液晶表示装置及び画像表示システム、並びに電子機器、画像送出用調整装置、画像切替え装置、画像診断装置
【課題】高コントラスト比と高い色再現性とを同時に得ることができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示部116は、積層された2つの可能な液晶表示素子113と、液晶表示素子114とを有する。画像処理部105は、入力画像中で輝度又は彩度が所定の値以上の画素について透過率を全透過状態とした単色画像を生成し、その単色画像に平均化処理を施した画像を、第2液晶表示素子114に出力する。また、入力画像と、平均化処理後の単色画像とに基づいてカラー画像を生成し、第1液晶表示素子113に出力する。このようにすることで、第2液晶表示素子114にて全透過状態の画素は、第1液晶表示素子113単独で表示が行われ、それ以外の画素では、2つの液晶表示素子の組み合わせで表示が行われることになり、高コントラスト比と高い色再現性とを同時に得ることができる。
【解決手段】液晶表示部116は、積層された2つの可能な液晶表示素子113と、液晶表示素子114とを有する。画像処理部105は、入力画像中で輝度又は彩度が所定の値以上の画素について透過率を全透過状態とした単色画像を生成し、その単色画像に平均化処理を施した画像を、第2液晶表示素子114に出力する。また、入力画像と、平均化処理後の単色画像とに基づいてカラー画像を生成し、第1液晶表示素子113に出力する。このようにすることで、第2液晶表示素子114にて全透過状態の画素は、第1液晶表示素子113単独で表示が行われ、それ以外の画素では、2つの液晶表示素子の組み合わせで表示が行われることになり、高コントラスト比と高い色再現性とを同時に得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及び画像表示システムに関し、更に詳しくは、高い表示コントラストが得られる直視型の液晶表示装置及び画像表示システムに関する。また、本発明は、そのような液晶表示装置を使用した電子機器、画像送出用調整装置、画像切替え装置、及び、画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(液晶ディスプレイ)は、低消費電力で高精細化が可能という特徴を有しており、小型の携帯電話機から大型のテレビモニターまで広い範囲に適用されている。しかしながら、液晶表示パネル(液晶表示素子)の暗所におけるコントラスト比は、液晶表示パネル単独では高々1000:1前後であり、CRTにおけるコントラスト比や、液晶ディスプレイと同じくテレビモニターとして用いられているプラズマディスプレイのコントラスト比(3000:1)、FED/SEDと呼ばれる放電型表示パネルのコントラスト比に比べて低く、映画など暗い部分の表現力が豊かな映像ソースを用いて表示を実施した場合に、臨場感が不足するという問題点が指摘されている。
【0003】
上記問題に対して、液晶表示素子単体でのコントラスト比はそのままとして、バックライトの光強度を、表示する画像に従って制御することで、液晶ディスプレイ装置全体でコントラスト比を向上させる技術が開発されてきている。しかし、従来の面光源型のバックライト装置では、光源として冷陰極管が用いられており、この冷陰極管の輝度のダイナミックレンジは狭いため、バックライトの光強度を表示する画像に従って制御した場合でも、コントラスト比は、2000〜3000:1に留まる。また、冷陰極管は棒状の光源であるために、同一画面内に輝度の高い部分と低い部分が同時に存在した場合には、バックライトにおける輝度の調整ができず、バックライトの輝度制御によるコントラストの向上効果が低くなる。従って、一部高輝度の領域がある画像で、低輝度領域における再現性を重視するような画像を表示する場合に、実質的なコントラスト比が低下するという問題がある。
【0004】
上記の問題を生じさせないためには、液晶表示素子のコントラスト比を大幅に引き上げる必要があるが、前記したように、液晶表示素子単体におけるコントラスト比は高々1000:1程度である。液晶表示素子単体でのコントラスト比を大幅に引き上げることなく、液晶表示装置のコントラスト比を大幅に向上できる液晶表示装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の技術がある。これら技術では、液晶表示素子を2層又はそれ以上重ね合わせる。このようにすることで、黒輝度を低下させ、液晶表示装置全体でのコントラスト比を向上させている。
【0005】
図12は、液晶表示素子を2層重ね合わせた構造の液晶表示装置の構成を示している。この液晶表示装置900は、光入射側から順に、偏光板901、液晶表示パネル941、偏光板902、液晶表示パネル942、及び、偏光板903を有する。液晶表示パネル941は、TN構造の液晶層931と、透明電極921、922を液晶層側に有する一対の透明基板911、912とから成る。液晶表示パネル942は、TN構造の液晶層932と、透明電極923、924を液晶層側に有する一対の透明基板913、914とから成る。液晶表示パネル941、942の透明電極921及び923は、それぞれ、駆動回路951から駆動信号が供給される画素電極であり、透明電極922及び924は、それぞれ共通電極である。このような構造を採用することで、レーザ光を用いてコントラスト比を測定した場合、液晶表示パネルを1枚用いる構造ではコントラスト比が10〜15程度であったものが、2枚積層することにより100:1程度に向上でき、更に、3枚積層することにより1000:1程度に向上でき、液晶表示パネル単体でのコントラスト限界を超えたコントラスト比を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭64−10223号公報
【特許文献2】実開昭59−189625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、積層された2つの液晶表示パネル941、942を、同一の信号源からの同一の信号によって駆動することで、高コントラスト比を得ている。しかしながら、液晶表示装置900では、液晶層931と932とが厚み方向に距離dだけ離れているため、パネル斜め方向から表示面を観察すると、液晶表示パネル941と液晶表示パネル942とで、表示位置に位置ずれが生じる。この位置ずれにより、斜め視野では、観察者は、正常な画像を認識できず、違和感が生じる。また、カラー表示を行う液晶表示パネルを2つ重ねた場合には、斜め視野から観察すると、下層側の液晶表示パネルと上層側の液晶表示パネルとで、光が、カラーフィルタ層の異なる色の層を通過することがある。これにより、表示輝度が低下し、視認性が悪化するという問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、積層された液晶表示パネルを有する液晶表示装置において、視野方向に関係なく単体のパネルで表示したときと同等の色再現特性を得ると同時に、複数枚の液晶表示パネルを組み合わせることにより、単体で表現可能なコントラスト比を超えたコントラスト比を有する液晶表示装置及び画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の液晶表示装置は、複数の液晶表示パネルを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像に従って、前記液晶表示部で表示する画像を生成する画像処理部とを備えた液晶表示装置であって、前記複数の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を備えた第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを含み、前記画像処理部が、前記入力画像中で輝度又は彩度が所定の値以上の画素については全透過状態とする階調を発生し、輝度又は彩度が前記所定の値よりも
小さい画素では、前記入力画像に基づく階調を発生して、前記入力画像から単色画像を生成し、前記第2の液晶表示パネルに出力するモノクロ画像生成部と、前記入力画像と前記単色画像とに基づいてカラー画像を生成し、前記第1の液晶表示パネルに出力するカラー画像演算部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の液晶表示装置では、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度又は彩度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルを、その単色画像で駆動する。一方、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルについては、入力画像と、第2液晶表示パネルを駆動する単色画像とに基づいて生成されたカラー画像で駆動する。このようにすることで、輝度又は彩度が高い画素については、第2液晶表示パネルが全透過状態となることから、第1液晶表示パネルのみで表示が行われ、輝度又は彩度が低い画素については、第1液晶表示パネルと第2液晶表示パネルとの組み合わせにて表示が行われることになる。従って、輝度又は彩度が低い画素では、複数の液晶表示パネルを連携させることで高コントラスト表示が得られると共に、輝度又は彩度が高い画素では、液晶表示パネル1枚での表示と同等な色再現性を得ることができ、高コントラスト比と高い色再現性とを同時に実現することができる。
【0011】
本発明の液晶表示装置では、前記カラー画像演算部は、前記単色画像で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像に従った輝度階調を表示することとし、全透過状態とされた画素を除く画素では、表示階調を、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記入力画像を補正した階調とするカラー画像を生成する構成を採用できる。第2液晶表示パネルにおける透過率が1(全透過状態)よりも小さい画素では、第2液晶表示パネルにて透過率の低下が発生する。第1液晶表示パネルにて、第2液晶表示パネルにおける透過率の低下分だけ透過率が増加するような画像を表示することにより、トータルでの透過率を制御することができ、観察者に対し、元の入力画像の色や輝度を、観察させることができる。
【0012】
本発明の液晶表示装置では、前記カラー画像演算部は、観察者が、前記第1液晶表示パネルと第2液晶表示パネルとを通して表示画面を観察した際に、前記入力画像で規定される色が観察されるように、前記第1の液晶表示パネルで表示されるべきカラー画像を生成する構成を採用できる。
【0013】
本発明の液晶表示装置では、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像を単色化し、該単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記しきい値よりも低い画素については、前記単色化した画像の階調に基づきヒストグラム拡大することで、前記単色画像を生成する構成を採用できる。輝度又は彩度が高い画素の透過率を全透過状態とする際には、所定のしきい値以上の透過率の画素を全透過状態とするしきい値処理を採用できる。
【0014】
本発明の液晶表示装置では、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像の単色化では、前記入力画像の各画素について、各色成分の階調を比較し、各色成分のうちで階調が最も大きい色成分の階調を、単色化後の画素の階調とする構成を採用できる。
【0015】
上記に代えて、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像の単色化では、前記入力画像をHSV変換して明度の成分を抽出し、該抽出した明度に基づいて、各画素の階調を決定する構成を採用できる。また、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像の単色化では、前記入力画像の各色成分のうちの何れか一色を用いて、各画素の階調を決定する構成を採用することができ、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像の単色化では、前記入力画像の各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定する構成を採用することもできる。
【0016】
本発明の液晶表示装置では、前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%としたとき、20%以上で80%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定される構成を採用できる。第2液晶表示パネルでの透過率の変動が大きいと、第1液晶表示パネルにて第2液晶表示パネルでの透過率の変動分を補正しようとしても、補正しきれないことも考えられる。しきい値を、この範囲に設定することで、第2液晶表示パネルでの透過率変動があっても、違和感のない表示が可能となる。
【0017】
本発明の液晶表示装置では、前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%としたとき、20%以上で60%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定される構成を採用できる。また、輝度又は彩度が高い画素についてはできるだけ第1液晶表示パネルのみで表示を行うという観点からは、しきい値の上限は上記よりも少し低いことが好ましく、20%〜60%の範囲が好適である。
【0018】
本発明の液晶表示装置では、前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%としたとき、30%以上で50以下の範囲内の透過率に対応する値に設定される構成を採用できる。この場合、更に違和感の少ない表示が可能である。
【0019】
本発明の液晶表示装置では、前記複数の液晶表示パネルのうちで、前記第1の液晶表示パネルのみがカラーフィルタ層を有する構成を採用できる。積層された複数の液晶表示パネルのうちで、カラーフィルタ層を有する液晶表示パネルが複数ある場合には、斜めから観察した際に、上下の液晶表示パネル間で、異なる色のカラーフィルタの層を通過することにより、観察者に観察される色が、本来の表示色からずれることがある。カラーフィルタ層を有する液晶表示パネルを1枚のみとすることで、このような問題を回避できる。
【0020】
本発明の液晶表示装置では、前記第1液晶表示パネルと前記第2液晶表示パネルとで、ピクセル解像度が一致している構成を採用できる。
【0021】
本発明の液晶表示装置では、前記第1の液晶表示パネルにおける1ピクセルが、3ドットで構成され、前記カラーフィルタ層は、それぞれ、赤、緑、及び、青に対応する色彩のカラーフィルタを有する構成を採用できる。或いは、前記第1の液晶表示パネルにおける1ピクセルが、4ドット乃至7ドットで構成され、前記カラーフィルタ層は、それぞれ、赤、緑、及び、青に対応する色彩のカラーフィルタと、黄、マゼンタ、シアン、及び、透明のうちの少なくとも1つとに対応する色彩のカラーフィルタとを有する構成を採用できる。
【0022】
本発明の液晶表示装置では、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、前記第2の液晶表示パネル及び前記カラー画像演算部に出力する平均化処理部を更に備える構成を採用できる。この場合、第2液晶表示パネルを、平均化処理された単色画像で駆動することで、積層された液晶表示パネルが離隔していることで生じる視差による違和感を解消することができる。
【0023】
本発明の液晶表示装置では、前記平均化処理部は、前記単色画像に対して、中心画素から所定の距離の範囲内にある画素の階調を、中心点からの距離に従った加重平均処理で平均化する処理を実行する構成を採用できる。また、前記加重平均処理では、荷重分布としてガウス分布を用いる構成を採用できる。平均化処理を行う距離については、斜め視野における観察方向の角度と、積層された液晶表示パネル間の層間の距離に応じて設定すればよい。
【0024】
本発明の液晶表示装置では、前記平均化処理部は、前記単色画像に対して、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行する構成とすることができる。この輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理方法として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲に任意の荷重分布を与えた上でヒストグラムを拡大する処理を実行する。このような処理は次の式で表される。
【数1】
また、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理方法の他の例として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した上でヒストグラムを拡大する処理を実行する。このような処理は次の式で表される。
【数2】
輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理方法の他の例として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した出力と、注目する画素との平均値に対して、ヒストグラムを拡大する処理を実行する。このような処理は次の式で表される。
【数3】
ここで、g(i,j)は注目する画素の処理結果を、f(i,j)は注目する画素とし、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域を考え、G(i,j)は任意の荷重分布行列を、γはガンマ値を、SMAXは最大階調値を表す。なお、i方向とj方向は必ずしも、ストライプ配列のように直交するものではなく、デルタ配列等にも採用することができる。
【0025】
本発明の液晶表示装置は、前記複数の液晶表示パネルのそれぞれ表示可能な階調数をmとするとき、前記液晶表示部で表示可能な階調数が、前記液晶表示パネルの枚数をnとして、m以上mn以下である構成を採用できる。
【0026】
本発明の液晶表示装置では、前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ平行な方向に電界を印加し、前記透明基板とほぼ平行な方向に配列されている液晶分子を、前記透明基板とほぼ平行な方向に回転させることで、光透過状態と光遮断状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動される構成を採用できる。
【0027】
本発明の液晶表示装置では、前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ垂直な方向に電界を印加し、前記透明基板に対してほぼ垂直な方向に配列されている液晶分子を、前記透明基板とほぼ平行な方向に回転させることで、光透過状態と光遮断状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動される構成を採用できる。
【0028】
本発明の液晶表示装置では、前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ垂直な方向に電界を印加し、透明基板近傍ではほぼ水平に配向され、かつ、液晶層内部でダイレクタ方向がほぼ90°変化するように配向された液晶分子を、透明基盤に垂直な方向に立ち上がらせることで、光透過状態と光遮光状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動される構成を採用できる。
【0029】
本発明の別の観点の液晶表示装置は、少なくとも1つの液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像に従って、前記液晶表示部で表示する画像を生成する画像処理部とを備えた液晶表示装置であって、前記画像処理部が、前記入力画像中で輝度又は彩度が所定の値以上の画素に対応する光源部分を所定の輝度以上の輝度で点灯し、輝度又は彩度が前記所定の値よりも小さい画素を前記入力画像に基づく発光輝度として、前記入力画像から単色画像を生成し、前記光源に出力するモノクロ画像生成部と、前記入力画像と前記単色画像とに基づいてカラー画像を生成し、前記液晶表示パネルに出力するカラー画像演算部とを備え、前記光源は、各ドットの発光輝度を、前記単色画像に基づいて制御することを特徴とする。
【0030】
本発明の別の観点の液晶表示装置では、ドットマトリクス駆動が可能な光源を用い、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度又は彩度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、ドットマトリクス駆動の光源を、その単色画像で駆動する。カラーフィルタを有する液晶表示パネルについては、入力画像と、光源を駆動する単色画像とに基づいて生成されたカラー画像で駆動する。このようにすることで、輝度又は彩度が高い画素については、光源が全白状態となることから、液晶表示パネルのみで表示が行われ、輝度又は彩度が低い画素については、液晶表示パネルと全白状態よりも透過率が低下した光源との組み合わせにて表示が行われることになる。従って、輝度又は彩度が低い画素では、液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを連携させることで高コントラスト表示が得られると共に、輝度又は彩度が高い画素では、液晶表示パネル1枚での表示と同等な色再現性を得ることができ、高コントラスト比と高い色再現性とを同時に実現することができる。
【0031】
本発明の別の観点の液晶表示装置では、前記画像処理部が、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、該平均化処理後の単色画像を前記光源及び前記カラー画像演算部に出力する平均化処理部を更に備える構成を採用できる。
【0032】
本発明の別の観点の液晶表示装置では、前記光源が、電球、LED、有機EL、無機EL、FED、及び、PDPの何れかを用いて構成される構成を採用できる。
【0033】
本発明の更に別の観点の液晶表示装置は、複数の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、入力画像に従って、前記液晶表示部で表示する画像を生成する画像処理部とを備えた液晶表示装置であって、前記複数の液晶表示パネルが、それぞれカラーフィルタ層を有しない液晶表示パネルとして構成されており、前記画像処理部が、前記入力画像中で輝度が所定の値以上の画素を全透過状態とし、輝度が前記所定の値よりも小さい画素を前記入力画像に基づく階調として、前記入力画像から単色画像を生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの何れかに出力するモノクロ画像生成部と、前記入力画像と前記単色画像とに基づいて画像を生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの他の何れかに出力する画像演算部とを備えることを特徴とする。
【0034】
本発明の液晶表示装置では、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、液晶表示パネルのうちの少なくとも1つの液晶表示パネルを、その単色画像で駆動する。一方、その他の液晶表示パネルのいくつかについては、入力画像と、第2液晶表示パネルを駆動する単色画像とに基づいて生成された画像で駆動する。このようにすることで、輝度が高い画素については、一方の液晶表示パネルが全透過状態となることから、他方の液晶表示パネルのみで表示が行われ、輝度が低い画素については、双方の液晶表示パネルの組み合わせにて表示が行われることになる。従って、輝度が低い画素では、複数の液晶表示パネルを連携させることで高コントラスト表示が得られると共に、輝度が高い画素では、液晶表示パネル1枚での表示と同等な表示再現性を得ることができ、高コントラスト比と高い表示再現性とを同時に実現する
ことができる。
【0035】
本発明の液晶表示装置では、前記画像処理部が、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、該平均化処理後の単色画像を、前記複数の液晶表示パネルのうちの何れか及び前記画像演算部に出力する平均化処理部を更に備える構成を採用できる。
【0036】
本発明の電子機器は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0037】
本発明の画像送出用調整装置は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0038】
本発明の画像切替え装置は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0039】
本発明の画像診断装置は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0040】
本発明の画像表示システムは、積層されたn枚の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、画像ソースに基づいて画像信号を生成する画像ソース部と、前記画像信号に基づいて、前記液晶表示部の各液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する画像処理部とを有する画像表示システムであって、前記n枚の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを有しており、前記画像処理部が、前記画像信号中で輝度又は彩度が所定の値以上の画素を全透過状態とし、輝度又は彩度が前記所定の値よりも小さい画素を前記画像信号に基づく階調として、前記画像信号から単色画像を生成し、前記第2の液晶表示パネルに出力するモノクロ画像生成部と、前記入画像信号と前記単色画像とに基づいてカラー画像を生成し、前記第1の液晶表示パネルに出力するカラー画像演算部とを備えることを特徴とする。
【0041】
本発明の画像表示システムでは、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度又は彩度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルを、その単色画像で駆動する。一方、カラーフィルタを有する第1液晶表示パネルについては、入力画像と、第2液晶表示パネルを駆動する単色画像とに基づいて生成されたカラー画像で駆動する。このようにすることで、輝度又は彩度が高い画素については、第2液晶表示パネルが全透過状態となることから、第1液晶表示パネルのみで表示が行われ、輝度又は彩度が低い画素については、第1液晶表示パネルと第2液晶表示パネルとの組み合わせにて表示が行われることになる。従って、輝度又は彩度が低い画素では、複数の液晶表示パネルを連携させることで高コントラスト表示が得られると共に、輝度又は彩度が高い画素では、液晶表示パネル1枚での表示と同等な色再現性を得ることができ、高コントラスト比と高い色再現性とを同時に実現することができる。
【0042】
本発明の画像表示システムでは、前記画像ソース部が、画像ソースから画像データを読み出し、該読み出した画像データを、前記画像処理部へ伝送可能な画像信号に変換して出力する伝送部を備える構成を採用できる。
【0043】
本発明の画像表示システムでは、前記画像処理部は、前記カラー画像演算部に入力される画像信号と、前記単色画像とが、同じ時点の画像となるようにタイミングを調整するタイミング調整部を更に有する構成を採用できる。
【0044】
本発明の画像表示システムでは、前記画像処理部が、前記第1液晶表示パネルに対応して、前記カラー画像演算部が出力するカラー画像を記憶する第1のバッファメモリと、該第1のバッファメモリからカラー画像を読み出して前記第1液晶表示パネルに出力する第1のトランスミッタとを更に有し、前記第2液晶表示パネルに対応して、前記単色画像を記憶する第2のバッファメモリと、該第2のバッファメモリから前記単色画像を読み出して前記第2液晶表示パネルに出力する第2のトランスミッタとを有する構成を採用できる。
【0045】
本発明の画像表示システムでは、前記画像処理部が、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、該平均化処理後の単色画像を、前記第2の液晶表示パネル及び前記カラー画像演算部に出力する平均化処理部を更に備える構成を採用できる。この場合、第2液晶表示パネルを、平均化処理された単色画像で駆動することで、積層された液晶表示パネルが離隔していることで生じる視差による違和感を解消することができる。
【0046】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部は、入力された画像信号から輝度信号を抽出して前記画像信号を単色化し、該単色化した画像信号に基づいて単色画像を生成する構成を採用できる。
【0047】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部は、各画素について、入力された画像信号の複数の原色信号のうちで、表示階調が最も高い階調を抽出して前記画像信号を単色化し、該単色化した画像信号に基づいて単色画像を生成する構成を採用することができる。
【0048】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部は、前記単色化した画像信号に対して、透過率が所定のしきい値以上の画素の透過率を全透過状態とするクリッピング処理、γカーブ変換処理、及び、ヒストグラム調整のうちの少なくとも一つを実施する構成を採用できる。
【0049】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部は、あらかじめ設定されたルックアップテーブルを参照して、前記画像信号から単色画像を生成する構成を採用できる。この場合、単色画像の生成に際して、演算処理の処理負担を軽減できる。
【0050】
本発明の画像表示システムでは、前記ルックアップテーブルは、入力された画像信号のRGBの各階調値に対して、単色化された画像信号の階調値が得られる3次元ルックアップテーブルとして構成される構成を採用できる。
【0051】
本発明の画像表示システムでは、前記カラー画像演算部は、あらかじめ設定されたルックアップテーブルを参照して、前記入画像信号と前記単色画像とに基づいてカラー画像を生成する構成を採用できる。この場合、カラー画像の生成に際して、演算処理の処理負担を軽減できる。
【0052】
本発明の画像表示システムでは、前記ルックアップテーブルは、入力された画像信号のRGBの各階調値と前記単色画像の階調値とに対して、前記第1液晶表示パネルにて表示されるべきカラー画像の階調値が得られる4次元ルックアップテーブルとして構成される構成を採用できる。
【0053】
本発明の画像表示システムでは、前記カラー画像演算部は、前記単色画像の輝度で、前記画像信号の輝度成分を除算して、カラー画像を生成する構成を採用できる。積層された複数の液晶表示パネルを透過する光は、各液晶表示パネルでの透過率の積となる。従って、カラー画像の輝度を、前記単色画像の輝度で除算することで、元の画像の輝度の表示が可能となる。
【0054】
本発明の画像表示システムでは、前記カラー画像演算部は、前記除算に際して、前記単色画像の輝度に、1以上の整数値を加える輝度シフト処理を施す構成を採用できる。除算を行う際には、例外処理等を用いて、0での除算がされないようにする必要がある。除算に際して、輝度シフト処理を実施することで、輝度の最小値は0よりも大きな値となり、0での除算を考慮する必要がなくなる。
【0055】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部による単色画像の生成、及び、前記カラー画像演算部によるカラー画像の生成の少なくとも一方は、ソフトウェア処理により行われる構成を採用できる。
【0056】
本発明の画像表示システムでは、前記画像処理部が、前記n枚の液晶表示パネルに対応してn個の画像処理ユニットに分割され、各画像処理ユニットは、画像信号に基づいて、対応する液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する構成を採用できる。この場合、モノクロ表示の液晶表示パネルに対応する画像処理ユニットは、モノクロ画像生成部を備える構成とすればよい。また、カラー表示の液晶表示パネルに対応する画像処理ユニットは、カラー画像演算部を備える構成とすればよい。
【0057】
本発明の画像表示システムでは、前記n枚の液晶表示パネルのそれぞれは、透明基板上に形成されたx方向の電極、前記x方向に直交するy方向の電極、及び、共通電極と、前記x方向の電極と前記y方向の電極との交点付近に形成された画素電極と、前記x方向の電極、前記y方向の電極、及び、前記画素電極に接続された3端子素子とを有し、駆動信号により擬似的なスタティック駆動が実施できるアクティブマトリクス駆動により駆動される構成を採用できる。
【0058】
本発明の画像表示システムでは、前記n枚の液晶表示パネルのそれぞれは、一方の透明基板に形成されたx方向の電極と、他方の透明基板に形成されたx方向に直交するy方向の電極と、何れか一方の透明基板に形成された画素電極と、前記画素電極が形成された透明基板上に形成された、前記x方向の電極又は前記y方向の電極と、前記画素電極とに接続された2端子非線形素子とを有し、アクティブマトリクス駆動により駆動される構成を採用できる。
【発明の効果】
【0059】
本発明の液晶表示装置及び画像表示システムでは、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度又は彩度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、第2液晶表示パネル又はドットマトリクス駆動が可能な光源を、その単色画像で駆動する。また、第1液晶表示パネルについては、入力画像と、単色画像とに基づいて生成された画像で駆動する。このようにすることで、輝度又は彩度が高い画素については、第1液晶表示パネル単独で表示を行い、輝度又は彩度が低い画素では、第1液晶表示パネルと第2液晶表示パネルとの組み合わせ、又は、液晶表示パネルとドットマトリクス駆動の光源との組み合わせにて表示を行うことが可能となり、高い色再現性を維持したままで、高コントラスト表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】液晶表示部の断面構造を示す模式断面図。
【図3】液晶表示部の断面と、液晶表示素子内を進行する光の様子を示す模式断面図。
【図4】(a)は、2枚のパネルを用いた場合における輝度と色度の範囲を示す図、(b)は、カラーパネル単体で表示することができる輝度と色度の範囲を示す図。
【図5】演算ユニット内部の構成を示す機能ブロック図。
【図6】本発明の第2実施形態の液晶表示装置における液晶表示部の断面構造を示す模式断面図。
【図7】本発明の変形例の液晶表示装置の構成を示すブロック図。
【図8】平均化処理前のモデル画像と荷重分布の一例を示す図。
【図9】平均化処理後のモデル画像を示す図。
【図10】平均化処理前の実際の画像と、通常の平均化処理画像および本発明による平均化処理画像を示す図。
【図11】平均化処理前の実際の画像と、通常の平均化処理画像および本発明による平均化処理画像の輝度の分布を示すグラフ。
【図12】液晶表示素子を2層重ね合わせた構造の液晶表示装置の構成を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置(画像表示装置)、及び、その駆動システムの構成を示している。画像表示システム(液晶表示装置)100は、大きく分けて、画像ソース部117と、画像処理部105と、液晶表示部116との3つの部分に分かれており、それぞれのユニット間は、ケーブル120〜122で接続されている。
【0062】
画像ソース部117は、画像ソース101と、トランスミッタ102とを有する。トランスミッタは、画像ソース101から供給される画像信号(画像データ)を、伝送可能な映像信号に変換して、画像処理部105に送信する。トランスミッタ102は、例えばザインエレクトロニクス社製のTHC63DV164を用いて構成され、画像ソース101から出力されるパラレルデータをシリアル信号に変換し、変換した信号を、通信ケーブル120を介して、画像処理部105へ送出する。ただし、この部分としては、パソコン用のデジタルインターフェースとして一般的なDVI出力が得られればよいため、前記のチップによらず、同等の信号を出力できれば何でもよい。また、画像ソース部117として、一般的なDVI出力を有するパソコンを使用しても何ら問題ない。信号伝送については、トランスミッタとレシーバとが対となって信号の送受信ができればよいため、信号形式はDVI形式に限らず、デジタルでもアナログでもかまわない。
【0063】
画像処理部105は、レシーバ103、ローカルメモリ104、バッファメモリ106、109、トランスミッタ107、108、タイミング制御部110、及び、演算ユニット118を有する。液晶表示部116は、複数の液晶表示素子(図1では、2つの液晶表示素子113、114)と、光源115とを有する。画像処理部105は、画像ソース部117から送出された映像信号に信号変化を実施し、液晶表示部116の各液晶表示素子113、114を駆動する信号を生成する。画像処理部105が生成した信号は、それぞれケーブル121、122を介して、液晶表示素子113、114の駆動回路111、112に入力される。
【0064】
画像処理部105には、ザイリンクス社製のSpartan−3E ディスプレイ・ソリューション・ボードにオプションのDVI I/Fボードを接続したものを用いることができる。具体的には、レシーバ103としてDVI I/Fボードを用い、画像処理部105を構成する他のブロックは、Spartan−3E ディスプレイ・ソリューション・ボードで構成し、画像処理論理回路などは、このボード内に具備しているFPGAチップ(Spartan−3E)内に構成する。出力側のトランスミッタ107、108から出力される信号は、例えば、LCDパネルの入力形式(LVDS)とする。画像処理部105にて行う画像処理の詳細については、後述する。
【0065】
液晶表示部116では、第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114とが積層されており、観察者側とは反対側の背面側に、光源115が配置されている。第1液晶表示素子113は、カラー画像を表示する液晶表示素子であり、第2液晶表示素子114は、モノクロ画像(単色画像)を表示する液晶表示素子である。画像処理部105は、第1の液晶表示素子113の駆動回路111と、第2の液晶表示素子114の駆動回路112とに、異なる画像処理を施した映像信号出力する。液晶表示素子113、114は、駆動回路111、112に入力される信号に基づいて、個別に駆動される。
【0066】
図2は、液晶表示部116の断面構造を示している。液晶表示部116は、光出射側から順に、偏光板201、透明基板211、カラーフィルタ層251、配向膜221、液晶層231、配向膜222、透明基板212、偏光板202、偏光板203、透明基板213、配向膜223、液晶層232、配向膜224、透明基板214、偏光板204、及び、面発光光源241を有する。以下では、便宜的に、透明基板211、カラーフィルタ層251、配向膜221、液晶層231、配向膜222、透明基板212までを第1液晶表示パネル261と呼び、第1液晶表示パネル261をはさむように配置された偏光板201と偏光板202まで含めて第1液晶表示素子113と呼ぶ。また、透明基板213、配向膜223、液晶層232、配向膜224、透明基板214までをあわせた部分を第2液晶表示パネル262と呼び、第2液晶表示パネル262をはさむように配置された偏光板203と偏光板204までを含めて第2液晶表示素子114と呼ぶ。
【0067】
図2における面発光光源241は、図1における光源115に対応している。面発光光源241は、面発光の光源として構成され、第1液晶表示素子113及び第2液晶表示素子114の背面側から光を照射する。面発光光源241から出射した光は、第2液晶表示素子114と第1液晶表示素子113とを透過して観察者側に出射する。第1液晶表示素子113と第2の液晶表示素子114の各画素にて、光の透過状態を制御することで、観察者が表示画像を見ることが可能となる。
【0068】
液晶表示素子の作成について説明する。透明基板212の液晶層側には、マトリクス状に電極が配置されており、その各交点付近に、3端子型の非線形素子(以下、TFTとする)が配置され、1画素が構成される。液晶表示素子の表示モードには、例えば、画素内にてTFTからの電極と共通電極とが櫛歯状に形成された横電界方式のモードを用いる。カラーフィルタ層251では、画素一つにひとつのカラーフィルタが対応するように、赤、緑、青のカラーフィルタがストライプ状に配置される。1ピクセルは、隣接する赤、緑、青のカラーフィルタに対応する3画素で構成される。
【0069】
液晶表示素子の形成に際しては、透明基板211上のカラーフィルタ層251の表面と、透明基板212のマトリクス状の電極を配置した面とにそれぞれ配向膜221、222を塗布し、ラビングに代表される液晶配向処理を実施する。その後、透明基板211の配向膜221を形成した面と、透明基板212の配向膜222を形成した面とを、互いに液晶配向方向が平行又は反平行となるような方向で向かい合わせて、一定の間隙を開けて重ね合わせ、その間隙に、メルク社製のZLI4792を注入する。これにより、第1液晶表示パネル261が形成される。更に、この第1液晶表示パネル261を挟み込むように、日東電工製SEG1224を用いた偏光板201と偏光板202とを配置し、第1液晶表示素子113を形成する。このとき、偏光板201と偏光板202とは、容易透過軸又は光吸収軸同士が互いにほぼ直交した配置とし、偏光板201及び偏光板202の何れか一方の光吸収軸が、液晶の配向方向に平行となるようにする。
【0070】
第2液晶表示パネル262の作成は、透明基板213がカラーフィルタ層を有しない点を除いて、第1液晶表示パネル261の作成と同様である。透明基板214の液晶層側には、マトリクス状の電極が配置されており、その交点付近にTFTが配置されている。第2液晶表示パネル262における画素サイズについては、第2液晶表示パネル262では、透明基板213がカラーフィルタ層を有していないため、第1液晶表示パネル261における1ピクセルのサイズと同じサイズを、1画素とすることが適当である。或いは、第1液晶表示パネル261と同じサイズで1画素を構成し、第1の液晶表示パネル261からカラーフィルタ層251を取り除いた構成としてもよい。第2液晶表示パネル262の作成後、液晶表示パネル262を偏光板203、204で挟み込み、第2液晶表示素子114を形成する。このとき、第1液晶表示素子113と同様に、偏光板203と偏光板204とは、容易透過軸又は光吸収軸同士が互いにほぼ直交した配置とし、偏光板203及び偏光板204の何れか一方の光吸収軸が、液晶の配向方向に平行となるようにする。
【0071】
作成された第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114とを、位置を合わせて重ね合わせ、背面側に面発光光源241を配置して、液晶表示部116を作成する。第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114とを重ね合わせる際には、互いの液晶配向方向が平行又は垂直になるように重ね合わせる。また、偏光板202と偏光板203との容易透過軸又は光吸収軸がほぼ平行となるようにし、偏光板203を透過した光が、偏光板202を可能な限り透過できるようにする。
【0072】
液晶表示部116では、2つの液晶表示素子のうちの一方にカラーフィルタ層251を配置し、カラーフィルタ層を1層のみとしている、このため、物理的に視野を動かしても、複数のカラーフィルタ層が存在する場合のように、透過輝度が見る角度によって大きく変わることはない。しかしながら、2つの液晶表示素子113、114を、同一の信号源から同一の信号により駆動すると、液晶層231と液晶層232との間に距離が存在することから、視差により表示が見づらくなる。
【0073】
図3は、視差の発生を説明するための模式図である。同図では、図2における主要な分、すなわち透明基板と液晶層のみを抽出して図示している。図3における液晶表示素子301、302は、図2に示す液晶表示素子113、114に対応し、透明基板321〜324は、それぞれ図2に示す透明基板211〜214に対応する。また、液晶層325、326は、図2における液晶層231、232に対応する。
【0074】
第1液晶表示素子301と第2液晶表示素子302とを、表示面に対して鉛直な方向(311方向)から観察すると、視線331に対しては、第1液晶表示素子301の液晶層325の点βと、第2液晶表示素子302の液晶層326の点αとは重なって見え、同一の点となる。従って、鉛直方向から観察する際には、視差による違和感は生じない。一方、斜め視野では、点αと点βとは、垂直方向に距離dだけ離隔しているため、角度θの方向(図3に示す312方向)から点α及びβを見た場合には、視線332と視線333として観察され、それぞれの映像の位置が視差の分だけ異なる位置に見えることから、像が2重に見えて違和感が大きく、表示が見づらくなる。
【0075】
第1液晶表示素子301及び第2液晶表示素子302内を透過した光は、透明基板321から空気中に出射する際に、スネルの法則により、屈折率の違いに応じた角度で進行方向が変化する。第1液晶表示素子301及び第2液晶表示素子302の内部から透過してきた光が、透明基板321の表面から出射する際の角度θと、透明基板321の表面に入射する際の角度φとは、透明基板321の屈折率をng、空気の屈折率をnaとすると、スネルの法則から、
na・sinθ=ng・sinφ
と表すことができる。これを変形すると、
φ=sin−1((na/ng)×sinθ)
と表すことができる。錯角の関係から、点βから、透明基板321の表面に向かう光と鉛直方向との間の角度もφとなる。点αについても同様である。視角θの方向から見た場合に、第1の液晶表示素子301と第2の液晶表示素子302との表示位置が異なる量(位置ズレ量)rは、下記式で表すことができる。
tanφ=(r/d)
r=d×tanφ
=d×tan(sin−1((na/ng)×sinθ)) (1)
【0076】
角度θの斜め視野において、視差感をなくすためには、本来、点βの位置で表示を行うべき情報を、点γの位置まで距離rだけ伸ばして表示すればよい。そこで、演算ユニット118により、液晶表示素子を駆動する信号について、点βの情報を、距離rまで散らす平均化処理を画面全体に対して実施する。このようにすることで、視差間を減少させて、表示を見やすくすることができる。平均化処理は、2つの液晶表示素子のうちの何れか一方で行う。視差感の解消という観点では、カラーフィルタ層251(図2)を有する第1液晶表示素子301で平均化処理を実施しても、カラーフィルタ層を有さない第2液晶表示素子302で平均化処理を実施しても、効果は同等である。また、平均化処理を実施する液晶表示素子は、観察者側に存在している必要はなく、その観察者から遠い側に存在する場合でも、特に影響はない。
【0077】
また、平均化処理を実施する液晶表示素子が観察者側から遠い側に存在する場合には、第1液晶表示素子301と第2液晶表示素子302の間に光拡散フィルムのように光拡散性を有する光学部品を挿入することで画像処理において適用した平均化処理の距離r’を、光拡散性を有する光学部品により見かけ上拡大することも可能である。この場合のr’は、第1液晶層325と第2液晶層326の間をdとし、光拡散性を有する光学部品の挿入位置を第2液晶層326からd’の距離、光拡散性を有する光学部品の光散乱角度(半値角度)をηとした場合
r’= (d’×tanφ)+((d−d’)×tan(φ+η))
となり、実質的な平均化距離が伸びることになる。このため、画像処理演算を実施する場合には留意が必要である。
【0078】
本発明者らは、積層された2つの液晶表示素子を有する液晶表示部の駆動方式について検討をした結果、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示素子302(図1における114)にて平均化した画像を表示し、第1の液晶表示素子301(113)にてカラー表示を行い、これら2つを重ね合わせることで、良好な表示が得られるとの結論を得た。第2液晶表示素子114にて平均化処理した画像を表示する理由は、カラー画像を表示する第1の液晶表示素子113にて平均化処理を実施する場合には、平均化処理によって色がぼけ、色の再現域が狭くなることが考えられるためである。
【0079】
図4に、シミュレーションにより得られた、2枚のパネルを用いた場合における輝度と色度の範囲を示す図と、カラーパネル単体で表示することができる輝度と色度の範囲を示す図を示す。同図に示すグラフの縦軸は透過率を表しており、最大を100で規格化して示している。また、横軸は色味の度合い(彩度)を表している。
【0080】
図4(a)と(b)とを比較すると、輝度の高い領域(グラフの縦軸の大きい数値の領域)や彩度が高い領域(横軸の絶対値が大きい領域)では、パネル1枚で表示を行った場合でも、十分な色の再現性を得ることができることがわかる。このような結果から、輝度(彩度)の高い部分では、第2液晶表示素子114を全透過状態に維持することで表示動作には介入させず、第1液晶表示素子113のみで表示を行い、輝度の低い部分では、第2液晶表示素子114の表示階調を表示画像に従って制御し、第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114との重ね合わせで表示を行うことで、輝度又は彩度が高い領域での色再現性と、輝度が低い領域での色再現性とを同時に得ることができるという結論に至った。
【0081】
上記では、入力画像における輝度又は彩度が高い部分の第2液晶表示素子114の透過率を全透過状態としたが、厳密に全透過状態(全白表示状態)である必要はない。輝度又は彩度が高い部分の透過率を、ほぼ全透過状態、例えば全白表示状態の光透過率の90%以上の透過率としても、効果は同様である。なお、以下では、この第1液晶表示素子113のみで表示動作を実施する領域と、第1液晶表示素子113に加えて第2液晶表示素子114を表示動作に加えることで協調して表示動作を行う領域との境目をしきい値と呼称する。このような制御を行うことで、第1液晶表示素子を駆動する階調の変化と第2液晶表示素子を駆動する階調の変化状態には、少なくとも片方になだらかな不連続点が発生するようになる。
【0082】
図5は、演算ユニット118内部の構成を機能ブロック図で示している。演算ユニット118は、モノクロ画像生成部501、演算処理部(平均化処理部)502、タイミングコントロール部503、及び、カラー画像演算部504を有する。演算ユニット118は、図1のレシーバ103から、例えば、1原色あたり8ビット、計24ビットの画像信号を受け取る。この画像信号は、演算ユニット118内部で2つの経路に分けられ、カラー画像の画像信号から単色の階調信号(輝度信号)を生成するモノクロ画像生成部501と、入力側のタイミング信号に従って読み込んだ信号の順番に、出力側のタイミング信号により読み出すタイミングコントロール部503とに入力される。
【0083】
モノクロ画像生成部501は、入力された24ビットのカラー画像の輝度情報に基づいて、例えば8ビットの単色画像を生成する。単色画像の生成では、例えば、各画素におけるR(赤)、G(緑)、B(青)の各原色の階調を調べ、そのうちで最大値をとる階調を、変換後の画素の階調とする。或いは、入力された画像に対してHSV変換(明度、彩度、色相への信号変換)を行い、明度の情報のみを抽出してモノクロ画像へ変換する。また、入力画像のうちのR、G、Bの何れかのみを用いて、その色で単色化する。R、G、Bのうちの何れか1つではなく、R、G、Bのうちの2色に対して演算処理を行って単色画像を生成してもよい。単色画像の階調値(透過率)が高い領域は、入力画像における輝度又は彩度が高い領域に対応している。
【0084】
モノクロ画像生成部501は、単色画像への変換後、透過率が所定の値以上となる画素については透過率を全透過状態とし、それよりも小さい画素については、透過率を、元のカラー画像の透過率に応じた値とする処理を行う。この処理では、例えば、単色化後の画像の各画素の階調をあらかじめ設定されたしきい値と比較し、しきい値以上のときには、その画素の透過率を、一定の値に、望ましくは全透過状態とする(以下では、全透過状態として説明する)。また、しきい値よりも小さいときには、階調変換を行って、各画素の透過率を、設定した透過率を最大値として全遮断状態までの間に再割り当てを実施する。
【0085】
単色画像における所定の透過率以上の透過率を全透過状態に変換する処理は、上記したしきい値処理には限られない。例えば、単色画像に対して、γ値を4.0程度とするγカーブ変換を実施し、透過率がある程度以上に高い領域を全透過状態としてもよい。或いは、ヒストグラム調整を行って、透過率がある程度以上の透過率を全透過状態としてもよい。モノクロ画像生成部501では、透過率が高い領域の透過率をほぼ全透過状態とした単色画像が得られればよく、単色画像生成の手法や、透過率が高い領域の透過率を全透過状態に変換する際の手法としては、上記した以外の手法を採用してもかまわない。
【0086】
演算処理部502は、モノクロ画像生成部501が生成したモノクロ画像に対して、平均化処理を行う。この平均化処理に関しては、特願2006−114523に記載の方法にて実施する。すなわち、注目画素に対して、所定の範囲内(図3における距離rの範囲内)にある画素の画像情報を平均化する。平均化処理では、中心点からの距離に従った加重平均化処理を採用する。その際の荷重分布としては、ガウス分布を用いることができる。平均化処理を行うことにより、単色画像は、エッジがぼけた画像となる。演算処理部502によって平均化処理を施された単色画像は、バッファメモリ109及びトランスミッタ108(図1)を介して、第2液晶表示素子114に送られる。
【0087】
カラー画像演算部504は、タイミングコントロール部503を介して入力した、RGB各8ビットの24ビットの画像データ、及び、演算処理部502にて平均化処理が施された単色画像に基づいて、第1液晶表示素子113で表示すべきカラー画像を生成する。タイミングコントロール部503は、単色画像生成のためのタイムラグを吸収する目的で配置されている。図1におけるローカルメモリ(画像/作業用)104を有効活用することでタイムラグの問題を回避する場合や、そもそもタイミング的に問題なく処理が可能である場合には、タイミングコントロール部503は不要である。
【0088】
液晶表示部116を観察する観察者は、第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114とを透過した光を観察するため、観察者が観察する画像の輝度(トータルの透過率)は、各液晶表示素子の透過率の積となる。カラー画像演算部504は、第1液晶表示素子113が表示すべきカラー画像を、第2液晶表示素子114の画像データ基づいて補正し、第2液晶表示素子114での輝度の変化(低下)を補償して、もともとの画像データの輝度に対して、観察者が観察する輝度が変化しないようにする。
【0089】
カラー画像演算部504は、24ビットのカラー画像データに対して、演算処理部502から出力された単色画像に基づく演算処理を行い、カラー画像信号を生成する。具体的には、カラー画像データの画像信号を、単色画像の輝度信号で除算することにより、輝度が補正された画像信号を生成する。ただし、単色画像の輝度が0階調である場合には、除算を行うことができないので、例外処理を設けて、0での除算が行われないようにする。或いは、単色画像の輝度を所定の値だけ輝度が高くなる方向にシフトして、0での除算が行われないようにしてもよい。カラー画像演算部504にてカラー画像信号を生成する際には、元の画像信号に対して何らかの画像補正処理を別途行ってもよい。カラー画像演算部504が生成したカラー画像は、バッファメモリ106及びトランスミッタ107を介して、第1液晶表示素子113に入力される。
【0090】
液晶表示部116では、第1液晶表示素子113は、カラー画像演算部504で生成されたカラー画像によって駆動され、第2液晶表示素子114は、モノクロ画像生成部501で生成され演算処理部502で平均化処理が施された単色画像によって駆動される。第2液晶表示素子114の表示のみを見た場合、輝度が高い部分は全透過状態となっており、その他の部分は、平均化処理によってぼやけた画像となっている。また、第1液晶表示素子113の表示のみを見た場合、第1液晶表示素子113では第2液晶表示素子114での表示輝度に基づいて輝度が補正されているため、第2液晶表示素子114が全透過状態でない箇所では、輝度・彩度がもともとの画像とは異なり強調された画像となっている。
【0091】
ここで、モノクロ画像生成部501における単色画像への変換の際のしきい値については、演算処理部502にて平均化処理を実施することで、第2液晶表示素子114のもともとの画像に対する輝度の変化率が20%を超えると、カラー画像演算部504にて第1液晶表示素子113の輝度信号を調整しても、全体として彩度と色相の変化量が大きくなり、違和感が生じる。このようなことを防ぐために、単色画像への変換の際のしきい値は、20%程度の変動があっても違和感なく表示できるようにするために、入力信号に対して20%から80%までの範囲内で設定するのがよい。また、図4を参照して既に説明したように、輝度や彩度が高い領域では、第1液晶表示素子113のみでも表示が可能であるので、単独で表示が可能な領域はなるべく第1液晶表示素子113のみで表示を実施するという観点から、しきい値の上限を少し下げて、20%から60%までの範囲に設定し、第2液晶表示素子114の全透過状態の部分を増加させることが好ましい。更に、しきい値を、30%から50%の範囲内に設定すると、可能な限り有効に第1液晶表示素子113により表示を適用することが可能となり、違和感の少ない表示が可能となる。
【0092】
本実施形態の効果に検証するために、画像表示システム100にて、上記のような画像処理を行った信号を、第1液晶表示素子113及び第2液晶表示素子114にそれぞれ入力し、画像を表示させたところ、輝度・彩度に関しては、通常の画像信号を第1液晶表示素子113のみで表示した場合と遜色ない表示が得られた。また、コントラストに関しては、50万:1という高いコントラスト比を得ることができた。斜め視野から観察した際には、第2液晶表示素子114で平均化処理を施したことにより、視差の影響が少なく、良好な表示が得られた。今回用いた液晶表示素子は、単体でのコントラスト比が700:1程度であったが、単体でのコントラスト比が更に高い液晶表示素子を組み合わせることや、重ね合わせる液晶表示素子を3枚以上とすることで、更に高いコントラスト比を得ることができる。
【0093】
なお、図1では、画像ソース部117、画像処理部105、及び、液晶表示部116を分離して図示したが、これらは別々のハードウェアとして構成されている必要はなく、同一筐体内に存在していてもよい。また、画像ソース部117と画像処理部105とが同一筐体で、液晶表示部116が別筐体となっていてもよい。画像処理部105における画像処理は、ハードウェアによる画像処理だけでなく、CPU等のプロセッサを用いたソフトウェア処理による画像処理を採用することもできる。
【0094】
また、平均化処理等は、必ずしも画像処理部105内で行う必要はなく、CPUを用いたソフトウェア処理や、MPEGでコーダに代表されるグラフィックチップを用いた処理を行う画像ソース部117で行ってもよい。その場合には、図1では1系統である画像ソース部117と画像処理部105との間の信号ケーブル120を2重化して、第1液晶表示素子113に表示させる画像と、第2液晶表示素子114に表示させる画像とを、別個に出力させればよい。
【0095】
上記では、演算ユニット118内のモノクロ画像生成部501とカラー画像演算部504とでは、演算処理により画像を生成することを前提として説明したが、これには限定されない。例えば、入出力をあらかじめ演算し、これをルックアップテーブルに保存して、ルックアップテーブルを用いて演算する構成であってもよい。この場合、モノクロ画像生成部501は、入力画像のRGB各階調値に対して、単色化された画像の階調値が得られる3次元ルックアップテーブルを用いて、モノクロ画像を生成する構成を採用できる。カラー画像演算部504は、入力画像野RGBの各階調値と、単色画像の階調値とに対して、第1液晶表示素子113にて表示されるべきカラー画像の階調値が得られる4次元ルックアップテーブルを用いて、カラー画像を生成する構成を採用できる。
【0096】
本実施形態では、第1液晶表示素子113がカラーフィルタ層251(図2)を有したが、平均化処理を施した画像を表示することによる視差感の解消に関しては、カラーフィルタ層は必須の要素ではない。従って、第1液晶表示素子113を、第2液晶表示素子114と同様に、モノクロ型の液晶表示素子として構成し、液晶表示装置を、全体としてモノクロ表示を行う液晶表示装置として構成することもできる。
【0097】
また、第2液晶表示素子では、1ピクセルが、RGBのカラーフィルタ層に対応して3つの領域に分割される例について示したが、カラーフィルタ層の色はR、G、Bの3色には限定されず、RGBYMCのような多色フィルタを用いることもできる。その場合には、1ピクセルをカラーフィルタ層の各色に対応して領域分割すればよい。また、1ピクセルを4つの領域に分割して、各領域を、R、G、G、Bに対応させてもよい。或いは、4つの領域を、RGBの各色に対応する領域と、色を有しない領域(W)とで構成してもよい。
【0098】
本実施形態では、液晶表示素子における液晶駆動方式としてIPSを例に挙げて説明したが、液晶駆動方式はこの方式には限定されず、例えば、垂直配向型(VA)液晶方式、ツイストネマティック型(TN)液晶方式、ベント配向型(OCB)液晶方式など、種々の方式を採用することもできる。図2では、位相差補償層を設けない構造を示したが、液晶表示パネル261、262と、偏光板201〜204との間に、視野角の改善を目的とした位相差補償層を挿入する構造を採用することもできる。位相差補償層を挿入する場合には、液晶層における液晶モードとの組み合わせによって、挿入する位相差補償層の光学特性等を設定すればよい。
【0099】
例えば、第1液晶表示素子113に位相差補償層を挿入する場合であって、液晶表示素子113がIPS方式で駆動される場合には、偏光板201、202と、液晶表示パネル261との間のそれぞれに、屈折率が最も高い方向の屈折率をnx、基板平行面内でnxの方向と直交する方向の屈折率をnyとし、nx及びnyと垂直な方向の屈折率をnzとしたとき、nx≧nz>nyの特性を有する位相差補償層を、nx方向が、偏光板201、202の光吸収軸又は光透過軸と平行になるように挿入する。このようにすることで、液晶表示素子113の視野角特性を改善することができる。また、このとき複数の位相差補償板を組み合わせて、合成したnx,ny,nzの屈折率が上記の式を満たす物を採用しても上記の条件を逸脱するものではなく、同等の効果を得ることが可能となる。
【0100】
また、液晶表示素子113がVA方式で駆動される場合については、nx≧ny>nzの位相差補償層を、nx方向が偏光板201、202の光吸収軸又は光透過軸と平行になるように挿入することで、視野角特性を改善できる。液晶表示素子113がTN方式又はOCB方式で駆動される場合には、負の位相差を有するディスコティック液晶層で構成され、ディスコティック液晶層の軸角度が厚み方向で連続的に変化するWVフィルムを位相差補償層として挿入することで、視野角特性を改善できる。
【0101】
位相差補償層は、液晶表示パネル261、262の片側のみで挿入されていてもよく、或いは、両側で挿入されていてもよい。上記では、位相差補償層の挿入位置を、液晶表示パネル261、262と偏光板201〜204との間としたが、実際には、液晶層231、232と偏光板201〜204との間であればどの位置であってもよい。また、挿入する位相差補償層は1層には限られず、複数の位相差補償層を挿入することもできる。なお、本発明の実施の形態においては、しきい値以上の階調において第2液晶表示素子の光透過率は、一定の値であることを前提として説明を実施してきたが、厳密に一定ではなく多少の増減(±数%)を適用しても本発明の思想から逸脱するものではない。
【0102】
図6は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置における液晶表示部の断面構造を示している。第1実施形態では、図2に示すように、第1液晶表示パネル261と第2液晶表示パネル262との間に、第1液晶表示素子113を構成する偏光板202と、第2液晶表示素子114を構成する偏光板203との2枚の偏光板を配置した。本実施形態では、2つの液晶表示パネル間に偏光板603を1枚配置し、第1液晶表示素子601と第2液晶表示素子602とで、偏光板603を共用する。その他の点は、第1実施形態と同様である。
【0103】
第1実施形態では、隣接する2つの液晶表示パネル261と262との間に配置される2枚の偏光板202、203は、互いの光透過軸又は光吸収軸が平行になるように配置され、2枚の偏光板による光吸収を最小とする。しかしながら、偏光板2枚を透過することにより、パネル間で、20%程度の透過率減少が生じることになる。本実施形態では、パネル間の偏光板を1枚省き、2つの液晶表示素子601、602で、偏光板603を共用する構成とする。このようにすることで、パネル間での透過率減少を低減することができ、液晶表示パネルの枚数をn枚とすると、各パネル間に偏光板を2枚配置する第1実施形態に比して、光透過時の輝度を1/(0.8n−1)倍にすることができる。その他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0104】
本発明の第3実施形態について説明する。上記各実施形態では、光源115(図1)として、CCFLやLEDを用いた白色で均一な光を出射する光源を前提として説明した。本実施形態では、光源に、RGBの3つの光を時分割で出力する光源を用いる。この場合、積層された液晶表示素子は、それぞれ、RGBの画面に相当する画像を、時分割で、フィールドシーケンシャル表示で表示する。第1液晶表示素子及び第2液晶表示素子を駆動する画像の生成方法は、第1実施形態と同様である。カラー画像の表示形式として、このような表示形式を採用する場合でも、得られる効果は上記各実施形態と同様である。
【0105】
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、液晶表示素子の駆動方式として、例えばTN方式のような、印加された電圧により液晶分子の基板に対する角度が変化する駆動方式を採用する。このような駆動方式では、観察者の観察方向によって視野角が変動するという問題がある。これは、液晶分子の基板に対する角度が変化するために、見る角度に依存して液晶分子の複屈折特性が変動し、見える角度が変化することに起因する。このような視野角特性の液晶表示素子を、同じ配置で複数重ね合わせた場合には、重ね合わせた層の数の分だけ、相乗効果で悪化していくことが考えられる。そこで、そのような駆動方式を採用する場合には、隣接する2つの層で、視野角依存性の特性を逆方向とする。このようにすることで、視野角依存性の特性を打ち消し合わせることができ、視野角特性の平均化を図ることができる。
【0106】
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態の液晶表示装置は、図1に示す第1実施形態の液晶表示装置の構成から、モノクロ表示を行う第2液晶表示素子114を省いた構成を有する。本実施形態では、液晶表示部における光源として、発光強度を部分的に変化させることができる光源を用いる。本実施形態で用いる光源は、マトリクス状に配列された複数の発光ダイオードを有しており、各発光ダイオードの点灯状態が制御可能に構成されている。具体的には、480×640個の高輝度白色発光ダイオードを配置し、光出射側(観察者側)に拡散板を配置した構造となっている。
【0107】
光源における白色発光ダイオードの数は、液晶表示素子113の1ピクセルに対応している。本実施形態では、演算処理部502(図5)が出力する平均化処理された単色画像、すなわち、図1で第2液晶表示素子114を駆動していた単色画像を用いて、ドットマトリクス駆動される光源を駆動する。このような構成とすることによりバックライト光源の発光パターンは、光源115とモノクロの第2液晶表示素子114とで実現される表示画像と同様となる。つまりは、ドットマトリクス駆動の光源は、図1の光源115と第2液晶表示素子114との役割を併せ持つこととなり、図1の液晶表示素子113に相当する液晶表示パネルには、第1実施形態と同様なパターンの光が入射されることになる。従って、本実施形態では、一見、液晶表示素子113のみで高コントラスト表示を実施しているように見えるようになる。
【0108】
上記では、液晶表示パネル1枚と、ドットマトリクス駆動が可能な光源との組み合わせで画像表示を行うこととしたが、モノクロ表示を行う駆動回路を追加して、液晶表示パネル数を増加させる構成を採用することもできる。モノクロ表示を行う液晶表示パネル、及び、ドットマトリクス駆動の光源を、第1実施形態で説明した単色画像で駆動することで、原画像と遜色のない彩度と色相を持ちながら、高コントラストの表示が可能となる。
【0109】
なお、上記各実施形態では、液晶表示素子内部の非線形素子にTFTを用いる例について説明したが、これには限られない。例えば、非線形素子として、薄膜ダイオード(TFD)を用いることもできる。また、解像度が低い場合などでは、液晶表示素子を単純マトリクス駆動で駆動してもよい。上記各実施形態の液晶表示装置は、高コントラスト比を実現できるため、高コントラストな画像を要求される画像診断装置の映像表示部や、放送局などで用いるモニター、映画を上映するような暗室で映像を提供する場所で用いる電子機器の液晶表示部として用いるときに、大きな効果を有する。
【0110】
図1では、同一の画像処理部105にて第1液晶表示素子113で表示すべき画像と、第2液晶表示素子114にて表示すべき画像を生成したが、画像処理部を、液晶表示部116内の複数の液晶表示素子のそれぞれに対応して、複数の画像処理ユニットに分割した構成としてもよい。図7は、複数の液晶表示素子に対応して複数の画像処理部を有する液晶表示装置の構成を示している。この画像表示システム100aでは、画像処理部105aは、液晶表示部116a内の複数の液晶表示素子520−1〜520−nに対応して、画像処理ユニット130−1〜130−nに分割されている。
【0111】
画像ソース部117からの画像データは、分配器131によって、各画像処理ユニット130に分配される。各画像処理ユニット130は、入力画像に応じて、対応する液晶表示素子520にて表示すべき画像を生成する。生成された画像は、信号ケーブル123を介して、液晶表示部116aに入力される。画像処理ユニット130の何れかのタイミング制御部、図7の例では、画像処理ユニット130−nのタイミング制御部110は、画像処理ユニット130間のタイミング調整を実行し、各液晶表示素子520で表示される画像を同期させる。
【0112】
図7では、液晶表示素子520−1がカラー画像表示を行う液晶表示素子であり、液晶表示素子520−2〜520−nが、モノクロ表示を行う液晶表示素子である。画像処理ユニット130−2〜130−n内の演算処理装置は、モノクロ画像生成部501及び平均化処理部502(図5)を有しており、信号ケーブル123−2〜123−nを介して、平均化処理された単色画像を、液晶表示素子520−2〜520−nに、出力する。画像処理ユニット130−1は、カラー画像演算部504を有し、信号ケーブル123−1を介して、第1液晶表示素子520−1で表示すべき画像を出力する。このように、複数の液晶表示素子に対応して、画像処理部を複数の画像処理ユニットに分割したとしても、得られる効果は同等である。
【0113】
図5では、カラー画像演算部504にて、RGB各8ビットの画像データから計24ビットのカラー画像を生成したが、入力データと出力データのビット数は、これには限定されない。例えば、各液晶表示素子単体での表示階調数をmとするとき、積層されたn枚の液晶表示素子にて表示できる最大階調はmnとなる。従って、入力画像データとして、m以上で、m2以下の階調の入力画像を用い、このデータから、カラー画像演算部504にて、階調mのカラー画像を生成してもよい。
【0114】
第5実施形態では、ドットマトリクス駆動が可能な光源として、LEDがマトリクス状に配列された光源を用いる例を説明したが、これには限定されない。ドットマトリクス駆動が可能な光源を、電球や、有機EL、無機EL、FED、PDPを用いたもので構成することもできる。積層された複数の液晶表示パネルは、すべて同一の映像ソースによって駆動されている必要はなく、各液晶表示素子にて、映像表示と強化表示とを分離して行うように構成してもよい。本発明の液晶表示装置は、電子機器や、画像送出用調整装置、画像切替え装置、画像診断装置に適用することができる。また、本発明の液晶表示装置と音響装置とを1つの建築物の中に固定した位置に据え付けた建築物に適用することもできる。
【0115】
本発明の第6実施形態について説明する。第1実施形態では、図5の演算処理部502における演算処理の実施方法として、ガウス分布に基づく平均化処理を適用した。本実施の形態では、別の平均化処理の適用を行い同様に良好な結果を得ることができた。暗輝度0の背景に、注目する画素を中心としてi方向に±P、j方向に±Qの範囲が明輝度100である明点が存在している場合とし、ここでは簡便化を図るために、図8左のように、P=Q=1である明点を考え、話をすすめる。加重分布による平均化処理は次のように行われる。
【0116】
図8左のような明点に、図8右のような加重を与えるとする。この加重は、注目する画素とその周囲8画素に「1」の加重を与えている。例えば、C9の画素を注目する画素とすると、C9には、次のような輝度YC9が返される。
YC9=(YC1×1+YC2×1+YC3×1+YC8×1+YC9×1+YC10×1+YC15×1+YC16×1+YC17×1)÷9
ここで、YC1,YC2,YC3,YC8,YC9,YC10,YC15,YC16は0、YC17は100なので、
YC9=11.1となる。
C9と同様の位置と見て取れるC13,C36,C40の輝度YC13,YC36,YC40も11.1となる。同様な計算を、他の画素についても行うと、YC10,YC12,YC16,YC20,YC29,YC33,YC37,YC39は22.2、YC11,YC23,YC26,YC38,は33.3、YC17,YC19,YC30,YC32は44.4、YC18,YC24,YC25,YC31は66.6、YC01は100となる。これを図で表すと、図9に示すようになる。
【0117】
上記では、注目する画素と周囲8画素との計9画素に対して同一の加重分布を与えるとしたが、注目する画素の周囲をより広くとることによって、より強い平均化がなされる。しかし、より広い範囲に任意の荷重分布を与えて平均化すると、より暗くなることがわかる。また、図8右において、注目する画素を中心とした平均化処理の適応範囲がより小さい場合、平均化処理の適応範囲を、注目する画素をからi方向に±M、j方向に±Nとすると、M,Nが小さい場合にも暗くなることがわかる。このように、明点の範囲と、荷重分布(図8右)の範囲の広さによって、平均化の強弱は異なってくる。
【0118】
図8及び図9の例では、荷重分布をすべて1として平均化の原理を述べた。そこでさらに、図10、図11を用いて、荷重分布がガウス分布に従った場合の実際の画像を例に挙げて説明する。図10(a)は、明輝度100を有する明点の平均化処理をしていない図を、(b)は(a)をガウス分布による平均化処理を施した図を、(c)は元の輝度を低下せずに明暗変動を与えた図を示している。(b)と(c)とを比較すると、平均化処理していない(a)と比較して、(b)は明らかに暗くなっているのがわかる。すなわち、ガウス分布に従った荷重分布による平均化処理では、本来の(a)の明るさを損なってしまう可能性がある。
【0119】
図11に、図10(a)、(b)、(c)における線分A−B,A’−B’,A’’−B’’の輝度分布を示す。図11の縦軸は規格化された階調を表し、横軸は(a)、(b)、(c)に描かれている明輝度部分の中心を原点P0として、P0からの範囲を表している。平均化していない図10(a)は、P0から±Pだけずれた範囲まで輝度100を有し、±(P+1)よりずれると輝度は0となっている。この(a)をガウス分布に従った荷重分布により平均化処理をすると(b)となる。加重平均化が、先に述べたような原理であることから、輝度100と輝度0との境界部分に着目すると、平均化処理前には輝度100であった部分は、必ず輝度が100未満となってしまう。これが(a)に対して(b)が暗くなる原因である。注目する画素を中心とした範囲が小さければ小さいほど、そして、加重平均を与える範囲が大きければ大きいほど、注目する画素は、平均化処理前よりも暗くなる傾向にある。
【0120】
仮に、任意の範囲が0、すなわち、注目する画素単体のみの場合は、平均化処理前と後とでなんら変化がない。すなわち、平均化処理は、注目する画素からより広い範囲で処理されれば、平均化は強く現れることとなる。しかし、輝度100の画素は本来の輝度を損なう。このように、荷重分布による平均化処理では、本来の輝度を損なうことが必至である。このため、複数枚のLCパネルを重ね合わせた際に、視差を抑制するための平均化処理に荷重分布による平均化処理では、視差は抑制できるが、細かい明点の輝度が損なわれることも考えられる。
【0121】
そこで、図10(c)に見られるような輝度分布での平均化処理を施す。図11に示した(c)の輝度分布を見ると、図11に示した(a)の輝度分布と比較して、(a)の輝度100である領域の輝度を維持し、輝度100の画素と輝度0の画素との境界部分において、輝度0の部分に明暗変動があることがわかる。また、図11には、(c)のその他の例として、(c)と同様に、輝度100の画素と輝度0の画素との境界部分において、輝度0の部分に明暗変動がある輝度分布を示した。すなわち、このような平均化処理は、元の輝度を低下することなく明暗変動を与えるような平均化処理ということができる。
【0122】
第1の実施の形態では、ガウス分布に従った平均化処理の出力をそのまま用いたが、本実施の形態においては、この出力に対してある輝度の階調(以下しきい値)によりクリッピング処理(その輝度以上の階調を有するデータをしきい値の階調で一定とする)を実施し、得られた出力のヒストグラムを拡大し、しきい値の階調を全透過状態の階調(全白となる階調。例えば、0を黒とし256階調の制御ができるなら256階調目)とする。また、上記操作においてクリッピング処理の前後何れかにおいて階調−輝度特性のリニアリティを決定するγ特性の変換操作を実施することでさらに視差を少なくすることが可能である。
【0123】
注目する画素の階調をf(i,j)、注目する画素の処理結果g(i,j)とし、平均化処理の適応範囲を、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域を考えたとき、処理結果g(i,j)は次の式で表される。
【数1】
ここで、G(i,j)は任意の荷重分布行列を、γはガンマ値を、SMAXは最大階調値を表す。なお、i方向とj方向は必ずしも直交するものではない。すなわち、デルタ配列等においても採用できる。前記ガウス分布に従った荷重分布は、G(i,j)がガウス分布に従った行列であることを表しているが、他の分布に従った行列であっても問題はない。
【0124】
また、他の方法として、荷重分布を用いずに単純に平均化して得られた出力のヒストグラムを拡大することによっても、輝度を低下することなく明暗変動を与えるような平均化が可能である。このような操作は、次の式で表されることになる。
【数2】
さらに、その他の方法として、平均化処理の適応範囲を、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した出力と、注目する画素との平均値に対して、ヒストグラムを拡大する処理が可能である。このような操作は、次の式で表されることになる。
【数3】
これらの操作により、元の輝度を低下することなく平均化した画像へと変換することができる。
【0125】
なお、行列G(i,j)は次のような行列を除く。このような行列は、加重平均化をするものではなく、注目する画素の輝度のみを変化するものである。
【数4】
【0126】
なお、第1〜第6までの実施の形態において記述した画像処理のアルゴリズムを実現するための画像処理部として、画像処理部105の演算ユニット118は、ひとつのFPGAで実現する構成を用いているが、図5における演算ユニット118の各部分が独立した構成でもかまわない、また、タイミング制御部110やローカルメモリ104を内蔵することにより完全に1チップ化した構成でも、また、2つの画像を出力するバッファメモリ106、109やトランスミッタ部107、108を内蔵することで1チップ化しても構わない。
【0127】
更には、画像処理部105を完全に1チップ化することや、マルチチップモジュールとして実用化するなどの構成には関係なく、画像ソース部117からの画像データ信号を受けて演算処理(ルックアップテーブル利用も含む)を実施することにより複数の異なる画像処理を適用した画像を生成し、複数の液晶素子を積層した液晶表示部116に送出することで単体の液晶表示素子では得ることができないコントラスト比の表示を可能にする構成ならば、本発明の範囲に含まれる。また、画像ソース部117と画像処理部105の間
は1対のトランスミッタ102とレシーバ103により構成されているが、設計によりこの部分が複数のトランスミッタとレシーバにより構成されていたとしても本発明の範囲に含まれるのは言うまでもない。
【0128】
以上、本発明を、その好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の液晶表示装置及び画像表示システムは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、平均化処理の前段階や後段階でγ補正処理を実施するなどの画像処理を追加するなど、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
100:液晶表示装置
101:画像ソース
102、107、108:トランスミッタ
103:レシーバ
104:ローカルメモリ
105:画像処理部
106、109:バッファメモリ
110:タイミング制御部
111、112:駆動回路
113、114、301、302、520、601、602:液晶表示素子
115:光源
116:液晶表示部
117:画像ソース部
118:演算ユニット
120〜123:ケーブル
130:画像処理ユニット
131:分配器
201〜204、603、901、902、903:偏光板
211〜214、321〜324、911、912、913、914:透明基板
221、222、223、224:配向膜
231、232、325、326、931、932:液晶層
241:面発光光源
251:カラーフィルタ層
261、262、941、942:液晶表示パネル
311、312:観察者
331、332、333:視線
501:モノクロ画像生成部
502:演算処理部
503:タイミングコントロール部
504:カラー画像演算部
921、922、923、924:透明電極
951:駆動信号源
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及び画像表示システムに関し、更に詳しくは、高い表示コントラストが得られる直視型の液晶表示装置及び画像表示システムに関する。また、本発明は、そのような液晶表示装置を使用した電子機器、画像送出用調整装置、画像切替え装置、及び、画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置(液晶ディスプレイ)は、低消費電力で高精細化が可能という特徴を有しており、小型の携帯電話機から大型のテレビモニターまで広い範囲に適用されている。しかしながら、液晶表示パネル(液晶表示素子)の暗所におけるコントラスト比は、液晶表示パネル単独では高々1000:1前後であり、CRTにおけるコントラスト比や、液晶ディスプレイと同じくテレビモニターとして用いられているプラズマディスプレイのコントラスト比(3000:1)、FED/SEDと呼ばれる放電型表示パネルのコントラスト比に比べて低く、映画など暗い部分の表現力が豊かな映像ソースを用いて表示を実施した場合に、臨場感が不足するという問題点が指摘されている。
【0003】
上記問題に対して、液晶表示素子単体でのコントラスト比はそのままとして、バックライトの光強度を、表示する画像に従って制御することで、液晶ディスプレイ装置全体でコントラスト比を向上させる技術が開発されてきている。しかし、従来の面光源型のバックライト装置では、光源として冷陰極管が用いられており、この冷陰極管の輝度のダイナミックレンジは狭いため、バックライトの光強度を表示する画像に従って制御した場合でも、コントラスト比は、2000〜3000:1に留まる。また、冷陰極管は棒状の光源であるために、同一画面内に輝度の高い部分と低い部分が同時に存在した場合には、バックライトにおける輝度の調整ができず、バックライトの輝度制御によるコントラストの向上効果が低くなる。従って、一部高輝度の領域がある画像で、低輝度領域における再現性を重視するような画像を表示する場合に、実質的なコントラスト比が低下するという問題がある。
【0004】
上記の問題を生じさせないためには、液晶表示素子のコントラスト比を大幅に引き上げる必要があるが、前記したように、液晶表示素子単体におけるコントラスト比は高々1000:1程度である。液晶表示素子単体でのコントラスト比を大幅に引き上げることなく、液晶表示装置のコントラスト比を大幅に向上できる液晶表示装置としては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載の技術がある。これら技術では、液晶表示素子を2層又はそれ以上重ね合わせる。このようにすることで、黒輝度を低下させ、液晶表示装置全体でのコントラスト比を向上させている。
【0005】
図12は、液晶表示素子を2層重ね合わせた構造の液晶表示装置の構成を示している。この液晶表示装置900は、光入射側から順に、偏光板901、液晶表示パネル941、偏光板902、液晶表示パネル942、及び、偏光板903を有する。液晶表示パネル941は、TN構造の液晶層931と、透明電極921、922を液晶層側に有する一対の透明基板911、912とから成る。液晶表示パネル942は、TN構造の液晶層932と、透明電極923、924を液晶層側に有する一対の透明基板913、914とから成る。液晶表示パネル941、942の透明電極921及び923は、それぞれ、駆動回路951から駆動信号が供給される画素電極であり、透明電極922及び924は、それぞれ共通電極である。このような構造を採用することで、レーザ光を用いてコントラスト比を測定した場合、液晶表示パネルを1枚用いる構造ではコントラスト比が10〜15程度であったものが、2枚積層することにより100:1程度に向上でき、更に、3枚積層することにより1000:1程度に向上でき、液晶表示パネル単体でのコントラスト限界を超えたコントラスト比を実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭64−10223号公報
【特許文献2】実開昭59−189625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、積層された2つの液晶表示パネル941、942を、同一の信号源からの同一の信号によって駆動することで、高コントラスト比を得ている。しかしながら、液晶表示装置900では、液晶層931と932とが厚み方向に距離dだけ離れているため、パネル斜め方向から表示面を観察すると、液晶表示パネル941と液晶表示パネル942とで、表示位置に位置ずれが生じる。この位置ずれにより、斜め視野では、観察者は、正常な画像を認識できず、違和感が生じる。また、カラー表示を行う液晶表示パネルを2つ重ねた場合には、斜め視野から観察すると、下層側の液晶表示パネルと上層側の液晶表示パネルとで、光が、カラーフィルタ層の異なる色の層を通過することがある。これにより、表示輝度が低下し、視認性が悪化するという問題が発生する。
【0008】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、積層された液晶表示パネルを有する液晶表示装置において、視野方向に関係なく単体のパネルで表示したときと同等の色再現特性を得ると同時に、複数枚の液晶表示パネルを組み合わせることにより、単体で表現可能なコントラスト比を超えたコントラスト比を有する液晶表示装置及び画像表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の液晶表示装置は、複数の液晶表示パネルを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像に従って、前記液晶表示部で表示する画像を生成する画像処理部とを備えた液晶表示装置であって、前記複数の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を備えた第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを含み、前記画像処理部が、前記入力画像中で輝度又は彩度が所定の値以上の画素については全透過状態とする階調を発生し、輝度又は彩度が前記所定の値よりも
小さい画素では、前記入力画像に基づく階調を発生して、前記入力画像から単色画像を生成し、前記第2の液晶表示パネルに出力するモノクロ画像生成部と、前記入力画像と前記単色画像とに基づいてカラー画像を生成し、前記第1の液晶表示パネルに出力するカラー画像演算部とを備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の液晶表示装置では、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度又は彩度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルを、その単色画像で駆動する。一方、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルについては、入力画像と、第2液晶表示パネルを駆動する単色画像とに基づいて生成されたカラー画像で駆動する。このようにすることで、輝度又は彩度が高い画素については、第2液晶表示パネルが全透過状態となることから、第1液晶表示パネルのみで表示が行われ、輝度又は彩度が低い画素については、第1液晶表示パネルと第2液晶表示パネルとの組み合わせにて表示が行われることになる。従って、輝度又は彩度が低い画素では、複数の液晶表示パネルを連携させることで高コントラスト表示が得られると共に、輝度又は彩度が高い画素では、液晶表示パネル1枚での表示と同等な色再現性を得ることができ、高コントラスト比と高い色再現性とを同時に実現することができる。
【0011】
本発明の液晶表示装置では、前記カラー画像演算部は、前記単色画像で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像に従った輝度階調を表示することとし、全透過状態とされた画素を除く画素では、表示階調を、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記入力画像を補正した階調とするカラー画像を生成する構成を採用できる。第2液晶表示パネルにおける透過率が1(全透過状態)よりも小さい画素では、第2液晶表示パネルにて透過率の低下が発生する。第1液晶表示パネルにて、第2液晶表示パネルにおける透過率の低下分だけ透過率が増加するような画像を表示することにより、トータルでの透過率を制御することができ、観察者に対し、元の入力画像の色や輝度を、観察させることができる。
【0012】
本発明の液晶表示装置では、前記カラー画像演算部は、観察者が、前記第1液晶表示パネルと第2液晶表示パネルとを通して表示画面を観察した際に、前記入力画像で規定される色が観察されるように、前記第1の液晶表示パネルで表示されるべきカラー画像を生成する構成を採用できる。
【0013】
本発明の液晶表示装置では、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像を単色化し、該単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記しきい値よりも低い画素については、前記単色化した画像の階調に基づきヒストグラム拡大することで、前記単色画像を生成する構成を採用できる。輝度又は彩度が高い画素の透過率を全透過状態とする際には、所定のしきい値以上の透過率の画素を全透過状態とするしきい値処理を採用できる。
【0014】
本発明の液晶表示装置では、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像の単色化では、前記入力画像の各画素について、各色成分の階調を比較し、各色成分のうちで階調が最も大きい色成分の階調を、単色化後の画素の階調とする構成を採用できる。
【0015】
上記に代えて、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像の単色化では、前記入力画像をHSV変換して明度の成分を抽出し、該抽出した明度に基づいて、各画素の階調を決定する構成を採用できる。また、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像の単色化では、前記入力画像の各色成分のうちの何れか一色を用いて、各画素の階調を決定する構成を採用することができ、前記モノクロ画像生成部は、前記入力画像の単色化では、前記入力画像の各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定する構成を採用することもできる。
【0016】
本発明の液晶表示装置では、前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%としたとき、20%以上で80%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定される構成を採用できる。第2液晶表示パネルでの透過率の変動が大きいと、第1液晶表示パネルにて第2液晶表示パネルでの透過率の変動分を補正しようとしても、補正しきれないことも考えられる。しきい値を、この範囲に設定することで、第2液晶表示パネルでの透過率変動があっても、違和感のない表示が可能となる。
【0017】
本発明の液晶表示装置では、前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%としたとき、20%以上で60%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定される構成を採用できる。また、輝度又は彩度が高い画素についてはできるだけ第1液晶表示パネルのみで表示を行うという観点からは、しきい値の上限は上記よりも少し低いことが好ましく、20%〜60%の範囲が好適である。
【0018】
本発明の液晶表示装置では、前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%としたとき、30%以上で50以下の範囲内の透過率に対応する値に設定される構成を採用できる。この場合、更に違和感の少ない表示が可能である。
【0019】
本発明の液晶表示装置では、前記複数の液晶表示パネルのうちで、前記第1の液晶表示パネルのみがカラーフィルタ層を有する構成を採用できる。積層された複数の液晶表示パネルのうちで、カラーフィルタ層を有する液晶表示パネルが複数ある場合には、斜めから観察した際に、上下の液晶表示パネル間で、異なる色のカラーフィルタの層を通過することにより、観察者に観察される色が、本来の表示色からずれることがある。カラーフィルタ層を有する液晶表示パネルを1枚のみとすることで、このような問題を回避できる。
【0020】
本発明の液晶表示装置では、前記第1液晶表示パネルと前記第2液晶表示パネルとで、ピクセル解像度が一致している構成を採用できる。
【0021】
本発明の液晶表示装置では、前記第1の液晶表示パネルにおける1ピクセルが、3ドットで構成され、前記カラーフィルタ層は、それぞれ、赤、緑、及び、青に対応する色彩のカラーフィルタを有する構成を採用できる。或いは、前記第1の液晶表示パネルにおける1ピクセルが、4ドット乃至7ドットで構成され、前記カラーフィルタ層は、それぞれ、赤、緑、及び、青に対応する色彩のカラーフィルタと、黄、マゼンタ、シアン、及び、透明のうちの少なくとも1つとに対応する色彩のカラーフィルタとを有する構成を採用できる。
【0022】
本発明の液晶表示装置では、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、前記第2の液晶表示パネル及び前記カラー画像演算部に出力する平均化処理部を更に備える構成を採用できる。この場合、第2液晶表示パネルを、平均化処理された単色画像で駆動することで、積層された液晶表示パネルが離隔していることで生じる視差による違和感を解消することができる。
【0023】
本発明の液晶表示装置では、前記平均化処理部は、前記単色画像に対して、中心画素から所定の距離の範囲内にある画素の階調を、中心点からの距離に従った加重平均処理で平均化する処理を実行する構成を採用できる。また、前記加重平均処理では、荷重分布としてガウス分布を用いる構成を採用できる。平均化処理を行う距離については、斜め視野における観察方向の角度と、積層された液晶表示パネル間の層間の距離に応じて設定すればよい。
【0024】
本発明の液晶表示装置では、前記平均化処理部は、前記単色画像に対して、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行する構成とすることができる。この輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理方法として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲に任意の荷重分布を与えた上でヒストグラムを拡大する処理を実行する。このような処理は次の式で表される。
【数1】
また、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理方法の他の例として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した上でヒストグラムを拡大する処理を実行する。このような処理は次の式で表される。
【数2】
輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理方法の他の例として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した出力と、注目する画素との平均値に対して、ヒストグラムを拡大する処理を実行する。このような処理は次の式で表される。
【数3】
ここで、g(i,j)は注目する画素の処理結果を、f(i,j)は注目する画素とし、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域を考え、G(i,j)は任意の荷重分布行列を、γはガンマ値を、SMAXは最大階調値を表す。なお、i方向とj方向は必ずしも、ストライプ配列のように直交するものではなく、デルタ配列等にも採用することができる。
【0025】
本発明の液晶表示装置は、前記複数の液晶表示パネルのそれぞれ表示可能な階調数をmとするとき、前記液晶表示部で表示可能な階調数が、前記液晶表示パネルの枚数をnとして、m以上mn以下である構成を採用できる。
【0026】
本発明の液晶表示装置では、前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ平行な方向に電界を印加し、前記透明基板とほぼ平行な方向に配列されている液晶分子を、前記透明基板とほぼ平行な方向に回転させることで、光透過状態と光遮断状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動される構成を採用できる。
【0027】
本発明の液晶表示装置では、前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ垂直な方向に電界を印加し、前記透明基板に対してほぼ垂直な方向に配列されている液晶分子を、前記透明基板とほぼ平行な方向に回転させることで、光透過状態と光遮断状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動される構成を採用できる。
【0028】
本発明の液晶表示装置では、前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ垂直な方向に電界を印加し、透明基板近傍ではほぼ水平に配向され、かつ、液晶層内部でダイレクタ方向がほぼ90°変化するように配向された液晶分子を、透明基盤に垂直な方向に立ち上がらせることで、光透過状態と光遮光状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動される構成を採用できる。
【0029】
本発明の別の観点の液晶表示装置は、少なくとも1つの液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像に従って、前記液晶表示部で表示する画像を生成する画像処理部とを備えた液晶表示装置であって、前記画像処理部が、前記入力画像中で輝度又は彩度が所定の値以上の画素に対応する光源部分を所定の輝度以上の輝度で点灯し、輝度又は彩度が前記所定の値よりも小さい画素を前記入力画像に基づく発光輝度として、前記入力画像から単色画像を生成し、前記光源に出力するモノクロ画像生成部と、前記入力画像と前記単色画像とに基づいてカラー画像を生成し、前記液晶表示パネルに出力するカラー画像演算部とを備え、前記光源は、各ドットの発光輝度を、前記単色画像に基づいて制御することを特徴とする。
【0030】
本発明の別の観点の液晶表示装置では、ドットマトリクス駆動が可能な光源を用い、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度又は彩度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、ドットマトリクス駆動の光源を、その単色画像で駆動する。カラーフィルタを有する液晶表示パネルについては、入力画像と、光源を駆動する単色画像とに基づいて生成されたカラー画像で駆動する。このようにすることで、輝度又は彩度が高い画素については、光源が全白状態となることから、液晶表示パネルのみで表示が行われ、輝度又は彩度が低い画素については、液晶表示パネルと全白状態よりも透過率が低下した光源との組み合わせにて表示が行われることになる。従って、輝度又は彩度が低い画素では、液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを連携させることで高コントラスト表示が得られると共に、輝度又は彩度が高い画素では、液晶表示パネル1枚での表示と同等な色再現性を得ることができ、高コントラスト比と高い色再現性とを同時に実現することができる。
【0031】
本発明の別の観点の液晶表示装置では、前記画像処理部が、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、該平均化処理後の単色画像を前記光源及び前記カラー画像演算部に出力する平均化処理部を更に備える構成を採用できる。
【0032】
本発明の別の観点の液晶表示装置では、前記光源が、電球、LED、有機EL、無機EL、FED、及び、PDPの何れかを用いて構成される構成を採用できる。
【0033】
本発明の更に別の観点の液晶表示装置は、複数の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、入力画像に従って、前記液晶表示部で表示する画像を生成する画像処理部とを備えた液晶表示装置であって、前記複数の液晶表示パネルが、それぞれカラーフィルタ層を有しない液晶表示パネルとして構成されており、前記画像処理部が、前記入力画像中で輝度が所定の値以上の画素を全透過状態とし、輝度が前記所定の値よりも小さい画素を前記入力画像に基づく階調として、前記入力画像から単色画像を生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの何れかに出力するモノクロ画像生成部と、前記入力画像と前記単色画像とに基づいて画像を生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの他の何れかに出力する画像演算部とを備えることを特徴とする。
【0034】
本発明の液晶表示装置では、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、液晶表示パネルのうちの少なくとも1つの液晶表示パネルを、その単色画像で駆動する。一方、その他の液晶表示パネルのいくつかについては、入力画像と、第2液晶表示パネルを駆動する単色画像とに基づいて生成された画像で駆動する。このようにすることで、輝度が高い画素については、一方の液晶表示パネルが全透過状態となることから、他方の液晶表示パネルのみで表示が行われ、輝度が低い画素については、双方の液晶表示パネルの組み合わせにて表示が行われることになる。従って、輝度が低い画素では、複数の液晶表示パネルを連携させることで高コントラスト表示が得られると共に、輝度が高い画素では、液晶表示パネル1枚での表示と同等な表示再現性を得ることができ、高コントラスト比と高い表示再現性とを同時に実現する
ことができる。
【0035】
本発明の液晶表示装置では、前記画像処理部が、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、該平均化処理後の単色画像を、前記複数の液晶表示パネルのうちの何れか及び前記画像演算部に出力する平均化処理部を更に備える構成を採用できる。
【0036】
本発明の電子機器は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0037】
本発明の画像送出用調整装置は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0038】
本発明の画像切替え装置は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0039】
本発明の画像診断装置は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。
【0040】
本発明の画像表示システムは、積層されたn枚の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、画像ソースに基づいて画像信号を生成する画像ソース部と、前記画像信号に基づいて、前記液晶表示部の各液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する画像処理部とを有する画像表示システムであって、前記n枚の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを有しており、前記画像処理部が、前記画像信号中で輝度又は彩度が所定の値以上の画素を全透過状態とし、輝度又は彩度が前記所定の値よりも小さい画素を前記画像信号に基づく階調として、前記画像信号から単色画像を生成し、前記第2の液晶表示パネルに出力するモノクロ画像生成部と、前記入画像信号と前記単色画像とに基づいてカラー画像を生成し、前記第1の液晶表示パネルに出力するカラー画像演算部とを備えることを特徴とする。
【0041】
本発明の画像表示システムでは、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度又は彩度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルを、その単色画像で駆動する。一方、カラーフィルタを有する第1液晶表示パネルについては、入力画像と、第2液晶表示パネルを駆動する単色画像とに基づいて生成されたカラー画像で駆動する。このようにすることで、輝度又は彩度が高い画素については、第2液晶表示パネルが全透過状態となることから、第1液晶表示パネルのみで表示が行われ、輝度又は彩度が低い画素については、第1液晶表示パネルと第2液晶表示パネルとの組み合わせにて表示が行われることになる。従って、輝度又は彩度が低い画素では、複数の液晶表示パネルを連携させることで高コントラスト表示が得られると共に、輝度又は彩度が高い画素では、液晶表示パネル1枚での表示と同等な色再現性を得ることができ、高コントラスト比と高い色再現性とを同時に実現することができる。
【0042】
本発明の画像表示システムでは、前記画像ソース部が、画像ソースから画像データを読み出し、該読み出した画像データを、前記画像処理部へ伝送可能な画像信号に変換して出力する伝送部を備える構成を採用できる。
【0043】
本発明の画像表示システムでは、前記画像処理部は、前記カラー画像演算部に入力される画像信号と、前記単色画像とが、同じ時点の画像となるようにタイミングを調整するタイミング調整部を更に有する構成を採用できる。
【0044】
本発明の画像表示システムでは、前記画像処理部が、前記第1液晶表示パネルに対応して、前記カラー画像演算部が出力するカラー画像を記憶する第1のバッファメモリと、該第1のバッファメモリからカラー画像を読み出して前記第1液晶表示パネルに出力する第1のトランスミッタとを更に有し、前記第2液晶表示パネルに対応して、前記単色画像を記憶する第2のバッファメモリと、該第2のバッファメモリから前記単色画像を読み出して前記第2液晶表示パネルに出力する第2のトランスミッタとを有する構成を採用できる。
【0045】
本発明の画像表示システムでは、前記画像処理部が、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、該平均化処理後の単色画像を、前記第2の液晶表示パネル及び前記カラー画像演算部に出力する平均化処理部を更に備える構成を採用できる。この場合、第2液晶表示パネルを、平均化処理された単色画像で駆動することで、積層された液晶表示パネルが離隔していることで生じる視差による違和感を解消することができる。
【0046】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部は、入力された画像信号から輝度信号を抽出して前記画像信号を単色化し、該単色化した画像信号に基づいて単色画像を生成する構成を採用できる。
【0047】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部は、各画素について、入力された画像信号の複数の原色信号のうちで、表示階調が最も高い階調を抽出して前記画像信号を単色化し、該単色化した画像信号に基づいて単色画像を生成する構成を採用することができる。
【0048】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部は、前記単色化した画像信号に対して、透過率が所定のしきい値以上の画素の透過率を全透過状態とするクリッピング処理、γカーブ変換処理、及び、ヒストグラム調整のうちの少なくとも一つを実施する構成を採用できる。
【0049】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部は、あらかじめ設定されたルックアップテーブルを参照して、前記画像信号から単色画像を生成する構成を採用できる。この場合、単色画像の生成に際して、演算処理の処理負担を軽減できる。
【0050】
本発明の画像表示システムでは、前記ルックアップテーブルは、入力された画像信号のRGBの各階調値に対して、単色化された画像信号の階調値が得られる3次元ルックアップテーブルとして構成される構成を採用できる。
【0051】
本発明の画像表示システムでは、前記カラー画像演算部は、あらかじめ設定されたルックアップテーブルを参照して、前記入画像信号と前記単色画像とに基づいてカラー画像を生成する構成を採用できる。この場合、カラー画像の生成に際して、演算処理の処理負担を軽減できる。
【0052】
本発明の画像表示システムでは、前記ルックアップテーブルは、入力された画像信号のRGBの各階調値と前記単色画像の階調値とに対して、前記第1液晶表示パネルにて表示されるべきカラー画像の階調値が得られる4次元ルックアップテーブルとして構成される構成を採用できる。
【0053】
本発明の画像表示システムでは、前記カラー画像演算部は、前記単色画像の輝度で、前記画像信号の輝度成分を除算して、カラー画像を生成する構成を採用できる。積層された複数の液晶表示パネルを透過する光は、各液晶表示パネルでの透過率の積となる。従って、カラー画像の輝度を、前記単色画像の輝度で除算することで、元の画像の輝度の表示が可能となる。
【0054】
本発明の画像表示システムでは、前記カラー画像演算部は、前記除算に際して、前記単色画像の輝度に、1以上の整数値を加える輝度シフト処理を施す構成を採用できる。除算を行う際には、例外処理等を用いて、0での除算がされないようにする必要がある。除算に際して、輝度シフト処理を実施することで、輝度の最小値は0よりも大きな値となり、0での除算を考慮する必要がなくなる。
【0055】
本発明の画像表示システムでは、前記モノクロ画像生成部による単色画像の生成、及び、前記カラー画像演算部によるカラー画像の生成の少なくとも一方は、ソフトウェア処理により行われる構成を採用できる。
【0056】
本発明の画像表示システムでは、前記画像処理部が、前記n枚の液晶表示パネルに対応してn個の画像処理ユニットに分割され、各画像処理ユニットは、画像信号に基づいて、対応する液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する構成を採用できる。この場合、モノクロ表示の液晶表示パネルに対応する画像処理ユニットは、モノクロ画像生成部を備える構成とすればよい。また、カラー表示の液晶表示パネルに対応する画像処理ユニットは、カラー画像演算部を備える構成とすればよい。
【0057】
本発明の画像表示システムでは、前記n枚の液晶表示パネルのそれぞれは、透明基板上に形成されたx方向の電極、前記x方向に直交するy方向の電極、及び、共通電極と、前記x方向の電極と前記y方向の電極との交点付近に形成された画素電極と、前記x方向の電極、前記y方向の電極、及び、前記画素電極に接続された3端子素子とを有し、駆動信号により擬似的なスタティック駆動が実施できるアクティブマトリクス駆動により駆動される構成を採用できる。
【0058】
本発明の画像表示システムでは、前記n枚の液晶表示パネルのそれぞれは、一方の透明基板に形成されたx方向の電極と、他方の透明基板に形成されたx方向に直交するy方向の電極と、何れか一方の透明基板に形成された画素電極と、前記画素電極が形成された透明基板上に形成された、前記x方向の電極又は前記y方向の電極と、前記画素電極とに接続された2端子非線形素子とを有し、アクティブマトリクス駆動により駆動される構成を採用できる。
【発明の効果】
【0059】
本発明の液晶表示装置及び画像表示システムでは、モノクロ画像生成部で、原画像である入力画像中で輝度又は彩度が高い画素を全透過状態とした単色化画像を生成し、第2液晶表示パネル又はドットマトリクス駆動が可能な光源を、その単色画像で駆動する。また、第1液晶表示パネルについては、入力画像と、単色画像とに基づいて生成された画像で駆動する。このようにすることで、輝度又は彩度が高い画素については、第1液晶表示パネル単独で表示を行い、輝度又は彩度が低い画素では、第1液晶表示パネルと第2液晶表示パネルとの組み合わせ、又は、液晶表示パネルとドットマトリクス駆動の光源との組み合わせにて表示を行うことが可能となり、高い色再現性を維持したままで、高コントラスト表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の構成を示すブロック図。
【図2】液晶表示部の断面構造を示す模式断面図。
【図3】液晶表示部の断面と、液晶表示素子内を進行する光の様子を示す模式断面図。
【図4】(a)は、2枚のパネルを用いた場合における輝度と色度の範囲を示す図、(b)は、カラーパネル単体で表示することができる輝度と色度の範囲を示す図。
【図5】演算ユニット内部の構成を示す機能ブロック図。
【図6】本発明の第2実施形態の液晶表示装置における液晶表示部の断面構造を示す模式断面図。
【図7】本発明の変形例の液晶表示装置の構成を示すブロック図。
【図8】平均化処理前のモデル画像と荷重分布の一例を示す図。
【図9】平均化処理後のモデル画像を示す図。
【図10】平均化処理前の実際の画像と、通常の平均化処理画像および本発明による平均化処理画像を示す図。
【図11】平均化処理前の実際の画像と、通常の平均化処理画像および本発明による平均化処理画像の輝度の分布を示すグラフ。
【図12】液晶表示素子を2層重ね合わせた構造の液晶表示装置の構成を示す模式断面図。
【発明を実施するための形態】
【0061】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置(画像表示装置)、及び、その駆動システムの構成を示している。画像表示システム(液晶表示装置)100は、大きく分けて、画像ソース部117と、画像処理部105と、液晶表示部116との3つの部分に分かれており、それぞれのユニット間は、ケーブル120〜122で接続されている。
【0062】
画像ソース部117は、画像ソース101と、トランスミッタ102とを有する。トランスミッタは、画像ソース101から供給される画像信号(画像データ)を、伝送可能な映像信号に変換して、画像処理部105に送信する。トランスミッタ102は、例えばザインエレクトロニクス社製のTHC63DV164を用いて構成され、画像ソース101から出力されるパラレルデータをシリアル信号に変換し、変換した信号を、通信ケーブル120を介して、画像処理部105へ送出する。ただし、この部分としては、パソコン用のデジタルインターフェースとして一般的なDVI出力が得られればよいため、前記のチップによらず、同等の信号を出力できれば何でもよい。また、画像ソース部117として、一般的なDVI出力を有するパソコンを使用しても何ら問題ない。信号伝送については、トランスミッタとレシーバとが対となって信号の送受信ができればよいため、信号形式はDVI形式に限らず、デジタルでもアナログでもかまわない。
【0063】
画像処理部105は、レシーバ103、ローカルメモリ104、バッファメモリ106、109、トランスミッタ107、108、タイミング制御部110、及び、演算ユニット118を有する。液晶表示部116は、複数の液晶表示素子(図1では、2つの液晶表示素子113、114)と、光源115とを有する。画像処理部105は、画像ソース部117から送出された映像信号に信号変化を実施し、液晶表示部116の各液晶表示素子113、114を駆動する信号を生成する。画像処理部105が生成した信号は、それぞれケーブル121、122を介して、液晶表示素子113、114の駆動回路111、112に入力される。
【0064】
画像処理部105には、ザイリンクス社製のSpartan−3E ディスプレイ・ソリューション・ボードにオプションのDVI I/Fボードを接続したものを用いることができる。具体的には、レシーバ103としてDVI I/Fボードを用い、画像処理部105を構成する他のブロックは、Spartan−3E ディスプレイ・ソリューション・ボードで構成し、画像処理論理回路などは、このボード内に具備しているFPGAチップ(Spartan−3E)内に構成する。出力側のトランスミッタ107、108から出力される信号は、例えば、LCDパネルの入力形式(LVDS)とする。画像処理部105にて行う画像処理の詳細については、後述する。
【0065】
液晶表示部116では、第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114とが積層されており、観察者側とは反対側の背面側に、光源115が配置されている。第1液晶表示素子113は、カラー画像を表示する液晶表示素子であり、第2液晶表示素子114は、モノクロ画像(単色画像)を表示する液晶表示素子である。画像処理部105は、第1の液晶表示素子113の駆動回路111と、第2の液晶表示素子114の駆動回路112とに、異なる画像処理を施した映像信号出力する。液晶表示素子113、114は、駆動回路111、112に入力される信号に基づいて、個別に駆動される。
【0066】
図2は、液晶表示部116の断面構造を示している。液晶表示部116は、光出射側から順に、偏光板201、透明基板211、カラーフィルタ層251、配向膜221、液晶層231、配向膜222、透明基板212、偏光板202、偏光板203、透明基板213、配向膜223、液晶層232、配向膜224、透明基板214、偏光板204、及び、面発光光源241を有する。以下では、便宜的に、透明基板211、カラーフィルタ層251、配向膜221、液晶層231、配向膜222、透明基板212までを第1液晶表示パネル261と呼び、第1液晶表示パネル261をはさむように配置された偏光板201と偏光板202まで含めて第1液晶表示素子113と呼ぶ。また、透明基板213、配向膜223、液晶層232、配向膜224、透明基板214までをあわせた部分を第2液晶表示パネル262と呼び、第2液晶表示パネル262をはさむように配置された偏光板203と偏光板204までを含めて第2液晶表示素子114と呼ぶ。
【0067】
図2における面発光光源241は、図1における光源115に対応している。面発光光源241は、面発光の光源として構成され、第1液晶表示素子113及び第2液晶表示素子114の背面側から光を照射する。面発光光源241から出射した光は、第2液晶表示素子114と第1液晶表示素子113とを透過して観察者側に出射する。第1液晶表示素子113と第2の液晶表示素子114の各画素にて、光の透過状態を制御することで、観察者が表示画像を見ることが可能となる。
【0068】
液晶表示素子の作成について説明する。透明基板212の液晶層側には、マトリクス状に電極が配置されており、その各交点付近に、3端子型の非線形素子(以下、TFTとする)が配置され、1画素が構成される。液晶表示素子の表示モードには、例えば、画素内にてTFTからの電極と共通電極とが櫛歯状に形成された横電界方式のモードを用いる。カラーフィルタ層251では、画素一つにひとつのカラーフィルタが対応するように、赤、緑、青のカラーフィルタがストライプ状に配置される。1ピクセルは、隣接する赤、緑、青のカラーフィルタに対応する3画素で構成される。
【0069】
液晶表示素子の形成に際しては、透明基板211上のカラーフィルタ層251の表面と、透明基板212のマトリクス状の電極を配置した面とにそれぞれ配向膜221、222を塗布し、ラビングに代表される液晶配向処理を実施する。その後、透明基板211の配向膜221を形成した面と、透明基板212の配向膜222を形成した面とを、互いに液晶配向方向が平行又は反平行となるような方向で向かい合わせて、一定の間隙を開けて重ね合わせ、その間隙に、メルク社製のZLI4792を注入する。これにより、第1液晶表示パネル261が形成される。更に、この第1液晶表示パネル261を挟み込むように、日東電工製SEG1224を用いた偏光板201と偏光板202とを配置し、第1液晶表示素子113を形成する。このとき、偏光板201と偏光板202とは、容易透過軸又は光吸収軸同士が互いにほぼ直交した配置とし、偏光板201及び偏光板202の何れか一方の光吸収軸が、液晶の配向方向に平行となるようにする。
【0070】
第2液晶表示パネル262の作成は、透明基板213がカラーフィルタ層を有しない点を除いて、第1液晶表示パネル261の作成と同様である。透明基板214の液晶層側には、マトリクス状の電極が配置されており、その交点付近にTFTが配置されている。第2液晶表示パネル262における画素サイズについては、第2液晶表示パネル262では、透明基板213がカラーフィルタ層を有していないため、第1液晶表示パネル261における1ピクセルのサイズと同じサイズを、1画素とすることが適当である。或いは、第1液晶表示パネル261と同じサイズで1画素を構成し、第1の液晶表示パネル261からカラーフィルタ層251を取り除いた構成としてもよい。第2液晶表示パネル262の作成後、液晶表示パネル262を偏光板203、204で挟み込み、第2液晶表示素子114を形成する。このとき、第1液晶表示素子113と同様に、偏光板203と偏光板204とは、容易透過軸又は光吸収軸同士が互いにほぼ直交した配置とし、偏光板203及び偏光板204の何れか一方の光吸収軸が、液晶の配向方向に平行となるようにする。
【0071】
作成された第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114とを、位置を合わせて重ね合わせ、背面側に面発光光源241を配置して、液晶表示部116を作成する。第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114とを重ね合わせる際には、互いの液晶配向方向が平行又は垂直になるように重ね合わせる。また、偏光板202と偏光板203との容易透過軸又は光吸収軸がほぼ平行となるようにし、偏光板203を透過した光が、偏光板202を可能な限り透過できるようにする。
【0072】
液晶表示部116では、2つの液晶表示素子のうちの一方にカラーフィルタ層251を配置し、カラーフィルタ層を1層のみとしている、このため、物理的に視野を動かしても、複数のカラーフィルタ層が存在する場合のように、透過輝度が見る角度によって大きく変わることはない。しかしながら、2つの液晶表示素子113、114を、同一の信号源から同一の信号により駆動すると、液晶層231と液晶層232との間に距離が存在することから、視差により表示が見づらくなる。
【0073】
図3は、視差の発生を説明するための模式図である。同図では、図2における主要な分、すなわち透明基板と液晶層のみを抽出して図示している。図3における液晶表示素子301、302は、図2に示す液晶表示素子113、114に対応し、透明基板321〜324は、それぞれ図2に示す透明基板211〜214に対応する。また、液晶層325、326は、図2における液晶層231、232に対応する。
【0074】
第1液晶表示素子301と第2液晶表示素子302とを、表示面に対して鉛直な方向(311方向)から観察すると、視線331に対しては、第1液晶表示素子301の液晶層325の点βと、第2液晶表示素子302の液晶層326の点αとは重なって見え、同一の点となる。従って、鉛直方向から観察する際には、視差による違和感は生じない。一方、斜め視野では、点αと点βとは、垂直方向に距離dだけ離隔しているため、角度θの方向(図3に示す312方向)から点α及びβを見た場合には、視線332と視線333として観察され、それぞれの映像の位置が視差の分だけ異なる位置に見えることから、像が2重に見えて違和感が大きく、表示が見づらくなる。
【0075】
第1液晶表示素子301及び第2液晶表示素子302内を透過した光は、透明基板321から空気中に出射する際に、スネルの法則により、屈折率の違いに応じた角度で進行方向が変化する。第1液晶表示素子301及び第2液晶表示素子302の内部から透過してきた光が、透明基板321の表面から出射する際の角度θと、透明基板321の表面に入射する際の角度φとは、透明基板321の屈折率をng、空気の屈折率をnaとすると、スネルの法則から、
na・sinθ=ng・sinφ
と表すことができる。これを変形すると、
φ=sin−1((na/ng)×sinθ)
と表すことができる。錯角の関係から、点βから、透明基板321の表面に向かう光と鉛直方向との間の角度もφとなる。点αについても同様である。視角θの方向から見た場合に、第1の液晶表示素子301と第2の液晶表示素子302との表示位置が異なる量(位置ズレ量)rは、下記式で表すことができる。
tanφ=(r/d)
r=d×tanφ
=d×tan(sin−1((na/ng)×sinθ)) (1)
【0076】
角度θの斜め視野において、視差感をなくすためには、本来、点βの位置で表示を行うべき情報を、点γの位置まで距離rだけ伸ばして表示すればよい。そこで、演算ユニット118により、液晶表示素子を駆動する信号について、点βの情報を、距離rまで散らす平均化処理を画面全体に対して実施する。このようにすることで、視差間を減少させて、表示を見やすくすることができる。平均化処理は、2つの液晶表示素子のうちの何れか一方で行う。視差感の解消という観点では、カラーフィルタ層251(図2)を有する第1液晶表示素子301で平均化処理を実施しても、カラーフィルタ層を有さない第2液晶表示素子302で平均化処理を実施しても、効果は同等である。また、平均化処理を実施する液晶表示素子は、観察者側に存在している必要はなく、その観察者から遠い側に存在する場合でも、特に影響はない。
【0077】
また、平均化処理を実施する液晶表示素子が観察者側から遠い側に存在する場合には、第1液晶表示素子301と第2液晶表示素子302の間に光拡散フィルムのように光拡散性を有する光学部品を挿入することで画像処理において適用した平均化処理の距離r’を、光拡散性を有する光学部品により見かけ上拡大することも可能である。この場合のr’は、第1液晶層325と第2液晶層326の間をdとし、光拡散性を有する光学部品の挿入位置を第2液晶層326からd’の距離、光拡散性を有する光学部品の光散乱角度(半値角度)をηとした場合
r’= (d’×tanφ)+((d−d’)×tan(φ+η))
となり、実質的な平均化距離が伸びることになる。このため、画像処理演算を実施する場合には留意が必要である。
【0078】
本発明者らは、積層された2つの液晶表示素子を有する液晶表示部の駆動方式について検討をした結果、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示素子302(図1における114)にて平均化した画像を表示し、第1の液晶表示素子301(113)にてカラー表示を行い、これら2つを重ね合わせることで、良好な表示が得られるとの結論を得た。第2液晶表示素子114にて平均化処理した画像を表示する理由は、カラー画像を表示する第1の液晶表示素子113にて平均化処理を実施する場合には、平均化処理によって色がぼけ、色の再現域が狭くなることが考えられるためである。
【0079】
図4に、シミュレーションにより得られた、2枚のパネルを用いた場合における輝度と色度の範囲を示す図と、カラーパネル単体で表示することができる輝度と色度の範囲を示す図を示す。同図に示すグラフの縦軸は透過率を表しており、最大を100で規格化して示している。また、横軸は色味の度合い(彩度)を表している。
【0080】
図4(a)と(b)とを比較すると、輝度の高い領域(グラフの縦軸の大きい数値の領域)や彩度が高い領域(横軸の絶対値が大きい領域)では、パネル1枚で表示を行った場合でも、十分な色の再現性を得ることができることがわかる。このような結果から、輝度(彩度)の高い部分では、第2液晶表示素子114を全透過状態に維持することで表示動作には介入させず、第1液晶表示素子113のみで表示を行い、輝度の低い部分では、第2液晶表示素子114の表示階調を表示画像に従って制御し、第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114との重ね合わせで表示を行うことで、輝度又は彩度が高い領域での色再現性と、輝度が低い領域での色再現性とを同時に得ることができるという結論に至った。
【0081】
上記では、入力画像における輝度又は彩度が高い部分の第2液晶表示素子114の透過率を全透過状態としたが、厳密に全透過状態(全白表示状態)である必要はない。輝度又は彩度が高い部分の透過率を、ほぼ全透過状態、例えば全白表示状態の光透過率の90%以上の透過率としても、効果は同様である。なお、以下では、この第1液晶表示素子113のみで表示動作を実施する領域と、第1液晶表示素子113に加えて第2液晶表示素子114を表示動作に加えることで協調して表示動作を行う領域との境目をしきい値と呼称する。このような制御を行うことで、第1液晶表示素子を駆動する階調の変化と第2液晶表示素子を駆動する階調の変化状態には、少なくとも片方になだらかな不連続点が発生するようになる。
【0082】
図5は、演算ユニット118内部の構成を機能ブロック図で示している。演算ユニット118は、モノクロ画像生成部501、演算処理部(平均化処理部)502、タイミングコントロール部503、及び、カラー画像演算部504を有する。演算ユニット118は、図1のレシーバ103から、例えば、1原色あたり8ビット、計24ビットの画像信号を受け取る。この画像信号は、演算ユニット118内部で2つの経路に分けられ、カラー画像の画像信号から単色の階調信号(輝度信号)を生成するモノクロ画像生成部501と、入力側のタイミング信号に従って読み込んだ信号の順番に、出力側のタイミング信号により読み出すタイミングコントロール部503とに入力される。
【0083】
モノクロ画像生成部501は、入力された24ビットのカラー画像の輝度情報に基づいて、例えば8ビットの単色画像を生成する。単色画像の生成では、例えば、各画素におけるR(赤)、G(緑)、B(青)の各原色の階調を調べ、そのうちで最大値をとる階調を、変換後の画素の階調とする。或いは、入力された画像に対してHSV変換(明度、彩度、色相への信号変換)を行い、明度の情報のみを抽出してモノクロ画像へ変換する。また、入力画像のうちのR、G、Bの何れかのみを用いて、その色で単色化する。R、G、Bのうちの何れか1つではなく、R、G、Bのうちの2色に対して演算処理を行って単色画像を生成してもよい。単色画像の階調値(透過率)が高い領域は、入力画像における輝度又は彩度が高い領域に対応している。
【0084】
モノクロ画像生成部501は、単色画像への変換後、透過率が所定の値以上となる画素については透過率を全透過状態とし、それよりも小さい画素については、透過率を、元のカラー画像の透過率に応じた値とする処理を行う。この処理では、例えば、単色化後の画像の各画素の階調をあらかじめ設定されたしきい値と比較し、しきい値以上のときには、その画素の透過率を、一定の値に、望ましくは全透過状態とする(以下では、全透過状態として説明する)。また、しきい値よりも小さいときには、階調変換を行って、各画素の透過率を、設定した透過率を最大値として全遮断状態までの間に再割り当てを実施する。
【0085】
単色画像における所定の透過率以上の透過率を全透過状態に変換する処理は、上記したしきい値処理には限られない。例えば、単色画像に対して、γ値を4.0程度とするγカーブ変換を実施し、透過率がある程度以上に高い領域を全透過状態としてもよい。或いは、ヒストグラム調整を行って、透過率がある程度以上の透過率を全透過状態としてもよい。モノクロ画像生成部501では、透過率が高い領域の透過率をほぼ全透過状態とした単色画像が得られればよく、単色画像生成の手法や、透過率が高い領域の透過率を全透過状態に変換する際の手法としては、上記した以外の手法を採用してもかまわない。
【0086】
演算処理部502は、モノクロ画像生成部501が生成したモノクロ画像に対して、平均化処理を行う。この平均化処理に関しては、特願2006−114523に記載の方法にて実施する。すなわち、注目画素に対して、所定の範囲内(図3における距離rの範囲内)にある画素の画像情報を平均化する。平均化処理では、中心点からの距離に従った加重平均化処理を採用する。その際の荷重分布としては、ガウス分布を用いることができる。平均化処理を行うことにより、単色画像は、エッジがぼけた画像となる。演算処理部502によって平均化処理を施された単色画像は、バッファメモリ109及びトランスミッタ108(図1)を介して、第2液晶表示素子114に送られる。
【0087】
カラー画像演算部504は、タイミングコントロール部503を介して入力した、RGB各8ビットの24ビットの画像データ、及び、演算処理部502にて平均化処理が施された単色画像に基づいて、第1液晶表示素子113で表示すべきカラー画像を生成する。タイミングコントロール部503は、単色画像生成のためのタイムラグを吸収する目的で配置されている。図1におけるローカルメモリ(画像/作業用)104を有効活用することでタイムラグの問題を回避する場合や、そもそもタイミング的に問題なく処理が可能である場合には、タイミングコントロール部503は不要である。
【0088】
液晶表示部116を観察する観察者は、第1液晶表示素子113と第2液晶表示素子114とを透過した光を観察するため、観察者が観察する画像の輝度(トータルの透過率)は、各液晶表示素子の透過率の積となる。カラー画像演算部504は、第1液晶表示素子113が表示すべきカラー画像を、第2液晶表示素子114の画像データ基づいて補正し、第2液晶表示素子114での輝度の変化(低下)を補償して、もともとの画像データの輝度に対して、観察者が観察する輝度が変化しないようにする。
【0089】
カラー画像演算部504は、24ビットのカラー画像データに対して、演算処理部502から出力された単色画像に基づく演算処理を行い、カラー画像信号を生成する。具体的には、カラー画像データの画像信号を、単色画像の輝度信号で除算することにより、輝度が補正された画像信号を生成する。ただし、単色画像の輝度が0階調である場合には、除算を行うことができないので、例外処理を設けて、0での除算が行われないようにする。或いは、単色画像の輝度を所定の値だけ輝度が高くなる方向にシフトして、0での除算が行われないようにしてもよい。カラー画像演算部504にてカラー画像信号を生成する際には、元の画像信号に対して何らかの画像補正処理を別途行ってもよい。カラー画像演算部504が生成したカラー画像は、バッファメモリ106及びトランスミッタ107を介して、第1液晶表示素子113に入力される。
【0090】
液晶表示部116では、第1液晶表示素子113は、カラー画像演算部504で生成されたカラー画像によって駆動され、第2液晶表示素子114は、モノクロ画像生成部501で生成され演算処理部502で平均化処理が施された単色画像によって駆動される。第2液晶表示素子114の表示のみを見た場合、輝度が高い部分は全透過状態となっており、その他の部分は、平均化処理によってぼやけた画像となっている。また、第1液晶表示素子113の表示のみを見た場合、第1液晶表示素子113では第2液晶表示素子114での表示輝度に基づいて輝度が補正されているため、第2液晶表示素子114が全透過状態でない箇所では、輝度・彩度がもともとの画像とは異なり強調された画像となっている。
【0091】
ここで、モノクロ画像生成部501における単色画像への変換の際のしきい値については、演算処理部502にて平均化処理を実施することで、第2液晶表示素子114のもともとの画像に対する輝度の変化率が20%を超えると、カラー画像演算部504にて第1液晶表示素子113の輝度信号を調整しても、全体として彩度と色相の変化量が大きくなり、違和感が生じる。このようなことを防ぐために、単色画像への変換の際のしきい値は、20%程度の変動があっても違和感なく表示できるようにするために、入力信号に対して20%から80%までの範囲内で設定するのがよい。また、図4を参照して既に説明したように、輝度や彩度が高い領域では、第1液晶表示素子113のみでも表示が可能であるので、単独で表示が可能な領域はなるべく第1液晶表示素子113のみで表示を実施するという観点から、しきい値の上限を少し下げて、20%から60%までの範囲に設定し、第2液晶表示素子114の全透過状態の部分を増加させることが好ましい。更に、しきい値を、30%から50%の範囲内に設定すると、可能な限り有効に第1液晶表示素子113により表示を適用することが可能となり、違和感の少ない表示が可能となる。
【0092】
本実施形態の効果に検証するために、画像表示システム100にて、上記のような画像処理を行った信号を、第1液晶表示素子113及び第2液晶表示素子114にそれぞれ入力し、画像を表示させたところ、輝度・彩度に関しては、通常の画像信号を第1液晶表示素子113のみで表示した場合と遜色ない表示が得られた。また、コントラストに関しては、50万:1という高いコントラスト比を得ることができた。斜め視野から観察した際には、第2液晶表示素子114で平均化処理を施したことにより、視差の影響が少なく、良好な表示が得られた。今回用いた液晶表示素子は、単体でのコントラスト比が700:1程度であったが、単体でのコントラスト比が更に高い液晶表示素子を組み合わせることや、重ね合わせる液晶表示素子を3枚以上とすることで、更に高いコントラスト比を得ることができる。
【0093】
なお、図1では、画像ソース部117、画像処理部105、及び、液晶表示部116を分離して図示したが、これらは別々のハードウェアとして構成されている必要はなく、同一筐体内に存在していてもよい。また、画像ソース部117と画像処理部105とが同一筐体で、液晶表示部116が別筐体となっていてもよい。画像処理部105における画像処理は、ハードウェアによる画像処理だけでなく、CPU等のプロセッサを用いたソフトウェア処理による画像処理を採用することもできる。
【0094】
また、平均化処理等は、必ずしも画像処理部105内で行う必要はなく、CPUを用いたソフトウェア処理や、MPEGでコーダに代表されるグラフィックチップを用いた処理を行う画像ソース部117で行ってもよい。その場合には、図1では1系統である画像ソース部117と画像処理部105との間の信号ケーブル120を2重化して、第1液晶表示素子113に表示させる画像と、第2液晶表示素子114に表示させる画像とを、別個に出力させればよい。
【0095】
上記では、演算ユニット118内のモノクロ画像生成部501とカラー画像演算部504とでは、演算処理により画像を生成することを前提として説明したが、これには限定されない。例えば、入出力をあらかじめ演算し、これをルックアップテーブルに保存して、ルックアップテーブルを用いて演算する構成であってもよい。この場合、モノクロ画像生成部501は、入力画像のRGB各階調値に対して、単色化された画像の階調値が得られる3次元ルックアップテーブルを用いて、モノクロ画像を生成する構成を採用できる。カラー画像演算部504は、入力画像野RGBの各階調値と、単色画像の階調値とに対して、第1液晶表示素子113にて表示されるべきカラー画像の階調値が得られる4次元ルックアップテーブルを用いて、カラー画像を生成する構成を採用できる。
【0096】
本実施形態では、第1液晶表示素子113がカラーフィルタ層251(図2)を有したが、平均化処理を施した画像を表示することによる視差感の解消に関しては、カラーフィルタ層は必須の要素ではない。従って、第1液晶表示素子113を、第2液晶表示素子114と同様に、モノクロ型の液晶表示素子として構成し、液晶表示装置を、全体としてモノクロ表示を行う液晶表示装置として構成することもできる。
【0097】
また、第2液晶表示素子では、1ピクセルが、RGBのカラーフィルタ層に対応して3つの領域に分割される例について示したが、カラーフィルタ層の色はR、G、Bの3色には限定されず、RGBYMCのような多色フィルタを用いることもできる。その場合には、1ピクセルをカラーフィルタ層の各色に対応して領域分割すればよい。また、1ピクセルを4つの領域に分割して、各領域を、R、G、G、Bに対応させてもよい。或いは、4つの領域を、RGBの各色に対応する領域と、色を有しない領域(W)とで構成してもよい。
【0098】
本実施形態では、液晶表示素子における液晶駆動方式としてIPSを例に挙げて説明したが、液晶駆動方式はこの方式には限定されず、例えば、垂直配向型(VA)液晶方式、ツイストネマティック型(TN)液晶方式、ベント配向型(OCB)液晶方式など、種々の方式を採用することもできる。図2では、位相差補償層を設けない構造を示したが、液晶表示パネル261、262と、偏光板201〜204との間に、視野角の改善を目的とした位相差補償層を挿入する構造を採用することもできる。位相差補償層を挿入する場合には、液晶層における液晶モードとの組み合わせによって、挿入する位相差補償層の光学特性等を設定すればよい。
【0099】
例えば、第1液晶表示素子113に位相差補償層を挿入する場合であって、液晶表示素子113がIPS方式で駆動される場合には、偏光板201、202と、液晶表示パネル261との間のそれぞれに、屈折率が最も高い方向の屈折率をnx、基板平行面内でnxの方向と直交する方向の屈折率をnyとし、nx及びnyと垂直な方向の屈折率をnzとしたとき、nx≧nz>nyの特性を有する位相差補償層を、nx方向が、偏光板201、202の光吸収軸又は光透過軸と平行になるように挿入する。このようにすることで、液晶表示素子113の視野角特性を改善することができる。また、このとき複数の位相差補償板を組み合わせて、合成したnx,ny,nzの屈折率が上記の式を満たす物を採用しても上記の条件を逸脱するものではなく、同等の効果を得ることが可能となる。
【0100】
また、液晶表示素子113がVA方式で駆動される場合については、nx≧ny>nzの位相差補償層を、nx方向が偏光板201、202の光吸収軸又は光透過軸と平行になるように挿入することで、視野角特性を改善できる。液晶表示素子113がTN方式又はOCB方式で駆動される場合には、負の位相差を有するディスコティック液晶層で構成され、ディスコティック液晶層の軸角度が厚み方向で連続的に変化するWVフィルムを位相差補償層として挿入することで、視野角特性を改善できる。
【0101】
位相差補償層は、液晶表示パネル261、262の片側のみで挿入されていてもよく、或いは、両側で挿入されていてもよい。上記では、位相差補償層の挿入位置を、液晶表示パネル261、262と偏光板201〜204との間としたが、実際には、液晶層231、232と偏光板201〜204との間であればどの位置であってもよい。また、挿入する位相差補償層は1層には限られず、複数の位相差補償層を挿入することもできる。なお、本発明の実施の形態においては、しきい値以上の階調において第2液晶表示素子の光透過率は、一定の値であることを前提として説明を実施してきたが、厳密に一定ではなく多少の増減(±数%)を適用しても本発明の思想から逸脱するものではない。
【0102】
図6は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置における液晶表示部の断面構造を示している。第1実施形態では、図2に示すように、第1液晶表示パネル261と第2液晶表示パネル262との間に、第1液晶表示素子113を構成する偏光板202と、第2液晶表示素子114を構成する偏光板203との2枚の偏光板を配置した。本実施形態では、2つの液晶表示パネル間に偏光板603を1枚配置し、第1液晶表示素子601と第2液晶表示素子602とで、偏光板603を共用する。その他の点は、第1実施形態と同様である。
【0103】
第1実施形態では、隣接する2つの液晶表示パネル261と262との間に配置される2枚の偏光板202、203は、互いの光透過軸又は光吸収軸が平行になるように配置され、2枚の偏光板による光吸収を最小とする。しかしながら、偏光板2枚を透過することにより、パネル間で、20%程度の透過率減少が生じることになる。本実施形態では、パネル間の偏光板を1枚省き、2つの液晶表示素子601、602で、偏光板603を共用する構成とする。このようにすることで、パネル間での透過率減少を低減することができ、液晶表示パネルの枚数をn枚とすると、各パネル間に偏光板を2枚配置する第1実施形態に比して、光透過時の輝度を1/(0.8n−1)倍にすることができる。その他の効果は、第1実施形態と同様である。
【0104】
本発明の第3実施形態について説明する。上記各実施形態では、光源115(図1)として、CCFLやLEDを用いた白色で均一な光を出射する光源を前提として説明した。本実施形態では、光源に、RGBの3つの光を時分割で出力する光源を用いる。この場合、積層された液晶表示素子は、それぞれ、RGBの画面に相当する画像を、時分割で、フィールドシーケンシャル表示で表示する。第1液晶表示素子及び第2液晶表示素子を駆動する画像の生成方法は、第1実施形態と同様である。カラー画像の表示形式として、このような表示形式を採用する場合でも、得られる効果は上記各実施形態と同様である。
【0105】
本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態では、液晶表示素子の駆動方式として、例えばTN方式のような、印加された電圧により液晶分子の基板に対する角度が変化する駆動方式を採用する。このような駆動方式では、観察者の観察方向によって視野角が変動するという問題がある。これは、液晶分子の基板に対する角度が変化するために、見る角度に依存して液晶分子の複屈折特性が変動し、見える角度が変化することに起因する。このような視野角特性の液晶表示素子を、同じ配置で複数重ね合わせた場合には、重ね合わせた層の数の分だけ、相乗効果で悪化していくことが考えられる。そこで、そのような駆動方式を採用する場合には、隣接する2つの層で、視野角依存性の特性を逆方向とする。このようにすることで、視野角依存性の特性を打ち消し合わせることができ、視野角特性の平均化を図ることができる。
【0106】
本発明の第5実施形態について説明する。本実施形態の液晶表示装置は、図1に示す第1実施形態の液晶表示装置の構成から、モノクロ表示を行う第2液晶表示素子114を省いた構成を有する。本実施形態では、液晶表示部における光源として、発光強度を部分的に変化させることができる光源を用いる。本実施形態で用いる光源は、マトリクス状に配列された複数の発光ダイオードを有しており、各発光ダイオードの点灯状態が制御可能に構成されている。具体的には、480×640個の高輝度白色発光ダイオードを配置し、光出射側(観察者側)に拡散板を配置した構造となっている。
【0107】
光源における白色発光ダイオードの数は、液晶表示素子113の1ピクセルに対応している。本実施形態では、演算処理部502(図5)が出力する平均化処理された単色画像、すなわち、図1で第2液晶表示素子114を駆動していた単色画像を用いて、ドットマトリクス駆動される光源を駆動する。このような構成とすることによりバックライト光源の発光パターンは、光源115とモノクロの第2液晶表示素子114とで実現される表示画像と同様となる。つまりは、ドットマトリクス駆動の光源は、図1の光源115と第2液晶表示素子114との役割を併せ持つこととなり、図1の液晶表示素子113に相当する液晶表示パネルには、第1実施形態と同様なパターンの光が入射されることになる。従って、本実施形態では、一見、液晶表示素子113のみで高コントラスト表示を実施しているように見えるようになる。
【0108】
上記では、液晶表示パネル1枚と、ドットマトリクス駆動が可能な光源との組み合わせで画像表示を行うこととしたが、モノクロ表示を行う駆動回路を追加して、液晶表示パネル数を増加させる構成を採用することもできる。モノクロ表示を行う液晶表示パネル、及び、ドットマトリクス駆動の光源を、第1実施形態で説明した単色画像で駆動することで、原画像と遜色のない彩度と色相を持ちながら、高コントラストの表示が可能となる。
【0109】
なお、上記各実施形態では、液晶表示素子内部の非線形素子にTFTを用いる例について説明したが、これには限られない。例えば、非線形素子として、薄膜ダイオード(TFD)を用いることもできる。また、解像度が低い場合などでは、液晶表示素子を単純マトリクス駆動で駆動してもよい。上記各実施形態の液晶表示装置は、高コントラスト比を実現できるため、高コントラストな画像を要求される画像診断装置の映像表示部や、放送局などで用いるモニター、映画を上映するような暗室で映像を提供する場所で用いる電子機器の液晶表示部として用いるときに、大きな効果を有する。
【0110】
図1では、同一の画像処理部105にて第1液晶表示素子113で表示すべき画像と、第2液晶表示素子114にて表示すべき画像を生成したが、画像処理部を、液晶表示部116内の複数の液晶表示素子のそれぞれに対応して、複数の画像処理ユニットに分割した構成としてもよい。図7は、複数の液晶表示素子に対応して複数の画像処理部を有する液晶表示装置の構成を示している。この画像表示システム100aでは、画像処理部105aは、液晶表示部116a内の複数の液晶表示素子520−1〜520−nに対応して、画像処理ユニット130−1〜130−nに分割されている。
【0111】
画像ソース部117からの画像データは、分配器131によって、各画像処理ユニット130に分配される。各画像処理ユニット130は、入力画像に応じて、対応する液晶表示素子520にて表示すべき画像を生成する。生成された画像は、信号ケーブル123を介して、液晶表示部116aに入力される。画像処理ユニット130の何れかのタイミング制御部、図7の例では、画像処理ユニット130−nのタイミング制御部110は、画像処理ユニット130間のタイミング調整を実行し、各液晶表示素子520で表示される画像を同期させる。
【0112】
図7では、液晶表示素子520−1がカラー画像表示を行う液晶表示素子であり、液晶表示素子520−2〜520−nが、モノクロ表示を行う液晶表示素子である。画像処理ユニット130−2〜130−n内の演算処理装置は、モノクロ画像生成部501及び平均化処理部502(図5)を有しており、信号ケーブル123−2〜123−nを介して、平均化処理された単色画像を、液晶表示素子520−2〜520−nに、出力する。画像処理ユニット130−1は、カラー画像演算部504を有し、信号ケーブル123−1を介して、第1液晶表示素子520−1で表示すべき画像を出力する。このように、複数の液晶表示素子に対応して、画像処理部を複数の画像処理ユニットに分割したとしても、得られる効果は同等である。
【0113】
図5では、カラー画像演算部504にて、RGB各8ビットの画像データから計24ビットのカラー画像を生成したが、入力データと出力データのビット数は、これには限定されない。例えば、各液晶表示素子単体での表示階調数をmとするとき、積層されたn枚の液晶表示素子にて表示できる最大階調はmnとなる。従って、入力画像データとして、m以上で、m2以下の階調の入力画像を用い、このデータから、カラー画像演算部504にて、階調mのカラー画像を生成してもよい。
【0114】
第5実施形態では、ドットマトリクス駆動が可能な光源として、LEDがマトリクス状に配列された光源を用いる例を説明したが、これには限定されない。ドットマトリクス駆動が可能な光源を、電球や、有機EL、無機EL、FED、PDPを用いたもので構成することもできる。積層された複数の液晶表示パネルは、すべて同一の映像ソースによって駆動されている必要はなく、各液晶表示素子にて、映像表示と強化表示とを分離して行うように構成してもよい。本発明の液晶表示装置は、電子機器や、画像送出用調整装置、画像切替え装置、画像診断装置に適用することができる。また、本発明の液晶表示装置と音響装置とを1つの建築物の中に固定した位置に据え付けた建築物に適用することもできる。
【0115】
本発明の第6実施形態について説明する。第1実施形態では、図5の演算処理部502における演算処理の実施方法として、ガウス分布に基づく平均化処理を適用した。本実施の形態では、別の平均化処理の適用を行い同様に良好な結果を得ることができた。暗輝度0の背景に、注目する画素を中心としてi方向に±P、j方向に±Qの範囲が明輝度100である明点が存在している場合とし、ここでは簡便化を図るために、図8左のように、P=Q=1である明点を考え、話をすすめる。加重分布による平均化処理は次のように行われる。
【0116】
図8左のような明点に、図8右のような加重を与えるとする。この加重は、注目する画素とその周囲8画素に「1」の加重を与えている。例えば、C9の画素を注目する画素とすると、C9には、次のような輝度YC9が返される。
YC9=(YC1×1+YC2×1+YC3×1+YC8×1+YC9×1+YC10×1+YC15×1+YC16×1+YC17×1)÷9
ここで、YC1,YC2,YC3,YC8,YC9,YC10,YC15,YC16は0、YC17は100なので、
YC9=11.1となる。
C9と同様の位置と見て取れるC13,C36,C40の輝度YC13,YC36,YC40も11.1となる。同様な計算を、他の画素についても行うと、YC10,YC12,YC16,YC20,YC29,YC33,YC37,YC39は22.2、YC11,YC23,YC26,YC38,は33.3、YC17,YC19,YC30,YC32は44.4、YC18,YC24,YC25,YC31は66.6、YC01は100となる。これを図で表すと、図9に示すようになる。
【0117】
上記では、注目する画素と周囲8画素との計9画素に対して同一の加重分布を与えるとしたが、注目する画素の周囲をより広くとることによって、より強い平均化がなされる。しかし、より広い範囲に任意の荷重分布を与えて平均化すると、より暗くなることがわかる。また、図8右において、注目する画素を中心とした平均化処理の適応範囲がより小さい場合、平均化処理の適応範囲を、注目する画素をからi方向に±M、j方向に±Nとすると、M,Nが小さい場合にも暗くなることがわかる。このように、明点の範囲と、荷重分布(図8右)の範囲の広さによって、平均化の強弱は異なってくる。
【0118】
図8及び図9の例では、荷重分布をすべて1として平均化の原理を述べた。そこでさらに、図10、図11を用いて、荷重分布がガウス分布に従った場合の実際の画像を例に挙げて説明する。図10(a)は、明輝度100を有する明点の平均化処理をしていない図を、(b)は(a)をガウス分布による平均化処理を施した図を、(c)は元の輝度を低下せずに明暗変動を与えた図を示している。(b)と(c)とを比較すると、平均化処理していない(a)と比較して、(b)は明らかに暗くなっているのがわかる。すなわち、ガウス分布に従った荷重分布による平均化処理では、本来の(a)の明るさを損なってしまう可能性がある。
【0119】
図11に、図10(a)、(b)、(c)における線分A−B,A’−B’,A’’−B’’の輝度分布を示す。図11の縦軸は規格化された階調を表し、横軸は(a)、(b)、(c)に描かれている明輝度部分の中心を原点P0として、P0からの範囲を表している。平均化していない図10(a)は、P0から±Pだけずれた範囲まで輝度100を有し、±(P+1)よりずれると輝度は0となっている。この(a)をガウス分布に従った荷重分布により平均化処理をすると(b)となる。加重平均化が、先に述べたような原理であることから、輝度100と輝度0との境界部分に着目すると、平均化処理前には輝度100であった部分は、必ず輝度が100未満となってしまう。これが(a)に対して(b)が暗くなる原因である。注目する画素を中心とした範囲が小さければ小さいほど、そして、加重平均を与える範囲が大きければ大きいほど、注目する画素は、平均化処理前よりも暗くなる傾向にある。
【0120】
仮に、任意の範囲が0、すなわち、注目する画素単体のみの場合は、平均化処理前と後とでなんら変化がない。すなわち、平均化処理は、注目する画素からより広い範囲で処理されれば、平均化は強く現れることとなる。しかし、輝度100の画素は本来の輝度を損なう。このように、荷重分布による平均化処理では、本来の輝度を損なうことが必至である。このため、複数枚のLCパネルを重ね合わせた際に、視差を抑制するための平均化処理に荷重分布による平均化処理では、視差は抑制できるが、細かい明点の輝度が損なわれることも考えられる。
【0121】
そこで、図10(c)に見られるような輝度分布での平均化処理を施す。図11に示した(c)の輝度分布を見ると、図11に示した(a)の輝度分布と比較して、(a)の輝度100である領域の輝度を維持し、輝度100の画素と輝度0の画素との境界部分において、輝度0の部分に明暗変動があることがわかる。また、図11には、(c)のその他の例として、(c)と同様に、輝度100の画素と輝度0の画素との境界部分において、輝度0の部分に明暗変動がある輝度分布を示した。すなわち、このような平均化処理は、元の輝度を低下することなく明暗変動を与えるような平均化処理ということができる。
【0122】
第1の実施の形態では、ガウス分布に従った平均化処理の出力をそのまま用いたが、本実施の形態においては、この出力に対してある輝度の階調(以下しきい値)によりクリッピング処理(その輝度以上の階調を有するデータをしきい値の階調で一定とする)を実施し、得られた出力のヒストグラムを拡大し、しきい値の階調を全透過状態の階調(全白となる階調。例えば、0を黒とし256階調の制御ができるなら256階調目)とする。また、上記操作においてクリッピング処理の前後何れかにおいて階調−輝度特性のリニアリティを決定するγ特性の変換操作を実施することでさらに視差を少なくすることが可能である。
【0123】
注目する画素の階調をf(i,j)、注目する画素の処理結果g(i,j)とし、平均化処理の適応範囲を、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域を考えたとき、処理結果g(i,j)は次の式で表される。
【数1】
ここで、G(i,j)は任意の荷重分布行列を、γはガンマ値を、SMAXは最大階調値を表す。なお、i方向とj方向は必ずしも直交するものではない。すなわち、デルタ配列等においても採用できる。前記ガウス分布に従った荷重分布は、G(i,j)がガウス分布に従った行列であることを表しているが、他の分布に従った行列であっても問題はない。
【0124】
また、他の方法として、荷重分布を用いずに単純に平均化して得られた出力のヒストグラムを拡大することによっても、輝度を低下することなく明暗変動を与えるような平均化が可能である。このような操作は、次の式で表されることになる。
【数2】
さらに、その他の方法として、平均化処理の適応範囲を、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した出力と、注目する画素との平均値に対して、ヒストグラムを拡大する処理が可能である。このような操作は、次の式で表されることになる。
【数3】
これらの操作により、元の輝度を低下することなく平均化した画像へと変換することができる。
【0125】
なお、行列G(i,j)は次のような行列を除く。このような行列は、加重平均化をするものではなく、注目する画素の輝度のみを変化するものである。
【数4】
【0126】
なお、第1〜第6までの実施の形態において記述した画像処理のアルゴリズムを実現するための画像処理部として、画像処理部105の演算ユニット118は、ひとつのFPGAで実現する構成を用いているが、図5における演算ユニット118の各部分が独立した構成でもかまわない、また、タイミング制御部110やローカルメモリ104を内蔵することにより完全に1チップ化した構成でも、また、2つの画像を出力するバッファメモリ106、109やトランスミッタ部107、108を内蔵することで1チップ化しても構わない。
【0127】
更には、画像処理部105を完全に1チップ化することや、マルチチップモジュールとして実用化するなどの構成には関係なく、画像ソース部117からの画像データ信号を受けて演算処理(ルックアップテーブル利用も含む)を実施することにより複数の異なる画像処理を適用した画像を生成し、複数の液晶素子を積層した液晶表示部116に送出することで単体の液晶表示素子では得ることができないコントラスト比の表示を可能にする構成ならば、本発明の範囲に含まれる。また、画像ソース部117と画像処理部105の間
は1対のトランスミッタ102とレシーバ103により構成されているが、設計によりこの部分が複数のトランスミッタとレシーバにより構成されていたとしても本発明の範囲に含まれるのは言うまでもない。
【0128】
以上、本発明を、その好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の液晶表示装置及び画像表示システムは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、平均化処理の前段階や後段階でγ補正処理を実施するなどの画像処理を追加するなど、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0129】
100:液晶表示装置
101:画像ソース
102、107、108:トランスミッタ
103:レシーバ
104:ローカルメモリ
105:画像処理部
106、109:バッファメモリ
110:タイミング制御部
111、112:駆動回路
113、114、301、302、520、601、602:液晶表示素子
115:光源
116:液晶表示部
117:画像ソース部
118:演算ユニット
120〜123:ケーブル
130:画像処理ユニット
131:分配器
201〜204、603、901、902、903:偏光板
211〜214、321〜324、911、912、913、914:透明基板
221、222、223、224:配向膜
231、232、325、326、931、932:液晶層
241:面発光光源
251:カラーフィルタ層
261、262、941、942:液晶表示パネル
311、312:観察者
331、332、333:視線
501:モノクロ画像生成部
502:演算処理部
503:タイミングコントロール部
504:カラー画像演算部
921、922、923、924:透明電極
951:駆動信号源
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の液晶表示パネルを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を備えた第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを含み、
前記画像データ処理部は、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データをHSV変換して明度の成分を抽出し、前記抽出した明度に基づいて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示し、
前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像データが入力され、前記単色画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
複数の液晶表示パネルを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を備えた第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを含み、
前記画像データ処理部は、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データの各色成分のうちのいずれか一色を用いて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示し、
前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像データが入力され、前記単色画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
複数の液晶表示パネルを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を備えた第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを含み、
前記画像データ処理部は、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データの各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示し、
前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像データが入力され、前記単色画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%とした場合、20%以上で80%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%とした場合、20%以上で60%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%とした場合、30%以上で50%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記複数の液晶表示パネルのうちで、前記第1液晶表示パネルのみがカラーフィルタ層を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1液晶表示パネルと前記第2液晶表示パネルとで、ピクセル解像度が一致していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1液晶表示パネルにおける1ピクセルが、3ドットで構成され、前記カラーフィルタ層は、それぞれ、赤、緑、及び、青に対応する色彩のカラーフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1液晶表示パネルにおける1ピクセルが、4ドット乃至7ドットで構成され、前記カラーフィルタ層は、それぞれ、赤、緑、及び、青に対応する色彩のカラーフィルタと、黄、マゼンタ、シアン、及び、透明のうちの少なくとも1つとに対応する色彩のカラーフィルタとを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記画像データ処理部は、前記モノクロ画像データ生成部が生成した単色画像データに平均化処理を施し、前記第2液晶表示パネルと前記カラー画像データ演算部に出力する平均化処理部を備え、前記第2液晶表示パネルと前記カラー画像データ演算部に入力される前記単色画像データは、前記平均化処理部によって平均化処理が施された単色画像データであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記平均化処理部は、前記単色画像データに対して、中心画素から所定の距離の範囲内にある画素の階調を、中心点からの距離に従った加重平均処理で平均化処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記加重平均処理では、荷重分布としてガウス分布を用いることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記平均化処理部は、前記単色画像に対して、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記平均化処理部は、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲に任意の荷重分布を与えた上でヒストグラムを拡大する処理を実行することで、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記平均化処理部は、注目する画素の階調をf(i,j)、注目する画素の処理結果をg(i,j)とし、G(i,j)を荷重分布行列、γをガンマ値、SMAXを最大階調値として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域で、
【数1】
により、平均化処理を行うことを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記平均化処理部は、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した上でヒストグラムを拡大する処理を実行することで、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記平均化処理部は、注目する画素の階調をf(i,j)、注目する画素の処理結果をg(i,j)とし、γをガンマ値、SMAXを最大階調値として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域で、
【数2】
により、平均化処理を行うことを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記平均化処理部は、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した出力と、注目する画素との平均値に対して、ヒストグラムを拡大する処理を実行することで、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記平均化処理部は、注目する画素の階調をf(i,j)、注目する画素の処理結果をg(i,j)とし、G(i,j)を荷重分布行列、γをガンマ値、SMAXを最大階調値として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域で、
【数3】
により、平均化処理を行うことを特徴とする請求項19に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記複数の液晶表示パネルのそれぞれ表示可能な階調数をmとする場合、前記液晶表示部で表示可能な階調数が、前記液晶表示パネルの枚数をnとして、m以上mn以下であることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ平行な方向に電界を印加し、前記透明基板とほぼ平行な方向に配列されている液晶分子を、前記透明基板とほぼ平行な方向に回転させることで、光透過状態と光遮断状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項23】
前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ垂直な方向に電界を印加し、前記透明基板に対してほぼ垂直な方向に配列されている液晶分子を、前記透明基板とほぼ平行な方向に回転させることで、光透過状態と光遮断状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項24】
前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ垂直な方向に電界を印加し、前記透明基板近傍ではほぼ水平に配向され、かつ、液晶層内部でダイレクタ方向がほぼ90°変化するように配向された液晶分子を、前記透明基板に垂直な方向に立ち上がらせることで、光透過状態と光遮光状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記の液晶表示装置。
【請求項25】
少なくとも1つの液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分を所定の輝度以上の輝度とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分については、前記入力画像データをHSV変換して明度の成分を抽出し、前記抽出した明度に基づいて、各画素に対応する光源部分の輝度を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記ドットマトリクス駆動が可能な光源は、前記単色画像データが入力され、各ドットの発光輝度を、前記単色画像データに基づいて制御し、
前記液晶表示部は、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項26】
少なくとも1つの液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分を所定の輝度以上の輝度とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分については、前記入力画像データの各色成分のうちのいずれか一色を用いて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記ドットマトリクス駆動が可能な光源は、前記単色画像データが入力され、各ドットの発光輝度を、前記単色画像データに基づいて制御し、
前記液晶表示部は、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項27】
少なくとも1つの液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分を所定の輝度以上の輝度とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分については、前記入力画像データの各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記ドットマトリクス駆動が可能な光源は、前記単色画像データが入力され、各ドットの発光輝度を、前記単色画像データに基づいて制御し、
前記液晶表示部は、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項28】
前記画像データ処理部が、前記モノクロ画像データ生成部が生成した単色画像データに平均化処理を施し、前記ドットマトリクス駆動が可能な光源と前記カラー画像データ演算部に出力する平均化処理部を備え、前記ドットマトリクス駆動が可能な光源と前記カラー画像データ演算部に入力される前記単色画像データは、前記平均化処理部によって平均化処理が施された単色画像データであることを特徴とする請求項25乃至27のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項29】
前記ドットマトリクス駆動が可能な光源が、電球、LED、有機EL、無機EL、FED、及び、PDPのいずれかを用いて構成されることを特徴とする請求項25乃至28のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項30】
複数の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、それぞれカラーフィルタ層を有しない液晶表示パネルであり、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データをHSV変換して明度の成分を抽出し、前記抽出した明度に基づいて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかに出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかに出力する画像データ演算部とを備え、
前記単色画像データが入力された液晶表示パネルは、前記単色画像データが表す画像を表示し、
前記画像データが入力された液晶表示パネルは、前記画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項31】
複数の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、それぞれカラーフィルタ層を有しない液晶表示パネルであり、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データの各色成分のうちのいずれか一色を用いて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかに出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかに出力する画像データ演算部とを備え、
前記単色画像データが入力された液晶表示パネルは、前記単色画像データが表す画像を表示し、
前記画像データが入力された液晶表示パネルは、前記画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項32】
複数の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、それぞれカラーフィルタ層を有しない液晶表示パネルであり、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データの各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかに出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかに出力する画像データ演算部とを備え、
前記単色画像データが入力された液晶表示パネルは、前記単色画像データが表す画像を表示し、
前記画像データが入力された液晶表示パネルは、前記画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項33】
前記画像データ処理部は、前記モノクロ画像データ生成部が生成した単色画像データに平均化処理を施し、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかと前記画像データ演算部に出力する平均化処理部を備え、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかと前記画像データ演算部に入力される前記単色画像データは、前記平均化処理部によって平均化処理が施された単色画像データであることを特徴とする請求項30乃至32のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項34】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項35】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする画像送出用調整装置。
【請求項36】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする画像切替え装置。
【請求項37】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする画像診断装置。
【請求項38】
積層されたn枚(nは2以上の整数)の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、画像ソースに基づいて画像信号を生成する画像ソース部と、前記画像信号に基づいて、前記液晶表示部の各液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する画像処理部とを有する画像表示システムであって、
前記n枚の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを有しており、
前記画像処理部が、前記画像信号が入力され、前記画像信号中の輝度又は彩度から前記画像ソースを単色化し、前記単色化した画像ソースの階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像ソースの階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記画像信号が表す前記画像ソースのデータをHSV変換して明度の成分を抽出し、前記抽出した明度に基づいて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより前記画像信号から単色画像を生成し、出力するモノクロ画像生成部と、
前記画像信号と前記単色画像が入力され、前記画像信号と前記単色画像から、前記単色画像の中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記画像信号に従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記画像信号が表す階調を補正した階調として、カラー画像を生成し、出力するカラー画像演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像を表示し、前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項39】
積層されたn枚(nは2以上の整数)の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、画像ソースに基づいて画像信号を生成する画像ソース部と、前記画像信号に基づいて、前記液晶表示部の各液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する画像処理部とを有する画像表示システムであって、
前記n枚の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを有しており、
前記画像処理部が、前記画像信号が入力され、前記画像信号中の輝度又は彩度から前記画像ソースを単色化し、前記単色化した画像ソースの階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像ソースの階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記画像信号が表す前記画像ソースのデータの各色成分のうちのいずれか一色を用いて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより前記画像信号から単色画像を生成し、出力するモノクロ画像生成部と、
前記画像信号と前記単色画像が入力され、前記画像信号と前記単色画像から、前記単色画像の中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記画像信号に従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記画像信号が表す階調を補正した階調として、カラー画像を生成し、出力するカラー画像演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像を表示し、前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項40】
積層されたn枚(nは2以上の整数)の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、画像ソースに基づいて画像信号を生成する画像ソース部と、前記画像信号に基づいて、前記液晶表示部の各液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する画像処理部とを有する画像表示システムであって、
前記n枚の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを有しており、
前記画像処理部が、前記画像信号が入力され、前記画像信号中の輝度又は彩度から前記画像ソースを単色化し、前記単色化した画像ソースの階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像ソースの階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記画像信号が表す前記画像ソースのデータの各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより前記画像信号から単色画像を生成し、出力するモノクロ画像生成部と、
前記画像信号と前記単色画像が入力され、前記画像信号と前記単色画像から、前記単色画像の中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記画像信号に従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記画像信号が表す階調を補正した階調として、カラー画像を生成し、出力するカラー画像演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像を表示し、前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項41】
前記画像ソース部が、画像ソースから画像データを読み出し、前記読み出した画像データを、前記画像処理部へ伝送可能な画像信号に変換して出力する伝送部を備えることを特徴とする請求項38乃至40のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項42】
前記画像処理部は、前記カラー画像演算部に入力される画像信号と、前記単色画像とが、同じ時点の画像となるようにタイミングを調整するタイミング調整部を有することを特徴とする請求項38乃至41のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項43】
前記画像処理部が、前記第1液晶表示パネルに対応して、前記カラー画像演算部が出力するカラー画像を記憶する第1のバッファメモリと、前記第1のバッファメモリからカラー画像を読み出して前記第1液晶表示パネルに出力する第1のトランスミッタとを有し、前記第2液晶表示パネルに対応して、前記単色画像を記憶する第2のバッファメモリと、前記第2のバッファメモリから前記単色画像を読み出して前記第2液晶表示パネルに出力する第2のトランスミッタとを有することを特徴とする請求項38乃至42のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項44】
前記画像処理部は、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、前記第2液晶表示パネルと前記カラー画像演算部に出力する平均化処理部を備え、前記第2液晶表示パネルと前記カラー画像演算部に入力される前記単色画像は、前記平均化処理部によって平均化処理が施された単色画像であることを特徴とする請求項38乃至43のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項45】
前記モノクロ画像生成部は、前記単色化した画像信号に対して、透過率が所定のしきい値以上の画素の透過率を全透過状態とするクリッピング処理又はγカーブ変換処理を実施することを特徴とする請求項38乃至44のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項46】
前記モノクロ画像生成部は、あらかじめ設定されたルックアップテーブルを参照して、前記画像信号から単色画像を生成することを特徴とする請求項38乃至45のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項47】
前記ルックアップテーブルは、入力された画像信号のRGBの各階調値に対して、単色化された画像信号の階調値が得られる3次元ルックアップテーブルとして構成されることを特徴とする請求項46に記載の画像表示システム。
【請求項48】
前記カラー画像演算部は、あらかじめ設定されたルックアップテーブルを参照して、前記入画像信号と前記単色画像からカラー画像を生成することを特徴とする請求項38乃至45のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項49】
前記ルックアップテーブルは、入力された画像信号のRGBの各階調値と前記単色画像の階調値とに対して、前記第1液晶表示パネルにて表示されるべきカラー画像の階調値が得られる4次元ルックアップテーブルとして構成されることを特徴とする請求項48に記載の画像表示システム。
【請求項50】
前記モノクロ画像生成部による単色画像の生成、及び、前記カラー画像演算部によるカラー画像の生成の少なくとも一方は、ソフトウェア処理により行われることを特徴とする請求項38乃至49のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項51】
前記画像処理部が、前記n枚の液晶表示パネルに対応してn個の画像処理ユニットに分割され、各画像処理ユニットは、画像信号に基づいて、対応する液晶表示パネルで表示すべき画像を生成することを特徴とする請求項38乃至50のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項52】
前記n枚の液晶表示パネルのそれぞれは、透明基板上に形成されたx方向の電極、前記x方向に直交するy方向の電極、及び、共通電極と、前記x方向の電極と前記y方向の電極との交点付近に形成された画素電極と、前記x方向の電極、前記y方向の電極、及び、前記画素電極に接続された3端子素子とを有し、駆動信号により擬似的なスタティック駆動が実施できるアクティブマトリクス駆動により駆動されることを特徴とする請求項38乃至51のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項53】
前記n枚の液晶表示パネルのそれぞれは、一方の透明基板上に形成されたx方向の電極と、他方の透明基板上に形成されたx方向に直交するy方向の電極と、何れか一方の透明基板上に形成された画素電極と、前記画素電極が形成された透明基板上に形成された、前記x方向の電極又は前記y方向の電極と、前記画素電極とに接続された2端子非線形素子とを有し、アクティブマトリクス駆動により駆動されることを特徴とする請求項38乃至51のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項1】
複数の液晶表示パネルを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を備えた第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを含み、
前記画像データ処理部は、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データをHSV変換して明度の成分を抽出し、前記抽出した明度に基づいて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示し、
前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像データが入力され、前記単色画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
複数の液晶表示パネルを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を備えた第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを含み、
前記画像データ処理部は、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データの各色成分のうちのいずれか一色を用いて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示し、
前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像データが入力され、前記単色画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
複数の液晶表示パネルを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を備えた第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを含み、
前記画像データ処理部は、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データの各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示し、
前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像データが入力され、前記単色画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%とした場合、20%以上で80%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%とした場合、20%以上で60%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記しきい値が、全透過状態での透過率を100%とした場合、30%以上で50%以下の範囲内の透過率に対応する値に設定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記複数の液晶表示パネルのうちで、前記第1液晶表示パネルのみがカラーフィルタ層を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1液晶表示パネルと前記第2液晶表示パネルとで、ピクセル解像度が一致していることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1液晶表示パネルにおける1ピクセルが、3ドットで構成され、前記カラーフィルタ層は、それぞれ、赤、緑、及び、青に対応する色彩のカラーフィルタを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第1液晶表示パネルにおける1ピクセルが、4ドット乃至7ドットで構成され、前記カラーフィルタ層は、それぞれ、赤、緑、及び、青に対応する色彩のカラーフィルタと、黄、マゼンタ、シアン、及び、透明のうちの少なくとも1つとに対応する色彩のカラーフィルタとを有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記画像データ処理部は、前記モノクロ画像データ生成部が生成した単色画像データに平均化処理を施し、前記第2液晶表示パネルと前記カラー画像データ演算部に出力する平均化処理部を備え、前記第2液晶表示パネルと前記カラー画像データ演算部に入力される前記単色画像データは、前記平均化処理部によって平均化処理が施された単色画像データであることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記平均化処理部は、前記単色画像データに対して、中心画素から所定の距離の範囲内にある画素の階調を、中心点からの距離に従った加重平均処理で平均化処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記加重平均処理では、荷重分布としてガウス分布を用いることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記平均化処理部は、前記単色画像に対して、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行することを特徴とする請求項11に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記平均化処理部は、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲に任意の荷重分布を与えた上でヒストグラムを拡大する処理を実行することで、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記平均化処理部は、注目する画素の階調をf(i,j)、注目する画素の処理結果をg(i,j)とし、G(i,j)を荷重分布行列、γをガンマ値、SMAXを最大階調値として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域で、
【数1】
により、平均化処理を行うことを特徴とする請求項15に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記平均化処理部は、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した上でヒストグラムを拡大する処理を実行することで、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記平均化処理部は、注目する画素の階調をf(i,j)、注目する画素の処理結果をg(i,j)とし、γをガンマ値、SMAXを最大階調値として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域で、
【数2】
により、平均化処理を行うことを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記平均化処理部は、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの範囲の加重平均値を注目する画素へ返した出力と、注目する画素との平均値に対して、ヒストグラムを拡大する処理を実行することで、輝度を低下させずに明暗変動を与える平均化処理を実行することを特徴とする請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記平均化処理部は、注目する画素の階調をf(i,j)、注目する画素の処理結果をg(i,j)とし、G(i,j)を荷重分布行列、γをガンマ値、SMAXを最大階調値として、注目する画素を中心としてi方向に±M,j方向に±Nの領域で、
【数3】
により、平均化処理を行うことを特徴とする請求項19に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記複数の液晶表示パネルのそれぞれ表示可能な階調数をmとする場合、前記液晶表示部で表示可能な階調数が、前記液晶表示パネルの枚数をnとして、m以上mn以下であることを特徴とする請求項1乃至20のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ平行な方向に電界を印加し、前記透明基板とほぼ平行な方向に配列されている液晶分子を、前記透明基板とほぼ平行な方向に回転させることで、光透過状態と光遮断状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項23】
前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ垂直な方向に電界を印加し、前記透明基板に対してほぼ垂直な方向に配列されている液晶分子を、前記透明基板とほぼ平行な方向に回転させることで、光透過状態と光遮断状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項24】
前記液晶表示パネルが、透明基板にほぼ垂直な方向に電界を印加し、前記透明基板近傍ではほぼ水平に配向され、かつ、液晶層内部でダイレクタ方向がほぼ90°変化するように配向された液晶分子を、前記透明基板に垂直な方向に立ち上がらせることで、光透過状態と光遮光状態とを電気的に変化させる液晶モードで駆動されることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか1項に記の液晶表示装置。
【請求項25】
少なくとも1つの液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分を所定の輝度以上の輝度とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分については、前記入力画像データをHSV変換して明度の成分を抽出し、前記抽出した明度に基づいて、各画素に対応する光源部分の輝度を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記ドットマトリクス駆動が可能な光源は、前記単色画像データが入力され、各ドットの発光輝度を、前記単色画像データに基づいて制御し、
前記液晶表示部は、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項26】
少なくとも1つの液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分を所定の輝度以上の輝度とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分については、前記入力画像データの各色成分のうちのいずれか一色を用いて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記ドットマトリクス駆動が可能な光源は、前記単色画像データが入力され、各ドットの発光輝度を、前記単色画像データに基づいて制御し、
前記液晶表示部は、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項27】
少なくとも1つの液晶表示パネルとドットマトリクス駆動が可能な光源とを有し、カラー画像の表示を行う液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分を所定の輝度以上の輝度とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素に対応するドットマトリクス駆動が可能な光源の部分については、前記入力画像データの各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、カラー画像データを生成し、出力するカラー画像データ演算部とを備え、
前記ドットマトリクス駆動が可能な光源は、前記単色画像データが入力され、各ドットの発光輝度を、前記単色画像データに基づいて制御し、
前記液晶表示部は、前記カラー画像データが入力され、前記カラー画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項28】
前記画像データ処理部が、前記モノクロ画像データ生成部が生成した単色画像データに平均化処理を施し、前記ドットマトリクス駆動が可能な光源と前記カラー画像データ演算部に出力する平均化処理部を備え、前記ドットマトリクス駆動が可能な光源と前記カラー画像データ演算部に入力される前記単色画像データは、前記平均化処理部によって平均化処理が施された単色画像データであることを特徴とする請求項25乃至27のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項29】
前記ドットマトリクス駆動が可能な光源が、電球、LED、有機EL、無機EL、FED、及び、PDPのいずれかを用いて構成されることを特徴とする請求項25乃至28のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項30】
複数の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、それぞれカラーフィルタ層を有しない液晶表示パネルであり、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データをHSV変換して明度の成分を抽出し、前記抽出した明度に基づいて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかに出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかに出力する画像データ演算部とを備え、
前記単色画像データが入力された液晶表示パネルは、前記単色画像データが表す画像を表示し、
前記画像データが入力された液晶表示パネルは、前記画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項31】
複数の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、それぞれカラーフィルタ層を有しない液晶表示パネルであり、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データの各色成分のうちのいずれか一色を用いて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかに出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかに出力する画像データ演算部とを備え、
前記単色画像データが入力された液晶表示パネルは、前記単色画像データが表す画像を表示し、
前記画像データが入力された液晶表示パネルは、前記画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項32】
複数の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、入力画像データに従って、前記液晶表示部で表示する画像データを生成する画像データ処理部とを備えた液晶表示装置であって、
前記複数の液晶表示パネルが、それぞれカラーフィルタ層を有しない液晶表示パネルであり、
前記画像データ処理部が、前記入力画像データが入力され、前記入力画像データ中の輝度又は彩度から前記入力画像データを単色化し、前記単色化した画像の階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像の階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記入力画像データの各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより単色画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかに出力するモノクロ画像データ生成部と、
前記入力画像データと前記単色画像データが入力され、前記入力画像データと前記単色画像データから、前記単色画像データの中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記入力画像データに従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかでの透過率低下分に対応して前記入力画像データを補正した階調として、画像データを生成し、前記複数の液晶表示パネルのうちの他のいずれかに出力する画像データ演算部とを備え、
前記単色画像データが入力された液晶表示パネルは、前記単色画像データが表す画像を表示し、
前記画像データが入力された液晶表示パネルは、前記画像データが表す画像を表示することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項33】
前記画像データ処理部は、前記モノクロ画像データ生成部が生成した単色画像データに平均化処理を施し、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかと前記画像データ演算部に出力する平均化処理部を備え、前記複数の液晶表示パネルのうちのいずれかと前記画像データ演算部に入力される前記単色画像データは、前記平均化処理部によって平均化処理が施された単色画像データであることを特徴とする請求項30乃至32のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項34】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項35】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする画像送出用調整装置。
【請求項36】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする画像切替え装置。
【請求項37】
請求項1乃至33のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする画像診断装置。
【請求項38】
積層されたn枚(nは2以上の整数)の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、画像ソースに基づいて画像信号を生成する画像ソース部と、前記画像信号に基づいて、前記液晶表示部の各液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する画像処理部とを有する画像表示システムであって、
前記n枚の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを有しており、
前記画像処理部が、前記画像信号が入力され、前記画像信号中の輝度又は彩度から前記画像ソースを単色化し、前記単色化した画像ソースの階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像ソースの階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記画像信号が表す前記画像ソースのデータをHSV変換して明度の成分を抽出し、前記抽出した明度に基づいて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより前記画像信号から単色画像を生成し、出力するモノクロ画像生成部と、
前記画像信号と前記単色画像が入力され、前記画像信号と前記単色画像から、前記単色画像の中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記画像信号に従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記画像信号が表す階調を補正した階調として、カラー画像を生成し、出力するカラー画像演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像を表示し、前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項39】
積層されたn枚(nは2以上の整数)の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、画像ソースに基づいて画像信号を生成する画像ソース部と、前記画像信号に基づいて、前記液晶表示部の各液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する画像処理部とを有する画像表示システムであって、
前記n枚の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを有しており、
前記画像処理部が、前記画像信号が入力され、前記画像信号中の輝度又は彩度から前記画像ソースを単色化し、前記単色化した画像ソースの階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像ソースの階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記画像信号が表す前記画像ソースのデータの各色成分のうちのいずれか一色を用いて、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより前記画像信号から単色画像を生成し、出力するモノクロ画像生成部と、
前記画像信号と前記単色画像が入力され、前記画像信号と前記単色画像から、前記単色画像の中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記画像信号に従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記画像信号が表す階調を補正した階調として、カラー画像を生成し、出力するカラー画像演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像を表示し、前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項40】
積層されたn枚(nは2以上の整数)の液晶表示パネルを有する液晶表示部と、画像ソースに基づいて画像信号を生成する画像ソース部と、前記画像信号に基づいて、前記液晶表示部の各液晶表示パネルで表示すべき画像を生成する画像処理部とを有する画像表示システムであって、
前記n枚の液晶表示パネルが、カラーフィルタ層を有する第1液晶表示パネルと、カラーフィルタ層を有しない第2液晶表示パネルとを有しており、
前記画像処理部が、前記画像信号が入力され、前記画像信号中の輝度又は彩度から前記画像ソースを単色化し、前記単色化した画像ソースの階調が所定のしきい値以上の画素を全透過状態とし、前記単色化した画像ソースの階調が前記所定のしきい値よりも小さい画素については、前記画像信号が表す前記画像ソースのデータの各色成分のうちから選択された2色を演算処理し、各画素の階調を決定し、ヒストグラム拡大することにより前記画像信号から単色画像を生成し、出力するモノクロ画像生成部と、
前記画像信号と前記単色画像が入力され、前記画像信号と前記単色画像から、前記単色画像の中で全透過状態とされた画素に対応する画素は前記画像信号に従った階調とし、全透過状態とされた画素を除く画素では、前記第2液晶表示パネルでの透過率低下分に対応して前記画像信号が表す階調を補正した階調として、カラー画像を生成し、出力するカラー画像演算部とを備え、
前記第1液晶表示パネルは、前記カラー画像を表示し、前記第2液晶表示パネルは、前記単色画像を表示することを特徴とする画像表示システム。
【請求項41】
前記画像ソース部が、画像ソースから画像データを読み出し、前記読み出した画像データを、前記画像処理部へ伝送可能な画像信号に変換して出力する伝送部を備えることを特徴とする請求項38乃至40のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項42】
前記画像処理部は、前記カラー画像演算部に入力される画像信号と、前記単色画像とが、同じ時点の画像となるようにタイミングを調整するタイミング調整部を有することを特徴とする請求項38乃至41のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項43】
前記画像処理部が、前記第1液晶表示パネルに対応して、前記カラー画像演算部が出力するカラー画像を記憶する第1のバッファメモリと、前記第1のバッファメモリからカラー画像を読み出して前記第1液晶表示パネルに出力する第1のトランスミッタとを有し、前記第2液晶表示パネルに対応して、前記単色画像を記憶する第2のバッファメモリと、前記第2のバッファメモリから前記単色画像を読み出して前記第2液晶表示パネルに出力する第2のトランスミッタとを有することを特徴とする請求項38乃至42のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項44】
前記画像処理部は、前記モノクロ画像生成部が生成した単色画像に平均化処理を施し、前記第2液晶表示パネルと前記カラー画像演算部に出力する平均化処理部を備え、前記第2液晶表示パネルと前記カラー画像演算部に入力される前記単色画像は、前記平均化処理部によって平均化処理が施された単色画像であることを特徴とする請求項38乃至43のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項45】
前記モノクロ画像生成部は、前記単色化した画像信号に対して、透過率が所定のしきい値以上の画素の透過率を全透過状態とするクリッピング処理又はγカーブ変換処理を実施することを特徴とする請求項38乃至44のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項46】
前記モノクロ画像生成部は、あらかじめ設定されたルックアップテーブルを参照して、前記画像信号から単色画像を生成することを特徴とする請求項38乃至45のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項47】
前記ルックアップテーブルは、入力された画像信号のRGBの各階調値に対して、単色化された画像信号の階調値が得られる3次元ルックアップテーブルとして構成されることを特徴とする請求項46に記載の画像表示システム。
【請求項48】
前記カラー画像演算部は、あらかじめ設定されたルックアップテーブルを参照して、前記入画像信号と前記単色画像からカラー画像を生成することを特徴とする請求項38乃至45のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項49】
前記ルックアップテーブルは、入力された画像信号のRGBの各階調値と前記単色画像の階調値とに対して、前記第1液晶表示パネルにて表示されるべきカラー画像の階調値が得られる4次元ルックアップテーブルとして構成されることを特徴とする請求項48に記載の画像表示システム。
【請求項50】
前記モノクロ画像生成部による単色画像の生成、及び、前記カラー画像演算部によるカラー画像の生成の少なくとも一方は、ソフトウェア処理により行われることを特徴とする請求項38乃至49のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項51】
前記画像処理部が、前記n枚の液晶表示パネルに対応してn個の画像処理ユニットに分割され、各画像処理ユニットは、画像信号に基づいて、対応する液晶表示パネルで表示すべき画像を生成することを特徴とする請求項38乃至50のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項52】
前記n枚の液晶表示パネルのそれぞれは、透明基板上に形成されたx方向の電極、前記x方向に直交するy方向の電極、及び、共通電極と、前記x方向の電極と前記y方向の電極との交点付近に形成された画素電極と、前記x方向の電極、前記y方向の電極、及び、前記画素電極に接続された3端子素子とを有し、駆動信号により擬似的なスタティック駆動が実施できるアクティブマトリクス駆動により駆動されることを特徴とする請求項38乃至51のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【請求項53】
前記n枚の液晶表示パネルのそれぞれは、一方の透明基板上に形成されたx方向の電極と、他方の透明基板上に形成されたx方向に直交するy方向の電極と、何れか一方の透明基板上に形成された画素電極と、前記画素電極が形成された透明基板上に形成された、前記x方向の電極又は前記y方向の電極と、前記画素電極とに接続された2端子非線形素子とを有し、アクティブマトリクス駆動により駆動されることを特徴とする請求項38乃至51のいずれか1項に記載の画像表示システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−8056(P2013−8056A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212428(P2012−212428)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2007−268117(P2007−268117)の分割
【原出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【分割の表示】特願2007−268117(P2007−268117)の分割
【原出願日】平成19年10月15日(2007.10.15)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
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