説明

液晶表示装置及び液晶表示装置用カラーフィルタ

【課題】カラーフィルタの着色層の電気的性質が液晶のスイッチング性能に悪影響を与えることがなく、且つ色再現性に優れたカラーフィルタを具備する液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】LEDを備えるバックライトと、緑色着色層を含む複数色の着色層を備えるカラーフィルタとを具備する液晶表示装置において、前記カラーフィルタの緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58を含み、前記緑色着色層の、液晶表示装置の駆動周波数における誘電正接が0.01以下であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及び液晶表示装置用カラーフィルタに係り、特に、着色層やオーバーコート層の電気的な性質が液晶のスイッチング性や表示装置に影響を与えず、色再現性に優れたカラーフィルタを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置は、テレビ画像表示装置、コンピュータ端末表示装置を中心に急速に普及が進んでいる。カラーフィルタは、このような液晶表示装置のカラー表示化に必要不可欠な重要部材である。近年、液晶表示装置には高画質化の要求が高く、高視野角、高速応答性を備える様々な新しい方式の液晶表示装置が出現している。この中でも横電界方式(In Plane Switching=IPS方式)は、視野角、コントラスト比などの表示品位に優れるため、広く普及するものと期待されている方式である。
【0003】
ところが、横電界方式の液晶表示装置は、他のTwisted Nematic方式(TN方式)やVartical Alignment方式(VA方式)などの液晶表示装置と異なり、液晶駆動電界中にカラーフィルタの着色層が存在するため、着色層の材料の電気的な特性の影響を直接受けてしまうという問題がある。実際、従来の材料の着色層を使用した場合、横電界方式の液晶表示装置では、着色層の電気特性に起因する液晶の配向乱れ、スイッチングの閾値ずれによる焼き付き現象など、様々な表示不良が起こっていた。
【0004】
着色層材料の電気的特性は、主として着色剤である顔料の性質によるものであり、これによる影響を根本的に回避することは難しいため、従来の着色層材料を用いたカラーフィルタを横電界方式の液晶表示装置に用いる場合には、透明樹脂による保護層(オーバーコート層)を設けることが一般的である。
【0005】
確かに、透明樹脂からなるオーバーコート層を設けることで、従来の着色層材料でも横電界方式の液晶表示装置に用いることは可能であるが、オーバーコート層を用いても様々な表示不良が生ずる場合もあるので(例えば、特許文献1参照)、着色層材料、オーバーコート層材料ともに横電界方式の液晶表示装置に適合するように改良がなされてきている。なお、十分な性能を確保するために、根本原因である着色層材料を減らすことが考えられるが、着色層材料を減らすと色再現性が劣化してしまう。
【特許文献1】特開2004−117537号公報
【特許文献2】特開2006−113099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、特に横電界方式の液晶表示装置において、カラーフィルタの着色層の電気的性質が液晶のスイッチング性能に悪影響を与えることがなく、且つ色再現性に優れたカラーフィルタを具備する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、LEDを備えるバックライトと、緑色着色層を含む複数色の着色層を備えるカラーフィルタとを具備する液晶表示装置において、前記カラーフィルタの緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58を含み、前記緑色着色層の、液晶表示装置の駆動周波数における誘電正接が0.02以下であることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0008】
本発明の第2の態様は、LEDを備えるバックライトと、少なくとも緑色着色層を含む複数色の着色層及び透明樹脂からなるオーバーコート層を備えるカラーフィルタとを具備する液晶表示装置において、前記カラーフィルタの緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58を含み、緑色着色層とオーバーコート層の積層の、液晶表示装置の駆動周波数における誘電正接が0.02以下であることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0009】
以上の第1〜第3の態様に係る液晶表示装置において、前記カラーフィルタの緑色着色層を構成する着色材料の含有量が前記緑色着色層に対する重量比率で20%以下であり、前記LEDバックライトからの光を通した際の前記緑色着色層の色度が、XYZ表色系において、yが0.60以上であり、xy色度におけるカラーフィルタとしての色再現域がNTSC比で70%以上とすることが出来る。
【0010】
前記バックライトは、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを備えるものとすることが出来る。或いは、前記バックライトは、青色LEDと緑色蛍光体及び赤色蛍光体との組合せからなる白色LED装置を備えるものとすることが出来る。
【0011】
本発明の第3の態様は、以上の液晶表示装置用のカラーフィルタであって、前記緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58からなる緑色顔料と黄色顔料を含み、顔料全重量に対するC.I.ピグメントグリーン58の重量比率が60%以下であり、前記緑色着色層に対する顔料の重量比率が30%以下であることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【0012】
本発明の第4の態様は、以上の液晶表示装置用のカラーフィルタであって、前記緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58からなる緑色顔料と、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー139、及びC.I.ピグメントイエロー138からなる群から選ばれる1種以上の黄色顔料とを含み、顔料全量に対するC.I.ピグメントグリーン58の重量比率が60%以下であり、前記緑色着色層に対する顔料の重量比率が30%以下であることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1及び第2の態様によると、LEDを備えるバックライトと、緑色着色層又は緑色着色層とオーバーコート層の積層の、駆動周波数における誘電正接が0.02以下であるカラーフィルタとの組合せを具備しているため、特に横電界方式の液晶表示装置において、カラーフィルタの着色層の電気的性質が液晶のスイッチング性能に悪影響を与えることがなく、且つ色再現性に優れた液晶表示装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
カラーフィルタの電気的性質と横電界方式の液晶表示装置における表示不良の関係については、横電界方式の液晶表示装置の液晶配向不良やスイッチングの閾値ずれは、主として着色層材料の誘電特性に起因することがわかっている。
【0016】
誘電正接(tanδ)は、誘電体内に蓄積される電荷量と消費される電荷量の比である。誘電正接が比較的小さい場合は、誘電体内に蓄積された電荷は保持されるのに対し、誘電正接が比較的大きい場合は、電荷は消費されて保持されない。
【0017】
横電界方式の液晶表示装置においては、カラーフィルタの着色層が液晶駆動電界中に内在するため、カラーフィルタの着色層の誘電正接と他のセル内の部材(液晶、配向膜など)の誘電正接との値が大きく異なると、電荷の保持状態が不均一になる。電荷の保持状態が不均一になると、横電界方式の液晶表示装置においては生じてはならない縦方向の電界が発生し、それによって液晶の配向不良が発生したり、あるいは電荷が余分に残ってしまうことによる閾値ずれによって画像焼き付き現象(表示画面中に画像が長時間にわたって残存する現象)が発生し、表示不良となる。
【0018】
したがって、カラーフィルタの着色材料の誘電正接は、横電界方式の液晶表示装置の表示特性を決定する重要な特性である。誘電正接は測定周波数に依存する値であるが、液晶駆動の1フレームが60Hz〜120Hz程度であることから、周期(秒)すなわち周波数で30Hz〜60Hz近辺、ほぼ10〜200Hzの周波数での誘電正接に着目するのが適当である。
【0019】
一般に、液晶材料、配向膜材料などは電荷を保持する能力が大きい、すなわち誘電正接が比較的小さい材料であり、その値は一般に0.005〜0.02程度の値である。横電界方式の液晶表示装置に用いるカラーフィルタの着色材料の誘電正接の値は、液晶材料、配向膜材料の誘電正接と同程度の値であることが好ましいものと考えられる。
【0020】
従来のカラーフィルタにおける誘電特性の悪化の原因は、緑色顔料として用いられるハロゲン化銅フタロシアニン(C.I.ピグメントグリーン36)に起因するハロゲンを含む遊離低分子化合物の存在であり、この化合物の量を抑制することが効果的であることがわかっている。
【0021】
その手段として、これまで、ハロゲン化銅フタロシアニンの精製度を向上させることや、ハロゲン化銅フタロシアニンの濃度を一定以下とするなどの方法がとられていた。しかし、ハロゲン化銅フタロシアニンの精製度の向上には技術的な限界があり、また、ハロゲン化銅フタロシアニンの濃度を低下させると色再現性が悪くなる。
【0022】
本発明者らは、LEDを具備するバックライトと、少なくとも緑色着色層を含む複数色の着色層を具備するカラーフィルタとを有する液晶表示装置において、カラーフィルタの緑色着色層がC.I.ピグメントグリーン58を含み、緑色着色層の液晶表示装置の駆動周波数における誘電正接が0.02以下、好ましくは0.01以下であるカラーフィルタを用いることで、高い色再現性を保ちながら、画素配向不良、閾値ずれなどの表示品位の低下を効果的に防止し得ることを見出した。
【0023】
また、カラーフィルタ上に平坦化のためにオーバーコート層が設けられる場合、緑色着色層とオーバーコート層の積層の、液晶表示装置の駆動周波数における誘電正接が0.02以下、好ましくは0.01以下であるカラーフィルタを用いることで、高い色再現性を保ちながら、画素配向不良、閾値ずれなどの表示品位の低下を効果的に防止し得ることを見出した。
【0024】
誘電特性は、緑色着色層中に存在するC.I.ピグメントグリーン58をはじめとする顔料などの着色材料により影響を受けるため、その含有量は緑色着色層の構成成分中の含有量で30重量%以下、好ましくは20重量%以下、より好ましくは18重量%以下である必要がある。しかし、着色材料の含有量を減らすことは色再現性の低下を招くことから、LEDを具備するバックライトを用いた際の色度が、XYZ表色系において、yが0.60以上、好ましくは0.62以上であり、且つカラーフィルタとしての色再現域がNTSC比で70%以上であることが必要である。
【0025】
前述のように、着色材料のなかで、緑色顔料は特に誘電特性が悪い。したがってC.I.ピグメントグリーン58の含有量は極力少なくする必要があり、C.I.ピグメントグリーン58と黄色顔料を含む緑色着色層において、顔料全重量に対するC.I.ピグメントグリーン58の重量比率を70%以下とする必要があり、好ましくは60%以下であり、より好ましくは50%以下である。C.I.ピグメントグリーン58の含有比率は少ない方が好ましいが、少なすぎると緑色領域の透過率が高くなり、色再現性が悪くなってしまうため、35%程度が下限である。
【0026】
以下、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの製造方法について詳述する。
【0027】
カラーフィルタ基板に用いられる透明基板は、可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の光透過率を有するものを用いることができる。一般に、液晶表示装置に用いられているものでよく、PETなどのプラスチック基板やガラスが挙げられるが、通常はガラス基板を用いるとよい。遮光パターンを用いる場合は、あらかじめ透明基板上にクロム等の金属薄膜や遮光性樹脂によるパターンを公知の方法で形成したものを用いればよい。
【0028】
透明基板上への着色層の作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法など何れの方法で作製しても構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、透明な樹脂中に顔料を光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた着色組成物を透明基板上に塗布製膜し、着色組成物層を形成し、これをパターン露光し、現像することで一色の画素を形成し、この工程を各色毎に繰り返し行なうフォトレジスト法が好ましい。
【0029】
カラーフィルタが備える画素を構成する着色層をフォトレジスト法により形成する方法は、例えば、以下のようにして行われる。まず、着色剤となる顔料を透明な樹脂中に分散させた後、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤と混合し、着色組成物を調製する。着色剤となる顔料を透明樹脂中に分散させる方法としては、ミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な装置を用いる方法があり、特に限定されるものではない。
【0030】
カラーフィルタの赤、緑、青の各画素を構成する着色層を形成するための着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例を、以下にカラーインデックス番号で示す。
【0031】
赤色顔料としては、C.I.Pigment Red 254、7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、255、264、272、279等が挙げられる。
【0032】
黄色顔料としては、C.I.Pigment Yellow 150、PY138の他に、PY1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、139、144、146、147、148、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0033】
橙色顔料としてはC.I.Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0034】
緑色顔料としては、C.I.Pigment Green 36の他に、PG7、10、37等が挙げられる。
【0035】
青色顔料としては、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられる。
【0036】
紫色顔料としては、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等があげられる。
【0037】
上記記載の顔料は、着色層によって単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0038】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0039】
着色組成物に用いる透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0041】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0042】
光架橋剤として用いることのできる重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルなどが代表例に挙げられる。これらは単独または2種以上混合して用いることができ、さらに光硬化性を適正に保つ目的で、必要に応じ、他の重合性モノマーおよびオリゴマーを混合して用いることが出来る。
【0043】
その他の重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシ
ジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらについても、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0044】
着色組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4'-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。
【0045】
これらの光重合開始剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。
【0046】
また、着色組成物は、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を含有することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上を混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。
【0047】
さらに、着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0048】
また、必要に応じて、熱架橋剤を含んでいてもよく、熱架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。メラミン樹脂としては、アルキル化メラミン樹脂(メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂など)、混合エーテル化メラミン樹脂等があり、高縮合タイプであっても低縮合タイプであってもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、レゾルシン・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、エチレングリコール(ポリエチレングリコール)・ジグリシジルエーテル等がある。これらは、いずれも単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
【0049】
着色組成物は、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0050】
次に、透明基板上に、上述のようにして調製された感光性着色組成物を基板上に塗布し、プリベークを行う。塗布する手段はスピンコート、ディップコート、ダイコートなどが通常用いられるが、40〜60cm四方程度の基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならば、これらに限定されるものではない。プリベークは50〜120℃で10〜20分ほど行うことが好ましい。塗布膜厚は任意であるが、分光透過率などを考慮すると、通常はプリベーク後の膜厚で2μm程度である。
【0051】
次いで、感光性着色組成物を塗布し、着色組成物層を形成した基板に、パターンマスクを介して露光を行う。露光光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。
【0052】
続いて、露光された着色組成物層の現像を行う。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものが挙げられる。現像後、水洗、乾燥して任意の一色の画素が得られる。
【0053】
以上の一連の工程を、感光性着色組成物およびパターンを替え、必要な色の数だけ繰り返すことで、必要な色数が組み合わされた着色パターンすなわち複数色の画素を備えるカラーフィルタを得ることができる。
【実施例】
【0054】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。
【0055】
図1は、本実施例に係るカラーフィルタを示す断面図である。図1において、ガラス基板1上には、画素領域と画素領域の境界に位置する画素間部位にブラックマトリクス2が設けられ、画素領域のそれぞれには着色画素3R、3G、3Bが配置されている。3Rは赤色画素を、3Gは緑色画素を、3Bは青色画素をそれぞれ示す。これら着色画素3R、3G、3Bの上には、透明樹脂からなるオーバーコート層4が設けられている。
【0056】
図2は、図1に示すカラーフィルタを備えた液晶表示装置を示す。
【0057】
図3に示す液晶表示装置7は、ノート型パソコン用のTFT駆動型液晶表示装置の典型例であって、離間対向して配置された一対の透明基板8および9を備え、それらの間に、液晶(LC)が封入されている。
【0058】
液晶(LC)は、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In−Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の液晶配向モードに応じて配向される。
【0059】
第1の透明基板8の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ10が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層11が形成されている。透明電極層11の上には、配向層12が設けられている。また、透明基板8の外面には、位相差フィルムを含む偏光板13が形成されている。
【0060】
他方、第2の透明基板9の内面には、上述した本発明の一実施形態に係る感光性樹脂組成物を用いて形成されたカラーフィルタ14が設けられている。カラーフィルタ14を構成する赤色、緑色および青色の画素は、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されており、またその上に、必要に応じてオーバーコート層(図示せず)が設けられている。
【0061】
カラーフィルタ14上に、例えばITOからなる透明電極層15が形成され、透明電極層15を覆って配向層16が設けられている。また、透明基板9の外面には、偏光板17が形成されている。なお、偏光板13の下方には、LED18を備えたバックライトユニット19が設けられている。
【0062】
以下、液晶表示装置の構成部材としてのバックライト装置及びカラーフィルタについて説明する。
【0063】
[バックライト装置]
本実施例で用いるバックライト装置は、液晶パネルの背面に配置され、透過型又は半透過型のカラー液晶表示装置の背面光源手段として用いられる面状光源装置を指し、LED光源と、この光源光をほぼ均一な面光源に変換する光均一化手段とを具備するものである。LED光源としては、赤、緑、青の波長域に発光する3色のLEDの組合せに係るもの、または青色LEDに緑色蛍光体及び赤色蛍光体を塗布することで白色化したものがある。
【0064】
バックライト装置は、LED光源と、光源より発せられた光を観察者側に向けて反射するリフレクタ、光源からの光を導き面状とするための導光体として用いる透光性の平板からなる基板、三角プリズム状のアレーを形成した調光シートなどを適切に配置することで構成される。光源の設置方式としては、液晶素子の背面直下に光源を配設する方法(直下方式)や、側面に光源を配設し、アクリル板等の透光性の導光体を用いて光を面状に変換して面光源を得る方法(サイドライト方式)が代表的である。高輝度が必要な用途については直下方式が、薄型化が必要な用途についてはサイドライト方式がそれぞれ好適であり、用途に応じて実用化されている。
【0065】
LED光源として3色のLEDの組合せに係るものを用いる場合、一般には、赤、緑、青の波長領域のうち、赤色領域に主発光波長を有する赤色LEDとしてはGaAsP系LEDが挙げられ、緑色領域に主発光波長を有する緑色LEDとしてはGaP系LEDが挙げられ、青色領域に主発光波長を有する青色LEDとしてはInGaN系LED、GaN系LEDが挙げられる。
【0066】
赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色光源の発光特性を示す特性図を図3に示す。また、青色LEDに緑色蛍光体及び赤色蛍光体を塗布することで白色化したLEDの発光特性を示す特性図を図4に示す。図5は、従来の液晶表示装置に用いられていた冷陰極蛍光管(CCFL)の発光特性を示す特性図である。
【0067】
[着色組成物]
カラーフィルタ作製に用いる着色組成物を着色するための着色剤には以下のものを使用した。
【0068】
赤色用顔料:C.I.Pigment Red 254(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)、およびC.I.Pigment Red 177(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッド A2B」)
緑色用顔料:C.I.Pigment Green 58(大日本インキ化学工業(株)「Phthalocyanine Green A110」)、C.I.Pigment Green 36(東洋インキ製造(株)製「リオノールグリーン 6YK」)、およびC.I.Pigment Yellow 150(バイエル社製「ファンチョンファーストイエロー Y−5688」)
青色用顔料:C.I.Pigment Blue 15(東洋インキ製造(株)製「リオノールブルーES」)C.I.Pigment Violet 23(BASF社製「パリオゲンバイオレット 5890」)
それぞれの顔料を用いて、下記表1に示す赤色着色組成物、下記表2に示す緑色着色組成物、下記表3に示す青色着色組成物を作製した。
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
[カラーフィルタ]
得られた着色組成物を用いてカラーフィルタを作製した。
【0072】
ガラス基板に、上記表1に示す赤色着色組成物をスピンコートにより膜厚2μmとなるように塗布した。乾燥した後、露光機にてストライプ状のパターン露光をし、アルカリ現像液にて90秒間現像して、ストライプ状の赤色画素の着色層を得た。なお、アルカリ現像液は以下の組成からなる。
【0073】
炭酸ナトリウム 1.5重量%
炭酸水素ナトリウム 0.5重量%
陰イオン系界面活性剤 8.0重量%
(花王(株)製「ペリレックスNBL」)
水 90重量%
次に、上記表2の緑色着色組成物も同様にスピンコートにて膜厚が2μmとなるように塗布した。乾燥した後、露光機にてストライプ状の着色層を前述の赤色画素の着色層とはずらした場所に露光し、現像することで、前述の赤色画素の着色層と隣接した緑色画素の着色層を得た。
【0074】
さらに、赤色、緑色と全く同様にして、上記表3に示す青色着色組成物についても膜厚2μmで赤色画素、緑色画素の着色層と隣接した青色画素の着色層を得た。これで、透明基板上に赤、緑、青の3色のストライプ状の着色層を持つカラーフィルタが得られた。
【0075】
上記顔料比率の着色組成物について、赤色着色層はx=0.640、緑色着色層はy=0.600、青色着色層はy=0.060になるように調製し、下記表4に示す実施例と比較例で用いた組み合わせで3色カラーフィルタを作製した。調整色度値は放送規格であるEBU規格値に基づいたものであるが、この範囲に限定されるものではない。
【0076】
赤色着色組成物としてR−1、緑色着色組成物としてGA−1〜GA−4、青色着色組成物としてB−1を使用し、上記の方法で作製した3色カラーフィルタCF−1〜CF−4と、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色光源を備えるバックライトとを組み合わせた例を実施例1〜4とした。同様に、緑色着色組成物としてGA-5〜GA-8を使用し、上記の方法で作製した3色カラーフィルタCF−5〜CF−8と、青色LEDに緑色蛍光体及び赤色蛍光体を塗布することで白色化したLEDを備えるバックライトとを組み合わせた例を実施例5〜8とした。
【0077】
また、赤色着色組成物としてR−1、緑色着色組成物としてCB−1〜GB−4を使用し、青色着色組成物としてB−1を使用し、上記の方法で作製した3色カラーフィルタCF−9〜CF−12と、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色光源を備えるバックライトとを組み合わせた例を比較例1〜4とした。同様に、緑色着色組成物としてGB−5〜GB−8を使用し、上記の方法で作製した3色カラーフィルタCF−13〜CF−16と、青色LEDに緑色蛍光体及び赤色蛍光体を塗布することで白色化したLEDを備えるバックライトとを組み合わせた例を比較例5〜8とした。
【0078】
また、CF−1〜CF−8の3色カラーフィルタと、CCFLを備えるバックライトとを組み合わせた例を比較例9〜16とした。
【0079】
更に、赤色着色組成物としてR−2、緑色着色組成物としてGA−9〜GA−11、青色着色組成物としてB−2を使用し、上記の方法で作製した3色カラーフィルタCF−17〜CF−19と、CCFLを備えるバックライトとを組み合わせた例を実施例17〜19とした。
【0080】
これらの実施例1〜8、比較例1〜19について、緑色着色層中における緑顔料の固形分に対する濃度、緑色着色層の20Hzにおける誘電正接、およびNTSC比を比較した結果を下記表4〜表7に示す。
【表4】

【0081】
【表5】

【0082】
【表6】

【0083】
【表7】

【0084】
上記表4から、LEDを備えるバックライトと、C.I.ピグメントグリーン58を含み誘電正接が0.01以下である緑色着色層を備えるカラーフィルタを具備する液晶表示装置(実施例1〜8)によると、NTSC比がいずれも70%以上であり、色再現性が良好であった。また、緑色着色層の誘電正接がいずれも0.01未満であり、画素の液晶配向不良、駆動電圧の閾値ずれを発生させることなく良好な表示品位が得られた。
【0085】
これに対し、上記表5に示すように、LEDを備えるバックライトを備えていても、C.I.ピグメントグリーン58を含まず誘電正接が0.01を越える緑色着色層を備えるカラーフィルタを具備する液晶表示装置(比較例1〜8)によると、画素の液晶配向不良、駆動電圧の閾値ずれによる焼き付き現象が発生し、良好な表示特性が得られなかった。
【0086】
また、上記表6に示すように、C.I.ピグメントグリーン58を含み誘電正接が0.01以下である緑色着色層を備えていても、CCFLを備えるバックライトを用いた液晶表示装置(比較例9〜16)によると、NTSC比がいずれも70%未満であり、色再現可能範囲が小さく、テレビ画像表示装置としては不適当な表示品質であった。
【0087】
また、上記表7に示すように、C.I.ピグメントグリーン58を含んでいても誘電正接が0.01を越える緑色着色層を備えるカラーフィルタと、CCFLを備えるバックライトを用いた液晶表示装置(比較例17〜19)によると、画素の液晶配向不良、駆動電圧の閾値ずれによる焼き付き現象が発生し、良好な表示特性が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施例に係るカラーフィルタを示す概略断面図である。
【図2】図1に示すカラーフィルタを備えた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを組み合わせて混色させた白色光源の発光特性を示す特性図である。
【図4】青色LEDに緑色蛍光体及び赤色蛍光体を塗布することで白色化したLEDの発光特性を示す特性図である。
【図5】従来の液晶表示装置に用いられていた冷陰極蛍光管(CCFL)の発光特性を示す特性図である。
【符号の説明】
【0089】
1・・・ガラス基板、2・・・ブラックマトリックス、3R・・・赤色画素、3G・・・緑色画素、3B・・・青色画素、4・・・オーバーコート層、7・・・液晶表示装置、8、9・・・透明基板、10・・・TFTアレイ、11、15・・・透明電極、12、16・・・配向層、13、17・・・偏光板、14・・・カラーフィルタ、18・・・LED、19・・・バックライトユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDを備えるバックライトと、緑色着色層を含む複数色の着色層を備えるカラーフィルタとを具備する液晶表示装置において、前記カラーフィルタの緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58を含み、前記緑色着色層の、液晶表示装置の駆動周波数における誘電正接が0.02以下であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
LEDを備えるバックライトと、少なくとも緑色着色層を含む複数色の着色層及び透明樹脂からなるオーバーコート層を備えるカラーフィルタとを具備する液晶表示装置において、前記カラーフィルタの緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58を含み、緑色着色層とオーバーコート層の積層の、液晶表示装置の駆動周波数における誘電正接が0.02以下であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記カラーフィルタの緑色着色層を構成する着色材料の含有量が前記緑色着色層に対する重量比率で30%以下であり、前記LEDバックライトからの光を通した際の前記緑色着色層の色度が、XYZ表色系において、yが0.60以上であり、xy色度におけるカラーフィルタとしての色再現域がNTSC比で70%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記バックライトは、赤色LED、緑色LED、及び青色LEDを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記バックライトは、青色LEDと緑色蛍光体及び赤色蛍光体との組合せからなる白色LED装置を備えることを特徴とする請求項1〜3に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示装置用のカラーフィルタであって、前記緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58からなる緑色顔料と黄色顔料を含み、顔料全重量に対するC.I.ピグメントグリーン58の重量比率が70%以下であり、前記緑色着色層に対する顔料の重量比率が30%以下であることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれかに記載の液晶表示装置用のカラーフィルタであって、前記緑色着色層が、C.I.ピグメントグリーン58からなる緑色顔料と、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー139、及びC.I.ピグメントイエロー138からなる群から選ばれる1種以上の黄色顔料とを含み、顔料全量に対するC.I.ピグメントグリーン58の重量比率が70%以下であり、前記緑色着色層に対する顔料の重量比率が30%以下であることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−163014(P2009−163014A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−674(P2008−674)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】