説明

液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法

【課題】より簡便なプロセスによって、広帯域性を備えた信頼性の高い位相差層をインセル化することが可能な液晶表示装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】第1基板10と第2基板20との間に封止された液晶層LCと、第1基板10における液晶層LC側に設けられた位相差層30とを備えた液晶表示装置1aにおいて、位相差層30は、重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成であって、波長450nmに対する位相差R(450)と波長550nmに対する位相差R(550)とが、R(450)/R(550)≦1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置および液晶表示装置の製造方法に関し、特にはカラー表示において広い視野角を得るための位相差層を設けた液晶表示装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一対の基板間に液晶層を狭持してなる液晶表示装置には、コントラストの改善や視野角特性の向上を目的として、光学補償用の位相差層が設けられている。また、半透過半反射型の液晶表示装置においては、位相差層を円偏光板として用いることにより、1つの画素内に透過表示領域と反射表示領域とを実現している。近年においては、このような位相差層を、液晶表示装置の基板間(いわゆる液晶セル内)に設けてインセル化することにより、装置の薄型化と製造プロセスの簡便化を図る構成が提案されている。
【0003】
ここで、カラー表示の液晶表示装置においては、可視光の広い範囲で良好な視野角が得られるように、いわゆる広帯域性を備えた位相差層が求められている。このような位相差層としては、長波長側に向かって位相差が大きくなる波長分散性(逆分散性)の材料を選択して構成する必要がある。波長分散が逆分散性を示す位相差層として、例えばフルオレン骨格を備えたポリカーボネートからなるものが開示されている(下記特許文献1参照)。
【0004】
しかしながらこのような材料はインセル化に適するものではなく、高分子材料の多くは、長波長側に向かって位相差が小さくなる波長分散(順分散)となる傾向がある。そこで、順分散性の材料からなる位相差層を積層構造とすることにより広帯域性が得られることを利用し、液晶セル内に位相差層を積層構造として設ける構成が提案されている(例えば下記特許文献2参照)。
【0005】
以上のようなインセル化に適する位相差層の構成材料としては、例えば重合型の液晶材料が用いられている。重合型の液晶材料であれば、リソグラフィーによるパターン化が可能であり、液晶セル内の所定箇所(例えば画素内の反射表示部)に位相差層をパターン形成できる。また、積層構造の位相差層としては、重合性のコレステリック液晶を用いた例が開示されている(下記特許文献3参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2005−189632号公報
【特許文献2】特開2003−322857号公報(図4と関連記載部、他参照)
【特許文献3】特開2001−56484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、液晶セル内に位相差層を積層構造として設けるには、位相差層の形成プロセスを2回行う必要がある。したがって、例えば半透過反射型の液晶表示装置のように画素内の反射表示部のみに位相差層をパターン形成する構成であれば、2度のリソグラフィー工程を重ね合わせて行う必要があるため、製造工程数が多く手間が掛かった。
【0008】
そこで本発明は、より簡便なプロセスによって、広帯域性を備えた信頼性の高い位相差層をインセル化することが可能な液晶表示装置およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このような目的を達成するための本発明の液晶表示装置は、2枚の基板と、当該基板間に封止された液晶層と、基板のうちの一方の基板における液晶層側に設けられた位相差層とを備えている。そして特に位相差層は、重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成であって、波長450nmに対する位相差R(450)と波長550nmに対する位相差R(550)とが、R(450)/R(550)≦1であることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、このような構成の液晶表示装置の製造方法でもあり、位相差層を形成する際には、第1の基板上に予め形成した配向膜上に重合性液晶モノマーを含有する溶液を塗布して位相差層形成膜を形成する第1工程と、位相差層形成膜に対して配向処理を行う第2工程と、配向処理された相差層形成膜に含有される前記重合性液晶モノマーを三次元架橋させて、当該位相差層形成膜を硬化させる第3工程とを行う。
【0011】
このような構成では、2枚の基板間に液晶層が封止された液晶セル内に、上記リタデーション条件であって逆分散性の位相差層が設けられることになる。このため、単層構造でありながらもより広い波長帯域に対応する位相差層がインセルで配置されることになる。またこの位相差層は重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成を備えているため、耐熱性および耐薬品性に優れている。
【発明の効果】
【0012】
以上より本発明によれば、単層構造でありながらも広帯域性を備え、かつ耐熱性および耐薬品性に優れた信頼性の高い位相差層を、インセル化した液晶表示装置を実現することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。先ず、実施形形態の液晶表示装置に設けられる位相差層、位相差層の形成方法、位相差層を用いた液晶表示装置の構成の順に説明を行う。
【0014】
<位相差層>
本発明の液晶表示装置に用いる位相差層は、重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成を第1の特徴としている。またこの位相差層は、波長450nmに対する位相差R(450)と波長550nmに対する位相差R(550)とが、R(450)/R(550)≦1であって順分散ではなく、好ましくは逆分散性であることを第2の特徴としている。
【0015】
図1には、波長に対する位相差(リタデーション)のグラフを示す。このグラフに示すように、本発明で用いる位相差層は、グラフ中の破線で示すような長波長帯域ほどリタデーションが低くなる順分散性ではなく、好ましくはグラフ中の実践で示すような長波長帯域ほどリタデーションが高くなる逆分散性であることとする。
【0016】
以上のような位相差層は、例えば下記化合物(1)〜(5)の、いわゆる重合性液晶モノマーであって放射線硬化型の液晶(ネマチック液晶)を単独または必要に応じて2種類以上を配向させた状態で三次元架橋させた構成であることとする。
【0017】
【化1】

【0018】
<位相差層の形成方法−1>
図2は、上述したような位相差層の形成手順の第1例を示すフローチャートであり、以下このフローチャートに従って位相差層の形成方法の第1例を説明する。
【0019】
先ず、ステップS1では、配向機能を有する配向面を備えた基板を用意する。ここでは例えば、ガラス基板上に配向膜を形成する。配向膜の形成は、公知の用法を適用することができる。配向膜には、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール等、通常の液晶表示装置に用いられる配向膜が用いられる。このような配向膜のラビング処理はレーヨン、綿、ポリアミド、ポリメチルメタアクリレート等の素材からなる選ばれるラビング布を金属ロールに捲きつけ、これをフィルムに接した状態で回転させるか、ロールを固定したままフィルムを搬送することにより、フィルム面をラビングで摩擦する通常の方法が適用される。尚、配向面を備えた基板として、もともと配向機能を有する支持フィルムを基板として用意しても良い。
【0020】
次に、ステップS2では、基板の配向面上に位相差層形成膜を塗布成膜する。化合物(1)〜(5)として例示した重合性液晶モノマーを含有する溶液(塗布液)を配向面上にスピンコートにて塗布成膜する。ただし、位相差層形成膜中における重合性液晶モノマーのうちの50%以上が、2つ以上のアクリレート基を末端に有するものであることとする。これにより、重合性液晶モノマーを三次元架橋させた後の位相差層を、耐熱性および耐薬品性の高いものとすることができる。
【0021】
また、ここでの位相差層形成膜の塗布成膜においては、位相差層の設計膜厚に対応する膜厚で位相差層形成膜を塗布成膜することが重要である。またこの際に用いる塗布液は、上記重合性液晶モノマーの他に、界面活性剤および光重合開始剤など添加剤を適宜、溶剤中に溶解させることによって調整する。尚、最終的に得られる位相差を、逆波長分散性とするには、WO2006/052001などに公開されている各種添加剤を混ぜることにより得ることができる。
【0022】
上記界面活性剤としては、アクリル系、シリコーン系、フッ素系などを単独または複数種を混合したものを用いることができる。アクリル系の材料としては、BYK361、307、325、344、352、354、392(以上、ビックケミー社製商品名)、ポリフロー461(共栄社化学社製商品名)を挙げることができる。フッ素系材料としては、SC101,SC386(以上、AGC社製商品名)、メガファックR−08、R−90、F−430(以上、大日本インキ社製商品名)、DMAOP(アズマックス社製商品名)、シリコーン系材料としては、KF-643、X22-1927(信越化学工業社製商品名)等を用いることができる。
【0023】
界面活性剤の添加量は、液晶の配向を阻害しない範囲で適宜添加することができるが、一般的には液晶材料に対して0.001wt%〜10wt%程度が好ましく、さらに好ましくは、0.01wt%〜5wt%程度が好ましい。
【0024】
このような界面活性剤は、この重合性液晶組成物を用いた光学素子において、重合性液晶モノマーのチルト角を制御するものであり、面内で傾斜角の均一なチルト角で重合性液晶モノマーを配向させた光学素子を形成することができる。
【0025】
また光重合開始剤としては、チオキサントン系光重合開始剤(例、2,4-ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン)、ベンゾフェノン系光重合開始剤(例、ベンゾフェノン、(4−(メチルフェニルチオ)フェニル)フェニルメタノン)やアントラキノン系光重合開始剤(例、エチルアントラキノン)を用いることができる。市販の光重合開始剤(チバジャパン製のIrgacure184、Irgacure369、Irgacure651、Irgacure819、Irgacure907、IrgacureOXE02、IrgacureOXE01、Darocur 1173、Darocur 4265)なども用いることができ、必要に応じて2つをブレンドさせても良い。また、他の光重合開始剤や重合開始助剤をブレンドして用いても良い。添加量としては、一般的に0.01〜15重量%、好ましくは0.1〜12重量%、より好ましくは0.5〜10重量%の範囲で重合性液晶モノマーに添加することができる。
【0026】
次に、ステップS3では、減圧処理によって位相差層形成膜中の溶剤を除去する。
【0027】
その後、ステップS4では、位相差層形成膜に対して配向処理を行う。この際、位相差層形成膜に対して加温処理を行うことにより、位相差層形成膜中の重合性液晶モノマーを液晶相とし、下地の配向面の配向方向に対して配向させる。尚ここの工程での加温は、重合性液晶モノマーが液晶相を示す範囲から架橋しない範囲の低温で行われることが重要である。また、基板における配向面の配向規制力や重合性液晶モノマーが液晶相となる温度範囲によっては、加温処理を行うことなく重合性液晶モノマーが配向面の配向方向に対して配向するため、この加温処理は必要に応じて行えば良い。また重合性液晶モノマーによっては、減圧乾燥処理で配向させることも可能である。
【0028】
次いで、ステップS5では、配向処理された相差層形成膜に対して室温または加温状態で全面露光を行うことにより、位相差層形成膜に含有される重合性液晶モノマーを三次元架橋させて、当該位相差層形成膜を硬化させなる位相差層を得る。ここで露光光(放射線)の光源として、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯などの水銀励起光源、およびキセノン光源等を用いることができる。なかでも、光重合開始剤の感度の大きい波長帯域に強度のピークを有する光源を選択することが好ましい。
【0029】
その後、ステップS6では、熱処理によって位相差層を硬化させる。ここでは、150℃〜230℃の加熱温度で10分〜数時間程度の熱処理を行う。
【0030】
以上により、波長450nmに対する位相差R(450)と波長550nmに対する位相差R(550)とがR(450)/R(550)≦1である位相差層を得る。
【0031】
<位相差層の形成方法−2>
図3は、上述したような位相差層の形成手順の第2例を示すフローチャートであり、以下このフローチャートに従ってパターニングされた位相差層の形成方法の第2例を説明する。
【0032】
先ずステップS1〜ステップS4を、先の第1例と同様に行い、化合物(1)〜(5)として例示した重合性液晶モノマーを含有する位相差層形成膜に対して加温による配向処理を行う。
【0033】
その後、新たなステップS21では、位相差層形成膜を室温にまで冷却する。
【0034】
次に、ステップS22では、位相差層形成膜に対してフォトマスクなどを介してパターン露光を行うことにより、露光部のみにおいて重合性液晶モノマーを三次元架橋させる。また、このパターン露光における露光光(放射線)の光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯などの水銀励起光源、およびキセノン光源等を用いることができる。なかでも、光重合開始剤の感度の大きい波長帯域に強度のピークを有する光源を選択することが好ましい。
【0035】
次いで、ステップS23では、位相差層形成膜が可溶な現像液を用いて現像処理を行う。現像液としては、位相差形成膜が可溶であれば良く、無機アルカリ水溶液、有機アルカリ水溶液、有機溶媒などが用いられる。これにより、先のステップS22におけるパターン露光によって重合性液晶モノマーを三次元架橋させた部分のみをのみを残すように当該位相差層形成膜をパターニングしてなる位相差層を得る。尚、現像処理後にはリンス液を用いた洗浄処理を行なっても良い。
【0036】
またステップS24では、乾燥処理を行うことにより、現像液およびリンス液を除去する。また、別のパターニング手法として、未露光部を温度調整により等方相にし、光または熱にて硬化させる手法を用いても良い。
【0037】
以上の後には、第1例と同様にステップS6として熱処理によって位相差層を硬化させる。ここでは、150℃〜230℃の加熱温度で10分〜数時間程度の熱処理を行う。
【0038】
以上により、波長450nmに対する位相差R(450)と波長550nmに対する位相差R(550)とがR(450)/R(550)≦1である位相差層を得る。この位相差層は、基板上にステップS22で行ったパターン露光に応じた形状でパターニングされてものとなる。
【0039】
<液晶表示装置−1>
図4は、本発明を適用した透過型の液晶表示装置の構成を示す断面構成図である。以下、この図に基づいて第1実施形態の液晶表示装置の構成を説明する。
【0040】
この図に示す液晶表示装置1aは、透過型の液晶表示装置であり、透明材料からなる第1基板10と第2基板20との間に液晶層LCが封止されている。そして、第2基板20における液晶層LC側に上述した構成の順分散性ではない位相差層30が設けられている。また第1基板10の外側面には、透過表示の視野角を補償や透過率を確保するための位相差板41が密着状態で設けられている。またらさらに第1基板10および第2基板20の外側面に、クロスニコルに偏光板43,45が密着状態で設けられている。そして第1基板10側に配置された偏光板43の外側には、バックライト47、および反射板39がこの順に配置されている。
【0041】
このうち第1基板10は、ガラス基板のような透明基板からなる。この第1基板10における液晶層LCに向かう面上には、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)等を用いた駆動回路を絶縁膜で覆ってなる駆動回路層11が設けられている。そして、この駆動回路層11上には透明画素電極13tが配列形成され、これらの透明画素電極13tを覆う状態で配向膜15が設けられている。
【0042】
一方、第2基板20は、ガラス基板のような透明基板からなる。この第2基板20における液晶層LCに向かう面上には、位相差層30の下地となる配向膜21が設けられている。そして、この配向膜21の配向軸に沿って配向してなる上述の位相差層30が、第2基板20における表示領域の全面に設けられている。このような位相差層30の位相差は、液晶表示装置1aの表示モード毎に設定される光学設計に基づいて適宜設定され、例えば可視光(例えば波長550nm)でのリデーションとして50nm〜400nmの範囲で設定されることとする。またこのような位相差層30は、図2のフローチャートを用いて説明した製造方法を適用して形成されている。また、配向膜の配向軸(位相差層の遅相軸または進相軸)についても液晶表示装置1aの表示モード毎に設定される光学設計に基づいて適宜設定され、偏光板45の透過軸に対して0〜90°に設定されていることとする。
【0043】
またこの位相差層30上には、R(赤)、G(緑)、B(青)各色のカラーフィルタと必要に応じてブラックマトリックスを設けたカラーフィルタ層23が設けられている。さらにこの上部には、透明導電性材料からなる共通電極25および配向膜27がこの順に設けられている。この配向膜27は、例えば第1基板10側に設けられた配向膜15に対して反平行にラビング処理または配向処理されたものであることとする。
【0044】
尚、液晶層LCは、以上の第1基板10-第2基板20の周縁に設けられた封止剤29によって、これらの基板10−20間に充填封止されている。
【0045】
以上のように構成された第1実施形態の透過型の液晶表示装置1aでは、基板10−20間に液晶層LCが封止された液晶セル内に、上記リタデーション条件であって順分散性ではなく好ましくは逆分散性の位相差層30が設けられることになる。このため、コントラストに優れ表示品位が良く、しかも単層構造でありながらもより広い波長帯域に対応する位相差層30がインセルで配置されることになる。また、この位相差層30は重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成を備えているため、耐熱性および耐薬品性に優れている。
【0046】
この結果、以上の液晶表示装置1aは、単層構造でありながらも広帯域性を備え、かつた耐熱性および耐薬品性に優れた信頼性の高い位相差層30をインセル化したてものであるため、製造プロセスの簡便化と信頼性の向上が図られたものとなる。
【0047】
尚、上記液晶層LCが、ホメオトロピック配向の液晶分子を用いて構成されている場合、この液晶表示装置1aはVAモードで駆動されるものとなる。そしてこのようなVAモード型の液晶表示装置において、逆波長分散型の位相差層30を透過部に設けることにより、透過率アップや斜め方向からのコントラストアップなど透過表示品位も優れた液晶表示装置を提供することができる。またこの液晶層LCがホモジニアス配向する液晶分子で構成されている場合であれば、この液晶表示装置1aは、ECBモードや横電界モードで駆動されるものとなる。そしてこのような液晶表示装置において、逆波長分散型の位相差板を透過部に設けることにより、透過率アップや斜め方向からのコントラストアップなど透過表示品位も優れた液晶表示装置を提供することができる。
【0048】
<液晶表示装置−2>
図5は、本発明を適用した透過型の液晶表示装置の構成を示す断面構成図である。以下、この図に基づいて第2実施形態の液晶表示装置の構成を説明する。尚、図4を用いて説明した構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0049】
この図に示す液晶表示装置1bは、透過型の液晶表示装置であり、図4を用いて説明した第1実施形態の液晶表示装置と異なるところは、第2基板20の液晶層LC側の積層順にあり、他の構成は同様である。
【0050】
すなわち、第2基板20における液晶層LCに向かう面上には、カラーフィルタ層23が設けられ、これを覆う状態で表面平坦な保護絶縁膜31が設けられている。そしてこの保護絶縁膜31上に配向膜21を介して上述した構成の順分散性ではない位相差層30が全面に設けられ、この位相差層30を覆う状態で、共通電極25および配向膜27がこの順に設けられている。尚、このような位相差層30の位相差は、液晶表示装置1bの表示モード毎に設定される光学設計に基づいて適宜設定され、例えば可視光(例えば波長550nm)でのリデーションとして50nm〜400nmで設定されることと、配向軸は偏光板45の透過軸に対して0〜90°に設定することは第1実施形態と同様である。
【0051】
以上のように構成された第2実施形態の透過型の液晶表示装置1bであっても、基板10−20間に液晶層LCが封止された液晶セル内に、順分散性ではなく好ましくは逆分散性であって重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成の位相差層30を設けているため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0052】
<液晶表示装置−3>
図6は、本発明を適用した反射型の液晶表示装置の構成を示す断面構成図である。以下、この図に基づいて第3実施形態の液晶表示装置の構成を説明する。尚、図4,5を用いて説明した先の実施形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0053】
この図に示す液晶表示装置1cは、反射型の液晶表示装置であり、第1基板10と透明材料からなる第2基板20との間に液晶層LCが封止され、第2基板20における液晶層LC側に上述した構成の順分散性ではない位相差層30が全面に設けられている。また第2基板20の外側面のみに偏光板45が密着状態で設けられている。
【0054】
このうち第1基板10における液晶層LCに向かう面上には、駆動回路層11が設けられ、この上部には反射層を兼ねた画素電極13’が配列形成され、これらの画素電極13’を覆う状態で配向膜15が設けられている。
【0055】
一方、第2基板20側の構成は第1実施形態と同様である。すなわち第2基板20は、ガラス基板のような透明基板からなる。この第2基板20における液晶層LCに向かう面上には、配向膜21を介して上述の位相差層30が全面に設けられ、さらにカラーフィルタ層23、共通電極25、および配向膜27がこの順に設けられている。この配向膜27は、例えば第1基板10側に設けられた配向膜15に対して例えば反平行にラビング処理または配向処理されたものであることとする。尚、このような位相差層30の位相差は、液晶表示装置1cの表示モード毎に設定される光学設計に基づいて適宜設定され、例えば可視光(例えば波長550nm)でのリデーションとして50nm〜400nmで設定されることと、配向軸は偏光板45の透過軸に対して0〜90°に設定することは第1実施形態と同様である。
【0056】
以上のように構成された第3実施形態の反射型の液晶表示装置1cであっても、基板10−20間に液晶層LCが封止された液晶セル内に、順分散性ではなく好ましくは逆分散性であって重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成の位相差層30を設けているため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0057】
<液晶表示装置−4>
図7は、本発明を適用した反射型の液晶表示装置の構成を示す断面構成図である。以下、この図に基づいて第4実施形態の液晶表示装置の構成を説明する。尚、図4〜6を用いて説明した先の実施形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0058】
この図に示す液晶表示装置1dは、反射型の液晶表示装置であり、図6を用いて説明した第3実施形態の液晶表示装置と異なるところは、第2基板20の液晶層LC側の積層順にあり、他の構成は同様である。
【0059】
すなわち、第2基板20における液晶層LCに向かう面上には、カラーフィルタ層23が設けられ、これを覆う状態で表面平坦な保護絶縁膜31が設けられている。そしてこの保護絶縁膜31上に配向膜21を介して上述した構成の順分散性ではない位相差層30が全面に設けられ、この位相差層30を覆う状態で、共通電極25および配向膜27がこの順に設けられている。尚、このような位相差層30の位相差は、液晶表示装置1dの表示モード毎に設定される光学設計に基づいて適宜設定され、例えば可視光(例えば波長550nm)でのリデーションとして50nm〜400nmで設定されることと、配向軸は偏光板45の透過軸に対して0〜90°に設定することは第1実施形態と同様である。
【0060】
以上のように構成された第4実施形態の反射型の液晶表示装置1dであっても、基板10−20間に液晶層LCが封止された液晶セル内に、順分散性ではなく好ましくは逆分散性であって重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成の位相差層30を設けているため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0061】
<液晶表示装置−5>
図8は本発明を適用した半透過半反射型の液晶表示装置の構成を示す断面構成図であり、図9は図8の液晶表示装置における1画素分の構成を示す要部の断面構成図である。以下、この図に基づいて第5実施形態の液晶表示装置の構成を説明する。尚、図4〜7を用いて説明した先の実施形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0062】
これらの図に示す液晶表示装置1eは、半透過半反射型の液晶表示装置であり、透明材料からなる第1基板10と第2基板20との間に液晶層LCが封止され、第2基板20における液晶層LC側に上述した構成の順分散性ではない位相差層30が設けられている。また第1基板10の外側面には、位相差板41が密着状態で設けられ、さらに第1基板10および第2基板20の外側面に、クロスニコルに偏光板43,45が密着状態で設けられている。また第1基板10側に配置された偏光板43の外側には、バックライト47、および反射板39が配置されている。
【0063】
第1基板10の液晶層LCに向かう面上には、駆動回路層11が設けられ、この駆動回路層11上の各画素10aには透明画素電極13tと反射画素電極13rとからなる画素電極が配列形成されている。ここでは、各画素10aにおいて反射画素電極13rが配置された部分が反射表示部10rとなり、透明画素電極13tのみが形成された部分が透過表示部10tとなる。
【0064】
また、特に図9に示されるように、反射表示部13においては、反射画素電極13rが表面凹凸形状の拡散反射層として構成されていることが好ましい。この場合、反射画素電極13rの下地となる反射表示部10rの駆動回路層11において、薄膜トランジスタTrを用いた駆動回路を覆う絶縁膜11aの表面を凹凸形状に整形し、この凹凸形状に沿って反射画素電極13rを設ける。尚、画素電極と薄膜トランジスタTrとは、絶縁膜11aに設けた接続孔hを介して透明画素電極13tまたは反射画素電極13rによって接続させる。
【0065】
そして、以上のような透明画素電極13tと拡散反射層として用いられる反射画素電極13rとからなる画素電極を覆う状態で配向膜15が設けられている。
【0066】
一方、第2基板20の液晶層LCに向かう面上には、カラーフィルタ層23、保護絶縁膜31、配向膜21、上述した構成の順分散性ではない位相差層30が設けられている。この位相差層30は、各画素における反射画素電極13r(すなわち反射表示部10r)に対応してパターン形成されており、図3のフローチャートを用いて説明した製造方法を適用して形成されている。
【0067】
また、特に図9に示されるように、この位相差層30の膜厚によって、反射表示部10rにおける液晶層LCの層厚(セルギャップgr)と、透過表示部10tにおける液晶層LCの層厚(セルギャップgt)とが調整されている。例えば、これらのセルギャップgr,gtは、画素電極13r,13−共通電極25間に電圧を印加した状態において、反射表示部10rで液晶層LCがλ/4の位相差を有し、透過表示部10tで液晶層LCがλ/2の位相差を有する様に設定されていることとする。また位相差層30は、上記膜厚を有すると共に、位相差層30の位相差は、液晶表示装置1eにおける反射表示部10rの表示モード毎に設定される光学設計に基づいて適宜設定され、例えば可視光(例えば波長550nm)でのリデーションとして50nm〜400nmで設定されることと、配向軸は偏光板45の透過軸に対して0〜90°に設定されることとする。
【0068】
そして、以上のような配向膜21および位相差層30を覆う状態で、共通電極25および配向膜27がこの順に設けられている。
【0069】
以上のように構成された第5実施形態の半透過半反射型の液晶表示装置1eあっても、基板10−20間に液晶層LCが封止された液晶セル内に、順分散性ではなく好ましくは逆分散性であって重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成の位相差層30を設けているため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、反射表示部10rにのみ位相差層30をパターン形成したことにより、透過表示にはなんら影響を与えない透過表示品位および反射表示品位に優れた液晶表示装置1eを提供することができる。
【0070】
尚、図9においては、膜トランジスタTrを用いた画素回路を画素10a内に配置した構成を示した。この場合画素回路(薄膜トランジスタTr)付近の配向不良部、光洩れ部や非表示部は遮光することが好ましい。また、画素回路は、画素10aの周辺に配置することが好ましい。
【0071】
<液晶表示装置−6>
図10は本発明を適用した半透過半反射型の液晶表示装置の構成を示す断面構成図であり、図11は図10の液晶表示装置における1画素分の構成を示す要部の断面構成図である。以下、この図に基づいて第6実施形態の液晶表示装置の構成を説明する。尚、図4〜9を用いて説明した先の実施形態の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0072】
この図に示す液晶表示装置1fは、半透過半反射型の液晶表示装置であり、図8,9を用いて説明した第5実施形態の液晶表示装置と異なるところは、第1基板10側に上述した構成の順分散性ではない位相差層30をパターン形成した構成にある。
【0073】
すなわち、第1基板10における液晶層LCに向かう面上には、駆動回路層11が設けられ、この駆動回路層11上の各画素10aにおける反射表示部10aには、アルミニウム(Al)や銀(Ag)さらにはこれらの合金等の金属材料を用いた反射材料層33がパターン形成されている。そして、特に図11に示すように、反射表示部10rにおいては、反射材料層33が表面凹凸形状の拡散反射層として構成されていることが好ましい。この場合、反射材料層33の下地となる反射表示部10rの駆動回路層11において、薄膜トランジスタTrを用いた駆動回路を覆う絶縁膜11aの表面を凹凸形状に整形し、この凹凸形状に沿って反射材料層33を設ける。
【0074】
そして、これらの反射材料層33を覆う状態で位相差層30の下地となる配向膜21が設けられ、この上部に配向膜21に対して等方的に配向してなる上述の位相差層30がパターン形成されている。この位相差層30は、各画素における反射表示部10rに対応してパターン形成されており、図3のフローチャートを用いて説明した製造方法を適用して形成されている。駆動回路層上に配向膜を用いた位相差層を配置する場合は、下層との導通をとるため、あらかじめ配向膜もパターニングしておくか、または位相差層形成後、現像またはドライエッチングなどで除去することが好ましい。
【0075】
ここでは、反射材料層33上が位相差層30で完全に覆われるように、反射材料層33の幅W1、および位相差層30の幅W2を設定することが重要である。このため、反射材料層33の幅W1≦位相差層30の幅W2であって、反射材料層33の幅W1<位相差層30の幅W2であることが好ましい。また位相差層30の下地となる配向膜21が図示したようにパターニングされている場合、位相差層30が所定に位置に形成されるように、位相差層30の幅W2≦配向膜21の幅W3であって、位相差層30の幅W2<配向膜21の幅W3であることが好ましい。
【0076】
また、この位相差層30の膜厚によって、反射表示部10rにおける液晶層LCの層厚(セルギャップgr)と、透過表示部10tにおける液晶層LCの層厚(セルギャップgt)とが調整されている。例えば、これらのセルギャップgr,gtは、画素電極13r,13−共通電極25間に電圧を印加した状態において、反射表示部10rで液晶層LCがλ/4の位相差を有し、透過表示部10tで液晶層LCがλ/2の位相差を有する様に設定されていることとする。また位相差層30は、上記膜厚を有すると共に、位相差層30の位相差は、液晶表示装置1fにおける反射表示部10rの表示モード毎に設定される光学設計に基づいて適宜設定され、例えば可視光に対して550nmでのリデーションとして50nm〜400nmで設定されることと、配向軸は偏光板45の透過軸に対して0〜90°に設定されることは第5実施形態と同様である。
【0077】
以上のような配向膜21および各位相差層30を覆う状態で、各画素10aには反射表示部10rおよび透過表示部10tに共通で透明画素電極13tがパターン形成されている。この透明画素電極13tは、駆動回路を覆う絶縁膜11aに設けた接続孔hを介して薄膜トランジスタTrに接続されている。この接続孔hは、位相差層30の脇に配置されることとする。これにより、上述したように、位相差層30で完全に覆われることを特徴とした反射材料層33が、接続孔hの内壁に露出することもない。このため、例えば接続孔hを形成する際のドライエッチングなどの後プロセスにおいて、反射材料層33を構成する金属材料が変質することが防止される。したがって、反射材料層33の変質による反射特性の劣化を防止でき、反射材料層33においての反射特性を維持することができる。
【0078】
そして、以上のように位相差層30上に設けられた透明画素電極13tを覆う状態で配向膜15が設けられている。
【0079】
一方、第2基板20の液晶層LCに向かう面上には、カラーフィルタ層23、共通電極25、および配向膜27がこの順に設けられている。
【0080】
以上のように構成された第6実施形態の透過型の液晶表示装置1fであっても、基板10−20間に液晶層LCが封止された液晶セル内に、順分散性ではなく好ましくは逆分散性であって重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成の位相差層30を設けているため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、反射表示部10rにのみ位相差層30をパターン形成したことにより、透過表示にはなんら影響を与えない透過表示品位および反射表示品位に優れた液晶表示装置1fを提供することができる。
【0081】
尚、図11においては、膜トランジスタTrを用いた画素回路を画素10a内に配置した構成を示した。この場合画素回路(薄膜トランジスタTr)の形成部は遮光することが好ましい。また、画素回路は、画素10aの周辺に配置することが好ましい。
【0082】
<液晶表示装置の回路構成>
図12には、本発明が適用されるアクティブマトリックス駆動の液晶表示装置の回路構成を示す図である。尚、上述した実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付して説明を行う。
【0083】
この図に示すように、液晶表示装置1a(1b,1c,1d,1e,1f)には、表示領域Aとその周辺領域Bとが設定されている。表示領域Aには、複数の走査線71と複数の信号線72とが縦横に配線されており、それぞれの交差部に対応して1つの画素10aが設けられた画素アレイ部として構成されている。また、表示領域Aには、各画素10aに共通の共通電極73が設けられている。一方、周辺領域Bには、走査線71を走査駆動する走査線駆動回路74と、輝度情報に応じた映像信号(すなわち入力信号)を信号線72に供給する信号線駆動回路75とが配置されている。
【0084】
各画素1aには、例えばスイッチング素子としての薄膜トランジスタTrおよび保持容量Csからなる画素回路が設けられ、さらにこの画素回路に接続された画素電極13r,13tが設けられている。また保持容量Csは、共通電極73−画素電極13r,13t間で構成される。薄膜トランジスタTrは、ゲートが走査線71に接続され、ソース/ドレインの一方が信号線72に接続され、ソース/ドレインの他方が画素電極13r,13tに接続されている。
【0085】
そして、薄膜トランジスタTrを介して信号線72から書き込まれた映像信号が保持容量Csに保持され、保持された信号量に応じた電圧が画素電極13r,13tに供給される構成となっている。
【0086】
以上のような画素回路の構成は、あくまでも一例であり、必要に応じて画素回路内に容量素子を設けたり、さらに複数のトランジスタを設けて画素回路を構成しても良い。また、周辺領域Bには、画素回路の変更に応じて必要な駆動回路を追加しても良い。
【0087】
<適用例>
以上説明した本発明に係る表示装置は、図13〜図16に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなど、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示装置に適用することが可能である。以下に、本発明が適用される電子機器の一例について説明する。
【0088】
図13は、本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。本適用例に係るテレビは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明に係る表示装置を用いることにより作成される。
【0089】
図14は、本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0090】
図15は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0091】
図16は、本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【0092】
図17は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含み、そのディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明に係る表示装置を用いることにより作製される。
【実施例】
【0093】
<実施例1>
下記組成物Aを塗布液として調整した。
組成物A
重合性液晶モノマー[化合物(1)] :10重量部
重合性化合物[下記(1−1)] :10重量部
重合開始剤[Irgacure OXE02] :0.2重量部
界面滑性剤[メガファックR-08] :0.02重量部
溶剤[シクロヘキサノン] :78.98重量部
【0094】
【化2】

【0095】
以上のように調整した組成物Aを、ラビング処理済の配向膜AL1254(JSR社製商品名)上にスピンコートにて塗布し、その後減圧乾燥(最終到達真空度0.4Torr)にて溶剤を除去し、ホットプレート上(60℃)にて1分間の加温による配向処理を行なった。その後、超高圧水銀灯にて照度30mW/cm2、露光時間10秒、窒素中(酸素濃度0.1%以下)にて3次元架橋処理を行なった。その後、オーブン(220℃)にて60分間の熱処理を行なった。
【0096】
このようにして作製した位相差層の膜厚を触針式段差計にて測定したところ1.1μmであった。また、この位相差層について正面で位相差を測定したところ、450nmでは115nm、550nmでは135nmであり、逆波長分散性であることが確認された。
【0097】
このようにして得られた位相差層をインセルで組み込んだ反射型の液晶表示装置(VAモード、ノーマリーブラック)を作製した。この液晶表示装置は、黒表示の反射率は0.2%、白表示の反射率は5%であり、コントラストは25であった。
【0098】
<比較例1>
実施例1と同様の構成で、位相差層のみを順分散性のものに換えて液晶表示装置を作製した。ここで用いた位相差層の波長分散は、λ450nmでは145nm、λ550nmでは135nmである。このようにして作製した液晶表示装置は、黒表示の反射率は0.5%、白表示の反射率は5%であり、コントラストは10であった。
【0099】
以上の実施例1と比較例1との結果から、実施例1の逆分散性の位相差層を用いた液晶表示装置では、十分なコントラストが得られることが確認された。
【0100】
<実施例2>
下記組成物Bを塗布液として調整した。
組成物B
重合性液晶モノマー[化合物(1)] :10重量部
重合性化合物[上記(1−1)] :10重量部
重合開始剤[Irgacure OXE02] :0.07重量部
界面滑性剤[メガファックR-08] :0.02重量部
溶剤[シクロヘキサノン] :78.91重量部
【0101】
以上のように調整した組成物Bを、ラビング処理済の配向膜AL1254(JSR社製商品名)上にスピンコートにて塗布し、その後減圧乾燥(最終到達真空度0.4Torr)にて溶剤を除去し、ホットプレート上(60℃)にて1分間の加温による配向処理を行なった。次に、基板を室温(25℃)まで急冷した後、空気中にてパターンの付いたフォトマスクを介して超高圧水銀灯にて照度30mW/cm2、露光時間2秒のパターン露光による3次元架橋処理を行なった。次いで、露光された基板に室温(25℃)のメチルエチルケトンを拡散スプレーにて吹きつけ処理を60秒間行ない、未露光部を除去する現像処理を行なった。その後、オーブン(220℃)にて60分間の熱処理を行なった。
【0102】
以上のようにして位相差層を形成した後の基板表面を顕微鏡観察したところ、露光部のみに位相差層がパターン形成されていることが確認された。このようにして作製した位相差層の膜厚を触針式段差計にて測定したところ1.1μmであった。またこのようにパターン形成された位相差層について、正面で位相差を測定したところ、λ450nmでは115nm、λ550nmでは135nmであり、逆波長分散の位相差層がパターン形成されていることが確認された。
【0103】
このようにして得られた位相差層をインセルで組み込んだ半透過半反射型の液晶表示装置(VAモード、ノーマリーブラック、位相差層のパターン部のみに反射層を設置)を作製した。この液晶表示装置は、黒表示の反射率は0.1%、白表示の反射率は2.5%であり、コントラストは25であった。
【0104】
<比較例2>
実施例2と同様の構成で、位相差層のみを順分散性のものに換えて液晶表示装置を作製した。ここで用いた位相差層の波長分散は、λ450nmでは145nm、λ550nmでは135nmである。このようにして作製した液晶表示装置は、黒表示の反射率は0.25%、白表示の反射率は2.5%であり、コントラストは10であった。
【0105】
以上の実施例2と比較例2との結果から、実施例2の逆分散性の位相差層を用いた液晶表示装置では、十分なコントラストが得られることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】位相差素の波長分散性を説明する図である。
【図2】位相差層の形成手順の第1例を示すフローチャートである。
【図3】位相差層の形成手順の第2例を示すフローチャートである。
【図4】第1実施形態の液晶表示装置(透過型)の構成を断面構成図である。
【図5】第2実施形態の液晶表示装置(透過型)の構成を断面構成図である。
【図6】第3実施形態の液晶表示装置(反射型)の構成を断面構成図である。
【図7】第4実施形態の液晶表示装置(反射型)の構成を断面構成図である。
【図8】第5実施形態の液晶表示装置(半透過半反射型)の構成を断面構成図である。
【図9】第5実施形態の液晶表示装置の要部断面構成図である。
【図10】第6実施形態の液晶表示装置(半透過半反射型)の構成を断面構成図である。
【図11】第6実施形態の液晶表示装置の要部断面構成図である。
【図12】本発明が適用される液晶表示装置の回路構成の一例を示す図である。
【図13】本発明が適用されるテレビを示す斜視図である。
【図14】本発明が適用されるデジタルカメラを示す図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図15】本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図16】本発明が適用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図17】本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【符号の説明】
【0107】
1a,1b,1c,1d,1e,1f…液晶表示装置、10…第1基板、10a…画素、10t…透過表示部、10r…反射表示部、20…第2基板、30…位相差層、LC…液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2枚の基板と、当該基板間に封止された液晶層と、前記基板のうちの一方の基板における前記液晶層側に設けられた位相差層とを備えた液晶表示装置において、
前記位相差層は、重合性液晶モノマーを三次元架橋させた構成であって、波長450nmに対する位相差R(450)と波長550nmに対する位相差R(550)とが、R(450)/R(550)≦1である
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の液晶表示装置において、
前記2枚の基板には、透過表示部と反射表示部とがそれぞれ設定された複数の画素が配列形成され、
前記位相差層は、前記反射表示部に対応して前記各画素内においてパターニングされている
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
第1の基板上に位相差層を形成し、前記第1の基板における前記位相差層の形成面側に第2の基板を対向配置し、前記第1の基板と第2の基板との間に液晶層を充填して封止する液晶表示装置の製造方法において、
前記位相差層を形成する際には、
前記第1の基板の配向面上に重合性液晶モノマーを含有する溶液を塗布して位相差層形成膜を形成する第1工程と、
前記位相差層形成膜に対して配向処理を行う第2工程と、
前記配向処理された相差層形成膜に含有される前記重合性液晶モノマーを三次元架橋させて、当該位相差層形成膜を硬化させる第3工程とを行い、
波長450nmに対する位相差R(450)と波長550nmに対する位相差R(550)とがR(450)/R(550)≦1である前記位相差層を得る
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項4】
請求項3記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記位相差層形成膜中における前記重合性液晶モノマーのうちの50%以上は、2つ以上のアクリレート基を末端に有する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項5】
請求項3記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記第3工程では、前記位相差層形成膜に対してパターン露光を行うことにより、露光部のみにおいて前記重合性液晶モノマーを三次元架橋させ、
その後、前記位相差層形成膜の現像処理を行うことにより前記露光部のみを残すように当該位相差層形成膜をパターニングする第4工程を行う
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項6】
2枚の基板と、当該基板間に封止された液晶層と、前記基板のうちの一方の基板における前記液晶層側に設けられた反射材料層と、当該反射層の上方にパターン形成された位相差層とを備えた液晶表示装置において、
前記反射材料層は、前記位相差層で完全に覆われている
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項6記載の液晶表示装置において、
前記2枚の基板には、透過表示部と反射表示部とがそれぞれ設定された複数の画素が配列形成され、
前記反射材料層および前記位相差層は、前記反射表示部に対応して前記各画素内においてパターニングされている
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項6記載の液晶表示装置において、
前記反射材料層は、金属材料を用いて構成されている
ことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2009−157334(P2009−157334A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40968(P2008−40968)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】