説明

液晶表示素子及びその駆動方法

【課題】ランプ信号を歪ませてしまうことで生じるいわゆる「黒浮き」の画像ノイズを低減し、高品位な画像表示を可能とする。
【解決手段】正極性用データ線Di+には図示しない正極性用ビデオスイッチからの正極性用ランプ信号RAMP+が供給され、負極性用データ線Di-には図示しない負極性用ビデオスイッチからの負極性用ランプ信号RAMP-が供給される。スイッチSWiは、正極性用データ線Di+と負極性用データ線Di-との間に設けられ、i列目の2つのビデオスイッチが同時にオンになる直前のタイミングで一度だけオンとなり、これにより正極性用データ線Di+及び負極性用データ線Di-に充電された電圧を正負で中和する機能を持つ。ランプ信号期間の終了後から、次の水平走査期間の開始時刻までの間の僅かの期間内で、スイッチSWiがオンとされ、正極性用データ線Di+と負極性用データ線Di-とを短絡する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示素子及びその駆動方法に係り、特に各画素においてDA変換して得られた正極性映像信号と負極性映像信号とを2つの保持容量に別々にサンプリング保持した後、それらの保持電圧を交互に画素電極に印加して交流駆動する液晶表示素子及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタ装置やプロジェクションテレビには、画像を投影するための中心部品としてLCOS(Liquid Crystal on Silicon)型の液晶表示素子が多く用いられている。このLCOS型の液晶表示素子は、透明電極、液晶層、マトリクス状に配置された反射電極、およびシリコン基板上に液晶駆動回路が形成された液晶表示素子などが重なった構造を有している。この液晶表示素子では、デジタル信号処理技術の進展とともに液晶駆動回路の外部回路のデジタル化が進んでいる。それに伴い、映像信号としてデジタル信号を液晶駆動回路に入力する方がシステム全体としては好都合になってきている。
【0003】
そこで、本出願人は、先に2本のデータ線(列信号線)を一組とする複数組のデータ線と、複数本のゲート線(行走査線)との各交差部にそれぞれ画素を配置し、それらの各画素においてデジタル映像信号からDA変換して得た正極性映像信号と負極性映像信号とを2つの保持容量に別々にサンプリング保持した後、それらの保持電圧を交互に垂直走査周波数よりも高い所定の周波数で交互に画素電極に印加して液晶表示素子を交流駆動する液晶表示装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この特許文献1記載の液晶表示装置では、各組の2本のデータ線の一方に接続された正極性用ビデオスイッチと他方に接続された負極性用ビデオスイッチとを備えると共に、各組の正極性用ビデオスイッチと負極性用ビデオスイッチとを、水平走査期間の開始毎に同時にオンとし、デジタル映像信号からDA変換して得られた正極性用映像信号及び負極性用映像信号の画素値に応じたタイミングでその画素に対応して設けられた組の正極性用ビデオスイッチと負極性用ビデオスイッチとを同時にオフとする。従って、各組の正極性用ビデオスイッチと負極性用ビデオスイッチのオフのタイミングは、映像信号の絵柄によって各組単位で異なり、同じ場合もある。
【0005】
ここで、上記のDA変換は以下のようにして行われる。それぞれ逆極性で、かつ、最大階調(白レベル)及び最小階調(黒レベル)の一方のレベルから他方のレベルまで単調的にレベル変化する1水平走査期間(1H)周期の正極性用ランプ信号と負極性用ランプ信号を正極性用ビデオスイッチと負極性用ビデオスイッチに別々に供給する。一方、正極性用ランプ信号と負極性用ランプ信号にそれぞれ同期するクロック信号をカウントするカウンタからの1H周期の階調カウント値と、デジタル映像信号の画素値とを1ラインの各画素単位でコンパレータにより比較し、両者の値が一致した時に、そのコンパレータから一致パルスを出力してその画素に対応した組の正極性用ビデオスイッチと負極性用ビデオスイッチをオフとし、そのオフ時点直前の正極性用ランプ信号と負極性用ランプ信号とを正極性用ビデオスイッチと負極性用ビデオスイッチに別々に接続された2本のデータ線を介して、対応する画素の2つの保持容量に別々にサンプリング保持させる。ここで、ビデオスイッチのオフ時点直前の正極性用ランプ信号と負極性用ランプ信号とが、DA変換された前記正極性映像信号及び負極性映像信号に相当する。
【0006】
特許文献1記載の液晶表示装置では、2つの保持容量に同時並列的に正極性映像信号及び負極性映像信号をサンプリング保持し、その保持容量に保持された正極性と負極性の電圧を次のフレームの映像信号が書き込まれるまでに1垂直走査周波数より高い周波数で画素電極に交互に印加するスイッチング動作を行うことにより、液晶表示素子の交流駆動周波数を、垂直走査周波数によらず、正負極性の駆動電圧の切り替え周期で自由に設定することができ、従来の液晶表示素子と比較して液晶駆動周波数を飛躍的に高め、それにより信頼性や安定性、シミなどの表示品位低下を防止できるなどの特長が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−223289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の従来の液晶表示装置では、前述したように、各水平走査期間の開始毎に全ての組の正極性用ビデオスイッチと負極性用ビデオスイッチをオンとして、各組の正極性用ビデオスイッチに接続された第1のゲート線と負極性用ビデオスイッチに接続された第2のゲート線の寄生容量などを徐々に充放電していき、コンパレータで画素単位に階調カウント値とデジタル映像信号の画素値とを比較し、両者が一致したタイミングでビデオスイッチをオフにすることで、正極性と負極性のランプ信号電圧を画素内の保持容量に書き込んでいる。
【0009】
このため、デジタル映像信号が高階調の場合、すなわち階調カウント値の大きいときには、前ラインで書き込まれた電圧がデータ線に残存しており、次にビデオスイッチがオンになった瞬間にデータ線からビデオスイッチを通してランプ信号入力側に逆流してしまい、元のランプ信号が歪んでしまう。
【0010】
この様子を図5を用いて説明する。図5(A)はある一つのビデオスイッチが、水平走査期間の開始時刻t1でオンとなり、前記一致パルスが時刻t2で入力された時にそのビデオスイッチがオフになり、次の水平走査期間の開始時刻t3で再びオンとなることを示している。これにより、図5(A)にオン/オフタイミングを示すビデオスイッチと、このビデオスイッチと同期してオン/オフを行う同じ組のもう一つのビデオスイッチを通して、図5(B)に示す正極性用ランプ信号と同図(C)に示す負極性用ランプとは同じ組の2本のデータ線上で時刻t2の時点の電圧を点線で示すように保持することになる。
【0011】
続いて、次のラインの動作に入り同じデータ線に接続されたビデオスイッチが次の水平走査期間の開始時刻t3でオンになると、図5(B)、(C)に点線で示すように保持されていたデータ線の電圧が、ビデオスイッチを通してランプ信号入力側に逆流し、時刻t3では一時的に正極性用ランプ信号は電圧が持ち上がり、負極性用ランプ信号では電圧が持ち下がることとなる。このように、ビデオスイッチのオン直後のランプ信号が歪んでしまうと、ビデオスイッチのオフ時点の本来のランプ信号電圧値をデータ線に供給できなくなる時間ができてしまい(図5中のX期間)、ランプ信号電圧が示す階調がデジタル映像信号の画素値と異なる現象が発生する。この現象は特にあるラインの各画素が高階調で、次のラインの各画素が低階調であるときに顕著となり、低階調のラインが少し明るく浮いたようないわゆる「黒浮き」と呼ばれる画像ノイズを発生させる。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みなされたもので、ランプ信号を歪ませてしまうことで生じるいわゆる「黒浮き」の画像ノイズを低減し、高品位な画像表示が可能な液晶表示素子及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するため、第1の発明の液晶表示素子は、2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本のゲート線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、入力画像データの画素値と単調的に水平走査周期で値が変化する基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル増加する正極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、入力画像データの画素値と基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル減少する、正極性用ランプ信号とは逆極性の負極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、第1の保持容量の第1の保持電圧と第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に画素電極に印加する保持電圧読み出し手段とを備え、
正極性用ランプ信号及び負極性用ランプ信号が、水平走査期間内で最大階調値を示す電圧に達してから最小階調値を示す電圧に戻るランプ信号期間の終了時点から次の水平走査期間の開始時点までの期間内で、一組の2本のデータ線の間を短絡するスイッチ手段を、2本のデータ線の組単位で有することを特徴とする。
【0014】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明の液晶表示素子は、対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、入力画像データの画素値と単調的に水平走査周期で値が変化する基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル増加する正極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、入力画像データの画素値と基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル減少する、正極性用ランプ信号とは逆極性の負極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、第1の保持容量の第1の保持電圧と第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に画素電極に印加する保持電圧読み出し手段とを備え、
正極性用ランプ信号及び負極性用ランプ信号が、水平走査期間内で最大階調値を示す電圧に達してから最小階調値を示す電圧に戻るランプ信号期間の終了時点から次の水平走査期間の開始時点までの期間内で、一組の2本のデータ線のうち一方のデータ線の電位を正極性用ランプ信号の最小階調値を示す電圧の第1の電圧源に接続する第1のスイッチ手段と、他方のデータ線の電位を負極性用ランプ信号の最小階調値を示す電圧の第2の電圧源に接続する第2のスイッチ手段とを、2本のデータ線の組単位で有することを特徴とする。
【0015】
また、上記の目的を達成するため、第3の発明の液晶表示素子の駆動方法は、対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、入力画像データの画素値と単調的に水平走査周期で値が変化する基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル増加する正極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、入力画像データの画素値と基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル減少する、正極性用ランプ信号とは逆極性の負極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、第1の保持容量の第1の保持電圧と第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に画素電極に印加する保持電圧読み出し手段とを備える液晶表示素子に対して、
正極性用ランプ信号及び負極性用ランプ信号が、水平走査期間内で最大階調値を示す電圧に達してから最小階調値を示す電圧に戻るランプ信号期間の終了時点から次の水平走査期間の開始時点までの期間内で、各組の2本のデータ線の間を組毎に短絡する短絡ステップを含むことを特徴とする。
【0016】
更に、上記の目的を達成するため、第4の発明の液晶表示素子の駆動方法は、対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、入力画像データの画素値と単調的に水平走査周期で値が変化する基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル増加する正極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、入力画像データの画素値と基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル減少する、正極性用ランプ信号とは逆極性の負極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、第1の保持容量の第1の保持電圧と第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に画素電極に印加する保持電圧読み出し手段とを備える液晶表示素子に対して、
正極性用ランプ信号及び負極性用ランプ信号が、水平走査期間内で最大階調値を示す電圧に達してから最小階調値を示す電圧に戻るランプ信号期間の終了時点から次の水平走査期間の開始時点までの期間内で、各組の2本のデータ線のうち一方のデータ線の電位を正極性用ランプ信号の最小階調値を示す電圧の第1の電圧源に接続する第1の接続ステップと、第1の接続ステップと同時に、各組の2本のデータ線のうち他方のデータ線の電位を負極性用ランプ信号の最小階調値を示す電圧の第2の電圧源に接続する第2の接続ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、前ラインでデータ線に書き込まれたランプ信号の階調電圧が次ラインの水平走査期間の開始時にランプ信号入力側に逆流し、ランプ信号を歪ませてしまうことで生じるいわゆる「黒浮き」の画像ノイズを低減し、高品位な画像表示ができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の液晶表示素子の第1の実施の形態を有する液晶表示装置のブロック図である。
【図2】本発明の液晶表示素子の第1の実施の形態の要部の回路図である。
【図3】図1及び図2の動作説明用タイミングチャートである。
【図4】本発明の液晶表示素子の第2の実施の形態の要部の回路図である。
【図5】従来の液晶表示素子における黒浮きノイズの発生を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明の各実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明になる液晶表示素子の第1の実施の形態を有する液晶表示装置のブロック図を示す。液晶表示装置100は、デジタル映像信号である画像データが供給されるシフトレジスタ及びコンパレータ101と、ビデオスイッチ等からなる水平駆動回路102と、2本一組で全部でn組(nは2以上の自然数)のデータ線(列信号線)Di+、Di-(i=1,2,3,・・・,n)と、全部でm本(mは2以上の自然数)のゲート線(行走査線)G1〜Gmとの各交差部にマトリクス状に配置された全部でm×n個の画素10311〜103mnと、垂直駆動回路14と、n個のスイッチSW1〜SWnとから構成される。本実施の形態は、n個のノイズ低減用のスイッチSW1〜SWnを設けた点に特徴がある。
【0021】
シフトレジスタ及びコンパレータ101は、入力される画像データをシフトレジスタにより1ライン分保持した後コンパレータに供給する。シフトレジスタ及びコンパレータ101内のコンパレータは、n組のデータ線に対応して各列毎にn個設けられている。このn個のコンパレータは、カウンタから例えば最小階調値から最大階調値まで水平走査期間内で一定期間毎に段階的に変化する基準階調データ(階調カウント値)が共通に供給される一方、上記のシフトレジスタにより保持された画像データが1ラインのn画素の各画素単位で供給されて両者を比較し、両者が一致した時一致パルスを水平駆動回路102内の対応して設けられたビデオスイッチに供給する。
【0022】
水平駆動回路102は、2本一組のデータ線(列信号線)Di+、Di-のうち、正極性用データ線Di+に接続された正極性用ビデオスイッチと、負極性用データ線D-に接続された負極性用ビデオスイッチとが、各組のデータ線単位で全部でn組設けられると共に、前述したシフトレジスタ及びコンパレータ101内のn個のコンパレータのうち対応して設けられたコンパレータから一致パルスが供給される構成である。
【0023】
また、水平駆動回路102内の各組の正極性用ビデオスイッチ及び負極性用ビデオスイッチのうち、正極性用ビデオスイッチには、1H内で映像の最小階調値(黒レベル)から最大階調値(白レベル)までレベルが単調的に増加する周期的な掃引信号である正極性用ランプ信号RAMP+が供給される。一方、負極性用ビデオスイッチには、正極性用ランプ信号RAMP+と所定の電位について反転関係にあり、1H内で最小階調値(黒レベル)から最大階調値(白レベル)までレベルが単調的に減少する周期的な掃引信号である負極性用ランプ信号RAMP-が供給される。正極性用ランプ信号RAMP+と負極性用ランプ信号RAMP-とは、入力画像データの水平走査期間及び階調カウント値生成用のカウンタに供給されるクロックと互いに同期している。
【0024】
垂直駆動回路104は、画素10311〜103mnからなる画素部のうち、各行(ライン)のn個の画素に接続されたゲート線G1〜Gmに対して1水平走査期間(1H)毎に行選択信号を供給して、各ラインの画素を上から下方向に順番に選択する。
【0025】
また、スイッチSW1〜SWnは、n組のデータ線に対応して各組単位で、画素10311〜103mnからなる画素部と水平駆動回路102との間に、各組の2本の正極性用データ線及び負極性用データ線を短絡又は開放するように設けられている。すなわち、スイッチSW1〜SWnは、画素部の各列のm個の画素毎に共通に設けられている。
【0026】
図2は、本発明になる液晶表示素子の第1の実施の形態の要部の回路図を示す。図2は、画素部のj行i列目の一つの画素103jiと、i組目の2本のデータ線Di+及びDi-の間に設けられた一つのスイッチSWiとからなる本実施の形態の液晶表示素子の要部を示す。
【0027】
画素103jiは、ゲート線Gjにゲートが接続された画素選択トランジスタQ1及びQ2と、画素選択トランジスタQ1、Q2の各ソースに一端がそれぞれ接続され、他端が共通電極線7に共通に接続された保持容量(キャパシタ)C1及びC2と、画素選択トランジスタQ1と保持容量C1との接続点、及び画素選択トランジスタQ2と保持容量C2との接続点に入力端がそれぞれ接続されたバッファアンプA1及びA2と、バッファアンプA1及びA2の各出力端に一端が接続された切り替えスイッチS1及びS2と、切り替えスイッチS1及びS2の各他端の共通接続点と共通電極線7との間に接続された液晶駆動用の保持容量C3と、光反射性及び導電性を有する画素電極4とを含む構成とされている。画素電極4は図示しない光透過性及び導電性を有する共通電極と離間対向配置され、それらの間に液晶層が挟持されて公知の構成の表示素子を構成している。なお、保持容量C3は省略することも可能である。
【0028】
画素選択トランジスタQ1及びQ2の各ドレインは、正極性用データ線Di+、負極性用データ線Di-に別々に接続されている。正極性用データ線Di+、負極性用データ線Di-にそれぞれ正極性電圧と負極性電圧を保持し、次のフレームの映像信号が書き込まれるまでの1フレーム期間の途中の任意の周期で切り替えスイッチS1及びS2により正負極性の駆動電圧を切り替えることにより、液晶の交流駆動を高速に行うことが可能になる。正極性用データ線Di+には水平駆動回路102内の図示しない正極性用ビデオスイッチからの正極性用ランプ信号RAMP+が供給され、負極性用データ線Di-には水平駆動回路102内の図示しない負極性用ビデオスイッチからの負極性用ランプ信号RAMP-が供給される。
【0029】
スイッチSWiは、正極性用データ線Di+と負極性用データ線Di-との間に設けられ、i列目の2つのビデオスイッチが同時にオンになる直前のタイミングで一度だけオンとなり、これにより正極性用データ線Di+及び負極性用データ線Di-に充電された電圧を正負で中和する機能を持つ。
【0030】
次に、図1の液晶表示装置、及び図2の本実施の形態の液晶表示素子の回路の動作について図3のタイミングチャートを併せ参照して説明する。
【0031】
まず、水平走査期間の開始時刻t11で水平駆動回路102内のn組あるビデオスイッチのすべてが同時にオンとされる。図5(A)はn組あるビデオスイッチのうちi列目の正極性ビデオスイッチ又は負極性用ビデオスイッチのオン/オフタイミングを示し、時刻t11ではハイレベルで模式的に示すようにオンとされる。なお、同じ組の正極性ビデオスイッチ及び負極性用ビデオスイッチのオン/オフタイミングは同一である。
【0032】
i列目のビデオスイッチのオンにより、正極性用データ線Di+には図3(C)に示す1H内で映像の最小階調値(黒レベル)から最大階調値(白レベル)までレベルが単調的に増加する正極性用ランプ信号RAMP+が供給され、負極性用データ線Di-には図3(D)に示す1H内で映像の最小階調値(黒レベル)から最大階調値(白レベル)までレベルが単調的に減少する負極性用ランプ信号RAMP-が供給される。なお、図3(C)、(D)に示すように、正極性用ランプ信号RAMP+と負極性用ランプ信号RAMP-とは、1H以内の所定期間経過後に時刻t11の元のレベルに戻る1H周期波形である。
【0033】
一方、前述したように、シフトレジスタ101内のコンパレータは、画像データと階調カウント値とを比較しており、画像データ中のj行目の1ラインのi番目の画素値が階調カウンタ値と時刻t12で一致したとすると、その時刻t12でコンパレータから出力される一致パルスによりi列目の画素に対応して設けられたi列目のビデオスイッチが図3(A)にローレベルで模式的に示すように時刻t12でオフとされる。これにより、正極性用データ線Di+に供給されている図3(C)に示す正極性用ランプ信号RAMP+の時刻t12における電圧V1が画素選択トランジスタQ1によりサンプリングされて保持容量C1に保持される。また、これと同時に、負極性用データ線Di-に供給されている図3(D)に示す負極性用ランプ信号RAMP-の時刻t12における電圧V2が画素選択トランジスタQ2によりサンプリングされて保持容量C2に保持される。上記の電圧V1、V2は画像データをDA変換したアナログ電圧である。なお、正極性用データ線Di+の寄生容量にも電圧V1が保持され、負極性用データ線Di-の寄生容量にも電圧V2が保持される(トランジスタQ1、Q2の閾値電圧は説明の便宜上無視する)。
【0034】
スイッチS1及びS2は垂直走査周波数よりも高い周波数で交互にオン/オフに制御されるため、保持容量C1に保持された電圧V1はスイッチS1のオン期間、画素電極4に印加され、保持容量C2に保持された電圧V2はスイッチS2のオン期間、画素電極4に印加されることで液晶表示素子は高い周波数で交流駆動される。なお、図2では図示を省略したが、画素電極4に対向して配置された共通電極(透明電極)には共通電極電圧が印加される。この共通電極電圧は、画素電極に保持容量C1に保持された電圧が印加される期間はローレベルで、画素電極に保持容量C2に保持された電圧が印加される期間はハイレベルになるように保持電圧の切り替えに同期して切り替えられている。これにより、液晶層への電圧の印加方向は逆になるが、同じ階調の電圧V1、V2が印加されるときには液晶層への電圧は同じ値となり、同じ明るさになるようにされている。
【0035】
続いて、正極性用ランプ信号RAMP+と負極性用ランプ信号RAMP-とがそれぞれ最大階調値を示すレベルに達してから元の最小階調値を示すレベルに戻った(すなわち、ランプ信号期間の終了)後から、次の水平走査期間の開始時刻t15までの間の僅かの期間内の時刻t13から時刻t14までの期間、図示しないコントローラから供給されるスイッチング制御信号により図1のスイッチSW1〜SWnが同時にオンとされる。従って、スイッチSWiも上記の時刻t13から時刻t14の間の期間、図5(B)にハイレベルで模式的に示すようにオンに制御される。
【0036】
スイッチSWiがオンになると、正極性用データ線Di+と負極性用データ線Di-とが短絡されるため、図5(C)、(D)に点線で示すように正極性用データ線Di+に保持されている電圧V1と負極性用データ線Di-に保持されている電圧V2の中間の電圧(V1+V2)/2にほぼ等しい電圧に中和されて正極性用データ線Di+と負極性用データ線Di-に保持される。
【0037】
正極性用データ線Di+と負極性用データ線Di-の各電位は、スイッチSWiが時刻t14でオフになっても上記の中間電圧に保持されており、次の水平走査期間の開始時刻t15で全てのビデオスイッチが同時にオンになった時に、正極性用ランプ信号RAMP+、負極性用ランプ信号RAMP-の電位に戻る。
【0038】
このとき、図5(C)、(D)に点線で示すように正極性用データ線Di+と負極性用データ線Di-に保持されていた前記中間電圧がオンとされたビデオスイッチを通してランプ信号入力側に逆流し、従来と同様に一時的に正極性用ランプ信号RAMP+の電圧が持ち上がり、負極性用ランプ信号RAMP-の電圧が持ち下がることとなる。
【0039】
しかしながら、本実施の形態では、次の水平走査期間が開始される時刻t15では、スイッチSWiのオンにより図5(C)、(D)に点線で示すように正極性用データ線Di+と負極性用データ線Di-に保持されている電圧が前記中間電圧に戻っているため、正極性用ランプ信号RAMP+の持ち上がる電圧レベルと、負極性用ランプ信号RAMP-の持ち下がる電圧レベルとが従来のほぼ半分である。
【0040】
従って、ランプ信号に歪が生じるために入力画像データに対し所望の階調からのずれが生じる、いわゆる黒浮きの画像ノイズとなってしまう期間を、本実施の形態では図3にYで示すように、従来の期間Xに比べて短かくでき、ランプ信号RAMP+及びRAMP-の波形歪みを少なく抑制することができるため、本実施の形態によれば、黒浮きの画像ノイズを低減することができる。
【0041】
また、前ラインで書き込んだ階調が明るいほど、すなわち、正極性用ランプ信号RAMP+ではサンプリングされた電圧が高いほど、負極性用ランプ信号RAMP-ではサンプリングされた電圧が低いほど黒浮きノイズは大きくなってしまう。逆に、前ラインで書き込んだ階調が暗い時は黒浮きノイズは少なくなる。このように前ラインで書き込んだ階調により次ラインの黒浮き度合いが変化してしまうことも画像ノイズ発生の原因となってしまう。しかし、本実施の形態ではスイッチSWi〜SWnにて各組の2本のデータ線Di+とDi-との間の電位を中和するようにしているため、前ラインの階調に依存せずスイッチSWi〜SWnをオンにした後の各組の2本のデータ線Di+とDi-の電位は共に常に同じ値になるため、安定した高品質の画像を得ることができるという効果も得られる。
【0042】
(第2の実施の形態)
次に、本発明になる液晶表示素子の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の液晶表示素子を備える液晶表示装置の基本的な構成は図1と同様である。本実施の形態の液晶表示素子は、スイッチSW1〜SWnの代わりに、各組の正極性用データ線Di+に対して第1のスイッチを設けると共に、負極性用データ線Di-に対して第2のスイッチを設ける構成としたものである。すなわち、本実施の形態では、各組の2本のデータ線に対してそれぞれ別々に2つのスイッチを設けたものである。従って、本実施形態は、第1の実施の形態に比べてスイッチ数が多くなるが、所期の効果は得られる。
【0043】
図4は、本発明になる液晶表示素子の第2の実施の形態の要部の回路図を示す。同図中、図2と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。図4において、第1のスイッチSWAは正極性用データ線Di+とGND電位の電圧源との間に接続され、第2のスイッチSWBは負極性用データ線Di-と電位VDDの電圧源との間に接続されている。スイッチSWAとSWBとは画素部の各列のm個の画素毎に共通に設けられている。
【0044】
上記のスイッチSWAとSWBとは連動して動作し、i列目の2つのビデオスイッチが同時にオンになる直前の、ランプ信号期間の終了後の期間内で一度だけオンとなる。すなわち、各水平走査期間内のランプ信号期間の終了時刻から次に水平走査期間が始まる時刻までの僅かの期間内においてのみ、スイッチSWAとSWBとが同時にオンとされる。
【0045】
例えば、図3に示した時刻t13から時刻t14までの期間内で、スイッチSWAがオンとされると正極性用データ線Di+の電位はビデオスイッチオン時の本来の正極性用ランプ信号RAMP+の最小階調値を示すGND電位の電圧源に接続され、スイッチSWBがオンとされると負極性用データ線Di-の電位はビデオスイッチオン時の本来の負極性用ランプ信号RAMP-の最小階調値を示すVDD電位の電圧源に接続される。
【0046】
ただし、本実施の形態では、実際には時刻t13でスイッチSWA、SWBをそれぞれオンにしても、正極性用データ線Di+の電位は直ちにGND電位になるのではなく、ある時定数に従って漸次GND電位に向かって降下していき、時刻t15直後にGND電位になる。同様に、負極性用データ線Di-の電位は直ちにVDDになるのではなく、ある時定数に従って漸次VDD電位に向かって上昇していき、時刻t15直後にVDD電位になる。従って、本実施の形態でも、前ラインの階調に対する依存性は若干残るが、第1の実施の形態と同様にいわゆる黒浮きの画像ノイズとなってしまう期間を従来より短くすることができ、その結果、黒浮きの画像ノイズを低減することができる。
【符号の説明】
【0047】
100 液晶表示装置
101 レジスタ及びコンパレータ
102 水平駆動回路(ビデオスイッチ等)
10311〜103mn 画素
104 垂直駆動回路
SW1〜SWn、SWA、SWB ノイズ低減用スイッチ
Di+ 正極性用データ線(列信号線)
Di- 負極性用データ線(列信号線)
G1〜Gm ゲート線(行走査線)
Q1、Q2 画素選択トランジスタ
C1、C2、C3 保持容量(キャパシタ)
A1、A2 バッファアンプ
S1、S2 切り替えスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本のゲート線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、
入力画像データの画素値と単調的に水平走査周期で値が変化する基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル増加する正極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、
前記入力画像データの画素値と前記基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル減少する、前記正極性用ランプ信号とは逆極性の負極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、
前記第1の保持容量の第1の保持電圧と前記第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に前記画素電極に印加する保持電圧読み出し手段と
を備え、
前記正極性用ランプ信号及び前記負極性用ランプ信号が、水平走査期間内で前記最大階調値を示す電圧に達してから最小階調値を示す電圧に戻るランプ信号期間の終了時点から次の水平走査期間の開始時点までの期間内で、一組の前記2本のデータ線の間を短絡するスイッチ手段を、前記2本のデータ線の組単位で有することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項2】
2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本のゲート線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、
入力画像データの画素値と単調的に水平走査周期で値が変化する基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル増加する正極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、
前記入力画像データの画素値と前記基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル減少する、前記正極性用ランプ信号とは逆極性の負極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、
前記第1の保持容量の第1の保持電圧と前記第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に前記画素電極に印加する保持電圧読み出し手段と
を備え、
前記正極性用ランプ信号及び前記負極性用ランプ信号が、水平走査期間内で前記最大階調値を示す電圧に達してから最小階調値を示す電圧に戻るランプ信号期間の終了時点から次の水平走査期間の開始時点までの期間内で、一組の前記2本のデータ線のうち前記一方のデータ線の電位を前記正極性用ランプ信号の最小階調値を示す電圧の第1の電圧源に接続する第1のスイッチ手段と、前記他方のデータ線の電位を前記負極性用ランプ信号の最小階調値を示す電圧の第2の電圧源に接続する第2のスイッチ手段とを、前記2本のデータ線の組単位で有することを特徴とする液晶表示素子。
【請求項3】
2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本のゲート線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、
入力画像データの画素値と単調的に水平走査周期で値が変化する基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル増加する正極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、
前記入力画像データの画素値と前記基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル減少する、前記正極性用ランプ信号とは逆極性の負極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、
前記第1の保持容量の第1の保持電圧と前記第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に前記画素電極に印加する保持電圧読み出し手段と
を備える液晶表示素子に対して、
前記正極性用ランプ信号及び前記負極性用ランプ信号が、水平走査期間内で前記最大階調値を示す電圧に達してから最小階調値を示す電圧に戻るランプ信号期間の終了時点から次の水平走査期間の開始時点までの期間内で、各組の前記2本のデータ線の間を組毎に短絡する短絡ステップを含むことを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。
【請求項4】
2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本のゲート線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、
入力画像データの画素値と単調的に水平走査周期で値が変化する基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル増加する正極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、
前記入力画像データの画素値と前記基準階調データが示す階調値とが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して水平走査周期内で最小階調値を示す電圧から最大階調値を示す電圧まで単調的にレベル減少する、前記正極性用ランプ信号とは逆極性の負極性用ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、
前記第1の保持容量の第1の保持電圧と前記第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に前記画素電極に印加する保持電圧読み出し手段と
を備える液晶表示素子に対して、
前記正極性用ランプ信号及び前記負極性用ランプ信号が、水平走査期間内で前記最大階調値を示す電圧に達してから最小階調値を示す電圧に戻るランプ信号期間の終了時点から次の水平走査期間の開始時点までの期間内で、各組の前記2本のデータ線のうち前記一方のデータ線の電位を前記正極性用ランプ信号の最小階調値を示す電圧の第1の電圧源に接続する第1の接続ステップと、
前記第1の接続ステップと同時に、各組の前記2本のデータ線のうち前記他方のデータ線の電位を前記負極性用ランプ信号の最小階調値を示す電圧の第2の電圧源に接続する第2の接続ステップとを
含むことを特徴とする液晶表示素子の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−177822(P2012−177822A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41238(P2011−41238)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】