【0039】
貼合ステーションDはまた、粘着層を含む偏光フィルムシートXのうち、欠点を含む不良シートXβをキャリアフィルムZから剥離するときは、排出ステーションCに切り替わる。排出ステーションCは、キャリアフィルム巻取駆動装置17および不良シート経路構成駆動装置16を含む。不良シート経路構成駆動装置16は、貼合駆動装置12の不作動時に作動する。不良シート経路構成駆動装置16はまた、キャリアフィルム巻取駆動装置17によって回収されるキャリアフィルムZを、張力調整装置14と連動して緩むことなく支持するための移動ローラ161を含む。なお、張力調整装置14は、ダンサーやフィードローラによる調整機構を含む。移動ローラ161は、貼合駆動装置12の不作動時にガイドレール162に沿って移動し、貼合駆動装置12の解放された一方の貼合ローラ122と置換する。移動ローラ161はまた回動可能とすることが好ましく、そのことにより、駆動装置12の解放された他方の貼合ローラ121と連動するようにして不良シート排出経路160をキャリアフィルムZの回収経路170に連続するように構成し、一旦キャリアフィルムZから剥離された不良シートXβが再びキャリアフィルムZに貼り付けられ、圧着搬送されることにより、排出される。
【0040】
(正常シートXαおよび不良シートXβの処理ステップ)
図1に表した貼合ステーションDにおいて、キャリアフィルムZから剥離された正常シートXαがどのように矩形パネルWに貼り合されるのか、また排出ステーションCにおいて、キャリアフィルムZから一旦剥離された不良シートXβがどのようにキャリアフィルムZの回収経路170の一部に再び貼けられるのかについて、図2のフロー図を参考に、図3の正常シートXαおよび不良シートXβの処理ステップに基づき、詳述する。図3(a)〜(e)は、そのための模式図である。
【0041】
図3(a)は、キャリアフィルムZ上の偏光フィルムシートXが正常シートXαから不良シートXβに切り替わる場面を想定した模式図である。具体的には、図1を参照されたい。帯状フィルム積層体2は、制御装置300の指令に基づき、フィルム供給装置4、9、11、13により貼合ステーションDに向けて送られる。帯状フィルム積層体2の送りと連動して作動する判定装置3は、キャリアフィルムZ上に形成された粘着層を含む偏光フィルムシートXが正常シートXαまたは不良シートXβのいずれであるかを判定する。送られてくるキャリアフィルムZ上の偏光フィルムシートXが不良シートXβのとき、帯状フィルム積層体2の表面に接して回転自在に支持する一対の案内ローラ151、152の間の搬送路110に配設された断面楔形状の剥離板150からなる剥離手段15を介して、キャリアフィルム巻取駆動装置17によって回収されるキャリアフィルムZは、両案内ローラ151、152との連携により、鋭角に屈曲されている。
【0042】
図3(a)はまた、キャリアフィルムZの裏面に接する剥離板150の頂部がキャリアフィルムZ上の不良シートXβの先端部に相当する位置にある状態を表す。このときは、図4から明らかなように、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17は停止状態にあり、貼合駆動装置12は一旦停止した不作動状態であって、貼合駆動装置12を構成する一対の貼合ローラ121、122の間に間隙が形成される直前である。貼合駆動装置12の不作動時に作動する不良シート経路構成駆動装置16は、回収されるキャリアフィルムZを、張力調整装置14と連動して緩むことなく支持するための移動ローラ161を含む。またこのときは、移動ローラ161がガイドレール162に沿って上昇される直前にある。
【0043】
図3(b)は、不良シートXβの排出準備が完了したタイミングを表す。それはまた、キャリアフィルムZの巻取が再開される直前を表すものである。制御装置300の指令に基づき、不良シート経路構成駆動装置16を作動させると同時に、貼合駆動装置12の上側貼合ロール121および/または下側貼合ロール122を、上側ガイドレール124および/または下側ガイドレール123に沿って上昇および/または下降させ、一対の貼合ローラ121、122の間に間隙を形成させる。不良シート経路構成駆動装置16の作動により、移動ローラ161は、ガイドレール162に沿って移動し、貼合駆動装置12の下側ガイドレール123に沿って下降させた下側貼合ローラ122と置換し、上側貼合ローラ121と連動可能にする。このときは、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17が停止され、移動ローラ駆動装置163を張力調整装置14と連動させ、移動ローラ161をガイドレール162に沿うように移動させる。図2のフロー図から明らかなように、不良シートXβの先端部が剥離板150の頂部に達したタイミングで、制御装置300の指令に基づいて、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17を停止させる。フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17が再稼働するまでに、移動ローラ161と上側貼合ローラ121とが連動可能にすることによって、不良シートXβの排出準備がなされる。
【0044】
図3(c)は、キャリアフィルムZの回収経路170への再貼付後に排出される不良シートXβの動作を表す。フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17の再稼働によって、キャリアフィルムZの巻取が開始される。不良シートXβは、後述されるように、キャリアフィルムZの巻取によって剥離板150を介して剥離され、移動ローラ161と上側貼合ローラ121により形成される不良シート排出経路160を経由させることにより、矩形パネル搬送装置204を構成する搬送ローラ間を貫通するように送られる。それはまた、矩形パネル搬送装置204の裏面を迂回するように送られるキャリアフィルムZの回収経路170の一部に再び貼り付けられ、キャリアフィルムZと一体に巻き取られ、排出される。キャリアフィルムZの回収経路170は、例えば、矩形パネル搬送装置204を構成する搬送ローラ間を貫通させない以下のような迂回構造を用いて、構成することができる。
【0045】
図5を参照されたい。偏光フィルムシートXを剥離したキャリアフィルムZは、例えばガイドローラを介して矩形パネル搬送装置204の上面と平行に走行するように送られる。一定幅を有する矩形パネル搬送装置204の搬送ローラからなる裏面を横断するように、例えばキャリアフィルム屈曲ユニット18が配設される。キャリアフィルム屈曲ユニット18は、エアターンバー181およびガイドローラ182を含む。それらは、送られるキャリアフィルムZを表裏反転させ、矩形パネル搬送装置204を迂回するように、矩形パネル搬送装置204の両側に突出するように位置付けられる。キャリアフィルム屈曲ユニット18は、キャリアフィルムZが矩形パネル搬送装置204の搬送ローラ間を回避するように迂回させる装置である。これを用いることにより、キャリアフィルムZを矩形パネル搬送装置204の裏面と平行に走行するように送ることができる。このことにより、張力調整装置14を経由し移動ローラで支持されるキャリアフィルムZの回収経路170が形成される。それはまた、不良シート排出経路160と連続可能に構成されるものである。なお、これは、矩形パネル搬送装置204が平面一直線に配された搬送ローラから構成された場合である。矩形パネル搬送装置204が平面L字形かZ字形に構成された場合には、上述したような迂回構造を用いることなく、キャリアフィルムZの回収経路170を矩形パネル搬送装置204の裏面に送り、裏面と平行に走行させることができることはいうまでもない。
【0046】
図3(c)はまた、矢印から明らかなように、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17が再稼働する。そのことにより、剥離板150を介して不良シートXβの剥離動作が開始される。剥離された不良シートXβは、解放された一対の貼合ローラの間隙に形成された不良シート排出経路160に送られ、移動ローラ161に支持されたキャリアフィルムZの回収経路170の一部に再び貼り付けられ、下側貼合ローラ122と置換された移動ローラ161と上側貼合ローラ121とによって、圧着搬送される。その際に、張力調整装置14は作動することなくガイドローラとして機能する。また移動ローラ161は、移動ローラ駆動装置163によって回転するように作動される。このように不良シートXβの長さ分だけ圧着搬送される。
【0047】
次にフィルム供給装置4、9、11、13のみを停止する。移動ローラ駆動装置163およびキャリアフィルム巻取駆動装置17はさらに作動され、回収されたキャリアフィルムZを緩むことなく吸収する張力調整装置14と連動させ、不良シートXβの排出動作を継続する。すなわち排出量は不良シートXβの所定長さ以上になるようにする。不良シートXβに続く偏光フィルムシートXが不良シートXβの場合には、同じ動作が繰り返される。また不良シートXβに続く偏光フィルムシートXが正常シートXαの場合には、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17は、再び停止される。移動ローラ駆動装置163も停止される。次に、図3(d)に表す、貼合駆動装置12を復帰させるための準備動作が開始される。
【0048】
図3(d)は、キャリアフィルムZ上の偏光フィルムシートXが不良シートXβから正常シートXαに切り替わる場面を想定した模式図である。それは、貼合駆動装置12を復帰させるための準備動作を表す。帯状フィルム積層体2の送りと連動して作動する判定装置3はすでに、送られてくるキャリアフィルムZ上に形成された次の粘着層を含む偏光フィルムシートXが正常シートXαであると判定している。またキャリアフィルムZの裏面に接する剥離板150の頂部は、キャリアフィルムZ上の正常シートXαの先端部に相当する位置にある。
【0049】
また貼合駆動装置12は、貼合駆動装置12を構成する一対の貼合ローラ121、122の間に間隙が形成された不作動状態のまま、フィルム供給装置4、9、11、13のみならずキャリアフィルム巻取駆動装置17も停止される。そのため、帯状フィルム積層体2が送られることはない。ところで、キャリアフィルム巻取駆動装置17の停止にともない、張力調整装置14と連動して回収されるキャリアフィルムZを張力調整装置14と連動して緩むことなく支持するための移動ローラ161は、不良シート経路構成駆動装置16によって、ガイドレール162に沿い上側貼合ローラ121とで構成された不良シート排出経路160から移動して原位置に戻るように、作動される。その際に、移動ローラ161の原位置への復帰に伴い、キャリアフィルムZに弛みが生じる。この緩みは、張力調整装置14によって吸収されるようにする。そのことにより、キャリアフィルムZ上に再貼付された不良シートXβが幾分戻される。ところが、前工程において不良シートXβ長さ以上に搬出されるようにしたため、不必要な剥離等の不具合が生じることはない。なお、張力調整装置14を用いることなく、キャリアフィルム巻取駆動装置17を逆回転させることによって、移動ローラ161の原位置への復帰に伴うキャリアフィルムZの緩みを吸収することもできる。次に、貼合駆動装置12が再稼働される。そのことにより、下降されていた下側貼合ローラ122は下側ガイドレール123に沿って上昇し、上側貼合ローラ121との間で正常シート貼合経路120が構成されることになる。すなわち、貼合駆動装置12が作動され、一対の貼合ローラ121および122は、再び連動可能になる。
【0050】
図3(e)は、矢印から明らかなように、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17が再稼働することを想定した模式図である。フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17の再稼働により、剥離板150を介して正常シートXαの剥離動作が再開される。剥離された正常シートXαは、貼合駆動装置12の作動によって、正常シート貼合経路120を経由させ、正常シートXαの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルWに、圧着搬送するようにして貼り合される。そのときには、キャリアフィルムZの回収経路170の一部に再び貼り付けられた不良シートXβは、キャリアフィルム巻取駆動装置17によって、キャリアフィルムZと一体に巻き取られる。これに続く偏光フィルムシートXが正常シートXαと判定された場合には、矩形パネルWとの貼合動作は、連続的に繰り返される。偏光フィルムシートXが不良シートXβと判定された場合は、再び、図3(a)に示す工程に戻ることになる。
【0051】
(フロー図に基づく各製造工程のタイミング)
図2を参照されたい。ステップ1からステップ3は、フロー図に表す動作ステップから明らかなように、制御装置300の情報処理装置301の演算によって算出された帯状フィルム積層体2の偏光フィルムYに内在する欠点位置に基づき、判定ステーションAの判定装置3を用いて、その送り方向にみて下流側と上流側の幅方向の切込線の間のキャリアフィルムZ上に形成されることになる偏光フィルムシートXが正常シートXαまたは不良シートXβのいずれであるかを、判定する。なお、ステップ2は、切断ステーションBにおいて、キャリアフィルムZ上に切込線を形成し、かつ、形成された偏光フィルムシートXの切込線位置を制御装置300の記憶装置301に記憶する。
【0052】
ステップ3が正常シートXαと判定すると、ステップ10からステップ12により、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17が作動し、キャリアフィルムZからの正常シートXαの剥離動作が開始される。それと同時かまたはそれに先立ち、ステップ14からステップ15により、貼合駆動装置12が作動し、それと連動するように矩形パネルマガジン201から矩形パネルWを送り出すように矩形パネル搬出装置204が作動する。矩形パネルWは、プリアライメントが施され、正常シートXαに位置合せされるように位置補正される。さらにステップ13およびステップ16により、正常シートXαと矩形パネルWとは、駆動される一対の貼合ローラ121および122によって圧着搬送される。すなわち、正常シートXαと矩形パネルWとの貼合動作が開始される。このように連続的に製造される液晶表示素子は、ステップ17により、最終検査工程へと搬送される。
【0053】
ステップ3が不良シートXβと判定すると、ステップ4により、制御装置300の指令に基づき、貼合駆動装置12の駆動される一対の貼合ローラ121および122が一旦停止し、貼合駆動装置12が不作動になる。次に、一対の貼合ローラ121および122は、矩形パネルWまたは正常シートXαの送りに対して上下方向に、例えば、上側貼合ロール121を上側ガイドレール124に沿って上昇させる一方、下側貼合ロール122を下側ガイドレール123に沿って下降させることにより、解放される。しかる後に、貼合駆動装置12は完全停止する。それと同時かまたはそれに先立ち、張力調整装置14を含む不良シート経路形成駆動装置16の作動が開始され、解放された一対の貼合ロール121および122の間隙に、キャリアフィルムZを支持する移動ロール161を移動させ、下側貼合ロール122と置換することによって、上側貼合ロール121と連動してキャリアフィルムZの回収経路170に連続するように不良シート排出経路160を構成する。ステップ5により、キャリアフィルムZから一旦剥離された不良シートXβは、上側貼合ロール121と移動ロール161とで圧着搬送される。そのことにより、不良シートXβは、キャリアフィルムZに再び貼り付けられる。ステップ6により、フィルム供給装置4、9、11、13が作動停止する。ステップ7により、キャリアフィルム巻取駆動装置17がさらに作動し、キャリアフィルムZに再貼付された不良シートXβの排出動作がさらに継続される。
【0054】
図4は各製造工程のタイミングチャートである。それは、縦欄に作動手段および装置を表し、横欄にはそれぞれの作動状態を表す。縦欄は、まず、不良シートXβの先端/後端と剥離板150との位置関係を示す。次に、貼合駆動装置12、フィルム供給装置4、9、11、13、上側貼合ローラ121(上昇/下降信号)、下側貼合ローラ122(上昇/下降信号)、移動ローラ161(前進/後退信号)、不良シート経路形成駆動装置16、張力調整装置14、キャリアフィルム巻取駆動装置17等を表す。横欄は、貼合駆動装置12のON(貼合)/OFF(解放)、フィルム供給装置4、9、11、13のON/OFF、不良シートXβの排出準備、不良シートXβの長さ相当の排出動作、不良シートXβの長さ以上の排出動作、上側貼合ローラ121の上昇/下降信号、下側貼合ローラ122の下降/上昇信号、移動ローラ161の前進/後退信号、不良シート経路形成駆動装置16のON/OFF、張力調整装置14のON/OFF、キャリアフィルム巻取駆動装置17のON/OFFを表す。これにより、図2のフローチャートおよび図3の模式図に示す各製造工程の相互関係がより明らかとなろう。
【0055】
図6は、本発明の第2実施形態に係るものである。第1実施形態との構成上の相違点は、図8(a)〜(e)から明らかなように、エアターンバー181およびガイドローラ182を含むキャリアフィルム屈曲ユニット18を用いることなく、キャリアフィルムZの回収経路170を不良シート排出経路160に一致させる構成としたこと、さらにキャリアフィルムZの回収経路170を矩形パネル搬送装置204の裏面へと迂回させることなく、矩形パネル搬送装置204の上面と平行に走行するようにキャリアフィルムZを送るように構成したことである。
【0056】
図8(a)〜(e)に表された動作を概略すると、図8(a)はキャリアフィルムZの裏面に接する剥離板150の頂部がキャリアフィルムZ上の不良シートXβの先端部に相当する位置にある状態を表す。このときに、制御装置300の指令に基づき、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17は停止状態になり、貼合駆動装置12の駆動される一対の貼合ローラ121および122が一旦停止する。すなわち、貼合駆動装置12を構成する一対の貼合ローラ121、122の間に間隙が形成される直前である。
【0057】
図8(b)は、不良シートXβの排出準備が完了したタイミングを表す。それはまた、キャリアフィルムZの巻取が再開される直前を表すものである。制御装置300の指令に基づき、不良シート経路構成駆動装置16を作動させると同時に、一対の貼合ローラ121および122は、矩形パネルWまたは正常シートXαの送りに対して上下方向に、例えば、上側貼合ローラ121が上側ガイドレール124に沿い上方向に移動し、下側貼合ロール122が下側ガイドレール123に沿って下降し、そのことより解放されることになり、一対の貼合ローラ121および122に間隙が形成される。次に、不良シート経路構成駆動装置16が作動することにより、移動ローラ161は、ガイドレール162に沿って移動し、下側貼合ローラ122と置換し、上側ガイドレール124に沿い下降させた上側貼合ローラ121と連動可能になるようにする。このときの移動ローラ161は、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17を停止させ、移動ローラ駆動装置163を張力調整装置14と連動させ、ガイドレール162に沿うように移動させる。図7のフロー図から明らかなように、不良シートXβの先端部が剥離板150の頂部に達したタイミングで、制御装置300の指令に基づいて、フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17を停止させる。フィルム供給装置4、9、11、13およびキャリアフィルム巻取駆動装置17が再稼働するまでに、移動ローラ161と上側貼合ローラ121とが連動可能にすることによって、不良シートXβの排出準備がなされる。図8(b)はまた、その段階で、貼合駆動装置12は完全停止し、貼合駆動装置12が不作動になった状態を表す。
【0058】
図7を参照されたい。ステップ5において、キャリアフィルムZから一旦剥離された不良シートXβは、ステップ4により形成された不良シート排出経路160を経由させ、キャリアフィルムZの回収経路170の一部に、再び貼り付けられる。また移動ローラ161は、移動ローラ駆動装置163によって回転するように作動される。このように、不良シートXβを再貼付したキャリアフィルムZは、不良シートXβの長さ分だけ圧着搬送される。図8(c)は、これを表す。したがって、本実施形態は、第1実施形態とは異なり、キャリアフィルム屈曲ユニット18を用いることなく、さらにキャリアフィルムZの回収経路170を矩形パネル搬送装置204の裏面へと迂回させることなく、矩形パネル搬送装置204の上面と平行に走行するようにキャリアフィルムZを送ることができる。そのため、不良シートXβを再貼付したキャリアフィルムZの回収経路170は、不良シートXβの再貼付直後に鋭角に屈曲させることになるので、再剥離などの不具合が生じることがないように、移動ローラ161と貼合ローラ121とを連動させて圧着搬送するようにする。そのことにより、不良シートXβは、第1実施形態の図3(c)の場合と同様に、不良シート排出経路160に連続するように構成されたキャリアフィルムZの回収経路170の一部に再び貼り付けられ、キャリアフィルムZと一体に排出されることになる。
【0059】
図7から図9は、そのための各製造工程を表すフロー図、排出ステーションCおよび貼合ステーションDにおける正常シートXαおよび不良シートXβの処理ステップ(a)〜(e)を表す模式図、および各構成要素の動作を表すタイミングチャート図である。それらは、第1実施形態の図2〜図4に相当するものである。
【0060】
本発明の特徴は、これまで異なる2つの経路で処理されていた不良シートXβとキャリアフィルムZとを一体に処理するようにしたことである。回収されるキャリアフィルムZと一体に処理する方法として、不良シートXβをキャリアフィルムZから剥離することなく、キャリアフィルムZと一体に処理する方法が想定される。しかしながら、その場合には、正常シートXαかまたは不良シートXβかによって、剥離手段15をキャリアフィルムZの裏面に当接させ、その剥離動作を開始するかまたは、キャリアフィルムZの裏面から剥離手段15を解除する非剥離動作を開始しなければならない。そのため、剥離手段15は、剥離/非剥離動作の付与タイミングを含む切替自在な構造を採用しなければならない。それのみならず、正常シートXαのみをキャリアフィルムZから確実に剥離できる剥離力が、キャリアフィルムZと偏光フィルムシートXの粘着層との粘着力を上回るように調整するなど、克服すべき技術的課題は多い。
【0061】
以上見てきたように、本発明者らは、手段または装置の各々が連動するように全体を制御させることによって、同じ剥離条件に基づく、正常シートXαのみならず不良シートXβを剥離し、しかる後に、剥離された正常シートXαを、正常シート貼合経路120を経由させて矩形パネルWと圧着搬送させるように貼り合せる一方、剥離された不良シートXβを、不良シート排出経路160を経由させてキャリアフィルムZの回収経路170の一部に再び貼り付け、キャリアフィルムZと一体に処理できる方法および装置を実現させた。そのことにより、これまでの方法および装置を大幅に簡素化し、合理化させることができた。
【符号の説明】
【0062】
1 フィルム繰出装置
2 帯状フィルム積層体
3 判定装置
4、9、11、13 フィルム供給装置
5、10 速度調整装置
6 切断装置
7、8 切断位置確認装置
110 帯状フィルム積層体の搬送路
12 貼合駆動装置
120 正常シート貼合経路
121 上側貼合ローラ
122 下側貼合ローラ
123 下側ガイドレール
124 上側ガイドレール
14 張力調整装置
15 剥離装置
150 断面楔形状の剥離板
151、152 案内ローラ
16 不良シート経路構成駆動装置
160 不良シート排出経路
161 移動ローラ
162 ガイドレール
163 移動ローラ駆動装置
17 キャリアフィルム巻取駆動装置
170 キャリアフィルム回収経路
171 キャリアフィルム巻取位置
18 キャリアフィルム屈折ユニット
181 エアターンバー
182 ガイドローラ
183 迂回するキャリアフィルム
200 矩形パネル供給装置
201 矩形パネルマガジン
202 矩形パネルW
203 矩形パネル位置調整ガイド
204 矩形パネル搬送装置
300 制御装置
301 情報処理装置
302 記憶装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘着層を含む偏光フィルムと前記粘着層に剥離自在に積層されたキャリアフィルムとを含む帯状フィルム積層体の、前記キャリアフィルム上に形成された粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含まない正常シートと欠点を含む不良シートとからなる偏光フィルムシートを、矩形パネルとの貼合位置に向けて前記帯状フィルム積層体と一体に送り、前記帯状フィルム積層体の送りに関連付けて前記偏光フィルムシートが正常シートまたは不良シートのいずれであるかを判定し、前記帯状フィルム積層体の搬送路に配設された剥離手段を介して前記キャリアフィルムを鋭角に屈曲させることによって、前記キャリアフィルムから前記偏光フィルムシートを順次剥離し、剥離された偏光フィルムシートが正常シートのときに、貼合駆動手段を作動させることによって、正常シートを矩形パネルとの貼合位置に送り、正常シートの送りに同期して前記貼合位置に順次送られる矩形パネルに連続的に貼り合せ、また剥離された偏光フィルムシートが不良シートのときには、不良シート経路構成駆動手段を作動させることによって、不良シートを前記キャリアフィルムの回収経路に連続するように構成された不良シート排出経路を経由させ、前記キャリアフィルムとの再貼合位置に送り、前記キャリアフィルムに再び貼り付けて排出するようにしたことを特徴とする、液晶表示パネルを連続製造する方法。
【請求項2】
前記偏光フィルムシートの正常シートが前記矩形パネルの長辺または短辺と同一長さを有するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
順次搬送される複数の矩形パネルに対して、矩形パネルの長辺または短辺と同一幅の粘着層を含む偏光フィルムと該偏光フィルムの粘着層を介して剥離自在に積層されたキャリアフィルムとを含む帯状フィルム積層体を、フィルム供給駆動手段とキャリアフィルム巻取駆動手段の各々を関連付けて作動させることによって、緩むことなく前記矩形パネルとの貼合位置に向けて送るステップと、
前記キャリアフィルム上には、事前検査によって検出された欠点の位置に基づき、予め、前記偏光フィルムの粘着層を含む欠点を含まない正常シートと欠点を含む不良シートとからなる偏光フィルムシートが、前記帯状フィルム積層体の送り方向にみて下流側と上流側の幅方向の切込線の間に形成されており、前記帯状フィルム積層体の送りに関連付けて判定手段を作動させることによって、前記偏光フィルムシートが正常シートまたは不良シートのいずれであるかを判定するステップと、
前記矩形パネルとの貼合位置に至る前記帯状フィルム積層体の搬送路に配設された剥離手段を介して前記キャリアフィルムを鋭角に屈曲させる前記キャリアフィルム巻取駆動手段によって、判定された前記偏光フィルムシートを前記キャリアフィルムから剥離するステップと、
剥離された偏光フィルムシートが正常シートのときに、貼合駆動手段を前記判定手段と関連付けて作動させることによって、正常シートを矩形パネルとの貼合位置に送り、正常シートの送りに同期して前記貼合位置に順次送られる矩形パネルに連続的に貼り合せるステップと、
剥離された偏光フィルムシートが不良シートのときには、張力調整手段を含む不良シート経路構成駆動手段を前記判定手段と関連付けて作動させることによって、不良シートを前記キャリアフィルムの回収経路に連続するように構成された不良シート排出経路を経由させ、前記キャリアフィルムとの再貼付位置に送り、前記キャリアフィルムに再び貼り付けて排出するステップと
を含むことを特徴とする、液晶表示素子を連続的に製造する方法。
【請求項4】
前記偏光フィルムシートの正常シートが前記矩形パネルの長辺または短辺と同一長さを有するようにしたことを特徴とする、請求項3に記載の方法
【請求項5】
前記貼合駆動手段は、前記偏光フィルムシートの送り方向に対して上下に開閉自在な一対の貼合ロールから構成されており、作動時に、剥離された正常シートと該正常シートの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルとを、圧着搬送するようにして貼り合せ、不作動時には、前記一対の貼合ロールを上下方向に解放するようにしたことを特徴とする、請求項3または4のいずれか記載の方法。
【請求項6】
前記張力調整手段を含む不良シート経路形成駆動手段は、前記キャリアフィルム巻取駆動手段が前記張力調整手段と連動させ緩むことなく回収するようにした、前記キャリアフィルムを支持する移動ロールを含み、前記貼合駆動手段の不作動時に、上下方向に解放された前記貼合駆動手段を構成する前記一対の貼合ローラの間隙に、前記移動ロールを移動させ、前記移動ローラを前記一対の貼合ローラの一方と置換することによって、他方と連動して前記キャリアフィルムの回収経路に連続するように前記不良シート排出経路を構成し、剥離された不良シートを前記移動ロールと前記貼合ロールとで圧着搬送することにより、前記キャリアフィルムに再び貼り付けて、排出するようにしたことを特徴とする、請求項3から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
粘着層を含む偏光フィルムと前記粘着層に剥離自在に積層されたキャリアフィルムとを含む帯状フィルム積層体の、前記キャリアフィルム上に形成された前記粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含まない正常シートと欠点を含む不良シートとからなる偏光フィルムシートを、矩形パネルとの貼合位置に向けて前記帯状フィルム積層体と一体に送るフィルム供給駆動装置と、前記偏光フィルムシートが正常シートまたは不良シートのいずれであるかを判定する、前記フィルム供給装置と連動する判定装置と、前記帯状フィルム積層体の搬送路に配設された断面楔形状を有する剥離手段を介して前記キャリアフィルムを鋭角に屈曲させることによって、前記偏光フィルムシートを前記キャリアフィルムから剥離する、前記フィルム供給装置と連動して作動するキャリアフィルム巻取駆動装置と、剥離された前記偏光フィルムシートが正常シートのときに、該正常シートを矩形パネルとの貼合位置に送り、正常シートの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルに連続的に貼り合せる、前記判定装置と連動して作動する貼合駆動装置と、剥離された前記偏光フィルムシートが不良シートのときに、該不良シートをキャリアフィルムの回収経路に連続するように構成された不良シート排出経路を経由させ、前記キャリアフィルムとの再貼合位置に送り、前記キャリアフィルムに再び貼り付けて排出する、前記判定装置と連動して作動する不良シート経路構成駆動装置とを含むことを特徴とする、液晶表示パネルを連続製造する装置。
【請求項8】
前記偏光フィルムシートの正常シートが前記矩形パネルの長辺または短辺と同一長さを有するようにしたことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
順次搬送される複数の矩形パネルに対して、前記矩形パネルの長辺または短辺と同一幅の粘着層を含む偏光フィルムと前記粘着層に剥離自在に積層されたキャリアフィルムとを含む帯状フィルム積層体を、緩むことなく前記矩形パネルとの貼合位置へ向けて送る、フィルム供給駆動装置と、
前記キャリアフィルム上には、事前検査によって検出された欠点の位置に基づき、予め、前記粘着層を含む偏光フィルムの欠点を含まない正常シートと欠点を含む不良シートとからなる偏光フィルムシートが、前記帯状フィルム積層体の送り方向にみて下流側と上流側の幅方向の切込線の間に形成されており、前記偏光フィルムシートが正常シートまたは不良シートのいずれであるかを判定する、判定装置と、
前記帯状フィルム積層体の搬送路に配設された剥離手段を介して、前記キャリアフィルムを鋭角に屈曲させ、判定された前記偏光フィルムシートを前記キャリアフィルムから剥離する、キャリアフィルム巻取駆動装置と、
剥離された偏光フィルムシートが正常シートのとき、正常シートを矩形パネルとの貼合位置に送り、正常シートの送りに同期して前記貼合位置に順次送られた矩形パネルに連続的に貼り合せる、貼合駆動装置と、
剥離された偏光フィルムシートが不良シートのとき、不良シートをキャリアフィルムの回収経路に連続するように構成された不良シート排出経路を経由させて前記キャリアフィルムの再貼付位置に送り、前記キャリアフィルムに再び貼り付けて排出する、張力調整装置を含む不良シート経路構成駆動装置と
を含み、
前記フィルム供給装置、前記判定装置、前記キャリアフィルム巻取装置、前記貼合駆動装置、および、前記張力調整装置を含む不良シート経路構成駆動装置の各々を連動させて作動させる制御装置を
さらに含むことを特徴とする、液晶表示素子を連続的に製造する装置。
【請求項10】
前記偏光フィルムシートの正常シートが前記矩形パネルの長辺または短辺と同一長さを有するようにしたことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記貼合駆動装置は、前記偏光フィルムシートの送り方向に対して上下方向に開閉自在な一対の貼合ロールから構成されており、作動時に、剥離された正常シートと該正常シートの送りに同期して貼合位置に順次送られる矩形パネルとを、圧着搬送するようにして貼り合せ、不作動時には、前記一対の貼合ロールを上下方向に解放するようにしたことを特徴とする、請求項9または10のいずれか記載の装置。
【請求項12】
前記張力調整装置を含む不良シート経路形成駆動装置は、前記キャリアフィルム巻取駆動装置が前記張力調整装置と連動させ緩むことなく回収するようにした、前記キャリアフィルムを支持する移動ロールを含み、前記貼合駆動装置の不作動時に、
上下方向に解放された前記貼合駆動装置を構成する前記一対の貼合ローラの間隙に、前記移動ロールを移動させ、前記移動ローラを前記一対の貼合ロールの一方と置換することによって、他方と連動して前記キャリアフィルムの回収経路に連続するように前記不良シート排出経路を構成し、剥離された不良シートを前記貼合ロールと前記移動ロールとで圧着搬送することにより、前記キャリアフィルムに再び貼り付けて、排出するようにしたことを特徴とする、請求項9から11のいずれかに記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−256004(P2012−256004A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−130283(P2011−130283)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【特許番号】特許第5068876号(P5068876)
【特許公報発行日】平成24年11月7日(2012.11.7)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】