説明

液晶表示装置及びその駆動方法

【課題】画素のばらつきを抑圧することで、表示画像中のFPNを低減し、表示品質を向上でき、また輝点、黒点などもある程度抑圧する。
【解決手段】画素部123を構成する複数の画素の各々は、液晶表示素子と、デジタルデータの画素値に対応した正極性ランプ信号及び負極性ランプ信号の電圧を別々に保持する第1及び第2の保持容量と、第1及び第2の保持電圧を垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に画素電極に印加する手段とを備える。外部駆動回路は、正常状態のデータと、正常状態のデータのデータ値を反転させた反転状態のデータとを1フレーム単位で交互に切り替えて画素に供給する。また、外部駆動回路は、画素の読み出し時には、画素電極に印加される保持電圧が正常状態のデータか反転状態のデータであるか、及び第1の保持電圧であるか第2の保持電圧であるかに応じて異なる電位の共通電極電圧を切り替えて印加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶表示装置及びその駆動方法に係り、特にデジタル映像信号をランプ信号などを使ってデジタル−アナログ変換(以下、DA変換)して得たアナログ電圧で液晶表示素子を駆動する反射型液晶プロジェクタ装置等に用いる液晶表示装置及びその駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタ装置やプロジェクションテレビには画像を投影するための中心部品としてLCOS(Liquid Crystal on Silicon)型液晶表示装置が多く用いられている。このLCOS等の液晶表示装置の表示方式には、従来CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の半導体素子へアナログ映像信号を入力し、その信号を画素毎の液晶表示素子の画素電極にそのまま保持して、液晶の配向を変える方式や、デジタル信号によりパルス幅変調(PWM;Pulse Width Modulation)した映像信号を液晶表示素子の画素電極に印加して液晶の配向を時間的に切り替えて駆動する方式などがあった。その中でアナログ信号を画素電極へ直接印加する方式は液晶の焼き付き等を起こし易いという問題がある。
【0003】
その問題を解決するため、本出願人は先に、2本のデータ線(列信号線)を一組とする複数組のデータ線と、複数本のゲート線(行走査線)との各交差部にそれぞれ画素を配置し、それらの各画素において正極性映像信号と負極性映像信号とを2つの保持容量に別々にサンプリング保持した後、それらの保持電圧を交互に画素電極に印加して液晶表示素子を交流駆動する液晶表示装置を提案した(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この液晶表示装置では、図7に示すように、デジタルデータ値“00”(黒レベル)からデジタルデータ値“FF”(白レベル)まで1水平走査期間(1H)周期で単調的に増加する正極性ランプ信号RAMP1+と、デジタルデータ値“00”(黒レベル)からデジタルデータ値“FF”(白レベル)まで1水平走査期間(1H)周期で単調的に減少する負極性ランプ信号RAMP1-とを1ラインの画素数に対応した組数の各ビデオスイッチに共通に同時に供給する。ここで、各組のビデオスイッチは、正極性ランプ信号RAMP1+が供給される正極性用ビデオスイッチと、負極性ランプ信号RAMP1-が供給される負極性用ビデオスイッチとからなる。
【0005】
そして、すべてのビデオスイッチを水平走査期間開始毎に一斉にオンにした後、ランプ信号RAMP1+及びRAMP1-に同期したクロックをカウンタによりカウントして得た階調を示すカウンタ値とデジタル映像信号の画素値とを1ラインの画素単位で比較するコンパレータから、両者が一致した時に一致パルスを出力して、その画素に対応して設けられた一組のビデオスイッチを同時にオフとし、このときのランプ信号RAMP1+、RAMP1-の各電圧をサンプリングし、オフとされた一組のビデオスイッチに一組のデータ線を介して接続された画素内の正極性用保持容量と負極性用保持容量とに供給し、デジタル映像信号をアナログ映像信号へ変換した信号電圧のサンプリング保持が行われる。
【0006】
そして、正極性用保持容量にサンプリング保持された正極性映像信号の画素値に対応したランプ信号RAMP1+の電圧と、負極性用保持容量にサンプリング保持された負極性映像信号の画素値に対応したランプ信号RAMP1-の電圧とは、垂直走査周波数よりも短い所定の周期で交互に切り替えられて液晶表示素子の画素電極に印加される。液晶表示素子は、互いに対向して設けられた画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された構造である。ここで、正極性用保持容量にサンプリング保持されたランプ信号RAMP1+の電圧が画素電極に印加されるときには、共通電極には図7にVcom1+で示すレベルの共通電極電圧が印加され、負極性用保持容量にサンプリング保持されたランプ信号RAMP1-の電圧が画素電極に印加されるときには、共通電極には図7にVcom1-で示すレベルの共通電極電圧が印加される。
【0007】
従って、液晶層に印加される電圧は、画素電極の印加電圧と共通電極の印加電圧との差電圧となるから、正極性用保持容量にサンプリング保持されたランプ信号RAMP1+の電圧が画素電極に印加されるときには、図7にVp1で示す電圧となり、負極性用保持容量にサンプリング保持されたランプ信号RAMP1-の電圧が画素電極に印加されるときには、図7にVm1で示す電圧となり、電圧の印加方向は逆になるが、同じ印加電圧が同じデータで液晶層に印加されることとなり、これを高速に切り替えることで、同じデータの場合表示される明るさは変わらないが、画素電極及び共通電極に印加される電圧が逆極性になるため、焼き付きを発生させにくい状態にできる。
【0008】
この液晶表示装置は、画素電極に印加する電圧を正極性用保持容量と負極性用保持容量とに1フレーム期間それぞれ保持しておくことができるので、液晶表示素子の交流駆動周波数は、垂直走査周波数によらず、画素回路での反転制御周期で自由に設定することができる。これにより、この液晶表示装置によれば、交流駆動周波数を垂直走査周波数よりも極めて高く設定でき、それにより従来に比べて焼き付きを防止でき、信頼性や安定性、シミなどの表示品位低下を防止でき、更にデジタルのPWM方式より階調を正しく表現できるなどの特長が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−223289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記の液晶表示装置では、各画素が、2つの保持容量に保持された2つのランプ信号電圧を2つのソースフォロワ回路を通して出力し、それをスイッチングトランジスタにより交互に選択して画素電極に印加する回路構成であるため、各画素毎にソースフォロワ回路のトランジスタの閾値電圧Vthのばらつきが発生し、それが問題となる。
【0011】
すなわち、正極性用保持容量にサンプリング保持されたランプ信号RAMP1+の電圧が図7にVp1で示す電圧であるが、正極性側のソースフォロワ回路内のトランジスタのVthが平均値より高い場合、図7に示すようにその誤差分のVlv1だけ高い電圧となって画素電極に印加されることとなる。この場合は、正しい明るさよりも明るい画素状態となる。
【0012】
一方、負極性用保持容量にサンプリング保持されたランプ信号RAMP1-の電圧が図7にVm1で示す電圧であるが、負極性側のソースフォロワ回路内のトランジスタのVthが平均値より高い場合、図7に示すようにその誤差分のVlv2だけ高い電圧となって画素電極に印加されることとなる。この場合は、正しい明るさよりも暗い画素状態となる。このように、各画素内の正極性側のソースフォロワ回路のトランジスタのVthと、負極性側のソースフォロワ回路のトランジスタのVthとが正規の値よりもずれた誤差があると、正しい明るさからずれた状態を表示することになる。
【0013】
この正極性画素電極電圧と負極性画素電極電圧とを、例えば2kHz周期で切り替えると、それらの画素電極印加時の液晶表示素子の明るさを平均することになり、上記のVthばらつきにより、正極性画素電極電圧と負極性画素電極電圧との平均との差によって、明るい固定パターンノイズ(FPN)や暗いFPNが発生する。
【0014】
ここで、図7に示した正極性画素電極電圧印加時の液晶表示素子の明るさXpは次式で表わされる。
【0015】
Xp=fp×(Vp1+Vlv1) (1)
ただし、(1)式中、fpは電圧印加時の表示明るさを計算する関数、Vp1は画素内の正極性側保持容量の入力電圧、Vlv1は画素の正極性側ソースフォロワ回路のばらつき電圧である。また、図7に示した負極性画素電極電圧印加時の液晶表示素子の明るさXmは次式で表わされる。
【0016】
Xm=fm×(Vm1−Vlv2) (2)
ただし、(2)式中、fmは電圧印加時の表示明るさを計算する関数、Vm1は画素内の負極性側保持容量の入力電圧、Vlv2は画素の負極性側ソースフォロワ回路のばらつき電圧である。観察者が見る明るさは、上記の明るさXpとXmとの平均となり、ざらつき感を与えてしまう。
【0017】
また、上記の液晶表示装置は、画素回路の使用デバイス数が多いので、輝点、黒点などの不良画素が発生し易いという問題もある。
【0018】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、画素のばらつきを抑圧することで、表示画像中のFPNを低減し、表示品質を向上でき、また輝点、黒点などもある程度抑圧できる液晶表示装置及びその駆動方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置は、2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本の行走査線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、入力デジタルデータの画素値と単調的に水平走査周期でレベル変化する基準階調データとが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して単調的にレベル増加する正極性ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、入力デジタルデータの画素値と基準階調データとが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して単調的にレベル減少する、正極性ランプ信号とは逆極性の負極性ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、第1の保持容量の第1の保持電圧と第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に画素電極に印加する保持電圧読み出し手段とを備え、
表示すべきデジタルデータと同一のデータ値の正常状態のデータと、表示すべきデジタルデータのデータ値を反転させた反転状態のデータとを1フレーム単位で交互に切り替えて入力デジタルデータとして画素に供給するデータ入力手段と、正常状態のデータの画素値に対応した正極性ランプ信号及び負極性ランプ信号が第1及び第2の保持容量に保持された画素の読み出し時には、第1の保持電圧の画素電極への印加時に第1の電位の第1の共通電極電圧を共通電極に印加し、かつ、第2の保持電圧の画素電極への印加時に第1の電位よりも高電位の第2の共通電極電圧を共通電極に印加し、反転状態のデータの画素値に対応した正極性ランプ信号及び負極性ランプ信号が第1及び第2の保持容量に保持された画素の読み出し時には、第1の保持電圧の画素電極への印加時に第3の電位の第3の共通電極電圧を共通電極に印加し、かつ、第2の保持電圧の画素電極への印加時に第3の電位よりも低電位の第4の共通電極電圧を共通電極に印加する共通電極電圧入力手段と、正常状態のデータの画素値に対応した正極性ランプ信号が保持された第1の保持容量と、正常状態のデータの画素値に対応した負極性ランプ信号が保持された第2の保持容量との読み出し順序を、正常状態のデータの入力期間単位で交互に切り替え、反転状態のデータの画素値に対応した正極性ランプ信号が保持された第1の保持容量と、反転状態のデータの画素値に対応した負極性ランプ信号が保持された第2の保持容量との読み出し順序を、反転状態のデータの入力期間単位で交互に切り替える読み出し順序切り替え手段とを有することを特徴とする。
【0020】
また、上記の目的を達成するため、本発明の液晶表示装置の駆動方法は、2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本の行走査線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、入力デジタルデータの画素値と単調的に水平走査周期でレベル変化する基準階調データとが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して単調的にレベル増加する正極性ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、入力デジタルデータの画素値と基準階調データとが一致した時に、一組の2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される基準階調データと同期して単調的にレベル減少する、正極性ランプ信号とは逆極性の負極性ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、第1の保持容量の第1の保持電圧と第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に画素電極に印加する保持電圧読み出し手段とを備える液晶表示装置に対して、
表示すべきデジタルデータと同一のデータ値の正常状態のデータと、表示すべきデジタルデータのデータ値を反転させた反転状態のデータとを1フレーム単位で交互に切り替えて入力デジタルデータとして画素に供給するデータ入力ステップと、正常状態のデータの画素値に対応した正極性ランプ信号及び負極性ランプ信号が第1及び第2の保持容量に保持された画素の読み出し時には、第1の保持電圧の画素電極への印加時に第1の電位の第1の共通電極電圧を共通電極に印加し、かつ、第2の保持電圧の画素電極への印加時に第1の電位よりも高電位の第2の共通電極電圧を共通電極に印加する第1の共通電極電圧入力ステップと、反転状態のデータの画素値に対応した正極性ランプ信号及び負極性ランプ信号が第1及び第2の保持容量に保持された画素の読み出し時には、第1の保持電圧の画素電極への印加時に第3の電位の第3の共通電極電圧を共通電極に印加し、かつ、第2の保持電圧の画素電極への印加時に第3の電位よりも低電位の第4の共通電極電圧を共通電極に印加する第2の共通電極電圧入力ステップと、正常状態のデータの画素値に対応した正極性ランプ信号が保持された第1の保持容量と、正常状態のデータの画素値に対応した負極性ランプ信号が保持された第2の保持容量との読み出し順序を、正常状態のデータの入力期間単位で交互に切り替える第1の読み出し順序切り替えステップと、反転状態のデータの画素値に対応した正極性ランプ信号が保持された第1の保持容量と、反転状態のデータの画素値に対応した負極性ランプ信号が保持された第2の保持容量との読み出し順序を、反転状態のデータの入力期間単位で交互に切り替える第2の読み出し順序切り替えステップとを実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、基本的な画素の回路を変更することなく、画素のばらつきを抑圧することで、表示画像中のFPNを低減し、表示品質を向上でき、また輝点、黒点などもある程度抑圧できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の液晶表示装置の一実施の形態のシステム構成図である。
【図2】図1中の液晶パネル駆動素子の一実施の形態の概略ブロック図である。
【図3】図1中の画素部を構成する一画素の一例の等価回路図である。
【図4】図1の実施の形態におけるフレーム単位の入力データと共通電極電圧との組み合わせを示す図である。
【図5】図1中の液晶パネル駆動素子に入力される反転状態のデータとランプ信号と共通電極電圧との関係を示す図である。
【図6】図1の実施の形態におけるフレーム単位の入力データと共通電極電圧と関係を示す図である。
【図7】液晶パネル駆動素子に入力される正常状態のデータとランプ信号と共通電極電圧との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0024】
従来の液晶表示装置の課題は、基本的には画素毎のソースフォロワ回路のトランジスタのVthバラツキ等が主原因であるため、画素毎に補正を行うことが考えられるが、以下のような課題があって実現が難しい。
【0025】
第1の課題は、液晶パネル駆動素子の画素内で補正回路を構成する場合は素子の増加が必須であり画素ピッチが狭い場合は実現が難しい、ということである。第2の課題は、液晶パネル駆動素子の外部に補正メモリを持つ場合は、フレーム分のメモリが必要となりシステムが大きくなってしまう。また補正データの取り込みをカメラなどを用いて精度良く行う事は難しい、ということである。第3の課題は、1画素内に正極性信号電圧用と負極性信号電圧用にそれぞれ保持容量を持つ液晶表示装置では、データ量が多くなり、精度良く補正するためには2種類のデータを入力する必要があり、高速なデータ入力が必要となってしまう、ということである。
【0026】
しかし、画素の正極性側のソースフォロワ回路のトランジスタと負極性側のソースフォロワ回路のトランジスタのVthのばらつきは、それぞれ各画素の平均的なソースフォロワ回路のトランジスタのVthとの差を考えた場合、基板効果の影響はあるが、正しい信号レベルに対して、どのような入力電圧に対しても同じ方向にずれており、その状態は殆ど変わらない。
【0027】
そこで、以下説明する本実施の形態の液晶表示装置では、この点に着目し、上記の補正方法を用いずにザラツキ感を改善する。
【0028】
図1は、本発明になる液晶表示装置の一実施の形態のシステム構成図を示す。本実施の形態の液晶表示装置10は、図1に示すように、パネル駆動用外部駆動回路11と、液晶パネル駆動素子12とから構成される。パネル駆動用外部駆動回路11は、nビットのデジタルデータ(デジタル映像信号)と、Vシフト用クロックと、画素選択信号と、液晶表示素子の共通電極電圧とを生成して液晶パネル駆動素子12に供給する。
【0029】
nビットデジタルデータは、nビットが8ビットの場合、“00”から“FF”までを使用し、“00”の場合最も暗く、“FF”の場合最も明るいデータ(以下、このデータを「正常状態のデータ」というものとする)と、“00”の場合最も明るく、“FF”の場合最も暗いデータ(以下、このデータを「反転状態のデータ」というものとする)とがある。パネル駆動用外部駆動回路11は、この正常状態のデータと反転状態のデータとを1フレーム単位で交互に液晶パネル駆動素子12に供給する。なお、反転状態のデータは、正常状態のデータを反転しているため、反転状態のデータの“00”は正常状態のデータの値では“FF”であり、また反転状態のデータの“FF”は正常状態のデータの値では“00”である。
【0030】
また、Vシフト用クロックは、nビットデジタルデータを液晶パネル駆動素子12内の画素部の1水平ライン毎に書き込むための水平ラインを選択するためのクロックである。また、画素選択信号は、正極性側保持容量に保持された信号電圧を画素電極に読み出すか、負極性側保持容量に保持された信号電圧を画素電極に読み出すかを選択するための信号である。更に、共通電極電圧は、液晶表示素子の共通電極に印加される電圧で、画素選択信号に同期して2つの電圧値のどちらか一方に変化する。
【0031】
図2は、液晶パネル駆動素子12の一実施の形態の概略ブロック図を示す。同図に示すように、液晶パネル駆動素子12は、水平シフトレジスタ及びコンパレータ121と、水平駆動回路(ビデオスイッチ等)122と、複数の画素が2次元マトリクス状に配置された画素部123と、垂直シフトレジスタ124と、画素選択回路125とを含む構成である。
【0032】
画素部123を構成する複数の画素の各々は特許文献1に記載の画素と同じ、図3に示す等価回路で表わされる構成であってよい。図3において、ソースフォロワ用PチャンネルMOS型トランジスタ(以下、PMOSトランジスタという)Tr3、Tr4は、ゲートが保持容量C1、C2と画素選択用NチャンネルMOS型トランジスタ(以下、NMOSトランジスタという)Tr1、Tr2のドレインとの接続点に接続され、ソースがスイッチング用PMOSトランジスタTr5、Tr6のドレイン・ソースを通して定電流用PMOSトランジスタTr7のドレインに接続されている。トランジスタTr5、Tr6及びTr7の各接続点は画素電極PEに接続されている。液晶表示素子LCは、対向して配置された画素電極PEと共通電極CEとの間に液晶層LCMが挟持された構造であり、共通電極CEには共通電極電圧Vcomが印加される。
【0033】
i列目の正極性用データ線Di+はNMOSトランジスタTr1のドレインに接続され、i列目の負極性用データ線Di-はNMOSトランジスタTr2のドレインに接続されている。NMOSトランジスタTr1及びTr2の各ゲートは、j行目の行走査線(ゲート線)Gjに共通に接続されている。なお、同じi列目の各画素のNMOSトランジスタTr1、Tr2のドレインもデータ線Di+、Di-に接続されている。また、同じj行目の各画素のNMOSトランジスタTr1及びTr2の各ゲートも行走査線Gjに接続されている。
【0034】
この画素では、データ線Di+、Di-を介して入力される正極性と負極性の各アナログ信号(前記ランプ信号)がNMOSトランジスタTr1、Tr2によりサンプリングされて、保持容量C1、C2に保持される。その後の読み出し時には、PMOSトランジスタTr5、Tr6がスイッチング信号2k、2kbにより垂直走査周期よりも短い所定周期で交互にオンとされ、保持容量C1、C2に保持されている正極性保持電圧と負極性保持電圧とをソースフォロワ用PMOSトランジスタTr3、Tr4を通して交互に画素電極PEに印加する。また、液晶表示素子LCの共通電極CEには、図1のパネル駆動用外部駆動回路11から液晶共通電極電圧Vcomが印加される。なお、本実施の形態では、後述するように液晶共通電極電圧Vcomは、Vcom1+、Vcom1-、Vcom2+、Vcom2-の4種類ある。
【0035】
図2に戻って説明する。垂直シフトレジスタ124は、パネル駆動用外部駆動回路11からVシフト用クロックが入力され、1垂直走査期間内で画素部123の各画素を第1水平ラインから最終水平ラインまで1水平走査期間(1H)毎に各水平ラインの画素を上から下方向に順番に選択する行選択信号を行走査線に出力する。
【0036】
画素選択回路125は、パネル駆動用外部駆動回路11から画素選択信号が入力され、画素部123の読み出し時に各画素の図3に示したスイッチング用PMOSトランジスタTr5及びTr6を1垂直走査周期よりも短い周期(例えば、2kHzの周期)で交互にオン、オフに制御するスイッチング信号(図3の2k、2kb)を画素部123に出力する。
【0037】
次に、図2の液晶パネル駆動素子12の動作について説明する。
【0038】
画素書き込み時には、図2の水平シフトレジスタ及びコンパレータ121内の水平シフトレジスタに、図1のパネル駆動用外部駆動回路11からnビットデジタルデータが入力される。このnビットデジタルデータは、前述したように正常状態のデータ及び反転状態のデータとが1フレーム毎に交互に切り替えられて時系列的に合成されたデータである。図4(A)は、水平シフトレジスタに入力されるnビットデジタルデータを模式的に示す。
【0039】
上記の水平シフトレジスタは、入力される正常状態のデータ又は反転状態のデータの1ライン分を展開し、かつ、一時保持して水平シフトレジスタ及びコンパレータ121内のコンパレータに供給する。このコンパレータは、n組のデータ線(列信号線)に対応して各列毎にn個設けられている。n個のコンパレータは、複数の階調値が例えば最小値から最大値まで水平走査期間内で一定期間毎に段階的に変化するカウンタ(図示せず)からの基準階調データが共通に供給される一方、上記のシフトレジスタにより保持された画像データが1ラインのn画素の各画素単位で供給されて両者を比較し、両者が一致したとき一致パルスを水平駆動回路122に供給する。
【0040】
水平駆動回路122は、2本一組のデータ線(列信号線)Di+、Di-の一方のデータ線Di+に接続された正極性用ビデオスイッチと、他方のデータ線Di-に接続された負極性用ビデオスイッチとが各組のデータ線(列信号線)単位で全部でn組設けられると共に、前述したシフトレジスタ及びコンパレータ121内のn個のコンパレータのうち対応して設けられたコンパレータから一致パルスが供給される構成である。
【0041】
そして、すべてのビデオスイッチは水平走査期間開始毎に一斉にオンにされた後、ランプ信号に同期したクロックを階調カウンタによりカウントして得た階調を示すカウンタ値と入力デジタルデータ(正常状態のデータ又は反転状態のデータ)の画素値とを1ラインの画素単位で比較するコンパレータから両者が一致した時に一致パルスが出力されるときにのみ、その一致パルスを出力するコンパレータに対応して設けられた画素の一組のビデオスイッチを一致パルス入力により同時にオフとし、このときの正極性ランプ信号と負極性ランプ信号の各電圧を、オフとされた一組のビデオスイッチに一組のデータ線を介して接続された画素内の正極性用保持容量C1と負極性用保持容量C2とに供給してサンプリング保持が行われる。
【0042】
ここで、正常状態のデータの画素への書き込み時には、上記の正極性ランプ信号RAMP+は図7に示したRAMP1+であり、上記の負極性ランプ信号RAMP-は図7に示したRAMP1-である。従って、正常状態のデータの画素への書き込みは、従来の液晶表示装置の画素書き込みと同様に行われる。
【0043】
1フレーム分の正常状態のデータの画素への書き込みが行われると、画素に書き込まれている正常状態のデータの読み出しが1垂直走査周期より短い周期(例えば、2kHzの周期)で行われる。本実施の形態では、この正常状態のデータの読み出し方法には、画素電極PEに印加される電圧と共通電極CEに印加される共通電極電圧Vcomとの関係で2種類の組み合わせがある。第1の種類の組み合わせは、図4(A)、(B)に「組み合わせ1」として示すもので、画素電極PEに印加される奇数番目の電圧は正極性用保持容量C1に保持された正極性の正常状態のデータ(具体的にはサンプリングされた正極性ランプ信号RAMP1+)であり、かつ、その時の共通電極電圧Vcomは図4(B)にローレベルで示すように、図7にVcom1+で示す低レベル側の共通電極電圧であり、画素電極PEに印加される偶数番目の電圧は負極性用保持容量C2に保持された負極性の正常状態のデータ(具体的にはサンプリングされた負極性ランプ信号RAMP1-)であり、かつ、その時の共通電極電圧Vcomは図4(B)にハイレベルで示すように、図7にVcom1-で示す高レベル側の共通電極電圧である。
【0044】
第2の種類の組み合わせは、図4(A)、(B)に「組み合わせ3」として示すもので、組み合わせ1と逆順としたものであり、画素電極PEに印加する電圧を奇数番目は負極性の正常状態のデータ(具体的にはサンプリングされた負極性ランプ信号RAMP1-)とし、偶数番目は正極性の正常状態のデータ(具体的にはサンプリングされた正極性ランプ信号RAMP1+)としたものであり、また、画素電極PEへの印加電圧に対応して共通電極電圧もVcom1-、Vcom1+の順番としたものである。ここでは、組み合わせ1の例による読み出しが行われるものとする。
【0045】
続いて次の1フレーム分の反転状態のデータの画素への書き込みが開始される。この反転状態のデータの画素への書き込みは、図5に示すように、反転状態のデータの値“00”(白レベル)から値“FF”(黒レベル)まで1H周期で単調的に増加する正極性ランプ信号RAMP2+と、反転状態のデータの値“00”(白レベル)から値“FF”(黒レベル)まで1H周期で単調的に減少する負極性ランプ信号RAMP2-とを、図2の水平駆動回路122内の1ラインの画素数に対応した組数の各ビデオスイッチに共通に同時に供給する。ここで、各組のビデオスイッチは、正極性ランプ信号RAMP2+が供給される正極性用ビデオスイッチと、負極性ランプ信号RAMP2-が供給される負極性用ビデオスイッチとからなる。
【0046】
そして、すべてのビデオスイッチを水平走査期間開始毎に一斉にオンにした後、ランプ信号RAMP2+及びRAMP2-に同期したクロックをカウンタによりカウントして得た階調を示すカウンタ値とデジタル映像信号の画素値とを1ラインの画素単位で比較するコンパレータから、両者が一致した時に一致パルスを出力して、その画素に対応して設けられた一組のビデオスイッチを同時にオフとし、このときのランプ信号RAMP2+、RAMP2-の各電圧をサンプリングし、オフとされた一組のビデオスイッチに一組のデータ線(図3のDi+、Di-)を介して接続された画素内の正極性用保持容量(図3のC1)と負極性用保持容量(図3のC2)とに供給し保持させる。
【0047】
1フレーム分の反転状態のデータの画素への書き込みが行われると、画素に書き込まれている反転状態のデータの読み出しが例えば、2kHzの周期で行われる。本実施の形態では、この反転状態のデータの読み出し方法も正常状態のデータの読み出し方法と同様に、画素電極PEに印加される電圧と共通電極CEに印加される共通電極電圧Vcomとの関係で2種類の組み合わせがある。第1の種類の組み合わせは、図4(A)、(B)に「組み合わせ2」として示すもので、画素電極PEに印加される奇数番目の電圧は正極性用保持容量C1に保持された正極性の反転状態のデータ(具体的にはサンプリングされた正極性ランプ信号RAMP2+)であり、かつ、その時の共通電極電圧Vcomは図4(B)にハイレベルで示すように、図5にVcom2+で示す高レベル側の共通電極電圧であり、画素電極PEに印加される偶数番目の電圧は負極性用保持容量C2に保持された負極性の反転状態のデータ(具体的にはサンプリングされた負極性ランプ信号RAMP2-)であり、かつ、その時の共通電極電圧Vcomは図4(B)にローレベルで示すように、図5にVcom2-で示す低レベル側の共通電極電圧である。
【0048】
第2の種類の組み合わせは、図4(A)、(B)に「組み合わせ4」として示すもので、組み合わせ2と逆順としたものであり、画素電極PEに印加する電圧を奇数番目は負極性の反転状態のデータ(具体的にはサンプリングされた負極性ランプ信号RAMP2-)とし、偶数番目は正極性の反転状態のデータ(具体的にはサンプリングされた負極性ランプ信号RAMP2+)としたものであり、また、画素電極PEへの印加電圧に対応して共通電極電圧もVcom2-、Vcom2+の順番としたものである。ここでは、組み合わせ2の例による読み出しが行われるものとする。
【0049】
この反転状態のデータの読み出しについて更に詳細に説明する。
【0050】
正極性用保持容量C1にサンプリング保持されたランプ信号RAMP2+の電圧が画素電極PEに印加されるときには、共通電極CEには図5にVcom2+で示すレベルの共通電極電圧が印加され、負極性用保持容量C2にサンプリング保持されたランプ信号RAMP2-の電圧が画素電極PEに印加されるときには、共通電極CEには図5にVcom2-で示すレベルの共通電極電圧が印加される。
【0051】
従って、液晶表示素子LCの液晶層LCMに印加される電圧は、画素電極PEの印加電圧と共通電極CEの印加電圧との差電圧となるから、正極性用保持容量C1にサンプリング保持されたランプ信号RAMP2+の電圧が画素電極に印加されるときには、図5にVp2で示す電圧となり、負極性用保持容量C2にサンプリング保持されたランプ信号RAMP2-の電圧が画素電極PEに印加されるときには、図5にVm2で示す電圧となり、電圧の印加方向は逆になるが、同じ印加電圧が同じデータで液晶層LCMに印加されることとなり、これを高速に切り替えることで、前述した正常状態のデータの読み出し時と同様に、同じデータの場合表示される明るさは変わらないが、画素電極PE及び共通電極CEに印加される電圧が逆極性になるため、焼き付きを発生させにくい状態にできる。
【0052】
ここで、正極性用保持容量にサンプリング保持されたランプ信号RAMP2+の電圧が図5にVp2で示す電圧であるが、正極性側のソースフォロワ回路内のトランジスタ(図3のPMOSトランジスタTr3)のVthが平均値より高い場合、図5に示すようにその誤差分のVlv1だけ高い電圧となって画素電極PEに印加されることとなる。この場合は、正しい明るさよりも暗い画素状態となる。
【0053】
一方、負極性用保持容量にサンプリング保持されたランプ信号RAMP2-の電圧が図5にVm2で示す電圧であるが、負極性側のソースフォロワ回路内のトランジスタ(図3のPMOSトランジスタTr4)のVthが平均値より高い場合、図5に示すようにその誤差分のVlv2だけ高い電圧となって画素電極PEに印加されることとなる。この場合は、正しい明るさよりも明るい画素状態となる。このように、各画素内の正極性側のソースフォロワ回路のトランジスタのVthと、負極性側のソースフォロワ回路のトランジスタのVthとが正規の値よりもずれた誤差があると、正しい明るさからずれた状態を表示することになることは、図7と共に説明した正常状態のデータ読み出し時と同様である。
【0054】
ここで、図5に示した正極性画素電極電圧印加時の液晶表示素子の明るさXp2は次式で表わされる。
【0055】
Xp2=fp×(Vp2−Vlv1) (3)
ただし、(3)式中、fpは電圧印加時の表示明るさを計算する関数、Vp2は画素内の正極性側保持容量の反転状態のデータの入力電圧、Vlv1は画素の正極性側ソースフォロワ回路のばらつき電圧である。また、図5に示した負極性画素電極電圧印加時の液晶表示素子の明るさXm2は次式で表わされる。
【0056】
Xm2=fm×(Vm2+Vlv2) (4)
ただし、(4)式中、fmは電圧印加時の表示明るさを計算する関数、Vm2は画素内の負極性側保持容量の反転状態のデータの入力電圧、Vlv2は画素の負極性側ソースフォロワ回路のばらつき電圧である。
【0057】
次に、図2に戻って説明する。図2の液晶パネル駆動素子12は、パネル駆動用外部駆動回路11から正常状態のデータと反転状態のデータとが1フレーム単位で交互に供給され、この入力データを前述したように正極性ランプ信号と負極性ランプ信号とを用いてアナログ信号電圧に変換して各画素内の正極性用保持容量と負極性用保持容量とに書き込む。図2において、画素部123には既に書き込まれた反転状態のデータ書き込み部分に、次のフレームの正常状態のデータが画素部123の上から下方向の各ラインに順番に書き込まれている途中の状態を示している。図2において、126Aは書き込み途中の正常状態のデータの書き込み部分を示し、126Bは既に画素部123に書き込まれている、まだ上書きされていない反転状態のデータ書き込み部分を示す。
【0058】
すなわち、正常状態のデータと反転状態のデータとは1フレーム毎に交互に切り替え入力されるのであるが、1フレーム分のデータの全画素への書き込みが終了した後で次の1フレーム分のデータを書き込むのではなく、画面の途中まで書き込みが終了した書き込み部分のデータを読み出しつつ、ラインの各画素に次のフレームのデータが書き込まれることになる。
【0059】
正常状態のデータ又は反転状態のデータが書き込まれた後、その書き込みデータは所定の周期(例えば2kHzの周期)で高速に読み出される。この読み出しは、本実施の形態では、図4(A)、(B)に示すように、書き込まれたフレーム単位のデータと共通電極電圧との組み合わせが前述したように組み合わせ1〜組み合わせ4の4種類ある。本実施の形態では、読み出しが組み合わせ1→組み合わせ2→組み合わせ3→組み合わせ4→組み合わせ1→・・・の順番で巡回的に1フレーム単位で切り替わるようにしている。
【0060】
また、共通電極電圧は上記の4種類の組み合わせのいずれにおいても、読み出し時に2kHzの周期で正極性共通電極電圧(Vcom1+又はVcom2+)と、負極性側共通電極電圧(Vcom1-又はVcom2-)とに交互に切り替わるが、保持容量から読み出されるのが正常状態のデータか反転状態のデータであるか、また、正極性側保持容量から読み出すのか負極性側保持容量から読み出すのかに応じて、すなわち上記の4種類の組み合わせに応じて正極性共通電極電圧及び負極性共通電極電圧のどちらから読み出すのかを選択する必要がある。
【0061】
そこで、本実施の形態では、図2では図示を省略したが、垂直シフトレジスタ124のシフト状態に応じてフラグを生成し、正極性及び負極性の共通電極電圧の選択を変更する回路が用いられる。図6は、入力データと共通電極電圧との関係を示す。図6(A)において、「+側」は正常状態のデータ又は反転状態のデータが正極性側保持容量から読み出される場合、「−側」は負極性保持容量から読み出される場合を示す。また、図6(B)において、「Low」とは共通電極電圧が低レベル側電圧であるVcom1+又はVcom2-を示し、「High」とは共通電極電圧が高レベル側電圧であるVcom1-又はVcom2+を示す。
【0062】
このようにして、本実施の形態によれば、4種類の組み合わせをすべて時系列的に表示するため、その表示画面の明るさXは4種類の組み合わせの平均となり、(1)式〜(4)式から次式で表わされるものとなる。
【0063】
X=(Xm+Xm2+Xp+Xp2)/4
=(fm×(Vm1+Vlv2+Vm2−Vlv2)
+fp×(Vp1+Vlv1+Vp2−Vlv1)/4
=(fm×(Vm1+Vm2)+fp×(Vp1+Vp2)/4 (5)
ここで、同一画素の場合
fm=fp=f、Vm1=Vm2=Vp1=Vp2=V
であるので、(5)式は次式で表わされる。
【0064】
X=f×V (6)
従って、本実施の形態によれば、(6)式から分かるように、明るさXは各画素毎のソースフォロワ回路のトランジスタのVthのばらつきを抑圧した明るさとすることができる。ただし、画素のばらつきは信号電圧によって若干異なるため、完全に打ち消すことはできないが、抑圧することは可能である。
【0065】
これにより、本実施の形態によれば、各画素毎のソースフォロワ回路のトランジスタのVthのばらつきに起因するFPNを低減し、表示品質を向上できる。また、本実施の形態によれば、輝点、黒点など、画素のばらつきと同様に正しくない電圧が画素電極に印加される場合も、ある程度の抑圧が期待できる。
【符号の説明】
【0066】
10 液晶表示装置
11 パネル駆動用外部駆動回路
12 液晶パネル駆動素子
121 水平シフトレジスタ及びコンパレータ
122 水平駆動回路(ビデオスイッチ等)
123 画素部
124 垂直シフトレジスタ
125 画素選択回路
126A 正常状態のデータ書き込み部分
126B 反転状態のデータ書き込み部分
Tr1、Tr2 画素選択用NMOSトランジスタ
Tr3、Tr4 ソースフォロワ用PMOSトランジスタ
Tr5、Tr6 スイッチング用PMOSトランジスタ
Tr7 定電流負荷用PMOSトランジスタ
LC 液晶表示素子
PE 画素電極
CE 共通電極
LCM 液晶層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本の行走査線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、
入力デジタルデータの画素値と単調的に水平走査周期でレベル変化する基準階調データとが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して単調的にレベル増加する正極性ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、
前記入力デジタルデータの画素値と前記基準階調データとが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して単調的にレベル減少する、前記正極性ランプ信号とは逆極性の負極性ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、
前記第1の保持容量の第1の保持電圧と前記第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に前記画素電極に印加する保持電圧読み出し手段と
を備え、
表示すべきデジタルデータと同一のデータ値の正常状態のデータと、前記表示すべきデジタルデータのデータ値を反転させた反転状態のデータとを1フレーム単位で交互に切り替えて前記入力デジタルデータとして前記画素に供給するデータ入力手段と、
前記正常状態のデータの画素値に対応した前記正極性ランプ信号及び前記負極性ランプ信号が前記第1及び第2の保持容量に保持された画素の読み出し時には、前記第1の保持電圧の前記画素電極への印加時に第1の電位の第1の共通電極電圧を前記共通電極に印加し、かつ、前記第2の保持電圧の前記画素電極への印加時に前記第1の電位よりも高電位の第2の共通電極電圧を前記共通電極に印加し、前記反転状態のデータの画素値に対応した前記正極性ランプ信号及び前記負極性ランプ信号が前記第1及び第2の保持容量に保持された画素の読み出し時には、前記第1の保持電圧の前記画素電極への印加時に第3の電位の第3の共通電極電圧を前記共通電極に印加し、かつ、前記第2の保持電圧の前記画素電極への印加時に前記第3の電位よりも低電位の第4の共通電極電圧を前記共通電極に印加する共通電極電圧入力手段と、
前記正常状態のデータの画素値に対応した前記正極性ランプ信号が保持された前記第1の保持容量と、前記正常状態のデータの画素値に対応した前記負極性ランプ信号が保持された前記第2の保持容量との読み出し順序を、前記正常状態のデータの入力期間単位で交互に切り替え、前記反転状態のデータの画素値に対応した前記正極性ランプ信号が保持された前記第1の保持容量と、前記反転状態のデータの画素値に対応した前記負極性ランプ信号が保持された前記第2の保持容量との読み出し順序を、前記反転状態のデータの入力期間単位で交互に切り替える読み出し順序切り替え手段と
を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
2本のデータ線を一組とする複数組のデータ線と複数本の行走査線とがそれぞれ交差する交差部に設けられた複数の画素のそれぞれが、
対向する画素電極と共通電極との間に液晶層が挟持された表示素子と、
入力デジタルデータの画素値と単調的に水平走査周期でレベル変化する基準階調データとが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち一方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して単調的にレベル増加する正極性ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第1の保持容量に保持する第1のサンプリング及び保持手段と、
前記入力デジタルデータの画素値と前記基準階調データとが一致した時に、一組の前記2本のデータ線のうち他方のデータ線を介して供給される前記基準階調データと同期して単調的にレベル減少する、前記正極性ランプ信号とは逆極性の負極性ランプ信号の電圧をサンプリングして一定期間第2の保持容量に保持する第2のサンプリング及び保持手段と、
前記第1の保持容量の第1の保持電圧と前記第2の保持容量の第2の保持電圧とを、垂直走査周期よりも短い所定の周期で交互に前記画素電極に印加する保持電圧読み出し手段と
を備える液晶表示装置に対して、
表示すべきデジタルデータと同一のデータ値の正常状態のデータと、前記表示すべきデジタルデータのデータ値を反転させた反転状態のデータとを1フレーム単位で交互に切り替えて前記入力デジタルデータとして前記画素に供給するデータ入力ステップと、
前記正常状態のデータの画素値に対応した前記正極性ランプ信号及び前記負極性ランプ信号が前記第1及び第2の保持容量に保持された画素の読み出し時には、前記第1の保持電圧の前記画素電極への印加時に第1の電位の第1の共通電極電圧を前記共通電極に印加し、かつ、前記第2の保持電圧の前記画素電極への印加時に前記第1の電位よりも高電位の第2の共通電極電圧を前記共通電極に印加する第1の共通電極電圧入力ステップと、
前記反転状態のデータの画素値に対応した前記正極性ランプ信号及び前記負極性ランプ信号が前記第1及び第2の保持容量に保持された画素の読み出し時には、前記第1の保持電圧の前記画素電極への印加時に第3の電位の第3の共通電極電圧を前記共通電極に印加し、かつ、前記第2の保持電圧の前記画素電極への印加時に前記第3の電位よりも低電位の第4の共通電極電圧を前記共通電極に印加する第2の共通電極電圧入力ステップと、
前記正常状態のデータの画素値に対応した前記正極性ランプ信号が保持された前記第1の保持容量と、前記正常状態のデータの画素値に対応した前記負極性ランプ信号が保持された前記第2の保持容量との読み出し順序を、前記正常状態のデータの入力期間単位で交互に切り替える第1の読み出し順序切り替えステップと、
前記反転状態のデータの画素値に対応した前記正極性ランプ信号が保持された前記第1の保持容量と、前記反転状態のデータの画素値に対応した前記負極性ランプ信号が保持された前記第2の保持容量との読み出し順序を、前記反転状態のデータの入力期間単位で交互に切り替える第2の読み出し順序切り替えステップと
を実行することを特徴とする液晶表示装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−145770(P2012−145770A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4047(P2011−4047)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】