液晶表示装置
【課題】液晶表示装置において、ICチップをCOG接続した際に、ガラス基板に発生する歪による表示領域周辺のCOGむらを解消する。
【解決手段】対向基板200とTFT基板100で構成される液晶表示パネルとバックライト50が上フレーム10と下フレーム20に収容されている。液晶表示パネルのTFT基板100の端部にICチップ30がACF35を介してCOG接続している。ICチップ30の両側には、上フレーム10に形成された突起40が接触しており、この突起40によって、COGによってTFT基板100に発生した歪を除去している。この歪を除去することによって、TFT基板100を平坦にし、表示領域周辺におけるCOGむらを抑制することが出来る。
【解決手段】対向基板200とTFT基板100で構成される液晶表示パネルとバックライト50が上フレーム10と下フレーム20に収容されている。液晶表示パネルのTFT基板100の端部にICチップ30がACF35を介してCOG接続している。ICチップ30の両側には、上フレーム10に形成された突起40が接触しており、この突起40によって、COGによってTFT基板100に発生した歪を除去している。この歪を除去することによって、TFT基板100を平坦にし、表示領域周辺におけるCOGむらを抑制することが出来る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、晶表示装置に係り、特に、基板に半導体チップを搭載した際の表示むらを対策した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置はフラットで軽量であることから、TV等の大型表示装置から、モニタ等の中型表示装置、携帯電話やDSC(Digital Still Camera)等の小型表示装置等、色々な分野で用途が広がっている。特に最近では、タブレット用液晶モジュール使用される液晶表示装置の需要も高まっている。
【0004】
液晶表示装置には、走査線あるいは映像信号線を駆動するためのICチップが搭載される。ICチップは、最近では、異方性導電シート(Anisotropic Conductive Film, ACF)を介して、ガラス基板である、TFT基板あるいは対向基板に熱圧着される。この時の温度は180℃程度である。このようなICチップの搭載の方式をCOG(Chip On Glass)と呼んでいる。
【0005】
熱圧着した場合、ICチップの熱容量とガラス基板の熱容量の差からICチップとガラス基板の温度が異なることになり、温度が下がったときに、ガラス基板に歪が生ずる。また、ガラス基板とICチップとの熱膨張係数の差によっても、熱圧着後のガラス基板の歪は発生する。ガラスの熱膨張係数は例えば、3.8×10−6、ICチップの熱膨張係数は2.5×10−6である。このように、ガラス基板に歪が発生すると、歪の影響によって表示領域に表示むらが発生する。このような表示むらを本明細書では、COGむらと呼ぶ。
【0006】
「特許文献1」には、このようなガラス基板の歪を抑えるために、種々の形の変形抑制部材をICチップと対向基板の端部の間に貼り付ける構成が記載されている。このような変形抑制部材は、ガラス基板よりも剛性の高い、金属、あるいはセラミック等が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−20836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
「特許文献1」に記載の技術では、ガラス基板の変形を抑えるために、剛体を用いるが、この剛体を接着材によってガラス基板に貼り付けるために、貼り付け方、材質等によって、変形抑制部材によってガラスに歪が発生する恐れがある。また、ガラスの変形をおさえるための十分な剛性を持たせるために、剛体の大きさ、材質が限定される。
【0009】
図14は、液晶表示装置において、本発明が解決しようとするむらの例を示している。図14において、上フレーム10で囲まれた表示領域11は白で、COGむら12をハッチングで示しているが、実際の画面においては、COGむら12は、黒画面において、図14のハッチングで示したようなむらが目立つ。すなわち、COGむら12は黒画面において、黒が浮いたようなパターンとなる。
【0010】
図14において、上フレーム10の下側において、TFT基板100の上側あるいは対向基板200の下側にはICチップ30がCOGによって短辺側に2個、長辺側に2個搭載されている。短辺側のチップは走査線駆動用であり、長辺側は、映像信号線駆動用である。
【0011】
図15は、図14内のTFT基板100と対向基板200を取り出した図である。TFT基板100と対向基板200は図示しないシール材によって接着している。TFT基板100と対向基板200の間には、液晶が挟持されている。このような構成を本明細書では液晶表示パネルと呼ぶ。なお、図15では、偏光板は省略されている。
【0012】
図15において、TFT基板100の端部には映像信号線駆動用のICチップ30が搭載されており、対向基板200の端部には走査線駆動用ICチップ30が搭載されている。これらのチップは、COGによってガラス基板に接続されている。映像信号線用ICチップ30はTFT基板100の上側に接続されており、走査線用ICチップ30は、対向基板200の下側に接続されている。ICチップの大きさは例えば、長さが13mm、幅が1.5mm、厚さが0.35mmである。また、図15におけるICチップの間隔dは例えば、12mmである。
【0013】
図16は、図15のE−E断面図である。図16において、ICチップ30がACF35を介してCOGによって搭載されている。ICチップ30が搭載された部分のTFT基板100は、図16に示すように、ICチップ30の両側において、上側に凸になるように、変形する。このように、TFT基板100が変形すると、この変形が表示領域11にも影響し、図14の表示領域11の長辺側に示すようなCOGむら12を発生させる。
【0014】
図17は、図15のF−F断面図である。図17において、ICチップ30がACF35を介してCOGによって搭載されている。ICチップ30が搭載された部分の対向基板200は、図17に示すように、ICチップ30の両側において、下側に凸になるように、変形する。このように、対向基板200が変形すると、この変形が表示領域11にも影響し、図14の表示領域11の短辺側に示すようなCOGむら12を発生させる。
【0015】
本発明は、COGによってICチップ30を搭載した液晶表示装置において、図14に示すようなCOGむら12を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は以上のような課題を解決するものであり、主な手段は次のとおりである。すなわち、画素電極と対向電極が形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成された対向基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルの背面にバックライトが配置された液晶表示装置であって、前記液晶表示パネルと前記バックライトとを上フレームと下フレームによって収容し、前記TFT基板の端部にはICチップがCOG接続され、前記ICチップの少なくとも一方のTFT基板には、前記上フレームに形成された突起が接触していることを特徴とする液晶表示装置である。
【0017】
他の主な手段は、前記ICチップの両側のTFT基板には、前記上フレームに形成された突起が接触していることを特徴とする液晶表示装置である。
【0018】
さらに他の主な手段は、前記突起は、前記上フレームにプレスによって一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置であること、または、前記突起は、前記上フレームに一体形成された樹脂であることを特徴とする記載の液晶表示装置である。
【0019】
本発明のさらに他の主な手段は、画素電極と対向電極が形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成された対向基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルの背面にバックライトが配置された液晶表示装置であって、前記液晶表示パネルと前記バックライトとを上フレームと下フレームによって収容し、前記バックライトは中フレームに収容され、前記TFT基板の端部にはICチップがCOG接続され、前記ICチップの少なくとも一方のTFT基板には、前記上フレームに形成された突起が接触しておいり、前記対向基板の端部にはICチップがCOG接続され、前記ICチップの少なくとも一方の対向基板には、前記中フレームに形成された突起が接触していることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、COG接続によってTFT基板あるいは対向基板に発生した歪を除去することが出来るので、表示領域におけるCOGむらを抑制することが出来る。また、本発明によれば、COG接続によって発生した歪と逆方向の力を加えて基板を修正するので、効率的に歪の除去を行うことが出来る。
【0021】
また、本発明は、上フレームあるいは中フレームに一体に形成した突起によってTFT基板あるいは対向基板の歪の除去を行うので、歪除去のための製造コストの上昇を抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1の液晶表示装置の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】上フレームに形成された突起の詳細図である。
【図6】上フレームに形成された突起とTFT基板の接触の態様を示す他の例である。
【図7】上フレームに形成された突起の他の例の詳細図である。
【図8】バックライトの分解斜視図である。
【図9】光学シート群の分解斜視図である。
【図10】実施例2の液晶表示パネルの例である。
【図11】図10のD−D断面図である。
【図12】実施例2の態様を示す断面図である。
【図13】実施例2を適用できる液晶表示パネルの他の例である。
【図14】従来例における液晶表示装置の正面図である。
【図15】ICチップがCOG接続された液晶表示パネルの斜視図である。
【図16】図15のE−E断面図である。
【図17】図15のF−F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明による液晶表示装置の正面図である。図1において、上フレーム10の下側には、図15に示すようなTFT基板100(第1の基板)と対向基板200(第2の基板)の組み合わされた液晶表示パネルが配置されている。また、ICチップ30がTFT基板100の主面の端部と対向基板200の主面の端部に搭載されていることも図15と同様である。図1において、液晶表示装置の外形は、例えば、X=170mm、Y=110mm、表示領域の大きさは、例えば、DX=155mm。DY=95mmである。
【0025】
図1において、上フレーム10の長辺側には、COGによって発生したTFT基板100の端部の変形を防止するための下向きの突起40が形成されている。この突起40は、図16に示すICチップ30の両側にCOGの影響によって発生したTFT基板100の凸状部を抑えるように作用する。すなわち、この突起40はICチップ30が搭載されたTFT基板100を平面にするように作用する。
【0026】
また、図17に示すように、対向基板200の短辺側において、ICチップ30の両側には、COGの影響による凸状部が発生しているが、この凸状部を抑えるように、後で説明する中フレーム60に形成した突起40が接触している。中フレーム60の突起40は図1において、点線で示されている。すなわち、この中フレーム60の突起40はICチップ30が搭載された対向基板200を平面にするように作用する。
【0027】
図2は図1のA−A断面図である。図2において、液晶表示パネルはバックライト50の上に搭載され、全体が上フレーム10と下フレーム20によって囲まれている。図2において、TFT基板100にはICチップ30がACF35を介してCOG接続されている。ICチップ30の紙面奥側、すなわち、図1におけるICチップ30の右側には、TFT基板100に発生した凸状部を抑えるように、上フレーム10に形成された突起40がTFT基板100に接触している。図2において、上フレーム10および下フレーム20の板厚は例えば、0.4mmである。また、図2において、液晶表示装置の厚さTは、例えば、10mmである。
【0028】
図3は図1のB−B断面図である。図3において、バックライト50が下フレーム20に収容され、バックライト50の上に液晶表示パネルが載置されている。TFT基板100にはICチップ30がACF35を介してCOG接続されている。図3において、液晶表示パネルは上フレーム10に覆われている。上フレーム10には、突起40が形成され、図16に示すような、COGによって発生した凸状部を抑えることによってTFT基板100を平坦にしている。
【0029】
図3において、ICチップ30は2個搭載されおり、TFT基板100における凸状部はICチップ30の両側すなわち、3箇所に発生しているので、上フレーム10の突起40はこれに合わせて3箇所に形成されている。上フレーム10の突起40は、TFT基板100の凸状部を例えば、0.1mm程度下側に押すような構成となっている。
【0030】
図4は、図1のC−C断面図である。図4において、下フレーム20にバックライト50が収容されている。図4におけるバックライト50は、図2あるいは図3と異なり、反射シート58と中フレーム60が記載されている。後で説明するバックライト50の構成部品は、中フレーム60と反射シート58の間に配置されている。バックライト50の上には液晶表示パネルが配置され、液晶表示パネルは上フレーム10によって覆われている。
【0031】
図4において、ICチップ30はACF35を介して対向基板200の下面にCOG接続されている。ICチップ30のCOG接続によって、対向基板200には図17に示すような下側への凸状部が発生する。対向基板200に発生した凸状部を押すように中フレーム60には、突起40が形成されている。その結果、対向基板200は、ICチップ30が配置された部分においても、平坦となっている。中フレーム60に形成された突起40が対向基板200の凸状部を押す量は、例えば、0.1mmである。
【0032】
図5は上フレーム10に形成された突起40の例である。図5(a)は突起40の断面図であり、図5(b)は下面図である。図5(a)に示すように、突起40の断面は台形であり、平面である台形の上底がガラス基板に接触する構成となっている。図5に示すような突起40は、上フレーム10を形成する時に、同時にプレスによって形成することが出来る。
【0033】
突起40の高さhは、例えば、ICチップ30が無い部分における上フレーム10とTFT基板100との間隔と等しくする。そうすると、ICチップ30が接続された部分におけるTFT基板100の凸状部を上フレーム10に形成された突起40が押すことによって、TFT基板100の凸状部をほぼ平坦にすることができる。上フレーム10の突起40がTFT基板100を押す量は例えば、0.1mm程度である。また、図5における突起40の高さhは例えば、0.8〜0.9mmである。
【0034】
図5(b)に示すように、突起40の下面は平坦になっている。突起40の下面が平坦となっているので、TFT基板100の凸状部の位置と上フレーム10の突起40の位置がばらついても、安定して、上フレーム10の突起40をTFT基板100の凸状部に接触させることができる。図5(b)における突起40の平坦部のxは例えば、3〜5mm程度、yは例えば、2〜3mm程度である。
【0035】
上フレーム10は一般には金属で形成されているが、金属がガラス基板に直接接触するとガラスクラックの原因となる場合がある。これを防止するために、図6に示すように、ガラス表面と上フレーム10の突起40の間にスペーサ70を配置することが出来る。スペーサ70は例えば、片面あるいは両面の粘着テープによって形成され、厚さは0.1mm程度である。
【0036】
図6のようなスペーサ70を使用する場合は、突起40の高さh1とスペーサ70の厚さtとの合計の高さhを、ICチップ30が無い部分における上フレーム10とTFT基板100との間隔と等しくする。すなわち、図5で説明したhと同じにすればよい。
【0037】
図7は、本発明で使用される上フレーム10に形成される突起40の他の例である。図7(a)は、突起40が形成された部分における上フレーム10の断面図、図7(b)は下面図である。図7において、平坦に形成された上フレーム10に対して樹脂で形成した突起40が一体に形成されている。これは、樹脂一体化フレームとよばれている構造を製作するのと同じ条件で製作することができる。樹脂の材質は、エポキシあるいはポリカーボネイト等が使用される。
【0038】
図7(a)に示すように、突起40の断面は台形であり、台形の上底がTFT基板100の凸状部に接触する。図7(b)に示すように、突起40がTFT基板100と接する面は図5(b)と同様に平面となっている。平面となっていることのメリットは、図5において説明したのと同様である。図7(a)における樹脂で形成された樹脂突起45の高さhは例えば、0.8〜0.9mmであり、図7(b)における樹脂突起45の平坦部における面積xは3〜5mm、yは2〜3mmである。
【0039】
以上の説明は、上フレーム10に形成された下向きの突起40について行ったが、中フレーム60に形成される上向きの突起40についても同様な構成とすることが出来る。
【0040】
図1、図3、図4等に示すように、本実施例では、2個のICチップ30の間に上フレーム10あるいは中フレーム60の突起40が接触している。品種によっては、2個のICチップ30の間隔が小さく、2個のICチップ30の間に突起40を接触できない場合がある。この場合は、2個のICチップ30の間隔が小さいので、2個のICチップ30が連続した1個のICチップ30であると考えることが出来る。COGむら12の出方もICチップ30が1個の場合と同様である。この場合は、2個のICチップ30の外側に突起40を形成することによって、COGむら12を軽減することが出来る。すなわち、この場合は、ICチップ30の少なくとも一方の側のTFT基板100に突起40を接触させることによってCOGむら12を軽減することが出来る。
【0041】
図8は本発明で使用されるバックライト50の例である。図8において、バックライト50は中フレーム60内に収容されている。バックライト50の部品は下から、反射シート58、光源であるLED56を搭載したLED基板57、導光板55、下拡散シート54、下プリズムシート53、上プリズムシート52、上拡散シート53で構成されている。但し、図8のバックライト50は、例であり、他の構成をとることも出来る。
【0042】
図8における中フレーム60の上に液晶表示パネルが配置される。即ち、中フレーム60は、バックライト50を収容すると共にに、液晶表示パネルを支持している。中フレーム60の短辺部には、突起40が形成され、この突起40は、図4に示すように液晶表示パネルにおける対向基板200のICチップ30の両側の凸状部に接触して、対向基板200を平坦にする作用を有している。
【0043】
図8において、光源であるLED56は、導光板55の側面を囲む状態で複数個配置されているが、LED56は、導光板55の1側面、2側面、あるいは3側面のみに配置されていてもよい。また、LED56の数も品種に合わせて任意に選択すればよい。
【0044】
図8において、光源からの光は導光板55の側面から入射し、液晶表示パネル側に出射する。導光板55から下側に向かう光は反射シート58において、反射し、液晶表示パネル側に向かう。導光板55から出射する光は、光学シート群を介して液晶表示パネルに入射する。
【0045】
図9は光学シート群の例である。図9において、導光板55に近い方、すなわち、下側から、下拡散シート54、下プリズムシート53、上プリズムシート52、上拡散シート51の順で配置している。下拡散シート54は、導光板55からの光を均一にする作用を有する。下拡散シート54の上には下プリズムシート53が配置されている。下プリズムシート53は、a方向に向かう光を集光して、液晶表示パネルの方向に向ける作用を有する。下プリズムシート53の上には上プリズムシート52が配置されている。上プリズムシート52は、b方向に向かう光を液晶表示パネルの方向に向ける作用を有する。
【0046】
上プリズムシート52の上には上拡散シート51が配置されている。上拡散シート51は、液晶表示パネルに形成された走査線あるいは映像信号線と、プリズムシートに形成された細かな明暗の線との干渉によって発生したモアレを軽減する。拡散シートを出た光は、液晶表示パネルに入射する。図8および図9におけるバックライト50の構成は、1例であって、本発明は、他のバックライト50の構成においても適用することができる。
【0047】
以上のように、本発明によれば、COGによってICチップ30を配置したTFT基板100および対向基板200における歪を防止することが出来るので、表示領域11内におけるCOGむら12を防止することが出来る。
【実施例2】
【0048】
図10は本発明の第2の実施例において、本発明を適用する前の液晶表示パネルの状態を示したものである。図10において、TFT基板100(第1の基板)と対向基板200(第2の基板)との間に液晶が挟持されている。図10における液晶表示パネルが図15に示す液晶表示パネルと異なる点は、TFT基板100が対向基板200よりも大きくなっており、映像信号線駆動用ICチップ30も走査線駆動用ICチップ30もTFT基板100側に形成されている点である。
【0049】
図10において、短辺側に形成された走査線用ICチップ30は1個である。長辺側には、実施例1と同様に2個のICチップ30が配置している。液晶表示パネルにおけるCOGむら12は、図10のハッチングで示すように発生する。長辺側のCOGむら12は、実施例1と同様に3箇所に発生する。一方、短辺側のCOGむら12は図10に示すように、ICチップ30の両側である2箇所に発生する。
【0050】
長辺側の状況は実施例1において説明したのと同様であるので、説明を省略する。図11は、図10の短辺側におけるD−D断面である。図11において、TFT基板100のICチップ30の両側に上方への凸状部が発生している。これが図10におけるCOGむら12の原因となっている。
【0051】
図12は、上フレーム10に対して、図11に示すようなTFT基板100に発生している凸状部を押さえるように、下側への突起40を形成した例を示す断面図である。図12において、下フレーム20にバックライト50が収容され、バックライト50の上にTFT基板100と対向基板200で形成される液晶表示パネルが配置されている。ICチップ30がACF35を介してTFT基板100にCOG接続している。
【0052】
ICチップ30の両側に発生していた図11に示す凸状部は、上フレーム10に形成された突起40によって修正され、TFT基板100は平坦となっている。これによって、図10に示すようなCOGむら12は解消される。個々の突起40は、実施例1における図5と同様である。また、実施例1における図6および図7に示すような突起40を用いることも出来る。
【0053】
図13は、液晶表示パネルの他の例において発生しているCOGむら12を示す斜視図である。図13において、TFT基板100と対向基板200との間に液晶が挟持されている。TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100が1枚となっている部分にICチップ30が配置されている。ICチップ30の両側には、図11に示すような凸状部が発生する。
【0054】
図13におけるこのような凸状部は、上フレーム10に図12に示すような突起40を形成することによって、TFT基板100が平坦になるように、修正することが出来る。これによって、図13に示すようなCOGむら12を抑制することが出来る。
【0055】
実施例1および実施例2で示す本発明が「引用文献1」の発明と大きく異なる点は次のとおりである。すなわち、「引用文献1」では、剛体をTFT基板100に貼り付けることによって、TFT基板100に歪が生じないようにTFT基板100を拘束するものである。これに対して本発明は、TFT基板100等に発生した歪に対して突起40を用いて歪と逆方向に力を加えることによって、歪を修正するものである。したがって、本発明においては、ガラス基板に発生する歪を効果的に修正することが出来る。
【0056】
また、本発明における突起40は、TFT基板100あるいは対向基板200に形成せず、上フレーム10あるいは中フレーム60に形成するので、剛体をTFT基板100あるいは対向基板200に貼り付けることによって発生する歪の問題は生じない。
【0057】
さらに、「引用文献1」においては、剛体部品を用意し、これをTFT基板100等に貼りつける必要があるのに対し、本発明における突起40は、上フレーム10あるいは下フレーム20と一体で形成することが出来る。したがって、COGむら12を対策するためのコストは本発明が有利である。
【符号の説明】
【0058】
10…上フレーム、 11…表示領域、 12…COGむら、 20…下フレーム、 30…ICチップ、 35…ACF、 32…切り欠き、 40…突起、 45…樹脂突起、 50…バックライト、 51…上拡散シート 52…上プリズムシート 53…下プリズムシート 54…下拡散シート 55…導光板 56…LED、 57…LED基板、 58…反射シート、 60…中フレーム、 70…スペーサ、 100…TFT基板、 200…対向基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、晶表示装置に係り、特に、基板に半導体チップを搭載した際の表示むらを対策した液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して、TFT基板の画素電極と対応する場所にカラーフィルタ等が形成された対向基板が設置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして液晶分子による光の透過率を画素毎に制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置はフラットで軽量であることから、TV等の大型表示装置から、モニタ等の中型表示装置、携帯電話やDSC(Digital Still Camera)等の小型表示装置等、色々な分野で用途が広がっている。特に最近では、タブレット用液晶モジュール使用される液晶表示装置の需要も高まっている。
【0004】
液晶表示装置には、走査線あるいは映像信号線を駆動するためのICチップが搭載される。ICチップは、最近では、異方性導電シート(Anisotropic Conductive Film, ACF)を介して、ガラス基板である、TFT基板あるいは対向基板に熱圧着される。この時の温度は180℃程度である。このようなICチップの搭載の方式をCOG(Chip On Glass)と呼んでいる。
【0005】
熱圧着した場合、ICチップの熱容量とガラス基板の熱容量の差からICチップとガラス基板の温度が異なることになり、温度が下がったときに、ガラス基板に歪が生ずる。また、ガラス基板とICチップとの熱膨張係数の差によっても、熱圧着後のガラス基板の歪は発生する。ガラスの熱膨張係数は例えば、3.8×10−6、ICチップの熱膨張係数は2.5×10−6である。このように、ガラス基板に歪が発生すると、歪の影響によって表示領域に表示むらが発生する。このような表示むらを本明細書では、COGむらと呼ぶ。
【0006】
「特許文献1」には、このようなガラス基板の歪を抑えるために、種々の形の変形抑制部材をICチップと対向基板の端部の間に貼り付ける構成が記載されている。このような変形抑制部材は、ガラス基板よりも剛性の高い、金属、あるいはセラミック等が使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−20836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
「特許文献1」に記載の技術では、ガラス基板の変形を抑えるために、剛体を用いるが、この剛体を接着材によってガラス基板に貼り付けるために、貼り付け方、材質等によって、変形抑制部材によってガラスに歪が発生する恐れがある。また、ガラスの変形をおさえるための十分な剛性を持たせるために、剛体の大きさ、材質が限定される。
【0009】
図14は、液晶表示装置において、本発明が解決しようとするむらの例を示している。図14において、上フレーム10で囲まれた表示領域11は白で、COGむら12をハッチングで示しているが、実際の画面においては、COGむら12は、黒画面において、図14のハッチングで示したようなむらが目立つ。すなわち、COGむら12は黒画面において、黒が浮いたようなパターンとなる。
【0010】
図14において、上フレーム10の下側において、TFT基板100の上側あるいは対向基板200の下側にはICチップ30がCOGによって短辺側に2個、長辺側に2個搭載されている。短辺側のチップは走査線駆動用であり、長辺側は、映像信号線駆動用である。
【0011】
図15は、図14内のTFT基板100と対向基板200を取り出した図である。TFT基板100と対向基板200は図示しないシール材によって接着している。TFT基板100と対向基板200の間には、液晶が挟持されている。このような構成を本明細書では液晶表示パネルと呼ぶ。なお、図15では、偏光板は省略されている。
【0012】
図15において、TFT基板100の端部には映像信号線駆動用のICチップ30が搭載されており、対向基板200の端部には走査線駆動用ICチップ30が搭載されている。これらのチップは、COGによってガラス基板に接続されている。映像信号線用ICチップ30はTFT基板100の上側に接続されており、走査線用ICチップ30は、対向基板200の下側に接続されている。ICチップの大きさは例えば、長さが13mm、幅が1.5mm、厚さが0.35mmである。また、図15におけるICチップの間隔dは例えば、12mmである。
【0013】
図16は、図15のE−E断面図である。図16において、ICチップ30がACF35を介してCOGによって搭載されている。ICチップ30が搭載された部分のTFT基板100は、図16に示すように、ICチップ30の両側において、上側に凸になるように、変形する。このように、TFT基板100が変形すると、この変形が表示領域11にも影響し、図14の表示領域11の長辺側に示すようなCOGむら12を発生させる。
【0014】
図17は、図15のF−F断面図である。図17において、ICチップ30がACF35を介してCOGによって搭載されている。ICチップ30が搭載された部分の対向基板200は、図17に示すように、ICチップ30の両側において、下側に凸になるように、変形する。このように、対向基板200が変形すると、この変形が表示領域11にも影響し、図14の表示領域11の短辺側に示すようなCOGむら12を発生させる。
【0015】
本発明は、COGによってICチップ30を搭載した液晶表示装置において、図14に示すようなCOGむら12を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は以上のような課題を解決するものであり、主な手段は次のとおりである。すなわち、画素電極と対向電極が形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成された対向基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルの背面にバックライトが配置された液晶表示装置であって、前記液晶表示パネルと前記バックライトとを上フレームと下フレームによって収容し、前記TFT基板の端部にはICチップがCOG接続され、前記ICチップの少なくとも一方のTFT基板には、前記上フレームに形成された突起が接触していることを特徴とする液晶表示装置である。
【0017】
他の主な手段は、前記ICチップの両側のTFT基板には、前記上フレームに形成された突起が接触していることを特徴とする液晶表示装置である。
【0018】
さらに他の主な手段は、前記突起は、前記上フレームにプレスによって一体形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置であること、または、前記突起は、前記上フレームに一体形成された樹脂であることを特徴とする記載の液晶表示装置である。
【0019】
本発明のさらに他の主な手段は、画素電極と対向電極が形成されたTFT基板とカラーフィルタが形成された対向基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルの背面にバックライトが配置された液晶表示装置であって、前記液晶表示パネルと前記バックライトとを上フレームと下フレームによって収容し、前記バックライトは中フレームに収容され、前記TFT基板の端部にはICチップがCOG接続され、前記ICチップの少なくとも一方のTFT基板には、前記上フレームに形成された突起が接触しておいり、前記対向基板の端部にはICチップがCOG接続され、前記ICチップの少なくとも一方の対向基板には、前記中フレームに形成された突起が接触していることを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、COG接続によってTFT基板あるいは対向基板に発生した歪を除去することが出来るので、表示領域におけるCOGむらを抑制することが出来る。また、本発明によれば、COG接続によって発生した歪と逆方向の力を加えて基板を修正するので、効率的に歪の除去を行うことが出来る。
【0021】
また、本発明は、上フレームあるいは中フレームに一体に形成した突起によってTFT基板あるいは対向基板の歪の除去を行うので、歪除去のための製造コストの上昇を抑えることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】実施例1の液晶表示装置の正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】図1のB−B断面図である。
【図4】図1のC−C断面図である。
【図5】上フレームに形成された突起の詳細図である。
【図6】上フレームに形成された突起とTFT基板の接触の態様を示す他の例である。
【図7】上フレームに形成された突起の他の例の詳細図である。
【図8】バックライトの分解斜視図である。
【図9】光学シート群の分解斜視図である。
【図10】実施例2の液晶表示パネルの例である。
【図11】図10のD−D断面図である。
【図12】実施例2の態様を示す断面図である。
【図13】実施例2を適用できる液晶表示パネルの他の例である。
【図14】従来例における液晶表示装置の正面図である。
【図15】ICチップがCOG接続された液晶表示パネルの斜視図である。
【図16】図15のE−E断面図である。
【図17】図15のF−F断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に実施例を用いて本発明の内容を詳細に説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明による液晶表示装置の正面図である。図1において、上フレーム10の下側には、図15に示すようなTFT基板100(第1の基板)と対向基板200(第2の基板)の組み合わされた液晶表示パネルが配置されている。また、ICチップ30がTFT基板100の主面の端部と対向基板200の主面の端部に搭載されていることも図15と同様である。図1において、液晶表示装置の外形は、例えば、X=170mm、Y=110mm、表示領域の大きさは、例えば、DX=155mm。DY=95mmである。
【0025】
図1において、上フレーム10の長辺側には、COGによって発生したTFT基板100の端部の変形を防止するための下向きの突起40が形成されている。この突起40は、図16に示すICチップ30の両側にCOGの影響によって発生したTFT基板100の凸状部を抑えるように作用する。すなわち、この突起40はICチップ30が搭載されたTFT基板100を平面にするように作用する。
【0026】
また、図17に示すように、対向基板200の短辺側において、ICチップ30の両側には、COGの影響による凸状部が発生しているが、この凸状部を抑えるように、後で説明する中フレーム60に形成した突起40が接触している。中フレーム60の突起40は図1において、点線で示されている。すなわち、この中フレーム60の突起40はICチップ30が搭載された対向基板200を平面にするように作用する。
【0027】
図2は図1のA−A断面図である。図2において、液晶表示パネルはバックライト50の上に搭載され、全体が上フレーム10と下フレーム20によって囲まれている。図2において、TFT基板100にはICチップ30がACF35を介してCOG接続されている。ICチップ30の紙面奥側、すなわち、図1におけるICチップ30の右側には、TFT基板100に発生した凸状部を抑えるように、上フレーム10に形成された突起40がTFT基板100に接触している。図2において、上フレーム10および下フレーム20の板厚は例えば、0.4mmである。また、図2において、液晶表示装置の厚さTは、例えば、10mmである。
【0028】
図3は図1のB−B断面図である。図3において、バックライト50が下フレーム20に収容され、バックライト50の上に液晶表示パネルが載置されている。TFT基板100にはICチップ30がACF35を介してCOG接続されている。図3において、液晶表示パネルは上フレーム10に覆われている。上フレーム10には、突起40が形成され、図16に示すような、COGによって発生した凸状部を抑えることによってTFT基板100を平坦にしている。
【0029】
図3において、ICチップ30は2個搭載されおり、TFT基板100における凸状部はICチップ30の両側すなわち、3箇所に発生しているので、上フレーム10の突起40はこれに合わせて3箇所に形成されている。上フレーム10の突起40は、TFT基板100の凸状部を例えば、0.1mm程度下側に押すような構成となっている。
【0030】
図4は、図1のC−C断面図である。図4において、下フレーム20にバックライト50が収容されている。図4におけるバックライト50は、図2あるいは図3と異なり、反射シート58と中フレーム60が記載されている。後で説明するバックライト50の構成部品は、中フレーム60と反射シート58の間に配置されている。バックライト50の上には液晶表示パネルが配置され、液晶表示パネルは上フレーム10によって覆われている。
【0031】
図4において、ICチップ30はACF35を介して対向基板200の下面にCOG接続されている。ICチップ30のCOG接続によって、対向基板200には図17に示すような下側への凸状部が発生する。対向基板200に発生した凸状部を押すように中フレーム60には、突起40が形成されている。その結果、対向基板200は、ICチップ30が配置された部分においても、平坦となっている。中フレーム60に形成された突起40が対向基板200の凸状部を押す量は、例えば、0.1mmである。
【0032】
図5は上フレーム10に形成された突起40の例である。図5(a)は突起40の断面図であり、図5(b)は下面図である。図5(a)に示すように、突起40の断面は台形であり、平面である台形の上底がガラス基板に接触する構成となっている。図5に示すような突起40は、上フレーム10を形成する時に、同時にプレスによって形成することが出来る。
【0033】
突起40の高さhは、例えば、ICチップ30が無い部分における上フレーム10とTFT基板100との間隔と等しくする。そうすると、ICチップ30が接続された部分におけるTFT基板100の凸状部を上フレーム10に形成された突起40が押すことによって、TFT基板100の凸状部をほぼ平坦にすることができる。上フレーム10の突起40がTFT基板100を押す量は例えば、0.1mm程度である。また、図5における突起40の高さhは例えば、0.8〜0.9mmである。
【0034】
図5(b)に示すように、突起40の下面は平坦になっている。突起40の下面が平坦となっているので、TFT基板100の凸状部の位置と上フレーム10の突起40の位置がばらついても、安定して、上フレーム10の突起40をTFT基板100の凸状部に接触させることができる。図5(b)における突起40の平坦部のxは例えば、3〜5mm程度、yは例えば、2〜3mm程度である。
【0035】
上フレーム10は一般には金属で形成されているが、金属がガラス基板に直接接触するとガラスクラックの原因となる場合がある。これを防止するために、図6に示すように、ガラス表面と上フレーム10の突起40の間にスペーサ70を配置することが出来る。スペーサ70は例えば、片面あるいは両面の粘着テープによって形成され、厚さは0.1mm程度である。
【0036】
図6のようなスペーサ70を使用する場合は、突起40の高さh1とスペーサ70の厚さtとの合計の高さhを、ICチップ30が無い部分における上フレーム10とTFT基板100との間隔と等しくする。すなわち、図5で説明したhと同じにすればよい。
【0037】
図7は、本発明で使用される上フレーム10に形成される突起40の他の例である。図7(a)は、突起40が形成された部分における上フレーム10の断面図、図7(b)は下面図である。図7において、平坦に形成された上フレーム10に対して樹脂で形成した突起40が一体に形成されている。これは、樹脂一体化フレームとよばれている構造を製作するのと同じ条件で製作することができる。樹脂の材質は、エポキシあるいはポリカーボネイト等が使用される。
【0038】
図7(a)に示すように、突起40の断面は台形であり、台形の上底がTFT基板100の凸状部に接触する。図7(b)に示すように、突起40がTFT基板100と接する面は図5(b)と同様に平面となっている。平面となっていることのメリットは、図5において説明したのと同様である。図7(a)における樹脂で形成された樹脂突起45の高さhは例えば、0.8〜0.9mmであり、図7(b)における樹脂突起45の平坦部における面積xは3〜5mm、yは2〜3mmである。
【0039】
以上の説明は、上フレーム10に形成された下向きの突起40について行ったが、中フレーム60に形成される上向きの突起40についても同様な構成とすることが出来る。
【0040】
図1、図3、図4等に示すように、本実施例では、2個のICチップ30の間に上フレーム10あるいは中フレーム60の突起40が接触している。品種によっては、2個のICチップ30の間隔が小さく、2個のICチップ30の間に突起40を接触できない場合がある。この場合は、2個のICチップ30の間隔が小さいので、2個のICチップ30が連続した1個のICチップ30であると考えることが出来る。COGむら12の出方もICチップ30が1個の場合と同様である。この場合は、2個のICチップ30の外側に突起40を形成することによって、COGむら12を軽減することが出来る。すなわち、この場合は、ICチップ30の少なくとも一方の側のTFT基板100に突起40を接触させることによってCOGむら12を軽減することが出来る。
【0041】
図8は本発明で使用されるバックライト50の例である。図8において、バックライト50は中フレーム60内に収容されている。バックライト50の部品は下から、反射シート58、光源であるLED56を搭載したLED基板57、導光板55、下拡散シート54、下プリズムシート53、上プリズムシート52、上拡散シート53で構成されている。但し、図8のバックライト50は、例であり、他の構成をとることも出来る。
【0042】
図8における中フレーム60の上に液晶表示パネルが配置される。即ち、中フレーム60は、バックライト50を収容すると共にに、液晶表示パネルを支持している。中フレーム60の短辺部には、突起40が形成され、この突起40は、図4に示すように液晶表示パネルにおける対向基板200のICチップ30の両側の凸状部に接触して、対向基板200を平坦にする作用を有している。
【0043】
図8において、光源であるLED56は、導光板55の側面を囲む状態で複数個配置されているが、LED56は、導光板55の1側面、2側面、あるいは3側面のみに配置されていてもよい。また、LED56の数も品種に合わせて任意に選択すればよい。
【0044】
図8において、光源からの光は導光板55の側面から入射し、液晶表示パネル側に出射する。導光板55から下側に向かう光は反射シート58において、反射し、液晶表示パネル側に向かう。導光板55から出射する光は、光学シート群を介して液晶表示パネルに入射する。
【0045】
図9は光学シート群の例である。図9において、導光板55に近い方、すなわち、下側から、下拡散シート54、下プリズムシート53、上プリズムシート52、上拡散シート51の順で配置している。下拡散シート54は、導光板55からの光を均一にする作用を有する。下拡散シート54の上には下プリズムシート53が配置されている。下プリズムシート53は、a方向に向かう光を集光して、液晶表示パネルの方向に向ける作用を有する。下プリズムシート53の上には上プリズムシート52が配置されている。上プリズムシート52は、b方向に向かう光を液晶表示パネルの方向に向ける作用を有する。
【0046】
上プリズムシート52の上には上拡散シート51が配置されている。上拡散シート51は、液晶表示パネルに形成された走査線あるいは映像信号線と、プリズムシートに形成された細かな明暗の線との干渉によって発生したモアレを軽減する。拡散シートを出た光は、液晶表示パネルに入射する。図8および図9におけるバックライト50の構成は、1例であって、本発明は、他のバックライト50の構成においても適用することができる。
【0047】
以上のように、本発明によれば、COGによってICチップ30を配置したTFT基板100および対向基板200における歪を防止することが出来るので、表示領域11内におけるCOGむら12を防止することが出来る。
【実施例2】
【0048】
図10は本発明の第2の実施例において、本発明を適用する前の液晶表示パネルの状態を示したものである。図10において、TFT基板100(第1の基板)と対向基板200(第2の基板)との間に液晶が挟持されている。図10における液晶表示パネルが図15に示す液晶表示パネルと異なる点は、TFT基板100が対向基板200よりも大きくなっており、映像信号線駆動用ICチップ30も走査線駆動用ICチップ30もTFT基板100側に形成されている点である。
【0049】
図10において、短辺側に形成された走査線用ICチップ30は1個である。長辺側には、実施例1と同様に2個のICチップ30が配置している。液晶表示パネルにおけるCOGむら12は、図10のハッチングで示すように発生する。長辺側のCOGむら12は、実施例1と同様に3箇所に発生する。一方、短辺側のCOGむら12は図10に示すように、ICチップ30の両側である2箇所に発生する。
【0050】
長辺側の状況は実施例1において説明したのと同様であるので、説明を省略する。図11は、図10の短辺側におけるD−D断面である。図11において、TFT基板100のICチップ30の両側に上方への凸状部が発生している。これが図10におけるCOGむら12の原因となっている。
【0051】
図12は、上フレーム10に対して、図11に示すようなTFT基板100に発生している凸状部を押さえるように、下側への突起40を形成した例を示す断面図である。図12において、下フレーム20にバックライト50が収容され、バックライト50の上にTFT基板100と対向基板200で形成される液晶表示パネルが配置されている。ICチップ30がACF35を介してTFT基板100にCOG接続している。
【0052】
ICチップ30の両側に発生していた図11に示す凸状部は、上フレーム10に形成された突起40によって修正され、TFT基板100は平坦となっている。これによって、図10に示すようなCOGむら12は解消される。個々の突起40は、実施例1における図5と同様である。また、実施例1における図6および図7に示すような突起40を用いることも出来る。
【0053】
図13は、液晶表示パネルの他の例において発生しているCOGむら12を示す斜視図である。図13において、TFT基板100と対向基板200との間に液晶が挟持されている。TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成されており、TFT基板100が1枚となっている部分にICチップ30が配置されている。ICチップ30の両側には、図11に示すような凸状部が発生する。
【0054】
図13におけるこのような凸状部は、上フレーム10に図12に示すような突起40を形成することによって、TFT基板100が平坦になるように、修正することが出来る。これによって、図13に示すようなCOGむら12を抑制することが出来る。
【0055】
実施例1および実施例2で示す本発明が「引用文献1」の発明と大きく異なる点は次のとおりである。すなわち、「引用文献1」では、剛体をTFT基板100に貼り付けることによって、TFT基板100に歪が生じないようにTFT基板100を拘束するものである。これに対して本発明は、TFT基板100等に発生した歪に対して突起40を用いて歪と逆方向に力を加えることによって、歪を修正するものである。したがって、本発明においては、ガラス基板に発生する歪を効果的に修正することが出来る。
【0056】
また、本発明における突起40は、TFT基板100あるいは対向基板200に形成せず、上フレーム10あるいは中フレーム60に形成するので、剛体をTFT基板100あるいは対向基板200に貼り付けることによって発生する歪の問題は生じない。
【0057】
さらに、「引用文献1」においては、剛体部品を用意し、これをTFT基板100等に貼りつける必要があるのに対し、本発明における突起40は、上フレーム10あるいは下フレーム20と一体で形成することが出来る。したがって、COGむら12を対策するためのコストは本発明が有利である。
【符号の説明】
【0058】
10…上フレーム、 11…表示領域、 12…COGむら、 20…下フレーム、 30…ICチップ、 35…ACF、 32…切り欠き、 40…突起、 45…樹脂突起、 50…バックライト、 51…上拡散シート 52…上プリズムシート 53…下プリズムシート 54…下拡散シート 55…導光板 56…LED、 57…LED基板、 58…反射シート、 60…中フレーム、 70…スペーサ、 100…TFT基板、 200…対向基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と前記第1の基板と対向する第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルの背面にバックライトが配置された液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルと前記バックライトとを上フレームと下フレームによって収容し、
前記上フレームには、前記液晶表示パネルの側へ突出する突起が形成され、
前記第1の基板の主面の端部にはICチップが搭載され、
前記突起は、前記主面の前記端部のうち、前記ICチップが搭載されていない領域で、前記主面と接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1の基板は少なくとも第1の辺を有し、
前記端部は前記第1の辺の側に位置し、
前記ICチップと、前記主面の前記突起と接触している領域とは、前記第1の辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記上フレームには、複数の前記突起が形成され、
前記ICチップの前記第1の辺に沿った両側で、前記突起と前記主面とが接触していることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記突起は、前記上フレームにプレスによって一体形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記突起は、前記上フレームに一体形成された樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の基板には、薄膜トランジスタが形成され、
前記薄膜トランジスタと前記ICチップとが、前記第1の基板に形成された配線で接続されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1の基板は、前記バックライトの側に位置し、前記第2の基板は、前記上フレームの側に位置し、
前記液晶表示パネルを支持する中フレームを有し、
前記中フレームには、前記液晶表示パネルの側へ突出する第2の突起が形成され、
前記第2の基板は、前記第2の基板の前記第1の基板と対向する側に、第2の主面を有し、
前記第2の主面の第2の端部には第2のICチップが搭載され、
前記第2の突起は、前記第2の主面の前記第2の端部のうち、前記第2のICチップが搭載されていない領域で、前記第2の主面と接触していることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第2の基板は少なくとも第2の辺を有し、
前記第2の端部は前記第2の辺の側に位置し、
前記第2のICチップと、前記第2の主面の前記第2の突起と接触している領域とは、前記第2の辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記中フレームには、複数の前記第2の突起が形成され、
前記第2のICチップの前記第2の辺に沿った両側で、前記第2の突起と前記第2の主面とが接触していることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第2の突起は、前記中フレームにプレスによって一体形成されていることを特徴とする請求項7から請求項9の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第2の突起は、前記中フレームに一体形成された樹脂であることを特徴とする請求項7から請求項9の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
第1の基板と前記第1の基板と対向する第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルの背面にバックライトが配置された液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルと前記バックライトとを上フレームと下フレームによって収容し、
前記液晶表示パネルは、中フレームの上に配置され、
前記中フレームには、前記液晶表示パネルの側へ突出する突起が形成され、
前記第1の基板は、前記バックライトの側に位置し、前記第2の基板は、前記上フレームの側に位置し、
前記第2の基板の主面のうち、前記第1の基板の側の主面の端部にはICチップが搭載され、
前記突起は、前記主面の前記端部のうち、前記ICチップが搭載されていない領域で、前記主面と接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
前記第2の基板は少なくとも第2の辺を有し、
前記端部は前記第2の辺の側に位置し、
前記ICチップと、前記主面の前記突起と接触している領域とは、前記第2の辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記中フレームには、複数の前記突起が形成され、
前記ICチップの前記第2の辺に沿った両側で、前記突起と前記主面とが接触していることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記突起は、前記中フレームにプレスによって一体形成されていることを特徴とする請求項12から請求項14の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記突起は、前記中フレームに一体形成された樹脂であることを特徴とする請求項12から請求項14の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項1】
第1の基板と前記第1の基板と対向する第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルの背面にバックライトが配置された液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルと前記バックライトとを上フレームと下フレームによって収容し、
前記上フレームには、前記液晶表示パネルの側へ突出する突起が形成され、
前記第1の基板の主面の端部にはICチップが搭載され、
前記突起は、前記主面の前記端部のうち、前記ICチップが搭載されていない領域で、前記主面と接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1の基板は少なくとも第1の辺を有し、
前記端部は前記第1の辺の側に位置し、
前記ICチップと、前記主面の前記突起と接触している領域とは、前記第1の辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記上フレームには、複数の前記突起が形成され、
前記ICチップの前記第1の辺に沿った両側で、前記突起と前記主面とが接触していることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記突起は、前記上フレームにプレスによって一体形成されていることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記突起は、前記上フレームに一体形成された樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1の基板には、薄膜トランジスタが形成され、
前記薄膜トランジスタと前記ICチップとが、前記第1の基板に形成された配線で接続されていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1の基板は、前記バックライトの側に位置し、前記第2の基板は、前記上フレームの側に位置し、
前記液晶表示パネルを支持する中フレームを有し、
前記中フレームには、前記液晶表示パネルの側へ突出する第2の突起が形成され、
前記第2の基板は、前記第2の基板の前記第1の基板と対向する側に、第2の主面を有し、
前記第2の主面の第2の端部には第2のICチップが搭載され、
前記第2の突起は、前記第2の主面の前記第2の端部のうち、前記第2のICチップが搭載されていない領域で、前記第2の主面と接触していることを特徴とする請求項1から請求項6の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第2の基板は少なくとも第2の辺を有し、
前記第2の端部は前記第2の辺の側に位置し、
前記第2のICチップと、前記第2の主面の前記第2の突起と接触している領域とは、前記第2の辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記中フレームには、複数の前記第2の突起が形成され、
前記第2のICチップの前記第2の辺に沿った両側で、前記第2の突起と前記第2の主面とが接触していることを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記第2の突起は、前記中フレームにプレスによって一体形成されていることを特徴とする請求項7から請求項9の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記第2の突起は、前記中フレームに一体形成された樹脂であることを特徴とする請求項7から請求項9の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
第1の基板と前記第1の基板と対向する第2の基板の間に液晶層が挟持された液晶表示パネルの背面にバックライトが配置された液晶表示装置であって、
前記液晶表示パネルと前記バックライトとを上フレームと下フレームによって収容し、
前記液晶表示パネルは、中フレームの上に配置され、
前記中フレームには、前記液晶表示パネルの側へ突出する突起が形成され、
前記第1の基板は、前記バックライトの側に位置し、前記第2の基板は、前記上フレームの側に位置し、
前記第2の基板の主面のうち、前記第1の基板の側の主面の端部にはICチップが搭載され、
前記突起は、前記主面の前記端部のうち、前記ICチップが搭載されていない領域で、前記主面と接触していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
前記第2の基板は少なくとも第2の辺を有し、
前記端部は前記第2の辺の側に位置し、
前記ICチップと、前記主面の前記突起と接触している領域とは、前記第2の辺に沿って配置されていることを特徴とする請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記中フレームには、複数の前記突起が形成され、
前記ICチップの前記第2の辺に沿った両側で、前記突起と前記主面とが接触していることを特徴とする請求項13に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記突起は、前記中フレームにプレスによって一体形成されていることを特徴とする請求項12から請求項14の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記突起は、前記中フレームに一体形成された樹脂であることを特徴とする請求項12から請求項14の何れか1項に記載の液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−88588(P2013−88588A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228455(P2011−228455)
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月18日(2011.10.18)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】
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