説明

液晶装置の製造方法

【課題】液晶が外部に漏れることを抑え表示品質を向上させることが可能な液晶装置の製造方法を提供する。
【解決手段】第1基板12上の表示領域を囲むようにシール剤14を塗布する工程と、第1基板12上におけるシール剤14で囲まれた中に、液晶15aの高さH1がシール剤14の高さH2よりも低くなるように液晶15aを滴下する工程と、シール剤14を介して第1基板12と第1基板12と対向する第2基板13とを貼り付ける工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶滴下方式によって製造される液晶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置は、一対の透光性材料からなる基板をシール剤によって互いに貼り合わせ、それらの基板間に形成される間隙(セルギャップ)内に液晶を封入することにより形成される。従来から、セルギャップ内に液晶を封入する方法として、例えば、液晶滴下法式(ODF:One Drop Fill)が知られている。
【0003】
液晶滴下方式は、対向配置される一対の基板うち、一方の基板の面に液晶表示領域を囲むようにして枠状のシール剤を塗布し、液晶をシール剤の枠内に滴下しその後直ちに、他方の基板を重ね合わせてシール剤を硬化させて封止する方法である。
【0004】
しかし、他方の基板を貼り合わせる際、シール剤より液晶の方が早く他方の基板と接触すると、液晶が他方の基板の表面を伝ってシール剤を乗り越えて外部に漏れ出し、必要量の液晶が確保できないという問題があった。
【0005】
この問題に対して、例えば、特許文献1及び特許文献2では、一方の基板を傾けて液晶を広げたり、一方の基板に振動を加えて液晶を広げたりして、先に液晶が他方の基板と接触しないようにしている方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−52312号公報
【特許文献2】特開2007−3560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、基板を傾ける装置が必要になったり、基板に振動を加える装置が必要になったりと、設備を新たに導入しなければならないという課題がある。また、傾けたり振動させたりする時間が必要になるため、生産能力が低下するという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る液晶装置の製造方法は、第1基板上において表示領域を囲むようにシール剤を塗布する塗布工程と、前記第1基板上の前記シール剤で囲まれた中に、液晶の高さが前記シール剤の高さより低くなるように前記液晶を滴下する滴下工程と、前記シール剤を介して前記第1基板に前記第1基板と対向する第2基板を貼り付ける貼付工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
この方法によれば、シール剤の高さより液晶の高さが低くなるように液晶を滴下するので、第1基板に第2基板を貼り合わせた際、液晶よりシール剤が先に第2基板に接触する。よって、液晶が第2基板の表面を伝ってシール剤を乗り越え外部に漏れることを防ぐことが可能となり、第1基板と第2基板との間に必要量の液晶を確保することができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る液晶装置の製造方法において、前記第1基板上に前記液滴を滴下する液晶ノズルを有し、前記滴下工程は、前記第1基板上に前記液晶を滴下した際に、前記シール剤の高さより前記液晶の高さが低くなるように前記液晶ノズルの孔径の大きさを変えることが好ましい。
【0012】
この方法によれば、液晶ノズルの孔径の大きさを変えることによってシール剤の高さより液晶の高さを低くするので、液晶より先にシール剤が第2基板に接触する。よって、液晶がシール剤を乗り越えることを防ぐことができる。また、液晶ノズルの孔径の大きさを変更するだけなので、新たな設備を導入する必要がなく、かかるコストを抑えることができる。加えて、生産能力を低下させることなく、より簡便な方法で形成することができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る液晶装置の製造方法において、前記第1基板上に前記シール剤を塗布するシール剤ノズルを有し、前記塗布工程は、前記滴下工程において前記第1基板上に前記液晶を滴下した際に、前記シール剤の高さより前記液晶の高さが低くなるように前記シール剤ノズルの孔径の大きさを変えることが好ましい。
【0014】
この方法によれば、シール剤ノズルの孔径の大きさを変えることによって液晶の高さよりシール剤の高さを高くするので、液晶より先にシール剤が第2基板に接触する。よって、液晶がシール剤を乗り越えることを防ぐことができる。また、シール剤ノズルの孔径の大きさを変更するだけなので、新たな設備を導入する必要がなく、かかるコストを抑えることができる。加えて、生産能力を低下させることなく、より簡便な方法で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】液晶装置を備える一対の大型基板の構造を示す模式平面図。
【図2】液晶装置の構造を示す模式平面図。
【図3】図2に示す液晶装置のB−B'線に沿う模式断面図。
【図4】液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図5】液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャート。
【図6】液晶装置の製造方法のうち一部の工程を示す模式断面図。
【図7】液晶装置の製造方法のうち一部の工程を示す模式断面図。
【図8】液晶装置の機種別における製造条件と液晶漏れ状況とを示す図表。
【図9】液晶装置の機種別におけるシール剤及び液晶高さと液晶漏れとの関係を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。本実施形態では、投射型映像装置である液晶プロジェクターにおいてライトバルブとして用いられるTFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例に挙げて説明する。
【0017】
なお、以下の形態において、「○○上に」と記載された場合、○○の上に接するように配置される場合、または○○の上に他の構成物を介して配置される場合、または○○の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
【0018】
<液晶装置を備える大型基板の構成>
図1は、液晶装置を備える一対の大型基板(マザー基板)の構造を示す模式図である。(a)は一対の大型基板の構造を模式的に示す斜視図であり、(b)は一対の大型基板の構造を示す模式平面図である。以下、大型基板の構造を、図1を参照しながら説明する。
【0019】
図1に示すように、一対の大型基板100は、第1大型基板200と第2大型基板300とが、液晶層15(図3参照)を挟持してシール剤14を介して貼り合わされており、複数の液晶装置10が互いの基板にマトリクス状に面付けされている。大型基板100の大きさは、例えば、8インチである。大型基板100(200,300)のそれぞれの厚みは、例えば、1.2mmである。大型基板100の材質は、例えば、石英である。
【0020】
A部は、大型基板100における1つの液晶装置10を構成する部分(四角形の第1基板又は第2基板となる部分)である。なお、大型基板100は、平面的に円形であることに限定されず、円周の一部が切り欠かれたオリフラを有する形状であってもよい。以下、液晶装置10の構造について説明する。
【0021】
<液晶装置の構成>
図2は、液晶装置の構造を示す模式平面図である。図3は、図2に示す液晶装置のB−B'線に沿う模式断面図である。以下、液晶装置の構造を、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0022】
図2及び図3に示すように、液晶装置10は、液晶プロジェクターのライトバルブ等に用いられるものであり、例えば、薄膜トランジスター(以下、「TFT(Thin Film Transistor)素子」と称する。)を画素のスイッチング素子として用いたTFTアクティブマトリクス方式の液晶装置である。液晶装置10は、一対の基板を構成する第1基板12と第2基板13とが、平面視略矩形枠状のシール剤14を介して貼り合わされている。
【0023】
第1基板12及び第2基板13は、例えば、石英などの透光性材料から構成されている。液晶装置10は、シール剤14に囲まれた領域(表示領域19)内に液晶層15が封入された構成になっている。
【0024】
液晶層15としては、例えば、正の誘電率異方性を有する液晶材料が用いられる。液晶装置10は、シール剤14の内周近傍に沿って遮光性材料からなる平面視矩形枠状の額縁遮光膜18が第2基板13に形成されており、この額縁遮光膜18の内側の領域が表示領域19となっている。
【0025】
額縁遮光膜18は、例えば、遮光性材料であるアルミ(Al)で形成されており、第2基板13側の表示領域19の外周を区画するように設けられている。
【0026】
表示領域19内には、画素領域21がマトリクス状に設けられている。画素領域21は、表示領域19の最小表示単位となる1画素を構成している。シール剤14の外側の領域には、データ線駆動回路22及び接続端子38が第1基板12の一辺(図2における下側)に沿って形成されている。接続端子38には、外部と接続するためのフレキシブル配線基板(図示せず)が電気的に接続される。
【0027】
また、シール剤14の内側の領域には、この一辺に隣接する二辺に沿って走査線駆動回路24がそれぞれ形成されている。第2基板13側に形成された額縁遮光膜18は、例えば、第1基板12上に形成された走査線駆動回路24などに対向する位置(平面的に重なる位置)に形成されている。
【0028】
一方、第2基板13の各角部(例えば、シール剤14のコーナー部の4箇所)には、第1基板12と第2基板13との間の電気的導通をとるための、上下導通端子26が配設されている。
【0029】
また、図3に示すように、第1基板12の液晶層15側には、複数の画素電極27が形成されており、これら画素電極27を覆うように所定の方向に配向処理が施された第1配向膜28が形成されている。画素電極27は、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる導電膜である。第1配向膜28は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
【0030】
一方、第2基板13の液晶層15側には、格子状の遮光膜(BM:ブラックマトリクス)(図示せず)が形成され、その上に平面ベタ状の共通電極31が形成されている。そして、共通電極31上には、第2配向膜32が形成されている。共通電極31は、ITO等の透明導電材料からなる導電膜である。
【0031】
液晶層15は、画素電極27からの電界が印加されていない状態で第1配向膜28及び第2配向膜32によって所定の配向状態をとる。液晶装置10は透過型であって、第1基板12及び第2基板13における光の入射側と出射側とにそれぞれ偏光板(図示せず)等が配置されて用いられる。なお、液晶装置10の構成は、これに限定されず、反射型や半透過型の構成であってもよい。
【0032】
図4は、液晶装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、液晶装置の電気的な構成を、図4を参照しながら説明する。
【0033】
図4に示すように、液晶装置10は、表示領域19を構成する複数の画素領域21を有している。各画素領域21には、それぞれ画素電極27が配置されている。また、画素領域21には、TFT素子33が形成されている。
【0034】
TFT素子33は、画素電極27へ通電制御を行うスイッチング素子である。TFT素子33のソース側には、データ線34が電気的に接続されている。各データ線34には、例えば、データ線駆動回路22(図2参照)から画像信号S1,S2,…,Snが供給されるようになっている。
【0035】
また、TFT素子33のゲート側には、走査線35が電気的に接続されている。走査線35には、例えば、走査線駆動回路24(図2参照)から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1,G2,…,Gmが供給されるようになっている。また、TFT素子33のドレイン側には、画素電極27が電気的に接続されている。
【0036】
走査線35から供給された走査信号G1,G2,…,Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子33が一定期間だけオン状態となることで、データ線34から供給された画像信号S1,S2,…,Snが、画素電極27を介して画素領域21に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0037】
画素領域21に書き込まれた所定レベルの画像信号S1,S2,…,Snは、画素電極27と共通電極31(図3参照)との間で形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1,S2,…,Snがリークするのを防止するために、画素電極27に電気的に接続された画素電位側容量電極と、容量線の一例であるシールド層(図示せず)に電気的に接続された容量電極36との間に蓄積容量37が形成されている。
【0038】
このように、液晶層15に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより、液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶層15に入射した光が変調されて、画像光が生成されるようになっている。
【0039】
<液晶装置の製造方法>
図5は、液晶装置の製造方法を工程順に示すフローチャートである。図6及び図7は、液晶装置の製造方法のうち一部の工程を示す模式断面図である。以下、液晶装置の製造方法を、図5〜図7を参照しながら説明する。以下、図1に示すマザー基板のうち1つの液晶装置の製造方法を説明する。なお、図6及び図7は、TFT素子33や配線などが設けられた層の図示を省略している。
【0040】
最初に、第1基板12側の製造方法を説明する。図5に示すように、ステップS11では、石英基板などからなる第1基板12上にTFT素子33及び画素電極27等を形成する。具体的には、周知の成膜技術、フォトリソグラフィ技術及びエッチング技術を用いて、第1基板12上にTFT素子33及び画素電極27(図6(a)参照)などを形成する。画素電極27は、例えば、第1基板12の一方の表面にITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電性材料をスパッタし、この導電膜をエッチングすることによって形成することができる。
【0041】
ステップS12では、画素電極27の上方に第1配向膜28を形成する(図6(a)参照)。第1配向膜28の製造方法としては、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着する斜方蒸着法が用いられる。
【0042】
ステップS13(塗布工程)では、第1基板12上にシール剤14を塗布する。具体的には、図6(b)に示すように、シール剤ノズル41から第1基板12上の表示領域19の周縁部に(表示領域19を囲むように)、一筆書きで切れ目なくシール剤14を塗布する。シール剤14としては、例えば、紫外線硬化型エポキシ樹脂が挙げられる。なお、紫外線などの光硬化型樹脂に限定されず、熱硬化型樹脂などを用いるようにしてもよい。
【0043】
また、シール剤14には、第1基板12と第2基板13との間隔(基板12,13間ギャップ或いはセルギャップ)を所定値とするためのグラスファイバー或いはガラスビーズ等のギャップ材が含まれている。
【0044】
ステップS14(滴下工程)では、第1基板12上に液晶15aを滴下する。具体的には、図6(c)に示すように、シール剤14で囲まれた領域に液晶15aを滴下する。滴下する方法としては、例えば、液晶ノズル42(インクジェットヘッド)などを用いることができる。また、液晶15aは、囲まれた領域(表示領域19)の中央部に滴下することが望ましい。
【0045】
続いて、第1基板12側と同時に製造する第2基板13側の製造方法を説明する。まず、ステップS21では、第2基板13上に共通電極31などを形成する。具体的には、石英基板などの透光性材料からなる第2基板13の一方の表面に、ITOなどの透明導電性膜をスパッタし、これをエッチングすることによって形成することができる。
【0046】
ステップS22では、共通電極31上に第2配向膜32を形成する。第2配向膜32の製造方法は、第1配向膜28の製造と同様に、例えば、酸化シリコン(SiO2)などの無機材料を斜方蒸着する斜方蒸着法が用いられる。以上により、第2基板13側が完成する。次に、第1基板12と第2基板13とを貼り合わせる方法を説明する。
【0047】
ステップS31では、第1基板12に第2基板13を貼り合わせる。具体的には、図7(a)に示すように、第1基板12に塗布されたシール剤14を介して第1基板12と第2基板13とを貼り合わせる。
【0048】
このとき、図6(c)に示すように、液晶ノズル42の孔径42aの大きさを従来(90μm)と比較して大きくしたので(150μm)、図7(a)に示すように、シール剤14の高さH2と比較して、液晶15aの高さH1が低くなっている。
【0049】
よって、第1基板12と第2基板13とを貼り合わせる際、液晶15aよりも先にシール剤14が第2基板13と接触する。これにより、第1基板12と第2基板13との間と、外部との間に隙間が発生することを防ぐことが可能となり、シール剤14で囲まれた中に滴下した液晶15aが、外部に漏れることを防ぐことができる。
【0050】
その結果、図7(b)に示すように、第1基板12と第2基板13との間に滴下された液晶15aが、外部に漏れ出すことなくシール剤14で囲まれた中に封止される。
【0051】
ステップS32では、図7(c)に示すように、貼り合わせた大型基板100を切断して、個々の液晶装置10を完成させる。なお、ステップS32のあと洗浄を行い、第1基板12及び第2基板13の表面に偏光板を装着し、更に、FPC(Flexible Printed Circuit)などを介して液晶駆動用ICを実装することで、液晶装置10として構成してもよい。
【0052】
図8は、液晶装置の機種別における製造条件と液晶漏れ状況とを示す図表である。図9は、液晶装置の機種別におけるシール剤及び液晶高さと液晶漏れとの関係を示すグラフである。以下、液晶装置の機種別におけるシール剤高さ及び液晶高さと液晶漏れとの関係について、図8及び図9を参照しながら説明する。
【0053】
図8に示す図表は、シール剤14の高さH2と、液晶装置10に必要な液晶量と、液晶ノズル42の孔径42aと、液晶15aの高さH1とを、液晶装置10の機種(機種A〜機種D’)毎に示したものである。また、機種毎における液晶漏れの発生状況を示している。なお、機種D’は、機種Dにおける液晶ノズル42の孔径42aを90μmから150μmに変更した機種である。
【0054】
具体的には、シール剤14の高さH2は、全ての機種において12μmである。必要な液晶量は、機種Aが220μg、機種Bが250μg、機種Cが370μg、機種D及び機種D’が600μgで同じある。
【0055】
液晶15aを滴下する際に用いた液晶ノズル42の孔径42aは、機種A〜機種Dまで同じ90μmである。機種D’における液晶ノズル42の孔径42aは、上記したように、150μmである。液晶15aの高さH1は、機種Aが6.6μm、機種Bが7.5μm、機種Cが11.2μm、機種Dが18.6μm、機種D’が11.2μmである。
【0056】
液晶15aがシール剤14を乗り越えて外部に漏れ出す液晶漏れの状況は、機種Dのみ発生した。残りの機種A〜機種C、機種Dの改良機種である機種D’については、液晶漏れが発生しなかった。
【0057】
一方、図9に示すグラフは、横軸に液晶装置10の機種を示しており、縦軸に液晶15aの高さH1とシール剤14の高さH2とを示している。液晶15aの高さH1及びシール剤14の高さH2は、縦軸における図示上側にいくに従って高くなる。
【0058】
具体的には、シール剤14の高さH2は、上記したように、全ての機種において12μmである。液晶15aの高さH1は、図8の図表において説明したように、機種Aが6.6μm、機種Bが7.5μm、機種Cが11.2μm、機種Dが18.6μm、機種D’が11.2μmである。
【0059】
このように、液晶15aの高さH1及びシール剤14の高さH2において、12μmを境に液晶15aの漏れが発生する、又は液晶15aの漏れが発生しないことがわかる。
【0060】
図8及び図9に示すように、シール剤14の高さH2(12.0μm)より液晶15aの高さH1が高くなると、液晶漏れが発生する。つまり、液晶漏れが発生した機種Dは、第2基板13を封止する際、第2基板13がシール剤14より先に液晶15aと接触するので、第2基板13の表面に液晶15aが伝ってシール剤14を乗り越え、外部に液晶15aが漏れると考えられる。
【0061】
そこで、機種D’のように、液晶ノズル42の孔径42aを90μmから150μmに大きくすることによって、第1基板12に機種Dと同じ量の液晶15aを滴下した際、液晶15aの高さH1を機種Dと比較して低くすることが可能となる。これにより、例えば、液晶15aの高さH1が11.2μmになり、シール剤14の高さH2(12μm)より低くなる。よって、第2基板13を用いて封止する際、液晶15aより先にシール剤14が第2基板13と接触するので、第1基板12と第2基板13との間に隙間がなくなり、液晶15aが外部に漏れ出すことを防ぐことができる。
【0062】
なお、機種D’と同様に、機種Aから機種Cにおいて液晶ノズル42の孔径42aを90μmから150μmに変更した場合、液晶量が機種Dと比較して少ないため、液晶15aの吐出量のばらつきが大きくなると考えられる。よって、必要な液晶量に合わせて液晶ノズル42の孔径42aの大きさを設定することが好ましい。
【0063】
以上詳述したように、本実施形態の液晶装置10の製造方法によれば、以下に示す効果が得られる。
【0064】
(1)本実施形態の液晶装置10の製造方法によれば、例えば、液晶ノズル42の孔径42aの大きさを従来と比較して大きくしたので、第1基板12上に従来と同じ液晶量を吐出した際、シール剤14の高さH2より液晶15aの高さH1を低くすることが可能となる。よって、第1基板12と第2基板13とを貼り合わせた際、液晶15aより先にシール剤14が第2基板13と接触するので、シール剤14で囲まれた空間と外部との間に隙間が無くなる。これにより、液晶15aが第2基板13の表面を伝ってシール剤14を乗り越え外部に漏れることを防ぐことが可能となり、第1基板12と第2基板13との間に必要量の液晶15aを確保することができる。その結果、液晶装置10の透過率やコントラストがばらつくことを抑えることが可能となり、表示品質を向上させることができる。
【0065】
(2)本実施形態の液晶装置10の製造方法によれば、液晶ノズル42の孔径42aを従来より大きくする(つまり、90μmから150μmに変更する)だけなので、新たな設備を導入する必要がなく、かかるコストを抑えることができる。加えて、生産能力を低下させることなく、より簡便な方法で形成することができる。
【0066】
なお、本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、本発明の技術範囲に含まれるものである。また、以下のような形態で実施することもできる。
【0067】
(変形例1)
上記したように、第1基板12上に滴下した液晶15aの高さH1をシール剤14の高さH2より低くする方法として、液晶ノズル42の孔径42aの大きさを大きくすることに限定されず、例えば、シール剤ノズル41の孔径の大きさを小さくするようにしてもよい。これによれば、第1基板12上にシール剤14を塗布した際、シール剤14の高さを従来と比較して高くすることが可能となり、液晶15aの高さH1よりシール剤14の高さH2を高くすることができる。よって、第1基板12と第2基板13とを貼り合わせた際、液晶15aより先にシール剤14を第2基板13に接触させることができ、液晶15aが外部に漏れることを防ぐことができる。
【0068】
(変形例2)
上記したように、液晶15aの高さH1をシール剤14の高さH2より低くする方法として、液晶15aを滴下する際の第1基板12を載置するステージに熱を加えて、液晶15aの粘度を低くし、液晶15aの高さを低くする方法を加えるようにしてもよい。なお、ステージへの加熱に限定されず、直接液晶15aを加熱するようにしてもよい。また、第1配向膜28や第2配向膜32の種類によって液晶15aの表面張力が変わることが考えられるので、配向膜28,32の種類も考慮しながら液晶ノズル42の孔径42aの大きさを調整することが好ましい。
【符号の説明】
【0069】
10…液晶装置、12…第1基板、13…第2基板、14…シール剤、15…液晶層、15a…液晶、18…額縁遮光膜、19…表示領域、21…画素領域、22…データ線駆動回路、24…走査線駆動回路、26…上下導通端子、27…画素電極、28…第1配向膜、31…共通電極、32…第2配向膜、33…TFT素子、34…データ線、35…走査線、36…容量電極、37…蓄積容量、38…接続端子、41…シール剤ノズル、42…液晶ノズル、42a…孔径、100…大型基板、200…第1大型基板、300…第2大型基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板上において表示領域を囲むようにシール剤を塗布する塗布工程と、
前記第1基板上の前記シール剤で囲まれた中に、液晶の高さが前記シール剤の高さより低くなるように前記液晶を滴下する滴下工程と、
前記シール剤を介して前記第1基板に前記第1基板と対向する第2基板を貼り付ける貼付工程と、
を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶装置の製造方法であって、
前記第1基板上に前記液滴を滴下する液晶ノズルを有し、
前記滴下工程は、前記第1基板上に前記液晶を滴下した際に、前記シール剤の高さより前記液晶の高さが低くなるように前記液晶ノズルの孔径の大きさを変えることを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液晶装置の製造方法であって、
前記第1基板上に前記シール剤を塗布するシール剤ノズルを有し、
前記塗布工程は、前記滴下工程において前記第1基板上に前記液晶を滴下した際に、前記シール剤の高さより前記液晶の高さが低くなるように前記シール剤ノズルの孔径の大きさを変えることを特徴とする液晶装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−19931(P2013−19931A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150640(P2011−150640)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】