説明

液晶装置、投射装置、及び電子機器

【課題】液晶パネルの温度上昇を抑えて表示品質を良好に保つことができる液晶装置、投射装置、及び電子機器を提供する。
【解決手段】パネルモジュール31は、液晶パネル11と、液晶パネル11に熱伝導性の接着剤で取り付けられたケース体32とによって構成されている。ケース体32は、液晶パネル11の一方の面に密着固定される平板状の第1冷却板35と、第1冷却板35と所定の間隙をもって並行に配置される平板状の第2冷却板36と、第1冷却板35と第2冷却板36とを固定する2枚の側板37とを有する。第1冷却板35と第2冷却板36との間には、金属からなる複数の支柱38が形成されている。支柱38は、例えば、冷却ファンから流れる冷却風の方向に沿って列状に並んでいる。ケース体32は、開口部47,48が設けられていることにより、冷却風をスムーズに2枚の冷却板35,36の間に流すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性の高い構造を有する液晶装置、投射装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した投射装置の一つとして液晶プロジェクタがある。液晶プロジェクタには、例えば、所定の画像を形成するために光変調用の液晶パネルが用いられる。この液晶プロジェクタは、光源から液晶パネルに光を当てるための集光光学系と、液晶パネルを透過した光をスクリーンなどの投射面に投射し、拡大画像を形成するための拡大投射光学系とが設けられている。
【0003】
そして、集光光学系によって集光された光が液晶パネルを透過して所定の画像が形成され、これが拡大投射光学系によってスクリーン等に投射される。液晶プロジェクタは、光源から集光光学系を通して液晶パネルに強い光が照射されることから、液晶パネルの過熱を招きやすい。液晶パネルの温度が上昇すると、表示不良が発生したり寿命が短くなったりする等の問題がある。よって、例えば、冷却ファンによって冷却風を液晶パネルに当てることにより、液晶パネルを冷却する方法が行われる。
【0004】
また、例えば、特許文献1に記載のように、液晶パネルとガラス板を介して接触している放熱フィンに、液晶パネルで発生した熱を送り出すことにより、液晶パネルを冷却することが提案されている。また、例えば、特許文献2に記載のように、電気光学パネル取付枠の側面における電気光学パネルの端部に相当する位置に開口部を設けることにより、電気光学パネルの放熱性を高めることが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開2003−66404号公報
【特許文献2】特開2005−16533号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、最近の液晶プロジェクタは、明るい部屋でも表示が良く見えるように、高輝度化が求められている。よって、液晶プロジェクタの光源が高出力となり、液晶パネルに入射する光強度も増大し、液晶パネルの温度が上昇する。その結果、画像の表示品質が低下するという問題がある。加えて、冷却風の風量を上げるために冷却ファンの回転数を上げると、騒音が大きくなったり、冷却ファンのモータに負荷がかかる等の問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]本適用例に係る液晶装置は、一対の基板を備えた液晶パネルと、前記液晶パネルの表示領域に対応する領域に開口を有し、前記液晶パネルに取り付けられたケース体と、を有し、前記ケース体は、複数の板状部が互いに間隙を有した積層構造を有すると共に、前記ケース体は、前記液晶パネルの一辺側と該一辺に対向する他辺側のそれぞれの前記間隙に対応した部位に開口部が設けられており、前記一辺側から前記他辺側に向けて前記複数の板状部の前記間隙に隔壁が形成されていることことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、ケース体が複数の板状部と隔壁とによって構成されているので、ケース体の表面積を増やすことが可能となり、過熱した液晶パネルの熱を効率よく放熱することができる。また、ケース体を構成する板状部が間隙を有して配置されており、また間隙に対応した部位のうち液晶パネルの一辺側及び他辺側に開口部が設けられ、間隙には一辺側から他辺側に向けて複数の隔壁が形成されているので、開口部から導入された冷却風を隔壁の延在方向に沿って送風し、他方の開口部から排出することが可能となる。これにより、液晶パネルの熱をケース体を介して効率よく放熱させることができる。また、板状部の間隙に隔壁が形成されていることによって、ケース体の強度を向上させることができる。
【0010】
[適用例2]上記適用例に係る液晶装置において、前記ケース体は、前記一対の基板のうち少なくとも前記液晶パネルに光を照射する光源側に取り付けられていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、少なくとも光源側にケース体が取り付けられているので、光源からの光が直接液晶パネルの全面に照射することを防ぐことができる。よって、液晶パネルが過熱することを抑えることができる。
【0012】
[適用例3]上記適用例に係る液晶装置において、前記ケース体は、光の入射側に前記光を反射する光反射面が形成され、前記光の出射側に前記光を吸収する光吸収面が形成されていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、光の入射側に光反射面が形成されているので、ケース体に光が照射された際、光を反射させることが可能となり、ケース体が発熱することを抑えることができる。また、光の出射側に光吸収面が形成されているので、板状部や液晶パネルで反射した光を吸収することが可能となり、これらの光が更に反射することを抑えることができる。更に、放射熱を吸収することができる。よって、光によって液晶パネルが過熱することを抑えることができ、これにより、液晶パネルの冷却効率を向上させることができる。
【0014】
[適用例4]上記適用例に係る液晶装置において、前記隔壁は、前記一辺側から前記他辺側に向かう方向に沿って連なって構成された複数の支柱からなることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、複数の支柱によって隔壁が構成されているので、例えば、露出する表面積を多くすることが可能となり、冷却効率を向上させることができる。また、複数の支柱の位置を任意に変えて配置することにより、例えば、冷却風を部分的に多く(重点的に)送風することもできる。
【0016】
[適用例5]上記適用例に係る液晶装置において、前記隔壁は、間隔を空けて複数配置されていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、間隔を空けて複数の隔壁が配置されているので、ケース体のうち液晶パネルの一辺側の開口部から他辺側の開口部まで均一に冷却風を流すことができる。その結果、効率よく液晶パネルの熱を放出させることができる。
【0018】
[適用例6]上記適用例に係る液晶装置において、前記隔壁は、前記隔壁の延在方向に交差する面における断面がV字状をなしていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、ケース体の表面積を増やすことが可能となり、放熱する面積を多くすることができ、冷却効率を向上させることができる。
【0020】
[適用例7]上記適用例に係る液晶装置において、前記板状部は金属からなることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、ケース体に蓄積された熱を高効率で放熱して冷却することができる。
【0022】
[適用例8]本適用例に係る投射装置は、上記に記載の液晶装置を備えることを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、内部に組み込まれた液晶装置によって、液晶パネルの熱を放熱させることができ、高品位な表示を行うことができる。
【0024】
[適用例9]本適用例に係る電子機器は、上記に記載の液晶装置を備えることを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、内部に組み込まれた液晶装置によって、液晶パネルの熱を放熱させることができ、高品位な表示を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、液晶装置を構成する液晶パネルの構造を示す模式平面図である。図2は、液晶パネルの構造を示す模式断面図である。以下、液晶パネルの構造を、図1及び図2を参照しながら説明する。
【0027】
図1及び図2に示すように、液晶パネル11は、素子基板12を有し、素子基板12の内面上に配線層、画素電極、TFTなどのアクティブ素子などがマトリクス状に形成されており、その上に配向膜(いずれも図示せず)が被着される。配向膜は所定方向にラビング処理が施されている。一方、対向基板13の内面には配向膜が形成され、同様にラビング処理が施される。このように形成された素子基板12と対向基板13は、シール材14を介して貼り付けられる。
【0028】
シール材14の外側の領域には、データ線駆動回路15及び外部端子16が素子基板12の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路17が、この一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。更に、素子基板12の残る一辺には、走査線駆動回路17間をつなぐための複数の配線18が設けられている。
【0029】
シール材14としては、例えば、光硬化性樹脂などが用いられ、素子基板12と対向基板13との間隔を所定値(例えば、3μm〜10μm程度)に保持可能にアライメントをし、光照射によりシール材14を硬化する。その後、例えば、真空中にてシール材14の開口部14aから液晶が注入される。開口部14aは、液晶注入後、素子基板12及び対向基板13の平行度が確保された状態で、樹脂からなる封止材19によって封止される。そして、液晶パネル11が完成する。
【0030】
素子基板12の一辺側端部には、外部端子16を多数配列させた外部端子部21が設けられている。この外部端子部21には、フレキシブル配線基板22の接続部が、異方性導電膜等を介して導電接続される。また、素子基板12の内面上には、シール材14に重なる部分のすぐ内側に、Cr(クロム)等の金属からなる遮光膜23が形成されている。
【0031】
図3は、液晶装置としてのパネルモジュールの構造を模式的に示す分解斜視図である。図4は、パネルモジュールを構成するケース体を光の入射側から見た模式平面図である。図5は、図3に示すパネルモジュールをA方向から見た模式側面図である。図6は、ケース体を光の出射側から見た模式平面図である。以下、パネルモジュールの構造を、図3〜図6を参照しながら説明する。なお、図3に示すパネルモジュール31は、素子基板12及び対向基板13の相互の大きさを簡略化して示している。
【0032】
図3に示すように、パネルモジュール31は、例えば、液晶プロジェクタ51(図7参照)のライトバルブとして用いられ、液晶パネル11とケース体32とを有する。パネルモジュール31は、例えば、液晶パネル11にケース体32が取り付けられて構成されている。具体的には、例えば、液晶パネル11とケース体32とが熱伝導性の接着剤(樹脂)によって固定されている。つまり、液晶パネル11の熱をケース体32に伝えやすく(放熱しやすく)することが可能となっている。
【0033】
ケース体32は、液晶パネル11における光33の入射側に配置されている。ケース体32は、高い熱伝導性を有する部材から構成される。具体的には、金属、高熱伝導性の炭素繊維から成るプラスチックや高熱伝導性セラミックス等を用いることができる。このうち、金属の例としては、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、マグネシウム合金等が挙げられる。本実施形態では、ケース体32にはアルミニウムが用いられている。ケース体32の製造方法としては、例えば、金属材料の射出成形法等が挙げられる。
【0034】
ケース体32は、液晶パネル11を保護すると共に、液晶パネル11の熱を外部に放熱させる役割を果たす。なお、液晶パネル11の光33の入射側(例えば、対向基板13)と光33の出射側(例えば、素子基板12)に防塵ガラス(図示せず)が取り付けられている構成であってもよい。
【0035】
液晶プロジェクタ51の光源からの光は、例えば、対向基板13から素子基板12の方向に入射している。入射する光33は、十分に均一となるように照射範囲が広くとられており、ケース体32における液晶パネル11の表示領域34に相当する領域から外縁部までの全体を照射している。
【0036】
ケース体32は、液晶パネル11の一方の面に密着固定される平板状の板状部としての第1冷却板35と、第1冷却板35と所定の間隙をもって並行に配置される平板状の板状部としての第2冷却板36と、第1冷却板35と第2冷却板36とを固定する2枚の側板37とを有する。すなわち、ケース体32は、第1冷却板35と第2冷却板36とが互いに間隙を有して配置された積層構造を有する。例えば、2枚の側板37及び第1冷却板35が液晶パネル11に取り付けられることにより、液晶パネル11とケース体32とが固定される。また、ケース体32には、液晶パネル11の一辺(フレキシブル配線基板22の実装された辺とは反対側の辺)側と、該一辺に対向する他辺(フレキシブル配線基板22の実装された辺)側のそれぞれの間隙に対応した部位に開口部47,48が設けられている。以下では、上記一辺側を「第1開口側41」、他辺側を「第2開口側42」とも呼ぶ。
【0037】
図5に示すように、第1冷却板35と第2冷却板36との間には、複数の隔壁としての支柱38(丸棒、ピンなど)が形成されている。支柱38は、例えば、冷却ファンから流れる冷却風39の方向(A方向)に沿って列状に並んでいる(図4、図6参照)。換言すれば、支柱38は、上記一辺側から他辺側に向かう方向に沿って連なるように配置されている。支柱38の材質は、ケース体32と同様に、金属、高熱伝導性の炭素繊維から成るプラスチック、高熱伝導性セラミックス等の高い熱伝導性を有する部材であることが好ましい。支柱38の材質は、ケース体32の材質と同一でもよいし、異なる材質でもよい。また、支柱38は、第1冷却板35又は第2冷却板36の少なくとも一方と連結されている。冷却効率及びケース体32の強度の点を鑑みれば、支柱38とケース体32とが同一材質であることがより好ましく、また支柱38が第1冷却板35及び第2冷却板36のそれぞれと連結されている構成がより好ましい。本実施形態では、支柱38はアルミニウムからなり、第1冷却板35及び第2冷却板36の双方に連結されている。
【0038】
また、2枚の冷却板35,36の間隙には、開口部47と開口部48との間を冷却風39がスムーズに流れるようになっている。すなわち、開口部47から導入された冷却風39は、支柱38の配列方向に沿って送風され、開口部48から排出される。ここで、冷却風39がケース体32内の間隙を通過する際には、ケース体32から冷却風39に熱が移動し、当該熱は冷却風39とともにケース体32外に排出される。よって、冷却風39によりケース体32、ひいては液晶パネル11を冷却することができる。また、冷却ファンは、冷却風39がケース体32に対して吹き付けられるように構成されている。
【0039】
支柱38間は、冷却風39の流れを妨げないよう、隙間なく連なっていることが望ましい。これにより、冷却風39を支柱38の配列方向に沿って流すことができる。また、支柱38の列43aと列43bとの間の間隔も同様に、冷却風39の流れを妨げないよう、一定の等間隔をおいて配置されていることが望ましい。列43の間隔が密になり過ぎると、冷却風39の流れが妨げられることが考えられる。
【0040】
以上のように、2枚の冷却板35,36の間に、所定の間隔をおいて支柱38の列43を配置することにより、ケース体32の開口部47から開口部48まで均一に冷却風39を流すことが可能となり、効率よく液晶パネル11の熱を放出させることができる。
【0041】
また、2枚の冷却板35,36の間隔も、上記したように、冷却風39の流れを妨げないような隙間であることが望ましい。2枚の冷却板35,36の間隔としては、液晶プロジェクタ51の光学系に悪影響を与えない程度であり、例えば、液晶パネル11を構成する素子基板12又は対向基板13の厚み分である。具体的には、例えば、1mm〜2mm程度である。
【0042】
このように、2枚の冷却板35,36(側板37を含む)とその間に配置された支柱38とによってケース体32が構成されていることにより、ケース体32の表面積を増やすことが可能となり、放熱する面積を多くすることができる。また、支柱38によって、ケース体32の強度を向上させることができる。
【0043】
更に、冷却風39の流れる方向に沿って支柱38の列43が形成されていると共に、第1開口側41に開口部47が、また第2開口側42に開口部48がそれぞれ設けられていることによってケース体32の中を冷却風39が通りやすくなるので、冷却風39がスムーズに流れ、ケース体32の冷却効率を向上させることができる。よって、液晶パネル11が過熱した場合でも、表面積の多いケース体32に冷却風39を接触させることで、液晶パネル11の熱をケース体32を介して放熱させることができる。
【0044】
また、ケース体32は、液晶パネル11の表示領域34に相当する領域に開口44が形成されている。ケース体32は、開口44以外の部分で、光源からの光33を遮蔽することが可能となっている。開口44を通過した光33は、液晶パネル11の表示領域34に照射される。
【0045】
また、図4に示すように、ケース体32における光入射側の面は、光33を反射することが可能な光反射面45になっている。具体的には、ケース体32の材質であるアルミが露出している構成となっている。アルミは、高い反射率を有しており、反射材として好適である。また、鏡面処理が施されていれば、なお好ましい。
【0046】
このように光反射面45となっていることにより、ケース体32に光33が照射された際、光33を反射させることが可能となり、ケース体32が発熱することを抑えることができる。これにより、液晶パネル11の冷却効率を向上させることができる。
【0047】
また、図6に示すように、ケース体32における光出射側の面は、光33を吸収することが可能な光吸収面46となっている。光吸収面46は、例えば、黒塗装などの黒体放射処理によって形成されている。なお、このような処理に限定されず、例えば、アルミ陽極酸化処理によって光吸収面46を形成するようにしてもよい。
【0048】
このように光吸収面46となっていることにより、第1冷却板35の光反射面45で反射した光33(乱反射した迷光など)を吸収させることが可能となり、これらの光33が更に反射することを抑えることができる。よって、光33が液晶パネル11に照射されて過熱することを抑えることができる。更に、放射熱(熱線)を効率よく吸収することもできる。
【0049】
以上のように構成されたパネルモジュール31において、光源からの強い光33は、ケース体32側から液晶パネル11の方向に入射する。ケース体32に入射した光33は、光反射面45によって、光33を反射することができる。これにより、ケース体32の温度が上昇して、液晶パネル11の冷却機能が低下することを抑えることができる。一方、液晶パネル11の表示領域34に入射した光33は、例えば、液晶層で吸収されて熱に変換されると共に残りの光33が光出射側に通過する。
【0050】
また、液晶パネル11の表面や内部に形成されている電極等の金属層による反射光、すなわち液晶パネル11からケース体32に向かう光33も一部存在する。しかしながら、ケース体32の光出射側は、光吸収面46となっているので、光33を吸収することが可能となっている。
【0051】
図7は、液晶パネルを用いた投射装置としての液晶プロジェクタの構造を示す模式図である。以下、液晶プロジェクタの構造を、図7を参照しながら説明する。
【0052】
図7に示すように、液晶プロジェクタ51は、ハウジング内に光学ユニットが内蔵されている。この光学ユニットは、光源を含む照明用光学系と、光源光を赤、緑、青の各光束R,G,Bに分離する色分離光学系と、上述の液晶パネル11からなる液晶ライトバルブを透過させた後に各光束R,G,Bを再合成する色合成光学系と、色分離光学系から色合成光学系へと光束を導く導光系とを備えている。
【0053】
照明用光学系には、光源ランプ52と、微小レンズの集合体からなるインテグレータレンズ53,54と、偏光分離膜と1/4波長板との集合体からなる偏光変換素子55と、反射ミラー56とが設置されている。光源ランプとしてはハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプなどを用いることができる。
【0054】
偏光変換素子55は、光軸に対して傾斜した偏光分離膜を配列させた状態に内蔵する透光板が1/4波長板に接した構造を備えている。入射光のうちS偏光は、偏光分離膜を透過する。偏光分離膜にて反射されたP偏光は、隣接する別の偏光分離膜にて反射されてS偏光に変換される。よって、入射光をS偏光に揃えることができる。
【0055】
色分離光学系には、赤緑反射ダイクロイックミラー57が設置されており、赤緑反射ダイクロイックミラー57において光束R及びGは反射され、光束Bは透過する。反射された光束R及びGのうち、光束Gは緑反射ダイクロイックミラー58にて反射され、光束Rは緑反射ダイクロイックミラー58を透過する。
【0056】
導光系においては、光束Bは反射ミラー61にて反射され、集光レンズ62に入射する。光束Gは緑反射ダイクロイックミラー58から直接集光レンズ63に入射する。光束Rは入射側レンズ64、反射ミラー65、中間レンズ66及び反射ミラー67を経て集光レンズ68に入射する。
【0057】
集光レンズ68,63,62の先には、それぞれ液晶ライトバルブ71,72,73が取り付けられている。これらの液晶ライトバルブ71,72,73は、液晶パネル11をパネル取付枠に収容し、フレキシブル配線基板22などの配線部材を接続させたパネルモジュール31によって構成され、パネル取付枠を光学ユニット内の支持固定部74に対して固定することによって設置される。これらの液晶ライトバルブ71,72,73は、図示しない制御駆動手段によって所望の画像情報に応じてスイッチングが制御され、各光束R,G,Bに対する変調を行う。
【0058】
色合成光学系では、上記液晶ライトバルブ71,72,73によってそれぞれに変調されて、所定の画像成分を構成するようにされた各光束R,G,Bを、3つの面にて受けるキュービック状のプリズムユニット75が設置されている。プリズムユニット75は、各光束R,G,Bを合成し、所望の画像情報を含むカラー画像を構成する。このカラー画像は、投射レンズユニット76により合成された後、図示しないスクリーン上に拡大投影される。
【0059】
上記構造の液晶プロジェクタ51においては、図3に示すパネルモジュール31を、例えば、フレキシブル配線基板22が上側になるように(第1開口側41が下側になるように)、ネジ止め或いは接着などにより固定する。このように配置されたパネルモジュール31の下方から、図示しない冷却ファンにより発生する冷却風39がケース体32の側面(第1開口側41)に向けて吹き付けられる。
【0060】
図8は、上記したパネルモジュール31を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図である。以下、パネルモジュール31を備えた携帯電話機を、図8を参照しながら説明する。
【0061】
図8に示すように、携帯電話機81は、表示部82及び操作ボタン83を有している。表示部82は、内部に組み込まれたパネルモジュール31によって、液晶パネル11の熱を放熱させることができると共に、高品位な表示を行うことができる。なお、上記したパネルモジュール31は、上記携帯電話機81の他、モバイルコンピュータ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器、テレビなどの各種電子機器に用いることができる。
【0062】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0063】
(1)本実施形態によれば、ケース体32が2枚の冷却板35,36と側板37と支柱38とから構成されているので、ケース体32の表面積を増やすことが可能となり、冷却風39に対する接触面積を増やすことができる。よって、冷却効率を向上させることが可能となり、液晶パネル11の温度を低く保つことができる。また、ケース体32を構成する2枚の冷却板35,36が間隙を有して配置されており、また間隙に対応した部位のうち液晶パネル11の一辺側及び他辺側に開口部47,48が設けられ、間隙には一辺側から他辺側に向けて複数の支柱38(隔壁)が形成されているので、開口部47から導入された冷却風39を支柱38の配列方向に沿って送風し、他方の開口部48から排出することが可能となる。これにより、液晶パネル11の熱を、接しているケース体32を介して効率よく放熱させ、冷却することができる。その結果、表示品質を高くすることができる。
【0064】
(2)本実施形態によれば、ケース体32における光33の入射側が光反射面45となっているので、ケース体32に光33が照射された際、光33を反射させることが可能となり、ケース体32が発熱することを抑えることができる。また、光33の出射側が光吸収面46となっているので、第1冷却板35や液晶パネル11で反射した光33を吸収させることが可能となり、これらの光33が更に反射することを抑えることができる。更に、放射熱を吸収することができる。よって、反射した光33によって液晶パネル11が過熱することを抑えることができる。これにより、液晶パネル11の冷却効率を向上させることができる。
【0065】
(3)本実施形態によれば、液晶パネル11の冷却効率を向上させることが可能となるので、例えば、冷却ファンの風量を低減することができ、冷却ファンによる騒音を低減することができる。更に、液晶プロジェクタ51の消費電力を低減することができる。
【0066】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0067】
(変形例1)
上記したように、第1冷却板35及び第2冷却板36の間に、支柱38を列状に並べて配置することに限定されず、例えば、図9〜図11に示すような構造にしてもよい。図9は、本変形例に係るケース体を光の入射側から見た模式平面図である。図10は、本変形例に係るパネルモジュールを側面から見た模式側面図である。図11は、本変形例に係るケース体を光の出射側から見た模式平面図である。
【0068】
図9〜図11に示すように、第1冷却板35と第2冷却板36との間には、断面方向から見てV字状の複数の隔壁91が形成されている。ここで断面方向とは、隔壁91の延在方向に交差する面(又は直交する面)における断面をいう。具体的には、冷却ファンからの冷却風39の方向に沿ってV字状に並んでいる。隔壁91は、第1開口側41から第2開口側42に向かう方向に沿って延在している。また、2枚の冷却板35,36の間には、第1実施形態と同様に、第1開口側41に開口部47が、また第2開口側42に開口部48が、それぞれ設けられている。開口部47に導入された冷却風39は、隔壁91の延在方向に沿って間隙を流れ、開口部48から排出される。V字の間隔は、冷却風39の流れを妨げないよう一定の間隔をおいて配置されていることが望ましい。
【0069】
2枚の冷却板35,36(側板37を含む)とその間に配置されたV字状の隔壁91とによってケース体92が構成されていることにより、ケース体92の表面積を増やすことが可能となり、放熱する面積を多くすることができる。更に、冷却風39の流れる方向に沿ってV字型の隔壁91が形成されていると共に、第1開口側41、第2開口側42にそれぞれ開口部47,48が設けられていることによってケース体92の中を冷却風39が通りやすくなるので、冷却風39がスムーズに流れ、ケース体92の冷却効率を向上させることができる。なお、第1実施形態と同様に、ケース体92の光入射側に光反射面45が形成され、光出射側に光吸収面46が形成されていることが望ましい。
【0070】
(変形例2)
上記したように、支柱38からなる列43(43a,43b)が等間隔で配置されていることに限定されず、例えば、部分的に間隔を変えて冷却風39の風量を変えるようにしてもよい。例えば、液晶パネル11における表示領域34に近い部分が熱くなりやすいことから、ケース体32における中央部分は、冷却風39が入りやすいように列43の間隔を広くとるようにしてもよい。
【0071】
(変形例3)
上記したように、ケース体32は2枚の冷却板35,36で構成されていることに限定されず、例えば、3枚以上で構成するようにしてもよい。これによれば、ケース体32の表面積を増やすことが可能となり、液晶パネル11の温度を放熱させることができる。なお、冷却板の枚数は、液晶プロジェクタ51の光学系に悪影響を与えない程度の枚数であることが好ましい。更に、冷却板と冷却板との間は、冷却風39が流れやすい程度の隙間であることが好ましい。
【0072】
(変形例4)
上記したように、ケース体32における光33の出射側の面に光吸収面46を形成することに限定されず、例えば、液晶パネル11と密着している第1冷却板35のみ、黒体放射処理を施さないようにしてもよい。具体的には、光吸収面46又は光反射面45のどちらでもよい。
【0073】
(変形例5)
上記したように、支柱38は、ピンなどの丸棒で構成されていることに限定されず、例えば、1枚に繋がった板状の隔壁であってもよい。この場合、1枚の隔壁が所定の間隔をおいて、2枚の冷却板35,36の間に複数列で配置されている。
【0074】
(変形例6)
上記したように、ケース体32を液晶パネル11における光33の入射側のみに設けていることに限定されず、光33の出射側にも設けるようにしてもよい。これによれば、冷却風39が光33の入射側のケース体32と出射側のケース体との両方に当たることから、過熱した液晶パネル11を効率よく冷却することができる。
【0075】
(変形例7)
上記したように、ケース体32に側板37があることに代えて、側板37を設けない構成にしてもよい。具体的には、2枚の冷却板35,36と、その間に配置された支柱38とによって構成されている。この場合、ケース体32は、第1冷却板35のみが液晶パネル11と熱伝導性の接着剤などによって貼り付けられている。
【0076】
(変形例8)
上記したように、ケース体32の光反射面45は、材料として用いたアルミを露出させていることに限定されず、例えば、銅(Cu)などの冷却板の表面に反射膜を形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】液晶パネルの構造を示す模式平面図。
【図2】液晶パネルの構造を示す模式断面図。
【図3】パネルモジュールの構造を模式的に示す分解斜視図。
【図4】ケース体を光の入射側から見た模式平面図。
【図5】図3に示すパネルモジュールをA方向から見た模式側面図。
【図6】ケース体を光の出射側から見た模式平面図。
【図7】液晶パネルを用いた液晶プロジェクタの構造を示す模式図。
【図8】液晶モジュール備えた電子機器としての携帯電話機を示す模式図。
【図9】変形例のケース体を光の入射側から見た模式平面図。
【図10】変形例のパネルモジュールを側面から見た模式側面図。
【図11】変形例のケース体を光の出射側から見た模式平面図。
【符号の説明】
【0078】
11…液晶パネル、12…素子基板、13…対向基板、14…シール材、14a…開口部、15…データ線駆動回路、16…外部端子、17…走査線駆動回路、18…配線、19…封止材、21…外部端子部、22…フレキシブル配線基板、31…パネルモジュール、32…ケース体、33…光、34…表示領域、35…板状部としての第1冷却板、36…板状部としての第2冷却板、37…側板、38…隔壁としての支柱、39…冷却風、41…第1開口側、42…第2開口側、43a,43b…列、44…開口、45…光反射面、46…光吸収面、47,48…開口部、52…光源ランプ、53,54…インテグレータレンズ、55…偏光変換素子、56…反射ミラー、57…赤緑反射ダイクロイックミラー、58…緑反射ダイクロイックミラー、61…反射ミラー、62…集光レンズ、63…集光レンズ、64…入射側レンズ、65…反射ミラー、66…中間レンズ、67…反射ミラー、68…集光レンズ、71,72,73…液晶ライトバルブ、74…支持固定部、75…プリズムユニット、81…携帯電話機、82…表示部、83…操作ボタン、91…隔壁、92…ケース体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板を備えた液晶パネルと、
前記液晶パネルの表示領域に対応する領域に開口を有し、前記液晶パネルに取り付けられたケース体と、を有し、
前記ケース体は、複数の板状部が互いに間隙を有した積層構造を有すると共に、前記ケース体は、前記液晶パネルの一辺側と該一辺に対向する他辺側のそれぞれの前記間隙に対応した部位に開口部が設けられており、前記一辺側から前記他辺側に向けて前記複数の板状部の前記間隙に隔壁が形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置であって、
前記ケース体は、前記一対の基板のうち少なくとも前記液晶パネルに光を照射する光源側に取り付けられていることを特徴とする液晶装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液晶装置であって、
前記ケース体は、光の入射側に前記光を反射する光反射面が形成され、前記光の出射側に前記光を吸収する光吸収面が形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記隔壁は、前記一辺側から前記他辺側に向かう方向に沿って連なって構成された複数の支柱からなることを特徴とする液晶装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶装置であって、
前記隔壁は、間隔を空けて複数配置されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記隔壁は、前記隔壁の延在方向に交差する面における断面がV字状をなしていることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の液晶装置であって、
前記板状部は金属からなることを特徴とする液晶装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする投射装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−192870(P2009−192870A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−34102(P2008−34102)
【出願日】平成20年2月15日(2008.2.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】