液晶表示装置
【課題】補間映像を挿入せずに同じフレームの画像を2回表示してフレームド周波数を上げたときに、2重像現象の発生を防ぐことのできる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置100の信号処理部101は、入力信号を倍速2度書き信号に変換する。駆動装置102は、倍速2度書き信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレーム(SF)であってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のときSF1が、駆動階調が2のときSF1、SF(S+1)が、駆動階調が3のときSF1、SF2、SF(S+1)が駆動状態となり、以降、駆動状態となるサブフレームの数が、SF1とSF(S)との間、およびSF(S+1)とSF(2S)との間で交互に、かつ、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していくようなサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部26を有する。
【解決手段】液晶表示装置100の信号処理部101は、入力信号を倍速2度書き信号に変換する。駆動装置102は、倍速2度書き信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレーム(SF)であってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のときSF1が、駆動階調が2のときSF1、SF(S+1)が、駆動階調が3のときSF1、SF2、SF(S+1)が駆動状態となり、以降、駆動状態となるサブフレームの数が、SF1とSF(S)との間、およびSF(S+1)とSF(2S)との間で交互に、かつ、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していくようなサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部26を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された映像信号を、その映像信号が有するフレーム周波数よりも高いフレーム周波数に変換して液晶表示素子の表示部に表示する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置における動画性能の向上を目的として倍速フレーム補間方式が広く採用されている。液晶表示装置において、次フレームの画像に書き換えられるまでの間、現在画像の表示は連続して保持される。表示画像から、瞬間的に次フレームの画像に書き換わると、人間の目の残像効果により、前と後のフレームの画像が同時に観察されることになる。その結果、動画のボケとして認知される。倍速フレーム補間方式とは、動画ボケの対策として、フレームの周期、たとえば60Hzを2倍の120Hzとし、前後のフレームの画像から中間の画像を予測して作り出し挿入する方式である。
【0003】
特許文献1では概ね以下の内容が開示されている。動き検出回路により映像信号のフレーム間の動きが検出され、検出された動きベクトルに基づき補間回路は補間映像を形成する。映像信号および補間映像は画像メモリに書き込まれる。画像メモリは書き込み周波数の2倍の周波数で映像信号および補間映像を読み出すことにより、2倍の周波数であって補間映像が挿入された映像信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−165974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
倍速フレーム補間方式は動画改善に有効な技術であるが、人工的に新たな画像を作り出すこととなるので、補間をしない画像を見たいという要請もまた存在している。そこで、フレーム周波数を2倍に上げて、同じフレームの画像を2回表示し、擬似的にフレーム周波数を120Hzにする手法を検討すると、2重像現象が発生するという課題が存在していた。
【0006】
液晶表示装置に用いられる液晶表示素子の駆動方式には、画素に印加される電圧値が連続的なアナログ値であるアナログ方式と、画素に印加する電圧の大きさを2値とし、画像の輝度(階調)に対応して、印加電圧の時間幅を変えることにより、液晶の画素に印加する実効電圧値を制御するデジタル方式がある。デジタル方式においては、中間階調を得るために、サブフィールド法を用いるのが一般的である。デジタル方式でサブフレーム法を用いる場合であっても、上記の課題は同様であった。
【0007】
そこで、本発明は、補間映像を挿入せずに同じフレームの画像を2回表示してフレームド周波数を上げたときに、2重像現象の発生を防ぐことのできる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部(101)と、前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームであってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していく駆動階調テーブル(27)によりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部(26)を有する駆動装置(102)と、前記駆動装置で駆動される液晶表示素子(6)と、前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系(1)と、前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズ(11)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0009】
また、入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部(101)と、前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームであってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していく駆動階調テーブル(27)によりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部(26)を有する駆動装置(102)と、前記駆動装置で駆動される液晶表示素子(6)と、前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系(1)と、前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズ(11)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0010】
上記の構成において、前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を逆ガンマ補正および直線補間を行ってNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換するルックアップテーブル部(21)と、前記ルックアップテーブル部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部(23)と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部(24)とをさらに備え、前記サブフレームデータ作成部(26)は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成するよう構成してもよい。
【0011】
また、入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部(101)と、前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していくとともに、入力映像信号データに対する液晶の光出力が逆ガンマ特性となるようにサブフレーム毎の駆動期間を異ならせた駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部(26)を有する駆動装置(1020)と、前記駆動装置で駆動される液晶表示素子(6)と、前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系(1)と、前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズ(11)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0012】
さらに、入力信号を倍速2度書き信号に変換する信号処理部(101)と、前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していくとともに、入力映像信号データに対する液晶の光出力が逆ガンマ特性となるようにサブフレーム毎の駆動期間を異ならせた駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部(26)を有する駆動装置(1020)と、前記駆動装置で駆動される液晶表示素子(6)と、前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系(1)と、前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズ(11)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0013】
上記の構成において、前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を直線補間してNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換する信号変換部(22)と、前記信号変換部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部(23)と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部(24)とをさらに備え、前記サブフレームデータ作成部(26)は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成するよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、補間映像を挿入せずに同じフレームの画像を2回表示してフレームド周波数を上げたときに、2重像現象の発生を防ぐことのできる液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】反射型液晶表示素子を用いた液晶表示装置を示す概略構成図である。
【図2】デジタル駆動の反射型液晶表示素子における各画素の駆動回路構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態における反射型液晶表示素子の入力電圧と出力光の強度との関係を示す図である。
【図4】入力信号を倍速補間処理または倍速2度書きをするための信号処理部を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る駆動回路(駆動装置)を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態における階調表現を説明するための図である。
【図7】第1の実施形態における倍速補間モードおよび倍速2度書きモードの際の駆動パターンを示す図である。
【図8】第1の実施形態における倍速補間モードにおける駆動階調テーブルを示す図である。
【図9】第1の実施形態における倍速2度書きモードにおける駆動階調テーブルを示す図である。
【図10】第1の実施形態における誤差拡散図を示す図である。
【図11】第1の実施形態における誤差拡散フローを示す図である。
【図12】第1の実施形態におけるフレームレートコントロールフローを示す図である。
【図13】は第1の実施形態におけるフレームレートコントロールテーブルを示す図である。
【図14】第1の実施形形態における信号処理を示す図である。
【図15】第1の実施形態における反射型液晶表示素子の極性反転駆動を示す図である。
【図16】倍速補間モード、倍速2度書きモードにおける2重像の発生の程度を模式的に比較した図である。
【図17】幅1ドットの画像が1/60秒毎に右へ2ドットずつ移動する画面を倍速補間モードおよび倍速2度書きモードで表示する様子を示す図である。
【図18】倍速2度書きモードにおいて、駆動階調テーブルを図8、図9のとした場合の映像光の時間的変化を示す図である。
【図19】反射型液晶素子における横方向電界の発生メカニズムを説明する図である。
【図20】フレームレートコントロールにより、横方向電界が均等に分散されることを説明する図である。
【図21】第2の実施形態における駆動階調テーブルを示す図である。
【図22】第3の実施形態に係る駆動回路(駆動装置)を示すブロック図である。
【図23】第3の実施の形態において、各サブフレーム期間を調節して、駆動階調毎の輝度がガンマ2.2の線上にあることを表している図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る画像表示装置及びその駆動方法について、添付図面を参照して説明する。以下では表示パネルとしてアクティブマトリクス型の反射型液晶表示素子を備えた投射型表示装置を例にして説明する。まず、投射型表示装置および反射型液晶表示素子の概略構成について説明する。
【0017】
図1は、反射型液晶表示素子を用いた液晶表示装置を示す概略構成図である。液晶表示装置は、概略、反射型液晶表示素子6、偏光ビームスプリッタ5(以下、PBSという)、投射レンズ13を含んで構成される。反射型液晶表示素子6は、対向電極(透明電極ともいう)10と、画素電極8との間に液晶9が封止された構造を有する。
【0018】
照明光学系1から射出したS偏光3とP偏光4を含む光2はPBS5に入射する。PBS5にて偏光分離される。S偏光3はPBS5の偏光分離面で反射され、反射型液晶表示素子6側に進行する。P偏光はPBSの偏光分離面を透過する。反射型液晶表示素子6の液晶9は、画素回路7によって画素電極8と対向電極10の間に印加される電圧に応じて入射したS偏光を変調する。対向電極10に入射したS偏光は、画素電極8で反射して対向電極10から射出するまでの過程で変調を受け、P偏光とS偏光からなる光として対向電極10から射出される。対向電極10から射出された光は変調された光であるP偏光成分のみがPBS5を通過し、S偏光成分はPBS5で反射される。PBS5を通過したP偏光は投射レンズ11によって射出され、射出光12はスクリーン13上に投射されて画像が表示される。なお、後述する出力光の強度とは、スクリーン13上で測定した出力光の照度をいう。
【0019】
図2はデジタル駆動の反射型液晶表示素子6における各画素の駆動回路構成を示す図である。反射型液晶表示素子6の個々の画素は画素電極8と対向電極10の間に液晶9がはさまれた構造になっている。破線で示した画素回路7は、サンプルホールド部16と電圧選択回路17からなる。サンプルホールド部16はSRAM構造のフリップフロップよりなる。サンプルホールド部16は列データ線Dと行選択線Wとに接続されている。サンプルホールド部16の出力は電圧選択回路17へと接続されている。電圧選択回路17はブランキング電圧線V0、駆動電圧線V1に接続されている。電圧選択回路17は画素電極8へと接続され、画素電極8に所定の電圧を与える。対向電極10の電圧の値は共通電圧Vcomと呼ばれている。
【0020】
図3は以下の各の実施形態における反射型液晶表示素子6の入力電圧と出力光の強度との関係を示す図である。図3において、横軸は入力電圧であり、画素電極8と対向電極10との間の電位差、すなわち液晶9の駆動電圧を示す。縦軸は、液晶9から射出される出力光の強度を示す。液晶9から射出される出力光の強度が大きくなり始める電圧が闇値電圧Vthである。電圧が0(たとえば、画素電極8と対向電極がともにGND)のときは、出力光の強度が少なく、黒状態(ブランキング電圧)であり、出力光が飽和し始める電圧が飽和電圧Vw(白レベルである。)である。
【0021】
図4は、入力信号を倍速補間処理または倍速2度書きの処理をするための信号処理部101を示す概略図である。入力信号およびフレームメモリで1フレーム遅延された信号は動きベクトル検出回路に入力される。動きベクトル検出回路は、入力された現在フレームの信号と1フレーム遅延された信号から動画の動きベクトルを検出して、動画の動きベクトルを補間映像信号生成回路に送る。補間映像信号生成回路は、現在フレームの信号、1フレーム遅延された信号および動きベクトルを用いて、現在フレームの信号と1フレーム遅延された信号の間に挿入する動き補償された補間フレームを生成する。
【0022】
現在フレームの信号と補間フレームの信号は書き込みタイミング制御信号により、フレームメモリへ書き込まれる。書き込みアドレス発生回路はフレームメモリへ映像信号を書き込むためのタイミング制御カウンタを有しており、入力信号の水平同期信号(Hsync)と垂直同期信号(Vsync)から算出した書き込みタイミング制御信号をフレームメモリ中の制御インターフェースへ出力する。フレームメモリは、読み出しタイミング制御信号に基づき、選択回路で指定された倍速補間モードまたは倍速2度書きモードにて映像信号を出力して、選択回路から後段の駆動装置(駆動回路)102に送られる。また、読み出し発生回路はフレームメモリへ書きこんだ映像信号を読み出すためのタイミング制御カウンタを有しており、入力信号の2倍の周波数の水平同期信号(2HSync)及び垂直同期信号(2VSync)から算出した、読み出しタイミング制御信号をフレームメモリの制御インターフェースへ出力する。なお、補間する場合は、現在フレームの信号と補間フレームの信号を交互に読み出す。補間を行わない場合は、現在フレームの信号を2回続けて出力する。
【0023】
図5は本発明の第1の実施形態に係る駆動回路(駆動装置)を示すブロック図である。図6は第1の実施形態における階調表現を説明するための図である。図6は入力された映像信号データのビット数を8ビットとした場合における各プロセス部における階調表現の例を示している。図7は、第1の実施形態における倍速補間モードおよび倍速2度書きモードの際の駆動パターンを示す図である。図 8は、第1の実施形態における倍速補間モードにおける駆動階調テーブルを示す図である。図9は、第1の実施形態における倍速2度書きモードにおける駆動階調テーブルを示す図である。図10は第1の実施形態における誤差拡散フローを示す図である。図11は第1の実施形態における誤差拡散図を示す図である。図12は第1の実施形態におけるフレームレートコントロールフローを示す図である。図13は第1の実施形態におけるフレームレートコントロールテーブルを示す図である。
【0024】
図5において、Nビットの入力された映像信号データは、ルックアップテーブル部21にて、Nより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換される。ここで、Mはサブフレーム数を2進数で表したときのビット数、Dは誤差拡散処理部23により補間されるビット数、Fはフレームレートコントロール部24により補間されるビット数を表している。なおN、M、F、Dは整数である。
【0025】
図6の例では、入力された映像信号データのビット数は8ビット(N=8)、誤差拡散処理部23にて補間されるビット数は4ビット(D=4)、フレームレートコントロール部24にて補間されるビット数は2ビット(F=2)としている。サブフレーム数を2進数で表した場合のビット数は4ビット(M=4)、駆動階調は12個(黒を含まない)としている。
【0026】
ここでルックアップテーブル部21の動作を説明する。一般的に映像信号はガンマ補正がかけられている。画像表示装置側ではガンマ補正がかけられた映像信号に対し逆ガンマ補正処理を施してリニアな階調に戻すことが必要である。逆ガンマ補正とは入力Xに対して出力がXの2.2乗となるような補正である。この場合、出力特性は「ガンマ2.2」であると以下表現する。ルックアップテーブル部21は反射型液晶表示素子6の入出力特性を変換してガンマ2.2の出力特性を有する液晶表示装置を実現する機能を担っている。ルックアップテーブルは、10ビットの出力が、任意の出力特性(例えばガンマ2.2)となるようにあらかじめ調整されている。例えば、第1の実施形態では図8、9に示す12個の駆動階調(黒を含まない)のそれぞれの駆動による画像を図1に示す液晶表示装置で投影し、スクリーン13上の照度を照度計等でそれぞれ測定しておく。それぞれの駆動階調間の照度を6ビット(M+D=6)(64階調)で直線補間することによって、0〜768の階調毎の照度データが予測される。それらの照度データから任意の出力特性(例えばガンマ2.2)となるような256個のデータを選び、あらかじめルックアップテーブルとして保持されているものとする。
【0027】
ルックアップテーブル部21は、256x10ビット(すなわち、「2の8乗」階調x(4+2+4)ビット)のルックアップテーブルを有している。ここで、「2の8乗」階調x(4+2+4)ビットとは、「2のN乗」階調x(M+F+D)ビットに対してN=8、M=4、F=2、D=4の値を代入したものに相当する。ルックアップテーブル部21は、入力された8ビットの画像データを、10ビットのデータに変換して出力する。
【0028】
図5に戻り、ルックアップテーブル部21にて(M+F+D)ビットに変換された映像信号データは、誤差拡散部23により下位Dビットの情報を周辺画素に拡散することによって、(M+F)ビットのデータに変換される。図6の例では、変換された10ビットのデータは、誤差拡散部23にて、下位4ビットの情報を周辺画素に拡散し上位6ビットのデータに量子化して出力される。
【0029】
誤差拡散法とは、表示すべき映像信号と実表示値との誤差(表示誤差)を周辺の画素に拡散することで階調不足を補う方法である。第1の実施形態においては、表示すべき映像信号の下位4ビットを表示誤差とし、図10のように右隣の画素に表示誤差の7/16を、左下の画素に表示誤差の3/16を、直下の画素に表示誤差の5/16を、右下の画素に表示誤差の1/16を加える。
【0030】
誤差拡散部23の動作を図11でより詳しく説明する。ある座標の映像信号は上述のように誤差を拡散するとともに、以前の映像が拡散した誤差が加算される。入力された10ビットのデータは、まず、以前の映像が拡散した誤差が誤差バッファにより加算される。入力映像信号データは誤差バッファの値が加算された後、上位の6ビットと下位の4ビットに分割される。
【0031】
分割された下位の4ビットの値を以下に示す。右側の値は表示誤差である。
下位4ビット 表示誤差
0000 0
0001 +1
0010 +2
0011 +3
0100 +4
0101 +5
0110 +6
0111 +7
1000 −7
1001 −6
1010 −5
1011 −4
1100 −3
1101 −2
1110 −1
1111 0
【0032】
分割された下位の4ビットの値に対応する表示誤差は、図10のように誤差バッファへと加算され保持される。また、分割された下位の4ビットの値に対してスレッショルド比較を行ない、値が1000より大きい場合(上記の左部の値が1000である行以降の行)、上位6ビットの値に1が加算される。そして、上位の6ビットのデータが誤差拡散部から出力される。
【0033】
図5に戻り、誤差拡散部23にて(M+F)ビットに変換された映像信号データは、フレームレートコントロール部24に入力される。フレームレートコントロール部24はフレームレートコントロールテーブルを備えている。フレームレートコントロール部24では、下位Fビットの値と、画素の位置情報及びフレームのカウント情報から、フレームレートコントロールテーブル内の位置を特定し、その値(1または0の値、以下0/1と記載する。)が上位Mビットに加えられ、Mビットのデータに変換される。ここで、フレームレートコントロール方式とは、表示素子の1画素の表示に対してm(m:m≧2、自然数)フレームを1周期として、その周期のn(n:n>0、m>n、自然数)フレームではオン表示を行ない、残りの(m−n)フレームではオフ表示を行うことにより疑似的に階調を表示させる方式である。
【0034】
図6の例では、誤差拡散部23により出力された6ビットのデータは、フレームレートコントロール部24に入力される。フレームレートコントロール部24は、下位2ビットの情報と、表示エリアでの位置情報およびフレームカウンタ情報より、フレームレートコントロールテーブルから0/1の値を導き、入力された6ビットから分離された上位4ビットの値に加算する。
【0035】
フレームレートコントロール部24の動作を図12で具体的に説明する。入力された6ビットのデータは、上位の4ビットと下位の2ビットに分割される。入力された6ビットデータの下位2ビットと、画素の表示エリアでの位置情報(すなわち、座標データであるX座標の下位ビットおよびY座標の下位2ビット)と、フレームカウンタの下位2ビットとの合計8ビットの値を用いて、図13のフレームレートコントロールテーブルで示される“0”か“1”の値を特定する。特定された“0”か“1”の値は上位4ビットのデータに加算して、4ビットデータとして出力される。
【0036】
図6に戻り、フレームレートコントロール部24から出力された4ビットデータは図5で示されているリミッタ部25にて駆動階調の最大値である12に制限された後、サブフレームデータ作成部26にて、反射型液晶表示素子6へ転送されるべき12ビットのデータに変換される。12ビットのデータへの変換は駆動階調テーブル27を使用する。なお、これ以降、サブフレームデータ作成部26にて作成されるサブフレームの数(ここでは12)を2S個と置く。図6の例では、2S=12となっている。
【0037】
図5に戻り、サブフレームデータ作成部26から出力された12ビットのデータは、メモリ制御部28にて、サブフレーム毎に分割されたフレームバッファ29に格納される。フレームバッファ29はダブルバッファの構造になっており、フレームバッファ0にデータを格納中は、フレームバッファ1のデータがデータ転送部を経由して反射型液晶表示素子6に転送されることになり、次のフレームでは、前フレーム期間中に格納されたフレームバッファ0のデータがデータ転送部30を経由して液晶表示素子6に転送され、フレームバッファ1には入力された映像信号データのサブフレームデータ作成部26からの出力データが格納される。
【0038】
駆動制御部31は、サブフレーム毎の処理のタイミング等を制御しており、データ転送部30への転送指示およびゲートドライバ34の制御を行う。データ転送部30は、駆動制御部31からの指示に従い、メモリ制御部28に指示を行ない、指定したサブフレームのデータをメモリ制御部28から受け取りソースドライバ33へと転送する。ソースドライバ33は、1ライン分のデータをデータ転送部30より受け取る毎に、反射型液晶表示素子6の対応する画素回路7へ列データ線D0−Dnを用いて同時に転送する。この時、ゲートドライバ34では、駆動制御部31からの垂直スタート信号(VST)/垂直シフトクロック信号(VCK)により指定された行の行選択線Wyをアクティブにし、指定された行yの全ての列の画素へとデータが転送される。
【0039】
図7を用いて第1の実施形態における駆動パターンについて説明する。図7は、倍速補間モードおよび倍速2度書きモードにおいて共通の駆動パターンであり、映像信号が1秒あたり120フレーム、サブフレーム数が12個の場合について示している。WCは液晶表示素子内の全ての画素にサブフレーム毎のデータを転送するデータ転送期間(WC期間)を表している。DCは、液晶を駆動する際の駆動期間(DC期間)を表している。WC期間は347[μs]、DC期間を347[μs]としている。1フレームにおいて、WC期間とDC期間が交互に12回連続する。時間的に先頭からSF1、SF2、…、SF11、SF12の順番でそれぞれのサブフレームに割り当てられた0または1のデータがWC期間にて転送され、DC期間全ての画素の液晶が駆動される。画素内にサンプルホールドされたデータが0の場合は、その画素はブランキング状態となり、1の場合は駆動状態となる。
【0040】
次に図8、図9にて第1の実施形態における階調駆動テーブルについて説明する。図8は、倍速補間モード、図9は倍速2度書きモードにおける駆動階調テーブルを示している。図7と同様、映像信号は1秒あたり120フレーム、サブフレーム数が12個、データ転送期間(WC期間)は347[μs]、駆動期間(DC期間)を347[μs]としている。図8、図9は駆動階調に対するサブフレーム毎のDC期間の状態を示している。図8、図9の縦の欄の階調とは、フレームレートコントロール部24で得た4ビットのデータであってリミッタ部25にて駆動階調の最大値である12で制限されたものである。SF1−SF12は1フレーム内のサブフレームの順番を表している。DC期間の欄が1の場合は駆動状態であることを示す。DC期間の欄が0の場合はブランク状態であることを示す。
【0041】
倍速補間モードでは図8の縦の欄に示す階調が1の場合、第1のサブフィールドであるSF1のみが駆動状態となる。階調が2の場合、SF1とSF2だけが駆動状態となる。以下、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームが増えていき、最も高い階調である12の場合、全てのサブフレームが駆動状態となる。言い換えると、階調の数が増えるにしたがい、駆動状態となるサブフレームが時間的に後方に増えていく。
【0042】
倍速2度書きモードでは図9の縦の欄に示す階調が1の場合、第1のサブフィールドであるSF1のみが駆動状態となる。階調が2の場合、SF1とSF7が駆動状態となる。階調が3の場合、SF1、SF2およびSF7が駆動状態となる。階調が4の場合、SF1、SF2およびSF7、SF8が駆動状態となる。以下、階調の数が増える高くなる毎に駆動状態となるサブフレームの数が、SF1とSF6の間、およびSF7とSF12の間で交互に増えていき、最も高い階調である12の場合、全てのサブフレームが駆動状態となる。言い換えると、階調の数が増えるにしたがい、駆動状態となるサブフレームがSF1とSF6の間、およびSF7とSF12の間で交互に、時間的に後方に増えていく。
【0043】
倍速2度書きモードにおいて、サブフレームデータ作成部26にて作成されるサブフレームの数を2S個と置く場合、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となる。駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していく。
【0044】
図14は第1の実施形態における信号処理を示す図である。図15は第1の実施形態における反射型液晶表示素子6の極性反転駆動を示す図である。
【0045】
以下図2、図5、図7を参照しつつ、図14において信号処理を説明する。図14において、時刻T0にて垂直同期信号Vsyncがアクティブになり、最初に、時刻T0−T1の期間にてサブフレーム1(SF1)のデータを反射型液晶表示素子6に転送する。この期間(T0−T1)が転送期間WCとなる。転送期間WCの間、反射型液晶表示素子6は画素内のサンプルホールドされた値に関わらず、ブランキング状態とする必要があり、V0/V1/Vcomは同じ電圧(ここではGND)を設定する。ここで、V0はブランキング電圧、V1は駆動電圧、Vcom(共通電圧)は液晶の対向電極10の電圧である。時刻T1にて転送が終わり、次の期間(T1−T3)は駆動期間DCとなる。時刻T2は期間(T1−T3)のちょうど中間となり、期間(T1−T2)と期間(T2−T3)は同じ時間となる。期間(T1−T2)ではV1がVw、V0/VcomがGNDとなるように、また、期間(T2−T3)では期間(T1−T2)とは反対に、V1がGND、V0/VcomがVwとなるように電圧制御部32にて制御される。
【0046】
画素回路7内のサンプルホールドの値が“0”の場合、画素回路7内の電圧選択回路17にてV0が画素電極8に印加される。期間T1−T2では、画素電極電圧Vpeと対向電極電圧VcomはともにGNDとなる。液晶9にかかる電圧は0[v]となり、液晶の駆動状態はブランキング状態となる。
【0047】
画素内のサンプルホールドの値が“1”の場合、画素回路7内の電圧選択回路17にてV1が画素電極8に印加される。期間T1−T2では、画素電極電圧VpeはVw、対向電極電圧VcomはGNDとなる。液晶9にかかる電圧は+Vw(対向電極基準)となり、液晶は駆動状態となる。期間T2−T3では、画素電極電圧VpeはGND、対向電極電圧VcomはVwとなり、液晶9にかかる電圧は−Vw(対向電極基準)となり、駆動状態となる。
【0048】
液晶に同じ電圧で方向の異なる電圧(+Vw/−Vw)を同じ期間印加することにより、長時間平均して液晶に印加する電圧を+Vw+(−Vw)=0[v]とすることにより、焼き付きを防止している。SF2−SF12もSF1の期間T0−T3と同様な電圧制御を行う。図15において、期間(T1−T2)に相当する状態、すなわち、V1がVw、V0/VcomがGNDとなるような状態をDCバランス+と表している。また、期間(T2−T3)に相当する状態、すなわち、V1がGND、V0/VcomがVwとなるような状態をDCバランス−と表している。
【0049】
図16は倍速補間モード、倍速2度書きモードにおける2重像の発生の程度を模式的に比較した図である。図16では白い背景に「A」の黒い文字が表示されている様子を表す。図16(A)に示す倍速補間モードでは、フレーム間に補間映像を生成することで動画ボケが改善され、2重像も発生しない。図16(B)に示す倍速2度書きモードでは、元の映像周波数を2倍にし、同じ映像を2度表示する。文字が静止している時には文字「A」が正常に表示される。しかし映像を横スクロールしたときに2重像が発生してしまう。図16(C)に示す倍速2度書きモードでは、図9に示す階調駆動テーブルを採用することで2重像の発生が防止されている。
【0050】
図17は幅1ドットの画像が1/60秒毎に右へ2ドットずつ移動する画面を倍速補間モードおよび倍速2度書きモードで表示する様子を示す図である。ここでは、階調駆動テーブルは図8に示すものとする。図17を用いて、倍速2度書きモードにおける2重像の発生原理について説明する。図17(A)に示す倍速補間モードでは、現在フレームの幅1ドットの画像(A)と1フレーム遅延された幅1ドットの画像(A)の間に補間フレーム(B)が生成、挿入される。一方、図17(B)に示す倍速2度書きモードでは、ある幅1ドットの画像(A)の次のフレームに同じ画像(A′)が同じ位置に表示される。観察者の視線は映像の移動に合わせて移動する。観察者の視線が移動しているにもかかわらず、倍速2度書きモードでは同じ映像が画面の同じ位置に2回表示されるため、観察者の眼の網膜上の位置L1に結像した映像(A)のすぐ横の位置L2に映像(A′)が結像する。このようにして横へずれた映像として観察者に認識される。そして、映像(A)の表示と映像(A′)の表示の間には、表示が黒に近づく期間(ブラックアウト期間)が存在するために、位置L1に結像した映像(A)と位置L2に結像した映像(A′)は離れて独立した2つの像として認識されてしまう。
【0051】
図18は倍速2度書きモードにおいて、駆動階調テーブルを図8、図9とした場合の映像光の時間的変化を示す図である。入力映像信号は50%白信号を仮定している。図18(A)は駆動階調テーブルが図8の場合の反射型液晶表示素子6の駆動電圧を示す。図8の階調駆動テーブルによれば、SF1〜SF6が駆動状態、SF7〜SF12がブランキング状態となるため、反射型液晶表示素子6の入力信号は、ほぼフレームAの前半が「1(駆動状態)」、フレームの後半が「0(ブランキング状態)」となる。図18(B)は反射型液晶表示素子6の光出力を模式的に示す。フレームAの前半の駆動状態で光出力が立ち上がった後、フレームAの後半にて光出力が減衰し、ほとんど黒レベルに近づく。このようにブラックアウト期間が長いため2重像にみえる。
【0052】
図18(C)は駆動階調テーブルが図9の場合の反射型液晶表示素子6の駆動電圧を示す。図9の階調駆動テーブルによれば、SF1〜SF3、SF7〜SF9が駆動状態、SF4〜SF6、SF10〜SF12がブランキング状態となるので駆動が2つのサブフィールドの群に分けられ、反射型液晶表示素子6の入力信号は図18(C)のように1フレームで2度「1」となる。反射型液晶表示素子6は1フレームで2度光応答する。図8の階調駆動テーブルの場合と比較して、ブラックアウト期間が短くなることで2重像とならない。以上をまとめると、第1の実施形態における倍速2度書きモードでは、倍速化された1フレームの映像に対して図9の階調駆動テーブルを適用し、駆動を2つのサブフィールドの群に分けることにより2重像の発生をなくすことができる。
【0053】
また、第1の実施の形態では、図6、図7に示す通り、動画擬似輪郭の原因となるバイナリビットパルスを用いず、すべて同じ幅のステップビットパルスを用いている点も特徴である。バイナリビットパルスとは各サブフィールドに対して重みが2n (n=0、1、2、3…)で表されるいわゆる“バイナリの重み付け”を行うものである。一方、ステップビットパルスとは、1、2、4、8、16のバイナリビットパルスがある場合、32、32、32、32、32、32、32のような同じ重み付けのパルスのことをいう。すべてバイナリビットパルスにする場合と比較して、ステップビットパルスを併用することで動画擬似輪郭を相対的に軽減する効果がある。
【0054】
動画擬似輪郭とは、隣り合った画素の似たような階調において、片方の画素でのバイナリビットパルスの多くが駆動状態であり、もう片方の画素でのバイナリビットパルスの多くがブランキング状態である場合、視線を動かした時や、顔のアップ等が動いたときに、意図しない輝度が眼で知覚されることをいう。本実施形態では、動画擬似輪郭の原因となるバイナリビットパルスを用いず、すべて同じ幅のステップビットパルスを用いている。そのため視線方向を動かした場合でも、輝度が著しく変化しないため、動画擬似輪郭はほとんど知覚されない。
【0055】
次に、反射型液晶表示素子を用いた液晶表示装置の駆動回路にフレームレートコントロール部をもうけたことによる効果を説明する。図16は、反射型液晶素子における横方向電界の発生メカニズムを説明する図である。図16に示されるように反射型液晶素子の画素電極8A、8Bはシリコン基板43の上に形成されている。
【0056】
デジタル駆動の場合、隣り合った画素間で駆動状態(駆動/ブランキング)が異なることが頻繁に起こる。例えば、あるフレームにおいて隣り合った画素の階調がそれぞれ“5”(画素PA)と“6”(画素PB)の場合を仮定する。またDCバランス+で、対向電極10がV0の場合を考える。すなわち、図15においてDCバランス+であるから、V0=Vcom=0(V)、V1=Vwである。サブフレーム6の時刻では、隣り合った画素の駆動状態が異なる。図7からわかるように、画素PAはブランキング状態なので、画素電極8AにはV0の電圧がかかり、画素PBは駆動状態なので、画素電極8BにはV1の電圧がかかっている。
【0057】
画素電極8AにはV0の電圧がかかり、画素電極8BにはV1の電圧がかかっているときの液晶層の電界41の状態を図16は示している。画素PBの画素電極8B(電位:Vw)と対向電極10(電位:0(V))間には電位差が生じ、液晶は所定量の回転をさせられる。このとき、画素PAの画素電極8A(電位:0(V))と画素PBの画素電極8B(電位:Vw)間にも電位差が生じ、横方向に電界が生じてしまう。このような、横方向電界42は、画素間の液晶の動きに意図しない混乱を発生させる。上記の現象は、画質劣化の一因であった。
【0058】
フレームレートコントロールを用いることで上記の不具合を解消することができる。図17はフレームレートコントロールにより、横方向電界が均等に分散されることを説明する図である。
【0059】
図17では、フレームレートコントロール部への入力データ((M+F)ビット)の下位Fビットの値が“01”である場合が例示されている。フレーム毎に4個のテーブル(フレーム0〜3)が用いられる。それぞれのフレームにおいて、隣り合った画素間で駆動状態(駆動またはブランキング)が異なる場合、駆動状態が「1」(駆動状態)である画素から駆動状態が「0」(ブランキング状態)である画素の方向に横方向の電界が生じる。画素間の横方向電界の方向は図17において矢印で表されている。4個のフレームでの横方向電界の状態を重ね合わせたのが、一番右の状態である。すなわち、4フレームの平均では、すべての画素間での横方向電界は打ち消しあっている。以上のように、フレームレートコントロールを用いることにより、画質劣化の一因である横方向電界を打ち消すことが可能となった。
【0060】
<第2の実施形態>
図21は第2の実施形態における駆動階調テーブルを示す図である。第2の実施形態においては、階調駆動テーブルが異なる以外は、第1の実施形態と同じである。
【0061】
図21は図9同様に、駆動階調に対するサブフレーム毎のDC期間の状態を示している。図9と同様、1秒あたり60フレームの映像信号で、サブフレーム数が12個の場合について説明する。データ転送期間(WC期間)は347[μs]、駆動期間(DC期間)を347[μs]とする。すなわち、図21の縦の欄の階調とは、フレームレートコントロール部24で得た4ビットのデータであってリミッタ部25にて駆動階調の最大値である12で制限されたものである。SF1−SF12は1フレーム内のサブフレームの順番を表している。DC期間の欄が1の場合は駆動状態であることを示す。DC期間の欄が0の場合はブランク状態であることを示す。
【0062】
倍速2度書きモードでは図21の縦の欄に示す階調が1の場合、最後のサブフィールドであるSF12のみが駆動状態となる。階調が2の場合、SF12とSF6が駆動状態となる。階調が3の場合、SF11、SF12およびSF6が駆動状態となる。階調が4の場合、SF11、SF12およびSF5、SF6が駆動状態となる。以下、階調の数が増える高くなる毎に駆動状態となるサブフレームの数が、SF1とSF6の間、およびSF7とSF12の間で交互に増えていき、最も高い階調である12の場合、全てのサブフレームが駆動状態となる。言い換えると、階調の数が増えるにしたがい、駆動状態となるサブフレームがSF1とSF6の間、およびSF7とSF12の間で交互に、時間的に前方に増えていく。
【0063】
倍速2度書きモードにおいて、サブフレームデータ作成部26にて作成されるサブフレームの数を2S個と置く場合、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となる。駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していく
【0064】
第2の実施形態における倍速2度書きモードでも、倍速化された1フレームの映像に対して図21の階調駆動テーブルを適用し、駆動を2つのサブフィールドの群に分けることにより2重像の発生をなくすことができる。第2の実施形態において、動画疑似輪郭が抑制される効果、フレームレートコントロールを用いることにより画質劣化の一因である横方向電界を打ち消すことが可能となったという効果は、第1の実施形態と同等である。
【0065】
<第3の実施形態>
図22は本発明の第3の実施形態に係る駆動回路を示すブロック図である。本実施形態に係る駆動回路では、図5に示す第1の実施形態の駆動回路と比較すると、ルックアップテーブル部21が、信号変換部22に変更されている点が異なっている。誤差拡散部23以降の構成は第1の実施形態の駆動回路と同じである。
【0066】
第3の実施の形態における駆動パターンは、第1の実施形態の駆動パターンと同様、映像信号が1秒あたり120フレーム、サブフレーム数が12個、データ転送期間(WC期間)が347[μs]である。一方、第1の実施形態の場合、全サブフレームの駆動期間が同じ時間であったのに対し、第3の実施形態での各サブフレーム毎の駆動期間(DC期間)の時間は異なっている。なお、第3の実施形態において、駆動階調の設定は図9または図21のように設定する。
【0067】
サブフレーム毎の期間が第1の実施の形態に対して変更されている点について以下に説明する。図5のルックアップテーブル部21は反射型液晶表示素子6の入出力特性を変換してガンマ2.2の入出力特性を有する液晶表示装置を実現する機能を担っている。第3の実施形態においては、入出力特性の変換機能を「各サブフレーム毎の駆動期間(DC期間)の時間を異ならせる」ことで果たしている。以下、具体的に説明する。図23は第3の実施の形態において、各サブフレーム期間を調節して、駆動階調毎の輝度がガンマ2.2の線上にあることを表している図である。第3の実施形態では、例えば駆動階調毎の輝度特性が図23のようなガンマ2.2の線上になるように、あらかじめ、各サブフレーム毎のDC期間を設定する。各サブフレームのDC期間は約2倍程度の範囲内になっている。
【0068】
上記の結果、ルックアップテーブル部に対して逆ガンマ補正の機能を省くことができる。その結果、ルックアップテーブルを用いるルックアップテーブル部21からルックアップテーブルを使用しない信号変換部22に変更することができる。ルックアップテーブル部21を信号変換部22に変更することは、コスト削減の効果を有する。
【0069】
以下、信号変換部22を説明する。第3の実施形態においては、補間駆動階調自体にガンマ2.2の輝度特性があるため、
入力階調X:補間駆動階調Y=255(最大入力階調):768(最大補間駆動階調)
の関係式から、下記に示す演算式を用いることが可能となっている。信号変換部22は下記演算式を用いて入力される映像信号データを演算する。
出力データY:(M+F+D)ビット=入力データX × 768 / 255
ここで、768:最大補間駆動階調(すなわち、1100000000)
255:最大駆動階調
ここで、駆動階調とは、図9、21に表される、素子単体での階調を表している。また、補間駆動階調とは、誤差拡散部およびフレームレートコントロール部にて補間される擬似階調を含む階調を表している。
【0070】
また、第3の実施形態においても、第1の実施形態での効果は同等に有している。
【0071】
第1〜第4の実施形態において、入力された映像信号データのビット数をN、表示素子の駆動可能な階調数を2進数で表したときのビット数をM、誤差拡散処理により誤差として拡散されるビット数をD、フレームレートコントロールにより擬似的な階調として表現されるビット数をFとしたとき、N=8、M=4、 D=4、F=2である場合について説明した。しかし、N、M、D、Fの値は上記の値に限定されず、種々の値を用いて実施することができる。そのなかでも、N=8〜12、M=4〜6、D=4〜8、F=2〜3であることがより好ましい。
【符号の説明】
【0072】
1 照明光学系、2 光、3 S偏光、4 P偏光、
5 偏光ビームスプリッタ(PBS)、6 反射型液晶表示素子
7 画素回路、8 画素電極、9 液晶、10 対向電極(透明電極)、
11 投射レンズ、12 射出光、13 スクリーン、
15 サンプルホールド部、17 電圧選択回路、
21 ルックアップテーブル部、22信号変換部、
23 誤差拡散部、24 フレームレートコントロール部、
25 リミッタ部、26 サブフレームデータ作成部、
27 駆動階調テーブル、28 メモリ制御部、29 フレームバッファ、
30 データ転送部、31 駆動制御部、32 電圧制御部、
33 ソースドライバ、34 ゲートドライバ
41電界、42 横方向電界、43 シリコン基板、
100 投射型液晶表示装置、101 信号処理回路(信号処理部)、
102、1020 駆動回路(駆動装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された映像信号を、その映像信号が有するフレーム周波数よりも高いフレーム周波数に変換して液晶表示素子の表示部に表示する液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置における動画性能の向上を目的として倍速フレーム補間方式が広く採用されている。液晶表示装置において、次フレームの画像に書き換えられるまでの間、現在画像の表示は連続して保持される。表示画像から、瞬間的に次フレームの画像に書き換わると、人間の目の残像効果により、前と後のフレームの画像が同時に観察されることになる。その結果、動画のボケとして認知される。倍速フレーム補間方式とは、動画ボケの対策として、フレームの周期、たとえば60Hzを2倍の120Hzとし、前後のフレームの画像から中間の画像を予測して作り出し挿入する方式である。
【0003】
特許文献1では概ね以下の内容が開示されている。動き検出回路により映像信号のフレーム間の動きが検出され、検出された動きベクトルに基づき補間回路は補間映像を形成する。映像信号および補間映像は画像メモリに書き込まれる。画像メモリは書き込み周波数の2倍の周波数で映像信号および補間映像を読み出すことにより、2倍の周波数であって補間映像が挿入された映像信号を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−165974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
倍速フレーム補間方式は動画改善に有効な技術であるが、人工的に新たな画像を作り出すこととなるので、補間をしない画像を見たいという要請もまた存在している。そこで、フレーム周波数を2倍に上げて、同じフレームの画像を2回表示し、擬似的にフレーム周波数を120Hzにする手法を検討すると、2重像現象が発生するという課題が存在していた。
【0006】
液晶表示装置に用いられる液晶表示素子の駆動方式には、画素に印加される電圧値が連続的なアナログ値であるアナログ方式と、画素に印加する電圧の大きさを2値とし、画像の輝度(階調)に対応して、印加電圧の時間幅を変えることにより、液晶の画素に印加する実効電圧値を制御するデジタル方式がある。デジタル方式においては、中間階調を得るために、サブフィールド法を用いるのが一般的である。デジタル方式でサブフレーム法を用いる場合であっても、上記の課題は同様であった。
【0007】
そこで、本発明は、補間映像を挿入せずに同じフレームの画像を2回表示してフレームド周波数を上げたときに、2重像現象の発生を防ぐことのできる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部(101)と、前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームであってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していく駆動階調テーブル(27)によりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部(26)を有する駆動装置(102)と、前記駆動装置で駆動される液晶表示素子(6)と、前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系(1)と、前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズ(11)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0009】
また、入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部(101)と、前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームであってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していく駆動階調テーブル(27)によりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部(26)を有する駆動装置(102)と、前記駆動装置で駆動される液晶表示素子(6)と、前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系(1)と、前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズ(11)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0010】
上記の構成において、前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を逆ガンマ補正および直線補間を行ってNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換するルックアップテーブル部(21)と、前記ルックアップテーブル部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部(23)と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部(24)とをさらに備え、前記サブフレームデータ作成部(26)は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成するよう構成してもよい。
【0011】
また、入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部(101)と、前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していくとともに、入力映像信号データに対する液晶の光出力が逆ガンマ特性となるようにサブフレーム毎の駆動期間を異ならせた駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部(26)を有する駆動装置(1020)と、前記駆動装置で駆動される液晶表示素子(6)と、前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系(1)と、前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズ(11)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0012】
さらに、入力信号を倍速2度書き信号に変換する信号処理部(101)と、前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していくとともに、入力映像信号データに対する液晶の光出力が逆ガンマ特性となるようにサブフレーム毎の駆動期間を異ならせた駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部(26)を有する駆動装置(1020)と、前記駆動装置で駆動される液晶表示素子(6)と、前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系(1)と、前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズ(11)と、を備えることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0013】
上記の構成において、前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を直線補間してNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換する信号変換部(22)と、前記信号変換部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部(23)と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部(24)とをさらに備え、前記サブフレームデータ作成部(26)は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成するよう構成してもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、補間映像を挿入せずに同じフレームの画像を2回表示してフレームド周波数を上げたときに、2重像現象の発生を防ぐことのできる液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】反射型液晶表示素子を用いた液晶表示装置を示す概略構成図である。
【図2】デジタル駆動の反射型液晶表示素子における各画素の駆動回路構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態における反射型液晶表示素子の入力電圧と出力光の強度との関係を示す図である。
【図4】入力信号を倍速補間処理または倍速2度書きをするための信号処理部を示す概略図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る駆動回路(駆動装置)を示すブロック図である。
【図6】第1の実施形態における階調表現を説明するための図である。
【図7】第1の実施形態における倍速補間モードおよび倍速2度書きモードの際の駆動パターンを示す図である。
【図8】第1の実施形態における倍速補間モードにおける駆動階調テーブルを示す図である。
【図9】第1の実施形態における倍速2度書きモードにおける駆動階調テーブルを示す図である。
【図10】第1の実施形態における誤差拡散図を示す図である。
【図11】第1の実施形態における誤差拡散フローを示す図である。
【図12】第1の実施形態におけるフレームレートコントロールフローを示す図である。
【図13】は第1の実施形態におけるフレームレートコントロールテーブルを示す図である。
【図14】第1の実施形形態における信号処理を示す図である。
【図15】第1の実施形態における反射型液晶表示素子の極性反転駆動を示す図である。
【図16】倍速補間モード、倍速2度書きモードにおける2重像の発生の程度を模式的に比較した図である。
【図17】幅1ドットの画像が1/60秒毎に右へ2ドットずつ移動する画面を倍速補間モードおよび倍速2度書きモードで表示する様子を示す図である。
【図18】倍速2度書きモードにおいて、駆動階調テーブルを図8、図9のとした場合の映像光の時間的変化を示す図である。
【図19】反射型液晶素子における横方向電界の発生メカニズムを説明する図である。
【図20】フレームレートコントロールにより、横方向電界が均等に分散されることを説明する図である。
【図21】第2の実施形態における駆動階調テーブルを示す図である。
【図22】第3の実施形態に係る駆動回路(駆動装置)を示すブロック図である。
【図23】第3の実施の形態において、各サブフレーム期間を調節して、駆動階調毎の輝度がガンマ2.2の線上にあることを表している図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1の実施形態>
以下、本発明に係る画像表示装置及びその駆動方法について、添付図面を参照して説明する。以下では表示パネルとしてアクティブマトリクス型の反射型液晶表示素子を備えた投射型表示装置を例にして説明する。まず、投射型表示装置および反射型液晶表示素子の概略構成について説明する。
【0017】
図1は、反射型液晶表示素子を用いた液晶表示装置を示す概略構成図である。液晶表示装置は、概略、反射型液晶表示素子6、偏光ビームスプリッタ5(以下、PBSという)、投射レンズ13を含んで構成される。反射型液晶表示素子6は、対向電極(透明電極ともいう)10と、画素電極8との間に液晶9が封止された構造を有する。
【0018】
照明光学系1から射出したS偏光3とP偏光4を含む光2はPBS5に入射する。PBS5にて偏光分離される。S偏光3はPBS5の偏光分離面で反射され、反射型液晶表示素子6側に進行する。P偏光はPBSの偏光分離面を透過する。反射型液晶表示素子6の液晶9は、画素回路7によって画素電極8と対向電極10の間に印加される電圧に応じて入射したS偏光を変調する。対向電極10に入射したS偏光は、画素電極8で反射して対向電極10から射出するまでの過程で変調を受け、P偏光とS偏光からなる光として対向電極10から射出される。対向電極10から射出された光は変調された光であるP偏光成分のみがPBS5を通過し、S偏光成分はPBS5で反射される。PBS5を通過したP偏光は投射レンズ11によって射出され、射出光12はスクリーン13上に投射されて画像が表示される。なお、後述する出力光の強度とは、スクリーン13上で測定した出力光の照度をいう。
【0019】
図2はデジタル駆動の反射型液晶表示素子6における各画素の駆動回路構成を示す図である。反射型液晶表示素子6の個々の画素は画素電極8と対向電極10の間に液晶9がはさまれた構造になっている。破線で示した画素回路7は、サンプルホールド部16と電圧選択回路17からなる。サンプルホールド部16はSRAM構造のフリップフロップよりなる。サンプルホールド部16は列データ線Dと行選択線Wとに接続されている。サンプルホールド部16の出力は電圧選択回路17へと接続されている。電圧選択回路17はブランキング電圧線V0、駆動電圧線V1に接続されている。電圧選択回路17は画素電極8へと接続され、画素電極8に所定の電圧を与える。対向電極10の電圧の値は共通電圧Vcomと呼ばれている。
【0020】
図3は以下の各の実施形態における反射型液晶表示素子6の入力電圧と出力光の強度との関係を示す図である。図3において、横軸は入力電圧であり、画素電極8と対向電極10との間の電位差、すなわち液晶9の駆動電圧を示す。縦軸は、液晶9から射出される出力光の強度を示す。液晶9から射出される出力光の強度が大きくなり始める電圧が闇値電圧Vthである。電圧が0(たとえば、画素電極8と対向電極がともにGND)のときは、出力光の強度が少なく、黒状態(ブランキング電圧)であり、出力光が飽和し始める電圧が飽和電圧Vw(白レベルである。)である。
【0021】
図4は、入力信号を倍速補間処理または倍速2度書きの処理をするための信号処理部101を示す概略図である。入力信号およびフレームメモリで1フレーム遅延された信号は動きベクトル検出回路に入力される。動きベクトル検出回路は、入力された現在フレームの信号と1フレーム遅延された信号から動画の動きベクトルを検出して、動画の動きベクトルを補間映像信号生成回路に送る。補間映像信号生成回路は、現在フレームの信号、1フレーム遅延された信号および動きベクトルを用いて、現在フレームの信号と1フレーム遅延された信号の間に挿入する動き補償された補間フレームを生成する。
【0022】
現在フレームの信号と補間フレームの信号は書き込みタイミング制御信号により、フレームメモリへ書き込まれる。書き込みアドレス発生回路はフレームメモリへ映像信号を書き込むためのタイミング制御カウンタを有しており、入力信号の水平同期信号(Hsync)と垂直同期信号(Vsync)から算出した書き込みタイミング制御信号をフレームメモリ中の制御インターフェースへ出力する。フレームメモリは、読み出しタイミング制御信号に基づき、選択回路で指定された倍速補間モードまたは倍速2度書きモードにて映像信号を出力して、選択回路から後段の駆動装置(駆動回路)102に送られる。また、読み出し発生回路はフレームメモリへ書きこんだ映像信号を読み出すためのタイミング制御カウンタを有しており、入力信号の2倍の周波数の水平同期信号(2HSync)及び垂直同期信号(2VSync)から算出した、読み出しタイミング制御信号をフレームメモリの制御インターフェースへ出力する。なお、補間する場合は、現在フレームの信号と補間フレームの信号を交互に読み出す。補間を行わない場合は、現在フレームの信号を2回続けて出力する。
【0023】
図5は本発明の第1の実施形態に係る駆動回路(駆動装置)を示すブロック図である。図6は第1の実施形態における階調表現を説明するための図である。図6は入力された映像信号データのビット数を8ビットとした場合における各プロセス部における階調表現の例を示している。図7は、第1の実施形態における倍速補間モードおよび倍速2度書きモードの際の駆動パターンを示す図である。図 8は、第1の実施形態における倍速補間モードにおける駆動階調テーブルを示す図である。図9は、第1の実施形態における倍速2度書きモードにおける駆動階調テーブルを示す図である。図10は第1の実施形態における誤差拡散フローを示す図である。図11は第1の実施形態における誤差拡散図を示す図である。図12は第1の実施形態におけるフレームレートコントロールフローを示す図である。図13は第1の実施形態におけるフレームレートコントロールテーブルを示す図である。
【0024】
図5において、Nビットの入力された映像信号データは、ルックアップテーブル部21にて、Nより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換される。ここで、Mはサブフレーム数を2進数で表したときのビット数、Dは誤差拡散処理部23により補間されるビット数、Fはフレームレートコントロール部24により補間されるビット数を表している。なおN、M、F、Dは整数である。
【0025】
図6の例では、入力された映像信号データのビット数は8ビット(N=8)、誤差拡散処理部23にて補間されるビット数は4ビット(D=4)、フレームレートコントロール部24にて補間されるビット数は2ビット(F=2)としている。サブフレーム数を2進数で表した場合のビット数は4ビット(M=4)、駆動階調は12個(黒を含まない)としている。
【0026】
ここでルックアップテーブル部21の動作を説明する。一般的に映像信号はガンマ補正がかけられている。画像表示装置側ではガンマ補正がかけられた映像信号に対し逆ガンマ補正処理を施してリニアな階調に戻すことが必要である。逆ガンマ補正とは入力Xに対して出力がXの2.2乗となるような補正である。この場合、出力特性は「ガンマ2.2」であると以下表現する。ルックアップテーブル部21は反射型液晶表示素子6の入出力特性を変換してガンマ2.2の出力特性を有する液晶表示装置を実現する機能を担っている。ルックアップテーブルは、10ビットの出力が、任意の出力特性(例えばガンマ2.2)となるようにあらかじめ調整されている。例えば、第1の実施形態では図8、9に示す12個の駆動階調(黒を含まない)のそれぞれの駆動による画像を図1に示す液晶表示装置で投影し、スクリーン13上の照度を照度計等でそれぞれ測定しておく。それぞれの駆動階調間の照度を6ビット(M+D=6)(64階調)で直線補間することによって、0〜768の階調毎の照度データが予測される。それらの照度データから任意の出力特性(例えばガンマ2.2)となるような256個のデータを選び、あらかじめルックアップテーブルとして保持されているものとする。
【0027】
ルックアップテーブル部21は、256x10ビット(すなわち、「2の8乗」階調x(4+2+4)ビット)のルックアップテーブルを有している。ここで、「2の8乗」階調x(4+2+4)ビットとは、「2のN乗」階調x(M+F+D)ビットに対してN=8、M=4、F=2、D=4の値を代入したものに相当する。ルックアップテーブル部21は、入力された8ビットの画像データを、10ビットのデータに変換して出力する。
【0028】
図5に戻り、ルックアップテーブル部21にて(M+F+D)ビットに変換された映像信号データは、誤差拡散部23により下位Dビットの情報を周辺画素に拡散することによって、(M+F)ビットのデータに変換される。図6の例では、変換された10ビットのデータは、誤差拡散部23にて、下位4ビットの情報を周辺画素に拡散し上位6ビットのデータに量子化して出力される。
【0029】
誤差拡散法とは、表示すべき映像信号と実表示値との誤差(表示誤差)を周辺の画素に拡散することで階調不足を補う方法である。第1の実施形態においては、表示すべき映像信号の下位4ビットを表示誤差とし、図10のように右隣の画素に表示誤差の7/16を、左下の画素に表示誤差の3/16を、直下の画素に表示誤差の5/16を、右下の画素に表示誤差の1/16を加える。
【0030】
誤差拡散部23の動作を図11でより詳しく説明する。ある座標の映像信号は上述のように誤差を拡散するとともに、以前の映像が拡散した誤差が加算される。入力された10ビットのデータは、まず、以前の映像が拡散した誤差が誤差バッファにより加算される。入力映像信号データは誤差バッファの値が加算された後、上位の6ビットと下位の4ビットに分割される。
【0031】
分割された下位の4ビットの値を以下に示す。右側の値は表示誤差である。
下位4ビット 表示誤差
0000 0
0001 +1
0010 +2
0011 +3
0100 +4
0101 +5
0110 +6
0111 +7
1000 −7
1001 −6
1010 −5
1011 −4
1100 −3
1101 −2
1110 −1
1111 0
【0032】
分割された下位の4ビットの値に対応する表示誤差は、図10のように誤差バッファへと加算され保持される。また、分割された下位の4ビットの値に対してスレッショルド比較を行ない、値が1000より大きい場合(上記の左部の値が1000である行以降の行)、上位6ビットの値に1が加算される。そして、上位の6ビットのデータが誤差拡散部から出力される。
【0033】
図5に戻り、誤差拡散部23にて(M+F)ビットに変換された映像信号データは、フレームレートコントロール部24に入力される。フレームレートコントロール部24はフレームレートコントロールテーブルを備えている。フレームレートコントロール部24では、下位Fビットの値と、画素の位置情報及びフレームのカウント情報から、フレームレートコントロールテーブル内の位置を特定し、その値(1または0の値、以下0/1と記載する。)が上位Mビットに加えられ、Mビットのデータに変換される。ここで、フレームレートコントロール方式とは、表示素子の1画素の表示に対してm(m:m≧2、自然数)フレームを1周期として、その周期のn(n:n>0、m>n、自然数)フレームではオン表示を行ない、残りの(m−n)フレームではオフ表示を行うことにより疑似的に階調を表示させる方式である。
【0034】
図6の例では、誤差拡散部23により出力された6ビットのデータは、フレームレートコントロール部24に入力される。フレームレートコントロール部24は、下位2ビットの情報と、表示エリアでの位置情報およびフレームカウンタ情報より、フレームレートコントロールテーブルから0/1の値を導き、入力された6ビットから分離された上位4ビットの値に加算する。
【0035】
フレームレートコントロール部24の動作を図12で具体的に説明する。入力された6ビットのデータは、上位の4ビットと下位の2ビットに分割される。入力された6ビットデータの下位2ビットと、画素の表示エリアでの位置情報(すなわち、座標データであるX座標の下位ビットおよびY座標の下位2ビット)と、フレームカウンタの下位2ビットとの合計8ビットの値を用いて、図13のフレームレートコントロールテーブルで示される“0”か“1”の値を特定する。特定された“0”か“1”の値は上位4ビットのデータに加算して、4ビットデータとして出力される。
【0036】
図6に戻り、フレームレートコントロール部24から出力された4ビットデータは図5で示されているリミッタ部25にて駆動階調の最大値である12に制限された後、サブフレームデータ作成部26にて、反射型液晶表示素子6へ転送されるべき12ビットのデータに変換される。12ビットのデータへの変換は駆動階調テーブル27を使用する。なお、これ以降、サブフレームデータ作成部26にて作成されるサブフレームの数(ここでは12)を2S個と置く。図6の例では、2S=12となっている。
【0037】
図5に戻り、サブフレームデータ作成部26から出力された12ビットのデータは、メモリ制御部28にて、サブフレーム毎に分割されたフレームバッファ29に格納される。フレームバッファ29はダブルバッファの構造になっており、フレームバッファ0にデータを格納中は、フレームバッファ1のデータがデータ転送部を経由して反射型液晶表示素子6に転送されることになり、次のフレームでは、前フレーム期間中に格納されたフレームバッファ0のデータがデータ転送部30を経由して液晶表示素子6に転送され、フレームバッファ1には入力された映像信号データのサブフレームデータ作成部26からの出力データが格納される。
【0038】
駆動制御部31は、サブフレーム毎の処理のタイミング等を制御しており、データ転送部30への転送指示およびゲートドライバ34の制御を行う。データ転送部30は、駆動制御部31からの指示に従い、メモリ制御部28に指示を行ない、指定したサブフレームのデータをメモリ制御部28から受け取りソースドライバ33へと転送する。ソースドライバ33は、1ライン分のデータをデータ転送部30より受け取る毎に、反射型液晶表示素子6の対応する画素回路7へ列データ線D0−Dnを用いて同時に転送する。この時、ゲートドライバ34では、駆動制御部31からの垂直スタート信号(VST)/垂直シフトクロック信号(VCK)により指定された行の行選択線Wyをアクティブにし、指定された行yの全ての列の画素へとデータが転送される。
【0039】
図7を用いて第1の実施形態における駆動パターンについて説明する。図7は、倍速補間モードおよび倍速2度書きモードにおいて共通の駆動パターンであり、映像信号が1秒あたり120フレーム、サブフレーム数が12個の場合について示している。WCは液晶表示素子内の全ての画素にサブフレーム毎のデータを転送するデータ転送期間(WC期間)を表している。DCは、液晶を駆動する際の駆動期間(DC期間)を表している。WC期間は347[μs]、DC期間を347[μs]としている。1フレームにおいて、WC期間とDC期間が交互に12回連続する。時間的に先頭からSF1、SF2、…、SF11、SF12の順番でそれぞれのサブフレームに割り当てられた0または1のデータがWC期間にて転送され、DC期間全ての画素の液晶が駆動される。画素内にサンプルホールドされたデータが0の場合は、その画素はブランキング状態となり、1の場合は駆動状態となる。
【0040】
次に図8、図9にて第1の実施形態における階調駆動テーブルについて説明する。図8は、倍速補間モード、図9は倍速2度書きモードにおける駆動階調テーブルを示している。図7と同様、映像信号は1秒あたり120フレーム、サブフレーム数が12個、データ転送期間(WC期間)は347[μs]、駆動期間(DC期間)を347[μs]としている。図8、図9は駆動階調に対するサブフレーム毎のDC期間の状態を示している。図8、図9の縦の欄の階調とは、フレームレートコントロール部24で得た4ビットのデータであってリミッタ部25にて駆動階調の最大値である12で制限されたものである。SF1−SF12は1フレーム内のサブフレームの順番を表している。DC期間の欄が1の場合は駆動状態であることを示す。DC期間の欄が0の場合はブランク状態であることを示す。
【0041】
倍速補間モードでは図8の縦の欄に示す階調が1の場合、第1のサブフィールドであるSF1のみが駆動状態となる。階調が2の場合、SF1とSF2だけが駆動状態となる。以下、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームが増えていき、最も高い階調である12の場合、全てのサブフレームが駆動状態となる。言い換えると、階調の数が増えるにしたがい、駆動状態となるサブフレームが時間的に後方に増えていく。
【0042】
倍速2度書きモードでは図9の縦の欄に示す階調が1の場合、第1のサブフィールドであるSF1のみが駆動状態となる。階調が2の場合、SF1とSF7が駆動状態となる。階調が3の場合、SF1、SF2およびSF7が駆動状態となる。階調が4の場合、SF1、SF2およびSF7、SF8が駆動状態となる。以下、階調の数が増える高くなる毎に駆動状態となるサブフレームの数が、SF1とSF6の間、およびSF7とSF12の間で交互に増えていき、最も高い階調である12の場合、全てのサブフレームが駆動状態となる。言い換えると、階調の数が増えるにしたがい、駆動状態となるサブフレームがSF1とSF6の間、およびSF7とSF12の間で交互に、時間的に後方に増えていく。
【0043】
倍速2度書きモードにおいて、サブフレームデータ作成部26にて作成されるサブフレームの数を2S個と置く場合、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となる。駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していく。
【0044】
図14は第1の実施形態における信号処理を示す図である。図15は第1の実施形態における反射型液晶表示素子6の極性反転駆動を示す図である。
【0045】
以下図2、図5、図7を参照しつつ、図14において信号処理を説明する。図14において、時刻T0にて垂直同期信号Vsyncがアクティブになり、最初に、時刻T0−T1の期間にてサブフレーム1(SF1)のデータを反射型液晶表示素子6に転送する。この期間(T0−T1)が転送期間WCとなる。転送期間WCの間、反射型液晶表示素子6は画素内のサンプルホールドされた値に関わらず、ブランキング状態とする必要があり、V0/V1/Vcomは同じ電圧(ここではGND)を設定する。ここで、V0はブランキング電圧、V1は駆動電圧、Vcom(共通電圧)は液晶の対向電極10の電圧である。時刻T1にて転送が終わり、次の期間(T1−T3)は駆動期間DCとなる。時刻T2は期間(T1−T3)のちょうど中間となり、期間(T1−T2)と期間(T2−T3)は同じ時間となる。期間(T1−T2)ではV1がVw、V0/VcomがGNDとなるように、また、期間(T2−T3)では期間(T1−T2)とは反対に、V1がGND、V0/VcomがVwとなるように電圧制御部32にて制御される。
【0046】
画素回路7内のサンプルホールドの値が“0”の場合、画素回路7内の電圧選択回路17にてV0が画素電極8に印加される。期間T1−T2では、画素電極電圧Vpeと対向電極電圧VcomはともにGNDとなる。液晶9にかかる電圧は0[v]となり、液晶の駆動状態はブランキング状態となる。
【0047】
画素内のサンプルホールドの値が“1”の場合、画素回路7内の電圧選択回路17にてV1が画素電極8に印加される。期間T1−T2では、画素電極電圧VpeはVw、対向電極電圧VcomはGNDとなる。液晶9にかかる電圧は+Vw(対向電極基準)となり、液晶は駆動状態となる。期間T2−T3では、画素電極電圧VpeはGND、対向電極電圧VcomはVwとなり、液晶9にかかる電圧は−Vw(対向電極基準)となり、駆動状態となる。
【0048】
液晶に同じ電圧で方向の異なる電圧(+Vw/−Vw)を同じ期間印加することにより、長時間平均して液晶に印加する電圧を+Vw+(−Vw)=0[v]とすることにより、焼き付きを防止している。SF2−SF12もSF1の期間T0−T3と同様な電圧制御を行う。図15において、期間(T1−T2)に相当する状態、すなわち、V1がVw、V0/VcomがGNDとなるような状態をDCバランス+と表している。また、期間(T2−T3)に相当する状態、すなわち、V1がGND、V0/VcomがVwとなるような状態をDCバランス−と表している。
【0049】
図16は倍速補間モード、倍速2度書きモードにおける2重像の発生の程度を模式的に比較した図である。図16では白い背景に「A」の黒い文字が表示されている様子を表す。図16(A)に示す倍速補間モードでは、フレーム間に補間映像を生成することで動画ボケが改善され、2重像も発生しない。図16(B)に示す倍速2度書きモードでは、元の映像周波数を2倍にし、同じ映像を2度表示する。文字が静止している時には文字「A」が正常に表示される。しかし映像を横スクロールしたときに2重像が発生してしまう。図16(C)に示す倍速2度書きモードでは、図9に示す階調駆動テーブルを採用することで2重像の発生が防止されている。
【0050】
図17は幅1ドットの画像が1/60秒毎に右へ2ドットずつ移動する画面を倍速補間モードおよび倍速2度書きモードで表示する様子を示す図である。ここでは、階調駆動テーブルは図8に示すものとする。図17を用いて、倍速2度書きモードにおける2重像の発生原理について説明する。図17(A)に示す倍速補間モードでは、現在フレームの幅1ドットの画像(A)と1フレーム遅延された幅1ドットの画像(A)の間に補間フレーム(B)が生成、挿入される。一方、図17(B)に示す倍速2度書きモードでは、ある幅1ドットの画像(A)の次のフレームに同じ画像(A′)が同じ位置に表示される。観察者の視線は映像の移動に合わせて移動する。観察者の視線が移動しているにもかかわらず、倍速2度書きモードでは同じ映像が画面の同じ位置に2回表示されるため、観察者の眼の網膜上の位置L1に結像した映像(A)のすぐ横の位置L2に映像(A′)が結像する。このようにして横へずれた映像として観察者に認識される。そして、映像(A)の表示と映像(A′)の表示の間には、表示が黒に近づく期間(ブラックアウト期間)が存在するために、位置L1に結像した映像(A)と位置L2に結像した映像(A′)は離れて独立した2つの像として認識されてしまう。
【0051】
図18は倍速2度書きモードにおいて、駆動階調テーブルを図8、図9とした場合の映像光の時間的変化を示す図である。入力映像信号は50%白信号を仮定している。図18(A)は駆動階調テーブルが図8の場合の反射型液晶表示素子6の駆動電圧を示す。図8の階調駆動テーブルによれば、SF1〜SF6が駆動状態、SF7〜SF12がブランキング状態となるため、反射型液晶表示素子6の入力信号は、ほぼフレームAの前半が「1(駆動状態)」、フレームの後半が「0(ブランキング状態)」となる。図18(B)は反射型液晶表示素子6の光出力を模式的に示す。フレームAの前半の駆動状態で光出力が立ち上がった後、フレームAの後半にて光出力が減衰し、ほとんど黒レベルに近づく。このようにブラックアウト期間が長いため2重像にみえる。
【0052】
図18(C)は駆動階調テーブルが図9の場合の反射型液晶表示素子6の駆動電圧を示す。図9の階調駆動テーブルによれば、SF1〜SF3、SF7〜SF9が駆動状態、SF4〜SF6、SF10〜SF12がブランキング状態となるので駆動が2つのサブフィールドの群に分けられ、反射型液晶表示素子6の入力信号は図18(C)のように1フレームで2度「1」となる。反射型液晶表示素子6は1フレームで2度光応答する。図8の階調駆動テーブルの場合と比較して、ブラックアウト期間が短くなることで2重像とならない。以上をまとめると、第1の実施形態における倍速2度書きモードでは、倍速化された1フレームの映像に対して図9の階調駆動テーブルを適用し、駆動を2つのサブフィールドの群に分けることにより2重像の発生をなくすことができる。
【0053】
また、第1の実施の形態では、図6、図7に示す通り、動画擬似輪郭の原因となるバイナリビットパルスを用いず、すべて同じ幅のステップビットパルスを用いている点も特徴である。バイナリビットパルスとは各サブフィールドに対して重みが2n (n=0、1、2、3…)で表されるいわゆる“バイナリの重み付け”を行うものである。一方、ステップビットパルスとは、1、2、4、8、16のバイナリビットパルスがある場合、32、32、32、32、32、32、32のような同じ重み付けのパルスのことをいう。すべてバイナリビットパルスにする場合と比較して、ステップビットパルスを併用することで動画擬似輪郭を相対的に軽減する効果がある。
【0054】
動画擬似輪郭とは、隣り合った画素の似たような階調において、片方の画素でのバイナリビットパルスの多くが駆動状態であり、もう片方の画素でのバイナリビットパルスの多くがブランキング状態である場合、視線を動かした時や、顔のアップ等が動いたときに、意図しない輝度が眼で知覚されることをいう。本実施形態では、動画擬似輪郭の原因となるバイナリビットパルスを用いず、すべて同じ幅のステップビットパルスを用いている。そのため視線方向を動かした場合でも、輝度が著しく変化しないため、動画擬似輪郭はほとんど知覚されない。
【0055】
次に、反射型液晶表示素子を用いた液晶表示装置の駆動回路にフレームレートコントロール部をもうけたことによる効果を説明する。図16は、反射型液晶素子における横方向電界の発生メカニズムを説明する図である。図16に示されるように反射型液晶素子の画素電極8A、8Bはシリコン基板43の上に形成されている。
【0056】
デジタル駆動の場合、隣り合った画素間で駆動状態(駆動/ブランキング)が異なることが頻繁に起こる。例えば、あるフレームにおいて隣り合った画素の階調がそれぞれ“5”(画素PA)と“6”(画素PB)の場合を仮定する。またDCバランス+で、対向電極10がV0の場合を考える。すなわち、図15においてDCバランス+であるから、V0=Vcom=0(V)、V1=Vwである。サブフレーム6の時刻では、隣り合った画素の駆動状態が異なる。図7からわかるように、画素PAはブランキング状態なので、画素電極8AにはV0の電圧がかかり、画素PBは駆動状態なので、画素電極8BにはV1の電圧がかかっている。
【0057】
画素電極8AにはV0の電圧がかかり、画素電極8BにはV1の電圧がかかっているときの液晶層の電界41の状態を図16は示している。画素PBの画素電極8B(電位:Vw)と対向電極10(電位:0(V))間には電位差が生じ、液晶は所定量の回転をさせられる。このとき、画素PAの画素電極8A(電位:0(V))と画素PBの画素電極8B(電位:Vw)間にも電位差が生じ、横方向に電界が生じてしまう。このような、横方向電界42は、画素間の液晶の動きに意図しない混乱を発生させる。上記の現象は、画質劣化の一因であった。
【0058】
フレームレートコントロールを用いることで上記の不具合を解消することができる。図17はフレームレートコントロールにより、横方向電界が均等に分散されることを説明する図である。
【0059】
図17では、フレームレートコントロール部への入力データ((M+F)ビット)の下位Fビットの値が“01”である場合が例示されている。フレーム毎に4個のテーブル(フレーム0〜3)が用いられる。それぞれのフレームにおいて、隣り合った画素間で駆動状態(駆動またはブランキング)が異なる場合、駆動状態が「1」(駆動状態)である画素から駆動状態が「0」(ブランキング状態)である画素の方向に横方向の電界が生じる。画素間の横方向電界の方向は図17において矢印で表されている。4個のフレームでの横方向電界の状態を重ね合わせたのが、一番右の状態である。すなわち、4フレームの平均では、すべての画素間での横方向電界は打ち消しあっている。以上のように、フレームレートコントロールを用いることにより、画質劣化の一因である横方向電界を打ち消すことが可能となった。
【0060】
<第2の実施形態>
図21は第2の実施形態における駆動階調テーブルを示す図である。第2の実施形態においては、階調駆動テーブルが異なる以外は、第1の実施形態と同じである。
【0061】
図21は図9同様に、駆動階調に対するサブフレーム毎のDC期間の状態を示している。図9と同様、1秒あたり60フレームの映像信号で、サブフレーム数が12個の場合について説明する。データ転送期間(WC期間)は347[μs]、駆動期間(DC期間)を347[μs]とする。すなわち、図21の縦の欄の階調とは、フレームレートコントロール部24で得た4ビットのデータであってリミッタ部25にて駆動階調の最大値である12で制限されたものである。SF1−SF12は1フレーム内のサブフレームの順番を表している。DC期間の欄が1の場合は駆動状態であることを示す。DC期間の欄が0の場合はブランク状態であることを示す。
【0062】
倍速2度書きモードでは図21の縦の欄に示す階調が1の場合、最後のサブフィールドであるSF12のみが駆動状態となる。階調が2の場合、SF12とSF6が駆動状態となる。階調が3の場合、SF11、SF12およびSF6が駆動状態となる。階調が4の場合、SF11、SF12およびSF5、SF6が駆動状態となる。以下、階調の数が増える高くなる毎に駆動状態となるサブフレームの数が、SF1とSF6の間、およびSF7とSF12の間で交互に増えていき、最も高い階調である12の場合、全てのサブフレームが駆動状態となる。言い換えると、階調の数が増えるにしたがい、駆動状態となるサブフレームがSF1とSF6の間、およびSF7とSF12の間で交互に、時間的に前方に増えていく。
【0063】
倍速2度書きモードにおいて、サブフレームデータ作成部26にて作成されるサブフレームの数を2S個と置く場合、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となる。駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していく
【0064】
第2の実施形態における倍速2度書きモードでも、倍速化された1フレームの映像に対して図21の階調駆動テーブルを適用し、駆動を2つのサブフィールドの群に分けることにより2重像の発生をなくすことができる。第2の実施形態において、動画疑似輪郭が抑制される効果、フレームレートコントロールを用いることにより画質劣化の一因である横方向電界を打ち消すことが可能となったという効果は、第1の実施形態と同等である。
【0065】
<第3の実施形態>
図22は本発明の第3の実施形態に係る駆動回路を示すブロック図である。本実施形態に係る駆動回路では、図5に示す第1の実施形態の駆動回路と比較すると、ルックアップテーブル部21が、信号変換部22に変更されている点が異なっている。誤差拡散部23以降の構成は第1の実施形態の駆動回路と同じである。
【0066】
第3の実施の形態における駆動パターンは、第1の実施形態の駆動パターンと同様、映像信号が1秒あたり120フレーム、サブフレーム数が12個、データ転送期間(WC期間)が347[μs]である。一方、第1の実施形態の場合、全サブフレームの駆動期間が同じ時間であったのに対し、第3の実施形態での各サブフレーム毎の駆動期間(DC期間)の時間は異なっている。なお、第3の実施形態において、駆動階調の設定は図9または図21のように設定する。
【0067】
サブフレーム毎の期間が第1の実施の形態に対して変更されている点について以下に説明する。図5のルックアップテーブル部21は反射型液晶表示素子6の入出力特性を変換してガンマ2.2の入出力特性を有する液晶表示装置を実現する機能を担っている。第3の実施形態においては、入出力特性の変換機能を「各サブフレーム毎の駆動期間(DC期間)の時間を異ならせる」ことで果たしている。以下、具体的に説明する。図23は第3の実施の形態において、各サブフレーム期間を調節して、駆動階調毎の輝度がガンマ2.2の線上にあることを表している図である。第3の実施形態では、例えば駆動階調毎の輝度特性が図23のようなガンマ2.2の線上になるように、あらかじめ、各サブフレーム毎のDC期間を設定する。各サブフレームのDC期間は約2倍程度の範囲内になっている。
【0068】
上記の結果、ルックアップテーブル部に対して逆ガンマ補正の機能を省くことができる。その結果、ルックアップテーブルを用いるルックアップテーブル部21からルックアップテーブルを使用しない信号変換部22に変更することができる。ルックアップテーブル部21を信号変換部22に変更することは、コスト削減の効果を有する。
【0069】
以下、信号変換部22を説明する。第3の実施形態においては、補間駆動階調自体にガンマ2.2の輝度特性があるため、
入力階調X:補間駆動階調Y=255(最大入力階調):768(最大補間駆動階調)
の関係式から、下記に示す演算式を用いることが可能となっている。信号変換部22は下記演算式を用いて入力される映像信号データを演算する。
出力データY:(M+F+D)ビット=入力データX × 768 / 255
ここで、768:最大補間駆動階調(すなわち、1100000000)
255:最大駆動階調
ここで、駆動階調とは、図9、21に表される、素子単体での階調を表している。また、補間駆動階調とは、誤差拡散部およびフレームレートコントロール部にて補間される擬似階調を含む階調を表している。
【0070】
また、第3の実施形態においても、第1の実施形態での効果は同等に有している。
【0071】
第1〜第4の実施形態において、入力された映像信号データのビット数をN、表示素子の駆動可能な階調数を2進数で表したときのビット数をM、誤差拡散処理により誤差として拡散されるビット数をD、フレームレートコントロールにより擬似的な階調として表現されるビット数をFとしたとき、N=8、M=4、 D=4、F=2である場合について説明した。しかし、N、M、D、Fの値は上記の値に限定されず、種々の値を用いて実施することができる。そのなかでも、N=8〜12、M=4〜6、D=4〜8、F=2〜3であることがより好ましい。
【符号の説明】
【0072】
1 照明光学系、2 光、3 S偏光、4 P偏光、
5 偏光ビームスプリッタ(PBS)、6 反射型液晶表示素子
7 画素回路、8 画素電極、9 液晶、10 対向電極(透明電極)、
11 投射レンズ、12 射出光、13 スクリーン、
15 サンプルホールド部、17 電圧選択回路、
21 ルックアップテーブル部、22信号変換部、
23 誤差拡散部、24 フレームレートコントロール部、
25 リミッタ部、26 サブフレームデータ作成部、
27 駆動階調テーブル、28 メモリ制御部、29 フレームバッファ、
30 データ転送部、31 駆動制御部、32 電圧制御部、
33 ソースドライバ、34 ゲートドライバ
41電界、42 横方向電界、43 シリコン基板、
100 投射型液晶表示装置、101 信号処理回路(信号処理部)、
102、1020 駆動回路(駆動装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームが2回連続する信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームであってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していく駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部を有する駆動装置と、
前記駆動装置で駆動される液晶表示素子と、
前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系と、
前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を逆ガンマ補正および直線補間を行ってNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換するルックアップテーブル部と、前記ルックアップテーブル部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部とをさらに備え、
前記サブフレームデータ作成部は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームであってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していく駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部を有する駆動装置と、
前記駆動装置で駆動される液晶表示素子と、
前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系と、
前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を逆ガンマ補正および直線補間を行ってNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換するルックアップテーブル部と、前記ルックアップテーブル部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部とをさらに備え、
前記サブフレームデータ作成部は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成することを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していくとともに、入力映像信号データに対する液晶の光出力が逆ガンマ特性となるようにサブフレーム毎の駆動期間を異ならせた駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部を有する駆動装置と、
前記駆動装置で駆動される液晶表示素子と、
前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系と、
前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を直線補間してNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換する信号変換部と、前記信号変換部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部とをさらに備え、
前記サブフレームデータ作成部は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成することを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していくとともに、入力映像信号データに対する液晶の光出力が逆ガンマ特性となるようにサブフレーム毎の駆動期間を異ならせた駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部を有する駆動装置と、
前記駆動装置で駆動される液晶表示素子と、
前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系と、
前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を直線補間してNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換する信号変換部と、前記信号変換部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部とをさらに備え、
前記サブフレームデータ作成部は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームが2回連続する信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームであってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していく駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部を有する駆動装置と、
前記駆動装置で駆動される液晶表示素子と、
前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系と、
前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を逆ガンマ補正および直線補間を行ってNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換するルックアップテーブル部と、前記ルックアップテーブル部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部とをさらに備え、
前記サブフレームデータ作成部は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームであってステップビットパルスにより全サブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していく駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部を有する駆動装置と、
前記駆動装置で駆動される液晶表示素子と、
前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系と、
前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を逆ガンマ補正および直線補間を行ってNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換するルックアップテーブル部と、前記ルックアップテーブル部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部とをさらに備え、
前記サブフレームデータ作成部は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成することを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最初のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最初のサブフレームおよび(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最初および2番、(S+1)番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、最初とS番のサブフレームの間、および(S+1)番と2S番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの後に向かって増加していくとともに、入力映像信号データに対する液晶の光出力が逆ガンマ特性となるようにサブフレーム毎の駆動期間を異ならせた駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部を有する駆動装置と、
前記駆動装置で駆動される液晶表示素子と、
前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系と、
前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を直線補間してNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換する信号変換部と、前記信号変換部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部とをさらに備え、
前記サブフレームデータ作成部は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成することを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
入力信号を、フレーム周波数が2倍で同じフレームを2回連続する信号に変換する信号処理部と、
前記信号処理部で変換される前記信号に基づいて、1フレーム当たり2S個のサブフレームを構成し、駆動階調が1のとき最後のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が2のとき最後のサブフレームおよびS番のサブフレームが駆動状態となり、駆動階調が3のとき最後および(2S−1)番、S番のサブフレームが駆動状態となり、階調の数が増える毎に駆動状態となるサブフレームの数が、(S+1)番と最後のサブフレームの間、および1番とS番のサブフレーム間で交互に増えていき、既に駆動状態となっているサブフレームの前に向かって増加していくとともに、入力映像信号データに対する液晶の光出力が逆ガンマ特性となるようにサブフレーム毎の駆動期間を異ならせた駆動階調テーブルによりサブフレームデータを作成するサブフレームデータ作成部を有する駆動装置と、
前記駆動装置で駆動される液晶表示素子と、
前記液晶表示素子に照明光を入射させる照明光学系と、
前記液晶表示素子から射出された変調光を投射する投射レンズと、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
前記信号処理部から出力されるビット数Nの信号を直線補間してNより大きい(M+F+D)ビットのデータに変換する信号変換部と、前記信号変換部で処理された(M+F+D)ビットのデータを誤差拡散処理により(M+F)ビットのデータに変換する誤差拡散部と、前記誤差拡散部で処理された(M+F)ビットのデータをフレームレートコントロールによりMビットのデータに変換するフレームレートコントロール部とをさらに備え、
前記サブフレームデータ作成部は前記フレームレートコントロール部で処理されたMビットのデータに基づいて前記サブフレームデータを作成することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2012−103356(P2012−103356A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250044(P2010−250044)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(308036402)株式会社JVCケンウッド (1,152)
【Fターム(参考)】
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